真贋判定方法、真贋判定装置、真贋判定システムおよびカラー二次元コード

【課題】条件等色を用いた真贋判定手法において、安価でありながら比較的堅牢なシステムを構築する。
【解決手段】画像読取部110は、所定の情報がコード化された識別コードであって、印刷媒体に条件等色を用いてカラー印刷されるべき識別コードを、撮像素子111で撮像してマルチバンド画像を取得する。エリア画素値特定部は、マルチバンド画像のそれぞれから、条件等色の関係にある2色がそれぞれ印刷されるべき第1エリアと第2エリアの画素値をバンドごとに特定する。分光スペクトル推定部233は、第1エリアの色の学習データと第1エリアのバンドごとの画素値を用いて第1エリアの分光反射スペクトルを、第2エリアの色の学習データと第2エリアのバンドごとの画素値を用いて第2エリアの分光反射スペクトルを推定する。真贋判定部236は、第1エリアの分光反射スペクトルと第2エリアの分光反射スペクトルを用いて、識別コードの真贋を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、条件等色を利用した真贋判定方法、真贋判定装置、真贋判定システムおよびカラー二次元コードに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷物に対する主な偽造防止策には、蛍光インクや赤外線インクなど特殊な照明を照射しないと視認できないインクを使用するもの、透かしやマイクロ文字など一般的な印刷機では再現できない加工を施すもの、ホログラムのように偽造が難しく光沢があるためコピーできないものなどがあり、金券、紙幣などに使用されている。
【0003】
また、偽造防止策のなかには、条件等色(メタメリズム)の関係にある2色のインクを用いて印刷したものもある(例えば、特許文献1参照)。条件等色とは、太陽光や蛍光灯などの自然光源下では同じ色に見えるが、特殊な光源下やフィルタを介して観察すると異なった色に見える現象を指す。条件等色を使用した偽造防止策は、例えばパスポートの桜模様の花びらに採用されている。カラーコピー機で複写すると、通常光のもとで同色であった2種類のインクの色に差が生じ、偽造品であることが判明する。以上に挙げた偽造防止技術は複数の手法を組み合わせて堅牢度を向上させているものが多い。
【0004】
近年では、不規則な紙の繊維情報を撮影して固有の真贋判定情報とする方法、偏光繊維を漉き込んだ紙材料を用い、偏光板を介して観察される偏光繊維の模様変化を利用して真贋判定を行う方法、DNA情報を真贋判定材料とする方法なども開発されている。これらは非常に堅牢なものであるが、高価であり読み取りには高精度な検出器を必要とする。
【0005】
ところで、識別コードの分野では一次元コード(主として、バーコード)に代わり、二次元コードが普及してきている。二次元コードの代表例として、QRコード(登録商標)がある。QRコードは黒色に限定されておらず、広告や雑誌などにおいてはカラーのQRコードも広く用いられている。また、汚れに強く、現在ではほとんどの携帯電話機にその読み取り機能が付いている。
【0006】
また、カラー二次元コードの別の例として、カラーコード(ColorCode(登録商標))がある。カラーコードは、赤・緑・青・黒の4色のパターンを利用した二次元コードであり、色情報と色の配置情報でコード化されていて、色の配置を崩さなければデザイン性を加えることができる。このカラーコードを蛍光インクで印刷し、通常不可視とし、紫外線を照射して撮影すると読み取り可能とする技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公昭60−58711号公報
【特許文献2】特開2008−181477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、これまでの一般的な真贋判定手法は、複数の手法を組み合わせて堅牢度を向上させるものであるため、堅牢度の向上に伴い製造コストが高くなる傾向があった。また、近年では偽造技術も進歩し、高精細なスキャナやプリンタでコピーされたものは肉眼では真贋の判定が難しく、特殊インク、透かし、ホログラムでさえ偽造されてしまう場合がある。また、単体でも堅牢度の高い真贋判定手法は、製造コストが高く、認証の際にも高価な装置が必要となる。
【0009】
この点、条件等色を用いた真贋判定手法は比較的安価に作成可能である。しかしながら、目視のみでは判定が難しく、真贋判定には分光反射スペクトル情報が読み取れる分光器などの高精度な検出器が必要であった。
【0010】
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、条件等色を用いた真贋判定手法において、安価でありながら比較的堅牢なシステムを構築する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある態様の真贋判定方法は、所定の情報がコード化された識別コードであって、印刷媒体に条件等色を用いてカラー印刷されるべき識別コードを、撮像素子で撮像してマルチバンド画像を取得するステップと、マルチバンド画像のそれぞれから、条件等色の関係にある2色がそれぞれ印刷されるべき第1エリアと第2エリアの画素値をバンドごとに取得するステップと、第1エリアの色の学習データと第1エリアのバンドごとの画素値を用いて第1エリアの分光反射スペクトルを推定するとともに、第2エリアの色の学習データと第2エリアのバンドごとの画素値を用いて第2エリアの分光反射スペクトルを推定するステップと、第1エリアの分光反射スペクトルと第2エリアの分光反射スペクトルを用いて、識別コードの真贋を判定するステップと、を備える。
【0012】
本発明の別の態様もまた、真贋判定方法である。この方法は、所定の情報がコード化された識別コードであって、印刷媒体に条件等色を用いてカラー印刷されるべき識別コードを、撮像素子で撮像してマルチバンド画像を取得するステップと、マルチバンド画像のそれぞれから、条件等色の関係にある2色がそれぞれ印刷されるべき第1エリアと第2エリアの画素値を取得するステップと、第1エリアのマルチバンドの画素値と第2エリアのマルチバンドの画素値を用いて、識別コードの真贋を判定するステップと、を備える。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、真贋判定システムである。この真贋判定システムは、所定の管理情報がコード化された識別コードを撮像するための撮像装置と、撮像装置により撮像された識別コードの真贋を判定するための真贋判定装置と、を備える真贋判定システムであって、識別コードは、印刷媒体に条件等色を用いてカラー印刷されるべき識別コードであり、かつ真贋判定装置にアクセスするための識別子がさらにコード化されており、撮像装置は、識別コードのマルチバンド画像を撮像するための撮像素子と、撮像素子により撮像されたマルチバンド画像から、管理情報および識別子を検出する識別コード読取部と、識別子を用いて真贋判定装置にネットワークを介してアクセスし、管理情報およびマルチバンド画像を真贋判定装置に送信する第1通信部と、を有する。真贋判定装置は、撮像装置から管理情報およびマルチバンド画像を受信する第2通信部と、管理情報ごとに、条件等色の関係にある2色がそれぞれ印刷されるべき第1エリアと第2エリアを保持する比較エリア保持部と、第2通信部により受信された管理情報に対応する、第1エリアと第2エリアを比較エリア保持部から取得する比較エリア取得部と、第2通信部により受信されたマルチバンド画像のそれぞれから、比較エリア取得部により取得される第1エリアと第2エリアの画素値をバンドごとに特定するエリア画素値特定部と、特定された第1エリアのバンドごとの画素値と第1エリアの色の学習データを用いて第1エリアの分光反射スペクトルを推定し、特定された第2エリアのバンドごとの画素値と第2エリアの色の学習データを用いて第2エリアの分光反射スペクトルを推定する分光スペクトル推定部と、分光スペクトル推定部により推定された第1エリアの分光反射スペクトルと第2エリアの分光反射スペクトルを用いて、識別コードの真贋を判定する真贋判定部と、を備える。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、真贋判定装置である。この装置は、印刷媒体に条件等色を用いてカラー印刷されるべき識別コードであって、所定の管理情報、条件等色の関係にある2色がそれぞれ印刷されるべき第1エリアと第2エリアそれぞれの位置情報、第1エリアと第2エリアそれぞれの色の真値、および第1エリアと第2エリアの色差の真値がコード化された識別コードのマルチバンド画像を撮像するための撮像素子と、撮像素子により撮像された画像から、位置情報、色の真値および色差の真値を検出する識別コード読取部と、マルチバンド画像のそれぞれから、第1エリアと第2エリアの画素値をバンドごとに特定するエリア画素値特定部と、特定された第1エリアのバンドごとの画素値と第1エリアの色の学習データを用いて第1エリアの分光反射スペクトルを推定し、特定された第2エリアのバンドごとの画素値と第2エリアの色の学習データを用いて第2エリアの分光反射スペクトルを推定する分光スペクトル推定部と、識別コード読取部により検出された第1エリアの色の真値と分光スペクトル推定部により推定された第1エリアの分光反射スペクトルから算出される色の測定値との第1比較、識別コード読取部により検出された第2エリアの色の真値と分光スペクトル推定部により推定された第2エリアの分光反射スペクトルから算出される色の測定値との第2比較、および識別コード読取部により検出された色差の真値と分光スペクトル推定部により推定された測定値にもとづく第1エリアと第2エリアとの色差の測定値との第3比較にもとづいて、識別コードの真贋を判定する真贋判定部と、を備える。
