真空紫外光処理装置
【課題】被処理材に照射される真空紫外光の光強度分布を均一に調整して、被処理材を高均一に処理する。
【解決手段】真空紫外光を照射する光源と、被処理材を載置するステージと、前記ステージと光源の間に配置され、前記被処理材表面に照射される真空紫外光の面内光強度分布を補正する補正部材を備え、前記補正部材により面内における透過率を調整して前記被処理部材に均一な光強度を有する真空紫外光を照射する。
【解決手段】真空紫外光を照射する光源と、被処理材を載置するステージと、前記ステージと光源の間に配置され、前記被処理材表面に照射される真空紫外光の面内光強度分布を補正する補正部材を備え、前記補正部材により面内における透過率を調整して前記被処理部材に均一な光強度を有する真空紫外光を照射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空紫外光(VUV光:紫外光の中で波長が200nm以下の領域の光)を均一に照射することのできる真空紫外光処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
波長200nm以下の、エキシマランプ等を用いた従来の真空紫外光処理装置は、例えば、特許文献1に示すように、管状のエキシマランプを複数本並置した光源を用い、被処理材であるウエハに真空紫外光を照射してウエハを処理することが一般的である。
【0003】
照射する真空紫外光は、被処理材であるウエハの面に均一な強度で照射し、ウエハを均一に処理することが望まれる。
【0004】
特許文献2には、照射する真空紫外光の照射光強度の均一性について考慮したランプ装置が開示されている。この例では、円筒状誘電体バリア放電ランプを複数本並置し、隣接したランプ間に概略V字型の光反射板を設けることが開示されている。
【0005】
特許文献3には、真空紫外光の照射光強度の均一性を得るため、ランプに対し、ウエハを載置したステ−ジを回転運動あるいは並進運動させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-158796号公報
【特許文献2】特開平8-153493号公報
【特許文献3】特開2005-197348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、管状のエキシマランプを複数本並置した光源を用いて、被処理材であるウエハに真空紫外光を照射し、ウエハを処理することが示されている。しかし、真空紫外光の照射光強度のウエハ面内均一性およびそれに伴うウエハ処理の均一性については、言及されていない。
【0008】
特許文献2では、円筒状誘電体バリア放電ランプを複数本並置し、隣接したランプ間に概略V字型の光反射板を設けている。この例の場合、真空紫外光の照射光強度のウエハ面内における均一性は十分でない。すなわち、円筒状ランプの軸に直交する方向(複数本のランプを並べる方向)の均一性については配慮されている。しかし、円筒状ランプとウエハとの間隔が大きい場合における、円筒状ランプの軸方向の照射光強度のウエハ面内均一性については、配慮されていない。
【0009】
特許文献3には、前述のように、真空紫外光の照射光強度の均一性を得るため、ランプに対し、ウエハステ−ジを回転運動あるいは並進運動させることが開示されている。
【0010】
ウエハステ−ジを回転運動させる場合、周方向の均一性は改善されるものの、径方向の均一性を十分に改善することが困難である。特に中心付近では、光強度の特異点が生じ易く、ウエハ全面で高均一に真空紫外光を照射することが困難である。
【0011】
ウエハステ−ジを並進運動させる場合、上述したように、円筒状ランプとウエハ間の間隔が大きい場合については、円筒状ランプの軸方向の照射光強度のウエハ面内均一性が低下する。このため、一般的な並進運動の方向である、ランプの軸方向に対し垂直方向に並進運動させた場合、ランプの長さ方向の均一性が低下し、ウエハ全面で高均一に真空紫外光を照射することが困難である。
【0012】
被処理材が微細加工を要求されるウエハである場合、歩留まりの観点から、微小異物の低減が必須となる。このような場合、ウエハステ−ジを移動させることは、駆動部から異物が発生するリスクが高い。このような場合には、ウエハステ−ジを固定した状態で真空紫外光の照射光強度のウエハ面内均一性を向上することが望ましい。
【0013】
このように、波長200nm以下のエキシマランプ等を用いた真空紫外光処理装置においては、真空紫外光の照射光強度のウエハ面内均一性を得ること、およびそれに伴うウエハ処理の均一性を十分に得ることは困難である。
【0014】
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたもので、被処理材全面に真空紫外光を高均一に照射し、被処理材を高均一に処理することができる真空紫外光処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
【0016】
真空紫外光を照射する光源と、被処理材を載置するステージと、前記ステージと光源の間に配置され、前記被処理材表面に照射される真空紫外光の面内光強度分布を補正する補正部材を備え、前記補正部材により面内における透過率を調整して前記被処理部材に均一な光強度を有する真空紫外光を照射する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上の構成を備えるため、被処理材全面に真空紫外光を高均一に照射し、被処理材を高均一に処理することができる真空紫外光処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態に係る真空紫外光処理装置の縦断面図である。
【図2】第1の実施形態における光強度分布補正窓の軸方向断面を示す図である。
【図3】第2の実施形態を説明する図である。
【図4】第2の実施形態を説明する図である。
【図5】第3の実施形態を説明する図である。
【図6】第3の実施形態を説明する図である。
【図7】第4の実施形態を説明する図である。
【図8】光強度分布補正貫通板の貫通パターンの例を示す図である。
【図9】第5の実施形態を説明する図である。
【図10】光強度分布補正窓のXZ断面図を示す図である。
【図11】第6の実施形態を説明する図である。
【図12】第6の実施形態を説明する図である。
【図13】第7の実施形態を説明する図である。
【図14】本発明が適用される真空紫外光処理装置の第1の例を示す図である。
【図15】図14を上部より見た図である。
【図16】真空紫外光の光強度分布とランプ−ウエハ間距離との関係を示す図である。
【図17】真空紫外光の光強度分布とランプ−ウエハ間距離との関係を示す図である。
【図18】本発明が適用される真空紫外光処理装置の第2の例を示す図である。
【図19】真空紫外光の光強度分布とランプ−ウエハ間距離との関係を示す図である。
【図20】本発明が適用される真空紫外光処理装置の第3の例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態を添付図面を参照しながら説明する。図14ないし図20は、本発明が適用される真空紫外光処理装置を示す図であり、図14は本発明が適用される真空紫外光処理装置の第1の例を示す図、図15は図14を上部より見た図である。
【0020】
図に示されるように、波長200nm以下の誘電体バリア放電を用いた円筒状エキシマランプ1がランプハウス2内に設置されている。円筒状エキシマランプ1としては、波長172nmのエキシマ光を放出するXeエキシマランプを使用する場合が多い。処理室4内には、被処理材であるウエハ5が、ウエハステ−ジ6上に載置されている。
【0021】
ここでウエハの直径は300mmである。またランプハウス2と処理室4の間には、円筒状エキシマランプ1から放射される真空紫外光が、ウエハ5に照射されるように、真空紫外光を透過することができる窓3が設置されている。窓材としては、波長172nmのエキシマ光が透過可能な合成石英のフラットな板を使用した。ランプハウス2と処理室4は、窓3で隔壁されている。ランプハウス2には、ガス導入口(図示省略)とガス排出口(図示省略)が設けられており、ランプハウス内にN2ガスを導入し、ランプハウス2内をN2ガスに置換することにより、空気中のO2ガスによる真空紫外光の減衰を抑制している。
【0022】
また、N2ガス導入により、円筒状エキシマランプ1及び窓3を冷却し、窓材である合成石英の温度上昇により、真空紫外光の透過限界がシフトして真空紫外光の光強度が減少するのを抑制している。
