説明

真偽判別媒体

【課題】 本発明は、銀行券、パスポート、有価証券、カード、商品タグ、印紙類等の偽造防止、改竄防止が必要とされる貴重品に適用する真偽判別媒体に関するものである。
【解決手段】 非導電性基材に第1の領域、第2の領域及び第3の領域を設け、前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域は、マイクロ波センサで測定すると共振する長さからなり、前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域は表面粗さが異なり、前記第1の領域上、前記第2の領域上及び前記第3の領域上に同一の導電材料によって導電層が形成されてなる真偽判別媒体であって、前記第1の領域上の前記導電層、前記第2の領域上の前記導電層及び前記第3の領域上の前記導電層は異なった抵抗値を有してなる真偽判別媒体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券、パスポート、有価証券、カード、商品タグ、印紙類等の偽造防止、改竄防止が必要とされる貴重品に適用する真偽判別媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行券、パスポート、有価証券、カード、商品タグ、印紙類等の偽造防止、改竄防止が必要とされる貴重品は、その性質上、偽造、改竄されないことが要求される。よって、貴重品には、ホログラム等の箔又はスレッド(細長い条片)等を挿入又は貼着して偽造、改竄の防止をしている。特に、光学的変化を有するホログラム又はスレッド等は複写防止、複製防止の観点から特に有効な偽造防止エレメントの一つであるため、多くの貴重品に適用されてきている。
【0003】
スレッドは、ポリエステルや塩化ビニール等の基材の上に金属被膜等の導電層あるいは磁性体を含む磁性層をコーティングし、導電層を部分的に除去し、あるいは磁性層に磁気データを記録させたりしたものがある。このスレッドの存在により、目視、あるいは、静電容量検出器、マイクロ波を利用した測定器、渦電流検出器、X線検出器等の機械処理によってその貴重品が本物か否か判別される。
【0004】
安全スレッドの基材に真空蒸着、化学的エッチング、レーザーエッチング等の方法によって金属被膜を施し、その金属被膜を繰り返しのパターンで部分的に除去し、その安全スレッドを付した紙をマイクロ波を利用した測定器等に通した時に、安全スレッドの繰り返しパターンを機械によって同定し、繰り返しパターンの反射マイクロ波の変化パターンを真正印刷物のパターンと比較して真偽判定をする技術が開示されている(特許文献1参照)。この技術は、それ以前の安全スレッドが単にスレッドが存在するか否か、あるいは安全スレッド上に文字が存在するか否か、すなわち部分的に除去されているか否かを検出するものであるのに対し、一歩進んで繰り返しパターンで部分的に金属被膜を除去した安全スレッドが一定のマイクロ波検出電圧の波形パターンを生じることに着目し、そのマイクロ波検出電圧の波形パターンを真正印刷物のそれと比較して真偽判別するものである。
【特許文献1】特許第2906352号公報(第1−5頁、第1−4図)
【0005】
また、基材上に磁性層と導電層とを有する安全スレッドであって、導電層に相対的にマイクロ波出力電圧が強い導電部を設け、前記相対的にマイクロ波出力電圧が強い導電部の位置と磁性層に記録した磁気データの位置とを一定の位置関係に配置した安全スレッドと印刷物に相対的なずれによる磁気データの読み取り錯誤を防止する安全スレッドが開示されている(特許文献2参照)。この技術は、位相ずれに関わらず機械による読み取り錯誤を防止し、磁性層はむろん導電層にも情報伝達可能なデータを担持させられ、正逆方向の読み取り錯誤を防止できるものである。
【特許文献2】特開2002−348799号公報(第1頁、第1図)
【0006】
偽造防止用紙に抄き込んで使用するためのスレッドであって、樹脂フィルムからなる基材上に粗面化インキによる粗化部が設けられ、当該樹脂フィルム基材上および粗化部上に被着された強磁性材薄膜層をさらに備えることを特徴とする偽造防止用スレッドが開示されている(特許文献3参照)。
【特許文献3】特開2001−11793号公報(第1-−6頁、第1−7図)
【0007】
一方、ホログラム等の箔は、貴重品にホットスタンピングで貼付されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の技術はマイクロ波出力電圧のデータにパターンを持たせるために、導電膜領域と非導電膜領域を形成する必要があった。よって、製造する際に真空蒸着、スパッタリング、めっき法等の方法、装置等を用いて基材状にアルミニウムやクロム等の導電膜を形成し、その後に、導電膜領域を部分的に、レーザ照射、フォトエッチング、水溶性樹脂の洗い出し等によって除去して形成する必要があり工程が多く、作業時間がかかり、高コストであった。また、水溶性樹脂の洗い出し等によって除去された非導電膜領域に残留物が残る問題があり、この残留物は、導電性パターンを機械読み取りする上でのノイズの発生原因となり、機械読み取りを行うには不十分であった。このため、非導電膜領域においてマイクロ波出力電圧がゼロになるように、高精度な品質管理が必要であった。また、水溶性樹脂の洗い出し等によって除去しないで導電膜領域を形成する場合は、複数の導電膜領域を特定パターンで形成する必要があるため、作業時間がかかり、高コストであった。更に、膜厚の異なった導電パターンを形成するためには、部分的に導電膜領域と非導電膜領域のパターンを形成し、更に、導電膜領域と非導電膜領域のパターン上に導電膜領域を形成するため、工程が多く、作業時間がかかり、高コストであった。
【0009】
また、従来の方法は、機械読み取りの際に、マイクロ波を利用した測定器によって得られた出力電圧が、導電膜領域で高レベル、且つ、非導電膜領域でゼロになるようにしているため、データとしては2値化の有り無しレベルしか付与できなかった。
【0010】
特開2001−11793号公報は、粗化部と非粗化部では一定の磁気量に関わらず、磁気量が異なって検出されるものであるが、一定の磁気量で粗化部と非粗化部を組み合わせて異なった三つの磁気量を得ることはできなかった。
【0011】
以上のことから、本発明は前述した問題点を解決することを目的としたもので、機械読み取りで、従来のような真空蒸着、スパッタリング、メッキ等の方法、装置を用いて非導電性基材上にアルミニウムやクロム等の導電膜領域を形成し、その後に、導電膜領域を部分的に、レーザ照射、フォトエッチング、水溶性樹脂の洗い出し等によって除去して非導電膜領域を形成する必要がなく、導電性パターンを機械読み取りする上でのノイズの発生要因がなく、作製上での装置レベルの膜厚を変化させることなく、膜厚の異なった導電層(導電膜)が形成可能であり、データとしては2値化の有り無しレベルに加えて中間レベルの付与を可能にし、粗化部と非粗化部を組み合わせて異なった三つの電気伝導度又は抵抗値を得ることが可能であり、導電性金属箔を付与する方法では、ホットスタンピングによって形成することがなく、工程が少なく、作業時間が従来よりも短く、低コストである真偽判別媒体を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、非導電性基材に第1の領域、第2の領域及び第3の領域を設け、前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域は、マイクロ波センサで測定すると共振する長さからなり、前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域は表面粗さが異なり、前記第1の領域上、前記第2の領域上及び前記第3の領域上に同一の導電材料によって導電層が形成されてなる真偽判別媒体であって、前記第1の領域上の前記導電層、前記第2の領域上の前記導電層及び前記第3の領域上の前記導電層は異なった抵抗値を有してなる真偽判別媒体である。
【0013】