【0015】
本発明のさらに別の態様は、カラー二次元コードである。このカラー二次元コードは、印刷媒体に印刷された所定の情報がコード化されたカラー二次元コードであって、二次元コード領域内に条件等色の関係にある2色でそれぞれ印刷された2つの領域が形成される。
【0016】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラム等の間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、条件等色を用いた真贋判定手法において、安価でありながら比較的堅牢なシステムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】QRコードの一例を示す図である。
【図2】条件等色の関係にある、色aと色a’の分光反射スペクトルの一例を示す図である。
【図3】図3(A)〜(D)は、条件等色の作成方法を説明するための図である。
【図4】図4(A)〜(E)は、カラーQRコードにおける条件等色を利用した配色例を説明するための図である。
【図5】撮像素子に装着されるカラーフィルタの分光感度特性の一例を示す図である。
【図6】実施例1に係る真贋判定システムの構成を示す図である。
【図7】実施例1に係る真贋判定システムの動作例を説明するためのフローチャートである。
【図8】色比較エリアおよびトリミングを説明するための図である。
【図9】図9(A)〜(C)は、差分スペクトル算出部により算出された差分スペクトルの測定値と、差分スペクトル真値保持部に保持される差分スペクトルの真値との関係を示す図である。
【図10】実施例2に係る真贋判定装置の構成を示す図である。
【図11】実施例2に係る真贋判定装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、本発明の実施の形態に係るカラー二次元コードの真贋判定方法を説明するための前提として、当該カラー二次元コードの作成方法について説明する。以下、当該二次元コードとしてQRコードを用いる例を説明する。
【0020】
図1は、QRコードの一例を示す図である。まず、QRコードの読み取り手順を簡単に説明する。図示しないQRコード読取装置(例えば、携帯電話機、スマートフォン、専用機器など)は、QRコードを撮像する。そして、その撮像画像をグレー化し、その明暗に応じて2値化する。当該QRコード読取装置は、QRコードの右下隅を除く3隅にそれぞれ形成された切り出しシンボル10を検出することにより、撮像されたQRコードの向きおよび位置を認識する。当該QRコード読取装置は、その認識結果をもとに当該画像を回転および移動させ、当該画像からQRコードの領域を切り出す。
【0021】
次に、当該QRコード読取装置は、QRコードからタイミングパターン20を検出し、タイミングパターン20内のモジュール数をカウントすることにより、QRコードのバージョンを判別する。タイミングパターン20は、QRコードの左上を原点として7列目と7行目の、切り出しシンボル10間にそれぞれ形成される。当該QRコード読取装置は、歪み補正などを施した後、QRコードから各モジュールを抽出し、所定のアルゴリズムに従いデコードする。
【0022】
以下、本実施の形態のように背景に色が加えられたカラーQRコードについて考える。当該カラーQRコードを読み取るためには、背景部とQRコード部の色がグレー化されて2値化されるときに、背景部は明、QRコード部は暗と判別できるに十分なコントラストを有している必要がある。ある規格では、明暗のコントラストが60%以上、背景の白色度が85%あればよいとされている。このコントラストを保っていれば、後述する図4(A)〜(D)に示すように背景部に色を加えてもよく、また、図4(E)のようにQRコード自体に色を加えてもよい。
【0023】
本実施の形態に係るカラーQRコードでは、背景部またはQRコード自体に条件等色を含む。条件等色の関係にある2色は、分光反射スペクトルが一致している部分と異なっている部分を持つ。すなわち、照明条件により同色に見えたり、別の色に見えたりする。
【0024】
図2は、条件等色の関係にある、色aと色a’の分光反射スペクトルの一例を示す図である。図2に示すグラフの横軸は波長[nm]、縦軸は分光反射率[%]を示す。この例では、約520〜625nmの波長領域において色aと色a’は別の色に見えるが、その他の可視光領域においては同色に見える。本実施の形態では、この分光反射スペクトルの違いを真贋判定に利用する。
【0025】
図3(A)〜(D)は、条件等色の作成方法を説明するための図である。以下の説明では、シアンをC、マゼンタをM、イエローをY、ブラックをK、レッドをR、グリーンをGおよびブルーをBと表記する。また、図3(A)〜(D)のそれぞれにおいて、左図は色aを、右図は色a’を示す。
【0026】
図3(A)は、色aをCMYKで、色a’をCMYK(色aとは網点率が異なる)で印刷する例を示す。すなわち、色aと色a’とを網点率を変えて、通常のCMYKプロセス印刷を行い、条件等色を作成する。単なるカラーコピー機による偽造であれば、インク、用紙、印刷条件(例えば、スキャナのフィルタ特性、取得RGB値から印刷機のCMYK比率への変換、網点の再現度)が本物と異なれば分光反射スペクトルに違いが出るため、真贋判定が可能である。
【0027】
図3(B)は、色aを特色インクで、色a’をCMYKで印刷する例を示す。堅牢度を向上させるには、CMYKインクだけでなく、特色インクを使用するのが有効である。例えば、DIC株式会社の特色インクのサンプル集であるDICカラーガイド(登録商標)に、最も色差が小さくなるCMYK網点比率で印刷されたDICプロセスカラーガイドがある。このように、色aを特色インクで、色a’を特色インクに近い色のCMYK網点比率で印刷すると条件等色を作成しやすい。また、特色インクのスペクトル形状はCMYKインクのスペクトル形状には含まれていない特徴を有するため、真贋判定も比較的容易である。
【0028】
ただし、特色インクはもともとCMYKインクでは再現できない色を再現する目的で作成されたものであるため、特色部(ベタ)とCMYK部(網点)との色差が大きく、見た目で偽造防止が施されていることが分かりやすい。また、ルーペなどで拡大して観察すると、特色部とCMYK部とで異なる印刷が施されていることが分かってしまう。
【0029】
図3(C)は、色aも色a’も特色インクで印刷する例を示す。すなわち、特色インクの中で色差が小さく、スペクトル形状が異なる2色を用いる。ただし、そのような組み合わせはDICの特色インクの中だけでは限られるため、複数の条件等色を使用する場合、様々な会社で製造された特色インクを検討して選択する必要がある。
【0030】
図3(D)は、色aをCMYKインクの少なくとも一色を特色インクに置き換えて印刷し、色a’をCMYKで印刷する例を示す。この方法ならば、拡大して見ても色aと色a’のどちらもCMYK網点印刷であり、見た目には偽造防止が施されていることが分かりにくい。また、ドットのみの分光反射スペクトルを測定することは難しいため、使用された特色インクの特定が難しく、堅牢度が高い。
【0031】
なお、色aをCMYKインクに特色インクを加えた5色によるプロセス印刷、色a’をCMYK印刷とすることも考えられる。ただし、CMYKいずれかの色と似た色の特色インクを使用した場合でない限り、拡大して見ると色a’に通常印刷とは異なる色のドットが含まれていることが分かってしまう。また、基本的にプロセス印刷機は4色刷りであり、5色印刷は2回刷りとなってしまう。
【0032】
図示しないが、色aおよび色a’の少なくとも一方に、スペクトルに固有の特徴を有し、秘匿性のある特殊インクを用いる方法が考えられる。スペクトルに固有の特徴を有しているため、真贋判定が容易であり、かつ堅牢度も非常に高くなる。特殊インクの堅牢度が高いのは、一般的に出まわっているインクではないため入手が困難であり、偽造されにくいためである。ただし、所望の特殊インクを作成するには、コストが高くなる。
【0033】
下記表1は、上述した5つの手法の内容を堅牢度が低→高の順にまとめた表である。これらの手法の中から、設計者は用途とコストに見合う手法を選択して使用すればよい。既存の特色インクであっても、どの会社の何番の特色インクを使用して印刷されているかを特定されない限り偽造は難しい。仮に、特定されたとしても紙や印刷機によってもスペクトルは変化するため、スペクトル形状を再現することは比較的困難である。なお、図3(B)〜(D)に示した手法において、特色インクの代わりに、独自に作製した特殊インクを用いてもよい。
【0034】
【表1】