【0023】
処理室4にも、ガス導入口(図示省略)とガス排出口(図示省略)が設けられている。処理室4にもN2ガスを導入し、処理室4内をN2ガスに置換することにより、真空紫外光の空気中のO2ガスによる減衰を抑制している。
【0024】
また、別の例として、処理室4に設けた真空排気口(図示省略)と真空排気システム(図示省略)により、処理室4内を真空とし、ウエハ5に真空紫外光を照射することができる。更に別の例として、処理室4に設けた真空排気口(図示省略)およびガス導入口(図示省略)と真空排気システム(図示省略)およびガス供給システム(図示省略)により、処理室4内を真空排気後、ガスを導入し、減圧下で、ウエハ5に真空紫外光を照射することができる。
【0025】
上記状況下で、ウエハステ−ジ6を円筒状エキシマランプ1の軸方向(Y軸)に対し、垂直方向(X軸)に駆動し、ウエハ5を円筒状エキシマランプ1に対しスキャン(掃引)することにより、ウエハ5全面に真空紫外光を照射し、ウエハ5を処理することができる。
【0026】
図16にランプ幅(径)40mmでの真空紫外光の光強度分布(X軸方向)とランプ−ウエハ5間距離(Z軸方向)との関係の計算結果を示す。図17に、ランプ長320mmでの真空紫外光の光強度分布(Y軸方向)とランプ−ウエハ5間距離(Z軸方向)との関係の計算結果を示す。
【0027】
簡単のために、(1)ランプ直下では、放射光強度分布は均一、(2)窓3なし、(3)気相中で、真空紫外光の減衰なし、として計算した。図16、図17に示すように、ランプ−ウエハ5間距離が増加するに伴って、真空紫外光の光強度が減少し、ランプの直下部と言えども、均一性が劣化する。このことは、ランプからの光の放射が立体角に関係することから、理解することができる。
【0028】
図14、図15に示すように、通常行われる円筒状エキシマランプ1の軸方向に垂直方向(X軸方向)にウエハ5をスキャンする場合でも、図17より、ウエハ5全面に均一に真空紫外光を照射し、均一にウエハを処理することは困難であることが分かる。
【0029】
図18は、本発明が適用される真空紫外光処理装置を第2の例示す縦断面図である。この例では、図14に示す円筒状エキシマランプ1をランプ軸に垂直方向(X軸方向)に、平行に、複数配置したものである。また窓3は、上記複数の円筒状エキシマランプ1からの真空紫外光をウエハ5全面に照射できるように、窓3の開口幅をウエハ5の直径よりも大きくした。これにより、ウエハステ−ジ6を固定とすることができる。図19に、図16と同様に、ランプ幅40mm、ランプ間隔30mmでの真空紫外光の光強度分布(X軸方向)とランプ−ウエハ5間距離(Z軸方向)との関係の計算結果を示す。円筒状エキシマランプ1を複数配置した本例の場合でも、図19より、ウエハ5全面に均一に真空紫外光を照射し、均一にウエハを処理することが困難であることが分かる。
【0030】
図20は、本発明が適用される真空紫外光処理装置の第3の例を示す縦断面図である、本例では、図18に示す複数の円筒状エキシマランプ1の代わりに、円盤状エキシマランプ7を配置したものである。この場合も、窓3は、円盤状エキシマランプ7からの真空紫外光をウエハ5全面に照射できるように、窓3の直径をウエハ5の直径よりも大きくし、ウエハステ−ジ6を固定とした。
【0031】
円盤状エキシマランプ7の直径を320mmとした場合、真空紫外光の光強度分布(径方向)とランプ−ウエハ5間距離(Z軸方向)との関係の計算結果(図示省略)は、図17と同様の傾向を示すが、軸対称分布であることから、図17よりも更に外周部の光強度が減少し、均一性は劣化する。従って円盤状エキシマランプ7を配置した本例の場合でも、ウエハ5全面に均一に真空紫外光を照射し、均一にウエハ5を処理することが困難であることが分かる。
【0032】
以上のように、波長200nm以下のエキシマランプ等を用いた真空紫外光処理装置では、真空紫外光の照射光強度のウエハ面内均一性は十分ではない。このため、ウエハ5全面に均一に真空紫外光を照射し、均一にウエハ5を処理することが困難である。
【0033】
図1は、第1の実施形態に係る真空紫外光処理装置の縦断面図である。図1に示すように、波長200nm以下の誘電体バリア放電を用いた円筒状エキシマランプ1がランプハウス2内に設置されている。本実施形態の場合、円筒状エキシマランプ1は、波長172nmのエキシマ光を放出するXeエキシマランプを使用したが、波長126nmのArエキシマランプ、波長146nmのKrエキシマランプ、波長193nmのArFエキシマランプ等、他の真空紫外光光源を使用しても良い。
【0034】
処理室4内には、被処理材であるウエハ5が、ウエハステ−ジ6上に載置される。本実施形態では、ウエハの直径は300mmである。またランプハウス2と処理室4の間には、円筒状エキシマランプ1から放射される真空紫外光が、ウエハ5に均一に照射されるように、放射される真空紫外光を透過する光強度分布補正窓8が設置されている。
【0035】
光強度分布補正窓8の窓材としては、波長172nmのエキシマ光が透過可能な合成石英の平板を使用したが、MgF2、CaF2、LIF、サファイア等の他の真空紫外光を透過する材料を用いても良い。但し、材料により真空紫外光の透過スペクトルが異なるので、使用する真空紫外光光源の光が透過する材料を選択する必要がある。
【0036】
また、ランプハウス2と処理室4は、光強度分布補正窓8で隔壁されている。ランプハウス2には、ガス導入口(図示省略)とガス排出口(図示省略)が設けられ、ランプハウス2にN2ガスを導入し、ランプハウス2内をN2に置換することにより、真空紫外光の空気中のO2による減衰を抑制する。このとき、導入されたN2ガスにより、ランプ及び光強度分布補正窓8を冷却する。これにより、光強度分布補正窓8を構成する合成石英の温度上昇により真空紫外光の透過限界がシフトすることに伴う真空紫外光の光強度減少を抑制することができる。ランプハウスに導入するガスは、真空紫外光の減衰が小さければ、He、Ne、Kr,Ar等、他の希ガスを用いても良い。Heの場合は、熱伝達効率が高いため、より効率的に光強度分布補正窓8を冷却できる。
【0037】
なお、処理室4にも、ランプハウス2と同様に、ガス導入口(図示省略)とガス排出口(図示省略)が設けられる。このため、(1)ランプハウス2にN2ガスを導入し、ランプハウス2内をN2に置換することにより、真空紫外光の空気中のO2による減衰を抑制することができる。なお、前記ガスは、He等、他の希ガスを用いても良い。(2)更にガス導入口(図示省略)からO2ガス等の光励起反応ガスあるいはウエハ5との光アシスト表面反応ガスを導入することができる。(3)また別の例では、処理室4に設けた真空排気口(図示省略)と真空排気システム(図示省略)により、処理室4内を真空とし、ウエハ5に真空紫外光を照射することができる。(4)更に別の例では、処理室4に設けた真空排気口(図示省略)およびガス導入口(図示省略)と真空排気システム(図示省略)およびガス供給システム(図示省略)により、処理室4内を真空排気後、O2等の光励起反応ガスあるいはウエハ5との光アシスト表面反応ガスを導入し、減圧下で、ウエハ5に真空紫外光を照射することができる。なお、ランプハウス2および処理室4から排出されたガスは、必要に応じて、オゾン処理等の排ガス処理装置(図示省略)を通して、処理した後、排出する。
【0038】
図2は、第1の実施形態における光強度分布補正窓8の円筒状エキシマランプ1の軸方向断面(YZ断面)を示す図である。
【0039】
円筒状エキシマランプ1の軸方向(Y軸方向)の光強度分布は、光強度分布補正窓8がない場合、円筒状エキシマランプ1とウエハ5との間隔に応じて、図17に示すような凸型の光強度分布となる。なお、ランプ長さは320mmとした。本実施形態では、図17に示す凸型の光強度分布を補正するために、図2に示すように凸型の断面形状の光強度分布補正窓を用いる。
【0040】
光強度分布補正窓8は、円筒状エキシマランプ1からの真空紫外光を良好に透過する材料を選択するものの、一定の光吸収係数αを有する。この場合、厚さtの板を透過すると、光強度はexp(−t/α)に比例して減衰する。このため、円筒状エキシマランプ1とウエハ5との間隔を所定値に設定した場合における光強度分布を図17あるいは実測で求める。求めた発光強度分布を有する光は、光強度分布補正窓8を構成する材料に応じた減衰率exp(−t/α)にしたがって減衰する。このとき、光強度分布補正窓8透過後のウエハ5上での光強度分布が均一となるように、光強度分布補正窓のY軸方向の厚さ分布を変化させておく。なお、この場合、光強度分布補正窓8の両面の界面での多重反射による透過率の変化や凸型断面形状での透過光の屈折等も、考慮しておくと良い。
