説明

真空弁ユニット

【課題】汚水が制御装置に浸入することを防止することができる、真空汚水収集システムに使用される真空弁ユニットを提供する。
【解決手段】真空弁ユニットは、先端が汚水ます1内に配置される吸込管50と、真空系5と吸込管50との間に配置される真空弁4と、吸込管50の所定の高さに接続された第1の差圧検出管51と、第1の差圧検出管の接続位置よりも低い高さに接続された第2の差圧検出管52と、差圧検出管51,52内の圧力に基づいて動作し、真空弁4の開閉を制御する機械式の制御装置11と、差圧検出管51,52と制御装置11とをそれぞれ接続するフレキシブルチューブ61,62とを備える。差圧検出管51,52の側部には、第1の接続ノズル51Bおよび第2の接続ノズル52Bがそれぞれ設けられており、接続ノズル51B,52Bは、フレキシブルチューブ61,62に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は真空弁の開により汚水ます中の汚水を吸込管で吸引し、汚水処理場等に設置された真空ポンプ場に移送する真空汚水収集システムに使用される真空弁ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来のこの種の真空弁ユニットの構成例を示す図である。図1において、符号1は汚水ますである。該汚水ます1内には吸込管3の先端が挿入されており、吸込管3の後端は真空弁4を介して真空タンクに連通するライン5(真空系)に接続されている。真空弁4はピストン室4c内にダイヤフラム4bと該ダイヤフラム4bを付勢するバネ4aを具備している。
【0003】
符号11は制御装置であり、該制御装置11はケーシング12を具備し、該ケーシング12は大径部12aと小径部12bが一体となった構造である。大径部12aには中央部にシャフト(軸)14が貫通する隔壁15が設けられ、左右室に区分されている。左側の室は中央部に設けられた第1ダイヤフラム16により第1室17と第2室18に区分され、右側の室は中央部に設けられた第2ダイヤフラム19により第3室20と第4室21に区分されている。また、小径部12bは隔壁22で左右室に区分されており、左側の室は前記第4室21に連通し、右側の室は隔壁23で第5室24と第6室25に区分されている。
【0004】
シャフト14の先端には弁体13が固定されており、弁体13は第6室25に配置されている。シャフト14の後端は第1ダイヤフラム16の中央部に固定されている。該シャフト14は隔壁15を貫通し、第2ダイヤフラム19を嵌挿(ダイヤフラム19はシャフト14に固定されている)し、さらに、隔壁22、隔壁23を貫通している。シャフト14が隔壁15を貫通する貫通部にはシール機構(図示せず)が、隔壁22を貫通する貫通部にはシール機構(図示せず)がそれぞれ設けられ、シャフト14の隔壁23の貫通部には弁体13で開閉される貫通孔23aが設けられている。符号28は第2ダイヤフラム19を左側に押すバネである。
【0005】
ケーシング12の後端壁のシャフト14の後端に対向する位置には磁石29が設けられている。第6室25には、大気開放孔30aを有するシャフトシール30が設けられている。大気開放孔30aは、大気に連通しており、弁体13によって開閉される。シャフト14は、バネ28によって弁体13が大気開放孔30aから離間する方向に付勢されている。
【0006】
吸込管3には上下所定の間隔を設けて圧力検出孔9,10が設けられ、圧力検出孔9はパイプ31で第4室21に連通し、圧力検出孔10はパイプ32で第3室20に連通する。汚水ます1内には、汚水の水位の変化を圧力の変化に変換する圧力センサ管2が配置されている。この圧力センサ管2はパイプ33で第1室17に連通する。また、第2室18は孔34で大気に連通している。また、第5室24はパイプ35でライン5に連通し、第6室25はパイプ36で真空弁4のピストン室4cに連通している。
【0007】
上記構成の真空弁ユニットにおいて、汚水ます1の汚水の水位が上昇し、圧力センサ管2の圧力が上昇すると、該圧力はパイプ33を通って制御装置11内の第1室17に伝えられる。これにより第1ダイヤフラム16がバネ28の弾発力及び磁石29の磁気吸引力に打ち勝って右に移動してシャフト14を押し、弁体13はシャフトシール30に当接して、大気開放孔30aを閉じる。そして、ライン5より真空がパイプ35を通って第5室24及び第6室25に伝えられ、さらに真空弁4のピストン室4cに伝えられる。これにより真空弁4の弁体6は引き上げられる。
