説明

真空式移動トイレ

【課題】 多人数が使用する従来の真空式移動トイレは、真空タンク(5)の容量が小さく多人数が使用する真空式移動トイレには困難であった。又真空タンク(5)内の汚物(3)は、所定の場所でしか排除ができなかった。
【解決手段】 上記の課題を解決する為、本発明は、自由液面(15)と真空タンク天井(13)を有する真空タンク(5)を車両(11)の床面を有効利用し設置できる形状とし車両(11)での移動・搬送を可能とした。又、真空タンク天井(13)部に真空式トイレを2個以上設置し多人数の利用を可能にした。又、メイン水槽(18)とサブ水槽(19)を有する。高架水槽(17)を設置し、真空トイレへ供給する洗浄水量を一定化した。この事により、多人数で使用する真空式移動トイレを可能とした。又真空タンク(5)に真空ハッチ(24)を設置し、何処でも真空タンク(5)内の汚物(3)を排除できる事とし移動式真空トイレを可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両(11)にて搬送・移動ができる真空式移動トイレに関する技術である。
【背景技術】
【0002】
従来の車両(11)に設置した真空式移動トイレ技術を図1に示す。真空式トイレは便器(1)と真空弁(2)で構成される。真空トイレは使用後、真空弁(2)を開くと、便器(1)内の汚物(3)は洗浄水と共に汚水となり、大気中の空気と共に真空弁(2)を通過し移送配管(12)を通過し真空タンク(5)へ吸引され貯留される。
真空式トイレと真空タンク(5)の間は移送配管(12)で接続している。真空タンク(5)は真空ポンプ(6)により真空度が常時保たれている。洗浄水は真空弁(2)と同時に洗浄水弁(4)が開き供給される。給水タンク(9)内に貯留された洗浄水はコンプレッサー(10)により加圧されている。真空タンク(5)中の汚物(3)を含んだ汚水は、排出弁(7)より排出される。この時、真空タンク(5)内の真空度は真空破壊弁(8)が開き大気圧となる。これらの全てを車両(11)に設置してあるので真空式移動トイレが可能となる。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
真空式トイレの使用回数は真空タンク(5)の容量により決定される。車両に設置される真空タンク(5)は、車両下部の余裕スペースが少ないので、従来の車両(11)に設置した真空式トイレは、多人数が使用し、使用回数が大きい真空式移動トイレに使用する事は出来なかった。又、真空タンク(5)の排出場所は定められた場所で実施され、自由に排出場所を選定できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
真空タンク(5)を車両(11)の床面を有効利用した形状とし真空タンク(5)の上部に複数の真空トイレ、真空ポンプ(6)を設置し一体化する事により車両での搬送・移動が可能な形状とした。この事により、真空タンク(5)の大容量が可能となり、多人数の利用ができ、車両で搬送・移動ができる真空式移動トイレが可能となった。又、真空タンク天井(13)に真空ハッチ(24)を設置し、何処でも真空タンク(5)内の汚水を排除できる事とした。
又、小型の真空タンク(5)と真空タンク(5)内の汚水を貯留する汚水タンク(23)を設置し、真空トイレを汚水タンク(23)の上部に設置する事により、荷重条件の低減化が可能となった。
【発明の実施形態】
【0005】
本発明の実施形態を図2に示す。真空タンク(5)は車両(11)の床面を利用し、形状は、車両の積載寸法より小さくし車両(11)での搬送・移動を可能とした。この事により、真空タンク(5)の容量が大きくできる。真空タンク(5)は自由液面(15)と真空タンク天井(13)を有する。真空タンク(5)の自由液面(15)と真空タンク天井(13)の位置関係は、真空トイレの構造により異なる。又、洗浄水の圧力も真空トイレの構造により異なる。自由液面(15)の位置は、下部にするほど、汚水が便器(1)に逆流するリスクが低下する。
図2は真空タンク天井(13)が自由液面(15)より下部の実施例を示す。真空ポンプ(6)の吸込み口は真空タンク(5)の自由液面(15)部より上部とし、空気のみを真空ポンプで吸引し真空タンク(5)の真空度を真空ポンプ(6)で上げる事が可能となる。
真空式トイレは便器(1)と真空弁(2)と洗浄水弁(4)で構成される。真空トイレは真空タンク(5)の真空タンク天井(13)部に直接2個以上設置する。真空式トイレを使用後、真空弁(2)を開くと、便器(1)内の汚水は大気中の空気と共に真空弁(2)を通過し真空タンク(5)へ直接吸引され貯留される。
