説明

真空紫外光照射装置および真空紫外光照射方法

【課題】 長いガス置換時間を必要とせずに、真空紫外光照射により試料洗浄を行える構成の簡素な真空紫外光照射装置を提供すること。
【解決手段】内部に真空紫外光発生用の放電用電極16が配置された真空紫外光発生室Aと、前記真空紫外光発生室A内に真空紫外光発生用ガスを流入させるガス流入路19aと、前記流入した真空紫外光発生用ガスを真空紫外光発生室Aから流出させるガス流出路A1a、前記真空紫外光発生室A内の真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置で且つ前記真空紫外光発生用ガスの流路中に試料を支持する試料支持部材21とを備えた真空紫外光照射装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は真空紫外光照射装置および真空紫外光照射方法に関し、特に、真空紫外光を照射して試料表面を洗浄したり改質したりするための真空紫外光照射装置および真空紫外光照射方法に関する。
なお、前記洗浄および改質の意味は次のとおりである。
「洗浄」:試料表面に真空紫外光を照射して試料表面の有機物を分解して離脱除去する。
「改質」:ポリイミドなど接着剤で接着することができないプラスチックの表面の1〜2分子層を分解し接着剤で接着可能な原子と置換して接着可能な表面にする。全体的には元のプラスチックの性質をそのまま維持している。
【背景技術】
【0002】
前記真空紫外光を使用する真空紫外光照射方法では、真空紫外光は大気による吸収が大きいため、真空紫外光を照射する試料は、大気を、真空紫外光を吸収しない希ガスに置換した試料室または真空の試料室に配置しなければならない。したがって、従来の真空紫外光照射により試料表面を洗浄する真空紫外光照射方法では、試料室に試料を出し入れするたびに、試料室を排気またはガス置換する必要があった。このため、試料に真空紫外光を照射できる状態になるまでに長い時間が必要であり、作業効率が低かった。
特に、アルゴンエキシマ光(波長=126nm)またはクリプトンエキシマ光(波長=146nm)の光を使用する場合は、それらの波長の光を透過する適切な窓材が存在しない。このため、真空紫外光ランプ(真空紫外光を出射する部材)と試料室とを透過窓により隔離した真空紫外光照射装置を製作することは技術的に困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このため本発明者は以前に、前記真空紫外光ランプと試料室とを連通させて、真空紫外光ランプで使用する真空紫外光発生用ガスを、真空紫外光ランプおよび試料室に順次流しながら、試料室内に配置された試料表面に真空紫外光を照射して試料洗浄を行う装置を発明して、すでに特許出願(特願2004−063250号)している。
しかし、前記先願に記載された真空紫外光照射方法では、真空紫外光ランプ内部および試料室内部の気体を同時に、真空紫外光を吸収しない希ガス(例えば、真空紫外光ランプで使用するエキシマガス)に置換する必要があり、この場合は更に長いガス置換時間を必要とする。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑み、次の記載内容(O01),(O02)を技術的課題とする。
(O01)長いガス置換時間を必要とせずに、真空紫外光照射により試料洗浄を行える構成の簡素な真空紫外光照射装置を提供すること。
(O02)真空紫外光発生室を大気に開放することなく試料を交換できるようにすることにより、多数の試料を次々と交換しながら、または、シート状試料を連続的に、真空紫外光照射位置に搬送可能な真空紫外光照射装置を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
次に、前記課題を解決した本発明を説明するが、本発明の要素には、後述の実施例の要素との対応を容易にするため、実施例の要素の符号をカッコで囲んだものを付記する。なお、本発明を後述の実施例の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであり、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
【0006】
(第1発明)
前記課題を解決するために、第1発明の真空紫外光照射装置は、下記の構成要件(A01)〜(A05)を備えたことを特徴とする。
(A01)試料洗浄用の真空紫外光を発生する真空紫外光発生室(A)、
(A02)真空紫外光発生室(A)内に配置された真空紫外光発生用の放電用電極(16,83)、
(A03)前記放電用電極(16,83)が放電したときに真空紫外光を発生する真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室(A)内に流入させるガス流入路(19a,82a)、
(A04)前記真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置に形成され、前記真空紫外光発生室(A)内に流入した前記真空紫外光発生用ガスを真空紫外光発生室(A)から流出させる試料装着口(1a,81a)、
(A05)前記試料装着口(1a,81a)の一部分を閉塞し且つ前記試料装着口(1a,81a)の外端縁との間にガス流出路(A1a)を形成する閉塞位置と前記試料装着口(1a,81a)を開放する開放位置との間で移動可能に支持され、前記閉塞位置に移動した状態で前記真空紫外光が照射される試料支持部を有し且つ前記真空紫外光発生用ガスが前記試料支持部から前記ガス流出路(A1a)を通って真空紫外光発生室(A)の外部に流れるように構成された試料支持部材(21,31,41,86,51,61,71)。
【0007】
(第1発明の作用)
前記構成要件(A01)〜(A05)を備えた第1発明の真空紫外光照射装置では、真空紫外光発生室(A)内に配置された真空紫外光発生用の放電用電極(16,83)が放電したときに真空紫外光を発生する真空紫外光発生用ガスは、ガス流入路(19a,82a)から前記真空紫外光発生室(A)内に流入する。
真空紫外光発生室(A)内で発生する試料洗浄用の真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置に形成された試料装着口(1a,81a)は、前記真空紫外光発生室(A)内に流入した前記真空紫外光発生用ガスを真空紫外光発生室(A)から流出させる。
試料支持部材(21,31,41,86,51,61,71)は、前記試料装着口(1a,81a)の一部分を閉塞し且つ前記試料装着口(1a,81a)の外端縁との間にガス流出路(A1a)を形成する閉塞位置と前記試料装着口(1a,81a)を開放する開放位置との間で移動可能に支持される。
前記試料支持部材(21,31,41,86,51,61,71)21が前記閉塞位置に移動した状態で前記真空紫外光が照射される試料支持部には試料が支持される。前記真空紫外光発生用ガスは、前記試料支持部に支持された試料周辺を流れてから前記ガス流出路(A1a)を通って真空紫外光発生室(A)の外部に流れる。
前記試料支持部材(21,31,41,86,51,61,71)の試料支持部に支持された試料は前記真空紫外光により照射されて洗浄される。洗浄時に試料表面から離脱した物質は前記真空紫外光発生用ガスと共に真空紫外光発生室(A)の外部に流出する。
【0008】
(第2発明)
第2発明の真空紫外光照射装置は、下記の構成要件(A01)〜(A04),(A06)を備えたことを特徴とする。
(A01)試料洗浄用の真空紫外光を発生する真空紫外光発生室(A)、
(A02)真空紫外光発生室(A)内に配置された真空紫外光発生用の放電用電極(16,83)、
(A03)前記放電用電極(16,83)が放電したときに真空紫外光を発生する真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室(A)内に流入させるガス流入路(19a,82a)、
(A04)前記真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置に形成され、前記真空紫外光発生室(A)内に流入した前記真空紫外光発生用ガスを真空紫外光発生室(A)から流出させる試料装着口(1a,81a)、
(A06)前記試料装着口(1a,81a)の一部分を閉塞し且つ前記試料装着口(1a,81a)の外端縁との間にガス流出路(A1a)を形成する状態で前記試料装着口(1a,81a)を横切って移動可能に支持された試料支持部を有し且つ前記真空紫外光発生用ガスが前記試料支持部から前記ガス流出路(A1a)を通って真空紫外光発生室(A)の外部に流れるように構成された試料支持部材(21,31,41,86,51,61,71)。
【0009】
(第2発明の作用)
前記構成要件(A01)〜(A04),(A06)を備えた第2発明の真空紫外光照射装置では、真空紫外光発生室(A)内に配置された真空紫外光発生用の放電用電極(16,83)が放電したときに真空紫外光を発生する真空紫外光発生用ガスは、ガス流入路(19a,82a)から前記真空紫外光発生室(A)内に流入する。
真空紫外光発生室(A)内で発生する試料洗浄用の真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置に形成された試料装着口(1a,81a)は、前記真空紫外光発生室(A)内に流入した前記真空紫外光発生用ガスを真空紫外光発生室(A)から流出させる。
試料支持部材(21,31,41,86,51,61,71)は、前記試料装着口(1a,81a)の一部分を閉塞し且つ前記試料装着口(1a,81a)の外端縁との間にガス流出路(A1a)を形成する閉塞位置と前記試料装着口(1a,81a)を開放する開放位置との間で移動可能に支持される。