また、本発明は、真偽判別媒体の認証方法において、前記第1の領域上の前記導電層に接触方式によって前記第1の領域の前記導電層の電気伝導度を測定する工程と、前記第2の領域上の前記導電層に接触方式によって前記第2の領域の前記導電層の電気伝導度を測定する工程と、前記第3の領域上の前記導電層に接触方式によって前記第3の領域の前記導電層の電気伝導度を測定する工程と、前記第1の領域の前記導電層の電気伝導度から得られる第1の領域の抵抗値と、前記第2の領域の前記導電層の電気伝導度から得られる第2の領域の抵抗値と、前記第3の領域の前記導電層の電気伝導度から得られる第3の領域の抵抗値を比較し、前記第1の領域の抵抗値、前記第2の領域の抵抗値及び前記第3の領域の抵抗値が異なっていた場合に「真」と判断する工程からなる真偽判別媒体の認証方法である。
【0014】
また、本発明は、真偽判別媒体の認証方法において、前記第1の領域上の前記導電層に非接触方式によってマイクロ波を照射し、反射したマイクロ波を受信し、前記第1の領域の前記導電層の出力電圧を測定する工程と、前記第2の領域上の前記導電層に非接触方式によってマイクロ波を照射し、反射したマイクロ波を受信し、前記第2の領域の前記導電層の出力電圧を測定する工程と、前記第3の領域上の前記導電層に非接触方式によってマイクロ波を照射し、反射したマイクロ波を受信し、前記第3の領域の前記導電層の出力電圧を測定する工程と、前記第1の領域の前記導電層の出力電圧を前記第1の領域の前記導電層の電気伝導度に変換し、前記第2の領域の前記導電層の出力電圧を前記第2の領域の前記導電層の電気伝導度に変換し、前記第3の領域の前記導電層の出力電圧を前記第3の領域の前記導電層の電気伝導度に変換する工程と、前記第1の領域の前記導電層の電気伝導度、前記第2の領域の前記導電層の電気伝導度及び前記第2の領域の前記導電層の電気伝導度を比較し、前記第1の領域の前記導電層の電気伝導度、前記第2の領域の前記導電層の電気伝導度及び前記第2の領域の前記導電層の電気伝導度が異なっていた場合に「真」と判断する工程からなる真偽判別媒体の認証方法である。
【発明の効果】
【0015】
従来のように真空蒸着、スパッタリング、メッキ等の方法、装置を用いて非導電性基材上にアルミニウムやクロム等の導電膜領域を形成し、その後に、導電膜領域を部分的に、レーザ照射、フォトエッチング、水溶性樹脂の洗い出し等によって除去して非導電膜領域を形成する必要がなく、非導電性基材の機械読取方向に第1の領域、第2の領域及び第3の領域を設け、第1の領域は、第2の領域よりも表面粗さが粗く、第1の領域、第2の領域及び第3の領域の機械読取方向の長さが同一であり、第3の領域は、第1の領域の表面粗さと同一の表面粗さを有する領域と第2の領域の表面粗さと同一の表面粗さを有する領域が繰り返し配置されて形成され、第1の領域上、第2の領域上及び第3の領域上に同一の導電材料を真空蒸着、スパッタリング、メッキ等の方法、装置等を用いて導電層を形成することによって、機械読取の段階で、第1の領域上の導電層、第2の領域上の導電層及び第3の領域上の導電層では、第1の領域の抵抗値>第3の領域の抵抗値>第2の領域の抵抗値の関係で、且つ、第1の領域の電気伝導度<第3の領域の電気伝導度<第2の領域の電気伝導度の関係が得られるため、貴重品の真偽判別手段として有効な方法となる。よって、表面粗さの異なった領域自体は二種類にも関わらず、異なった三つの電気伝導度又は抵抗値を得ることが可能である。
【0016】
また、水溶性樹脂の洗い出し等によって除去して非導電膜領域を形成する必要がないため、残留物が付与されることがないため機械読み取りする上でのノイズの発生要因がなく、機械読み取りに優れ、残留物が付与されているか否かの品質管理する必要がない。
【0017】
作製上での装置レベルの膜厚を変化させることなく、膜厚の異なった導電層(導電膜)が形成可能であり、従来よりも工程が減少し、作業時間の低減、更にコスト低減に繋がる。
【0018】
さらに、機械読み取りの際に、単に有り無しの2値化データではなく、基材部分で低レベル、第1の導電領域で中レベル、第2の導電領域で高レベルの合計3値化レベル、或いは、前記3値化レベルと、所望の長さ及び幅にデザインした第2の導電領域の超高レベルを合わせた4値化レベルが容易に得られるような記録媒体も可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は以下に述べる実施するための最良の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
【0020】
(実施の形態1)
図1にスレッド状に形成された真偽判別媒体A1とそのX-X'断面図を示す。図1(b)に示すように真偽判別媒体A1は第1の領域2と、第1の領域2より表面粗さの凹凸差が低い第2の領域3が特定間隔で繰り返し配置された非導電性基材1a、同一の導電材料からなる導電層4、保護層5及び接着層6からなる。保護層5及び接着層6は形成しなくとも本発明の効果を有することができる。非導電性基材1aに形成されている第1の領域2上及び第2の領域3上に導電層4を付与する。第1の領域2は図1(b)に示すように保護層5及び接着層6を形成する場合は、導電層4上に保護層を形成し、非導電性基材1aの裏面に接着層6が形成される。保護層5は導電層4を保護するためのものであり、接着層6は貴重品に接着するためのものである。また、図1(d)のように、真偽判別媒体A1の保護層の側に、はく離層18とはく離シート19を設けて、貼付け装置によって貼り付けを行うようにしても良い。例えば、熱や圧力によって貼り付ける方法が挙げられる。
【0021】
導電層4は作製する上で、一定の膜厚で付与する。しかしながら、図1(c)の真偽判別媒体A1の一部拡大図に示すように、導電層4の下層は第1の領域2と第2の領域3を有しているため、第2の領域3上の第2の導電領域4bの膜厚は均一の膜厚で形成され、第1の領域2上の第1の導電領域4aは、不均一の膜厚で形成され、第1の導電領域4aと第2の導電領域4bとでは、膜厚が異なって形成される。第1の導電領域4aは、表面粗さが粗い第1の領域2上に形成するがために、不均一の膜厚で形成され、実際の第2の導電領域4bよりも、膜厚が薄い形状となる。
【0022】
貴重品に付与された真偽判別媒体A1を機械読み取りで認証する方法は大きく分けて二つの方法があり、第1の方法は抵抗値によって認証する方法であり、第2の方法は電気伝導度によって認証する方法である。
【0023】
第1の方法は、抵抗測定器7によって真偽判別媒体の第1の導電領域に接触方式によって第1の電気伝導度を測定する工程と、真偽判別媒体の第2の導電領域に接触方式によって第2の電気伝導度を測定する工程と、第1の電気伝導度から得られる第1の抵抗値と、第2の電気伝導度から得られる第2の抵抗値を比較し、第1の抵抗値が前記第2の抵抗値よりも低い場合又は第2の抵抗値が第1の抵抗値よりも高い場合に「真」と判断し、又は、第1の抵抗値が前記第2の抵抗値よりも高い場合又は第2の抵抗値が第1の抵抗値よりも低い場合に「偽」と判断する工程からなる真偽判別媒体の認証方法である。更に詳細には、第1の方法は、図2(a)に示すように第1の電極16aと第2の電極16bを有する抵抗測定器7によって、真偽判別媒体1aの第1の導電領域4aに接触方式によって第1の電極16a及び第2の電極16bを押し付け第1の電気伝導度を測定して第1の抵抗値を取得し、第2の導電領域4bに接触方式によって第1の電極16a及び第2の電極16bを押し付け第2の電気伝導度を測定して第2の抵抗値を取得し、第1の抵抗値は、第2の抵抗値よりも高い場合に「真」と判断し、同一又は低い場合に「偽」と判断して認証する真偽判別媒体の認証方法である。また、図2(b)に示すように第1の電極16aと第2の電極16bを有する抵抗測定器7aによって、真偽判別媒体1aの第2の導電領域4bに接触方式によって第1の電極16a及び第2の電極16bを押し付け第2の電気伝導度を測定して第2の抵抗値を取得し、例えばaΩを取得し、第1の電極16aと第2の電極16bを有する抵抗測定器7bによって、真偽判別媒体1aの第1の導電領域4aに接触方式によって第1の電極16a及び第2の電極16bを押し付け第1の電気伝導度を測定して第1の抵抗値を取得し、例えばbΩを取得し、第1の電極16aと第2の電極16bを有する抵抗測定器7cによって、真偽判別媒体1aの第1の導電領域4aに第1の電極16aを押し付け、第2の導電領域4bに第1の電極16bを押し付け、接触方式によって第3の電気伝導度を測定して第3の抵抗値を取得し、(aΩ+bΩ)/2を取得して真偽判別も可能である。これらの場合、上記の認証に加えて、第1の導電領域4aと第2の導電領域4bでは高さの違いを有するため電極の位置情報によって真偽判別も可能である。
