説明

真菌由来の免疫調節性化合物

【課題】ポリペプチドとポリサッカライドとを含む組成物を提供すること。
【解決手段】本組成物は、概して免疫調節性である。本発明はまた、液体培地で培養された糸状菌を用いるこれらの組成物の製造方法を開示する。本組成物は、例えば、免疫無防備状態の処置において有用である。本発明の方法は、i)真菌を液体増殖培地で培養する工程と、ii)該液体増殖培地から該組成物を精製する工程とを包含する。この精製は、分子量が少なくとも10,000Daであるポリサッカライドを、その他のポリサッカライドから分離する工程を含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年7月16日に出願された米国仮出願番号第10/892,393号、2005年6月15日に出願された米国仮出願番号第60/690,482号、2005年6月15日に出願された米国仮出願番号第60/690,496号および2005年6月15日に出願された米国仮出願番号第60/690,477号の利益を主張し、これらは参照によりその全文が本明細書に援用される。これらの特許出願中、または本願中に引用されるすべての特許および非特許参考文献は、参照によりその全文が本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、真菌の液体培養物から単離できるポリサッカライドを含む免疫調節性化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
健康促進効果は、真菌および酵母由来のグルカンに起因することが知られている。「シイタケ」茸(Lentinus edodes)は、多数の医療目的、例えば、免疫賦活、抗ウイルス、抗腫瘍などに利用できる効果をもたらすと考えられてきた。レンチナンの研究により、レンチナンが、種々の形態の癌における、ヘルパーT細胞の活性化、インターロイキン1およびインターロイキン2の産生の増加、抗体産生の増加、ならびに血中コレステロールレベルの低下などの様々な方法で宿主の免疫系を刺激することがわかっている(非特許文献1〜6)。
【0004】
Lentinus edodesの1種の有効成分は、レンチナンと呼ばれ、β−(1,6)側鎖を有するβ−(1,3)グルカン骨格として記載されるポリサッカライドベースの化合物である。
【0005】
Lentinus edodesなどの真菌の培養には、「固体状」リアクターが慣用的に用いられる。これは、堆肥化、生物学的製品(例えば、酵素、醤油、酢酸など)の生産などの多数の目的で用いられる技術である。レンチナンを生産するために、Lentinus edodesを、木の幹または木材のチップによって提供される適した固体マトリックス上で培養でき、これには菌糸体の増殖およびレンチナンのほとんどが局在する子実体の発生を支援する化学化合物が添加されることが多い。子実体を、手作業によってか、機械によって収穫し、続いて、乾燥させ、砕いて粉末にし、これをそのまま使用してもよいし、または錠剤で使用してもよいし、またはレンチナンの抽出などのさらなる加工に送ってもよい。
【0006】
Lentinus edodesから調製されるポリサッカライド製品は、「注射用レンチナン(Lentinan for injection)」(Eureka Bio−Chemicals Pty,Australia)として市販されている。この製品は何らかの免疫賦活効果を有する(本明細書中、以下の実施例も参照)。
【0007】
特許文献1には、真菌から細胞外免疫賦活性化合物を精製する多数の方法が記載されている。一般に、これらの方法は沈殿工程を含む。
【特許文献1】国際公開第03/020944号パンフレット
【非特許文献1】Herbs for Health,jan/feb,1997
【非特許文献2】K.Jones,「Shiitake:Medicine in a mushroom」,p.40−50,54;Anticancer Res,Vol.17(4A),1997
【非特許文献3】H.Matsouka,「Lentinan potentiates immunity and prolongs the survival time of some patients」,p.2751−2755;Adv Appl Microbiol,Vol.39,1993
【非特許文献4】S.C.Jong,「Medicinal and therapeutic value of the shiitake mushroom」,p.153−184,lnt J Immunopharmacol,Vol.14,1992
【非特許文献5】K.Irinoda,「Stimulation of microbiocidal host defence mechanism against aerosol influenza virus infection by lentinan」,p.971−977.,Jpn J Cancer Res,Vol.76(1),1985
【非特許文献6】D.Herlyn,「Monoclonal antibody−dependent murine macrophage−mediated cytotoxicity against human tumors is stimulated by lentinan」,p.37−42
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、極めて高い免疫賦活活性を有する組成物は開示されていない。したがって、本発明の目的は、新規組成物、好ましくは、高レベルの免疫調節活性を有する、真菌由来の細胞外免疫賦活性物質を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、相当な免疫調節活性を有するポリサッカライドを含む組成物を開示する。興味深いことに、本発明は、ポリサッカライド組成物の特定のモノサッカライドの含量が免疫調節活性にとって重要であることを開示する。
【0010】
したがって、本発明の1つの目的は、1種以上のポリペプチドと、ポリサッカライドの混合物とを含む組成物であって、組成物のポリサッカライドの大部分、好ましくはどのポリサッカライドも、少なくとも10,000Daの分子量を有し、前記のポリサッカライドの混合物が、(0〜1.5):(0〜0.5)〜(15〜35):(0.5〜1.5)〜(45〜55)の比で、好ましくは、約1:0〜25:1〜50の比で、例えば、1:0〜25:1〜50の比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含む組成物を提供することである。
【0011】
別の実施形態では、1種以上のポリペプチドと、ポリサッカライドの混合物とを含む組成物であって、
a)該組成物の該ポリサッカライドの大部分が、少なくとも30,000Daの分子量を有し、該ポリサッカライドの混合物が、1:0〜25:1〜50の比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含むか、
または
b)該組成物の該ポリサッカライドの大部分が、少なくとも100,000Daの分子量を有し、該ポリサッカライドの混合物が、0〜0.5:0.5〜10:0.5〜50の比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含むか、
または
c)該組成物の該ポリサッカライドの大部分が、少なくとも1,000Daの分子量を有し、該ポリサッカライドの混合物が、1:0〜25:1〜50の比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含む
組成物を提供する。
【0012】
本発明の第2の目的は、このような組成物を製造する方法であって、
i)液体増殖培地中で真菌を培養する工程と、
ii)該液体増殖培地から該組成物を精製する工程と
を包含する方法を提供することである。
【0013】
本発明の第3の目的は、医薬として使用するための、上記組成物と、薬学的に受容可能なキャリアとを含む薬学的組成物を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、個体の処置法であって、該個体に、有効量の本発明の組成物を投与する工程を包含する方法を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、免疫無防備状態の処置、場合によっては、予防的処置を必要とする個体の、このような処置のための医薬の製造における本発明の組成物の使用を提供することである。
例えば、本発明は以下を提供する:
(項目1)
1種以上のポリペプチドと、ポリサッカライドの混合物とを含む組成物であって、
a)該組成物の該ポリサッカライドの大部分が、少なくとも30,000Daの分子量を有し、該ポリサッカライドの混合物が、1:0〜25:1〜50の比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含むか、
または
b)該組成物の該ポリサッカライドの大部分が、少なくとも100,000Daの分子量を有し、該ポリサッカライドの混合物が、0〜0.5:0.5〜10:0.5〜50の比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含むか、
または
c)該組成物の該ポリサッカライドの大部分が、少なくとも1,000Daの分子量を有し、該ポリサッカライドの混合物が、1:0〜25:1〜50の比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含む、
組成物。
(項目2)
前記組成物が真菌によって生産された、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記組成物が、以下の工程:
i)真菌を液体増殖培地で培養する工程と、
ii)該液体増殖培地から該組成物を単離する工程と
を包含する方法により生産された、項目1に記載の組成物。
(項目4)
前記組成物が、超遠心分離、限外濾過、微細濾過またはゲル濾過を含む方法により前記液体増殖培地から単離される、項目3に記載の組成物。
(項目5)
前記真菌が真菌の菌糸体である、項目2に記載の組成物。
(項目6)
前記真菌がLentinus属に属する、項目2に記載の組成物。
(項目7)
前記真菌が、
【表1A】

