説明

真空チャンバー中で硬化させるための電子線硬化性組成物

【課題】液体組成物及びその組成物を真空条件下の実質的に無酸素の雰囲気中で基板の表面にコーティングするための方法を提供すること。
【解決手段】この組成物は、1つ又は複数の成分を含み、その成分の全てが真空条件下で気相又は蒸気相状態にならない。また、エチレン性不飽和メタクリレートモノマー、又はエチレン性不飽和メタクリレートモノマーとエチレン性不飽和メタクリレートオリゴマーとの組合せからなるエチレン性不飽和成分を有する。エチレン性不飽和成分は、十分な電子線放射の適用によって重合又は架橋することができる。この組成物は、エチレン性不飽和アクリレート成分が実質的に無い状態、重合開始剤が実質的に無い状態、及び溶媒が実質的に無い状態である。この組成物は、アクリレート官能基が無く、メタクリレート官能基の無い1つ又は複数のポリマー、1つ又は複数のワックス、顔料、及び/又は湿潤剤を選択的に更に含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液相堆積及びその後の電子線硬化を行うことで、基板上に薄い固体のポリマーフィルムを生成させるための組成物、及び、方法に関する。この液相堆積及び硬化は、いずれも真空条件下の実質的に酸素の無い雰囲気中で行われる。この組成物は、1つ又は複数の成分を含み、その成分は全て真空条件下で気相状態にはならない。この組成物は、エチレン性不飽和メタクリレートモノマー、又は、エチレン性不飽和メタクリレートモノマーとエチレン性不飽和メタクリレートオリゴマーとの組合せからなるエチレン性不飽和成分を有する。このエチレン性不飽和成分は、十分な電子線放射の適用によって重合可能又は架橋可能である。この組成物は、エチレン性不飽和アクリレート成分、重合開始剤、及び、溶媒を実質的に含まない。
【背景技術】
【0002】
金属化フィルム基板を覆う保護用及び/又は機能性コーティングを真空チャンバーの内側で直接塗布し、それらを電子線放射により硬化することには大きな商業的関心がある。電子線硬化性組成物の利点は、それらが本質的に完全に固体であり、真空下で気体又は蒸気相に移行しないことである。真空下における固体硬化性コーティングの塗布は、塗膜の均一性及び酸化されていない金属表面への接着に対して有利である。これは、電子線硬化性コーティングを空気中で酸化された金属表面の上に塗布するのと比較して有利である。
【0003】
薄い金属及びポリマーフィルムは、特定の用途のための望ましい特性を付加又は促進する。例えば、食品を保存するために使用されるホイル類は、酸素に対する透過性が非常に低いことが必要とされ、包装材料の外面は印刷インキを受け入れることができなくてはならない。また、電子製品のための包装材料は、帯電を無くすために一定限度量の導電率が必要である。ポリマーフィルムの物理的性質を修正して使用目的に向けてそれらの適性を改良することは望ましく、ときには必要である。好ましくは、該フィルムは望ましい特性を特徴とする組成及び分子構造によって直接形成される。金属及びポリマーの薄膜は、様々な公知の方法による適切な基板上への堆積、特に、湿式化学によるか又は蒸着によるフィルム形成を通して形成される。また、化学的方法は溶解性熱可塑性の他に不溶性熱硬化性ポリマーも生成し、溶媒の使用を伴い、従って、フィルム形成は溶媒の拡散及び蒸発を経て達成される。結果として、これらの方法は相対的に長い滞留時間及び溶媒を取り扱う望ましくないステップを必要とする。
【0004】
これらの蒸着方法は、真空チャンバー中の液体モノマーの蒸発、冷たい基板上へのその析出、及び、電子線又は紫外線への曝露によるその後の重合を伴う。米国特許第6,270,841号及び同第6,447,553号は、真空蒸着室の加熱された蒸発器区域で霧化され、真空下で瞬間的に蒸発する供給容器からの液体モノマーを説明している。結果として生じるモノマー蒸気は、その装置の凝縮区域に入り、そこで基板上に蒸気の形で塗布されて基板の冷たい表面と接触した際に、凝縮して薄い液体のフィルムを形成する。この液体の蒸着フィルムは、その後、電子線又は紫外線源への曝露によって硬化される。かかる技術による問題は、蒸発した組成物が真空チャンバー内の装置の内部の多くをコーティングし、その後照射されたとき硬化して装置上の望ましくない固形物になることである。このような望ましくない固形物は、取り除くのが困難である。加えて、これらの特許文献は、無酸素の雰囲気中で殆ど瞬間的に重合して固形物になる多官能性アクリレートを含む組成物を教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,270,841号明細書
【特許文献2】米国特許第6,447,553号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
