真空処理装置
【課題】本発明は、電界分布及びプラズマ分布をより均一化させ、大面積の基板にも安定した製膜処理が行える真空処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】リッジ電極21a,21b及び非リッジ部22a,22bを有するリッジ導波管からなる放電室2と、リッジ部31a,31b及び非リッジ部32a,32bを有するリッジ導波管からなる変換器3A,3Bと、放電室2および変換器3A,3Bの内部の気体を排出させる排気手段9と、母ガスをリッジ電極間に供給する母ガス供給手段10とを有し、リッジ電極21a,21bの対向する面間の距離をd1、放電室2及び変換器3A,3Bのリッジ導波管の横幅をa0、放電室2のリッジ導波管の長さをl1、及び供給される高周波電力の真空中波長をλ、と定義した場合に、それぞれ±2%の変動を許容する範囲で以下の式d1=0.004λ、a0=0.72λ、l1=0.52λを満たす真空処理装置1。
【解決手段】リッジ電極21a,21b及び非リッジ部22a,22bを有するリッジ導波管からなる放電室2と、リッジ部31a,31b及び非リッジ部32a,32bを有するリッジ導波管からなる変換器3A,3Bと、放電室2および変換器3A,3Bの内部の気体を排出させる排気手段9と、母ガスをリッジ電極間に供給する母ガス供給手段10とを有し、リッジ電極21a,21bの対向する面間の距離をd1、放電室2及び変換器3A,3Bのリッジ導波管の横幅をa0、放電室2のリッジ導波管の長さをl1、及び供給される高周波電力の真空中波長をλ、と定義した場合に、それぞれ±2%の変動を許容する範囲で以下の式d1=0.004λ、a0=0.72λ、l1=0.52λを満たす真空処理装置1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、薄膜太陽電池の生産性を向上させるためには、高品質なシリコン薄膜を、高速に、かつ、大面積で製膜することが重要である。このような高速かつ大面積な製膜を行う方法としては、プラズマCVD(化学気相成長)法による製膜方法が知られている。
【0003】
プラズマCVD法による製膜を行うためには、プラズマを発生させるプラズマ生成装置(真空処理装置)が必要である。効率良くプラズマを発生させるプラズマ生成装置として、例えば特許文献1に開示されているリッジ導波管を利用したプラズマ生成装置が知られている。この種のプラズマ生成装置は、特許文献1の図10に示されるように、高周波電力(RF電力)を強い電界に変換させる左右一対の変換器(分配室)と、これらの変換器の間に接続される放電室(プロセス室)とを備えて構成されている。
【0004】
放電室の内部には、互いに対向する上下一対の平面状のリッジ電極が設けられており、この間にプラズマが発生する。したがって、ガラス基板等に製膜処理を施す場合には、このようなリッジ電極の間に基板を設置して製膜処理を施すことが考えられる。具体的には、上下のリッジ電極が水平になるように装置全体を設置し、上下の電極の間に基板を搬入して、この基板を下側のリッジ電極の上面に載置する。そして、放電室の内部を真空状態に近づけると同時に、製膜材料となるガスを供給し、リッジ電極の間にプラズマを発生させると、基板表面に膜が形成される。
上述した従来のリッジ導波管を利用したプラズマ生成装置では、リッジ導波管に対して、横方向からマイクロ波電力を供給する構造になっている。高周波電源からリッジ電極へ電力を供給する際に、高い高周波電力を用いるとことで基板表面に形成される膜の膜質を向上できるとともに、製膜速度を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平4−504640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高周波電源からリッジ電極へ電力を供給する際に、30MHzを超える高い高周波を用いると、定在波の影響でプラズマ分布が不均一になり、一辺が1mを超える大面積の基板への製膜には課題がある。上記課題を解決するための方法の1つとして、位相変調方式によりプラズマを制御することで、プラズマを時間平均として均一化する手法があるが、更なる製膜速度の向上と膜分布の均一化が求められている。
【0007】
一方、リッジ導波管を用いたプラズマ生成装置では、マイクロ波の伝送経路が膜形成の対象とされている。特許文献1では電界発生にリッジ導波管を利用したものの、リッジ導波管に沿った長手方向へマイクロ波分配室が必要であり、電界の均一化が困難である。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、電界分布及びプラズマ分布をより均一化させ、大面積の基板にも安定した製膜処理が行える真空処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、平板状に形成されて互いに平行に対向配置され、その間にプラズマが生成される一方および他方のリッジ電極及び前記リッジ電極に接続される非リッジ部を有するリッジ導波管からなる放電室と、前記放電室の両端に隣接して配置され、互いに平行に対向配置された一対のリッジ部及び前記リッジ部に接続される非リッジ部を有するリッジ導波管からなり、高周波電源から供給された高周波電力を方形導波管の基本伝送モードに変換して前記放電室に伝送し、前記一方および他方のリッジ電極の間にプラズマを発生させる一対の変換器と、前記放電室および前記変換器の内部の気体を排出させる排気手段と、前記基板にプラズマ処理を施すのに必要な母ガスを前記一方および他方のリッジ電極の間に供給する母ガス供給手段とを有し、前記一方及び他方のリッジ電極の対向間隔をd1、前記放電室のリッジ導波管及び前記変換器のリッジ導波管の横幅をa0、前記放電室のリッジ導波管の長さをl1、及び前記高周波電源から供給される高周波電力の真空中波長をλと定義した場合に、前記d1、前記a0、及び前記l1がそれぞれ±2%の変動を許容する範囲で前記λとの一次関数式の関係を満たす真空処理装置を提供する。
【0010】
従来、リッジ導波管を用いた製膜などの真空処理装置において、リッジ電極の対向間隔や導波管サイズを、波長(周波数)で論じたものがなかった。
放電室のリッジ電極間のみで強い電界のもとプラズマを生成させることが好ましく、かつ非リッジ部や変換器内の空間では強い電界が発生しないことが求められる。
本願発明者らは、鋭意研究の結果、プラズマ生成のための高周波の周波数に対してリッジ電極間隔d1のサイズを、高周波の真空中波長:λの関数として規定することが有効であることを見出し、このλの関数で選定することにより、リッジ電極のプラズマ生成領域でプラズマを生成可能な強度の電界が得られる基本的な寸法を算出することが容易になることを見出した。上記発明によれば、リッジ電極間隔d1を簡易に設定することができる。これにより、リッジ型電極のプラズマ生成領域でプラズマを生成可能な強度の電界が得られるような電極寸法(リッジ導波管の横幅a0、及びリッジ導波管の長さをl1)の算出が容易になる。このように設計されたリッジ電極を備えることで、1m2以上、更には2m2以上の大面積基板であっても均質性の高い膜を製膜することが可能な真空処理装置となる。
【0011】
上記発明の一態様において、前記d1は、±2%の変動を許容する範囲で以下の式
d1=xλ
を満たし、前記xが0.003以上0.01以下の数値であることが好ましく、0.004であることが更に好ましい。
【0012】
上記発明の一態様において、前記d1と、前記a0と、前記l1とが、±2%の変動を許容する範囲で以下の式
d1=0.004λ・・・(1)
a0=0.72λ・・・・(2)
l1=0.52λ・・・・(3)
を満たすことが好ましい。
【0013】
上記発明の一態様において、比誘電率8.0から10.0間の材質からなり、半径が0.088λの誘電体が前記変換器の内部空間に挿入され、前記変換器のリッジ導波管の長さl2が、±2%の変動を許容するよう以下の式
l2=0.36λ
を満たし、前記放電室の非リッジ部及び前記変換器の非リッジ部の高さb0が0.13λ以上λ/6以下とされることが好ましい。
【0014】
上記発明の一態様によれば、変換器に比誘電率が8.0から10.0間であり半径が0.088λの誘電体を挿入することで、変換器の長さl2を短くすることができる。また、非リッジ部の高さb0を上記範囲とすることにより、電界強度分布を±5%以下に抑えることができ、均一性の高い製膜処理が可能な真空処理装置となる。
【0015】
上記発明の一態様において、比誘電率8.6の材質からなり、半径が0.088λの誘電体が前記変換器の内部空間に挿入され、前記変換器のリッジ導波管の長さl2が、±2%の変動を許容するよう以下の式
l2=0.36λ
を満たし、前記放電室のリッジ導波管及び前記変換器のリッジ導波管の高さb0が0.13λ以上λ/3以下とされ、且つ、前記放電室及び変換器のリッジ部の横幅r0と、前記放電室及び変換器の前記非リッジ部の横幅n0との比r0/n0が3.4以上8.8以下であっても良い。
【0016】
上記発明の一態様によれば、変換器に比誘電率が8.6であり半径が0.088λの誘電体を挿入することで、変換器の長さl2を短くすることができる。また、非リッジ部の高さb0を上記範囲とし、且つ、リッジ電極及びリッジ部の横幅r0と非リッジ部の横幅n0との比r0/n0を上記範囲とすることで、電界強度分布を±5%以下に抑えることができる。
【0017】
