説明

真菌類の分類および抗菌治療のための試薬、方法およびキット

本明細書において、真菌類を分類するための方法、キットおよび組成物を提供する。確立された表現型(例えば、抗真菌薬感受性プロフィール)により真菌類を分類するための方法を提供する。さらに具体的にいうと、本発明は、真菌に対する好適な治療の方向性を支援する、診断上の適用に対するPNAプローブの使用法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願〕
本出願は、本明細書において参照のために引用する米国仮特許出願第60/719,153号明細書(2005年9月20日提出)および米国仮特許出願第60/789,656号明細書(2006年4月5日提出)に先行して請求する。
【0002】
〔背景技術〕
特に酵母に起因する真菌感染は高い罹患率および死亡率に結びつく。院内における真菌感染の流行の増加、特にカンジダ種に起因する血流感染(BSI)は、酵母に起因するBSIの全体の割合の増加の原因となってきた(Wisplinghoff CID 2004)。
【0003】
抗真菌化合物に適用可能な、多様なカンジダ種のための感受性は絶えず調査され、その結果は広く公表されてきた。分離株の薬物に対する感受性は、通常、種全体に対して定義された最小発育阻止濃度(MIC)として表現されるが、この感受性は任意の種の分離株間で大きく変わる可能性がある。MIC値の測定は、臨床試料からの生物の分離株を必要とし、その後に薬剤への生物の暴露および抑制(成長の減少)の事後測定と続く。臨床検査室基準米国国家委員会(The US National Committee for Clinical Laboratory Standards (NCCLS))ガイドラインは、これらの技術の標準化および非抵抗性の分離株から抵抗性の分離株を区別する、いわゆる「区切り点(Break points)」の確立を試みている。一般的に、調査された分離株の大部分が区切り点よりも大きなMIC値を有する場合、または要求される薬剤の濃度が、かなり多くの場合において処置の不具合を引き起こすと考えられる場合に、その種が特定の薬剤に対して抵抗性であるとされる。中程度の感受性を示す生物は、「濃度依存的に感受性である」とされる。
【0004】
任意の種の特定の薬剤に対する感受性は、分離株および患者個体群間において、非常に変化しやすいにも関わらず、確立された種の感受性が優れた治療ガイドとして認められている。事実、米国感染症学会(Infectious Disease Society of America)の現在のガイドラインは、種の同定に基づく抗真菌療法の選択を推奨している。抗真菌薬が承認され、任意のカンジダ種に対する治療を対象としている。しかしながら、種レベルの同定は、通常、初期の治療の決定に情報を提供するに足りるほど迅速には機能していない。したがって、抗真菌薬での患者の治療は、通常診断上の情報無しで予防的に行わるか、または経験的に以前の診断上の情報に基づき行われている。一方、最適な治療の選択は、従来の方法を用いて数日かかる実験による同定を待たなければならない。
【0005】
カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、およびカンジダ・クルセイ(Candida krusei)は血液からの酵母分離株の95%以上を占め(Pfaller JCM, Vol.39, No.9. P.3254-3259)、院内真菌感染の97%以上を占める(Wisplinghoff CID 2004)。これらの広く普及したカンジダ種の相対的比率の傾向は、ある患者集団において「薬剤抵抗性」の種であるC.グラブラタおよびC.クルセイの高発生へと転換している(Trickら CID 1998)。種の比率におけるこの変化は、経験的な抗生物質の過剰使用による、院内株の抵抗性の選別を反映することを示唆している。
【0006】
抗真菌治療の発展は、検査による同定への依存を低減するために、広範囲の薬剤に集中している。しかし、広範囲の抗真菌薬は、高価であるか不都合な副作用を有する。抗真菌化合物であるフルコナゾールに対して、臨床的に最も普及している5種のカンジダ種は、一般的に3つのカテゴリーに収まるとみなされている。C.アルビカンスおよびC.パラプシローシスはフルコナゾール感受性であり、C.トロピカリスはフルコナゾールに濃度依存的な感受性を有し、フルコナゾール抵抗性である高い罹患率を有するC.グラブラタおよびC.クルセイはフルコナゾール抵抗性であると考えられている。したがって、C.アルビカンスおよびC.パラプシローシスの感染には、フルコナゾールの通常の方法で処置が可能であると一般に認められている。C.トロピカリスに起因する真菌感染は、フルコナゾール濃度の増加、または強い抗真菌薬により処置することが可能である。C.グラブラタおよびC.クルセイの感染は、一般的にカスポファンギン、ボリコナゾール、アンフォテリシンBまたはその他の強い抗真菌化合物により処置される。
【0007】
したがって、種レベルで酵母を同定することなく任意の抗真菌治療を選択するために検査結果が用いられ得る検査手段があれば有益である。
【0008】
〔発明の概要〕
真菌の抗真菌剤に対する確立された感受性によって、真菌を同定および分類するための試薬、方法およびキットをここに示す。
【0009】
本発明の実施形態は、種レベルでの生物の同定を必要とせずに適切な治療を選択することができるように、真菌種を対象としたプローブを利用する。種の同定を待って治療法を適切に選択する従来のアプローチをショートカットすることによって、情報の質を妥協することなく、治療法を選択するための情報をより迅速に得ることができる。加えて、本発明は、同様の処置に要求される、真菌を分離する必要性を回避する。これにより、本発明は、分析および結果の解釈の両方を簡略化する。
【0010】
本発明に係る方法および試薬は、真菌感染の処置のための治療の方向性のための情報を、迅速かつ簡便な手段により提供する。
【0011】
一実施形態において、本発明は、臨床的に普及したガンディダ種に対する治療の選択のための試薬および方法を提供する。
【0012】
他の実施形態において、本発明は、真菌種を対象としたPNAプローブおよびプローブセットを提供する。これにより種レベルでの生物の同定を必要とせずに、適切な治療を選択することが可能である。本発明に係る一実施形態において、検査は、真菌血症に関連する酵母の種の少なくとも約70%に対して、治療上のガイダンスを提供し得る。
【0013】
本発明に係る一実施形態において、単一の2色多重検査は、真菌血症に関連する酵母の種の少なくとも約70%から85%に対して、治療上のガイダンスを提供し得る。
【0014】
本発明に係る一実施形態において、単一の3色多重検査は、真菌血症に関連する酵母の種の少なくとも約95%に対して、治療上のガイダンスを提供し得る。
【0015】
あるいは、本発明に係る試薬は、シグナルの色よりもむしろシグナルの位置が治療上のガイダンスを提供する場合には、多色形式よりもむしろアレイ形式で用いられ得る。
【0016】
ある場合に、治療上のガイダンスは特定の抗真菌薬剤の選択のためのものである一方、他の場合には、このガイダンスは特定の抗真菌薬剤を避けるためのものである。
【0017】
抗真菌薬剤の選択におけるガイダンスを提供するプローブ、方法およびキットを使用することも、本発明の実施形態の範囲である。
【0018】
ある場合に、特定の検査方法におけるシグナルの非存在は、有益な診断上の情報を提供する。ポジティブな結果を生成することが可能な方法で実証された、適切なコントロールをもたらす。
【0019】
ある局面において、ここに提供された、真菌を分類するための試薬は、少なくとも1つの薬剤感受性型真菌の核酸配列に相補的なプローブセットを含む。一実施形態において、本発明に係る試薬は、他の薬剤感受性型の他の真菌の核酸配列に相補的なプローブセットを、さらに1つ以上含んでいる。
【0020】
他の実施形態において、プローブセットは、核酸プローブ、ロックされた核酸プローブ、ペプチド核酸プローブ、あるいは他の核酸プローブ模倣物または類似物を、1以上含んでいる。
【0021】
一実施形態において、薬剤感受性型の真菌は、化合物に対する反応における全ての機能を有しており、当該反応における全ての機能は、感受性、感受性/中程度感受性、中程度感受性、感受性/濃度依存的に感受性、濃度依存的に感受性、濃度依存的に感受性/抵抗性、濃度/デリバリー依存的に感受性、中程度抵抗性、または抵抗性の1つ以上を含んでいる。
【0022】
