説明

真珠光沢濃縮物およびその製造方法

【課題】 本発明は、高活性量の硫酸アルキル、硫酸アルキルエーテル、スルホン酸アルキル、スルホコハク酸のモノ−およびジエステル(スルホコハク酸エステル)、グリシン酸アルキル、サルコシン酸アルキルおよび/またはタウリン酸アルキル並びに脂肪酸グリコールエステルおよび/またはカルボキサミドを真珠光沢形成体として含む、ポンピング可能な水性真珠光沢濃縮物およびその製造方法に関する。本発明に係る真珠光沢濃縮物は、界面活性剤複合物、例えば液体洗剤および洗浄剤または液体ボディシャンプーおよびボディケア製品並びにヘアケア製品の視覚的外観を改善するための添加物に適する。
【解決手段】 本発明に係る真珠光沢濃縮物は、35〜85質量%の硫酸アルキルエーテル、硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、スルホコハク酸のモノ−およびジエステル、グリシン酸アルキル、サルコシン酸アルキルおよび/またはタウリン酸アルキルまたはこれらの混合物から選択される分散剤と、15〜40質量%の脂肪酸グリコールエステル、脂肪酸アルカノールアミドおよびその混合物から選択される真珠光沢形成成分と、場合によっては合目的の添加物と、合わせて100質量%になる量で、但し濃度が30質量%を超えない水とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高活性量の硫酸アルキル、硫酸アルキルエーテル、スルホン酸アルキル、スルホコハク酸のモノ−およびジエステル(スルホコハク酸エステル)、グリシン酸アルキル、サルコシン酸アルキルおよび/またはタウリン酸アルキル並びに脂肪酸グリコールエステルおよび/またはカルボキサミドを真珠光沢形成体として含む、ポンピング可能な(pumpable)水性真珠光沢濃縮物およびその製造方法に関する。
【0002】
界面活性剤複合物、例えば液体洗剤および洗浄剤(則ち、床用洗浄剤、食器洗剤または類似の製品)または液体ボディシャンプーおよびボディケア製品並びにヘアケア製品(則ち、シャンプー、浴用添加剤、液体石けん、シャワージェルまたは類似の製品)の視覚的外観を改善するために、これらにしばしば水性真珠光沢分散剤(真珠光沢濃縮物)が添加され、これによって、真珠光沢およびそれにより審美性を与える外観が界面活性剤複合物に付与される。
【背景技術】
【0003】
公知の水性真珠光沢分散剤は、主に、少なくとも1つの真珠光沢形成化合物(真珠光沢形成成分または真珠光沢形成体とも呼ばれる)、少なくとも1つの分散剤(溶媒、湿潤剤または乳化剤とも呼ばれる)および水から構成される。従来技術では、多くの真珠光沢形成化合物および化合物混合物、例えば脂肪酸、脂肪酸モノ−または脂肪酸ジアルカノールアミド、アルキレングリコールのモノエステルまたはジエステル、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、または脂肪酸とのそのオリゴマー(脂肪酸グリコールエステル)並びにグリセリンの、高級脂肪酸とのモノエステルまたはポリエステルが推奨される。更に数多くの化合物、例えば硫酸アルキル、硫酸アルキルエーテル、スルホン酸アルキル、アミンオキシド、ベタイン;脂肪アルコール、脂肪酸またはアルキルフェノールへのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物、並びに、場合によってはグリセリンエステルおよびソルビタンエステルがエトキシル化および/またはプロポキシル化されている、脂肪酸のグリセリンモノ−またはグリセリンジエステルまたはソルビタンモノ−またはソルビタンジエステル、アルキルモノ−またはアルキルオリゴグリコシドなどが分散剤として記載されている。
【0004】
現時点での従来技術は、以下の特許および特許出願により非常に良く代表される。
【0005】
特許文献1(米国特許第7,268,107号)は、約30〜55質量%の真珠光沢形成ワックス、非イオン性分散剤、場合によっては双性イオン分散剤、約0.1質量%〜5質量%のポリオールエステルおよび水を含む真珠光沢組成物を開示し、その場合、活性量(真珠光沢形成成分と分散剤の含有量の合計)は、組成物の重量に対して少なくとも約55質量%であり、分散剤の含有量の合計は、組成物の重量に対して25質量%未満であり、非イオン性分散剤とポリオールエステルは、約5:1〜10:1の重量比で存在する。
【0006】
特許文献2(米国特許出願公開第2004/0086470(A1)号)は、ワックス成分の重量に対して少なくとも15質量%が無定形粒子から構成され、ワックス成分の重量に対して多くとも85質量%が結晶性粒子から構成される、約30〜60質量%のワックス成分および非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤およびそれらの混合物から選択される約5〜25質量%の界面活性剤を含む水性真珠光沢組成物に関する。
【0007】
特許文献3(米国特許第6,727,217(B1)号)は、約10℃〜45℃の温度での真珠光沢界面活性剤組成物の製造方法に関し、そこでは、水性界面活性剤溶液を、真珠光沢形成ワックスおよびポリオールエステルから成る組成物と接触させる。
【0008】
特許文献4(米国特許第6,835,700(B1)号)は、約25〜45質量%の真珠光沢形成ワックス、約35〜40質量%の非イオン性、両性、双性イオンおよび/またはカチオン性分散剤、約0.5〜15質量%のポリオールエステルおよび水を含む易流動性真珠光沢濃縮物を開示し、その場合、ワックス、分散剤およびポリオールエステルの含有量の合計は少なくとも55質量%となる。
【0009】
特許文献5(米国特許第6,147,124(A)号)は、真珠光沢形成成分としての5〜50質量%のアルカノールエーテルまたはアルカノールアミド、唯一つの非イオン性分散剤としての5〜55質量%の脂肪酸−M−アルキル−ポリヒドロキシ−アルキルアミドおよび0.1〜40質量%の低分子量ポリオールを含む易流動性の生物分解性真珠光沢濃縮物に関する。
【0010】
特許文献6(米国特許第6,235,702(B1)号)は、(総重量に対して)1〜99質量%の、ヒドロキシ基担持カルボン酸の脂肪アルコールとのエステル;アニオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン界面活性剤、双性イオン界面活性剤、エステルクアット(Esterquat)およびこれらの混合物から選択される(総重量に対して)0.1〜90質量%の分散剤、および(総重量に対して)40質量%までのポリオールを含む水性真珠光沢濃縮物に関する。