【0008】
圧力センサ管2の圧力により、第1ダイヤフラム16が押され、シャフト14が動き始めるとその移動に伴ってバネ28の弾発力は増大するが、磁石29の磁気吸引力は急激に減少(移動距離の2乗に反比例)するから、シャフト14は一気に移動端、即ち弁体13が大気開放孔30aを閉じる位置まで移動する。
【0009】
真空弁4の弁体6が引き上げられると、ライン5と吸込管3は連通するから、汚水が吸引され始め、汚水は空気吸込管8から取り込まれた空気と混ざり合いながら吸込管3を移送される。この時、圧力検出孔9と圧力検出孔10の間には差圧が発生し、これがパイプ31,32を通して第4室21と第3室20に伝えられる。この差圧は第2ダイヤフラム19を右側へ押す力となり、シャフト14を介して弁体13はさらに右に押し付けられる。汚水の水位が下がって第1室17と第2室18の圧力差が無くなっても、汚水が吸込管3内を流れている間は第4室21と第3室20の差圧のために弁体13は右側に押し付けられたままとなっている。
【0010】
汚水の水位がさらに下がり、吸込管3の下端が空気を吸うようになると、圧力検出孔9と圧力検出孔10の間に差圧が無くなるため、バネ28により第2ダイヤフラム19は左側に押され、弁体13は左側に押し付けられ、隔壁23の貫通孔23aを閉じる。これにより、第6室25に大気が流入し、該大気はパイプ36を通して真空弁4のピストン室4cに流入し、真空弁4の弁体6はバネ4aの弾発力により戻されて、吸込管3とライン5との間の胴体7を閉じ、吸込管3とライン5の連通を遮断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−60995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
真空弁4の作動中(汚水吸引中)にパイプ36が偶発的に外れた場合などに起因して、汚水吸引中に真空弁4が急に閉じられると、真空弁4の吸込側に内圧が発生し、いわゆるウォータハンマーが発生する。ウォータハンマーが発生すると、真空弁4と吸込管3との接続が外れたり、パイプ31,32を通じて汚水が制御装置11の内部に浸入し、真空弁4が再作動できないという問題があった。
【0013】
また、真空弁4が作動し、弁体6が開いた瞬間、パイプ31,32内の空気がまず初めに吸い込まれ、その後に汚水ます1内の汚水が吸引される。このとき、パイプ31,32内は負圧であるため、汚水がパイプ31,32内に浸入し、制御装置11の内部の圧力が真空弁4を閉じる方向に働くことがあり、ウォータハンマーが発生することがあった。
【0014】
本発明は上述した従来の問題点に鑑みてなされたもので、制御装置への汚水の浸入を防止することができる、真空汚水収集システムに使用される真空弁ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、先端が汚水ます内に配置される吸込管と、汚水を真空吸引力によって移送する真空系と前記吸込管との間に配置される真空弁と、前記吸込管の所定の高さに接続された第1の差圧検出管と、前記第1の差圧検出管の接続位置よりも低い高さに接続された第2の差圧検出管と、前記第1の差圧検出管および前記第2の差圧検出管内の圧力に基づいて動作し、前記真空弁の開閉を制御する機械式の制御装置と、前記第1の差圧検出管および前記第2の差圧検出管と前記制御装置とをそれぞれ接続するフレキシブルチューブとを備え、前記第1の差圧検出管および前記第2の差圧検出管の側部には、第1の接続ノズルおよび第2の接続ノズルがそれぞれ設けられており、前記第1の接続ノズルおよび前記第2の接続ノズルは、前記フレキシブルチューブに接続されていることを特徴とする真空弁ユニットである。
【0016】
本発明の好ましい態様は、前記第1の差圧検出管および前記第2の差圧検出管には、それぞれ第1の大気開放口および第2の大気開放口が設けられていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第2の大気開放口は、複数設けられていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、汚水移送中の前記第1の大気開放口から流入する大気の流量は、汚水移送中の前記第2の大気開放口から流入する大気の流量以下になるように構成されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第1の接続ノズルおよび前記第2の接続ノズルは、斜め上向きに設けられたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第1の接続ノズルの下方の位置において、前記第1の差圧検出管の内面に凸部が設けられたことを特徴とする。