また、本発明は、平板状に形成されて互いに平行に対向配置され、その間にプラズマが生成される一方および他方のリッジ電極及び前記リッジ電極に接続される非リッジ部を有するリッジ導波管からなる放電室と、前記放電室の両端に隣接して配置され、互いに平行に対向配置された一対のリッジ部及び前記リッジ部に接続される非リッジ部を有するリッジ導波管からなり、高周波電源から供給された高周波電力を方形導波管の基本伝送モードに変換して前記放電室に伝送し、前記一方および他方のリッジ電極の間にプラズマを発生させる一対の変換器と、前記放電室および前記変換器の内部の気体を排出させる排気手段と、前記基板にプラズマ処理を施すのに必要な母ガスを前記一方および他方のリッジ電極の間に供給する母ガス供給手段と、を有する真空処理装置の設計方法であって、前記一方及び他方のリッジ電極の対向する面間の距離をd1、前記放電室のリッジ導波管及び前記変換器のリッジ導波管の横幅をa0、前記放電室のリッジ導波管の長さをl1、前記高周波電源から供給される高周波電力の真空中波長をλ、前記変換器のリッジ導波管の長さをl2、前記リッジ部の高さをb0、前記リッジ電極及び前記リッジ部の横幅をr0、及び前記放電室及び前記変換器の前記非リッジ部の横幅をn0、と定義し、前記d1、前記a0、及び前記l1を、それぞれ±2%の変動を許容する範囲で前記λとの一次関数式の関係を満たすよう設定し、前記l2と、前記b0と、前記r0と前記n0との比r0/n0と、の値を規定する真空処理装置の設計方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、リッジ電極間隔d1、リッジ導波管の横幅a0、及びリッジ導波管の長さl1、リッジ導波管の高さb0を放電室に供給される高周波電力の真空中の波長λの関数として規定することで1m2以上、更には2m2以上の大面積基板であっても均質性の高い膜を製膜することが可能な真空処理装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係るダブルリッジ型の製膜装置の概略構成を説明する模式的な斜視図である。
【図2】図1に示した製膜装置の放電室付近における、より詳細な概略構成を説明する模式的な分解斜視図である。
【図3】図2のIII-III矢視断面により、本発明の第1実施形態に係る製膜装置を示す縦断面図である。
【図4】l1/λと反射損失との関係を示す図である。
【図5】放電室におけるH軸上の電界強度分布を示す図である。
【図6】HL平面上での電界強度分布を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るダブルリッジ型の製膜装置の概略構成を説明する模式的な斜視図である。
【図8】電界強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【図9】電界強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【図10】電界強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【図11】電界強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態においては、本発明を、一辺が1mを越える大面積な基板Sに対して、アモルファス太陽電池や微結晶太陽電池等に用いられる非晶質シリコン、微結晶シリコン等の結晶質シリコン、窒化シリコン等からなる膜の製膜処理をプラズマCVD法によって行うことが可能な、ダブルリッジ型の製膜装置(真空処理装置)に適用した場合について説明する。
【0021】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態における製膜装置1の概略構成を説明する模式的な斜視図である。図2は、特に製膜装置1の放電室付近における、より詳細かつ模式的な分解斜視図である。図3は、図2のIII-III矢視断面により、本発明の第1実施形態に係る製膜装置を示す縦断面図である。
【0022】
本実施形態では、放電室が延びる方向をL方向(図1における左右方向)とする。また、リッジ電極の面に直交してプラズマ放電時に電気力線が延びる方向をE方向(図1における上下方向)とする。また、一対のリッジ電極に沿い、かつE方向と直交する方向をH方向(図1における紙面に対して直交する方向)とする。
【0023】
図1、図2および図3において、製膜装置1は図示しない真空容器に収納されるものである。図示しない真空容器は圧力差に耐え得る構造とされている。例えば、ステンレス鋼(JIS規格におけるSUS材)や、一般構造用圧延材(JIS規格におけるSS材)などから形成され、リブ材などで補強された構成を用いることができる。
【0024】
製造装置1は、放電室(プロセス室)2、一対の変換器3A,3B、同軸ケーブルもしくは同軸管4A,4B、高周波電源5A,5B、整合器6A,6B、サーキュレータ7A,7B、排気手段9および母ガス供給手段10を主な構成要素として備えている。
【0025】
放電室2は、導電性を有し、且つ、非磁性または弱磁性を有する材料から形成された容器状の部品である。放電室2を形成する材料としては、アルミニウムやアルミニウム合金系金属材料や、SUS304などのステンレス系金属材料等が挙げられる。放電室2は、内部が0.01Paから10kPa程度の真空状態とされた場合に、その内外の圧力差に耐え得る構造とされている。
【0026】
放電室2は、リッジ電極及びリッジ電極に接続される非リッジ部を有し、所謂ダブルリッジ型のリッジ導波管状(以降ダブルリッジ導波管と称す)に形成されたものである。リッジ電極は、排気側リッジ電極21a(一方のリッジ電極)と、基板側リッジ電極21b(他方のリッジ電極)とから構成された上下一対の放電用の電極である。リッジ電極21a,21bは、ダブルリッジ導波管である放電室2における主要部分となるリッジ形状を構成するものであり、互いに平行に対向配置された平板状の部分である。リッジ電極21a,21bの材質としては、具体的にはSUS304等が好適であるが、線膨張率が大きい反面、熱伝達率が格段に大きいアルミニウム系金属を用いてもよい。リッジ電極21a,21bには、複数の貫通孔が設けられていると良い。
【0027】
リッジ電極21a,21bの板厚tは0.5mm以上で3mm以下が好ましい。0.5mm以下では素材の表面残留応力のために排気側リッジ電極21aおよび基板側リッジ電極21bの平面度を維持することが難しくなる、また通過する熱流束と板厚の積で表裏温度差が生じるので、熱伝達率λが大きいアルミニウムやアルミニウム合金においても、一辺が1mを越える大型の電極サイズでは、3mm以上では略1mm以上の凸変形に至る表裏温度差が生じ易くなる。さらには、板厚tは薄いながらも構造的な取扱強度を確保するためには、1mm以上で2mm以下が更に好ましい。
【0028】
図2に示すように、一方の排気側リッジ電極21aから他方の基板側リッジ電極21bまでの距離がリッジ電極間隔d1(mm)と定められる真空中の高周波の波長を用いた一次式で表す。すなわち、式d1=xλを満たし、±2%の変動を許容する。xは0.003以上0.01以下の数値とされる。
本実施形態ではこのリッジ電極間隔d1は、式d1=0.004λを満たす値に設定され、±2%の変動を許容する。λは、高周波電源5A,5Bから変換器3A,3Bへと供給される高周波電力の真空中の波長である。
【0029】
リッジ電極は、E方向に電界が発生する構成である。このことから、リッジ電極間隔d1に印加するプラズマ生成のための高周波電力の周波数が高くなると、電子が高周波電界により揺さ振られる振幅が小さくなるため、プラズマ内に電子が補足され易くなり、高電子密度が得られる。電子密度が高いほど電離レートや解離レートも高くなるため、周波数が高いと狭いプラズマ空間でも製膜に必要な反応種が得られるということになる。これにより、周波数が高いほど、つまり、供給される高周波電力の真空中での波長λが短いほどリッジ電極間隔d1を狭くすることが可能であり、d1をλの関数で規定可能とすることで、製膜に影響するプラズマ発生状態を表記できるものとした。
【0030】
高周波電力の周波数は、プラズマの均一性があるとともにプラズマによる材料ガス分解が十分にえられ高品質な製膜を得られるよう、30MHz〜500MHzを対象とし、その時の真空中の波長λは1000mm〜600mmとなる。ここで、リッジ電極間距離d1は一辺が1mを越える大面積な基板Sを対応可能なことから、リッジ電極が保有する実質的な強度や工作精度から、リッジ電極間距離d1は最小でも約2mm以上を確保することを考慮する必要がある。このとき、高周波電力の周波数を最大の500MHzを考えると、リッジ電極間隔d1の式の係数は、(d1:2mm)/(λ:600mm)≒0.003となる。
【0031】
一方、リッジ電極間距離d1が広くなると、リッジ電極間の電界強度が低下して製膜速度が低下することから、リッジ電極間距離d1は最大でも100mm以下とするひつようがある。このとき、高周波電力の周波数を最小の30MHzを考えると、リッジ電極間隔d1の式の係数は、(d1:100mm)/(λ:10000mm)=0.01となる。
【0032】
一対のリッジ電極21a,21bの両側には、一対の非リッジ部22a,22bが接続されている。上下のリッジ電極21a,21bと、左右の非リッジ部22a,22bによって、放電室2のダブルリッジ導波管の縦断面形状は略「H」字形状に形成されている。
【0033】
高次モードでの高周波伝播を防ぐため、導波管の横幅a0は高周波電源周波数の真空中波長:λに対してλより短く、導波管の高さはλ/2より低くする。
【0034】
リッジ電極間隔d1をλの関数で規定しているため、リッジ導波管の横幅および高さに対する高周波伝播上の条件範囲内において、高周波電力の反射波損失や電界強度分布が所定の値内に収まるように考慮され、投入高周波電力の大きさに合せた最適な導波管サイズが選定可能となる。
