説明

真偽判別形成体及び真偽判別形成体対

【課題】 本発明は、潜像画像を形成するための領域と、潜像画像を形成するための基準位置を特定するための領域を形成し、それぞれの領域を所定の位置で重ねると一つの潜像画像が出現し、その位置から所定の方向にずらすと別の潜像画像が出現する真偽判別形成体に関する。
【解決手段】 基材の同一表面上又は異なる面の二つの領域に、凹形状又は凸形状の画線が複数配置された基準領域が形成され、画線を部分的に位相を異ならせた又は同一の範囲内で面積率を異ならせたことで潜像画像形成部が形成された画像形成領域が形成され、第1の画像形成領域の潜像画像形成部は、第一の潜像画像の一部及び第二の潜像画像の一部を形成し、第2の画像形成領域の潜像画像形成部は、第1の画像形成領域の潜像画像形成部が形成している第一の潜像画像の一部以外及び第2の画像形成領域の潜像画像形成部が形成している第二の潜像画像の一部以外を形成している真偽判別形成体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券、株券、有価証券、宝くじ、パスポート等の資産価値を有する貴重印刷物に関するものであり、偽造、変造、改ざん等を防止することを目的とするものである。
【背景技術】
【0002】
従来から資産価値を有する銀行券、各種有価証券及びパスポート等の貴重印刷物には、その印刷物の持つ価値を有益に保持するため、様々なセキュリティ技術が用いられてきている。セキュリティ技術として一般に使われているのは、ホログラム、マイクロ文字が印刷されたスレッド、透かし模様等を盛り込んだ用紙、光学的に変化するインキ(OVI)等の機能性インキ、オフセット印刷、スクリーン印刷、凹版印刷等の印刷技術、特異な画線配置等が挙げられ、これらを効果的に組み合わせて、偽造、変造、改ざん等の抑止効果の向上を図っている。
【0003】
これらの偽造防止技術の中でも、印刷技術及び各種基材への加工技術を利用して、一つの領域では、その領域に付与された模様や情報のみが認識されるが、判別具を用いることで新たなる情報が認識できるという技術が広く開示されている。しかし、これらの判別具を用いて行う真偽判別に対しては、簡易な判別具で真偽判別が行えるという利点の一方、判別具を持ち合わせていない状況下では、真偽判別が行えないという問題があった。
【0004】
そこで、真偽判別用のための判別具を別途用意しなくても、その検証を容易に、かつ、確実に可能とするため、一枚の紙基材上の3隅に万線比率が1:1で、ピッチが同一の万線から成る潜像パターンを形成し、それらの潜像パターンと折り返し線で対象となる1隅に万線状の非潜像パターンを形成し、各潜像パターン及び非潜像パターンの部位に透かし印刷層が施され、各潜像パターンと非潜像パターンを折り返し線に対して合わせることで、潜像パターンを可視化して真偽判別が行えるという潜像パターンを有する画像形成体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、基材上に、位置を離して配置してある複数の暗号化情報形成部が形成され、異なる暗号化情報形成部には、所望の暗号の一部分ずつが形成されており、さらに、それらの暗号化情報形成部の間に、基材を分離可能な分離部が形成されており、基材を分離部で分離した後、見当を合わせて暗号化情報形成部を重ね合わせると、所望の情報が復号される情報記録媒体が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
さらに、同一印刷物上ではないものの、一方の印刷物には第1の情報が印刷された凹部が形成され、他方の印刷物には、その凹部にはめ込みが可能な形状を具備し、かつ、第2の情報が印刷されたタグを有し、一方の印刷物の凹部にタグをはめ込むことで、第1の情報と第2の情報が重なってコード情報を表現する印刷物対が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−168356号公報
【特許文献2】特開2006−67558号公報
【特許文献3】特許第4204275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1については、判別具を用意しなくとも、印刷物を折り返し線に対して合わせることで、潜像パターンを可視化して真偽判別が行える一方、可視化される潜像パターンは、1対の凸部と凹部により形成された凹凸が一定の配置で配置された箇所の基材自体又は凹凸と基材の間に印刷層を設けて形成されるもので、凹凸自体が潜像パターンを構成する複雑な画線構成となっているものではない。したがって、潜像パターンの出現原理がわかってしまうと、比較的容易に偽造されてしまうという課題があった。
【0009】
また、特許文献2については、所望の情報を分割して異なる領域に形成し、お互いの暗号化情報形成部を重ね合わせることで、所望の情報の各部分が合体し、初めて所望の情報として視認できるものではあるが、所望の情報を復号させるための見当合わせについての具体的な内容は示唆されておらず、適正な見当合わせができなかった場合には、所望の情報が形成できなくなるとともに、情報を形成するための見当合わせが非常に困難であるという問題があった。
【0010】
さらに、特許文献3については、二つの情報を重ねて一つの有意味情報(特許文献3においては、コード情報)を形成する際、確実に有意味情報が形成可能なように、凹部の形状にはめ込み可能な形状を具備したタグを用いるものであり、二つの異なる領域を合わせて情報を確実に出現させるためには効果的ではあるものの、一つの印刷物において、異なる領域を重ね合わせて有意味情報を出現させるものではなかった。
【0011】
そこで、本発明は、異なる領域に形成された模様を重ね合わせたときに、その模様の近傍に形成された凹凸形状の基準領域を案内として第1の有意味情報を出現させ、更にその状態から基材を一定方向にずらして観察すると、第2の有意味情報が出現する真偽判別形成体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、基材の同一表面上及び/又は異なる面に、凹形状及び/又は凸形状の要素から成る二つの基準領域が形成され、二つの基準領域のそれぞれの領域の近傍に、二つの潜像画像を形成するための画像形成領域が形成され、二つの基準領域及び画像形成領域を重ね合わせたときに、二つの潜像画像が視認可能な真偽判別形成体であって、二つの基準領域のうち、第1の基準領域は、凹形状及び/又は凸形状の第1の基準要素が第1の方向に第1のピッチで複数配置され、二つの基準領域のうち、第2の基準領域は、凹形状及び/又は凸形状の第2の基準要素が第1の方向と同じ方向に第2のピッチで複数配置され、第1の基準領域の近傍に形成された第1の画像形成領域には、第一の潜像画像を構成する潜像画像形成部及び第二の潜像画像を構成する潜像画像形成部が第1の画像形成要素によって形成され、第2の基準領域の近傍に形成された第2の画像形成領域には、第一の潜像画像を構成する潜像画像形成部及び第二の潜像画像を構成する潜像画像形成部が第2の画像形成要素によって形成され、第1の画像形成領域における第一の潜像画像及び第二の潜像画像を構成する二つの潜像画像形成部と、第2の画像形成領域における第一の潜像画像及び第二の潜像画像を構成する二つの潜像画像形成部は、それぞれの画像形成領域内において、第1の方向に対して垂直方向に所定の距離だけ離れて形成され、第1の画像形成領域と第2の画像形成領域を重ね合わせ、かつ、複数の第1の基準要素から成る第1の基準領域の凹部に、複数の第2の基準要素から成る第2の基準領域の凸部が、複数の第1の基準要素から成る第1の基準領域の凸部に、複数の第2の基準要素から成る第2の基準領域の凹部が当てはまるように重ねあわせた時に、第1の画像形成領域及び第2の画像形成領域のそれぞれの第一の潜像画像を構成する潜像画像形成部により、第一の潜像画像が形成されて視認でき、第一の潜像画像を形成した位置から、第1の方向に対して垂直方向に所定の距離ずらすと、第1の画像形成領域及び第2の画像形成領域のそれぞれの第二の潜像画像を構成する潜像画像形成部により、第二の潜像画像が形成されて視認できることを特徴とする真偽判別形成体である。
【0013】
また、本発明の真偽判別形成体は、第1の画像形成領域が第1の画像形成要素が第2の方向に第3のピッチで複数配置され、第1の画像形成要素を部分的に位相を異ならせた又は同一の範囲内で面積率を異ならせたことで、第一の潜像画像の一部及び第二の潜像画像の一部が、第1の画像形成領域の潜像画像形成部として形成され、第2の画像形成領域は、第2の画像形成要素が第2の方向と同じ方向に第4のピッチで複数配置され、第2の画像形成要素を部分的に位相を異ならせた又は同一の範囲内で面積率を異ならせたことで、第1の画像形成領域の潜像画像形成部が形成している第一の潜像画像の一部以外及び第二の潜像画像の一部以外が、第2の画像形成領域の潜像画像形成部により形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の真偽判別形成体は、第1のピッチに対する第2のピッチ及び第3のピッチに対する第4のピッチが、同一ピッチ又は一方のピッチに対して他方のピッチが正の整数倍のピッチであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の真偽判別形成体は、複数配置された第1の画像形成要素及び複数配置された第2の画像形成要素が、画線、網点、画素、図形及び文字のいずれか一つ又はそれらの組合せから成ることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の真偽判別形成体は、第1の画像形成要素及び/又は第2の画像形成要素が、複数配置された要素の中の一つの要素内において、画線、網点、画素、図形及び文字のいずれか二つ以上の組合せから成ることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の真偽判別形成体は、第1の画像形成要素及び第2の画像形成要素が、オフセット印刷、凸版印刷及びインクジェット印刷のいずれか一つ又はそれらの組合せにより形成されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の真偽判別形成体は、第1の画像形成要素及び第2の画像形成要素が、赤外線吸収特性を有するインキにより印刷されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の真偽判別形成体における第1の画像形成領域は、微細な穿孔による第1の画像形成要素が複数配置されて、第一の潜像画像の一部及び第二の潜像画像の一部が、第1の画像形成領域の潜像画像形成部として形成され、第2の画像形成領域は、微細な穿孔による第2の画像形成要素が複数配置されて、第1の画像形成領域の潜像画像形成部が形成している第一の潜像画像の一部以外及び第二の潜像画像の一部以外が、第2の画像形成領域の潜像画像形成部により形成されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の真偽判別形成体における第1の画像形成要素は、微細な穿孔による第1の画像形成要素が複数配置されて、第一の潜像画像及び第二の潜像画像が、第1の画像形成領域の潜像画像形成部として形成され、第2の画像形成領域は、微細な穿孔による第2の画像形成要素が複数配置されて、第一の潜像画像及び第二の潜像画像が、第2の画像形成領域の潜像画像形成部により形成され、第1の画像形成領域の潜像画像形成部と第2の画像形成領域の潜像画像形成部は、形状及び大きさが同じ、かつ、対応した位置に、各領域に配置されていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の真偽判別形成体における第1の画像形成領域及び第2の画像形成領域は、各画像形成部以外にダミー穿孔が複数形成され、第1の画像形成領域に形成されているダミー穿孔と、第2の画像形成領域に形成されているダミー穿孔とは、第1の画像形成領域と第2の画像形成領域を重ね合わせたときに、互いに重ならない位置に形成されていることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の真偽判別形成体は、微細な穿孔及びダミー穿孔が、貫通孔、非貫通孔又はそれらの組合せから成ることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の真偽判別形成体は、複数配置された第1の基準要素及び複数配置された第2の基準要素が、画線、網点、画素、図形及び文字のいずれか一つ又はそれらの組合せから成ることを特徴とする。