【0017】
本発明の好ましい態様は、前記第1の差圧検出管の前記吸込管への接続部は、傾斜管となっていることを特徴とする。
本発明の他の態様は、先端が汚水ます内に配置される吸込管と、汚水を真空吸引力によって移送する真空系と前記吸込管との間に配置される真空弁と、前記吸込管の所定の高さに接続された第1の差圧検出管と、前記第1の差圧検出管の接続位置よりも低い高さに接続された第2の差圧検出管と、前記第1の差圧検出管および前記第2の差圧検出管内の圧力に基づいて動作し、前記真空弁の開閉を制御する機械式の制御装置と、前記第1の差圧検出管および前記第2の差圧検出管と前記制御装置とをそれぞれ接続するフレキシブルチューブとを備え、前記第1の差圧検出管の前記吸込管への接続部は、傾斜管となっていることを特徴とする真空弁ユニットである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、差圧検出管内の汚水の流れは管路方向に勢いがあるため、側部につながれた接続ノズルへ流れる勢いは削がれる。したがって、ウォータハンマーが発生しても、制御装置に汚水が浸入することが防止され、制御装置の動作を正常に保つことができる。
また、第1の大気開放口および第2の大気開放口を第1の差圧検出管および第2の差圧検出管にそれぞれ設けることにより、ウォータハンマーが起こったときでも、差圧検出管に流れ込んだ汚水は、これら大気開放口から外部に放出される。したがって、制御装置への汚水の浸入を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来の真空弁ユニットの構成例を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る真空弁ユニットを示す模式図である。
【図3】図2に示す差圧検出管の変形例を示す断面図である。
【図4】図2に示す差圧検出管の他の変形例を示す断面図である。
【図5】図2に示す差圧検出管のさらに他の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る真空弁ユニットついて図面を参照して説明する。
図2において、真空弁4および制御装置11の構成は、図1に示す構成と同様であるので、その説明を省略する。また、特に説明しない真空弁ユニットの構成および動作は、図1に示す構成および動作と同様である。
【0021】
真空弁ユニットは、先端が汚水ます1内に配置された吸込管50を有している。この吸込管50は真空弁4を介してライン(真空系)5に接続されている。ライン5は、真空タンクや真空ポンプなどから構成される図示しない真空ステーションに連通しており、ライン5に発生する真空吸引力により、汚水ます1内の汚水が吸込管50に吸い込まれるようになっている。真空弁4は吸込管50とライン5との間に配置されている。吸込管50は、真空弁4の上流側カップリング40に接続され、ライン5は真空弁4の下流側カップリング41に接続されている。圧力センサ管2は吸込管50とは別体として構成されている。圧力センサ管2の先端は、吸込管50と同様に、汚水ます1内に配置されている。圧力センサ管2および真空弁4は、フレキシブルチューブ63,66を介して制御装置11にそれぞれ接続されている。また、ライン5と制御装置11の第5室24とはフレキシブルチューブ65を介して連通している。
【0022】
吸込管50には、第1の差圧検出管51および第2の差圧検出管52が接続されている。吸込管50、第1の差圧検出管51、および第2の差圧検出管52は一体に形成されており、互いに連通している。第1の差圧検出管51および第2の差圧検出管52は鉛直方向に延び、それぞれの下端は吸込管50の側部に接続されている。第2の差圧検出管52と吸込管50との接続位置は、第1の差圧検出管51と吸込管50との接続位置よりも低い。
【0023】