【0011】
特許文献7(米国特許第6,228,831(B1)号)は、脂肪アルコール、脂肪ケトン、脂肪エーテル、脂肪カルボン酸およびこれらの混合物から構成される群から選択される1〜99.9質量%の脂肪成分、アニオン、非イオン性、カチオン、両性および双性イオン界面活性剤およびこれらの混合物から構成される群から選択される1〜99.9質量%の分散剤、および40質量%までのポリオールを含む真珠光沢濃縮物を開示する。
【0012】
特許文献8(米国特許第5,711,899号)は、15〜40質量%の真珠光沢形成成分、5〜55質量%の非イオン性、両性および/または双性イオン界面活性剤および0.1〜5質量%の低分子ポリオールを含む易流動性真珠光沢濃縮物に関する。
【0013】
特許文献9(米国特許第6,165,955号)は、ステアリン酸ヒドロキシル、モノ−およびジステアリン酸ポリエチレングリコール、モノ−およびジステアリン酸エチレングリコール、ステアリン酸−モノエタノールアミドおよびこれらの混合物から構成される群から選択される、脂肪酸をベースにした真珠光沢形成体から構成される、高い温度安定性を有する真珠光沢濃縮物に関し、その場合、前述の脂肪酸成分の脂肪酸の少なくとも90質量%はオクタデカン酸から構成される。
【0014】
特許文献10(欧州特許出願公開第0568848(A1)号)は、それぞれ特定量の、主に真珠光沢付与成分としての脂肪酸グリコールエステル、2つの特定の界面活性化合物、則ちベタインおよび脂肪アルコールアルコキシラートおよび水から構成される易流動性水性真珠分散剤に関する。
【0015】
そのような真珠光沢配合物は、界面活性剤複合物中に主要物質として使用される硫酸アルキルエーテルおよび/または硫酸アルキルおよび/またはスルホン酸アルキル以外に、更に、一連の助剤、例えばアミンオキシド、ベタイン;脂肪アルコール、脂肪酸またはアルキルフェノールへのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物、場合によってはグリセリンエステルおよびソルビタンエステルがエトキシル化および/またはプロポキシル化されている、脂肪酸のグリセリンモノ−またはグリセリンジエステルまたはソルビタンモノ−またはソルビタンジエステル、アルキルモノ−またはアルキルオリゴグリコシド、アルコール、ポリオールなどを含む。
【0016】
その場合、使用された主要物質の濃度は通常35質量%未満である。そのような低濃度の真珠光沢配合物は、主として経済的な短所を有する。高濃度の真珠光沢配合物に比べて、ここでは特に搬送コスト、包装コストおよび貯蔵コストが問題となる。
【0017】
真珠光沢分散剤の製造は、従来技術では通常撹拌槽内で非連続に行われる。その場合、必要量の投入物質を混合容器内へ配量し、最も高い温度で融解する成分の融点を5〜20℃超える温度に加熱し混合する。混合後に、まず冷却することなく撹拌下で30〜40℃に下げる。この温度に達して初めて冷却装置を使用して室温まで冷却する。
【0018】
通常、対応する混合物回分の完成製品に初めて調整が行われる。製造プロセスを連続検査することは通常不可能である。
【0019】
更に、従来の方法では、そのような組成物の高い粘度が原因となって、成分の混合の際に問題が生じるために、通常、高濃度の真珠光沢分散剤を製造することはできない。撹拌機によって、混合に必要な高いエネルギーが供給されるために、そのような方法は、一方では非常に高いエネルギーおよび高コストを必要とし、他方では撹拌物が激しく加熱されることで、ここでもまた生成物の品質にマイナスの影響を及ぼす。
【0020】
更に、回分混合機において使用可能な回分量が非常に狭い範囲にあるために、製品の量を変えることは、従来技術では非常に限定された範囲でのみ可能である。最小回分量は、通常、最大回分量の半分を下回ってはならない。
【0021】
特許文献11(国際公開第2004/082817(A1)号)は、エマルションまたは分散剤を連続製造するための装置および方法を開示する。記述される装置は、全面が閉じた混合容器を含み、これは、易流動性物質または物質混合物を導入および排出するための導入管および排出管並びに撹拌機を有し、キャビテーションが発生せず、また高圧均質化を行うこと無く、エマルションまたは分散剤へ撹拌導入することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第7,268,107号
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0086470(A1)号
【特許文献3】米国特許第6,727,217(B1)号
【特許文献4】米国特許第6,835,700(B1)号
【特許文献5】米国特許第6,147,124(A)号
【特許文献6】米国特許第6,235,702(B1)号
【特許文献7】米国特許第6,228,831(B1)号
【特許文献8】米国特許第5,711,899号
【特許文献9】米国特許第6,165,955号
【特許文献10】欧州特許出願公開第0568848(A1)号
【特許文献11】国際公開第2004/082817(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の課題は、通常使用される高濃度の硫酸アルキルエーテルを、洗剤および洗浄剤中への調製にも適する従来の混合技術を用いて冷却調製し、そのことから取り扱いが容易になる、高い割合の活性物および傑出した真珠光沢特性を有する、良好にポンピング可能な水性真珠光沢濃縮物並びにこの高濃度の真珠光沢濃縮物の新しい製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
この課題は、以下の成分、
a)濃縮物総重量に対して35〜85質量%の割合の、分散剤としての、1つまたは複数の硫酸アルキルエーテル、硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、スルホコハク酸のモノ−およびジエステル(スルホコハク酸エステル)、グリシン酸アルキル、サルコシン酸アルキルおよび/またはタウリン酸アルキルまたはこれらの組合せと、
b)濃縮物総重量に対して15〜40質量%の、下記の化合物およびその混合物から構成される群から選択される、真珠光沢形成成分と、
一般式(I)
【0025】
【化1】