伝統的に、電子線硬化性コーティングは、電子線照射への曝露下でフリーラジカル重合を受けることができるアクリレート官能性のプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの混合物である。一般的に、電子線のフリーラジカル重合は、酸素の存在によって阻害されるため、電子線コーティングは窒素ブランケット下で硬化させなければならない。完全な硬化には、かなりの電子線線量を必要とする。
【0007】
メタクリレート官能性のプレポリマー、オリゴマー及びモノマーも、フリーラジカル重合を受けることができるが、アクリレートよりも重合速度がずっと遅く、それらは電子線硬化技術のどんな既知の商業的応用にも使用することができないことが知られている。殆どのアクリレート官能性化合物は、無酸素の雰囲気中で、特に高温条件下では電子線照射への曝露無しでさえも素早く重合することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
メタクリレートに基づく組成物は、真空及び高温条件下での早期重合を避けて、それらの流動性を実際に維持することができることが意外にも見いだされた。アクリレート官能基の少量の添加でさえも安定性の損失を急速に引き起こす。本発明によれば、エチレン性不飽和メタクリレートモノマー、又は、エチレン性不飽和メタクリレートモノマーとエチレン性不飽和メタクリレートオリゴマーとの組合せからなるエチレン性不飽和成分を有する組成物が形成される。このエチレン性不飽和成分は、低線量の電子線放射の適用によって重合又は架橋することができる。この組成物は、エチレン性不飽和アクリレート成分、重合開始剤及び溶媒が実質的に無い状態である。これらの結果、基板上の硬化した組成物は、大幅に改善された防湿性、酸素遮断性、耐スクラッチ性、接着性及び印刷適性を与える。この方法は、低電圧の電子線硬化により、そして金属化表面を酸化して脆弱性と印刷における問題とを引き起こす酸素を無くすことにより完全な硬化を提供する。
【0009】
即ち、本発明は、基板をコーティングするための方法であって、
a)真空条件下の実質的に無酸素の雰囲気中で基板の表面に液体組成物をコーティングするステップであり、
該組成物が1つ又は複数の成分を含み、その成分の全てが前記真空条件下で気相又は蒸気相状態にならず、
前記組成物は、エチレン性不飽和成分を含んでおり、
前記エチレン性不飽和成分が、本質的に、エチレン性不飽和メタクリレートモノマー、又は、エチレン性不飽和メタクリレートモノマーとエチレン性不飽和メタクリレートオリゴマーとの組合せからなり、
該エチレン性不飽和成分は十分な電子線放射の適用によって重合又は架橋することができ、前記組成物はエチレン性不飽和アクリレート成分が実質的に無い状態、重合開始剤が実質的に無い状態、及び溶媒が実質的に無い状態である上記ステップと、
b)前記液体組成物を、真空条件下の実質的に無酸素の雰囲気中で十分な電子線放射に曝露して、該組成物を重合又は架橋するステップと、
を含む上記方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、真空条件下の実質的に無酸素の雰囲気中で基板の表面に液体組成物をコーティングするのに適する液体組成物であって、該組成物が1つ又は複数の成分を含み、その成分の全てが前記真空条件下で気相又は蒸気相状態にならず、前記組成物はエチレン性不飽和成分を含んでおり、前記エチレン性不飽和成分が、本質的に、エチレン性不飽和メタクリレートモノマーとエチレン性不飽和メタクリレートオリゴマーとの組合せからなり、該エチレン性不飽和成分は十分な電子線放射の適用によって重合又は架橋することができ、前記組成物はエチレン性不飽和アクリレート成分が実質的に無い状態、重合開始剤が実質的に無い状態、及び溶媒が実質的に無い状態であり、該組成物が、アクリレート官能基が無く、メタクリレート官能基の無い1つ又は複数のポリマーを選択的に更に含み、該組成物が、1つ又は複数のワックス、顔料、及び/又は湿潤剤を選択的に更に含む組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、最初に1つ又は複数の成分を含み、その成分の全てが前記真空条件下で気相又は蒸気相状態にならない液体組成物を形成することによって実施される。この組成物は、最初エチレン性不飽和成分を含む。このエチレン性不飽和成分は、エチレン性不飽和メタクリレートモノマー、又は、エチレン性不飽和メタクリレートモノマーとエチレン性不飽和メタクリレートオリゴマーとの組合せを適用し得る。このエチレン性不飽和成分は、十分な電子線放射の適用によって重合又は架橋させることができる。この組成物はエチレン性不飽和アクリレート成分、重合開始剤、及び溶媒が実質的に無い状態であることが重要である。
【0012】
適当なエチレン性不飽和メタクリレートモノマーとしては、非排他的に、第一級又は多価アルコール類のメタクリレート、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリメタクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシレートトリメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリペンタエリスリトールオクタメチルアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールのビスメタクリレート、などが挙げられる。