【0035】
図4(A)〜(E)は、カラーQRコードにおける条件等色を利用した配色例を説明するための図である。なお、図4(A)〜(D)のそれぞれにおいて、下図は条件等色が配色される背景を示し、上図は下図に示す背景と、所定のQRコードとを重ねて生成されるカラーQRコードを示している。このカラーQRコードの領域内には、条件等色の関係にある2色でそれぞれ印刷された2つのエリアが少なくとも一組形成される。なお、上記背景と上記二次元コードとは、図示しないQRコード読取装置で読み取り可能なコントラストを有して配色される。
【0036】
図4(A)は、背景に条件等色の関係にある色aと色a’とが二等分されて配色される例を示す。図4(A)では背景の左半分が色aで配色され、右半分が色a’で配色されている。なお、縦半分に等分するのではなく、横半分、右斜め半分、左斜め半分に等分してもよいし、等分に分割しなくてもい。例えば、背景の左2/3が色aで配色され、右1/3が色a’で配色されてもよい。
【0037】
図4(B)は、背景が基本的に色aで配色され、背景の中に色a’で配色された複数の小エリアが含まれる例を示す。図4(B)では、左上と下中央の2箇所に色a’で配色された小エリアが形成されている。
【0038】
図4(C)は、背景に複数組の条件等色が配色される例を示す。図4(C)では、色aと色a’の組み合わせ以外に、色bと色b’および色cと色c’の組み合わせが使用されている。なお、図4(C)では背景がモザイク状に分割され、それぞれのブロックは、色a、色a’、色b、色b’、色cおよび色c’のいずれかに配色される。
【0039】
図4(D)は、背景に複数組の条件等色が配色される別の例を示す。図4(D)でも、色aと色a’の組み合わせ以外に、色bと色b’および色cと色c’の組み合わせが使用されている。図4(D)では図4(C)と比較し、背景に任意の絵(ここでは、風船を持った熊)が描かれている。なお、図4(D)では色a、色a’、色b、色b’、色cおよび色c’以外の色も使用されている。
【0040】
図4(E)は、QRコード自体が条件等色を用いて形成される例を示す。図4(E)では、QRコードが条件等色の関係にある色dと色d’により印刷される。より具体的には、QRコードの全体領域が基本的に色d’で配色され、その領域の中に色dで配色された複数の小エリアが含まれる。図4(E)では、左上と下中央の2箇所に色dで配色された小エリアが形成されている。なお、図示しないがQRコード自体を条件等色を用いて形成する場合も、複数組の条件等色を配色してもよい。
【0041】
図4(A)〜(E)のカラーQRコードは、一見しただけでは、条件等色が含まれていることが分かりにくいため、偽造されにくいという特質がある。図4(A)の下図のように条件等色の関係にある色aと色a’とを隣り合わせると、微妙に色が違うことを見破られる可能性があるが、上図のようにQRコードを重ねるとカモフラージュ効果により境界が見えにくくなる。また、図4(B)のように色a’を分散させると、色aと色a’との色差をより感じさせにくくすることができる。
【0042】
また、図4(C)のように複数の条件等色の組み合わせを使用することにより、条件等色の関係にある箇所を見分けにくくさせることができる。また、複数の条件等色の組み合わせを使用すると、偽造する際、複数のスペクトルを再現する必要があるため堅牢度を高めることができる。また、図4(D)のように背景に模様以外のデザイン性を付与することもできる。
【0043】
本発明の実施の形態に係るカラーQRコードは所定の印刷媒体(例えば、紙、布地)に印刷される。当該カラーQRコードには様々な情報がコード化されて含められる。例えば、商品コードが含められる。商品コードとはQRコードが添付された物品を示すコード(例えば、JIS−X−0501により規格化されたJANバーコード)である。JANバーコードには、国コード、メーカコード、商品アイテムコードが含まれる。また、商品コードの代わりにロット番号や個別番号などが用いられてもよい。
【0044】
また、本発明の実施の形態に係るカラーQRコードの認証は、後述するように、真贋判定サーバまたは真贋判定PC(以下、サーバを用いる例を想定する)を経由する場合と経由しない場合がある。真贋判定サーバを経由する場合、カラーQRコード内に真贋サーバへアクセスするためのサーバアドレス情報(例えば、URL(Uniform Resource Locator))が含まれていなければならない。したがって、真贋判定サーバを経由する場合、カラーQRコードには、例えば、次の情報が含まれる。
「日本 ○○○社製 商品No.20546879 http//www.・・・(真贋判定サーバURL)」
【0045】
一方、真贋判定サーバを経由しない場合、カラーQRコードに含まれる情報のみを使用して真贋判定する必要がある。したがって、条件等色で印刷された、比較すべきエリアを示す位置情報(例えば、XY座標で規定される)と、それら比較エリアの色情報の真値が、カラーQRコードに含まれていなければならない。本発明の実施の形態では、色情報は条件等色の関係にある色aで印刷されたエリアのL真値と、色a’で印刷されたエリアのL真値と、色aと色a’の色差の真値で規定する。また、これら位置情報と色情報の真値は暗号化され、QRコード読取装置で解読されることが望ましい。以上を踏まえ、真贋判定サーバを経由しない場合、カラーQRコードには、例えば、次の情報が含まれる。
「日本 ○○○社製 商品No.20546879 比較エリア位置、L真値、エリア色差の真値」
【0046】
以下、本発明の実施に形態に係る真贋判定方法について概説する。当該実施の形態では、上述したカラーQRコードは、撮像素子(例えば、CCD (Charge Coupled Device) イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)により白色光源下にて撮像される。その撮像されたRGB画像はグレー化され、その明暗に応じて2値化される。そして、その輝度情報から既存のQRコード読み取りアプリケーションによって、コードに含まれる内容が読み取られる。それと同時に、画素毎の6バンドの色情報が取得され、その取得された色情報と、読み取られたQRコードの真値の色情報とが比較され、真贋判定が行われる。
【0047】
色情報の取得に、分光器(〜2nmおきに測定が可能)を用いることが考えられるが、分光器は波長刻みが細かく高精度ではあるが、高価でデータ量が多くなる。そのため、安価な装置での分光画像の取得にはあまり適していない。また、ハイパースペクトルカメラ(2〜10nmおきに測定可能)やマルチバンドスペクトルカメラ(数10〜100nmおきに測定可能)を用いることが考えられる。これらは、現在、分光画像の取得によく使用されている。ただし、液晶チューナブルフィルタが使用されていたり、フィルタ枚数が多ければやはり高価になる。
【0048】
そこで、数バンドの測定結果を用いて分光反射スペクトル推定を行う手法が提案されており、本実施の形態ではこの手法を用いて真贋判定を行う。以下、比較的安価で簡易な真贋判定システムを想定し、RR’BB’GG’6バンドの測定値から分光反射スペクトルを推定する例を説明する。
【0049】
図5は、撮像素子に装着されるカラーフィルタの分光感度特性の一例を示す図である。図5に示すグラフの横軸は波長[nm]、縦軸は透過率[%]を示す。一般的なデジタルカメラに使用される撮像素子は、ベイヤ配列された三原色フィルタ(RGBフィルタ)が装着されるものが多い。当該撮像素子はRGBの3バンドの画素信号を出力する。本実施の形態では、6バンドの画素信号を取得するため、分光感度特性が異なる2種類の三原色フィルタを用いる。すなわち、RGBフィルタの波長帯域を短波長側にシフトさせたR’G’B’フィルタを用いる。
【0050】
図5に示すように、R’G’B’フィルタは、RGBフィルタの不感帯域を補間するような分光感度特性を持つ。撮像素子にRGBフィルタを装着してRGB3バンドの画素信号を取得し、その後、R’G’B’フィルタを装着してR’G’B’3バンドの画素信号を取得する。これにより、合計6バンドの画素信号を取得できる。なお、RR’BB’GG’の各フィルタを撮像素子に固定的に装着してもよい。この場合、1回の撮影で6バンドの画素信号を取得できるが、解像度は低下する。
【0051】
(実施例1)
図6は、実施例1に係る真贋判定システム300の構成を示す図である。実施例1は、上述した真贋判定サーバ経由ありの場合に該当する。上述したようにカラーQRコードは、印刷媒体に条件等色を用いてカラー印刷された識別コードである。真贋判定サーバを経由する場合、当該カラーQRコードには商品コードなどの管理情報と真贋判定装置200にアクセスするためのアドレスまたは識別子(例えば、URL)がコード化される。
【0052】
真贋判定システム300は、撮像装置100および真贋判定装置200を備える。撮像装置100と真贋判定装置200は、所定のネットワーク(例えば、インターネット)を介して通信が可能な構成である。
【0053】
撮像装置100は上述したQRコード読取装置が該当する。より具体的には、カメラ機能付き携帯電話機、カメラ機能付きスマートフォン、通信機能付きデジタルカメラ、通信機能付き専用機器などが該当する。真贋判定装置200は上述した真贋判定サーバが該当する。撮像装置100として、当該携帯電話機およびスマートフォンを採用する場合、携帯電話網を介して基地局に無線通信によりアクセスして、真贋判定装置200とデータをやりとりできる。また、撮像装置100が無線LAN機能を搭載する場合、無線通信によりアクセスポイントにアクセスして、真贋判定装置200とデータをやりとりできる。
【0054】
