真空処理装置
【課題】 複数の真空処理室あるいは真空処理容器とこれらに共通の搬送室を備えた真空処理装置であって、メンテナンスや機器の取り付け、取り外しといった作業が容易な真空処理装置を提供する。
【解決手段】 多角形の搬送チャンバの隣合う辺に取付けられた2つの真空容器と、前記各真空容器に接続された真空排気装置と、前記2つの真空容器及び前記真空排気装置の下方に各々配置されたステージと、前記各ステージと前記各真空容器との間に各々配置された複数の支持柱を有し、これら各支持柱のうちの1本は前記2つの真空容器間の狭隘部に配置され、前記2つの真空容器と前記2つのステージとに連結され、前記支持柱のうち他の複数の支持柱が前記真空容器の下方にそれぞれ配置されかつ前記真空排気装置を挟んで対応する側に配置された真空処理装置。
【解決手段】 多角形の搬送チャンバの隣合う辺に取付けられた2つの真空容器と、前記各真空容器に接続された真空排気装置と、前記2つの真空容器及び前記真空排気装置の下方に各々配置されたステージと、前記各ステージと前記各真空容器との間に各々配置された複数の支持柱を有し、これら各支持柱のうちの1本は前記2つの真空容器間の狭隘部に配置され、前記2つの真空容器と前記2つのステージとに連結され、前記支持柱のうち他の複数の支持柱が前記真空容器の下方にそれぞれ配置されかつ前記真空排気装置を挟んで対応する側に配置された真空処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧された容器内部で試料等の被処理物を処理する真空処理装置に係り、特に容器の配置とその保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような真空処理装置、特に、試料を処理するための真空処理室を内部に有した容器を少なくとも1つ備え、減圧された真空処理室において処理対象となる半導体ウエハ、基板等の試料を処理する真空処理装置においては、処理の微細化、精密化とともに、処理対象である基板処理の効率の向上が求められてきた。このために、近年では、一つの真空処理装置に複数の真空処理室が接続されて備えられた、いわゆるマルチチャンバタイプの真空処理装置が開発され、試料に対して一つの真空処理装置で複数行程の処理を施したり、複数の試料を並行して処理したりすることにより、処理の効率を向上させることが行われてきた。
【0003】
このような複数の真空処理室あるいは真空処理容器を備えて処理を行う真空処理装置では、それぞれの真空処理室あるいは真空処理チャンバが、内部のガスやその圧力が減圧可能に調節され基板を搬送するためのロボットアーム等が備えられた共通の搬送室(搬送チャンバ)に接続されている。
【0004】
このような構成により、処理前または処理後の基板が1つの真空処理室から他の真空処理室へ、減圧されあるいは不活性ガスが導入される搬送室内を経由して搬送され、外気と接触することなく基板の処理が連続的に施される。このため基板の汚染が抑制され処理の歩留まりや効率が向上する。また、真空処理室や搬送室の内側を昇圧あるいは減圧する時間を省いたり削減したりすることができ、処理の工程が短縮され基板の処理全体に係る手間や時間を抑えることにより処理の効率が向上する。
【0005】
また、このような真空処理装置では各真空処理容器が真空装置本体、あるいは搬送室から個別に着脱可能に構成されており、真空装置本体を交換しなくとも真空処理容器を個別に交換しあるいは真空処理容器の組合せを換えることで新しい処理のプロセスに対応する真空処理装置を構成することができる。これにより、基板処理を行って製品を製造する際のコストを低く抑えることができる。
【0006】
このような真空処理容器が着脱可能に備えられた真空処理装置の従来の技術としては、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この従来技術では、半導体ウエハを処理する各々独立した複数のプロセスチャンバが共通のウエハ搬送チャンバに接続されてマルチチャンバ装置を構成しており、ウエハ搬送チャンバに対して各チャンバ装置のプロセスチャンバ毎に保持・固定され、着脱可能に取り付けられている。
【0007】
【特許文献1】特開平6−267808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の従来技術では、次のような点について考慮が足らず、問題が有った。
【0009】
すなわち、特許文献1に記載の構成では、複数のプロセスチャンバが、所定の支持手段により下方のステージ(X軸方向移動ステージ、YX軸方向移動ステージ)上に保持・固定されている。この支持手段の配置について考慮が足りない場合、これが各プロセスチャンバを接続/脱離するための作業を行ったりメンテナンスを行ったりする際の作業空間の低減につながる可能性が大きい。例えば、ステージ上面とプロセスチャンバ下面とを接続してプロセスチャンバを下方から支持する支持柱がプロセスチャンバとウエハ搬送チャンバとの間の脱着や装置のメンテナンス作業を行う作業者の作業をするスペースや視野を狭めたり直接的な作業を困難にしたりして、作業の効率の低下や作業の時間の増大、ひいてはマルチチャンバ装置が稼働していない非稼働時間の増大に繋がり、マルチチャンバ装置の稼働効率が低下してウエハの製造コストが高くなってしまうという問題が有った。
【0010】
しかしながら、従来の技術では、このような点について考慮されていなかった。特に、処理容器の下方に処理を行うための装置や機器が配置されている場合、このような機器や機構についても保守や点検、部品の交換といった作業を施す必要がある。このような作業は、作業者が処理容器の周囲に居て行われるが、搬送室の周囲に複数の処理容器を含むこれら処理ユニットが設けられている場合、作業のための空間を十分に確保しようとすると、処理容器の間隔を広げることに繋がり、真空処理装置の接地面積の増大を招いてしまう。
【0011】
本発明の目的は、複数の真空処理室あるいは真空処理容器とこれらに共通の搬送室を備えた真空処理装置であって、メンテナンスや機器の取り付け、取り外しといった作業が容易な真空処理装置を提供することに有る。
【0012】
本発明の別の目的は、複数の真空処理室あるいは真空処理容器とこれらに共通の搬送室とを備えた真空処理装置であって、稼働率を向上させた真空処理装置を提供することに有る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するために、多角形の搬送チャンバの隣合う辺に取付けられた2つの真空容器と、前記各真空容器に接続された真空排気装置と、前記2つの真空容器及び前記真空排気装置の下方に各々配置されたステージと、前記各ステージと前記各真空容器との間に各々配置された複数の支持柱を有し、これら各支持柱のうちの1本は前記2つの真空容器間の狭隘部に配置され、前記2つの真空容器と前記2つのステージとに連結され、前記支持柱のうち他の複数の支持柱が前記真空容器の下方にそれぞれ配置されかつ前記真空排気装置を挟んで対応する側に配置された真空処理装置とした。
【0014】
より具体的には、並設する2つの真空処理室を保持固定する架台部分における支持柱を5または6本配置し、これら複数の支持柱で真空処理室を支える装置構成とする。そして、これらの支持柱のうちの1本または2本は、2つの真空処理容器間の狭隘部に配置されて、前記2つの真空処理容器と2つのステージとに連結される。一方、残りの4本の支持柱は前記2つの真空処理容器の下方にそれぞれ2本ずつ配置され、かつ、真空排気装置を囲むような位置関係で前記共通の支持柱とは反対の側に配置される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の真空処理室あるいは真空処理容器とこれらに共通の搬送室とを備えた真空処理装置において、メンテナンスや機器の取り付け、取り外しといった作業が容易な真空処理装置を提供することができる。
【0016】
また、本発明によれば、稼働率を向上させた真空処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施例について、以下、図面を用いて詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明の実施例に係る真空処理装置の構成の概略を示す図である。図1は、真空処理装置を上方から見た平面図であり、図2は、真空処理装置を側方から見た側面図である。
【0018】
これらの図において、本実施例の真空処理装置本体100は大きく前後2つのブロックに分けられる。真空処理装置本体100の前方側は大気側ブロック101であり、装置本体100の後方側は処理ブロック102である。真空処理装置の大気側ブロック101に供給されたウエハは、処理ブロック102のロック室ユニット109へ搬送される。
【0019】
大気側ブロック101は、内部に搬送ロボット(図示せず)を備えた筐体106を有し、この筐体106に取り付けられ処理用またはクリーニング用のウエハが収納されているウエハカセット107及びダミーウエハ用のダミーカセット108を備えている。さらに、搬送ロボットは、これらのカセット107,108とロック室ユニット109,109’との間でウエハを搬入あるいは搬出する作業を行う。また、大気側ブロック101は、その筐体106上に位置合せ部110を備えており、この位置合せ部110内において、搬送されるウエハをカセット107,108或いはロック室ユニット109内のウエハ配置の姿勢に合わせてその位置合わせを行う。
【0020】
処理ブロック102には、内部が減圧される真空容器の内部にウエハが処理される処理室が配置された処理ユニット103,103’と、これらの処理室にウエハを減圧下で搬送しその上方から見た平面形状が略多角形(本実施例では略5角形)に構成される搬送ユニット105、及びこの搬送ユニット105と大気側ブロック101とを接続する複数のロック室109,109’とを備えている。処理ブロック102は真空ブロックであり、処理ブロック102の各ユニットは、減圧されて高い真空度の圧力に維持可能なユニットである。
【0021】
また、本実施例における処理ブロック102の処理ユニット103,103’は、搬送ユニット105の上記略五角形の隣接した2つの辺に並列するように配置されている。本実施例では、これらの処理ユニット103,103’はカセット107から処理ブロック102に搬送されるウエハにエッチング処理を行う真空処理室を備えたエッチング処理ユニットであり、搬送ユニット105はこれらの処理ユニットが着脱可能に取り付けられ内部の室が高い真空度に減圧されて維持されてウエハが搬送される空間である搬送容器111を備えている。
【0022】
また、複数のロック室109,109’は、図示しない真空排気装置が接続されており、それぞれがその内部に処理対象の半導体ウエハが載置された状態で、この内部が高度な真空の状態と大気圧との状態のいずれかの圧力に変化させこれを維持可能に構成された空間を有している。またこれら複数のロック室109,109’は、図1において、その前後端部に配置された図示しないゲートバルブにより、大気ブロック101あるいは筐体106および真空搬送室111との間が連通可能に開閉される。本実施例では、これらのロック室109,109’は、それぞれ同等の機能を有しており、いずれか一方が真空から大気圧および大気圧から真空への圧力辺かのいずれかのみを実施するものではないが、求められる仕様により一方を何れかに限定して試用しても良い。
【0023】
さらに、この処理ブロック102では、上記処理ユニット103,103’の各々が内部を減圧可能でエッチングを行う処理室を有する真空容器113、113’有している。
【0024】
また、これら真空容器113,113’のそれぞれには、減圧を実施するための真空排気装置114、114’がそれらの下方に配置されている。
【0025】
さらに、後で詳細に述べるように、上記真空容器113,113’およびこれに連結された真空排気装置114,114’をその上方で支持する支持台である架台115,115’と、これらの架台115,115’上に配置されて、各架台と真空容器113,113’との間を連結して真空容器113,113’を支持する複数の支持柱により、各処理ユニット103,103’を真空処理装置100が設置される床面上に固定し保持している。
【0026】
さらに、上記真空容器113,113’と架台115,115’の間には、高さ方向及び平面方向に広がる空間があり、これらの空間には、各々のユニットあるいは処理室内での処理に必要な排気部やこれらに電力供給する電源等のユーティリティを収納するフレーム112,112’が配置されるとともに、上記真空排気装置114,114’が配置されている。すなわち、これらの空間は、メンテナンスを行う作業空間ともなっている。
【0027】
さらに、これら真空容器113,113’の上方には、その内部に配置された処理室にプラズマを形成するための磁場を与える電磁コイルを収納しているコイルケース120,120’が配置されている。また、フレーム112と真空容器113との間には、各真空容器113,113’に取り付けられてコイルケース120,120’を上下に移動させるリフター・クレーン等の起重装置121,121’が備えられている。使用者は、これらの起重装置121,121’により、真空容器113,113’内部を開放して容易に保守・点検作業を行うことができる。
【0028】
本実施例では、真空搬送容器111の平面形状が略多角形状であり、起重装置121,121’は、真空搬送容器111の各辺の側面に取り付けられた処理ユニット103,103’にそれぞれ備えられており、それぞれの真空容器113,113’の側面に取り付けられている。すなわち、それぞれが隣接する真空容器の側と反対となる真空容器の側方(外側)の面に、起重装置121,121’が取り付けられている。また、起重装置121,121’の下方の空間であって、架台115,115’との間の空間に、フレーム112,112’が配置されており、限られた処理ユニット103,103’の周囲の空間を有効利用している。
【0029】
次に、図3を用いて、処理ユニット103に配置された真空容器113の内部に配置された処理室を含む各処理ユニット内部の構成を説明する。図3は、図1または2に示す真空処理装置に備えられた処理ユニットの内部構成の概略を示す縦断面図である。
【0030】
図3において、処理ユニット103の上部を構成する処理室部800は、外側チャンバ811,812で形成された真空容器113,113’(以下区別の必要が無い場合は113)を有している。この真空容器113は、搬送室112に接続されておりこれらの間に配置された開閉する大気ゲートバルブ514によりその間が連通あるいは遮断される。この大気ゲートバルブ814が開放された状態で、搬送室112内部の空間と処理室部800内の真空容器113とが連通し両者の圧力は略等しくなる。大気ゲートバルブ814の開放時に、試料であるウエハが、搬送室112内部から処理室部800内の真空容器に配置された試料台804上に搬送されて載置される。