【0026】
[式中、Rは、12〜22個のC原子を含むアルキル基であり、
は、−C−または−C−の2価の基であり、
は、Hまたは式
【0027】
【化2】

【0028】
の基であり、
nは、1〜10の数である]
に係る脂肪酸グリコールエステル、
一般式(II)
【0029】
【化3】

【0030】
[式中、Rは、8〜22個のC原子を含むアルキル基であり、
は、H、1〜4個のC原子を含むアルキル基、−(CH−CH−O)
−R、−(CH−CH(CH)−CH−O)−R、但しn=1〜10、
は、H、1〜4個のC原子を含むアルキル基、−(CH−CH−O)
−R、−(CH−CH(CH)−CH−O)−R、但しn=1〜10、
は、H、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、
i−ブチル、またはt−ブチルである]
に係る脂肪酸アルカノールアミド、
c)場合によっては、保存料、緩衝剤、無機または有機電解質、アルコール、脂肪アルコール、脂肪酸および/またはそのエトキシレート、特にx=1〜10であるPEG−x−ラウリン酸グリセリルおよび/またはPEG−x−ヤシ脂肪酸グリセリルなどの適切な添加物と、
d)合わせて100質量%になる量で、但し、濃縮物総重量に対して濃度が30質量%、好ましくは25質量%を超えない水と、
を含む、ポンピング可能な水性真珠光沢濃縮物によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】非膨潤領域(破線で表す)を含む、従来の真珠光沢分散剤の顕微鏡写真を示す。(測定条件:平面偏光、拡大100倍、極性フィルタ)
【図2】完全に膨潤し、非膨潤領域を含まない本発明に係る真珠光沢濃縮物の顕微鏡写真を示す。(測定条件:平面偏光、拡大100倍、極性フィルタ)
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明により使用された分散剤または真珠光沢形成体は、それぞれの群から成る1つまたは複数の異なる化合物を含むことができる。
真珠光沢を与える化合物の含有量と分散剤の含有量との合計は、真珠光沢濃縮物の活性量として決められ、好ましくは60質量%以上、好ましくは65〜85質量%、特に好ましくは70〜80質量%である。
【0033】
真珠光沢濃縮物の水および添加物の含有量の合計は、好ましくは、真珠光沢濃縮物総量に対して30質量%未満、好ましくは25質量%である。
【0034】
本発明に係る水性真珠光沢濃縮物は、好ましくは、1つまたは複数の硫酸アルキルエーテル、硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、スルホコハク酸のモノ−およびジエステル(スルホコハク酸エステル)、グリシン酸アルキル、サルコシン酸アルキルおよび/またはタウリン酸アルキルを35〜85質量%、好ましくは40〜70質量%、特に好ましくは50〜60質量%の含有量で含む。硫酸アルキルエーテル、硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、スルホコハク酸エステル、グリシン酸アルキル、サルコシン酸アルキルおよび/またはタウリン酸アルキルは、この場合、本発明に係る真珠光沢分散剤を安定化させる分散剤として働く。市販で入手できる硫酸アルキルエーテル、硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、スルホコハク酸エステル、グリシン酸アルキル、サルコシン酸アルキルおよび/またはタウリン酸アルキルは、通常水溶液として販売および調製され、その場合、濃度は、通常70%水溶液またはそれ以下である。
【0035】
真珠光沢形成成分の総濃度は、濃縮物の総重量に対して15〜40質量%である。この場合、脂肪酸グリコールエステルおよび脂肪酸アルカノールアミドは、本発明に係る真珠光沢濃縮物中に単独でまたは混合物として存在することができる。好ましくは、本発明に係る真珠光沢濃縮物中の真珠光沢形成成分の総濃度は、濃縮物の総重量に対して15〜30質量%、特に好ましくは20〜25質量%である。
【0036】
本発明に係る水性真珠光沢濃縮物は、好ましくは慣例の界面活性剤複合物中に容易に混ぜ合わせることができる。界面活性剤複合物への混入は、特に好ましくは冷温で、則ち好ましくは25℃未満の温度で、特に好ましくは室温で行われる。したがって、本発明の構成要素は、本発明に係る真珠光沢濃縮物を含む界面活性剤複合物でもある。有利には、比較的少量の真珠光沢濃縮物を使用することでも、界面活性剤複合物に真珠光沢の外観を付与できる。界面活性剤複合物中の真珠光沢濃縮物の適当な割合は、それぞれ所望の真珠光沢効果に応じて、0.5〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%、特に好ましくは0.5〜2質量%である。
【0037】
本発明に係る高濃度の活性量を含む真珠光沢分散剤は、従来の使用可能な分散剤に比べて生態学的長所も経済的長所も提供する。少ない水分量は、搬送コストも貯蔵コストも著しく低下させる。本発明に係る真珠光沢濃縮物は、更に処理するため保存料無しの形態で調製できることが特に有利である。いずれにしても洗剤および洗浄剤に使用される硫酸アルキル、硫酸アルキルエーテル、スルホン酸アルキル、スルホコハク酸のモノ−およびジエステル(スルホコハク酸エステル)、グリシン酸アルキル、サルコシン酸アルキルおよび/またはタウリン酸アルキルへの分散剤の制限は、洗剤および洗浄剤の配合物に対して、その製品の最終組成物においてより多くの自由度を更に有利に与える。