【0024】
また、本発明の真偽判別形成体は、第1の基準要素及び/又は第2の基準要素が、複数配置された要素の中の一つの要素内において、画線、網点、画素、図形及び文字のいずれか二つ以上の組合せから成ることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の真偽判別形成体は、第1の基準領域又は第2の基準領域の一方の領域内に、第一の潜像画像を形成するための基準となる位置を特定する第1の特定部と第二の潜像画像を形成するための基準となる位置を特定する第2の特定部から成る第1の基準位置形成部が形成され、他方の領域内に、第1の基準位置形成部に対応する第2の基準位置形成部が形成されていることを特徴とする。
【0026】
また、本発明の真偽判別形成体は、第1の基準位置形成部の第1の特定部及び第2の特定部と第2の基準位置形成部が、第1の基準要素及び第2の基準要素の一部により形成又は各要素とは別に隣り合う各要素の間に凹形状及び/又は凸形状により形成されていることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の真偽判別形成体は、第1の基準要素及び第2の基準要素の一部に形成されている第1の基準位置形成部及び第2の基準位置形成部が、各要素を部分的に位相を異ならせた又は同一の範囲内で面積率を異ならせて形成されていることを特徴とする。
【0028】
また、本発明の真偽判別形成体は、各基準要素の間に凹形状及び/又は凸形状により形成されている第1の基準位置形成部及び第2の基準位置形成部が、図形、網点、画素、記号又は文字のいずれか一つ又はそれらの組合せによって形成されていることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の真偽判別形成体は、第1の基準要素及び第2の基準要素が、エンボス、凹版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、凸版印刷、インクジェット印刷、レーザ加工及びすき入れのいずれか一つ又はそれらの組合せにより形成されていることを特徴とする。
【0030】
さらに、本発明は、互いを重ね合わせることにより二つの潜像画像が出現する二つの画像形成領域と、画像形成領域の近傍に、潜像画像を形成するための位置を特定する基準領域がそれぞれ形成された二つの形成体から成る真偽判別形成体対であって、二つの形成体のうち一方の形成体には、基材上に凹形状及び/又は凸形状の第1の基準要素から成る第1の基準領域が形成され、第1の基準領域は、第1の基準要素が第1の方向に第1のピッチで複数配置され、二つの形成体のうち他方の形成体には、基材上に凹形状及び/又は凸形状の第2の基準要素から成る第2の基準領域が形成され、第2の基準領域は、第2の基準要素が第1の方向と同じ方向に第2のピッチで複数配置され、第1の基準領域の近傍に形成された第1の画像形成領域には、第一の潜像画像を構成する潜像画像形成部及び第二の潜像画像を構成する潜像画像形成部が第1の画像形成要素によって形成され、第2の基準領域の近傍に形成された第2の画像形成領域には、第一の潜像画像を構成する潜像画像形成部及び第二の潜像画像を構成する潜像画像形成部が第2の画像形成要素によって形成され、第1の画像形成領域における第一の潜像画像及び第二の潜像画像を構成する二つの潜像画像形成部と、第2の画像形成領域における第一の潜像画像及び第二の潜像画像を構成する二つの潜像画像形成部は、それぞれの画像形成領域内において、第1の方向に対して垂直方向に所定の距離だけ離れて形成され、第1の画像形成領域と第2の画像形成領域を重ね合わせ、かつ、複数の第1の基準要素から成る第1の基準領域の凹部に、複数の第2の基準要素から成る第2の基準領域の凸部が、複数の第1の基準要素から成る第1の基準領域の凸部に、複数の第2の基準要素から成る第2の基準領域の凹部が当てはまるように、一方の形成体の第1の基準領域と他方の形成体の第2の基準領域を重ね合わせた時に、第1の画像形成領域及び第2の画像形成領域のそれぞれの潜像画像形成部により、第一の潜像画像が形成されて視認でき、第一の潜像画像を形成した位置から、一方の形成体を第1の方向に対して垂直方向に所定の距離ずらすと、第1の画像形成領域及び第2の画像形成領域のそれぞれの第二の潜像画像を構成する潜像画像形成部により、第二の潜像画像が形成されて視認できることを特徴とする真偽判別形成体対である。
【0031】
また、本発明の真偽判別形成体対は、第1の画像形成領域が、第1の画像形成要素が第2の方向に第3のピッチで複数配置され、第1の画像形成要素を部分的に位相を異ならせた又は同一の範囲内で面積率を異ならせたことで、第一の潜像画像の一部及び第二の潜像画像の一部が、第1の画像形成領域の潜像画像形成部として形成され、第2の画像形成領域は、第2の画像形成要素が第2の方向と同じ方向に第4のピッチで複数配置され、第2の画像形成要素を部分的に位相を異ならせた又は同一の範囲内で面積率を異ならせたことで、第1の画像形成領域の潜像画像形成部が形成している第一の潜像画像の一部以外及び第二の潜像画像の一部以外が、第2の画像形成領域の潜像画像形成部により形成されていることを特徴とする。
【0032】
また、本発明の真偽判別形成体対は、第1のピッチに対する第2のピッチ及び第3のピッチに対する第4のピッチが、同一ピッチ又は一方のピッチに対して他方のピッチが正の整数倍のピッチであることを特徴とする。
【0033】
また、本発明の真偽判別形成体対は、複数配置された第1の基準要素、複数配置された第2の基準要素、複数配置された第1の画像形成要素及び複数配置された第2の画像形成要素が、画線、網点、画素、図形及び文字のいずれか一つ又はそれらの組合せから成ることを特徴とする。
【0034】
また、本発明の真偽判別形成体対は、第1の基準要素、第2の基準要素、第1の画像形成要素及び/又は第2の画像形成要素が、複数配置された要素の中の一つの要素内において、画線、網点、画素、図形及び文字のいずれか二つ以上の組合せから成ることを特徴とする。
【0035】
また、本発明の真偽判別形成体対は、第1の画像形成要素及び第2の画像形成要素が、オフセット印刷、凸版印刷及びインクジェット印刷のいずれか一つ又はそれらの組合せにより形成されていることを特徴とする。
【0036】
また、本発明の真偽判別形成体対は、第1の画像形成要素及び第2の画像形成要素が、赤外線吸収特性を有するインキにより印刷されていることを特徴とする。
【0037】
また、本発明の真偽判別形成体対は、第1の画像形成領域が、微細な穿孔による第1の画像形成要素が複数配置されて、第一の潜像画像の一部及び第二の潜像画像の一部が、第1の画像形成領域の潜像画像形成部として形成され、第2の画像形成領域は、微細な穿孔による第2の画像形成要素が複数配置されて、第1の画像形成領域の潜像画像形成部が形成している第一の潜像画像の一部以外及び第二の潜像画像の一部以外が、第2の画像形成領域の潜像画像形成部により形成されていることを特徴とする。
【0038】
また、本発明の真偽判別形成体対は、第1の画像形成要素が、微細な穿孔による第1の画像形成要素が複数配置されて、第一の潜像画像及び第二の潜像画像が、第1の画像形成領域の潜像画像形成部として形成され、第2の画像形成領域は、微細な穿孔による第2の画像形成要素が複数配置されて、第一の潜像画像及び第二の潜像画像が、第2の画像形成領域の潜像画像形成部により形成され、第1の画像形成領域の潜像画像形成部と第2の画像形成領域の潜像画像形成部は、形状及び大きさが同じ、かつ、対応した位置に各領域に配置されていることを特徴とする。
【0039】
また、本発明の真偽判別形成体対は、第1の画像形成領域及び第2の画像形成領域が、各画像形成部以外にダミー穿孔が複数形成され、第1の画像形成領域に形成されているダミー穿孔と、第2の画像形成領域に形成されているダミー穿孔とは、第1の画像形成領域と第2の画像形成領域を重ね合わせたときに、互いに重ならない位置に形成されていることを特徴とする。
【0040】
また、本発明の真偽判別形成体対は、微細な穿孔及びダミー穿孔が、貫通孔、非貫通孔又はそれらの組合せから成ることを特徴とする。
【0041】
また、本発明の真偽判別形成体対は、複数配置された第1の基準要素及び複数配置された第2の基準要素が、画線、網点、画素、図形及び文字のいずれか一つ又はそれらの組合せから成ることを特徴とする。
【0042】
また、本発明の真偽判別形成体対は、第1の基準要素及び/又は第2の基準要素が、複数配置された要素の中の一つの要素内において、画線、網点、画素、図形及び文字のいずれか二つ以上の組合せから成ることを特徴とする。
【0043】
また、本発明の真偽判別形成体対は、第1の基準領域又は第2の基準領域の一方の領域内に、第一の潜像画像を形成するための基準となる位置を特定する第1の特定部と第二の潜像画像を形成するための基準となる位置を特定する第2の特定部から成る第1の基準位置形成部が形成され、他方の領域内に、第1の基準位置形成部に対応する第2の基準位置形成部が形成されていることを特徴とする。
【0044】
また、本発明の真偽判別形成体対は、第1の基準位置形成部の第1の特定部及び第2の特定部と第2の基準位置形成部が、第1の基準要素及び第2の基準要素の一部により形成又は各要素とは別に隣り合う各要素の間に凹形状及び/又は凸形状により形成されていることを特徴とする。
【0045】
また、本発明の真偽判別形成体対は、第1の基準要素及び第2の基準要素の一部に形成されている第1の基準位置形成部及び第2の基準位置形成部が、各要素を部分的に位相を異ならせ又は同一の範囲内で面積率を異ならせて形成されていることを特徴とする。
【0046】
また、本発明の真偽判別形成体対は、各基準要素の間に凹形状及び/又は凸形状により形成されている第1の基準位置形成部及び第2の基準位置形成部が、図形、網点、画素、記号又は文字のいずれか一つ又はそれらの組合せによって形成されていることを特徴とする。
【0047】
また、本発明の真偽判別形成体対は、第1の基準要素及び第2の基準要素が、エンボス、凹版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、凸版印刷、インクジェット印刷、レーザ加工及びすき入れのいずれか一つ又はそれらの組合せにより形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0048】