【0031】
本実施例では、試料が試料台804上に試料が載置されたことを検知して確認後、大気ゲートバルブ814を閉塞し真空容器内部と真空搬送容器111内部とを遮断し、処理室部800内の真空容器を密封して処理を開始する。
【0032】
処理室部800を真空搬送容器111から取外し或いは整備する作業を行う場合に、大気ゲートバルブ814を閉塞状態とし、処理室部800内を大気圧まで昇圧後この処理室部800の真空容器を形成する外側チャンバ811,812内を開放して大気に暴露する。
【0033】
図3に示すように、処理チャンバ800の真空容器113の上部はその内部でプラズマが形成される放電室832を有する放電室部となっている。この放電室部は、真空容器113の蓋を構成する蓋部材842と、この蓋部材842の内側に配置されたアンテナ部材と、このアンテナ部材の側方と上方とに配置され放電室部を囲んで配置されたコイルケース120を含む磁場発生部と、このアンテナ部材の下方に配置された天井部材とを含んで構成されている。また、磁場発生部上方にはアンテナ部材が放出するUHF帯やVHF帯の電波を供給する電波源部825が配置されている。アンテナ部材はSUS等の導電性部材で構成された蓋部材842の内側に配置された平板形状のアンテナ826と、このアンテナ826と蓋部材842との間に配置されてこれらの間を絶縁するとともにアンテナ826から放出される電波を下方の天井部材側に伝導するために配置されたリング形状を備えた少なくとも1つの誘電体828を有している。
【0034】
さらに、天井部材は、伝達されてきた電波を下方の処理室内側に伝導するため石英等の誘電体で構成された(石英)プレート803と、この石英プレートの下方に配置されて供給された処理用のプロセスガスを処理室の内側に分散して導入するための複数の孔が形成されたシャワープレート834を有している。
【0035】
シャワープレート834の下方であって試料台804の上方に形成された空間は、供給されたプロセスガスに石英プレート803を通って導入された電波と磁場発生部から供給された磁場との相互作用によりプラズマが形成される放電室832となっている。さらに、石英プレート803とシャワープレート834との間は微小な隙間を空けて空間が形成されており、この空間に放電室832に供給されるべきプロセスガスが先ず供給され、シャワープレート834を貫通してこの空間と放電室832とを連通してプロセスガスが通流する上記孔を通って放電室832に流入する。上記空間はプロセスガスが複数の孔から分散して放電室832に流入するよう設けられたバッファ室829となっている。このプロセスガスは、プロセスガスライン801及びプロセスガス遮断バルブ802を介してガス等流体の処理ユニット103への供給を調節する制御器850から供給される。
【0036】
このようにして、複数の孔からプロセスガスを分散して放電室832に導入するとともに、これらの孔は試料台804上に試料が載置される位置に対向した位置を主にして配置されており、ガスをより均一となるように分散できるバッファ室829の働きとともに、プラズマの密度を均一にすることを図っている。また、蓋部材842の下方で石英プレート803及びシャワープレート834の外周側には下部リング837が配置されており、この下部リング837の内部にはバッファ室829にプロセスガスが通流するガスライン801と連通したガス通路が設けられている。
【0037】
さらに、シャワープレート834の下方には、下部リング837とシャワープレート834とにこれらの下面で接して配置され真空容器の内側でプラズマに面して放電室832の空間を区画する放電室内側壁部材833が備えられている。この内側壁部材833の外周側にはこれを取り囲んで配置された放電室外側壁部材836が備えられており、この放電室の内側壁部材833の外側の壁面と外側壁部材836の内側の壁面とが対向して接触している。なお、本実施例では、内側壁部材833、外側壁部材836は各々略円筒形状を有しほぼ同心となるように構成されている。
【0038】
この外側壁部材836の外周側には、その下面に接触する放電室ベースプレート835が配置されている。この放電室べースプレート835の下面で、その下方に配置される真空室部と接続する。なお、内側壁部材833は放電室832内部のプラズマ、電極の役目を果たす試料台804に対する接地電極の作用をする部材でもあり、プラズマの電位を安定させるために必要な面積を有している。この接地電極としての作用のために、接触されて接続される外側壁部材836或いは蓋部材837との間での熱伝導とともに導電性を十分確保する必要が有る。
【0039】
内側壁部材833と外側壁部材836及び蓋部材837とはともに、導電性を有する部材で構成され、処理室部800外側の大気側へ露出されており、接地のための配線の接続が容易となるように構成されている。
【0040】
本実施例の処理室部800では、放電室部の下方に真空室部が配置され、真空容器113を構成する真空室部の外壁部材は大きく上下に分けられる。真空室部の外壁部材の上部は、真空搬送容器111またはこれに取り付けられ真空搬送容器111を構成する部材にボルト等で取り付けられその位置が固定された上部外側チャンバ811である。
【0041】
一方、後述するように真空室部の外壁部材の下部は、上記上部外側チャンバ811の部材に下方からボルト等で取り付けられ固定され、さらに、下方から架台115上に取り付けられた支持柱に支持されている。つまり、上部、下部外側チャンバ811,812は、真空搬送容器111またはベッド部103bに対して、或いは真空処理装置100が設置される床面に対してその位置が固定されている。
【0042】
ここで、処理室部800の真空室部の外壁を構成して上下に配置された外側チャンバ811,812の内側に1つ以上のチャンバが配置されており、一方が他方の内側に配置された多重チャンバとなっている。本実施例では、内外2つのチャンバを有している。すなわち、上部外側チャンバ811の内側に内側チャンバ809が、下部外側チャンバ812の内側に内側チャンバ810が備えられている。つまり、上下2つの内側チャンバ809,810が備えられている。試料台804は内側チャンバ809,810の内側に配置されており、最も内側のチャンバ809,810の内部は、プラズマが形成され、ガス、反応性生物が流れて排気される真空室832’を構成する。
【0043】
この真空室832’は上方の放電室832と連通するとともに、後で説明するように、内側チャンバ809と外側チャンバ811の間の空間と連通可能に構成され上記真空排気装置114により減圧されるとともに、試料の処理の際に放電室832内のプラズマ、ガス、反応性生物が移動できるように配置されている。
【0044】
また、内側チャンバ809,810は導電性を備えており、外側チャンバ811,812に対して導通を有し、所定の電位に設定される。すなわち、内側チャンバを接地させるため、内側チャンバ809、あるいは810は導電性部材で構成されており、内側チャンバ809の上端部あるいは下端部が導電性部材で構成された外側チャンバと導通するように構成されている。内側チャンバ810は、その下面で、同様に導電性部材で構成された下部外側チャンバ812の上面と接触して接続されており、導通が確保される。そして、外側チャンバ811,812を配線接続して接地することで、内側チャンバ809または内側チャンバ810が接地される。
【0045】
上記した放電室部は、放電室ベースプレート835が真空室部と接触してこれを押圧する。放電室ベースプレート835の下面は、試料台(電極)ベースプレート824の上面と接触し、この試料台ベースプレート824の下面が処理チャンバ800の上部外側チャンバ811の上面と接触し、これらが接続されている。放電室ベースプレート835は、一方で、上部内側チャンバ809の上端またはこの近傍を含む上端部に設けられたフランジ部の上方に配置され、このフランジ部を介して試料台ベースプレート824を上方から押しつけて押圧力を伝える構成となっている。上部内側チャンバ809のフランジ部の外周側において試料台ベースプレート835が上部外側チャンバ811を押しつけて接触しこれに押圧力を印加する。
【0046】
なお、放電室ベースプレート835をその下方に配置された真空室ベースプレート824に対してボルト等を用いて締結する際に、上部内側チャンバ809を下方に押し付ける押圧力が加わるとともに、そのフランジ部と接触して接続された部分で押し付けられる試料台ベースプレート824と上部内側チャンバ809の下部と接触して押し付けられる試料台804の支持ベース部材とに略垂直な方向に押圧力が加わるように、予め吊下げ梁805及びこれに支持された支持ベース部材823とがわずかな距離上方に浮いた状態となるように弾性を有する弾性リング838が、試料台ベースプレーと824と吊下げ梁805の上部との間に配置されている。
【0047】
処理対象である試料が内側チャンバ809,810内の試料台804上に載置されるには、内側チャンバ809あるいは810にウエハを搬送できるゲートが必要となる。さらに、このゲートを開閉して密封してこのチャンバの内側と外側の空間を遮断し連通するバルブが必要となる。本実施例では、処理室部800の内側と真空搬送容器111の内側との間に設けられたゲートを開放しあるいは閉塞して密封することで、両者を連通、遮断する大気ゲートバルブ804と内側チャンバ809の内側と外側とを開放し或いは閉塞して密封することで両者を連通、遮断するプロセスゲートバルブ813とを備えている。大気ゲートバルブ814は、真空搬送容器111の内側の側壁上に配置されて駆動手段822によって上下及び水平方向に移動可能に構成されており、内側側壁上でゲートを密封するよう閉塞し、あるいは開放する。また、真空容器を構成する外チャンバ809に、真空搬送容器111と処理室部800が接続されたときに前記真空搬送容器111側のゲートと連通する位置にゲートが設けられる。
【0048】
さらに、このプロセスゲートを開放、閉塞して密封するためのプロセスゲートバルブ813が、外チャンバ811と内チャンバ809との間の空間に配置され、プロセスゲートバルブ814は、その下方の駆動手段821によって上下及び水平方向に移動可能に構成されており、閉塞時に内チャンバ809の側壁上に配置されて内側側壁上でゲートを密封するよう閉塞し、あるいは開放する。プロセスゲートは、ウエハを搬送する搬送室内のロボットアームがウエハを搬送した状態でウエハ及びロボットアームと接触しない位置と形状で配置されている。
【0049】
上記の構成において、各ゲートバルブはウエハの搬送の際に支障がし生じないよう開放される。また、ウエハを処理する際には、最も内側のチャンバ、本実施例では内側チャンバ809に設けられたゲートを閉じるゲートバルブ、プロセスゲートバルブ813と大気ゲートバルブ814とは閉塞されて密封され、これらの内外の空間の間を遮断する。
【0050】
また、処理室を取外し、或いは整備作業等で真空容器を開放する場合には、大気ゲートバルブ814は閉塞された状態で、プロセスゲートバルブ813は開放され外側チャンバ811の内側における内側チャンバ809の内外の空間を連通する。この際、プロセスガスを処理室部800内には供給しないようプロセスガス遮断バルブ802を駆動してプロセスガスライン801を遮断して閉塞する。
【0051】
上記のように、本実施例では、プロセスゲートバルブ813を開放して外側チャンバ811内の内チャンバ809の内側、外側を連通し略同じ圧力に設定、あるいは調節可能に構成している。このようにすることで、この内側チャンバ809あるいは810は、内外の大きな圧力差による荷重が小さくなり部材の厚さや大きさを低減することができる。
【0052】
処理室部800の真空容器である外側チャンバ811の内側を整備する作業を行う場合には、大気ゲートバルブ814を閉塞して外側チャンバ811内を密封してこれを確認後、プロセスゲートバルブ813を開放する。プロセスゲートが連通され内側チャンバ813内外の空間が連通された状態で、大気開放バルブ815を開放して処理室部800外部と内部とを連通させ、処理室部800内の外側チャンバ811,812内の圧力を昇圧して略大気圧まで上昇させる、すなわち、大気開放する。
【0053】
この大気開放後、処理室部800内を開放する。まず、処理室部800の外側チャンバ811の上部に配置されてこの内側を密封している蓋(石英プレート)803を上方に持ち上げて開放する。この際、クレーン等で上方に持ち上げても良いが、予め蓋にヒンジ部を設けておき、ヒンジを軸にして蓋を上方に跳ね上げて180度以上開くようにしても良い。次に、内側チャンバ809を整備する作業を行う。この整備作業、例えば清掃や交換、修理等を容易に行えるようにするため、内側チャンバ809を外側チャンバ811から取出して、処理室部800から取外しても良い。
【0054】
上記のように、内側チャンバ809の内外が略同圧となるまで調整、あるいは維持可能な構成を備えているので、チャンバ部材の厚さが抑制される。このため、内側チャンバ809の重量が軽減され、取外し等取り扱い作業が容易となり、作業時間が低減され真空処理装置の稼働効率が向上する。
【0055】
本実施例では、内側チャンバは上下2つ備えられており、試料台804のブロックの上下に809,810に分けられる。つまり、内側チャンバ809の下方に試料台804ブロックが配置されている。試料台804のブロックは、試料台本体804と、これを支持し試料台804を中心の軸にして軸周りに支持梁820を配置している。本実施例では、内側チャンバ809及び外側チャンバ811と試料台本体804とは略円筒形をしており、内側チャンバ809内の試料台804上の空間のガスが、この支持梁同士の間の空間であって内側チャンバ809の間の空間を通路として下方へ流れる。
【0056】
支持梁820は、試料台本体804とこの本体の周囲に配置されたリング状の支持ベース部材823との間を連結して、試料台804を内側チャンバ809内に保持している。上記支持べース部材823と支持梁820、及び支持ベース部材823と連結されてこれをつり下げるつり下げ梁805内には、上記試料台804本体へ供給されるガスや冷媒の供給管や電力の送電線がその内側に配置されている。このようにして、試料台本体804と支持梁820、支持ベース823とを一体のブロックとして持ち上げて外側チャンバ811外へ持ち上げて取出すことができる。このような試料台804の整備や交換等は内側チャンバ809の整備よりも頻度が少なく、ブロックとして一体に移動可能な構成とすることで、真空処理装置の整備作業の効率が向上できる。
【0057】