【0041】
なお、ランプハウス2と処理室4は、光強度分布補正窓8で隔壁されており、ランプハウス2から発生する異物の処理室4への流入は抑止される。これによりウエハ5に付着する異物を低減し、歩留まりを向上させることができる。
【0042】
光強度分布補正窓8の板厚は、ランプハウス2と処理室4との差圧に応じて、機械強度を保ちかつ光減衰が少なくなるように設計される。また光強度分布補正窓8と処理室4あるいはランプハウス2とのシール部についても、上記差圧に応じて、シール材料、Oリング等(図示省略)が選択される。また、図14に示すような平板状の窓3の上に、光強度分布補正窓8を別途設置しても、光強度分布の補正の効果を得ることができる。
【0043】
なお、真空紫外光の照射に際しては、ウエハステ−ジ6を円筒状エキシマランプの長さ方向(Y軸)に対し、垂直方向(X軸)に駆動し、ウエハ5を円筒状エキシマランプに対しX軸方向にスキャン(掃引)する。これにより、ウエハ5全面に真空紫外光を照射し、ウエハ5を処理することができる。このように、光強度分布補正窓8を備えることにより、Y軸方向に均一に真空紫外光を照射でき、またX軸方向にウエハ5をスキャン(掃引)することにより、X軸方向に均一に真空紫外光を照射できる。このため、ウエハ5全面に真空紫外光を均一に照射することがができ、その結果、ウエハ5全面を高均一に処理することができる。
【0044】
図3、図4は第2の実施形態を説明する図である。本実施形態は、図1に示す第一の実施形態における光強度分布補正窓8の代えて、真空紫外光を透過する窓3および光強度分布補正貫通板9を設けたものである。
【0045】
図4に、光強度補正貫通板9の貫通パターンの例を示す。光強度補正貫通板9は、金属板、セラミックス板、ガラス板、Si板等のVUV光を透過しない材料から構成される。本実施形態ではステンレス薄板を使用した。貫通板9は、貫通メッシュあるいは多数の貫通穴を形成した板構造で、所望の面内光強度分布が得られるように、貫通部の面内分布を変化させて、透過光の面内光強度分布を補正する。
【0046】
本実施形態では、図4に示すように、格子状パターンとし、図17に示される凸型の光強度分布を補正するように、中央部から外周部に向かって、格子間隔Aを増加させる。なお、格子幅Bは一定とした。貫通部はメッシュパターン、ホール状のドットパターン等、任意のパターンでも良い。なお、格子、ホール等のパターンの面密度あるいはサイズは、図17に示す凸型の光強度分布を補正するように、光強度分布補正貫通板9の開口率を調整する。光強度分布補正貫通板9は、基本的にVUV光を透過しないあるいは透過しにくい材料より構成するので、可能な限り開口率を増加させ、透過光強度を増加させるように設計する。また光強度分布補正貫通板9とウエハ5の間隔Cが近いと、光強度分布補正貫通板9のパタ−ンが転写されることになる。このため、上記間隔Cは、光を透過しない箇所(この場合は格子幅B)よりも大きくなるようにすることが望ましい。
【0047】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様のウエハ5全面を均一に処理することができる。なお、第1の実施形態と異なり、光強度分布補正窓8の界面での多重反射による真空紫外光の透過率の補正や真空紫外光の屈折等を考慮する必要がなく、光強度分布補正貫通板9の設計は容易である。
【0048】
図5,6は第3の実施形態を説明する図である。
【0049】
本実施形態は、図1に示す第1の実施形態における1本の円筒状エキシマランプ1に代えて、複数(本実施形態では4本)の円筒状エキシマランプ1を設け、さらに真空紫外光を照射する開口部の直径Dをウエハ直径よりも大きくし、ウエハステ−ジを固定したものである。
【0050】
図6に、光強度分布補正窓8のXZ断面図を示す。なお、YZ断面は、図2と同形状であり、説明を省略する。
【0051】
本実施形態のように複数の円筒状エキシマランプ1を並べて配置した場合(図18の例と同様にランプ幅40mm、ランプ間隔60mm)で、光強度分布補正窓8がない場合、X軸方向の光強度分布は、円筒状エキシマランプ1とウエハ5との間隔に応じて、図19に示すような光強度分布となる。
【0052】
このため、第1の実施形態と同様に、光強度分布補正窓8の板厚分布を変化させることにより、ウエハ5に照射する真空紫外光の強度分布を均一に補正することができる。
【0053】
従って、本発明の第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様のウエハ5全面を均一に処理することができる。なお、第1の実施形態とは異なり、ウエハステ−ジをスキャン(掃引)する必要がないので、ステ−ジ駆動による異物発生リスクが低減し、歩留まり向上に優位である。また、ウエハ5をスキャンすることなく一括処理できるため、ウエハ1枚当たりの処理速度が向上し、スル−プットが向上する。
【0054】
図7,8は、本発明の第4の実施形態を説明す図である。本実施形態は、図3に示す第2の実施形態における1本の円筒状エキシマランプ1に代えて、複数(本実施形態では4本)の円筒状エキシマランプ1を設け、また、真空紫外光を照射する開口部の直径Dをウエハ直径よりも大きくし、さらにウエハステ−ジを固定したものである。
【0055】
図8に、光強度分布補正貫通板9の貫通パターンの例を示す。光強度分布補正貫通板9の材料、パターン、光強度分布補正貫通板9とウエハ5との間隔等の考え方は図3に示す第2の実施形態と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0056】
本実施形態では、図8に示すように、格子状パターンとし、Y軸方向は、図17の凸型の光強度分布を補正するように、中央部から外周部に向かって、格子間隔Aを増加させ、X軸方向は、図19の周期状光強度分布を補正するように、周期状に格子間隔Aを変化させる。なお、格子幅Bは一定とした。
【0057】
本実施形態によれば、第2の実施形態および第3の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、光強度分布補正貫通板9の設計が容易で、異物発生リスクを低減し、またウエハ5の処理スループットを向上させ、ウエハ5全面を均一に処理することができる。
【0058】
図9、図10は、本発明の第5の実施形態を説明する図である。本実施形態は、図5に示す第3の実施形態における、複数の円筒状エキシマランプ1に代えて、円盤状エキシマランプ7を設け、また真空紫外光を照射する開口部の直径Dをウエハ直径よりも大きくし、さらにウエハステ−ジを固定したものである。
【0059】
図10に、光強度分布補正窓8のXZ断面図を示す。X軸方向(径方向)の光強度分布は、光強度分布補正窓8がない場合、円盤状エキシマランプ7とウエハ5との間隔に応じて、図17に示すような光強度分布となる。但し、軸対称分布であることから、図17より更に外周部の光強度が減少した分布となる。なお、円盤状エキシマランプの直径は320mmとした。
【0060】
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、光強度分布補正窓8の板厚分布を変化させることにより、ウエハ5に照射する真空紫外光の強度分布を均一に補正することができる。また、本実施形態の場合、光強度分布補正窓は図10に示すように、凸型の板厚分布となる。また、第1の実施形態で説明したように、光強度分布補正窓8は、その界面での多重反射による真空紫外光の透過率の変化や真空紫外光の屈折等を考慮して設計するのが望ましい。
【0061】
本実施形態によれば、第3の実施形態と同様にウエハ5全面を均一に処理することができる等の作用効果を得ることができる。また、光強度分布補正窓8は、第3の実施形態(図6)に示されるような、波型の複雑な曲面ではなく、図10で示すように、シンプルな軸対称曲面で構成できる。このため、加工が容易で、従って低コストで製作できる。
【0062】
図11、図12は、本発明の第6の実施形態を説明する図である。本実施形態は、図7に示す第4の実施形態における複数の円筒状エキシマランプ1に代えて、円盤状エキシマランプ7を設け、また真空紫外光を照射する開口部の直径Dをウエハ直径よりも大きくし、さらにウエハステ−ジを固定したものである。
【0063】