試料支持部材(21,31,41,86,51,61,71)の試料支持部は、前記試料装着口(1a,81a)の一部分を閉塞し且つ前記試料装着口(1a,81a)の外端縁との間にガス流出路(A1a)を形成する状態で前記試料装着口(1a,81a)を横切って移動する。前記真空紫外光発生用ガスは前記試料支持部から前記ガス流出路(A1a)を通って真空紫外光発生室(A)の外部に流れる。
したがって、前記試料支持部材(21,31,41,86,51,61,71)の試料支持部に支持された試料は、前記試料支持部が前記試料装着口(1a,81a)を横切って移動する際に、前記真空紫外光により照射されて洗浄される。洗浄時に試料表面から離脱した物質は前記真空紫外光発生用ガスと共に真空紫外光発生室(A)の外部に流出する。
【0010】
(第2発明の形態1)
第2発明の形態1の真空紫外光照射装置は前記第2発明において下記の構成要件(A07)を備えたことを特徴とする。
(A07)長手方向に搬送される帯状部材により構成され且つ上面が試料支持部として使用される前記試料支持部材(31,61)。
【0011】
(第2発明の形態1の作用)
前記構成要件(A07)を備えた第2発明の形態1の真空紫外光照射装置では、前記試料支持部材(31,61)は長手方向に搬送される帯状部材により構成されているので、前記帯状部材(31,61)が前記試料装着口(1a,81a)を横切って移動する際に、前記帯状部材(31,61)の上面(試料支持部)に支持された試料は、前記真空紫外光により照射されて洗浄される。洗浄時に試料表面から離脱した物質は前記真空紫外光発生用ガスと共に真空紫外光発生室(A)の外部に流出する。
【0012】
(第2発明の形態2)
第2発明の形態2の真空紫外光照射装置は前記第2発明において下記の構成要件(A08)を備えたことを特徴とする。
(A08)回転プレート(41)により構成され且つ上面が試料支持部として使用される前記試料支持部材(41)。
【0013】
(第2発明の形態2の作用)
前記構成要件(A08)を備えた第2発明の形態2の真空紫外光照射装置では、前記試料支持部材(41)が回転プレートにより構成されているので、前記回転プレート(41)が前記試料装着口(1a)を横切って移動する際に、前記回転プレート(41)の上面(試料支持部)に支持された試料(S)は、前記真空紫外光により照射されて洗浄される。洗浄時に試料表面から離脱した物質は前記真空紫外光発生用ガスと共に真空紫外光発生室(A)の外部に流出する。
【0014】
(第2発明の形態3)
第2発明の形態3の真空紫外光照射装置は、前記第2発明または第2発明の形態1もしくは2において下記の構成要件(A09)を備えたことを特徴とする。
(A09)前記試料装着口(1a)を横切って移動可能に支持された試料支持部(31)が前記真空紫外光照射位置に移動するのに伴って大気が前記真空紫外光照射位置に進入するのを防止するために、前記真空紫外光照射位置に試料支持部(31)が進入する部分に真空紫外光発生用ガスまたは使用する真空紫外光を吸収しないガスを流して気流カーテンを形成する気流カーテン形成部材(32)。
(第2発明の形態3の作用)
前記構成要件(A09)を備えた第2発明の形態3の真空紫外光照射装置では、気流カーテン形成部材(32)は、前記真空紫外光照射位置に試料支持部(31a)が進入する部分に真空紫外光発生用ガスまたは使用する真空紫外光を吸収しないガスを流して気流カーテンを形成する。このため、前記試料装着口(1a)を横切って移動可能に支持された試料支持部(31a)が前記真空紫外光照射位置に移動するのに伴って大気が前記真空紫外光照射位置に進入するのを防止することができる。
【0015】
(第2発明の形態4)
第2発明の形態4の真空紫外光照射装置は、前記第2発明または第2発明の形態1ないし3のいずれかにおいて下記の構成要件(A010)を備えたことを特徴とする。
(A010)試料(S)が収容される試料収容凹部(41c)が形成された前記試料支持部(41a)。
(第2発明の形態4の作用)
前記構成要件(A010)を備えた第2発明の形態4の真空紫外光照射装置では、前記試料支持部の試料収容凹部に試料(S)を収容した場合、前記試料支持部の表面からの試料の突出高さが低くなる。この場合、前記試料支持部の表面を前記試料装着口の外端に接近させた状態で、前記試料装着口を横切って移動させることができる。その場合、試料支持部表面にと試料装着光外端との間に形成される隙間を小さくすることができるので、前記隙間から漏出する真空紫外光発生用ガスの量を少なくすることができる。
【0016】
(第3発明)
第3発明の真空紫外光照射装置は、下記の構成要件(A01)〜(A04),(A011)を備えたことを特徴とする。
(A01)試料洗浄用の真空紫外光を発生する真空紫外光発生室(A)、
(A02)真空紫外光発生室(A)内に配置された真空紫外光発生用の放電用電極(16,83)、
(A03)前記放電用電極(16,83)が放電したときに真空紫外光を発生する真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室(A)内に流入させるガス流入路(19a,82a)、
(A04)前記真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置に形成され、前記真空紫外光発生室(A)内に流入した前記真空紫外光発生用ガスを真空紫外光発生室(A)から流出させる試料装着口(1a,81a)、
(A011)前記試料装着口(81a)の一部分を閉塞し且つ前記試料装着口(81a)の外端縁との間にガス流出路(A1a)を形成するとともに前記試料装着口(81a)を横切って配置された試料支持部材(61a)であって、シート状試料(S)を支持する前記試料支持部材(61a)。
【0017】
(第3発明の作用)
前記構成要件(A01)〜(A04),(A011)を備えた第3発明の真空紫外光照射装置では、真空紫外光発生室(A)内に配置された真空紫外光発生用の放電用電極(83)が放電したときに真空紫外光を発生する真空紫外光発生用ガスは、ガス流入路(82a)から前記真空紫外光発生室(A)内に流入する。
真空紫外光発生室(A)内で発生する試料洗浄用の真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置に形成された試料装着口(81a)は、前記真空紫外光発生室(A)内に流入した前記真空紫外光発生用ガスを真空紫外光発生室(A)から流出させる。
試料支持部材(61a)は、前記試料装着口(81a)の一部分を閉塞し且つ前記試料装着口(81a)の外端縁との間にガス流出路(A1a)を形成するとともに前記試料装着口(81a)を横切って配置される。前記真空紫外光発生用ガスは前記試料支持部から前記ガス流出路(A1a)を通って真空紫外光発生室(A)の外部に流れる。
したがって、前記試料支持部材(61a)により支持されたシート状試料(S)は、前記真空紫外光により照射されて洗浄される。洗浄時に試料表面から離脱した物質は前記真空紫外光発生用ガスと共に真空紫外光発生室(A)の外部に流出する。
【0018】
(第3発明の形態1)
第3発明の形態1の真空紫外光照射装置は前記第3発明において下記の構成要件(A012)を備えたことを特徴とする。
(A012)前記試料装着口(81a)の一部分を閉塞し且つ前記試料装着口(81a)の外端縁との間にガス流出路(A1a)を形成する閉塞位置と前記試料装着口(81a)を開放する開放位置との間で前記シート状試料(S)を移動可能に支持する前記試料支持部材(61a)。
【0019】
(第3発明の形態1の作用)
前記構成要件(A012)を備えた第3発明の形態1の真空紫外光照射装置では、前記試料支持部材(61a)は、前記試料装着口(81a)の一部分を閉塞し且つ前記試料装着口(81a)の外端縁との間にガス流出路(A1a)を形成する閉塞位置と前記試料装着口(81a)を開放する開放位置との間で前記シート状試料(S)を移動可能に支持する。したがって、前記試料支持部材(61a)に支持された試料(S)は、前記試料装着口(81a)を横切って移動する際に、前記真空紫外光により照射されて洗浄される。洗浄時に試料表面から離脱した物質は前記真空紫外光発生用ガスと共に真空紫外光発生室(A)の外部に流出する。
【0020】
(第4発明)
第4発明の真空紫外光照射装置は、下記の構成要件(A01)〜(A04),(A013)を備えたことを特徴とする。
(A01)試料洗浄用の真空紫外光を発生する真空紫外光発生室(A)、
(A02)真空紫外光発生室(A)内に配置された真空紫外光発生用の放電用電極(83)、
(A03)前記放電用電極(83)が放電したときに真空紫外光を発生する真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室(A)内に流入させるガス流入路(82a)、
(A04)前記真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置に形成され、前記真空紫外光発生室(A)内に流入した前記真空紫外光発生用ガスを真空紫外光発生室(A)から流出させる試料装着口(81a)、
(A013)シート状試料(S)が前記試料装着口(81a)の一部分を閉塞し且つ前記試料装着口(81a)の外端縁との間にガス流出路(A1a)を形成する状態で前記試料装着口(81a)を横切って移動するように前記シート状試料(S)を移動可能に支持する試料支持部材(61a)。
【0021】
(第4発明の作用)
