説明

省エネ中央集中式暖房及び給湯システム

【課題】給湯温水の生産のために使用された加熱温水を各世帯や各層に備えられた温水分配器などを通じたり、直接底コイルへと循環させて供給温水の使用効率を高め、暖房温水がメイン熱交換器に循環される過程で損失する放熱熱量を最小化するとともに、暖房に活用してエネルギーの節約が可能な省エネ中央集中式暖房及び給湯システムを提供する。
【解決手段】中央集中式暖房及び給湯システムは、熱生産施設からの熱源が供給され、熱交換を通じて暖房温水を生産するメイン熱交換器と、生産された暖房温水を各世帯及び各層へ循環させる循環ポンプと、各世帯或いは各層に設置され、供給された暖房温水との熱交換を通じて給湯温水を生産する給湯熱交換器と、各世帯或いは各層に設置され、暖房温水が直接供給されたり、給湯温水の生産のために使用された暖房温水が供給され、各世帯或いは各層に備えられた底コイルに循環させる温水分配器と、で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中大型ボイラーのスチームや高温水のような熱源、太陽熱のように自然から得られる熱源、或いは発電廃熱またはボイラーから得られる熱源の供給を受け熱交換を通じて温水を生産し、これを中央供給方式によって中小団地の建物から大団地の建物まで供給する中央集中式暖房及び給湯システムに関するもので、特に、機械室から各世帯へ連結された給湯供給配管を無くして各世帯に給湯温水を供給するための配管設備を簡単にし、給湯温水の生産のために使用された暖房温水を各世帯や層の底に設置された底コイルへと循環させ、暖房及び給湯のために使用されるエネルギーを節約することができるようにした省エネ中央集中式暖房及び給湯システムに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】韓国公開特許公報第2010−0118473号
【0003】
最近の大団地のマンションや中大規模のビルは、個別暖房及び個別給湯供給方式ではなく、団地全体のための共同暖房施設を設置して共同の配管網を通じて各世帯或いは各層に暖房温水を供給しており、給湯は、供給された温水と給水の熱交換を通じて給水を必要とする適切な温度に加熱した後、配管網を通じて各世帯或いは各層へ供給する中央供給方式でシステムが構築されている。
【0004】
このような中央供給方式は、多数の需要先を比較的に効率の高い熱源機器を使用して専門的な技術を持った管理者に管理させることで、個別方式に比べて機器の経年による効率の減少に積極的に対応することができ、同時使用率の適用によって全体の機器の容量を縮小して火力などを一箇所に集めて火災のような救急事態に対応することが容易であるという長所がある。
【0005】
しかし、中央供給方式は、供給による施設面積が増加し、施設費用が個別方式に比べて高くなり、配管設備の費用の増加、またメンテナンス費用及び施設運営費の発生によって住民の不満が発生する恐れがある。
【0006】
図1は、従来の中央集中式暖房及び給湯システムの構造図を図示している。
【0007】
中央集中式暖房及び給湯システムは、熱生産施設10から生産された温水、中温水、スチームのような熱源が、マンションやビルのような建物に備えられた機械室20へ供給され、機械室へ供給された熱源は、暖房用熱交換器30と給湯用熱交換器40へ供給されて暖房温水と給湯温水が生産され、生産された暖房温水と給湯温水が各世帯へ供給される方式からなっている。
【0008】
一方、機械室20には暖房熱交換器30と給湯熱交換器40の他にも給水ポンプ50と暖房循環ポンプ31及び給湯循環ポンプ41などの設備が備えられ、機械室から生産された暖房温水と給湯温水は、機械室配管及び共同溝配管そして各建築物に備えられた横走管と立上主管を経て各世帯へ供給される。
【0009】
しかし、上記のような従来のシステムは、機械室から生産された給湯温水が各世帯へ供給されることにおいて、機械室配管と共同溝配管、そして地下横走用配管と立上配管を通じて遠距離を流動しなければならないため配管による熱損失が大きく(通常、全体の給湯供給エネルギーの10〜30%まで損失されるものと確認された)、流体移送のための電力の消費が多く、機械室と各世帯を連結するための配管の設備費用が高くて建築工事費上昇の原因となり、中大型熱交換器の設置と配管の設備により、機械室、共同溝、地下街、立上用PIPE DUCTの空間確保により建築物の有効空間が減るという問題点がある。
【0010】
一方、特許文献1には、共同住宅及び建物の統合配管システムが開示されている。
【0011】
図2は、上記統合配管システムの構造図を図示している。
【0012】
開示された共同住宅及び建物の統合配管システムは、中央集中暖房方式において、熱生産施設から生産された高温水と熱交換された加熱水を熱供給対象の共同住宅の各世帯別或いは建物の各層別へ供給する統合熱交換器110と、上記統合熱交換器110で熱交換された加熱水を供給する統合供給配管120と、上記統合供給配管120と連結されて加熱水を回収する統合回収配管130と、共同住宅の各世帯別或いは建物の各層別に設置され、上記統合供給配管120と分岐連結されて加熱水を供給する供給配管140と、共同住宅の各世帯別或いは建物の各層別に設置され、上記統合回収配管130と分岐連結されて加熱水を回収する回収配管150と、上記供給配管140と分岐されて加熱水を供給する給湯供給配管160と、上記回収配管150と分岐されて熱交換が行われた加熱水を回収する給湯回収配管170と、上記給湯供給配管160と給湯回収配管170及び給水管101がそれぞれ連結され、上記給湯供給配管を通じて伝達された加熱水と上記給水管を通じて供給された冷水を熱交換して給湯水を供給し、冷水と熱交換された加熱水を上記給湯回収配管に排出する給湯熱交換器180と、上記供給配管と給湯供給配管へ供給される加熱水の流量を制御する冷、暖房調節器200と、からなっている。
【0013】
上記のような共同住宅及び建物の統合配管システムは、暖房と給湯兼用の統合配管を用いることで、建築費、設備施工費、設備管理及びメンテナンス費を減少することができるという長所がある。
【0014】