図12に、光強度分布補正貫通板9の貫通パターンの例を示す。光強度分布補正貫通板9の材料、パターン、光強度分布補正貫通板9とウエハ5との間隔等の考え方は第2の実施形態(図4)と同様であり、詳細な説明は省略する。本実施形態では、図12に示すように、放射及び円周状格子パターンとし、径方向は、図10と同様の凸型の光強度分布(但し、軸対称分布であることから、図10より更に外周部の光強度が減少した分布)を補正するように、中央部から外周部に向かって、円周状格子の格子間隔を増加させた。格子幅を一定とした場合、中央部での開口率が必要以上に低下するときは、放射状の格子数を減少させ、調整する。また格子幅を変化させ、所望の開口率に調整しても良い。このように、光強度分布補正貫通板9の開口率を面内で調整することにより、ウエハ5での真空紫外光の光強度分布が所望の分布(この場合は均一分布)となるように、調整することができる。
【0064】
このように、第6の実施形態によっても、第4の実施形態および第5の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0065】
図13は、本発明の第7の実施形態を説明する図である。本実施形態は、図11に示す第6の実施形態における光強度分布補正貫通板9の外周部に冷却機構10を設けたものである。
【0066】
冷却機構10としては、ガス吹き出しあるいはファン等による空冷機構、冷却水等による水冷機構、ペルチェ素子等による電子冷却機構等が適用できる。真空紫外光処理装置においては、光強度分布の高均一化とともに光強度の安定化が望まれる。
【0067】
光強度の変動要因の1つは、エキシマランプ、窓等の真空紫外光透過材料の温度変化に伴い、真空紫外光透過スペクトルが変化することにある。このため、光強度分布補正貫通板9を、金属、セラミックス等の熱伝導効率が良い材料で構成し、これを窓3上あるいはその近傍に設置し、更に外周部に冷却機構10を設ける。これにより、窓3は、接触熱伝達で直接的に、またエキシマランプは対流などで間接的に冷却されることになり、真空紫外光の光強度の減少等を抑制することができる。
【0068】
以上の各実施形態においては、円筒状エキシマランプ1、円盤状エキシマランプ7として、波長172nmのエキシマ光を放出するXeエキシマランプを使用したが、波長126nmのArエキシマランプ、波長146nmのKrエキシマランプ、波長193nmのArFエキシマランプ等、他の真空紫外光光源を使用しても良い。また以上の各実施形態では、真空紫外光を放射する光源と被処理材との間に、光強度分布補正窓8、光強度分布補正貫通板9等の、処理材に照射されるVUV光の面内光強度分布を補正する手段を設けたが、VUV光を反射する反射ミラー等と併用しても良い。
【0069】
また、以上の各実施形態における真空紫外光処理装置は、ウエハ上の有機汚染除去、Low−k膜のキュア、レジストパターンのLWR(Line Width Roughness)低減、レジストパターンのCD変動抑制、レジストトリム(CD制御)等に適用することができる。
【0070】
特にレジストパターン処理では、レジスト(ドライArFレジスト、液浸ArFレジスト、EUVレジスト等)を、露光機(ArF露光機、EUV露光機等)で露光後、現像し、レジストパタ−ニングする。その後、本発明の真空紫外光処理装置を用い、処理室内を真空、あるいはN2等の真空紫外光を吸収せず且つ不活性なガス雰囲気にした後、真空紫外光を照射する。これにより、レジストの初期LWRを低減することができる。また、このLWRが低減された後のレジストをマスクとして、レジストの下地膜をプラズマ等でエッチングすることにより、LWRの小さい微細加工を実現することができる。
【0071】
レジストパターンのCD変動抑制についても、同様に、レジスト露光、現像後に真空紫外光を照射することにより、レジストの電子線によるシュリンク(CD減少)を抑制することができ、CD−SEM等で安定に測定することができる。このようにマスクであるレジストパターンの寸法を正確に計測することができるので、下地膜をプラズマ等でエッチングすることにより、精度高く目標CD寸法に微細加工できる。
【0072】
レジストトリムでは、処理室を減圧後、O2等の反応性ガス雰囲気、あるいは処理室をN2等の真空紫外光を吸収せず、かつ不活性なガス雰囲気とした後、O2等の反応性ガスを導入することにより、レジストをトリミングし、所望のCDに調節することができる。 また、リソグラフィ後のレジストパターンの初期CD面内分布あるいは初期LWR分布に応じて、光強度分布補正窓8あるいは光強度分布補正貫通板9等により、真空紫外光の面内分布を所望の分布(凹分布、凸分布等)に補正することにより、レジストパターンのCD面内分布あるいはLWR分布を高均一分布等、所望の分布に補正することができる。その他、真空紫外光をウエハ等の被処理材に照射し、処理する用途であれば、本発明を適用することができる。
【0073】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、真空紫外光を発する光源と被処理材との間に、上記被処理材に照射される真空紫外光の面内光強度分布を補正する手段を設ける。また、前記真空紫外光の面内光強度分布の補正手段は、合成石英、MgF2、CaF2、LiF等の真空紫外光透過材料から構成され、所望の面内光強度分布となるように、上記真空紫外光透過材料の厚さを面内で変化させる。これにより、真空紫外光の面内光強度分布を補正することができる。また、前記真空紫外光の面内光強度分布の補正手段は、金属板、セラミックス板、ガラス板、Si板等の真空紫外光を透過しない材料から構成され、貫通メッシュ構造あるいは多数の貫通穴構造で、所望の面内光強度分布となるように、貫通部の面内分布(開口率)を変化させる。これにより、真空紫外光の面内光強度分布を補正することができる。
【0074】
このように、光強度分布補正窓8あるいは光強度分布補正貫通板9を、エキシマランプ等の真空紫外光光源とウエハ等の被処理材の間に設置することにより、被処理材に照射される真空紫外光の光強度分布を均一に調整することができるので、ウエハ等の被処理材全面に真空紫外光を高均一に照射し、その結果、高均一にウエハ5を処理することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 円筒状エキシマランプ
2 ランプハウス
3 窓
4 処理室
5 ウエハ
6 ウエハステ−ジ
7 円盤状エキシマランプ
8 光強度分布補正窓
9 光強度分布補正貫通板
10 冷却機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空紫外光(VUV光:紫外光の中で波長が200nm以下の領域の光)を均一に照射することのできる真空紫外光処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
波長200nm以下の、エキシマランプ等を用いた従来の真空紫外光処理装置は、例えば、特許文献1に示すように、管状のエキシマランプを複数本並置した光源を用い、被処理材であるウエハに真空紫外光を照射してウエハを処理することが一般的である。
【0003】
照射する真空紫外光は、被処理材であるウエハの面に均一な強度で照射し、ウエハを均一に処理することが望まれる。
【0004】
特許文献2には、照射する真空紫外光の照射光強度の均一性について考慮したランプ装置が開示されている。この例では、円筒状誘電体バリア放電ランプを複数本並置し、隣接したランプ間に概略V字型の光反射板を設けることが開示されている。
【0005】
特許文献3には、真空紫外光の照射光強度の均一性を得るため、ランプに対し、ウエハを載置したステ−ジを回転運動あるいは並進運動させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-158796号公報
【特許文献2】特開平8-153493号公報
【特許文献3】特開2005-197348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、管状のエキシマランプを複数本並置した光源を用いて、被処理材であるウエハに真空紫外光を照射し、ウエハを処理することが示されている。しかし、真空紫外光の照射光強度のウエハ面内均一性およびそれに伴うウエハ処理の均一性については、言及されていない。
【0008】
特許文献2では、円筒状誘電体バリア放電ランプを複数本並置し、隣接したランプ間に概略V字型の光反射板を設けている。この例の場合、真空紫外光の照射光強度のウエハ面内における均一性は十分でない。すなわち、円筒状ランプの軸に直交する方向(複数本のランプを並べる方向)の均一性については配慮されている。しかし、円筒状ランプとウエハとの間隔が大きい場合における、円筒状ランプの軸方向の照射光強度のウエハ面内均一性については、配慮されていない。