前記構成要件(A01)〜(A04),(A013)を備えた第4発明の真空紫外光照射装置では、真空紫外光発生室(A)内に配置された真空紫外光発生用の放電用電極(83)が放電したときに真空紫外光を発生する真空紫外光発生用ガスは、ガス流入路(82a)から前記真空紫外光発生室(A)内に流入する。
真空紫外光発生室(A)内で発生する試料洗浄用の真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置に形成された試料装着口(81a)は、前記真空紫外光発生室(A)内に流入した前記真空紫外光発生用ガスを真空紫外光発生室(A)から流出させる。
試料支持部材(61a)により移動可能に支持された前記シート状試料(S)は、シート状試料(S)が前記試料装着口(81a)の一部分を閉塞し且つ前記試料装着口(81a)の外端縁との間にガス流出路(A1a)を形成する状態で前記試料装着口(81a)を横切って移動する。
したがって、前記試料支持部材(61a)に支持されたシート状試料(S)は、前記試料装着口(81a)を横切って移動する際に、前記真空紫外光により照射されて洗浄される。洗浄時に試料表面から離脱した物質は前記真空紫外光発生用ガスと共に真空紫外光発生室(A)の外部に流出する。
【0022】
(第5発明)
第5発明の真空紫外光照射装置は、下記の構成要件(A01)〜(A03),(A014),(A015)を備えたことを特徴とする。
(A01)試料洗浄用の真空紫外光を発生する真空紫外光発生室(A)、
(A02)真空紫外光発生室(A)内に配置された真空紫外光発生用の放電用電極(16,83)、
(A03)前記放電用電極(83)が放電したときに真空紫外光を発生する真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室(A)内に流入させるガス流入路(82a)、
(A014)前記真空紫外光発生室(A)内に流入した前記真空紫外光発生用ガスを真空紫外光発生室(A)から流出させるガス流出路(A1a)、
(A015)前記ガス流入路(82a)から流入した真空紫外光発生ガスが前記ガス流出路(88a,81a)に流れる真空紫外光発生室(A)内のガス流路中で且つ前記真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置をシート状試料(S)が通過するように前記シート状試料を移動可能に支持する試料支持部材(71)。
【0023】
(第5発明の作用)
前記構成要件(A01)〜(A03),(A014),(A015)を備えた第5発明の真空紫外光照射装置では、真空紫外光発生室(A)内に配置された真空紫外光発生用の放電用電極(83)が放電したときに真空紫外光を発生する真空紫外光発生用ガスは、ガス流入路(82a)から前記真空紫外光発生室(A)内に流入する。
ガス流出路(88a,81a)は、前記真空紫外光発生室(A)内に流入した前記真空紫外光発生用ガスを真空紫外光発生室(A)から流出させる。
試料支持部材(71)により移動可能に支持された前記シート状試料(S)は、前記ガス流入路(82a)から流入した真空紫外光発生ガスが前記ガス流出路(88a,81a)に流れる真空紫外光発生室(A)内のガス流路中で且つ前記真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置を通過する。
したがって、真空紫外光発生室(A)内のガス流路中で且つ前記真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置を通過するシート状試料(S)は、前記真空紫外光により照射されて洗浄される。洗浄時にシート状試料(S)表面から離脱した物質は前記ガス流路を流れる真空紫外光発生用ガスにより搬送され、真空紫外光発生室(A)の外部に流出する。
【0024】
(第4発明または第5発明の形態1)
第4発明または第5発明の形態1の真空紫外光照射装置は、下記の構成要件(A016)を備えたことを特徴とする。
(A016)前記シート状試料(S)が前記真空紫外光照射位置に移動するのに伴って大気が前記真空紫外光照射位置に進入するのを防止するために、前記真空紫外光照射位置にシート状試料(S)が進入する部分に真空紫外光発生用ガスまたは使用する真空紫外光を吸収しないガスを流して気流カーテンを形成する気流カーテン形成部材(87)。
(第4発明または第5発明の形態1の作用)
前記構成要件(A016)を備えた第4発明または第5発明の形態1の真空紫外光照射装置では、気流カーテン形成部材(87)は、前記真空紫外光照射位置にシート状試料(S)が進入する部分に真空紫外光発生用ガスまたは使用する真空紫外光を吸収しないガスを流して気流カーテンを形成する。前記気流カーテンは、前記シート状試料(S)が前記真空紫外光照射位置に移動するのに伴って大気が前記真空紫外光照射位置に進入するのを防止する。
【0025】
(第6発明)
第6発明の真空紫外光照射装置は、次の構成要件(B01)〜(B04)を備えたことを特徴とする。
(B01)内部に真空紫外光発生用の放電用電極(16,83)が配置された真空紫外光発生室(A)、
(B02)前記真空紫外光発生室(A)内に真空紫外光発生用ガスを流入させるガス流入路(19a,82a)、
(B03)前記流入した真空紫外光発生用ガスを真空紫外光発生室(A)から流出させるガス流出路(A1a)、
(B04)前記真空紫外光発生室(A)内の真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置で且つ前記真空紫外光発生用ガスの流路中に試料を支持する試料支持部材(21,31,41,86,51,61,71)。
【0026】
(第6発明の作用)
前記構成要件(B01)〜(B04)を備えた第6発明の真空紫外光照射装置では、内部に真空紫外光発生用の放電用電極(16,83)が配置された真空紫外光発生室(A)は、ガス流入路(19a,82a)から真空紫外光発生用ガスが流入する。前記真空紫外光発生室(A)に流入した真空紫外光発生用ガスはガス流出路(A1a)から流出する。
試料支持部材(21,31,41,86,51,61,71)は、前記真空紫外光発生室(A)内の真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置で且つ前記真空紫外光発生用ガスの流路中に試料を支持する。
したがって、真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置で且つ前記真空紫外光発生用ガスの流路中に支持された試料は、前記真空紫外光により照射されて洗浄される。洗浄時に試料表面から離脱した物質は前記ガス流路を流れる真空紫外光発生用ガスにより搬送され、真空紫外光発生室(A)の外部に流出する。
【0027】
(第6発明の形態1)
第6発明の真空紫外光照射装置の形態1は前記第6発明において次の構成要件(B05)を備えたことを特徴とする。
(B05)シート状の試料が前記真空紫外光発生室(A)内を横切って移動するように前記シート状試料を支持する前記試料支持部材(51,61,71)。
(第6発明の形態1の作用)
前記構成要件(B05)を備えた第6発明の形態1では、試料支持部材(51,61,71)により支持されたシート状の試料は、前記真空紫外光発生室(A)内を横切って移動する。
したがって、前記シート状試料は、前記真空紫外光発生室(A)内を横切って移動する際に、前記真空紫外光により照射されて洗浄される。洗浄時に試料表面から離脱した物質は前記ガス流路を流れる真空紫外光発生用ガスにより搬送され、真空紫外光発生室(A)の外部に流出する。
【0028】
(第7発明)
第7発明の真空紫外光照射方法は、内部に真空紫外光発生用の放電用電極(16,83)が配置された真空紫外光発生室(A)内にガス流入路(19a,82a)から真空紫外光発生用ガスを流入させ且つ前記流入した真空紫外光発生用ガスを真空紫外光発生室(A)から流出させながら前記放電用電極(16,83)を放電させて真空紫外光を発生させ、前記真空紫外光発生室(A)内の真空紫外光発生用ガスの流路中で且つ真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置に配置した試料(S)に真空紫外光を照射して試料洗浄を行うことを特徴とする。
【0029】
(第7発明の作用)
前記第7発明の真空紫外光照射方法では、内部に真空紫外光発生用の放電用電極(16,83)が配置され且つ真空紫外光発生用ガスが流入する真空紫外光発生室(A)内の真空紫外光発生用ガスの流路中で且つ真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置に配置された試料は、真空紫外光が照射されて洗浄される。
【0030】
(第8発明)
第8発明の真空紫外光照射方法は、内部に真空紫外光発生用の放電用電極(16,83)が配置された真空紫外光発生室(A)と、前記真空紫外光発生室(A)内に真空紫外光発生用ガスを流入させるガス流入路(19a,82a)と、前記真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室(A)から流出させる試料装着口(1a,81a)と、前記試料装着口(1a,81a)を閉塞する閉塞位置と開放する開放位置との間で移動可能で前記閉塞位置に移動した状態で前記試料装着口(1a,81a)の周縁との間にガス流出路(A1a)となる隙間を形成する試料支持部材(31,61)とを有する真空紫外光照射装置により、前記試料支持部材(31,61)の試料支持部に支持した試料の表面を洗浄する真空紫外光照射方法において、前記閉塞位置に移動した試料支持部材(31,61)の試料支持部に試料を支持し、前記ガス流入路(19a,82a)から流入した真空紫外光発生用ガスを前記試料周辺を流れさせた後に前記隙間から流出させながら前記試料(S)に真空紫外光を照射して試料表面を洗浄することを特徴とする。