しかし、上記のような統合配管システムは、暖房と給湯の合算流量を統合供給配管を通じて供給しなければならないため、暖房と給湯に求められる流量を十分に流動させるような大容量のポンプが使用されるべく、配管の直径も大きくなるという短所と、給湯の加熱のための多くの熱源を温度の低い低温水へ移送して局所的に末端部から加熱しなければならないという理由によって、移送された温水が有している熱容量を効率的に放熱させないと改善の効果は有意な水準には至らない恐れがあったり、かえって過大な施設容量の確保などによる不合理的なエネルギーの損失を引き起こすことがある。
【0015】
即ち、上記共同住宅及び建物における統合配管システムは、暖房の後或いは熱交換器を通じて給湯を生産した後に、統合熱交換器へ加熱水を環水する過程で比較的に高い温度で加熱水を環水させることにより、配管内外部の大きな温度差によって多量の熱損失が生じるなど、エネルギーの低減に制限があるという問題点があるのは勿論、統合配管として給湯と暖房を別途に区別して加熱することで、多くの熱容量の流量が世帯或いは各層から必要となり、これを満たすために送られた多くの流量は、給湯と暖房が同時に最大負荷が掛からない時期、特に給湯の需要が減少或いは発生しない瞬間に供給された余裕熱量或いは流量に様々な問題が発生することがあるため、これに対応するシステムが要求されるが、これを制御する方法が特定されていないため過量の循環水による底に埋設された暖房配管内での流速の増加によるノイズの発生とともに、底輻射暖房の伝熱効率の減少が予測されるという問題点を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記のような問題点を考えて成されたもので、本発明の目的は、給湯温水の生産のために使用された加熱温水を各世帯や各層に備えられた温水分配器などを通ったり、直接底コイルへと循環させて供給温水の使用効率を高め、暖房温水がメイン熱交換器に循環される過程で損失する放熱熱量を最小化するとともに、暖房に活用してエネルギーの低減が可能な省エネ中央集中式暖房及び給湯システムを提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、各世帯別或いは各層別の要求温度に合わせて給湯温水の供給ができるようにして、給湯温水の要求温度が異なる環境下でも均一に温水の供給を行う既存の方式からのエネルギーの無駄遣いを改善して、エネルギーの節約と給湯使用環境の改善を可能にした省エネ中央集中式暖房及び給湯システムを提供することにある。
【0018】
本発明のまた他の目的は、給湯温水の使用の際に、使用者によって設定された温度の給湯が直ちに供給されるようにすることで、初期に使用されずに捨てられる微温水や冷水の量を減らすか無くすようにすることで、水資源の無駄遣いを防ぐことができる中央集中式暖房及び給湯システムを提供することにある。
【0019】
本発明のまた他の目的は、給湯の供給が間欠的ということに着目して給湯の加熱時に暖房を一時的に中止するよう制御したり、給湯加熱以降の排出された温水を再利用して暖房に活用するようにすることで、給湯と暖房のうち最大負荷に該当する熱容量のみを統合配管へ供給できるようにして、暖房及び給湯加熱用統合温水供給メイン配管へ供給する加熱温水の供給量を大幅に減らし、設置配管の規格を減らして配管施工費を低減し、伝熱面積を縮小して放熱損失熱量を減らすと共に、移送される流量を減らしてポンプの運転費用を減らす省エネ中央集中式暖房及び給湯システムを提供することにある。
【0020】
本発明のまた他の目的は、暖房温水を循環させる暖房循環ポンプの運転制御を通じて、要求された暖房及び給湯の負荷量に応じて可変的に流量を制御することで、エネルギーの費用を減らすことができる省エネ中央集中式暖房及び給湯システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記のような目的を達成し従来の欠点を克服するための課題を行う本発明の省エネ中央集中式暖房及び給湯システムは、熱生産施設から温水、中温水或いはスチームのうちいずれかひとつの熱源が供給され、熱交換を通じて暖房温水を生産するメイン熱交換器と、上記メイン熱交換器から生産された暖房温水を各世帯及び各層へ供給し回収できるように暖房温水を循環させる循環ポンプと、各世帯或いは各層に設置され、上記メイン熱交換器から供給された暖房温水と給湯用水の熱交換を通じて給湯温水を生産し、給湯温水の加熱された使用された暖房温水を各世帯或いは各層に設置された温水分配器へ供給して底コイルへと循環するようにしたり、或いは直接底コイルへ供給して循環させることにより、暖房水として使用するようにする給湯熱交換器と、上記メイン熱交換器から延長して、生産された暖房温水を供給する統合温水供給メイン配管と、上記メイン熱交換器から延長して、使用された暖房温水の回収が行われる統合温水回収メイン配管と、上記統合温水供給メイン配管と温水分配器の供給側とを連結する暖房温水供給管と、上記統合温水回収メイン配管と温水分配器の回収側とを連結する暖房温水回収管と、上記暖房温水供給管から分岐されて上記給湯熱交換器に連結される給湯用暖房温水供給管と、上記暖房温水供給管に設置されて暖房温水供給管の流路を制御する第1弁と、上記給湯用暖房温水供給管に設置されて給湯用暖房温水供給管の流路を制御する第2弁と、上記第1弁と第2弁を制御して暖房温水供給管を通じて供給された暖房温水が給湯を使用するか否かによって温水分配器或いは給湯熱交換器へ供給されるようにする制御器と、上記暖房温水供給管と暖房温水回収管を連結して給湯熱交換器から温水分配器へ供給される暖房温水の一部を暖房温水回収管に返還するバイパス管と、上記給湯熱交換器から排出された暖房温水を温水分配器とバイパス管に所定の割合で分配する管路制御ユニットと、を含むことを特徴とする。
【0022】
この際、上記管路制御ユニットは、暖房温水供給管とバイパス管の連結部に設置されて制御器に設定された値に応じて暖房温水を暖房温水供給管とバイパス管に分配する比例制御3方式弁で構成されることができる。
【0023】
このように、管路制御ユニットが比例制御3方式弁で構成される場合、上記第1弁は、設定された値に対応する流量の暖房温水が暖房温水供給管を通じて流動するよう制御するとともに、暖房温水供給管の流路を開閉する定流量オン/オフ弁で構成され、上記第2弁は、設定された値に対応する流量の暖房温水が暖房温水供給管を通じて流動するよう制御するとともに、給湯用暖房温水供給管の流路を開閉する定流量オン/オフ弁で構成される。
