真空蒸着装置
【課題】真空蒸着装置において成膜再現性を改善する。
【解決手段】真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、及び基板保持部と蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタを備えた真空蒸着装置において、さらに、真空槽の底面側に配置され、蒸着材料充填容器を囲む遮蔽板を備え、遮蔽板について、遮蔽板の高さが蒸着材料充填容器よりも高くかつシャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、遮蔽板の内周によって画定される領域がシャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に含まれ、遮蔽板が蒸着材料充填容器から離隔されて配置され、遮蔽板の平面断面図において、遮蔽板がその内周によって画定される領域の閉塞を開放する少なくとも1つの開放部を有する構成とした。
【解決手段】真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、及び基板保持部と蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタを備えた真空蒸着装置において、さらに、真空槽の底面側に配置され、蒸着材料充填容器を囲む遮蔽板を備え、遮蔽板について、遮蔽板の高さが蒸着材料充填容器よりも高くかつシャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、遮蔽板の内周によって画定される領域がシャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に含まれ、遮蔽板が蒸着材料充填容器から離隔されて配置され、遮蔽板の平面断面図において、遮蔽板がその内周によって画定される領域の閉塞を開放する少なくとも1つの開放部を有する構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄膜形成のための真空蒸着装置に関し、より具体的には、成膜材料の溶かし込み工程に関連する構成に関する。
【背景技術】
【0002】
図7Aに一般的な真空蒸着装置100の概略構成を示す。真空蒸着装置100は、図示しない真空排気装置、ガス導入装置などに接続された密閉容器からなる真空槽2、真空槽2の底面に配置され蒸着材料を蒸発させるための蒸発源3、蒸発源3に対向配置され成膜対象基板41を保持する基板保持部4、基板保持部4を蒸発源3から遮蔽する可動のシャッタ5、及び真空槽2内部の露出した側壁及び底壁を覆う防着板7を備える。図7Bに示すように、蒸発源3は並置された坩堝31及び電子銃32からなり、蒸発は電子銃32からの電子ビーム33を坩堝31内の蒸着材料に照射・加熱することにより行われる。
【0003】
次に動作について説明する。まず、準備工程において、基板保持部4に処理対象基板41が設置され、蒸発源3に成膜に応じた蒸着材料が充填される。次に、真空槽2内部が高真空領域まで排気されるとともに、シャッタ5を閉じた状態で電子銃32から電子ビーム33が坩堝31内の蒸着材料に照射され、蒸着材料が溶融されることにより成膜前段階の溶かし込み工程が行われる。次に、必要に応じて成膜ガスが導入され、真空槽2内部が所定の圧力に維持される。次に、成膜直前の溶かし込み工程において、成膜に必要な蒸着レートが得られるまで蒸着材料を再度加熱溶融する。シャッタ5が開放されて成膜工程が開始されると、蒸着材料が真空槽2内部で飛散し、それが成膜対象基板41上に堆積することで薄膜が形成される。
【0004】
ところで、成膜前段階の溶かし込み工程においては、蒸着材料から水分やガスが発生する。これらによって成膜前段階の溶かし込み工程では成膜工程に比べて蒸発源周辺の圧力が高くなるので、蒸着材料は広角に、即ち、横方向に飛散する。従って、横方向に飛散した蒸発粒子はシャッタ5では遮蔽されずに防着板7に堆積することになる。また、成膜直前の溶かし込み工程においても、蒸発粒子の一部はシャッタ5では遮蔽されずに防着板7に堆積する。
ここで、溶かし込み工程(以下、成膜前段階の溶かし込み工程と成膜直前の溶かし込み工程をあわせて溶かし込み工程とする。)で防着板7に蒸着材料からの蒸発粒子が堆積することについては以下のような問題がある。
【0005】
(1)成膜再現性への影響
溶かし込み工程において真空槽内部に堆積した膜は、水分やガスを吸着する。特に成膜前段階の溶かし込み工程においては電子ビームのパワーを高く設定し、通常は真空槽への酸素導入も行われないため、酸化度の低い不安定な膜が堆積する。この不安定な膜は水分等を吸着し易く、しかも剥れ落ち易い。
ここで、この吸着された水分等が成膜工程における温度変化等により再放出されると、真空槽内部の圧力変動がもたらされてしまう。圧力が変動すると、成膜中の蒸発材料の蒸発分布が変わってしまい、成膜の再現性が損なわれるという問題があった。また、成膜中に剥れ落ちた膜によって真空槽内にパーティクルが発生するという問題もあった。
【0006】
(2)メンテナンス性への影響
上記と関連して、防着板7に堆積した膜は頻繁に清掃することが必要となる。しかし、真空槽の内壁の広い部分を覆う防着板を取り外し、清掃し、再装着するのは多くの労力と時間を要するため、作業効率上好ましくないという問題があった。
【0007】
(3)タクトタイムへの影響
溶かし込み工程において堆積した不安定な膜は、特に、真空槽の大気開放時に大量の水分等を吸着する。これら吸着された水分等を膜中から放出させるには、十分な排気が必要であり、排気時間が与えるタクトタイムへの影響が大きいという問題もあった。
【0008】
特許文献1では、上記の問題に対処すべく、シャッタの上方に水平な防着板を設け、シャッタによってその水平防着板の開口部を開閉する構成が開示されている。この構成によって、溶かし込み工程中は水平防着板とシャッタによって囲まれる比較的狭い空間に蒸発粒子が閉じ込められる一方、成膜工程中は成膜材料が水平防着板に遮られることなく基板保持具に到達することが記載されている。
【0009】
特許文献2では、温度によって形状が変化するバイメタルの飛散防止壁が坩堝内壁周縁に設けられ、蒸着材料からの輻射熱と冷却ブロックの放熱によって飛散防止壁の形状が適宜変化させられる構成が開示されている。そして、飛散防止壁は、溶かし込み工程中はより垂直に立ち、成膜工程中はそれが開くように構成され、溶かし込み工程中に飛散する蒸着材料の多くを飛散防止壁の内壁に衝突させて坩堝内に回収することが記載されている。
【0010】
また、特許文献3では、溶かし込み工程と成膜工程の別はないが、蒸発源を囲む遮蔽体の装脱によって蒸発物の入射角度が切り換えられる構成が開示されている。即ち、遮蔽体装着時は垂直蒸着に、非装着時は全角蒸着に切り換えることが記載されている。
【特許文献1】特開平5−70931号公報
【特許文献2】特開平6−136520号公報
【特許文献3】特開2000−114201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1では溶かし込み工程中に遮蔽板とシャッタにより閉空間が形成される。この構成によると、蒸着材料からの蒸発粒子の堆積を防着板の下部領域に集中させることができ、メンテナンスの容易化をある程度期待できる。しかし、成膜開始時にシャッタを開いた瞬間に蒸発源周辺の圧力が急峻に変化し、それに伴って蒸発レートや蒸発分布も変化することにより、成膜の再現性が確保し難いという問題がある。
【0012】
また、特許文献1及び3のように遮蔽物で蒸発源周辺を覆い囲む構成とすると、蒸発源周辺の雰囲気(圧力)を適切に調整することが難しくなる。蒸発源周辺の圧力変化によって蒸発分布も変化するので、この圧力を制御下におけない構成では結果として成膜再現性を確保できないことになる。
またさらに、特許文献1のように閉空間内に坩堝及び電子銃が配置され、電子銃周辺の圧力も高くなる構成においては、その圧力上昇により電子銃が異常放電することや、電子銃のフィラメントの寿命が短くなるという問題もある。
【0013】
特許文献2の構成によると、飛散防止壁に衝突した粒子を回収するため飛散防止壁を坩堝近傍の上方に配置するが、溶かし込み工程中に飛散防止壁に堆積した膜が成膜工程中に坩堝内に剥れ落ちると、蒸着材料の適切な蒸発が妨げられ、成膜精度又は成膜再現性を確保できなくなるという問題がある。具体的には、レートの変動により成膜が不安定となること、組成が変化し膜質が異なってしまうこと、パーティクルが発生しこれが膜中に混入して良品が確保できないとことがあげられる。
また、飛散防止壁の開状態を確保するための冷却部材が別途必要となり、装置の構成が複雑になるという問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の側面は、真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、及び基板保持部と蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタを備えた真空蒸着装置において、さらに、真空槽の底面側に配置され、蒸着材料充填容器を囲む遮蔽板を備え、遮蔽板について、遮蔽板の高さが蒸着材料充填容器よりも高くかつシャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、遮蔽板の内周によって画定される領域がシャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に包含され、遮蔽板が蒸着材料充填容器から離隔されて配置され、遮蔽板の平面断面図において、遮蔽板がその内周によって画定される領域の閉塞を開放する少なくとも1つの開放部を有する真空蒸着装置である。