【0031】
(第8発明の作用)
前記第8発明の真空紫外光照射方法では、内部に真空紫外光発生用の放電用電極(16,83)が配置された真空紫外光発生室(A)と、前記真空紫外光発生室(A)内に真空紫外光発生用ガスを流入させるガス流入路(19a,82a)と、前記真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室(A)から流出させる試料装着口(1a,81a)と、前記試料装着口(1a,81a)を閉塞する閉塞位置と開放する開放位置との間で移動可能で前記閉塞位置に移動した状態で前記試料装着口(1a,81a)の周縁との間にガス流出路(A1a)となる隙間を形成する試料支持部材(31,61)とを有する真空紫外光照射装置が使用される。
前記第8発明の真空紫外光照射方法では、前記閉塞位置に移動した試料支持部材(31,61)の試料支持部に試料を支持し、前記ガス流入路(19a,82a)から流入した真空紫外光発生用ガスを前記試料周辺を流れさせた後に前記隙間から流出させながら前記試料に真空紫外光を照射して試料表面を洗浄する。
【0032】
(第9発明)
第9発明の真空紫外光照射方法は、内部に真空紫外光発生用の放電用電極(16,83)が配置された真空紫外光発生室(A)と、前記真空紫外光発生室(A)内に真空紫外光発生用ガスを流入させるガス流入路(82a)と、前記真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室(A)から流出させる試料装着口(81a)と、ガス噴出口(80a)を有し且つ前記試料装着口(81a)を閉塞する閉塞位置と開放する開放位置との間で移動可能な開閉蓋(80)と、前記試料装着口(81a)を閉塞する閉塞位置と開放する開放位置との間で移動可能で前記閉塞位置に移動した状態で前記試料装着口(81a)の周縁との間にガス流出路となる隙間を形成する試料支持部材(86)とを有する真空紫外光照射装置により、前記試料支持部材(86)に支持された試料(S)の表面を洗浄する真空紫外光照射方法において、前記閉塞位置に移動した前記開閉蓋(80)の前記ガス噴出口(80a)から真空紫外光発生用ガスを噴出させながら前記試料(S)を支持する前記試料支持部材(86)を前記開閉蓋(80)に接近させてから、前記開閉蓋(80)を前記開放位置に移動させ、次に前記試料支持部材(86)を前記閉塞位置に移動させた状態で前記試料(S)を支持する前記試料支持部材(86)表面に沿って、前記ガス流入路(82a)から流入した真空紫外光発生用ガスを流れさせた後に前記隙間から流出させながら前記試料(S)表面に真空紫外光を照射して試料の表面を洗浄することを特徴とする。
【0033】
(第9発明の作用)
前記第9発明の真空紫外光照射方法では、内部に真空紫外光発生用の放電用電極(16,83)が配置された真空紫外光発生室(A)と、前記真空紫外光発生室(A)内に真空紫外光発生用ガスを流入させるガス流入路(82a)と、前記真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室(A)から流出させる試料装着口(81a)と、ガス噴出口(80a)を有し且つ前記試料装着口(81a)を閉塞する閉塞位置と開放する開放位置との間で移動可能な開閉蓋(80)と、前記試料装着口(81a)を閉塞する閉塞位置と開放する開放位置との間で移動可能で前記閉塞位置に移動した状態で前記試料装着口(81a)の周縁との間にガス流出路となる隙間を形成する試料支持部材(86)とを有する真空紫外光照射装置が使用される。
前記第9発明の真空紫外光照射方法では、前記閉塞位置に移動した前記開閉蓋(80)の前記ガス噴出口(80a)から真空紫外光発生用ガスを噴出させながら前記試料(S)を支持する前記試料支持部材(86)を前記開閉蓋(80)に接近させる。その状態で、前記開閉蓋(80)を前記開放位置に移動させてから前記試料支持部材(86)を前記閉塞位置に移動させる。その状態で前記試料(S)を支持する前記試料支持部材(86)表面に沿って、前記ガス流入路(82a)から流入した真空紫外光発生用ガスを流れさせた後に前記隙間から流出させながら前記試料(S)表面に真空紫外光を照射して試料の表面を洗浄する。
前記真空紫外光発生室(A)の試料装着口(81a)が大きい場合には、開閉蓋(80)が無い状態で排気すると、真空紫外光発生室(A)内の空気を真空紫外光発生用ガスに完全に置換するのが困難であるので、この第9発明では、噴出口(80a)を有する開閉蓋(80)を使用している。
【0034】
(第10発明)
第10発明の真空紫外光照射方法は、内部に真空紫外光発生用の放電用電極(16,83)が配置された真空紫外光発生室(A)と、前記真空紫外光発生室(A)内に真空紫外光発生用ガスを流入させるガス流入路(82a)と、前記真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室(A)から流出させる試料装着口(81a)と、前記試料装着口(81a)を横切る方向にシート状試料(S)を移動可能に支持し且つ前記試料装着口(81a)を横切って移動する前記シート状試料(S)と前記試料装着口(81a)の周縁との間にガス流出路(A1a)となる隙間が形成されるように構成された真空紫外光照射装置により、前記シート状試料(S)の表面を洗浄する真空紫外光照射方法において、前記試料装着口(81a)を横切って移動するシート状試料(S)表面に沿って、前記ガス流入路(82a)から流入した真空紫外光発生用ガスを流れさせた後に前記隙間から流出させながら前記シート状試料(S)に真空紫外光を照射してシート状試料の表面を洗浄することを特徴とする。
【0035】
(第10発明の作用)
前記第10発明の真空紫外光照射方法では、内部に真空紫外光発生用の放電用電極(83)が配置された真空紫外光発生室(A)と、前記真空紫外光発生室(A)内に真空紫外光発生用ガスを流入させるガス流入路(82a)と、前記真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室(A)から流出させる試料装着口(81a)と、前記試料装着口(81a)を横切る方向にシート状試料を移動可能に支持し且つ前記試料装着口(81a)を横切って移動する前記シート状試料(S)と前記試料装着口(81a)の周縁との間にガス流出路(A1a)となる隙間が形成されるように構成された真空紫外光照射装置が使用される。
そして前記第10発明の真空紫外光照射方法では、前記試料装着口(81a)を横切って移動するシート状試料(S)表面に沿って、前記ガス流入路(82a)から流入した真空紫外光発生用ガスを流れさせた後に前記隙間から流出させながら前記シート状試料(S)に真空紫外光を照射してシート状試料(S)の表面を洗浄する。
【0036】
(第11発明)
第11発明の真空紫外光照射方法は、内部に真空紫外光発生用の放電用電極(83)が配置された真空紫外光発生室(A)と、前記真空紫外光発生室(A)内に真空紫外光発生用ガスを流入させるガス流入路(82a)と、前記真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室(A)から流出させるガス流出路(88a,81a)と、前記真空紫外光発生室(A)の内部を横切る方向にシート状試料(S)を移動可能に支持する試料支持部材(71)とを有する真空紫外光照射装置により、前記シート状試料(S)の表面を洗浄する真空紫外光照射方法において、前記真空紫外光発生室(A)内部を横切って移動するシート状試料(S)表面に沿って、前記ガス流入路(82a)から流入した真空紫外光発生用ガスを流れさせた後に前記ガス流出路(88a,81a)から流出させながら前記シート状試料(S)表面に真空紫外光を照射してシート状試料(S)の表面を洗浄することを特徴とする。
【0037】
(第11発明の作用)
前記第11発明の真空紫外光照射方法では、内部に真空紫外光発生用の放電用電極(83)が配置された真空紫外光発生室(A)と、前記真空紫外光発生室(A)内に真空紫外光発生用ガスを流入させるガス流入路(82a)と、前記真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室(A)から流出させるガス流出路(88a,81a)と、前記真空紫外光発生室(A)の内部を横切る方向にシート状試料(S)を移動可能に支持する試料支持部材(71)とを有する真空紫外光照射装置が使用される。
そして前記第11発明の真空紫外光照射方法は、前記真空紫外光発生室(A)内部を横切って移動するシート状試料(S)表面に沿って、前記ガス流入路(82a)から流入した真空紫外光発生用ガスを流れさせた後に前記ガス流出路(88a,81a)から流出させながら前記シート状試料(S)表面に真空紫外光を照射してシート状試料(S)の表面を洗浄する。
【0038】
(第10発明または第11発明の形態1)
第10発明または第11発明の形態1の真空紫外光照射方法は、前記真空紫外光発生室(A)内を横切って移動するシート状試料(S)の移動に伴って大気が真空紫外光発生室(A)内に侵入するのを防止するため、前記真空紫外光発生室(A)内にシート状試料(S)が進入する部分に、真空紫外光発生用ガスまたは使用する真空紫外光を吸収しないガスを流して気流カーテンを形成することを特徴とする。
(第10発明または第11発明の形態1の作用)
前記第10発明または第11発明の形態1の真空紫外光照射方法では、前記真空紫外光発生室(A)内にシート状試料(S)が進入する部分に、真空紫外光発生用ガスまたは使用する真空紫外光を吸収しないガスを流して気流カーテンを形成するので、前記真空紫外光発生室(A)内を横切って移動するシート状試料(S)の移動に伴って大気が真空紫外光発生室(A)内に侵入するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0039】