【0024】
だたし、抵抗測定器7で電気伝導度を測定する場合は、電極16a、16bを押し付ける接触方式によるため、真偽判別媒体A1に保護層5を形成することができない。保護層5によって第1の導電領域4aと第2の導電領域4bが、抵抗測定器7で直接接触できなくなるため電気伝導度を測定することができない。また、抵抗測定器7で電気伝導度を測定する場合は、導電層4の膜厚は、300〜1000Å程度を必要とする。
【0025】
さらに詳細には、第2の方法は、マイクロ波を利用した測定器8によって、マイクロ波を利用した測定器8によって第1の導電領域に非接触方式によってマイクロ波を照射し、反射したマイクロ波を受信し第1の出力電圧を測定する工程と、第2の導電領域に非接触方式によってマイクロ波を照射し、反射したマイクロ波を受信し第2の出力電圧を測定する工程と、第1の出力電圧を第1の電気伝導度に変換し、第2の出力電圧を第2の電気伝導度に変換する工程と、第1の電気伝導度と前記第2の電気伝導度を比較し、第1の電気伝導度が第2の電気伝導度よりも低い場合又は第2の電気伝導度が第1の電気伝導度よりも高い場合に「真」と判断し、第1の電気伝導度が第2の電気伝導度よりも高い場合又は第2の電気伝導度が第1の電気伝導度よりも低い場合に「偽」と判断する工程からなる真偽判別媒体の認証方法である。この場合、図3(a)に示すようにマイクロ波を利用した測定器8と無反射終端器9を対向させて配置すれば、正確な出力電圧を得ることができる。
【0026】
また、第2の方法は、真偽判別媒体A1が搬送される場合においては、マイクロ波を利用した測定器8と無反射終端器9の間に真偽判別媒体A1を挿入して、光電センサを用いた位置検知器17によって、搬送した真偽判別媒体が到着したことを検知して、第1の導電領域及び第2の導電領域に非接触方式によってマイクロ波を照射し、反射したマイクロ波を受信し出力電圧をスキャンしながら測定する工程と、第1の導電領域及び第2の導電領域をスキャンしながら得られた出力電圧から波形を生成する工程と、得られた波形と予め定められた基準波形データと比較し、波形と予め定められた基準波形データと一致した場合に「真」と判断して、一致しなかった場合に「偽」と判断して認証方法する。図3(b)に示すような第1の導電領域4a及び第2の導電領域4bの波形10aを得ることも可能である。第2の導電領域4bの電気伝導度が高いため、マイクロ波を利用した測定器8から送信された電波が反射され易いので、第2の導電領域4bでは非常に高い出力電圧が得られ、一方、第1の導電領域4aでは電気伝導度が低いため、マイクロ波を利用した測定器8から送信された電波が透過し易いので、第1の導電領域4aでは低い出力電圧が得られる。搬送装置等により、真偽判別媒体A1とマイクロ波を利用した測定器8を相対的に移動しながら測定を行うと、図3(b)に示すような波形10aが得られ、このアナログ波形の形状から、真偽判別が可能となる。
【0027】
更に、第2の方法は、図4(a)は、搬送装置等の機械読取の段階で相対的に移動される真偽判別媒体A1は、位置検知器17により真偽判別媒体A1の移動位置を検知しながら測定が行なえるため、図4(b)に示すように、真偽判別媒体A1上をスキャンしながら測定が可能となる。位置検知器17の信号に基づき、マイクロ波を利用した測定器8によって、真偽判別媒体A1の特定間隔で繰り返し配置された第1の導電領域4a及び第2の導電領域4bを非接触方式でマイクロ波を照射し、反射したマイクロ波を受信し出力電圧をスキャンしながら測定する工程と、得られた出力電圧を予め定められた閾値データに基づいて「0」、「1」の符号化データを生成する工程と、符号化データと予め定められた基準データと比較し、符号化データと予め定められた基準データと一致した場合に「真」と判断して、一致しなかった場合に「偽」と判断して認証方法する。このとき、第2の導電領域4bの電気伝導度が高いため、マイクロ波を利用した測定器から送信された電波が反射され易いので、第2の導電領域4bでは非常に高い出力電圧が得られ、一方、第1の導電領域4aでは電気伝導度が低いため、マイクロ波を利用した測定器から送信された電波が透過し易いので、第1の導電領域4aでは低い出力電圧が得られる。例えば、図4(b)に示すように、得られた波形10aを閾値と比較して「0」、「1」に判別した結果、「1011101011」の符号化データが読み取れることから、「1011101011」の情報が付与された真偽判別媒体として利用が可能となる。また、基準データは予めコンピュータにデータベース等に登録しておき、符号化データと基準データを照合して真偽判別を行う。なお、図3(b)及び図4(b)は、マイクロ波を用いた測定器として24.125GHzのドップラーモジュール(マイクロ波を利用した測定器)で測定した電圧波形である。マイクロ波を利用した測定器8で測定する場合は、導電層4の膜厚は、300〜1000Å程度を必要とする。
【0028】
真偽判別媒体A1の作製方法は、STEP1で非導電性基材に熱及び/又は圧力によって第1の領域と前記第1の領域より表面粗さの凹凸差が低い第2の領域を繰り返し配置して形成する工程と、STEP2で第1の領域上及び第2の領域上に、真空蒸着、スパッタリング、メッキ等でアルミニウムやクロムなどの導電材料を同一の条件で積層して導電層4を形成し、第1の領域上に第1の導電領域及び第2の領域上に第2の導電領域を形成する工程によって真偽判別媒体A1を得る。ここでの同一条件とは導電層を形成する機械の設定上、一定の膜厚で形成することである。場合によっては、STEP3で導電層4を保護するためにアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系の樹脂を塗布して保護層5を形成する工程と、STEP4で非導電性基材の裏面に接着層6を塗工する工程を設けてもよい。STEP4で非導電性基材の裏面に接着層6を塗工する工程は、STEP2の前に非導電性基材に設けても良い。非導電性基材が紙の場合に第1の領域2は、エンボス、すき入れによって形成し、第1の領域2及び第2の領域3を得る。非導電性基材がフィルムの場合に第1の領域2は、熱圧着等によって形成し、第1の領域2及び第2の領域3を得る。
【0029】
(実施の形態2)
図5にスレッド状に形成された真偽判別媒体A2とそのX-X'断面図を示す。図5(b)に示すように真偽判別媒体A2は、平滑な非導電性基材1b、非導電性材料によって形成された第1の領域2、同一の導電材料からなる導電層4、保護層5及び接着層6からなる。保護層5及び接着層6は形成しなくとも本発明の効果を有することができる。図5(b)に示すように、平滑な非導電性基材1bの表面に非導電性材料によって第1の領域2が形成され、第1の領域2が形成されていない非導電性基材1bが露出した領域を第2の領域3として、第1の領域2と第2の領域3が特定間隔で繰り返し配置され、第2の領域3上と、第1の領域2上に導電層4が形成される。第2の領域3は第1の領域2と同様に非導電性材料によって形成してもよい。保護層5及び接着層6を形成する場合は、導電層4上に保護層を形成し、非導電性基材1bの裏面に接着層6が形成される。保護層5は導電層4を保護するためのものであり、接着層6は貴重品に接着するためのものである。非導電性材料によって形成される第1の領域2、場合によって第2の領域3は、非導電性のインキ、非導電性の樹脂等をグラビア印刷、凹版印刷、スクリーン印刷等によって形成することができる。また、図5(d)のように、真偽判別媒体A2の保護層の側に、はく離層18とはく離シート19を設けて、貼付け装置によって貼り付けを行うようにしても良い。例えば、熱や圧力によって貼り付ける方法が挙げられる。
【0030】
導電層4は作製する上で、一定の膜厚で付与する。しかしながら、図5(c)の真偽判別媒体A2の一部拡大図に示すように、導電層4の下層は第1の領域2と第2の領域3を有しているため、第2の領域3上の第2の導電領域4bの膜厚は均一の膜厚で形成され、第1の領域2上の第1の導電領域4aは、不均一の膜厚で形成され、第1の導電領域4aと第2の導電領域4bとでは、膜厚が異なって形成される。第1の導電領域4aは、表面粗さが粗い第1の領域2上に形成するがために、不均一の膜厚で形成され、実際の第2の導電領域4bよりも、膜厚が薄い形状となる。