【0024】
一方、上記管路制御ユニットは、上記暖房温水供給管の末端に設置され、設定された値に対応する流量の暖房温水が温水分配器へ供給されるようにする定流量弁と、上記バイパス管に設置され、設定された値に対応する流量の暖房温水がバイパス管を通じて排出されるようにするとともに、バイパス管の流路を開閉する第3定流量オン/オフ弁とで構成されることもできる。
【0025】
このように、管路制御ユニットが定流量弁と第3定流量オン/オフ弁とで構成される場合、上記第1弁は、暖房温水供給管の流路を開閉するオン/オフ弁で構成され、上記第2弁は、設定された値に対応する流量の暖房温水が暖房温水供給管を通じて流動するよう制御するとともに、給湯用暖房温水供給管の流路を開閉する定流量オン/オフ弁で構成される。
【0026】
一方、給水ポンプから延長された給水管から分岐されて上記給湯熱交換器に連結された給湯用水管に設置され、使用蛇口の開放時に流体の流れを感知して暖房温水供給管を通じて供給された全ての暖房温水が給湯熱交換器へ供給されるよう、第1弁及び第2弁を制御する信号を発生させるフロースイッチがさらに含まれることができる。
【0027】
また、上記給湯熱交換器から使用蛇口に連結された給湯配管の末端と給湯熱交換器に連結された給湯用水管とを連結して給湯温水の循環が行われるようにする環水配管と、上記環水配管或いは給湯用水管の末端に設置されて配管内の給湯温水を循環させる給湯循環ポンプと、上記給湯配管或いは環水配管に設置されて給湯温水の温度を検出する温度センサーと、使用者から要求された給湯温水の温度値が入力され、使用者によって入力された設定温度値と上記温度センサーから検出された検出温度値を比較して、設定温度値より検出温度値が低い場合、給湯循環ポンプを駆動し第1、2弁を制御して暖房温水が給湯熱交換器へ供給されるようにすることで、給湯温水の再加熱が成されるようにする温度制御回路ユニットとがさらに含まれることができる。
【0028】
一方、各世帯或いは層から要求される暖房温水の量の変換に流動的に対応できるように、上記循環ポンプは複数で構成され、上記制御器は、循環ポンプによる暖房温水の循環流量を世帯或いは各層の要求熱量の変化に応じて可変的に制御するよう循環ポンプ台数の制御機能を有することが好ましい。
【0029】
或いは、上記循環ポンプはひとつで構成され、上記制御器は、循環ポンプによる暖房温水の循環流量を世帯或いは各層の要求熱量の変換に応じて可変的に制御するための循環ポンプインバータ制御機能を有するよう構成されることができる。
【発明の効果】
【0030】
上記のような特徴を有する本発明によると、給湯熱交換器を経る際に1次的に放熱して給湯温水を加熱することに使用された暖房温水が、循環ポンプの力によってメイン熱交換器にそのまま返還されず各世帯或いは各層に設置された温水分配器或いは直接底コイルへと2次循環させて暖房水として使用することで、供給された暖房温水の使用効率を高め、暖房温水がメイン熱交換器へと循環される過程で損失する放熱熱量を最小化するとともに、暖房に活用してエネルギーの低減が可能となった。
【0031】
また、上記のような特徴を有する本発明によると、各世帯別の個別の要求温度による給湯温水の供給ができるようにして給湯の使用環境を改善することと、世帯別の要求温度が異なる給湯要求の環境下でも均一な温水供給をする既存の方式におけるエネルギーの無駄遣いを改善することが可能となった。
【0032】
また、上記のような特徴を有する本発明によると、給湯温水の使用の際に、使用者によって設定された温度の給湯が直ちに供給されるようにすることで、初期に使用されずに捨てられる微温水や冷水の量を減らすか無くすことで、水資源の無駄遣いを防ぐことが可能となった。
【0033】
また、上記のような特徴を有する本発明によると、給湯の供給が間欠的ということに着目して給湯を加熱する際に暖房を一時的に中止するよう制御したり、給湯加熱の後に排出された温水を再利用して暖房に活用することで、給湯と暖房のうち最大負荷に該当する熱容量のみを統合配管へ供給できるようにして、暖房及び給湯加熱用統合温水供給メイン配管へ供給する加熱温水の供給量を大幅に減らし、設置配管の規格を減らして配管施工費を低減し伝熱面積を減らして放熱損失の熱量を減らすと共に、移送される流量を減らしてポンプの運転費用を減らすようになった。
【0034】
また、上記のような特徴を有する本発明によると、暖房及び給湯加熱用の統合温水供給配管へ供給される暖房水の供給用循環ポンプの運転制御を通じて、要求される暖房及び給湯の負荷量に応じて可変的に流量を制御することで、エネルギーの費用を減らすようになった。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は従来の中央集中式暖房及び給湯システムの構造図である。
【図2】図2は従来の統合配管システムの構造図である。
【図3】図3は本発明の一実施例による中央集中式暖房及び給湯システムの構造図である。
【図4】図4は本発明による中央集中式暖房及び給湯システムの要部構造を詳しく示した構造図である。
【図5】図5は比例制御3方式弁を活用して瞬間加熱方式によって給湯温水を生産する暖房及び給湯システムの構造を示した構造図である。
【図6】図6は比例制御3方式弁を活用して再加熱方式によって給湯温水を生産する暖房及び給湯システムの構造を示した構造図である。
【図7】図7は循環ポンプの台数制御の概念図である。
【図8】図8は循環ポンプの回転数制御の概念図である。
【図9】図9は本発明のまた他の実施例による中央集中式暖房及び給湯システムの構造図である。
【図10】図10は図9に図示された中央集中式暖房及び給湯システムの要部構造を詳しく示した構造図である。
【図11】図11は定流量弁と定流量オン/オフ弁を管路制御ユニットとして使用する瞬間加熱方式の中央集中式暖房及び給湯システムの構造図である。
【図12】図12は定流量弁と定流量オン/オフ弁を管路制御ユニットとして使用する再加熱方式の中央集中式暖房及び給湯システムの構造図である。
【符号の説明】
【0036】
110 メイン熱交換器
120 循環ポンプ
130 給湯熱交換器
140 統合温水供給メイン配管
150 統合温水回収メイン配管
160 暖房温水供給管
170 暖房温水回収管
180 給湯用暖房温水供給管
