説明

省エネルギーワイヤケーブル

【課題】導電体を用いた省エネルギーのワイヤケーブルに関し、特に、電力伝送の効果を高め、コストを低減し、ユーザの安全を守ることができる導電体ワイヤケーブルを提供する。
【解決手段】複数の金属又は合金で形成される導電体ワイヤケーブルは、単一(束)のワイヤケーブル又は二重(束)のワイヤケーブルを含み、導電体の少なくとも1つの束において、導電体の各束は、2又は3種類以上の金属又は合金からなる細い導電ワイヤ21からなり、このワイヤは絶縁体22によって覆われて導電体ワイヤケーブルを構成する。金属ワイヤケーブルの表皮効果を十分に用いて金属ワイヤケーブルの電力伝送量及び効率を高める。また、使用中のワイヤケーブルの温度を効果的に下げるために、通電での熱を抑えて金属を冷却する通気手段1を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電体を用いた省エネルギーのワイヤケーブルに関する。特に、電力伝送の効果を高め、コストを削減(低減)し、ユーザの安全を守ることができる導電体ワイヤケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の要求の高まりによって、地球の天然資源は急速に消費されている。この解決方法としては、使用可能な資源を積極的に回収し、様々な天然資源の消費を制限することである。現代人の生活では、電気は極めて重要である。一方で、電力の伝送は、銅やアルミニウム等の大量の金属を必要とする。そして、電力の伝送に影響を与えることがなければ、前述の銅やアルミニウム等の金属の量を減らすことができる。経済効果を高めるために、資源の消費を少なくし、かつ生産コストを削減する多様な効果を実現することが重要である。
【0003】
世界電気工学ハンドブック(World Electric Engineering Handbook)によれば、一般的な状況の下で、絶縁されたPVCワイヤケーブルは、直径Φ1.6mm(断面積2mm2)で600Vに耐えることができ、その安全電流は20アンペアである。即ち、単位断面積1mm2当たり10アンペアの電流を伝送することができる。金属ワイヤケーブルは、断面積が大きいほど電力伝送効率が悪くなることは明かである。従って、どのようにして大きな断面積を有する金属ワイヤケーブルの電力伝送効率を高め、そして銅やアルミニウムの金属の使用量を減らすかということは、関係する企業家が緊急に、そして熱心に努力しなければならない課題である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述の欠点を有する従来の金属ワイヤケーブルに関して、本発明は、そのような欠点を考慮して改善された方法を提供する。従って、本発明の目的は、導電体を用いた省エネルギーのワイヤケーブルを提供することであり、これは金属ワイヤケーブルの表皮効果を十分に用いて金属ワイヤケーブルの電力伝送量及び効率を高める。
【0005】
本発明の更なる目的は、導電体を用いた省エネルギーのワイヤケーブルを提供することで、銅やアルミニウム等の大量の金属の消費を抑えて、生産コストを効果的に削減し、天然資源を節約することである。
【0006】
本発明の別の目的は、使用中のワイヤケーブルの温度を効果的に下げるために、通電での熱を抑えて金属を冷却する通気手段を備えた、導電体を用いた省エネルギーのワイヤケーブルを提供することである。
【0007】
前述の目的を達成するために、本発明は、複数の導電体と、導電体を支持する軸方向に沿って配置された支持体(要素)と、導電体と支持体を覆う絶縁体とを含む、導電体を用いた省エネルギーのワイヤケーブルを提供する。
【0008】
他の目的、結果及び特徴は、添付図面を用いた好ましい実施形態の説明において明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に用いる中空円パイプの斜視図である。
【図2】本発明に用いる部分可撓性中空パイプの斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の第1の態様の構造を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の第2の態様の構造を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態と導電体のコネクタとの組み合わせを示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の構造を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態と導電体のコネクタとの組み合わせを示す斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の斜視図である。
【図9】本発明の第3の実施形態と導電体のコネクタとの組み合わせを示す斜視図である。