ダブルリッジ導波管において、図1のH方向を向く、一方の非リッジ部22aの端から他方の非リッジ部22bまでの距離が、ダブルリッジ導波管の横幅a0と定められる。また、ダブルリッジ導波管において、導波管の軸方向(図1のL方向)に沿った長さを、ダブルリッジ導波管の長さl1と定められる。ダブルリッジ導波管の横幅a0は、a0=0.72λを満たすよう設定される。a0とl1は、ダブルリッジ電極のサイズに影響し、電界を発生させてプラズマ生成する高周波電力の周波数が主に影響することから、λの一次関数として表すことが可能となる。ダブルリッジ導波管の長さl1は、l1=0.52λを満たすよう設定される。横幅a0及び長さl1は、それぞれ±2%の変動を許容する。
【0035】
上記d1、a0、及びl1の係数は、リッジ電極間距離をプラズマ生成可能かつ装置構造上成立し得る長さとなるような範囲として、高周波電源周波数に対する反射損失が−20dB未満となるように、電磁界シミュレーションにより各寸法を調整して決定した。
【0036】
図4に、l1/λと反射損失との関係を示す。同図において、横軸がl1/λ、縦軸が反射損失である。図4によれば、l1/λの値が0.52である場合に反射損失は−30dB程度となるが、同値の±2.5%の場合では、反射損失は−20dBを超える。そのため、各寸法は概ね±2%程度であれば変動しても反射損失や電界強度分布に大きな影響はないとした。
【0037】
なお、導波管の断面形状はダブルリッジ型でもシングルリッジ型でも良い。
【0038】
一対の変換器3A,3Bは、放電室2の両端にそれぞれ隣接して配置されている。変換器3A,3Bは、放電室2と同様に、アルミニウム合金材料等の導電性を有し、且つ、非磁性または弱磁性を有する材料から形成された容器状の部品である。変換器3A,3Bは、放電室2と同じくダブルリッジ導波管状に形成されている。変換器3A,3Bは、内部が0.1kPaから10kPa程度の真空状態とされた場合に、その内外の圧力差に耐え得る構造とされている。
【0039】
変換器3A,3Bには、図1に示すように、それぞれ上下一対の平板状のリッジ部31a,31bが設けられている。リッジ部31a,31bは、ダブルリッジ導波管である変換器3A,3Bにおけるリッジ形状を構成するものであり、互いに平行に対向して配置されている。これら一対のリッジ部31a,31bの両側に、一対の非リッジ部32a,32bが接続されている。
【0040】
変換器3A,3Bのダブルリッジ導波管において、図1のH方向を向く、一方の非リッジ部32aの端から他方の非リッジ部32bまでの距離が、ダブルリッジ導波管の横幅a0と定められる。変換器3A,3Bのダブルリッジ導波管の横幅a0は、a0=0.72λを満たすよう設定され、且つ、±2%の変動を許容する。
【0041】
変換器3A,3Bにおける一方のリッジ部31aから他方のリッジ部31bまでの距離がリッジ対向間隔d2(mm)と定められる(図1参照)。
リッジ対向間隔d2は、高周波電源5A,5Bの周波数、基板Sの大きさやプラズマ製膜処理の種類等に応じて適宜設定されている。リッジ対向間隔d2は、放電室2におけるリッジ電極21a,21b間のリッジ電極間隔d1よりも広く設定されている。よって、リッジ部31a,31bとリッジ電極21a,21bとの境界部に数〜数百ミリのリッジ段差D(図1参照)が存在している。
【0042】
高周波電源5A,5Bは、周波数が13.56MHz以上、好ましくは30MHzから500MHz(VHF帯からUHF帯)である。周波数が13.56MHzより低いと、ダブルリッジ導波管(リッジ電極21と非リッジ部22)のサイズが大型化するために装置設置スペースが増加する。周波数が500MHzより高いと放電室(プロセス室)2が延びる方向(L方向)に生じる定在波の影響が増大する。なお、高周波電源5A,5Bとしては、公知のものを用いることができ、本発明において特に限定されるものではない。
【0043】
高周波電源5A,5Bは、同軸ケーブル(同軸管)4A,4Bを介して変換器3A,3Bに接続されている。同軸ケーブル(同軸管)4A,4Bは、それぞれ、高周波電源5A,5Bから供給された高周波電力を変換器3A,3Bに導くものである。同軸ケーブル(同軸管)4A,4Bと変換器3A,3Bの接続構造は、公知の同軸‐導波管変換器の構造を用いることができ、本発明において特に限定されるものではない。
【0044】
同軸ケーブル(同軸管)4A,4Bの中間部には、変換器3A,3B側から順に整合器6A,6Bおよびサーキュレータ7A,7Bが接続されている。サーキュレータ7A,7Bは、それぞれ高周波電源5A,5Bから供給された高周波電力を放電室(プロセス室)2に導くとともに、高周波電源5A,5Bに対して進行方向が違う高周波電力が入力されることを防止するものである。整合器6A,6Bは、高周波電力を伝送する系統におけるインピーダンス等の値を調節することができる。
【0045】
排気手段9は、真空容器の内部や、放電室(プロセス室)2、変換器3Aおよび変換器3Bの内部から気体を排気できるよう図示しない真空容器に接続されている。排気手段9は、本発明において特に限定されることはなく、たとえば公知の真空ポンプ、圧力調整弁と真空排気配管等を用いることができる。
【0046】
母ガス供給手段10は、例えばSiH4ガス等の基板にプラズマ処理を施すのに必要な母ガスを、リッジ電極21a,21b間に供給できるよう放電室2に接続されている。
【0047】
図2、図3に示すように、基板側リッジ電極21bの下方(−E方向)には均熱温調器11が設けられている。この均熱温調器11の上面11aは平坦で、基板側リッジ電極21bに平行しており、基板側リッジ電極21bの下面に対して数mmから数十mm程度の間隔が空いている。均熱温調器11には熱媒体流通路11bが接続されている。そして、この均熱温調器11の上面11aに、プラズマ製膜処理が施される基板Sが載置される。つまり、基板Sは放電室2の外部に配置され、均熱温調器11によって均等に加熱される。基板Sとしては透光性ガラス基板を例示することができる。例えば、太陽電池パネルに用いられるものでは、縦横の大きさが1.4m×1.1m、厚さが3.0mmから4.5mmのものが挙げられる。
【0048】
次に、製膜装置1を用いたプラズマ処理方法について説明する。
まず、排気手段9により放電室2、変換器3A,3Bの内部から空気が排出され、基板Sが均熱温調器11の上に載置される。なお、図2および図3では、基板Sはプラズマ発生領域とのガス通過が可能としたリッジ電極の外側に設置してあるが、リッジ電極間に設置してもよい。
【0049】
次に、高周波電源5A,5Bからの高周波電力が、放電室2のリッジ電極21a,21bに供給されるとともに、母ガス供給手段10からリッジ電極21a,21b間に、例えばSiH4ガス等の母ガスが供給される。この時、排気手段9の排気量が制御されて、放電室2等の内部、即ちリッジ電極21a,21bの間の圧力が0.1kPaから10kPa程度の真空状態に保たれる。具体的には、複数の貫通孔を設けた一対のリッジ電極の間にはSiH4等の母ガスが供給されるとともに、製膜に寄与しなかったガスは真空排気される。
【0050】
高周波電力の周波数は、13.56MHz以上、好ましくは30MHzから500MHzとされる。サーキュレータ7A,7Bおよび整合器6A,6Bおよび同軸ケーブル(同軸管)4A,4Bを経て変換器3A,3Bに伝送される。整合器6A,6Bでは高周波電力を伝送する系統におけるインピーダンス等の値が調節される。そして、変換器3A,3Bにおいて高周波電力の伝送モードが同軸伝送モードであるTEMモードから方形導波管の基本伝送モードであるTE10モードに変換される。
【0051】
変換された高周波電力は、変換器3A,3Bから放電室2のリッジ電極21a,21bに伝送され、リッジ電極21a,21b間に強い電界を発生させる。リッジ電極21a,21bの間には母ガス供給手段により母ガスが導入され、プラズマが生成される。このとき、母ガスの材料ガスが分解または活性化して製膜種が生成される。生成された製膜種のうち基板Sに向かって拡散で移動したものにより、基板Sに膜が形成され、製膜処理が施される。
【0052】
導波管の特性により、一対のリッジ電極21a,21bの間ではリッジ電極に沿う方向(H方向)の電界強度分布がほぼ均一になる。図5に、高周波電源5Aおよび高周波電源5Bから高周波電力を同位相供給した場合をシミュレーションして得た放電室2のL方向中央におけるH軸上の電界強度分布を示す。同図において、横軸がH軸上における規格化した長さ、縦軸が電界強度である。プラズマ生成領域のH軸上における最大電界強度をEmax、最小電界強度をEminとすると、電界強度分布率は(Emax−Emin)/(Emax+Emin)と表すことができる。図5においては、電界強度分布率は約5%の状態を示している。
【0053】
従来、リッジ導波管を用いた製膜の観点について、導波管サイズ及び波長(周波数)を論じたものがなかった。
製膜装置1を用いたプラズマ処理において、放電室2のリッジ電極21a,21b間のみでプラズマを生成させることが好ましい。そのためには、リッジ電極21a,21b間の領域で放電可能な強度以上の強い電界、つまり放電開始電圧に相当する電界強度以上の電界が発生し、かつ非リッジ部や変換器内の空間では強い電界が発生しないことが求められる。
【0054】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、リッジ型導波管を用いて上記のような電界強度となるリッジ型電極を設計するには、最初にリッジ電極間隔d1をリッジ電極に供給する高周波電力の真空中波長:λの関数として規定することが有効であることを見出した。
【0055】