第1の差圧検出管51の上端には、鉛直方向に延びる第1の大気開放ノズル51Aが設けられており、第1の大気開放ノズル51Aを通じて第1の差圧検出管51の内部と外部とが連通している。さらに、第1の差圧検出管51の上端の近くには、水平方向に延びる第1の接続ノズル51Bが設けられている。この第1の接続ノズル51Bは第1の差圧検出管51の側部に設けられており、第1の大気開放ノズル51Aの下方に位置している。フレキシブルチューブ61の下端はこの第1の接続ノズル51Bに接続され、フレキシブルチューブ61の上端は制御装置11の第4室21に接続されている。一方、第1の大気開放ノズル51Aはフレキシブルチューブには接続されておらず、第1の差圧検出管51の内部は、第1の大気開放ノズル51Aを介して大気開放されている。
【0024】
同様に、第2の差圧検出管52の上端には、鉛直方向に延びる第2の大気開放ノズル52Aが設けられており、第2の大気開放ノズル52Aを通じて第2の差圧検出管52の内部と外部とが連通している。さらに、第2の差圧検出管52の上端の近くには、水平方向に延びる第2の接続ノズル52Bが設けられている。この第2の接続ノズル52Bは第2の差圧検出管52の側部に設けられており、第2の大気開放ノズル52Aの下方に位置している。フレキシブルチューブ62の下端はこの第2の接続ノズル52Bに接続され、フレキシブルチューブ62の上端は制御装置11の第3室20に接続されている。一方、第2の大気開放ノズル52Aはフレキシブルチューブには接続されておらず、第2の差圧検出管52の内部は、第2の大気開放ノズル52Aを介して大気開放されている。
【0025】
上記構成の真空弁ユニットにおいて、汚水ます1の汚水の水位が上昇し、圧力センサ管2の圧力が上昇すると、該圧力はフレキシブルチューブ63を通って制御装置11内の第1室17に伝えられる。これにより第1ダイヤフラム16がバネ28の弾発力及び磁石29の磁気吸引力に打ち勝って右に移動してシャフト14を押し、弁体13はシャフトシール30に当接して、大気開放孔30aを閉じる。そして、ライン5より真空がフレキシブルチューブ65を通って第5室24及び第6室25に伝えられ、さらに真空弁4のピストン室4cに伝えられる。これにより真空弁4の弁体6は引き上げられる。
【0026】
圧力センサ管2の圧力により、第1ダイヤフラム16が押され、シャフト14が動き始めるとその移動に伴ってバネ28の弾発力は増大するが、磁石29の磁気吸引力は急激に減少(移動距離の2乗に反比例)するから、シャフト14は一気に移動端、即ち弁体13が大気開放孔30aを閉じる位置まで移動する。ここで第5室24、第6室25、大気開放孔30a、及び弁体13は、真空弁4を開閉する真空弁開閉機構を構成する。
【0027】
真空弁4の弁体6が引き上げられると、ライン5と吸込管50は連通するから、汚水が吸引され始める。第1の差圧検出管51と第2の差圧検出管52との間には差圧が発生し、これがフレキシブルチューブ61,62を通して第4室21と第3室20に伝えられる。この差圧は第2ダイヤフラム19を右側へ押す力となり、シャフト14を介して弁体13はさらに右に押し付けられる。汚水の水位が下がって第1室17と第2室18の圧力差が無くなっても、汚水が吸込管50内を流れている間は第4室21と第3室20の差圧のために弁体13は右側に押し付けられたままとなっている。
【0028】
汚水の水位がさらに下がり、吸込管50の下端が空気を吸うようになると、接続ノズル51Bと接続ノズル52Bの間に差圧が無くなるため、バネ28により第2ダイヤフラム19は左側に押され、弁体13は左側に押し付けられ、隔壁23の貫通孔23aを閉じる。これにより、第6室25に大気が流入し、該大気はフレキシブルチューブ66を通して真空弁4のピストン室4cに流入し、真空弁4の弁体6はバネ4aの弾発力により戻されて、吸込管50とライン5との間の胴体7を閉じ、吸込管50とライン5の連通を遮断する。
【0029】
汚水吸引中に真空弁4が急に閉じられると、真空弁4の吸込側に内圧が発生し、いわゆるウォータハンマーが発生する。ウォータハンマーが起こると、吸込管50から差圧検出管51,52内に汚水が勢いよく流れ込む。この汚水は差圧検出管51,52の最上部に設けられた大気開放ノズル51A,52Aから逃されるため、汚水がフレキシブルチューブ61,62の方へ向かうことを抑制できる。汚水の流れは管路方向に勢いがあるため、差圧検出管51,52の側部につながれた接続ノズル51B,52Bへ流れる勢いは削がれる。
【0030】
また、真空弁4が開いて汚水が吸込管50を移送されている間は、それぞれの大気開放ノズル51A,52Aから大気が吸われるため、差圧検出管51,52内の負圧が緩和される。したがって、制御装置11に汚水が浸入することが防止され、制御装置11に正常な圧力が伝わる。なお、差圧検出管51,52管内の負圧は緩和されるが、第1の差圧検出管51内の圧力と第2の差圧検出管52内の圧力との差が十分に確保できれば制御装置11の動作に問題はない。