【図10】本発明の第4の実施形態と導電体のコネクタとの組み合わせを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1から図5を参照すると、これらの図面は、可撓性材料でできた難燃性の絶縁性中空パイプを主として含む実施形態の構造を示す。この中空パイプは、円形中空パイプ10、部分可撓性中空パイプ(sectional flexible hollow pipe)1又は螺旋中空パイプ(図示せず)にすることができる。実施形態において、導電体2は、部分可撓性中空パイプ1(又は円形中空パイプ10)の横方向において軸方向に沿って配置され、部分可撓性中空パイプ1(又は円形中空パイプ10)の外側に整然と配列される。または、導電体2は、螺旋中空パイプの横方向において螺旋形で軸方向に沿って配置され、螺旋中空パイプの外側に整然と配列される。各導電体2は、単一コアの導電体又は複数コアの導電体にすることができる。導電体は、銅、アルミニウム又は合金の導電性材料によって作られてもよい。各導電体2の構造は、金属導体21が絶縁体層22で覆われている。各金属導体21は、互いに接触せずに絶縁体層22によって絶縁を維持する。更に、各導電体2の外側には、図3に示すような絶縁帯3が巻き付けられる。絶縁又は保護の必要に応じて、絶縁帯3の外周には、図4に示すような別の絶縁体30が備えられて、ケーブルワイヤユニットAを構成する。最終的に、各導電体2の金属導体21の露出端は、圧着又は溶着(溶接)でコネクタ23と接合することができ、それによりケーブルワイヤユニットAは外部と接続しやすくなっている。部分可撓性中空パイプ1、円形中空パイプ10又は螺旋中空パイプを利用することにより、各導電体2の中央側は通気スペースを有する中空にされ、電気抵抗で熱を発生する金属を冷却して、使用中の温度を下げるのに好都合である。更に、各導電体2の金属導体21が互いに接触しないようにすることによって、導電体の表皮効果を利用することができ、それによりケーブルワイヤユニットAの電力出力と伝送効率が向上する。
【0011】
図6及び図7は、第2の実施形態の構造及び実施の様子である。各図面に示したように、第2の実施形態の構造は、第1の実施形態に基づくことが分かる。複数のケーブルワイヤユニットAを用いて、ケーブルワイヤユニットAを隣り合わせて整然と並べ、各ケーブルワイヤユニットAの間に、可撓性中空パイプ及び絶縁充填材40を備え、最も外側の面は被覆4を備える。この可撓性中空パイプは、部分可撓性中空パイプ1、円形中空パイプ10又は螺旋中空パイプにすることができる。最終的に、ケーブルワイヤユニットAの末端、即ち各導電体2の金属導体21の露出端は、コネクタ23に接合されて、高い導電性を有する更に大きな構造のケーブルワイヤを構成する。
【0012】
図8及び図9は、第3の実施形態の構造及び実施の様子である。各図面に示したように、第3の実施形態の構造は、複数の導電体2が導電体セット20を構成するように単一層に並べられ、かつ各導電体セット20の間に平ベルト形部材5を備える。平ベルト形部材5の上側と下側の両方に複数の溝51、52が配列され、溝51、52は、導電体2の外周形状及び導電体2の配列密度に一致して、導電体セット20の各層を挟んで固定することができ、それにより各導電体セット層20の間に適切な距離が維持される。同時に、更に複数のスリットフィン53が、平ベルト形部材5の中心部分に横方向に並んで配列される。この複数のスリットフィン53は、その形成方向が導体セット20の延在方向と同じであり、平ベルト形部材5を貫通する。この複数のスリットフィン53は、空気循環効果を高めることができる。最終的に、導電体セット20の末端部分(即ち、導電体2の金属導体21の露出部分)をコネクタ24に接合して、更に大きい別のケーブルワイヤセットを形成することができる。
【0013】
図10は、本発明の第4の実施形態と導電体のコネクタとの組み合わせの斜視図である。図面に示したように、第4の実施形態の構造は、第1及び第3の実施形態の構造に基づく。複数のケーブルワイヤユニットAを用いて単一層を形成し、ケーブルワイヤセットBを構成する。更に、各ケーブルワイヤセットBの間に、平ベルト形部材5が配列される。平ベルト形部材5の構造と配列は、前述のものと同じである。各ケーブルワイヤユニットAの末端をコネクタ23に接合して、電力伝導量が上記第3の実施形態で述べたケーブルワイヤセットより多い別のケーブルワイヤセットを形成することができる。
【0014】
本発明の前述の実施形態の構造は、各金属導体21の表皮効果を十分に利用する。同時に、前記構造は、金属によって生成された熱を冷却するために空洞及び通気構造(部分可撓性中空パイプ1、円形中空パイプ10、螺旋中空パイプ及びスリットフィン53)を備える。40℃を超えないように温度を制限できれば、電力伝送量を大幅かつ効率的に高めることができる(電力伝送と金属の電気抵抗とにより、電流が流れることで熱が生じることがある)。電力が大きく、抵抗が大きいほど、それに従って発熱が増える。除去されない導電体中の熱を、電力伝送量が増えるよう、そして安全のために、温度を40℃を超えないように制限する。例えば、500mm2の大きな断面積の金属導体では、安全電流は、小さな断面積のものより劣った500アンペアである。断面積2mm2の金属導体の安全電流は20アンペア以内である。円形可撓性パイプの周囲が、断面積2mm2のいくつかの絶縁された単一コアの導電体2によって取り囲まれるか、又は絶縁された導電体2のいくつかの平行な層が、それぞれ適切な距離だけ離されて良好な放射機能を有する場合、安全電流負荷規格の下で、いくつかの絶縁された導電体2をコネクタ23又は24に圧着することができる。即ち、各絶縁された導電体2の電力伝送を合計することができる。