説明

真菌の細胞壁合成遺伝子

【課題】感染症の発症・進展・持続に対して効果を示す、抗菌剤の提供。
【解決手段】真菌における過剰発現により、真菌に対し下記式(Ia)で示される化合物に対する耐性を付与する作用を有する蛋白質をコードする、特定な配列からなるDNA。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
真菌における過剰発現により、真菌に対し下記式(Ia)で示される化合物に対する耐性を付与する作用を有する蛋白質をコードする、下記(a)から(e)のいずれかに記載のDNA。
(a)配列番号:2、4、6、28、40または59に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA。
(b)配列番号:1、3、5、27、39、41、54または58に記載の塩基配列を含むDNA。
(c)配列番号:1、3、5、27、39、41、54または58に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。
(d)配列番号:2、4、6、28、40または59に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が付加、欠失、置換および/または挿入されたアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA。
(e)配列番号:29及び31あるいは配列番号:29及び30をプライマーとして増幅されるDNA。
【化1】

【請求項2】
その機能の欠損により真菌の細胞壁におけるGPIアンカー蛋白質量を減少させる作用を有する蛋白質をコードする、下記(a)から(e)のいずれかに記載のDNA。
(a)配列番号:2、4、6、28、40または59に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA。
(b)配列番号:1、3、5、27、39、41、54または58に記載の塩基配列を含むDNA。
(c)配列番号:1、3、5、27、39、41、54または58に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。
(d)配列番号:2、4、6、28、40または59に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が付加、欠失、置換および/または挿入されたアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA。
(e)配列番号:29及び31あるいは配列番号:29及び30をプライマーとして増幅されるDNA。
【請求項3】
請求項1または2に記載のDNAによりコードされる蛋白質。
【請求項4】
請求項1または2に記載のDNAが挿入されたベクター。
【請求項5】
請求項1または2に記載のDNAまたは請求項4に記載のベクターを保持する形質転換体。
【請求項6】
請求項3に記載の蛋白質が過剰発現している真菌である、請求項5に記載の形質転換体。
【請求項7】
請求項3に記載の蛋白質の機能が欠損している真菌
【請求項8】
請求項5に記載の形質転換体を培養し、該形質転換体またはその培養上清から発現させた蛋白質を回収する工程を含む、請求項3に記載の蛋白質の製造方法。
【請求項9】
請求項3に記載の蛋白質に結合する抗体。
【請求項10】
抗真菌作用を有する化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)請求項3に記載の蛋白質に被検試料を接触させる工程、
(b)該蛋白質と被検試料との結合活性を検出する工程、
(c)該蛋白質に結合する活性を有する化合物を選択する工程、を含む方法。
【請求項11】
抗真菌作用を有する化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)請求項3に記載の蛋白質が過剰発現している真菌に被検試料を接触させる工程、
(b)該真菌におけるGPIアンカー蛋白質の細胞壁への輸送量を検出する工程、
(c)請求項3に記載の蛋白質が過剰発現していない真菌に被検試料を接触させた場合と比較して、工程(b)において検出されるGPIアンカー蛋白質の細胞壁への輸送量を減少させる化合物を選択する工程、を含む方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載のスクリーニングにより単離しうる、抗真菌作用を有する化合物。
【請求項13】
真菌においてGPIアンカー蛋白質の細胞壁への輸送を阻害する化合物を有効成分とする抗真菌剤。
【請求項14】
請求項9に記載の抗体または請求項12に記載の化合物を有効成分とする、抗真菌剤。
【請求項15】
一般式(I)
【化2】

〔式中R1aおよびR2aは同一または相異なってそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、置換されてもよいC1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、置換されてもよいC1-6アルコキシ基、または式
【化3】