遮蔽板とシャッタの位置関係を適正化することにより、閉空間を作ることなく溶かし込み工程において蒸発源から側方及び上方に飛散する蒸発粒子を遮蔽板に堆積させることができ、シャッタ開閉に伴う蒸発源周辺の圧力変動を抑えることができる。また、遮蔽板と蒸発源の位置関係を適正化することにより、溶かし込み工程中に堆積した膜が成膜中の動作に影響を与えない構成とすることができる。そして、遮蔽板に所定の開放部を設けることにより、真空槽内の圧力と蒸発源周辺の圧力の差が小さくなるので蒸発源周辺の圧力を制御下におくことが可能となる。
【0015】
本発明の第2の側面は、真空槽、真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、及び基板保持部と蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタを備えた真空蒸着装置において、さらに、真空槽の底面側に配置され、蒸着材料充填容器を囲む遮蔽板を備え、遮蔽板について、遮蔽板の高さが蒸着材料充填容器よりも高くかつシャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、遮蔽板の少なくとも一部がシャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に含まれ、遮蔽板が蒸着材料充填容器から離隔されて配置された真空蒸着装置である。
遮蔽板の少なくとも一部とシャッタの位置関係を適正化する構成により、既存の真空槽内部構造に拘束されずに閉空間を作ることなく溶かし込み工程において蒸発源から側方及び上方に飛散する蒸着材料を遮蔽板に堆積させることができ、シャッタ開閉に伴う蒸発源周辺の圧力変動を抑えることができる。また、遮蔽板と蒸発源の位置関係を適正化することにより、溶かし込み工程中の副産物が成膜中の動作に影響を与えない構成とすることができる。
【0016】
さらに、上記第2の側面において、遮蔽板の平面断面図において、遮蔽板にその内周によって画定される領域の閉塞を開放する少なくとも1つの開放部を設けた。これにより、蒸発源周辺の閉塞性をより軽減することにより蒸発源周辺の圧力制御が可能となる。
また、上記第1又は第2の側面において、真空槽の側壁に窓を設け、開放部が窓と蒸発源とを結ぶ線上に位置するように遮蔽板を配置した。これにより、蒸発源周辺の状態を目視して動作確認を行うことができる。
また、上記第1の側面において、蒸着材料充填容器を坩堝で構成し、遮蔽板の上端部が、坩堝上面の内周とシャッタ下面の外周を結ぶ線上に位置するよう遮蔽板を配置した。これにより、第1の側面の効果をより完全に引き出すことができる。
【0017】
本発明の第3の側面は、真空槽、真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、基板保持部と蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタ、及び真空槽内部の側壁に配置された防着板を備えた真空蒸着装置において、さらに、蒸着材料充填容器から防着板の少なくとも一部を遮蔽するために真空槽の底面側に配置された遮蔽板を備え、遮蔽板の高さが蒸着材料充填容器よりも高くかつシャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、遮蔽板の少なくとも一部がシャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に位置し、遮蔽板が蒸着材料充填容器から離隔されて配置された真空蒸着装置である。
遮蔽板を蒸発源と防着板の間に介在させることにより、遮蔽板が介在する側に配置された防着板への膜の堆積を減少させ、堆積膜が吸着する水分やガスに起因する問題を低減することができる。また、遮蔽板と蒸発源の位置関係を適正化することにより、溶かし込み工程中に堆積した膜が成膜中の動作に影響を与えない構成とすることができる。
【0018】
上記第3の側面において、真空槽に側壁の一部を構成する扉を設け、防着板を複数の防着板で構成し、複数の防着板のうちの少なくとも扉に対向配置された防着板と蒸発源との間に遮蔽板が配置される構成とした。これにより、最もメンテナンス上手間のかかる真空槽の扉から遠い側の防着板のメンテナンス回数を減らすことができる。
【発明の効果】
【0019】
上記によると、溶かし込み工程において発生する蒸着材料の蒸発粒子に起因する装置内の堆積物が成膜工程に影響するのを防止して、成膜工程における成膜再現性を確保することができる。
また、蒸発源周辺の圧力が真空槽内全体の圧力と差が小さくなるように構成したので、蒸発源周辺の圧力を制御下におくとともにその圧力変動を抑制して高い成膜再現性を達成できる。
また、上記効果を達成しつつも、溶かし込み時に蒸発源から放出される蒸発粒子の堆積範囲を小さくする構成としたのでメンテナンス性を向上できる。
更に、蒸発源を熱源として利用し、蒸発粒子の堆積物に吸着された水分等を放出させる構成としたので排気時間、タクトタイムの短縮に貢献する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1Aは本発明による真空蒸着装置1を示す側方断面図である。図1Aにおいて、真空槽2、蒸発源3、基板保持部4、シャッタ5及び防着板7、並びにこれらの構成・機能は図7Aに示した従来の真空蒸着装置100のものと同じである。蒸発源3には、図7Bのような電子ビームを坩堝に向けて照射するものだけでなく、抵抗加熱等により蒸着材料を直接加熱するものなど、様々な種類の蒸発源を用いることができる。図7Aと異なる点は遮蔽板6を備えた点である。遮蔽板6は蒸発源3から防着板7を遮蔽するように立てられた連続又は不連続の板である。
【0021】
動作についても準備工程までは従来例と同様である。溶かし込み工程において、図1Bに示すように、蒸発源3に充填された蒸着材料からの蒸発粒子のうち、側方に広がるように飛散するものは遮蔽板6に堆積し、上方に飛散するものはシャッタ5に堆積する。従って、この工程において飛散する蒸発粒子は遮蔽板6又はシャッタ5のいずれかに堆積され、基板保持部4はもちろんのこと防着板7にはほとんど到達しない。なお、前述したように、溶かし込み工程においては、蒸発分布はより側方に広がる傾向があるので蒸発粒子の遮蔽についてはシャッタ5よりも遮蔽板6の貢献が大きい。
【0022】
図1Cに示すように、溶かし込み工程後の成膜工程において、シャッタ5が開放されると、通常通りの成膜工程が行われる。ここで、遮蔽板6は上方に十分に開口しているので、蒸発源3からの蒸発粒子が基板41(基板保持部4)に到達するのを妨げない。かつ、蒸発粒子が基板41(基板保持部4)にのみ到達するよう遮蔽板6の高さを調整すれば、成膜工程中においても防着板7に到達する蒸発粒子を遮蔽板6に堆積させることができる。
また、防着板7に堆積する膜が減少するので、成膜の際、堆積膜に吸着した水分等が放出したり堆積物が剥がれ落ちたりすることを抑えることができる。
【0023】
防着板7への膜の堆積が最小限に抑えられているため、膜を除去するためのメンテナンスは主に遮蔽板6(必要に応じてシャッタ5)について行えばよく、防着板7のメンテナンス回数を大幅に減らすことができる。当然に、比較的小型な部材である遮蔽板6のメンテナンスは、大型な部材である防着板7のメンテナンスに比べてはるかに容易であり、同じメンテナンス回数でもメンテナンス性を大幅に向上することができる。
また、遮蔽板6を蒸発源3から離隔して配置することにより、溶かし込み工程中又は成膜工程中に遮蔽板6に堆積した膜が蒸発源3に剥がれ落ちて成膜工程に影響するのを防止することができる。
【0024】
次に、図2A−Fを用いて遮蔽板6の設計における必須条件(即ち、それを満たさない場合には実用が難しいであろう必要条件)を説明する。ここでは、特に、蒸発源3を構成する蒸着材料充填容器(以下、「充填容器30という」)、遮蔽板及びシャッタの位置関係を参照してその必須条件を説明する。
【0025】
図2Aの上段は充填容器30、遮蔽板60並びにシャッタ5及びシャッタ5の外周によって画定される領域500の側面図であり、下段はその上面図である。
側面図に示すように、遮蔽板60の高さは遮蔽が目的であるから充填容器30よりも高くする必要があり、かつ、シャッタ5と密閉空間を作らないためにシャッタ下面の位置よりも低くする必要がある。
シャッタ5の当初の目的上、その領域500は必ず充填容器30を含んでいる。そして、蒸発粒子がシャッタ5の外側から遮蔽方向に飛散するのを防ぐ目的上、遮蔽板60の少なくとも一部が領域500よりも内側にあることが必要である。遮蔽板60の少なくとも一部が領域500よりも内側にあることにより、溶かし込み工程時、蒸発源からの輻射熱を利用し遮蔽板に堆積した膜からガスを放出することができるという効果もある。
【0026】
また、遮蔽板60は充填容器30から離隔された位置にあることも重要である。なぜなら、遮蔽板60には溶かし込み工程又は成膜工程で膜が堆積するが、それが剥がれ落ちても充填容器30に落下せず、その剥離が成膜工程に影響しないからである。
【0027】
これにより、防着板7の少なくとも遮蔽板60の背後にある部分については、蒸発粒子の堆積を防止することができる。なお、図2Aのように、たとえ真空槽内壁の一部を遮蔽する構成であってもその遮蔽面積に応じた上記効果が得られる。特に、前述した不安定な膜を堆積する溶かし込み時における上記効果は大きい。また、図3に示すように、防着板が71a〜71dに分割配置されていた場合に、4つの防着板のうちの最もメンテナンスの手間がかかる(真空槽の扉22からみて)奥側に取り付けられた防着板71bのメンテナンス回数を減らす意味で、遮蔽板60は充填容器30よりも奥側に設けることが望ましい。
【0028】
また、遮蔽板の上面形状を工夫して、例示として図2B〜2Gのように構成することもできる(図2B〜Gにおいても遮蔽板の高さは図2Aのものと同様である)。なお、充填容器30の中央にある凹部の図示を省略している。
図2Bは、充填容器30に沿って湾曲させた一部遮蔽タイプの遮蔽板60bを示す。この構成は遮蔽板の設置スペースが小さい場合に有効である。
図2Cは、充填容器30のある程度の部分を囲むタイプの遮蔽板60cを示す。これにより遮蔽効果を高めることができる。なお、領域600cは遮蔽板60cによって画定される領域である。
