説明

真空ポンプ

【課題】真空ポンプをコンパクトに形成する。
【解決手段】第1の入口80および第2の入口82を有するハウジング40と、および第1のポンプ段60および第2のポンプ段70と、を備えた真空ポンプであって、真空ポンプは、ガスが第1の入口80を通過して第1のポンプ段60内に到達するように、および、第2の入口82を通過して第2のポンプ段70内に到達したガスが、はじめに第2のポンプ段70により圧縮され、次に第1のポンプ段60により圧縮されるように形成されてい。コンパクトな真空ポンプを得るために、第2のポンプ段70がホルベック(Holweck)ポンプ段を含むことが提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の真空ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
真空技術の幾つかの分野においては、その中に相互に結合された複数の室が直列に配置され且つ室の各々が別々の圧力レベルに保持される、室装置が存在する。このような構造は、例えば、質量分析計において使用される。質量分析計においては、粒子ビームが最高圧力を有する室内に流入し且つそれに続いて他の室を通過し、この結果、最終的に最低圧力を有する室内の分析計に到達する。最低圧力を有する室は超高真空レベルに存在し、最高圧力を有する室は低真空および中真空範囲内の予真空(背圧)レベルに存在する。
【0003】
このような室装置を真空にするために、いわゆるスプリットフロー・ポンプが使用されてきた。スプリットフロー・ポンプは、第1の入口および第2の入口を有するハウジング並びに第1および第2のポンプ段を有している。スプリットフロー・ポンプは、ガスが第1の入口を通過して第1のポンプ段内に到達するように、および第2の入口を通過して第2のポンプ段内に到達したガスが、はじめに第2のポンプ段により圧縮され、次に第1のポンプ段により圧縮されるように形成されている。
【0004】
ドイツ特許公開第4331589号はこのような真空ポンプを提供する。高真空および超高真空範囲に対するポンプ段はターボ分子ポンプ段として形成され、この場合、各ポンプ段は複数のいわゆるロータ/ステータ・パケットを有している。この真空ポンプをコンパクトに形成したいという希望が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ特許公開第4331589号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、異なる圧力レベルに存在する複数の室を有する室装置の真空化を可能にし且つ同時にコンパクトである真空ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴を有する真空ポンプにより解決される。従属請求項2−5は有利な変更態様を与える。
超高真空圧力範囲に付属されている第2のポンプ段がホルベック(Holweck)段を有し、ホルベック段は、この配置に基づいて、最低圧力を有する室を真空にする。従来技術において通常予真空(背圧)の持続性を向上させるために使用され、したがって、ターボ分子ポンプ段のガス流れ内でそれに続いて真空ポンプの出口の手前で使用されるホルベック段をこのように使用することは、第1および第2の入口間におけるきわめて高い圧力比を可能にする。この圧力比は、同じ構造長さを有するターボ分子ポンプ段においてよりも高い。したがって、同じ圧力比において、第2のポンプ段はターボ分子ポンプ段よりもコンパクトに構成される。
【0008】
ホルベック段が軸の軸受を包囲する、請求項2に記載の変更態様において、さらによりコンパクトな形態が得られる。
他の入口を通過したガスがホルベック・ポンプ段内に流入するように、他の入口をホルベック・ポンプ段に配置する、請求項3に記載の特徴は、コンパクトな構造において追加の真空室を真空にすることを可能にする。
【0009】
他の変更態様において、ホルベック・ポンプ段のステータおよび軸受をたわみ間隔だけ相互に偏心して配置するように設計されている。これにより、一方で、より狭い隙間寸法が達成される。これは達成される圧力比を改善するので、構造長さが短縮され且つ真空ポンプはよりコンパクトになる。他方で、これは、超高真空範囲内において軸を支持するために、潤滑剤を使用しない磁気軸受特に永久磁気軸受の使用を可能にする。
【0010】
さらに他の変更態様により、第2の入口およびホルベック・ポンプ段の間に流動抵抗特に静置ターボディスクが配置されている。この場合、流動抵抗はホルベック段の体積流量よりも高い値を有しているので、ホルベック段からの逆流は低減される。これはホルベック段のより短い構造を可能にするので、真空ポンプはさらによりコンパクトになる。
【0011】