また、真空室部の下部には、真空室832’或いは放電室832の状態を検出するためのセンサ839が配置されている。すなわち、下部外側チャンバ812の側壁部には、センサを収納する穴が形成され、この内側に真空室832’内の圧力、ガス組成、プラズマの発光等を検知してこれらの状態を検出するセンサ839が配置されている。このセンサ839、またはこれを収納する穴に連通する通路が、下部外側チャンバ812、及び下部内側チャンバ810に形成されている。この通路の開口は下部内側チャンバ810の側面に配置されており、この通路を介して真空室832’内のガス、プラズマ等がセンサ839へ伝達される。
【0058】
試料台804のブロックの下方に下側の内側チャンバ810が配置されており、この内側チャンバ810の中央側部分には開口が配置されている。この開口部は内側チャンバ810の下方であって試料台804の下方に配置された排気バルブ807や排気ポンプ808を備えた排気手段と連通しており、試料台804の周囲を流れる内側チャンバ809内のガスが通流する部分である。つまり、試料台804周囲の支持梁820同士の間の空間と、試料台804下方の内側チャンバ810内の空間とが、処理室部800内の処理ガス、プラズマ中の粒子や反応性生物の粒子が流れて排気される排気経路となっている。
【0059】
処理室部800の下方に配置された真空排気装置114を構成する排気バルブ807は、その下方に配置された排気ポンプ808と内側チャンバ810の内側の空間との間を連通あるいは遮断することのできる板状のシャッターを複数枚備えている。すなわち、排気バルブ807は、複数のシャッターを回転させることで開口している排気通路面積を可変に調節して排気流量や速度を調節する、シャッター式排気バルブである。
【0060】
このように、本実施例では、排気手段が試料台804の下方、特に試料台の直下方に配置されている。そして、内側チャンバ809内の試料台804の上方の空間内のプラズマや処理ガス、反応性生物は、試料台804の周囲とその下方の内側チャンバ810内の空間を介して排気バルブ807までの排気経路を流れる。
【0061】
複数の支持梁820は、試料台804を中心の軸に略軸対象の位置に配置されており、各支持梁同士の間の空間を流れて試料台804直下方の排気バルブ807までの流れる各々の排気経路の長さは、略等しくなるように構成されている。
【0062】
本実施例では、真空排気装置114は、シャッターを複数備えた排気バルブ807とその下方の排気ポンプ808とを備え、排気バルブ807はそのバルブが試料台804の直下方に配置されている。この複数枚の板状のシャッタは図3のように各々略水平(ウエハ面方向)に配置され各々に取り付けられた軸を中心に各シャッタが回転して、前記内側チャンバ810の開口と排気ポンプ808との間で連通する面積を調節する。これらの軸を回転させて行くと各シャッタの板同士が接触をして前記開口を封止して閉塞する。また、各シャッターの板が試料台804方向(上方向)に略平行となった際に連通する面積が最も大きくなる。図示していないが排気バルブ807はこれらシャッタの回転を調節するモータ等の駆動手段を備えており、排気手段はこれらシャッタの開口面積と排気ポンプ808の駆動を調節することで排気の量とその速度とを調節している。
【0063】
また、試料台804下方で排気バルブ807上方には、外側下部チャンバ812に設けられた円形状の排気開口831’上部を覆ってこれを開閉(開口/遮断)する排気ゲートプレート830が配置されている。排気開口831’の中心は、その直上方の略円筒形状の試料台804の軸と略同一の線上に位置している。
【0064】
処理室部800内を開放する場合には、内側チャンバ809の内外の空間の圧力が略同一であることが確認された後、放電室部が開放される。まず、処理ユニット103に電力が供給されていないことを確認した上で、放電室部の上部に配置された電波源部825及びコイル827を含むコイルケース120と、下方の真空室部とともに真空容器構成する蓋部材827とその内側のアンテナ部材とを起重装置121を利用して上方に移動する。本実施例では、蓋部材842及びアンテナ部材とその下方のプレート803の上面とは、大気に露出されているので、これらの上方への移動は放電室832、真空室832’内側が減圧されている状態でも可能である。
【0065】
その後、プレート803、その下方の蓋下部リング837、シャワープレート834を上方に移動させ取り外す。さらに、放電室内側壁部材833を上方に持ち上げて取り外す。次に、放電室外側壁部材836、放電室ベースプレート835を上方に移動させる。放電室ベースプレート835の真空搬送容器111側の端部にはヒンジ部843が配置されており、このヒンジ部843を支点として、放電室ベースプレート835を、さらにはこれに接続された状態で放電室外側壁部材836を上方に持ち上げても良い。
【0066】
このようにして、放電室部が上方に移動されて、放電室832、真空室832’が大気開放される。次に、真空室部の内側の部材を取り外す。開放して大気暴露した外側チャンバ811の内側から上部の内側チャンバ809を上方に持ち上げて取出す。プロセスゲートバルブ813を外側チャンバ811内から取外すか、プロセスゲートバルブ813が内側チャンバ809から開放された状態にして内側チャンバ809を上方に持ち上げて取出す。その後、プロセスゲートバルブ813を取外し、外側チャンバ811外へ取出す。
【0067】
内側チャンバ809,810は、試料台804の支持梁820と支持ベース部材823を挟んで上下に分割されて配置されている。試料台804ブロックを一体で上方に持ち上げて外チャンバ811外へ取出した後、下部の内側チャンバ810を上方へ取外し、外側チャンバ811の内側側壁面を清掃あるいは修理等整備作業を行う。
【0068】
次に、図4を用いて、本実施例の処理ユニットと搬送ユニットとの接続の構成を説明する。図4は、図1に示す実施例に係る真空処理装置の処理ユニットと搬送ユニットとの連結部分の構成を拡大して示す上面図である。図4(a)は、処理ユニットの内側を開放した状態を示す状面図である。図4(b)は、図4(a)に示す処理ユニットの下回り構成の概略を拡大して透過して示す上面図である。特に、真空容器の下方の構成を点線を用いて示したものである。尚、本実施例では、下廻りとは真空容器113,113’から床面までの範囲を示す。
【0069】
本実施例の処理ユニット103、103’は、上記のように、平面形状が略五角形状の真空搬送容器111の辺に相当する側面の隣接する各辺に配置された、真空容器113、113’と、これらの下方でそれぞれの真空容器113、113’を下方から支持する架台115、115’を備えている。
【0070】
これらの処理ユニット103,103’は、上方から見て真空処理装置100の前後方向に真空搬送装置111の略中心を通る線を挟んで左右対象となる位置に配置されている。また、この略中心を通る線は真空搬送容器111の多角形の頂部を通っている。すなわち、前記線が隣接する2つの処理ユニット103,103’は、図上多角形状の真空搬送容器111の頂部の左右で前記線を挟んでこの線に対してその真空搬送容器111の中心と各処理ユニットの真空容器113,113’の中心を通る線とが所定の角度をなして配置されている。
【0071】
また、このように処理ユニット103及び103’が取り付けられる真空搬送容器111の各辺をなす側面は、これらの処理ユニットの装着部は、上方から見て、前記真空容器113,113’と真空搬送容器111の中心とを通る線と略垂直に配置されている。なお、この線の真空処理装置100の後方から見てこの真空処理装置の側方に、すなわち隣接する処理ユニットまたは真空容器と反対の側の真空容器の側面に起重装置121が配置されている。
【0072】
本実施例においては、これらの処理ユニット103,103’は個々のユニットとして個別に組立てられ、組み立てられた状態で真空搬送容器111の各側面に取り付けられるとともに、これらから同様のユニットとして取り外しが可能に構成されている。
【0073】
図4(a)に示すように、真空容器113および113’の上部を構成する放電室ベースプレート835,835’は、処理ユニット103,103’あるいは真空容器113,113’の真空搬送容器111側の端部に配置されたヒンジ部843,843’を中心に回転して真空容器113,113’内部を開放可能に構成されている。つまり、放電室ベースプレート835,835’は、真空容器113,113’の蓋部材を構成している。
【0074】
本実施例では、このように処理ユニット103,103’の各々、例えば処理ユニット103では、真空容器113の上部に配置されこの内部を覆う蓋部材を真空搬送容器111の側の端部に配置されたヒンジ843を中心に回転させてその内部を開放することで、使用者である作業者が真空容器113内部に接近して作業することを容易にしている。特に、ヒンジ843とは真空容器113の内側の中心部を挟んで反対の側及び隣接する真空容器113’の側に作業者が位置して、真空容器113内部に作業を施すことが可能に構成されている。また、この作業を容易にするために、真空容器113の下方からこれを支持する支持台である架台115には、その上面は作業者が乗載して安定して姿勢を保てるように平面状にされている。
【0075】
隣接する処理ユニット103,103’のそれぞれの架台115,115’は、前記真空搬送容器111の中心を前後方向に通る線を挟んで、その両側に対象に配置された略矩形状を有している。特に、本実施例では、その略矩形状のそれぞれの一辺が前記線を挟んでこれと平行に相互に対向して配置されている。
【0076】
また、それぞれの架台115,115’の真空処理装置100の中央側、またはこの中央部に配置された真空搬送容器111の中央側の前側部分は、処理ユニット103,103’が配置される各側面の間の頂部の下方への投影面内に入り込んで配置されている。
【0077】
その結果、真空容器113,113’及び真空容器113,113’と真空搬送容器111との結合部分は架台115,115’の内側部分の上方に位置している。この結合部分は、2つの真空容器である真空搬送容器111及び真空容器113または113’の各内側の室を連通可能に開閉するゲート部分となっている。
【0078】
本実施例では、上記の通り、架台115,115’上面は作業者や使用者が乗載可能に平面で構成されており、作業者はこの平面上の上面に載って姿勢を安定させて、処理ユニット103,103’に必要な作業を容易に行うことができる。この作業を容易にするために、真空容器113,113’の下方の架台115,115’上面への投影面の外周囲、特に、隣接する真空容器或いは処理ユニットの側の架台115の上面及びこれに連なる真空処理装置100後方または斜め後方の側の架台115の上面が平面で構成されている。これらの方向の箇所に作業者が作業を容易に行えるだけの乗載可能な面積が確保できるように架台115,115’の形状が決定されているが、さらに、図1,図4(b)に点線で示すように真空処理装置100の後方側にその上面が平面形状となって作業者が載ることができる形状の部材を架台115または115’後端の辺の部位に取り付けても良い。
【0079】
真空容器113,113’の隣接する処理ユニットと反対の側、真空処理装置100の側方側には、起重装置120あるいはフレーム112が配置されているが、他の方向の架台115の上面に作業者が位置して真空容器113,113’を含む処理ユニット103,103’に作業を施す上で安定して姿勢を維持できる空間が確保される。さらに、内部が開放された真空容器113,113’に対して複数の作業者が並列して位置し作業を施せるので、作業の効率が向上する。さらに、内部が開放された複数の真空容器同士の間に作業者が位置して両者に作業を平行して施すことができ、作業効率がさらに向上する。この作業者は、下方の架台115,115’の何れかまたは両方の上に乗載して作業が施せる。
【0080】
図4(b)に示すように、真空容器113,113’の下方にこれらを支持する支柱116,117,116’,117’ および118が配置されている。本実施例では、真空容器113,113’下方の排気装置114,114’の外周側にこれらを囲んで支柱が配置されている。
【0081】
すなわち、真空容器113下方において排気装置114の図上左側(真空容器113’と排気装置114を挟んで反対の側)に2本の支柱116,117が配置され、一方真空容器113’下方において排気装置114’の図上右側に2本の支柱116’,117’が配置されている。さらに、真空容器113,113’の中間に配置され、これらと連結されて両者を下方から支持する支柱118が配置されている。
【0082】
本実施例では、真空容器113または113’の下方でこれ(その上方の放電部と下方の排気装置を含めて)を安定して支持して使用者が安心して使用できるようにする上で、少なくとも3本の支柱を用いる。特に、真空搬送容器111に取り付けられた真空容器113,113’のその取り付け部の水平方向の両側、あるいはその下方の排気装置114,114’の両側に少なくとも1本ずつの支柱を配置する。
【0083】
さらに、処理ユニット103,103’では、これらを構成する真空容器113,113’を平面が略多角形状の真空搬送容器111の隣接する2辺の側面に取り付け後、真空容器113,113’の対向する側面でこれらが最も近づく箇所(狭隘部)で、支柱116の上端部に配置された台形状のブロックが両者に当接して両者と支柱116とが連結されている。この支柱116の上端部の断面台形状のブロックと真空容器113,113’の側壁部とは、真空処理装置100の後方側からこれら側壁に当接するよう取り付けられてボルトにより締結、連結されている。
【0084】
また、後述するように、支柱116,117,118や支柱116’,117’の下端部はこれを下方から支持する架台115,115’と連結されて接続されている。
【0085】
このように、2つの処理ユニット103,103’は、真空搬送容器111および真空処理装置100が設置される床に連結されてその位置が略固定される。さらには、並列に設置されたこれら処理ユニット103,103’は真空搬送容器111及び床を介して連結されるのみでなく、これらの間に配置されその真空容器及び架台同士を連結する少なくとも一本の支柱116により連結されている。このような構成が、隣接する複数の処理ユニットを有する真空処理装置100の設置状態をより強固にし地震時の装置の耐性が向上される。
【0086】
上記の通り、放電室832の上方には放電室832内に電界を供給するための電波源部825が、放電室832の側方の周囲には磁界を供給するためのコイル827等の所定の重量を有する部材が配置されている。
【0087】
これら電波源825,コイル827により真空容器113上方の略円筒形状を有した放電室832の内部にプラズマが形成される。この放電室832の周囲に配置されたコイル827を含むコイルケース120及び電波源部825、真空容器113等の荷重は、その下方の3つの支持柱116,117,118により架台115上で支持される。