他の実施形態において、薬剤感受性型の真菌は、抗真菌化合物または当該化合物の組合せに対する抵抗性を有している。
【0023】
他の実施形態において、抗真菌化合物または当該化合物の組合せは、フルコナゾール、カスポファンギン、ボリコナゾール、およびアンフォテリシンBの1つ以上を備えている。
【0024】
一実施形態において、少なくとも1つの薬剤感受性型真菌は、フルコナゾール感受性薬剤感受性型、フルコナゾール感受性濃度依存的薬剤感受性型、またはフルコナゾール抵抗性薬剤感受性型の1つ以上を有している。
【0025】
他の実施形態において、上記フルコナゾール感受性薬剤感受性型の真菌は、カンジダ・アルビカンスおよび/またはカンジダ・パラプシローシスの1つ以上を含んでいる。
【0026】
一実施形態において、フルコナゾール感受性濃度依存的薬剤感受性型の真菌は、カンジダ・トロピカリスを含んでいる。一実施形態において、フルコナゾール抵抗性薬剤感受性型の真菌は、カンジダ・グラブラタまたはカンジダ・クルセイの1つ以上を含んでいる。
【0027】
他の実施形態において、真菌は、カスポファンギン感受性、ボリコナゾール感受性、またはアンフォテリシンB感受性である。
【0028】
一実施形態において、核酸配列は、リボソームRNA(5.8Sサブユニット配列、18Sサブユニット配列および26Sサブユニット配列を含むが、これに限定されない)、リボソームDNA(5.8Sサブユニット配列、18Sサブユニット配列および26Sサブユニット配列を含むが、これに限定されない)、またはこれらの相補配列の1つ以上を含んでいる。
【0029】
他の実施形態において、プローブセットのプローブの少なくとも一部は、SEQ.ID NO.1から24までより選択される核酸塩基配列またはその相補配列に、少なくとも約86%同一である。
【0030】
一実施形態において、プローブ配列は、長さ8から17のサブユニットを含んでいる。
【0031】
一実施形態において、プローブセットは、少なくとも1つの検出可能部位を含んでいる。
【0032】
他の実施形態において、検出可能部位は、共役体、分岐検出系、発色団、蛍光団、スピンラベル、放射性同位体、酵素、ハプテン、アクリジニウムエステル、発光化合物の1つ以上を含んでいる。
【0033】
一実施形態において、少なくとも1つのプローブは、自動レポート型である。
【0034】
一実施形態において、自動レポート型プローブは、直鎖状PNAビーコンを含んでいる。
【0035】
他の実施形態において、プローブセットの少なくとも1つのプローブは、標識されていない。
【0036】
一実施形態において、プローブセットの少なくとも1つのプローブは、支持体に結合している。
【0037】
一実施形態において、プローブセットの少なくとも1つのプローブは、さらにスペーサーまたはリンカーを含んでいる。一実施形態において、サンプル中の真菌の存在を分析するために、in situハイブリダイゼーションが用いられる。
【0038】
他の実施形態において、少なくとも2つの上記プローブがそれぞれ異なる標識がされており、上記プローブが、2つ以上の薬剤感受性型を区別するように構成されている。
【0039】
一実施形態において、感受性型の真菌を検出するために、同時蛍光が用いられる。
【0040】
他の実施形態において、プローブセットは、フルコナゾール感受性真菌のためのPNAプローブ、およびフルコナゾール抵抗性真菌のためのPNAプローブを含んでいる。
【0041】
一実施形態において、フルコナゾール感受性真菌は、C.アルビカンスまたはC.パラプシローシスの1つ以上を含み、フルコナゾール抵抗性真菌は、C.クルセイまたはC.グラブラタの1つ以上を含んでいる。
【0042】
他の実施形態において、プローブセットは、フルコナゾール感受性真菌のためのPNAプローブ、フルコナゾール濃度依存的感受性真菌のためのPNAプローブ、または上記フルコナゾール抵抗性真菌の1つ以上を含んでいる。
【0043】
一実施形態において、フルコナゾール感受性真菌は、C.アルビカンスまたはC.パラプシローシスの1つ以上を含み、フルコナゾール濃度依存的感受性真菌は、C.トロピカリスの1つ以上を含み、フルコナゾール抵抗性真菌は、C.クルセイまたはC.グラブラタの1つ以上を含んでいる。
【0044】
一実施形態において、それぞれ異なる標識がされた3つ以上のプローブセットが、抗真菌薬剤間を区別するために用いられる。
【0045】
ある局面において、真菌の感受性型を決定するための方法は、少なくとも1つの薬剤感受性型真菌の核酸配列に相補的な配列を含む、1つ以上のプローブセットと、サンプルとを接触させる工程と、上記プローブのハイブリダイゼーションと確立した感受性型とを関連付ける工程とを包含している。
【0046】
一実施形態において、ハイブリダイゼーションが、サンプル中の微生物の存在、同一性、および/または量の示唆である。
【0047】
他の実施形態において、プローブセットは、アゾール感受性プローブセットおよびアゾール抵抗性プローブセットを包含している。
【0048】
ある局面において、抗真菌治療を選択するための方法は、a)少なくとも1つの薬剤感受性型真菌の核酸配列に相補的な配列を含むプローブセットと、サンプルとを接触させる工程と、b)上記プローブセットを核酸サンプルにハイブリダイズさせる工程と、c)ハイブリダイゼーションを検出する工程と、d)ハイブリダイゼーションが検出されれば、これに基づいて抗真菌治療を選択する工程とを包含している。
【0049】
ある局面において、治療によって真菌を分類するための方法は、a)少なくとも1つの薬剤感受性型真菌の核酸配列に相補的な配列を含むプローブセットと、サンプルとを接触させる工程と、b)上記プローブセットを核酸サンプルにハイブリダイズさせる工程と、c)ハイブリダイゼーションを検出する工程と、d)検出したハイブリダイゼーションに基づいて真菌を分類する工程とを包含している。
【0050】
ある局面において、抗真菌治療を選択するための方法は、a)少なくとも1つの薬剤感受性型真菌の核酸配列に相補的な配列を含む少なくとも2つのプローブセットと、サンプルとを接触させる工程と、b)上記プローブセットを核酸サンプルにハイブリダイズさせる工程と、c)ハイブリダイゼーションを検出する工程と、d)ハイブリダイゼーションが検出されれば、これに基づいて抗真菌治療を選択する工程とを包含している。
【0051】
一実施形態において、プローブセットは、C.アルビカンスまたはC.パラプシローシスを標的とするPNAプローブセット、C.トロピカリスを標的とするPNAプローブセット、ならびにC.グラブラタおよびC.クルセイを標的とするPNAプローブセットの1つ以上を含み、上記PNAプローブセットは独立して標識されており、C.アルビカンスまたはC.パラプシローシスを標的とする1つ以上の上記PNAプローブのハイブリダイゼーションの検出はフルコナゾールの選択を示し、C.トロピカリスを標的とする1つ以上のPNAプローブのハイブリダイゼーションの検出は、フルコナゾールの増加量を選択し、C.グラブラタおよびC.クルセイを標的とする1つ以上の上記PNAプローブのハイブリダイゼーションの検出は、カスポファンギン、ボリコナゾール、またはアンフォテリシンBの選択を示している。
【0052】
他の実施形態において、上記工程による分析がin situで行われる。
【0053】
他の実施形態において、上記工程による分析は、in situハイブリダイゼーションの蛍光発光による分析を包含している。
【0054】
他の実施形態において、プローブまたはその相補配列は、反応中に合成または増幅されている。
【0055】
一実施形態において、分析結果が8時間未満で得られる。
【0056】
一実施形態において、分析結果が3時間未満で得られる。
【0057】
他の実施形態において、核酸合成または核酸増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、転写介在増幅(TMA)、ローリングサークル型増幅(RCA)およびQベータレプリカーゼからなる群より選択される反応により行われる。
【0058】
一実施形態において、少なくとも1つのブロッキングプローブを添加し、非標的配列に対する上記プローブのハイブリダイゼーションを低減または排除する工程をさらに包含している。
【0059】
他の実施形態において、核酸サンプルは支持体表面に固定されている。
【0060】
他の実施形態において、少なくとも1つのプローブセットの、少なくとも1つのプローブは、支持体表面に固定されている。
【0061】