【0031】
貴重品に付与された真偽判別媒体A2を機械読み取りで認証する方法は真偽判別媒体A1と同様である。
【0032】
真偽判別媒体A2の作製方法は、非導電性基材自体が平滑を有しており、STEP1で非導電性基材に非導電性材料によって第1の領域を形成し、非導電性基材が露出した領域を第2の領域として、第1の領域と第2の領域が繰り返し配置し、第1の領域は、第2の領域より表面粗さの凹凸差が高くなるように形成する工程と、STEP2で第1の領域上及び第2の領域(非導電性基材)上に、真空蒸着、スパッタリング、メッキ等でアルミニウムやクロムなどの導電材料を同一の条件で積層して導電層4を形成し、第1の領域上に第1の導電領域及び第2の領域上に第2の導電領域を形成する工程によって真偽判別媒体A2を得る。ここでの同一条件とは導電層を形成する機械の設定上、一定の膜厚で形成することである。場合によっては、STEP3で導電層4を保護するためにアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系の樹脂を塗布して保護層5を形成する工程と、STEP4で非導電性基材の裏面に接着層6を塗工する工程を設けてもよい。STEP4で非導電性基材の裏面に接着層6を塗工する工程は、STEP2の前に非導電性基材に設けても良い。非導電性材料は非導電性のインキ、非導電性の樹脂等であり、をグラビア印刷、凹版印刷、スクリーン印刷等の印刷方式によって付与する。また、第1の領域を形成する別の方法として、熱溶着、圧力、静電気、接着等により、フィルム表面に粉体や繊維を付着させる方法も取り得る。
【0033】
(実施の形態3)
図6にスレッド状に形成された真偽判別媒体A3とそのX-X'断面図を示す。図6(b)に示すように真偽判別媒体A3は、所定の表面粗さを有する非導電性基材1c、非導電性材料によって形成された第2の領域3、同一の導電材料からなる導電層4、保護層5及び接着層6からなる。保護層5及び接着層6は形成しなくとも本発明の効果を有することができる。図6(b)に示すように、所定の表面粗さを有する非導電性基材1cの表面に非導電性材料によって第2の領域3が形成され、第2の領域3が形成されていない非導電性基材1bが露出した領域を第1の領域2として、第1の領域2と第2の領域3が特定間隔で繰り返し配置され、第1の領域2上と、第2の領域3上に導電層4が形成される。第1の領域2は第2の領域3と同様に非導電性材料によって形成してもよい。保護層5及び接着層6を形成する場合は、導電層4上に保護層を形成し、非導電性基材1cの裏面に接着層6が形成される。保護層5は導電層4を保護するためのものであり、接着層6は貴重品に接着するためのものである。非導電性材料によって形成される第2の領域3、場合によって第1の領域2は、非導電性のインキ、非導電性の樹脂等をグラビア印刷、凹版印刷、スクリーン印刷等によって形成することができる。また、図6(d)のように、真偽判別媒体A3の保護層の側に、はく離層18とはく離シート19を設けて、貼付け装置によって貼り付けを行うようにしても良い。例えば、熱や圧力によって貼り付ける方法が挙げられる。
【0034】
導電層4は作製する上で、一定の膜厚で付与する。しかしながら、図6(c)の真偽判別媒体A3の一部拡大図に示すように、導電層4の下層は第1の領域2と第2の領域3を有しているため、第2の領域3上の第2の導電領域4bの膜厚は均一の膜厚で形成され、第1の領域2上の第1の導電領域4aは、不均一の膜厚で形成され、第1の導電領域4aと第2の導電領域4bとでは、膜厚が異なって形成される。第1の導電領域4aは、表面粗さが粗い第1の領域2上に形成するがために、不均一の膜厚で形成され、実際の第2の導電領域4bよりも、膜厚が薄い形状となる。
【0035】
貴重品に付与された真偽判別媒体A3を機械読み取りで認証する方法は真偽判別媒体A1と同様である。
【0036】
真偽判別媒体A3の作製方法は、非導電性基材自体が所定の表面粗さを有している。つまり、非導電性基材全体に凹凸を有しており、この場合の凹凸差は2μm〜200μm程度である。STEP1で所定の表面粗さを有する非導電性基材に非導電性材料によって第2の領域を形成し、非導電性基材が露出した領域を第1の領域として、第1の領域と第2の領域が繰り返し配置し、第1の領域は、第2の領域より表面粗さの凹凸差が高くなるように形成する工程と、STEP2で第1の領域(非導電性基材)上及び第2の領域上に、真空蒸着、スパッタリング、メッキ等でアルミニウムやクロムなどの導電材料を同一の条件で積層して導電層4を形成し、第1の領域上に第1の導電領域及び第2の領域上に第2の導電領域を形成する工程によって真偽判別媒体A3を得る。ここでの同一条件とは導電層を形成する機械の設定上、一定の膜厚で形成することである。場合によっては、STEP3で導電層4を保護するためにアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系の樹脂を塗布して保護層5を形成する工程と、STEP4で非導電性基材の裏面に接着層6を塗工する工程を設けてもよい。STEP4で非導電性基材の裏面に接着層6を塗工する工程は、STEP2の前に非導電性基材に設けても良い。第2の領域を形成する非導電性材料は非導電性のインキ、非導電性の樹脂等であり、をグラビア印刷、凹版印刷、スクリーン印刷等の印刷方式によって付与する。また、第2の領域を形成する別の方法として、熱溶着、圧力、静電気、接着等により、フィルム表面に粉体や繊維を付着させる方法も取り得る。
【0037】
真偽判別媒体A1乃至真偽判別媒体A3の第2の導電領域4bの幅及び/又は長さはランダムであってよい。同様に、第1の導電領域4aの幅及び/又は長さはランダムであってよい。次に、真偽判別媒体A1乃至真偽判別媒体A3において、導電層4にデータを付与する方法について実施の形態4を用いて説明する。実施の形態4は実施の形態1の非導電性基材1aを用いた場合である。データは第2の導電領域4bの幅及び/又は長さによって付与される。
【0038】
(実施の形態4)
図7にスレッド状に形成された真偽判別媒体A4とそのX-X'断面図を示す。図7(b)に示すように真偽判別媒体A4は第1の領域2と第2の領域3が特定間隔で繰り返し配置された非導電性基材1a、同一の導電材料からなる導電層4、保護層5及び接着層6からなる。保護層5及び接着層6は形成しなくとも本発明の効果を有することができる。非導電性基材1aに形成されている第1の領域2上と第2の領域3上に導電層4を付与する。第2の領域3は、所望の長さ及び/又は所望の幅で繰り返し配置される。第1の領域2は、ランダムな長さ及び/又はランダムの幅で配置しても、所望の長さ及び/又は所望の幅で繰り返し配置してもよい。保護層5及び接着層6を形成する場合は、導電層4上に保護層を形成し、非導電性基材1aの裏面に接着層6が形成される。保護層5は導電層4を保護するためのものであり、接着層6は貴重品に接着するためのものである。また、図7(d)のように、真偽判別媒体A4の保護層の側に、はく離層18とはく離シート19を設けて、貼付け装置によって貼り付けを行うようにしても良い。例えば、熱や圧力によって貼り付ける方法が挙げられる。
【0039】
導電層4は作製する上で、一定の膜厚で付与する。しかしながら、図7(c)の真偽判別媒体A4の一部拡大図に示すように、導電層4の下層は第1の領域2と第2の領域3を有しているため、第2の領域3上の第2の導電領域4bの膜厚は均一の膜厚で形成され、第1の領域2上の第1の導電領域4a は、不均一の膜厚で形成され、第1の導電領域4aと第2の導電領域4bとでは、膜厚が異なって形成される。第1の導電領域4aは、表面粗さが粗い第1の領域2上に形成するがために、不均一の膜厚で形成され、実際の第2の導電領域4bよりも、膜厚が薄い形状となる。
【0040】