本実施形態では、ダブルリッジ導波管を用いることにより、この一対のリッジ電極21a,21bの間ではプラズマを生成可能な程度の強い電界強度を得ることができる。
【0056】
放電室2には、高周波電源5Aから供給された高周波電力と、高周波電源5Bから供給された高周波電力により、定在波が形成される。このとき、高周波電源5Aおよび高周波電源5Bから供給される高周波電力の位相が固定されていると、定在波の位置(位相)が固定され、一対のリッジ電極21a,21bにおける放電室2が延びる方向であるL方向の電界強度の分布に偏りが生じる。例として、適切なサイズの導波管及び放電室において、高周波電源5Aおよび高周波電源5Bから高周波電力を同位相供給した場合をシミュレーションして得たHL平面上での電界強度分布を図6に示す。
図6のような電界強度の分布の偏りをなくすため、高周波電源5Aおよび高周波電源5Bの少なくとも一方から供給される高周波電力の位相を時間に対して調節する位相変調を行うことにより、放電室2に形成される定在波の位置の調節が行われる。これにより、一対のリッジ電極21a,21bにおけるL方向の電界強度の分布が時間平均的に均一化される。
【0057】
具体的には、定在波の位置が、時間の経過に伴いL方向に、Sin波状や、三角波状や、階段(ステップ)状に移動するように高周波電源5Aおよび高周波電源5Bから供給される高周波電力の位相が調節される。定在波が移動する範囲や、定在波を移動させる方式(Sin波状、三角波状、階段状等)や、位相調整の周期の適正化は、電力の分布や、プラズマからの発光の分布や、プラズマ密度の分布や、製膜された膜に係る特性の分布等に基づいて行われる。膜に係る特性としては、膜厚や、膜質や、太陽電池等の半導体としての特性などを挙げることができる。そして、リッジ部を形成したリッジ導波管の特性と、高周波電源5A,5Bから供給された高周波電力の位相変調により、基板Sに対してH方向とL方向のいずれの方向にも均一なプラズマを広い範囲に生成することができ、大面積基板へ製膜するにあたり、高品質な膜を均一に製膜することができる。
【0058】
〔第2実施形態〕
図7は、本発明の第2実施形態における製膜装置100の概略構成を説明する模式的な斜視図である。第1実施形態と共通する構成については、同じ参照番号を使用し、その説明は省略する。
【0059】
本実施形態に係る製膜装置100は、変換器3A,3Bに誘電体51A,51Bが挿入されている。誘電体51A,51Bは、比誘電率が8.0〜10.0であり、この材質としては、窒化アルミニウム、アルミナなどが挙げられる。本実施形態では誘電体51A,51Bは円筒状としているが、これに限定するものではなく、例えば直方体でも良い。誘電体51A,51Bは例えば変換器3A,3Bの内部空間に位置する同軸ケーブル(同軸管)4A,4Bおよびリッジ部31a,31bに密着して固定される。本実施形態では、誘電体51A,51Bの比誘電率が8.6の材質からなり、半径が0.088λとされ、この場合、変換器3A,3Bの長さl2はl2=0.36λを満たし、±2%の変動を許容する。リッジ電極間隔d1、ダブルリッジ導波管の横幅a0、及びダブルリッジ導波管の長さl1は、第1実施形態と同様とする。
【0060】
放電室2及び変換器3A,3Bにおけるダブルリッジ導波管の非リッジ部22a,22b,32a,32bの高さはb0と定められる。b0は、0.13λ以上λ/6以下、または、0.13λ以上λ/3以下とされる。b0が0.13λ以上λ/3以下である場合、比r0/n0が3.4以上8.8以下とされる。ここで、r0はリッジ電極21a,21b及びリッジ部31a,31bの横幅であり、n0は放電室2及び変換器3A,3Bの非リッジ部22a,22b,32a,32bの横幅である。
後述の表1に示すように、高周波電力の周波数として100MHzを選定する場合、r0は1360mm〜1760mmとなり、n0は400mm〜200mmとなり、比r0/n0が3.4〜8.8となる。
【0061】
非リッジ部22a,22b,32a,32bの高さb0、リッジ対向間隔d2、比r0/n0に対する電界強度分布をシミュレーションにより算出した。非リッジ部の高さb0は、0.13λからλ/3の間とした。比r0/n0は、8.8、11.5、または16とした。他の条件のd1、a0、l1、l2などは、上記実施形態の範囲に従って一定とした。
図8〜図11にシミュレーション結果を示す。同図において、横軸がd2/λ、縦軸が電界強度分布率である。図8〜図11は、b0をぞれぞれ0.13λ、λ/6、0.23λ、またはλ/3とした場合のグラフである。
【0062】
図8および図9を参照すると、b0が0.13λ以上λ/6以下であった場合、比r0/n0およびd2/λの値によらず、電界強度分布率が±5%以内となった。図10及び図11を参照すると、比r0/n0が11.5または16であった場合、d2/λの値によっては電界強度分布率が±5%を超えたが、比r0/n0が8.8ではd2/λの値によらず電界強度分布率がほぼ±5%以内となった。
【0063】
表1に、高周波電源周波数を30MHz〜500MHz(真空中の波長λが10m〜0.6m)とした場合に選定できるリッジ型製膜装置の寸法を示す。
【表1】
【符号の説明】
【0064】
1 製膜装置(真空処理装置)
2 放電室(プロセス室)
3A,3B 変換器
4A,4B 同軸ケーブル(同軸管)
5A,5B 高周波電源
6A,6B 整合器
7A,7B サーキュレータ
9 排気手段
10 母ガス供給手段
11 均熱温調器
21a,21b リッジ電極
22a,22b,32a,32b 非リッジ部
31a,31b リッジ部
51A,51B 誘導体
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、薄膜太陽電池の生産性を向上させるためには、高品質なシリコン薄膜を、高速に、かつ、大面積で製膜することが重要である。このような高速かつ大面積な製膜を行う方法としては、プラズマCVD(化学気相成長)法による製膜方法が知られている。
【0003】
プラズマCVD法による製膜を行うためには、プラズマを発生させるプラズマ生成装置(真空処理装置)が必要である。効率良くプラズマを発生させるプラズマ生成装置として、例えば特許文献1に開示されているリッジ導波管を利用したプラズマ生成装置が知られている。この種のプラズマ生成装置は、特許文献1の図10に示されるように、高周波電力(RF電力)を強い電界に変換させる左右一対の変換器(分配室)と、これらの変換器の間に接続される放電室(プロセス室)とを備えて構成されている。
【0004】
放電室の内部には、互いに対向する上下一対の平面状のリッジ電極が設けられており、この間にプラズマが発生する。したがって、ガラス基板等に製膜処理を施す場合には、このようなリッジ電極の間に基板を設置して製膜処理を施すことが考えられる。具体的には、上下のリッジ電極が水平になるように装置全体を設置し、上下の電極の間に基板を搬入して、この基板を下側のリッジ電極の上面に載置する。そして、放電室の内部を真空状態に近づけると同時に、製膜材料となるガスを供給し、リッジ電極の間にプラズマを発生させると、基板表面に膜が形成される。
上述した従来のリッジ導波管を利用したプラズマ生成装置では、リッジ導波管に対して、横方向からマイクロ波電力を供給する構造になっている。高周波電源からリッジ電極へ電力を供給する際に、高い高周波電力を用いるとことで基板表面に形成される膜の膜質を向上できるとともに、製膜速度を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平4−504640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高周波電源からリッジ電極へ電力を供給する際に、30MHzを超える高い高周波を用いると、定在波の影響でプラズマ分布が不均一になり、一辺が1mを超える大面積の基板への製膜には課題がある。上記課題を解決するための方法の1つとして、位相変調方式によりプラズマを制御することで、プラズマを時間平均として均一化する手法があるが、更なる製膜速度の向上と膜分布の均一化が求められている。
【0007】
一方、リッジ導波管を用いたプラズマ生成装置では、マイクロ波の伝送経路が膜形成の対象とされている。特許文献1では電界発生にリッジ導波管を利用したものの、リッジ導波管に沿った長手方向へマイクロ波分配室が必要であり、電界の均一化が困難である。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、電界分布及びプラズマ分布をより均一化させ、大面積の基板にも安定した製膜処理が行える真空処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、平板状に形成されて互いに平行に対向配置され、その間にプラズマが生成される一方および他方のリッジ電極及び前記リッジ電極に接続される非リッジ部を有するリッジ導波管からなる放電室と、前記放電室の両端に隣接して配置され、互いに平行に対向配置された一対のリッジ部及び前記リッジ部に接続される非リッジ部を有するリッジ導波管からなり、高周波電源から供給された高周波電力を方形導波管の基本伝送モードに変換して前記放電室に伝送し、前記一方および他方のリッジ電極の間にプラズマを発生させる一対の変換器と、前記放電室および前記変換器の内部の気体を排出させる排気手段と、前記基板にプラズマ処理を施すのに必要な母ガスを前記一方および他方のリッジ電極の間に供給する母ガス供給手段とを有し、前記一方及び他方のリッジ電極の対向間隔をd1、前記放電室のリッジ導波管及び前記変換器のリッジ導波管の横幅をa0、前記放電室のリッジ導波管の長さをl1、及び前記高周波電源から供給される高周波電力の真空中波長をλと定義した場合に、前記d1、前記a0、及び前記l1がそれぞれ±2%の変動を許容する範囲で前記λとの一次関数式の関係を満たす真空処理装置を提供する。