撮像装置100は、画像読取部110、制御部120、通信部130および表示部140を備え、印刷されたカラーQRコードを撮像するための装置である。画像読取部110は、撮像素子111、画像処理部112および識別コード読取部113を含む。
【0055】
撮像素子111は、カラーQRコードを撮像する。図5に示したようなRGBフィルタとR’G’B’フィルタをそれぞれ、撮像素子111の入射面側に装着して2回撮像することにより、6バンドの画像を取得する。なお、撮像装置100は照明とすべき白色光源が付属され、外光を遮断できる構成であることが好ましい。ユーザは撮影時、測定対象物に照明を均一に照射し、光源の正反射成分がレンズに入らないように撮影することが望ましい。
【0056】
画像処理部112は、撮像素子111により撮像されたカラーQRコード画像の2値化、回転、移動、拡大/縮小などの画像処理を行い、識別コード読取部113に供給する。識別コード読取部113は、撮像素子111により画像処理された画像から、商品コードおよびURLを検出する。撮像素子111により撮像された6バンドの画像、ならびに識別コード読取部113により検出された商品コードおよびURLは、制御部120に供給される。なお、制御部120に供給される6バンドの画像は、画像処理部112により回転、移動、拡大/縮小などの画像処理が施されていることが好ましい。
【0057】
制御部120は撮像装置100全体を統括的に制御する。通信部130は、識別コード読取部113により読み取られたURLを用いて真贋判定装置200にネットワークを介してアクセスし、上記商品コードおよび上記6バンドの画像を真贋判定装置200に送信する。また、真贋判定装置200により判定された真贋判定結果を受信する。表示部140は、真贋判定装置200から受信された真贋判定結果を表示する。
【0058】
真贋判定装置200は、通信部210、表示部220、制御部230および記憶部240を備え、撮像装置100により撮像されたカラーQRコードの真贋を判定するための装置である。真贋判定の結果、本物と判定された場合、そのカラーQRコードは正当なものと認証されたと考えることができる。したがって、真贋判定装置200は認証装置と考えることもできる。
【0059】
通信部210は、撮像装置100から商品コードおよび6バンドの画像を受信する。また、後述する手法により真贋判定結果を撮像装置100に送信する。表示部220は、所定の情報を表示する。本実施例では真贋判定の演算過程や真贋判定結果を表示する。
【0060】
制御部230は真贋判定装置200全体を統括的に制御する。より具体的には、制御部230は、比較エリア取得部231、エリア画素値算出部232、分光スペクトル推定部233、差分スペクトル算出部234、相関係数&RMS算出部235および真贋判定部236を含む。
【0061】
これらの構成は、ハードウェア的には、任意のプロセッサ、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウェア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組み合わせによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0062】
記憶部240は、測定スペクトル特性保持部241、光源スペクトル特性保持部242、カメラ分光感度特性保持部243、学習スペクトル特性保持部244、比較エリア保持部245および差分スペクトル真値保持部246を含む。
【0063】
測定スペクトル特性保持部241は、撮像装置100により測定された6バンドの画像を一時的に保持する。光源スペクトル特性保持部242、カメラ分光感度特性保持部243および学習スペクトル特性保持部244には、分光反射率スペクトル推定に必要な、それぞれの特性情報が保持される。これら特性情報の具体例は後述する。
【0064】
比較エリア保持部245は、商品コード毎に、条件等色の関係にある2色がそれぞれ印刷されるべき第1エリアと第2エリアの位置情報を保持する。差分スペクトル真値保持部246は、第1エリアの色の分光反射スペクトルと第2エリアの色の分光反射スペクトルの差分スペクトルの真値を保持する。
【0065】
比較エリア取得部231は、通信部210により受信された商品コードに対応する、第1エリアと第2エリアを比較エリア保持部245から取得する。エリア画素値算出部232は、通信部210により受信された6バンドの画像のそれぞれから、比較エリア取得部231により取得された第1エリアと第2エリアの平均画素値をバンドごとに算出する。
【0066】
分光スペクトル推定部233は、エリア画素値算出部232により算出された第1エリアのバンドごとの平均画素値と、学習スペクトル特性保持部244に保持される第1エリアの学習データを用いて、第1エリアの分光反射スペクトルを推定する。同様に、エリア画素値算出部232により算出された第2エリアのバンドごとの平均画素値と、学習スペクトル特性保持部244に保持される第2エリアの学習データを用いて、第2エリアの分光反射スペクトルを推定する。この分光反射スペクトルの推定方法は後述する。
【0067】
差分スペクトル算出部234は、分光スペクトル推定部233により推定された第1エリアの分光反射スペクトルと第2エリアの分光反射スペクトルとの差分スペクトルを算出する。相関係数&RMS算出部235は、この差分スペクトルの測定値と、差分スペクトル真値保持部246に保持される差分スペクトルの真値との相関係数Rおよび平均二乗偏差RMSを算出する。
【0068】
真贋判定部236は、分光スペクトル推定部233により推定された第1エリアの分光反射スペクトルと第2エリアの分光反射スペクトルを用いて、上記カラーQRコードの真贋を判定する。本実施例では、真贋判定部236は、相関係数&RMS算出部235により算出された上記相関係数Rおよび上記平均二乗偏差RMSにもとづき、当該カラーQRコードの真贋を判定する。より具体的には、当該上記相関係数Rが所定の第1設定値より大きく、かつ上記平均二乗偏差RMSが所定の第2設定値より小さい場合、本物と判定し、この条件を満たさない場合、偽物と判定する。
【0069】
図7は、実施例1に係る真贋判定システム300の動作例を説明するためのフローチャートである。まず、撮像装置100の撮像素子111は、上記カラーQRコードを撮像し、6バンドの画素値(本実施例では、RR’GG’BB’の画素値)により形成される6バンドの画像を取得する(S10)。識別コード読取部113は、撮像されたQRコードの画像から商品コードおよびURLを検出する(S12)。通信部130は、そのURLを用いて真贋判定装置200にアクセスし、商品コードと6バンドの画像を転送する(S14)。
【0070】
真贋判定装置200の比較エリア取得部231は、撮像装置100から転送されてきた商品コードに対応する色比較エリアを、比較エリア保持部245から読み出す(S16)。組をなす2つの色比較エリアには、条件等色の関係にある色aと色a’がそれぞれ配色されている。
【0071】
エリア画素値算出部232は、色aのエリアと色a’のエリアをそれぞれトリミングする。そして、トリミングされた両エリアのそれぞれについて、RR’GG’BB’値の平均化を算出する(S18)。したがって、エリアごとに分光反射スペクトル推定の基礎となるべき6値が生成される。
【0072】
図8は、色比較エリアおよびトリミングを説明するための図である。図8では条件等色の関係にある色aが配色されたエリアaと、色a’が配色されたエリアa’がQRコードが形成される正方領域30内に形成されている。このエリアaとエリアa’の色を比較する場合、各エリア境界は印刷ずれやインクの滲みによる混色が発生しやすいため、エリア境界より数画素、内側の範囲(図8では斜線部の範囲)で、画素値の平均値をバンドごとに算出する。なお、平均値ではなく中央値を用いてもよい。
【0073】
図7に戻り、分光スペクトル推定部233は、ステップS18により算出されたRR’GG’BB’平均値を用いて、各エリアの分光反射スペクトルを推定する(S20)。より具体的には、実測分の分光反射スペクトルをカメラの各チャンネル(上記バンドに対応)の感度で計測する過程を線形の行列計算にモデル化し、逆行列を求める問題として定式化して、未知の分光反射スペクトルを推定する。なお、当該実測分の分光反射スペクトルは、学習スペクトル特性保持部244に保持される既知の複数の分光反射スペクトルと、光源スペクトル特性保持部242に保持される光源スペクトル特性を掛け合わせたスペクトルである。当該カメラの各チャンネルの感度は、カメラ分光感度特性保持部243に保持される。なお、当該推定方法として、ウィナー推定、重回帰分析、マルコフ推定、主成分分析などを用いることができる。本明細書では、ウィナー推定を用いる例について後述する。
【0074】
差分スペクトル算出部234は、分光スペクトル推定部233により推定されたエリアaの分光反射スペクトルとエリアa’の分光反射率スペクトルの差分スペクトルを算出する(S22)。
【0075】
図9(A)〜(C)は、差分スペクトル算出部234により算出された差分スペクトルの測定値と、差分スペクトル真値保持部246に保持される差分スペクトルの真値との関係を示す図である。図9(A)はエリアaの分光反射スペクトルを示し、図9(B)はエリアa’の分光反射スペクトルを示す。図9(C)は、エリアaの分光反射スペクトルとエリアa’の分光反射スペクトルの差分ベクトルの測定値と、差分スペクトル真値保持部246に保持される差分スペクトルの真値とを同一グラフ内に描いたものである。
【0076】
図7に戻り、相関係数&RMS算出部235は、上記差分スペクトルの測定値と真値との間の相関係数Rおよび平均二乗偏差RMSを算出する(S24)。
【0077】
当該相関係数Rは下記(式1)により、平均二乗偏差RMSは下記(式2)により算出される。
【0078】
【数1】

