説明

真空気泡マットの設置方法と真空気泡マット

【課題】 簡易で軽量な真空気泡マットを温室栽培ハウス構造物の内側に取り付けて配置し、室内外間の熱の貫流伝熱を抑制し、室内の安定した保温と省エネを確実に確保できる真空気泡マットの設置方法及び真空気泡マットを提供する。
【解決手段】温室栽培ハウス1において、構造物の屋根2および側面3の内側の構造部材に真空気泡マット4を取り付け、真空気泡マットに設置した真空バルブ5を真空ポンプ6に接続されている配管7に接続し真空ポンプで真空気泡マット内部の空気を吸引し、マット内部を半円球の膨張部と真空空間から構成し高い断熱性を確保している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空気泡マットの設置方法と真空気泡マットに関し、特に、軽量で容易に構造物に設置ができ確実に保温性が確保できる真空気泡マットの設置方法と真空気泡マットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、温室栽培ハウス、ビニールハウス等の構造物を構築する場合に、年間を通した温度管理に対して、温度の安定性及び冷暖房費の削減が要求されてきたように、温室栽培ハウス、ビニールハウスの他にも、熱帯植物園、熱帯動物園、鮮魚用ダンボール箱、建築構造物等のように、温度の安定性確保及び冷暖房費の削減等の省エネ対策が要求されてきた。
【0003】
しかるに、温度の安定性、保温性を確保する方法として、実用化されてはいるが、必ずしも省エネ効果を発揮していないのが実情である。
【0004】
一例として、温度管理は24時間を通し行われるため省人化および自動化を図る温度環境制御機器が導入されており、夏季の場合、室内の温度上昇を制御するために天井自動開閉、側面自動開閉、換気装置、電動シャッター、自動カーテン、冷房システムの設備の設置、冬季の場合、暖房システムの設置と大規模な冷暖房設備をしても、直接生産費にしめる燃料費が大きいこと、さらに燃料高騰による燃料費の上昇が大きな問題となっている。
【0005】
さらに、上記に加えて保温性を高める資材として、発泡樹脂シートやアルミ蒸着フィルムなどが使用されているが光透過性が悪いため、採光に影響の少ない側面や妻側の内張りに用いているが保温効果をより高めることが期待出来ないのが実情である。
【0006】
以上の状況から、生産者の大きな課題は生産コストを下げることであり、特に直接生産費にしめる燃料費を低下させることにある。そのための省エネ対策として、室内の熱を逃さない保温性及び断熱性を有し、かつ太陽の光を十分捕捉する採光性が可能な対策が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の実情に鑑みて問題点の解決のために提案するものであり、簡易で軽量な真空気泡マットを構造物の内側に取り付けて配置することによって、室内外間の熱の貫流伝熱を抑制し、室内の安定した保温と省エネを確実に確保でき、かつ透明な真空気泡マットの使用により採光もできる真空気泡マットの設置方法及び真空気泡マットを提供している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明である真空気泡マットの設置方法は、温度制御により動物、植物を育成する構造物における保温性および断熱性を容易に可能とする真空気泡マットにおいて、真空気泡マットを構造物の天井、側面、妻側の内側に取り付け、真空気泡マットに設置された真空バルブを真空ポンプに接続された配管に接続し、真空気泡マットの真空状態を表示する表示器を配置して、真空気泡マット内の真空状態を表示することによって視認することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明である真空気泡マットは、気泡シ−トの気体を封入した半円球の膨張部が向き合うように重ね合わせ、4端部の接着により袋状のマットを成形し、真空バルブを通しマット内部の空気を吸引すると半円球の膨張部以外の空間が真空状態となり、マット内部は半円球の膨張部と真空状態の空間から構成されることを特徴としており、熱伝達の低減を図っている。
【0010】
請求項3に記載の発明である真空気泡マットは、請求項2に記載の真空気泡マットにおいて、半円球の膨張部が、封入された気体で満たされ半円球の状態を維持し、真空時に破壊しない強度を保持していることを特徴としており、半円球の膨張部同士の接触面が最小限となるように図っている。
【0011】
請求項4に記載の発明である真空気泡マットは、請求項2に記載の真空気泡マットにおいて、マット内部の熱伝導部位は半円球の膨張部同士の点接点の接触面であり、かつ熱伝導率の小さい気体が封入された膨張部間の熱伝達は極めて小さく高い断熱性であるように図っている。
【0012】
請求項5に記載の発明である真空バルブは、請求項2に記載の真空気泡マットにおいて、マット状の1箇所に設置することを特徴としており、利便性と確実に真空状態を確保できることを図っている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明である真空気泡マットの設置方法は、温度制御により植物、動物を育成する構造物における保温性および断熱性を容易に可能とする真空気泡マットにおいて、真空気泡マットを構造物の天井、側面、妻側の内側に取り付け、真空気泡マットに設置された真空バルブを真空ポンプに接続された配管に接続し、真空気泡シ−トの真空状態を表示する表示器を配置して、真空気泡マット内の真空状態を表示させることによって容易に視認できる効果を発揮している。
【0014】
請求項2に記載の発明である真空気泡マットは、気泡シ−トの気体を封入した半円球の膨張部が向き合うように重ね合わせ、4端部の接着により袋状のマットを成形し、真空バルブを通しマット内部の空気を吸引すると半円球の膨張部同士以外の空間が真空状態となり、マット内部は半円球の膨張部と真空状態の空間から構成されることを特徴としており、熱伝達の低減を図れる効果を発揮している。
【0015】