【0010】
従来、リッジ導波管を用いた製膜などの真空処理装置において、リッジ電極の対向間隔や導波管サイズを、波長(周波数)で論じたものがなかった。
放電室のリッジ電極間のみで強い電界のもとプラズマを生成させることが好ましく、かつ非リッジ部や変換器内の空間では強い電界が発生しないことが求められる。
本願発明者らは、鋭意研究の結果、プラズマ生成のための高周波の周波数に対してリッジ電極間隔d1のサイズを、高周波の真空中波長:λの関数として規定することが有効であることを見出し、このλの関数で選定することにより、リッジ電極のプラズマ生成領域でプラズマを生成可能な強度の電界が得られる基本的な寸法を算出することが容易になることを見出した。上記発明によれば、リッジ電極間隔d1を簡易に設定することができる。これにより、リッジ型電極のプラズマ生成領域でプラズマを生成可能な強度の電界が得られるような電極寸法(リッジ導波管の横幅a0、及びリッジ導波管の長さをl1)の算出が容易になる。このように設計されたリッジ電極を備えることで、1m2以上、更には2m2以上の大面積基板であっても均質性の高い膜を製膜することが可能な真空処理装置となる。
【0011】
上記発明の一態様において、前記d1は、±2%の変動を許容する範囲で以下の式
d1=xλ
を満たし、前記xが0.003以上0.01以下の数値であることが好ましく、0.004であることが更に好ましい。
【0012】
上記発明の一態様において、前記d1と、前記a0と、前記l1とが、±2%の変動を許容する範囲で以下の式
d1=0.004λ・・・(1)
a0=0.72λ・・・・(2)
l1=0.52λ・・・・(3)
を満たすことが好ましい。
【0013】
上記発明の一態様において、比誘電率8.0から10.0間の材質からなり、半径が0.088λの誘電体が前記変換器の内部空間に挿入され、前記変換器のリッジ導波管の長さl2が、±2%の変動を許容するよう以下の式
l2=0.36λ
を満たし、前記放電室の非リッジ部及び前記変換器の非リッジ部の高さb0が0.13λ以上λ/6以下とされることが好ましい。
【0014】
上記発明の一態様によれば、変換器に比誘電率が8.0から10.0間であり半径が0.088λの誘電体を挿入することで、変換器の長さl2を短くすることができる。また、非リッジ部の高さb0を上記範囲とすることにより、電界強度分布を±5%以下に抑えることができ、均一性の高い製膜処理が可能な真空処理装置となる。
【0015】
上記発明の一態様において、比誘電率8.6の材質からなり、半径が0.088λの誘電体が前記変換器の内部空間に挿入され、前記変換器のリッジ導波管の長さl2が、±2%の変動を許容するよう以下の式
l2=0.36λ
を満たし、前記放電室のリッジ導波管及び前記変換器のリッジ導波管の高さb0が0.13λ以上λ/3以下とされ、且つ、前記放電室及び変換器のリッジ部の横幅r0と、前記放電室及び変換器の前記非リッジ部の横幅n0との比r0/n0が3.4以上8.8以下であっても良い。
【0016】
上記発明の一態様によれば、変換器に比誘電率が8.6であり半径が0.088λの誘電体を挿入することで、変換器の長さl2を短くすることができる。また、非リッジ部の高さb0を上記範囲とし、且つ、リッジ電極及びリッジ部の横幅r0と非リッジ部の横幅n0との比r0/n0を上記範囲とすることで、電界強度分布を±5%以下に抑えることができる。
【0017】
また、本発明は、平板状に形成されて互いに平行に対向配置され、その間にプラズマが生成される一方および他方のリッジ電極及び前記リッジ電極に接続される非リッジ部を有するリッジ導波管からなる放電室と、前記放電室の両端に隣接して配置され、互いに平行に対向配置された一対のリッジ部及び前記リッジ部に接続される非リッジ部を有するリッジ導波管からなり、高周波電源から供給された高周波電力を方形導波管の基本伝送モードに変換して前記放電室に伝送し、前記一方および他方のリッジ電極の間にプラズマを発生させる一対の変換器と、前記放電室および前記変換器の内部の気体を排出させる排気手段と、前記基板にプラズマ処理を施すのに必要な母ガスを前記一方および他方のリッジ電極の間に供給する母ガス供給手段と、を有する真空処理装置の設計方法であって、前記一方及び他方のリッジ電極の対向する面間の距離をd1、前記放電室のリッジ導波管及び前記変換器のリッジ導波管の横幅をa0、前記放電室のリッジ導波管の長さをl1、前記高周波電源から供給される高周波電力の真空中波長をλ、前記変換器のリッジ導波管の長さをl2、前記リッジ部の高さをb0、前記リッジ電極及び前記リッジ部の横幅をr0、及び前記放電室及び前記変換器の前記非リッジ部の横幅をn0、と定義し、前記d1、前記a0、及び前記l1を、それぞれ±2%の変動を許容する範囲で前記λとの一次関数式の関係を満たすよう設定し、前記l2と、前記b0と、前記r0と前記n0との比r0/n0と、の値を規定する真空処理装置の設計方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、リッジ電極間隔d1、リッジ導波管の横幅a0、及びリッジ導波管の長さl1、リッジ導波管の高さb0を放電室に供給される高周波電力の真空中の波長λの関数として規定することで1m2以上、更には2m2以上の大面積基板であっても均質性の高い膜を製膜することが可能な真空処理装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係るダブルリッジ型の製膜装置の概略構成を説明する模式的な斜視図である。
【図2】図1に示した製膜装置の放電室付近における、より詳細な概略構成を説明する模式的な分解斜視図である。
【図3】図2のIII-III矢視断面により、本発明の第1実施形態に係る製膜装置を示す縦断面図である。
【図4】l1/λと反射損失との関係を示す図である。
【図5】放電室におけるH軸上の電界強度分布を示す図である。
【図6】HL平面上での電界強度分布を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るダブルリッジ型の製膜装置の概略構成を説明する模式的な斜視図である。
【図8】電界強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【図9】電界強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【図10】電界強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【図11】電界強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態においては、本発明を、一辺が1mを越える大面積な基板Sに対して、アモルファス太陽電池や微結晶太陽電池等に用いられる非晶質シリコン、微結晶シリコン等の結晶質シリコン、窒化シリコン等からなる膜の製膜処理をプラズマCVD法によって行うことが可能な、ダブルリッジ型の製膜装置(真空処理装置)に適用した場合について説明する。
【0021】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態における製膜装置1の概略構成を説明する模式的な斜視図である。図2は、特に製膜装置1の放電室付近における、より詳細かつ模式的な分解斜視図である。図3は、図2のIII-III矢視断面により、本発明の第1実施形態に係る製膜装置を示す縦断面図である。
【0022】
本実施形態では、放電室が延びる方向をL方向(図1における左右方向)とする。また、リッジ電極の面に直交してプラズマ放電時に電気力線が延びる方向をE方向(図1における上下方向)とする。また、一対のリッジ電極に沿い、かつE方向と直交する方向をH方向(図1における紙面に対して直交する方向)とする。
【0023】
図1、図2および図3において、製膜装置1は図示しない真空容器に収納されるものである。図示しない真空容器は圧力差に耐え得る構造とされている。例えば、ステンレス鋼(JIS規格におけるSUS材)や、一般構造用圧延材(JIS規格におけるSS材)などから形成され、リブ材などで補強された構成を用いることができる。
【0024】
製造装置1は、放電室(プロセス室)2、一対の変換器3A,3B、同軸ケーブルもしくは同軸管4A,4B、高周波電源5A,5B、整合器6A,6B、サーキュレータ7A,7B、排気手段9および母ガス供給手段10を主な構成要素として備えている。
【0025】
放電室2は、導電性を有し、且つ、非磁性または弱磁性を有する材料から形成された容器状の部品である。放電室2を形成する材料としては、アルミニウムやアルミニウム合金系金属材料や、SUS304などのステンレス系金属材料等が挙げられる。放電室2は、内部が0.01Paから10kPa程度の真空状態とされた場合に、その内外の圧力差に耐え得る構造とされている。
【0026】
放電室2は、リッジ電極及びリッジ電極に接続される非リッジ部を有し、所謂ダブルリッジ型のリッジ導波管状(以降ダブルリッジ導波管と称す)に形成されたものである。リッジ電極は、排気側リッジ電極21a(一方のリッジ電極)と、基板側リッジ電極21b(他方のリッジ電極)とから構成された上下一対の放電用の電極である。リッジ電極21a,21bは、ダブルリッジ導波管である放電室2における主要部分となるリッジ形状を構成するものであり、互いに平行に対向配置された平板状の部分である。リッジ電極21a,21bの材質としては、具体的にはSUS304等が好適であるが、線膨張率が大きい反面、熱伝達率が格段に大きいアルミニウム系金属を用いてもよい。リッジ電極21a,21bには、複数の貫通孔が設けられていると良い。