実施例により本発明およびその変更態様を詳細に説明し、且つその利点を掘り下げることとする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、第1の実施例による2つの入口を設けた真空ポンプの断面図を示す。
【図2】図2は、第2の実施例による5つの入口を設けた真空ポンプの断面図を示す。
【図3】図3は、並列にポンピングするように設計されている高真空側ホルベック段の一変更態様の断面図を示す。
【図4】図4は、直列にポンピングするように設計されている高真空側ホルベック段の一変更態様の断面図を示す。
【図5】図5は、ホルベック・ポンプ段の半分の、縦軸に沿った断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に、第1の例による真空ポンプおよび室装置が縦断面図で示されている。室ハウジング2内に予真空室4および高真空室12が設けられ、予真空室および高真空室は高真空スリット22を介して相互に結合されている。予真空スリット14を通過して、例えば粒子ビームが予真空室内に到達可能である。
【0014】
真空ポンプのポンプ・ハウジング40は室ハウジングと真空気密に且つ着脱可能に結合されている。ポンプ・ハウジング内に軸42が配置され、軸は高真空側軸受44および予真空側軸受48により回転可能に支持される。軸上に永久磁石52が配置され、永久磁石は駆動コイル50の磁界と協働し且つこれにより軸を高速回転させる。「高速」とは、このような真空ポンプの範囲内において、ポンプ能動部品が分子機構に基づいてポンプ作用を示し且つ数万rpmの回転速度が存在することを意味する。
【0015】
真空ポンプは第1の入口80および第2の入口82を有する。第1の入口は予真空室4と結合され、一方、第2の入口は高真空室12と結合されている。第1の入口80を通過して真空ポンプ内に流入したガスは第1のポンプ段60内に到達し、第1のポンプ段はそのポンプ作用により予真空室を第1の圧力レベルまで真空にする。第1のポンプ段はターボ分子ポンプ段として形成されているので、それぞれ羽根リングを設けたロータ・ディスク62およびステータ・ディスク64を有している。ステータ・ディスクはスペーサ・リング66により軸方向に間隔をなして保持されている。第1のポンプ段は、ポンプ段の吸込領域と排出領域との間の要求圧力比に応じてそれぞれ、複数のロータ・ディスクおよびステータ・ディスクを含むことが可能である。ガスは第1のポンプ段によりポンプの出口54に供給され且つ出口から真空ポンプを離れる。
【0016】
第2の入口82を通過してガスが高真空室12から真空ポンプ内に流入し且つ第2のポンプ段70によりポンピングされる。このポンプ段は、高真空室を、第1の圧力レベルより低い第2の圧力レベルまで真空にする。第2のポンプ段により排出されたガスは第1のポンプ段によりさらに供給される。
【0017】
この構造により、真空ポンプは、ガスが第1の入口を通過して第1のポンプ段内に到達するように、および第2の入口を通過して第2のポンプ段内に到達したガスが、はじめに第2のポンプ段により圧縮され、次に第1のポンプ段により圧縮されるように形成されていることが達成される。
【0018】
第2のポンプ段はホルベック・ポンプ段として形成されているので、ホルベック・ステータ74を有し、ホルベック・ステータは本質的に肉厚の中空シリンダを含み、中空シリンダは、その内側においてねじ山状に伸長する四角断面の溝を設けている。このシリンダの内部を、軸と結合されたホルベック・シリンダ72が伸長する。ホルベック・シリンダは高真空側軸受44および軸受支持部46を少なくとも一部包囲し、軸受支持部はこの軸受をポンプ・ハウジングに固定している。
【0019】
ホルベック・ポンプ段としての第2のポンプ段の形態により、入口80および82の間の間隔が低減可能であるか、または同じ構造長さでより大きな圧力比が達成可能である。したがって、真空ポンプはよりコンパクトになる。この効果は、軸受がホルベック・シリンダの内部に配置されていることにより増幅される。さらに、軸を短くする可能性が得られ、その理由は、軸側のホルベック・シリンダが軸端を超えて有利に突出可能であるからである。これにより、軸は、ターボ分子ポンプの構造に基づく第2のポンプ段の形態においてよりも短くなる。より短い軸は、温度上昇における絶対軸膨張量がより小さくなり、したがって、真空技術的に有利な、ロータ・ディスクとステータ・ディスクとの間のより狭い軸方向隙間を設けること、および他のポンプ能動要素を設けることが可能であるので、有利である。より短い軸はさらにコンパクトな構造を形成する。
【0020】
図2に、第2の例による真空ポンプおよび室装置が縦断面図で示されている。ここで、室ハウジング102内に、予真空室104および高真空室112のほかに3つの中間室106、108および110が配置されている。これらの室は相互にスリット116、118、120および122により結合されている。予真空室はさらに予真空スリット114を有している。例えば粒子ビームは、これらのスリットを通過して室内を貫通し、ここで次第により低くなる真空内に到達し、最終的に検出器124に衝突する。
