説明

省エネ運転支援システム

【課題】燃費が悪い運転をしている運転者に対してリアルタイムで通知して、運転技術を改善する省エネ運転支援システムを提供する。
【解決手段】車両用ナビゲーション装置2から、車両の現在位置情報と、目的地までのルートの地形情報を取得する。これらの情報を使って、車両の燃費が最もよくなるギア操作位置またはエンジン回転を算出し、運転者に通知する。これにより運転者は、燃費が最もよくなるギア操作位置とエンジン回転数をリアルタイムで知ることができ、運転技術の向上が図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は省エネ運転支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2003−223699号公報
【0003】
全世界で温室効果ガスの削減活動が進められる中、会社の運輸部門においては、低公害車普及促進、アイドリングストップ等の環境にやさしい運転を呼びかけている。例えば上記特許文献1には、燃費などを改善するための車両情報管理方法およびシステムが開示されている。これは、業務車両に機器を搭載し、車両の速度、エンジン回転数、トランスミッションのギア操作、ブレーキ操作等をデジタル的に記録し、その記録を事務所に持ち帰って解析するものである。急発進・空ぶかし・運転むらなどの運転状況を調べ、燃費が悪い運転や環境に悪い運転をしている場合、運転者を指導する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
指導を受けた運転手は、次の運行においてその指導に従って運転するには、運転中、常にその指導に気をとめながら運転する必要があるが、運転者は指導を忘れがちである。そのため、運転技術の改善につながらない問題がある。
【0005】
本発明は上述のような事情を背景になされたもので、特に、燃費が悪い運転をしている運転者に対してリアルタイムで通知して、運転技術を改善する省エネ運転支援システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明は、
車両の現在位置を電子地図上に表示する表示手段を備えた車両用ナビゲーション装置と、
前記車両の現在位置情報と、前記車両用ナビゲーション装置に設定された目的地までのルートの地形情報とから、前記車両の燃費が最もよくなるギア操作位置またはエンジン回転数を算出する燃費最適状態算出手段と、
その算出されたギア操作位置またはエンジン回転数を通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする省エネ運転支援システムである。
【0007】
上記発明によると、車両の現在位置情報と、目的地までのルートの地形情報とから、車両の燃費を最もよくするためのギア操作位置またはエンジン回転数を算出する。地形情報とは、道路の勾配やカーブなどの情報であり、これらの情報は車両用ナビゲーション装置に記憶されている。
【0008】
車両用ナビゲーション装置で目的地までの探索をすると、ルートが設定される。このルートの地形情報と車両の現在位置情報とから、車両の燃費を最もよくするためのギア操作位置またはエンジン回転数を算出し、運転者に通知する。これにより、ギア操作が早すぎたり遅すぎたりした場合や、アクセルの踏み込み量が適正でない場合、運転者がリアルタイムで知ることができ、省エネ運転の技術を向上できる。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、
前記通知手段は、前記表示手段に表示された前記ルート上に、前記ギア操作位置を表示させる省エネ運転支援システムである。
【0010】
上記発明によると、液晶パネル等の表示手段に電子地図が表示され、その電子地図に目的地までのルートが表示される。そして、ルート上にギア操作位置が表示される。運転者は、表示手段に表示されている車両現在位置と、ギア操作位置から、ギア操作をするタイミングを計ることができる。例えば、ルート上に2速、3速、4速に切り替えるマークが表示され、それぞれのマークに車両が近づいた時点でギア操作をすればよいことがわかる。
【0011】
請求項3記載の発明は、
実際のエンジン回転数を、前記燃費最適状態算出手段によって算出されたエンジン回転数と併せて前記表示手段に表示する省エネ運転支援システムである。
【0012】
上記発明によると、実際のエンジン回転数を、燃費最適状態算出手段によって算出されたエンジン回転数と併せて表示するため、アクセルの踏み込みすぎか否かを一目で認識できる。
【0013】
請求項4記載の発明は、