からなる群より選択される、項目2に記載の組成物。
(項目8)
前記真菌が
【表1B】

からなる群より選択される、項目2に記載の組成物。
(項目9)
免疫調節性である、項目1に記載の組成物。
(項目10)
免疫賦活性である、項目1に記載の組成物。
(項目11)
インビトロアッセイにおいて少なくとも1種のIL−1産生細胞からのIL−1産生を誘導できる、項目1に記載の組成物。
(項目12)
哺乳類に投与した場合に、前記哺乳類において抗体産生を増強できる、項目1に記載の組成物。
(項目13)
前記ポリサッカライドの混合物が、1:5〜25:1〜50の比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含む、項目1に記載の組成物。
(項目14)
前記ポリサッカライドの混合物が、1:13.4±0.4:12.6±1.3の比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含む、項目1に記載の組成物。
(項目15)
前記組成物中のどのポリサッカライドも少なくとも10,000Da分子の分子量を有する、項目1に記載の組成物。
(項目16)
前記組成物中のどのポリサッカライドも少なくとも50,000Da分子の分子量を有する、項目1に記載の組成物。
(項目17)
前記組成物の前記ポリサッカライドが、1:7〜11:2.5〜3.5の比でモノサッカライドであるガラクトースとマンノースとグルコースとを含む、項目1に記載の組成物。
(項目18)
分子量が50,000〜100,000Daの範囲の前記組成物の前記ポリサッカライドが、1:4〜14:1〜5の比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含む、項目1に記載の組成物。
(項目19)
前記比がおよそ1:8.9:2.9である、項目18に記載の組成物。
(項目20)
分子量が100,000〜300,000Daの範囲の前記組成物の前記ポリサッカライドが、1:3〜13:1〜5の比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含む、項目1に記載の組成物。
(項目21)
前記比がおよそ1:7.3:2.9である、項目20に記載の組成物。
(項目22)
分子量が300,000〜1,000,000Daの範囲の前記組成物の前記ポリサッカライドが、1:5〜15:1〜5の比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含む、項目1に記載の組成物。
(項目23)
前記比がおよそ1:9.9:3.1である、項目22に記載の組成物。
(項目24)
分子量が1,000,000Daより大きい前記組成物の前記ポリサッカライドが、1:5〜15:1〜5の比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含む、項目1に記載の組成物。
(項目25)
前記比がおよそ1:10.3:2.9である、項目24に記載の組成物。
(項目26)
少なくとも10μg/Lの可溶性ポリペプチドを含む、項目1に記載の組成物。
(項目27)
10〜1000μg/Lの範囲の可溶性ポリペプチドを含む、項目1に記載の組成物。
(項目28)
項目1〜27のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法であって、以下の工程:
i)真菌を液体増殖培地で培養する工程と、
ii)該液体増殖培地から該組成物を精製する工程と
を包含する、方法。
(項目29)
前記精製が、分子量が少なくとも10,000Daであるポリサッカライドを、その他のポリサッカライドから分離する工程を含む、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記分離を超遠心分離、限外濾過、微細濾過またはゲル濾過によって行う、項目29に記載の方法。
(項目31)
医薬として使用するための、項目1に記載の組成物と、薬学的に受容可能なキャリアとを含む、薬学的組成物。
(項目32)
i)免疫無防備状態と診断された、および/または、
ii)免疫無防備状態になる危険のある、および/または、
iii)手術または病気から回復中であり、かつ、免疫無防備状態になる危険のある、および/または
iv)後天性免疫不全症候群と診断されたか、もしくは後天性免疫不全症候群になる危険のある、
個体を処置する方法であって、
該個体に、該免疫無防備状態もしくは該症候群を処置するのに、または予防的に処置するのに、あるいは、該個体の免疫系をブーストするのに有効な量の項目1に記載の組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目33)
前記免疫無防備状態が、感染症、寄生虫病、ヘモフィルス髄膜炎、肺炎球菌性髄膜炎、連鎖球菌性髄膜炎、ブドウ球菌性髄膜炎、その他の生物による髄膜炎、脳炎、ウイルス性肺炎、肺炎球菌性肺炎、その他の細菌性肺炎、細菌を除くその他の特定の生物による肺炎、気管支肺炎、生物非特異性肺炎、インフルエンザ、詳細不明の下痢、詳細不明の肝炎、肝臓の急性および亜急性壊死、慢性肝炎ならびに肝臓膿腫からなる群から選択される、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記免疫無防備状態が、コレラ、サルモネラ、細菌性赤痢、大腸菌、その他の特定の細菌による腸内感染、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、ウイルス性胃腸炎、感染性大腸炎、腸炎および胃腸炎、感染性下痢症、結核、リステリア症、パスツレラ症、マイコバクテリア、ジフテリア、百日咳、髄膜炎菌、連鎖球菌敗血症、ブドウ球菌敗血症、肺炎球菌敗血症、嫌気性菌による敗血症、その他のグラム陰性生物による敗血症、放線菌感染、ガス壊疽、トキシックショック症候群、壊死性筋膜炎、フリードレンデル杆菌、インフルエンザ菌、シュードモナス、AIDS/HIV感染、急性灰白髄炎、クロイツフェルト・ヤコブ病、亜急性硬化性全脳炎、進行性多病巣性白質脳障害、中枢神経系の詳細不明のスローウイルス感染、コクサッキーウイルス、詳細不明のウイルス性髄膜炎、リンパ球性脈絡髄膜炎、詳細不明のウイルス性脳炎、水痘、帯状疱疹、単純ヘルペス、ウイルス性A型肝炎、ウイルス性B型肝炎、その他の特定のウイルス性肝炎、慢性肝炎、肝臓の膿腫/急性壊死、伝染性単核球症、巨細胞性封入体病、クラミジア、アデノウイルス、ウイルス感染、梅毒、カンジダ、詳細不明のヒストプラスマ症、アスペルギルス症、クリプトコックス症、真菌症、糞線虫症、腸管寄生、トキソプラスマ症、サルコイドーシス、ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)、ポリオ後症候群、ヘモフィルス髄膜炎、肺炎球菌性髄膜炎、連鎖球菌性髄膜炎、ブドウ球菌性髄膜炎、脳炎、アデノウイルスによる肺炎、RSウイルスによる肺炎、パラインフルエンザウイルスによる肺炎、その他のウイルスによる肺炎、ウイルス性肺炎、肺炎球菌性肺炎、肺炎杆菌による肺炎、シュードモナスによる肺炎、インフルエンザ菌による肺炎、連鎖球菌による肺炎、ブドウ球菌による肺炎ならびに細菌性肺炎によって引き起こされるかまたはそれらから選択される感染病または寄生虫病である、項目32に記載の方法。
(項目35)
前記個体がヒトを含めた哺乳類である、項目32に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(定義)
ポリサッカライド:本明細書において用語「ポリサッカライド」とは、ポリサッカライド、ならびにペプチド、ポリペプチドなどを含有するポリサッカライド、および/またはペプチド、ポリペプチドなどと共有結合しているポリサッカライド(例えば、プロテオポリサッカライド)を包含する。
【0017】
モノサッカライドを含むポリサッカライド:ポリサッカライドは、モノサッカライドを含むと言われ、ここでこのモノサッカライドは共有結合してこのポリサッカライドを形成する。ポリサッカライドを加水分解すると、このポリサッカライドを形成していたモノサッカライドが遊離形態で生じる。したがって、ポリサッカライドのモノサッカライド含量は、ポリサッカライドを加水分解し、個々のモノサッカライドの存在を測定することによって決定できる。ポリサッカライドの混合物のモノサッカライド含量は、混合物全体でのモノサッカライド含量を決定することによって決定される。
【0018】
比:ポリサッカライドまたはポリサッカライドの混合物は、所定の比でガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含み、このポリサッカライドまたはこのポリサッカライドの混合物を加水分解すると、この所定の比のガラクトースと、マンノースと、グルコースとが生じるといわれる。1:a〜b:c〜dの比のガラクトースと、マンノースと、グルコースとは、ガラクトース1部ごとに、マンノースがa〜b部の範囲で存在し、グルコースがc〜d部の範囲で存在し、ここで、a、b、cおよびdは数値を示すということを意味する。したがって、一例として、1:5〜25:1〜50の比でガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含むポリサッカライド混合物とは、ガラクトース1部ごとに、ポリサッカライド混合物が5〜25部の範囲のマンノースと、1〜50部の範囲のグルコースとを含むことを意味する。
【0019】
分子量:組成物が所定の値の分子量カットオフをもたらす濾過工程を用いて精製されている場合には、この組成物のどのポリサッカライドも、少なくともこの所定の値の分子量を有するといわれる。同様に、組成物が範囲のうちの低い値である低い分子量カットオフと、範囲のうちの高い値である高い分子量カットオフをもたらす、1以上の濾過工程に供されている場合には、この組成物のどのポリサッカライドも所定の範囲内の分子量を有するといわれる。この濾過工程は、例えば、限外濾過、微細濾過、超遠心分離またはゲル濾過であり得る。しかし、他の方法によっても、どのポリサッカライドも少なくとも所定の値の分子量を有するか、またはどのポリサッカライドも所定の範囲内の分子量を有するといわれる組成物を調製することもできる。
【0020】
ポリペプチド:本明細書において用語「ポリペプチド」とは、タンパク質、ペプチドおよびポリペプチドを包含し、このタンパク質、ペプチドまたはポリペプチドは翻訳後修飾されている場合も、されていない場合もある。翻訳後修飾は、例えば、リン酸化、メチル化、グルコシル化であり得る。
【0021】
(発明の詳細な説明)
(組成物)
本発明による組成物は、1種以上のポリペプチドと、ポリサッカライドの混合物とを含む。このポリペプチドは、ポリサッカライドと場合により共有結合していてもよい。しかし、このポリペプチドがこのポリサッカライドと会合していないか、またはこのポリペプチドがこのポリサッカライドと非共有結合様式で会合していることも本発明内にも含まれる。
【0022】
したがって、本組成物は、プロテオポリサッカライドである場合もそうでない場合もあるポリサッカライドを含むか、または本組成物は両方の混合物を含む場合もある。
【0023】
本発明による組成物は、単離または精製された組成物である。すなわち、本発明の組成物は1以上の精製工程に供されている。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、真菌の菌糸体の液体増殖培地から、サイズ分画を含む少なくとも1つの精製工程を用いて精製されている。精製法は以下により詳細に説明する。
【0024】
好ましい実施形態では、本組成物は、ポリサッカライドと、必要に応じてポリペプチドとから本質的になる。本組成物は、ポリサッカライドと、ポリペプチドとから本質的になることがより好ましい。本組成物は液体組成物であることが多く、その結果、本組成物は、塩とバッファーとを必要に応じて含む水溶液に溶解させた、ポリサッカライドと、必要に応じてポリペプチドとから本質的になることが好ましい。
【0025】
本発明の組成物のポリサッカライドは、モノサッカライドであるグルコースと、マンノースと、ガラクトースとを含むことが好ましい。本発明の組成物内に含まれ得るポリサッカライドおよびポリペプチドの例としては、β−(1,3),β−(1,6)D−グルカン、シゾフィラン、グリフォラン、コリオラン(coriolan)およびコリオラス・ベルシカラー(Coriolus versicolor)グリコシル化ポリペプチド、例えば、PSKおよびPSP、α−マンナンと会合しているポリペプチド、例えば、Lentinus edodesから単離できるKS−2、およびガノデルマ・ルシダム(Ganoderma lucidum)から単離できるレイシ(reishi);グルクロノキシロマンナン;マンノグルカン;グルコマンナン;ガラクトグルカンおよび/またはガラクトグルコマンナンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0026】
(真菌)
本発明の好ましい実施形態では、本明細書に開示される組成物は、真菌によって産生されている。本組成物は、真菌の細胞外環境から精製されていることが好ましい。真菌、好ましくは、真菌の菌糸体が、液体増殖培地中で培養されており、この組成物がこの液体増殖培地から精製されていることがさらにより好ましい。
【0027】
したがって、本発明の組成物は、
i)液体増殖培地中で真菌、例えば、真菌の菌糸体を培養する工程と、
ii)この液体増殖培地からこの組成物を単離する工程と
を包含する方法によって生産されていることが好ましい。
【0028】
真菌の菌糸体とは、液中培養において増殖させることができる任意の真菌バイオマスを意図する。真菌バイオマスは、単一菌糸、胞子、菌糸体の集合体および部分分化した菌糸体の形であり得る。
【0029】
液体増殖培地は、本明細書において以下に記載する液体増殖培地のいずれかであり得る。
【0030】
この真菌は、任意の真菌であり得、真菌の菌糸体を形成する真菌が好ましく、この真菌は糸状菌であることがより好ましい。この真菌は、以下からなる群より選択されることがさらにより好ましい:
【0031】
【表1C】

真菌は、以下からなる群より選択されることがさらにより好ましい:
【0032】
【表1D】

別の好ましい実施形態では、この真菌はAgaricus blazeiである。別の好ましい実施形態では、この真菌はGanoderma(例えば、Ganoderma lucidum)である。別の好ましい実施形態では、この真菌はAgaricusの真菌であり、例えば、A.blazei、A.blazei Murill、A.bisporus、A.hortensis、A.campestrisからなる群より選択される。
【0033】
本発明の極めて好ましい実施形態では、真菌は担子菌綱、例えば、Lentinus属の真菌、例えば、Lentinus edodesに属する。
【0034】
【表1E】