【0021】
真空ポンプのポンプ・ハウジング140は室ハウジングと真空気密に且つ着脱可能に結合されている。この場合、真空ポンプは、その入口180が室104と、その入口184が室106と、その入口186が室108と、その入口188が室110と、最後にその入口182が室112と結合されているように配置され、この場合、各結合は室から真空ポンプ内へのガス流れを可能にしている。
【0022】
ポンプ・ハウジングの内部に軸142が設けられ、軸は予真空側において転がり軸受148により回転可能に支持される。高真空側においては永久磁気軸受144が軸を支持している。この受動磁気軸受のステータは軸受支持部146を介してポンプ・ハウジング内に支持されている。軸は1つまたは複数の永久磁石150を有し、永久磁石は1つまたは複数のコイル152により発生された回転磁界と協働し且つ軸を数万rpmの高速で回転させる。
【0023】
真空ポンプは複数のポンプ段を有している。第1のポンプ段160はホルベック・ポンプ段として形成されている。そのホルベック・ステータ164は肉厚の中空シリンダを含み、その内側に四角断面のねじ山状溝が設けられている。ホルベック・シリンダ162は軸と結合され且つホルベック・ステータの内部に同軸に存在している。このポンプ段の吸込領域は、室からガスがポンプ段内に到達するように、入口180と結合されている。ポンプ段内において圧縮されたガスは出口154を通過して真空ポンプから排出され且つ図示されていない予真空ポンプ例えば膜ポンプに供給される。
【0024】
ガス流れ内に前置されて、ターボ分子ポンプ段として形成されているポンプ段165が存在する。このポンプ段は、図1の第1の例により示されるように、羽根リングが設けられたロータ・ディスクおよびステータ・ディスクを有している。ロータ/ステータ対の数は希望する圧力比の関数である。ポンプ段165は入口184からガスを受け取り且つ第1のポンプ段160の方向にガスを排出する。ポンプ段165は、さらに、他のポンプ段175から排出されたガスを吸い込む。ポンプ段175は分子作用機構を有し、好ましくはターボ分子構造に基づく少なくとも1つのロータ・ディスクおよびステータ・ディスクを含む。このポンプ段は入口186を介して室108からガスを吸い込み、さらに、ポンプ段170から排出されたガスを供給する。したがって、真空ポンプは、ガス流れ内における次々の各ポンプ段が1つの室を真空にし且つその手前のポンプ段から排出されたガスをその先に供給する。
【0025】
第2のポンプ段170は軸と結合されたホルベック・シリンダ172を含み、ホルベック・シリンダはホルベック・ステータ174の内部に存在し且つこれと協働する。第2のポンプ段170は入口182を介して室112からガスを吸い込む。さらに、ホルベック・ステータに通路が設けられ、通路は入口188を介して第2のポンプ段170内にガスを吸い込むことを可能にする。
【0026】
第2のポンプ段のポンプ能動部品、本質的にホルベック・ステータ174およびホルベック・シリンダ172は、永久磁気軸受144の構成部品を包囲していることが有利である。これにより、きわめてコンパクトな構造が達成される。同時に、ホルベック・ポンプ段の使用は、入口182、188および186のそれぞれの間の高い圧力比を達成することを可能にする。したがって、コンパクトな真空ポンプにより従来よりも多い室を異なる圧力レベルまで真空にすることが可能である。5つの室を有する装置に対して、従来技術においては、ターボ分子ポンプ段が軸方向に長い構造を有し、したがって単一の真空ポンプの軸はきわめて長くなるので、第2の真空ポンプが必ず必要となるであろう。軸の長さは、ターボ分子ポンプ内の軸方向隙間が吸収可能な熱膨張によって制限される。これに関して、ロータとステータの接触危険が存在する。この危険は、図示の真空ポンプにより回避される。
【0027】
図3−5により、以下に、単独でまたは組み合わせにおいて利点を示す改善が提供される。
図3に、第2のポンプ段270を含む真空ポンプの一部が断面図で示されている。軸受支持部246がポンプ・ハウジング240と結合され、軸受支持部は永久磁気軸受のステータ側磁気リング258を保持している。ステータ側磁気リングにロータ側磁気リング256が向かい合い、ロータ側磁気リングは軸242上に固定されている。同様に軸にハブ266が固定され、ハブはホルベック・シリンダ272を支持している。ここで、ポンプ段は外部ホルベック・ステータ274および内部ホルベック・ステータ276を含む。外部ホルベック・ステータはホルベック・シリンダの外壁と協働し、内部ホルベック・ステータはホルベック・シリンダの内壁と協働してガスを供給する。ハブは少なくとも1つの穴268を有し、ホルベック・シリンダの内側で供給されたガスはこの穴を通り抜けてポンプ段を離れることが可能である。ガスは入口282からホルベック・シリンダの内側および外側で並列に供給される。入口288を通過してガスは外部ホルベック・ステータとホルベック・シリンダとの間のポンプ段の部分内に到達する。