前記燃費最適状態算出手段によって算出されたエンジン回転数から、実際のエンジン回転数が所定範囲を外れた場合、または前記燃費最適状態算出手段によって算出された前記ギア操作位置に対して実際のギア操作が所定のタイミング内で行われなかった場合は、前記車両の運転者に対して警告する警告手段を備える省エネ運転支援システムである。
【0014】
上記発明によると、ギア操作のタイミングやアクセル踏み込み量が適正でなかった場合、運転者に警告がされる。そのため、運転者は省エネ運転を常に意識しながら運転することができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、
ギア操作のタイミングのずれ量により、運転技術を評価して前記表示手段に表示させる運転技術評価手段を備える省エネ運転支援システムである。
【0016】
上記発明によると、省エネ運転の技術が評価される。そのため、省エネ運転技術が向上した運転者に対しては励みになり、運転技術が未熟な運転者に対しては反省の機会になる。また、大勢の運転者を管理する会社の運輸部門では、個々の運転者の運転技術を客観的に評価することが可能になる。
【0017】
請求項6記載の発明は、
ギア操作のタイミングを音声通知する音声通知手段を備える省エネ運転支援システムである。
【0018】
上記発明によると、ギア操作のタイミングが音声通知される。そのため運転者は、車両用ナビゲーション装置の画面を見ていなくても、ギア操作すべきタイミングを知ることができる。
【0019】
請求項7記載の発明は、
前記車両と前方車両の距離を計測する車間距離計測システムを備え、
前記通知手段は、前記車両と前記前方車両の距離が所定範囲内である場合、前記ギア操作位置またはエンジン回転数を通知しない省エネ運転支援システムである。
【0020】
上記発明では、車間距離計測システムによって自車と前方車両の距離を計測し、前方車両が所定距離内に存在する場合は、ギア操作位置またはエンジン回転数を通知しないようにしている。つまり、自車が前方車両と所定距離以上、離れている場合や、前方車両が存在しない場合に限って、省エネ運転の指示がされる。これにより、前方車両が存在する場合は追突しないように安全運転を心がけ、前方車両が存在しない場合は省エネ運転を心がけることができる。
【0021】
請求項8記載の発明は、
前記燃費最適状態算出手段は、前記車両のトルクと加速度から、前記車両に積載された荷物の重量を検知し、その検知した前記重量と、アクセルの踏み量とから前記車両の加速度を予測し、該加速度に基づいて前記ギア操作位置を算出する運転支援システムである。
【0022】
車両の荷物の重量によって、ギア操作のタイミングは変化する。例えば荷物が軽い場合は加速しやすいため、早いタイミングでギア操作をする必要がある。また、荷物が重い場合は加速しにくいため、遅いタイミングでギア操作をする必要がある。上記発明によると、車両のトルクと加速度から、車両に積載された荷物の重量が検知され、その検知された重量とアクセルの踏み量から車両の加速度が予測される。そして、その予測された加速度に基づいてギア操作位置を算出する。これにより、荷物が軽くて加速しやすい時には早くギア操作するように通知され、荷物が重くて加速しにくい時には遅くギア操作するように通知される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る省エネ運転支援システムの構成例である。車両には車両用ナビゲーション装置2が搭載され、この車両用ナビゲーション装置2に車速センサ3、エンジン制御コンピュータ4、ギアポジションセンサ5が車内LAN20(図2参照)等で接続されている。エンジン制御コンピュータ4からはエンジン回転数や、エンジン1サイクル毎の燃料噴射量を取得できる。また、車速センサ3からは車両の速度を取得でき、ギアポジションセンサ5からは運転中のギアポジションを取得できる。
【0024】
図2に、省エネ運転支援システム1の詳細な構成図を示す。ナビゲーション装置2は、位置検出器7、地図データ入力器13、操作スイッチ群14、LANインターフェース(IF)15、表示装置(表示手段)6、記憶装置16、音声出力装置17、リモコンセンサ18、送受信機23、これらに接続された制御回路8を備えている。
【0025】