190 第1弁
200 第2弁
210 制御器
220 温水分配器
230 給水ポンプ
240 給水管
250 給湯用水管
260 使用蛇口
270 給湯配管
280 バイパス管
290 管路制御ユニット
291 定流量弁
292 第3定流量オン/オフ弁
300 フロースイッチ
311 環水配管
312 給湯循環ポンプ
313 温度センサー
314 温度制御回路ユニット
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の好ましい実施例を添付の図面を参考に詳しく説明すると次のとおりである。本発明を説明するにおいて、関連の公知の機能或いは構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不要に不明にすることがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0038】
図3は、本発明の一実施例による中央集中式暖房及び給湯システムの構造図を、図4は、本発明による中央集中式暖房及び給湯システムの要部構造を詳しく示した構造図を図示している。
【0039】
本発明の中央集中式暖房及び給湯システムは、各世帯或いは各層の暖房のために供給された暖房温水を用いて各世帯或いは各層別に給湯温水を生産するにおいて、給湯温水を生産するために給湯熱交換器から1次的に放熱された暖房温水を各世帯或いは各層の温水分配器、或いは底に備えられた底コイルへと直接循環させて給湯温水の生産のために使用された暖房温水がメイン熱交換器にそのまま返還される過程で発生する損失熱量を最小化して予熱を暖房に効率的に再活用できるようにしたものである。
【0040】
このための本発明の中央集中式暖房及び給湯システムは、メイン熱交換器110と、循環ポンプ120と、給湯熱交換器130とを備えることで構成される。
【0041】
この際に、上記メイン熱交換器110は、中大型の共用の中央ボイラー、発電所の廃熱などの熱生産施設Hから生産された温水、中温水或いはスチームのうちいずれかひとつの熱源が提供され、熱交換を通じて暖房温水を生産する。
【0042】
上記循環ポンプ120は、メイン熱交換器110から生産された暖房温水を各世帯及び各層へ供給し回収できるように暖房温水を循環させる。このような循環ポンプ120は、ひとつ或いは複数で構成されることができる。
【0043】
上記給湯熱交換器130は、各世帯別に給湯生産構造を備えようとする場合、各世帯ごとに設置され、各層別に給湯生産構造を備えようとする場合、各層ごとに設置される。このような給湯熱交換器130は、メイン熱交換器110から供給された暖房温水と給水の熱交換を通じて給湯温水を生産し、給湯温水の加熱に使用されて1次放熱された暖房温水は、各世帯或いは各層に設置された温水分配器220へ供給して各世帯や各層に備えられた底コイルへと循環させたり、或いは各世帯や各層に備えられた底コイルへと直接供給して循環させることにより、1次放熱された暖房温水を暖房水として再活用するよう構成される。このように給湯温水の生産のために1次放熱された暖房温水を底コイルへ循環させて暖房温水が有する予熱を暖房に使用することで、暖房温水の使用効率を高め、1次放熱された暖房温水がメイン熱交換器110にそのまま返還される過程で損失する放熱熱量を最小化してエネルギーの低減ができるようになる。
【0044】
一方、給湯熱交換器130から生産された給湯温水は、給湯配管270を通じて使用蛇口260へ供給され、給湯熱交換器130は、給水ポンプ230から延長して使用蛇口260へ連結された給水管240から分岐された給湯用水管250と連結されて給湯用水が供給される。このような給湯熱交換器130は、板状熱交換器、スパイラル状熱交換器或いはシェル&チューブ(Shell&tube)形熱交換器のうちいずれかひとつの熱交換器が使われることができ、この中で体積が小さく優れた熱効率を有する板状熱交換器を用いて給湯熱交換器を構成することが好ましい。ここで、上記のような熱交換器は、周知慣用の技術であるため、熱交換器の構造に関する詳しい説明は省略する。
【0045】
一方、上記メイン熱交換器110と給湯熱交換器130及び温水分配器220を連結して暖房温水の適切な循環及び制御が行われるようにするための統合温水供給メイン配管140と、統合温水回収メイン配管150と、暖房温水供給管160と、暖房温水回収管170と、給湯用暖房温水供給管180と、第1弁190と、第2弁200と、制御器210とが備えられる。
【0046】
上記統合温水供給メイン配管140は、メイン熱交換器110から延長されるように設置され、メイン熱交換器110から生産された暖房温水が供給される流路を提供する。
【0047】
上記統合温水回収メイン配管150は、メイン熱交換器110と連結されるよう設置されて暖房や給湯のために使用された暖房温水がメイン熱交換器110に回収される流路を提供する。このような統合温水回収メイン配管150にはひとつ或いは複数の循環ポンプ120が設置される。
【0048】
上記暖房温水供給管160は、各世帯或いは各層に設置され、統合温水供給メイン配管140と温水分配器220の供給側221とを連結するよう構成される。
【0049】
上記暖房温水回収管170は、各世帯或いは各層に設置され、統合温水回収メイン配管150と温水分配器220の回収側222とを連結するよう構成される。
【0050】
上記給湯用暖房温水供給管180は、暖房温水供給管160から分岐されて給湯熱交換器130に連結されるように設置され、暖房温水供給管160を通じて供給された暖房温水が給湯熱交換器130へ供給される流路を提供するよう構成される。
【0051】
上記第1弁190は、暖房温水供給管160に設置されて暖房温水供給管160の流路を制御するもので、上記第2弁200は、給湯用暖房温水供給管180に設置されて給湯用暖房温水供給管180の流路を制御する。
【0052】
上記制御器210は、中央集中式暖房及び給湯システムを制御するもので、第1弁190と第2弁200を制御して暖房温水供給管160を通じて供給された暖房温水が温水分配器220や給湯熱交換器130のうちいずれかひとつの装置へ供給されるよう暖房温水の供給方向を制御する機能を有する。
【0053】