【0028】
並列にポンピングするホルベック・ポンプ段の形態においては、入口288の軸方向寸法を選択するとき、それぞれのホルベック・シリンダおよびホルベック・ステータの間の相対速度は軸の軸線294までの間隔の増加と共に増大するという観点に注意することが有利である。これにより、間隔がより高いときにはホルベック・シリンダとホルベック・ステータとの協働によりより高い圧力比が発生される。これは入口288により補償可能であり、入口の軸方向寸法を介して圧力比は発生されない。したがって、圧力比における相違は補償可能である。異なる圧力比の問題は、同軸に配置された複数のホルベック・シリンダおよびホルベック・ステータにおいてより顕著である。
【0029】
ポンプ段270の吸込領域の手前にコンダクタンス296が配置され、コンダクタンスはターボ分子構造に基づくステータ・ディスク296として形成されていることが有利である。ステータ・ディスクはポンプ段から入口282の方向への逆流を制限する。このコンダクタンスは並列にポンピングするように形成されたポンプ段270とは無関係に使用されてもよい。
【0030】
実施例およびその変更態様に関して利用可能な他の有利な形態は、ホルベック・ステータと軸受との偏心配置である。ステータ側磁気リング258は、軸受の軸線292を形成する幾何形状中心を有している。軸は一方で軸線294を有し、ホルベック・ステータは軸線293を有している。軸の自重により軸は重力方向290に引っ張られるので、軸受および軸の軸線はたわみ間隔Dだけ相互にシフトされている。重力に関して軸の上側のホルベック・シリンダとホルベック・ステータとの間の隙間Sおよび重力に関して軸の下側のホルベック・シリンダとホルベック・ステータとの間の隙間Sができるだけ等しい大きさであるとき、それはポンプ作用に対して有利である。これは、ホルベック・ステータの幾何形状軸線293および軸受の軸線292がたわみ間隔Dだけ相互に偏心して配置されていることにより達成される。
【0031】
図4は他の形態の可能性を示す。ホルベック・ポンプ段として形成された第2のポンプ段370は、ホルベック・シリンダ372のほかに、ホルベック・シリンダ372に同軸に配置されている第2のホルベック・シリンダ378を含む。両方のホルベック・シリンダ372および378はハブ366と結合されている。内部ホルベック・ステータ376は両方のホルベック・シリンダの間に配置されている。入口382から入ったガスはホルベック・シリンダ378の外壁と内部ホルベック・ステータ376の内壁との間で供給され、且つハブ366において転向され、この結果、ガスは、内部ホルベック・ステータ376の外壁とホルベック・シリンダ372の内壁との間でさらに供給される。直列に形成された第3のポンプ・セクションとして、次に、ガスはホルベック・シリンダ372の外壁と外部ホルベック・ステータ374の内壁との間で供給される。このポンプ・セクション内に他の入口388からガスがポンプ段内に流入する。相互に入り組み且つ直列に貫流するポンプ・セクションとして形成されたポンプ段のこの形態は、さらによりコンパクトな構造を提供する。
【0032】
軸受の構成要素特にステータ側磁気リング358は複数のアーム332を有する星形により支持され、これにより、簡単且つコンパクトな形態が形成される。内部ホルベック・ステータはこの星形のアームに固定されてもよい。アームの形状は、固有振動数が共振領域内に存在せず且つ軸の軸線に沿った曲げが小さく保持されるように形成されている。
【0033】
軸の正面側に向かい合っているポンプ・ハウジング340の内壁334は傾斜して形成されていることが有利である。これは真空ポンプの排気効率を改善し、その理由は、分子がポンプ段内に到達する確率が上昇されるからである。例えば、分子は入射方向336から入って入口内を通過し且つ内壁334に衝突する。内壁から分子は反射方向338にポンプ段に向かって運動する。
【0034】