位置検出器7は、地磁気に基づいて方位を検出し、その検出した方位を表す方位データを取得する地磁気センサ9と、角速度を検出することよって方位を算出し、その算出した方位を示す方位データを取得するジャイロスコープ10と、走行距離を検出し、その検出した距離を示す距離データを取得する距離センサ11と、GPS(Global Positioning System)衛星から送信されたGPS電波を受信し、その受信したGPS電波に格納されているパラメータを演算して位置データを取得するGPS受信機12とを備えて構成されている。これらのセンサ等9,10,11,12は、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用されるようになっている。なお、精度によっては、前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0026】
地図データ入力器13は、ある単位(メッシュ)毎の地図のイメージである地図メッシュデータ、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データ等を含む各種データを記憶媒体21から入力するための装置である。記憶媒体21としては、そのデータ量からCD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、HDD(Hard Disk Drive)等を用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の記憶媒体を用いてもよい。
【0027】
操作スイッチ群14は、例えば表示装置6と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられる。タッチスイッチは、表示装置6の画面上に縦横に微細に配置された赤外線センサより構成されており、例えば指やタッチペンなどでその赤外線を遮断すると、その遮断した位置が2次元座標値(X,Y)として検出される。また、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。これら操作スイッチ群14およびリモコン端末19によって、種々の指示を入力することが可能である。
【0028】
制御回路8は、通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU(Central Processing Unit)81、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)83、I/O(Input/Output)84、およびこれらを接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、ROM82に記憶されたプログラムおよびデータにより制御を行う。RAM83はワークメモリ83aを備え、このワークメモリ83a上で各種プログラムが実行される。
【0029】
図3に示すようにROM82は、プログラム格納領域82hとデータ記憶領域82iとを有している。プログラム格納領域82hには、ナビゲーションプログラム82a、燃費最適状態算出プログラム82b、通知プログラム82c、警告プログラム82d、運転技術評価プログラム82e、音声通知プログラム82fが記憶されている。データ記憶領域82iには、ナビゲーションプログラム82aの動作に必要なデータ82gが格納されている。燃費最適状態算出プログラム82bは、位置検出器7から得られた車両現在位置と、目的地までのルートの地形情報から、車両の燃費が最もよくなるギア操作位置またはエンジン回転数を算出するためのプログラムである。また、通知プログラム82cは、算出されたギア操作位置またはエンジン回転数を表示装置6に表示させたり、音声出力装置17に出力させたりするプログラムである。警告プログラム82dは、所定のタイミング内でギア操作が行われなかった場合や、エンジン回転数が所定範囲を外れた場合に、運転者に警告するためのプログラムである。運転技術評価プログラム82eは、ギア操作のタイミングのずれ量により運転技術を評価して、運転者に通知するプログラムである。また、音声通知プログラム82fは、ギア操作するタイミングを音声により通知するためのプログラムである。これら燃費最適状態算出プログラム82b、通知プログラム82c、警告プログラム82d、運転技術評価プログラム82e、音声通知プログラム82fをCPU81が実行することにより、本発明の燃費最適状態算出手段、通知手段、警告手段、運転技術評価手段、音声通知手段が実現される。なお、上記プログラムは、記憶媒体21または記憶装置16に記憶してもよい。
【0030】
図2に戻る。記憶装置16は例えばHDDであり、ここに地図データベースが記憶されている。記憶装置16は、車両のアクセサリスイッチがオフ状態(すなわち、車両用ナビゲーション装置2がオフ状態)になっても、記憶内容が保持されるようになっている。