【0088】
上記の通り、本実施例では、処理ユニット103の排気装置114は、真空容器113とその上方の放電部の下方に在って、特に、その断面が略円形である排気装置114の中心軸が放電部内の放電室832、試料台804と略同一の軸上にあるように配置されている。
【0089】
さらに、真空容器113、113’と下方の架台115、115’との間でこれらと連結される支持柱116、116’、117、117’及び118は、各処理ユニット103,103’の真空容器113,113’、排気装置114,114’を含む重量物の重心がそれぞれ3本の支持柱を結んだ線の内となる様に配置されている。すなわち、図4(c)に示すように、支持柱116,117及び118を結ぶ線と支持柱116’,117’及び118を結ぶ線で構成される2つの三角形の領域内に、各処理ユニットのこれら支持柱で支持される部材の重心G1、G2が在るように構成される。尚、本図及び以下の図からはコイルケース120,フレーム112等の絵は省略する。
【0090】
さらに、本実施例では、排気装置114を挟んで隣接する真空容器の側に一本、他方の側に少なくとも2本の支持柱が配置されている。このような配置において、図4(d)に示すように、真空容器113,113’およびその上方の放電部を含む構造の重心と略同一の位置に在る真空排気装置114,114’の中心軸O1、O2は、支持柱117−118、117’−118とを結ぶ線A−A’上に配置されている。
【0091】
さらに、本実施例では、図4(c)に示すように、支持柱117−118間の距離L1は支持柱116−118間の距離L2よりも大きくされており(L1 >L2)、使用者が支持柱117−118の間から真空排気装置114に対して作業を施す際の作業空間をより大きく確保している。処理ユニット103’も同様である。このような空間は、特に、真空排気装置114を真空容器113から取外して真空処理装置100の後方に取り出す際に有効となる。
【0092】
本実施例の真空容器113,113’は、その平面形状が略矩形状である略直方体の形状であって、その内部に略円筒形状の処理室や放電室が配置されている。一方、真空容器113,113’の形状はこれに限るものではなく、平面形状が略多角形状や略円形状であっても良い。
【0093】
図4(a),(b)には示されていないが、各処理ユニット103,103’において、それぞれ隣接する処理ユニットの反対側となる真空容器113または113’の側壁に起重装置120が取り付けられている。このため起重装置120及び放電室部を含めた処理ユニット103の上部構造部の重心は、図1において、左側の装置側方に偏り、処理ユニット103’の上部構造部の重心も同様に右側の装置側方に偏る。さらに、起重装置120により処理ユニットを持ち上げた場合の荷重は起重装置120に偏る。これに対応して、支持柱116,117が真空排気装置114の中心よりも左側及び右側に配置され、真空容器と架台とが全体として真空排気装置の中心よりも外側においてそれらの接続の強度が高くなるように構成されている。
【0094】
図5および図6を用いて、本発明の真空処理装置に係る処理ユニットの構成についてさらに説明する。図5(a)は、図1に示す真空処理装置から切り離されたエッチング処理ユニットの状態の上面図を示している。図5(b)は、図5(a)に示す処理ユニットの側面を示す図である。図5(c)は、支柱と重心位置の関係を示す図である。
【0095】
これらの図において、真空処理装置を組立てる際に、処理ユニット103は個別に組み立てられ、または組み立てられた状態で個別に輸送される。処理ユニット103が個別に組み立てられた状態では、架台115上に真空容器113他の構造体を保持できるように架台115と真空容器113との間でこれらを連結する支持柱116、117及び119を有している。
【0096】
支持柱116,117とともに、支持柱119は、架台115上の真空容器113下方の空間に配置されて、架台115と真空容器113の下部とを連結している。
【0097】
また、支持柱116,117,119は、図4(c)、(d)で説明した例と同様に、真空排気装置114その他重量物の重心が3本の支持柱を結んだ線で構成される領域の内となる様に配置され、かつ、処理をするウエハ及び真空排気装置114の位置関係が略垂直方向の配置になる構造では、真空排気装置114の略中心軸が処理ユニット103内の処理室の略中心に位置する。そのため、真空排気装置114を囲むようにこれら支持柱が配置されているとともに、メンテナンス時に側面及び背面から引き出せる位置となっており、リフター121等起重装置の重量物側を支持柱116、117の2本で支持している。
【0098】
図5(c)に、支柱と重心位置の関係を示す。この実施例において、支持柱116,117及び119は、図4に示す真空排気装置114の中心あるいは処理ユニット103の上部構造の重心と支持柱116,117,118が形成する前記三角形の領域との位置関係と比較して、これらが形成する前記三角形の領域のより内側に前記真空排気装置114の中心または上部構造の重心G1(G2)が位置している。より具体的には、この実施例における支持柱119は、図4の支持柱118と比べ、下側の架台115の後端側(図5(a)で下方側)に位置している。
【0099】
また、架台115は平板上の部材であり、その下面と床面との間に図示しないキャスタ等移動を可能にする手段が配置されると共に、その位置を床上に固定するための複数のボルト及びナットを有するロッドを備えている。
【0100】
処理ユニット103はこのような架台115上に真空容器113を含む上部構造体を取り付けられた状態で、ユニットとして運搬され真空搬送容器111に取付けまたは取外しされる。
【0101】
図6は、真空容器113としてのエッチング処理容器を搬送室ヘドッキングさせた図である。すなわち、略五角形の平面形状を有する真空搬送容器111の隣り合う辺の側面に、2つのエッチング処理容器(真空容器)113,113’を取り付けた状態を示している。
【0102】
各処理ユニット103,103’と真空搬送容器111との接続は、それぞれの真空容器113,113’の端部に配置された接続ゲート部を真空搬送容器111の各ゲート部に当接させて両者を連結して固定することで行われる。この例に示すように、各処理ユニット103,103’の接続ゲート部は隣接する処理ユニット側に偏らせて配置されており、各真空容器113,113’の外側壁同士が近接してその距離が他の部分より小さい狭隘部が形成される。多角形の真空搬送容器111の後端部に配置される隣接する処理ユニット103,103’それぞれが他方に近接して配置されることで、真空処理装置100の水平方向(左右方向)の長さが抑制され、真空処理装置の設置面積が減少する。
【0103】
処理ユニット103,103’が真空搬送容器111に取り付けられ締結されたことが確認されると、架台115,115’の下面のロッドと装置を設置する床面を連結して締結し、処理ユニット103,103’の位置を床面上に固定する。
【0104】
真空搬送容器111に処理ユニット103,103’を連結して取り付ける際、支持柱の配置を変えること無く使用した場合、上記の通り、真空排気装置114の外周にこれを囲んで配置された支持柱116,117,119が在る状態で真空排気装置の取外しやメンテナンスを行うことになる。一方、上記の通り、装置全体の設置面積の減少や小型化が進むと作業を行えるスペースが制限を受けて、脱着やメンテナンス作業の効率が低下し作業時間が長くなってしまうという問題が生じる。ひいては作業の時間が増大することで装置が稼動していない非稼動時間が長くなって装置の稼動率が低下してしまい、製造コストが高くなってしまう。
【0105】
これに対し、本実施例では、処理ユニット103,103’を真空搬送容器111に取り付けた状態で、真空容器113,113’を支持する支持柱の位置を変えて、作業のための空間を確保して作業効率の低下を抑制する。
【0106】
より具体的には、支持柱119、119’を取り外すとともに、真空容器113、113’との狭隘部にてこれら同士を同時に1本の支持柱118にて保持し位置を固定することでメンテナンススペースを広くとることができる。
【0107】
以下、図7,図8を用いて、本実施例における支持柱の取り付け及び取り外しの流れを説明する。
【0108】
図7は、図6に示す真空処理装置に支持柱118を取り付ける際の状態を示す、装置後方から見た側面図である。図8は、図6の状態から支持柱119、119’を取り外す時の図を示す。
【0109】
図7において、個別に組立てられた処理ユニット103、103’を真空搬送容器111へ取り付ける際は、支持柱116、116’、117、117’、119、119’は処置ユニット103,103’の真空容器113,113’の下方においてこれに連結された状態である。上記のように架台115,115’の床面への位置固定終了後、上記6本の支持柱が連結された状態で、支持柱118が真空容器113、113’の間の側壁同士の狭隘部において、これらの側壁に当接させて取り付けられる。
【0110】
図4に示したように、支持柱118の上端部には水平方向の断面が台形状の接続部601が配置されており、この台形状の接続部601の台形斜辺を構成する側面が真空容器113,113’同士の狭隘部の両側側壁に当接される。次に、この接続部601が側壁に当接された状態で、ボルトが略水平方向の接続部601と真空容器113,113’の各々の側壁に差し込まれて締結されこれらが連結される。
【0111】
さらに、支持柱118の下端部は、その辺を向かい合わせて配置された矩形状の架台115,115’とに接続される連結梁部材602が連結されて配置されている。この連結梁602が対向する架台115,1157の各々の端部にボルト等で締結されて接続される。この結果、隣接する架台115,115’は、支持柱118を介して両者が連結されると共に、隣接する真空処理装置113,113’と連結されて、隣接する2つの処理ユニット103,103’が連結される。
【0112】
次に、図8に示すように、図7に示す状態から処置ユニット103、103’の支持柱119、119’を取り外す。すなわち、隣接した位置に装着される処置ユニット103、103’は、支持柱118を中心に対象に配置された5本の支持柱で支持される。一方の処理ユニット103の真空容器113及びこれに接続された排気装置114等を含む処理ユニット103の構造は、中央で2つの処理ユニットに連結されてこれらを支持する支持柱118と真空排気装置114を挟んで反対の側(真空処理装置100の側方側)に配置された少なくとも2本の支持柱116,117で支持される。
【0113】
このように、処理ユニット103,103’を真空搬送容器111に取付ける時に、真空容器と架台との間でこれらに連結されていた支持柱119,119’が、処理ユニット103,103’の中間に配置された支持柱118と付け替えられることで、各処理ユニットを支持する位置がより真空搬送容器111の側に移動する。
【0114】
支持柱116は支持柱117の真空搬送容器111の側でこの間に配置されており、本実施例では、支持柱118との距離は支持柱117と支持柱118との間の距離が大きくされている。さらに、支持柱117について真空排気装置114の中心を挟んで180度反対側の位置に支持柱118が配置されている。したがって、真空容器113を含む処理ユニット103の上部構造体を安定的に支持するとともに、真空排気装置114等真空容器113の下方に位置する装置に作業を施す上で大きな作業用空間を確保できる。
【0115】
また、図8に示すように、各処理ユニット103,103’と真空搬送容器111は支持柱118を介して相互に連結されている。さらに、各架台115,115’は床面と連結されて位置が固定されている。このことから、真空排気装置100の後部では、真空搬送容器111とこれに接続された処理ユニット103,103’を構成する真空容器113,113’及び架台115,115’とが床面に対して連結されると共に、これらが閉構造として相互に連結されている。この構成により、複数の真空処理ユニット103,103’、ひいては処理ブロック102、真空処理装置100の設置状態での強度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の実施例に係る真空処理装置の全体構成を示す上面図である。
【図2】図1に示す真空処理装置の全体構成を示す側面図である。
【図3】図1に示す真空処理装置に備えられた処理ユニットの内部構成の概略を示す断面図である。
【図4(a)】処理ユニットの内側を開放した状態を示す状面図である。
【図4(b)】図4(a)に示す処理ユニットの下回り構成の概略を拡大して透過して示す上面図である。
【図4(c)】図4(a)に示す処理ユニットの作用の説明図である。
【図4(d)】図4(a)に示す処理ユニットの作用の説明図である。
【図5(a)】処理ユニットの他の実施例の上面図である。
【図5(b)】図5(a)に示す処理ユニットの側面を示す図である。
【図5(c)】支柱と重心位置の関係を示す図である。
【図6】図1の実施例において、真空容器を搬送室ヘドッキングさせた状態の図である。
【図7】図6に示す真空処理装置に支持柱を取り付ける際の状態を示す、装置後方から見た側面図である。
【図8】図6の状態から支持柱を取り外す時の図を示す図である。
【符号の説明】
【0117】
100…真空処理装置本体、101…大気側ブロック、102…真空処理ブロック、103…真空処理ユニット、105…搬送ユニット、106…大気搬送ユニット、107…ウエハカセット、108…ダミーカセット、109…ロック室ユニット、110…位置合わせ部、111…搬送室、112…フレーム、113…真空容器、114…真空排気装置、115…架台、116…支持柱、117…支持柱、118…支持柱、119…支持柱、120…コイルケース、121…リフターまたはクレーン、825…電波源、832…放電室、835…放電室ベースプレート。
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧された容器内部で試料等の被処理物を処理する真空処理装置に係り、特に容器の配置とその保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような真空処理装置、特に、試料を処理するための真空処理室を内部に有した容器を少なくとも1つ備え、減圧された真空処理室において処理対象となる半導体ウエハ、基板等の試料を処理する真空処理装置においては、処理の微細化、精密化とともに、処理対象である基板処理の効率の向上が求められてきた。このために、近年では、一つの真空処理装置に複数の真空処理室が接続されて備えられた、いわゆるマルチチャンバタイプの真空処理装置が開発され、試料に対して一つの真空処理装置で複数行程の処理を施したり、複数の試料を並行して処理したりすることにより、処理の効率を向上させることが行われてきた。