【0013】
その他の適当なメタクリルモノマーとしては、一官能性及び多官能性化合物の両方が挙げられる。かかるモノマーは、一般に、メタクリル酸の1つ又は複数の一塩基性又は多塩基性置換又は非置換のアルキル(C〜C18)、アリール又はアラルキルアルコールとの反応生成物である。アルコール部分が極性置換基(例えば、ヒドロキシル、アミン、ハロゲン、シアノ、複素環又はシクロヘキシル基)を含むメタクリレートは有用である。具体的なメタクリレートモノマーとしては、ヒドロキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ブチレンステアリルメタクリレート、グリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、オクチルメタクリレート及びデシルメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、及びジ−ペンタエリスリトールペンタメタクリレート、などが挙げられる。
【0014】
本発明の実施形態の一つとして、エチレン性不飽和メタクリレートモノマーは、全体組成の重量を基準として約5重量%〜約100重量%の量で存在することができる。他の実施形態として、エチレン性不飽和メタクリレートモノマーは、全体組成の重量を基準として約20重量%〜約80重量%の量で存在することができる。更に他の実施形態として、エチレン性不飽和メタクリレートモノマーは、全体組成の重量を基準として、約50重量%〜約70重量%の量で存在することができる。
【0015】
本発明の別の実施形態として、この組成物は、エチレン性不飽和メタクリレートオリゴマーを含むこともできる。本明細書で使用される用語「オリゴマー」は、当技術分野でそのように通常示される典型的には2〜10個のメタクリレートモノマー単位を含んでいる分子鎖だけでなく、低分子量のポリマーも指すことが意図されている。この発明の目的に対して、用語「オリゴマー」は、また、全組成がその熱分解の温度より低い温度の真空下で液体状態のままであることを可能にする十分に低い分子量を有する任意の重合分子も包含する。最大の分子量は約5,000である。その分子量は使用される特定のモノマーに依存するが、より大きい分子量が、全組成が真空条件下で液体のままである限り、本発明の実際面では含まれることは理解される。従って、本発明は、約5,000未満の分子量のポリマー鎖に限定されるのではなく、この組成がその目的の用途の温度及び圧力において液体であり、それが分解又はそこまでは行かない劣化する温度より低い温度のままであるように、本明細書ではオリゴマーとして定義されている任意のポリマー分子を含めることが意図されている。有用なエチレン性不飽和メタクリレートオリゴマーとしては、非排他的に、上記モノマーの繰り返し単位及び全組成がこの発明の真空及び温度条件下で液体のままであるような適当な分子量を有する化合物が挙げられる。
【0016】
適当なエチレン性不飽和メタクリレートオリゴマーとしては、非排他的に、メタクリレート化エポキシ、メタクリレート化ポリウレタン、メタクリレート化ポリエステル、ポリエーテルメタクリレート、ポリエステルメタクリレート、及びエトキシル化又はプロポキシル化二官能又は多官能メタクリレートが挙げられる。
【0017】
エチレン性不飽和メタクリレートオリゴマーが使用される場合、それは全体組成の重量基準で0重量%超から約95重量%までの量で存在することができる。他の実施形態において、このエチレン性不飽和メタクリレートオリゴマーは、全体組成の重量基準で約5重量%〜約80重量%の量で存在することができる。更に他の実施形態において、このエチレン性不飽和メタクリレートオリゴマーは、全体組成の重量基準で約15重量%〜約30重量%の量で存在することができる。
【0018】
別の実施形態において、この組成物はアクリレート官能基が無く、メタクリレート官能基の無い1つ又は複数の不活性、即ちプロセス条件下で非反応性のポリマーを更に含む。有用なポリマーとしては、非排他的に、ロジンエステル、ロジンエステル誘導体、アクリルポリマー、ウレタンポリマー、エポキシポリマー及びケトンポリマーなどが挙げられる。このポリマーの選択及び量は、全体組成の望ましい粘度を与えるために熟練工によって選定され得る。
【0019】
不活性ポリマーが使用される場合、それは全体組成の重量基準で0重量%より多くから約30重量%までの量で存在することができる。他の実施形態において、この不活性ポリマーは、全体組成の重量基準で約5重量%〜約15重量%の量で存在することができる。更に他の実施形態において、この不活性ポリマーは、全体組成の重量基準で約8重量%〜約12重量%の量で存在することができる。
【0020】
この組成物は、1つ又は複数のワックス、顔料、及び/又は湿潤剤を更に含むことができる。
【0021】