【0031】
地図データベースは地形情報を含む情報である。地形情報は、各道路の情報であって、道路勾配、カーブ、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成されている。上述の燃費最適状態算出プログラム82bによって、車両の燃費が最もよくなるギア操作位置またはエンジン回転数を算出する時には、これらの地形情報が用いられる。
【0032】
表示装置6は、制御回路8からの画像出力要求により画像を出力する装置であり、カラー液晶表示器等により構成されている。表示装置6の画面には、位置検出器7から入力された車両現在位置マークと、地図データ入力器13から入力された地図イメージデータと、地図イメージデータ上に表示する誘導経路(ルート)等の付加データとが重ね合わせて表示されるとともに、経路案内の設定および経路誘導中の案内や画面の切り換え操作を行うためのメニューアイコンが表示される。また、車両の燃費を最もよくするためのギア操作位置や、エンジン回転数が表示される。
【0033】
音声出力装置17は、アンプやスピーカから構成され、車両用ナビゲーション装置2からの音声案内を出力したり、ギア操作のタイミングを音声出力したりする。
【0034】
LANインターフェース15は、車両用ナビゲーション装置2と車内LAN20を繋ぐもので、この車内LAN20に車速センサ3、エンジン制御コンピュータ4、ギアポジションセンサ5、車間距離計測システム24が接続されている。車速センサ3から車両の速度情報が送信され、エンジン制御コンピュータ4からエンジン回転数やエンジン1サイクル毎の燃料噴射量が送信される。また、ギアポジションセンサ5からは運転中のギアポジションが送信される。
【0035】
車間距離計測システム24は、例えば前方車両の撮影画像を利用したり、レーダーや赤外線を用いたりすることにより車間距離を計測する。
【0036】
送受信機23は、VICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ22から道路交通情報を受信したり、車両の属する会社に対して、後述する運転技術評価を送信したりするための装置である。
【0037】
以上のような構成を持つことにより、車両用ナビゲーション装置2では、制御回路8のCPU81によりナビゲーションプログラム82aが起動されると、ユーザが操作スイッチ群14あるいはリモコン端末19を操作して、表示装置6上に表示されるメニューから目的地経路を表示装置6に表示させるための経路案内処理を選択することができる。経路案内処理が選択されると、ユーザが表示装置6上の地図に基づいて目的地を入力することにより、位置検出器7からのデータに基づき車両の現在位置が求められ、現在位置から目的地までの最適な経路(ルート)が求められる。そして、表示装置6上の道路地図に誘導経路が重ねて表示され、ユーザに適切な経路が案内される。また、表示装置6および音声出力装置17によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの送出が行われる。さらに、燃費を最もよくするためのエンジン回転数やギア操作位置が表示装置6に表示され、ギア操作タイミングが音声出力装置17によって音声通知される。
【0038】
図4に、表示装置6の表示例を示す。上述したように、ユーザが目的地の入力をすると、目的地までのルートが求められ、表示装置6に道路地図と、ルートと、現在位置26が重ねて表示される。車両がある地点で停止すると、その地点から発進した場合の最も燃費がよいギア操作位置GPがルート上に表示される。本実施例では、2速、3速、4速にギアチェンジする位置をルート上に示している。また、次のギア操作位置GPに行く間の理想的なエンジン回転数が表示される。エンジン回転数は、燃費が最もよくなる目標値25と、現在値27を併せて表示している。そのためユーザは、現在、アクセルを踏み込みすぎているか否かを一目で認識できる。ギア操作位置GPやエンジン回転数の目標値25は、ルートの勾配、カーブ、制限速度等の地形情報を記憶装置16の地図データベースから取得し、車両の現在位置を位置検出器7から取得して、燃費最適状態算出プログラム82bによって算出したものである。
【0039】
車両が走行している間は、ギア操作のタイミングは音声によって指示される。例えば、ギア操作位置GPの少し前に予告音を鳴らし、車両がギア操作位置GPに来た時点で、予告音とは音程が異なるチェンジタイミング音を鳴らす。これらの予告音とチェンジタイミング音は一定のリズムになっており、例えば予告音は2回鳴り、チェンジタイミング音は1回鳴る。このように音声通知すると、ユーザはギア操作を行うタイミングをとりやすくなり、また、表示装置6を見る必要がないので安全である。