図2Dは、一方向開放タイプの遮蔽板60dを示す。この構成は、充填容器30の横から挿入設置することができ、真空槽内部の構造上、遮蔽板を充填容器30の上から容易に設置できないような場合に有効である。なお、領域600dは遮蔽板60dによって画定される領域である。
【0029】
図2Eのように遮蔽板60eが充填容器30の全周を囲む形状としてもよい。後述する実施例で説明するように、遮蔽板は充填容器30の周囲の一部を開放して囲む構成が最も好適であるが、全周を囲む構成によっても最低限の効果(即ち、防着板への堆積防止、及びシャッタ開放時の急峻な圧力変動の防止)を達成することはできる。図2Eのように充填容器30を囲む構成であっても、遮蔽板60eとシャッタ5の間には隙間があるのでシャッタ開放時の急峻な圧力変動は防止できる。なお、領域600eは遮蔽板60eによって画定される領域である。
【0030】
図2Fのように、遮蔽板60fが閉じた領域を形成せずに充填容器30の全周を囲む構成としてもよい。これにより、遮蔽板の一部を開放しつつも全方向の防着板をカバーできる。なお、領域600fは遮蔽板60fによって画定される領域である。
また、同様の趣旨で図2Gのように渦巻き状の遮蔽板60gとしてもよい。なお、領域600gは遮蔽板60gによって画定される領域である。
【0031】
まとめると、充填容器30、遮蔽板及びシャッタの位置関係における必須条件は、
(P1)遮蔽板の高さが充填容器よりも高くかつシャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低いこと、
(P2)遮蔽板の少なくとも一部がシャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に含まれること、及び
(P3)遮蔽板が充填容器から離隔されて配置されること
を満たすことである。
遮蔽板の具体的形状やそれが充填容器30を囲む範囲は必要に応じて適宜設定することができる。言い換えると、本発明の構成は既存の装置内部の構成を変更せずに導入することができる。
【0032】
次に、図4A〜4Eに、遮蔽板6及び蒸発源3についての種々の具体例とともに、遮蔽板6の設計における推奨条件(即ち、それを満たすことによって更に本発明の効果がさらに引き出される十分条件)を説明する。
【0033】
図4Aに、蒸発源3が従来例と同様に坩堝31及び電子銃32からなる場合を示す。遮蔽板61は坩堝31を囲み、シャッタ5で画定される領域500が遮蔽板61で画定される領域600を含んでいる。そして、遮蔽板61はその電子銃32側の一部に開放部610を有している。
【0034】
この開放部610はいくつかの技術的意義・効果を有する。
第1に、電子銃32から坩堝31への電子ビーム33を遮断しないためにこのような開放部が必要である。従って、開放部610は遮蔽板61を完全に分断するものでなくても、その部分だけ高さが低くなっているようなものでもよい。
第2に、溶かし込み工程において遮蔽板61とシャッタ5で形成される空間の閉塞性が開放部610によって弱められることである。これにより、真空槽2の圧力制御をもって坩堝31周辺の雰囲気の圧力制御を行うことができ、成膜再現性を向上することができる。
第3に、図5Aに示すように、真空槽2が本体21及び扉22からなり、扉22に窓23が設けられている場合、窓23と坩堝31との間に開放部610があれば、電子ビーム33の状態又は坩堝31の状態を目視により確認することができ、動作管理上有利である。なお、窓23から見た順に「窓23−開放部610−坩堝31」という位置関係が成り立てば、窓23は本体21側に設けられていてもよい。
【0035】
また、開放部610は、溶かし込み工程時に蒸発源からの輻射熱により放出された水分又はガスを通常の排気手段によって真空槽外部に排気することにも効果を奏する。図5Bに示す遮蔽板66のように、排気手段に接続される排気口24の向きに開放部を設ける構成とすれば、水分又はガスのより積極的な排気が可能である。
またさらに、図5Cに示す遮蔽板67のように、2つの開放部を設け、その一方を真空槽の窓23側に、他方を排気口24側に設け、排気を行いながら蒸発源を監視するようにしてもよい。これにより、視界を確保しつつ蒸発源周りを積極的に排気することができる。
【0036】
図4Bも図4Aと同様に坩堝31及び電子銃32からなるものを示すが、遮蔽板62が囲む範囲が図4Aの例と異なる。図4Bでは、遮蔽板62が坩堝31及び電子銃32を囲み、図4Aと同様に遮蔽板62は電子銃32側に開放部620を有している。この構成は、例えば、坩堝31と電子銃32が接近して配置されているために開放部620を坩堝31と電子銃32の間に設けることができない場合に有効である。
【0037】
図4Cに、蒸発源3の充填容器30として抵抗加熱用坩堝34を用いる場合を示す。抵抗加熱用坩堝34は、その内部に抵抗等のヒータを有し、このヒータへの通電により坩堝内部の蒸着材料を加熱・蒸発するものである。この場合も図4Aと同様に、遮蔽板63で画定される領域がシャッタ5で画定される領域500に含まれ、遮蔽板63は抵抗加熱用坩堝34を囲み、一部に開放部630を有している。
【0038】
図4Dに、蒸発源3の充填容器30として抵抗加熱フィラメント35を用いる場合を示す。抵抗加熱フィラメント35は、図示しない電源から両端に電圧を印加し、中央の窪み部(斜線部)にセットされた蒸着材料を加熱・蒸発させるものである。この場合も図4Aと同様に、遮蔽板64で画定される領域がシャッタ5で画定される領域500に含まれ、遮蔽板64は抵抗加熱フィラメント35の少なくとも中央部を囲み、開放部640(2箇所)を有している。
【0039】
図4B〜4Dの実施形態においては、遮蔽板の開放部は上記図4Aについて述べた第2及び第3の効果を担っているが、第2の効果(蒸発源3周辺の圧力制御性)を達成するのであれば、図4Eに示すように遮蔽板下部に開放部650を設けてもよい。もちろん、図5Bにおいて排気口24側に設ける開放部についても遮蔽板下部に開放部を設ける構成としてもよい。この際、開放部650の高さは充填容器30の高さよりも低いことが望ましい。また、図4Bにおける開放部620は、上記第2の効果に加えて、電子銃32周辺の圧力上昇を抑制して圧力上昇による異常放電を防止する効果もある。
【0040】
まとめると、遮蔽板6の設計における推奨条件は、
(R1)遮蔽板は充填容器を囲むような構成であること、より好適には遮蔽板の内周によって画定される領域がシャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に含まれること、
(R2)遮蔽板の平面断面図において、遮蔽板がその内周によって画定される領域の閉塞を開放する少なくとも1つの開放部を有すること
を選択的に満たすことである。
【0041】
図6は、図4A等の構成において、より厳密に遮蔽板6のサイズを決めるための図である。図示するように、充填容器30の上面内径(即ち、凹部の外周)とシャッタ5の下面外径を結ぶ線上に遮蔽板6の上端が位置するようにするのが望ましい。
これにより、溶かし込み工程で発生する蒸発粒子をほぼ完全に遮蔽板6又はシャッタ5に堆積させることができ、かつ、成膜工程では最大限の蒸発量を確実に上方、即ち、基板保持部4方向に確保できる。
【0042】
また、必然的に遮蔽板6は充填容器30からの輻射熱が到達する範囲内に配置されることになるので好適である。なぜなら、溶かし込み工程において、充填容器30からの輻射熱によって遮蔽板6に堆積した膜に吸着した水分又はガスが再放出され、その再放出されたものは排気可能だからである。特に、遮蔽板とシャッタの間には隙間があり密閉空間を作らないため再放出されたガスが排気できる。また、遮蔽板6の加熱が必要な場合に、ヒータ等を別途設ける必要がないので、構成の簡素化に貢献する。蒸発源を熱源とする吸着ガスの放出を溶かし込み工程中に行うことができるため、排気時間、タクトタイムの短縮が可能となり生産性が向上する。
【0043】
なお、図4A〜4Eにおいては遮蔽板によって画定される領域が8角形となるものを示したが、図2A又は2Bに示すように一次元的なものであってもよいし、図2C〜2Gに示すように円、長円、楕円などであってもよいし、他の多角形状であってもよい。
また、遮蔽板の開放部は図4A〜4Eに示した態様に限られず、開放部の有無若しくは個数、位置又は形状等は、溶かし込み工程中の水分又はガスの遮蔽性、蒸発源周辺の圧力制御性、電子銃の有無などを考慮して適宜決定される。
また、遮蔽板は真空槽の底面に固定されるものであってもよいし、置くだけものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1A】本発明の真空蒸着装置を示す図である。
【図1B】本発明の真空蒸着装置の動作を説明する図である。
【図1C】本発明の真空蒸着装置の動作を説明する図である。
【図2A】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図2B】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図2C】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図2D】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図2E】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図2F】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図2G】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図3】本発明における真空槽内の遮蔽板の位置を説明する図である。
【図4A】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図4B】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図4C】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図4D】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図4E】本発明における遮蔽板を説明する図である。