適当なワックスとしては、非排他的に、ポリエチレンワックス、ポリアミドワックス、テフロン(登録商標)ワックス、カルナウバワックス、又はそれらの組合せが挙げられ、存在する場合、全体組成の重量基準で、約0.1重量%〜約3重量%、好ましくは約0.25重量%〜約0.5重量%の量である。
【0022】
適当な湿潤剤としては、非排他的に、ポリシロキサン、ポリアクリル、線状又は分枝状ポリアルコキシレート化合物、又はそれらの組合せが挙げられ、存在する場合は、全体組成の重量基準で、約0.25重量%〜約2重量%、好ましくは約0.5重量%〜約1重量%の量である。
【0023】
適当な顔料としては、非排他的に、Violet Toner VT−8015(Paul Uhlich)、Paliogen Violet 5100(BASF)、Paliogen Violet 5890(BASF)、Permanent Violet VT 2645(Paul Uhlich)、Heliogen Green L8730(BASF)、Argyle Green XP111−S(Paul Uhlich)、Brilliant Green Toner GR 0991(Paul Uhlich)、Lithol Scarlet D3700(BASF)、Solvent Red 49、Pigment red 57:1、Toluidine Red(Aldrich)、Scarlet for Thermoplast NSD PS PA(Ugine Kuhlmann of Canada)、E.D.Toluidine Red(Aldrich)、Lithol Rubine Toner(Paul Uhlich)、Lithol Scarlet 4440(BASF)、Bon Red C(Dominion Color Company)、Royal Brilliant Red RD−8192(Paul Uhlich)、Oracet Pink RF(Ciba−Geigy)、Paliogen Red 3871K(BASF)、Paliogen Red 3340(BASF)、Lithol Fast Scarlet L4300(BASF)、Solvent Blue 808、Heliogen Blue L6900、L7020(BASF)、Heliogen Blue K6902、K6910(BASF)、Heliogen Blue D6840、D7080(BASF)、Sudan Blue OS(BASF)、Neopen Blue FF4012(BASF)、PV Fast Blue B2G01(American Hoechst)、Irgalite Blue BCA又はIrgalite Blue NGA(Ciba−Geigy)、Paliogen Blue 6470(BASF)、Sudan II(Red Orange)(Matheson、Colemen Bell)、Sudan II(Orange)(Matheson、Colemen Bell)、Sudan Orange G(Aldrich)、Sudan Orange 220(BASF)、Paliogen Orange 3040(BASF)、Ortho Orange OR 2673(Paul Uhlich)、Solvent Yellow 162、Paliogen Yellow 152、1560(BASF)、Lithol Fast Yellow 0991K(BASF)、Paliotol Yellow 1840(BASF)、Novopern Yellow FGL(Hoechst)、Permanent Yellow YE 0305(Paul Uhlich)、Lumogen Yellow D0790(BASF)、Suco−Yellow L1250(BASF)、Suco−Yellow D1355(BASF)、Suco Fast Yellow D1355、D1351(BASF)、Hansa bril yellow SGX 03(B)、Hostaperm Pink E、Fanal Pink D4830(BASF)、Cinquasia Magenta(Du Pont)、Paliogen Black L0084(BASF)、Pigment Black K801(BASF)、及びREGAL 330..RTM..(Cabot)、Carbon Black 5250、Carbon Black 5750(Columbia Chemical)等のカーボンブラックなどが挙げられる。適当な染料の例としては、Carolina Color and Chemicalから入手できるPontomine、Food Black 2、Carodirect Turquoise FBL Supra Conc.(Direct Blue 199)、Mobay Chemicalから入手できるSpecial Fast Turquoise 8GL Liquid(Direct Blue 86)、Crompton and Knowlesから入手できるIntrabond Liquid Turquoise GLL(Direct Blue 86)、Aldrich Chemicalから入手できるCibracron Brilliant Red 38−A(Reactive Red 4)、Pylam,Inc.