説明

真空スパッタリング装置とその蒸着方法

【課題】基板上に複数の薄膜層を蒸着することが出来る真空スパッタリング装置を提供する。
【解決手段】ガス導入手段及びガス排気手段とを有する真空チャンバー1、回転可能な基板支持テーブル2で、基板支持テーブル2の平面に直角な、少なくとも一つの軸を中心に基板支持テーブルを回転させるための手段、真空チャンバーの壁に沿って間隔を空けて配置されている複数のスパッタリング用ターゲット5で、かつ複数のターゲットの一つに対して基板支持テーブルの位置を変更するための手段は、使用に際して、基板支持テーブル上に置かれた基板は、複数個のターゲット5の少なくとも一つからスパッタリングされた膜を有していても良く、その後、基板支持テーブルの位置の変更の後に、その上に、複数個のターゲットの少なくとも他の一つからスパッタリングされた別の一つの膜を有する様に構成されている変更手段、とから構成されている真空スパッタリング装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空スパッタリング装置に関するものであり、更に詳しくは、本発明は、基板上に、スパッタリング材料からなる薄膜を複数の層状に蒸着するための真空スパッタリング装置に関するものである。
【0002】
更に、本発明は、基板上に多層の薄膜を形成するために効果的な新規な真空スパッタリング方法であり又、合金から形成された膜内の化学量論を制御するための新規な方法である。
【背景技術】
【0003】
薄膜を形成するために、多くの技術が提案されてきているが、真空スパッタリング方法は一般的には、それが多くの利点を提供するものとして好まれている。
【0004】
特に、真空スパッタリング技術が膜体を形成するために使用される場合には、これまでに得られているものよりも、薄膜と基板との間のより強力な接着力となることは注目されるものである。
【0005】
同様に、多層膜システムに於ける当該膜層間のより強力な接着力も注目されるべきである。
【0006】
一般的には、真空スパッタリングは、ターゲットがプラズマ状態で発生したイオンによって衝突を受け、それによって当該ターゲット材料の原子からなるクラスターが当該ターゲットから放出されそして基板上に蒸着されると言う技術である。
【0007】
スパッタリングが発生すチャンバーは、真空チャンバーであり、当該チャンバーは、典型的には、約10Paから約10−2Paの圧力に維持されている。
【0008】
その下限は、不十分なイオン化によるシース(sheath)の崩壊によって示される。
【0009】
実際には、当該チャンバーは、一般的には、高度の真空状態に減圧されそして次いでアルゴン、クリプトン或いはキセノンの様な希ガスにより満たされて適当な圧力になる。
【0010】
ある構成に於いては、反応操作(reactive operation)が使用されても良く、その際、酸素或いは窒素の様なガスが当該希ガス流に加えられ、金属酸化物或いは金属窒化物が蒸着される。
【0011】
適宜の基板は、シリコンウェファ、セラミックス、プラスチックス、金属或いはガラス等が含まれる。
【0012】
この技術は、約0.5nmより薄い厚みを持つ薄膜の形成を可能にする。
【0013】
然しながら、一般的には、コーティングにより形成される薄膜の厚さは、完成された製品が使用される用途に適したものに選択される。
【0014】
低損失型レーザーミラー及び/又は、密度光波長多重の様な幾つかの望ましい用途に関しては、多層構造が得られる様に幾つかの層を蒸着することが必要である。
【0015】
上記に詳述した用途に於いて、要求されているレベルの性能を発揮するためには、それぞれの層が正確に形成されることが重要である。
【0016】
正確に複数層の薄膜を形成する能力は、又ハードディスクドライブ内及び磁気抵抗ランダムアクセス型記憶装置(MRAM)内に使用されている様な薄膜磁気センサーの製造に際して、又重要である。
【0017】
これらの特殊な装置は一般的には、巨大磁気抵抗(GMR)効果を基礎とするスピンバルブ装置や、トンネル接合装置の何れかである。
【0018】
これらの多層膜構造に於けるそれぞれの層は、異なる材料で構成されるものであり、それぞれの膜層は、最終製品にとって要求される特性を提供するものである。
【0019】
例えば、当該装置は、上部層の結晶配列を向上させる為の下部層、磁気層及びスペーサー層を含んでいるものであっても良い。
【0020】
一般的には、GMRの効果の程度は、これらの磁気層及びスペーサー層の厚みに依存する事になり、又当該装置の性能は、層間のインターフェースに依存するものである。
【0021】
従って、多層薄膜構造を形成するために使用される技術は、再生が可能で且つ、製造される装置の各部分が特性として要求されるレベルを持つことを確実にする正確性を持つことが重要である。
【0022】
基板上に一つの層の蒸着が完了してから次の層の蒸着が開始される間の遅延時間は、上記した層間のインターフェースの品質に影響を持つ事に注目されている。
【0023】
この遅延時間は、『待ち時間』として知られている。約30秒を超える当該待ち時間は、当該層間のインターフェースに対して有害な影響を与える。
【0024】
製造の容易化の為、それぞれの層は分離されたチャンバーの中で基板上に蒸着されると言う技術が一般的に使用されている。
【0025】
かかる方法は半導体分野で成功しているが、ハードディスクドライブやMRAMのような磁気構造体の生産に於いて成功している事は立証されていない。
【0026】