【0003】
このような複数の真空処理室あるいは真空処理容器を備えて処理を行う真空処理装置では、それぞれの真空処理室あるいは真空処理チャンバが、内部のガスやその圧力が減圧可能に調節され基板を搬送するためのロボットアーム等が備えられた共通の搬送室(搬送チャンバ)に接続されている。
【0004】
このような構成により、処理前または処理後の基板が1つの真空処理室から他の真空処理室へ、減圧されあるいは不活性ガスが導入される搬送室内を経由して搬送され、外気と接触することなく基板の処理が連続的に施される。このため基板の汚染が抑制され処理の歩留まりや効率が向上する。また、真空処理室や搬送室の内側を昇圧あるいは減圧する時間を省いたり削減したりすることができ、処理の工程が短縮され基板の処理全体に係る手間や時間を抑えることにより処理の効率が向上する。
【0005】
また、このような真空処理装置では各真空処理容器が真空装置本体、あるいは搬送室から個別に着脱可能に構成されており、真空装置本体を交換しなくとも真空処理容器を個別に交換しあるいは真空処理容器の組合せを換えることで新しい処理のプロセスに対応する真空処理装置を構成することができる。これにより、基板処理を行って製品を製造する際のコストを低く抑えることができる。
【0006】
このような真空処理容器が着脱可能に備えられた真空処理装置の従来の技術としては、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この従来技術では、半導体ウエハを処理する各々独立した複数のプロセスチャンバが共通のウエハ搬送チャンバに接続されてマルチチャンバ装置を構成しており、ウエハ搬送チャンバに対して各チャンバ装置のプロセスチャンバ毎に保持・固定され、着脱可能に取り付けられている。
【0007】
【特許文献1】特開平6−267808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の従来技術では、次のような点について考慮が足らず、問題が有った。
【0009】
すなわち、特許文献1に記載の構成では、複数のプロセスチャンバが、所定の支持手段により下方のステージ(X軸方向移動ステージ、YX軸方向移動ステージ)上に保持・固定されている。この支持手段の配置について考慮が足りない場合、これが各プロセスチャンバを接続/脱離するための作業を行ったりメンテナンスを行ったりする際の作業空間の低減につながる可能性が大きい。例えば、ステージ上面とプロセスチャンバ下面とを接続してプロセスチャンバを下方から支持する支持柱がプロセスチャンバとウエハ搬送チャンバとの間の脱着や装置のメンテナンス作業を行う作業者の作業をするスペースや視野を狭めたり直接的な作業を困難にしたりして、作業の効率の低下や作業の時間の増大、ひいてはマルチチャンバ装置が稼働していない非稼働時間の増大に繋がり、マルチチャンバ装置の稼働効率が低下してウエハの製造コストが高くなってしまうという問題が有った。
【0010】
しかしながら、従来の技術では、このような点について考慮されていなかった。特に、処理容器の下方に処理を行うための装置や機器が配置されている場合、このような機器や機構についても保守や点検、部品の交換といった作業を施す必要がある。このような作業は、作業者が処理容器の周囲に居て行われるが、搬送室の周囲に複数の処理容器を含むこれら処理ユニットが設けられている場合、作業のための空間を十分に確保しようとすると、処理容器の間隔を広げることに繋がり、真空処理装置の接地面積の増大を招いてしまう。
【0011】
本発明の目的は、複数の真空処理室あるいは真空処理容器とこれらに共通の搬送室を備えた真空処理装置であって、メンテナンスや機器の取り付け、取り外しといった作業が容易な真空処理装置を提供することに有る。
【0012】
本発明の別の目的は、複数の真空処理室あるいは真空処理容器とこれらに共通の搬送室とを備えた真空処理装置であって、稼働率を向上させた真空処理装置を提供することに有る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するために、多角形の搬送チャンバの隣合う辺に取付けられた2つの真空容器と、前記各真空容器に接続された真空排気装置と、前記2つの真空容器及び前記真空排気装置の下方に各々配置されたステージと、前記各ステージと前記各真空容器との間に各々配置された複数の支持柱を有し、これら各支持柱のうちの1本は前記2つの真空容器間の狭隘部に配置され、前記2つの真空容器と前記2つのステージとに連結され、前記支持柱のうち他の複数の支持柱が前記真空容器の下方にそれぞれ配置されかつ前記真空排気装置を挟んで対応する側に配置された真空処理装置とした。
【0014】
より具体的には、並設する2つの真空処理室を保持固定する架台部分における支持柱を5または6本配置し、これら複数の支持柱で真空処理室を支える装置構成とする。そして、これらの支持柱のうちの1本または2本は、2つの真空処理容器間の狭隘部に配置されて、前記2つの真空処理容器と2つのステージとに連結される。一方、残りの4本の支持柱は前記2つの真空処理容器の下方にそれぞれ2本ずつ配置され、かつ、真空排気装置を囲むような位置関係で前記共通の支持柱とは反対の側に配置される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の真空処理室あるいは真空処理容器とこれらに共通の搬送室とを備えた真空処理装置において、メンテナンスや機器の取り付け、取り外しといった作業が容易な真空処理装置を提供することができる。
【0016】
また、本発明によれば、稼働率を向上させた真空処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施例について、以下、図面を用いて詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明の実施例に係る真空処理装置の構成の概略を示す図である。図1は、真空処理装置を上方から見た平面図であり、図2は、真空処理装置を側方から見た側面図である。
【0018】
これらの図において、本実施例の真空処理装置本体100は大きく前後2つのブロックに分けられる。真空処理装置本体100の前方側は大気側ブロック101であり、装置本体100の後方側は処理ブロック102である。真空処理装置の大気側ブロック101に供給されたウエハは、処理ブロック102のロック室ユニット109へ搬送される。
【0019】
大気側ブロック101は、内部に搬送ロボット(図示せず)を備えた筐体106を有し、この筐体106に取り付けられ処理用またはクリーニング用のウエハが収納されているウエハカセット107及びダミーウエハ用のダミーカセット108を備えている。さらに、搬送ロボットは、これらのカセット107,108とロック室ユニット109,109’との間でウエハを搬入あるいは搬出する作業を行う。また、大気側ブロック101は、その筐体106上に位置合せ部110を備えており、この位置合せ部110内において、搬送されるウエハをカセット107,108或いはロック室ユニット109内のウエハ配置の姿勢に合わせてその位置合わせを行う。
【0020】
処理ブロック102には、内部が減圧される真空容器の内部にウエハが処理される処理室が配置された処理ユニット103,103’と、これらの処理室にウエハを減圧下で搬送しその上方から見た平面形状が略多角形(本実施例では略5角形)に構成される搬送ユニット105、及びこの搬送ユニット105と大気側ブロック101とを接続する複数のロック室109,109’とを備えている。処理ブロック102は真空ブロックであり、処理ブロック102の各ユニットは、減圧されて高い真空度の圧力に維持可能なユニットである。
【0021】
また、本実施例における処理ブロック102の処理ユニット103,103’は、搬送ユニット105の上記略五角形の隣接した2つの辺に並列するように配置されている。本実施例では、これらの処理ユニット103,103’はカセット107から処理ブロック102に搬送されるウエハにエッチング処理を行う真空処理室を備えたエッチング処理ユニットであり、搬送ユニット105はこれらの処理ユニットが着脱可能に取り付けられ内部の室が高い真空度に減圧されて維持されてウエハが搬送される空間である搬送容器111を備えている。
【0022】
また、複数のロック室109,109’は、図示しない真空排気装置が接続されており、それぞれがその内部に処理対象の半導体ウエハが載置された状態で、この内部が高度な真空の状態と大気圧との状態のいずれかの圧力に変化させこれを維持可能に構成された空間を有している。またこれら複数のロック室109,109’は、図1において、その前後端部に配置された図示しないゲートバルブにより、大気ブロック101あるいは筐体106および真空搬送室111との間が連通可能に開閉される。本実施例では、これらのロック室109,109’は、それぞれ同等の機能を有しており、いずれか一方が真空から大気圧および大気圧から真空への圧力辺かのいずれかのみを実施するものではないが、求められる仕様により一方を何れかに限定して試用しても良い。
【0023】
さらに、この処理ブロック102では、上記処理ユニット103,103’の各々が内部を減圧可能でエッチングを行う処理室を有する真空容器113、113’有している。
【0024】
また、これら真空容器113,113’のそれぞれには、減圧を実施するための真空排気装置114、114’がそれらの下方に配置されている。
【0025】
さらに、後で詳細に述べるように、上記真空容器113,113’およびこれに連結された真空排気装置114,114’をその上方で支持する支持台である架台115,115’と、これらの架台115,115’上に配置されて、各架台と真空容器113,113’との間を連結して真空容器113,113’を支持する複数の支持柱により、各処理ユニット103,103’を真空処理装置100が設置される床面上に固定し保持している。
【0026】
さらに、上記真空容器113,113’と架台115,115’の間には、高さ方向及び平面方向に広がる空間があり、これらの空間には、各々のユニットあるいは処理室内での処理に必要な排気部やこれらに電力供給する電源等のユーティリティを収納するフレーム112,112’が配置されるとともに、上記真空排気装置114,114’が配置されている。すなわち、これらの空間は、メンテナンスを行う作業空間ともなっている。
【0027】
さらに、これら真空容器113,113’の上方には、その内部に配置された処理室にプラズマを形成するための磁場を与える電磁コイルを収納しているコイルケース120,120’が配置されている。また、フレーム112と真空容器113との間には、各真空容器113,113’に取り付けられてコイルケース120,120’を上下に移動させるリフター・クレーン等の起重装置121,121’が備えられている。使用者は、これらの起重装置121,121’により、真空容器113,113’内部を開放して容易に保守・点検作業を行うことができる。
【0028】
本実施例では、真空搬送容器111の平面形状が略多角形状であり、起重装置121,121’は、真空搬送容器111の各辺の側面に取り付けられた処理ユニット103,103’にそれぞれ備えられており、それぞれの真空容器113,113’の側面に取り付けられている。すなわち、それぞれが隣接する真空容器の側と反対となる真空容器の側方(外側)の面に、起重装置121,121’が取り付けられている。また、起重装置121,121’の下方の空間であって、架台115,115’との間の空間に、フレーム112,112’が配置されており、限られた処理ユニット103,103’の周囲の空間を有効利用している。
【0029】
次に、図3を用いて、処理ユニット103に配置された真空容器113の内部に配置された処理室を含む各処理ユニット内部の構成を説明する。図3は、図1または2に示す真空処理装置に備えられた処理ユニットの内部構成の概略を示す縦断面図である。
【0030】
図3において、処理ユニット103の上部を構成する処理室部800は、外側チャンバ811,812で形成された真空容器113,113’(以下区別の必要が無い場合は113)を有している。この真空容器113は、搬送室112に接続されておりこれらの間に配置された開閉する大気ゲートバルブ514によりその間が連通あるいは遮断される。この大気ゲートバルブ814が開放された状態で、搬送室112内部の空間と処理室部800内の真空容器113とが連通し両者の圧力は略等しくなる。大気ゲートバルブ814の開放時に、試料であるウエハが、搬送室112内部から処理室部800内の真空容器に配置された試料台804上に搬送されて載置される。
【0031】
本実施例では、試料が試料台804上に試料が載置されたことを検知して確認後、大気ゲートバルブ814を閉塞し真空容器内部と真空搬送容器111内部とを遮断し、処理室部800内の真空容器を密封して処理を開始する。
【0032】
処理室部800を真空搬送容器111から取外し或いは整備する作業を行う場合に、大気ゲートバルブ814を閉塞状態とし、処理室部800内を大気圧まで昇圧後この処理室部800の真空容器を形成する外側チャンバ811,812内を開放して大気に暴露する。
【0033】
図3に示すように、処理チャンバ800の真空容器113の上部はその内部でプラズマが形成される放電室832を有する放電室部となっている。この放電室部は、真空容器113の蓋を構成する蓋部材842と、この蓋部材842の内側に配置されたアンテナ部材と、このアンテナ部材の側方と上方とに配置され放電室部を囲んで配置されたコイルケース120を含む磁場発生部と、このアンテナ部材の下方に配置された天井部材とを含んで構成されている。また、磁場発生部上方にはアンテナ部材が放出するUHF帯やVHF帯の電波を供給する電波源部825が配置されている。アンテナ部材はSUS等の導電性部材で構成された蓋部材842の内側に配置された平板形状のアンテナ826と、このアンテナ826と蓋部材842との間に配置されてこれらの間を絶縁するとともにアンテナ826から放出される電波を下方の天井部材側に伝導するために配置されたリング形状を備えた少なくとも1つの誘電体828を有している。
【0034】
さらに、天井部材は、伝達されてきた電波を下方の処理室内側に伝導するため石英等の誘電体で構成された(石英)プレート803と、この石英プレートの下方に配置されて供給された処理用のプロセスガスを処理室の内側に分散して導入するための複数の孔が形成されたシャワープレート834を有している。
【0035】