から入手できるDrimarene Brilliant Red X−2B(Reactive Red 56)、Mobay Chemicalから入手できるLevafix Brilliant Red E4B、Mobay Chemicalから入手できるLevafix Brilliant Red E6−BA、ICI Americaから入手できるProcion Red H8B(Reactive Red 31)、Pylamから入手できるPylam Certified D&C Red #28(Acid Red 92)、Crompton and Knowlesから入手できるDirect Brill Pink B Ground Crude、Sandoz,Inc.から入手できるCartasol Yellow GTF Presscake、Sandoz,Inc.から入手できるTartrazine Extra Conc.(FD&C Yellow #5,Acid Yellow23)、Carolina Color and Chemicalから入手できるCarodirect Yellow RL(Direct Yellow 86)、Sandoz,Inc.から入手できるCartasol Yellow GTF Uquid Special 110、Triconから入手できるD&C Yellow #10(Acid Yellow 3)、Triconから入手できるYellow Shade 16948、BASFから入手できるBasocid Black.times.34、Sandoz,Inc.から入手できるCarta Black 2GTや、Neozapon Red 492(BASF)、Orasol Red G(Ciba−Geigy)、Direct Brilliant Pink B(Crompton & Knowles)、Aizen Spilon Red C−BH(保土ヶ谷化学)、Kayanol Red 3BL(日本化薬)、Levanol Brilliant Red 3BW(Mobay Chemical)、Levaderm Lemon Yellow(Mobay Chemical)、Spirit Fast Yellow 3G、Aizen Spilon Yellow C−GNH(保土ヶ谷化学)、Sirius Supra Yellow GD 167、Cartasol Brilliant Yellow 4GF(Sandoz)、Pergasol Yellow CGP(Ciba−Geigy)、Orasol Black RLP(Ciba−Geigy)、Savinyl Black RLS(Sandoz)、Dermacarbon 2GT(Sandoz)、Pyrozol Black BG(ICI)、Morfast Black Conc. A(Morton−Thiokol)、Diaazol Black RN Quad(ICI)、Orasol Blue GN(Ciba−Geigy)、Savinyl Blue GLS(Sandoz)、Luxol Blue MBSN(Morton−Thiokol)、Sevron Blue 5GMF(ICI)、Basacid Blue 750(BASF)などが挙げられる。Neozapon Black X51[C.I.Solvent Black,C.I.12195](BASF)、Sudan Blue670[C.I.61554](BASF)、Sudan Yellow 146[C.I.12700](BASF)、及びSudan Red 462[C.I.260501](BASF)又はそれらの組合せが同様に挙げられる。この発明に対して、顔料とは、鉄、銀、銅、アルミニウム又はそれらの合金等の導電性粉末、金属酸化物粉末、金属炭化物粉末、金属ホウ化物粉末、カーボンブラック、グラファイト又はそれらの組合せを含む。
【0024】
顔料が使用される場合、それは該組成物中に約0重量%〜約30重量%の量で存在することができる。他の実施形態において、顔料は全体組成の重量を基準として約2重量%〜約15重量%の量で存在することができる。更に他の実施形態において、顔料は全体組成の重量を基準として約5重量%〜約10重量%の量で存在することができる。
【0025】
全体組成についてのその他の任意的な成分としては、全体組成が本明細書に記載の方法の温度及び真空条件下で液体のままであり、全体組成が電子線照射の適用下で硬化できることを条件として、非排他的に、接着促進剤、流れ調整剤、硬度調整剤、脱気剤、重合防止剤、分散剤、レオロジー調整剤、界面活性剤、又はそれらの組合せが挙げられる。これら任意的な成分及び全体組成中のそれらの量の選択は、当業者であれば容易に決めることができる。
【0026】
この全体組成は、エチレン性不飽和アクリレート成分を実質的に含まず、重合開始剤を実質的に含まず、そして溶媒を実質的に含まない。
【0027】