【0038】
本発明は、濃縮物の総重量に対して40〜90質量%の含有量を有する水性の硫酸アルキルエーテル、硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、スルホコハク酸のモノ−およびジエステル(スルホコハク酸エステル)、グリシン酸アルキル、サルコシン酸アルキルおよび/またはタウリン酸アルキルが、脂肪酸グリコールエステルおよび/またはカルボキサミドなどの真珠光沢付与化合物と共にポンピング可能な真珠光沢濃縮物へ調製され、その活性量は、60質量%以上、好ましくは65〜85質量%、特に好ましくは70〜80質量%であるという驚くべき発見に基づく。
【0039】
分散剤として使用された水性の硫酸アルキルエーテル、硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、スルホコハク酸のモノ−およびジエステル(スルホコハク酸エステル)、グリシン酸アルキル、サルコシン酸アルキルおよび/またはタウリン酸アルキルの対イオンとしては、硫酸アルキルエーテル、硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、スルホコハク酸のモノ−およびジエステル(スルホコハク酸エステル)、グリシン酸アルキル、サルコシン酸アルキルおよび/またはタウリン酸アルキルが水に容易に溶解しているか分散している限り、また、対イオンが真珠光沢濃縮物の基本成分と物理的および化学的に適合し、真珠光沢、安定性または加工性などの製品特性が不利な影響を受けない限りは、それぞれ有機および無機対カチオンを使用することができる。対イオンとしては、ナトリウムおよび/またはカリウムなどのアルカリ金属イオン、カルシウムおよび/またはマグネシウムなどのアルカリ土類金属イオン並びにモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの置換および非置換アンモニウムイオンが好ましい。
【0040】
硫酸アルキルエーテルとしては、好ましくは、8〜16C−原子の鎖長を有する脂肪アルコールの硫酸塩、例えばラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸トリエチルアミン、ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ラウリルエーテル硫酸マグネシウム、C12−13パレス硫酸ナトリウム(Sodium C12−13 Pareth Sulfate)、並びにラウリルミリスチルエーテル硫酸のNa塩が使用される。
【0041】
好ましい硫酸アルキルは、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸マグネシウム、ココイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム並びにラウリルミリスチル硫酸のNa−および/またはMg塩である。
【0042】
スルホン酸アルキルとしては、好ましくは、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホン酸オレフィン、ドデシルベンゼンスルホン酸塩並びにスルホン酸C14−C16−パラフィンが使用される。
【0043】
好ましくは、スルホコハク酸のモノ−およびジエステル(スルホコハク酸エステル)は、スルホコハク酸の、C8−C16−脂肪アルコール、脂肪アルコールポリグリコールエーテルまたはアルキルフェノールポリグリコールエーテルとのエステルである。好ましくは、これらは、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウムおよびC8−C16−脂肪アルコールのポリグリコールエーテルスルホスクシニル酸エステルから選択される。
【0044】
グリシン酸アルキルとしては、好ましくは、ラウリルグリシン酸ナトリウム、ラウロイルグリシン酸ナトリウム、ミリスチルグリシン酸ナトリウムおよび/またはココイルグリシン酸ナトリウムが使用される。
【0045】
サルコシン酸アルキルとしては、好ましくは、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ミリスチルサルコシン酸ナトリウムおよび/またはココイルサルコシン酸ナトリウムが使用される。
【0046】
好ましいタウリン酸アルキルは、これは時としてアルキルタウリネート(Alkyltaurinate)とも呼ばれるタウリン(2−アミノエタンスルホン酸)の塩であるが、メチルココイルタウリン酸ナトリウムおよび/またはメチルミリスチルタウリン酸ナトリウムである。
【0047】
好ましくは、分散剤として前述した化合物からは、硫酸アルキルエーテル、硫酸アルキルおよび/またはスルホン酸アルキルが使用される。硫酸アルキルエーテルが特に好ましい。
【0048】
本発明に係る真珠光沢濃縮物中に真珠光沢形成成分として含まれる脂肪酸グリコールエステルは、一般式(I)[式中、Rは、12〜22個のC原子を含むアルキル基であり、Rは、−C−または−C−の2価の基であり、Rは、Hまたは式
【0049】
【化4】