真空タンク(5)は真空ポンプ(6)により真空度が常時保たれている。この時の真空度は便器(1)より自由液面(15)へ汚水を排出できる値以上とする。自由液面(15)が真空タンク天井(13)より下となった場合の真空度は汚水を真空タンク(5)へ排出できる真空度でよい。洗浄水は真空弁(2)と連動し洗浄水弁(4)が開き供給される。給水タンク(9)内に貯留された洗浄水はコンプレッサー(10)により加圧し供給される。真空タンク(5)中の汚物(3)を含んだ汚水は、排出弁(7)又は真空ハッチ(24)より排出される。この時、真空タンク(5)内の真空度は真空破壊弁(8)が開き大気圧となる。又、この時、真空弁(2)を閉鎖しているので、汚水が真空トイレに逆流することは無い。これらの全てを真空タンク(5)の上部に設置してあるので車両によるは運搬・移動が可能となり真空式移動トイレが可能となる。
真空タンク(5)内へ汚水が流入すると水位が上昇し、汚水は真空タンク天井(13)と接触する。さらに水位が上昇すると汚水の水位は自由液面(15)まで上昇する。真空タンク天井(13)は、真空トイレの下部が支持される真空タンク(5)の部分とする。又、真空タンク(5)内の空気を吸引する部分の液面を自由液面(15)(図2の液面指示部)と呼ぶ。真空タンク天井(13)部分に汚水が接触すると、空気が汚水の流れを阻害する。真空タンク天井(13)部の空気を除去する必要がある。
図3に示す如く真空タンク天井(13)部に真空タンク(5)の自由液面(15)方向に勾配を設置し真空タンク天井(13)部の空気を自由液面(15)方向へ除去する事により汚水の排出が容易となる。又、図4に示す如く真空タンク(5)内に設置したガイドパイプ(14)により真空弁(2)より吸引した汚水と空気をガイドパイプ(14)により自由液面(15)より上部へ排出しガイドパイプ(14)への逆流を防止でき、汚水の排出が容易となる。また、ガイドパイプ(14)の出口は、真空ポンプの吸込み口に汚物(3)が当たらない位置と方向が望ましい。
図5は自由液面(15)が真空タンク天井(13)より低い場合の実施例を示す。真空タンク(5)の汚水の水位が上昇しても、汚水は真空タンク天井(13)と接触しない。
図6の実施例は従来技術と同様に移送管(12)に真空弁(2)を設置するが移送管(12)が2個以上の真空トイレを設置し大容量とした真空タンク(5)へ接続する事が異なる。図7の実施例は図6の移送管(12)を一カ所にまとめた実施例を示す。図6と同様に移送管(12)の移送先が従来技術と異なる。
図8は小型化した真空タンク(5)を1個とした場合の実施例を示す。真空タンクに貯留した汚水は、真空破壊弁(8)を開き、自然流下で排水弁(7)より汚水タンク(23)へ流出する。汚水タンク(23)の汚水は汚水タンク(23)に設置したハッチ(25)より排出される。この事により、真空度の高い真空タンク(5)を小型化し、汚水を大気圧で貯留できる。
図9は小型化した真空タンク(5)を2個とした場合の実施例を示す、真空タンク(5)を2個設置する事により、真空トイレが連続で使用可能となる。
図10では洗浄水を高架水槽より供給する場合を示す。洗浄水は給水タンクより高架水槽(17)へ供給される。高架水槽は1個の定水位弁(16)と1個のメイン水槽(18)と真空トイレと同じ数のサブ水槽(19)により構成される。この系列を2系統以上に分割することもできる。サブ水槽(19)には、洗浄水がメイン水槽(18)よりサブ水槽(19)へ流入する入口穴(20)と洗浄水がサブ水槽(19)より洗浄水弁(4)へ流出する出口穴(21)がある。入口穴(20)の断面積=D1、水位差=H1、出口穴(21)のの断面積=D2、水位差=H2とすると、断面積はD1<D2、穴を通過する水深はH1<H2の関係が有り、洗浄水弁(4)が開くとサブ水槽(19)内の洗浄水は出口穴(21)より真空トイレへ供給され、サブ水槽(19)の水位は低下する。その後、サブ水槽(19)内の洗浄水はメイン水槽(18)より入口穴(21)を通過し供給される。メイン水槽(18)の水位が低下すると、定水位弁(16)が開き給水タンク(9)より洗浄水は供給される。この事により、サブ水槽(19)の容量に相当する一定量の洗浄水が真空トイレに流出することができる。高圧の洗浄水が執ような場合は、サブ水槽(19)の上部よりコンプレッサー(10)の空気圧を昇圧弁(26)より供給し、洗浄水を昇圧する。
本発明は車両(11)で移動・運搬を可能にした真空式移動トイレであるが、車両(11)を省き、地上に直接設置する事も可能である。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、真空タンク(5)の大容量が可能となり、大容量の汚水が貯留でき多人数が使用し、使用回数が大きい真空式移動トイレを可能とした。又、真空ハッチを設置する事により真空タンク(5)内の汚水をバキュウム車で何処でも排出でき、何処へでも移動できる真空式移動トイレが可能となった。又、真空タンク(5)を共通架台として使用でき、省スペース、省コスとが可能となる。さらに、真空タンク(5)を小型化し、大気圧で汚水タンク(23)が使用でき、省コストが測れる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】は真空式移動トイレの従来技術例を示す。