本発明は、二つの基準領域とその近傍に配置された二つの画像領域を、それぞれ重ね合わせることで第一の潜像画像が出現し、さらにその状態から一定方向に一定量ずらして観察すると、第二の潜像画像が出現するため、単純な一つの情報の出現による真偽判別ではなく、複雑化された構成により、真偽判別の精度が向上するとともに、より高度な偽造及び改ざん等に対する防止の効果を奏する。
【0049】
また、本発明は、二つの基準領域に形成される凹凸形状が、それぞれの領域を重ね合わせた際に、凹部に対して凸部が、逆に凸部に対して凹部が嵌め合わされることから、二つの画像領域が平坦な面であっても、凹凸形状により適正な見当合わせが可能となり、潜像画像を確実に形成させることができる。
【0050】
また、本発明は、二つの基準領域に形成される凹凸形状が、それぞれの領域を重ね合わせて第一の潜像画像を出現させた後、その嵌め合わされたそれぞれの領域の凹部及び凸部を案内部(レール)として一定方向にずらすことが可能となるため、その案内に沿って基材をずらすことで、第二の潜像画像を確実に出現させることができる。
【0051】
また、本発明は、潜像画像を形成するための基準となる位置に、二つの潜像画像に対応して基準部が形成されているため、それぞれの潜像画像を出現させる位置を特定し易くなっている。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の真偽判別形成体の一例を示す図である。
【図2】本発明の真偽判別形成体対の一例を示す図である。
【図3】第1の基準領域及び第2の基準領域の拡大図である。
【図4】第1の基準要素及び第2の基準要素を説明する図である。
【図5】第1の基準領域と第2の基準領域を重ね合わせた状態を示す断面図である。
【図6】第1の画像形成領域及び第2の画像形成領域を説明する図である。
【図7】同一基材上に形成された画像形成領域を重ねる方法を示す図である。
【図8】第一の潜像画像及び第二の潜像画像を説明する図である。
【図9】各画像形成要素における潜像画像形成部を説明する図である。
【図10】面積率を異ならせることで構成した潜像画像形成部を説明する図である。
【図11】位相を異ならせることで構成した潜像画像形成部を説明する図である。
【図12】画線を用いた画像形成部を説明する図である。
【図13】穿孔を用いた画像形成部を説明する図である。
【図14】穿孔を用いた画像形成部の別の態様を説明する図である。
【図15】基準位置形成部を説明する図である。
【図16】基準位置形成部を用いて潜像画像を出現させた図である。
【図17】基準位置形成部の他の形状を説明する図である。
【図18】実施例1における真偽判別形成体である。
【図19】実施例1における潜像画像を説明する図である。
【図20】実施例1における基準領域の構成を説明する図である。
【図21】画像形成領域を説明する図である。
【図22】第一の潜像画像を形成する画像形成部を説明する図である。
【図23】第二の潜像画像を形成する画像形成部を説明する図である。
【図24】実施例2における真偽判別形成体対である。
【図25】実施例2における画像形成領域及び潜像画像を説明する図である。
【図26】実施例2における画像形成部を説明する図である。
【図27】実施例2における第一の潜像画像に対する潜像画像形成部を説明する図である。
【図28】実施例2における第二の潜像画像に対する潜像画像形成部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。しかしながら、本発明は以下に述べる発明を実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている技術事項の範囲内であれば、発明の実施の形態に適宜、変更を加えることもできる。
【0054】
図1は、本発明の真偽判別形成体(1)の一例を示す図である。本発明の真偽判別形成体(1)は、図1(a)に示すように、基材(2)の同一表面上の異なる領域又は図1(b)に示すように、基材の表裏の異なる面に、第1の基準領域(5)、第2の基準領域(6)、第1の画像形成領域(7)及び第2の画像形成領域(8)を有している。なお、図2に示すように、第1の基準領域(5)及び第1の画像形成領域(7)と、第2の基準領域(6)及び第2の画像形成領域(8)は、別々の基材上に形成されていても良い。別々の領域に形成されている場合についての詳細は後述する。
【0055】
第1の基準領域(5)、第2の基準領域(6)、第1の画像形成領域(7)及び第2の画像形成領域(8)を形成する基材については、紙、プラスチック、金属等、凹版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、凸版印刷又はインクジェット印刷等の各種印刷方式が可能な基材や、レーザ加工又はすき入れが施せる基材であれば特に限定されない。なお、基材全体が前述の材質でも良いが、第1の基準領域(5)、第2の基準領域(6)、第1の画像形成領域(7)及び第2の画像形成領域(8)を設ける領域のみが前述した材質でも良い。さらには、基材自体が透明又は半透明の場合には、基本的には第1の画像形成領域(7)及び第2の画像形成領域(8)に形成する各要素(後述する)を有色インキにより形成することとなるが、後述するように、機能性材料を用いて各画像形成領域を形成すれば、有色インキを用いなくても良い。また、基材が金属のような光透過性の低い材質の場合には、穿孔や切削により、基材を薄く加工したり、孔を開ける等の方法により形成することとなる。
【0056】
(基準領域)
本発明における潜像画像を形成して出現させるための見当合わせの役割を担う第1の基準領域(5)は、図3(a)に示すように、第1の基準要素(9)が第1の方向(S)に第1のピッチ(P)により複数配置されており、第2の基準領域(6)には、図3(b)に示すように、第2の基準要素(10)が第1の方向(S)と同じ方向に第2のピッチ(P)で複数配置されている。この第1の基準要素(9)と第2の基準要素(10)が万線状に配置されている第1の基準領域(5)と第2の基準領域(6)は、図3に示すように、単なる万線模様でも良く、後述するが、万線模様等を用いて有意味な情報として形成しても良い。
【0057】
本実施の形態では、第1のピッチ(P)と第2のピッチ(P)を、同一ピッチとして説明するが、第1のピッチ(P)と第2のピッチ(P)の関係については、必ずしも同じピッチでなければならないものではなく、一方の基準領域に形成された各基準要素同士の間に、重ねあわせた時に、他方の基準領域に形成された各基準要素が来るように配置されていれば良い。したがって、ピッチに規則性を持たせなくてもよいが、一方の基準領域の各基準要素のピッチに対して、他方の基準領域の各基準要素のピッチが整数倍であることが好ましい。
【0058】
さらに、第1のピッチ(P)と第2のピッチ(P)に規則性をもたせなくても良い例としては、第1の基準領域(5)に複数配置される第1の基準要素(9)の配置と、第2の基準領域(6)に複数配置される第2の基準要素(10)の配置を同一とする方法がある。例えば、一般的なバーコードのように、各画線(本発明における基準要素)同士が一定のピッチにより配置されるものではなく、コード情報に合わせて配置されているような構成であっても、二つの基準領域において、同じ配置で各基準要素が配置されていれば、それぞれの基準領域を重ね合わせた場合に、一方の基準要素の凹部に他方の基準要素の凸部が嵌ることとなり、逆に一方の基準要素の凸部に他方の基準要素の凹部が嵌ることとなる。したがって、本発明における二つの潜像画像を出現させるために、基材を指先でずらす行為に対して、レール的な役割を果たすことが可能となる。
【0059】
このように、二つの基準領域において、基準要素をバーコードのように情報を持たせて配置することで、本発明における二つの潜像画像の出現という偽造防止効果以外にも、バーコード情報という機械読み取りによる真偽判別も行うことが可能となる。
【0060】
この第1の基準要素(9)及び第2の基準要素(10)は、図3(a)のY−Y’における断面図である図3(c)に示すように凸形状又は凹形状である。
【0061】
第1のピッチ(P)及び第2のピッチ(P)については、50〜1200μmの範囲で形成し、好ましくは500μm±300μm程度である。ピッチが50μmよりも狭くなると、各基準要素の幅も狭くなり、併せて形成可能な凹凸形状が、適正な高さ又は深さを有することができなくなってしまうためであり、また、ピッチが1200μm以上となると、各基準要素同士を重ね合わせたときに、隙間が空いてしまい、潜像画像を適正に形成することが困難となってしまうからである。また、この凹形状の深さは基材自体の厚さに依存するため、凹形状を施されていない基材面から20〜80μmの範囲の深さに形成し、また、凸形状の高さは、インキの盛り状態にも限度があるため、インキで凸形状を付与する場合は、基材面から20〜80μmの範囲の高さで形成することが好ましい。
【0062】
図3では、第1の基準要素(9)及び第2の基準要素(10)を直線により形成しているが、直線に限定されるものではなく、図4(a)のように点線又は波線であっても良く、また画線に限定されるものではなく、図4(b)に示すように、網点、画素、図形又は文字によって形成しても良い。各基準要素を図4(b)のように網点、画素、図形又は文字によって形成する場合、一つの要素が肉眼では一本の画線として視認可能な程度に、隣り合う間隔を30〜60μm程度とすることが好ましい。
【0063】
また、各基準要素の画線、網点、画素、図形又は文字については、図4(c)に示すように、第1の基準要素(9)と第2の基準要素(10)を別々の形状、例えば、第1の基準要素(9)を画線で形成し、第2の基準要素(10)を網点で形成しても良く、また、図4(d)に示すように、第1の基準領域(5)及び第2の基準領域(6)のそれぞれの基準領域内において、各基準要素を画線、網点、画素、図形又は文字の組合せにより形成しても良い(一部図示しない)。さらには、図4(e)に示すように、複数配置された基準要素の一つの要素内において、画線、網点、画素、図形又は文字の組合せにより形成しても良い(一部図示しない)。なお、本実施の形態では、以下、第1の基準要素(9)及び第2の基準要素(10)が画線(直線)によって形成されていることとして説明する。
【0064】
この第1の基準要素(9)及び第2の基準要素(10)の形状について、凹形状とする場合には、基材に対してエンボス、レーザ加工又はすき入れにより形成し、凸形状とする場合には、印刷によりインキを付与することで形成するため、凹版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷又はフレキソ印刷を用いる。ただし、グラビア印刷及びフレキソ印刷によって各基準要素を形成する場合、インキ膜厚が不足する可能性もあるため、インキ膜厚を充分に確保するために、画線設計等の状況により、発泡インキのようにインキが盛り上がる作用などにより厚みが形成されるインキを用いて膜厚を確保することでも良い。また、凸版印刷やインクジェット印刷を用いることも可能ではあるが、これらの印刷方式では、グラビア印刷及びフレキソ印刷よりも、更にインキ膜厚が不足することが考えられることから、発泡インキを用いることが必要となる。
【0065】
発泡インキとは、インキ中に少なくとも発泡剤が配合されているインキであり、加熱することにより、配合してある発泡剤が発泡してインキ層が隆起するものである。この発泡インキには、プラスチゾルインキ、水性インキ又は有機溶剤型インキ等があるが、本発明では、インキが隆起して凸形状を形成すれば良いため、使用する種類は特に限定されない。