(免疫系の調節)
本発明による組成物は、免疫調節性であることが好ましく、本組成物は免疫賦活性であることが好ましい。免疫系の刺激は、例えば、抗体産生の増加によって、ヘルパーT細胞の活性化によって、またはインターロイキン1およびインターロイキン2などのインターロイキンの産生の増加によって実証できる。
【0035】
組成物が免疫調節性であるかどうかを試験するのに適している、当業者に公知の任意のアッセイを使用して本発明の組成物が免疫調節性であるかどうかを試験してもよい。このようなアッセイはインビトロアッセイであってもインビボアッセイであってもよい。
【0036】
1つの好ましいアッセイとして、組成物がIL−1産生、例えば、IL1−α産生および/またはIL1−β産生を誘導できるかどうかを調べることがある。したがって、本発明の好ましい実施形態では、本発明による組成物は、インビトロアッセイにおいて少なくとも1種のIL−1産生細胞からIL−1産生を誘導できる。この細胞は任意のIL−1産生細胞、例えば、P388マウスマクロファージ細胞であり得る。この細胞はIL1−β産生細胞であることが好ましい。IL−1産生は、任意の適したアッセイを用いて決定することができる。一般に、特異的IL−1抗体、例えば、特異的IL1−α抗体および/またはIL1−β抗体の使用を含むアッセイが有用である。このようなアッセイは、例えば、ウエスタンブロッティング、ELISAまたは同様のアッセイであり得る。このアッセイは、実施例4に記載のとおり実施できる。
【0037】
IL1アッセイを較正することは困難であるので、アッセイは、参照として特定の組成物を用いて実施することが好ましい。したがって、本発明の好ましい一実施形態では、組成物は、並行して実施される参照実験において市販の注射用レンチナン(Eureka Bio−Chemicals Pty,Little Collins Street.Melbourne 3000,Australia)を用いて誘導されたIL−1αの量よりも、少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍、例えば少なくとも4倍、例えば少なくとも6倍、例えば少なくとも8倍、例えば少なくとも10倍、例えば少なくとも15倍、例えば少なくとも20倍、例えば少なくとも30倍、例えば、少なくとも40倍多いIL1−αの産生を誘導できる。本発明の好ましい一実施形態では、本組成物は、並行して実施される参照実験においてEureka Biochemicals Pty.社製の注射用レンチナンを用いて誘導されたIL1−βの量よりも、少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍、例えば少なくとも4倍、例えば少なくとも6倍、例えば少なくとも8倍、例えば少なくとも10倍、例えば少なくとも15倍、例えば少なくとも20倍多いIL−1βの産生を誘導できる。上記のアッセイは、実施例4に記載のとおりに実施されることが好ましい。本組成物が上記のようにIL1αとIL1β双方の産生を誘導したことが最も好ましい。
【0038】
本発明の別の実施形態では、本組成物は、哺乳類に投与すると、この哺乳類において抗体産生を増強できる。哺乳類は、例えば、マウス、ラット、ウサギまたはヒトでさえあり得る。このようなアッセイは、必要に応じてアジュバントの存在下で、抗原の投与に先立って、および抗原の投与と同時に哺乳類に組成物を投与することによって実施することが好ましい。本組成物は、抗原の投与に先立って、1〜30日間の範囲で、好ましくは、1〜10日間の範囲で、より好ましくは、1〜3日間の範囲で投与されることが好ましい。その後、哺乳類における抗体産生を決定することができる。本組成物は、この組成物を投与せずに産生される抗体量と比較して、少なくとも1.5倍、より好ましくは少なくとも2倍、さらにより好ましくは少なくとも2.5倍、例えば少なくとも3倍、例えば少なくとも4倍、例えば6倍多い抗体の産生を誘導できることが好ましい。このようなアッセイの一例が実施例6に概説されている。
【0039】
本組成物は、1より多くのアッセイ系において、例えば、本明細書において上記で記載した、いずれかのアッセイ系の組合せにおいて免疫調節性であることが好ましい。
【0040】
好ましい一実施形態では、本発明の組成物は、TNF−α産生を増大するよう作用し、これは、例えば、実施例9に記載されるアッセイによって測定できる。
【0041】
(モノサッカライド含量)
本発明による組成物は、ポリサッカライドを含むことが好ましく、ここで、ポリサッカライドの大部分、好ましくは、少なくとも60%、より好ましくは、少なくとも70%、さらにより好ましくは、少なくとも80%、さらにより好ましくは、少なくとも90%、さらにより好ましくは、少なくとも95%、さらにより好ましくは、本質的にすべてのポリサッカライド、最も好ましくは、どのポリサッカライドも、10,000Daを上回る、好ましくは、30,000Daを上回る、より好ましくは、40,000Daを上回る、さらにより好ましくは、50,000Daを上回る、例えば、少なくとも100,000Da、例えば、少なくとも300,000Da、例えば、少なくとも1,000,000Daの分子量を有する。本発明の一実施形態では、組成物のポリサッカライドの大部分、好ましくは、組成物のどのポリサッカライドも、10,000〜3,000,000Daの範囲内の、例えば、30,000〜3,000,000の範囲内、例えば、40,000〜3,000,000の範囲内、例えば、50,000〜3,000,000の範囲内、例えば、50,000〜100,000の範囲の、例えば、100,000〜300,000の範囲の、例えば、300,000〜1,000,000の範囲の、例えば、1,000,000〜3,000,000の範囲の分子量を有する。
【0042】
本組成物は、少なくとも1つのサイズ分画工程を含む方法によって精製されていることが好ましい。したがって、本組成物は、所定のカットオフを上回る名目分子量を有する分子(例えば、ポリサッカライド)が、このカットオフを下回る名目分子量を有する分子(例えば、ポリサッカライド)から分離される、少なくとも1つのサイズ分画工程を用いて精製されていることが好ましい。一例として、サイズ分画が限外濾過または微細濾過である場合には、このカットオフを有する膜を使用できる。サイズ分画がゲル濾過である場合には、この分子量カットオフを有するゲルを選択してもよいし、または特定の溶出画分を使用してもよい。本発明の一実施形態では、カットオフが、好ましくは、10,000Da、より好ましくは、30,000Da、さらにより好ましくは、40,000Da、いっそうより好ましくは、50,000Daである、より大きな分子量の画分を用いる。
【0043】
本発明の別の実施形態では、本組成物は、得られる画分が、所定のカットオフを下回りかつ所定のカットオフを上回る名目分子量を有するポリサッカライドを含む、1以上のサイズ分画工程を含む方法によって精製されている。一例として、サイズ分画が限外濾過または微細濾過である場合には、下の分子量カットオフを有する膜を用いる最初の1回の分画工程を実施できる。より大きな分子量の画分を回収し、上の分子量カットオフを有する膜を用いる第2の限外濾過または微細濾過に供することができる。第2の濾過工程の後、より小さい分子量の画分を回収すればよい。ゲル濾過を用いる場合には、特定の溶出画分を使用してもよい。超遠心分離を用いる場合には、下の分子カットオフを有する膜と上の分子量カットオフを有する膜とを使用できる。
【0044】
本発明の組成物はポリサッカライドの混合物を含み、この混合物は1:5〜25:1〜50の比のモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含む。したがって、この比は、ポリサッカライドの混合物全体内の比を反映する。したがって、混合物内の個々のポリサッカライド各々が異なる比のモノサッカライドを含むことは可能である。
【0045】
一般に、この比は、ポリサッカライドの混合物全体をモノサッカライドに分解し、続いて、このモノサッカライド各々の濃度を測定することによって決定できる。ポリサッカライドは、加水分解によって、例えば、HClなどの強酸中での加水分解によって、その構成モノサッカライドに分解できる。加水分解産物は、当業者が利用できる任意の従来法、例えば、HPLC、質量分析法またはNMRによって分析され得る。
【0046】
本発明の一実施形態では、ポリサッカライドはモノサッカライドであるグルコースとマンノースとを含む。本発明の別の実施形態では、ポリサッカライドは、モノサッカライドであるグルコースとガラクトースとを含む。本発明の好ましい実施形態では、本組成物のポリサッカライドは、モノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含む。
【0047】
ポリサッカライドの混合物が、ガラクトース1部ごとに、5〜25部の範囲の、好ましくは、5〜20部の範囲の、より好ましくは、5〜17部の範囲の、さらにより好ましくは、6〜15部の範囲の、さらにより好ましくは、7〜14部の範囲の、例えば、10〜17部の範囲の、例えば、11〜16部の範囲の、例えば、12〜15部の範囲の、例えば、13〜14部の範囲の、例えば、およそ13.4±0.4部、例えば、13.4±0.4部のマンノースを含むことが好ましい。
【0048】
ポリサッカライドの混合物が、ガラクトース1部ごとに、1〜50部の範囲の、好ましくは、1〜40部の範囲の、より好ましくは、1〜30部の範囲の、さらにより好ましくは、1〜25部の範囲の、さらにより好ましくは、1〜20部の範囲の、さらにより好ましくは、2〜15部の範囲の、さらにより好ましくは、2〜14部の範囲の、例えば、8〜17部の範囲の、例えば、9〜16部の範囲の、例えば、10〜15部の範囲の、例えば、11〜14部の範囲の、例えば、およそ12.6±1.3部、例えば、12.6±1.3部のグルコースを含むことが好ましい。
【0049】
混合物が本明細書において上記で示されるマンノース対ガラクトースの比と、本明細書において上記で示されるグルコース対ガラクトースの比とを含むことがさらにより好ましい。
【0050】
本発明の実施形態では、ポリサッカライドは、マンノースとグルコースとを含む場合には、それらが、マンノース1部ごとに、0.1〜30部の範囲の、例えば、0.1〜0.25部の範囲の、例えば、0.25〜0.5部の範囲の、例えば、0.5〜0.75部の範囲の、例えば、0.75〜1部の範囲の、例えば、1〜5部の範囲の、例えば、5〜10部の範囲の、例えば、10〜20部の範囲の、例えば、20〜30部の範囲のグルコースを含むことが好ましい。ポリサッカライドは、マンノース1部ごとに、0.5〜2部の範囲のグルコースを含むことが好ましく、13.4±0.4部のマンノース、12.6±1.3部のグルコースを含むことがより好ましい。
【0051】
本発明の極めて好ましい実施形態では、本組成物は、1:5〜25:1〜50、より好ましくは、1:13.4±0.4:12.6±1.3の比のモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含むポリサッカライドの混合物を含む。
【0052】
本発明の別の実施形態では、本組成物はポリサッカライドの混合物を含み、50,000〜100,000の範囲の分子量を有するこの混合物内のポリサッカライドは、ガラクトース1部ごとに、3〜15部の範囲の、好ましくは、4〜14部の範囲の、より好ましくは、5〜13部の範囲の、さらにより好ましくは、6〜12部の範囲の、さらにより好ましくは、7〜11部の範囲の、さらにより好ましくは、7.9〜9.9部の範囲の、例えば、およそ8.9部のマンノースを含む。この実施形態では、50,000〜100,000の範囲の分子量を有するポリサッカライドは、ガラクトース1部ごとに、1〜5部の範囲、好ましくは、2〜4部の範囲、さらにより好ましくは、2.5〜3.5部の範囲、例えば、およそ2.9部のグルコースを含むことが好ましい。50,000〜100,000Daの範囲の分子量を有するこの組成物のポリサッカライドは、1:4〜14:1〜5の比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含むことが好ましい。この比は、およそ1:8.9:2.9であることが好ましい。
【0053】
本発明の別の実施形態では、組成物は、ポリサッカライドの混合物を含み、100,000〜300,000の範囲の分子量を有するこの混合物内のポリサッカライドは、ガラクトース1部ごとに、3〜15部の範囲の、好ましくは、3〜14部の範囲の、より好ましくは、3〜13部の範囲の、さらにより好ましくは、3〜12部の範囲の、なおより好ましくは、4〜11部の範囲、さらにより好ましくは、5〜10部の範囲の、なおより好ましくは、6.3〜8.3部の範囲の、例えば、およそ7.3部のマンノースを含む。この実施形態では、100,000〜300,000の範囲の分子量を有するポリサッカライドが、ガラクトース1部ごとに、1〜5部の範囲の、好ましくは、2〜4部の範囲の、さらにより好ましくは、2.5〜3.5部の範囲、例えば、およそ2.9部のグルコースを含むことが好ましい。50,000〜100,000Daの範囲の分子量を有するこの組成物のポリサッカライドが、1:3〜13:1〜5の比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含むことが好ましい。この比はおよそ1:7.3:2.9であることが好ましい。
【0054】
本発明の別の実施形態では、本組成物はポリサッカライドの混合物を含み、300,000〜1,000,000の範囲の分子量を有するこの混合物内のポリサッカライドは、ガラクトース1部ごとに、3〜16部の範囲の、好ましくは、5〜15部の範囲の、より好ましくは、5〜14部の範囲の、さらにより好ましくは、6〜13部の範囲の、なおより好ましくは、7〜12部の範囲の、さらにより好ましくは、8.9〜10.9部の範囲の、例えば、およそ9.9部のマンノースを含む。この実施形態では、300,000〜1,000,000の範囲の分子量を有するポリサッカライドが、ガラクトース1部ごとに、1〜5部の範囲の、好ましくは、2〜4部の範囲の、さらにより好ましくは、2.5〜3.5部の範囲の、例えば、およそ3.1部のグルコースを含むことが好ましい。300,000〜1,000,000Daの範囲の分子量を有するこの組成物のポリサッカライドが、1:5〜15:1〜5の比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含むことが好ましい。この比はおよそ1:9.9:3.1であることが好ましい。
【0055】
本発明の別の実施形態では、本組成物は、ポリサッカライドの混合物を含み、少なくとも1,000,000Daの範囲の分子量を有するこの混合物内のポリサッカライドが、ガラクトース1部ごとに、3〜17部の範囲の、好ましくは、4〜16部の範囲の、より好ましくは、5〜15部の範囲の、さらにより好ましくは、6〜14部の範囲の、なおより好ましくは、7〜13部の範囲の、さらにより好ましくは、8〜12部の範囲の、さらにより好ましくは、9.3〜11.3部の範囲の、例えば、およそ10.3部のマンノースを含む。この実施形態では、少なくとも1,000,000の分子量を有するポリサッカライドが、ガラクトース1部ごとに、1〜5部の範囲の、好ましくは、2〜4部の範囲の、さらにより好ましくは、2.5〜3.5部の範囲の、例えば、およそ2.9部のグルコースを含むこと好ましい。少なくとも1,000,000Daの範囲の分子量を有するこの組成物のポリサッカライドが、1:4〜1:5〜15:1〜5の比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含むことが好ましい。この比はおよそ1:10.3:2.9であることが好ましくい。
【0056】
一実施形態では、本発明によるポリサッカライドは、1:10〜20:30〜50、例えば、1:12〜18:35〜45、例えば、1:14〜16:38〜42.例えば、1:約15:約40、例えば、1:15:40というガラクトース:マンノース:グルコースのモル比を有する。
【0057】
したがって、一実施形態では、組成物ポリペプチドは、1:0〜25:1〜50、例えば、1:10〜20:30〜50、例えば、1:12〜18:35〜45、例えば、1:14〜16:38〜42、例えば、1:約15:約40、例えば、1:15:40という比(ガラクトース:マンノース:グルコース)でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含む。
【0058】
別の一実施形態では、本発明によるポリサッカライドは、1:0.5〜5:6〜12、例えば、1:1〜4:7〜11、例えば、1:1.5〜3.5:7.5〜10、例えば、1:2.0〜3.0:7.5〜9.5、例えば、1:2.2〜2.8:8.0〜9.0、例えば、1:約2.5:8.0〜9.0、例えば、1:2.5:8.0〜9.0、例えば、1:2.5:8.6というガラクトース:マンノース:グルコースのモル比を有する。
【0059】
本発明の組成物の2つの好ましい実施形態は、1:12:40および1:3:5というガラクトース:マンノース:グルコースのモル比を有する。
【0060】
本発明の好ましい一実施形態では、糖組成物はアガリクス・ブラゼイ(Agaricus blazei)から入手可能であり、10〜20部のマンノースと、30〜50部のグルコースと、0〜2部のガラクトースとを(例えば、11〜17部のマンノースと、35〜45部のグルコースと、0〜1部のガラクトースとを)含む。糖組成物はアガリクス・ブラゼイ(Agaricus blazei)から入手可能であり、約15部のマンノースと、約40部のグルコースと約1部のガラクトースとを含むことがより好ましく、ここで、「約」とは、示した値から20%以内の差、例えば、示した値から10%以内の差、例えば、示した値から5%以内の差を意味する。
【0061】
本発明の別の好ましい実施形態では、糖組成物はガノダーマ(Ganoderma)から入手可能であり、0.5〜5部のマンノースと、4〜15部のグルコースと、0〜2部のガラクトースとを(例えば、2〜3部のマンノースと、7〜9.5部のグルコースと、0.5〜1.5部のガラクトースとを)含む。糖組成物は、ガノダーマ(Ganoderma)から入手可能であり、約2.5部のマンノースと、約8.6部のグルコースと、約1部のガラクトースとを含むことがより好ましく、ここで、「約」とは、示した値から20%以内の差、例えば、示した値から10%以内の差、例えば、示した値から5%以内の差を意味する。
【0062】
所定の範囲内の分子量を有するポリサッカライドのモノサッカライド含量の決定は、(例えば、限外濾過、微細濾過、超遠心分離またはゲル濾過により)組成物をサイズによって分画することによって決定できる。これは、例えば、実施例2に記載のとおり行うことができる。
【0063】
ポリサッカライドの混合物が、モノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを(0〜1.5):(0〜0.5)〜(15〜35):(0.5〜1.5)〜(45〜55)の比(例えば、以下のいずれか)で含むことが好ましい:
【0064】
【表1F】