【数2】

ここで、xiは差分スペクトル測定値xの波長iにおける差分反射率を示す値である。yiは差分スペクトル真値yの波長iにおける差分反射率を示す値である。
【0079】
真贋判定部236は、相関係数Rが上記第1設定値より大きく、かつ平均二乗偏差RMSが上記第2設定値より小さくなれば(S26のY)、上記カラーQRコードを本物と判定し(S28)、その条件を満たさないとき(S26のN)、偽物と判定する(S30)。図7のフローチャートでは、当該第1設定値を0.98、当該第2設定値を0.05とする例を示しているが、これら設定値はこれらの値に限るものではない。設計者は実験やシミュレーションにもとづき、これらの設定値を調整することにより、本物拒否率および偽物受入率を低減または最適化することができる。なお、システムを簡素化したい場合、相関係数Rだけで真贋判定することも考えられる。
【0080】
通信部210は、真贋判定装置200による真贋判定結果を撮像装置100に返信する(S32)。撮像装置100の表示部140は、その真贋判定結果を表示する(S34)。
【0081】
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。実施例2は、上述した真贋判定サーバを経由しない場合に該当する。実施例2では、実施例1における撮像装置100に、真贋判定装置200の機能をそのまま組み込むことも考えられる。ただし、商品コードに対応した色比較エリアとその色情報が保存されたデータベースを撮像装置が保持しなければならないため、データ数が少ない場合でない限り、装置の小型、軽量化は難しい。
【0082】
そこで、カラーQRコードに含まれる情報のみで真贋判定を行うことができれば、比較的小型、軽量、安価な装置でもスタンドアロンで真贋判定を行うことができる。この場合、カラーQRコード自体に色比較エリアの位置とその色情報の真値が含まれている必要がある。色情報は、実施例1では色比較エリア間の差分スペクトルの真値としたが、それをカラーQRコードに含めるにはデータ量が大きくなりすぎる。差分スペクトル情報の代わりに、実施例2では各色比較エリアのL、色比較エリア間の色差ΔEabを用いるとする。また、色比較エリアの位置情報と、色情報の真値(すなわち、各色比較エリアのLの真値および色比較エリアの色差の真値)を暗号化し、後述する真贋判定装置400のみで解読可能な構成とすることが望ましい。
【0083】
図10は、実施例2に係る真贋判定装置400の構成を示す図である。当該真贋判定装置400は、画像読取部410、制御部420、記憶部430および表示部440を備える。画像読取部410は、撮像素子411、画像処理部412および識別コード読取部413を含む。実施例2に係る画像読取部410の構成は、実施例1に係る画像読取部110と基本的に同様である。以下、相違点について説明する。
【0084】
識別コード読取部413は、撮像素子411により画像処理された画像から、商品コード、色比較エリアとされるべき第1エリアと第2エリアの位置情報、および第1エリアのLの真値、第2エリアのLの真値、および第1エリアと第2エリア間の色差の真値を検出する。撮像素子411により撮像された6バンドの画像、ならびに識別コード読取部413により検出された商品コード、第1エリアと第2エリアの位置情報、第1エリアのLの真値、第2エリアのLの真値および第1エリアと第2エリア間の色差の真値は、制御部420に供給される。
【0085】
制御部420は、比較エリア取得部421、エリア画素値算出部422、分光スペクトル推定部423、L*a*b*算出部424、色差算出部425および真贋判定部426を含む。これらの構成は、ハードウェア的には、任意のプロセッサ、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウェア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組み合わせによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0086】
記憶部430は、測定スペクトル特性保持部431、光源スペクトル特性保持部432、カメラ分光感度特性保持部433および学習スペクトル特性保持部434を含む。これらは、実施例1の測定スペクトル特性保持部241、光源スペクトル特性保持部242、カメラ分光感度特性保持部243および学習スペクトル特性保持部244と同様であるため、説明を省略する。
【0087】
比較エリア取得部421は、識別コード読取部413により検出された第1エリアと第2エリアを取得する。エリア画素値算出部422は、画像読取部410により読み取られた6バンドの画像のそれぞれから、比較エリア取得部421により取得された第1エリアと第2エリアの平均画素値をバンドごとに算出する。
【0088】
分光スペクトル推定部423は、エリア画素値算出部422により算出された第1エリアのバンドごとの平均画素値と、学習スペクトル特性保持部434に保持される第1エリアの学習データを用いて、第1エリアの分光反射スペクトルを推定する。同様に、エリア画素値算出部422により算出された第2エリアのバンドごとの平均画素値と、学習スペクトル特性保持部434に保持される第2エリアの学習データを用いて、第2エリアの分光反射スペクトルを推定する。
【0089】
L*a*b*算出部424は、分光スペクトル推定部423により推定された第1エリアの分光反射スペクトルから、第1エリアのL*a*b*の値を算出する。同様に、分光スペクトル推定部423により推定された第2エリアの分光反射スペクトルから、第2エリアのL*a*b*の値を算出する。
【0090】
色差算出部425は、L*a*b*算出部424により算出された、第1エリアのL*a*b*の値と第2エリアのL*a*b*の値との差分を算出する。本実施例では、両者のΔE*abの値を両者の色差として利用する。これらL*a*b*の値、ΔE*abの値の算出方法は後述する。
【0091】
真贋判定部426は、識別コード読取部413により検出された第1エリアの色の真値と分光スペクトル推定部423により推定された第1エリアの分光反射スペクトルから算出される色の測定値との比較、識別コード読取部413により検出された第2エリアの色の真値と分光スペクトル推定部423により推定された第2エリアの分光反射スペクトルから算出される色の測定値との比較、および識別コード読取部413により検出された色差の真値と分光スペクトル推定部423により算出された第1エリアと第2エリア間の色差の真値との比較にもとづいて、上記カラーQRコードの真贋を判定する。この判定処理の具体例は後述する。表示部440は、真贋判定部426により判定された真贋判定結果を表示する。
【0092】
図11は、実施例2に係る真贋判定装置400の動作例を説明するためのフローチャートである。まず、画像読取部410の撮像素子411は、上記カラーQRコードを撮像し、6バンドの画素値(本実施例では、RR’GG’BB’の画素値)により形成される6バンドの画像を取得する(S40)。識別コード読取部413は、撮像されたQRコードの画像から商品コード、色比較エリア位置、各色比較エリアのL*a*b*の真値および色比較エリア間の色差の真値を検出する(S42)。
【0093】
比較エリア取得部421は、識別コード読取部413により検出された色比較エリアを特定し、エリア画素値算出部422は、各色比較エリアのRR’GG’BB’値を平均化する(S44)。なお、実施例1と同様に、エリア画素値算出部422は色比較エリアをトリミングした後に、そのトリミング後のエリアのRR’GG’BB’値を平均化するとよい(図8参照)。
【0094】
分光スペクトル推定部423は、エリア画素値算出部422により算出されたRR’GG’BB’平均値を用いて、各色比較エリアの分光反射スペクトルを推定する(S44)。実施例1で上述したようにウィナー推定を用いる例について後述する。
【0095】
L*a*b*算出部424は、分光スペクトル推定部423により推定された色比較エリアの分光反射スペクトルの値(以下、色比較エリアの測定値という)から、色比較エリアのL*a*b*の値を算出する(S46)。以下、L*a*b*の算出方法を具体的に説明する。前提条件として、色比較エリアの推定値をReflectance(λ)、光源をD65標準光源、人間の分光感度である等色関数をCIE(1964)X10Y10Z10Color Matching Functionとする。この前提条件下では、下記(式3)より三刺激値XYZが算出される。
【0096】
【数3】

【0097】
上記(式3)により算出された三刺激値XYZ値から、下記(式4)によりL*a*b*が算出される。
【0098】
【数4】

65標準光源下では、X=95.045、Y=100、Z=108.892を用いる。
【0099】
色差算出部425は、このL*a*b*の測定値と、識別コード読取部413により上記カラーQRコードから検出されたL*a*b*の真値とを比較するために、ΔE*abを算出する(S48)。色差算出部425は、ΔE*abを下記(式5)により算出する。
【0100】
【数5】

ΔL*、Δa*、Δb*は、色比較エリアの測定値から算出されるL*、a*、b*の測定値と、識別コード読取部413により上記カラーQRコードから検出されたL*、a*、b*の真値とのそれぞれの差を示す。
【0101】
真贋判定部426は、色比較エリアの測定値と、色比較エリアの真値とを色比較エリアごとに比較する。当該測定値と当該真値との差分が小さいか否かを判定する(S50)。例えば、ΔE*abが所定の第3設定値(本実施例では10)より小さければ(S50のY)、本物の可能性が高いと判定する。一方、色比較エリアの少なくとも一方において、ΔE*abが当該第3設定値以上である場合(S50のN)、上記カラーQRコードから読み取られた色比較エリアの少なくとも一方の色は、本物の色とは明らかに異なると判定し、真贋判定部426は当該カラーQRコードを偽物と判定する(S58)。
【0102】
ステップS50の判定の結果、本物の可能性が高い場合、色差算出部425は、色比較エリア間(上述した第1エリアと第2エリア間)のΔE*abを算出する(S52)。真贋判定部426は、色差算出部425により算出されたΔE*abと、識別コード読取部413により上記カラーQRコードから検出されたΔE*abとを比較する(S54)。両者が略一致すれば(S54のY)、真贋判定部426は当該カラーQRコードを本物と判定する(S56)。一方、両者が略一致しなければ(S54のN)、真贋判定部426は当該カラーQRコードを偽物と判定する(S58)。
【0103】
色比較エリア間の色差のみで真贋判定すると、全く異なる色の組み合わせ(例えば、黄色と緑の条件等色)であっても色差が同じ値になる可能性がある。そこで、ステップS50にて、L*a*b*の値を用いて各色比較エリアの色が、各真値の色に近いことを確認している。
【0104】
表示部440は、真贋判定部426による真贋判定結果を表示する(S60)。なお、設計者は上記第3設定値および上記一致の範囲を実験やシミュレーションにもとづき調整することにより、本物拒否率および偽物受入率を低減または最適化することができる。
【0105】
ここで、実施例1に係る分光スペクトル推定部233および実施例2に係る分光スペクトル推定部423による、ウィナー推定法を用いたマルチバンド画像から分光反射スペクトルを推定する方法について説明する。
【0106】
カメラでマルチバンドの広帯域フィルタを通して物体(本実施の形態では、カラーQRコード)を撮影した場合、画像の座標(x,y)に対応する撮像素子(例えば、CCD素子)に入射する光の分光分布は、t(λ)E(λ)r(x,y;λ)で与えられる。ここで、t(λ)はi番目のフィルタの分光透過率を、E(λ)は照明の分光放射輝度を、r(x,y;λ)は画像の座標(すなわち、画素位置)(x,y)における物体の分光反射率をそれぞれ示す。また、レンズの分光透過率や撮像素子の分光感度などを合わせた総合的な分光績をS(λ)とする。このとき、各素子において得られるセンサ応答v(x,y)は、入射光t(λ)E(λ)r(x,y;λ)と分光績S(λ)を波長領域で積分したものとで与えられるため、下記(式6)で表される。
【0107】
【数6】