シャワープレート834の下方であって試料台804の上方に形成された空間は、供給されたプロセスガスに石英プレート803を通って導入された電波と磁場発生部から供給された磁場との相互作用によりプラズマが形成される放電室832となっている。さらに、石英プレート803とシャワープレート834との間は微小な隙間を空けて空間が形成されており、この空間に放電室832に供給されるべきプロセスガスが先ず供給され、シャワープレート834を貫通してこの空間と放電室832とを連通してプロセスガスが通流する上記孔を通って放電室832に流入する。上記空間はプロセスガスが複数の孔から分散して放電室832に流入するよう設けられたバッファ室829となっている。このプロセスガスは、プロセスガスライン801及びプロセスガス遮断バルブ802を介してガス等流体の処理ユニット103への供給を調節する制御器850から供給される。
【0036】
このようにして、複数の孔からプロセスガスを分散して放電室832に導入するとともに、これらの孔は試料台804上に試料が載置される位置に対向した位置を主にして配置されており、ガスをより均一となるように分散できるバッファ室829の働きとともに、プラズマの密度を均一にすることを図っている。また、蓋部材842の下方で石英プレート803及びシャワープレート834の外周側には下部リング837が配置されており、この下部リング837の内部にはバッファ室829にプロセスガスが通流するガスライン801と連通したガス通路が設けられている。
【0037】
さらに、シャワープレート834の下方には、下部リング837とシャワープレート834とにこれらの下面で接して配置され真空容器の内側でプラズマに面して放電室832の空間を区画する放電室内側壁部材833が備えられている。この内側壁部材833の外周側にはこれを取り囲んで配置された放電室外側壁部材836が備えられており、この放電室の内側壁部材833の外側の壁面と外側壁部材836の内側の壁面とが対向して接触している。なお、本実施例では、内側壁部材833、外側壁部材836は各々略円筒形状を有しほぼ同心となるように構成されている。
【0038】
この外側壁部材836の外周側には、その下面に接触する放電室ベースプレート835が配置されている。この放電室べースプレート835の下面で、その下方に配置される真空室部と接続する。なお、内側壁部材833は放電室832内部のプラズマ、電極の役目を果たす試料台804に対する接地電極の作用をする部材でもあり、プラズマの電位を安定させるために必要な面積を有している。この接地電極としての作用のために、接触されて接続される外側壁部材836或いは蓋部材837との間での熱伝導とともに導電性を十分確保する必要が有る。
【0039】
内側壁部材833と外側壁部材836及び蓋部材837とはともに、導電性を有する部材で構成され、処理室部800外側の大気側へ露出されており、接地のための配線の接続が容易となるように構成されている。
【0040】
本実施例の処理室部800では、放電室部の下方に真空室部が配置され、真空容器113を構成する真空室部の外壁部材は大きく上下に分けられる。真空室部の外壁部材の上部は、真空搬送容器111またはこれに取り付けられ真空搬送容器111を構成する部材にボルト等で取り付けられその位置が固定された上部外側チャンバ811である。
【0041】
一方、後述するように真空室部の外壁部材の下部は、上記上部外側チャンバ811の部材に下方からボルト等で取り付けられ固定され、さらに、下方から架台115上に取り付けられた支持柱に支持されている。つまり、上部、下部外側チャンバ811,812は、真空搬送容器111またはベッド部103bに対して、或いは真空処理装置100が設置される床面に対してその位置が固定されている。
【0042】
ここで、処理室部800の真空室部の外壁を構成して上下に配置された外側チャンバ811,812の内側に1つ以上のチャンバが配置されており、一方が他方の内側に配置された多重チャンバとなっている。本実施例では、内外2つのチャンバを有している。すなわち、上部外側チャンバ811の内側に内側チャンバ809が、下部外側チャンバ812の内側に内側チャンバ810が備えられている。つまり、上下2つの内側チャンバ809,810が備えられている。試料台804は内側チャンバ809,810の内側に配置されており、最も内側のチャンバ809,810の内部は、プラズマが形成され、ガス、反応性生物が流れて排気される真空室832’を構成する。
【0043】
この真空室832’は上方の放電室832と連通するとともに、後で説明するように、内側チャンバ809と外側チャンバ811の間の空間と連通可能に構成され上記真空排気装置114により減圧されるとともに、試料の処理の際に放電室832内のプラズマ、ガス、反応性生物が移動できるように配置されている。
【0044】
また、内側チャンバ809,810は導電性を備えており、外側チャンバ811,812に対して導通を有し、所定の電位に設定される。すなわち、内側チャンバを接地させるため、内側チャンバ809、あるいは810は導電性部材で構成されており、内側チャンバ809の上端部あるいは下端部が導電性部材で構成された外側チャンバと導通するように構成されている。内側チャンバ810は、その下面で、同様に導電性部材で構成された下部外側チャンバ812の上面と接触して接続されており、導通が確保される。そして、外側チャンバ811,812を配線接続して接地することで、内側チャンバ809または内側チャンバ810が接地される。
【0045】
上記した放電室部は、放電室ベースプレート835が真空室部と接触してこれを押圧する。放電室ベースプレート835の下面は、試料台(電極)ベースプレート824の上面と接触し、この試料台ベースプレート824の下面が処理チャンバ800の上部外側チャンバ811の上面と接触し、これらが接続されている。放電室ベースプレート835は、一方で、上部内側チャンバ809の上端またはこの近傍を含む上端部に設けられたフランジ部の上方に配置され、このフランジ部を介して試料台ベースプレート824を上方から押しつけて押圧力を伝える構成となっている。上部内側チャンバ809のフランジ部の外周側において試料台ベースプレート835が上部外側チャンバ811を押しつけて接触しこれに押圧力を印加する。
【0046】
なお、放電室ベースプレート835をその下方に配置された真空室ベースプレート824に対してボルト等を用いて締結する際に、上部内側チャンバ809を下方に押し付ける押圧力が加わるとともに、そのフランジ部と接触して接続された部分で押し付けられる試料台ベースプレート824と上部内側チャンバ809の下部と接触して押し付けられる試料台804の支持ベース部材とに略垂直な方向に押圧力が加わるように、予め吊下げ梁805及びこれに支持された支持ベース部材823とがわずかな距離上方に浮いた状態となるように弾性を有する弾性リング838が、試料台ベースプレーと824と吊下げ梁805の上部との間に配置されている。
【0047】
処理対象である試料が内側チャンバ809,810内の試料台804上に載置されるには、内側チャンバ809あるいは810にウエハを搬送できるゲートが必要となる。さらに、このゲートを開閉して密封してこのチャンバの内側と外側の空間を遮断し連通するバルブが必要となる。本実施例では、処理室部800の内側と真空搬送容器111の内側との間に設けられたゲートを開放しあるいは閉塞して密封することで、両者を連通、遮断する大気ゲートバルブ804と内側チャンバ809の内側と外側とを開放し或いは閉塞して密封することで両者を連通、遮断するプロセスゲートバルブ813とを備えている。大気ゲートバルブ814は、真空搬送容器111の内側の側壁上に配置されて駆動手段822によって上下及び水平方向に移動可能に構成されており、内側側壁上でゲートを密封するよう閉塞し、あるいは開放する。また、真空容器を構成する外チャンバ809に、真空搬送容器111と処理室部800が接続されたときに前記真空搬送容器111側のゲートと連通する位置にゲートが設けられる。
【0048】
さらに、このプロセスゲートを開放、閉塞して密封するためのプロセスゲートバルブ813が、外チャンバ811と内チャンバ809との間の空間に配置され、プロセスゲートバルブ814は、その下方の駆動手段821によって上下及び水平方向に移動可能に構成されており、閉塞時に内チャンバ809の側壁上に配置されて内側側壁上でゲートを密封するよう閉塞し、あるいは開放する。プロセスゲートは、ウエハを搬送する搬送室内のロボットアームがウエハを搬送した状態でウエハ及びロボットアームと接触しない位置と形状で配置されている。
【0049】
上記の構成において、各ゲートバルブはウエハの搬送の際に支障がし生じないよう開放される。また、ウエハを処理する際には、最も内側のチャンバ、本実施例では内側チャンバ809に設けられたゲートを閉じるゲートバルブ、プロセスゲートバルブ813と大気ゲートバルブ814とは閉塞されて密封され、これらの内外の空間の間を遮断する。
【0050】
また、処理室を取外し、或いは整備作業等で真空容器を開放する場合には、大気ゲートバルブ814は閉塞された状態で、プロセスゲートバルブ813は開放され外側チャンバ811の内側における内側チャンバ809の内外の空間を連通する。この際、プロセスガスを処理室部800内には供給しないようプロセスガス遮断バルブ802を駆動してプロセスガスライン801を遮断して閉塞する。
【0051】
上記のように、本実施例では、プロセスゲートバルブ813を開放して外側チャンバ811内の内チャンバ809の内側、外側を連通し略同じ圧力に設定、あるいは調節可能に構成している。このようにすることで、この内側チャンバ809あるいは810は、内外の大きな圧力差による荷重が小さくなり部材の厚さや大きさを低減することができる。
【0052】
処理室部800の真空容器である外側チャンバ811の内側を整備する作業を行う場合には、大気ゲートバルブ814を閉塞して外側チャンバ811内を密封してこれを確認後、プロセスゲートバルブ813を開放する。プロセスゲートが連通され内側チャンバ813内外の空間が連通された状態で、大気開放バルブ815を開放して処理室部800外部と内部とを連通させ、処理室部800内の外側チャンバ811,812内の圧力を昇圧して略大気圧まで上昇させる、すなわち、大気開放する。
【0053】
この大気開放後、処理室部800内を開放する。まず、処理室部800の外側チャンバ811の上部に配置されてこの内側を密封している蓋(石英プレート)803を上方に持ち上げて開放する。この際、クレーン等で上方に持ち上げても良いが、予め蓋にヒンジ部を設けておき、ヒンジを軸にして蓋を上方に跳ね上げて180度以上開くようにしても良い。次に、内側チャンバ809を整備する作業を行う。この整備作業、例えば清掃や交換、修理等を容易に行えるようにするため、内側チャンバ809を外側チャンバ811から取出して、処理室部800から取外しても良い。
【0054】
上記のように、内側チャンバ809の内外が略同圧となるまで調整、あるいは維持可能な構成を備えているので、チャンバ部材の厚さが抑制される。このため、内側チャンバ809の重量が軽減され、取外し等取り扱い作業が容易となり、作業時間が低減され真空処理装置の稼働効率が向上する。
【0055】
本実施例では、内側チャンバは上下2つ備えられており、試料台804のブロックの上下に809,810に分けられる。つまり、内側チャンバ809の下方に試料台804ブロックが配置されている。試料台804のブロックは、試料台本体804と、これを支持し試料台804を中心の軸にして軸周りに支持梁820を配置している。本実施例では、内側チャンバ809及び外側チャンバ811と試料台本体804とは略円筒形をしており、内側チャンバ809内の試料台804上の空間のガスが、この支持梁同士の間の空間であって内側チャンバ809の間の空間を通路として下方へ流れる。
【0056】
支持梁820は、試料台本体804とこの本体の周囲に配置されたリング状の支持ベース部材823との間を連結して、試料台804を内側チャンバ809内に保持している。上記支持べース部材823と支持梁820、及び支持ベース部材823と連結されてこれをつり下げるつり下げ梁805内には、上記試料台804本体へ供給されるガスや冷媒の供給管や電力の送電線がその内側に配置されている。このようにして、試料台本体804と支持梁820、支持ベース823とを一体のブロックとして持ち上げて外側チャンバ811外へ持ち上げて取出すことができる。このような試料台804の整備や交換等は内側チャンバ809の整備よりも頻度が少なく、ブロックとして一体に移動可能な構成とすることで、真空処理装置の整備作業の効率が向上できる。
【0057】
また、真空室部の下部には、真空室832’或いは放電室832の状態を検出するためのセンサ839が配置されている。すなわち、下部外側チャンバ812の側壁部には、センサを収納する穴が形成され、この内側に真空室832’内の圧力、ガス組成、プラズマの発光等を検知してこれらの状態を検出するセンサ839が配置されている。このセンサ839、またはこれを収納する穴に連通する通路が、下部外側チャンバ812、及び下部内側チャンバ810に形成されている。この通路の開口は下部内側チャンバ810の側面に配置されており、この通路を介して真空室832’内のガス、プラズマ等がセンサ839へ伝達される。
【0058】
試料台804のブロックの下方に下側の内側チャンバ810が配置されており、この内側チャンバ810の中央側部分には開口が配置されている。この開口部は内側チャンバ810の下方であって試料台804の下方に配置された排気バルブ807や排気ポンプ808を備えた排気手段と連通しており、試料台804の周囲を流れる内側チャンバ809内のガスが通流する部分である。つまり、試料台804周囲の支持梁820同士の間の空間と、試料台804下方の内側チャンバ810内の空間とが、処理室部800内の処理ガス、プラズマ中の粒子や反応性生物の粒子が流れて排気される排気経路となっている。
【0059】
処理室部800の下方に配置された真空排気装置114を構成する排気バルブ807は、その下方に配置された排気ポンプ808と内側チャンバ810の内側の空間との間を連通あるいは遮断することのできる板状のシャッターを複数枚備えている。すなわち、排気バルブ807は、複数のシャッターを回転させることで開口している排気通路面積を可変に調節して排気流量や速度を調節する、シャッター式排気バルブである。
【0060】
このように、本実施例では、排気手段が試料台804の下方、特に試料台の直下方に配置されている。そして、内側チャンバ809内の試料台804の上方の空間内のプラズマや処理ガス、反応性生物は、試料台804の周囲とその下方の内側チャンバ810内の空間を介して排気バルブ807までの排気経路を流れる。
【0061】
複数の支持梁820は、試料台804を中心の軸に略軸対象の位置に配置されており、各支持梁同士の間の空間を流れて試料台804直下方の排気バルブ807までの流れる各々の排気経路の長さは、略等しくなるように構成されている。