【図5A】本発明における真空槽内の遮蔽板の位置を説明する図である。
【図5B】本発明における真空槽内の遮蔽板の位置を説明する図である。
【図5C】本発明における真空槽内の遮蔽板の位置を説明する図である。
【図6】本発明における遮蔽板のサイズ決定を説明する図である。
【図7A】従来の真空蒸着装置を示す図である。
【図7B】蒸発源の構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0045】
1.真空蒸着装置
2.真空槽
3.蒸発源
4.基板保持部
5.シャッタ
6、60、60b、60c、60d、60e、60f、60g、61、62、63、64、65、66、67.遮蔽板
7、71a、71b、71c、71d.防着板
21.本体
22.扉
23.窓
24.排気口
30.充填容器
31.坩堝
32.電子銃
33.電子ビーム
34.抵抗加熱用坩堝
35.抵抗加熱フィラメント
41.基板
500.シャッタによって画定される領域
600、600c、600d、600e、600f、600g.遮蔽板の内周によって画定される領域
610、620、630、640、650.開放部
【技術分野】
【0001】
本発明は薄膜形成のための真空蒸着装置に関し、より具体的には、成膜材料の溶かし込み工程に関連する構成に関する。
【背景技術】
【0002】
図7Aに一般的な真空蒸着装置100の概略構成を示す。真空蒸着装置100は、図示しない真空排気装置、ガス導入装置などに接続された密閉容器からなる真空槽2、真空槽2の底面に配置され蒸着材料を蒸発させるための蒸発源3、蒸発源3に対向配置され成膜対象基板41を保持する基板保持部4、基板保持部4を蒸発源3から遮蔽する可動のシャッタ5、及び真空槽2内部の露出した側壁及び底壁を覆う防着板7を備える。図7Bに示すように、蒸発源3は並置された坩堝31及び電子銃32からなり、蒸発は電子銃32からの電子ビーム33を坩堝31内の蒸着材料に照射・加熱することにより行われる。
【0003】
次に動作について説明する。まず、準備工程において、基板保持部4に処理対象基板41が設置され、蒸発源3に成膜に応じた蒸着材料が充填される。次に、真空槽2内部が高真空領域まで排気されるとともに、シャッタ5を閉じた状態で電子銃32から電子ビーム33が坩堝31内の蒸着材料に照射され、蒸着材料が溶融されることにより成膜前段階の溶かし込み工程が行われる。次に、必要に応じて成膜ガスが導入され、真空槽2内部が所定の圧力に維持される。次に、成膜直前の溶かし込み工程において、成膜に必要な蒸着レートが得られるまで蒸着材料を再度加熱溶融する。シャッタ5が開放されて成膜工程が開始されると、蒸着材料が真空槽2内部で飛散し、それが成膜対象基板41上に堆積することで薄膜が形成される。
【0004】
ところで、成膜前段階の溶かし込み工程においては、蒸着材料から水分やガスが発生する。これらによって成膜前段階の溶かし込み工程では成膜工程に比べて蒸発源周辺の圧力が高くなるので、蒸着材料は広角に、即ち、横方向に飛散する。従って、横方向に飛散した蒸発粒子はシャッタ5では遮蔽されずに防着板7に堆積することになる。また、成膜直前の溶かし込み工程においても、蒸発粒子の一部はシャッタ5では遮蔽されずに防着板7に堆積する。
ここで、溶かし込み工程(以下、成膜前段階の溶かし込み工程と成膜直前の溶かし込み工程をあわせて溶かし込み工程とする。)で防着板7に蒸着材料からの蒸発粒子が堆積することについては以下のような問題がある。
【0005】
(1)成膜再現性への影響
溶かし込み工程において真空槽内部に堆積した膜は、水分やガスを吸着する。特に成膜前段階の溶かし込み工程においては電子ビームのパワーを高く設定し、通常は真空槽への酸素導入も行われないため、酸化度の低い不安定な膜が堆積する。この不安定な膜は水分等を吸着し易く、しかも剥れ落ち易い。
ここで、この吸着された水分等が成膜工程における温度変化等により再放出されると、真空槽内部の圧力変動がもたらされてしまう。圧力が変動すると、成膜中の蒸発材料の蒸発分布が変わってしまい、成膜の再現性が損なわれるという問題があった。また、成膜中に剥れ落ちた膜によって真空槽内にパーティクルが発生するという問題もあった。
【0006】
(2)メンテナンス性への影響
上記と関連して、防着板7に堆積した膜は頻繁に清掃することが必要となる。しかし、真空槽の内壁の広い部分を覆う防着板を取り外し、清掃し、再装着するのは多くの労力と時間を要するため、作業効率上好ましくないという問題があった。
【0007】
(3)タクトタイムへの影響
溶かし込み工程において堆積した不安定な膜は、特に、真空槽の大気開放時に大量の水分等を吸着する。これら吸着された水分等を膜中から放出させるには、十分な排気が必要であり、排気時間が与えるタクトタイムへの影響が大きいという問題もあった。
【0008】
特許文献1では、上記の問題に対処すべく、シャッタの上方に水平な防着板を設け、シャッタによってその水平防着板の開口部を開閉する構成が開示されている。この構成によって、溶かし込み工程中は水平防着板とシャッタによって囲まれる比較的狭い空間に蒸発粒子が閉じ込められる一方、成膜工程中は成膜材料が水平防着板に遮られることなく基板保持具に到達することが記載されている。
【0009】
特許文献2では、温度によって形状が変化するバイメタルの飛散防止壁が坩堝内壁周縁に設けられ、蒸着材料からの輻射熱と冷却ブロックの放熱によって飛散防止壁の形状が適宜変化させられる構成が開示されている。そして、飛散防止壁は、溶かし込み工程中はより垂直に立ち、成膜工程中はそれが開くように構成され、溶かし込み工程中に飛散する蒸着材料の多くを飛散防止壁の内壁に衝突させて坩堝内に回収することが記載されている。
【0010】
また、特許文献3では、溶かし込み工程と成膜工程の別はないが、蒸発源を囲む遮蔽体の装脱によって蒸発物の入射角度が切り換えられる構成が開示されている。即ち、遮蔽体装着時は垂直蒸着に、非装着時は全角蒸着に切り換えることが記載されている。
【特許文献1】特開平5−70931号公報
【特許文献2】特開平6−136520号公報
【特許文献3】特開2000−114201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1では溶かし込み工程中に遮蔽板とシャッタにより閉空間が形成される。この構成によると、蒸着材料からの蒸発粒子の堆積を防着板の下部領域に集中させることができ、メンテナンスの容易化をある程度期待できる。しかし、成膜開始時にシャッタを開いた瞬間に蒸発源周辺の圧力が急峻に変化し、それに伴って蒸発レートや蒸発分布も変化することにより、成膜の再現性が確保し難いという問題がある。
【0012】
また、特許文献1及び3のように遮蔽物で蒸発源周辺を覆い囲む構成とすると、蒸発源周辺の雰囲気(圧力)を適切に調整することが難しくなる。蒸発源周辺の圧力変化によって蒸発分布も変化するので、この圧力を制御下におけない構成では結果として成膜再現性を確保できないことになる。
またさらに、特許文献1のように閉空間内に坩堝及び電子銃が配置され、電子銃周辺の圧力も高くなる構成においては、その圧力上昇により電子銃が異常放電することや、電子銃のフィラメントの寿命が短くなるという問題もある。
【0013】
特許文献2の構成によると、飛散防止壁に衝突した粒子を回収するため飛散防止壁を坩堝近傍の上方に配置するが、溶かし込み工程中に飛散防止壁に堆積した膜が成膜工程中に坩堝内に剥れ落ちると、蒸着材料の適切な蒸発が妨げられ、成膜精度又は成膜再現性を確保できなくなるという問題がある。具体的には、レートの変動により成膜が不安定となること、組成が変化し膜質が異なってしまうこと、パーティクルが発生しこれが膜中に混入して良品が確保できないとことがあげられる。
また、飛散防止壁の開状態を確保するための冷却部材が別途必要となり、装置の構成が複雑になるという問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の側面は、真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、及び基板保持部と蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタを備えた真空蒸着装置において、さらに、真空槽の底面側に配置され、蒸着材料充填容器を囲む遮蔽板を備え、遮蔽板について、遮蔽板の高さが蒸着材料充填容器よりも高くかつシャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、遮蔽板の内周によって画定される領域がシャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に包含され、遮蔽板が蒸着材料充填容器から離隔されて配置され、遮蔽板の平面断面図において、遮蔽板がその内周によって画定される領域の閉塞を開放する少なくとも1つの開放部を有する真空蒸着装置である。
遮蔽板とシャッタの位置関係を適正化することにより、閉空間を作ることなく溶かし込み工程において蒸発源から側方及び上方に飛散する蒸発粒子を遮蔽板に堆積させることができ、シャッタ開閉に伴う蒸発源周辺の圧力変動を抑えることができる。また、遮蔽板と蒸発源の位置関係を適正化することにより、溶かし込み工程中に堆積した膜が成膜中の動作に影響を与えない構成とすることができる。そして、遮蔽板に所定の開放部を設けることにより、真空槽内の圧力と蒸発源周辺の圧力の差が小さくなるので蒸発源周辺の圧力を制御下におくことが可能となる。
【0015】