本発明の別の実施形態では、本発明の組成物の糖組成物は、1〜25部のマンノースと、5〜45部のグルコースと、0〜1.5部のガラクトースとを含み(本明細書において「部」とは、相対的なモル比、すなわち、1〜25モルのマンノースごとに、5〜45モルのグルコースと、0〜1.5モルのガラクトースとが存在することを意味する)、したがって、糖組成物は以下の通りにA)と、B)と、C)とを含み得る:
A)以下からなる群から選択されるマンノースの1つの量:
1〜25部
1〜20部
1〜15部
1〜10部
1〜4部
1〜3部
1.5〜2.5部
4〜6部
7〜15部
7〜23部
9〜19部
12〜20部
10〜25部
12〜17部
14〜16部
および
B)以下からなる群から選択されるグルコースの1つの量:
5〜45部
5〜13部
7〜13部
7〜15部
8〜15部
8〜12部
8〜10部
8〜9部
8.4〜8.7部
8.6部
10〜20部
20〜30部
30〜40部
30〜45部
35〜45部
35〜42部
37〜45部
39〜41部
40部
および
C)以下からなる群から選択されるガラクトースの1つの量:
0〜1.5部
0.2〜1.2部
0.7〜1.5部
0〜0.2
0〜1部
0部
1部
1〜1.5部。
【0065】
(本発明の好ましい実施形態)
本発明の一実施形態では、1種以上のポリペプチドと、ポリサッカライドの混合物とを含み、
a)組成物のポリサッカライドの大部分が少なくとも30,000Daの分子量を有し、このポリサッカライドの混合物が1:0〜25:1〜50の比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含むか、
b)組成物のポリサッカライドの大部分が少なくとも100,000Daの分子量を有し、このポリサッカライドの混合物が0〜0.5:0.5〜10:0.5〜50の比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含むか、
または
c)組成物のポリサッカライドの大部分が少なくとも1,000Daの分子量を有し、このポリサッカライドの混合物が1:0〜25:1〜50の比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含む組成物を提供する。
【0066】
したがって、本発明の一実施形態では、組成物のポリサッカライドの大部分は、少なくとも10,000Da、好ましくは、少なくとも30,000Daの分子量を有し、このポリサッカライドの混合物は、1:0〜25:1〜50の比、例えば、以下のいずれかの比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含む:
1:0〜15:1〜25、
1:15〜25:1〜25、
1:0〜25:25〜50、
1:15〜25:25〜50、
1:0〜7:1〜50、
1:0〜7:1〜25、
1:7〜15:1〜50、
1:7〜15:40〜50、
1:0〜25:1〜40、
1:0〜25:25〜40、
1:0〜10:1〜50。
【0067】
本発明の別の実施形態では、本組成物のポリサッカライドの大部分は、少なくとも1,000Da、例えば、少なくとも5,000Da、例えば、少なくとも10,000Da、例えば、少なくとも20,000Da、例えば、少なくとも40,000Da、例えば、少なくとも50,000Da、例えば、少なくとも60,000Da、75,000Da、例えば、少なくとも85,000Da、最も好ましくは、少なくとも100,000Daの分子量を有し、このポリサッカライドの混合物は、0〜0.5:0.5〜10:0.5〜50の比、例えば、以下のいずれかの比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含む:
【0068】
【表1G】

この比は約0:1:18または約0:1:1であることが好ましい。
【0069】
本発明の別の実施形態では、組成物のポリサッカライドの大部分は、少なくとも500Da、例えば少なくとも800Da、例えば少なくとも1,000Da、例えば少なくとも5,000Da、例えば少なくとも10,000Da、例えば少なくとも20,000Da、例えば少なくとも40,000Da、例えば少なくとも50,000Da、例えば少なくとも60,000Da、75,000Da、例えば少なくとも85,000Da、例えば少なくとも100,000Da、最も好ましくは少なくとも1,000Daの分子量を有する;このポリサッカライドの混合物は、1:0〜25:1〜50の比、例えば、以下のいずれかの比でモノサッカライドであるガラクトースと、マンノースと、グルコースとを含む。
【0070】
【表1H】