前記本発明は次の作用効果(E01)を奏することができる。
(E01)本発明では、真空紫外光発生室内に配置した試料の周囲に真空紫外光発生用ガスを流しながら前記試料に真空紫外光を照射して試料洗浄を行うので、長いガス置換時間を必要とせずに、真空紫外光照射により試料洗浄を行える構成の簡素な真空紫外光照射装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
(実施例1)
図1は本発明の真空紫外光照射装置の実施例1の説明図で、図1Aは真空紫外光照射装置の側断面図、図1Bは前記図1AのIB−IB線断面図である。
図1に示す実施例1の真空紫外光照射装置Uは、上下方向に延びる断面円形の誘電体製の円筒状誘電体1を有しており、円筒状誘電体1の下端には試料装着口1aが形成されている。前記円筒状誘電体1の内部には、円筒室A1が形成されており、円筒室A1はその下端の試料装着口1aにより大気に連通している。前記円筒状誘電体1の外側面には円筒状電極2が設けられている。前記円筒状誘電体1および円筒状電極2により外側誘電体電極(外側放電用電極)(1+2)が構成されている。
前記円筒状誘電体1の上端部はベースプレート3に固定されている。前記ベースプレート3は、複数の固定用ボルト4により図示しない支柱に固定支持されている。
前記ベースプレート3の上面には円筒部材5が支持されており、前記円筒部材5の上端には上壁プレート6が配置されている。前記上壁プレート6および円筒部材3は、それらを貫通する複数の連結ボルト7により前記ベースプレート3に連結されている。
前記上壁プレート6の下方で且つ前記円筒部材5の内側には上部円筒室A2が形成されている。前記円筒室A1と前記上部円筒室A2とにより真空紫外光発生室Aが形成されている。
【0041】
前記上壁プレート6の中央部には内側誘電体電極(内側放電用電極)16の上端部が保持されてる。内側誘電体電極16は、電極部17および前記電極部17を被覆する誘電体18とを有している。前記電極部17は大径円柱状の放電電極部17aとその上端から上方に延びる給電電極部17bとを有している。前記放電電極部17aと給電電極部17bとは一体成形されているが、別体に構成して放電電極17aの上端に形成したメスネジ孔に給電電極部17bの下端に形成したオスネジを螺合させて連結することも可能である。
前記内側誘電体電極16と前記外側誘電体電極(1+2)とにより放電電極が構成されている。
前記円筒部材5を貫通してガス流入管19が設けられている。ガス流入管19の内部にはガス流入路19aが形成されている。ガス流入路19aから真空紫外光発生室Aの上部円筒室A2にエキシマガス(真空紫外光発生用ガス)を流入させると、エキシマガスは前記上部円筒室A2から円筒室A1を通って、且つ円筒室A1下端の試料装着口1aを通って外部に排出される。なお、本実施例1ではエキシマガスにはAr(アルゴン)を使用しているので、以下、「エキシマガスAr」と記載する。
ガスエキシマガスArを前記ガス流入路19aから上部円筒室A2、円筒室A1に流しながら、前記給電電極部17bに給電すると放電電極部17aの外周を被覆する誘電体18表面に放電が発生して真空紫外光が発生する。
【0042】
前記試料装着口1aの下方には、上下方向に移動可能な試料支持部材21が配置されている。試料支持部材21は、試料支持用のテーブル21aと前記テーブル21aの下面中央部から下方に延びるロッド21bとを有している。前記ロッド21bおよびその上端に連結されたテーブル21aは図示しない移動機構により上下に移動するように構成されている。
なお、試料支持部材21のテーブル21aが前記試料装着口1aに接近した位置に上昇した場合には、円筒状誘電体1の下端とテーブル21aの上面との間に、ガス流出路A1aが形成される。その状態では、真空紫外光発生室Aのガスはガス流出路A1aを通って外部に流出する。
前記円筒状電極2と給電電極部17bとの間には、給電装置U1から高周波電圧が印加されており、放電電極部17aの外周面を被覆する誘電体18の外表面と、前記円筒状誘電体1の内周面との間に放電発生するように構成されている。
【0043】
(実施例1の作用)
図2は前記実施例1の真空紫外光照射装置の作用説明図である。
図1、図2に示す真空紫外光照射装置により試料表面に真空紫外光を照射する場合、真空紫外光照射装置の動作順序は次の(1)〜(9)のとおりである。
(1)最初の状態では真空紫外光発生室A内には空気が充満している。
(2)放電させずに、ガス流入路19aから真空紫外光発生室AにArガス(エキシマガス)を流す。このときのガス流量は多めに設定する。
(3)試料を載せた試料支持部材21を開放位置から閉塞位置に接近させる(図1A参照)。
【0044】
(3)照射位置(図2参照)の少し手前の位置(図1A参照)で試料支持部材21を停止させ、試料S周囲の空気を排除する。なお、図1Aでは試料Sの図示は省略されている。
(4)空気が排除されたところで、試料支持部材21を少し上げて閉塞位置(図2参照、このときのガス流出路A1aの隙間はできるだけ小さくする。)にセットする。同時にArガスの流量を通常のエキシマ発生最適値まで減少させる。
その状態では、テーブル21a上面に支持された試料Sは試料装着口1aに隣接して配置される。その状態では、前記真空紫外光発生室Aを通ったエキシマガスArは、テーブル21a上面に支持された試料Sの周囲を流れ、円筒状誘電体1の下端とテーブル21a上面との間に形成されるガス流出路A1aを通って外部に流出する。
【0045】
(5)円筒状電極2および電極17間に電力を供給し、放電を開始して試料S表面に真空紫外光を照射する。
前記試料装着口1aに隣接して配置された試料Sには、真空紫外光が照射され、試料表面が洗浄される。また試料S表面から離脱した物質は試料Sの周囲を流れるエキシマガスと共に真空紫外光発生室Aの外部に流出する。したがって、従来のように真空試料室の気体を真空に排気したり、エキシマガスに置き換えたりする作業を行うことなく、試料表面を洗浄することができる。
このため、高い作業効率で試料洗浄を行うことができる。
(6)所定の照射時間経過後に放電を停止する。
(7)試料交換のため、必要最低限試料支持部材21を下降させて試料Sを交換する。
(8)試料交換後、照射位置(閉塞位置)の少し手前の位置(図1A参照)まで試料支持部材21を上昇させて試料S周囲の空気を排除する。
(9)以後、前記(4)〜(8)を繰り返す。
【0046】
前記実施例1によれば、試料Sを交換するときに、試料支持部材21の下降量を少なくし且つArガスを流しながら行うことにより、真空紫外光発生室A内への空気の流入を防止することができる。また、Arガスを流しながら試料Sを交換するので、試料Sの周囲の空気を速やかに除去することができる。
前記閉塞位置(図2参照)の下方でできるだけ前記閉塞位置に近い位置で試料交換をしてから、新しい試料Sを載置した試料支持部材21を上昇させて閉塞位置に接近させると、ガス流出路A1aの隙間が狭くなる。このとき、ガス流入路19aから流入するガス流量が一定であると、前記ガス流出路A1aから排出されるガスの速度は次第に速くなる。このとき、試料S周囲のガス圧が低下し、試料周囲の空気を強制的に吸い出すような現象になり、試料周囲の空気を速やかに排除することができる。
【0047】
図3は前記実施例1の真空紫外光照射装置Uの試料支持部材21のテーブル21a上面に、前記図2とは異なる形状の試料Sを配置して洗浄する場合を示す図である。
図3に示す試料Sの例としては半導体製造用のシリコンウエハー等がある。この図3に示す形状の試料Sも前記図2と同様に洗浄することができる。
【0048】
(実施例2)
図4は本発明の真空紫外光照射装置の実施例2の説明図である。
なお、この図4に示す実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
図4において、この実施例2の試料支持部材31は、試料搬送ベルト(試料支持部)31aと、前記試料搬送ベルト31aを回転可能に支持する複数のベルト支持ロール31bとにより構成されている。前記試料搬送ベルト31aの上面は前記試料装着口1aに接近して配置されている。そして、円筒状誘電体1の下端と試料搬送ベルト31aとの間の隙間によりガス流出路A1aが形成されている。
なお、試料搬送ベルト31aが円筒状誘電体1の下方に移動して来る部分には、試料搬送ベルト31aが円筒状誘電体1の下方に移動する際に大気が円筒状誘電体1下方に流入してくるのを防止するためのエキシマガス供給部材(気流カーテン形成部材)32が設けられている。
【0049】
(実施例2の作用)
この実施例2の真空紫外光照射装置により試料表面に真空紫外光を照射する場合、真空紫外光照射装置の動作順序は次のとおりである。
最初に前記実施例1の(1)〜(5)の動作と同じ動作を実行する。その後、試料Sが載置された前記試料搬送ベルト31aを所定の速度で搬送すると、試料Sが前記試料装着口1aを横切って通過する間、試料Sの表面は真空紫外光により照射されて洗浄される。
なお、試料Sが前記円筒状誘電体1の下方に移動した状態(前記試料装着口1aを横切る位置に移動した状態)で前記試料搬送ベルト31aを停止させて、前記停止した試料搬送ベルト31aの試料Sを真空紫外光により洗浄することができる。
また、エキシマガス供給部材(気流カーテン形成部材)32からエキシマガス(真空紫外光発生用ガス)が噴出されるので、試料搬送ベルト31aが円筒状誘電体1の下方(真空紫外光照射位置)に移動する際に大気が真空紫外光照射位置に流入してくるのを防止することができる。