【0066】
また、本発明の真偽判別形成体(1)は、前述のとおり、第1の基準要素(9)及び第2の基準要素(10)が凹形状又は凸形状の形状を成しているため、第1の基準領域(5)と第2の基準領域(6)を重ね合わせた時には、図5に示した断面図のように、複数の第1の基準要素(9)から成る第1の基準領域(5)の凹部に、複数の第2の基準要素(10)から成る第2の基準領域(6)の凸部が合わさり、逆に、複数の第1の基準要素(9)から成る第1の基準領域(5)の凸部には、複数の第2の要素(10)から成る第2の基準領域(6)の凹部が合わさることとなるため、第一の潜像画像(11)が確認できた位置から第二の潜像画像(12)を確認できる位置までずらす際、この凹凸形状がレールの役割を成して、スムーズにずらすことが可能となる。
【0067】
なお、第1の基準領域の凹部及び凸部や第2の基準領域の凹部及び凸部は、図3のように、第1の基準要素(9)及び第2の基準要素(10)を凸形状の要素、例えば、インキで形成した場合、凸部は、インキにより盛り上がっている箇所を示し、凹部は、隣り合うインキ同士の間に位置している基材部分を示すものであり、基材自体を更に凹ませて形成していることを示すものではない。要素を凹形状により形成する場合には、その逆で、凹んだ箇所が凹部となり、基材自体が凸部となる。このレールの役割をする第1の基準要素(9)と第2の基準要素(10)の形状も、本発明の二つの潜像画像を確認できるための大きな特徴点であることは言うまでもない。
【0068】
(画像形成領域)
次に、本発明における画像形成領域について説明する。
画像形成領域は、図1(a)、(b)及び図2に示すように、前述した第1の基準領域(5)の近傍に第1の画像形成領域(7)が、また、第2の基準領域(6)の近傍に第2の画像形成領域(8)が配置されている。なお、この場合の近傍とは、基準領域を指で重ねて押さえたときに、それぞれの画像形成領域がしっかりと重ね合わされている位置関係であることが必要となるため、5〜20mm程度のことをいう。
【0069】
第1の画像形成領域(7)及び第2の画像形成領域(8)は、それぞれの画像形成領域を重ね合わせたときに、所望する二つの潜像画像を形成するため、図1又は図2に示すように、第1の画像形成領域(7)には第1の画像形成要素(13)が配置され、第2の画像形成領域(8)には、第2の画像形成要素(14)が配置されている。
【0070】
潜像画像を形成するための各画像形成要素の構成について説明する。まず、各画像形成要素を画線によって形成する場合、第1の画像形成領域(7)については、図6(a)に示すように、第1の画像形成要素(13)が第2の方向(S)に複数規則的に配置されており、第2の画像形成領域(8)については、図6(b)に示すように、第2の画像形成要素(14)が第2の方向(S)と同じ方向に複数規則的に配置されている。なお、本発明では、一つの潜像画像を形成した後、基材を、基準領域を形成している各基準要素が配置されている第1の方向(S)に対して、垂直方向にずらして二つ目の潜像画像を形成するため、第2の方向(S)は、第1の方向(S)に対して垂直の方向となる。なお、図6では、各画像形成要素が画線によって形成されているが、画線に限定されるものではなく、網点、画素及び穿孔のうち一つ又はそれらの組合せによって形成することも可能である。
【0071】
本発明の真偽判別形成体(1)を図1(a)におけるX−X’の位置において折り曲げ、第1の基準領域(5)と第2の基準領域(6)及び第1の画像形成領域(7)と第2の画像形成領域(8)を、図7(a)に示したように重ね合わせると、図8(a)に示す第一の潜像画像(11)が確認でき、その位置から第2の方向(S)にずらすと、図8(b)に示す第二の潜像画像(12)が確認できる。また、図1(b)のように、第1の基準領域(5)と第1の画像形成領域(7)を基材の一方の面に形成し、第2の基準領域(6)と第2の画像形成領域(8)を基材の他方の面にそれぞれ形成した場合には、図7(b)に示すように、基材を丸めて表裏の各領域を重ね合わせれば良い。
【0072】
なお、本発明の第1の基準要素(9)及び第2の基準要素(10)が凹形状又は凸形状を成していることから、それぞれの要素を重ね合わせたときに、前述したように、各基準要素がレールの役割をするため、各基準要素と平行する方向、いわゆる、第2の方向(S)にずらし易く、第1の方向(S)には、この凹形状又は凸形状が壁となってずらしにくくなる。また、重ね合わせた際に確認できる潜像画像は、重ね合わせた基材を透過光により観察することが殆どであるが、例えば、基材が透明又は半透明の基材の場合、基材を透かして見なくとも、重ね合わせた段階で潜像画像が確認できることもある。
【0073】
図9は、第1の画像形成領域(7)の構成を説明するための図である。第1の画像形成領域(7)には、第1の画像形成要素(13)が画線によって第2の方向(S)に複数配置されている。この第1の画像形成要素(13)は、第一の潜像画像(11)及び第二の潜像画像(12)の一部を形成するために、第1の画像形成要素(13)に対して、同一範囲内において面積率を異ならせて潜像画像形成部(15)を形成している。なお、本実施の形態における図9(a)では、第1の画像形成要素(13)を画線によって形成しているため、図9(a)の一部拡大図である図9(b)に示すように、画線幅を部分的に異ならせることで、第一の潜像画像(11)の一部を構成する潜像画像形成部(15a1)と、第二の潜像画像(12)の一部を構成する潜像画像形成部(15b1)を形成している。ただし、本発明における潜像画像形成部(15)の構成は、これに限定されるものではない。
【0074】
そこで、潜像画像形成部(15)の構成の態様の一例を図10及び図11に示す。図10の(a)及び(b)は、第1の画像形成要素(13)を画線により形成し、画線幅の一部を異ならせている。図10(a)は、基本とする画線幅に対して、潜像画像形成部(15)の部分のみの画線幅を太くして形成しており、図10(b)は、基本とする画線幅に対して、潜像画像形成部(15)の部分のみの画線幅を細くして形成してある。なお、本発明における画像形成要素を同一範囲内において面積率を異ならせて潜像形成部を形成するとは、図10(a)のように、同一画線において、同一の範囲内(Z)の画線面積率が異なっている状態を示す。また、図10(c)は、第1の画像形成要素(13)を網点により形成しているもので、網点の大小により、潜像画像形成部(15)を形成した例である。
【0075】
また、潜像画像形成部(15)の構成については、画像形成要素を同一範囲内において面積率を異ならせる以外にも、図11に示すように、画像形成要素を部分的に位相を異ならせることで形成することも可能である。図11(a)〜(c)は、画像形成要素を画線で形成する場合であるが、図11(a)は、連続的な画線により、部分的に位相を異ならせた場合で、いわゆる、レリーフ画線と呼ばれるものであり、図11(b)は、画線を段階的に位相を異ならせて潜像画像形成部を形成したものであり、さらに図11(c)は、潜像画像形成部の画像形成要素が他の画像形成要素と離れて配置されているものである。
【0076】
各要素の形状については、画線、網点、画素、図形又は文字のいずれでも構わないことは前述したとおりであるが、位相を異ならせる場合においても同様であり、例えば、図11(d)のように、画像形成要素を同一の面積率を有する網点により形成しても良い。
【0077】
各画像形成要素を用いて潜像画像形成部を形成する方法として、画像形成要素の一部の面積率を異ならせることを説明したが、前述した基準要素と同様、一つの画像形成領域内において、全ての画像形成要素を同じ方法により潜像画像形成部を形成しなくても良く、また、画像形成要素ごとに異なる方法を用いて潜像画像形成部を形成しても良い。
【0078】
第一の潜像画像を形成した後、基材を所定の距離だけずらして第二の潜像画像を形成することとなるが、前述したように、第1の基準領域と第2の基準領域の各要素の凹凸形状をレール的な役割として利用し、一定方向(第1の方向と垂直方向であり、いわゆる、第2の方向)にスムーズなずらしをするものであるため、各画像形成要素は、そのずらしを妨げるものであってはならない。そこで、各画像形成要素を印刷により形成する場合は、基材に対してあまり凹凸形状を有するような形状とならない形成方法とすることが必要となり、そのために、オフセット印刷、凸版印刷又はインクジェット印刷により形成することが好ましい。ただし、凹版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷又はフレキソ印刷によっても形成することは可能であるが、基準要素の凹凸形状よりも、要素の高さを低く又は深さを浅く形成することが必要となる。
【0079】
また、画像形成要素をレーザ加工により穿孔として形成することも可能である。この場合には、基材を貫通した孔でも良く、また、基材の一部をレーザ加工により除去した非貫通のものでも良いが、いずれの場合も、本発明では、穿孔により形成された画像形成部とする。レーザ加工による穿孔の場合には、前述のように、第1の画像形成領域(7)と第2の画像形成領域(8)に、第一の潜像画像(11)及び第二の潜像画像(12)を部分的に分割して形成することも可能であるが、透過光量の差異により潜像画像を形成することも可能なため、両方の領域に同じように潜像画像形成部を形成しても良い。レーザ加工の穿孔により画像形成部を形成する場合についての詳細は、後述する。
【0080】
第1の画像形成領域(7)と第2の画像形成領域(8)における各画像形成部の構成について説明する。図12に示すように、第1の画像形成領域(7)においては、第一の潜像画像(11)に対する潜像画像形成部(15a1)と、第二の潜像画像(12)に対する潜像画像形成部(15b1)が、画線幅を異ならせて形成されていることとなる。また、第2の画像形成領域(8)においては、第一の潜像画像(11)に対する潜像画像形成部(16a1)と、第二の潜像画像(12)に対する潜像画像形成部(16b1)が、画線幅を異ならせて形成されている。なお、第1の画像形成領域(7)に形成されているそれぞれの潜像画像に対する潜像画像形成部(15)は、第2の画像形成領域(8)のそれぞれの潜像画像に対する潜像画像形成部(16)と重ね合わされた時に、それぞれの潜像画像を形成するため、一つずつの領域に形成されている潜像画像形成部だけでは、無意味な情報である。
【0081】
例えば、図8(a)に示す第一の潜像画像(11)、ここでは「A」という文字を任意に2分割して、一方を図12(a)のような潜像画像形成部(15a1)の形状とし、他方を図12(c)のような潜像画像形成部(16a1)の形状とする。同様に、図8(b)に示す第二の潜像画像(12)、ここでは「D」という文字を任意に2分割して、一方を図12(b)のような潜像画像形成部(15b1)の形状とし、他方を図12(d)のような潜像画像形成部(16b1)の形状とする。なお、第2の画像形成領域(8)に形成する潜像画像形成部(16)は、重ね合わせたときに、図12(a)及び(b)と重なって潜像画像を形成することとなるため、図12(c)及び(d)のように左右方向に反転した状態となっている。
【0082】
なお、第1の画像形成要素(13)及び第2の画像形成要素(14)の画線幅については、30〜1000μmの範囲で形成するが、あまり画線幅を太くすると、違和感のある模様となったり、潜像画像形成部自体が確認されてしまうため、250±150μmの範囲、いわゆる、画線ピッチの約半分の画線幅で形成することが好ましい。