ここで、mはマルチバンドのバンド数を示す。分光積S(λ)は波長400〜700nmの可視光域以外ではゼロであるとした。
【0108】
次に、数学的な取扱を簡単にするため、分光分布を離散化し、ベクトルや行列を用いて表す。vをm個のバンドのセンサ応答を表したm個の要素を持つ行ベクトル、rを物体の分光反射率を表すl個の要素で構成される行ベクトルで表すと、上記(式6)は下記(式7)のようにベクトル行列を用いて表される。
【数7】

【0109】
ここで、画像の座標(x,y)は省略した。また、行列Fはi番目のフィルタの分光透過率を表す行ベクトルtをまとめた行列T(下記(式8)参照)と、照明とカメラの分光感度に対応するl×l対角行列である行列E、Sを用いて下記(式9)のように定義される。
【数8】

【数9】

【0110】
ウィナー推定は複数の学習データサンプルの分光反射率rと、推定された分光反射率(rチルダ)の間の平均二乗誤差Eを最小化する手法であり、平均二乗誤差Eは下記(式10により表される。
【0111】
【数10】

〈 〉は分光反射率サンプルに対するアンサンブル平均を表す。
【0112】
下記(式11)より、センサ応答ベクトルから分光反射率(rチルダ)を推定する推定行列Gを考える。
【数11】

【0113】
このとき、上記(式10)で表される平均二乗誤差Eを最小化する推定行列は、下記(式12)で与えられる。
【数12】

ここで、Rrv(下記(式13)参照)はサンプルに関する分光反射率rとvの相互相関行列を示し、Rvv(下記(式14)参照)はvの自己相関行列を示す。また、Rrr(下記(式15)参照)はrの自己相関行列を示す。
【数13】

【数14】

【数15】

【0114】
したがって、上記(式12)は下記(式16)と書き換えることができる。
【数16】

【0115】
また、センサ応答にノイズnが含まれる場合、上記(式7)は下記(式17)となる。
【数17】

【0116】
ノイズnの自己相関行列Rnnは、下記(式18)と表される。
【数18】

【0117】
このように、ウィナー推定は信号とノイズの統計量が分かっている場合、簡単な線形演算で、推定値の平均二乗誤差を最小化する推定行列を与える。ここで、入力スペクトルとノイズスペクトルが無相関ならば、平均二乗誤差を最小化する推定行列は、下記(式19)で与えられる。
【数19】

【0118】
これにより、推定行列Gが求まれば、測定対象物をマルチバンド撮影した画像の座標(x,y)における物体の分光反射率をvとして 上記(式11)式から推定分光反射率(rチルダ)を求めることができる。例えば、vをRR’GG’BB’値(6バンド)とし、400nm〜700nmまで2nmおきの分光反射率データを求める場合、下記(式20)のように表される。
【数20】