【0050】
(実施例3)
図5は本発明の真空紫外光照射装置の実施例3および実施例3の変更例の説明図で、図5Aは実施例3の説明図、図5Bは前記実施例3の変更例の説明図である。
図6は前記図5AのVI−VI線断面図である。
なお、この図5、図6に示す実施例3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例3は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
図5、図6において、この実施例3の試料支持部材41は、試料支持用の大きな回転テーブル(試料支持部)41aと前記テーブル41aの下面中央部から下方に延びる回転軸41bとを有している。前記回転軸41bおよびその上端に連結されたテーブル41aは図示しない回転駆動機構により回転するように構成されている。
なお、試料支持部材41のテーブル41aの上面は前記試料装着口1aに接近した位置に配置されており、円筒状誘電体1の下端とテーブル41aの上面との間に、ガス流出路A1aが形成される。その状態では、真空紫外光発生室Aのガスはガス流出路A1aを通って外部に流出する。
【0051】
図6において前記試料装着口1aの外側面には、前記回転テーブル41aの回転方向上流側の半円周部分からエキシマガスを吹き出して気流カーテンを形成するエキシマガス供給部材(気流カーテン形成部材)42が装着されている。エキシマガス供給部材(気流カーテン形成部材)42は、前記試料装着口1aの下端部外側面の、前記回転テーブル41aの回転方向上流側の半円周部分に装着した断面円形の円弧状排気管42aと、前記円弧状排気管42aの中央部から上方に延びる気体供給管42bとを有している。前記円弧状排気管42aの下側面には多数の排気口42cが形成されている。
前記気体供給管42bからエキシマガス(真空紫外光発生用ガス)または使用する真空紫外光を吸収しないガスが供給される。前記供給されたガスは、前記試料装着口1aの下端部外側面の、前記回転テーブル41aの回転方向上流側に気流カーテンを形成するので、前記真空紫外光発生室(A)内を横切って移動するシート状試料(S)の移動に伴って大気が真空紫外光発生室(A)内に侵入するのを防止することができる。
【0052】
(実施例3の作用)
この実施例3の真空紫外光照射装置により試料表面に真空紫外光を照射する場合、真空紫外光照射装置の動作順序は次のとおりである。
最初に前記実施例1の(1)〜(5)の動作と同じ動作を実行する。その後、試料Sが載置された試料支持部材41のテーブル41aが回転すると、テーブル41a上に配置した複数の試料Sは順次、円筒状誘電体1の下方に移動させ所定時間停止させる。試料Sは、前記円筒状誘電体1の下方に停止した状態で真空紫外光により洗浄される。
【0053】
(実施例3の変更例1)
前記実施例3の変更例は図5Bに示すように、テーブル(試料支持部材)41aの上面(試料支持部)に試料収容凹部41cが形成されている、前記試料収容凹部41cに試料(S)を載せることにより、テーブル(試料支持部材)41aの上面(試料支持部)からの試料(S)の突出量を減少させたり、0(ゼロ)にしたりすることができる。この場合、前記テーブル(試料支持部材)41aの上面(試料支持部)を前記試料装着口1aの外端(下端)に接近させた状態で、前記試料装着口1aを横切って移動させることができる。その場合、試料支持部表面にと試料装着口1a外端との間に形成される隙間を小さくすることができるので、前記隙間から漏出する真空紫外光発生用ガスの量を少なくすることができる。
【0054】
(実施例4)
図7は本発明の真空紫外光照射装置の実施例4の説明図で、図7Aは試料支持部材が試料装着口の下方に配置されている状態を示す図、図7Bは前記図7AのVIIB−VIIB線から見た図である。
図8は本発明の真空紫外光照射装置の実施例4の説明図で、試料支持部材が試料装着口に隣接する位置(洗浄位置)に配置されている状態を示す図である。
図7において、外壁81は、平断面が4角形(図7B参照)となる角筒状の側壁を有している。前記外壁81の内側には真空紫外光発生室Aが形成されている。前記外壁81を貫通するガス流入管82の内側にはガス流入路82aが形成されている。ガス流入路82aからは真空紫外光発生ガスが流入する。
前記真空紫外光発生室A内部には一対の放電用電極部材83,83が水平に配置されている。各放電用電極部材83,83は、放電電極部84と前記放電電極部84の周囲を被覆する誘電体85とを有している。給電装置U1により、前記各放電用電極部材83,83に極性の異なる交流電圧を印加することにより各放電用電極部材83,83の間の空間で放電が生じる。
【0055】
外壁81の下端には試料装着口81aが形成されている。試料装着口81aは水平方向にスライド可能なシャッタ80により開閉可能である。シャッタ80には複数のガス噴出口80aが形成されている。
なお、シャッタ80と外壁81との間は、密封する必要はないので、Oリング封止またはガスケット封止等の密封手段は設けられていない。
シャッタ80が閉塞状態では、前記ガス流入路82aから流入したエキシマガスArは、大部分は複数のガス噴出口80aから外部に流出するが、一部分はシャッタ80と外壁81との隙間からも流出する。
前記シャッタ80と外壁81との隙間から流出するガス量はガス圧とガス噴出口80aの大きさおよび個数等に依存する。なお、真空紫外光発生室A内のガス圧を大気圧よりもわずかに高くすることにより、前記シャッタ80と外壁81との隙間から大気が真空紫外光発生室A内に流入することを防止することができる。
【0056】
前記前記試料装着口81aの下方には試料支持部材86が上下に移動可能に配置されている。試料支持部材86は試料支持用のテーブル86aとテーブル86aの下面中央部から下方に延びるロッド86bとを有している。前記ロッド86bおよびその上端に連結されたテーブル86aは図示しない移動機構により上下に移動するように構成されている。
図8において、前記シャッタ80が開放状態で、試料支持部材86のテーブル86aが前記試料装着口81aに接近した位置に上昇した場合には、外壁81の下端とテーブル86aの上面との間に、ガス流出路A1aが形成される。その状態では、真空紫外光発生室Aのガスはガス流出路A1aを通って外部に流出する。
【0057】
(実施例4の作用)
この実施例4では、シャッタ80を閉塞状態にして、ガス流入路82aからArガスを流入させ、シャッタ80の複数のガス噴出口から噴出させて真空紫外光発生室A内の空気を排出しArガスで充満させる。真空紫外光発生室A内にArガスを充満させた状態で、テーブル86およびその上に載置した試料Sを前記シャッタ80の下面に接近させる。テーブル86およびその上に載置した試料Sが前記シャッタ80の下面に接近した状態(図7に示す状態)ではテーブル86aと外壁81との距離はかなり小さい。その状態ではシャッタ80のガス噴出口80aから流出するArガスにより試料S周囲の空気は排除される。その状態でシャッタ80を閉塞位置から開放位置に移動させると、真空紫外光発生室A内のArガス(エキシマガス)はテーブル86aと外壁81の下端との間に形成される空間から外部に流出する。
シャッタ80が完全に開放された状態で前記テーブル86aをさらに上昇させて試料Sを試料装着口81内、または前記試料装着口81の近接位置に配置する(図8参照)。前記図8の状態で試料Sの表面に真空紫外光が照射されるので、試料Sの洗浄が行われる。
前記図8に示す状態では、前記テーブル86aと外壁81の下端との間の隙間により形成されるガス流出口A1aは狭くなる。ガス流出口A1aが狭くなると、エキシマガスの消費量を節約することができる。
【0058】
(実施例5)
図9は本発明の真空紫外光照射装置の実施例5の説明図である。
なお、この図9に示す実施例5の説明において、前記実施例4の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例5は、下記の点で前記実施例4と相違しているが、他の点では前記実施例4と同様に構成されている。
図9において、この実施例5の試料支持部材51は、シート状の試料Sの下面を支持する回転自在な複数のシート状試料支持ロール51aにより構成されている。前記外壁81を形成する前記角筒状の側壁の幅は、前記複数のシート状試料支持ロール51aにより支持されるシート状の試料Sの幅はとほぼ等しいものが使用される。
したがって、前記シート状の試料Sと外壁81の下端との間に形成される隙間は小さい。前記シート状の試料Sと外壁81の下端との間の小さい隙間によりガス流出路A1aが形成されている。
なお、外壁81の内側の真空紫外光発生室Aの下方にシート状の試料Sが搬送されて来る際に試料Sの移動に伴って大気が真空紫外光発生室A内に流入してくるのを防止するためのエキシマガス供給部材(気流カーテン形成部材)87が設けられている。エキシマガス供給部材(気流カーテン形成部材)87はシート状材料(S)の幅方向に沿って配置された図示しない多数の噴出口からエキシマガスを噴出して、気流カーテンを形成する。
前記シート状の試料Sは、試料装着口81aの下方を横切って搬送される際に真空紫外光が照射されて洗浄される。
【0059】
(実施例6)
図10は本発明の真空紫外光照射装置の実施例6の説明図である。
この実施例6は、下記の点で前記図9に示す実施例5と相違しているが、他の点では前記実施例5と同様に構成されている。