多種類の層の製膜に求められる、異なる材料の数により、複数の分離チャンバーが必要とされ、このことは、形成されるそれぞれの層間での待ち時間のレベルが許容しえないほど高くなる事を意味している。
【0027】
かかる問題を解決する試みの観点から、一つの基板支持テーブル上に搭載された基板上に複数の層が蒸着されうるように、一つのチャンバー内に複数の蒸着ターゲットを搭載すると言う提案がなされている。
【0028】
然しながら、このような構造のサイズによって、十分な数のターゲットをチャンバー上に設けることは困難である。
【0029】
更に、仮にそれが可能であったとしても、搭載される数は制限され、当該装置の全体の占有面積は一般的にはかなり大きなものとなる。又生産量も限定される。
【0030】
一方、それぞれの層の蒸着間の待ち時間を最小にする多層材料の製造を可能とするシステムを構成するための,幾つかの試みがなされており、又、その幾つかは、当該待ち時間の減少を達成しているが、生産量の高額化の下でのことであり、又、結果として得られた装置は大きな占有面積を持つものであった。
【0031】
従って、複数のチャンバーが使用され、それらが互いに近接して配置されると言う構成は、当該待ち時間の問題を減少させるためのある方法を示すけれども、当該製品の生産量は一般的には低く、生産コストは価格なるものであった。
【0032】
係る構成の形式に於ける追加的な欠点は、当該装置とそれに関連する機器が大きな占有面積を持っていることである。当該分離チャンバーとそれに関連する処理機器を格納する為に必要とされるクリーンルームの床面積に起因して、当該システムを稼動するためのコストがサイズに強く影響されるので、当該装置の寸法は重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明は、最小の待ち時間と最大の正確性をもって多層薄膜材料を再現可能に蒸着する事を可能とする改良された真空スパッタリング装置を提供することによって、従来の装置に関連する問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0034】
従って、本発明に於ける第1の態様としては、基板上に複数の薄膜層を蒸着することが出来る真空スパッタリング装置であって、当該装置は、
(a)ガス導入手段及びガス排気手段とを有する真空チャンバー、
(b)回転可能に構成された基板支持テーブルで、当該基板支持テーブルは当該基板支持テーブルの平面に直角な少なくとも一つの軸を中心として回転出来る様に構成されており、
(c)当該少なくとも一つの軸を中心に当該基板支持テーブルを回転させるための手段、
(d)当該真空チャンバーの壁に沿って間隔を空けて配置されている複数のスパッタリング用ターゲットで、かつそれぞれのターゲットはそれぞれが関係する電極手段を有するものであり、及び
(e)当該複数個のターゲットの一つに対して当該基板支持テーブルの位置を変更するための手段であって、当該変更手段は、使用に際して、当該基板支持テーブル上に置かれた基板は、当該複数個のターゲットの少なくとも一つからスパッタリングされた原子がその上に蒸着された膜を有していても良く、その後、当該基板支持テーブルの位置の変化の後に、当該基板は、その上に、少なくとも当該複数個のターゲットの少なくとも2つからスパッタリングされた原子の露光により蒸着された少なくとも別の一つの膜を有する様に構成されている変更手段、
とから構成されており、且つ、当該それぞれのターゲット及び当該ターゲットの関連する電極手段の配列には、他の電極からの干渉による蒸着(line of sight deposition)を防止するために個別のシャッター手段が各別に設けられている事を特徴とする真空スパッタリング装置を提供するものである。
【0035】
従って、当該チャンバーが複数のターゲットとそれに関連する電極とを含んでいる場合には、当該基板支持テーブルは、それぞれの層でのスパッタリングが発生する様に、基板をそれぞれのターゲットに順番に対向させる様に配列されるものであっても良い。
【0036】
又、同一の材料から2つ若しくはそれ以上の層が形成される場合には、当該装置は、同一の材料からなる2つ若しくはそれ以上のターゲットを含むことも可能である。
【0037】
然しながら、より好ましくは、単一のターゲットが設けられ、当該基板支持テーブルの配列が、特定の材料の層が要求されるそれぞれの場合に於いて当該単一のターゲットの位置に戻るようにすることである。
【0038】
当該基板の当該スパッタリングターゲットとそれに関連する電極に対する相対的な位置は、適宜の手段で変更されるものである。一つの構成では、当該基板支持テーブルは当該チャンバー内で長手方向に移動されるものであってもよく、それによって当該真空チャンバーの一つの壁上に設けられているターゲットと電極とから蒸着が発生する。好ましい構成に於いては、当該真空チャンバーの一つ以上の壁上に設けられているターゲット群と電極群とから蒸着が発生されるものである。
【0039】
かかる構成に於いては、当該基板支持テーブルの相対的な動きは当該基板支持テーブルの回転軸に直交する軸を中心とする回転である。
【0040】
好ましい構成としては、当該真空チャンバーは多面体或いは菱面体(rhombodedon)であり、一つ或いはそれ以上ターゲット及びそれに関連する電極が複数の面のそれぞれに配置されている。そして最も好ましい構成としては、当該真空チャンバーは立体形(cuboid)であり、一つ或いはそれ以上ターゲット及びそれに関連する電極が複数の面の設けられているものであって、最も好ましい構成としては、それぞれの面に設けられていることである。