【0119】
以上説明したように本実施の形態によれば、カラー二次元コードに条件等色部分を加えることにより、安価でありながら比較的堅牢な(すなわち、比較的偽造防止効果が高い)二次元コードおよび真贋判定システムを作成することができる。例えば、QRコードにプロセスインク、特色インクまたは特殊インクを用いて作製した条件等色を入れ、QRコードの内容に真贋判定サーバアドレス、または真贋判定に必要な情報(例えば、比較エリア位置情報、条件等色の色情報)を含ませる。これにより、分光器などの装置を必要とせず、撮像素子により撮像された画像により簡単に真贋判定を行うことができる。また、可視光領域で認証を行うことにより、特殊な測定器を用いなくとも一般的なカメラの撮像素子(CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ)の撮影波長域で認証が可能であり、安価なシステムを構築できる。このように、可視光領域での条件等色を利用して真贋判定を行うことにより、システムを低コスト化できる。
【0120】
また、これまでの偽造防止策は偽造が発覚しても即座に無効化などの対応が取れないため、既に出回っている偽造品による被害の拡大を防ぐことが難しかった。これに対し、実施例1に係る真贋判定システムによれば、真贋判定サーバを介して認証を行うことにより、偽造物流通情報を早期に把握でき、偽造発覚時の迅速な対応が可能となる。すなわち、システムを監視していれば、偽造品の発見情報の収集や、偽造発覚時の該コード無効化などの措置を即座に効率よく行うことができる。
【0121】
また、実施例1に係る真贋判定システムによれば、色比較エリアの位置情報および色情報は真贋判定サーバ側に保存される。したがって、QRコードの内容は商品コードと真贋判定サーバアドレスのみで足り、情報量が少なくて済む。一方、読取装置側は真贋判定のための演算機能が必要なく、画像の取り込みさえできればよい。したがって、照明と外光を考慮する必要はあるが、携帯電話機やスマートフォンなどの小型で軽量のポータブル性に優れた装置に組み込むことが可能である。しかしながら、ネットワークに接続できる環境でなければならない。
【0122】
これに対し、実施例2に係る真贋判定装置は、ネットワークに接続しなくともスタンドアロンで真贋判定が可能である。ただし、QRコードに含める情報量が多くなる。また、真贋判定のための演算ができるだけのスペックを持つハードウェアが搭載されなければならない。したがって、実施例1に係る読取装置よりも高コストで大きなものになる可能性が高い。このように、両者は一長一短があり、ニーズに応じて適宜選択されればよい。
【0123】
以上、本発明をいくつかの実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0124】
実施例1、2では条件等色が1組の場合を説明したが、複数組であってもよい。その場合、すべての組で本物と判定された場合、カラー二次元コードを本物と判定する。なお、条件等色の組が多い場合、所定の認証率(例えば、80%、90%、95%以上など)を超えた場合、カラー二次元コードを本物と判定してもよい。また、実施例1に係る真贋判定サーバによる真贋判定方法として、分光反射率スペクトルの差分を求めるのではなく、実施例2で説明した条件等色の関係にある2色の色差ΔE*abを求める方法を採用してもよい。逆に、実施例2に係る真贋判定装置がハイスペックな装置であれば、その真贋判定方法として、実施例1で説明した分光反射率スペクトルの差分を求める方法を採用してもよい。また、実施例1にて表示部140は撮像装置100の外に設けられてもよいし、実施例2にて表示部440は真贋判定装置400の外に設けられてもよい。
【0125】
また、実施例1、2にて、分光反射スペクトルを推定せずともRR’GG’BB’の6値からダイレクトに真贋判定を行ってもよい。上記第1エリアのRR’GG’BB’の測定値と上記第1エリアのRR’GG’BB’の真値との差分、および上記第2エリアのRR’GG’BB’の測定値と上記第2エリアのRR’GG’BB’の真値との差分の少なくとも一方が所定の第4設定値以上の場合、偽物と判定する。それら差分の両方が当該第4設定値より小さい場合、上記第1エリアのRR’GG’BB’の測定値と上記第2エリアのRR’GG’BB’の測定値との差分と、上記第1エリアのRR’GG’BB’と上記第2エリアのRR’GG’BB’の差分の真値とが略一致する場合、本物と判定し、略一致しない場合、偽物と判定する。この手法は認証精度は高くないが、演算量を大きく低下させることができる。したがって、簡易な真贋判定に適している。
【0126】
また、ある波長に特有の特徴を有する印刷物であれば、その特定波長に注目して比較するようにフィルタや判定方法を最適化してもよい。バンド数、バンド波長域の調整がその一例であるが、これらの調整に限定されない。実施例1、2では、6バンドを検出する例を説明したが、バンド数を増やすことにより、スペクトル形状の再現精度をさらに向上させることができる。
【0127】
また、真贋判定の対象とすべき識別コードの例としてQRコードを挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、識別コードに含めるべき情報量を圧縮できれば、バーコードなどの一次元コードを採用することもできる。また、識別コードを印刷した印刷物の劣化を防ぐため、耐光性インクを使用することが望ましい。また、印刷物表面はUVカット性、耐水性、耐溶剤性、低酸素透過率、低水蒸気透過率などのコーティングが施されてもよい。
【符号の説明】
【0128】
100 撮像装置、 111 撮像素子、 113 識別コード読取部、 130 通信部、 200 真贋判定装置、 210 通信部、 231 比較エリア取得部、 232 エリア画素値算出部、 233 分光スペクトル推定部、 236 真贋判定部、 245 比較エリア保持部、 300 真贋判定システム、 400 真贋判定装置、 411 撮像素子、 413 識別コード読取部、 421 比較エリア取得部、 422 エリア画素値算出部、 423 分光スペクトル推定部、 424 L*a*b*算出部、 426 真贋判定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の情報がコード化された識別コードであって、印刷媒体に条件等色を用いてカラー印刷されるべき識別コードを、撮像素子で撮像してマルチバンド画像を取得するステップと、