【0009】
特許文献3には、前述のように、真空紫外光の照射光強度の均一性を得るため、ランプに対し、ウエハステ−ジを回転運動あるいは並進運動させることが開示されている。
【0010】
ウエハステ−ジを回転運動させる場合、周方向の均一性は改善されるものの、径方向の均一性を十分に改善することが困難である。特に中心付近では、光強度の特異点が生じ易く、ウエハ全面で高均一に真空紫外光を照射することが困難である。
【0011】
ウエハステ−ジを並進運動させる場合、上述したように、円筒状ランプとウエハ間の間隔が大きい場合については、円筒状ランプの軸方向の照射光強度のウエハ面内均一性が低下する。このため、一般的な並進運動の方向である、ランプの軸方向に対し垂直方向に並進運動させた場合、ランプの長さ方向の均一性が低下し、ウエハ全面で高均一に真空紫外光を照射することが困難である。
【0012】
被処理材が微細加工を要求されるウエハである場合、歩留まりの観点から、微小異物の低減が必須となる。このような場合、ウエハステ−ジを移動させることは、駆動部から異物が発生するリスクが高い。このような場合には、ウエハステ−ジを固定した状態で真空紫外光の照射光強度のウエハ面内均一性を向上することが望ましい。
【0013】
このように、波長200nm以下のエキシマランプ等を用いた真空紫外光処理装置においては、真空紫外光の照射光強度のウエハ面内均一性を得ること、およびそれに伴うウエハ処理の均一性を十分に得ることは困難である。
【0014】
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたもので、被処理材全面に真空紫外光を高均一に照射し、被処理材を高均一に処理することができる真空紫外光処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
【0016】
真空紫外光を照射する光源と、被処理材を載置するステージと、前記ステージと光源の間に配置され、前記被処理材表面に照射される真空紫外光の面内光強度分布を補正する補正部材を備え、前記補正部材により面内における透過率を調整して前記被処理部材に均一な光強度を有する真空紫外光を照射する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上の構成を備えるため、被処理材全面に真空紫外光を高均一に照射し、被処理材を高均一に処理することができる真空紫外光処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態に係る真空紫外光処理装置の縦断面図である。
【図2】第1の実施形態における光強度分布補正窓の軸方向断面を示す図である。
【図3】第2の実施形態を説明する図である。
【図4】第2の実施形態を説明する図である。
【図5】第3の実施形態を説明する図である。
【図6】第3の実施形態を説明する図である。
【図7】第4の実施形態を説明する図である。
【図8】光強度分布補正貫通板の貫通パターンの例を示す図である。
【図9】第5の実施形態を説明する図である。
【図10】光強度分布補正窓のXZ断面図を示す図である。
【図11】第6の実施形態を説明する図である。
【図12】第6の実施形態を説明する図である。
【図13】第7の実施形態を説明する図である。
【図14】本発明が適用される真空紫外光処理装置の第1の例を示す図である。
【図15】図14を上部より見た図である。
【図16】真空紫外光の光強度分布とランプ−ウエハ間距離との関係を示す図である。
【図17】真空紫外光の光強度分布とランプ−ウエハ間距離との関係を示す図である。
【図18】本発明が適用される真空紫外光処理装置の第2の例を示す図である。
【図19】真空紫外光の光強度分布とランプ−ウエハ間距離との関係を示す図である。
【図20】本発明が適用される真空紫外光処理装置の第3の例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態を添付図面を参照しながら説明する。図14ないし図20は、本発明が適用される真空紫外光処理装置を示す図であり、図14は本発明が適用される真空紫外光処理装置の第1の例を示す図、図15は図14を上部より見た図である。
【0020】
図に示されるように、波長200nm以下の誘電体バリア放電を用いた円筒状エキシマランプ1がランプハウス2内に設置されている。円筒状エキシマランプ1としては、波長172nmのエキシマ光を放出するXeエキシマランプを使用する場合が多い。処理室4内には、被処理材であるウエハ5が、ウエハステ−ジ6上に載置されている。
【0021】
ここでウエハの直径は300mmである。またランプハウス2と処理室4の間には、円筒状エキシマランプ1から放射される真空紫外光が、ウエハ5に照射されるように、真空紫外光を透過することができる窓3が設置されている。窓材としては、波長172nmのエキシマ光が透過可能な合成石英のフラットな板を使用した。ランプハウス2と処理室4は、窓3で隔壁されている。ランプハウス2には、ガス導入口(図示省略)とガス排出口(図示省略)が設けられており、ランプハウス内にN2ガスを導入し、ランプハウス2内をN2ガスに置換することにより、空気中のO2ガスによる真空紫外光の減衰を抑制している。
【0022】
また、N2ガス導入により、円筒状エキシマランプ1及び窓3を冷却し、窓材である合成石英の温度上昇により、真空紫外光の透過限界がシフトして真空紫外光の光強度が減少するのを抑制している。
【0023】
処理室4にも、ガス導入口(図示省略)とガス排出口(図示省略)が設けられている。処理室4にもN2ガスを導入し、処理室4内をN2ガスに置換することにより、真空紫外光の空気中のO2ガスによる減衰を抑制している。
【0024】
また、別の例として、処理室4に設けた真空排気口(図示省略)と真空排気システム(図示省略)により、処理室4内を真空とし、ウエハ5に真空紫外光を照射することができる。更に別の例として、処理室4に設けた真空排気口(図示省略)およびガス導入口(図示省略)と真空排気システム(図示省略)およびガス供給システム(図示省略)により、処理室4内を真空排気後、ガスを導入し、減圧下で、ウエハ5に真空紫外光を照射することができる。
【0025】
上記状況下で、ウエハステ−ジ6を円筒状エキシマランプ1の軸方向(Y軸)に対し、垂直方向(X軸)に駆動し、ウエハ5を円筒状エキシマランプ1に対しスキャン(掃引)することにより、ウエハ5全面に真空紫外光を照射し、ウエハ5を処理することができる。
【0026】
図16にランプ幅(径)40mmでの真空紫外光の光強度分布(X軸方向)とランプ−ウエハ5間距離(Z軸方向)との関係の計算結果を示す。図17に、ランプ長320mmでの真空紫外光の光強度分布(Y軸方向)とランプ−ウエハ5間距離(Z軸方向)との関係の計算結果を示す。
【0027】
簡単のために、(1)ランプ直下では、放射光強度分布は均一、(2)窓3なし、(3)気相中で、真空紫外光の減衰なし、として計算した。図16、図17に示すように、ランプ−ウエハ5間距離が増加するに伴って、真空紫外光の光強度が減少し、ランプの直下部と言えども、均一性が劣化する。このことは、ランプからの光の放射が立体角に関係することから、理解することができる。
【0028】
図14、図15に示すように、通常行われる円筒状エキシマランプ1の軸方向に垂直方向(X軸方向)にウエハ5をスキャンする場合でも、図17より、ウエハ5全面に均一に真空紫外光を照射し、均一にウエハを処理することは困難であることが分かる。
【0029】
図18は、本発明が適用される真空紫外光処理装置を第2の例示す縦断面図である。この例では、図14に示す円筒状エキシマランプ1をランプ軸に垂直方向(X軸方向)に、平行に、複数配置したものである。また窓3は、上記複数の円筒状エキシマランプ1からの真空紫外光をウエハ5全面に照射できるように、窓3の開口幅をウエハ5の直径よりも大きくした。これにより、ウエハステ−ジ6を固定とすることができる。図19に、図16と同様に、ランプ幅40mm、ランプ間隔30mmでの真空紫外光の光強度分布(X軸方向)とランプ−ウエハ5間距離(Z軸方向)との関係の計算結果を示す。円筒状エキシマランプ1を複数配置した本例の場合でも、図19より、ウエハ5全面に均一に真空紫外光を照射し、均一にウエハを処理することが困難であることが分かる。
【0030】