【0031】
また、本実施形態では、第1の大気開放ノズル51Aから第1の差圧検出管51に流入する大気の流量は、第2の大気開放ノズル52Aから第2の差圧検出管52に流入する大気の流量と同程度に設定されているが、第1の差圧検出管51内の圧力と第2の差圧検出管52内の圧力との差を十分に確保するには、第1の大気開放ノズル51Aから第1の差圧検出管51に流入する大気の流量は、第2の大気開放ノズル52Aから第2の差圧検出管52に流入する大気の流量と同程度かより小さい量、つまり、第2の差圧検出管52へ流入する大気の流量以下であることが好ましい。なお、真空弁4を通過する流体の気液比を上げたい場合にも、空気吸込管8(図1参照)の径を大きくする他に、第2の差圧検出管52へ流入する大気の流量を第1の差圧検出管51へ流入する大気の流量よりも大きくしてもよい。
【0032】
第2の差圧検出管52へ流入する大気の流量を増やすために、第2の大気開放ノズル52Aの口径を大きくしたり長さを短くしたりしてもよく、さらには、第2の大気開放ノズル52Aを複数設けたり、第2の大気開放ノズル52Aに加えて小孔を設けたりしても良い。また、大気の流量を調整するための調整弁を第2の大気開放ノズル52Aに設けてもよい。
【0033】
図3に示すように、制御装置11に接続される接続ノズル51Bは斜め上向きに設けても良い。接続ノズル51Bの口径は小さいため、万が一汚水が接続ノズル51B内に浸入してしまった場合に汚水が流下しにくい。接続ノズル51Bを斜めにすることで汚水が接続ノズル51Bから流れ出やすくすることができる。同様の理由で、接続ノズル52Bも斜め上向きに設けても良い。
【0034】
また、図4に示すように、接続ノズル51Bの上流側に凸部54を設けてもよい。より具体的には、接続ノズル51Bの直ぐ下方の位置において、第1の差圧検出管51の内面に凸部54を設けてもよい。この凸部54により第1の差圧検出管51内の汚水の流れが阻害されるため、汚水が接続ノズル51Bに流れ込むことを抑制することができる。同様に、接続ノズル52Bの上流側に凸部54を設けてもよい。
【0035】
第1の差圧検出管51の流路は第2の差圧検出管52に較べて短いため、第1の差圧検出管51と吸込管50との接続部に絞り55が設けてあり、ウォータハンマーの影響が第1の差圧検出管51内に伝わりづらくしてある。絞り55は第1の差圧検出管51の上側の内面(真空に引かれる方向、または、ウォータハンマーの向かってくる方向)に設けられている。このような絞りを第2の差圧検出管52に設けても良い。
【0036】
また、図5に示すように、第1の差圧検出管51の下部を、吸込管50に向かって下方に傾斜する傾斜管51Cで構成し、この傾斜管51Cによって第1の差圧検出管51の吸込管50への接続部を構成してもよい。図2に示すように、第1の差圧検出管51と吸込管50との接続箇所が水平に延びる短い管であると、第1の差圧検出管51の下部に汚水が滞留してしまうことがある。図5のように傾斜管51Cを設けることによって、第1の差圧検出管51と吸込管50との接続部に滞留しようとする汚水の吸込管50内への流下を促進させることができる。同様に、第2の差圧検出管52の下部を、吸込管50に向かって下方に傾斜する傾斜管52Cで構成し、この傾斜管52Cによって第2の差圧検出管52の吸込管50への接続部を構成してもよい。
【0037】
また、図5に示すように、吸込管50には、ウォータハンマーの衝撃を逃がすための逃がし穴70を設けても良い。逃がし穴70は、その外側開口端が吸込管50に固定されたゴム板等の可撓材71で覆われている。真空弁4が作動しているときは、吸込管50内の圧力が低下するため可撓材71は逃がし穴70に密着するが、ウォータハンマーが生じると、その圧力によって吸込管50の外側にたわみ、逃がし穴70から吸込管50内の圧力を外部に逃す構成となっている。また、図5の例では、逃がし穴70は、第2の差圧検出管52よりも下方に設けてある。これは、異物が可撓材71と吸込管50の間に挟まるなどして、真空弁4の作動時に逃がし穴70が可撓材71によって十分に塞がらない場合にも、差圧検出管51,52の差圧に対して影響が出ないようにするためである。
【0038】