【0050】
の基であり、nは、1〜10の数である]に対応する。
【0051】
は、好ましくは12〜18個のC原子を含む飽和または不飽和アルキル基であり、Rは、好ましくは−C−であり、Rは、好ましくはR−CO−であり、nは、好ましくは1〜3の数である。アルキル残Rが不飽和の場合には、これは、好ましくは1〜3個の二重結合を含む。
【0052】
特に好ましい真珠光沢形成成分は、エチレングリコール、ジエチレングリコールまたはトリエチレングリコールの、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、獣脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸および/またはその他の脂肪酸とのモノ−およびジエステル、例えばモノステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコールである。
【0053】
本発明に係る真珠光沢濃縮物中に真珠光沢形成成分として含まれる脂肪酸アルカノールアミドは、一般式(II)[式中、Rは、8〜22個のC原子を含むアルキル基であり、Rは、H、1〜4個のC原子を含むアルキル基、−(CH−CH−O)−R、−(CH−CH(CH)−CH−O)−R、但しn=1〜10、Rは、H、1〜4個のC原子を含むアルキル基、−(CH−CH−O)−R、−(CH−CH(CH)−CH−O)−R、但しn=1〜10、Rは、H、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、またはt−ブチルである]に対応する。
【0054】
脂肪酸アルカノールアミドとしては、8〜22個のC原子、好ましくは12〜18個のC原子を含むアルカン酸のエタノールアミド誘導体が好ましい。特に適当な化合物としては、ラウリン酸−、ミリスチン酸−、パルミチン酸−およびステアリン酸モノエタノールアミド、例えばヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウロイルモノエタノールアミド、ミリストイルモノエタノールアミド、パルミトイルモノエタノールアミド並びにステアロイルモノエタノールアミドが挙げられる。
【0055】
本発明に係る真珠光沢濃縮物の好ましい実施形態では、脂肪酸アルカノールアミドは、少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも75%の、12個のC原子を含むアルカン酸誘導体を含む。
【0056】
真珠光沢分散剤の真珠層のような光沢は、ラメラリオトロピック液晶体構造の存在によるものである。そのようなラメラ構造を形成可能にするためには、乳化剤と真珠光沢形成体との間に最適な比率が存在しなければならず、これは、関与する真珠光沢形成体および分散剤の形状によって決まる。それに関するパラメータは、所謂臨界充填パラメータ(critical packing parameter)である。この臨界充填パラメータが〜1であれば、最適な組成物が見つかり、ラメラ相形成のための最適な条件となる。臨界充填パラメータを、真珠光沢形成体と分散剤の、使用量を変化させることによる特定の組合せに関して調整する方法は、当業者にはよく知られている。更に、例えば長鎖アルコール、アミンまたはその他の両親媒性分子の添加、あるいは塩の添加のように、臨界充填パラメータを選択的に変更できる方法は当業者にはよく知られている。好ましくは、真珠光沢濃縮物は、上述の分散剤および真珠光沢形成体以外の界面活性剤を含まない。
【0057】
本発明に係る真珠光沢濃縮物は、ラメラリオトロピック液晶構造を形成するために、特定量の水を必要とし、これは、含有される両親媒性分子(分散剤および真珠光沢形成体)から成るラメラ二重層間に挿入される。好ましくは、水の最小含有量は、濃縮物の総重量に対して5質量%、特に好ましくは10質量%、特別に好ましくは15質量%である。この場合、ラメラ系は、使用される両親媒性物質によって決まるが、特定量の水を吸収することができ、これは膨潤と呼ばれるプロセスである。濃縮物が完全に膨潤した段階に達し、濃縮物内に含まれる界面活性剤の膨潤能を超えると、それ以上は結合できない遊離水が所謂「バルク水」として集まる。
【0058】
本発明に係る真珠光沢濃縮物は、好ましくは高い相体積比を有する。則ち、含まれる両親媒性分子に比べて水分量が少ない。これは、一方では高活性量と関連付けられるという長所を保証し(上記を参照のこと)、他方ではリオトロピック液晶のラメラ構造の形成を有利にする。
【0059】
この場合、本発明に係る真珠光沢濃縮物は、好ましくは完全に膨潤している。このことを確実にするために、水の割合は、好ましくは、ラメラ構造内へ結合可能な最大値を少し超えるように選択される。好ましくは、本発明に係る真珠光沢濃縮物は、真珠光沢濃縮物の総量に対して0.5〜15質量%、好ましくは1〜10質量%のバルク水の割合を含む。
【0060】
相体積比は、レオロジー試験法を用いて測定することができる。更に、内部相の上昇に伴って粘度が急激に増加することが広く知られている。粘度最大値は、バルク水相が存在せずに、全ての水がラメラ間に結合される点で達せられる。相体積比を測定するためのその他の試験法は、導電性の測定である。これは、内部相の上昇に伴って急激に減少し、全ての水がラメラ間に結合されるとゼロ値に達する。
【0061】
従来技術から公知の真珠光沢分散剤は、完全には膨潤ラメラ液晶構造から構成されておらず、十分な量の水が結合されていない、真珠光沢形成体および/または分散剤から成るかなりの量の未膨潤構造を含む。図1に、市販で入手可能なそのような真珠光沢分散剤を示す。容易に分かるように、この濃縮物は、均一な粒体構造を有する完全膨潤領域以外に、視覚的に際立ち、完全には膨潤していない大きな不均一領域をも含む。
【0062】
これは、従来技術で慣例的に使用されるバッチ法により引き起こされ、その間の死空間の存在並びに冷却中の温度勾配の発生は、ほとんど回避できない。
【0063】
このことから、従来技術で公知の方法にしたがって製造される真珠光沢分散剤は、特に約35℃を超える上昇温度では貯蔵安定性が悪くなる。従来技術から公知の真珠光沢分散剤が、この点を超える温度まで加熱されると、存在するバルク水が真珠光沢分散剤の未膨潤領域へ挿入され、新しいラメラ構造が形成され、組成物の粘度は10倍以上にまで上昇する。そうなると、この組成物を良好に調製することはできなくなる。
【0064】
一方、本発明に係る真珠光沢組成物は完全に膨潤している。図2に、本発明に係る真珠光沢濃縮物を示す。これは高い均一性および未膨潤領域の欠如を特徴とする。バルク水の更なる挿入およびそれと同時に起こる粘性増大は、起こり得ない。35℃、好ましくは45℃以上に温度を上昇させても、本発明に係る真珠光沢濃縮物の粘度は、20%以上、好ましくは10%以上、特に好ましくは5%以上上昇しない。そのため、本発明に係る真珠光沢濃縮物は、有利に貯蔵安定であり、良好に調製できる。
【0065】
真珠光沢分散剤の粘度を調整するために、従来技術では、しばしばポリオールが添加される。一方、本発明に係る真珠光沢濃縮物は、ポリオールの使用を有利に省略できる。したがって、ある実施形態では、本発明に係る真珠光沢濃縮物はポリオールを含まない。本発明の用語において、「ポリオールを含まない」とは、真珠光沢濃縮物の総質量に対して0.5%未満、好ましくは0.1%未満、特に好ましくは0.05%未満のポリオールのポリオール含有量を意味する。非常に好ましくは、本発明の組成物内では遊離ポリオールは検出されない。
【0066】
本発明の用語におけるポリオールは、好ましくは2〜12個の炭素原子と2つまたはそれ以上のヒドロキシ基を有する。ポリオールは、それに加えて、その他の官能基を含むことも可能である。ポリオールの例は、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール並びに糖アルコール、例えばソルビトールまたはマンニトールである。
【0067】
従来のバッチ法を用いると、本発明に係る真珠光沢濃縮物は、多大な労力をかけることによってのみ得られる。したがって、本発明の一部として、以下の工程:
a)硫酸アルキルエーテル、硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、スルホコハク酸のモノ−およびジエステル(スルホコハク酸エステル)、グリシン酸アルキル、サルコシン酸アルキルおよび/またはタウリン酸アルキルまたはこれらの組合せから選択される分散剤と、
一般式(I)
【0068】
【化5】