【0062】
本実施例では、真空排気装置114は、シャッターを複数備えた排気バルブ807とその下方の排気ポンプ808とを備え、排気バルブ807はそのバルブが試料台804の直下方に配置されている。この複数枚の板状のシャッタは図3のように各々略水平(ウエハ面方向)に配置され各々に取り付けられた軸を中心に各シャッタが回転して、前記内側チャンバ810の開口と排気ポンプ808との間で連通する面積を調節する。これらの軸を回転させて行くと各シャッタの板同士が接触をして前記開口を封止して閉塞する。また、各シャッターの板が試料台804方向(上方向)に略平行となった際に連通する面積が最も大きくなる。図示していないが排気バルブ807はこれらシャッタの回転を調節するモータ等の駆動手段を備えており、排気手段はこれらシャッタの開口面積と排気ポンプ808の駆動を調節することで排気の量とその速度とを調節している。
【0063】
また、試料台804下方で排気バルブ807上方には、外側下部チャンバ812に設けられた円形状の排気開口831’上部を覆ってこれを開閉(開口/遮断)する排気ゲートプレート830が配置されている。排気開口831’の中心は、その直上方の略円筒形状の試料台804の軸と略同一の線上に位置している。
【0064】
処理室部800内を開放する場合には、内側チャンバ809の内外の空間の圧力が略同一であることが確認された後、放電室部が開放される。まず、処理ユニット103に電力が供給されていないことを確認した上で、放電室部の上部に配置された電波源部825及びコイル827を含むコイルケース120と、下方の真空室部とともに真空容器構成する蓋部材827とその内側のアンテナ部材とを起重装置121を利用して上方に移動する。本実施例では、蓋部材842及びアンテナ部材とその下方のプレート803の上面とは、大気に露出されているので、これらの上方への移動は放電室832、真空室832’内側が減圧されている状態でも可能である。
【0065】
その後、プレート803、その下方の蓋下部リング837、シャワープレート834を上方に移動させ取り外す。さらに、放電室内側壁部材833を上方に持ち上げて取り外す。次に、放電室外側壁部材836、放電室ベースプレート835を上方に移動させる。放電室ベースプレート835の真空搬送容器111側の端部にはヒンジ部843が配置されており、このヒンジ部843を支点として、放電室ベースプレート835を、さらにはこれに接続された状態で放電室外側壁部材836を上方に持ち上げても良い。
【0066】
このようにして、放電室部が上方に移動されて、放電室832、真空室832’が大気開放される。次に、真空室部の内側の部材を取り外す。開放して大気暴露した外側チャンバ811の内側から上部の内側チャンバ809を上方に持ち上げて取出す。プロセスゲートバルブ813を外側チャンバ811内から取外すか、プロセスゲートバルブ813が内側チャンバ809から開放された状態にして内側チャンバ809を上方に持ち上げて取出す。その後、プロセスゲートバルブ813を取外し、外側チャンバ811外へ取出す。
【0067】
内側チャンバ809,810は、試料台804の支持梁820と支持ベース部材823を挟んで上下に分割されて配置されている。試料台804ブロックを一体で上方に持ち上げて外チャンバ811外へ取出した後、下部の内側チャンバ810を上方へ取外し、外側チャンバ811の内側側壁面を清掃あるいは修理等整備作業を行う。
【0068】
次に、図4を用いて、本実施例の処理ユニットと搬送ユニットとの接続の構成を説明する。図4は、図1に示す実施例に係る真空処理装置の処理ユニットと搬送ユニットとの連結部分の構成を拡大して示す上面図である。図4(a)は、処理ユニットの内側を開放した状態を示す状面図である。図4(b)は、図4(a)に示す処理ユニットの下回り構成の概略を拡大して透過して示す上面図である。特に、真空容器の下方の構成を点線を用いて示したものである。尚、本実施例では、下廻りとは真空容器113,113’から床面までの範囲を示す。
【0069】
本実施例の処理ユニット103、103’は、上記のように、平面形状が略五角形状の真空搬送容器111の辺に相当する側面の隣接する各辺に配置された、真空容器113、113’と、これらの下方でそれぞれの真空容器113、113’を下方から支持する架台115、115’を備えている。
【0070】
これらの処理ユニット103,103’は、上方から見て真空処理装置100の前後方向に真空搬送装置111の略中心を通る線を挟んで左右対象となる位置に配置されている。また、この略中心を通る線は真空搬送容器111の多角形の頂部を通っている。すなわち、前記線が隣接する2つの処理ユニット103,103’は、図上多角形状の真空搬送容器111の頂部の左右で前記線を挟んでこの線に対してその真空搬送容器111の中心と各処理ユニットの真空容器113,113’の中心を通る線とが所定の角度をなして配置されている。
【0071】
また、このように処理ユニット103及び103’が取り付けられる真空搬送容器111の各辺をなす側面は、これらの処理ユニットの装着部は、上方から見て、前記真空容器113,113’と真空搬送容器111の中心とを通る線と略垂直に配置されている。なお、この線の真空処理装置100の後方から見てこの真空処理装置の側方に、すなわち隣接する処理ユニットまたは真空容器と反対の側の真空容器の側面に起重装置121が配置されている。
【0072】
本実施例においては、これらの処理ユニット103,103’は個々のユニットとして個別に組立てられ、組み立てられた状態で真空搬送容器111の各側面に取り付けられるとともに、これらから同様のユニットとして取り外しが可能に構成されている。
【0073】
図4(a)に示すように、真空容器113および113’の上部を構成する放電室ベースプレート835,835’は、処理ユニット103,103’あるいは真空容器113,113’の真空搬送容器111側の端部に配置されたヒンジ部843,843’を中心に回転して真空容器113,113’内部を開放可能に構成されている。つまり、放電室ベースプレート835,835’は、真空容器113,113’の蓋部材を構成している。
【0074】
本実施例では、このように処理ユニット103,103’の各々、例えば処理ユニット103では、真空容器113の上部に配置されこの内部を覆う蓋部材を真空搬送容器111の側の端部に配置されたヒンジ843を中心に回転させてその内部を開放することで、使用者である作業者が真空容器113内部に接近して作業することを容易にしている。特に、ヒンジ843とは真空容器113の内側の中心部を挟んで反対の側及び隣接する真空容器113’の側に作業者が位置して、真空容器113内部に作業を施すことが可能に構成されている。また、この作業を容易にするために、真空容器113の下方からこれを支持する支持台である架台115には、その上面は作業者が乗載して安定して姿勢を保てるように平面状にされている。
【0075】
隣接する処理ユニット103,103’のそれぞれの架台115,115’は、前記真空搬送容器111の中心を前後方向に通る線を挟んで、その両側に対象に配置された略矩形状を有している。特に、本実施例では、その略矩形状のそれぞれの一辺が前記線を挟んでこれと平行に相互に対向して配置されている。
【0076】
また、それぞれの架台115,115’の真空処理装置100の中央側、またはこの中央部に配置された真空搬送容器111の中央側の前側部分は、処理ユニット103,103’が配置される各側面の間の頂部の下方への投影面内に入り込んで配置されている。
【0077】
その結果、真空容器113,113’及び真空容器113,113’と真空搬送容器111との結合部分は架台115,115’の内側部分の上方に位置している。この結合部分は、2つの真空容器である真空搬送容器111及び真空容器113または113’の各内側の室を連通可能に開閉するゲート部分となっている。
【0078】
本実施例では、上記の通り、架台115,115’上面は作業者や使用者が乗載可能に平面で構成されており、作業者はこの平面上の上面に載って姿勢を安定させて、処理ユニット103,103’に必要な作業を容易に行うことができる。この作業を容易にするために、真空容器113,113’の下方の架台115,115’上面への投影面の外周囲、特に、隣接する真空容器或いは処理ユニットの側の架台115の上面及びこれに連なる真空処理装置100後方または斜め後方の側の架台115の上面が平面で構成されている。これらの方向の箇所に作業者が作業を容易に行えるだけの乗載可能な面積が確保できるように架台115,115’の形状が決定されているが、さらに、図1,図4(b)に点線で示すように真空処理装置100の後方側にその上面が平面形状となって作業者が載ることができる形状の部材を架台115または115’後端の辺の部位に取り付けても良い。
【0079】
真空容器113,113’の隣接する処理ユニットと反対の側、真空処理装置100の側方側には、起重装置120あるいはフレーム112が配置されているが、他の方向の架台115の上面に作業者が位置して真空容器113,113’を含む処理ユニット103,103’に作業を施す上で安定して姿勢を維持できる空間が確保される。さらに、内部が開放された真空容器113,113’に対して複数の作業者が並列して位置し作業を施せるので、作業の効率が向上する。さらに、内部が開放された複数の真空容器同士の間に作業者が位置して両者に作業を平行して施すことができ、作業効率がさらに向上する。この作業者は、下方の架台115,115’の何れかまたは両方の上に乗載して作業が施せる。
【0080】
図4(b)に示すように、真空容器113,113’の下方にこれらを支持する支柱116,117,116’,117’ および118が配置されている。本実施例では、真空容器113,113’下方の排気装置114,114’の外周側にこれらを囲んで支柱が配置されている。
【0081】
すなわち、真空容器113下方において排気装置114の図上左側(真空容器113’と排気装置114を挟んで反対の側)に2本の支柱116,117が配置され、一方真空容器113’下方において排気装置114’の図上右側に2本の支柱116’,117’が配置されている。さらに、真空容器113,113’の中間に配置され、これらと連結されて両者を下方から支持する支柱118が配置されている。
【0082】
本実施例では、真空容器113または113’の下方でこれ(その上方の放電部と下方の排気装置を含めて)を安定して支持して使用者が安心して使用できるようにする上で、少なくとも3本の支柱を用いる。特に、真空搬送容器111に取り付けられた真空容器113,113’のその取り付け部の水平方向の両側、あるいはその下方の排気装置114,114’の両側に少なくとも1本ずつの支柱を配置する。
【0083】
さらに、処理ユニット103,103’では、これらを構成する真空容器113,113’を平面が略多角形状の真空搬送容器111の隣接する2辺の側面に取り付け後、真空容器113,113’の対向する側面でこれらが最も近づく箇所(狭隘部)で、支柱116の上端部に配置された台形状のブロックが両者に当接して両者と支柱116とが連結されている。この支柱116の上端部の断面台形状のブロックと真空容器113,113’の側壁部とは、真空処理装置100の後方側からこれら側壁に当接するよう取り付けられてボルトにより締結、連結されている。
【0084】
また、後述するように、支柱116,117,118や支柱116’,117’の下端部はこれを下方から支持する架台115,115’と連結されて接続されている。
【0085】
このように、2つの処理ユニット103,103’は、真空搬送容器111および真空処理装置100が設置される床に連結されてその位置が略固定される。さらには、並列に設置されたこれら処理ユニット103,103’は真空搬送容器111及び床を介して連結されるのみでなく、これらの間に配置されその真空容器及び架台同士を連結する少なくとも一本の支柱116により連結されている。このような構成が、隣接する複数の処理ユニットを有する真空処理装置100の設置状態をより強固にし地震時の装置の耐性が向上される。
【0086】
上記の通り、放電室832の上方には放電室832内に電界を供給するための電波源部825が、放電室832の側方の周囲には磁界を供給するためのコイル827等の所定の重量を有する部材が配置されている。
【0087】
これら電波源825,コイル827により真空容器113上方の略円筒形状を有した放電室832の内部にプラズマが形成される。この放電室832の周囲に配置されたコイル827を含むコイルケース120及び電波源部825、真空容器113等の荷重は、その下方の3つの支持柱116,117,118により架台115上で支持される。
【0088】
上記の通り、本実施例では、処理ユニット103の排気装置114は、真空容器113とその上方の放電部の下方に在って、特に、その断面が略円形である排気装置114の中心軸が放電部内の放電室832、試料台804と略同一の軸上にあるように配置されている。
【0089】
さらに、真空容器113、113’と下方の架台115、115’との間でこれらと連結される支持柱116、116’、117、117’及び118は、各処理ユニット103,103’の真空容器113,113’、排気装置114,114’を含む重量物の重心がそれぞれ3本の支持柱を結んだ線の内となる様に配置されている。すなわち、図4(c)に示すように、支持柱116,117及び118を結ぶ線と支持柱116’,117’及び118を結ぶ線で構成される2つの三角形の領域内に、各処理ユニットのこれら支持柱で支持される部材の重心G1、G2が在るように構成される。尚、本図及び以下の図からはコイルケース120,フレーム112等の絵は省略する。
【0090】
さらに、本実施例では、排気装置114を挟んで隣接する真空容器の側に一本、他方の側に少なくとも2本の支持柱が配置されている。このような配置において、図4(d)に示すように、真空容器113,113’およびその上方の放電部を含む構造の重心と略同一の位置に在る真空排気装置114,114’の中心軸O1、O2は、支持柱117−118、117’−118とを結ぶ線A−A’上に配置されている。
【0091】
さらに、本実施例では、図4(c)に示すように、支持柱117−118間の距離L1は支持柱116−118間の距離L2よりも大きくされており(L1 >L2)、使用者が支持柱117−118の間から真空排気装置114に対して作業を施す際の作業空間をより大きく確保している。処理ユニット103’も同様である。このような空間は、特に、真空排気装置114を真空容器113から取外して真空処理装置100の後方に取り出す際に有効となる。
【0092】