一方、給湯は、暖房に比べて多くの量の温水の使用が求められる。従って、給湯温水の生産のために使用された暖房温水をそのまま温水分配器220や底コイルへ供給して暖房のために使用した場合、過度な量の暖房温水の供給によって暖房用の配管に無理が掛かることがあるため、給湯温水の生産のために使用された暖房温水のうち剰余流量を暖房温水回収管170に返還するよう、暖房温水供給管160と暖房温水回収管170とを連結するバイパス管280と、上記温水分配器220とバイパス管280へ供給される暖房温水を所定の割合で分配する管路制御ユニット290がさらに含まれることが好ましい。
【0054】
この際に、上記管路制御ユニット290は、公知の比例制御3方向弁で構成されることができる。
【0055】
上記比例制御3方向弁は、周知慣用のように、いずれかひとつのポートを通じて 流入された流体を設定値に応じて他の二つのポートを通じて一定の割合で分配して排出するもので、制御器210に設定された値に応じて温水分配器(或いは底コイル)とバイパス管280に暖房温水を所定の割合で分配して排出するようになる。
【0056】
従って、給湯温水の生産のために1次放熱された暖房温水が供給される場合、温水分配器220や底コイルには常に一定量の暖房温水が供給され、この際に発生する剰余流量の暖房温水は、バイパス管280を通じて暖房温水回収管170に返還される。
【0057】
上記のように管路制御ユニット290が比例制御3方向弁で構成される場合、上記第1弁190は、設定された値に対応する流量の暖房温水が暖房温水供給管160を通じて流動するよう流路を制御するとともに、暖房温水供給管160の流路を開閉する定流量オン/オフ弁で構成され、上記第2弁200も設定された値に対応する流量の暖房温水が給湯用暖房温水供給管180を通じて流動するよう流路を提供するとともに、給湯用暖房温水供給管180の流路を開閉する定流量オン/オフ弁で構成される。
【0058】
図5は、比例制御3方式弁を活用して瞬間加熱方式によって給湯温水を生産する暖房及び給湯システムの構造を示した構造図を図示している。
【0059】
上記給湯熱交換器130に連結された給湯用水管250にフロースイッチ300を設置し、上記フロースイッチ300から発生する信号に基づいて制御器210が第1、2弁190、200を制御するようすることで、瞬間加熱方式の給湯システムを具現することができる。
【0060】
より具体的に、給湯用水管250に設置されたフロースイッチ300は、使用蛇口260の操作によって発生する給湯用水の流れを感知して信号を発生し、フロースイッチ300から発生した信号は制御器210に伝達され、制御器210は、給湯用水の生産のための暖房温水が給湯熱交換器130へ供給されるようするため第1弁190を制御して暖房温水供給管160の流路を遮断し、第2弁200を制御して給湯用暖房温水供給管180の流路を開放させる。
【0061】
勿論、使用蛇口260の閉鎖によって給湯用水の流れが止まった場合、制御器210は、第1弁190を制御して暖房温水供給管160の流路を開放させ、第2弁200を制御して給湯用暖房温水供給管180の流路を遮断するようになる。
【0062】
このような瞬間加熱方式の給湯システムは、使用蛇口260を使用しないときには、暖房温水が給湯熱交換器130へと循環しないようにすることで、不要なエネルギーの損失を減らすことができるという長所がある。
【0063】
図6は、比例制御3方式弁を活用して再加熱方式によって給湯温水を生産する暖房及び給湯システムの構造を示した構造図を図示している。
【0064】
給湯配管270内の給湯温水を給湯熱交換器130へと循環させて再加熱することで、給湯温水の温度を一定の温度に維持させることができる。使用蛇口260の開放初期の微温水或いは冷水をそのまま放出した場合、微温水或いは冷水は使用されずにそのまま捨てられるため、水資源の無駄遣いを引き起こすことになる。従って、給湯配管270内の給湯温水の温度を給湯を使用するか否かに係わらず常に一定に維持させると、使用蛇口260の初期段階から暖かい給湯温水を提供することが可能となり水資源の無駄遣いを防ぐことが可能になる。
【0065】
このために、環水配管311と、給湯循環ポンプ312と、温度センサー313と、温度制御回路ユニット314とがさらに含まれる。
【0066】
上記環水配管311は、給湯配管270の末端と給湯用水管250を連結するよう設置されて給湯温水の循環のための流路を形成するようになる。
【0067】
上記給湯循環ポンプ312は、環水配管311或いは給湯用水管250の末端に設置されて給湯温水を循環させる。一方、図6には、給湯用水管250の末端に給湯循環ポンプ312が設置された構造が図示されている。
【0068】
上記温度センサー313は、環水配管311或いは給湯用水管250の末端に設置されて給湯温水の温度を検出する。一方、図6には、給湯用水管250の末端に温度センサー313が設置された構造が図示されている。
【0069】
上記温度制御回路ユニット314は、使用者から要求される給湯温水の温度値が入力され、使用者によって入力された設定温度値と、上記温度センサー313から検出された検出温度値を基に給湯循環ポンプ312と第1、2弁190、200を制御して給湯温水の再加熱が行われるようにする。
【0070】
より具体的に、上記温度制御回路ユニット314は、設定温度値より検出温度値が低い場合、暖房温水の再加熱のために給湯循環ポンプ312を駆動し、第1弁190を制御して暖房温水供給管160の流路を遮断し、第2弁200を制御して給湯用暖房温水供給管180の流路を開放して暖房温水が給湯熱交換器130へ供給されるように制御する。勿論、設定温度値が検出温度値と同じか高い場合、不要なエネルギーの消費を防ぐため、給湯循環ポンプ312の駆動を停止させ、給湯熱交換器130への暖房温水の流入を遮断するようになる。
【0071】
このような温度制御回路ユニット314は、制御器210に含まれる。
【0072】
上記のように使用者から暖房温水の温度が入力され、配管(給湯配管、環水配管)内の給湯温水が入力された温度を維持するよう再加熱させる構造によって水資源の無駄遣いを防ぐとともに、各世帯別或いは各層別の給湯温水の個別の温度調節ができ、これによってより快適な給湯の使用環境を提供することが可能となる。
【0073】