他の実施形態において、少なくとも1つのプローブは、アレイの構成要素である。
【0062】
他の実施形態において、プローブセットは、上述した1対上のPNAプローブセットを含んでいる。
【0063】
他の実施形態において、サンプルは生物学的サンプルである。
【0064】
他の実施形態において、生物学的サンプルは、血液、尿、分泌物、汗、唾液、便、粘膜、またはこれらの培養液である。
【0065】
ある局面において、抗真菌治療を選択するためのキットは、a)少なくとも1つの薬剤感受性型真菌の核酸配列に相補的な配列を含むプローブセットと、b)分析を実行するために必要な他の試薬または化合物とを備えている。
【0066】
一実施形態において、キットは、in situハイブリダイゼーション分析において用いられる。他の実施形態において、キットは、リアルタイムPCR分析に用いられる。
【0067】
一実施形態において、キットは、臨床サンプルまたはその培養液を試験するために用いられる。
【0068】
特定のPNAプローブ、キットおよび方法が提供される。
【0069】
一般的なPNAプローブ、キットおよび方法が提供される。
【0070】
〔発明の詳細な説明〕
本明細書において、真菌類にアゾールへの抵抗性を付与する、核酸標的の検出方法を提供する。多くの分子診断法が感染症に関わる生物の検出または同定に使用できる。特にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いた増幅技術が、広範囲のバクテリアおよび真菌類の種の同定のために示されている。多様な真菌類の存在を示す核酸標的の検出のための増幅技術、プローブおよびプライマーが数々示されている(米国特許第6858387号明細書、米国特許第2003186259号明細書、米国特許第6235890号明細書)。加えて、抗真菌薬抵抗性に関する遺伝子の検出のための増幅技術について示されている(米国特許第2004185478号明細書を参照のこと)。
【0071】
また、特定の薬剤型に対して抵抗性を与える核酸標的(遺伝子)の検出を通じて、治療に関連した検出をする検出方法も示されている(本明細書において引用する米国特許第2002098483号明細書を参照のこと)。
【0072】
ペプチド核酸PNAは、特にin situハイブリッド形成分析法(FISH)に適用された場合に、微生物を検出および分析する有効な手段である(Stender, JMicro Meth 48, 2001)。PNA FISH分析法は市販されており、種レベルで生物の迅速な検出が可能である。PNAプローブはカンジダ種の検出に関して他にも示されている(本明細書において引用する米国特許第2003175727号明細書を参照のこと)。しかし、種を同定する他の全ての方法のように、カンジダ酵母の種の同定に要求される時間と複雑さは、最適な治療の迅速な選択を妨げることが多い。同様に、1つの試験で臨床的に最も適切な種の同定を可能にする色素寒天(ChromAgar)は、新規で簡単な方法である。しかし、結果を得るまでに数日を要する。
【0073】
適切な治療のより早くより良い選択を容易にするのに加えて、本明細書に記載した手段は、安全に、狭い範囲で、現在の種形成法(speciation method)および感受性試験法による時間的制限のために多くの場合において選択されない高い効能の抗真菌薬の選択を可能にする。
【0074】
1.定義
a.本明細書において用いられる「核酸塩基」なる用語は、核酸技術を利用している、またはペプチド核酸技術を利用している当業者に一般的に知られている、核酸に配列特異的に結合できるポリマーを生成する、天然のおよび非天然の複素環部分を意味する。
【0075】
b.本明細書において用いられる「核酸塩基配列」なる用語は、核酸塩基含有サブユニットを含むポリマーの全ての部分を意味する。好適なポリマーまたはポリマー部分の限定されない例は、オリゴデオキシヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチド、ペプチド核酸、核酸類似物、核酸模倣物および/またはキメラを含む。
【0076】
c.本明細書において用いられる「標的配列」なる用語は、分析法により検出される核酸塩基配列を意味する。
【0077】
d.本明細書において用いられる「プローブ」なる用語は、興味の対象である生物の標的分子の標的配列と、配列特異的にハイブリダイズするように設計された、厳密な核酸塩基配列を有するポリマー(例えば、DNA、RNA、PNA、キメラまたは架橋ポリマー)を意味する。
【0078】
e.本明細書において用いられる「分析する」は、個々のバクテリアが検出、同定および/または評価、ならびに/もしくは抗生物質への抵抗性の決定により特徴付けられることを意味する。
【0079】
f.本明細書において用いられる「ペプチド核酸」または「PNA」なる用語は、例えば、米国特許第5,539,082号明細書、米国特許第5,527,675号明細書、米国特許第5,623,049号明細書、米国特許第5,714,331号明細書、米国特許第5,736,336号明細書、米国特許第5,773,571号明細書、米国特許第5,786,461号明細書、米国特許第5,837,459号明細書、米国特許第5,891,625号明細書、米国特許第5,972,610号明細書、米国特許第5,986,053号明細書、米国特許第6,107,470号明細書および米国特許第6,357,163号明細書においてペプチド核酸として言及または請求された全てのポリマーを含む、2つ以上のPNAサブユニット(残基)を含む、全てのオリゴマー、架橋ポリマーまたはキメラオリゴマーを意味する。最も好適な実施例において、PNAサブユニットは、メチレンカルボニル結合を介してN−[2−(アミノエチル)]グリシン骨格のアザ窒素に結合した、天然のまたは非天然の核酸塩基から成る。
【0080】
g.本明細書において用いられる「固定された核酸」または「LNA」なる用語は、例えば、米国特許第6,639,059号明細書、米国特許第6,670,461号明細書、米国特許出願第2003077609号明細書、米国特許出願第2003224377号明細書、米国特許出願第2003082807号明細書および国際特許第03095467号パンフレットにおいて、固定された核酸および核酸類似物として言及または請求された全てのポリマーを含む、1つ以上のLNAサブユニット(残基)を含む、全てのオリゴマー、架橋ポリマーまたはキメラオリゴマーを意味する。最も好適な実施例において、LNAサブユニットは、メチレン結合を介して2’炭素に結合した4’酸素を有する天然のまたは非天然のリボヌクレオシドから成る。
【0081】
h.本明細書において用いられる「標識」および「検出可能な部分」なる用語はどちらを使用してもよく、プローブに結合することができ、そのことにより機器または方法を用いることでプローブを検出可能にする部分を表す。
【0082】
i.本明細書において用いられる「確立された表現型」なる用語は、観察または測定され、また科学分野または医学分野に公開され、一般的に理解された生物の特性を示すために用いられる。
【0083】
j.本明細書において用いられる「感受性型」または「薬剤感受性型」なる用語は、特定の型の感染性生物を過去に薬剤にさらすことで示された反応レベルを示すために用いられる。そのような反応のレベルの範囲は、全く反応なしから非常に強い反応までであり、限定されない例として、「感受性」、「感受性/中程度感受性」、「中程度感受性」、「感受性/濃度依存的に感受性」、「濃度依存的に感受性」、「濃度依存的に感受性/抵抗性」、「濃度/デリバリー依存的に感受性」、「中程度抵抗性」および「抵抗性」が挙げられる。また、上記反応レベルの同義的な表記も含まれる。
【0084】
本文脈中に示されてもよい薬剤の例は、フルコナゾール、カスポファンギン、ボリコナゾール、アンフォテリシンBまたは他の抗真菌薬である。例えば、フルコナゾールの通常の治療濃度に対して抵抗性である感染性の生物は、フルコナゾールに「抵抗性」の感受性型に属する。
【0085】
米国食糧薬剤機関(The US Food and Drug Administration)および薬学研究工業協会(Pharmaceutical Research Manufactures Association)は、薬剤開発過程の定型を提供するために、標的生成物情報(Target Product Information)文書を2000年に発表した。該文書において、医薬品の表示の規制を調整するコードの解釈のためにガイドラインが提示された(21 CFR 201)。ガイドライン21 CFR 201.56、セクションb「臨床薬理学」は以下の定義を与える。我々はこれらの公表された定義を例としてのみ引用する。