【0041】
当該真空チャンバーのサイズ及び形状のみの制約のもとで、如何なる数のターゲット及びそれに関連する電極が設けられても良い。一つの例では、6個または8個のターゲット及びそれに関連する電極からなる構成が使用されてもよく、別の例では10個或いは12個のターゲット及びそれに関連する電極からなる構成が使用されてもよい。
【0042】
当該基板支持テーブルの相対位置の変更するための手段は、適切な如何なる手段であってもよいが、好ましくは、当該基板支持テーブルを少なくとも一つの軸の周りに360度回転せしめられる手段であり、最も好ましくは、当該基板支持テーブルを当該真空チャンバー内に於ける如何なる場所にでも対向せしめられる手段である。
【0043】
処理室は好ましくは当該基板支持テーブルの側部であって、当該基板を支持するために使用される処理室から離れて設けられている。
【0044】
かかる処理室は、当該基板支持テーブルの相対位置を変更するための手段を含んでいても良い。当該手段は何れかの適切な手段によって駆動せるモーターであっても良い。
【0045】
当該装置は、基板を当該真空チャンバー内に挿入するための手段を含んでいる。最も好ましくは、当該装置は、郵便箱型仕切弁を持った真空負荷開閉器(vacuum load lock having a letter box type gate valve)を含むものであり、当該仕切弁を通して当該基板が当該真空チャンバー内に挿入されそして当該基板支持テーブル上に載置される。
【0046】
あらゆるターゲット及びそれに関連する電極の構成が使用可能である。一つの構成ではそれぞれのターゲットは一般的に、無線周波数(rf)或いは直流(dc)であっても良い電源に接続されている水冷式のバックプレートの上に保持されているものでも良い。
【0047】
当該バックプレートは、電極に接続されており、電源が無線周波数(rf)である場合には、当該電極はrfダイオード或いはrfマグネトロンであり、又当該電源が直流(dc)で有る場合には、当該電極は一般的にはdcマグネトロンである。
【0048】
適正な電源構成の例としては、EP−A−0261922及びGB−A−1482632が参照でき、これらは本願に参考例として組み込まれている。
【0049】
本発明に於いては、いかなる適切なターゲットが使用されうる。一つの構成としては、それぞれのターゲットは反強磁性材料、高モーメント磁性材料、中程度モーメント磁性材料、非磁性材料、誘電体材料、或いはセラミック材料等の何れかで構成されていてもよい。
【0050】
当該ターゲットとして使用される反強磁性材料の例としては、FeMn,IrMn,PtMnが含まれる。高モーメント磁性材料の例としては、Ni35Fe45,FeX,Feが含まれる。中程度モーメント磁性材料の例としては、Ni81Fe19が含まれる。非磁性材料の例としては、Cu,Ta,Ru及びAlが含まれる。誘電体材料、或いはセラミック材料等の例としては、SiO,Ta、チタニア、ハフィナ、ジルコニアが含まれる。
【0051】
当該基板支持テーブルの位置は、原子がスパッタリングされるターゲットと基板との間に長い距離が存在すると言う事を意味する。一つの置換可能な構成では、当該ギャップを減少させるために伸縮式のターゲット及び電極を使用しても良い。他の置換可能な構成では、当該基板支持テーブルはその高さが調整可能であっても良い。
【0052】
必要である場合には、それぞれのターゲット及び電極の構成は、他の電極からの干渉による蒸着(line of sight deposition)を防止するための保護手段が設けられているものであっても良い。
【0053】
一つの構成では、シャッター手段が使用されても良い。従って、使用に際しては、蒸着をそこから発生させようとする当該ターゲット及びそれに関連する電極に対応するシャッターが開かれ、残りの電極に対応するシャッターは閉鎖状態を維持する。
【0054】
当該蒸着が異なるターゲット及びそれに関連する電極から発生せしめられる様に、当該基板支持テーブルの位置が調整された場合、第1のターゲットに対応するシャッターは閉鎖され、新しいターゲットに対応するシャッターが開かれる。
【0055】
当該基板支持テーブルの移動と当該シャッターの開放と閉鎖は一般的には自動的に実施される。
【0056】
如何なる適正なシャッターが使用される。然しながら、らせん状駆動の除塵室の蓋形式のシャッター(dustbin lid style shutter)は特に好ましい。当該除塵室の蓋形式のシャッターは、ディスクの周辺に当該ディスクの平面と直交する方向にリップ(lip)が形成されており且つターゲットに対向しているディスクシャッター(disc shutter)を意味している。
【0057】
かかる構成は、それが回転する際にシャッターを持ち上げることを可能とする。当該構成は、放電が開始される事を許可し、一方当該シャッターは、当該ターゲット材料を予め清掃するために閉鎖される。
【0058】
別の構成に於いては、当該ターゲット及び電極は、隔離された仕切弁の背後に配置されている。この形式の構成は、物理的シャッターを作動させるに必要な時間が除かれるので蒸着のための時間を最小にすることが可能であるので利点がある。
【0059】
機械的シャッターは、一般的には、依然として干渉汚染を防止するのに必要とされているが、機械的システムと電気的システムとの組み合わせが特に利点がある。
【0060】
特に、極めて薄い層で短時間の蒸着にとっては、当該シャッターの移動は、それが側方から側方であるか、ウェハーの軸回転の場合のいずれであっても、方位角方向の均一性(azimuthal uniformity)を悪化させる事に成る。