第2の領域3は、所望の長さ及び/又は所望の幅で繰り返し配置ことについて説明する。真偽判別媒体A4は、非導電性基材1aに形成されている第2の領域3上及び第1の領域2上に導電層4を付与する。真偽判別媒体A4の第2の領域3の長さの特定することで任意の情報を表現することができるようにしている。以下にその導電層4に任意の情報を担持させる方法を説明する。
【0041】
図8は、横軸に第2の領域3となる平滑な導電帯の長さ、縦軸にマイクロ波出力電圧をとったグラフである。マイクロ波は電磁波であり、周波数(GHz)と波長(mm)は、下式に示す通りである。
波長λ=c/f (c:光速、f:周波数)
【0042】
電磁波に対するアンテナの共振波長は波長λの整数分の一である。マイクロ波出力電圧の値は上述したように種々の要因の影響を受けるので、発明者は実際に種々の長さの平滑な導電帯を24.125 GHzのマイクロ波を利用した測定器を用いて、マイクロ波出力電圧を計測した(図9参照)。発明者の実験によると、種々の要因が加わって図8に示すように長さ約4 mmの平滑な導電帯においてもっとも大きなマイクロ波出力電圧を得ることができる。なお、上記種々の要因が加わるので本明細書では平滑な導電帯の長さを電磁波波長の「ほぼ」整数分の一の長さということにした。また、発明者の実験によれば、一般に、検知用マイクロ波の波長のほぼ1/4の長さの平滑な導電帯で出力電圧が高く、1/2,1/8,1/16,・・・というように1/4の整数倍または整数分の一でマイクロ波出力電圧の極大値を観測することができた。
【0043】
真偽判別媒体A4は、長さ4mmの第2の領域3、長さ3mmの第1の領域2、長さ2mmの第2の領域3、長さ3mmの第1の領域2を順次繰り返し配置し、その上に導電層4を形成したものである。なお製造可能であれば1mmの第2の領域3を形成しても良い。貴重品に付与された真偽判別媒体A4を機械読み取りの方法は真偽判別媒体A1乃至真偽判別媒体A3と同様である。ただし、真偽判別媒体A4を24.125 GHzのドップラーモジュール(マイクロ波を利用した測定器8)で測定した場合に、図10のグラフに示すような検知レベル波形10bが得られる。長さ4mmの導電帯に電磁波の周波数が共振し、長さ2mmの導電帯は共振しないため、電圧の段階的な相違が見られた。
【0044】
このような段階的な電圧差により、電圧波形を数値化が可能となる。例えば、24.125 GHzのマイクロ波を使用する場合、導電帯の長さの設計として高レベルのマイクロ波出力電圧を得るものを4mm、中レベルのものを2mmまたは8mm、低レベルのものを第1の領域2とすることにより、それぞれの出力電圧のレベルに応じて3種類の信号を得られることになる。設計にもよるが、導電層を形成していない領域を入れた場合、第1の領域2よりも低い出力電圧のレベルが得られ、それぞれの出力電圧のレベルに応じて4種類の信号を得られることになる。上記記載の長さは機械読取方向の長さである。
【0045】
本発明の真偽判別媒体の第1の領域2及び第2の領域3の所望の長さ及び/又は所望の幅で繰り返し配置され、その長さ及び/又は幅を調整し、その上に第1の導電領域4aと第2の導電領域4bを形成し、複数種類の長さの導電帯の組み合わせによって任意の情報を表現することができるようにしている。波長共振する長さの平滑部分を、マイクロ波読み取り用の共振素子として1個以上、所望の位置に配設しておき、これらをマイクロ波によって読み取って、データを得ることができる真偽判別媒体である。
【0046】
(実施の形態5)
図11にスレッド状に形成された真偽判別媒体A5とそのX-X'断面図を示す。図11(b)に示すように真偽判別媒体A5自体の非導電性基材1dが貴重品であり、真偽判別媒体A5の構成は、第1の領域2と第2の領域3が特定間隔で繰り返し配置された非導電性基材1d、同一の導電材料からなる導電層4及び保護層5からなる。保護層5は形成しなくとも本発明の効果を有することができる。非導電性基材1dに形成されている第1の領域2上と第2の領域3上に導電層4を付与する。保護層5を形成する場合は、導電層4上に保護層を形成し、導電層4を保護するためのものである。真偽判別媒体A5は図2、図3及び図4に示した真偽判別媒体A1と同様な効果を有する。真偽判別媒体A2乃至真偽判別媒体A4の基材においても、真偽判別媒体A5と同様に非導電性基材自体が貴重品であっても同様な効果が得られる。上記、真偽判別媒体A1乃至真偽判別媒体A4と同様に導電層4は作製する上で、一定の膜厚で付与する。しかしながら、導電層4の下層は第1の領域2と第2の領域3を有しているため、第2の領域3上の第2の導電領域4bの膜厚は均一の膜厚で形成され、第1の領域2上の第1の導電領域4aは、不均一の膜厚で形成され、第1の導電領域4aと第2の導電領域4bとでは、膜厚が異なって形成される。第1の導電領域4aは、表面粗さが粗い第1の領域2上に形成するがために、不均一の膜厚で形成され、実際の第2の導電領域4bよりも、膜厚が薄い形状となる。
【0047】
(実施の形態6)
図12にスレッド状に形成された真偽判別媒体A6とそのX-X'断面図を示す。図12(b)に示すように真偽判別媒体A6は、平滑な非導電性基材1bの機械読取方向に第1の領域2、第2の領域3及び第3の領域20を設け、第1の領域2は第3の領域20よりも表面粗さが粗くなるように非導電性材料によって表面粗さが粗い領域を設けてある。第1の領域2、第2の領域3及び第3の領域20の機械読取方向の長さが同一であり、第3の領域20は、第1の領域2の表面粗さと同一の表面粗さを有する領域と、第2の領域3の前記表面粗さと同一の表面粗さを有する領域が繰り返し配置されて形成されている。第1の領域上2、第2の領域上3及び第3の領域上20に同一の導電材料によって導電層4が形成されてなる真偽判別媒体A6である。真偽判別媒体A1乃至真偽判別媒体A5と同様に保護層5、接着層6、はく離層18及びはく離シート19を形成してもよい。図12(b)に示すように、平滑な非導電性基材1bの表面に非導電性材料によって第1の領域2が形成され、第1の領域2が形成されていない非導電性基材1bが露出した領域を第2の領域3として、第3の領域20は、第1の領域2の表面粗さと同一の表面粗さを有する領域と、第2の領域3の前記表面粗さと同一の表面粗さを有する領域が繰り返し配置されて形成されている。この場合、第2の領域2、第3の領域のうち第2の領域3の前記表面粗さと同一の表面粗さを有する領域は、第1の領域より表面粗さの低い領域を非導電性材料によって設けても良い。非導電性材料の樹脂等をグラビア印刷、凹版印刷、スクリーン印刷等によって形成することができる。
【0048】
真偽判別媒体A6は図2の接触式の機械読取方式では、第1の領域の抵抗値>前記第3の領域の抵抗値>前記第2の領域の抵抗値の関係が得られて真偽判別が可能であり、図4の非接触式の機械読取方式では、第1の領域の前記導電層の電気伝導度<第3の領域の前記導電層の電気伝導度<第2の領域の前記導電層の電気伝導度の関係が得られて真偽判別が可能となる。
【0049】
第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域の機械読取方向の長さが、図9で説明したマイクロ波センサにより測定すると共振する長さで設定することによって、第1の領域の抵抗値>前記第3の領域の抵抗値>前記第2の領域の抵抗値の関係、第1の領域の前記導電層の電気伝導度<第3の領域の前記導電層の電気伝導度<第2の領域の前記導電層の電気伝導度の関係の共振しない長さで形成するよりも波形に差異が生じて、閾値レベルによって真偽判別した場合に、安定した判別が可能である。
【0050】
第3の領域は、第1の領域の前記表面粗さと同一の表面粗さを有する領域と、第3の領域の前記第2の領域の前記表面粗さと同一の表面粗さを有する領域が所望の長さで繰り返し配置されて形成することによって、中間レベルとなる第3の領域の抵抗値又は電気伝導度の波形を調整できる。
【0051】