【0083】
本発明における効果として、第一の潜像画像(11)が確認された位置から所定の距離だけ第2の方向(S)に基材をずらすことで、第二の潜像画像(12)を確認することが可能となるため、各領域内において、第一の潜像画像に対する潜像画像形成部と第二の潜像画像に対する潜像画像形成部は、第2の方向(S)に所定の距離だけ離れた位置に形成する必要がある。この所定の距離については、ずらし量として必要な少なくとも500μm以上であれば良く、その上限は、それぞれの領域内の範囲であれば限定されないが、領域を基材上において広く取りすぎると、デザイン的に好ましくはないことと、本発明の目的が、第一の潜像画像(11)が確認できた位置から指によって若干ずらすだけで別の第二の潜像画像(12)が確認できるというところにあるため、実際には、10mm以下が好ましい。
【0084】
次に、レーザ加工の穿孔により潜像画像形成部を形成する例を図13及び図14に示す。まず、図13においては、第1の画像形成領域(7)と第2の画像形成領域(8)に、第一の潜像画像(11)と第二の潜像画像(12)の各一部分を分割して形成した場合を示す図であり、図13では、代表して第一の潜像画像(11)のみについて説明する。図13(a)は、第1の画像形成領域(7)に第1の画像形成要素(13)として、レーザ加工により第一の潜像画像(11)である「A」の一部が貫通孔として形成されている状態で、図13(b)は、第2の画像形成領域(8)に、第1の画像形成領域(7)に形成してある第一の潜像画像(11)である「A」の一部以外の部分が貫通孔として形成してある状態を示している。なお、各領域に穿孔により形成してある画像形成部は、肉眼により反射光で視認しても、確認が困難な40〜100μm程度の大きさで形成されており、図13(a)と図13(b)の各領域の画像形成部を、基材を折り曲げて重ね合わせると、図13(c)に示すように、穿孔により形成されている画像形成部と他の基材部分との透過光量の差により、図13(d)のような第一の潜像画像(11)が透過光により確認できる。肉眼では視認が困難な程度の穿孔の大きさであるが、この画像形成部をカモフラージュするために、それぞれの画像形成領域に地紋模様等の模様を施しても良い。
【0085】
また、同じ穿孔を利用して画像形成部を構成する方法として、別の態様としては図14に示すような方法でも可能である。図14は、図13に示した画像形成要素の他に、各画像形成領域に、画像形成部を形成する画像形成要素と同じ大きさの穿孔によって無意味な穿孔(以下、「ダミー穿孔」という。)を多数施してある。図面上では、説明上、画像形成部を黒色によって示しているが、実際の基材上では、他の穿孔と区別はつかない。
【0086】
この図14(a)のように、多数のダミー穿孔(17)が非貫通孔として施されている中に、第一の潜像画像(11)となる「A」という文字が、第1の画像形成要素(13)として非貫通で施されている。この第1の画像形成領域(7)に形成されている「A」という文字と同じ大きさ及び形状の「A」という文字が、第2の画像形成領域(8)にも第2の画像形成要素(14)として非貫通で形成されているのが図14(b)である。図14(b)の第2の画像形成領域(8)においても、第一の潜像画像(11)である「A」という文字を形成するための画像形成部以外の箇所には、ダミー穿孔(18)が多数配置されている。
【0087】
この二つの領域を重ね合わせたときの断面図が図14(c)である。二つ領域に形成されている各画像形成部は、基材を所定の位置によって折り曲げて重ね合わせると、それぞれの領域に配置されている各画像形成部は同じ位置にくることとなり、それぞれの「A」という文字が完全に一致して重なる。他のダミー穿孔(17)及び(18)は、各領域の穿孔同士が同じ位置で重なることがないように配置してあるため、図14(c)に示すように、画像形成部の「A」という文字の箇所だけが光透過量が多くなり、透過光下において、他のダミー穿孔との区別がつき、図14(d)のように、第一の潜像画像である「A」が確認できることとなる。
【0088】
なお、この場合、画像形成部を形成する穿孔及び他の箇所に配置されているダミー穿孔(17)及び(18)は、前述したように、基材を貫通していても、非貫通でも、また、それらの組合せでも構わない。出現させたい潜像画像が、二つの領域を重ね合わせた時に、完全に同じ位置に当てはまるように画像形成部がそれぞれの領域に配置されており、かつ、他のダミー穿孔(17)及び(18)が重なり合わないように、各領域に配置されていれば良い。
【0089】
(基準位置形成部)
本発明の真偽判別形成体(1)は、第1の基準要素(9)及び第2の基準要素(10)が凹形状又は凸形状の形状を成していることから、重ね合わせた際に、それぞれの領域に形成された凹部に対する凸部及び凸部に対する凹部がレール的な役割をして各潜像画像を確認し易くなっていることを、既に図5により説明したところであるが、より一層、潜像画像を確認し易くするため、各基準領域内にそれぞれの潜像画像を形成させるための基準位置となる部位を設けても良い。次に、この基準位置となる部位について説明する。
【0090】
基準位置となる部位は、図15(a)に示すように、第1の基準領域(5)内に形成された部位を第1の基準位置形成部(19)とし、第1の基準領域(5)に第2の基準領域(6)を重ね合わせた時に、その第1の基準位置形成部(19)に対応する位置にある第2の基準領域(6)内に形成された部位を、図15(b)のように第2の基準位置形成部(20)とする。ここで、第1の基準位置形成部(19)及び第2の基準位置形成部(20)について図16を用いて説明する。
【0091】
図16(a)は、第1の基準要素(9)と第2の基準要素(10)が重ね合わされた際の第1の基準部(13)と第2の基準部(14)の状態を上方から見た拡大図である。第1の基準要素(9)には、一部に第一の潜像画像(11)を形成する基準位置となる第1の特定部(21)を形成する。また、その第一の潜像画像(11)が形成された位置である第1の特定部(21)から、基材を第2の方向(S)にずらして第二の潜像画像(12)を形成する位置に第2の特定部(22)を形成する。
【0092】
このとき、第1の基準位置形成部(19)が形成されている第1の基準要素(9)に対応する第2の基準要素(10)に対して、第2の基準位置形成部(20)を形成する。この第2の基準位置形成部(20)を形成することで、第1の特定部(21)が第2の基準位置形成部(20)のストッパーとなり、第2の基準位置形成部(20)が第1の特定部(21)に接した位置で、第一の潜像画像(11)が形成され、明瞭に確認できることとなる。
【0093】
また、その位置からそれぞれの要素の凹凸形状をレールの役割としながら、図16(b)のように、第2の方向(S)にずらしていった際に、第2の基準位置形成部(20)が第2の特定部(22)に接した位置で、第2の特定部(22)がストッパーとなり、ずらしていく方向に負荷が掛かることとなるため、その位置でずらしをやめると、第二の潜像画像(12)が形成され、明瞭に確認できることとなる。
【0094】
本実施の形態では、第1の基準領域(5)に第1の特定部(21)及び第2の特定部(22)から成る第1の基準位置形成部(19)を形成し、第2の基準領域(6)に第2の基準位置形成部(20)を形成したが、逆に、第2の基準領域(6)に第1の特定部(21)及び第2の特定部(22)から成る第1の基準位置形成部(19)を形成し、第1の基準領域(5)に第2の基準位置形成部(20)を形成しても良い。また、図16では、第1の基準位置形成部(19)及び第2の基準位置形成部(20)をそれぞれの基準要素と接した状態で形成しているが、潜像画像を視認可能に形成するためのストッパーとしての機能を有すれば良いため、図17(a)のように離れて形成しても良く、図17(b)のように、第1の基準要素(9)と異なる形状の網点や画素で形成しても良い。
【0095】
以上、本発明の真偽判別形成体(1)において、第1の基準領域(5)と第1の画像形成領域(7)及び第2の基準領域(6)と第2の画像形成領域(8)を同一基材上に形成する場合で説明してきたが、図2のように、本発明は、第1の基準領域(5)及び第1の画像形成領域(7)と、第2の基準領域(6)及び第2の画像形成領域(8)を別々の基材上に形成することも可能である。さらに、第1の基準領域(5)及び第2の基準領域(6)は、一対の最小単位で形成する必要はなく、適宜、同一基材上の表裏に第1の基準領域(5)や第2の基準領域(6)を複数設けることが可能である。その領域内においても、第1の基準要素(9)及び第2の基準要素(10)として、凹形状又は凸形状のどちらかを用いるのではなく、その基準要素として凹形状や凸形状の両方から成ることも可能である。
【0096】
別々にそれぞれの領域を形成する場合には、例えば、一方を市場で流通される銀行券、有価証券や商品券等の貴重印刷物とし、他方を簡易的な判別具として、窓口業務を請け負うところで保管しておくことでも良く、また、別の態様としては、例えば、一方の領域を一万円札に形成し、他方の領域を異なる金額の五千円札に形成することで、消費者が手持ちの札により、簡易的に真偽判別が行えることになる。
【0097】
また、前述では、同一の基材上の異なる領域に、第1の基準領域(5)及び第1の画像形成領域(7)と、第2の基準領域(6)及び第2の画像形成領域(8)の大きく分けて二つの領域を形成した場合で説明したが、第1の基準領域(5)及び第1の画像形成領域(7)を基準として、第3の基準領域及び第3の画像形成領域を更に別の領域に設け、第1の画像形成領域(5)及び第2の画像形成領域(6)で形成した二つの潜像画像とは異なる新たな二つの潜像画像、いわゆる、第三の潜像画像及び第四の潜像画像を第3の画像形成領域を用いて形成することも可能であることは言うまでもない。この場合には、第1の画像形成領域(5)内に、第1の画像形成要素(13)によって、第2の画像形成領域と重ね合わせて形成するための第一の潜像画像及び第二の潜像画像の一部と、第3の画像形成領域と重ね合わせて形成するための第三の潜像画像及び第四の潜像画像の一部を併せて形成しておけば良い。
【0098】
この第3の画像形成領域を形成するという考え方を、前述した別々の基材に形成する場合に用いれば、第1の画像形成領域を一万円札に形成し、第2の画像形成領域を五千円札に形成し、第3の画像形成領域を千円札に形成することで、券種毎に、消費者が簡易的に真偽判別を行えることとなる。
【0099】
また、第1の画像形成領域を形成している第1の画像形成要素の一部の面積率を異ならせ又は位相を異ならせることで、潜像画像の一部を構成するための潜像画像形成部を形成することについて説明したところであるが、この潜像画像形成部とは異なり、第1の画像領域内に有意味情報として第1の模様を形成することも可能である。この第1の模様は、潜像画像形成部以外の第1の画像形成要素において、画像形成要素の一部の面積率を異ならせ又は位相を異ならせて、有意味情報として形成すれば良い。第2の画像形成領域内に第2の模様を形成する場合も同様である。
【0100】
次に、本発明の別の態様となる機能性材料を用いた真偽判別形成体について説明する。潜像画像を形成する画像形成要素に対して、機能性材料、特に赤外線吸収特性を有する材料により形成することで、赤外光を用いた真偽判別も可能となる。この赤外線吸収特性を基材に付与する方法としては、凹版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、オフセット印刷又はインクジェット印刷等によりインキとして基材上に付与する。