【0069】
[式中、Rは、12〜22個のC原子を含むアルキル基であり、
は、−C−または−C−の2価の基であり、
は、Hまたは式
【0070】
【化6】

【0071】
の基であり、
nは、1〜10の数である]
に係る1つまたは複数の脂肪酸グリコールエステルおよび/または、
一般式(II)
【0072】
【化7】

【0073】
[式中、Rは、8〜22個のC原子を含むアルキル基であり、
は、H、1〜4個のC原子を含むアルキル基、−(CH−CH−O)
、−(CH−CH(CH)−CH−O)−R、但しn=1〜10、
は、H、1〜4個のC原子を含むアルキル基、−(CH−CH−O)
、−(CH−CH(CH)−CH−O)−R、但しn=1〜10、
は、H、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、
i−ブチル、またはt−ブチルである]
に係る1つまたは複数の脂肪酸アルカノールアミドから選択される真珠光沢形成
成分と、選択的に、水を、第1撹拌段階へ導入し、55℃〜90℃でラメラ流動
物フローとなるまで完全に混合する工程であり、ここで使用される水の量は、使
用される分散剤および真珠光沢形成体の濃度に対して35質量%、好ましくは
30質量%を超えず、これによりラメラリオトロピック液晶相を形成する工程、
b)得られた混合物を、冷却段階で真珠光沢形成成分が液晶ラメラ構造の形で晶出する 温度に冷却する工程、
c)前記冷却された混合物を、第2撹拌段階で強力に混合し、場合によっては残量の水で希釈する工程であり、ここで温度は、撹拌機の出力低下および/または撹拌段階の冷却によって45℃未満に保持される工程
を含み、添加物は、第1撹拌段階または第2撹拌段階に導入することができる、真珠光沢濃縮物の製造方法を含む。
【0074】
本発明によって導入された分散剤または真珠光沢形成体は、それぞれの群から成る1つまたは複数の異なる化合物を含むことができる。
【0075】
真珠光沢系の製造には、得られる真珠光沢系が、そのレオロジーの性質において、またその真珠光沢特性においても激しく変動しないように、プロセスパラメータ(温度、混合時点、混合時間および混合エネルギー、流動経路)の正確な制御が必要である。真珠光沢系の連続製造は、例えば国際公開第2004/082817号に記載される、撹拌段階と冷却段階を選択的に組み合わせることによるエマルションと分散剤の連続製造装置を用いて行われる。
【0076】
工程a)では、真珠光沢形成成分および分散剤が、適当なポンプを介して第1撹拌段階に導入され、そこで55℃〜90℃、好ましくは70℃〜80℃で混合される。これらの成分が易流動性になると予備加熱は必要ではなくなる。
【0077】
1つまたは複数の成分が非易流動性の場合には、均一な融解物にするために、これらの成分を、その融点より5〜20℃高い温度に加熱する。第1撹拌段階での成分の混合は、ラメラ流動物のフロー中、55℃〜90℃、好ましくは70℃〜80℃で行われる。場合によっては、すでに第1撹拌段階で、製法で予定された水の一部または全量が添加される。しかしながら、工程a)で使用された1つまたは複数の成分が水溶液または懸濁液として存在する場合には、水の添加は完全に無くなる。
【0078】
第1プロセス工程a)では、真珠光沢形成成分および分散剤は、干渉性のラメラ液晶相へ移行する。このラメラ相は、界面活性剤の二重層(真珠光沢形成体および分散剤)から構成され、そこでは、分子が密に詰まり、平行に配置され、この場合、両親媒性化合物の疎水性部分および親水性部分はそれぞれ等しく方向付けられる。親水性部分の間には水分子が挿入され、これは膨潤とも呼ばれるプロセスである。膨潤によって取り入れられる水の量は、それぞれ使用される分散剤および真珠光沢剤に応じて変化する。
【0079】
混合後に、予備混合された塊状物は、工程b)で真珠光沢形成成分が液晶ラメラ構造の形で晶出し、真珠光沢効果が生じるように、冷却段階を介して冷却される。その場合、混合物が好ましく冷却される温度は、45℃未満、好ましくは20℃〜42℃、特に好ましくは30℃〜40℃である。
【0080】