本発明の第2の側面は、真空槽、真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、及び基板保持部と蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタを備えた真空蒸着装置において、さらに、真空槽の底面側に配置され、蒸着材料充填容器を囲む遮蔽板を備え、遮蔽板について、遮蔽板の高さが蒸着材料充填容器よりも高くかつシャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、遮蔽板の少なくとも一部がシャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に含まれ、遮蔽板が蒸着材料充填容器から離隔されて配置された真空蒸着装置である。
遮蔽板の少なくとも一部とシャッタの位置関係を適正化する構成により、既存の真空槽内部構造に拘束されずに閉空間を作ることなく溶かし込み工程において蒸発源から側方及び上方に飛散する蒸着材料を遮蔽板に堆積させることができ、シャッタ開閉に伴う蒸発源周辺の圧力変動を抑えることができる。また、遮蔽板と蒸発源の位置関係を適正化することにより、溶かし込み工程中の副産物が成膜中の動作に影響を与えない構成とすることができる。
【0016】
さらに、上記第2の側面において、遮蔽板の平面断面図において、遮蔽板にその内周によって画定される領域の閉塞を開放する少なくとも1つの開放部を設けた。これにより、蒸発源周辺の閉塞性をより軽減することにより蒸発源周辺の圧力制御が可能となる。
また、上記第1又は第2の側面において、真空槽の側壁に窓を設け、開放部が窓と蒸発源とを結ぶ線上に位置するように遮蔽板を配置した。これにより、蒸発源周辺の状態を目視して動作確認を行うことができる。
また、上記第1の側面において、蒸着材料充填容器を坩堝で構成し、遮蔽板の上端部が、坩堝上面の内周とシャッタ下面の外周を結ぶ線上に位置するよう遮蔽板を配置した。これにより、第1の側面の効果をより完全に引き出すことができる。
【0017】
本発明の第3の側面は、真空槽、真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、基板保持部と蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタ、及び真空槽内部の側壁に配置された防着板を備えた真空蒸着装置において、さらに、蒸着材料充填容器から防着板の少なくとも一部を遮蔽するために真空槽の底面側に配置された遮蔽板を備え、遮蔽板の高さが蒸着材料充填容器よりも高くかつシャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、遮蔽板の少なくとも一部がシャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に位置し、遮蔽板が蒸着材料充填容器から離隔されて配置された真空蒸着装置である。
遮蔽板を蒸発源と防着板の間に介在させることにより、遮蔽板が介在する側に配置された防着板への膜の堆積を減少させ、堆積膜が吸着する水分やガスに起因する問題を低減することができる。また、遮蔽板と蒸発源の位置関係を適正化することにより、溶かし込み工程中に堆積した膜が成膜中の動作に影響を与えない構成とすることができる。
【0018】
上記第3の側面において、真空槽に側壁の一部を構成する扉を設け、防着板を複数の防着板で構成し、複数の防着板のうちの少なくとも扉に対向配置された防着板と蒸発源との間に遮蔽板が配置される構成とした。これにより、最もメンテナンス上手間のかかる真空槽の扉から遠い側の防着板のメンテナンス回数を減らすことができる。
【発明の効果】
【0019】
上記によると、溶かし込み工程において発生する蒸着材料の蒸発粒子に起因する装置内の堆積物が成膜工程に影響するのを防止して、成膜工程における成膜再現性を確保することができる。
また、蒸発源周辺の圧力が真空槽内全体の圧力と差が小さくなるように構成したので、蒸発源周辺の圧力を制御下におくとともにその圧力変動を抑制して高い成膜再現性を達成できる。
また、上記効果を達成しつつも、溶かし込み時に蒸発源から放出される蒸発粒子の堆積範囲を小さくする構成としたのでメンテナンス性を向上できる。
更に、蒸発源を熱源として利用し、蒸発粒子の堆積物に吸着された水分等を放出させる構成としたので排気時間、タクトタイムの短縮に貢献する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1Aは本発明による真空蒸着装置1を示す側方断面図である。図1Aにおいて、真空槽2、蒸発源3、基板保持部4、シャッタ5及び防着板7、並びにこれらの構成・機能は図7Aに示した従来の真空蒸着装置100のものと同じである。蒸発源3には、図7Bのような電子ビームを坩堝に向けて照射するものだけでなく、抵抗加熱等により蒸着材料を直接加熱するものなど、様々な種類の蒸発源を用いることができる。図7Aと異なる点は遮蔽板6を備えた点である。遮蔽板6は蒸発源3から防着板7を遮蔽するように立てられた連続又は不連続の板である。
【0021】
動作についても準備工程までは従来例と同様である。溶かし込み工程において、図1Bに示すように、蒸発源3に充填された蒸着材料からの蒸発粒子のうち、側方に広がるように飛散するものは遮蔽板6に堆積し、上方に飛散するものはシャッタ5に堆積する。従って、この工程において飛散する蒸発粒子は遮蔽板6又はシャッタ5のいずれかに堆積され、基板保持部4はもちろんのこと防着板7にはほとんど到達しない。なお、前述したように、溶かし込み工程においては、蒸発分布はより側方に広がる傾向があるので蒸発粒子の遮蔽についてはシャッタ5よりも遮蔽板6の貢献が大きい。
【0022】
図1Cに示すように、溶かし込み工程後の成膜工程において、シャッタ5が開放されると、通常通りの成膜工程が行われる。ここで、遮蔽板6は上方に十分に開口しているので、蒸発源3からの蒸発粒子が基板41(基板保持部4)に到達するのを妨げない。かつ、蒸発粒子が基板41(基板保持部4)にのみ到達するよう遮蔽板6の高さを調整すれば、成膜工程中においても防着板7に到達する蒸発粒子を遮蔽板6に堆積させることができる。
また、防着板7に堆積する膜が減少するので、成膜の際、堆積膜に吸着した水分等が放出したり堆積物が剥がれ落ちたりすることを抑えることができる。
【0023】
防着板7への膜の堆積が最小限に抑えられているため、膜を除去するためのメンテナンスは主に遮蔽板6(必要に応じてシャッタ5)について行えばよく、防着板7のメンテナンス回数を大幅に減らすことができる。当然に、比較的小型な部材である遮蔽板6のメンテナンスは、大型な部材である防着板7のメンテナンスに比べてはるかに容易であり、同じメンテナンス回数でもメンテナンス性を大幅に向上することができる。
また、遮蔽板6を蒸発源3から離隔して配置することにより、溶かし込み工程中又は成膜工程中に遮蔽板6に堆積した膜が蒸発源3に剥がれ落ちて成膜工程に影響するのを防止することができる。
【0024】
次に、図2A−Fを用いて遮蔽板6の設計における必須条件(即ち、それを満たさない場合には実用が難しいであろう必要条件)を説明する。ここでは、特に、蒸発源3を構成する蒸着材料充填容器(以下、「充填容器30という」)、遮蔽板及びシャッタの位置関係を参照してその必須条件を説明する。
【0025】
図2Aの上段は充填容器30、遮蔽板60並びにシャッタ5及びシャッタ5の外周によって画定される領域500の側面図であり、下段はその上面図である。
側面図に示すように、遮蔽板60の高さは遮蔽が目的であるから充填容器30よりも高くする必要があり、かつ、シャッタ5と密閉空間を作らないためにシャッタ下面の位置よりも低くする必要がある。
シャッタ5の当初の目的上、その領域500は必ず充填容器30を含んでいる。そして、蒸発粒子がシャッタ5の外側から遮蔽方向に飛散するのを防ぐ目的上、遮蔽板60の少なくとも一部が領域500よりも内側にあることが必要である。遮蔽板60の少なくとも一部が領域500よりも内側にあることにより、溶かし込み工程時、蒸発源からの輻射熱を利用し遮蔽板に堆積した膜からガスを放出することができるという効果もある。
【0026】
また、遮蔽板60は充填容器30から離隔された位置にあることも重要である。なぜなら、遮蔽板60には溶かし込み工程又は成膜工程で膜が堆積するが、それが剥がれ落ちても充填容器30に落下せず、その剥離が成膜工程に影響しないからである。
【0027】
これにより、防着板7の少なくとも遮蔽板60の背後にある部分については、蒸発粒子の堆積を防止することができる。なお、図2Aのように、たとえ真空槽内壁の一部を遮蔽する構成であってもその遮蔽面積に応じた上記効果が得られる。特に、前述した不安定な膜を堆積する溶かし込み時における上記効果は大きい。また、図3に示すように、防着板が71a〜71dに分割配置されていた場合に、4つの防着板のうちの最もメンテナンスの手間がかかる(真空槽の扉22からみて)奥側に取り付けられた防着板71bのメンテナンス回数を減らす意味で、遮蔽板60は充填容器30よりも奥側に設けることが望ましい。
【0028】
また、遮蔽板の上面形状を工夫して、例示として図2B〜2Gのように構成することもできる(図2B〜Gにおいても遮蔽板の高さは図2Aのものと同様である)。なお、充填容器30の中央にある凹部の図示を省略している。
図2Bは、充填容器30に沿って湾曲させた一部遮蔽タイプの遮蔽板60bを示す。この構成は遮蔽板の設置スペースが小さい場合に有効である。
図2Cは、充填容器30のある程度の部分を囲むタイプの遮蔽板60cを示す。これにより遮蔽効果を高めることができる。なお、領域600cは遮蔽板60cによって画定される領域である。
図2Dは、一方向開放タイプの遮蔽板60dを示す。この構成は、充填容器30の横から挿入設置することができ、真空槽内部の構造上、遮蔽板を充填容器30の上から容易に設置できないような場合に有効である。なお、領域600dは遮蔽板60dによって画定される領域である。
【0029】
図2Eのように遮蔽板60eが充填容器30の全周を囲む形状としてもよい。後述する実施例で説明するように、遮蔽板は充填容器30の周囲の一部を開放して囲む構成が最も好適であるが、全周を囲む構成によっても最低限の効果(即ち、防着板への堆積防止、及びシャッタ開放時の急峻な圧力変動の防止)を達成することはできる。図2Eのように充填容器30を囲む構成であっても、遮蔽板60eとシャッタ5の間には隙間があるのでシャッタ開放時の急峻な圧力変動は防止できる。なお、領域600eは遮蔽板60eによって画定される領域である。