【0101】
この機能性材料を用いて潜像画像を形成する方法としては、前述したように、各画像形成領域に赤外線吸収特性を有する有色インキにより、画線、網点、画素、文字又は記号のいずれか一つ又はそれらの組合せによって画像形成部を形成し、透過光下において観察した潜像画像と同様の潜像画像が、赤外光下においても確認できるものとしても良いが、赤外線吸収特性を有するインキを無色透明としておくことで、肉眼では潜像画像が確認できないところを、赤外光下でのみ確認できるということも可能となる。
【0102】
この場合でも、潜像画像を出現させるために、それぞれの基準領域が形成されていることが当然必要となるが、逆に、この基準領域が設けられていることにより、画像形成領域が無色透明のインキによって形成されていても、確実に潜像画像を出現させることが可能となる。なお、基準領域については、画像形成領域を付与したインキの色の有無に関係なく、有色のインキによって形成しても良く、また、無色透明のインキによって形成しても良く、さらには、インキを用いず、エンボス、レーザ加工又はすき入れによって形成されていても良いことは、既に説明したとおりである。
【0103】
赤外線吸収特性を有するインキにより各画像形成領域が形成された真偽判別形成体(1)について、第1の基準領域(5)及び第1の画像形成領域(7)と、第2の基準領域(6)及び第2の画像形成領域(8)を重ね合わせた状態で赤外光を照射すると、所定の位置で第一の潜像画像(11)が確認でき、その位置から第2の方向(S)にずらすと、第二の潜像画像(12)が確認できる。これらの潜像画像が確認できた場合には、真正品として判断することが可能となる。このように、潜像画像を可視光下で確認し、更なる真偽判別を行うために機能性材料を用いる場合には、機能性として赤外吸収特性に限定されるものではなく、例えば、赤外線で反射又は透過する材料や紫外線で発光する材料、温度により変色する2色性のサーモクロミック(示温)材料又は応力によって発色する材料を用いることでも良い。
【0104】
以下、本発明における真偽判別形成体について、実施例を用いて詳細に説明するが、以下の実施例に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的な範疇であれば、適宜、変更しても本発明に含まれることは言うまでもない。
【実施例1】
【0105】
実施例1として、図18に示す商品券である真偽判別形成体(23)に対して、両端の下部に印刷された二つの領域に潜像画像を形成した。第1の画像形成領域(26)は、左下部に印刷された彩紋模様の中央部に形成し、その彩紋模様の近傍に第1の基準領域(24)を形成した。また、第2の画像形成領域(27)は、右下部に印刷された彩紋模様の中央部に形成し、その彩紋模様の近傍に第2の基準領域(25)を形成した。
【0106】
潜像画像としては、第一の潜像画像(28)を図19(a)に示すような「千円」の文字とし、第二の潜像画像(29)を図19(b)に示すような「OK」の文字としている。
【0107】
各領域の詳細構成について説明する。まず、基準領域については、図20(a)に示すように、第1の基準領域(24)において、第1の基準要素(30)を画線によって複数第1の方向(S)に第1のピッチ(P)で配置し、横万線状に形成してある。また、図20(b)に示すように、第2の基準領域(25)において、第2の基準要素(31)を画線によって複数第1の方向(S)に第2のピッチ(P)で配置し、横万線状に形成してある。なお、本実施例1においては、第1のピッチ(P)と第2のピッチ(P)は、同じピッチとしている。また、いずれの基準要素も、図面上では目視可能な色彩により形成されているが、実際は、デザイン上目立たないように、無色透明インキを用いて凹版印刷により、画線幅を200μm、第1のピッチを500μm、画線高さを50μmとしている。
【0108】
また、第1の基準領域(24)内において、第1の基準位置形成部(32)を第1の基準要素(30)の画線幅を一部太くして形成してあり、第2の基準領域(35)内において、第2の基準位置形成部(33)を第2の基準要素(31)の画線幅を一部太くして形成してある。なお、第1の基準位置形成部(32)は、第1の特定部(34)と第2の特定部(35)から成り、それぞれの特定部は、共に基本となる第1の基準要素(30)の画線より100μmの高さ(h)を有し、かつ、200μmの幅(w)を有している。同様に、第2の基準部(31)も、基本となる第2の要素(29)の画線よりも100μmの高さ(h)を有し、かつ、200μmの幅(w)を有している。
【0109】
ここで言う、各基準部の高さ及び幅とは、図20(c)に示すように、高さとは、例えば、第1の基準要素に対して突出している基準位置形成部の画線幅に該当し、図中の(h)のことであり、また、幅とは、各基準位置形成部の長さに該当し、図中の(w)のことである。第1の基準位置形成部(32)における第1の特定部(34)と第2の特定部(35)の間隔は、第一の潜像画像と第二の潜像画像が形成されている間隔と同じ距離となる1.6mmとなっている。
【0110】
本実施例1では、同一基材上の同一面に基準領域が設けられていることから、それぞれの基準位置形成部は、基材を折り曲げた際に、第一の潜像画像(28)及び第二の潜像画像(29)が形成可能な位置となるよう、各領域において対応した位置に形成されている。
【0111】
図18に示した彩紋模様の中央部に形成された第1の画像形成領域(26)及び第2の画像形成領域(27)のみを拡大したのが図21であり、彩紋模様、第1の画像形成領域(26)及び第2の画像形成領域(27)は、いずれも青色インキを用いてオフセット印刷により印刷されている。第1の画像形成領域(26)は、第1の画像形成要素(36)を画線によって複数第2の方向(S)に第3のピッチ(P)で配置し、縦万線状に形成してある。また、図21(b)に示すように、第2の画像形成領域(27)において、第2の画像形成要素(37)を画線によって複数第2の方向(S)に第4のピッチ(P)で配置し、万線状に形成してある。なお、本実施例1においては、第3のピッチ(P)と第4のピッチ(P)は、同じピッチとしている。
【0112】
二つの領域の彩紋模様は、それぞれ画線幅が100μmで形成されており、彩紋模様の中央部に形成されている第1の画像形成要素(36)及び第2の画像形成要素(37)は、画線幅200μmで、ピッチが500μmとなっている。
【0113】
第1の画像形成領域(26)においては、図21(c)の第1の画像形成要素(36)の一部拡大図のように、第1の画像形成要素(36)の画線を部分的に太くすることで第一の潜像画像に対する潜像画像形成部(38)を形成し、また、第1の画像形成要素(36)の画線を部分的に細くすることで第二の潜像画像に対する潜像画像形成部(39)を形成している。同様に、第2の画像形成領域(27)においては、第2の画像形成要素(37)の画線を部分的に太くすることで、第1の画像形成領域で形成されている第一の潜像画像に対する潜像画像形成部(38)以外の潜像画像形成部(40)を形成し、また、第2の画像形成要素(36)の画線を部分的に細くすることで、第1の画像形成領域で形成されている第二の潜像画像に対する潜像画像形成部(39)以外の潜像画像形成部(41)を形成している。
【0114】
それぞれの画像形成領域に形成されている第一の潜像画像を形成するための画像形成部(38)及び(40)は、第1の画像形成要素(36)及び第2の画像形成要素(37)の画線幅よりも100μm太い画線となっており、逆に、第二の潜像画像を形成するための画像形成部(39)及び(41)は、第1の画像形成要素(36)及び第2の画像形成要素(37)の画線幅よりも100μm細い画線となっている。
【0115】
図21で示した第1の画像形成領域(26)及び第2の画像形成領域(27)に対して、第一の潜像画像に対する潜像画像形成部のみを取り出したのが図22である。図22(a)は、第1の画像形成要素(36)により形成された第一の潜像画像に対する潜像画像形成部(38)を示し、図22(b)は、第2の画像形成要素(37)により形成された第一の潜像画像に対する潜像画像形成部(40)を示している。また、図21に示した第1の画像形成領域(26)及び第2の画像形成領域(27)に対して、第二の潜像画像に対する潜像画像形成部のみを取り出したのが図23である。図23(a)は、第1の画像形成要素(36)により形成された第二の潜像画像に対する潜像画像形成部(39)を示し、図23(b)は、第2の画像形成要素(37)により形成された第二の潜像画像に対する潜像画像形成部(41)を示している。
【0116】
なお、説明上、図22においては、第一の潜像画像に対する第1の画像形成領域(26)に形成されている画像形成部(38)と第2の画像形成領域(27)に形成されている画像形成部(40)とを、異なる色により図示しているが、実際は、第1の画像形成要素及び第2の画像形成要素を印刷している青色の同色となっている。また、図23においては、第二の潜像画像を形成するための各画像形成部(39)及び(41)を、図22同様、異なる色により図示しているが、実際は、画線幅が他よりも細くなって形成されていることから、オフセット印刷により画像形成要素を印刷していない部分を示すもので、基材の色が視認されるところである。
【0117】
さらに、第1の画像形成領域(26)及び第2の画像形成領域(27)において、それぞれ第一の潜像画像(42)を形成するための画像形成部(38)と(40)と、第二の潜像画像(43)を形成するための画像形成部(39)と(41)とが、第2の方向(S)に1.6mmの間隔を空けて形成されている。これは、第一の潜像画像(42)を視認できる位置から、第2の方向(S)に1.6mmずらすことで第二の潜像画像(43)が視認できるように設計したためである。
【0118】
本実施例1の商品券(23)を折り曲げて、第1の基準領域(24)及び第1の画像形成領域(26)を有する彩紋模様と、第2の基準領域(25)及び第2の画像形成領域(27)を有する彩紋模様を重ね合わせ、第1の基準位置形成部(32)における第1の特定部(34)と第2の基準位置形成部(33)が接する位置で、図22(c)に示すような第一の潜像画像(42)が透過光により確認できた。さらにその位置から、各基準要素である画線が複数配置されている第1の方向(S)に対して垂直方向、いわゆる、第2の方向(S)に基材を若干(1.6mm)ずらし、第2の基準位置形成部(33)が第2の特定部(35)に接する感覚を指先に感じたところで、図23(c)に示すような第二の潜像画像(43)を確認することができた。
【実施例2】
【0119】
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例2については、商品券(44)において、図24(a)に示すように、左下部に彩紋模様を黄色インキを用いてオフセット印刷により印刷し、その中央部に微細な貫通孔をレーザ加工により施して第1の画像形成領域(45)を形成した。さらに、彩紋模様から10mmのところに第1の基準領域(46)を形成した。また、図24(b)のように、別の基材となる判別具(47)において、第2の画像形成領域(48)内に微細な貫通孔をレーザにより施して第2の画像形成領域(48)を形成し、その近傍となる10mm離れたところに第2の基準領域(49)を形成した。なお、各基準領域は、実施例1と同様の構成であることから、説明は省略する。
【0120】