(式中X1は単結合、カルボニル基、または式 -S(O)2- で表わされる基を意味する;
R5aおよびR6aは同一または相異なって、水素原子、または置換されていてもよいC1-6アルキル基を意味する)で表わされる基を示す。また、R1aとR2aは一緒になって、置換されていてもよいベンゼン環、置換されていてもよいピリジン環、置換されていてもよいピロール環、置換されていてもよいチオフェン環、置換されていてもよいフラン環、置換されていてもよいピリダジン環、置換されていてもよいピリミジン環、置換されていてもよいピラジン環、置換されていてもよいイミダゾール環、置換されていてもよいオキサゾール環、置換されていてもよいチアゾール環、置換されていてもよいピラゾール環、置換されていてもよいイソオキサゾール環、置換されていてもよいイソチアゾール環、置換されていてもよいシクロヘキサン環、および置換されていてもよいシクロペンタン環からなる群から選ばれる縮合環の形成してもよい;
R3a、およびR4aは同一または相異なってそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、ホルミル基、ヒドロキシイミノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、式 -C(O)NR7aR7b (式中、R7aおよびR7bは同一または相異なってそれぞれ水素原子、またはC1-6アルキル基を意味する)、式 -CO2R7a (式中、R7aは前記定義と同意義を意味する)、式 -S(O)nR7a (式中、nは0ないし2の整数を意味する。R7aは前記定義と同意義を意味する)、式 -S(O)2NR7aR7b (式中、R7aおよびR7bは前記定義と同意義を意味する)、式
【化4】

(式中X2は単結合、カルボニル基、または式 -S(O)2- で表わされる基を意味する;
R5bおよびR6bは同一または相異なっていて、水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、または置換されていてもよいC6-14アリール基を意味する)で表わされる基、または式
【化5】

(式中、Z1は単結合、酸素原子、ビニレン基、またはエチニレン基を意味する;
Z2は単結合、または0ないし4個の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基を意味する)で表わされる基を意味する。R3aとR4aは一緒になって、メチレンジオキシ基、または1,2-エチレンジオキシ基を意味してもよく、またR3aとR4aは一緒になって、置換されていてもよいベンゼン環、置換されていてもよいピリジン環、置換されていてもよいピロール環、置換されていてもよいチオフェン環、置換されていてもよいフラン環、置換されていてもよいピリダジン環、置換されていてもよいピリミジン環、置換されていてもよいピラジン環、置換されていてもよいイミダゾール環、置換されていてもよいオキサゾール環、置換されていてもよいチアゾール環、置換されていてもよいピラゾール環、置換されていてもよいイソオキサゾール環、置換されていてもよいイソチアゾール環、置換されていてもよいシクロヘキサン環および置換されていてもよいシクロペンタン環からなる群から選ばれる縮合環の形成を意味してもよい。ただし、R1aおよびR2aがともに水素原子を意味する場合は除く。〕で示される化合物もしくはその塩またはそれらの水和物を有効成分とする請求項13に記載の抗真菌剤。
【請求項16】

【化6】

で表される化合物(Ia)を有効成分とする請求項13に記載の抗真菌剤。
【請求項17】
一般式(II)
【化7】

〔式中Arは下記式(IIIa)−(IIIf)からなる群
【化8】

(式中、Kは硫黄原子、酸素原子、または式 -NH- で表わされる基を意味する;
R1b、R2bは同一または相異なってそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、式
【化9】

(式中X3は単結合、カルボニル基、または式 -S(O)2- で表わされる基を意味する;
R5cおよびR6cは同一または相異なっていて、水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基を意味する)で表わされる基、または式 -X4-R8a(式中、 X4は、単結合、酸素原子、または硫黄原子を意味する;R8aはC1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8シクロアルキル基、またはC3-8シクロアルケニル基を意味する)で表わされる基を示す。また、 R1b、R2bは一緒になってメチレンジオキシ基、または1,2-エチレンジオキシ基を形成してもよい。)から選ばれる置換基を意味する;
R3b、およびR4bは同一または相異なってそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、ホルミル基、ヒドロキシイミノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、または式、
【化10】