【0086】
「感受性」とは、血中の抗菌性化合物が通常達することが可能な濃度に及んだなら、病原体が抑制されやすいこと示す。「中程度感受性」とは、結果が明確でないと考えるべきであることを示し、微生物が完全に代替手段(臨床的に適した薬剤)に感受性でないのであれば、試験を再試行するべきである。本分類は、薬剤が生理的に濃縮される体の部位または高濃度の薬剤を使用できる状況において実現可能な臨床適応性をも含む。また、本分類は解釈における主な相違に起因する、制御できない微細な技術的要因を防ぐための緩衝範囲を提供する。「抵抗性」とは、血中の抗菌化合物が通常達することが可能な濃度に及んだとしても、病原体が抑制されにくいことを示す。この場合、他の治療法が選択されるべきである。
【0087】
薬剤感受性型は、歴史的、経験的または実験的証拠に由来する期待される結果に基づいて評価される。
【0088】
k.本明細書において用いられるような「抗真菌薬」という用語は、真菌または予想される真菌の成長、生存あるいは増殖に影響を与える薬学的に使用される全ての化合物または化合物の混合物を含む。このような化合物の限定されない例は、フルコナゾール、カスポファンギン、カスポファンギン酢酸塩、ボリコナゾール、アンフォテリシンB、アンフォテリシンBリポソーマル(amphotericin B liposomal)、イトラコナゾール、フルシトシン、カンディン(candins)、ポサコナゾール(posaconazole)、ラブコナゾール(ravuconazole)、ポリエン、アゾール、アリールアミンおよび誘導体またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0089】
l.本明細書において用いられる「同時蛍光」なる用語は、分離できないように十分に近い場所に位置する2つ以上の標識の光反射を、同時に検出することにより生じる色の識別を示すために用いられる。同時蛍光の検出は目視でも光感受性装置でもよい。
【0090】
2.詳細な説明
I.概要:
PNA合成:
PNAの化学的合成法はよく知られている(特許第5,539,082号明細書、特許第5,527,675号明細書、特許第5,623,049号明細書、特許第5,714,331号明細書、特許第5,736,336号明細書、特許第5,773,571号明細書、特許第5,786,461号明細書、特許第5,837,459、特許第5,891,625号明細書、特許第5,972,610号明細書、特許第5,986,053号明細書および特許第6,107,470号明細書を参照のこと)。
【0091】
PNA標識:
好ましい限定されないPNA標識方法は、米国特許第6,110,676号明細書、米国特許第6,361,942号明細書、米国特許第6,355,421号明細書の実施例部分に記載されており、または他にもPNA合成およびペプチド合成技術はよく知られている。
【0092】
LNA合成:
LNAの化学的合成法はよく知られている(米国特許第2003077609号明細書、米国特許第2003224377号明細書、米国特許第2003082807号明細書、および国際特許第03095467号パンフレットを参照のこと)。
【0093】
LNA標識:
好ましい限定されないLNA標識方法は、米国特許第6,639,059号明細書、米国特許第6,670,461号明細書、米国特許出願第2003077609号明細書、米国特許出願第2003224377号明細書、米国特許出願第2003082807号明細書および国際特許第03095467号パンフレットに記載されており、または他にもLNA合成技術は技術的によく知られている。
【0094】
標識:
本発明の実施に用いられるPNAプローブ標識に好適な検出可能な部分(標識)の限定されない例として、デキストラン共役体、分枝核酸検出系、発色団、蛍光プローブ、スピンラベル、放射性同位体、酵素、ハプテン、アクリジニウムエステルおよび化学発光化合物が含まれる。
【0095】
他の好適な標識試薬および取り付けるための好ましい方法は、PNA、LNA、ペプチドまたは核酸合成分野における当業者により認識される。
【0096】
好ましいハプテンは5(6)−カルボキシフルオレセイン、2,4−ジニトロフェニルジゴキシゲニンおよびビオチンを含む。
【0097】
好ましい蛍光色素(蛍光プローブ)は5(6)−カルボキシフルオレセイン(Flu)、6−((7−アミノ−4−メチルクマリン−3−アセチル)アミノ)ヘキサン酸(Cou)、5(および6)−カルボキシ−X−ローダミン(Rox)、シアニン2(Cy2)色素、シアニン3(Cy3)色素、シアニン3.5(Cy3.5)色素、シアニン5(Cy5)色素、シアニン5.5(Cy5.5)色素、シアニン7(Cy7)色素、シアニン9(Cy9)色素(シアニン色素2、3、3.5、5および5.5はNHSエステルとしてAmersham, Arlington Heights, ILから販売されている)、JOE、Tamaraまたはアレクサ色素シリーズ(Molecular Probes, Eugene, OR)を含む。
【0098】
好ましい酵素はポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ、クレノーPNAポリメラーゼ、T7DNAポリメラーゼ、セクエナーゼ(Sequenase)、DNAポリメラーゼ1およびphi29ポリメラーゼが挙げられる)、アルカリフォスファターゼ(AP)、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)および最も好ましくは、大豆ペルオキシダーゼ(SBP)を含む。
【0099】
非標識プローブ:
本発明の実行に用いられるプローブは、本発明の方法の範囲内で可能になる検出可能な部位で標識する必要はない。例えば、固体の支持体に結合した場合である。
【0100】
自動プローブ:
ビーコンプローブ(Beacon probes)は供与体部分および受容体部分を含む自動プローブの例である。供与体および受容体部分は、受容体部分が供与体部分から移されたエネルギーを受け取るか、またはそうでなければ受容体部分が供与体部分からのシグナルを抑制するように機能する。また、前記に挙げた蛍光プローブ(好適なスペクトル特性を有する)は、エネルギー交換受容体として機能するが、好ましくは、受容体部分は抑制部分である。好ましくは、抑制部分は非蛍光芳香族または複素環式芳香族化合物部分である。好ましい抑制部分は、4−((−4−(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ)安息香酸(dabcyl)である。好ましい実施例において、より詳細に米国特許第6,485,901号明細書に記載されているように、自動ビーコンプローブは直鎖状PNAビーコン(PNA Linear Beacon)プローブである。
【0101】
他の実施例において、本発明の自動プローブは国際出願第097/45539号パンフレットに記載された型である。これらの自動プローブは、最初にレポーターがシグナルを発生するために核酸と相互作用しなければならないビーコンプローブと比較して異なっている。
【0102】
スペーサー/リンカー部分:
一般的に、スペーサーはプローブのハイブリダイゼーション特性に影響する大きい標識試薬の不都合な効果を最小限に抑えるために用いられる。好ましくは、本発明の核酸塩基ポリマーのスペーサー/リンカー部分は、1つ以上のアミノアルキルカルボン酸(例えば、アミノカプロン酸)、アミノ酸の側鎖(例えば、リシンまたはオミシン(omithine)の側鎖)、天然アミノ酸(例えば、グリシン)、アミノオキシアルキル酸(例えば、8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸)、アルキル二塩基酸(例えば、コハク酸)、アルコキシ二塩基酸(例えば、オキシ二酢酸)またはアルキルジアミン(例えば、1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタン)からなる。
【0103】
ハイブリダイゼーション条件/ストリンジェンシー:
核酸ハイブリダイゼーション技術の通常の当業者は、ホルムアミド濃度(または他の化学的変性試薬)、塩濃度(すなわち、イオン強度)、ハイブリダイゼーション温度、界面活性剤濃度、pHおよびカオトロピック剤の存在または非存在を含む、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを乱すためまたは制御するために通常用いられる要因を認識する。プローブ/標的配列の組み合わせのための最適なストリンジェンシーは、通常前述のストリンジェンシー要因のいくつかを固定し、続いて単一のストリンジェンシー要因を変える効果を決定する通例技術により明らかにされる。同じストリンジェンシー要因は、PNAのハイブリダイゼーションが全くイオン強度に依存しない場合を除き、PNAの核酸へのハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを制御することにより調節できる。分析に最適なストリンジェンシーは、所望の識別程度に達するまで、各ストリンジェンシー要因を試験することにより実験的に決定されてもよい。
【0104】
好ましいハイブリダイゼーションの条件:
一般的に、核酸配列に起因するバックグラウンドと標的配列に密接な関係があるほど、ストリンジェンシーはますます注意深く制御されなければならない。また、ブロッキングプローブは、ストリンジェンシー要因の最適化による可能な限度を超える識別向上の手段として用いられてよい。したがって、好適なハイブリダイゼーション条件は、分析が正確で(分析に望まれる耐性の範囲内において)、再現性のある結果をもたらすような所望の識別程度が達成された条件を含む。
【0105】
ただの通常の実験および本明細書において提供された開示により、技術的に通常の当業者は、本明細書に記載された方法および組成物を利用して分析をすることで、容易に好適なハイブリダイゼーション条件を決定することができる。好適なin situハイブリダイゼーションまたはPCR条件は、in situハイブリダイゼーションまたはPCR条件の実行に好適な条件を含む。したがって、in situハイブリダイゼーションまたはPCR条件は、本明細書において提供された開示を用いて(付加的な通常の実験の有無にかかわらず)当業者に明らかにされる。
【0106】
ブロッキングプローブ:
ブロッキングプローブは、非標的配列へのプローブポリマーのプローブ核酸配列の結合を抑制するために用いる事ができる核酸または非核酸プローブである。好ましいブロッキングプローブはPNAプローブである(米国特許第6,110,676号明細書を参照のこと)。ブロッキングプローブは、非標的配列へのハイブリダイゼーションによって機能し、プローブの核酸塩基配列と非標的配列間のハイブリダイゼーションで形成されるよりも、熱力学的に安定な複合体を形成すると考えられる。より安定で好ましい複合体の形成は、プローブ核酸塩基配列および非標的配列間における安定性が低く不適当な複合体の形成を阻止する。したがって、ブロッキングプローブは、本発明における、存在し、分析の性能に干渉する非標的配列へのプローブの結合を抑制するための方法、キットおよび組成物として使用することができる。ブロッキングプローブは、系統発生的に近接した種の識別に特に好都合である。
【0107】
プローブセット:
本発明のプローブセットは1つ以上のプローブを含む。ある実施例において、1つ以上のPNAプローブセットはブロッキングプローブであり得る。プローブセットは、標識されているかまたは非標識であろうと、本発明の1つ以上のプローブの全ての集団を含んでもよく、また、本明細書に具体的に記載されていないプローブを含んでよいだけでなく、本発明のプローブの少なくとも1つを含む。本発明の好ましいプローブを表1に挙げる。
【0108】
【表1】

【0109】
表1は、本発明の好ましいプローブを表している。表1に関して、右の列は配列識別番号、中央の列はプローブの名称および左の列はプローブの核酸塩基配列を表す。
【0110】
本発明のPNAプローブは、プローブ核酸配列のみ(本明細書において前述したように)を含んでもよく、付加的な部分を含んでもよい。付加的な部分の限定されない例は、検出可能部分(標識)、リンカー、スペーサー、天然もしくは非天然アミノ酸、またはPNA、DNAもしくはRNAの他のサブユニットを含む。付加的な部分は、分析において機能的または非機能的であってよい。しかし一般的に、付加的な部分は、PNAプローブが用いられる分析計画の範囲内において機能的であると選択される。本発明の好ましいPNAプローブは、蛍光プローブ、酵素およびハプテンからなる群から選択された1つ以上の検出可能な部分で標識される。
【0111】
好適な実施例において、本発明のプローブはin situハイブリダイゼーション(ISH)および蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)分析において用いられる。ISHまたはFISH分析において用いられる過剰なプローブは、ハイブリダイズせずに存在するプローブに由来する上記のバックグラウンドシグナルとして、特異的に結合したプローブの検出可能な部分が検出されるために、特に除去されなければならない。一般的に、過剰なプローブは、一定の期間、試料がプローブとインキュベートされた後に洗浄される。しかし、自動プローブの使用は、本発明の好ましい実施例である。なぜなら、過剰な自動プローブは、ほとんどまたは全く検出可能なバックグラウンドを生じないので、該プローブを試料から完全に除去(洗浄)する必要はない。ISHまたはFISH分析に加えて、本明細書に記載され選択されたプローブ核酸塩基配列を含む自動プローブは、特にリアルタイムPCRのような全ての種類の均質分析(homogeneous assay)において有用であり、あるいは自動装置(例えば、側方流動分析(lateral flow assay))または自動分析において有用である。
【0112】
実施例
本発明は以下の実施例によって説明されるが、決してそれらに限定されるものではない。
【0113】
〔実施例1〕
PNAプローブ配列
フルコナゾール感受性プローブセット
プローブA−Fam Fam−OO−AGAGAGCAGCATGCA−NH(Seq.Id.No.1)
フルコナゾール抵抗性プローブセット
プローブB−Tam Tam−OO−GCAAGGGGCGCAAA−NH(Seq.Id.No.2)
プローブF−Tam Tam−OO−GCAGCGGTGCGCAA−NH(Seq.Id.No.6)
(注意:PNA末端を表すために従来の命名法を用いた;O=8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸;Fam=5(6)−カルボキシフルオレセイン、Tam=5(6)−カルボキシテトラメチルローダミン)
菌株
一晩培養された表記した菌株を、頻繁に血中培養に混入するC.アルビカンス、C.グラブラタ、C.ギラルモンディ(guillermondii)、C.ケフィア(kefyr)、C.クルセイ、C.ルシタニアーゼ(lusitaniae)、C.パラプシローシス、C.トロピカリスと同様に、パン酵母、S.セレビジアエ(cerevisiae)およびスタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)を含む表記した多様なカンジダ種により調整した。
【0114】
標本の準備
各菌株について、標本は1%(v/v)トライトンX−100を含む微量のリン酸緩衝生理食塩水と微量の培養液を混合し、テフロン(登録商標)コート顕微鏡スライド(AdvanDx, Wobun, MA)の直径8ミリのウェル(Well)に調整した。次に、スライドを55℃で20分間静置して標本を乾燥させた。さらに、標本を96%(v/v)エタノールに5分から10分間浸した後、風乾させた。
【0115】
蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)
標本を10%(w/v)硫酸デキストラン、10mM Nacl、30%(v/v)ホルムアミド、0.1%(w/v)ピロリン酸ナトリウム、0.2%(w/v)ポリビニルピロリドン、0.2%(w/v)フィコール、5mMNaEDTA、1%(v/v)トライトン X−100、50mM トリス/HCl pH7.5および250nM プローブA−Fam、25nM プローブB−Tamおよび25nM プローブF−Tamを含む微量のハイブリダイゼーション溶液で覆った。標本をハイブリダイゼーション溶液で均一に覆うためにカバースリップを乗せ、次にスライドをスライドウォーマー(slide warmer)(Slidemoat, Boekel, Germany)に静置して、55℃で90分間インキュベートした。ハイブリダイゼーションに続いて、カバースリップを水槽で55℃に前もって温めておいた約20ml/スライドの25mM トリス pH10、137mM NaCl、3mMKClに浸し、30分間洗浄した。最後に各標本は、微量の封入剤(AdvanDx, Woburn, MA)を用いて封入した。顕微鏡検査は、FITC/Texas Red二重フィルターセットを装備した蛍光顕微鏡を用いて行った。