本実施例2の商品券(44)に形成されている第1の画像形成領域(45)及び第2の画像形成領域(48)について説明する。それぞれの領域を拡大したのが図25(a)及び(b)である。図25(a)に示すように、彩紋模様の中央部に、第1の画像形成要素(52)を微細な貫通孔としてレーザにより施して第1の画像形成領域(45)を形成した。また、図25(b)に示すように、第2の画像形成要素(53)を微細な貫通孔としてレーザにより施して第2の画像形成領域(48)を形成した。なお、図25(b)における点線囲みについては、領域を図示するために記載したものであり、実際には存在しない。本実施例2においては、第一の潜像画像(50)を図25(c)に示す「五千」とし、第二の潜像画像(51)を図25(d)に示す「5000」とした。
【0121】
第1の画像形成領域(45)には、図26(a)に示すように、第一の潜像画像(50)の一部を構成する画像形成部(54)と第二の潜像画像(51)の一部を構成する画像形成部(55)を、第2の方向(S)に1mmの間隔を空けて形成した。また、第2の画像形成領域(48)には、図26(b)に示すように、第1の画像形成領域(45)に形成した第一の潜像画像(50)の一部を構成する画像形成部(54)以外の画像形成部(56)と、やはり、第1の画像形成部(45)に形成した第二の潜像画像(51)の一部を構成する画像形成部(55)以外の画像形成部(57)を、第2の方向(S)に1mmの間隔を空けて形成した。なお、図26についても、実施例1と同様、説明上理解し易いように、各画像形成要素の色及び形を変えて図示しているが、実際には、いずれも同じ直径を有する貫通孔である。
【0122】
図26で示した第1の画像形成領域(45)及び第2の画像形成領域(48)に対して、第一の潜像画像に対する潜像画像形成部(56)のみを取り出したのが図27である。図27(a)は、第1の画像形成要素(52)により形成された第一の潜像画像(50)に対する潜像画像形成部(54)を示し、図27(b)は、第2の画像形成要素(53)により形成された第一の潜像画像(50)に対する潜像画像形成部(56)を示している。また、図26に示した第1の画像形成領域(45)及び第2の画像形成領域(48)に対して、第二の潜像画像(51)に対する潜像画像形成部のみを取り出したのが図28である。図28(a)は、第1の画像形成要素(52)により形成された第二の潜像画像(51)に対する潜像画像形成部(55)を示し、図28(b)は、第2の画像形成要素(53)により形成された第二の潜像画像(51)に対する潜像画像形成部(57)を示している。
【0123】
各領域に形成した画像形成要素は、前述のとおり、レーザにより直径80μmの貫通孔とした。この画像形成要素の貫通孔は微細なため、肉眼により反射光下では視認困難となっているが、基材を透かして透過光により確認すると、肉眼でも透過光量の差によって、貫通孔が施されていないところとの区別ができる。彩紋模様内に配置されている第1の画像形成領域(45)及び第1の基準領域(46)と、判別具(47)の第2の画像形成領域(48)及び第2の基準領域(49)を重ね合わせて、ちょうど両方の基準位置形成部が接する状態で重ね合わされた位置で、第一の潜像画像(50)が透過光により確認でき、その位置から各基準要素である凸状の画線が平行に配置されているのと同じ平行方向(いわゆる、第2の方向(S)に基材を若干(1mm)ずらして、第2の基準位置形成部が第2の特定部に接する感覚を感じたところで第二の潜像画像(51)を確認することができた。
【符号の説明】
【0124】
1、23 真偽判別形成体
2 基材
3、44 真偽判別形成体対の一方の形成体(商品券)
4、47 真偽判別形成体対の他方の形成体(判別具)
5、24、46 第1の基準領域
6、25、49 第2の基準領域
7、26、45 第1の画像形成領域
8、27、48 第2の画像形成領域
9 第1の基準要素
10 第2の基準要素
11、28、42、50 第一の潜像画像
12、29、43、51 第二の潜像画像
13、30、36、52 第1の画像形成要素
14、31、37、53 第2の画像形成要素
15 第1の画像形成領域の潜像画像形成部
16 第2の画像形成領域の潜像画像形成部
15a、16a、38、40、54、56 (第一の潜像画像に対する潜像)画像形成部
15b、16b、39、41,55、57 (第二の潜像画像に対する潜像)画像形成部
17、18 画像形成領域に形成されているダミー穿孔
19、32 第1の基準位置形成部
20、33 第2の基準位置形成部
21、34 第1の特定部
22、35 第2の特定部
第1のピッチ
第2のピッチ
第3のピッチ
第4のピッチ
第1の方向
第2の方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の同一表面上及び/又は異なる面に、凹形状及び/又は凸形状の要素から成る二つの基準領域が形成され、前記二つの基準領域のそれぞれの領域の近傍に、二つの潜像画像を形成するための画像形成領域が形成され、前記二つの基準領域及び前記画像形成領域を重ね合わせたときに、前記二つの潜像画像が視認可能な真偽判別形成体であって、
前記二つの基準領域のうち、第1の基準領域は、前記凹形状及び/又は凸形状の第1の基準要素が第1の方向に第1のピッチで複数配置され、
前記二つの基準領域のうち、第2の基準領域は、前記凹形状及び/又は凸形状の第2の基準要素が前記第1の方向と同じ方向に第2のピッチで複数配置され、
前記第1の基準領域の近傍に形成された第1の画像形成領域には、第一の潜像画像を構成する潜像画像形成部及び第二の潜像画像を構成する潜像画像形成部が第1の画像形成要素によって形成され、前記第2の基準領域の近傍に形成された第2の画像形成領域には、第一の潜像画像を構成する潜像画像形成部及び第二の潜像画像を構成する潜像画像形成部が第2の画像形成要素によって形成され、
前記第1の画像形成領域における前記第一の潜像画像及び前記第二の潜像画像を構成する二つの潜像画像形成部と、前記第2の画像形成領域における前記第一の潜像画像及び前記第二の潜像画像を構成する二つの潜像画像形成部は、それぞれの画像形成領域内において、前記第1の方向に対して垂直方向に所定の距離だけ離れて形成され、
前記第1の画像形成領域と前記第2の画像形成領域を重ね合わせ、かつ、前記複数の第1の基準要素から成る第1の基準領域の凹部に、前記複数の第2の基準要素から成る第2の基準領域の凸部が、前記複数の第1の基準要素から成る第1の基準領域の凸部に、前記複数の第2の基準要素から成る第2の基準領域の凹部が当てはまるように重ねあわせた時に、前記第1の画像形成領域及び前記第2の画像形成領域のそれぞれの第一の潜像画像を構成する潜像画像形成部により、前記第一の潜像画像が形成されて視認でき、
前記第一の潜像画像を形成した位置から、前記第1の方向に対して垂直方向に前記所定の距離ずらすと、前記第1の画像形成領域及び前記第2の画像形成領域のそれぞれの第二の潜像画像を構成する潜像画像形成部により、前記第二の潜像画像が形成されて視認できることを特徴とする真偽判別形成体。
【請求項2】
前記第1の画像形成領域は、前記第1の画像形成要素が第2の方向に第3のピッチで複数配置され、前記第1の画像形成要素を部分的に位相を異ならせた又は同一の範囲内で面積率を異ならせたことで、前記第一の潜像画像の一部及び前記第二の潜像画像の一部が、前記第1の画像形成領域の潜像画像形成部として形成され、
前記第2の画像形成領域は、前記第2の画像形成要素が前記第2の方向と同じ方向に前記第4のピッチで複数配置され、前記第2の画像形成要素を部分的に位相を異ならせた又は同一の範囲内で面積率を異ならせたことで、前記第1の画像形成領域の潜像画像形成部が形成している前記第一の潜像画像の一部以外及び前記第二の潜像画像の一部以外が、前記第2の画像形成領域の潜像画像形成部により形成されていることを特徴とする請求項1記載の真偽判別形成体。
【請求項3】
前記第1のピッチに対する前記第2のピッチ及び前記第3のピッチに対する前記第4のピッチは、同一ピッチ又は一方のピッチに対して他方のピッチが正の整数倍のピッチであることを特徴とする請求項1又は2記載の真偽判別形成体。
【請求項4】
前記複数配置された第1の画像形成要素及び前記複数配置された第2の画像形成要素は、画線、網点、画素、図形及び文字のいずれか一つ又はそれらの組合せから成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の真偽判別形成体。
【請求項5】
前記第1の画像形成要素及び/又は前記第2の画像形成要素は、複数配置された要素の中の一つの要素内において、画線、網点、画素、図形及び文字のいずれか二つ以上の組合せから成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の真偽判別形成体。
【請求項6】
前記第1の画像形成要素及び前記第2の画像形成要素は、オフセット印刷、凸版印刷及びインクジェット印刷のいずれか一つ又はそれらの組合せにより形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の真偽判別形成体。
【請求項7】
前記第1の画像形成要素及び前記第2の画像形成要素は、赤外線吸収特性を有するインキにより印刷されていることを特徴とする請求項6記載の真偽判別形成体。
【請求項8】
前記第1の画像形成領域は、微細な穿孔による前記第1の画像形成要素が複数配置されて、前記第一の潜像画像の一部及び前記第二の潜像画像の一部が、前記第1の画像形成領域の潜像画像形成部として形成され、
前記第2の画像形成領域は、微細な穿孔による前記第2の画像形成要素が複数配置されて、前記第1の画像形成領域の潜像画像形成部が形成している前記第一の潜像画像の一部以外及び前記第二の潜像画像の一部以外が、前記第2の画像形成領域の潜像画像形成部により形成されていることを特徴とする請求項1記載の真偽判別形成体。
【請求項9】
前記第1の画像形成要素は、微細な穿孔による前記第1の画像形成要素が複数配置されて、前記第一の潜像画像及び前記第二の潜像画像が、前記第1の画像形成領域の潜像画像形成部として形成され、
前記第2の画像形成領域は、微細な穿孔による前記第2の画像形成要素が複数配置されて、前記第一の潜像画像及び前記第二の潜像画像が、前記第2の画像形成領域の潜像画像形成部により形成され、
前記第1の画像形成領域の潜像画像形成部と前記第2の画像形成領域の潜像画像形成部は、形状及び大きさが同じ、かつ、対応した位置に、各領域に配置されていることを特徴とする請求項1記載の真偽判別形成体。
【請求項10】
前記第1の画像形成領域及び前記第2の画像形成領域は、前記各画像形成部以外にダミー穿孔が複数形成され、
前記第1の画像形成領域に形成されている前記ダミー穿孔と、前記第2の画像形成領域に形成されている前記ダミー穿孔とは、前記第1の画像形成領域と前記第2の画像形成領域を重ね合わせたときに、互いに重ならない位置に形成されていることを特徴とする請求項9記載の真偽判別形成体。
【請求項11】
前記微細な穿孔及び前記ダミー穿孔は、貫通孔、非貫通孔又はそれらの組合せから成ることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の真偽判別形成体。
【請求項12】
前記複数配置された第1の基準要素及び前記複数配置された第2の基準要素は、画線、網点、画素、図形及び文字のいずれか一つ又はそれらの組合せから成ることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の真偽判別形成体。
【請求項13】