この比は約1:12:40または約1:3:5であることが好ましい。
【0071】
(ポリペプチド)
本発明による組成物は、ポリペプチドを含むことが好ましい。本明細書において、用語ポリペプチドとは、タンパク質と、ペプチドおよびポリペプチドの両方を包含する。このポリペプチドは遊離型であってもよく、それらはポリサッカライドと共有結合していてもよく、または、ポリサッカライドまたは上記の混合物と非共有結合によって会合していてもよい。
【0072】
本組成物は、本組成物の経口投与を可能にするのに十分なポリペプチドを含むことが好ましい。本組成物があまりにも少ないポリペプチドしか含まない場合には、個体に本組成物を経口投与した後に、この個体において免疫調節が全く得られないかまたはほとんど得られない。したがって、本発明の組成物は、少なくとも10μg/L、より好ましくは、少なくとも20μ/L、さらにより好ましくは、少なくとも25μg/L、例えば、10〜1000μg/Lの範囲、例えば、20〜1000μg/Lの範囲の、例えば、25〜1000μg/Lの範囲の、例えば、25〜100μg/Lの範囲の、例えば、25〜35μg/Lの範囲のポリペプチド、好ましくは、可溶性ポリペプチドを含むことが好ましい。上記の濃度のポリペプチドを含む組成物は0.1〜2mg/mlの範囲の、より好ましくは、0.5〜1.5mg/mlの範囲の、さらにより好ましくは、約1mg/mlのポリサッカライドを含むことが好ましい。本組成物が多かれ少なかれポリサッカライドを含む場合には、ポリペプチドの量は比例的に低減されるか、高められることが好ましい。
【0073】
(組成物の調製方法)
本発明の組成物は、
i)液体増殖培地中で真菌を培養する工程と、
ii)この液体増殖培地からこの組成物を精製する工程と
を包含する方法によって調製されることが好ましい。
【0074】
一般に、液体増殖培地中で真菌を培養することは、この真菌の増殖に必要な栄養化合物を水に溶解することと、溶液をバイオリアクターに移すことと、バイオリアクターに、培養しようとする真菌の細胞または胞子、例えば、真菌の菌糸体、またはその画分を接種することを含む。これは無菌条件下で行われ、真菌に適した化学的および物理的環境を与えるよう環境を制御する。液体増殖培地中で真菌を培養することはまた、「液状」培養とも呼ばれる。
【0075】
「液状」培養の間、真菌バイオマスを含む培地を、撹拌して勾配の発生を低減し、液中の細胞の酸素の利用可能性を確実にすることが好ましい。真菌をバイオリアクター中で増殖させる場合には、既知の方法によって酸素を液体培地に供給でき、溶存酸素レベルを制御できる。
【0076】
液体増殖培地は水溶液であり、好ましくは、栄養化合物を含む滅菌水である。液体培地は真菌増殖を支援し、好ましくは、細胞外化合物、例えば、免疫調節物質の産生を刺激する。液体増殖培地には、微生物の増殖に必要な1種以上の代表的な成分、例えば、麦芽抽出物、酵母抽出物、ペプトン、グルコース、スクロース、スクロース、リン酸塩を提供する塩、マグネシウムおよびカリウム、コーンスティープリカーおよびチアミンなどのビタミンを含めることができる。培地は、菌糸体増殖およびポリサッカライドの産生のために、スクロース、コーンスティープリカー、リン酸塩およびマグネシウムを含むことがより好ましい。
【0077】
増殖培地の接種には、例えば、麦芽抽出物、酵母抽出物、ペプトンおよびグルコースを含有する寒天プレートから得た真菌の菌糸体、例えば、Lentinus edodes菌糸体を使用できる。まず、真菌を、真菌の増殖を支援する上記の栄養化合物を含む寒天プレート上で培養できる。このプレートに菌糸体を接種し、プレート上で少なくとも可視的増殖が明らかとなるまでインキュベートする。これは、真菌によっては、通常、18〜32℃の範囲の、好ましくは、22℃〜30℃の領域の温度、例えば、約23℃〜27℃の温度、例えば、およそ25℃で、約7日間〜約24日間、または約10日間〜30日間、代表的には、14日間または最大20日間かかる場合がある。
【0078】
寒天プレートから得た菌糸体での接種の代替法として、例えば、細胞増殖を支援する栄養化合物を含む振盪フラスコ培地中の発酵ブロスから得た菌糸体を用いることによって増殖培地の接種を行うことができる。まず、真菌の菌糸体を培養するための振盪フラスコに菌糸体を接種でき、これを寒天プレート上で培養する。このプレートから菌糸体を採取し、真菌の菌糸体増殖を支援する溶解した栄養化合物と栄養塩とを含む滅菌水を含む振盪フラスコに無菌的に移す。代表的な増殖培地は、スクロース、コーンスティープリカー、リン酸塩およびマグネシウムを含む。細胞外レンチナンの最大の産生をもたらす接種材料の量は、以下の初期実験の後に選択できる。
【0079】
振盪フラスコのインキュベーション時間は、特定の真菌に応じて変わる。代表的に、振盪フラスコは、18から32℃の範囲の、好ましくは22〜30℃の領域の温度、例えば、約23℃、例えば、24℃、例えば、25℃、例えば、26℃、例えば、27℃、例えば、28℃、例えば、29℃、例えば、30℃の温度で、6〜21日間、好ましくは、7〜18日間、より好ましくは、8〜14日間振盪することによってインキュベートすればよい。また、振盪フラスコは、8〜25日間、より好ましくは、10〜20日間、より好ましくは、12〜18日間インキュベートしてもよい。また、温度は18〜37℃、好ましくは、23〜32℃、例えば、約25℃であってもよい。
【0080】
振盪フラスコの内容物を、バイオリアクターの接種に使用できる。その場合には、リアクターには、担子菌の菌糸体、またはその画分、例えば、Lentinus属真菌の菌糸体、例えば、Lentinus edodesの単培養のための、栄養化合物と栄養塩との滅菌水溶液を含める。
【0081】
バイオリアクター発酵期間は、代表的に、50時間〜300時間の範囲、好ましくは、80時間〜270時間の範囲であり、温度は18〜32℃の範囲の、好ましくは、22〜31℃の領域の、例えば、約23℃の温度、例えば、24℃、例えば、25℃、例えば、26℃、例えば、27℃、例えば、28℃、例えば、29℃、例えば、30℃で一定に維持する。また、温度は18〜37℃、好ましくは、23〜32℃、例えば、約25℃であり得る。
【0082】
リアクターに、発酵ブロスに空気を供給するための注入口を取り付け、空気の添加の結果か、またはリアクターの内容物の良好な混合を提供するのに適したミキサーデバイスのいずれかによって、発酵ブロスを連続撹拌下で維持することが好ましい。
【0083】
増殖培地のpHを約3〜約7、例えば、約4.5〜約6.5のpH、例えば、約6のpHに調整し、次いで、増殖培地に真菌の菌糸体、またはその画分、例えば、L.エドデス(L.edodes)菌糸体を接種することが好ましい。pHは、最初の調整の後、発酵の過程の間に自然に低下する場合もあるし、適したpH制御物質、例えば、酸および塩基の添加を用いてpH3〜7の範囲の特定の値に制御してもよい。増殖培地の温度は、18〜32℃の範囲の、好ましくは、22〜31℃の領域の、例えば、約23℃の温度、例えば、24℃、例えば、25℃、例えば、26℃、例えば、27℃、例えば、28℃、例えば、29℃、例えば、30℃であることが好ましい。また、温度は18〜37℃、好ましくは、23〜32℃、例えば、約25℃であり得る。
【0084】
バイオリアクターからサンプルを得、バイオマス、代謝産物および栄養化合物について分析することができ、それらの決定が、発酵プロセスの稼働中にバイオリアクターの操作者を補助し得る。慣用的に実施される代表的な分析は、バイオマス、残存糖濃度および細胞外ポリサッカライド濃度の決定である。当業者には、この件に使用できる分析法は知られている。
【0085】
本発明による組成物を調製する方法は、真菌の菌糸体から液体増殖培地の細胞外画分を精製する工程を含むことが好ましい。液体発酵培地の細胞外画分はまた、上清とも呼ばれ、この画分は、例えば、遠心分離または濾過によって、または実際に、中に真菌の菌糸体が本質的に全く存在しない液体画分を得るために利用可能な、任意のその他の手段によって、真菌の菌糸体から分離できる。用語「中に真菌の菌糸体が本質的に全く存在しない」とは、真菌の菌糸体(その画分を含む)の濃度が少なくとも10倍低下している、例えば、少なくとも10倍低下している、例えば、少なくとも10倍低下している、例えば、少なくとも10倍低下していることを表すものとする。
【0086】
本発明の好ましい実施形態では、精製は少なくとも1つのサイズ分画工程を含む。このサイズ分画工程は細胞外画分で実施することが好ましい。このサイズ分画工程により、組成物中のどのポリサッカライドも、少なくとも所定の値の分子量を有することを確実にできる(本明細書中、上記も参照)。サイズ分画工程は、当業者に公知のいずれのサイズ画分、例えば、超遠心分離、限外濾過、微細濾過またはゲル濾過であってもよい。したがって、本発明の好ましい実施形態では、本組成物を液体増殖培地から、超遠心分離、限外濾過、微細濾過およびゲル濾過からなる群から選択される1以上の精製工程を含む方法によって精製する。精製工程は、限外濾過、微細濾過および超遠心分離からなる群から選択されることが好ましく、さらにより好ましくは、限外濾過および微細濾過からなる群から選択される。
【0087】
限外濾過は、膜が液体の成分をサイズによって分画する膜プロセスである。通常、膜の構成は、関連成分を含有する液体が膜を通って流れるクロスフローである。膜の名目孔サイズよりも小さい成分を含有する一部の液体は、膜を通過する。名目孔サイズよりも大きな分子は保持される。所望の産物は残留物または濾液中にあり得る。組成物を調製するために限外濾過を実施する場合には、この組成物内のどのポリサッカライドも所定の値を上回る分子量を有し、所望の産物は残留物中にある。連続分画を行う場合には、産物は残留物または濾液中にあり得る。
【0088】
微細濾過はUFと同様であるが、より大きな粒子が通過するのを可能にするさらに大きな膜孔サイズを有する膜分離プロセスである。
【0089】
ゲル濾過は、粒子がサイズによって分離されるクロマトグラフィーの技術である。濾過媒体は、代表的に、小さいゲルビーズであり、これがビーズ孔を通過できる分子を取り込む。より大きな分子は、ビーズに取り込まれずにカラムを通過する。
【0090】
ゲル濾過、限外濾過または微細濾過は、例えば、R Hatti−Kaul and B Mattiasson (2001)、Downstream Processing in Biotechnology,in Basic Biotechnology,eds C Ratledge and B Kristiansen,Cambridge University Press) pp189に記載のとおり実施できる。
【0091】
本発明による組成物を調製する非限定的な方法は、例えば、実施例1、7および8に記載されている。
【0092】
アルコール沈殿を含む、液体増殖培地から細胞外物質を精製する方法が、記載されている。しかし、アルコール沈殿は免疫調節効果を低減する場合があり、したがって、アルコール沈殿を用いて精製された組成物はあまり望ましいものではない。ゆえに、本発明の一実施形態では、本方法はアルコール沈殿工程を含まない。本方法は沈殿工程を含まないことがより好ましい。
【0093】
(薬学的組成物およびその使用)
本発明の別の実施形態では、免疫系の刺激を必要とする個体の免疫系を刺激する方法における本発明の組成物の使用を提供する。本組成物は、例えば、個体の免疫系を刺激できる薬剤上有効な量で個体に経口投与または皮下投与できる。免疫系の刺激は、例えば、抗体産生の増加によって、ヘルパーT細胞の活性化によって、またはインターロイキン、例えば、インターロイキン1およびインターロイキン2の産生の増加によって実証できる。
【0094】
本発明のさらに別の実施形態では、免疫無防備状態の処置を必要とする個体において免疫無防備状態を処置するための医薬の製造における本発明の組成物の使用を提供する。個体における免疫無防備状態は、例えば、不十分な量の抗体もしくは抗体産生の減少などの免疫系因子によって、個体における不十分な量のヘルパーT細胞もしくはヘルパーT細胞の産生の減少によって、個体における不十分な量のB細胞もしくはB細胞の産生の減少によって、個体における不十分な量のナチュラルキラー(NK)細胞によって、もしくはNK細胞の産生の減少によって、または個体における不十分な量のインターロイキン、例えば、インターロイキン1およびインターロイキン2もしくはインターロイキン、例えば、インターロイキン1およびインターロイキン2の産生の減少によって実証できる。免疫無防備状態は以下に開示されるもののうちいずれかであり得る。処置は予防的なもの、改善するものまたは治癒的なものであり得る。
【0095】
上記の本明細書において、「不十分な量」および「産生の減少」とは、医療関係者が健常な個体と通常関連している所定のレベルまたは値を下回っていると考えるような量および産生を表すものとする。通常、この量および/または産生は、年齢、全身の健康状態などといった因子に応じて変わる。このために、所定のレベルまたは値は、医療関係者によって個体ベースで決定されるものとする。個体における免疫無防備状態の1つの徴候としては、時間をかけて(例えば、数日、数週間、数ヵ月または数年をかけて)測定された単位(血液)サンプル容積当りの、抗体数の漸減、CD4(陽性)細胞数の漸減、またはヘルパーT細胞数の漸減がある。
【0096】
一態様では、本発明は、本発明の組成物と、薬学的に受容可能なキャリアとを含む薬学的組成物に関する。薬学的組成物は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 1995,edited by E.W.Martin,Mack Publishing Company,19th edition,Easton,Paに記載されるような従来技術によって調製され得る。本組成物は、従来の形態、例えば、カプセル剤、錠剤、トローチ剤、散剤、シロップ剤、液剤または懸濁剤で現れ得る。
【0097】
一態様では、本発明は、免疫無防備状態と診断された個体の処置法であって、この個体に、この免疫無防備状態を処置するのに有効な量の本発明による組成物または本発明による薬学的組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0098】
投与される量は、この免疫無防備状態を予防的に処置するのに有効な量であり得る。
【0099】
また、手術または病気から回復中であり、かつ、免疫無防備状態になる危険のある個体を処置する方法であって、この個体に、この個体の免疫系をブーストするのに有効な量の本発明による組成物または本発明による薬学的組成物を投与する工程を含む方法を提供する。
【0100】
さらに、後天性免疫不全症候群と診断されたか、または後天性免疫不全症候群になる危険のある個体の処置法であって、この個体に、この症候群を処置するのに、または予防的に処置するのに有効な量の本発明による組成物または本発明による薬学的組成物を投与する工程を含む方法を提供する。
【0101】
免疫無防備状態は、感染症、寄生虫病、ヘモフィルス髄膜炎、肺炎球菌性髄膜炎、連鎖球菌性髄膜炎、ブドウ球菌性髄膜炎、その他の生物による髄膜炎、脳炎、ウイルス性肺炎、肺炎球菌性肺炎、その他の細菌性肺炎、細菌を除くその他の特定の生物による肺炎、気管支肺炎、生物非特異性肺炎、インフルエンザ、詳細不明の下痢、詳細不明の肝炎、肝臓の急性および亜急性壊死、慢性肝炎ならびに肝臓膿腫からなる群から選択され得る。
【0102】
さらに、免疫無防備状態は、コレラ、サルモネラ、細菌性赤痢、大腸菌、その他の特定の細菌による腸内感染、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、ウイルス性胃腸炎、感染性大腸炎、腸炎および胃腸炎、感染性下痢症、結核、リステリア症、パスツレラ症、マイコバクテリア、ジフテリア、百日咳、髄膜炎菌、連鎖球菌敗血症、ブドウ球菌敗血症、肺炎球菌敗血症、嫌気性菌による敗血症、その他のグラム陰性生物による敗血症、放線菌感染、ガス壊疽、トキシックショック症候群、壊死性筋膜炎、フリードレンデル杆菌、インフルエンザ菌、シュードモナス、AIDS/HIV感染、急性灰白髄炎、クロイツフェルト・ヤコブ病、亜急性硬化性全脳炎、進行性多病巣性白質脳障害、中枢神経系の詳細不明のスローウイルス感染、コクサッキーウイルス、詳細不明のウイルス性髄膜炎、リンパ球性脈絡髄膜炎、詳細不明のウイルス性脳炎、水痘、帯状疱疹、単純ヘルペス、ウイルス性A型肝炎、ウイルス性B型肝炎、その他の特定のウイルス性肝炎、慢性肝炎、肝臓の膿腫/急性壊死、伝染性単核球症、巨細胞性封入体病、クラミジア、アデノウイルス、ウイルス感染、梅毒、カンジダ、詳細不明のヒストプラスマ症、アスペルギルス症、クリプトコックス症、真菌症、糞線虫症、腸管寄生、トキソプラスマ症、サルコイドーシス、ニューモシスティス・カリニ(pneumocystis carinii)、ポリオ後症候群、ヘモフィルス髄膜炎、肺炎球菌性髄膜炎、連鎖球菌性髄膜炎、ブドウ球菌性髄膜炎、脳炎、アデノウイルスによる肺炎、RSウイルスによる肺炎、パラインフルエンザウイルスによる肺炎、その他のウイルスによる肺炎、ウイルス性肺炎、肺炎球菌性肺炎、肺炎杆菌による肺炎、シュードモナスによる肺炎、インフルエンザ菌による肺炎、連鎖球菌による肺炎、ブドウ球菌による肺炎および細菌性肺炎によって引き起こされるかまたはそれらから選択される感染病または寄生虫病であり得る。
【0103】
個体は哺乳類、例えば、ヒトであり得る。
【0104】
本発明の組成物は、適した投与形態のいずれを用いても投与できるが、通常、投与は経口投与または非経口投与である。本組成物を含むシロップ剤および/または本組成物を含むシロップを含有するカプセル剤の形態の、または本組成物の散剤の形態の経口投与が好ましい。
【0105】
必要用量は、用いる特定の組成物、投与経路および処置される特定の個体によって異なる。理想的には、本方法によって処置される個体は、最大寛容用量で薬学的に有効な量の化合物を受け取る。
【0106】
一般に一日経口投与レジメンは、約0.001〜約100mg/kg、好ましくは、0.01〜50mg/kgの範囲、より好ましくは、0.1〜10の範囲、さらにより好ましくは、1〜2mg/全体重1kgの範囲であり得る。また、当業者によれば、組成物の個々の投与量の最適な量および間隔は、処置される状態の性質および程度、投与形態、投与経路および投与部位、ならびに処置される特定の患者によって決まること、ならびにこのような最適条件は従来技術によって決定できるということが認識される。当業者には当然のことであるが、最適処置過程、すなわち、規定の日数にわたって1日当たりに与えられる組成物の用量数は、処置決定試験の従来の過程を用いて当業者によって確認され得る。
【0107】
本発明による組成物および薬学的組成物はまた、この組成物と、用量および時間投与の指針を含む投与計画指示書とを含むキットの一部を形成し得る。
【0108】
(機能性食品)
本発明の一実施形態では、機能性食品の製造において本発明の組成物を用いる。したがって、本発明の一実施形態では、本明細書に記載される組成物のいずれも、(好ましくはヒトに適した)機能性食品または栄養素補給物質に含めることができる。この機能性食品は、生存促進性、長寿促進性、健康促進性であり、かつ/または微生物集団のモジュレーターであることが好ましい。この機能性食品は健康促進性であり、かつ/または微生物集団のモジュレーターであることがより好ましい。機能性食品は少なくとも毎週の経口摂取、例えば、毎日の経口摂取に適していることが好ましい。あるいは、この機能性食品製品は、非経口または経腸栄養において、好ましくは、当業者に公知のその他の栄養を含む製剤と組み合わせて使用するのに適しているものであり得る。
【0109】
本発明の製品は、ヒトの健康を促進するために、例えば、骨または心血管の健康を維持、強化または促進するために使用できる。本発明の好ましい一実施形態では、機能性食品を骨粗しょう症の予防または減少のために使用できる。本発明の別の好ましい実施形態では、この機能性食品の、例えば、1日1回、1日2回または1日3回といった定期的な消費が、風邪、咳などの疾病の危険の低減をもたらし、疲れおよび疲労を減少させる。