真偽判別媒体A1乃至真偽判別媒体A6の第1の領域2について図13乃至図15を用いて説明する。図13(a)乃至図13(d)に示すように第1の領域2は、鋸状の形状、図14(a)乃至図14(d)に示すように、台形形状、図15(a)及び図15 (b)に示すように、波形状で形成することが可能である。図13(a) は鋸状Tの形状が4回繰り返され凸領域2aを形成した形態である。図3(b) は鋸状Tの形状が4回繰り返され凹領域2bを形成した形態である。図13(c) は鋸状Tの形状が4回繰り返され凹及び凸領域2cを形成した形態である。また、図13(d)に示すように鋸状Tと鋸状Tの間の領域に平滑な領域Sを設けても良い。平滑な領域Sは3mm程度以下である必要がある。一つの鋸状の幅hは0.05mm〜3mm程度が好ましい。また、鋸状Tの形状が繰り返される回数は特に限定されるものではない。図14(a)は台形形状Uの形状が3回繰り返され凸領域2dを形成した形態である。図14(b) は台形形状Uの形状が3回繰り返され凹領域2eを形成した形態である。図14(c) は台形形状Uの形状が3回繰り返され凹及び凸領域2fを形成した形態である。また、図14(d)に示すように台形Uと台形Uの間の領域に平滑な領域Sを設けても良い。平滑な領域Sは3mm程度以下である必要がある。一つの台形形状の幅hは0.05mm〜3mm程度が好ましい。また、台形形状Uの上底部/下底部Vは3mm程度以下である必要がある。また、台形形状Uの形状が繰り返される回数は特に限定されるものではない。図15(a)は波形状が繰り返され凸領域2gを形成した形態である。図15(b)に示すように波形状Wと波形状Wの間の領域に平滑な領域Sを設けても良い。平滑な領域Sは3mm程度以下である必要がある。上記記載のように、本発明に記載される第1の領域2は凹領域、凸領域、凹及び凸領域のことを言う。次に第1の領域2の凹凸差について説明する。第1の領域2の凹凸差は約2μmより小さい場合は第1の領域2と第2の領域3の検知レベル差を検知できない。例えば、ホログラム等の凹凸差では第2の領域3とほぼ同様な検知レベルになってしまい第1の領域2と第2の領域3の検知レベル差を得ることができない。よって、第1の領域2の凹凸差は約2μm以上を必要とし、好ましくは、50μm以上であれば第1の領域2と第2の領域3に安定した検知レベル差を得ることができる。また、スレッド又はホログラムとして用いるためには、200μm以下程度であることが好ましい。
【0052】
非導電性基材は非導電性の材料、例えば、紙基材、ポリエステル、再生セルロース、塩化ビニールその他のプラスティックをフィルム状に成形したものを使用する。非導電性基材の厚さの設計は、材質によるがPETフィルムでは強度的には厚さ4μm以上必要であり、また、製造ラインでのテンションによる導電層4の破断を考慮すると厚さ10μmが好ましい。また、張力が加わった場合、基材が伸びて導電層が破壊されるため、予め延伸した基材を用いて伸び難くすることが望ましい。
【0053】
抵抗測定器を用いて電気伝導度を測定する接触方式の場合は、第1の導電領域4aと第2の導電領域4bの膜厚は、300〜1000Å程度を必要とする。300Åより薄い場合は第1の導電領域4aの機械読み取りの出力電圧に十分な電圧差を担示することが困難であり、また、1000Åより厚い場合は第1の導電領域4aのマイクロ波出力電圧が過大になるため、第1の導電領域4aと第2の導電領域4bに十分な電圧差を得ることが困難である。同様に、マイクロ波を利用した測定器を用いた非接触式の検知の場合は、第1の導電領域4aと第2の導電領域4bの膜厚は、300〜1000Å程度を必要とする。300Åより薄い場合は第1の導電領域4aの機械読み取りの出力電圧に十分な電圧差を担示することが困難であり、また、1000Åより厚い場合は第1の導電領域4aのマイクロ波出力電圧が過大になるため、第1の導電領域4aと第2の導電領域4bに十分な電圧差を得ることが困難である。導電層となる第1の導電領域4aと第2の導電領域4bは真空蒸着、スパッタリング、メッキ等の方法、装置等を用いて基材1上にアルミニウムやクロムなどの導電薄膜を形成する。上記記載の第1の導電領域4aと第2の導電領域4bは同一の導電材料で形成される。
【0054】
保護層は、導電層を保護することを目的として付すものである。導電層が空気や水分に触れて腐食するのを防止するため、保護層はアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系の樹脂を用いる。
【0055】
接着層は、真偽判別媒体を貴重品上に接着する場合に設ける必要がある(印刷物中に挿入・埋設する場合は紙層中への定着効果が期待できる)。接着層は、表面の平滑性の向上に効果があり、アクリル系、ポリエステル系、エポキシ系等の樹脂を用いる。接着層の膜厚は導電層等のムラや平滑性への影響を防止するため、膜厚2μm以上が好ましい。
【0056】
本発明の真偽判別媒体は図16(a)に示すようなスレッド14の形態、図16(b)に示すようなホログラム等の箔15の形態で実施可能である。真偽判別媒体が付与された貴重品は、機械によって真偽判別を行なう。例えば、マイクロ波を利用した測定器を有する真偽判別装置は、真偽判別媒体が付与された貴重品を搬送するためのベルトコンベアを有し、搬送路の上又は下にマイクロ波を利用した測定器を設けて、そのマイクロ波を利用した測定器と対向させて無反射終端器を配置している。マイクロ波を利用した測定器は、図示していないが発信回路、検波回路、送信アンテナ、受信アンテナを内蔵しており、真偽判別媒体にマイクロ波を放射し、マイクロ波の反射、透過、吸収、共振による受信レベルを検知する。マイクロ波を利用した測定器に接続されたアンプは検知されたマイクロ波の波形を増幅し、オフセット調整、ゲイン調整を行って適切なアナログ電圧値を得る。必要に応じて真偽判別装置に印刷物の位置を検知する位置検知器を設けるようにする。
【0057】
本発明の技術に従来の特許第2906352号公報及び特開2002−348799号公報記載の技術を組み合わせて作製することもできる。更に、本発明の技術に膜厚の異なった導電性パターンを形成する技術を組み合わせても良い。その場合、磁性層、非導電膜領域、膜厚の異なった導電性パターンを形成する必要があるため、作製上の工程、コストは増えるが、複雑な出力電圧のレベルを得ることができる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の内容は、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0059】
本発明は、第1の領域と前記第1の領域より表面粗さの凹凸差が低い第2の領域が繰り返し配置された非導電性基材に、前記第1の領域上に導電材料からなる第1の導電領域が形成され、前記第2の領域上に導電材料からなる第2の導電領域が形成され、前記第1の導電領域は、前記第2の導電領域に比べて電気的に抵抗値が高く有してなる真偽判別媒体である。
【0060】
(実施例1)
図17に示すように平滑な厚さ約10μmのPETフィルム1eを用意し、グラビア印刷によって幅約2mm、長さ約1mm、盛りが約10μmの台形形状Uの凸部を、4回繰り返し配置して長さ約4mmの第1の領域2を形成した。第1の領域2が形成されていない領域は第2の領域3となる。第1の領域2と第2の領域3は所望の長さで繰り返し配置され、第1の領域2と第2の領域3の繰り返し幅は約8mmで形成した。第1の領域2と第2の領域3が形成された領域上に、真空蒸着によって、約800Åの導電層4を形成し、第1の領域上に導電材料からなる第1の導電領域4aとし、第2の領域上に導電材料からなる第2の導電領域4bとし、真偽判別媒体を得た。
【0061】
抵抗測定器によって接触方式で電気伝導度を測定することによって、第1の導電領域4aと第2の導電領域4bの抵抗値の違いが得られ、第2の導電領域4bは、第1の導電領域4aに比べての抵抗値が低く得られた。貴重品を真偽判別するにあたり有効であることがわかった。
【0062】
更に、真偽判別媒体を非接触方式によって、24.125GHzのドップラーモジュール(マイクロ波を利用した測定器)と無反射終端器を対向させて配置し、その間隙に真偽判別媒体を挿入して出力電圧を測定した。第1の導電領域4aと第2の導電領域4bの検知レベル波形は第2の導電領域4bの電気伝導度が高いため、第2の導電領域4bでは非常に高い出力電圧が得られ、一方、第1の導電領域4aでは電気伝導度が低いため、第1の導電領域4aは低い出力電圧が得られた。このような出力電圧の高低によって真偽判別が可能となる。更に、搬送される前記真偽判別媒体の第1の導電領域及び第2の導電領域に非接触方式によってマイクロ波を照射し、反射したマイクロ波を受信し出力電圧をスキャンしながら測定する工程と、得られた出力電圧を予め定められた閾値データに基づいて「0」、「1」の符号化データを生成する工程と、符号化データと予め定められた基準データと比較し、符号化データと予め定められた基準データと一致した場合に「真」と判断して、一致しなかった場合に「偽」と判断して認証することが可能なことがわかった。