【0061】
この問題は、干渉汚染の制御のための機械的シャッターの使用及び工程制御のための静電気シャッターの使用による一つの具体例の中で説明されている。
【0062】
従って、本発明に於ける好ましい具体例に於いては、以下に示される工程手順が使用される。
【0063】
当該機械的シャッターが閉鎖されると、特定の材料による蒸着に影響を与えるグロー放電が開始される。(典型的には、この操作は、おそらく、前の膜の蒸着が完了する以前に開始されることになる。)当該放電は、ターゲットを予備的に清掃するために短期間発生せしめられる。グロー放電を駆動する電極の電力は、その後停止され、機械的シャッターがひらかれそして当該電源が駆動状態になることによって当該放電が開始される。
【0064】
この放電の開始は、典型的には、当該テーブル上の基板における特定の位置と同期する事になる。
【0065】
蒸着の完了によって、当該電源を切断する事によって、同様に同期した形で処理構成は終了せしめられる。一旦放電が消滅した場合に、当該装置内で、他の材用が蒸着されることによる干渉汚染に対する防衛の為に当該機械的シャッターは閉じられる。
【0066】
一つの構成に於いては、一つ或いはそれ以上のターゲット及び電極からなる構成が本発明に参考資料として組み込まれているWO98/18150に記載されている様なイオンビーム源と置き換えられても良い。
【0067】
当該イオンビームシステムは約0.1から約10−3Paの典型的な操作圧力範囲を持っている。
【0068】
本発明に於ける第2の態様に従えば、真空スパッタリングによって基板上に複数層の材料を蒸着する方法であって、当該方法は、
(a)基板支持テーブル上に基板を搭載する工程であって、当該基板支持テーブルは、真空チャンバー内に設けられており、且つ当該基板の表面と直交する少なくとも一つの軸の周りに回転可能に構成されているものであり、
(b)当該真空チャンバー内に適宜の圧力を有するガスを導入する工程、
(c)複数個のターゲットであって、それぞれが関係する電極手段を有するターゲットを当該真空チャンバーの壁に沿って間隔を空けて配置する工程であって、且つ、当該それぞれのターゲット及び当該ターゲットの関連する電極手段の配列には、他の電極手段からの干渉による蒸着(line of sight deposition)を防止するために個別のシャッター手段が設けられる工程、
(d)当該基板支持テーブルを、少なくとも2つの当該ターゲット及びそれに関連する電極から蒸着が発生する為に当該基板支持テーブルが適切な配列となる様に、配列する工程、
(e)当該基板支持テーブルを回転させる工程、
(f)蒸着を発生させる少なくとも2つの当該ターゲットと当該ターゲットに関連する当該電極手段の当該個別のシャッターを開放する工程、
(g)当該少なくとも2つのターゲットに関連する当該電極手段に対して、当該ガスがプラズマを形成し、そしてそれから発生するイオンが少なくとも2つのターゲットから原子がスパッタリングされ、そして当該原子が当該基板上に蒸着されて第1の膜層を形成する様に、電力を供給する工程、
(h)当該電極手段から電力を取り去る工程、
(i)蒸着が発生した少なくとも2つの当該ターゲットと当該ターゲットに関連する当該電極手段の当該個別のシャッターを閉鎖する工程、
(j)当該蒸着が、少なくとも別の当該ターゲット及びそれに関連する電極手段から形成される様に、当該基板支持テーブルの配列を調整する工程、
(k)蒸着を発生させる少なくとも別の当該ターゲットと別の当該ターゲットに関連する当該電極手段の当該個別のシャッターを開放する工程、
(l)別の膜層が、既に形成されている膜層の上に形成される様に当該他のターゲットに関連する電極手段に電力を供給する工程、
(m)蒸着が発生した少なくとも別の当該ターゲットと別の当該ターゲットに関連する当該電極手段の当該個別のシャッターを閉鎖する工程、
(n)必要に応じて上記した工程(j)から工程(m)を繰り返す工程、
とから構成されている事を特徴とする真空スパッタリングによって基板上に複数層の材料を蒸着する方法が提供される。
【0069】
それぞれの配列の変更に於いて、当該基板支持テーブルは、当該基板上に層を形成するために、以前には使用されていなかった一つ或いはそれ以上のターゲットから蒸着が生じるように回転されてもよく、或いは、先の層の形成の為に使用された材料から別の層が蒸着される必要がある場合には、当該テーブルは既に使用されている配列位置に戻る様にしてもよい。
【0070】
当該テーブルは、そこから蒸着が発生せしめられるターゲットに平行であるか、当該ターゲットに対して角度を有する様に配列されるものであっても良い。当該テーブルに対して角度を有して蒸着を実行することは、薄膜が非均一性である事に関して特別の利点がある。
【0071】
従来の装置に於いては、角度蒸着を提供するために、当該電極の軸から当該基板支持テーブルの軸をずらせることが可能である。然しながら、当該基板と電極の平面は、一般的には平行である。本発明に於ける構成にあっては、かかるタイプに於ける当該オフセットは、当該ターゲット及びそれに関連する電極の適切な位置によって達成されるものである。
【0072】
然しながら、それに加えて、平面の角度は、当該ターゲットは当該基板支持テーブルの軸上に存在しているが、当該テーブルは当該ターゲットの平面に対して傾斜しているような構成を持つ手段によって傾斜せしめられる。
【0073】
別の構成に於いては、望ましい程度の非均一性を達成するのに必要なオフセットを減少させるためにオフセットと傾斜の組み合わせが使用されてもよい。