【0110】
投与法または消費法は異なり得るとはいえ、機能性食品は、ヒトによってその日々の食生活の成分として摂取されることが好ましい。本明細書に記載される組成物のいずれも、液体ビヒクル、例えば、水、ミルク、植物油、ジュースなどと、または摂取可能な固体または半固体食料品と組み合わせることができる。例えば、本組成物は、ミルクセーキ、ミルクセーキミックス、朝食用ドリンク、ジュース、フレーバードリンク、フレーバードリンクミックス、ヨーグルト、プディング、アイスクリーム、アイスミルク、フロスティング、フローズンヨーグルト、チーズケーキフィリング、「ヘルスバー」、例えば、グラノーラおよびフルーツバーをはじめとするキャンディーバー、ガム、ハードキャンディー、マヨネーズ、フルーツフィリングまたはクリームフィリングなどのペストリーフィリング、シリアル、パン、詰め物、ドレッシングおよびインスタントポテトミックスなどの食品に混合することができる。したがって、本発明は、本明細書に記載される(例えば、Lentinus属真菌から得られる)組成物のいずれかを食料品と混合することを含む、機能性食品組成物を製造する方法に関する。
【0111】
例えば、この機能性食品製品は、食事代替物、栄養補助食品、アイスクリーム、ソース、ドレッシング、スプレッド、バー、甘い物、スナック、シリアルおよび飲料の群から選択され得る。
【0112】
別の好ましい実施形態では、この機能性食品は、(好ましくは、丸剤、カプセル剤、錠剤または液剤の形態での摂取に適した)栄養補助食品である。
【0113】
一実施形態では、本明細書に記載される組成物のいずれか(例えば、Lentinus属由来の)を、組成物のレベルが5〜5000mg/100g製品の間であるように食品製品に添加することによって本発明の製品を調製する。
【0114】
(乳製品)
本発明の好ましい一実施形態では、機能性食品は乳製品である。したがって、この機能性食品は、例えば、以下のいずれかから選択され得る:
培養乳製品、ヨーグルト、カッテージチーズ、クリームチーズ、乳製品ディップ、サワークリーム、ミルクセーキ、バター、マーガリン、低脂肪スプレッド、チーズ、カッテージチーズ、チーズスプレッド、子供用チーズ「ストリングス」、チーズスライス、ヨーグルト、ヨーグルトベースの炭酸飲料、飲むことができるヨーグルト、低脂肪ヨーグルト、冷蔵ディップ、サワークリーム、アイスクリーム、クリーム、低脂肪クリーム代用品、ケフィアなどの発酵乳。
【0115】
本発明の好ましい一実施形態では、この乳製品は、チーズベースの製品、例えば、低脂肪チーズ、ハードチーズ、ソフトチーズ、カッテージチーズ、チーズスプレッド、子供用チーズ「ストリングス」またはサンドイッチに適したチーズスライスから選択されるものである。
【0116】
本発明の別の好ましい実施形態では、この乳製品はヨーグルトベースの製品、例えば、セットヨーグルト、流れやすいまたは注ぐことができるヨーグルト、ヨーグルトベースの炭酸飲料、飲むヨーグルトまたは飲むことができるヨーグルト、低脂肪ヨーグルトから選択されるものである。このヨーグルトベースの製品は、例えば、Lactobacillus bulgaricusおよび/またはStreptococcus thermophilusを用いて発酵させることができる。
【0117】
本発明の別の好ましい実施形態では、この乳製品は、培養乳製品、例えば、培養液(例えば、飲むことができるヨーグルト/ヨーグルトスムージー、ケフィア、プロバイオティックショット)、飲むことができないヨーグルト(例えば、カップまたはチューブ入りのもの)、および/または別の注ぐことができない培養乳製品(例えば、カッテージチーズ、クリームチーズ、乳製品ディップまたはサワークリーム)である。
【0118】
本発明の別の好ましい実施形態では、この乳製品は別の種類の乳製品、例えば、冷蔵ディップおよびサワークリーム、アイスクリーム、クリーム、低脂肪クリーム代用品、ケフィアなどの発酵乳、飲むことができるヨーグルトおよびケフィアなどの発酵飲料からなる群から選択されるものである。
【0119】
(健康ドリンク)
本発明の別の好ましい実施形態では、本発明による機能性食品は健康ドリンクである。この健康ドリンクは、一実施形態では、果汁ベースのものであり、これは、飲むために希釈される「スカッシュ」として濃縮できる。この果汁またはスカッシュは、濃縮果汁を含むことが好ましい。好ましい果汁としては、柑橘果汁、例えば、オレンジ、グレープフルーツ、レモンまたはライムまたはそれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。別の好ましい実施形態では、この果汁またはスカッシュは、例えば、ラズベリー、ストロベリー、ブラックベリー、ローガンベリー、クランベリー、アカフサスグリ、クロフサスグリ、ブルーベリーまたはそれらの組み合わせ、および/または柑橘系果汁との組み合わせ由来の(好ましくは、濃縮)ベリージュースを含む。別の好ましい実施形態では、この果汁またはスカッシュは、パイナップル、パッションフルーツ、マンゴー、リンゴ、洋ナシ、アプリコット、ザクロ、グアバ、トマトおよび/またはいずれかのその他の種類の果汁との組み合わせのうちの1種以上に由来するジュースを含む。好ましいジュースベースは以下の群から選択される:
・リンゴ
・アプリコット
・バナナ
・ブラックベリー
・ブルーベリー
・ゴレンシ(スターフルーツ)
・サクランボ
・ナツメヤシ
・イチジク
・フルーツカクテル
・ブドウ
・グレープフルーツ
・キウィフルーツ
・レモン
・マンダリンオレンジ
・マンゴー
・メロン
・ネクタリン
・オレンジ
・パパイヤ
・モモ
・洋ナシ
・パイナップル
・プランタイン
・プラム
・ラズベリー
・ストロベリー
・タンジェリン
・スイカ
またはそれらの組み合わせ。
【0120】
さらに好ましいジュースベースは以下の群から選択される:
・リンゴ
・ニンジン
・クランベリー
・ブドウ
・グレープフルーツ(ピンクまたはホワイト)
・レモン
・ライム
・オレンジ
・パイナップル
・パイナップル
・プルーン
・タンジェリン
・トマト
またはそれらの組み合わせ。
【0121】
この健康ドリンクはまた、水ベースのもの、例えば、ミネラルウォーターベースの製品、例えば、フレーバーミネラルウォーターベースの製品であってもよい。このフレーバリングは、果汁および/またはその他の天然の産物由来であることが好ましい。
【0122】
本発明の好ましい一実施形態では、この健康ドリンクは、例えば、25または30clの瓶に含まれる、糖と、その他のエネルギー供給製品とを含むエネルギーショットである。
【0123】
本発明の別の好ましい実施形態では、この健康ドリンクは、アルコール飲料、例えば、乳製品ベースのアルコール飲料である。
【0124】
本発明の別の好ましい実施形態では、この健康ドリンクは、食事代替ドリンクである。
【0125】
本発明の健康ドリンクはまた、後の段階で、好ましくは消費者によってドリンクに作り上げる準備ができている、濃縮物またはプレミックスとして製造できることが想定される。
【0126】
(固形の機能性食品)
本発明の好ましい一実施形態では、機能性食品は固形の機能性食品、例えば、以下からなる群から選択されるものである:ビスケット/クラッカー、朝食用シリアル、スープ、ミューズリー、チューイングガム、甘い物(例えば、ハードキャンディー)、フレッシュベーカリー製品(焼きたてパン、ケーキ、マフィン、ワッフルなど)、ドライベーカリー製品(クリスプブレッド、ビスケット、クラッカーなど)、シリアル製品(朝食用シリアル、ファイバーおよびステロールを強化した小麦粉、ミューズリー、シリアルベースおよびミューズリーバー、例えば、チョコレートを含有する可能性があるバー、パスタ製品、スナックなど)、ふすま製品、(粒状および/または焼きふすま製品、フレーバー付きおよび/またはステロールコートされたふすま製品およびふすま−ふすまミックスなど)。
【0127】
本発明の別の好ましい実施形態では、この固形の機能性食品は、食品の調理または製造において用いられる、ベーキング用(例えば、パン、ケーキ、マフィン、ワッフル、ピザ、パンケーキ)か、調理用(例えば、スープ、ソース、デザート、プディング)いずれかの、レディミックス(好ましくは粉末の形の)である。
【0128】
本発明の別の好ましい実施形態では、この固形の機能性食品は、肉製品(ソーセージ、ミートボール、コールドカットなど)である。
【0129】
本発明の別の好ましい実施形態では、この固形の機能性食品は、パンまたは朝用製品/ベーカリースナックである。したがって、このパンは白パン、黒パンまたは全粒パンであり得る。本発明の別の好ましい実施形態では、このパンは以下のパンの種類から選択され得る:麦芽入り小麦粉、ミルクパン、ふすま強化およびミックスドグレイン(mixed grain)パン。パンは、例えば、小さい塊、コーバーグ、重ねパン(cottage)、チョヤ(cholla)、ブルーマー(bloomer)、バレル(barrel)、バッチ(batch)、サンドイッチ、型焼き、ウィーン(vienna)または田舎風など、どんな形状のものであってもよい。本発明の好ましい一実施形態では、このパンは以下のパンの種類のいずれかから選択される:
全粒パン
黒パン
小麦胚芽パン(10%もの加工小麦胚芽が添加されて含まれているパン)
ソフトグレインパン(従来の白パンと比較して、繊維含量を高めるために(好ましくは、30%まで)、軟化したライ麦および小麦粉というさらなる穀物を含む白い小麦粉から製造されたもの)
全麦パン
麦芽パン。
【0130】
本発明の別の好ましい実施形態では、このパンは、以下のパンの種類のいずれかから選択される:
チャバタ
ピタ
ナン
チョヤ
フォカッチャ
ソーダブレッドまたはブラウンソーダブレッド(全粒粉を用いて作られる)
ライ麦パン
バゲットまたはフレンチスティック
クロワッサン
ベーグル。
【0131】
本発明の別の好ましい実施形態では、このパンは、例えば、以下のパンの種類のいずれかから選択される平たいパンである:チャパティ、パラタ(Parata)およびロティ(Roti)、メキシカントルティーヤ、フラット「ラップ」トルティーヤまたはフラワートルティーヤ、パンケーキ。
【0132】
本発明の別の好ましい実施形態では、機能性食品は朝用スナックまたはベーカリー製品である。このベーカリー製品は、甘い物か、またはセイボリーのいずれか、例えば、セイボリーであり得る。
【0133】
好ましいベーカリー製品としては、ロールパンおよび平たくて柔らかいパン、マフィン、クラムペットおよびピクレット、スコーン、ティーケーキ、丸パンおよびその他の果物を加えた製品などの焼き製品、パンケーキおよびグリドルスコーン、ワッフルおよびポテトケーキなどのホットプレート製品、ホットクロスバン、クロワッサン、ブリオッシュ、パン・オ・ショコラ、ベーグル、アメリカンスイートマフィンおよびその他のセミスイートパン製品が挙げられるがこれらに限定されない。
【0134】
(植物油ベースの製品)
本発明の別の好ましい実施形態では、機能性食品は、植物油ベースの製品である(スプレッド、サラダオイル、マヨネーズなど)。
【0135】
(冷凍菓子製品)
本発明の別の好ましい実施形態では、機能性食品は冷凍菓子製品である。本発明の目的上、用語、冷凍菓子製品としては、ミルク含有冷凍菓子、例えば、アイスクリーム、フローズンヨーグルト、シャーベット、ソルベ、アイスミルク、フローズンカスタード、氷菓子、グラニタおよびフローズンフルーツピューレが挙げられる。
【0136】
冷凍菓子中の固体(例えば、糖、脂肪、香料など)のレベルは、3wt%より多いことが好ましく、10〜70wt%がより好ましく、例えば、40〜70wt%である。
【0137】
アイスクリームは代表的に、2〜20wt%の脂肪と、0〜20wt%の甘味料と、2〜20wt%の脱脂乳成分と、任意成分(例えば、乳化剤、安定剤、保存料、香料成分、ビタミン、ミネラルなど)とを含み、残りは水である。代表的に、アイスクリームには20〜400%、より一般的には、40〜200%のオーバーランに空気を含ませ、−2〜−200℃、より一般的には−10〜−30℃という温度に凍結する。アイスクリームは、普通は、約0.1wt%のレベルのカルシウムを含む。
【0138】
冷凍菓子材料の平均的1人分の代表的なサイズは66gである。本発明による組成物は、カプセル化してもよいし、または乳化剤、界面活性剤もしくは製品中の物質の可溶化および安定化を確実にするためのその他の物質と合わせてもよい。
【0139】
(食事代替物)
本発明の別の好ましい実施形態では、機能性食品は食事代替物である。食事代替ドリンクは、代表的には、液体ベースをベースとし、例えば、これをガムまたはファイバーによって増粘させ、それにミネラルおよびビタミンのカクテルを添加することができる。ドリンクには所望の風味、例えば、フルーツまたはチョコフレーバーにフレーバーを付けることができる。代表的な1人分のサイズは330mlまたは330gであり得る。本発明による組成物は、カプセル化してもよいし、または乳化剤、界面活性剤もしくは飲料中の物質の可溶化および安定化を確実にするためのその他の物質と合わせてもよい。
【0140】
食事代替スナックまたはバーは、食用材料のマトリックスを含むことが多く、その中に本発明による組成物を組み込むことができる。例えば、マトリックスは脂肪ベース(例えば、クーベルチュールまたはチョコレート)であってもよいし、ベーカリー製品(パン、生地、クッキーなど)をベースとするものであってもよいし、凝集粒子(米、穀物、ナッツ、レーズン、フルーツ粒子)をベースとするものであってもよい。スナックまたは食事代替バーの代表的なサイズは、20〜200g、一般的には、40〜100gであり得る。製品には、さらなる成分、例えば、香料材料、ビタミン、ミネラルなどを添加することができる。
【0141】
(組み合わせ)
本発明の一態様では、機能性食品は、本発明による組成物を、別の生存促進性物質、長寿促進性物質、健康促進性物質および/または微生物集団のモジュレーターと組み合わせて含む。
【0142】
例えば、この機能性食品の1つの好ましい実施形態として、1種以上の本発明による組成物と、プロバイオティックとを、例えば、プロバイオティック「ショット」中に含む食品がある。機能性食品の別の好ましい実施形態は、本発明による化合物と、プレバイオティックとを、例えば、プレバイオティック「ショット」中に含む食品である。機能性食品の別の好ましい実施形態は、本発明の組成物と、シンバイオティックとを、例えば、シンバイオティック「ショット」中に含む食品である。本発明の好ましい一実施形態では、上記のショット中に用いるのに好ましい細菌は、以下のうちのいずれかである:Lactobacillus sp.(例えば、L.acidophilus、L.casei、L.fermentum、L.johnsonii、L.lactis、L.plantarum、L.reuteri、L.rhamnosusおよび/またはL.salivarius)。本発明の別の好ましい実施形態では、上記のショット中に用いるのに好ましい細菌は以下のうちのいずれかである:Bifidobacterium sp.(例えば、B.bifidum、B.breve、B.lactisおよび/またはB.longum)。本発明の別の好ましい実施形態では、上記のショット中に用いるのに好ましい細菌は以下のうちのいずれかである:Enterococcus faecalis、Escherichia coli、Saccharomyces boulardii、Saccharomyces cerevisiaeおよび/またはStreptococcus thermophilus。
【0143】
本発明による組成物はまた、例えば、植物サプリメントなどの栄養補助食品において、および/またはビタミンEカプセル剤において、またはセレン丸剤において、他の成分と合わされてもよい。この栄養補助食品におけるさらに好ましい組み合わせは、以下のうち1種以上とであり得る:抗酸化物質、ビタミンC、ビタミンE、β−カロテン。
【0144】
本発明の機能性食品は、他の健康によい成分、例えば、ビタミンA、B、C、D、E、カルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛、セレンなどのミネラルおよびトコフェロール、ポリフェノールなどの抗酸化物質などをさらに含み得る。例えば、機能性食品は、本発明による組成物(例えば、レンチナン)を、ビタミンCとともに含むことができ、その組み合わせが、この機能性食品を摂取している個体において風邪およびインフルエンザの減少を引き起こすことができる。
【0145】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、骨粗しょう症を減少または予防すると考えられているさらなる成分を含み得る。このような成分の例は、カルシウム、ビタミンD、マグネシウムなどである。
【0146】
本発明の適した機能性食品の好ましい実施形態を、本明細書において以下に記載する:
0.1〜5%、好ましくは、0.5〜1%の量の本明細書に記載される組成物のいずれかを含む飲料。
【0147】
0.9〜16%、好ましくは、2.4〜10%、より好ましくは、3〜5%の量の本明細書に記載される組成物のいずれかを含むフレッシュベーカリー製品。
【0148】
1.0〜20%、好ましくは、3.2〜15%、より好ましくは、4.4〜10%の量の本明細書に記載される組成物のいずれかを含む乾燥ベーカリー製品。
【0149】
0.8〜20%、好ましくは、1.6〜16%、より好ましくは、2〜10%の量の本明細書に記載される組成物のいずれかを含むシリアル製品。
【0150】
4%〜25%、好ましくは、6〜20%の量の本明細書に記載される組成物のいずれかを含むふすま製品。
【0151】
0.1〜20%、好ましくは、0.8〜8%の量の本明細書に記載される組成物のいずれかを含む乳製品または非乳製品(例えば、発酵シリアル製品)。
【0152】
0.6〜16%、好ましくは、2.6〜10%、より好ましくは、2.6〜5%の量の本明細書に記載される組成物のいずれかを含む植物油ベースの製品。
【0153】
0.1〜16%、好ましくは、0.2〜5%の量の本明細書に記載される組成物のいずれかを含む肉製品。
【0154】
0.1〜16%、好ましくは、0.2〜5%の量の本明細書に記載される組成物のいずれかを含む乳製品。
【0155】
したがって、一実施形態では、本発明は、機能性食品、例えば、本明細書に記載される機能性食品のいずれかの製造における本明細書に記載される組成物のいずれかの使用に関する。
【実施例】
【0156】
以下の実施例は、本発明の例示的実施形態を説明するものであって、本発明の制限と見なしてはならない。
【0157】
(実施例1)
(炭水化物組成物)
Lentinus edodesを、振盪フラスコ中、25℃で、15g/lグルコース、3g/l麦芽抽出物、3g/l酵母抽出物および5g/lペプトンを含む培地において液体培養で培養した。培養後、バイオマスを、濾過によって残りの発酵ブロスから分離した。上清を50,000Daという名目孔サイズを有する膜を用いる限外濾過に付した。残留物(本明細書では、「MediMush製品」と称する)をモノサッカライド含量の分析に用いた。
【0158】
比較のために、市販の注射用レンチナン(Eureka Bio−Chemicals Pty,Little Collins Street.Melbourne 3000,Australia)を並行して実施した参照実験において用いた(本明細書では以下、この製品を「Eureka」と称する)。
【0159】
サンプルを、100℃、1N HClにおいて、その構成要素モノサッカライドに加水分解した。加水分解産物を、移動相として600mMのNaOHを用い、Dionex MA−1カラムを用いてHPLCによって分析した。検出はパルス電流法によって行った。
【0160】
MediMush製品の主要なモノサッカライドは、マンノースと、グルコースと、いくらかのガラクトースであった。表Aは、MediMush製品とEurekaの相対モノサッカライド含量を示す。
【表A】