一方、図面符号315はフロースイッチであって、使用蛇口260の開放によって給湯温水が排出され給湯用水の供給が行われる場合、給湯用水の流れを感知して信号を発生させ、このような信号を基に制御器210が第1、2弁190、200を制御して暖房温水が給湯熱交換器130へ供給されるようにする。
【0074】
一方、温水分配器220からメイン熱交換器110に延長された暖房温水回収管170には、暖房及び給湯のために使用された暖房温水の熱量を検出するための熱量計320が設置され、このように設置された熱量計320は、暖房のために使用された熱量と給湯のために使用された熱量を共に積算し、これを基に暖房温水の使用量に対する料金を要求することにより、既存の中央集中式給湯システムにおいて給湯を使用流量として測定することで発生した不満を解決することができる。
【0075】
即ち、既存の暖房と給湯システムの場合、暖房使用の熱量は熱量計或いは流量計にて料金を計算することに対して、給湯使用量は使用熱量ではなく使用流量を温水のメーター器にて検針して料金を計ることで、使用者が給湯の供給時期ではないとき、或いは配管内の温水の流れの停滞によって冷却放熱された給湯があるときを認知せずに蛇口を開放すると、微温水がメーター器から使用量として積算されることで不満が発生し得るが、本発明は、給湯の使用量を既存の暖房用熱量計320に単一検針されるようして不満の発生を最初から防ぎ、エネルギーの節約と水消費の減少を誘導することができる。
【0076】
図7は、循環ポンプの台数制御の概念図を、図8は、循環ポンプの回転数制御の概念図を図示している。
【0077】
暖房と給湯のために要求される暖房温水の量は互いに異なる。このような場合、給湯に合わせて暖房温水の供給量を設定すると、暖房システムを構成する配管に負荷が加重して配管の損傷を促すだけでなく、不要なエネルギーの無駄遣いが発生するため好ましくなく、逆に暖房に合わせて暖房温水の供給量を設定すると、給湯温水を十分に加熱できなくなるという問題点が発生する。
【0078】
上記のような問題点を解決すべく、循環ポンプ120の台数制御やインバータ制御が導入されることができる。
【0079】
上記台数制御は、ポンプの流量を細分化して暖房温水の供給量を制御することができるように循環ポンプ120が複数で構成され、制御器210には循環ポンプ120による暖房温水循環の流量を世帯或いは各層の要求熱量の変換に応じて可変的に制御するよう循環ポンプ120の使用台数を制御する循環ポンプ台数の制御機能が備えられる。
【0080】
上記のように、台数制御のために統合温水回収メイン配管150には管内圧力を検出するための圧力センサー151が設置され、上記圧力センサー151から検出された圧力値を制御器210に伝達して台数制御を行うようになる。
【0081】
上記インバータ制御は、ひとつの循環ポンプ120と、制御器210に備えられた循環ポンプ120インバータ制御機能210によって具現され、制御器210は、統合温水回収メイン配管150に設置された圧力センサー151から検出された圧力値によって循環ポンプ120モーターの周波数の変調を通じて循環ポンプ120の回転数を制御するインバータ方式の制御によって行われる。
【0082】
上記のように構成された省エネ中央集中式暖房及び給湯システムによる暖房と給湯の過程について説明する。
【0083】
先ず、熱生産施設Hから生産された温水或いは中温水或いはスチームのうちいずれかひとつの熱源は、機械室内に備えられたメイン熱交換器110へ供給され、このようにメイン熱交換器110へ供給された熱源によって暖房温水が生産され、生産された暖房温水は、統合温水供給メイン配管140と暖房温水供給管160を通じて各世帯或いは各層に備えられた温水分配器220へ供給される。
【0084】
上記のように暖房温水が温水分配器220へ供給されるようするため、第1弁190は、暖房温水供給管160の流路を開放し、第2弁200は、給湯用暖房温水供給管180の流路を遮断し、比例制御3方向弁はバイパス管280に連結された流路を遮断するようになる。従って、暖房温水供給管160を通じて供給された暖房温水は温水分配器220に流入され、温水分配器220の設定状態によって底コイルへと供給されて暖房が行われる。
【0085】
一方、比例制御3方向弁の使用の際に、上記第1、2弁190、200は、定流量オン/オフ弁で構成されるため、温水分配器220には第1弁190に設定された値に対応する流量の暖房温水が供給される。勿論、給湯熱交換器130の場合にも第2弁200に設定された値に対応する流量の暖房温水が供給される。このように第1、2弁190、200は、設定された値に対応する流量のみを流動させるため、設定値に対応する流量より多くの量の暖房温水が循環ポンプから送出されると、統合温水供給メイン配管140や統合温水回収メイン配管150内の流体圧力が上昇し、このような圧力の上昇は、統合温水回収メイン配管150に設置された圧力センサー151によって検出される。上記圧力センサー151から検出された圧力値は制御器210に伝達され、制御器210は、これを基に循環ポンプ120の台数制御やインバータ制御を通じて循環ポンプ120から送出された暖房温水の負荷を適切に調節するようになる。
【0086】
一方、瞬間加熱方式によって給湯温水を生産する暖房及び給湯システム(図5参照)では、給湯温水の使用のために使用者が使用蛇口260を開放すると、フロースイッチ300は、給湯用水の流れを感知して信号を発生させ、制御器210は、フロースイッチ300から発生した信号を基に第1、2弁190、200を制御して暖房温水供給管160の流路を遮断し、給湯用暖房温水供給管180の流路を開放するようになる。
【0087】
一方、再加熱方式によって給湯温水を生産する暖房及び給湯システム(図6参照)では、給湯温水の使用のために使用者が使用蛇口260を開放したり、或いは給湯温水の温度が設定温度値より低くなった場合、制御器210は、第1、2弁190、200を制御して暖房温水供給管160の流路を遮断し、給湯用暖房温水供給管180の流路を開放するようになる。
【0088】
上記のように、暖房温水供給管160の流路が遮断され、給湯用暖房温水供給管180の流路が開放されると、暖房温水は、給湯熱交換器130へ供給され、給湯熱交換器130へ供給された暖房温水と給湯用水の熱交換によって給湯用水が加熱されて給湯温水の生産が行われ、生産された給湯温水は、給湯配管270を通じて使用蛇口260へ供給される。