【0074】
従来の構成は、200mmのウェファ上に於ける金属フィルムには±2%の非均一性に対する範囲が与えられている。これに対し、当該基板と電極との間に角度が生じる様に傾斜させると共に少しのオフセットを持たせることにより、±0.2%台の非均一性を与えることが出来る。角度オフセットは、典型的には、平行状態から約10度から約30度の範囲であるがそれ以上出もよく、又オフセットは、典型的には約50nmから約100nmの範囲である。
【0075】
既に説明した様に、従来の装置に於いては、当該基板支持テーブルの軸を当該電極の軸からオフセットすることは可能であり、それによって薄膜の非均一性に関して利点をもつ角度蒸着(angled deposition)が提供される。本発明の具体例に於いては、角度蒸着はオフセット或いは角度傾斜若しくはその双方の何れかにより提供される事が出来るので、蒸着されるべき材料が二元合金である場合には、さらに利点が得られることになる。
【0076】
伝統的には、そのような合金は、合金から作られたターゲットから供給されている。然しながら、ターゲットは要求される化学量論を有していても良い事から、蒸着膜に於ける望ましい化学量論を達成するに際し、及び再現性のある結果を得るに際し多くの問題がある事に注目される。
【0077】
一般的には、蒸着膜の組成は、ターゲットの組成と同じではないであろうし、又、修正界面を持っていないであろうから、それがテストされうる以前に数時間の間アンニーリングされなければならない。
【0078】
それに加えて、当該組成は、蒸着圧力及びターゲットのエージングによって変化する。
【0079】
本発明に於ける構成は、合金の組成を含むそれぞれのターゲットを提供する事によってその場(in situ)で基板上に、二元合金が形成される事を可能とするものであり、またそれぞれから同時に蒸着を発生させる事を可能とするものである。
【0080】
他の構成に於いては、これらのターゲット及び対応する電極は、当該チャンバーの隣接する面に配置され、基板支持テーブルは、傾斜方式により双方のターゲットから蒸着が発生摺る様に配置される。
【0081】
当該傾斜を変更する可能性は、組成の均質化率を変更せしめる事を可能にし、それによって、当該組成が注意深く制御される。
【0082】
このことは、達成されるべきターゲットの組成に於ける許容限界幅をこれまでに達成されてきている限界幅よりもより広く認めることになり、又、ターゲットのエージングに関連した問題を補償することも可能にする。
【0083】
当該基板支持テーブルが回転しているので、当該組成は、蒸着位置の周りで均質になる。
【0084】
当該組成は当該ターゲットに関連する電極に対する相対的な電力を変化させることによって調整されるものであってもよい。
【0085】
本発明に於ける別の構成に於いては、当該基板支持テーブルは、2個以上の電極と対向してもよく、それによって、三元或いは四元のようなより高次元合金が蒸着される。
【0086】
従って、本発明に於ける第3の態様としては、真空スパッタリングによって基板上の蒸着合金の化学量論(stoichiometry of deposited alloy)を制御する方法であって、当該方法は、
(a)基板支持テーブル上に基板を搭載する工程であって、当該基板支持テーブルは、真空チャンバー内に設けられており、且つ当該基板の表面と直交する少なくとも一つの軸の周りに回転可能に構成されているものであり、
(b)当該真空チャンバー内に適宜の圧力を有するガスを導入する工程、
(c)複数個のターゲットであって、それぞれが関係する電極手段を有するターゲットを当該真空チャンバーの壁に沿って間隔を空けて配置する工程であって、且つ、当該それぞれのターゲット及び当該ターゲットの関連する電極手段には、他の電極手段からの干渉による蒸着(line of sight deposition)を防止するために個別のシャッター手段が設けられる工程、
(d)当該基板支持テーブルを、2個若しくはそれ以上の当該ターゲット及びそれに関連する電極から蒸着が発生する為に当該基板支持テーブルが適切な配列となる様に、配列する工程、
(e)当該基板支持テーブルを回転させる工程、
(f)蒸着を発生させる2個若しくはそれ以上の当該ターゲットと当該ターゲットに関連する当該電極手段の当該個別のシャッターを開放する工程、
(g)当該2個若しくはそれ以上のターゲットに関連する当該電極手段に対して、当該ガスがプラズマを形成し、2個若しくはそれ以上のターゲットから原子がスパッタリングされ、そして当該基板上に蒸着されて合金を形成する様に、電力を供給する工程、
とから構成されている事を特徴とする真空スパッタリングによって基板上に複数層の材料を蒸着する方法が提供される。
【0087】
当該合金の化学量論は、当該2個或いはそれ以上のターゲットと関連する電極に対する当該基板支持テーブルの傾斜を変更するか及び/又は当該電極に対する相対電力を変更する事により調整される。
【0088】
当該基板支持テーブルの配置位置の変更は好ましくは一つ或いはそれ以上の軸を中心とした回転によるものである。
【0089】
当該チャンバー内に認められているガスは適宜のガスであってもよいが、好ましくは、アルゴン、クリプトン或いはキセノンの様な希ガスである。
【0090】
いかなる適正な操作条件が使用される。圧力は、約10−1Paから約5×10−2Paの範囲のものが特に好ましく、回転速度が約30rpmから60rpmの範囲である場合のガス流は、約5から約20sccmの範囲のものが特に効果的であり、然しながら、ある特定の使用に於いては、当該速度を約1000rpmに増速することは有用である。