【0116】
フルコナゾール感受性真菌は緑の蛍光により同定し、およびフルコナゾール抵抗性真菌は赤の蛍光により同定した。結果は表2に記している。
【0117】
【表2】

【0118】
表2に関して、右の列は種別、中央の列はPNA FISHの結果および左の列は臨床罹患率を表す。表2に関して、試験した3つの種において陽性反応が検出され、C.アルビカンスの試料は緑の蛍光を発する芽、C.グラブラタおよびC.クルセイの試料は赤の蛍光を発する芽を有していた。C.パラプシローシスのスライドは、陰性と記録される弱い黄色の蛍光を発する細胞を有した。陽性の結果は、C.アルビカンスを試験したプローブ混合物は緑のシグナル(フルコナゾール感受性を示す)を生じ、C.グラブラタとC.クルセイの両者を試験したプローブ混合物は赤のシグナル(フルコナゾール抵抗性を示す)を生じることを示す。本分析法においては3種のみ検出されたが、検出された種は、米国、欧州、カナダおよびラテンアメリカにおいて臨床的に確認されるカンジダの70%近くに相当する。
【0119】
このプローブ混合物および技術は、緑のシグナルは一般的にフルコナゾール感受性と評価される種(C.アルビカンス)を示し、一方、赤いシグナルは、多くの場合またはおそらくフルコナゾール抵抗性である種(C.グラブラタまたはC.クルセイ)を示すことから、治療の選別に有用であると考えられる。
【0120】
〔実施例2〕
実施例2は、第2プローブをフルコナゾール感受性プローブセットに加えたことを除いて、実施例1と全く同じように行った。
【0121】
PNAプローブ配列
フルコナゾール感受性プローブセット
プローブA−Fam Fam−OO−AGAGAGCAGCATGCA−NH(Seq.Id.No.1)
プローブI−Fam Fam−OO−GAGAGTAACATACAA−NH(Seq.Id.No.9)
フルコナゾール抵抗性プローブセット
プローブB−Tam Tam−OO−GCAAGGGGCGCAAA−NH(Seq.Id.No.2)
プローブF−Tam Tam−OO−GCAGCGGTGCGCAA−NH(Seq.Id.No.6)
(注意:PNA末端を表すために従来の命名法を用いた;O=8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸;Fam=5(6)−カルボキシフルオレセイン;Tam=5(6)−カルボキシテトラメチルローダミン)
プローブI−Famを500nMの濃度で実施例1に記載したように他のプローブと共にハイブリダイゼーション溶液に加えた。顕微鏡検査は、FITC/Texas Red二重波長フィルターセットを装備した蛍光顕微鏡を用いて行った。フルコナゾール感受性真菌は緑の蛍光を発する芽で同定し、およびフルコナゾール抵抗性真菌は赤の蛍光を発する芽により同定した。結果は表3に記している。
【0122】
【表3】

【0123】
表3に関して、右の列は種別、中央の列はPNA FISHの結果および左の列は臨床罹患率を表す。表3に関して、試験した種の4種のみが陽性の反応を示した。試験した3つの種において陽性反応が検出され、C.アルビカンスおよびC.パラプシローシスの試料は緑の蛍光を発する芽、ならびにC.グラブラタおよびC.クルセイの試料は赤の蛍光を発する芽を有した。陽性の結果は、C.アルビカンスおよびC.パラプシローシスを試験したプローブ混合物は緑のシグナル(フルコナゾール感受性を示す)を生じ、C.グラブラタとC.クルセイを試験したプローブ混合物は赤のシグナルを生じることを示す。本分析法においては4種のみ検出されたが、検出された種は、米国、欧州、カナダおよびラテンアメリカにおける、カンジダ種による血流感染の86%以上に相当する。
【0124】
このプローブ混合物および技術は、緑のシグナルは一般的にフルコナゾール感受性と評価される種(C.アルビカンスおよびC.パラプシローシス)を示し、一方、赤いシグナルは、多くの場合またはおそらくフルコナゾール抵抗性である種(C.グラブラタまたはC.クルセイ)を示すことから、治療の選別に有用であると考えられる。本分析においてどちらのシグナル型(赤または緑)も、種レベルの生物の同定は可能ではない。それらはフルコナゾール感受性型を示す。
【0125】
C.トロピカリスは、フルコナゾールに対して「感受性/濃度依存性」感受性型の例である。本実施例において検出されなかったが、フルコナゾール感受性/濃度依存性の感受性型に特異的な、見込みのある第3の色プローブセットは予想できる(例えば、プローブNを含むプローブセット)。この感受性型(C.トロピカリスを含む)の検出のために見込みのある第3のプローブセットの追加は、米国、欧州、カナダおよびラテンアメリカにおける、カンジダ種による血流感染の96%以上を明らかにすることができると考えられる。
【0126】
〔実施例3〕
実施例3は実施例1と全く同じように行ったが、異なるプローブセットを用いた。
【0127】
PNAプローブ配列
フルコナゾール中程度感受性プローブセット
プローブN−Tam Tam−OO−AAGAAGTAACATACA−NH(Seq.Id.No.14)
(注意:PNA末端を表すために従来の命名法を用いた;O=8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸;Tam=5(6)−カルボキシテトラメチルローダミン)
プローブN−Tamを250nMの濃度でハイブリダイゼーション溶液に加えた。顕微鏡検査は、FITC/Texas Red二重波長フィルターセットを装備した蛍光顕微鏡を用いて行った。フルコナゾール中程度感受性真菌は赤の蛍光を発する芽により同定した。結果は表4に記している。
【0128】
【表4】

【0129】
表4に関して、右の列は種別、中央の列はPNA FISHの結果および左の列は臨床的罹患率を表す。表4に関して、試験した種の1種のみが陽性の反応を示した。C.トロピカリスの試料は赤の蛍光を発する芽を有した。陽性の結果は、試験したプローブ混合物はC.トロピカリス細胞についてのみ、フルコナゾール中程度感受性の赤いシグナルを生じることを示した。
【0130】
このプローブ混合物および技術は、赤のシグナルがフルコナゾール中程度感受性と評価される種(C.トロピカリス)を示すことから、治療の選別に有用であると考えられる。C.トロピカリスは、真菌に起因するBSIの10%以下の患者からしか分離されないが、高濃度のフルコナゾールに対して感受性であるような感染を迅速に検出することができる臨床値が存在する。
【0131】
〔実施例4〕
実施例4は実施例1と全く同じように行ったが、異なるプローブセットを用いた。
【0132】
PNAプローブ配列
カスポファンギン感受性/濃度依存性プローブセット
プローブS−Fam Fam−OO−CCTTCCACACAGACTC−NH(Seq.Id.No.19)
プローブT−Fam Fam−OO−TAGGTCTGGGACATC−NH(Seq.Id.No.20)
(注意:PNA末端を表すために従来の命名法を用いた;O=8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸;Fam=5(6)−カルボキシフルオレセイン)
プローブS−FluおよびT−Fluを各100nMの濃度でハイブリダイゼーション溶液に加えた。顕微鏡検査は、FITC/Texas Red二重波長フィルターセットを装備した蛍光顕微鏡を用いて行った。カスポファンギン感受性/濃度依存性(S/DD)真菌は緑の蛍光を発する芽で同定した。結果は表5に記している。
【0133】
【表5】

【0134】
表5に関して、右の列は種別、中央の列はPNA FISHの結果および左の列は臨床罹患率を表す。表5に関して、試験した種の2種のみが陽性の反応を示した。C.パラプシローシスおよびC.クルセイの試料は緑の蛍光を発する芽を有した。陽性の結果は、C.パラプシローシスおよびC.クルセイ細胞についてのみ、試験したプローブ混合物は緑のシグナル(カスポファンギン感受性/濃度依存性を示す)を生じることを示した。
【0135】
このプローブ混合物および技術は、緑のシグナルはカスポファンギンの濃度の増加を要求する2種(C.パラプシローシスおよびC.クルセイ)を示すことから、治療の選別に有用であると考えられる。C.パラプシローシスおよびC.クルセイは、真菌に起因するBSIの19.3%(17.8%+1.5%)以下の患者からしか分離されないが、より高濃度のカスポファンギンを要求するような感染を迅速に検出することができる臨床値が存在する。