図20は、本発明が適用される真空紫外光処理装置の第3の例を示す縦断面図である、本例では、図18に示す複数の円筒状エキシマランプ1の代わりに、円盤状エキシマランプ7を配置したものである。この場合も、窓3は、円盤状エキシマランプ7からの真空紫外光をウエハ5全面に照射できるように、窓3の直径をウエハ5の直径よりも大きくし、ウエハステ−ジ6を固定とした。
【0031】
円盤状エキシマランプ7の直径を320mmとした場合、真空紫外光の光強度分布(径方向)とランプ−ウエハ5間距離(Z軸方向)との関係の計算結果(図示省略)は、図17と同様の傾向を示すが、軸対称分布であることから、図17よりも更に外周部の光強度が減少し、均一性は劣化する。従って円盤状エキシマランプ7を配置した本例の場合でも、ウエハ5全面に均一に真空紫外光を照射し、均一にウエハ5を処理することが困難であることが分かる。
【0032】
以上のように、波長200nm以下のエキシマランプ等を用いた真空紫外光処理装置では、真空紫外光の照射光強度のウエハ面内均一性は十分ではない。このため、ウエハ5全面に均一に真空紫外光を照射し、均一にウエハ5を処理することが困難である。
【0033】
図1は、第1の実施形態に係る真空紫外光処理装置の縦断面図である。図1に示すように、波長200nm以下の誘電体バリア放電を用いた円筒状エキシマランプ1がランプハウス2内に設置されている。本実施形態の場合、円筒状エキシマランプ1は、波長172nmのエキシマ光を放出するXeエキシマランプを使用したが、波長126nmのArエキシマランプ、波長146nmのKrエキシマランプ、波長193nmのArFエキシマランプ等、他の真空紫外光光源を使用しても良い。
【0034】
処理室4内には、被処理材であるウエハ5が、ウエハステ−ジ6上に載置される。本実施形態では、ウエハの直径は300mmである。またランプハウス2と処理室4の間には、円筒状エキシマランプ1から放射される真空紫外光が、ウエハ5に均一に照射されるように、放射される真空紫外光を透過する光強度分布補正窓8が設置されている。
【0035】
光強度分布補正窓8の窓材としては、波長172nmのエキシマ光が透過可能な合成石英の平板を使用したが、MgF2、CaF2、LIF、サファイア等の他の真空紫外光を透過する材料を用いても良い。但し、材料により真空紫外光の透過スペクトルが異なるので、使用する真空紫外光光源の光が透過する材料を選択する必要がある。
【0036】
また、ランプハウス2と処理室4は、光強度分布補正窓8で隔壁されている。ランプハウス2には、ガス導入口(図示省略)とガス排出口(図示省略)が設けられ、ランプハウス2にN2ガスを導入し、ランプハウス2内をN2に置換することにより、真空紫外光の空気中のO2による減衰を抑制する。このとき、導入されたN2ガスにより、ランプ及び光強度分布補正窓8を冷却する。これにより、光強度分布補正窓8を構成する合成石英の温度上昇により真空紫外光の透過限界がシフトすることに伴う真空紫外光の光強度減少を抑制することができる。ランプハウスに導入するガスは、真空紫外光の減衰が小さければ、He、Ne、Kr,Ar等、他の希ガスを用いても良い。Heの場合は、熱伝達効率が高いため、より効率的に光強度分布補正窓8を冷却できる。
【0037】
なお、処理室4にも、ランプハウス2と同様に、ガス導入口(図示省略)とガス排出口(図示省略)が設けられる。このため、(1)ランプハウス2にN2ガスを導入し、ランプハウス2内をN2に置換することにより、真空紫外光の空気中のO2による減衰を抑制することができる。なお、前記ガスは、He等、他の希ガスを用いても良い。(2)更にガス導入口(図示省略)からO2ガス等の光励起反応ガスあるいはウエハ5との光アシスト表面反応ガスを導入することができる。(3)また別の例では、処理室4に設けた真空排気口(図示省略)と真空排気システム(図示省略)により、処理室4内を真空とし、ウエハ5に真空紫外光を照射することができる。(4)更に別の例では、処理室4に設けた真空排気口(図示省略)およびガス導入口(図示省略)と真空排気システム(図示省略)およびガス供給システム(図示省略)により、処理室4内を真空排気後、O2等の光励起反応ガスあるいはウエハ5との光アシスト表面反応ガスを導入し、減圧下で、ウエハ5に真空紫外光を照射することができる。なお、ランプハウス2および処理室4から排出されたガスは、必要に応じて、オゾン処理等の排ガス処理装置(図示省略)を通して、処理した後、排出する。
【0038】
図2は、第1の実施形態における光強度分布補正窓8の円筒状エキシマランプ1の軸方向断面(YZ断面)を示す図である。
【0039】
円筒状エキシマランプ1の軸方向(Y軸方向)の光強度分布は、光強度分布補正窓8がない場合、円筒状エキシマランプ1とウエハ5との間隔に応じて、図17に示すような凸型の光強度分布となる。なお、ランプ長さは320mmとした。本実施形態では、図17に示す凸型の光強度分布を補正するために、図2に示すように凸型の断面形状の光強度分布補正窓を用いる。
【0040】
光強度分布補正窓8は、円筒状エキシマランプ1からの真空紫外光を良好に透過する材料を選択するものの、一定の光吸収係数αを有する。この場合、厚さtの板を透過すると、光強度はexp(−t/α)に比例して減衰する。このため、円筒状エキシマランプ1とウエハ5との間隔を所定値に設定した場合における光強度分布を図17あるいは実測で求める。求めた発光強度分布を有する光は、光強度分布補正窓8を構成する材料に応じた減衰率exp(−t/α)にしたがって減衰する。このとき、光強度分布補正窓8透過後のウエハ5上での光強度分布が均一となるように、光強度分布補正窓のY軸方向の厚さ分布を変化させておく。なお、この場合、光強度分布補正窓8の両面の界面での多重反射による透過率の変化や凸型断面形状での透過光の屈折等も、考慮しておくと良い。
【0041】
なお、ランプハウス2と処理室4は、光強度分布補正窓8で隔壁されており、ランプハウス2から発生する異物の処理室4への流入は抑止される。これによりウエハ5に付着する異物を低減し、歩留まりを向上させることができる。
【0042】
光強度分布補正窓8の板厚は、ランプハウス2と処理室4との差圧に応じて、機械強度を保ちかつ光減衰が少なくなるように設計される。また光強度分布補正窓8と処理室4あるいはランプハウス2とのシール部についても、上記差圧に応じて、シール材料、Oリング等(図示省略)が選択される。また、図14に示すような平板状の窓3の上に、光強度分布補正窓8を別途設置しても、光強度分布の補正の効果を得ることができる。
【0043】
なお、真空紫外光の照射に際しては、ウエハステ−ジ6を円筒状エキシマランプの長さ方向(Y軸)に対し、垂直方向(X軸)に駆動し、ウエハ5を円筒状エキシマランプに対しX軸方向にスキャン(掃引)する。これにより、ウエハ5全面に真空紫外光を照射し、ウエハ5を処理することができる。このように、光強度分布補正窓8を備えることにより、Y軸方向に均一に真空紫外光を照射でき、またX軸方向にウエハ5をスキャン(掃引)することにより、X軸方向に均一に真空紫外光を照射できる。このため、ウエハ5全面に真空紫外光を均一に照射することがができ、その結果、ウエハ5全面を高均一に処理することができる。
【0044】
図3、図4は第2の実施形態を説明する図である。本実施形態は、図1に示す第一の実施形態における光強度分布補正窓8の代えて、真空紫外光を透過する窓3および光強度分布補正貫通板9を設けたものである。
【0045】
図4に、光強度補正貫通板9の貫通パターンの例を示す。光強度補正貫通板9は、金属板、セラミックス板、ガラス板、Si板等のVUV光を透過しない材料から構成される。本実施形態ではステンレス薄板を使用した。貫通板9は、貫通メッシュあるいは多数の貫通穴を形成した板構造で、所望の面内光強度分布が得られるように、貫通部の面内分布を変化させて、透過光の面内光強度分布を補正する。
【0046】
本実施形態では、図4に示すように、格子状パターンとし、図17に示される凸型の光強度分布を補正するように、中央部から外周部に向かって、格子間隔Aを増加させる。なお、格子幅Bは一定とした。貫通部はメッシュパターン、ホール状のドットパターン等、任意のパターンでも良い。なお、格子、ホール等のパターンの面密度あるいはサイズは、図17に示す凸型の光強度分布を補正するように、光強度分布補正貫通板9の開口率を調整する。光強度分布補正貫通板9は、基本的にVUV光を透過しないあるいは透過しにくい材料より構成するので、可能な限り開口率を増加させ、透過光強度を増加させるように設計する。また光強度分布補正貫通板9とウエハ5の間隔Cが近いと、光強度分布補正貫通板9のパタ−ンが転写されることになる。このため、上記間隔Cは、光を透過しない箇所(この場合は格子幅B)よりも大きくなるようにすることが望ましい。