前記第1の基準要素及び/又は前記第2の基準要素は、複数配置された要素の中の一つの要素内において、画線、網点、画素、図形及び文字のいずれか二つ以上の組合せから成ることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の真偽判別形成体。
【請求項14】
前記第1の基準領域又は前記第2の基準領域の一方の領域内に、前記第一の潜像画像を形成するための基準となる位置を特定する第1の特定部と前記第二の潜像画像を形成するための基準となる位置を特定する第2の特定部から成る第1の基準位置形成部が形成され、他方の領域内に、前記第1の基準位置形成部に対応する第2の基準位置形成部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の真偽判別形成体。
【請求項15】
前記第1の基準位置形成部の前記第1の特定部及び前記第2の特定部と前記第2の基準位置形成部は、前記第1の基準要素及び前記第2の基準要素の一部により形成され又は各要素とは別に隣り合う各要素の間に凹形状及び/又は凸形状により形成されていることを特徴とする請求項14記載の真偽判別形成体。
【請求項16】
前記第1の基準要素及び前記第2の基準要素の一部に形成されている前記第1の基準位置形成部及び前記第2の基準位置形成部は、各要素を部分的に位相を異ならせた又は同一の範囲内で面積率を異ならせて形成されていることを特徴とする請求項15記載の真偽判別形成体。
【請求項17】
前記各基準要素の間に凹形状及び/又は凸形状により形成されている前記第1の基準位置形成部及び前記第2の基準位置形成部は、図形、網点、画素、記号又は文字のいずれか一つ又はそれらの組合せによって形成されていることを特徴とする請求項15記載の真偽判別形成体。
【請求項18】
前記第1の基準要素及び前記第2の基準要素は、エンボス、凹版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、凸版印刷、インクジェット印刷、レーザ加工及びすき入れのいずれか一つ又はそれらの組合せにより形成されていることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の真偽判別形成体。
【請求項19】
互いを重ね合わせることにより二つの潜像画像が出現する二つの画像形成領域と、前記画像形成領域の近傍に、前記潜像画像を形成するための位置を特定する基準領域がそれぞれ形成された二つの形成体から成る真偽判別形成体対であって、
前記二つの形成体のうち一方の形成体には、基材上に凹形状及び/又は凸形状の第1の基準要素から成る第1の基準領域が形成され、前記第1の基準領域は、前記第1の基準要素が第1の方向に第1のピッチで複数配置され、
前記二つの形成体のうち他方の形成体には、基材上に凹形状及び/又は凸形状の第2の基準要素から成る第2の基準領域が形成され、前記第2の基準領域は、前記第2の基準要素が第1の方向と同じ方向に第2のピッチで複数配置され、
前記第1の基準領域の近傍に形成された第1の画像形成領域には、第一の潜像画像を構成する潜像画像形成部及び第二の潜像画像を構成する潜像画像形成部が第1の画像形成要素によって形成され、
前記第2の基準領域の近傍に形成された第2の画像形成領域には、第一の潜像画像を構成する潜像画像形成部及び第二の潜像画像を構成する潜像画像形成部が第2の画像形成要素によって形成され、
前記第1の画像形成領域における前記第一の潜像画像及び前記第二の潜像画像を構成する二つの潜像画像形成部と、前記第2の画像形成領域における前記第一の潜像画像及び前記第二の潜像画像を構成する二つの潜像画像形成部は、それぞれの画像形成領域内において、前記第1の方向に対して垂直方向に所定の距離だけ離れて形成され、
前記第1の画像形成領域と前記第2の画像形成領域を重ね合わせ、かつ、前記複数の第1の基準要素から成る第1の基準領域の凹部に、前記複数の第2の基準要素から成る第2の基準領域の凸部が、前記複数の第1の基準要素から成る第1の基準領域の凸部に、前記複数の第2の基準要素から成る第2の基準領域の凹部が当てはまるように、前記一方の形成体の前記第1の基準領域と前記他方の形成体の前記第2の基準領域を重ね合わせた時に、前記第1の画像形成領域及び前記第2の画像形成領域のそれぞれの潜像画像形成部により、前記第一の潜像画像が形成されて視認でき、
前記第一の潜像画像を形成した位置から、一方の形成体を前記第1の方向に対して垂直方向に前記所定の距離ずらすと、前記第1の画像形成領域及び前記第2の画像形成領域のそれぞれの第二の潜像画像を構成する潜像画像形成部により、前記第二の潜像画像が形成されて視認できることを特徴とする真偽判別形成体対。
【請求項20】
前記第1の画像形成領域は、前記第1の画像形成要素が第2の方向に第3のピッチで複数配置され、前記第1の画像形成要素を部分的に位相を異ならせた又は同一の範囲内で面積率を異ならせたことで、前記第一の潜像画像の一部及び前記第二の潜像画像の一部が、前記第1の画像形成領域の潜像画像形成部として形成され、
前記第2の画像形成領域は、前記第2の画像形成要素が前記第2の方向と同じ方向に前記第4のピッチで複数配置され、前記第2の画像形成要素を部分的に位相を異ならせ又は同一の範囲内で面積率を異ならせたことで、前記第1の画像形成領域の潜像画像形成部が形成している前記第一の潜像画像の一部以外及び前記第二の潜像画像の一部以外が、前記第2の画像形成領域の潜像画像形成部により形成されていることを特徴とする請求項19記載の真偽判別形成体対。
【請求項21】
前記第1のピッチに対する前記第2のピッチ及び前記第3のピッチに対する前記第4のピッチは、同一ピッチ又は一方のピッチに対して他方のピッチが正の整数倍のピッチであることを特徴とする請求項19又は20記載の真偽判別形成体対。
【請求項22】
前記複数配置された第1の基準要素、前記複数配置された第2の基準要素、前記複数配置された第1の画像形成要素及び前記複数配置された第2の画像形成要素は、画線、網点、画素、図形及び文字のいずれか一つ又はそれらの組合せから成ることを特徴とする請求項19乃至21のいずれかに記載の真偽判別形成体対。
【請求項23】
前記第1の基準要素、前記第2の基準要素、前記第1の画像形成要素及び/又は前記第2の画像形成要素は、複数配置された要素の中の一つの要素内において、画線、網点、画素、図形及び文字のいずれか二つ以上の組合せから成ることを特徴とする請求項19乃至21のいずれかに記載の真偽判別形成体対。
【請求項24】
前記第1の画像形成要素及び前記第2の画像形成要素は、オフセット印刷、凸版印刷及びインクジェット印刷のいずれか一つ又はそれらの組合せにより形成されていることを特徴とする請求項19乃至23のいずれかに記載の真偽判別形成体対。
【請求項25】
前記第1の画像形成要素及び前記第2の画像形成要素は、赤外線吸収特性を有するインキにより印刷されていることを特徴とする請求項24記載の真偽判別形成体対。
【請求項26】
前記第1の画像形成領域は、微細な穿孔による前記第1の画像形成要素が複数配置されて、前記第一の潜像画像の一部及び前記第二の潜像画像の一部が、前記第1の画像形成領域の潜像画像形成部として形成され、
前記第2の画像形成領域は、微細な穿孔による前記第2の画像形成要素が複数配置されて、前記第1の画像形成領域の潜像画像形成部が形成している前記第一の潜像画像の一部以外及び前記第二の潜像画像の一部以外が、前記第2の画像形成領域の潜像画像形成部により形成されていることを特徴とする請求項19記載の真偽判別形成体対。
【請求項27】
前記第1の画像形成要素は、微細な穿孔による前記第1の画像形成要素が複数配置されて、前記第一の潜像画像及び前記第二の潜像画像が、前記第1の画像形成領域の潜像画像形成部として形成され、
前記第2の画像形成領域は、微細な穿孔による前記第2の画像形成要素が複数配置されて、前記第一の潜像画像及び前記第二の潜像画像が、前記第2の画像形成領域の潜像画像形成部により形成され、
前記第1の画像形成領域の潜像画像形成部と前記第2の画像形成領域の潜像画像形成部は、形状及び大きさが同じであり、かつ、対応した位置に各領域に配置されていることを特徴とする請求項19記載の真偽判別形成体対。
【請求項28】
前記第1の画像形成領域及び前記第2の画像形成領域は、前記各画像形成部以外にダミー穿孔が複数形成され、
前記第1の画像形成領域に形成されている前記ダミー穿孔と、前記第2の画像形成領域に形成されている前記ダミー穿孔とは、前記第1の画像形成領域と前記第2の画像形成領域を重ね合わせたときに、互いに重ならない位置に形成されていることを特徴とする請求項27記載の真偽判別形成体対。
【請求項29】
前記微細な穿孔及び前記ダミー穿孔は、貫通孔、非貫通孔又はそれらの組合せから成ることを特徴とする請求項26乃至28のいずれかに記載の真偽判別形成体対。
【請求項30】
前記複数配置された第1の基準要素及び前記複数配置された第2の基準要素は、画線、網点、画素、図形及び文字のいずれか一つ又はそれらの組合せから成ることを特徴とする請求項19乃至29のいずれかに記載の真偽判別形成体対。
【請求項31】
前記第1の基準要素及び/又は前記第2の基準要素は、複数配置された要素の中の一つの要素内において、画線、網点、画素、図形及び文字のいずれか二つ以上の組合せから成ることを特徴とする請求項19乃至29のいずれかに記載の真偽判別形成体対。
【請求項32】
前記第1の基準領域又は前記第2の基準領域の一方の領域内に、前記第一の潜像画像を形成するための基準となる位置を特定する第1の特定部と前記第二の潜像画像を形成するための基準となる位置を特定する第2の特定部から成る第1の基準位置形成部が形成され、他方の領域内に、前記第1の基準位置形成部に対応する第2の基準位置形成部が形成されていることを特徴とする請求項19乃至31のいずれかに記載の真偽判別形成体対。
【請求項33】
前記第1の基準位置形成部の前記第1の特定部及び前記第2の特定部と前記第2の基準位置形成部は、前記第1の基準要素及び前記第2の基準要素の一部により形成され又は各要素とは別に隣り合う各要素の間に凹形状及び/又は凸形状により形成されていることを特徴とする請求項32記載の真偽判別形成体対。
【請求項34】
前記第1の基準要素及び前記第2の基準要素の一部に形成されている前記第1の基準位置形成部及び前記第2の基準位置形成部は、各要素を部分的に位相を異ならせ又は同一の範囲内で面積率を異ならせて形成されていることを特徴とする請求項33記載の真偽判別形成体対。
【請求項35】
前記各基準要素の間に凹形状及び/又は凸形状により形成されている前記第1の基準位置形成部及び前記第2の基準位置形成部は、図形、網点、画素、記号又は文字のいずれか一つ又はそれらの組合せによって形成されていることを特徴とする請求項33記載の真偽判別形成体対。
【請求項36】
前記第1の基準要素及び前記第2の基準要素は、エンボス、凹版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、凸版印刷、インクジェット印刷、レーザ加工及びすき入れのいずれか一つ又はそれらの組合せにより形成されていることを特徴とする請求項19乃至35のいずれかに記載の真偽判別形成体対。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−16248(P2011−16248A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160672(P2009−160672)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】