前記マルチバンド画像のそれぞれから、前記条件等色の関係にある2色がそれぞれ印刷されるべき第1エリアと第2エリアの画素値をバンドごとに取得するステップと、
前記第1エリアの色の学習データと前記第1エリアのバンドごとの画素値を用いて前記第1エリアの分光反射スペクトルを推定するとともに、前記第2エリアの色の学習データと前記第2エリアのバンドごとの画素値を用いて前記第2エリアの分光反射スペクトルを推定するステップと、
前記第1エリアの分光反射スペクトルと前記第2エリアの分光反射スペクトルを用いて、前記識別コードの真贋を判定するステップと、
を備えることを特徴とする真贋判定方法。
【請求項2】
所定の情報がコード化された識別コードであって、印刷媒体に条件等色を用いてカラー印刷されるべき識別コードを、撮像素子で撮像してマルチバンド画像を取得するステップと、
前記マルチバンド画像のそれぞれから、前記条件等色の関係にある2色がそれぞれ印刷されるべき第1エリアと第2エリアの画素値を取得するステップと、
前記第1エリアのマルチバンドの画素値と前記第2エリアのマルチバンドの画素値を用いて、前記識別コードの真贋を判定するステップと、
を備えることを特徴とする真贋判定方法。
【請求項3】
前記撮像素子は、分光感度特性が異なる2種類の3原色フィルタを有し、
前記マルチバンド画像を取得するステップは、前記撮像素子から6バンドの画像を取得することを特徴とする請求項1または2に記載の真贋判定方法。
【請求項4】
所定の管理情報がコード化された識別コードを撮像するための撮像装置と、前記撮像装置により撮像された識別コードの真贋を判定するための真贋判定装置と、を備える真贋判定システムであって、
前記識別コードは、印刷媒体に条件等色を用いてカラー印刷されるべき識別コードであり、かつ前記真贋判定装置にアクセスするための識別子がさらにコード化されており、
前記撮像装置は、
前記識別コードのマルチバンド画像を撮像するための撮像素子と、
前記撮像素子により撮像された前記マルチバンド画像から、前記管理情報および前記識別子を検出する識別コード読取部と、
前記識別子を用いて前記真贋判定装置にネットワークを介してアクセスし、前記管理情報および前記マルチバンド画像を前記真贋判定装置に送信する第1通信部と、を有し、
前記真贋判定装置は、
前記撮像装置から前記管理情報および前記マルチバンド画像を受信する第2通信部と、
管理情報ごとに、条件等色の関係にある2色がそれぞれ印刷されるべき第1エリアと第2エリアを保持する比較エリア保持部と、
前記第2通信部により受信された管理情報に対応する、第1エリアと第2エリアを前記比較エリア保持部から取得する比較エリア取得部と、
前記第2通信部により受信されたマルチバンド画像のそれぞれから、前記比較エリア取得部により取得される第1エリアと第2エリアの画素値をバンドごとに特定するエリア画素値特定部と、
特定された第1エリアのバンドごとの画素値と前記第1エリアの色の学習データを用いて前記第1エリアの分光反射スペクトルを推定し、特定された第2エリアのバンドごとの画素値と前記第2エリアの色の学習データを用いて前記第2エリアの分光反射スペクトルを推定する分光スペクトル推定部と、
前記分光スペクトル推定部により推定された第1エリアの分光反射スペクトルと第2エリアの分光反射スペクトルを用いて、前記識別コードの真贋を判定する真贋判定部と、
を備えることを特徴とする真贋判定システム。
【請求項5】
印刷媒体に条件等色を用いてカラー印刷されるべき識別コードであって、所定の管理情報、条件等色の関係にある2色がそれぞれ印刷されるべき第1エリアと第2エリアそれぞれの位置情報、前記第1エリアと前記第2エリアそれぞれの色の真値、および前記第1エリアと前記第2エリアの色差の真値がコード化された識別コードのマルチバンド画像を撮像するための撮像素子と、
前記撮像素子により撮像された画像から、前記位置情報、前記色の真値および前記色差の真値を検出する識別コード読取部と、
前記マルチバンド画像のそれぞれから、前記第1エリアと前記第2エリアの画素値をバンドごとに特定するエリア画素値特定部と、
特定された第1エリアのバンドごとの画素値と前記第1エリアの色の学習データを用いて前記第1エリアの分光反射スペクトルを推定し、特定された第2エリアのバンドごとの画素値と前記第2エリアの色の学習データを用いて前記第2エリアの分光反射スペクトルを推定する分光スペクトル推定部と、
前記識別コード読取部により検出された第1エリアの色の真値と前記分光スペクトル推定部により推定された第1エリアの分光反射スペクトルから算出される色の測定値との第1比較、前記識別コード読取部により検出された第2エリアの色の真値と前記分光スペクトル推定部により推定された第2エリアの分光反射スペクトルから算出される色の測定値との第2比較、および前記識別コード読取部により検出された色差の真値と前記分光スペクトル推定部により推定された測定値にもとづく第1エリアと第2エリアとの色差の測定値との第3比較にもとづいて、前記識別コードの真贋を判定する真贋判定部と、
を備えることを特徴とする真贋判定装置。
【請求項6】
前記色および前記色差は、L表示系で規定されることを特徴とする請求項5に記載の真贋判定装置。
【請求項7】
印刷媒体に印刷された所定の情報がコード化されたカラー二次元コードであって、
二次元コード領域内に条件等色の関係にある2色でそれぞれ印刷された2つの領域が形成されることを特徴とするカラー二次元コード。

【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−141729(P2012−141729A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293342(P2010−293342)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】