【0161】
(実施例2)
(分子量分画)
それらの生物活性の分子量特性決定のために、MediMushサンプルを、6℃、7,500×gでMicrosep (Pall Life Sciences)遠心分離限外濾過によって遠心分離した。50,000〜1,000,000の名目MWCO値を有するフィルターを用いた。分析結果(表2参照)は、酸加水分解でマンノース、グルコースおよびガラクトースを生じる材料が、用いた4種のMWCO膜すべてを通過することを示した。
【0162】
【表2−1】

【0163】
(実施例3)
(可溶性タンパク質)
サンプル中の可溶性タンパク質を、クマシー色素結合アッセイのマイクロスケール版によって測定した(Mousdale,D.M,Campbell,M.S.,Coggins,J.R.「Purification and characterisation of bifunctional dehydroquinase−shikimate:NADP dehydrogenase from pea seedlings」.Phytochemistry 367,217−222(1987))。2種の製品中の可溶性タンパク質の量を以下に示す。
【0164】
【表2−2】

【0165】
(実施例4)
(免疫賦活)
(組織培養)
P388細胞はマウスマクロファージ様細胞であり、これは、刺激されると多量のインターロイキン−1(IL−1)を分泌する(細胞に関する詳細な情報はECACCから入手可能である)。分泌されるIL−1の量は、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)に基づいた方法を用いて定量でき、細胞がどのように刺激されたかの尺度として使用できる。このようなアッセイを較正する絶対値は存在しないことには留意しなくてはならず、したがって、並行して参照サンプルを分析し、参照サンプルによって誘発されたIL1産生と比較して、IL1産生を評価することが好ましい。2つの型のIL−1、すなわち、IL−1αおよびIL−1βがある。P388細胞を、12ウェル培養プレートに播種し、一晩増殖させる。異なる濃度の種々の賦活薬を加え、37℃で24時間インキュベートする。
【0166】
(ELISA)
各ウェルに由来する50μlの刺激を受けた培養培地を、コーティングバッファーと混合し、96ウェルELISAプレートに分注し、4℃で一晩コーティングさせた。この工程により、抗原(IL−1)がELISAプレートの表面と結合することが可能となる。IL−1を、ヤギで作製される、2種の異なる型のIL−1に対する2種の抗体(一次抗体)を用いて検出する。次の工程では、ヤギ抗体を検出する別の抗体(二次抗体)を用いる。この抗体はホースラディッシュペルオキシダーゼと結合しており、これによって、基質が加えられると呈色反応が生じる。分光光度計(ELISAリーダー)によって測定される色の量は、存在するIL−1の量と相関し、従って、組織培養細胞がどの程度刺激されているかが定量される。
【0167】
(結果)
(全サンプルアッセイ)
2種の製品を、ある範囲の濃度で試験し、最適値は、IL1αについては50μg/mlであり、IL1βについては100μg/mlであることがわかった。結果を表3に示す。
【0168】
【表3−1】

MediMush製品は著しく免疫賦活性であった。Eureka製品はいくらかの免疫賦活を示したが、MediMush製品よりも大幅に弱かった。MediMush製品は、Eurekaよりも58倍多いIL1αおよび20倍多いおよびIL1−βの産生を誘発した。
【0169】
(画分のアッセイ)
フィルターカットオフよりも大きな分子がアッセイ中に存在しないよう、濾液を試験した。結果は吸光度として示されており、相対的な免疫賦活の目安を示すに過ぎない。このようなアッセイを較正する絶対値は存在しない。
【0170】
【表4−1】

すべての濾液材料が、有意な免疫賦活を示した。
【0171】
(実施例5)
2種の異なる製造法を比較するために、実施例1に記載のとおりに調製されたMediMush製品の免疫賦活活性を、サイズ分画に付されなかったポリサッカライド組成物の免疫賦活活性と比較した。
【0172】
この製品を、実施例1に記載されるように、Lentinus edodesを液体培養において培養することによって調製した。このように得られた上清に、およそ2容積の無水エタノールを加え、生成物を沈殿させた。沈殿物を除去し、無水エタノールで洗浄し、蒸留水に再懸濁した。
【0173】
免疫賦活アッセイは、実施例4に記載のとおりに実施した。MediMush製品を用いた結果を表5に示し、沈殿した生成物を用いた結果を表6に示す。
【0174】
【表5−1】

【0175】
【表6−1】

アッセイを並行して実施しなかったので、得られた数値は比較できない。しかし、両研究においてEurekaを参照として用いたので、結果をEureka)と比較して何倍増強として比較することができる。これらの値を以下の表7に示す。明らかなように、両組成物とも、Eurekaよりも大幅に免疫賦活性が高かった。しかし、MediMush製品は、沈殿生成物よりも免疫賦活性が高かった。
【0176】
【表7−1】