最後に工程c)では、更なる撹拌段階で、冷却された塊状物を適度に撹拌しながら集中的に混合し、場合によっては水の残量で希釈する。そのことによって濃縮物の粘度は、濃縮物を良好に更に調製できるまで有利に低下する。ここで混合の際の温度上昇は、好ましくは、製品の温度が45℃未満のままであるように調整される。このことは、好ましくは撹拌機の出力低下および/または撹拌段階の集中的な冷却によって達成される。
【0081】
真珠光沢濃縮物の成分を連続調製することによって、小さなサイズの混合室の使用が可能となる。そのことによって、撹拌機によるエネルギー供給が有利に最小限に抑えられ、混合およびエマルション形成の速度は最大となる。
【0082】
同様に、冷却段階も有利には小さいサイズにし、そのことによって、冷却すべき混合物を撹拌することなく温度勾配の形成は最小限に抑えられる。そのことから、製造される真珠光沢濃縮物内にラメラ液晶相が迅速且つ十分に形成されることになる。したがって、本発明に係るプロセスの冷却段階における混合は、好ましくは撹拌しない。
【0083】
第2撹拌段階における追加撹拌および/または水の添加によって、工程c)では、それまでの干渉性のラメラ液晶相が小さな板状粒子に「寸断され」、これは、ラメラ間結合していない水の中に分散される。本発明に係る真珠光沢濃縮物の粒子は、有利には、ガウス分布の形の非常に均一な粒度分布を有する。そこから生じる粒径は、撹拌速度および保持時間を選択することによって、0.2〜20μmの間で選択的に調整することができる。
【0084】
好ましくは、本発明に係る方法は、標準圧力または10バールまで、好ましくは5バールまでの圧力で実施される。
【0085】
真珠光沢濃縮物に合目的の添加物を添加する場合には、これは第1撹拌段階または第2撹拌段階に導入することができる。そのような合目的の添加物は、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび/または塩化マグネシウムなどの電解質、ギ酸などの保存料または緩衝剤などである。
【実施例】
【0086】
本発明を、以下の図および実施例によって詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0087】
実 施 例 1
本発明真珠抗体濃縮物の配合処方例

【0088】
実 施 例 2
真珠光沢濃縮物の製造
このプロセスは、2段階装置内で実施した。この装置では、相Aと相Bは、第1撹拌段階に別々に導入し、排出物を冷却段階を介して冷却し、第2撹拌段階へ導入する。挙げられた%表示は質量%である。
【0089】
それぞれの段階中の保持時間を変化させることによって、時間単位当りに製造される量を明確に調整することができる。段階1−冷却段階−段階2の保持時間が20秒−53秒−20秒の場合には、1時間当たり約60kgの真珠光沢濃縮物を、16秒−41秒−16秒の場合には1時間当たり約80kgの真珠光沢濃縮物を、10秒−26秒−10秒の場合には1時間当たり約120kgの真珠光沢濃縮物を製造することができる。
【0090】

【0091】
実 施 例 3
貯蔵安定性試験
真珠光沢分散剤の粘度挙動を、オービタルシェーカ上での振盪条件(45℃、150rpm)のもとで試験した。本発明に係る2組成物(1、2;実施例1の組成物1および2に相当)並びに市販で入手可能な5個の比較組成物(3〜7)に関する結果を以下の表に示す。粘度増加は、各組成物の初期粘度に対する%で表す。粘度軸は、表示の理由から対数分割した。
【0092】

【0093】
従来の組成物は、試験条件下では激しい粘度上昇を示し、それに対して組成物1および2は粘度上昇を示さないことが明らかに分かる。組成物の粘度は、円錐円板型レオメータを用いて測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分、
a)35〜85質量%の、分散剤としての、1つまたは複数の硫酸アルキルエーテル、硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、スルホコハク酸のモノ−およびジエステル、グリシン酸アルキル、サルコシン酸アルキルおよび/またはタウリン酸アルキルまたはこれらの組合せと、
b)15〜40質量%の、下記化合物およびその混合物から構成される群から選択される真珠光沢形成成分と
一般式(I)
【化1】