【0136】
〔実施例5〕
実施例5は、実施例4と全く同様に行ったが、異なるプローブセットを用いた。
【0137】
PNAプローブ配列
拡張カスポファンギン感受性/濃度依存性プローブセット
プローブS−Fam Fam−OO−CCTTCCACACAGACTC−NH(Seq.Id.No.19)
プローブT−Fam Fam−OO−TAGGTCTGGGACATC−NH(Seq.Id.No.20)
プローブW−Fam Fam−OO−GCATCAACGCAGGCT−NH(Seq.Id.No.23)
プローブX−Fam Fam−OO−GACTCAGACCACGA−NH(Seq.Id.No.24)
(注意:PNA末端を表すために従来の命名法を用いた;O=8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸;Fam=5(6)−カルボキシフルオレセイン)
全てのプローブは各100nMの濃度でハイブリダイゼーション溶液に加えた。プローブWは、カンジダ・ギラルモンディ(ピチア・ギラルモンディ(Pichia Guilliermondii)のアナモルフ(anamorph))を特異的に検出するために設計され、プローブXは、カンジダ・ルシタニアーゼ(クラビスポラ・ルシタニアーゼ(Clavispora lusitaniae)と呼ばれる)を特異的に検出するために設計された。これらの双方の種は、臨床の試料としては比較的稀であるが、カスポファンギン濃度の増加(MIC90値≧0.5ug/ml)を要求する。本明細書に記載されたような拡張されたカスポファンギン感受性/濃度依存性プローブセットの使用は、カスポファンギン濃度の増加を特に要求する4種の検出を一組のプローブセットを用いて可能にすると考えられる。このプローブの混合物および技術は、緑のシグナルはカスポファンギンの濃度の増加を要求する4種の全て(C.パラプシローシス、C.クルセイ、C.ギラルモンディおよびC.ルシタニアーゼ)を示すことから、治療の選択に有用であると考えられる。
【0138】
〔均等物〕
本発明は、特にその好適な実施例に関して示され、記載される一方、それらの技術的に通常の当業者により本発明は理解され、精神および添付された請求項により定義された発明の範囲を越えることなく、形式および詳細について多様な改変がされてよい。当業者は従来の試験法を用いることで、本明細書に記載した発明の具体的な実施例に対する多くの均等物を理解することができる。そのような均等物は、請求項の範囲を包含することを目的としている。
【0139】
本明細書において言及した全ての引用文献の開示は、全て参照の目的のために引用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの薬剤感受性型真菌の核酸配列に相補的なプローブセットを含んでいることを特徴とする真菌を分類するための試薬。
【請求項2】
他の薬剤感受性型の他の真菌の核酸配列に相補的なプローブセットを、さらに1つ以上含んでいることを特徴とする請求項1に記載の試薬。
【請求項3】
上記プローブセットは核酸プローブ、ロックされた核酸プローブ、ペプチド核酸プローブ、あるいは他の核酸プローブ模倣物または類似物を、1つ以上含んでいることを特徴とする請求項1に記載の試薬。
【請求項4】
上記薬剤感受性型真菌は、化合物に対する反応における全ての機能を有しており、当該反応における全ての機能は、感受性、感受性/中程度感受性、中程度感受性、感受性/濃度依存的に感受性、濃度依存的に感受性、濃度依存的に感受性/抵抗性、濃度/デリバリー依存的に感受性、中程度抵抗性、または抵抗性の1つ以上を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の試薬。
【請求項5】
上記薬剤感受性型真菌は、抗真菌化合物または当該化合物の組合せに対する抵抗性を有していることを特徴とする請求項1に記載の試薬。
【請求項6】
上記抗真菌化合物または当該化合物の組合せは、フルコナゾール、カスポファンギン、ボリコナゾール、およびアンフォテリシンBの1つ以上を含んでいることを特徴とする請求項5に記載の試薬。
【請求項7】
少なくとも1つの上記薬剤感受性型真菌は、フルコナゾール感受性薬剤感受性型、フルコナゾール感受性濃度依存的薬剤感受性型、またはフルコナゾール抵抗性薬剤感受性型の1つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の試薬。
【請求項8】
上記フルコナゾール感受性薬剤感受性型の真菌は、カンジダ・アルビカンスおよび/またはカンジダ・パラプシローシスの1つ以上を含んでいることを特徴とする請求項7に記載の試薬。
【請求項9】
上記フルコナゾール感受性濃度依存的薬剤感受性型の真菌は、カンジダ・トロピカリスを含んでいることを特徴とする請求項7に記載の試薬。
【請求項10】
上記フルコナゾール抵抗性薬剤感受性型の真菌は、カンジダ・グラブラタまたはカンジダ・クルセイの1つ以上を含んでいることを特徴とする請求項7に記載の試薬。
【請求項11】
上記真菌は、カスポファンギン感受性、ボリコナゾール感受性、またはアンフォテリシンB感受性であることを特徴とする請求項1に記載の試薬。
【請求項12】
上記核酸配列は、リボソームRNA(5.8Sサブユニット配列、18Sサブユニット配列および26Sサブユニット配列を含むが、これに限定されない)、リボソームDNA(5.8Sサブユニット配列、18Sサブユニット配列および26Sサブユニット配列を含むが、これに限定されない)、またはこれらの相補配列の1つ以上を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の試薬。
【請求項13】
上記プローブセットのプローブの少なくとも一部は、SEQ.ID NO.1から24までより選択される核酸塩基配列またはその相補配列に、少なくとも約86%同一であることを特徴とする請求項1に記載の試薬。
【請求項14】
上記プローブ配列は、長さ8から17のサブユニットを含んでいることを特徴とする請求項13に記載の試薬。
【請求項15】
上記プローブセットは、少なくとも1つの検出可能部位を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の試薬。
【請求項16】
上記検出可能部位は、共役体、分岐検出系、発色団、蛍光団、スピンラベル、放射性同位体、酵素、ハプテン、アクリジニウムエステル、発光化合物の1つ以上を含むことを特徴とする請求項15に記載の試薬。
【請求項17】
少なくとも1つの上記プローブは、自動レポート型であることを特徴とする請求項15に記載の試薬。
【請求項18】
上記自動レポート型プローブは、直鎖状PNAビーコンを含むことを特徴とする請求項17に記載の試薬。
【請求項19】
上記プローブセットの少なくとも1つのプローブは、標識されていないことを特徴とする請求項1に記載の試薬。
【請求項20】
上記プローブセットの少なくとも1つのプローブは、支持体に結合していることを特徴とする請求項1に記載の試薬。
【請求項21】
上記プローブセットの少なくとも1つのプローブは、さらにスペーサーまたはリンカーを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の試薬。
【請求項22】
サンプル中の真菌の存在を分析するために、in situハイブリダイゼーションが用いられることを特徴とする請求項1に記載の試薬。
【請求項23】
少なくとも2つの上記プローブがそれぞれ異なる標識がされており、上記プローブが、2つ以上の薬剤感受性型を区別するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の試薬。
【請求項24】
感受性型の真菌を検出するために、同時蛍光が用いられることを特徴とする請求項15に記載の試薬。
【請求項25】
上記プローブセットは、フルコナゾール感受性真菌のためのPNAプローブ、およびフルコナゾール抵抗性真菌のためのPNAプローブを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の試薬。
【請求項26】
上記フルコナゾール感受性真菌は、C.アルビカンスまたはC.パラプシローシスの1つ以上を含み、上記フルコナゾール抵抗性真菌は、C.クルセイまたはC.グラブラタの1つ以上を含むことを特徴とする請求項25に記載の試薬。