【0177】
(実施例6)
免疫賦活特性を決定するために、以下の方法を使用できる:12週齢のSprague Dawleyラットに0.09生理食塩水0.5ml中、1mgの本発明による組成物を与え(腹腔内)、2日後、免疫する。対照動物には1mgのカゼインを与える。動物を、0.25「フロイント完全アジュバント」中、BSA(0.5mg)を用いて免疫し、11日後、抗体応答の測定のために血液サンプルを得る。特異的抗BSA抗体濃度を、「サンドイッチ」ELISAによって、抗体BSAの絶対的基準に対して求める。
【0178】
(実施例7a)
(Agaricus sp.の培養のためのプロトコール)
培養条件:
温度:25℃±1℃
pH:中程度のpH
水:水道水
培地:グルコース30g/l;
菌学ペプトン10g/l、
酵母抽出物6g/l
麦芽抽出物6g/l。
【0179】
(Agaricus sp.の発酵槽(3リットル)培養)
発酵槽に1.7リットルの培地を入れ、121℃で20分間滅菌する。発酵条件を設定する:25℃、200〜300rpmおよび0.2〜0.5vvmの空気。発酵培地または良好な増殖を促進する同様の培地を含む、6〜8日培養した振盪フラスコを用いて発酵槽に接種する。必要な場合には(普通は、実施の間中)、適した消泡剤を添加する。6〜8日後に収集する。
【0180】
(Agaricus sp.の収集)
バイオマス:フィルター媒体として孔サイズ45のナイロンクロスを用いてバイオマスをブロスから取り出す。バイオマスを水で十分に洗浄し、霜取りに設定した電子レンジ中で乾燥するまで乾燥させる(通常のサンプルサイズには約15分必要となる)。冷却し秤量するまでデシケーター中で保存する。
【0181】
発酵液:発酵液中の免疫賦活物質の濃度を、無水エタノールを用いてpptで決定する。必要ならば、滅菌蒸留水を加えて濃度を所望のレベルに調整する。得られた液体をオートクレーブし、保存する。
【0182】
医療グレード:バイオマスを含まない発酵液を、例えば、300kDといったmwtカットオフを有するUFフィルターに通す。70〜80%の液体を除去したら、残留物に水を加えて溶液を洗浄する。溶液がその色の多く(ほとんど)を失い、透明に見えるまで繰り返す。
【0183】
(実施例7b)
Agaricus blazeiを、実施例7aに記載のとおりに液体培養で培養した。培養後、バイオマスを、濾過によって発酵ブロスの残りから分離した。上清を種々のmwtカットオフを有するフィルターを用いる遠心分離濾過に供した。100kD未満のすべての成分を除去し、製品MediMushIIを含有する液体を残すことによって、第1の製品(MediMush製品IIと表した)を得た。上清から、1kD未満のmwtを有するすべての成分を除去し、「MediMush製品III」を含有する液体を残すことによって、第2の製品(MediMush製品IIIと表した)を得た。
【0184】
サンプルを、100℃、1N HClにおいて、その構成要素モノサッカライドに加水分解した。加水分解産物を、移動相として600mMのNaOHを用い、Dionex MA−1カラムを用いてHPLCによって分析した。検出をパルス電流法によって行った。
【0185】
MediMush製品IIおよびIIIの主要なモノサッカライドは、マンノースと、グルコースと、いくらかのガラクトースであった。表Bは、MediMush製品IIおよびIIIの相対モノサッカライド含量を示す。
【表B】

【0186】
(実施例8)
Ganoderma lucidumを、液体培養において、実施例7aに記載されるとおりAgaricus真菌と同様の方法で培養した。培養後、バイオマスを、濾過によって発酵ブロスの残りから分離した。上清を実施例7aに例示されるように遠心分離濾過に付した。100kD未満のすべての成分を除去し、製品MediMush IVを含む液体を残すことによって、第1の製品(MediMush製品IVと表した)を得た。上清から、1kD未満のmwtを有するすべての成分を除去し、「MediMush製品V」を含有する液体を残すことによって、第2の製品(MediMush製品Vと表した)を得た。
【0187】
サンプルを、100℃、1N HClにおいて、その構成要素モノサッカライドに加水分解した。加水分解産物を、移動相として600mMのNaOHを用い、Dionex MA−1カラムを用いてHPLCによって分析した。検出はパルス電流法によって行った。
【0188】
MediMush製品IVおよびVの主要なモノサッカライドは、マンノースと、グルコースと、いくらかのガラクトースであった。表Cは、MediMush製品IVおよびVの相対モノサッカライド含量を示す。
【表C】

【0189】
(実施例9)
(マウス腹腔浸出細胞(PEC)および脾細胞による炎症誘発性サイトカイン産生に対する経口および腹膜内MediMush製品処置の効果)
(材料および方法)
マウス:これらの研究には24匹の、5週齢の雄のマウスを用いた。それらを、Louisiana State University、Laboratory Animal Medicine部門から購入した。すべての研究を、LSU IACUC プロトコール04−120に記載される規定にしたがって実施した。
【0190】
MediMush製品処置:マウスを4群に分けた。群1には0.15M NaCI中2mg/kgのレンチニアン(lentinian)を腹腔内(i.p.)に与え、群2には、等容積の生理食塩水をi.p.で与え、群3には、10mg/kgのMediMush製品水溶液を胃管栄養法(経口)で与え、群4には等容積の水を経口で与えた。すべてのマウスに1日1回5日間処置を与えた。最後の処置の24時間後、細胞単離のためにマウスを出血させ、安楽死させた。
【0191】
腹腔浸出細胞(PEC)の単離および刺激:PECを、先に記載されたように(1)腹膜洗浄によって収集した。細胞を、2mM L−グルタミン、100ユニット/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンを補充したRPMI1640(培地)中1×10個/mLに濃縮し、24ウェル組織培養プレートに1mL/ウェルで分配した。プレートを1200×gで10分間遠心分離し、37℃、5%COで2時間静置した。培地を廃棄し、ウェルを加温した培地で1回洗浄し、1.5mLの加温した、10%ウシ胎仔血清(Hyclone,Inc.Logan,UT)を補充した培地(完全培地)で交換した。各群のウェルの半分を、10ng/mlの大腸菌リポ多糖類(LPS;Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)で処理し、細胞を37℃、5%COで12または24時間静置した。フィコエリトリンで標識したCD3およびCD14に対する抗体(eBioscience,San Diego,CA)およびフルオレセインで標識した抗マウスIgG(Jackson ImmunoResearch,Avondale,PA)を用いてフローサイトメトリーによって細胞の表現型を調べた。
【0192】
脾細胞の単離および刺激:各マウスから脾臓を採取した。一部を、将来のmRNA解析のために急速凍結した。残りの脾臓を、群別にプールし、70μmのナイロンスクリーン(Becton Dickenson Labware,Franklin Lakes,NJ)を通して押しつぶした。脾細胞を1回洗浄し、ペレットを緩衝塩化アンモニウムに氷上で5分間再懸濁した。細胞を2回洗浄し、完全培地に4×10個/mLで再懸濁し、1.5mL/ウェルで24ウェル組織培養プレートに分配した。代表的なウェルを10ng/mlの大腸菌LPSまたは5μg/mLのコンカナビリン(Concanavilin)A(ConA;Sigma Chemical Co.)で刺激し、細胞を37℃、5%COで12または24時間静置した。
【0193】
サイトカインについてのELISA。TNFα、IL−1β、IL−6およびIL−12に対するサイトカインELISAを、血清および培養上清で、製造業者(eBioscience)によって記載されたとおり正確に実施した。希釈していない上清を3連で試験した。血清を試験のために1:10希釈した。
【0194】
(結果および考察)
MediMush製品には、重量増加によって測定されるそれらの増殖に対して統計的に有意な効果がなかった(表1)。しかし、i.p.MediMush製品には、腹膜洗浄液から単離される細胞数および細胞の表現型に対して効果があった。経口によって曝露されたマウスと、生理食塩水をi.p.で与えられたマウスは比較的同様であったが、i.p.MediMush製品処置を受けたマウスの腹膜から単離される細胞総数が増加した(データは示していない)。細胞数の増加は、主に集団中の好中球の増加によるものであった(表2)。マクロファージと比較したPMNによる観察結果への相対的寄与率はこの段階では推定できないが、i.p.群では異なる観察される相違が達成され得る。対照的に、経口群の数および表現型は極めて類似しており、その比較は統計的に妥当であるはずである。
【0195】
腹膜内(i.p.)MediMush製品処置は、12時間で腹腔浸出細胞(PEC)によるTNFα産生の4倍の増加(表3)および脾細胞による3倍の増加(表4)、ならびにPEC(30%増加)および脾細胞(2倍)によるインビトロ LPS処理に応じて産生さたTNFα量の増加を引き起こした。経口MediMush製品処置には、PECまたは脾細胞によるTNFα産生に対して有意な効果はなかった。興味深いことに、インビトロ LPS刺激後にPECによるTNFα産生において有意な減少(20%)があった(表4)。これらの結果は、TNFαに対する効果は局所レベルで開始され得、かつ/またはMediMush製品に対する直接曝露が必要であり得るということを示す。
【0196】
経口およびi.p.MediMush製品処置の双方により、PECによるIL−1β産生が大幅に促進される(それぞれ、18倍および6倍;表4)。さらに、ip処置を受けたマウスではインビトロ LPSに応じてIL−1βも、3倍より多く増加した。TNF同様、経口MediMush製品に曝露され、インビトロ LPSで刺激されたマウス由来のPECによるIL−1β産生は減少した(2倍)。
【0197】
処置を受けたマウスおよび処置を受けていないマウス由来の脾細胞は、最初の12時間の培養において少量のIL−1βしか産生しない。マウスを、経口またはi.p.のいずれかでMediMush製品に曝露させると、マウス由来の脾細胞は、LPSまたはConA(T細胞分裂促進因子)のいずれかでの処理によって刺激されてIL−1βを産生する。
【0198】
概して、MediMush製品処置は、PECによるIL−6産生に対して効果を有していたが、これは非LPS処理細胞においてのみ統計的に有意であった(表7)。対照的に、IL−6産生は、刺激を受けていない脾細胞によって緩やかに上昇したが、LPSまたはConA刺激を受けた、経口およびi.p.曝露双方の脾細胞によって緩やかに減少した。IL−6レベルは、次の12時間の培養にわたって上昇し続けた(表9および10)。
【0199】
12時間でのインターロイキン12産生は、ConA刺激を受けた脾細胞培養の場合を除いてアッセイの検出限界であった(表12)。i.p.MediMush製品曝露では、マウスはLPSに応じて有意な量のIL−12を産生する。
【0200】
経口MediMush製品曝露は、概して、PECによる炎症誘発性サイトカイン産生を低減させ、脾細胞による炎症誘発性産生を増加させた。このことは、MediMush製品(経口)に対する全身性反応が、先の研究において測定された局所応答(経鼻、i.p.、i.v.)と異なり得ることを示唆する。
【0201】
i.p.でおよび経口で投与されたMediMush製品は、MediMush製品の投与量が同等ではないために直接比較できなかった。
【0202】
(参考文献)
1.Coligan,JE,Kruisbeek,AM,Margulies,DH,Shevach,EM,Strober,W(eds.).1994.「In vitro assays for mouse lymphocytes」in Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,Indianapolis,IN,p3.15.4
【0203】
【表1】

【0204】
【表2−3】

【0205】
【表3−2】

【0206】
【表4−2】

【0207】
【表5−2】

【0208】
【表6−2】

【0209】
【表7−2】

【0210】
【表8】

【0211】
【表9−1】

【0212】
【表10−1】

【0213】
【表9−2】

【0214】
【表10−2】

(機能性食品製品の実施例)
本発明を、本発明に用いるのに好ましい機能性食品製品の適した実施形態を記載することによって、以下、さらに例示する。提供される教示を用いること、それとともに本発明のその他の製品を調製することは十分に当業者の能力の範囲内であると考えられる。
【0215】
(実施例10)
(バー)
75gのダークチョコレートを70℃で溶かし、続いて、600mgのMediMush製品と混合する。この混合物をバーの形の型に注ぎ入れ、一晩冷却する。
【0216】
(実施例11)
(ミルクセーキ)
100mlのバニラフレーバーのアイスクリームを、100mlの冷却したミルクと、10mlのストロベリーシロップと、1mlのキノコ培養から得た細胞外液体と混合する。この混合物をブレンダーに通し、直ちに供する。
【0217】
(実施例12)
(ヌガーバー)
成分重量(g)
水 70
Hyfoama(乳化剤)3.5
ゼラチン2.0
糖515
グルコースシロップ60DE 250
グルコースシロップ35DE 250
スキムミルク粉末115
脂肪50
キノコ培養から得た細胞外液体1g。
【0218】
調製方法:hyfoamaおよびゼラチンを水に溶解し、150gの糖を加え、泡立て、残りの糖を130℃に加熱し、泡に徐々に加える。脂肪、グルコースシロップ、ミルク粉末およびキノコ培養から得た細胞外液体1gを加える。放冷し、50gのバーに分割する。
【0219】
(実施例13)
(フルーツドリンク)
11成分の200gの果汁濃縮物(バナナ、パイナップル、オレンジ、ブドウ、アプリコット、レモン、パッションフルーツ、グアバ、マンゴー)、5gのフルクトース、1gのイヌリン、10g、0.1gのMediMush製品IV、0.9gの植物ステロール脂肪酸エステル(=0.54gのステロール相当物)、5gのレシチン、1.5gの乳酸カルシウム、775gの水。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載される発明。

【公開番号】特開2012−17347(P2012−17347A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−233448(P2011−233448)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【分割の表示】特願2007−520666(P2007−520666)の分割
【原出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(507013936)
【Fターム(参考)】