[式中、Rは、12〜22個のC原子を含むアルキル基であり、
は、−C−または−C−の2価の基であり、
は、Hまたは式
【化2】

の基であり、nは、1〜10の数である]
に係る脂肪酸グリコールエステル、
一般式(II)
【化3】

[式中、Rは、8〜22個のC原子を含むアルキル基であり、
は、H、1〜4個のC原子を含むアルキル基、−(CH−CH−O)
、−(CH−CH(CH)−CH−O)−R、但しn=1〜10、
は、H、1〜4個のC原子を含むアルキル基、−(CH−CH−O)
、−(CH−CH(CH)−CH−O)−R、但しn=1〜10、
は、H、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、
i−ブチル 、またはt−ブチルである]
に係る脂肪酸アルカノールアミド、
c)選択的に、保存料、緩衝剤、無機または有機電解質、アルコール、脂肪アルコール、脂肪酸および/またはそのエトキシレート、特にx=1〜10であるPEG−x−ラウリン酸グリセリルおよび/またはPEG−x−ヤシ脂肪酸グリセリルなどの適切な添加物と、
d)合わせて100質量%になる量で、但し30質量%を超えない濃度の水と
を含有するポンピング可能な水性真珠光沢濃縮物。
【請求項2】
分散剤および真珠光沢形成成分の合計(活性量)含有量が、少なくとも60質量%、好ましくは65〜85質量%、特に好ましくは70〜80質量%である、請求項1記載のポンピング可能な水性真珠光沢濃縮物。
【請求項3】
水および添加物の合計含有量が、真珠光沢濃縮物の総量に対して30質量%未満である、請求項1または2記載のポンピング可能な水性真珠光沢濃縮物。
【請求項4】
硫酸アルキルエーテル、硫酸アルキルおよび/またはスルホン酸アルキルまたはこれらの組合せの含有量が、35〜85質量%、好ましくは40〜70質量%、特に好ましくは50〜60質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポンピング可能な水性真珠光沢濃縮物。
【請求項5】
の少なくとも60%はC12−アルキルである、請求項1〜4のいずれか1項記載のポンピング可能な水性真珠光沢濃縮物。
【請求項6】
高い相体積比を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポンピング可能な水性真珠光沢濃縮物。
【請求項7】
完全に膨潤することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポンピング可能な水性真珠光沢濃縮物。
【請求項8】
高い貯蔵安定性を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポンピング可能な水性真珠光沢濃縮物。
【請求項9】
35℃へ温度が上昇する場合に、その粘度は20%以上上昇しないことを特徴とする、請求項8記載のポンピング可能な水性真珠光沢濃縮物。
【請求項10】
ポリオールを含まないことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポンピング可能な水性真珠光沢濃縮物。
【請求項11】
次の工程、
a)硫酸アルキルエーテル、硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、スルホコハク酸のモノ−およびジエステル、グリシン酸アルキル、サルコシン酸アルキルおよび/またはタウリン酸アルキルまたはこれらの組合せから選択される分散剤と、
一般式(I)
【化4】

[式中、Rは、12〜22個のC原子を含むアルキル基であり、
は、−C−または−C−の2価の基であり、
は、Hまたは式
【化5】

の基であり、
nは、1〜10の数である]
に係る1つまたは複数の脂肪酸グリコールエステルおよび/または、
一般式(II)
【化6】

[式中、Rは、8〜22個のC原子を含むアルキル基であり、
は、H、1〜4個のC原子を含むアルキル基、−(CH−CH−O)
、−(CH−CH(CH)−CH−O)−R、但しn=1〜10、
は、H、1〜4個のC原子を含むアルキル基、−(CH−CH−O)
、−(CH−CH(CH)−CH−O)−R、但しn=1〜10、
は、H、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、
i−ブチル、またはt−ブチルである]
に係る1つまたは複数の脂肪酸アルカノールアミドから選択される真珠光沢形成
成分と、選択的に、水を、第1撹拌段階へ導入し、55℃〜90℃でラメラ流動
物フローとなるまで完全に混合する工程であり、ここで使用される水の量は、使
用される分散剤および真珠光沢形成体の濃度に対して35質量%を超えない工程、
b)混合物を、45℃未満に冷却する工程により冷却し、ここで真珠光沢形成成分が液晶ラメラ構造の形で晶出する工程、
c)前記冷却された混合物を、第2撹拌段階で強力に混合し、場合によっては残量の水で希釈する工程であり、ここで温度は、撹拌機の出力低下および/または撹拌段階の冷却によって45℃未満に保持される工程
を含み、添加物は、第1撹拌段階または第2撹拌段階に導入することができる、ポンピング可能な水性真珠光沢濃縮物の製造方法。
【請求項12】
0.1〜40質量%の真珠光沢濃縮物が界面活性剤複合物中に含まれる、請求項1〜10のいずれか一項に記載のポンピング可能な水性真珠光沢濃縮物の、界面活性剤複合物中での使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−503229(P2013−503229A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526078(P2012−526078)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062576
【国際公開番号】WO2011/023803
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(512046877)
【氏名又は名称原語表記】OTC GMBH
【Fターム(参考)】