この組成物は、適当な基板の表面に液体状態、即ち、蒸気ではない形態で塗布される。適当な基板としては、セルロース誘導体、例えば、硝酸セルロース、酢酸セルロース、再生セルロース並びにエチルセルロース及びメチルセルロース等のセルロースエーテルや、ポリスチレン等のポリスチレンプラスチック、並びにo−、m−及びp−メチルスチレン等の様々な環置換スチレン、並びにその他の環置換スチレン、並びにアルファ−、メチル−及びエチルスチレン等の側鎖置換スチレン、並びに様々なその他の重合可能及び共重合可能なビニリデンのポリマー及びコポリマーや、様々なビニルポリマー及びコポリマー、例えば、ポリビニルブチラール及びその他のアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル及びその加水分解生成物、ポリ塩化ビニル−アセテートコポリマーや、アクリル系樹脂、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリルアミド、メチロールアクリルアミド及びアクリロニトリルのポリマー及びコポリマーや、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールエーテルケトン、ポリウレタン、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、COC、ポリオキシメチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレン、ポリエチレン、エチレン/テトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル及び不飽和変性ポリエステル樹脂、例えば、ポリカルボン酸の多価フェノールとの縮合により製造される物又は不飽和カルボン酸を使用して変性され、アルキドを別のモノマーと反応させることにより更に変性される物などや、アリルジグリコールカーボネートのポリマーが挙げられる。実用的な基板は、ニトロセルロース、ポリウレタン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、アクリル、アミド、ビニル又はそれらの組合せを含む。
【0028】
好ましい基板としては、ポリエチレンテレフタレート及びポリプロピレンが挙げられる。好ましい実施形態において、その基板は実質的に透明、特に赤外線に対し実質的に透明である。その基板は、自立フィルムとして、その完全な状態を維持できるのに少なくとも十分な厚さを有する。1つの実施形態において、その基板は、約5μm〜約700μm、好ましくは約12μm〜約100μm、より好ましくは約10μm〜50μmの厚さを有する。
【0029】
好ましい実施形態において、基板は金属化した表面を有する。一般的にこの金属表面は蒸着若しくは真空蒸着、スパッタリング、又は適当な組成物中に分散された金属のコーティングによって基板に塗布することができる。真空金属化方法は、ロール状の基板物質を、蒸着されるべき金属を含んでいる加熱された坩堝を含む真空チャンバー中に置くことを要する。高真空下で、加熱された金属は、蒸発して移動している基板物質の冷たいウェブ上に蒸着する。この方法は真空チャンバーの内側で、高速度で行われる。フィルムの厚さはナノメートルからミクロンの厚さまで正確に且つ再現性のあるように調節することができる。多数の金属又は混合された金属も蒸着することができ、幅広い柔軟性を提供する。かかる金属は、任意の導電性金属、例えば、銅、銀、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、スズ、ステンレススチール、クロム、亜鉛、又はそれらの合金若しくは組合せであってよい。蒸着法は技術的に当技術分野で周知である。一般的に、基板の一部分は市販の蒸気コーティング機中に持ち込まれ、望ましい厚さまで金属を蒸気コーティングされる。そのような機械の1つは、DENTON Vacuum DV−515ベルジャー蒸気コーティング機である。蒸着した導電性金属層の厚さは、最低でも基板上に連続層を形成する量である。通常その層は薄く、即ち、最大約10μm、好ましくは最大約3μmである。より普通には、蒸着した導電性金属層の厚さは、約5〜約200ナノメートル(nm)、例えば、約10〜100nm、例えば約30〜約80nmに及ぶ。
【0030】
液体組成物は、基板物質のウェブの表面に、例えば、ローラーコーター、アニロックスローラー、グラビアコーター、又はメニスカスコーターによるなどの当技術分野で既知の任意の液体転移方法によって塗布することができる。組成物は、グラビア印刷、及び印刷版、凸版、フレキソ印刷版又は合成ゴム配合物ベースの版を使用するフレキソ印刷等の印刷技術を用いて塗布することができる。組成物は、最低でも基板上に連続層を形成するだけの厚さ(通常は約1μmまでの厚さ)を有する層を形成する。通常、その基板のウェブは、最高毎秒約10メートルまでのスピードで該液体組成物によりコーティングされる。
【0031】