【図2】は本発明の真空タンク天井(13)が自由液面(15より下部の実施例を示す。
【図3】は図2の実施例に真空タンク天井(13)部分に勾配を設置した実施例を示す。
【図4】は図2の実施例に真空タンク(5)にガイドパイプ(14)の設置例を示す。
【図5】は真空タンク天井(13)が自由液面(15より上部の実施例を示す
【図6】は真空弁(2)を移送管(12)に設置し汚物(3)が移送管(12)を経て真空タンク(5)に排除される実施例を示す
【図7】は汚水が1本の移送管(12)で集合された時の実施例を示す
【図8】は小型化した真空タンク(5)を1個設置した実施例を示す
【図9】は小型化した真空タンク(5)を2個設置した実施例を示す。
【図10】は高架水槽(17)の実施例
【符号説明】
(1)は便器、(2)は真空弁、(3)は汚物、(4)は洗浄水弁、(5)は真空タンク、(6)は真空ポンプ、(7)は排水弁、(8)は真空破壊弁、(9)は給水タンク、(10)はコンプレッサー、(11)は車両、(12)は移送管、(13)は真空タンク天井、(14)はガイドパイプ、(15)は自由液面、(16)定水位弁、(17)は高架水槽。(18)はメイン水槽、(19)はサブ水槽、(20)は入口穴、(21)は出口穴、(22)は引抜汚水管、(23)は汚水タンク、(24)は真空ハッチ、(25)はハッチ、(26)は昇圧弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由液面(15)と真空タンク天井(13)を有し、自由液面(15)を真空タンク天井(13)より上部とした真空タンク(5)に於いて、真空タンク天井(13)の上部に2個以上の真空式トイレと真空ポンプを設置し、真空タンク(5)と真空トイレと真空ポンプ(6)を一体化し、真空タンク(5)内の自由液面(15)上部の空気を真空ポンプ(6)で吸引し、便器(1)内の汚水を空気と共に真空タンク(5)に排出させる事により汚水を真空タンク(5)に貯留させて、搬送・移動を可能とした真空式移動トイレ。
【請求項2】
請求項1の真空式移動トイレに於いて、真空弁(2)より汚水と共に吸引した空気を、真空タンク天井(13)部に勾配を設置し、吸引した空気を真空タンクの自由液面(15)に移動させる、真空タンク(5)を有した真空式移動トイレ。
【請求項3】
請求項1において、自由液面(15)を真空タンク天井(13)より下部とした真空式移動トイレ。
【請求項4】
請求項1と請求項3の真空式移動トイレに於いて、真空弁(2)より吸引した汚水と空気を、真空弁(2)の下部の真空タンク(5)内部に設置したガイドパイプ(14)により、汚水と空気を真空タンク(5)の自由液面(15)より上部に移動させる、真空タンク(5)を有した真空式移動トイレ。
【請求項5】
便器(1)内の汚水と空気を1個又は2個の真空タンク(5)にガイドパイプ(14)を経て貯留させ、真空タンク(5)に貯留した汚水を排水弁(7)より汚水タンク(23)に貯留貯留する汚水タンク(23)於いて、汚水タンク(23)の上部に2個以上の真空式トイレと真空ポンプ(6)を設置し、汚水タンク(23)と、真空トイレと真空ポンプ(6)を一体化した真空式移動トイレ。
【請求項6】
請求項1請求項3の真空タンク(5)に於いて、真空タンク(5)に真空ハッチ(24)を設置し汚水を真空タンク(5)より取り出せる真空式移動トイレ。
【請求項7】
請求項5の汚水タンク(23)に於いて、汚水タンク(23)にハッチ(25)を設置し汚水を汚水タンク(23)より取り出せる真空式移動トイレ。
【請求項8】
請求項1請求項3の真空式移動トイレに於いて、メイン水槽(18)、サブ水槽(19)、定水位弁(16)より構成する高架水槽(17)を有し、入口穴(20)、出口穴(21)の、穴の断面積をD1<D2、とし、その穴を通過する水位差をH1<H2としたサブ水槽(19)を真空トイレと同じ数量を有し、メイン水槽(18)より2個以上のサブ水槽(19)へ洗浄水を供給する高架水槽(17)を有する真空式移動トイレ。
【請求項9】
真空トイレの洗浄水圧力を、コンプレッサー(10)の空気圧を、昇圧弁(26)より供給し、サブ水槽(19)を昇圧する真空式移動トイレ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−100713(P2013−100713A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−241180(P2012−241180)
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【出願人】(599173583)
【出願人】(511197578)
【出願人】(511197316)
【Fターム(参考)】