【0030】
図2Fのように、遮蔽板60fが閉じた領域を形成せずに充填容器30の全周を囲む構成としてもよい。これにより、遮蔽板の一部を開放しつつも全方向の防着板をカバーできる。なお、領域600fは遮蔽板60fによって画定される領域である。
また、同様の趣旨で図2Gのように渦巻き状の遮蔽板60gとしてもよい。なお、領域600gは遮蔽板60gによって画定される領域である。
【0031】
まとめると、充填容器30、遮蔽板及びシャッタの位置関係における必須条件は、
(P1)遮蔽板の高さが充填容器よりも高くかつシャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低いこと、
(P2)遮蔽板の少なくとも一部がシャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に含まれること、及び
(P3)遮蔽板が充填容器から離隔されて配置されること
を満たすことである。
遮蔽板の具体的形状やそれが充填容器30を囲む範囲は必要に応じて適宜設定することができる。言い換えると、本発明の構成は既存の装置内部の構成を変更せずに導入することができる。
【0032】
次に、図4A〜4Eに、遮蔽板6及び蒸発源3についての種々の具体例とともに、遮蔽板6の設計における推奨条件(即ち、それを満たすことによって更に本発明の効果がさらに引き出される十分条件)を説明する。
【0033】
図4Aに、蒸発源3が従来例と同様に坩堝31及び電子銃32からなる場合を示す。遮蔽板61は坩堝31を囲み、シャッタ5で画定される領域500が遮蔽板61で画定される領域600を含んでいる。そして、遮蔽板61はその電子銃32側の一部に開放部610を有している。
【0034】
この開放部610はいくつかの技術的意義・効果を有する。
第1に、電子銃32から坩堝31への電子ビーム33を遮断しないためにこのような開放部が必要である。従って、開放部610は遮蔽板61を完全に分断するものでなくても、その部分だけ高さが低くなっているようなものでもよい。
第2に、溶かし込み工程において遮蔽板61とシャッタ5で形成される空間の閉塞性が開放部610によって弱められることである。これにより、真空槽2の圧力制御をもって坩堝31周辺の雰囲気の圧力制御を行うことができ、成膜再現性を向上することができる。
第3に、図5Aに示すように、真空槽2が本体21及び扉22からなり、扉22に窓23が設けられている場合、窓23と坩堝31との間に開放部610があれば、電子ビーム33の状態又は坩堝31の状態を目視により確認することができ、動作管理上有利である。なお、窓23から見た順に「窓23−開放部610−坩堝31」という位置関係が成り立てば、窓23は本体21側に設けられていてもよい。
【0035】
また、開放部610は、溶かし込み工程時に蒸発源からの輻射熱により放出された水分又はガスを通常の排気手段によって真空槽外部に排気することにも効果を奏する。図5Bに示す遮蔽板66のように、排気手段に接続される排気口24の向きに開放部を設ける構成とすれば、水分又はガスのより積極的な排気が可能である。
またさらに、図5Cに示す遮蔽板67のように、2つの開放部を設け、その一方を真空槽の窓23側に、他方を排気口24側に設け、排気を行いながら蒸発源を監視するようにしてもよい。これにより、視界を確保しつつ蒸発源周りを積極的に排気することができる。
【0036】
図4Bも図4Aと同様に坩堝31及び電子銃32からなるものを示すが、遮蔽板62が囲む範囲が図4Aの例と異なる。図4Bでは、遮蔽板62が坩堝31及び電子銃32を囲み、図4Aと同様に遮蔽板62は電子銃32側に開放部620を有している。この構成は、例えば、坩堝31と電子銃32が接近して配置されているために開放部620を坩堝31と電子銃32の間に設けることができない場合に有効である。
【0037】
図4Cに、蒸発源3の充填容器30として抵抗加熱用坩堝34を用いる場合を示す。抵抗加熱用坩堝34は、その内部に抵抗等のヒータを有し、このヒータへの通電により坩堝内部の蒸着材料を加熱・蒸発するものである。この場合も図4Aと同様に、遮蔽板63で画定される領域がシャッタ5で画定される領域500に含まれ、遮蔽板63は抵抗加熱用坩堝34を囲み、一部に開放部630を有している。
【0038】
図4Dに、蒸発源3の充填容器30として抵抗加熱フィラメント35を用いる場合を示す。抵抗加熱フィラメント35は、図示しない電源から両端に電圧を印加し、中央の窪み部(斜線部)にセットされた蒸着材料を加熱・蒸発させるものである。この場合も図4Aと同様に、遮蔽板64で画定される領域がシャッタ5で画定される領域500に含まれ、遮蔽板64は抵抗加熱フィラメント35の少なくとも中央部を囲み、開放部640(2箇所)を有している。
【0039】
図4B〜4Dの実施形態においては、遮蔽板の開放部は上記図4Aについて述べた第2及び第3の効果を担っているが、第2の効果(蒸発源3周辺の圧力制御性)を達成するのであれば、図4Eに示すように遮蔽板下部に開放部650を設けてもよい。もちろん、図5Bにおいて排気口24側に設ける開放部についても遮蔽板下部に開放部を設ける構成としてもよい。この際、開放部650の高さは充填容器30の高さよりも低いことが望ましい。また、図4Bにおける開放部620は、上記第2の効果に加えて、電子銃32周辺の圧力上昇を抑制して圧力上昇による異常放電を防止する効果もある。
【0040】
まとめると、遮蔽板6の設計における推奨条件は、
(R1)遮蔽板は充填容器を囲むような構成であること、より好適には遮蔽板の内周によって画定される領域がシャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に含まれること、
(R2)遮蔽板の平面断面図において、遮蔽板がその内周によって画定される領域の閉塞を開放する少なくとも1つの開放部を有すること
を選択的に満たすことである。
【0041】
図6は、図4A等の構成において、より厳密に遮蔽板6のサイズを決めるための図である。図示するように、充填容器30の上面内径(即ち、凹部の外周)とシャッタ5の下面外径を結ぶ線上に遮蔽板6の上端が位置するようにするのが望ましい。
これにより、溶かし込み工程で発生する蒸発粒子をほぼ完全に遮蔽板6又はシャッタ5に堆積させることができ、かつ、成膜工程では最大限の蒸発量を確実に上方、即ち、基板保持部4方向に確保できる。
【0042】
また、必然的に遮蔽板6は充填容器30からの輻射熱が到達する範囲内に配置されることになるので好適である。なぜなら、溶かし込み工程において、充填容器30からの輻射熱によって遮蔽板6に堆積した膜に吸着した水分又はガスが再放出され、その再放出されたものは排気可能だからである。特に、遮蔽板とシャッタの間には隙間があり密閉空間を作らないため再放出されたガスが排気できる。また、遮蔽板6の加熱が必要な場合に、ヒータ等を別途設ける必要がないので、構成の簡素化に貢献する。蒸発源を熱源とする吸着ガスの放出を溶かし込み工程中に行うことができるため、排気時間、タクトタイムの短縮が可能となり生産性が向上する。
【0043】
なお、図4A〜4Eにおいては遮蔽板によって画定される領域が8角形となるものを示したが、図2A又は2Bに示すように一次元的なものであってもよいし、図2C〜2Gに示すように円、長円、楕円などであってもよいし、他の多角形状であってもよい。
また、遮蔽板の開放部は図4A〜4Eに示した態様に限られず、開放部の有無若しくは個数、位置又は形状等は、溶かし込み工程中の水分又はガスの遮蔽性、蒸発源周辺の圧力制御性、電子銃の有無などを考慮して適宜決定される。
また、遮蔽板は真空槽の底面に固定されるものであってもよいし、置くだけものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1A】本発明の真空蒸着装置を示す図である。
【図1B】本発明の真空蒸着装置の動作を説明する図である。
【図1C】本発明の真空蒸着装置の動作を説明する図である。
【図2A】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図2B】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図2C】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図2D】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図2E】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図2F】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図2G】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図3】本発明における真空槽内の遮蔽板の位置を説明する図である。
【図4A】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図4B】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図4C】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図4D】本発明における遮蔽板と蒸発源の位置関係を説明する図である。
【図4E】本発明における遮蔽板を説明する図である。
【図5A】本発明における真空槽内の遮蔽板の位置を説明する図である。
【図5B】本発明における真空槽内の遮蔽板の位置を説明する図である。
【図5C】本発明における真空槽内の遮蔽板の位置を説明する図である。
【図6】本発明における遮蔽板のサイズ決定を説明する図である。
【図7A】従来の真空蒸着装置を示す図である。