【0027】
リッジ電極21a,21bの板厚tは0.5mm以上で3mm以下が好ましい。0.5mm以下では素材の表面残留応力のために排気側リッジ電極21aおよび基板側リッジ電極21bの平面度を維持することが難しくなる、また通過する熱流束と板厚の積で表裏温度差が生じるので、熱伝達率λが大きいアルミニウムやアルミニウム合金においても、一辺が1mを越える大型の電極サイズでは、3mm以上では略1mm以上の凸変形に至る表裏温度差が生じ易くなる。さらには、板厚tは薄いながらも構造的な取扱強度を確保するためには、1mm以上で2mm以下が更に好ましい。
【0028】
図2に示すように、一方の排気側リッジ電極21aから他方の基板側リッジ電極21bまでの距離がリッジ電極間隔d1(mm)と定められる真空中の高周波の波長を用いた一次式で表す。すなわち、式d1=xλを満たし、±2%の変動を許容する。xは0.003以上0.01以下の数値とされる。
本実施形態ではこのリッジ電極間隔d1は、式d1=0.004λを満たす値に設定され、±2%の変動を許容する。λは、高周波電源5A,5Bから変換器3A,3Bへと供給される高周波電力の真空中の波長である。
【0029】
リッジ電極は、E方向に電界が発生する構成である。このことから、リッジ電極間隔d1に印加するプラズマ生成のための高周波電力の周波数が高くなると、電子が高周波電界により揺さ振られる振幅が小さくなるため、プラズマ内に電子が補足され易くなり、高電子密度が得られる。電子密度が高いほど電離レートや解離レートも高くなるため、周波数が高いと狭いプラズマ空間でも製膜に必要な反応種が得られるということになる。これにより、周波数が高いほど、つまり、供給される高周波電力の真空中での波長λが短いほどリッジ電極間隔d1を狭くすることが可能であり、d1をλの関数で規定可能とすることで、製膜に影響するプラズマ発生状態を表記できるものとした。
【0030】
高周波電力の周波数は、プラズマの均一性があるとともにプラズマによる材料ガス分解が十分にえられ高品質な製膜を得られるよう、30MHz〜500MHzを対象とし、その時の真空中の波長λは1000mm〜600mmとなる。ここで、リッジ電極間距離d1は一辺が1mを越える大面積な基板Sを対応可能なことから、リッジ電極が保有する実質的な強度や工作精度から、リッジ電極間距離d1は最小でも約2mm以上を確保することを考慮する必要がある。このとき、高周波電力の周波数を最大の500MHzを考えると、リッジ電極間隔d1の式の係数は、(d1:2mm)/(λ:600mm)≒0.003となる。
【0031】
一方、リッジ電極間距離d1が広くなると、リッジ電極間の電界強度が低下して製膜速度が低下することから、リッジ電極間距離d1は最大でも100mm以下とするひつようがある。このとき、高周波電力の周波数を最小の30MHzを考えると、リッジ電極間隔d1の式の係数は、(d1:100mm)/(λ:10000mm)=0.01となる。
【0032】
一対のリッジ電極21a,21bの両側には、一対の非リッジ部22a,22bが接続されている。上下のリッジ電極21a,21bと、左右の非リッジ部22a,22bによって、放電室2のダブルリッジ導波管の縦断面形状は略「H」字形状に形成されている。
【0033】
高次モードでの高周波伝播を防ぐため、導波管の横幅a0は高周波電源周波数の真空中波長:λに対してλより短く、導波管の高さはλ/2より低くする。
【0034】
リッジ電極間隔d1をλの関数で規定しているため、リッジ導波管の横幅および高さに対する高周波伝播上の条件範囲内において、高周波電力の反射波損失や電界強度分布が所定の値内に収まるように考慮され、投入高周波電力の大きさに合せた最適な導波管サイズが選定可能となる。
ダブルリッジ導波管において、図1のH方向を向く、一方の非リッジ部22aの端から他方の非リッジ部22bまでの距離が、ダブルリッジ導波管の横幅a0と定められる。また、ダブルリッジ導波管において、導波管の軸方向(図1のL方向)に沿った長さを、ダブルリッジ導波管の長さl1と定められる。ダブルリッジ導波管の横幅a0は、a0=0.72λを満たすよう設定される。a0とl1は、ダブルリッジ電極のサイズに影響し、電界を発生させてプラズマ生成する高周波電力の周波数が主に影響することから、λの一次関数として表すことが可能となる。ダブルリッジ導波管の長さl1は、l1=0.52λを満たすよう設定される。横幅a0及び長さl1は、それぞれ±2%の変動を許容する。
【0035】
上記d1、a0、及びl1の係数は、リッジ電極間距離をプラズマ生成可能かつ装置構造上成立し得る長さとなるような範囲として、高周波電源周波数に対する反射損失が−20dB未満となるように、電磁界シミュレーションにより各寸法を調整して決定した。
【0036】
図4に、l1/λと反射損失との関係を示す。同図において、横軸がl1/λ、縦軸が反射損失である。図4によれば、l1/λの値が0.52である場合に反射損失は−30dB程度となるが、同値の±2.5%の場合では、反射損失は−20dBを超える。そのため、各寸法は概ね±2%程度であれば変動しても反射損失や電界強度分布に大きな影響はないとした。
【0037】
なお、導波管の断面形状はダブルリッジ型でもシングルリッジ型でも良い。
【0038】
一対の変換器3A,3Bは、放電室2の両端にそれぞれ隣接して配置されている。変換器3A,3Bは、放電室2と同様に、アルミニウム合金材料等の導電性を有し、且つ、非磁性または弱磁性を有する材料から形成された容器状の部品である。変換器3A,3Bは、放電室2と同じくダブルリッジ導波管状に形成されている。変換器3A,3Bは、内部が0.1kPaから10kPa程度の真空状態とされた場合に、その内外の圧力差に耐え得る構造とされている。
【0039】
変換器3A,3Bには、図1に示すように、それぞれ上下一対の平板状のリッジ部31a,31bが設けられている。リッジ部31a,31bは、ダブルリッジ導波管である変換器3A,3Bにおけるリッジ形状を構成するものであり、互いに平行に対向して配置されている。これら一対のリッジ部31a,31bの両側に、一対の非リッジ部32a,32bが接続されている。
【0040】
変換器3A,3Bのダブルリッジ導波管において、図1のH方向を向く、一方の非リッジ部32aの端から他方の非リッジ部32bまでの距離が、ダブルリッジ導波管の横幅a0と定められる。変換器3A,3Bのダブルリッジ導波管の横幅a0は、a0=0.72λを満たすよう設定され、且つ、±2%の変動を許容する。
【0041】
変換器3A,3Bにおける一方のリッジ部31aから他方のリッジ部31bまでの距離がリッジ対向間隔d2(mm)と定められる(図1参照)。
リッジ対向間隔d2は、高周波電源5A,5Bの周波数、基板Sの大きさやプラズマ製膜処理の種類等に応じて適宜設定されている。リッジ対向間隔d2は、放電室2におけるリッジ電極21a,21b間のリッジ電極間隔d1よりも広く設定されている。よって、リッジ部31a,31bとリッジ電極21a,21bとの境界部に数〜数百ミリのリッジ段差D(図1参照)が存在している。
【0042】
高周波電源5A,5Bは、周波数が13.56MHz以上、好ましくは30MHzから500MHz(VHF帯からUHF帯)である。周波数が13.56MHzより低いと、ダブルリッジ導波管(リッジ電極21と非リッジ部22)のサイズが大型化するために装置設置スペースが増加する。周波数が500MHzより高いと放電室(プロセス室)2が延びる方向(L方向)に生じる定在波の影響が増大する。なお、高周波電源5A,5Bとしては、公知のものを用いることができ、本発明において特に限定されるものではない。
【0043】
高周波電源5A,5Bは、同軸ケーブル(同軸管)4A,4Bを介して変換器3A,3Bに接続されている。同軸ケーブル(同軸管)4A,4Bは、それぞれ、高周波電源5A,5Bから供給された高周波電力を変換器3A,3Bに導くものである。同軸ケーブル(同軸管)4A,4Bと変換器3A,3Bの接続構造は、公知の同軸‐導波管変換器の構造を用いることができ、本発明において特に限定されるものではない。
【0044】
同軸ケーブル(同軸管)4A,4Bの中間部には、変換器3A,3B側から順に整合器6A,6Bおよびサーキュレータ7A,7Bが接続されている。サーキュレータ7A,7Bは、それぞれ高周波電源5A,5Bから供給された高周波電力を放電室(プロセス室)2に導くとともに、高周波電源5A,5Bに対して進行方向が違う高周波電力が入力されることを防止するものである。整合器6A,6Bは、高周波電力を伝送する系統におけるインピーダンス等の値を調節することができる。
【0045】
排気手段9は、真空容器の内部や、放電室(プロセス室)2、変換器3Aおよび変換器3Bの内部から気体を排気できるよう図示しない真空容器に接続されている。排気手段9は、本発明において特に限定されることはなく、たとえば公知の真空ポンプ、圧力調整弁と真空排気配管等を用いることができる。
【0046】
母ガス供給手段10は、例えばSiH4ガス等の基板にプラズマ処理を施すのに必要な母ガスを、リッジ電極21a,21b間に供給できるよう放電室2に接続されている。
【0047】
図2、図3に示すように、基板側リッジ電極21bの下方(−E方向)には均熱温調器11が設けられている。この均熱温調器11の上面11aは平坦で、基板側リッジ電極21bに平行しており、基板側リッジ電極21bの下面に対して数mmから数十mm程度の間隔が空いている。均熱温調器11には熱媒体流通路11bが接続されている。そして、この均熱温調器11の上面11aに、プラズマ製膜処理が施される基板Sが載置される。つまり、基板Sは放電室2の外部に配置され、均熱温調器11によって均等に加熱される。基板Sとしては透光性ガラス基板を例示することができる。例えば、太陽電池パネルに用いられるものでは、縦横の大きさが1.4m×1.1m、厚さが3.0mmから4.5mmのものが挙げられる。