【請求項27】
上記プローブセットは、フルコナゾール感受性真菌のためのPNAプローブ、フルコナゾール濃度依存的感受性真菌のためのPNAプローブ、または上記フルコナゾール抵抗性真菌の1つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の試薬。
【請求項28】
上記フルコナゾール感受性真菌は、C.アルビカンスまたはC.パラプシローシスの1つ以上を含み、上記フルコナゾール濃度依存的感受性真菌は、C.トロピカリスの1つ以上を含み、上記フルコナゾール抵抗性真菌は、C.クルセイまたはC.グラブラタの1つ以上を含むことを特徴とする請求項27に記載の試薬。
【請求項29】
それぞれ異なる標識がされた3つ以上のプローブセットが、抗真菌薬剤間を区別するために用いられることを特徴とする請求項1に記載の試薬。
【請求項30】
真菌の感受性型を決定するための方法であって、
少なくとも1つの薬剤感受性型真菌の核酸配列に相補的な配列を含む、1つ以上のプローブセットと、サンプルとを接触させる工程と、
上記プローブのハイブリダイゼーションと確立した感受性型とを関連付ける工程とを包含することを特徴とする方法。
【請求項31】
上記ハイブリダイゼーションが、サンプル中の微生物の存在、同一性、および/または量を示唆であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
上記プローブセットは、アゾール感受性プローブセットおよびアゾール抵抗性プローブセットを含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項33】
抗真菌治療を選択するための方法であって、
a)少なくとも1つの薬剤感受性型真菌の核酸配列に相補的な配列を含むプローブセットと、サンプルとを接触させる工程と、
b)上記プローブセットを核酸サンプルにハイブリダイズさせる工程と、
c)ハイブリダイゼーションを検出する工程と、
d)ハイブリダイゼーションが検出されれば、これに基づいて抗真菌治療を選択する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
治療によって真菌を分類するための方法であって、
a)少なくとも1つの薬剤感受性型真菌の核酸配列に相補的な配列を含むプローブセットと、サンプルとを接触させる工程と、
b)上記プローブセットを核酸サンプルにハイブリダイズさせる工程と、
c)ハイブリダイゼーションを検出する工程と、
d)検出したハイブリダイゼーションに基づいて真菌を分類する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項35】
抗真菌治療を多重選択するための方法であって、
a)少なくとも1つの薬剤感受性型真菌の核酸配列に相補的な配列を含む少なくとも2つのプローブセットと、サンプルとを接触させる工程と、
b)上記プローブセットを核酸サンプルにハイブリダイズさせる工程と、
c)ハイブリダイゼーションを検出する工程と、
d)ハイブリダイゼーションが検出されれば、これに基づいて抗真菌治療を選択する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項36】
上記プローブセットは、C.アルビカンスまたはC.パラプシローシスを標的とするPNAプローブセット、C.トロピカリスを標的とするPNAプローブセット、ならびにC.グラブラタおよびC.クルセイを標的とするPNAプローブセットの1つ以上を含み、上記PNAプローブセットは独立して標識されており、
C.アルビカンスまたはC.パラプシローシスを標的とする1つ以上の上記PNAプローブのハイブリダイゼーションの検出はフルコナゾールの選択を示し、C.トロピカリスを標的とする1つ以上の上記PNAプローブのハイブリダイゼーションの検出は、フルコナゾールの増加量を選択し、C.グラブラタおよびC.クルセイを標的とする1つ以上の上記PNAプローブのハイブリダイゼーションの検出は、カスポファンギン、ボリコナゾール、またはアンフォテリシンBの選択を示していることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
in situで分析されることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項38】
in situハイブリダイゼーションの蛍光発光により分析されることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項39】
上記プローブまたはその相補配列は、反応中に合成または増幅されていることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項40】
分析結果が8時間未満で得られることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項41】
分析結果が3時間未満で得られることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項42】
上記核酸合成または核酸増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、転写介在増幅(TMA)、ローリングサークル型増幅(RCA)およびQベータレプリカーゼからなる群より選択される反応により行われることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項43】
少なくとも1つのブロッキングプローブを添加し、非標的配列に対する上記プローブのハイブリダイゼーションを低減または排除する工程をさらに含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項44】
上記核酸サンプルは支持体表面に固定されていることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項45】
少なくとも1つの上記プローブセットの、少なくとも1つの上記プローブは、支持体表面に固定されていることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項46】
少なくとも1つの上記プローブは、アレイの構成要素であることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
上記試薬が請求項16から29に記載の上記プローブセットを1つ以上含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項48】
上記サンプルは、生物学的サンプルであることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項49】
上記生物学的サンプルは、血液、尿、分泌物、汗、唾液、便、粘膜、またはこれらの培養液であることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項50】
抗真菌治療を選択するためのキットであって、
a)少なくとも1つの薬剤感受性型真菌の核酸配列に相補的な配列を含むプローブセットと、
b)分析を実行するために必要な他の試薬または化合物とを備えていることを特徴とするキット。
【請求項51】
上記キットは、in situハイブリダイゼーション分析において用いられることを特徴とする請求項50に記載のキット。
【請求項52】
上記キットは、リアルタイムPCR分析に用いられることを特徴とする請求項50に記載のキット。
【請求項53】
上記キットは、臨床サンプルまたはその培養液を試験するために用いられることを特徴とする請求項50に記載のキット。

【公表番号】特表2009−508531(P2009−508531A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532349(P2008−532349)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/036645
【国際公開番号】WO2007/035814
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(507394754)アドヴァンディーエックス,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】