【0089】
一方、図6のように給湯温水が循環するシステムでは、加熱された給湯温水は使用蛇口260を通じて排出されたり循環し続けるようになり、このような暖房温水の循環と再加熱を通じて暖房温水の温度が設定温度値に到達すると、温度制御回路ユニット314は給湯循環ポンプ312を停止させ、第1弁190を用いて暖房温水供給管160の流路を開放し、第2弁200を用いて給湯用暖房温水供給管180の流路を遮断することにより、暖房温水が再び温水分配へ供給されるよう流路を制御するようになる。
【0090】
一方、給湯熱交換器130へ供給されて給湯用水と熱交換を終えた暖房温水は、温水分配器220に流入されたり、或いは温水分配器220を通らず直接底コイルへ流入され、このように1次放熱された暖房温水の流動過程において剰余流量は、比例制御3方向弁によってバイパス管280へと流入される。
【0091】
上述のような本発明の中央集中式暖房及び給湯システムは、給湯熱交換器130を経て1次放熱された約40〜45℃の暖房温水を各世帯或いは各層に備えられた底コイルへと循環させた後、メイン熱交換器110に循環させることにより、暖房温水がメイン熱交換器110に返還される過程で配管内外部の温度差によって発生する熱損失を最小化することができ、既存の配管内外部の温度差によって発生する放熱熱量を暖房に使用するため、エネルギーの低減が可能となる。
【0092】
図9は、本発明のまた他の実施例による中央集中式暖房及び給湯システムの構造図を、図10は、図9に図示された中央集中式暖房及び給湯システムの要部構造を詳しく示した構造図を図示している。
【0093】
本実施例による中央集中式暖房及び給湯システムは、図3乃至図8を参照して説明した中央集中式暖房及び給湯システムと同様に、メイン熱交換器110と循環ポンプ120及び給湯熱交換器130を備えることで構成され、管路制御ユニット290が定流量弁291と第3定流量オン/オフ弁292で構成され、第1弁190がオン/オフ弁で構成され、第2弁200が定流量オン/オフ弁で構成されたことを除くと、他の構成は図3乃至図8を参照して説明した中央集中式暖房及び給湯システムと同様である。
【0094】
従って、以下の説明では管路制御ユニット290と第1、2弁190、200を中心として説明し、残りの構成要素に関する説明は省略する。
【0095】
本実施例による管路制御ユニット290は、既に説明したように、定流量弁291と第3定流量オン/オフ弁292で構成される。
【0096】
上記定流量弁291は、暖房温水供給管160の末端に設置され、設定された値に対応する流量の暖房温水が温水分配器220へ供給されるよう暖房温水供給管160の流路を制御するようになる。
【0097】
上記第3定流量オン/オフ弁292は、バイパス管280に設置され、設定された値に対応する流量の暖房温水がバイパス管280を通じて排出されるようにするとともに、バイパス管280の流路を開閉する。
【0098】
このような定流量弁291と第3定流量オン/オフ弁292によると、メイン熱交換器110から直接供給された暖房温水或いは給湯熱交換器130を経て1次放熱されたまま供給された暖房温水の量にかかわらず、定流量弁291は、常に一定量の暖房温水が温水分配器220へ供給されるよう暖房温水供給管160の流路を制御し、第3定流量オン/オフ弁292は、剰余暖房温水をバイパス管280を通じて排出させるようになる。
【0099】
上記のように、管路制御ユニット290が定流量弁291と第2定流量オン/オフ弁で構成される場合、第1弁190は、流量の制御が要求されないため暖房温水供給管160の流路を単純に開閉するオン/オフ弁で構成され、第2弁200は、従来と同様に定流量オン/オフ弁で構成される。
【0100】
本実施例のように、管路制御ユニット290を定流量弁291と第3定流量オン/オフ弁292を用いて構成すると、システムの制御が単純になるという長所がある。
【0101】
即ち、図3乃至図6の中央集中式暖房及び給湯システムにおいて管路制御ユニット290として使用された比例制御3方向弁の場合、給湯を使用するか否かによって変換する暖房温水量に関係なく一定量の暖房温水が温水分配器220へ供給されるようにするために複雑な制御が伴うべきだが、本実施例のように、定流量弁291と第3定流量オン/オフ弁292を用いて管路制御ユニット290を構成すると、別途の制御が無くても温水分配器220に常に一定量の暖房温水が供給されるため、制御アルゴリズムを単純化することができる。
【0102】
図11は、定流量弁と定流量オン/オフ弁を管路制御ユニットとして使用した瞬間加熱方式の中央集中式暖房及び給湯システムの構造図を、図12は、定流量弁と定流量オン/オフ弁を管路制御ユニットとして使用した再加熱方式の中央集中式暖房及び給湯システムの構造図を図示している。
【0103】
図11に図示された瞬間加熱方式の中央集中式暖房及び給湯システムによる暖房や給湯の原理は、図5を参照して説明した中央集中式暖房及び給湯システムと同様で、図12に図示された再加熱方式の中央集中式暖房及び給湯システムによる暖房や給湯の原理は、図6を参照して説明した中央集中式暖房及び給湯システムと同様であるため、具体的な説明は省略する。
【0104】
本発明は、上述の特定の好ましい実施例に限定されず、請求範囲から請求する本発明の要旨を外れることなく、当該発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、多様な変形の実施ができるのは勿論、そのような変更は請求範囲の記載の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱生産施設から温水、中温水或いはスチームのうちいずれかひとつの熱源が供給され、熱交換を通じて暖房温水を生産するメイン熱交換器と、
前記メイン熱交換器から生産された暖房温水を各世帯及び各層へ供給し回収できるように暖房温水を循環させる循環ポンプと、
各世帯或いは各層に設置され、前記メイン熱交換器から供給された暖房温水と給湯用水の熱交換を通じて給湯温水を生産し、給湯温水の加熱された使用された暖房温水を各世帯或いは各層に設置された温水分配器へ供給して底コイルへと循環されるようにしたり、或いは直接底コイルへ供給して循環させることにより、暖房水として使用するようにする給湯熱交換器と、