本実施例の真空容器113,113’は、その平面形状が略矩形状である略直方体の形状であって、その内部に略円筒形状の処理室や放電室が配置されている。一方、真空容器113,113’の形状はこれに限るものではなく、平面形状が略多角形状や略円形状であっても良い。
【0093】
図4(a),(b)には示されていないが、各処理ユニット103,103’において、それぞれ隣接する処理ユニットの反対側となる真空容器113または113’の側壁に起重装置120が取り付けられている。このため起重装置120及び放電室部を含めた処理ユニット103の上部構造部の重心は、図1において、左側の装置側方に偏り、処理ユニット103’の上部構造部の重心も同様に右側の装置側方に偏る。さらに、起重装置120により処理ユニットを持ち上げた場合の荷重は起重装置120に偏る。これに対応して、支持柱116,117が真空排気装置114の中心よりも左側及び右側に配置され、真空容器と架台とが全体として真空排気装置の中心よりも外側においてそれらの接続の強度が高くなるように構成されている。
【0094】
図5および図6を用いて、本発明の真空処理装置に係る処理ユニットの構成についてさらに説明する。図5(a)は、図1に示す真空処理装置から切り離されたエッチング処理ユニットの状態の上面図を示している。図5(b)は、図5(a)に示す処理ユニットの側面を示す図である。図5(c)は、支柱と重心位置の関係を示す図である。
【0095】
これらの図において、真空処理装置を組立てる際に、処理ユニット103は個別に組み立てられ、または組み立てられた状態で個別に輸送される。処理ユニット103が個別に組み立てられた状態では、架台115上に真空容器113他の構造体を保持できるように架台115と真空容器113との間でこれらを連結する支持柱116、117及び119を有している。
【0096】
支持柱116,117とともに、支持柱119は、架台115上の真空容器113下方の空間に配置されて、架台115と真空容器113の下部とを連結している。
【0097】
また、支持柱116,117,119は、図4(c)、(d)で説明した例と同様に、真空排気装置114その他重量物の重心が3本の支持柱を結んだ線で構成される領域の内となる様に配置され、かつ、処理をするウエハ及び真空排気装置114の位置関係が略垂直方向の配置になる構造では、真空排気装置114の略中心軸が処理ユニット103内の処理室の略中心に位置する。そのため、真空排気装置114を囲むようにこれら支持柱が配置されているとともに、メンテナンス時に側面及び背面から引き出せる位置となっており、リフター121等起重装置の重量物側を支持柱116、117の2本で支持している。
【0098】
図5(c)に、支柱と重心位置の関係を示す。この実施例において、支持柱116,117及び119は、図4に示す真空排気装置114の中心あるいは処理ユニット103の上部構造の重心と支持柱116,117,118が形成する前記三角形の領域との位置関係と比較して、これらが形成する前記三角形の領域のより内側に前記真空排気装置114の中心または上部構造の重心G1(G2)が位置している。より具体的には、この実施例における支持柱119は、図4の支持柱118と比べ、下側の架台115の後端側(図5(a)で下方側)に位置している。
【0099】
また、架台115は平板上の部材であり、その下面と床面との間に図示しないキャスタ等移動を可能にする手段が配置されると共に、その位置を床上に固定するための複数のボルト及びナットを有するロッドを備えている。
【0100】
処理ユニット103はこのような架台115上に真空容器113を含む上部構造体を取り付けられた状態で、ユニットとして運搬され真空搬送容器111に取付けまたは取外しされる。
【0101】
図6は、真空容器113としてのエッチング処理容器を搬送室ヘドッキングさせた図である。すなわち、略五角形の平面形状を有する真空搬送容器111の隣り合う辺の側面に、2つのエッチング処理容器(真空容器)113,113’を取り付けた状態を示している。
【0102】
各処理ユニット103,103’と真空搬送容器111との接続は、それぞれの真空容器113,113’の端部に配置された接続ゲート部を真空搬送容器111の各ゲート部に当接させて両者を連結して固定することで行われる。この例に示すように、各処理ユニット103,103’の接続ゲート部は隣接する処理ユニット側に偏らせて配置されており、各真空容器113,113’の外側壁同士が近接してその距離が他の部分より小さい狭隘部が形成される。多角形の真空搬送容器111の後端部に配置される隣接する処理ユニット103,103’それぞれが他方に近接して配置されることで、真空処理装置100の水平方向(左右方向)の長さが抑制され、真空処理装置の設置面積が減少する。
【0103】
処理ユニット103,103’が真空搬送容器111に取り付けられ締結されたことが確認されると、架台115,115’の下面のロッドと装置を設置する床面を連結して締結し、処理ユニット103,103’の位置を床面上に固定する。
【0104】
真空搬送容器111に処理ユニット103,103’を連結して取り付ける際、支持柱の配置を変えること無く使用した場合、上記の通り、真空排気装置114の外周にこれを囲んで配置された支持柱116,117,119が在る状態で真空排気装置の取外しやメンテナンスを行うことになる。一方、上記の通り、装置全体の設置面積の減少や小型化が進むと作業を行えるスペースが制限を受けて、脱着やメンテナンス作業の効率が低下し作業時間が長くなってしまうという問題が生じる。ひいては作業の時間が増大することで装置が稼動していない非稼動時間が長くなって装置の稼動率が低下してしまい、製造コストが高くなってしまう。
【0105】
これに対し、本実施例では、処理ユニット103,103’を真空搬送容器111に取り付けた状態で、真空容器113,113’を支持する支持柱の位置を変えて、作業のための空間を確保して作業効率の低下を抑制する。
【0106】
より具体的には、支持柱119、119’を取り外すとともに、真空容器113、113’との狭隘部にてこれら同士を同時に1本の支持柱118にて保持し位置を固定することでメンテナンススペースを広くとることができる。
【0107】
以下、図7,図8を用いて、本実施例における支持柱の取り付け及び取り外しの流れを説明する。
【0108】
図7は、図6に示す真空処理装置に支持柱118を取り付ける際の状態を示す、装置後方から見た側面図である。図8は、図6の状態から支持柱119、119’を取り外す時の図を示す。
【0109】
図7において、個別に組立てられた処理ユニット103、103’を真空搬送容器111へ取り付ける際は、支持柱116、116’、117、117’、119、119’は処置ユニット103,103’の真空容器113,113’の下方においてこれに連結された状態である。上記のように架台115,115’の床面への位置固定終了後、上記6本の支持柱が連結された状態で、支持柱118が真空容器113、113’の間の側壁同士の狭隘部において、これらの側壁に当接させて取り付けられる。
【0110】
図4に示したように、支持柱118の上端部には水平方向の断面が台形状の接続部601が配置されており、この台形状の接続部601の台形斜辺を構成する側面が真空容器113,113’同士の狭隘部の両側側壁に当接される。次に、この接続部601が側壁に当接された状態で、ボルトが略水平方向の接続部601と真空容器113,113’の各々の側壁に差し込まれて締結されこれらが連結される。
【0111】
さらに、支持柱118の下端部は、その辺を向かい合わせて配置された矩形状の架台115,115’とに接続される連結梁部材602が連結されて配置されている。この連結梁602が対向する架台115,1157の各々の端部にボルト等で締結されて接続される。この結果、隣接する架台115,115’は、支持柱118を介して両者が連結されると共に、隣接する真空処理装置113,113’と連結されて、隣接する2つの処理ユニット103,103’が連結される。
【0112】
次に、図8に示すように、図7に示す状態から処置ユニット103、103’の支持柱119、119’を取り外す。すなわち、隣接した位置に装着される処置ユニット103、103’は、支持柱118を中心に対象に配置された5本の支持柱で支持される。一方の処理ユニット103の真空容器113及びこれに接続された排気装置114等を含む処理ユニット103の構造は、中央で2つの処理ユニットに連結されてこれらを支持する支持柱118と真空排気装置114を挟んで反対の側(真空処理装置100の側方側)に配置された少なくとも2本の支持柱116,117で支持される。
【0113】
このように、処理ユニット103,103’を真空搬送容器111に取付ける時に、真空容器と架台との間でこれらに連結されていた支持柱119,119’が、処理ユニット103,103’の中間に配置された支持柱118と付け替えられることで、各処理ユニットを支持する位置がより真空搬送容器111の側に移動する。
【0114】
支持柱116は支持柱117の真空搬送容器111の側でこの間に配置されており、本実施例では、支持柱118との距離は支持柱117と支持柱118との間の距離が大きくされている。さらに、支持柱117について真空排気装置114の中心を挟んで180度反対側の位置に支持柱118が配置されている。したがって、真空容器113を含む処理ユニット103の上部構造体を安定的に支持するとともに、真空排気装置114等真空容器113の下方に位置する装置に作業を施す上で大きな作業用空間を確保できる。
【0115】
また、図8に示すように、各処理ユニット103,103’と真空搬送容器111は支持柱118を介して相互に連結されている。さらに、各架台115,115’は床面と連結されて位置が固定されている。このことから、真空排気装置100の後部では、真空搬送容器111とこれに接続された処理ユニット103,103’を構成する真空容器113,113’及び架台115,115’とが床面に対して連結されると共に、これらが閉構造として相互に連結されている。この構成により、複数の真空処理ユニット103,103’、ひいては処理ブロック102、真空処理装置100の設置状態での強度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の実施例に係る真空処理装置の全体構成を示す上面図である。
【図2】図1に示す真空処理装置の全体構成を示す側面図である。
【図3】図1に示す真空処理装置に備えられた処理ユニットの内部構成の概略を示す断面図である。
【図4(a)】処理ユニットの内側を開放した状態を示す状面図である。
【図4(b)】図4(a)に示す処理ユニットの下回り構成の概略を拡大して透過して示す上面図である。
【図4(c)】図4(a)に示す処理ユニットの作用の説明図である。
【図4(d)】図4(a)に示す処理ユニットの作用の説明図である。
【図5(a)】処理ユニットの他の実施例の上面図である。
【図5(b)】図5(a)に示す処理ユニットの側面を示す図である。
【図5(c)】支柱と重心位置の関係を示す図である。
【図6】図1の実施例において、真空容器を搬送室ヘドッキングさせた状態の図である。
【図7】図6に示す真空処理装置に支持柱を取り付ける際の状態を示す、装置後方から見た側面図である。
【図8】図6の状態から支持柱を取り外す時の図を示す図である。
【符号の説明】
【0117】
100…真空処理装置本体、101…大気側ブロック、102…真空処理ブロック、103…真空処理ユニット、105…搬送ユニット、106…大気搬送ユニット、107…ウエハカセット、108…ダミーカセット、109…ロック室ユニット、110…位置合わせ部、111…搬送室、112…フレーム、113…真空容器、114…真空排気装置、115…架台、116…支持柱、117…支持柱、118…支持柱、119…支持柱、120…コイルケース、121…リフターまたはクレーン、825…電波源、832…放電室、835…放電室ベースプレート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角形の搬送チャンバの隣合う辺に取付けられた2つの真空容器と、前記各真空容器に接続された真空排気装置と、前記2つの真空容器及び前記真空排気装置の下方に各々配置されたステージと、前記各ステージと前記各真空容器との間に各々配置された複数の支持柱を有し、これら各支持柱のうちの1本は前記2つの真空容器間の狭隘部に配置され、前記2つの真空容器と前記2つのステージとに連結され、前記支持柱のうち他の複数の支持柱が前記真空容器の下方にそれぞれ配置されかつ前記真空排気装置を挟んで対応する側に配置されていることを特徴とする真空処理装置。
【請求項2】
前記2つの真空容器に連結された支持柱は、これら2つの真空容器を搬送チャンバに取り付け後に取り付けられる請求項1記載の真空処理装置。
【請求項3】
前記反対側に配置された支持柱と前記連結された支持柱とで構成される略三角形の領域内に、この上方の真空容器及び前記支持柱の間に位置する真空排気装置の重心位置が配置された請求項1また2に記載の真空処理装置。
【請求項1】
多角形の搬送チャンバの隣合う辺に取付けられた2つの真空容器と、前記各真空容器に接続された真空排気装置と、前記2つの真空容器及び前記真空排気装置の下方に各々配置されたステージと、前記各ステージと前記各真空容器との間に各々配置された複数の支持柱を有し、これら各支持柱のうちの1本は前記2つの真空容器間の狭隘部に配置され、前記2つの真空容器と前記2つのステージとに連結され、前記支持柱のうち他の複数の支持柱が前記真空容器の下方にそれぞれ配置されかつ前記真空排気装置を挟んで対応する側に配置されていることを特徴とする真空処理装置。
【請求項2】
前記2つの真空容器に連結された支持柱は、これら2つの真空容器を搬送チャンバに取り付け後に取り付けられる請求項1記載の真空処理装置。
【請求項3】
前記反対側に配置された支持柱と前記連結された支持柱とで構成される略三角形の領域内に、この上方の真空容器及び前記支持柱の間に位置する真空排気装置の重心位置が配置された請求項1また2に記載の真空処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図4(d)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図4(d)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2006−245365(P2006−245365A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−60104(P2005−60104)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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