(式中、Z1bは単結合、ビニレン基、またはエチニレン基を意味する;
Z2bは単結合、または0ないし4個の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基を意味する)で表わされる基を意味する。;
ただし(1) Arが、R1bおよびR2bがともに水素原子である前記式 (IIId) で表わされる場合、(2) R3bまたはR4bの少なくとも一方が水素原子を示し、もう一方が水素原子、メトキシ基、水酸基、メチル基、ベンジルオキシ基、またはハロゲン原子であり、 Arが、R1bおよびR2bがともに水素原子またはメトキシ基を意味する前記式 (IIIc) で表わされる場合、、(3) R3bまたはR4bの少なくとも一方が水素原子を示し、もう一方が水素原子、水酸基、メトキシ基、またはベンジルオキシ基であり、 Arが、R1bおよびR2bがともに水酸基またはベンジルオキシ基を意味する前記式 (IIIc)で表わされる場合、または(4)Arが、R1bが水素原子でR2bがホルミル基、ヒドロキシメチル基またはメトキシカルボニル基である前記式 (IIId) で表わされる場合を除く。〕で示される化合物もしくはその塩またはそれらの水和物
【請求項18】
Arが式、
【化11】

(式中、R1cが水素原子、置換されてもよいC1-6アルキル基、ベンジル基を意味する)で表わされ、かつ R3bが水素原子を意味する場合を除いた、請求項17記載の化合物もしくはその塩またはそれらの水和物
【請求項19】
一般式(IIIc2)
【化12】

〔式中R1b、R2bは前記定義と同意義を意味する。ただし、(1)R1bが式R1c-O-(式中、R1cは前記定義と同意義を意味する)で表わされる基であり、R2bが水素原子であり、R3bが水素原子を意味する場合、(2)R3bまたはR4bの少なくとも一方が水素原子を示し、もう一方が水素原子、メトキシ基、水酸基、メチル基、ベンジルオキシ基、またはハロゲン原子であり、R1bおよびR2bがともに水素原子またはメトキシ基を意味する場合、または(3) R3bまたはR4bの少なくとも一方が水素原子を示し、もう一方が水素原子、水酸基、メトキシ基、またはベンジルオキシ基であり、R1bおよびR2bがともに水酸基またはベンジルオキシ基を意味する場合を除く。〕で表される化合物もしくはその塩またはそれらの水和物
【請求項20】
抗真菌作用を有する請求項17記載の抗真菌剤
【請求項21】
R3a、およびR4aのうち少なくとも1つが、式 -C(O)NR7aR7b (式中、R7aおよびR7bはは前記定義と同意義を意味する)、式 -CO2R7a (式中、R7aは前記定義と同意義を意味する)、式 -S(O)nR7a (式中、nは0ないし2の整数を意味する。R7aは前記定義と同意義を意味する)、式 -S(O)2NR7aR7b (式中、R7aおよびR7bは前記定義と同意義を意味する)、式
【化13】