前記メイン熱交換器から延長して、生産された暖房温水を供給する統合温水供給メイン配管と、
前記メイン熱交換器から延長して、使用された暖房温水の回収が行われる統合温水回収メイン配管と、
前記統合温水供給メイン配管と温水分配器の供給側とを連結する暖房温水供給管と、
前記統合温水回収メイン配管と温水分配器の回収側とを連結する暖房温水回収管と、
前記暖房温水供給管から分岐されて前記給湯熱交換器に連結される給湯用暖房温水供給管と、
前記暖房温水供給管に設置されて暖房温水供給管の流路を制御する第1弁と、
前記給湯用暖房温水供給管に設置されて給湯用暖房温水供給管の流路を制御する第2弁と、
前記第1弁と第2弁を制御して暖房温水供給管を通じて供給された暖房温水が、給湯を使用するか否かによって温水分配器或いは給湯熱交換器へ供給されるようにする制御器と、
前記暖房温水供給管と暖房温水回収と管を連結して給湯熱交換器から温水分配器へ供給された暖房温水の一部を暖房温水回収管に返還するバイパス管と、
前記給湯熱交換器から排出された暖房温水を温水分配器とバイパス管に所定の割合で分配する管路制御ユニットと、を含むことを特徴とする省エネ中央集中式暖房及び給湯システム。
【請求項2】
前記管路制御ユニットは、前記暖房温水供給管とバイパス管との連結部に設置され、制御器に設定された値に応じて暖房温水を暖房温水供給管とバイパス管に分配する比例制御3方式弁で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の省エネ中央集中式暖房及び給湯システム。
【請求項3】
前記第1弁は、設定された値に対応する流量の暖房温水が暖房温水供給管を通じて流動するよう暖房温水供給管の流路を制御するとともに、暖房温水供給管の流路を開閉する定流量オン/オフ弁で構成され、
前記第2弁は、設定された値に対応する流量の暖房温水が給湯用暖房温水供給管を通じて流動するよう給湯用暖房温水供給管の流路を制御するとともに、給湯用暖房温水供給管の流路を開閉する定流量オン/オフ弁で構成されたことを特徴とする請求項2に記載の省エネ中央集中式暖房及び給湯システム。
【請求項4】
前記管路制御ユニットは、前記暖房温水供給管の末端に設置され、設定された値に対応する流量の暖房温水が温水分配器へ供給されるよう暖房温水供給管の流路を制御する定流量弁と、
前記バイパス管に設置され、設定された値に対応する流量の暖房温水がバイパス管を通じて排出されるようバイパス管の流路を制御するとともに、バイパス管の流路を開閉する第3定流量オン/オフ弁と、で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の省エネ中央集中式暖房及び給湯システム。
【請求項5】
前記第1弁は、暖房温水供給管の流路を開閉するオン/オフ弁で構成され、
前記第2弁は、設定された値に対応する流量の暖房温水が給湯用暖房温水供給管を通じて流動するよう給湯用暖房温水供給管の流路を制御するとともに、給湯用暖房温水供給管の流路を開閉する定流量オン/オフ弁で構成されたことを特徴とする請求項4に記載の省エネ中央集中式暖房及び給湯システム。
【請求項6】
給水ポンプから延長された給水管から分岐されて前記給湯熱交換器に連結される給湯用水管に設置され、使用蛇口の開放時に流体の流れを感知して給湯熱交換器に給湯温水が供給されるよう第1弁及び第2弁を制御する信号を発生させるフロースイッチをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の省エネ中央集中式暖房及び給湯システム。
【請求項7】
前記給湯熱交換器から使用蛇口に連結された給湯配管の末端と給湯熱交換器に連結された給湯用水管とを連結して給湯温水の循環が行われるようにする環水配管と、
前記環水配管或いは給湯用水管の末端に設置されて配管内の給湯温水を循環させる給湯循環ポンプと、
前記給湯配管或いは環水配管に設置されて給湯温水の温度を検出する温度センサーと、
使用者から求められる給湯温水の温度値が入力され、使用者によって入力された設定温度値と前記温度センサーから検出された検出温度値を比較し、設定温度値より検出温度値が低い場合、給湯循環ポンプを駆動し第1、2弁を制御して暖房温水が給湯熱交換器へ供給されるようにすることで、給湯温水の再加熱が行われるようにする温度制御回路ユニットと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の省エネ中央集中式暖房及び給湯システム。
【請求項8】
前記循環ポンプは、複数で構成され、
前記制御器は、循環ポンプによる暖房温水の循環流量を世帯或いは各層の要求熱量の変化に応じて可変的に制御するよう循環ポンプ台数制御機能を有することを特徴とする請求項1に記載の省エネ中央集中式暖房及び給湯システム。
【請求項9】
前記循環ポンプは、ひとつで構成され、
前記制御器は、循環ポンプによる暖房温水の循環流量を世帯或いは各層の要求熱量の変換に応じて可変的に制御するよう循環ポンプインバータ制御の機能を有することを特徴とする請求項1に記載の省エネ中央集中式暖房及び給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−189308(P2012−189308A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238198(P2011−238198)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(511264294)
【氏名又は名称原語表記】YUN, Sok Ku
【住所又は居所原語表記】137−22, 3Ga Anam−dong, Seongbuk−gu, Seoul(KR)
【出願人】(511264308)グーソン エンジニアリング & コンストラクション シーオー., エルティーディー (1)
【氏名又は名称原語表記】GU−SUNG ENGINEERING & CONSTRUCTION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】503 Suyu Plaza, 63 Suyu−dong, Gangbuk−gu, Seoul, Korea
【Fターム(参考)】