請求項3に記載の発明である真空気泡マットは、請求項2に記載の真空気泡マットにおいて、半円球の膨張部が、封入された気体で満たされ半円球の状態を維持し、真空時に破壊しない強度を保持していることを特徴としており、半円球の膨張部同士の接触面が最小限となる効果を発揮している。
【0016】
請求項4に記載の発明である真空気泡マットは、請求項2に記載の真空気泡マットにおいて、袋内部の熱伝導部位は半円球の膨張部同士の点接点の接触面であり、かつ熱伝導率の小さい気体が封入された膨張部間の熱伝達は極めて小さく高い断熱性である効果を発揮している。
【0017】
請求項5に記載の発明である真空バルブは、請求項2に記載の真空気泡マットにおいて、マット状の1箇所に設置することを特徴としており、利便性と確実に真空状態を確保できる効果を発揮している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明による真空気泡マットの設置方法及び真空気泡マットは、簡易で軽量な真空気泡マットを構造物に取り付けて配置することにより室内外間の熱の貫流伝熱を抑制し、室内の均一した保温と省エネを確実に確保でき、かつ透明な真空気泡マットの使用により採光もできることを特徴としている。
【実施例】
【0019】
以下に、本発明による真空気泡マットの設置方法及び真空気泡マットの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は温室栽培ハウス1の断面図であり、屋根2および側面3の内側の部材に真空気泡マット4をマジックテ−プ又は接着剤等で取り付け、真空気泡マットに設置した真空バルブ5を真空ポンプ6に接続されている配管7に接続した実施の形態である。
【0021】
図2は図1における(1)−(1)矢視の正面図である。長方形の真空気泡マット4を連続に配置して継目8をテープ等で密閉し熱の漏洩を防ぎ断熱性を確保し、真空気泡マット毎に設置した真空バルブ5を真空ポンプ6に接続されている配管7に接続し真空ポンプで真空気泡マット内部の空気を吸引すると、半円球の膨張部同士以外の空間が真空状態となり、常時、真空計9で真空状態を確認し自動制御で管理している。
【0022】
図3は気泡シ−ト10の片面の正面図である。透明シート11の片側に空気を入れた半円球の膨張部12からなり、膨張部の配置は、正三角形13の頂点に膨張部の中心部が配置されている。真空の空間部の確保と断熱性を高めるため隣の膨張部間の距離14は2〜10mmの範囲が適当である。
【0023】
図4は図3の半円球の膨張部12における(2)−(2)矢視の断面図である。半円球の膨張部の直径15は10〜30mm、高さ16は5〜25mmの範囲で十分に気体が封入され半円球である。
【0024】
図5は図3における(3)−(3)矢視の正面図である。図3の気泡シート10の気体を封入した半円球の膨張部12が向き合うように重ね合わせ、端部17の接着により袋状のマットを成形し、真空バルブ5を通しマット内部の空気を吸引すると半円球の膨張部同士が複数箇所で点接点18に接触し、それ以外の空間が真空状態となり、マット内部は半円球の膨張部12と真空空間19から構成され、常時、真空計9で真空状態を確認し真空状態を自動制御で管理している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】温室栽培ハウスの断面を示した断面図である。
【図2】真空気泡マットの設置を示した正面図である。
【図3】気泡シートの片面を示した正面図である。
【図4】半円球の膨張部の断面を示した断面図である。
【図5】真空気泡マットの断面を示した断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1温室栽培ハウス
2屋根
3側面
4真空気泡マット
5真空バルブ
6真空ポンプ
7配管
8継目
9真空計
10気泡シート
11透明シート
12半円球の膨張部
13正三角形
14半円球の膨張部間の距離
15半円球の膨張部の直径
16半円球の膨張部の高さ
17端部
18点接点
19真空空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度制御により植物、動物を育成する構造物における保温性および断熱性を容易に可能とする真空気泡マットであって、真空気泡マットを構造物の天井、側面、妻側の内側に取り付け、真空気泡マットに設置された真空バルブを真空ポンプに接続された配管に接続し、真空気泡マットの真空状態を表示する表示器を配置して、真空気泡マット内の真空状態を表示することを特徴とする真空気泡マットの設置方法。
【請求項2】
請求項1に記載の設置方法に用いる真空気泡マットであって、気泡シ−トの気体を封入した半円球の膨張部が向き合うように重ね合わせ、4端部の接着により袋状のマットを成形し、真空バルブを通しマット内部の空気を吸引すると半円球の膨張部同士以外の空間が真空状態となり、マット内部は半円球の膨張部と真空状態の空間から構成される真空気泡マット。
【請求項3】
半円球の膨張部が、封入された気体で満たされ半円球の状態を維持し、真空時に破壊しない強度を保持していることを特徴とする請求項2に記載の真空気泡マット。
【請求項4】
マット内部の熱伝導部位は半円球の膨張部同士の点接点における接触面であり、かつ熱伝導率の小さい気体が封入された膨張部間の熱伝導は極めて小さく高い断熱性を有することを特徴とする請求項2に記載の真空気泡マット。
【請求項5】
真空バルブは、マット状の1箇所に設置することを特徴とする請求項2に記載の真空気泡マット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−136463(P2008−136463A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348477(P2006−348477)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(502348970)
【Fターム(参考)】