従って、これは銅/アルミニウムのワイヤ材料を節約して、電力伝送性能を高めるのに効果的である。導電体として、塗装されたワイヤ又は塗料で包まれ薄いプラスチックで覆われたワイヤを使用すれば、ワイヤの外径を小さくし、絶縁された材料を節約することができ、製造過程における更なる利点となる。例えば、従来の断面積500mm2のワイヤを構成するには、直径Φ3.2mmの銅線を61本使用し、重さは1000メートル当たり4448kgであり、安全電流は500アンペアである。しかし、本発明の構造は、直径Φ1.6mmの銅線を25本使用し、安全電流はやはり500アンペアであり、重さは1000メートル当たり447kgである。本発明と従来のワイヤの負荷電流は同じであるが、本発明と従来のワイヤを比較すると、本発明は、4000kgの銅材料を節約することができる。この利点は驚くべきことである。直径Φ1.6mmの銅ワイヤを例にとると、アルミニウムワイヤで代用した場合、断面積を最大30%大きくすることができる。Φ1.83mmの直径を有する単一のワイヤを使用する場合でも、20アンペアの安全電流を伝送することができる。アルミニウムワイヤは、500アンペアの電力を送るために使用され、直径Φ1.83mmの25本のアルミニウムワイヤしか使用せず、その重さは1000メートル当たり235kgである。銅及びアルミニウム資源を節約することは大きな利点である。
【0015】
省エネルギーワイヤケーブルに関する本発明は、生産コストを削減し、伝送電力効率を高め、かつ温度上昇の影響を小さくことができる。本発明は、独創性と進歩性を有する。以上、本明細書で本発明の特定の実施形態を例示のために説明したが、様々な変更と改良は、当業者にとって容易に明らかになるであろう。従って、特許請求の範囲は、広義に本明細書で述べる発明の趣旨及び範囲と一致するように解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0016】
1 部分可撓性中空パイプ
2 導電体
3 絶縁帯
4 被覆
5 平ベルト形部材
10 円形可撓性パイプ
20 導電体セット
21 金属導体
22 絶縁層
23 コネクタ
24 コネクタ
30 絶縁体
40 絶縁充填材
51 溝
52 溝
53 スリットフィン
A ケーブルワイヤユニット
B ケーブルワイヤセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電体と、前記導電体を支持する軸方向に沿って配置された支持体と、前記導電体と前記支持体とを覆う絶縁体とを含む省エネルギーの導電体ワイヤケーブル。
【請求項2】
前記支持体が円形中空パイプであり、前記導電体が、前記円形中空パイプの外側で整然と配列されるようにして、前記円形中空パイプの横方向において軸方向に沿って配置された、請求項1に記載の省エネルギーの導電体ワイヤケーブル。
【請求項3】
前記支持体が螺旋中空パイプであり、前記導電体が、前記螺旋中空パイプの外側で整然と配列されるようにして、前記螺旋中空パイプの横方向において軸方向に沿って配置された、請求項1に記載の省エネルギーの導電体ワイヤケーブル。
【請求項4】
前記支持体が部分可撓性中空パイプであり、前記導電体が、前記部分可撓性中空パイプの外側で整然と配列されるようにして、前記部分可撓性中空パイプの横方向において軸方向に沿って配置された、請求項1に記載の省エネルギーの導電体ワイヤケーブル。
【請求項5】
前記支持体は、前記導電体を支持するために軸方向に沿って配置された平ベルト形部材である、請求項1に記載の省エネルギーの導電体ワイヤケーブル。
【請求項6】
前記平ベルト形部材が、前記導電体のそれぞれを配列する溝を備えた、請求項5に記載の省エネルギーの導電体ワイヤケーブル。
【請求項7】
前記導電体がそれぞれ単一のコアである、請求項1に記載の省エネルギーの導電体ワイヤケーブル。
【請求項8】
前記導電体がそれぞれ複数のコアである、請求項1に記載の省エネルギーの導電体ワイヤケーブル。
【請求項9】
複数の前記導電体と前記支持体を覆う絶縁体を更に含む、請求項1に記載の省エネルギーの導電体ワイヤケーブル。
【請求項10】
前記絶縁体が前記導電体と前記支持体との間に充填された、請求項1に記載の省エネルギーの導電体ワイヤケーブル。
【請求項11】
前記導電体の末端を接続するコネクタを更に含む、請求項1に記載の省エネルギーの導電体ワイヤケーブル。
【請求項12】
前記コネクタは、前記導電体の末端と圧着接合される、請求項11に記載の省エネルギーの導電体ワイヤケーブル。
【請求項13】
前記コネクタは、前記導電体の末端と溶着接合される、請求項11に記載の省エネルギーの導電体ワイヤケーブル。
【請求項14】
前記導電体は、銅、アルミニウム又は合金の導電性材料からなる、請求項11に記載の省エネルギーの導電体ワイヤケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−170426(P2009−170426A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6911(P2009−6911)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(500281442)
【出願人】(509015671)
【出願人】(509015682)
【Fターム(参考)】