【0091】
本発明は、遅延時間を10から5秒或いはそれ以下の数値を達成出来るので、当該待ち時間を著しく減少させる事が可能である。更に、装置の占有面積が小さいので、著しいコストメリットが得られる。それに加えて、生産量の改善も注目されるものである。特に、全体のモジュールのコンパクト化は、複数のそのようなモジュールを、付加的に生産量を改善する標準的形態での集合構成として使用する事を可能としている。
【発明の効果】
【0092】
本発明により、最小の待ち時間と最大の正確性をもって多層薄膜材料を再現可能に蒸着する事を可能とする改良された真空スパッタリング装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、本発明に於ける装置の概略図である。
【図2】図2は図1の複写であり、基板支持テーブルの動きに関する一つの方向を示す図である。
【図3】図3は、ターゲット及びそれに関連する電極の構造に対する別の構成の一つを示す概略ダイアグラムである。
【図4】図4は、4個の電極の組み合わせがチャンバーの面に配置されている別の構成を示す概略ダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0094】
本発明の好ましい実施の形態を添付の図面を参照しながら説明する。
【0095】
此処に於ける特別の配列(つまり、上部、底部、前部及び背面部)に対してなされているすべての参照符号は、本発明に於ける装置の構成についての相対的な空間関係を示す目的でなされたものであり、それに制約される事を意図していない。
【0096】
図面は単に概略図を示すものであり、真空ポンプ、制御バルブ、圧力センサー、フラックス形状及びそれらに類するものの様な部品の更なる項目は、商業的な真空スパッタリング装置に要求されるものである事は理解されるべきである。
【0097】
図1に示す様に、本発明にかかる真空スパッタリング装置は、基板3が搭載される基板支持テーブル2を内蔵する真空チャンバー1を含んでいる。当該テーブル2は、テーブル制御部4と接続されており、図2に於ける矢印Aに示されている様に、当該テーブルの平面と直交する軸を中心として回転可能に構成されている
その回転を駆動するモーターが当該制御部4内に配置されている。
【0098】
従来の手段によって操作される電極とターゲットからなる構成5がチャンバー1の壁面に設けられている。当該テーブル2は図2に於ける矢印Bに示す様に、一つ或いはそれ以上の電極に対向するように回転せしめられるか或いは当該電極に対し角度が形成される様に設定される。当該角度は約10度から約30度である。
【0099】
当該真空チャンバー1は、真空負荷開閉器を含んでいても良く、それによって、基板3は当該回転可能な基板支持テーブル上に例えば、ロボットアームによって載置され、その間当該真空チャンバー1内の真空状態は維持される。
【0100】
それとは別に、当該真空チャンバー1は当該真空負荷開閉器を含まないものであっても良い。その場合には、当該チャンバー内の真空状態は、当該基板テーブル2上に新しい基板が載置される毎に、失われる。このような動作モードに於いては、当該基板は当該基板テーブル2上に手動操作によって搭載されそして当該真空チャンバー1は排気される。
【0101】
当該真空チャンバー1は排気され約10−5ミリバール(約10−4Pa)から約10−3ミリバール(約10−2Pa)の範囲の圧力に維持される。
【0102】
当該テーブルが指向されている当該電極とターゲットからなる構成に電力が印加されると、当該チャンバー内にプラズマが形成され、当該プラズマからのイオンが当該ターゲットに衝突してスパッタリングされるべき蒸着材料の原子が発生し、それが回転する基板に蒸着され、当該材料からなる薄膜が当該基板上に形成される。
【0103】
第2の層が蒸着される様に、最小の遅延時間(5秒或いはそれ以下のオーダーの)で当該テーブルは次の電極とターゲットからなる構成に対向するように回転せしめられる。
【0104】
かかる工程は、必要な多層構造が完成するまで繰り返される。
【0105】
当該基板テーブルは、一つの回転軸しか持っていない場合には、当該ターゲット及びそれに関連する電極は、図1に示す様に、回転による通路に沿って配置されるか或いは、図3に示す様に当該回転通路とオフセットさせて配置しても良い。
【0106】
ひとつの構成に於いては、複数の当該ターゲット及びそれに関連する電極が対となって当該テーブルの回転による通路に沿って間隔を空けて配置されているものであっても良い。
【0107】
これらは、2元合金のそれぞれの組成物が分離して蒸着される事を可能とするものであり、それによって合金はその場で当該基板の表面に形成されるものである。
【0108】
かかる方法によって、当該合金の化学量論は注意深く制御されることになる。
【0109】
例えば、磁気センサー於ける反強磁性体としてしばしば要求されるPtMn層で基板をコーティングする場合には、PtとMnの比は望ましくは50:50である。別々のターゲットからプラチナとマンガンを蒸着する事によって、エージング等に関連する問題はすでに解決されており、蒸着フィルムに関する化学量論は注意深く制御できる。更に当該基板テーブルを傾けることが出来る事は、更に2つの可能性を提供する。当該傾斜が変更されるので、蒸着フィルムに於ける均質なプラチナのマンガンに対する比を変化させる。これは、一般的には大きな変化ではなく、約1乃至約2wt%のオーダーの変化である。
【0110】