【0063】
(実施例2)
図18に示すように平滑な厚さ約10μmのPETフィルム1fを用意し、グラビア印刷によって幅約2mm、長さ約1mm、盛りが約10μm台形形状Uの凸部を、4回繰り返し配置して長さ約4mmの第1の領域2を形成した。第1の領域2が形成されていない領域は第2の領域3となる。第1の領域2と第2の領域3は所望の長さで繰り返し配置され、第1の領域2と第2の領域3の繰り返し幅は約8mmで形成した。第1の領域2と第2の領域3が形成された領域上に、真空蒸着によって、約800Åの導電層4を形成し、第1の領域上に導電材料からなる第1の導電領域4aとし、第2の領域上に導電材料からなる第2の導電領域4bとし、真偽判別媒体を得た。導電層4上にアクリル系樹脂によって保護層5を形成し真偽判別媒体を得た。
【0064】
真偽判別媒体を非接触方式によって、24.125GHzのドップラーモジュール(マイクロ波を利用した測定器)と無反射終端器を対向させて配置し、その間隙に真偽判別媒体を挿入して出力電圧を測定した。第1の導電領域4aと第2の導電領域4bの検知レベル波形は第2の導電領域4bの電気伝導度が高いため、第2の導電領域4bでは非常に高い出力電圧が得られ、一方、第1の導電領域4aでは電気伝導度が低いため、第1の導電領域4aは低い出力電圧が得られた。このような出力電圧の高低によって真偽判別が可能となる。更に、搬送される前記真偽判別媒体の第1の導電領域及び第2の導電領域に非接触方式によってマイクロ波を照射し、反射したマイクロ波を受信し出力電圧をスキャンしながら測定する工程と、得られた出力電圧を予め定められた閾値データに基づいて「0」、「1」の符号化データを生成する工程と、符号化データと予め定められた基準データと比較し、符号化データと予め定められた基準データと一致した場合に「真」と判断して、一致しなかった場合に「偽」と判断して認証することが可能なことがわかった。
【0065】
(実施例3)
図19に示すように平滑な厚さ約10μmのPETフィルム1gを用意し、グラビア印刷によって幅約2mm、長さ約1mm、盛りが約10μmの台形形状Uの凸部を、4回繰り返し配置して長さ約4mmの第1の領域2を形成した。第1の領域2が形成されていない領域は第2の領域3となった。第1の領域2と第2の領域3は、第2の領域3の長さ約4mm、第1の領域2の長さ約4mm、第2の領域3の長さ約2mm、第1の領域2の長さ約4mmの順に繰り返し配置した。第1の領域2と第2の領域3が形成された領域上に、真空蒸着によって、約800Åの導電層4を形成し、第1の領域上に導電材料からなる第1の導電領域4aとし、第2の領域上に導電材料からなる第2の導電領域4bとし、真偽判別媒体を得た。
【0066】
抵抗測定器によって接触方式で電気伝導度を測定することによって、第1の導電領域4aと第2の導電領域4bの抵抗値の違いが得られ、第2の導電領域4bは、第1の導電領域4aに比べての抵抗値が低く得られた。貴重品を真偽判別するにあたり有効であることがわかった。
【0067】
更に、真偽判別媒体を非接触方式によって、24.125GHzのドップラーモジュール(マイクロ波を利用した測定器)と無反射終端器を対向させて配置し、その間隙に真偽判別媒体を挿入して出力電圧を測定した。第1の導電領域4aと第2の導電領域4bの検知レベル波形は、第2の導電領域4bの長さ約4mmの電気伝導度が最も高く高レベル、第2の導電領域4bの長さ約2mmの電気伝導度が中レベル、第1の導電領域4aの長さ約4mmの電気伝導度が低レベルで得られた。このような出力電圧の高中低によって真偽判別が可能となる。更に、搬送される前記真偽判別媒体の第1の導電領域及び第2の導電領域に非接触方式によってマイクロ波を照射し、反射したマイクロ波を受信し出力電圧をスキャンしながら測定する工程と、得られた出力電圧を予め定められた閾値データに基づいて「0」、「1」の符号化データを生成する工程と、符号化データと予め定められた基準データと比較し、符号化データと予め定められた基準データと一致した場合に「真」と判断して、一致しなかった場合に「偽」と判断して認証することが可能なことがわかった。
【0068】
(実施例4)
図20に示すように平滑な厚さ約10μmのPETフィルム1hを用意し、グラビア印刷によって幅約2mm、長さ約1mm、盛りが約10μmの台形形状Uの凸部を、4回繰り返し配置して長さ約4mmの第1の領域2を形成した。第1の領域2が形成されていない領域は第2の領域3となった。第1の領域2と第2の領域3は、第2の領域3の長さ約4mm、第1の領域2の長さ約4mm、と第2の領域3の長さ約2mm、第1の領域2の長さ約4mmの順に繰り返し配置した。第1の領域2と第2の領域3が形成された領域上に、真空蒸着によって、約800Åの導電層4を形成し、第1の領域上に導電材料からなる第1の導電領域4aとし、第2の領域上に導電材料からなる第2の導電領域4bとし、真偽判別媒体を得た。導電層4上にアクリル系樹脂によって保護層5を形成し真偽判別媒体を得た。
【0069】
真偽判別媒体を非接触方式によって、24.125GHzのドップラーモジュール(マイクロ波を利用した測定器)と無反射終端器を対向させて配置し、その間隙に真偽判別媒体を挿入して出力電圧を測定した。第1の導電領域4aと第2の導電領域4bの検知レベル波形は、第2の導電領域4bの長さ約4mmの電気伝導度が最も高く高レベル、第2の導電領域4bの長さ約2mmの電気伝導度が中レベル、第1の導電領域4aの長さ約4mmの電気伝導度が低レベルで得られた。このような出力電圧の高中低によって真偽判別が可能となる。更に、搬送される真偽判別媒体の第1の導電領域及び第2の導電領域に非接触方式によってマイクロ波を照射し、反射したマイクロ波を受信し出力電圧をスキャンしながら測定する工程と、得られた出力電圧を予め定められた閾値データに基づいて「0」、「1」の符号化データを生成する工程と、符号化データと予め定められた基準データと比較し、符号化データと予め定められた基準データと一致した場合に「真」と判断して、一致しなかった場合に「偽」と判断して認証することが可能なことがわかった。
【0070】
(実施例5)
図21に示すように長さ約1mm、盛りが約10μm、台形形状Uの凸部が全体に形成された厚さ約20μmのPETフィルム1iを用意し、グラビア印刷によって幅約2mmで長さ約2mm、幅約2mmで長さ約4mmの二種類の第2の領域3を繰り返し形成した。第2の領域3が形成されていない領域は第1の領域2となる。第1の領域2と第2の領域3は、第2の領域3の長さ約4mm、第1の領域2の長さ約4mm、第2の領域3の長さ約2mm、第1の領域2の長さ約4mmの順に繰り返し配置した。第1の領域2と第2の領域3が形成された領域上に、真空蒸着によって、約800Åの導電層4を形成し、第1の領域上に導電材料からなる第1の導電領域4aとし、第2の領域上に導電材料からなる第2の導電領域4bとし、真偽判別媒体を得た。導電層4上にアクリル系樹脂によって保護層5を形成し真偽判別媒体を得た。
【0071】
更に、真偽判別媒体を非接触方式によって、24.125GHzのドップラーモジュール(マイクロ波を利用した測定器)と無反射終端器を対向させて配置し、その間隙に真偽判別媒体を挿入して出力電圧を測定した。第1の導電領域4aと第2の導電領域4bの検知レベル波形は、第2の導電領域4bの長さ約4mmの電気伝導度が最も高く高レベル、第2の導電領域4bの長さ約2mmの電気伝導度が中レベル、第1の導電領域4aの長さ約4mmの電気伝導度が低レベルで得られた。このような出力電圧の高中低によって真偽判別が可能となる。更に、搬送される前記真偽判別媒体の第1の導電領域及び第2の導電領域に非接触方式によってマイクロ波を照射し、反射したマイクロ波を受信し出力電圧をスキャンしながら測定する工程と、得られた出力電圧を予め定められた閾値データに基づいて「0」、「1」の符号化データを生成する工程と、符号化データと予め定められた基準データと比較し、符号化データと予め定められた基準データと一致した場合に「真」と判断して、一致しなかった場合に「偽」と判断して認証することが可能なことがわかった。