この組成物は、その後、その組成物を硬化、重合又は架橋して実質的に固体の形にするために十分な電子線放射に曝露される。線量としても知られる吸収されるエネルギーの量は、メガラド(MR又はMrad)又はキログレイ(kGy)の単位で測定され、ここで、1Mradは10kGyであり、1kGyは1,000ジュール/キログラムに等しい。この電子線線量は、本質的に完全な硬化のために、約1kGy〜約40kGy、好ましくは約10kGy〜約30kGy、より好ましくは約15kGy〜約20kGyの範囲内であるべきである。電子線放射は、好ましくは、約7kV〜約15kVの電子線電圧で行われる。更に、硬化は実質的に瞬間的であり、100パーセント又は100パーセント近くの硬化割合を提供する。
【0032】
本発明の重要な特徴は、液体組成物の塗布及びその後の電子線放射の適用が真空チャンバーにおいて真空条件下の実質的に無酸素の雰囲気中で連続して行われることである。1つの実施形態において、液体組成物の塗布及び電子線照射は約10−1バール〜約10−5バールの真空及び約0℃〜約80℃の温度で行われる。1つの実施形態において、液体組成物の塗布及び電子線照射はその真空条件を抑制しないで行われる。
【実施例】
【0033】
以下の非限定の実施例は、本発明を説明するのに役立つ。
【0034】
【表1】

【0035】
実施例1〜4は、成分を高速ミキサーでブレンドすることによって調製した。各混合物の少量の試料を真空チャンバーの内側に30分間置き、安定性をチェックした。全ての試料が試験後流体のままであった。
【0036】
次に、実施例1及び2の組成物について、真空チャンバーの内側で金属化したアルミニウム層の上にアニロックスベースの塗布機により塗布し、5kGyの電子線照射によりそれらを硬化するための容量の試料を調製した。両方の試料共、真空下で良好な安定性を示し、アルミニウム表面への良好な接着性を有する均一な層を形成した。
【0037】
更に、表1の実施例5の組成物について、個々の成分を最初に混合し、その後それらを3本ロールミル上で粉砕することによって調製した。そして、実施例5の成分を次に実施例1の成分と30:70の比率で混合し、それを次に真空チャンバーの内側でアニロックスローラーにより転移して硬化させたところ、良好な安定性及び硬化を示した。
【0038】
本発明を特に好ましい実施形態に関して示し、説明してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を加えることが可能であることは、当業者によって容易に理解されよう。特許請求の範囲は、開示された実施形態、上で検討された代替形態及びそれらに対する全ての均等物を網羅すると解釈されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をコーティングするための方法であって、
a)真空条件下の実質的に無酸素の雰囲気中で基板の表面に液体組成物をコーティングするステップであり、前記組成物は1つ又は複数の成分を含み、前記成分の全てが前記真空条件下で気相又は蒸気相状態にならず、前記組成物はエチレン性不飽和成分を含んでおり、前記エチレン性不飽和成分が、本質的に、エチレン性不飽和メタクリレートモノマー、又はエチレン性不飽和メタクリレートモノマーとエチレン性不飽和メタクリレートオリゴマーとの組合せからなり、前記エチレン性不飽和成分は十分な電子線放射の適用によって重合又は架橋することができ、前記組成物はエチレン性不飽和アクリレート成分が実質的に無い状態、重合開始剤が実質的に無い状態、及び溶媒が実質的に無い状態である上記ステップと、
b)前記液体組成物を真空条件下の実質的に無酸素の雰囲気中で十分な電子線放射に曝露して該組成物を重合又は架橋するステップと
を含む上記方法。
【請求項2】
組成物が、アクリレート官能基が無くメタクリレート官能基が無い1つ又は複数のポリマーを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
組成物が、ロジンエステル、ロジンエステル誘導体、アクリルポリマー、ウレタンポリマー、エポキシポリマー及びケトンポリマーから選択されるアクリレート官能基もメタクリレート官能基も無い1つ又は複数のポリマーを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
組成物が、ワックス、顔料、及び/又は湿潤剤の1つ又は複数を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
エチレン性不飽和成分が、約5重量%〜約100重量%のエチレン性不飽和メタクリレートモノマーを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
エチレン性不飽和成分が、約50重量%〜約70重量%のエチレン性不飽和メタクリレートモノマーを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
エチレン性不飽和成分が、0重量%より多く約95重量%までのエチレン性不飽和メタクリレートオリゴマーを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