(式中X2、R5bおよびR6bは前記定義と同意義を意味する)で表わされる基、またはは0ないし4個の置換基で置換されてもよいC1-6アルコキシ基を意味し、またはR3aとR4aは一緒になって、メチレンジオキシ基、または1,2-エチレンジオキシ基を意味する請求項15記載の抗真菌剤。
【請求項22】
抗真菌作用を有する化合物が、(1)1-ベンジルイソキノリン、(2)1-(4-ブロモベンジル)イソキノリン、(3)1-(4-クロロベンジル)イソキノリン、(4)1-(4-フルオロベンジル)イソキノリン、(5)1-(4-ヨードベンジル)イソキノリン、(6)1-(3-メチルベンジル)イソキノリン、(7)1-(4-メチルベンジル)イソキノリン、(8)1-(3,4-ジメチルベンジル)イソキノリン、(9)1-(3-メトキシベンジル)イソキノリン、(10)1-(4-メトキシベンジル)イソキノリン、(11)1-(3,4-メチレンジオキシベンジル)イソキノリン、(12)1-(4-ベンジルオキシベンジル)イソキノリン、(13)1-(4-シアノベンジル)イソキノリン、(14)1-(4-ニトロベンジル)イソキノリン、(15)1-(4-アミノベンジル)イソキノリン、(16)1-(4-メトキシベンジル)-6,7-ジクロロ-イソキノリン、(17)1-(4-メトキシ-2-ニトロ-ベンジル)-イソキノリン、(18)1-(4-メトキシベンジル)-6,7-メチレンジオキシ-イソキノリン、(19)1-(2-アミノ-4-メトキシ-ベンジル)イソキノリン、(20)1-(4-メトキシベンジル)-7-ヒドロキシ-6-メトキシ-イソキノリン、(21)1-(4-ベンジルオキシベンジル)-6,7-ジメトキシ-イソキノリン、(22)1-(4-メトキシベンジル)-6,7-ジメトキシ-イソキノリン、(23)1-(4-メトキシ-2-ニトロ-ベンジル)-イソキノリン、(24)3-[4-(1-イソキノリルメチル)フェノキシ]プロピルシアニド、(25)1-[4-(2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ)ベンジル]イソキノリン、(26)1-[4-(2-ピペリジノエトキシ)ベンジル]イソキノリン、(27)4-(1-イソキノリルメチル)フェニル(2-モルフォリノエチル)エーテル、(28)1-[4-(2-メトキシエトキシ)ベンジル]イソキノリン、(29)N-{2-[4-(1-イソキノリルメチル)フェノキシ]エチル}-N,N-ジメチルアミン、(30)1-[4-(フェネチルオキシ)ベンジル]イソキノリン、(31)1-{4-[(2-メチルアリル)オキシ]ベンジル}イソキノリン、(32)1-(4-イソブトキシベンジル)イソキノリン、(33)1-[4-(2-フェノキシエトキシ)ベンジル]イソキノリン、(34)メチル2-[4-(1-イソキノリルメチル)フェノキシ]アセテート、(35)2-[4-(1-イソキノリルメチル)フェノキシ]-1-エタノール、(36)t-ブチルN-{2-[4-(1-イソキノリルメチル)フェノキシ]エチル}カーバメート、(37)1-{4-[3-(テトラヒドロ-2H-2-ピラニルオキシ)プロポキシ]ベンジル}イソキノリン、(38)2-[4-(1-イソキノリルメチル)フェノキシ] -1-エタンアミン、(39)1-[4-(3-ピペリジノプロポキシ)ベンジル]イソキノリン、(49)3-[4-(1-イソキノリルメチル)フェノキシ]-1-プロパノール、(41)1-[4-(2-エチルブトキシ)ベンジル]イソキノリン、(42)4-[4-(1-イソキノリルメチル)フェノキシ]ブタノイックアシッド、(43)1-(4-{3-[(4-ベンジルピペラジノ)スルフォニル]プロポキシ}ベンジル)イソキノリン、(44)1-(4-{3-[4-(4-クロロフェニル)ピペラジノ]プロポキシ}ベンジル)イソキノリン、(45)4-(1-イソキノリルメチル)アニリン、(46)N-[4-(1-イソキノリルメチル)フェニル]ブタンアミド、(47)N-[4-(1-イソキノリルメチル)フェニル]プロパンアミド、(48)N-[4-(1-イソキノリルメチル)フェニル]-1-エタンスルフォンアミド、(49)N-[4-(1-イソキノリルメチル)フェニル]-N-メチル-エタンスルフォンアミド、(50)N-[4-(1-イソキノリルメチル)フェニル]-N-メチルアミン、(51)N-[4-(1-イソキノリルメチル)フェニル]-N-プロピルアミン、または(52)N-[4-(1-イソキノリルメチル)フェニル]-N-メチル-N-プロピルアミンである請求項15記載の抗真菌剤。
【請求項23】
治効量の請求項13から22のいずれかに記載の抗真菌剤を哺乳動物に投与することを含む、真菌感染症の治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−325589(P2006−325589A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129124(P2006−129124)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【分割の表示】特願2002−509480(P2002−509480)の分割
【原出願日】平成13年7月6日(2001.7.6)
【出願人】(000000217)エーザイ株式会社 (102)
【Fターム(参考)】