【0047】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様のウエハ5全面を均一に処理することができる。なお、第1の実施形態と異なり、光強度分布補正窓8の界面での多重反射による真空紫外光の透過率の補正や真空紫外光の屈折等を考慮する必要がなく、光強度分布補正貫通板9の設計は容易である。
【0048】
図5,6は第3の実施形態を説明する図である。
【0049】
本実施形態は、図1に示す第1の実施形態における1本の円筒状エキシマランプ1に代えて、複数(本実施形態では4本)の円筒状エキシマランプ1を設け、さらに真空紫外光を照射する開口部の直径Dをウエハ直径よりも大きくし、ウエハステ−ジを固定したものである。
【0050】
図6に、光強度分布補正窓8のXZ断面図を示す。なお、YZ断面は、図2と同形状であり、説明を省略する。
【0051】
本実施形態のように複数の円筒状エキシマランプ1を並べて配置した場合(図18の例と同様にランプ幅40mm、ランプ間隔60mm)で、光強度分布補正窓8がない場合、X軸方向の光強度分布は、円筒状エキシマランプ1とウエハ5との間隔に応じて、図19に示すような光強度分布となる。
【0052】
このため、第1の実施形態と同様に、光強度分布補正窓8の板厚分布を変化させることにより、ウエハ5に照射する真空紫外光の強度分布を均一に補正することができる。
【0053】
従って、本発明の第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様のウエハ5全面を均一に処理することができる。なお、第1の実施形態とは異なり、ウエハステ−ジをスキャン(掃引)する必要がないので、ステ−ジ駆動による異物発生リスクが低減し、歩留まり向上に優位である。また、ウエハ5をスキャンすることなく一括処理できるため、ウエハ1枚当たりの処理速度が向上し、スル−プットが向上する。
【0054】
図7,8は、本発明の第4の実施形態を説明す図である。本実施形態は、図3に示す第2の実施形態における1本の円筒状エキシマランプ1に代えて、複数(本実施形態では4本)の円筒状エキシマランプ1を設け、また、真空紫外光を照射する開口部の直径Dをウエハ直径よりも大きくし、さらにウエハステ−ジを固定したものである。
【0055】
図8に、光強度分布補正貫通板9の貫通パターンの例を示す。光強度分布補正貫通板9の材料、パターン、光強度分布補正貫通板9とウエハ5との間隔等の考え方は図3に示す第2の実施形態と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0056】
本実施形態では、図8に示すように、格子状パターンとし、Y軸方向は、図17の凸型の光強度分布を補正するように、中央部から外周部に向かって、格子間隔Aを増加させ、X軸方向は、図19の周期状光強度分布を補正するように、周期状に格子間隔Aを変化させる。なお、格子幅Bは一定とした。
【0057】
本実施形態によれば、第2の実施形態および第3の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、光強度分布補正貫通板9の設計が容易で、異物発生リスクを低減し、またウエハ5の処理スループットを向上させ、ウエハ5全面を均一に処理することができる。
【0058】
図9、図10は、本発明の第5の実施形態を説明する図である。本実施形態は、図5に示す第3の実施形態における、複数の円筒状エキシマランプ1に代えて、円盤状エキシマランプ7を設け、また真空紫外光を照射する開口部の直径Dをウエハ直径よりも大きくし、さらにウエハステ−ジを固定したものである。
【0059】
図10に、光強度分布補正窓8のXZ断面図を示す。X軸方向(径方向)の光強度分布は、光強度分布補正窓8がない場合、円盤状エキシマランプ7とウエハ5との間隔に応じて、図17に示すような光強度分布となる。但し、軸対称分布であることから、図17より更に外周部の光強度が減少した分布となる。なお、円盤状エキシマランプの直径は320mmとした。
【0060】
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、光強度分布補正窓8の板厚分布を変化させることにより、ウエハ5に照射する真空紫外光の強度分布を均一に補正することができる。また、本実施形態の場合、光強度分布補正窓は図10に示すように、凸型の板厚分布となる。また、第1の実施形態で説明したように、光強度分布補正窓8は、その界面での多重反射による真空紫外光の透過率の変化や真空紫外光の屈折等を考慮して設計するのが望ましい。
【0061】
本実施形態によれば、第3の実施形態と同様にウエハ5全面を均一に処理することができる等の作用効果を得ることができる。また、光強度分布補正窓8は、第3の実施形態(図6)に示されるような、波型の複雑な曲面ではなく、図10で示すように、シンプルな軸対称曲面で構成できる。このため、加工が容易で、従って低コストで製作できる。
【0062】
図11、図12は、本発明の第6の実施形態を説明する図である。本実施形態は、図7に示す第4の実施形態における複数の円筒状エキシマランプ1に代えて、円盤状エキシマランプ7を設け、また真空紫外光を照射する開口部の直径Dをウエハ直径よりも大きくし、さらにウエハステ−ジを固定したものである。
【0063】
図12に、光強度分布補正貫通板9の貫通パターンの例を示す。光強度分布補正貫通板9の材料、パターン、光強度分布補正貫通板9とウエハ5との間隔等の考え方は第2の実施形態(図4)と同様であり、詳細な説明は省略する。本実施形態では、図12に示すように、放射及び円周状格子パターンとし、径方向は、図10と同様の凸型の光強度分布(但し、軸対称分布であることから、図10より更に外周部の光強度が減少した分布)を補正するように、中央部から外周部に向かって、円周状格子の格子間隔を増加させた。格子幅を一定とした場合、中央部での開口率が必要以上に低下するときは、放射状の格子数を減少させ、調整する。また格子幅を変化させ、所望の開口率に調整しても良い。このように、光強度分布補正貫通板9の開口率を面内で調整することにより、ウエハ5での真空紫外光の光強度分布が所望の分布(この場合は均一分布)となるように、調整することができる。
【0064】
このように、第6の実施形態によっても、第4の実施形態および第5の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0065】
図13は、本発明の第7の実施形態を説明する図である。本実施形態は、図11に示す第6の実施形態における光強度分布補正貫通板9の外周部に冷却機構10を設けたものである。
【0066】
冷却機構10としては、ガス吹き出しあるいはファン等による空冷機構、冷却水等による水冷機構、ペルチェ素子等による電子冷却機構等が適用できる。真空紫外光処理装置においては、光強度分布の高均一化とともに光強度の安定化が望まれる。
【0067】
光強度の変動要因の1つは、エキシマランプ、窓等の真空紫外光透過材料の温度変化に伴い、真空紫外光透過スペクトルが変化することにある。このため、光強度分布補正貫通板9を、金属、セラミックス等の熱伝導効率が良い材料で構成し、これを窓3上あるいはその近傍に設置し、更に外周部に冷却機構10を設ける。これにより、窓3は、接触熱伝達で直接的に、またエキシマランプは対流などで間接的に冷却されることになり、真空紫外光の光強度の減少等を抑制することができる。
【0068】
以上の各実施形態においては、円筒状エキシマランプ1、円盤状エキシマランプ7として、波長172nmのエキシマ光を放出するXeエキシマランプを使用したが、波長126nmのArエキシマランプ、波長146nmのKrエキシマランプ、波長193nmのArFエキシマランプ等、他の真空紫外光光源を使用しても良い。また以上の各実施形態では、真空紫外光を放射する光源と被処理材との間に、光強度分布補正窓8、光強度分布補正貫通板9等の、処理材に照射されるVUV光の面内光強度分布を補正する手段を設けたが、VUV光を反射する反射ミラー等と併用しても良い。
【0069】
また、以上の各実施形態における真空紫外光処理装置は、ウエハ上の有機汚染除去、Low−k膜のキュア、レジストパターンのLWR(Line Width Roughness)低減、レジストパターンのCD変動抑制、レジストトリム(CD制御)等に適用することができる。
【0070】