本実施形態では、大気開放口として大気開放ノズル51A,52Aが設けられているが、ノズルの形状ではなく、差圧検出管51,52の上端に形成された大気開放孔(通孔)により大気開放口を構成してもよい。なお、大気開放口は必ずしも差圧検出管の上端に形成されている必要はないが、ウォータハンマーの衝撃は管路方向に進むため差圧検出管51,52の先端(上端)に設けるのが好ましい。
【0039】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0040】
1 汚水ます
2 圧力センサ管
3 吸込管
4 真空弁
5 ライン(真空系)
6 弁体
11 制御装置
50 吸込管
51 第1の差圧検出管
52 第2の差圧検出管
51A 第1の大気開放ノズル
52A 第2の大気開放ノズル
51B 第1の接続ノズル
52B 第2の接続ノズル
51C,52C 傾斜管
54 凸部
55 絞り
70 逃がし穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端が汚水ます内に配置される吸込管と、
汚水を真空吸引力によって移送する真空系と前記吸込管との間に配置される真空弁と、
前記吸込管の所定の高さに接続された第1の差圧検出管と、
前記第1の差圧検出管の接続位置よりも低い高さに接続された第2の差圧検出管と、
前記第1の差圧検出管および前記第2の差圧検出管内の圧力に基づいて動作し、前記真空弁の開閉を制御する機械式の制御装置と、
前記第1の差圧検出管および前記第2の差圧検出管と前記制御装置とをそれぞれ接続するフレキシブルチューブとを備え、
前記第1の差圧検出管および前記第2の差圧検出管の側部には、第1の接続ノズルおよび第2の接続ノズルがそれぞれ設けられており、
前記第1の接続ノズルおよび前記第2の接続ノズルは、前記フレキシブルチューブに接続されていることを特徴とする真空弁ユニット。
【請求項2】
前記第1の差圧検出管および前記第2の差圧検出管には、それぞれ第1の大気開放口および第2の大気開放口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の真空弁ユニット。
【請求項3】
前記第2の大気開放口は、複数設けられていることを特徴とする請求項2に記載の真空弁ユニット。
【請求項4】
汚水移送中の前記第1の大気開放口から流入する大気の流量は、汚水移送中の前記第2の大気開放口から流入する大気の流量以下になるように構成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の真空弁ユニット。
【請求項5】
前記第1の接続ノズルおよび前記第2の接続ノズルは、斜め上向きに設けられたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の真空弁ユニット。
【請求項6】
前記第1の接続ノズルの下方の位置において、前記第1の差圧検出管の内面に凸部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の真空弁ユニット。
【請求項7】
前記第1の差圧検出管の前記吸込管への接続部は、傾斜管となっていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の真空弁ユニット。
【請求項8】
先端が汚水ます内に配置される吸込管と、
汚水を真空吸引力によって移送する真空系と前記吸込管との間に配置される真空弁と、
前記吸込管の所定の高さに接続された第1の差圧検出管と、
前記第1の差圧検出管の接続位置よりも低い高さに接続された第2の差圧検出管と、
前記第1の差圧検出管および前記第2の差圧検出管内の圧力に基づいて動作し、前記真空弁の開閉を制御する機械式の制御装置と、
前記第1の差圧検出管および前記第2の差圧検出管と前記制御装置とをそれぞれ接続するフレキシブルチューブとを備え、
前記第1の差圧検出管の前記吸込管への接続部は、傾斜管となっていることを特徴とする真空弁ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−196112(P2011−196112A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64765(P2010−64765)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【出願人】(506236820)株式会社 荏原由倉ハイドロテック (31)
【Fターム(参考)】