然しながら、製造工程に於いては、公知の構造で一般的に得られるものと比較して顕著な変化が見られ、例えば、組成物制御のウィンドウは通常多くても1wt%である。これを制御する能力は、組成に関してより広い許容範囲を提供すると共に、製造者に当該ターゲットをエージング処理する事を可能にする。
【0111】
更には、図3に示される様な、2個の電極が近接されている態様では、電極が当該基板に対して対称的であるので、当該基板支持テーブルの回転による当該基板の回転によって組成が均質化されるという方法で、一つの電極から一つの組成物を蒸着し、第2の電極から他の組成物を蒸着する事が可能になる。
【0112】
別の構成に於いては、4個のターゲット及びそれに関連する電極による配列は、当該チャンバーの面上に設けられても良い。
【0113】
一つの構成では、この方法は、コンパクトな空間内で12個のターゲットの使用が可能である。かかる構成は、特に三元合金或いはCrSiZXYの様な四元合金である高次元合金の製造に有用である。この方法は、A/D変換器及びD/A変換器に使用される種類の精密抵抗に対して要求される薄膜の様な、薄膜を蒸着する際の高次元な合金組成物の制御を可能とするので便利である。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、複数の薄膜層を多層に形成した多層薄膜層の製造装置として使用可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 チャンバー
2 基板支持テーブル
3 基板
4 テーブル制御部
5 電極とターゲットからなる構成

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に複数の薄膜層を蒸着することが出来る真空スパッタリング装置であって、当該装置は、
(a)ガス導入手段及びガス排気手段と、を有する真空チャンバー、
(b)回転可能に構成された基板支持テーブルで、当該基板支持テーブルは当該基板支持テーブルの平面に直角な少なくとも一つの軸を中心として回転出来る様に構成されており、
(c)当該少なくとも一つの軸を中心に当該基板支持テーブルを回転させるための手段、
(d)当該真空チャンバーの壁に沿って間隔を空けて配置されている複数のスパッタリング用ターゲットで、かつそれぞれのターゲットはそれぞれが関係する電極手段を有するものであり、及び
(e)当該複数個のターゲットの一つに対して当該基板支持テーブルの位置を変更するための手段であって、当該変更手段は、使用に際して、当該基板支持テーブル上に置かれた基板は、当該複数個のターゲットの少なくとも一つからスパッタリングされた原子がその上に蒸着された膜を有していても良く、その後、当該基板支持テーブルの位置の変化の後に、当該基板は、その上に、少なくとも当該複数個のターゲットの少なくとも2つからスパッタリングされた原子の露光により蒸着された少なくとも別の一つの膜を有する様に構成されている変更手段、
とから構成されており、且つ、当該それぞれのターゲット及び当該ターゲットの関連する電極手段の配列には、他の電極からの干渉による蒸着(line of sight deposition )を防止するために個別のシャッター手段が各別に設けられている事を特徴とする真空スパッタリング装置。
【請求項2】
当該複数のターゲットは互いに異なる材料である事を特徴とする請求項1に記載の真空スパッタリング装置。
【請求項3】
当該基板支持テーブルは、当該真空チャンバー内に於いて、長手方向に移動可能に構成されている事を特徴とする請求項1又は2に記載の真空スパッタリング装置。
【請求項4】
当該ターゲットは、当該真空チャンバー内の一つ以上の壁上に配置されている事を特徴とする請求項1又は2に記載の真空スパッタリング装置。
【請求項5】
当該真空チャンバーは、多面体又は菱面体(rhombodedron)に形成されており、一つ或いは複数個の当該ターゲットは、当該複数個の面に配置されている事を特徴とする請求項4に記載の真空スパッタリング装置。
【請求項6】
当該真空チャンバーは、立方体に形成されており、一つ或いは複数個の当該ターゲットは、当該複数個の面に配置されている事を特徴とする請求項5に記載の真空スパッタリング装置。
【請求項7】
当該基板支持テーブルは、当該基板支持テーブルの回転軸に直交する軸を中心に回転せしめられる事を特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の真空スパッタリング装置。
【請求項8】
当該回転角度は360度である事を特徴とする請求項7に記載の真空スパッタリング装置
【請求項9】
当該真空スパッタリング装置は、当該基板を当該真空チャンバー内に導入するための手段を含んでいる事を特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の真空スパッタリング装置。
【請求項10】
当該電極手段と当該ターゲットの配列は、当該ターゲットと当該基板との間に形成されるギャップを減少させる為に、伸縮自在に構成されている事を特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の真空スパッタリング装置。
【請求項11】
当該少なくとも一つの当該シャッター手段は、ディスクシャッターである事を特徴とする請求項10に記載の真空スパッタリング装置。
【請求項12】
真空スパッタリングによって基板上に複数層の材料を蒸着する方法であって、当該方法は、