ホルベック・ステータの一変更態様が図5に示されている。ホルベック装置の半分の、シリンダの軸線に沿った断面図が示されている。ホルベック装置はホルベック・ステータ574およびホルベック・シリンダ572により形成され、これらは相互に同軸に配置されている。両方の間に隙間Sが設けられ、この隙間は吸込領域576と排出領域578との間でほぼ一定の寸法を有している。ホルベック・ステータ内に、ホルベック・ステータの内側上を螺旋形に伸長する少なくとも1つの溝582が設けられている。溝の底584は1つの経過線586を形成し、この経過線は底からホルベック・シリンダまでの間隔の漸減を形成し、この場合、最大間隔は吸込領域側において且つ最小間隔は排出領域側において達成される。この円錐形状により、ホルベック・ポンプ段の排気速度は明らかに上昇され、このことは、特に、この実施例の第2のポンプ段に対して有利である。連続するそれぞれ2つのねじ山溝の間にウェブ588が存在し、ウェブは軸方向に幅590を有している。この幅は吸込領域と排出領域との間の軸方向長さにわたり変化してもよく、ねじ山の勾配もまた同様に変化する。吸込領域内においては高い勾配が有利であるが、排出領域に対してはより緩やかな勾配が好ましい。このタイプの形態はホルベック・ポンプ段の排気速度および圧縮を上昇させる。
【符号の説明】
【0035】
2、102 室ハウジング
4、104 予真空室
12、112 高真空室
14、114 予真空スリット
22、122 高真空スリット
40、140、240、340 ポンプ・ハウジング
42、142、242 軸
44、144 高真空側軸受
46、146、246 軸受支持部
48、148 予真空側軸受
50、152 コイル
52、150 永久磁石
54、154 出口
60、160 第1のポンプ段
62 ロータ・ディスク
64 ステータ・ディスク
66 スペーサ・リング
70、170、270、370 第2のポンプ段(ホルベック・ポンプ段)
72、162、172、272、372、378、572 ホルベック・シリンダ
74、164、174、274、276、374、376、574 ホルベック・ステータ
80、180 第1の入口
82、182、282、382 第2の入口
106、108、110 中間室
116、118、120 スリット
124 検出器
165、175 ポンプ段
184、186、188、288、388 入口
256 ロータ側磁気リング
258、358 ステータ側磁気リング
266、366 ハブ
268 穴
290 重力方向
292 軸受の軸線
293 ホルベック・ステータの軸線
294 軸の軸線
296 流動抵抗(コンダクタンス)
332 アーム
334 内壁
336 入射方向
338 反射方向
576 吸込領域
578 排出領域
580 供給方向
582 溝
584 底
586 経過線
588 ウェブ
590 幅
D たわみ間隔
、S、S 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の入口(80;180)および第2の入口(82;182;282;382)を有するポンプ・ハウジング(40;140;240;340)と、および第1のポンプ段(60;160)および第2のポンプ段(70;170;270;370)と、を備えた真空ポンプであって、この場合、真空ポンプは、ガスが前記第1の入口を通過して前記第1のポンプ段内に到達するように、および前記第2の入口を通過して前記第2のポンプ段内に到達したガスが、はじめに前記第2のポンプ段により圧縮され、次に前記第1のポンプ段により圧縮されるように形成されている、前記真空ポンプにおいて、
前記第2のポンプ段(70;170;270;370)がホルベック(Holweck)ポンプ段を含むことを特徴とする真空ポンプ。
【請求項2】
前記ホルベック・ポンプ段(70;170;270;370)が、軸(42;142;242)の軸受(44;144)を少なくとも一部包囲するシリンダ(72;172;272;372;572)を含むことを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項3】
他の入口(188;288;388)を通過したガスが前記ホルベック・ポンプ段(70;170;270;370)内に到達するように、前記他の入口が配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の真空ポンプ。
【請求項4】
前記ホルベック・ポンプ段のホルベック・ステータ(74;174;274、276;374、376)の軸線(293)および前記軸受の軸線(292)がたわみ間隔(D)だけ相互に偏心して配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の真空ポンプ。
【請求項5】
第2の入口(82;182;282;382)およびホルベック・ポンプ段(70;170;270;370)の間に流動抵抗(296)特に静置ターボディスクが配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の真空ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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