エチレン性不飽和成分が、約15重量%〜約30重量%のエチレン性不飽和メタクリレートオリゴマーを含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
組成物が、0重量%より多く約30重量%までのアクリレート官能基もメタクリレート官能基も無い1つ又は複数のポリマーを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
組成物が、8重量%〜約12重量%のアクリレート官能基もメタクリレート官能基も無い1つ又は複数のポリマーを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
組成物が、0重量%より多く約3重量%までの量の1つ又は複数のワックスを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
組成物が、0重量%より多く約30重量%までの量の1つ又は複数の顔料を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
組成物が、約5重量%〜約10重量%の量の1つ又は複数の顔料を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
組成物が、100%の前記エチレン性不飽和成分を含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
液体組成物をローラーコーターによって基板の表面にコーティングするステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
液体組成物をメニスカスコーターによって基板の表面にコーティングするステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項17】
基板が、ポリエステル又はポリオレフィンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項18】
基板の表面が、金属を含む請求項1に記載の方法。
【請求項19】
基板の表面が、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、銀、金、スズ、ステンレススチール、クロム、亜鉛又はそれらの合金若しくは組合せの1つ又は複数を含む金属を含む請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記液体組成物を十分な電子線放射に曝露するステップが、約1kGy〜約40kGyの電子線量により行われる請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記液体組成物を十分な電子線放射に曝露するステップが、約7kV〜約15kVの電子線電圧により行われる請求項1に記載の方法。
【請求項22】
ステップa)及びステップb)が、約10−1バール〜約10−5バールの真空及び約0℃〜約80℃の温度で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項23】
ステップa)が行われ、その後ステップb)が行われ、ステップa)及びステップb)が前記真空条件を抑制しないで行われる請求項1に記載の方法。
【請求項24】
真空条件下の実質的に無酸素の雰囲気中で基板の表面に液体組成物をコーティングするのに適する液体組成物であって、前記組成物が1つ又は複数の成分を含み、前記成分の全てが前記真空条件下で気相又は蒸気相状態にならず、前記組成物はエチレン性不飽和成分を含んでおり、前記エチレン性不飽和成分が、本質的に、エチレン性不飽和メタクリレートモノマーとエチレン性不飽和メタクリレートオリゴマーとの組合せからなり、前記エチレン性不飽和成分は十分な電子線放射の適用によって重合又は架橋することができ、前記組成物はエチレン性不飽和アクリレート成分が実質的に無い状態、重合開始剤が実質的に無い状態、及び溶媒が実質的に無い状態であり、前記組成物が、アクリレート官能基が無く、メタクリレート官能基の無い1つ又は複数のポリマーを場合によって更に含み、前記組成物が、1つ又は複数のワックス、顔料、及び/又は湿潤剤を場合によって更に含む上記組成物。

【公表番号】特表2013−514177(P2013−514177A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544674(P2012−544674)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/060034
【国際公開番号】WO2011/084375
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(510065768)イデオン エルエルシー (2)
【出願人】(512157863)メタライズド サーフェス テクノロジー−ズ,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】