【0072】
(実施例6)
図22に示すように平滑な厚さ約10μmのPETフィルム1fを用意し、グラビア印刷によって幅約2mm、長さ約0.5mm、盛りが約10μm台形形状Uの凸部を、8回繰り返し配置して長さ約4mmの第1の領域2を形成した。次に約4mmの長さで非印刷領域を第2の領域3とし、第3の領域は、グラビア印刷によって幅約2mm、長さ約0.5mm、盛りが約10μm台形形状Uの凸部と、非印刷領域0.5mmとして繰り返し配置して全体として4mmの第3の領域を形成した。第1の領域、第2の領域及び第3の領域の機械読取方向の長さが同一であり、第1の領域、第2の領域及び第3の領域が所望の長さで繰り返し配置して形成した。第1の領域、第2の領域及び第3の領域が形成された領域上に、真空蒸着によって、約800Åの導電層4を形成し、第1の領域上に導電材料からなる第1の導電領域4aとし、第2の領域上に導電材料からなる第2の導電領域4bとし、第3の領域上に導電材料からなる第3の導電領域4cとし、真偽判別媒体を得た。
【0073】
抵抗測定器によって接触方式で電気伝導度を測定することによって、第1の導電領域4a、第2の導電領域4bの抵抗値、第3の導電領域4cの抵抗値の関係が、第1の導電領域4aの抵抗値>第3の導電領域4cの抵抗値>第2の導電領域4bの抵抗値の関係が得られた。
【0074】
更に、真偽判別媒体を非接触方式によって、24.125GHzのドップラーモジュール(マイクロ波を利用した測定器)と無反射終端器を対向させて配置し、その間隙に真偽判別媒体を挿入して出力電圧を測定した。第1の導電領域4a、第2の導電領域4b、第1の導電領域4cの関係が、第1の導電領域4aの電気伝導度<前記第3の導電領域4cの電気伝導度<第2の導電領域4bの電気伝導度の関係が得られた。このような出力電圧の高中低によって真偽判別が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】スレッド状に形成された真偽判別媒体A1とそのX-X'断面図を示す図である。
【図2】第1の電極16aと第2の電極16bを有する抵抗測定器7によって、真偽判別媒体A1の抵抗値を取得して認証する場合の図である。
【図3】マイクロ波を利用した測定器8によって、真偽判別媒体1aの出力電圧を測定して認証する場合の図である。
【図4】マイクロ波を利用した測定器8によって、真偽判別媒体1aの出力電圧を測定して認証する場合の図である。
【図5】スレッド状に形成された真偽判別媒体A2とそのX-X'断面図を示す図である。
【図6】スレッド状に形成された真偽判別媒体A3とそのX-X'断面図を示す図である。
【図7】スレッド状に形成された真偽判別媒体A4とそのX-X'断面図を示す図である。
【図8】横軸に平滑な導電帯の長さ、縦軸にマイクロ波出力電圧をとったグラフである。
【図9】種々の長さの平滑な導電帯を24.125 GHzのマイクロ波を利用した測定器を用いて、マイクロ波出力電圧を計測したグラフである。
【図10】マイクロ波を利用した測定器8と無反射終端器9を対向させて配置し、その間隙に真偽判別媒体A4を挿入して出力電圧を測定する非接触方式で機械読み取りする場合の図及びその波形を示す図である。
【図11】スレッド状に形成された真偽判別媒体A5とそのX-X'断面図を示す図である。
【図12】スレッド状に形成された真偽判別媒体A6とそのX-X'断面図を示す図である。
【図13】第1の領域の説明図である。
【図14】第1の領域の説明図である。
【図15】第1の領域の説明図である。
【図16】スレッド14の形態、ホログラム等の箔15を示す図である。
【図17】実施例1の真偽判別媒体である。
【図18】実施例2の真偽判別媒体である。
【図19】実施例3の真偽判別媒体である。
【図20】実施例4の真偽判別媒体である。
【図21】実施例5の真偽判別媒体である。
【図22】実施例6の真偽判別媒体である。
【符号の説明】
【0076】
1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h,1i 非導電性基材
2,3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g 第1の領域
3 第2の領域
4 導電層
4a 第1の導電領域
4b 第2の導電領域
4c 第3の導電領域4
5 保護層
6 接着層
7,7a,7b,7c 抵抗測定器
8 マイクロ波を利用した測定器
9 無反射終端器
10a,10b,10c 波形
14 スレッド
15 ホログラム等の箔
16 電極
17 位置検知器
18 はく離層
19 はく離シート
20 第3の領域
A1,A2,A3,A4,A5,A6 真偽判別媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性基材に第1の領域、第2の領域及び第3の領域を設け、
前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域は、マイクロ波センサで測定すると共振する長さからなり、
前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域は表面粗さが異なり、
前記第1の領域上、前記第2の領域上及び前記第3の領域上に同一の導電材料によって導電層が形成されてなる真偽判別媒体であって、
前記第1の領域上の前記導電層、前記第2の領域上の前記導電層及び前記第3の領域上の前記導電層は異なった抵抗値を有してなる真偽判別媒体。
【請求項2】
請求項1の真偽判別媒体の認証方法において、
前記第1の領域上の前記導電層に接触方式によって前記第1の領域の前記導電層の電気伝導度を測定する工程と、
前記第2の領域上の前記導電層に接触方式によって前記第2の領域の前記導電層の電気伝導度を測定する工程と、
前記第3の領域上の前記導電層に接触方式によって前記第3の領域の前記導電層の電気伝導度を測定する工程と、
前記第1の領域の前記導電層の電気伝導度から得られる第1の領域の抵抗値と、前記第2の領域の前記導電層の電気伝導度から得られる第2の領域の抵抗値と、前記第3の領域の前記導電層の電気伝導度から得られる第3の領域の抵抗値を比較し、前記第1の領域の抵抗値、前記第2の領域の抵抗値及び前記第3の領域の抵抗値が異なっていた場合に「真」と判断する工程からなる真偽判別媒体の認証方法。
【請求項3】
請求項1記載の真偽判別媒体の認証方法において、
前記第1の領域上の前記導電層に非接触方式によってマイクロ波を照射し、反射したマイクロ波を受信し、前記第1の領域の前記導電層の出力電圧を測定する工程と、
前記第2の領域上の前記導電層に非接触方式によってマイクロ波を照射し、反射したマイクロ波を受信し、前記第2の領域の前記導電層の出力電圧を測定する工程と、
前記第3の領域上の前記導電層に非接触方式によってマイクロ波を照射し、反射したマイクロ波を受信し、前記第3の領域の前記導電層の出力電圧を測定する工程と、
前記第1の領域の前記導電層の出力電圧を前記第1の領域の前記導電層の電気伝導度に変換し、前記第2の領域の前記導電層の出力電圧を前記第2の領域の前記導電層の電気伝導度に変換し、前記第3の領域の前記導電層の出力電圧を前記第3の領域の前記導電層の電気伝導度に変換する工程と、
前記第1の領域の前記導電層の電気伝導度、前記第2の領域の前記導電層の電気伝導度及び前記第2の領域の前記導電層の電気伝導度を比較し、前記第1の領域の前記導電層の電気伝導度、前記第2の領域の前記導電層の電気伝導度及び前記第2の領域の前記導電層の電気伝導度が異なっていた場合に「真」と判断する工程からなる真偽判別媒体の認証方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2006−277443(P2006−277443A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96852(P2005−96852)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】