図10において、この実施例6の試料支持部材61は、試料搬送ベルト(試料支持部材)61aと、前記試料搬送ベルト61aを回転可能に支持する複数のベルト支持ロール61bとにより構成されている。前記試料搬送ベルト61aは、その上面が前記試料装着口81aに接近して配置される図10に示す閉塞位置と、前記図10に示す位置から下方に移動した開放位置(図示せず)との間で移動可能に支持されている。そして、外壁81の下端と試料搬送ベルト61aとの間の隙間によりガス流出路A1aが形成されている。
この実施例6の試料Sはシート状部材であり、繰出ロール62に巻付けられたシート状の試料Sが巻取ロール63に巻き取られる。前記シート状の試料Sは前記試料搬送ベルト61a上面に接触した状態で前記試料装着口81aを横切って搬送される。前記シート状の試料Sの表面は、前記試料装着口81aを横切って搬送される際に真空紫外光により照射されて洗浄される。
【0060】
なお、図10に示すシート状の試料Sの幅が試料装着口81aの幅(外壁81の1辺の長さ)とほぼ同一の場合は、図10に示す試料搬送ベルト61aを省略することが可能である。その場合、シート状の試料Sは前記複数のベルト支持ロール61bによってガイドされながら試料装置口1aを横切って搬送される。
この場合もシート状の試料Sの表面に真空紫外光を照射して試料Sの洗浄を行うことができる。
【0061】
(実施例7)
図11は本発明の真空紫外光照射装置の実施例7の説明図である。
図12は前記図11のXII−XII線断面の要部を示す図である。
なお、この図11、図12に示す実施例7の説明において、前記実施例4の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例7は、下記の点で前記実施例4と相違しているが、他の点では前記実施例4と同様に構成されている。
図11において、この実施例7の外壁81の下端には閉塞蓋88が装着されている。閉塞蓋88には複数のガス流出路88aが形成されている。真空紫外光発生室室A内部には上下方向に延びる放電用電極部材83,83が配置されており、放電用電極部材83,83の上部は外壁81を貫通して上方に突出している。
図12において、外壁81の対向して配置された一対の側壁には試料貫通口81a,81aが形成されている。図12において試料支持部材71はシート状の試料Sをガイドするエンドレスの試料ガイドベルト71aと、前記試料ガイドベルト71aを回転可能に支持する複数のベルト支持ロール71bとを有している。試料ガイドベルト71aは前記一対の試料貫通口81a,81aを貫通して真空紫外光発生室Aの角筒室A1を横切って配置されている。
前記ガス流入路82aから前記角筒室(A1)に流入したArガスは、前記一対の試料貫通口81a,81aを貫通する試料ガイドベルト71aと前記試料貫通口81a,81aとの間の隙間、および前記ガス流出路88aを通って外部に流出可能である。
【0062】
図11、図12において、繰り出しロール72に巻き付けられたシート状の試料Sは、前記試料貫通口81a,81aを貫通し、真空紫外光発生室Aの角筒室A1を横切って、巻取ロール73に巻き取られるように配置されている。前記シート状の試料Sは、洗浄される表面の反対側の面が前記試料ガイドベルト71aに接触した状態で前記真空紫外光発生室Aの角筒室A1を横切って搬送される。
前記試料貫通口81a,81aを貫通し前記真空紫外光発生室Aの角筒室A1を横切って搬送されるシート状の試料Sは、放電電極部17aに対向する表面が真空紫外光に照射されて洗浄される。
なお、前記図10に示す実施例6において試料搬送ベルト61aを省略できたと同様に、この図11、図12に示す実施例7においても、試料ガイドベルト71aを省略可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例を下記に例示する。
(H01)Ar(アルゴン)以外のエキシマガスを使用可能である。
(H02)本発明の真空紫外光照射装置は試料洗浄装置以外に、試料表面改質装置にも適用可能である。
(H03)真空紫外光照射装置の試料装着口に試料支持部材を接近させる構成としては、真空紫外光照射装置を移動させて試料装着口を試料支持部材に接近させる構成や、試料支持部材を移動させて真空紫外光照射装置の試料装着口にに接近させる構成を採用することが可能である。
(H04)前記各実施例では試料Sは試料支持部材の上面に突出状態で支持されているが、試料支持部材の上面に試料収容凹部を形成し、前記試料収容凹部に洗浄用の試料を配置することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は本発明の真空紫外光照射装置の実施例1の説明図で、図1Aは真空紫外光照射装置の側断面図、図1Bは前記図1AのIB−IB線断面図である。
【図2】図2は前記実施例1の真空紫外光照射装置の作用説明図である。
【図3】図3は前記実施例1の真空紫外光照射装置Uの試料支持部材21のテーブル21a上面に、前記図2とは異なる形状の試料Sを配置して洗浄する場合を示す図である。
【図4】図4は本発明の真空紫外光照射装置の実施例2の説明図である。
【図5】図5は本発明の真空紫外光照射装置の実施例3および実施例3の変更例の説明図で、図5Aは実施例3の説明図、図5Bは前記実施例3の変更例の説明図である。
【図6】図6は前記図5AのVI−VI線断面図である。
【図7】図7は本発明の真空紫外光照射装置の実施例4の説明図で、図7Aは試料支持部材が試料装着口の下方に配置されている状態を示す図、図7Bは前記図7AのVIIB−VIIB線から見た図である。
【図8】図8は本発明の真空紫外光照射装置の実施例4の説明図で、試料支持部材が試料装着口に隣接する位置(試料洗浄位置)に配置されている状態を示す図である。
【図9】図9は本発明の真空紫外光照射装置の実施例5の説明図である。
【図10】図10は本発明の真空紫外光照射装置の実施例6の説明図である。
【図11】図11は本発明の真空紫外光照射装置の実施例7の説明図である。
【図12】図12は前記図11のXII−XII線断面の要部を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
A…真空紫外光発生室、
A1a…ガス流出路、
1a,81a…試料装着口、
16,83…放電用電極、
19a,82a…ガス流入路、
21,31,41,86,51,61,71…試料支持部材、
41…回転プレート、


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構成要件(A01)〜(A05)を備えた真空紫外光照射装置、
(A01)試料洗浄用の真空紫外光を発生する真空紫外光発生室、
(A02)真空紫外光発生室内に配置された真空紫外光発生用の放電用電極、
(A03)前記放電用電極が放電したときに真空紫外光を発生する真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室内に流入させるガス流入路、
(A04)前記真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置に形成され、前記真空紫外光発生室内に流入した前記真空紫外光発生用ガスを真空紫外光発生室から流出させる試料装着口、
(A05)前記試料装着口の一部分を閉塞し且つ前記試料装着口の外端縁との間にガス流出路を形成する閉塞位置と前記試料装着口を開放する開放位置との間で移動可能に支持され、前記閉塞位置に移動した状態で前記真空紫外光が照射される試料支持部を有し且つ前記真空紫外光発生用ガスが前記試料支持部から前記ガス流出路を通って真空紫外光発生室の外部に流れるように構成された試料支持部材。
【請求項2】
下記の構成要件(A01)〜(A04),(A06)を備えた真空紫外光照射装置、
(A01)試料洗浄用の真空紫外光を発生する真空紫外光発生室、
(A02)真空紫外光発生室内に配置された真空紫外光発生用の放電用電極、
(A03)前記放電用電極が放電したときに真空紫外光を発生する真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室内に流入させるガス流入路、
(A04)前記真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置に形成され、前記真空紫外光発生室内に流入した前記真空紫外光発生用ガスを真空紫外光発生室から流出させる試料装着口、
(A06)前記試料装着口の一部分を閉塞し且つ前記試料装着口の外端縁との間にガス流出路を形成する状態で前記試料装着口を横切って移動可能に支持された試料支持部を有し且つ前記真空紫外光発生用ガスが前記試料支持部から前記ガス流出路を通って真空紫外光発生室の外部に流れるように構成された試料支持部材。
【請求項3】
下記の構成要件(A07)を備えた請求項2記載の真空紫外光照射装置、
(A07)長手方向に搬送される帯状部材により構成され且つ上面が試料支持部として使用される前記試料支持部材。
【請求項4】
下記の構成要件(A08)を備えた請求項2記載の真空紫外光照射装置、
(A08)回転プレートにより構成され且つ上面が試料支持部として使用される前記試料支持部材。
【請求項5】
下記の構成要件(A09)を備えた請求項2ないし4のいずれか記載の真空紫外光照射装置、
(A09)前記試料装着口を横切って移動可能に支持された試料支持部が前記真空紫外光照射位置に移動するのに伴って大気が前記真空紫外光照射位置に進入するのを防止するために、前記真空紫外光照射位置に試料支持部が進入する部分に真空紫外光発生用ガスまたは使用する真空紫外光を吸収しないガスを流して気流カーテンを形成する気流カーテン形成部材。
【請求項6】
下記の構成要件(A010)を備えた請求項2ないし5のいずれか記載の真空紫外光照射装置、