【図7B】蒸発源の構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0045】
1.真空蒸着装置
2.真空槽
3.蒸発源
4.基板保持部
5.シャッタ
6、60、60b、60c、60d、60e、60f、60g、61、62、63、64、65、66、67.遮蔽板
7、71a、71b、71c、71d.防着板
21.本体
22.扉
23.窓
24.排気口
30.充填容器
31.坩堝
32.電子銃
33.電子ビーム
34.抵抗加熱用坩堝
35.抵抗加熱フィラメント
41.基板
500.シャッタによって画定される領域
600、600c、600d、600e、600f、600g.遮蔽板の内周によって画定される領域
610、620、630、640、650.開放部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空槽、該真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、該蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、及び該基板保持部と該蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタを備えた真空蒸着装置において、
さらに、前記真空槽の底面側に配置され、前記蒸着材料充填容器を囲む遮蔽板を備え、
前記遮蔽板について、該遮蔽板の高さが前記蒸着材料充填容器よりも高くかつ前記シャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、該遮蔽板の内周によって画定される領域が該シャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に包含され、該遮蔽板が前記蒸着材料充填容器から離隔されて配置され、
前記遮蔽板の平面断面図において、該遮蔽板がその内周によって画定される領域の閉塞を開放する少なくとも1つの開放部を有する真空蒸着装置。
【請求項2】
真空槽、該真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、該蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、及び該基板保持部と該蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタを備えた真空蒸着装置において、
さらに、前記真空槽の底面側に配置され、前記蒸着材料充填容器を囲む遮蔽板を備え、
前記遮蔽板について、該遮蔽板の高さが前記蒸着材料充填容器よりも高くかつ前記シャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、該遮蔽板の内周によって画定される領域が該シャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に包含され、該遮蔽板が前記蒸着材料充填容器から離隔されて配置され、
前記遮蔽板の平面断面図において、該遮蔽板がその内周によって画定される領域の閉塞を開放する少なくとも1つの開放部を有し、
前記真空槽が側壁に窓を有し、前記開放部が該窓と前記蒸発源とを結ぶ線上に位置するように該遮蔽板が配置された真空蒸着装置。
【請求項3】
真空槽、該真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、該蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、及び該基板保持部と該蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタを備えた真空蒸着装置において、
さらに、前記真空槽の底面側に配置され、前記蒸着材料充填容器を囲む遮蔽板を備え、
前記遮蔽板について、該遮蔽板の高さが前記蒸着材料充填容器よりも高くかつ前記シャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、該遮蔽板の内周によって画定される領域が該シャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に包含され、該遮蔽板が前記蒸着材料充填容器から離隔されて配置され、
前記遮蔽板の平面断面図において、該遮蔽板がその内周によって画定される領域の閉塞を開放する少なくとも1つの開放部を有し、
前記蒸着材料充填容器が坩堝からなり、前記遮蔽板の上端部が、該坩堝上面の内周と前記シャッタ下面の外周を結ぶ線上に位置するよう配置された真空蒸着装置。
【請求項4】
真空槽、該真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、該蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、及び該基板保持部と該蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタを備えた真空蒸着装置において、
さらに、前記真空槽の底面側に配置され、前記蒸着材料充填容器を囲む遮蔽板を備え、
前記遮蔽板について、該遮蔽板の高さが前記蒸着材料充填容器よりも高くかつ前記シャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、該遮蔽板の少なくとも一部が該シャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に含まれ、該遮蔽板が前記蒸着材料充填容器から離隔されて配置された真空蒸着装置。
【請求項5】
真空槽、該真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、該蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、及び該基板保持部と該蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタを備えた真空蒸着装置において、
さらに、前記真空槽の底面側に配置され、前記蒸着材料充填容器を囲む遮蔽板を備え、
前記遮蔽板について、該遮蔽板の高さが前記蒸着材料充填容器よりも高くかつ前記シャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、該遮蔽板の少なくとも一部が該シャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に含まれ、該遮蔽板が前記蒸着材料充填容器から離隔されて配置され、
前記遮蔽板の平面断面図において、該遮蔽板がその内周によって画定される領域の閉塞を開放する少なくとも1つの開放部を有する真空蒸着装置。
【請求項6】
真空槽、該真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、該蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、及び該基板保持部と該蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタを備えた真空蒸着装置において、
さらに、前記真空槽の底面側に配置され、前記蒸着材料充填容器を囲む遮蔽板を備え、
前記遮蔽板について、該遮蔽板の高さが前記蒸着材料充填容器よりも高くかつ前記シャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、該遮蔽板の少なくとも一部が該シャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に含まれ、該遮蔽板が前記蒸着材料充填容器から離隔されて配置され、
前記真空槽が側壁に窓を有し、前記開放部が該窓と前記蒸発源とを結ぶ線上に位置するように該遮蔽板が配置された真空蒸着装置。
【請求項7】
真空槽、該真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、該蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、該基板保持部と該蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタ、及び該真空槽内部の側壁に配置された防着板を備えた真空蒸着装置において、
さらに、前記蒸着材料充填容器から前記防着板の少なくとも一部を遮蔽するために前記真空槽の底面側に配置された遮蔽板を備え、
前記遮蔽板の高さが前記蒸着材料充填容器よりも高くかつ前記シャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、該遮蔽板の少なくとも一部が前記シャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に位置し、該遮蔽板が前記蒸着材料充填容器から離隔されて配置された真空蒸着装置。
【請求項8】
真空槽、該真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、該蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、該基板保持部と該蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタ、及び該真空槽内部の側壁に配置された防着板を備えた真空蒸着装置において、
さらに、前記蒸着材料充填容器から前記防着板の少なくとも一部を遮蔽するために前記真空槽の底面側に配置された遮蔽板を備え、
前記遮蔽板の高さが前記蒸着材料充填容器よりも高くかつ前記シャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、該遮蔽板の少なくとも一部が前記シャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に位置し、該遮蔽板が前記蒸着材料充填容器から離隔されて配置され、