特にレジストパターン処理では、レジスト(ドライArFレジスト、液浸ArFレジスト、EUVレジスト等)を、露光機(ArF露光機、EUV露光機等)で露光後、現像し、レジストパタ−ニングする。その後、本発明の真空紫外光処理装置を用い、処理室内を真空、あるいはN2等の真空紫外光を吸収せず且つ不活性なガス雰囲気にした後、真空紫外光を照射する。これにより、レジストの初期LWRを低減することができる。また、このLWRが低減された後のレジストをマスクとして、レジストの下地膜をプラズマ等でエッチングすることにより、LWRの小さい微細加工を実現することができる。
【0071】
レジストパターンのCD変動抑制についても、同様に、レジスト露光、現像後に真空紫外光を照射することにより、レジストの電子線によるシュリンク(CD減少)を抑制することができ、CD−SEM等で安定に測定することができる。このようにマスクであるレジストパターンの寸法を正確に計測することができるので、下地膜をプラズマ等でエッチングすることにより、精度高く目標CD寸法に微細加工できる。
【0072】
レジストトリムでは、処理室を減圧後、O2等の反応性ガス雰囲気、あるいは処理室をN2等の真空紫外光を吸収せず、かつ不活性なガス雰囲気とした後、O2等の反応性ガスを導入することにより、レジストをトリミングし、所望のCDに調節することができる。 また、リソグラフィ後のレジストパターンの初期CD面内分布あるいは初期LWR分布に応じて、光強度分布補正窓8あるいは光強度分布補正貫通板9等により、真空紫外光の面内分布を所望の分布(凹分布、凸分布等)に補正することにより、レジストパターンのCD面内分布あるいはLWR分布を高均一分布等、所望の分布に補正することができる。その他、真空紫外光をウエハ等の被処理材に照射し、処理する用途であれば、本発明を適用することができる。
【0073】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、真空紫外光を発する光源と被処理材との間に、上記被処理材に照射される真空紫外光の面内光強度分布を補正する手段を設ける。また、前記真空紫外光の面内光強度分布の補正手段は、合成石英、MgF2、CaF2、LiF等の真空紫外光透過材料から構成され、所望の面内光強度分布となるように、上記真空紫外光透過材料の厚さを面内で変化させる。これにより、真空紫外光の面内光強度分布を補正することができる。また、前記真空紫外光の面内光強度分布の補正手段は、金属板、セラミックス板、ガラス板、Si板等の真空紫外光を透過しない材料から構成され、貫通メッシュ構造あるいは多数の貫通穴構造で、所望の面内光強度分布となるように、貫通部の面内分布(開口率)を変化させる。これにより、真空紫外光の面内光強度分布を補正することができる。
【0074】
このように、光強度分布補正窓8あるいは光強度分布補正貫通板9を、エキシマランプ等の真空紫外光光源とウエハ等の被処理材の間に設置することにより、被処理材に照射される真空紫外光の光強度分布を均一に調整することができるので、ウエハ等の被処理材全面に真空紫外光を高均一に照射し、その結果、高均一にウエハ5を処理することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 円筒状エキシマランプ
2 ランプハウス
3 窓
4 処理室
5 ウエハ
6 ウエハステ−ジ
7 円盤状エキシマランプ
8 光強度分布補正窓
9 光強度分布補正貫通板
10 冷却機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空紫外光を照射する光源と、
被処理材を載置するステージと、
前記ステージと光源の間に配置され、前記被処理材表面に照射される真空紫外光の面内光強度分布を補正する補正部材を備え、前記補正部材により面内における透過率を調整して前記被処理部材に均一な光強度を有する真空紫外光を照射すること特徴とする真空紫外光処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の真空紫外光処理装置において、
前記補正部材は、合成石英、MgF2、CaF2、LiF、サファイアの何れかを含む真空紫外光透過材料で構成され、面内における透過率を前記透過材料の厚みを面内で変化させることにより調整して、真空紫外光の面内光強度分布を均一に補正したことを特徴とする真空紫外光処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の真空紫外光処理装置において、
前記補正部材は、金属板、セラミックス板、ガラス板、Si板の何れかを含む真空紫外線の非透過材料で構成され、面内における透過率を前記非透過材料に形成した複数の貫通孔による開口率で調整し、前記非透過材料材料で形成された補正部材を透過した真空紫外光の面内光強度分布を均一に補正したことを特徴とする真空紫外光処理装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の真空紫外光処理装置において、
前記補正部材を冷却する冷却機構を備えたことを特徴とする真空紫外光処理装置。
【請求項5】
請求項4記載の真空紫外光処理装置において
前記冷却機構は、空気冷却機構、水冷却機構またはペルチェ素子を用いた冷却機構の何れかを備えることを特徴とする真空紫外光処理装置。
【請求項6】
真空紫外光を照射する光源を収容したランプ室と、
被処理材を載置するステージを収容し、被処理材に真空紫外光を照射して被処理材に所定の処理を施す処理室と、
前記ランプ室及び処理室に不活性ガスを導入するガス導入手段と、
前記ステージと光源の間の前記ランプ室と処理室の境界に気密に配置され、前記被処理材に照射される真空紫外光の前記被処理材上における光強度分布を補正する補正部材を備え、前記被処理部材に均一な光強度を有する真空紫外光を照射すること特徴とする真空紫外光処理装置。
【請求項1】
真空紫外光を照射する光源と、
被処理材を載置するステージと、
前記ステージと光源の間に配置され、前記被処理材表面に照射される真空紫外光の面内光強度分布を補正する補正部材を備え、前記補正部材により面内における透過率を調整して前記被処理部材に均一な光強度を有する真空紫外光を照射すること特徴とする真空紫外光処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の真空紫外光処理装置において、
前記補正部材は、合成石英、MgF2、CaF2、LiF、サファイアの何れかを含む真空紫外光透過材料で構成され、面内における透過率を前記透過材料の厚みを面内で変化させることにより調整して、真空紫外光の面内光強度分布を均一に補正したことを特徴とする真空紫外光処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の真空紫外光処理装置において、
前記補正部材は、金属板、セラミックス板、ガラス板、Si板の何れかを含む真空紫外線の非透過材料で構成され、面内における透過率を前記非透過材料に形成した複数の貫通孔による開口率で調整し、前記非透過材料材料で形成された補正部材を透過した真空紫外光の面内光強度分布を均一に補正したことを特徴とする真空紫外光処理装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の真空紫外光処理装置において、
前記補正部材を冷却する冷却機構を備えたことを特徴とする真空紫外光処理装置。
【請求項5】
請求項4記載の真空紫外光処理装置において
前記冷却機構は、空気冷却機構、水冷却機構またはペルチェ素子を用いた冷却機構の何れかを備えることを特徴とする真空紫外光処理装置。
【請求項6】
真空紫外光を照射する光源を収容したランプ室と、
被処理材を載置するステージを収容し、被処理材に真空紫外光を照射して被処理材に所定の処理を施す処理室と、
前記ランプ室及び処理室に不活性ガスを導入するガス導入手段と、
前記ステージと光源の間の前記ランプ室と処理室の境界に気密に配置され、前記被処理材に照射される真空紫外光の前記被処理材上における光強度分布を補正する補正部材を備え、前記被処理部材に均一な光強度を有する真空紫外光を照射すること特徴とする真空紫外光処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−49305(P2012−49305A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189562(P2010−189562)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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