【0040】
ギア操作が早すぎたり遅すぎたりした場合は、図5に示すように警告表示28が表示される。省エネ運転の技術が未熟な運転者は、この表示によってギア操作のタイミングを習得することができる。また、図示しないが、エンジン回転数が高すぎたり低すぎたりした場合も、警告がなされる。警告は、表示装置6に表示するだけでなく、音声によって通知することもできる。音声通知にすれば、運転者は表示装置6を注視しなくても、ギア操作のタイミングやエンジン回転数が適正でないことを認識できる。
【0041】
運行が終了すると、図6に示すように、その日の省エネ運転技術評価結果29が表示される。この省エネ運転技術評価結果29は、目標とするギア操作タイミングと実際のギア操作タイミングのずれや、エンジン回転数のずれにより、上述した運転技術評価プログラム82eが作成する。省エネ運転技術評価結果29には、その日の燃費と、目標燃費と、評価点と、コメント等の情報が表示される。燃費は、その日の走行距離を距離センサ11から取得し、燃料タンクに設けられた燃料センサからその日に使ったガソリンの量を取得して計算する。また、目標燃費と実際の燃費から、評価点がつけられる。このように、省エネ運転技術評価結果29を表示すると、省エネ運転技術が向上した運転者にとっては励みになり、未熟な運転者にとっては反省材料になる。
【0042】
なお、上述した送受信機23を使って、車両が属する会社に対して省エネ運転技術評価結果29を送信してもよい。これにより会社は、運転者の省エネ運転技術を客観的に評価できる。
【0043】
次に、図7のフローチャートを用いて、省エネ運転支援システム1の動作について説明する。まずステップS1では、所定距離内に前方車両が存在するか否かを判断する。これは、上述した車間距離計測システム24を使って前方車両までの距離を取得して判断する。所定距離内に前方車両が存在しない場合にのみ、S2以下の処理が行われる。言い換えると、前方に車両が存在しないか、または前方車両まで十分に離れている場合にのみ、S2以下の処理がなされる。これにより運転者は、前方車両が存在する場合は追突しないように安全運転を心がけ、前方車両が存在しない場合は省エネ運転を心がけることができる。
【0044】
S2では、車両現在位置情報と、目的地までのルートの地形情報を取得する。車両現在位置情報は、上述の位置検出器7から取得でき、地形情報は記憶装置16の地図データベースから得られる。
【0045】
S3では、燃費が最もよくなるギア操作位置およびエンジン回転数を算出し、表示装置6に表示する。この処理は、燃費最適状態算出プログラム82bおよび通知プログラム82cにより行われる。ギア操作位置およびエンジン回転数の表示は、例えば図4のようにされる。また、S4では、ギア操作のタイミングを音声通知する。
【0046】
S5では、ギア操作のタイミング又はエンジン回転数が所定範囲内か否かを判断する。これらが所定範囲を外れる場合は、Noと判断され、S6に進む。ここでは、警告表示28(図5)を表示したり、音声により警告したりする。S7では、ギア操作位置およびエンジン回転数が目標値からずれたため、その時点から次のギア操作位置およびエンジン回転数を再び計算し、表示する。
【0047】
一方、S5にてYesと判断された場合は、S8に移動し、運転終了か否かを判断する。運転を続ける場合はS1に戻り、運転終了の場合はS9に進む。S9では、図6で説明したような省エネ運転技術評価結果29を表示する。
【0048】
次に図8,図9を用いて、本発明の別の実施例について説明する。荷物が軽い場合は、車両は加速しやすいため、ギア操作を早く行う必要がある。反対に荷物が重い場合は、車両が加速しにくいため、ギア操作をゆっくり行う必要がある。例えば図8に示すように、荷物が軽くてアクセルを強く踏み込んだ場合は車速が上がりやすいため、ギア操作を速く行うように通知する。図9に示すように、荷物が重くてアクセルを弱く踏み込んだ場合は車速が上がりにくいため、ギア操作をゆっくり行うように通知する。
【0049】
荷物の重量を検知するには、次のようにすることができる。平地で一旦止まり、その地点から発進する時に、エンジン回転数やエンジン1サイクル毎の燃料噴射量からトルクを算出する。そして、トルクと車両の加速度から、車両の重量を算出する。エンジン回転数や燃料噴射量はエンジン制御コンピュータ4から取得でき、加速度は車速センサ3から取得できる。車両の重量が算出できれば、再び車両が停止し、発進する場合に、アクセルの踏み量から車両の加速度を予測できる。そして、その加速度に合わせてギア操作位置やエンジン回転数を算出することができる。