前記真空槽が側壁の一部を構成する扉を有し、前記防着板が複数の防着板からなり、該複数の防着板のうちの少なくとも該扉に対向配置された防着板と前記蒸発源との間に該遮蔽板が配置された真空蒸着装置。
【請求項1】
真空槽、該真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、該蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、及び該基板保持部と該蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタを備えた真空蒸着装置において、
さらに、前記真空槽の底面側に配置され、前記蒸着材料充填容器を囲む遮蔽板を備え、
前記遮蔽板について、該遮蔽板の高さが前記蒸着材料充填容器よりも高くかつ前記シャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、該遮蔽板の内周によって画定される領域が該シャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に包含され、該遮蔽板が前記蒸着材料充填容器から離隔されて配置され、
前記遮蔽板の平面断面図において、該遮蔽板がその内周によって画定される領域の閉塞を開放する少なくとも1つの開放部を有する真空蒸着装置。
【請求項2】
真空槽、該真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、該蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、及び該基板保持部と該蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタを備えた真空蒸着装置において、
さらに、前記真空槽の底面側に配置され、前記蒸着材料充填容器を囲む遮蔽板を備え、
前記遮蔽板について、該遮蔽板の高さが前記蒸着材料充填容器よりも高くかつ前記シャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、該遮蔽板の内周によって画定される領域が該シャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に包含され、該遮蔽板が前記蒸着材料充填容器から離隔されて配置され、
前記遮蔽板の平面断面図において、該遮蔽板がその内周によって画定される領域の閉塞を開放する少なくとも1つの開放部を有し、
前記真空槽が側壁に窓を有し、前記開放部が該窓と前記蒸発源とを結ぶ線上に位置するように該遮蔽板が配置された真空蒸着装置。
【請求項3】
真空槽、該真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、該蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、及び該基板保持部と該蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタを備えた真空蒸着装置において、
さらに、前記真空槽の底面側に配置され、前記蒸着材料充填容器を囲む遮蔽板を備え、
前記遮蔽板について、該遮蔽板の高さが前記蒸着材料充填容器よりも高くかつ前記シャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、該遮蔽板の内周によって画定される領域が該シャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に包含され、該遮蔽板が前記蒸着材料充填容器から離隔されて配置され、
前記遮蔽板の平面断面図において、該遮蔽板がその内周によって画定される領域の閉塞を開放する少なくとも1つの開放部を有し、
前記蒸着材料充填容器が坩堝からなり、前記遮蔽板の上端部が、該坩堝上面の内周と前記シャッタ下面の外周を結ぶ線上に位置するよう配置された真空蒸着装置。
【請求項4】
真空槽、該真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、該蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、及び該基板保持部と該蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタを備えた真空蒸着装置において、
さらに、前記真空槽の底面側に配置され、前記蒸着材料充填容器を囲む遮蔽板を備え、
前記遮蔽板について、該遮蔽板の高さが前記蒸着材料充填容器よりも高くかつ前記シャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、該遮蔽板の少なくとも一部が該シャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に含まれ、該遮蔽板が前記蒸着材料充填容器から離隔されて配置された真空蒸着装置。
【請求項5】
真空槽、該真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、該蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、及び該基板保持部と該蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタを備えた真空蒸着装置において、
さらに、前記真空槽の底面側に配置され、前記蒸着材料充填容器を囲む遮蔽板を備え、
前記遮蔽板について、該遮蔽板の高さが前記蒸着材料充填容器よりも高くかつ前記シャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、該遮蔽板の少なくとも一部が該シャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に含まれ、該遮蔽板が前記蒸着材料充填容器から離隔されて配置され、
前記遮蔽板の平面断面図において、該遮蔽板がその内周によって画定される領域の閉塞を開放する少なくとも1つの開放部を有する真空蒸着装置。
【請求項6】
真空槽、該真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、該蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、及び該基板保持部と該蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタを備えた真空蒸着装置において、
さらに、前記真空槽の底面側に配置され、前記蒸着材料充填容器を囲む遮蔽板を備え、
前記遮蔽板について、該遮蔽板の高さが前記蒸着材料充填容器よりも高くかつ前記シャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、該遮蔽板の少なくとも一部が該シャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に含まれ、該遮蔽板が前記蒸着材料充填容器から離隔されて配置され、
前記真空槽が側壁に窓を有し、前記開放部が該窓と前記蒸発源とを結ぶ線上に位置するように該遮蔽板が配置された真空蒸着装置。
【請求項7】
真空槽、該真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、該蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、該基板保持部と該蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタ、及び該真空槽内部の側壁に配置された防着板を備えた真空蒸着装置において、
さらに、前記蒸着材料充填容器から前記防着板の少なくとも一部を遮蔽するために前記真空槽の底面側に配置された遮蔽板を備え、
前記遮蔽板の高さが前記蒸着材料充填容器よりも高くかつ前記シャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、該遮蔽板の少なくとも一部が前記シャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に位置し、該遮蔽板が前記蒸着材料充填容器から離隔されて配置された真空蒸着装置。
【請求項8】
真空槽、該真空槽の底面側に配置される蒸着材料充填容器を有する蒸発源、該蒸着材料充填容器に対向配置された基板保持部、該基板保持部と該蒸着材料充填容器の間に開閉可能に設置されたシャッタ、及び該真空槽内部の側壁に配置された防着板を備えた真空蒸着装置において、
さらに、前記蒸着材料充填容器から前記防着板の少なくとも一部を遮蔽するために前記真空槽の底面側に配置された遮蔽板を備え、
前記遮蔽板の高さが前記蒸着材料充填容器よりも高くかつ前記シャッタ閉時のシャッタ下面位置よりも低く、該遮蔽板の少なくとも一部が前記シャッタ閉時のシャッタ外周によって画定される領域内に位置し、該遮蔽板が前記蒸着材料充填容器から離隔されて配置され、
前記真空槽が側壁の一部を構成する扉を有し、前記防着板が複数の防着板からなり、該複数の防着板のうちの少なくとも該扉に対向配置された防着板と前記蒸発源との間に該遮蔽板が配置された真空蒸着装置。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【公開番号】特開2009−161828(P2009−161828A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1995(P2008−1995)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(000146009)株式会社昭和真空 (72)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(000146009)株式会社昭和真空 (72)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]