【0048】
次に、製膜装置1を用いたプラズマ処理方法について説明する。
まず、排気手段9により放電室2、変換器3A,3Bの内部から空気が排出され、基板Sが均熱温調器11の上に載置される。なお、図2および図3では、基板Sはプラズマ発生領域とのガス通過が可能としたリッジ電極の外側に設置してあるが、リッジ電極間に設置してもよい。
【0049】
次に、高周波電源5A,5Bからの高周波電力が、放電室2のリッジ電極21a,21bに供給されるとともに、母ガス供給手段10からリッジ電極21a,21b間に、例えばSiH4ガス等の母ガスが供給される。この時、排気手段9の排気量が制御されて、放電室2等の内部、即ちリッジ電極21a,21bの間の圧力が0.1kPaから10kPa程度の真空状態に保たれる。具体的には、複数の貫通孔を設けた一対のリッジ電極の間にはSiH4等の母ガスが供給されるとともに、製膜に寄与しなかったガスは真空排気される。
【0050】
高周波電力の周波数は、13.56MHz以上、好ましくは30MHzから500MHzとされる。サーキュレータ7A,7Bおよび整合器6A,6Bおよび同軸ケーブル(同軸管)4A,4Bを経て変換器3A,3Bに伝送される。整合器6A,6Bでは高周波電力を伝送する系統におけるインピーダンス等の値が調節される。そして、変換器3A,3Bにおいて高周波電力の伝送モードが同軸伝送モードであるTEMモードから方形導波管の基本伝送モードであるTE10モードに変換される。
【0051】
変換された高周波電力は、変換器3A,3Bから放電室2のリッジ電極21a,21bに伝送され、リッジ電極21a,21b間に強い電界を発生させる。リッジ電極21a,21bの間には母ガス供給手段により母ガスが導入され、プラズマが生成される。このとき、母ガスの材料ガスが分解または活性化して製膜種が生成される。生成された製膜種のうち基板Sに向かって拡散で移動したものにより、基板Sに膜が形成され、製膜処理が施される。
【0052】
導波管の特性により、一対のリッジ電極21a,21bの間ではリッジ電極に沿う方向(H方向)の電界強度分布がほぼ均一になる。図5に、高周波電源5Aおよび高周波電源5Bから高周波電力を同位相供給した場合をシミュレーションして得た放電室2のL方向中央におけるH軸上の電界強度分布を示す。同図において、横軸がH軸上における規格化した長さ、縦軸が電界強度である。プラズマ生成領域のH軸上における最大電界強度をEmax、最小電界強度をEminとすると、電界強度分布率は(Emax−Emin)/(Emax+Emin)と表すことができる。図5においては、電界強度分布率は約5%の状態を示している。
【0053】
従来、リッジ導波管を用いた製膜の観点について、導波管サイズ及び波長(周波数)を論じたものがなかった。
製膜装置1を用いたプラズマ処理において、放電室2のリッジ電極21a,21b間のみでプラズマを生成させることが好ましい。そのためには、リッジ電極21a,21b間の領域で放電可能な強度以上の強い電界、つまり放電開始電圧に相当する電界強度以上の電界が発生し、かつ非リッジ部や変換器内の空間では強い電界が発生しないことが求められる。
【0054】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、リッジ型導波管を用いて上記のような電界強度となるリッジ型電極を設計するには、最初にリッジ電極間隔d1をリッジ電極に供給する高周波電力の真空中波長:λの関数として規定することが有効であることを見出した。
【0055】
本実施形態では、ダブルリッジ導波管を用いることにより、この一対のリッジ電極21a,21bの間ではプラズマを生成可能な程度の強い電界強度を得ることができる。
【0056】
放電室2には、高周波電源5Aから供給された高周波電力と、高周波電源5Bから供給された高周波電力により、定在波が形成される。このとき、高周波電源5Aおよび高周波電源5Bから供給される高周波電力の位相が固定されていると、定在波の位置(位相)が固定され、一対のリッジ電極21a,21bにおける放電室2が延びる方向であるL方向の電界強度の分布に偏りが生じる。例として、適切なサイズの導波管及び放電室において、高周波電源5Aおよび高周波電源5Bから高周波電力を同位相供給した場合をシミュレーションして得たHL平面上での電界強度分布を図6に示す。
図6のような電界強度の分布の偏りをなくすため、高周波電源5Aおよび高周波電源5Bの少なくとも一方から供給される高周波電力の位相を時間に対して調節する位相変調を行うことにより、放電室2に形成される定在波の位置の調節が行われる。これにより、一対のリッジ電極21a,21bにおけるL方向の電界強度の分布が時間平均的に均一化される。
【0057】
具体的には、定在波の位置が、時間の経過に伴いL方向に、Sin波状や、三角波状や、階段(ステップ)状に移動するように高周波電源5Aおよび高周波電源5Bから供給される高周波電力の位相が調節される。定在波が移動する範囲や、定在波を移動させる方式(Sin波状、三角波状、階段状等)や、位相調整の周期の適正化は、電力の分布や、プラズマからの発光の分布や、プラズマ密度の分布や、製膜された膜に係る特性の分布等に基づいて行われる。膜に係る特性としては、膜厚や、膜質や、太陽電池等の半導体としての特性などを挙げることができる。そして、リッジ部を形成したリッジ導波管の特性と、高周波電源5A,5Bから供給された高周波電力の位相変調により、基板Sに対してH方向とL方向のいずれの方向にも均一なプラズマを広い範囲に生成することができ、大面積基板へ製膜するにあたり、高品質な膜を均一に製膜することができる。
【0058】
〔第2実施形態〕
図7は、本発明の第2実施形態における製膜装置100の概略構成を説明する模式的な斜視図である。第1実施形態と共通する構成については、同じ参照番号を使用し、その説明は省略する。
【0059】
本実施形態に係る製膜装置100は、変換器3A,3Bに誘電体51A,51Bが挿入されている。誘電体51A,51Bは、比誘電率が8.0〜10.0であり、この材質としては、窒化アルミニウム、アルミナなどが挙げられる。本実施形態では誘電体51A,51Bは円筒状としているが、これに限定するものではなく、例えば直方体でも良い。誘電体51A,51Bは例えば変換器3A,3Bの内部空間に位置する同軸ケーブル(同軸管)4A,4Bおよびリッジ部31a,31bに密着して固定される。本実施形態では、誘電体51A,51Bの比誘電率が8.6の材質からなり、半径が0.088λとされ、この場合、変換器3A,3Bの長さl2はl2=0.36λを満たし、±2%の変動を許容する。リッジ電極間隔d1、ダブルリッジ導波管の横幅a0、及びダブルリッジ導波管の長さl1は、第1実施形態と同様とする。
【0060】
放電室2及び変換器3A,3Bにおけるダブルリッジ導波管の非リッジ部22a,22b,32a,32bの高さはb0と定められる。b0は、0.13λ以上λ/6以下、または、0.13λ以上λ/3以下とされる。b0が0.13λ以上λ/3以下である場合、比r0/n0が3.4以上8.8以下とされる。ここで、r0はリッジ電極21a,21b及びリッジ部31a,31bの横幅であり、n0は放電室2及び変換器3A,3Bの非リッジ部22a,22b,32a,32bの横幅である。
後述の表1に示すように、高周波電力の周波数として100MHzを選定する場合、r0は1360mm〜1760mmとなり、n0は400mm〜200mmとなり、比r0/n0が3.4〜8.8となる。
【0061】
非リッジ部22a,22b,32a,32bの高さb0、リッジ対向間隔d2、比r0/n0に対する電界強度分布をシミュレーションにより算出した。非リッジ部の高さb0は、0.13λからλ/3の間とした。比r0/n0は、8.8、11.5、または16とした。他の条件のd1、a0、l1、l2などは、上記実施形態の範囲に従って一定とした。
図8〜図11にシミュレーション結果を示す。同図において、横軸がd2/λ、縦軸が電界強度分布率である。図8〜図11は、b0をぞれぞれ0.13λ、λ/6、0.23λ、またはλ/3とした場合のグラフである。
【0062】
図8および図9を参照すると、b0が0.13λ以上λ/6以下であった場合、比r0/n0およびd2/λの値によらず、電界強度分布率が±5%以内となった。図10及び図11を参照すると、比r0/n0が11.5または16であった場合、d2/λの値によっては電界強度分布率が±5%を超えたが、比r0/n0が8.8ではd2/λの値によらず電界強度分布率がほぼ±5%以内となった。
【0063】
表1に、高周波電源周波数を30MHz〜500MHz(真空中の波長λが10m〜0.6m)とした場合に選定できるリッジ型製膜装置の寸法を示す。
【表1】
【符号の説明】
【0064】
1 製膜装置(真空処理装置)
2 放電室(プロセス室)
3A,3B 変換器
4A,4B 同軸ケーブル(同軸管)
5A,5B 高周波電源
6A,6B 整合器
7A,7B サーキュレータ
9 排気手段
10 母ガス供給手段
11 均熱温調器
21a,21b リッジ電極
22a,22b,32a,32b 非リッジ部
31a,31b リッジ部
51A,51B 誘導体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状に形成されて互いに平行に対向配置され、その間にプラズマが生成される一方および他方のリッジ電極及び前記リッジ電極に接続される非リッジ部を有するリッジ導波管からなる放電室と、