【0050】
また、上り坂を走行する場合は車速が上がりにくいので、ギア操作をゆっくり行うように通知し、下り坂を走行する場合は車速が上がりやすいので、ギア操作を速く行うように通知する。
【0051】
一方、VICSセンタ22(図2)から送信された道路交通情報により、道路が渋滞していることが分かった場合は、ギア操作をゆっくり行うように通知するようにしてもよい。
【0052】
なお、以上説明した省エネ運転支援システム1により、運転者の省エネ運転技術が上達した後は、設定画面により警告表示28を消したり、ギア操作位置GPの表示を消したりできる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る省エネ運転支援システムの構成図。
【図2】省エネ運転支援システムの詳細な構成図。
【図3】ROMに記憶されている情報。
【図4】表示装置の表示例。
【図5】ギア操作が早すぎた場合の警告表示の例。
【図6】省エネ運転技術評価結果の例。
【図7】省エネ運転支援システムのフローチャート。
【図8】ギア操作を速く行うように通知した例。
【図9】ギア操作をゆっくり行うように通知した例。
【符号の説明】
【0054】
1 省エネ運転支援システム
2 車両用ナビゲーション装置
6 表示装置(表示手段)
25 エンジン回転数の目標値
27 エンジン回転数の現在値
26 車両現在位置
28 警告表示
29 省エネ運転技術評価結果
82a ナビゲーションプログラム
82b 燃費最適状態算出プログラム
82c 通知プログラム
82d 警告プログラム
82e 運転技術評価プログラム
82f 音声通知プログラム
GP ギア操作位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置を電子地図上に表示する表示手段を備えた車両用ナビゲーション装置と、
前記車両の現在位置情報と、前記車両用ナビゲーション装置に設定された目的地までのルートの地形情報とから、前記車両の燃費が最もよくなるギア操作位置またはエンジン回転数を算出する燃費最適状態算出手段と、
その算出されたギア操作位置またはエンジン回転数を通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする省エネ運転支援システム。
【請求項2】
前記通知手段は、前記表示手段に表示された前記ルート上に、前記ギア操作位置を表示させる請求項1記載の省エネ運転支援システム。
【請求項3】
実際のエンジン回転数を、前記燃費最適状態算出手段によって算出されたエンジン回転数と併せて前記表示手段に表示する請求項2記載の省エネ運転支援システム。
【請求項4】
前記燃費最適状態算出手段によって算出されたエンジン回転数から、実際のエンジン回転数が所定範囲を外れた場合、または前記燃費最適状態算出手段によって算出された前記ギア操作位置に対して実際のギア操作が所定のタイミング内で行われなかった場合は、前記車両の運転者に対して警告する警告手段を備える請求項2または3に記載の省エネ運転支援システム。
【請求項5】
ギア操作のタイミングのずれ量により、運転技術を評価して前記表示手段に表示させる運転技術評価手段を備える請求項2ないし4のいずれか1項に記載の省エネ運転支援システム。
【請求項6】
ギア操作のタイミングを音声通知する音声通知手段を備える請求項2ないし5のいずれか1項に記載の省エネ運転支援システム。
【請求項7】
前記車両と前方車両の距離を計測する車間距離計測システムを備え、
前記通知手段は、前記車両と前記前方車両の距離が所定範囲内である場合、前記ギア操作位置またはエンジン回転数を通知しない請求項2ないし6のいずれか1項に記載の省エネ運転支援システム。
【請求項8】
前記燃費最適状態算出手段は、前記車両のトルクと加速度から、前記車両に積載された荷物の重量を検知し、その検知した前記重量と、アクセルの踏み量とから前記車両の加速度を予測し、該加速度に基づいて前記ギア操作位置を算出する請求項2ないし7のいずれか1項に記載の省エネ運転支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−248185(P2007−248185A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−70549(P2006−70549)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】