(A010)試料が収容される試料収容凹部が形成された前記試料支持部。
【請求項7】
下記の構成要件(A01)〜(A04),(A011)を備えた真空紫外光照射装置、
(A01)試料洗浄用の真空紫外光を発生する真空紫外光発生室、
(A02)真空紫外光発生室内に配置された真空紫外光発生用の放電用電極、
(A03)前記放電用電極が放電したときに真空紫外光を発生する真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室内に流入させるガス流入路、
(A04)前記真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置に形成され、前記真空紫外光発生室内に流入した前記真空紫外光発生用ガスを真空紫外光発生室から流出させる試料装着口、
(A011)前記試料装着口の一部分を閉塞し且つ前記試料装着口の外端縁との間にガス流出路を形成するとともに前記試料装着口を横切って配置された試料支持部材であって、シート状試料を支持する前記試料支持部材。
【請求項8】
下記の構成要件(A012)を備えた請求項7記載の真空紫外光照射装置、
(A012)前記試料装着口の一部分を閉塞し且つ前記試料装着口の外端縁との間にガス流出路を形成する閉塞位置と前記試料装着口を開放する開放位置との間で前記シート状試料を移動可能に支持する前記試料支持部材。
【請求項9】
下記の構成要件(A01)〜(A04),(A013)を備えた真空紫外光照射装置、
(A01)試料洗浄用の真空紫外光を発生する真空紫外光発生室、
(A02)真空紫外光発生室内に配置された真空紫外光発生用の放電用電極、
(A03)前記放電用電極が放電したときに真空紫外光を発生する真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室内に流入させるガス流入路、
(A04)前記真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置に形成され、前記真空紫外光発生室内に流入した前記真空紫外光発生用ガスを真空紫外光発生室から流出させる試料装着口、
(A013)シート状試料が前記試料装着口の一部分を閉塞し且つ前記試料装着口の外端縁との間にガス流出路を形成する状態で前記試料装着口を横切って移動するように前記シート状試料を移動可能に支持する試料支持部材。
【請求項10】
下記の構成要件(A01)〜(A03),(A014),(A015)を備えた真空紫外光照射装置、
(A01)試料洗浄用の真空紫外光を発生する真空紫外光発生室、
(A02)真空紫外光発生室内に配置された真空紫外光発生用の放電用電極、
(A03)前記放電用電極が放電したときに真空紫外光を発生する真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室内に流入させるガス流入路、
(A014)前記真空紫外光発生室内に流入した前記真空紫外光発生用ガスを真空紫外光発生室から流出させるガス流出路、
(A015)前記ガス流入路から流入した真空紫外光発生ガスが前記ガス流出路に流れる真空紫外光発生室内のガス流路中で且つ前記真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置をシート状試料が通過するように前記シート状試料を移動可能に支持する試料支持部材。
【請求項11】
下記の構成要件(A016)を備えた請求項9または10記載の真空紫外光照射装置、
(A016)前記シート状試料が前記真空紫外光照射位置に移動するのに伴って大気が前記真空紫外光照射位置に進入するのを防止するために、前記真空紫外光照射位置にシート状試料が進入する部分に真空紫外光発生用ガスまたは使用する真空紫外光を吸収しないガスを流して気流カーテンを形成する気流カーテン形成部材。
【請求項12】
次の構成要件(B01)〜(B04)を備えた真空紫外光照射装置、
(B01)内部に真空紫外光発生用の放電用電極が配置された真空紫外光発生室、
(B02)前記真空紫外光発生室内に真空紫外光発生用ガスを流入させるガス流入路、
(B03)前記流入した真空紫外光発生用ガスを真空紫外光発生室から流出させるガス流出路、
(B04)前記真空紫外光発生室内の真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置で且つ前記真空紫外光発生用ガスの流路中に試料を支持する試料支持部材。
【請求項13】
次の構成要件(B05)を備えた請求項12記載の真空紫外光照射装置、
(B05)シート状の試料が前記真空紫外光発生室内を横切って移動するように前記シート状試料を支持する前記試料支持部材。
【請求項14】
内部に真空紫外光発生用の放電用電極が配置された真空紫外光発生室内にガス流入路から真空紫外光発生用ガスを流入させ且つ前記流入した真空紫外光発生用ガスを真空紫外光発生室から流出させながら前記放電用電極を放電させて真空紫外光を発生させ、前記真空紫外光発生室内の真空紫外光発生用ガスの流路中で且つ真空紫外光が照射される真空紫外光照射位置に配置した試料に真空紫外光を照射して試料洗浄を行う真空紫外光照射方法。
【請求項15】
内部に真空紫外光発生用の放電用電極が配置された真空紫外光発生室と、前記真空紫外光発生室内に真空紫外光発生用ガスを流入させるガス流入路と、前記真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室から流出させる試料装着口と、前記試料装着口を閉塞する閉塞位置と開放する開放位置との間で移動可能で前記閉塞位置に移動した状態で前記試料装着口の周縁との間にガス流出路となる隙間を形成する試料支持部材とを有する真空紫外光照射装置により、前記試料支持部材の試料支持部に支持した試料の表面を洗浄する真空紫外光照射方法において、前記閉塞位置に移動した試料支持部材の試料支持部に試料を支持し、前記ガス流入路から流入した真空紫外光発生用ガスを前記試料周辺を流れさせた後に前記隙間から流出させながら前記試料に真空紫外光を照射して試料表面を洗浄する真空紫外光照射方法。
【請求項16】
内部に真空紫外光発生用の放電用電極が配置された真空紫外光発生室と、前記真空紫外光発生室内に真空紫外光発生用ガスを流入させるガス流入路と、前記真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室から流出させる試料装着口と、ガス噴出口を有し且つ前記試料装着口を閉塞する閉塞位置と開放する開放位置との間で移動可能な開閉蓋と、前記試料装着口を閉塞する閉塞位置と開放する開放位置との間で移動可能で前記閉塞位置に移動した状態で前記試料装着口の周縁との間にガス流出路となる隙間を形成する試料支持部材とを有する真空紫外光照射装置により、前記試料支持部材に支持された試料の表面を洗浄する真空紫外光照射方法において、前記閉塞位置に移動した前記開閉蓋の前記ガス噴出口から真空紫外光発生用ガスを噴出させながら前記試料を支持する前記試料支持部材を前記開閉蓋に接近させてから、前記開閉蓋を前記開放位置に移動させ、次に前記試料支持部材を前記閉塞位置に移動させた状態で前記試料を支持する前記試料支持部材表面に沿って、前記ガス流入路から流入した真空紫外光発生用ガスを流れさせた後に前記隙間から流出させながら前記試料表面に真空紫外光を照射して試料の表面を洗浄することを特徴とする真空紫外光照射方法。
【請求項17】
内部に真空紫外光発生用の放電用電極が配置された真空紫外光発生室と、前記真空紫外光発生室内に真空紫外光発生用ガスを流入させるガス流入路と、前記真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室から流出させる試料装着口と、前記試料装着口を横切る方向にシート状試料を移動可能に支持し且つ前記試料装着口を横切って移動する前記シート状試料と前記試料装着口の周縁との間にガス流出路となる隙間が形成されるように構成された真空紫外光照射装置により、前記シート状試料の表面を洗浄する真空紫外光照射方法において、前記試料装着口を横切って移動するシート状試料表面に沿って、前記ガス流入路から流入した真空紫外光発生用ガスを流れさせた後に前記隙間から流出させながら前記シート状試料に真空紫外光を照射してシート状試料の表面を洗浄する真空紫外光照射方法。
【請求項18】
内部に真空紫外光発生用の放電用電極が配置された真空紫外光発生室と、前記真空紫外光発生室内に真空紫外光発生用ガスを流入させるガス流入路と、前記真空紫外光発生用ガスを前記真空紫外光発生室から流出させるガス流出路と、前記真空紫外光発生室の内部を横切る方向にシート状試料を移動可能に支持する試料支持部材とを有する真空紫外光照射装置により、前記シート状試料の表面を洗浄する真空紫外光照射方法において、前記真空紫外光発生室内部を横切って移動するシート状試料表面に沿って、前記ガス流入路から流入した真空紫外光発生用ガスを流れさせた後に前記ガス流出路から流出させながら前記シート状試料表面に真空紫外光を照射してシート状試料の表面を洗浄する真空紫外光照射方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−102700(P2006−102700A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295455(P2004−295455)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成15年度、経済産業省、真空紫外光を用いた小型汎用洗浄装置の開発の委託研究、産業再生法第30条の適用をうけるもの)
【出願人】(505088983)株式会社NTP (5)
【Fターム(参考)】