前記放電室の両端に隣接して配置され、互いに平行に対向配置された一対のリッジ部及び前記リッジ部に接続される非リッジ部を有するリッジ導波管からなり、高周波電源から供給された高周波電力を方形導波管の基本伝送モードに変換して前記放電室に伝送し、前記一方および他方のリッジ電極の間にプラズマを発生させる一対の変換器と、
前記放電室および前記変換器の内部の気体を排出させる排気手段と、
前記基板にプラズマ処理を施すのに必要な母ガスを前記一方および他方のリッジ電極の間に供給する母ガス供給手段と、
を有し、
前記一方及び他方のリッジ電極の対向する面間の距離をd1、
前記放電室のリッジ導波管及び前記変換器のリッジ導波管の横幅をa0、
前記放電室のリッジ導波管の長さをl1、及び
前記高周波電源から供給される高周波電力の真空中波長をλ、
と定義した場合に、前記d1、前記a0、及び前記l1がそれぞれ±2%の変動を許容する範囲で前記λとの一次関数式の関係を満たす真空処理装置。
【請求項2】
前記d1は、±2%の変動を許容する範囲で以下の式
d1=xλ
を満たし、
前記xが0.003以上0.01以下の数値である請求項1に記載の真空処理装置。
【請求項3】
前記xが0.004である請求項2に記載の真空処理装置。
【請求項4】
前記d1と、前記a0と、前記l1とが、±2%の変動を許容する範囲で以下の式
d1=0.004λ・・・(1)
a0=0.72λ・・・・(2)
l1=0.52λ・・・・(3)
を満たす請求項3に記載の真空処理装置。
【請求項5】
比誘電率8.0から10.0の間の材質からなり、半径が0.088λの誘電体が前記変換器の内部空間に挿入され、
前記変換器のリッジ導波管の長さl2が、±2%の変動を許容するよう以下の式
l2=0.36λ
を満たし、
前記放電室の非リッジ部及び前記変換器の非リッジ部の高さb0が0.13λ以上λ/6以下とされる請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の真空処理装置。
【請求項6】
比誘電率8.6の材質からなり、半径が0.088λの誘電体が前記変換器の内部空間に挿入され、
前記変換器のリッジ導波管の長さl2が、±2%の変動を許容するよう以下の式
l2=0.36λ
を満たし、
前記放電室のリッジ導波管及び前記変換器のリッジ導波管の高さb0が0.13λ以上λ/3以下とされ、且つ、
前記リッジ電極及びリッジ部の横幅r0と、前記放電室及び変換器の前記非リッジ部の横幅n0との比r0/n0が3.4以上8.8以下である請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の真空処理装置。
【請求項7】
平板状に形成されて互いに平行に対向配置され、その間にプラズマが生成される一方および他方のリッジ電極及び前記リッジ電極に接続される非リッジ部を有するリッジ導波管からなる放電室と、
前記放電室の両端に隣接して配置され、互いに平行に対向配置された一対のリッジ部及び前記リッジ部に接続される非リッジ部を有するリッジ導波管からなり、高周波電源から供給された高周波電力を方形導波管の基本伝送モードに変換して前記放電室に伝送し、前記一方および他方のリッジ電極の間にプラズマを発生させる一対の変換器と、
前記放電室および前記変換器の内部の気体を排出させる排気手段と、
前記基板にプラズマ処理を施すのに必要な母ガスを前記一方および他方のリッジ電極の間に供給する母ガス供給手段と、
を有する真空処理装置の設計方法であって、
前記一方及び他方のリッジ電極の対向する面間の距離をd1、
前記放電室のリッジ導波管及び前記変換器のリッジ導波管の横幅をa0、
前記放電室のリッジ導波管の長さをl1、
前記高周波電源から供給される高周波電力の真空中波長をλ、
前記変換器のリッジ導波管の長さをl2、
前記リッジ部の高さをb0、
前記リッジ電極及び前記リッジ部の横幅をr0、及び
前記放電室及び前記変換器の前記非リッジ部の横幅をn0、
と定義し、
前記d1、前記a0、及び前記l1を、それぞれ±2%の変動を許容する範囲で前記λとの一次関数式の関係を満たすよう設定し、
前記l2と、前記b0と、前記r0と前記n0との比r0/n0と、
の値を規定する真空処理装置の設計方法。
【請求項1】
平板状に形成されて互いに平行に対向配置され、その間にプラズマが生成される一方および他方のリッジ電極及び前記リッジ電極に接続される非リッジ部を有するリッジ導波管からなる放電室と、
前記放電室の両端に隣接して配置され、互いに平行に対向配置された一対のリッジ部及び前記リッジ部に接続される非リッジ部を有するリッジ導波管からなり、高周波電源から供給された高周波電力を方形導波管の基本伝送モードに変換して前記放電室に伝送し、前記一方および他方のリッジ電極の間にプラズマを発生させる一対の変換器と、
前記放電室および前記変換器の内部の気体を排出させる排気手段と、
前記基板にプラズマ処理を施すのに必要な母ガスを前記一方および他方のリッジ電極の間に供給する母ガス供給手段と、
を有し、
前記一方及び他方のリッジ電極の対向する面間の距離をd1、
前記放電室のリッジ導波管及び前記変換器のリッジ導波管の横幅をa0、
前記放電室のリッジ導波管の長さをl1、及び
前記高周波電源から供給される高周波電力の真空中波長をλ、
と定義した場合に、前記d1、前記a0、及び前記l1がそれぞれ±2%の変動を許容する範囲で前記λとの一次関数式の関係を満たす真空処理装置。
【請求項2】
前記d1は、±2%の変動を許容する範囲で以下の式
d1=xλ
を満たし、
前記xが0.003以上0.01以下の数値である請求項1に記載の真空処理装置。
【請求項3】
前記xが0.004である請求項2に記載の真空処理装置。
【請求項4】
前記d1と、前記a0と、前記l1とが、±2%の変動を許容する範囲で以下の式
d1=0.004λ・・・(1)
a0=0.72λ・・・・(2)
l1=0.52λ・・・・(3)
を満たす請求項3に記載の真空処理装置。
【請求項5】
比誘電率8.0から10.0の間の材質からなり、半径が0.088λの誘電体が前記変換器の内部空間に挿入され、
前記変換器のリッジ導波管の長さl2が、±2%の変動を許容するよう以下の式
l2=0.36λ
を満たし、
前記放電室の非リッジ部及び前記変換器の非リッジ部の高さb0が0.13λ以上λ/6以下とされる請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の真空処理装置。
【請求項6】
比誘電率8.6の材質からなり、半径が0.088λの誘電体が前記変換器の内部空間に挿入され、
前記変換器のリッジ導波管の長さl2が、±2%の変動を許容するよう以下の式
l2=0.36λ
を満たし、
前記放電室のリッジ導波管及び前記変換器のリッジ導波管の高さb0が0.13λ以上λ/3以下とされ、且つ、
前記リッジ電極及びリッジ部の横幅r0と、前記放電室及び変換器の前記非リッジ部の横幅n0との比r0/n0が3.4以上8.8以下である請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の真空処理装置。
【請求項7】
平板状に形成されて互いに平行に対向配置され、その間にプラズマが生成される一方および他方のリッジ電極及び前記リッジ電極に接続される非リッジ部を有するリッジ導波管からなる放電室と、
前記放電室の両端に隣接して配置され、互いに平行に対向配置された一対のリッジ部及び前記リッジ部に接続される非リッジ部を有するリッジ導波管からなり、高周波電源から供給された高周波電力を方形導波管の基本伝送モードに変換して前記放電室に伝送し、前記一方および他方のリッジ電極の間にプラズマを発生させる一対の変換器と、
前記放電室および前記変換器の内部の気体を排出させる排気手段と、
前記基板にプラズマ処理を施すのに必要な母ガスを前記一方および他方のリッジ電極の間に供給する母ガス供給手段と、
を有する真空処理装置の設計方法であって、
前記一方及び他方のリッジ電極の対向する面間の距離をd1、
前記放電室のリッジ導波管及び前記変換器のリッジ導波管の横幅をa0、
前記放電室のリッジ導波管の長さをl1、
前記高周波電源から供給される高周波電力の真空中波長をλ、
前記変換器のリッジ導波管の長さをl2、
前記リッジ部の高さをb0、
前記リッジ電極及び前記リッジ部の横幅をr0、及び
前記放電室及び前記変換器の前記非リッジ部の横幅をn0、
と定義し、
前記d1、前記a0、及び前記l1を、それぞれ±2%の変動を許容する範囲で前記λとの一次関数式の関係を満たすよう設定し、
前記l2と、前記b0と、前記r0と前記n0との比r0/n0と、
の値を規定する真空処理装置の設計方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−98337(P2013−98337A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239646(P2011−239646)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 太陽エネルギー技術研究開発 太陽光発電システム次世代高性能技術の開発 次世代多接合薄膜シリコン太陽電池の産学官協力体制による研究開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 太陽エネルギー技術研究開発 太陽光発電システム次世代高性能技術の開発 次世代多接合薄膜シリコン太陽電池の産学官協力体制による研究開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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