(a)基板支持テーブル上に基板を搭載する工程であって、当該基板支持テーブルは、真空チャンバー内に設けられており、且つ当該基板の表面と直交する少なくとも一つの軸の周りに回転可能に構成されているものであり、
(b)当該真空チャンバー内に適宜の圧力を有するガスを導入する工程、
(c)複数個のターゲットであって、それぞれが関係する電極手段を有するターゲットを当該真空チャンバーの壁に沿って間隔を空けて配置する工程であって、且つ、当該それぞれのターゲット及び当該ターゲットの関連する電極手段の配列には、他の電極手段からの干渉による蒸着(line of sight deposition)を防止するために個別のシャッター手段が設けられる工程、
(d)当該基板支持テーブルを、少なくとも2つの当該ターゲット及びそれに関連する電極から蒸着が発生する為に当該基板支持テーブルが適切な配列となる様に、配列する工程、
(e)当該基板支持テーブルを回転させる工程、
(f)蒸着を発生させる少なくとも2つの当該ターゲットと当該ターゲットに関連する当該電極手段の当該個別のシャッターを開放する工程、
(g)当該少なくとも2つのターゲットに関連する当該電極手段に対して、当該ガスがプラズマを形成し、そしてそれから発生するイオンが少なくとも2つのターゲットから原子がスパッタリングされ、そして当該原子が当該基板上に蒸着されて第1の膜層を形成する様に、電力を供給する工程、
(h)当該電極手段から電力を取り去る工程、
(i)蒸着が発生した少なくとも2つの当該ターゲットと当該ターゲットに関連する当該電極手段の当該個別のシャッターを閉鎖する工程、
(j)当該蒸着が、少なくとも別の当該ターゲット及びそれに関連する電極手段から形成される様に、当該基板支持テーブルの配列を調整する工程、
(k)蒸着を発生させる少なくとも別の当該ターゲットと別の当該ターゲットに関連する当該電極手段の当該個別のシャッターを開放する工程、
(l)別の膜層が、既に形成されている膜層の上に形成される様に当該他のターゲットに関連する電極手段に電力を供給する工程、
(m)蒸着が発生した少なくとも別の当該ターゲットと別の当該ターゲットに関連する当該電極手段の当該個別のシャッターを閉鎖する工程、
(n)必要に応じて上記した工程(j)から工程(m)を繰り返す工程、
とから構成されている事を特徴とする真空スパッタリングによって基板上に複数層の材料を蒸着する方法。
【請求項13】
当該基板支持テーブルは、それが当該電極若しくはターゲットの配置に対して平行か或いは当該電極若しくはターゲットの配置に対して角度を有する様に配列されても良い事を特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
当該基板支持テーブルの配列の変更は、回転操作によるものである事を特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
真空スパッタリングによって基板上の蒸着合金の化学量論(stoichiometry of deposited alloy)を制御する方法であって、当該方法は、
(a)基板支持テーブル上に基板を搭載する工程であって、当該基板支持テーブルは、真空チャンバー内に設けられており、且つ当該基板の表面と直交する少なくとも一つの軸の周りに回転可能に構成されているものであり、
(b)当該真空チャンバー内に適宜の圧力を有するガスを導入する工程、
(c)複数個のターゲットであって、それぞれが関係する電極手段を有するターゲットを当該真空チャンバーの壁に沿って間隔を空けて配置する工程であって、且つ、当該それぞれのターゲット及び当該ターゲットの関連する電極手段には、他の電極手段からの干渉による蒸着(line of sight deposition)を防止するために個別のシャッター手段が設けられる工程、
(d)当該基板支持テーブルを、2個若しくはそれ以上の当該ターゲット及びそれに関連する電極から蒸着が発生する為に当該基板支持テーブルが適切な配列となる様に、配列する工程、
(e)当該基板支持テーブルを回転させる工程、
(f)蒸着を発生させる2個若しくはそれ以上の当該ターゲットと当該ターゲットに関連する当該電極手段の当該個別のシャッターを開放する工程、
(g)当該2個若しくはそれ以上のターゲットに関連する当該電極手段に対して、当該ガスがプラズマを形成し、2個若しくはそれ以上のターゲットから原子がスパッタリングされ、そして当該基板上に蒸着されて合金を形成する様に、電力を供給する工程、
とから構成されている事を特徴とする真空スパッタリングによって基板上に複数層の材料を蒸着する方法。
【請求項16】
当該化学量論は、当該ターゲットと関連する当該電極に対する当該基板支持テーブルの傾斜を調整するか及び/又は当該電極に対する相対電力を調整する事により調整される事を特徴とする請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−161861(P2009−161861A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46251(P2009−46251)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【分割の表示】特願2003−544236(P2003−544236)の分割
【原出願日】平成14年11月13日(2002.11.13)
【出願人】(501185844)グレイドベイ リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Gradebay Limited
【Fターム(参考)】