真贋検証装置、真贋検証対象物、真贋検証方法、プログラム及び記憶媒体
【課題】偽造による不正使用を困難とし、また、設備環境やセキュリティレベルに応じた検証項目の追加、削除を容易に行える真贋検証装置等を提供する。
【解決手段】ランダムで分離不可能な固有の物理的特徴を有する対象物10に、検証回数、物理的特徴の読取方法、物理的特徴からの固有値算出方法などが指定された検証用パラメータ13を付与する。検証装置2では、検証用情報取得装置21によって検証用パラメータ13を読み取り、読み取った検証用パラメータ13に従って物理的特徴読取装置22により対象物10の固有の物理的特徴を読み取り、読み取った物理的特徴から固有値を算出し、真の固有値と比較する。検証用パラメータ13の設定により、物理的特徴の読取方法や物理的特徴からの固有値算出方法などを変えて固有値を複数算出し、固有値ごとに真の固有値と比較して検証処理を実行し、全ての固有値が真の固有値と一致する場合に、対象物10を真とする。
【解決手段】ランダムで分離不可能な固有の物理的特徴を有する対象物10に、検証回数、物理的特徴の読取方法、物理的特徴からの固有値算出方法などが指定された検証用パラメータ13を付与する。検証装置2では、検証用情報取得装置21によって検証用パラメータ13を読み取り、読み取った検証用パラメータ13に従って物理的特徴読取装置22により対象物10の固有の物理的特徴を読み取り、読み取った物理的特徴から固有値を算出し、真の固有値と比較する。検証用パラメータ13の設定により、物理的特徴の読取方法や物理的特徴からの固有値算出方法などを変えて固有値を複数算出し、固有値ごとに真の固有値と比較して検証処理を実行し、全ての固有値が真の固有値と一致する場合に、対象物10を真とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品から分離できない固有の物理的特徴を抽出し、抽出した物理的特徴に基づいて物品の真贋検証を行う人工物メトリクス技術を用いた真贋検証装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工業製品や商品パッケージ、証明書等の公的証書や商品券等の有価証券等の真正性認証(真贋検証)を行うための技術として、人工物メトリクス技術が提案されている。人工物メトリクス技術とは、対象物(人工物)に分離不可能にランダムに付与されるような固有の物理的特徴を計測し、これに基づくデータを事前に計測された真のデータと比較照合することにより、対象物の真贋検証を行うものである。すなわち、人間の指紋に相当するような固有の物理的特徴を人工物から読取り検証に利用する。
【0003】
対象物固有の物理的特徴としては、大別して光学特性、磁気特性、電気特性、振動特性等がある。光学特性の例としては、対象物が含有する紙繊維等の透過あるいは反射の画像パターンなど種々の表面画像があげられる。また、磁気特性の例としては、対象物に漉き込んだ磁性繊維のパターンを読み取るものなどがある。これら対象物固有の特徴は、その特性に対応する読取機器により読み取られる。例えば光学特性についてであれば、スキャナやカメラ等の撮像装置によって画像データとして読み取られるのが一般的である。
【0004】
このような人工物メトリクスの例として、特許文献1には、真贋認証チップをカードに設けると共に、別のチップ(真贋証明チップ)をカードに設け、ATM等でカードを処理する際にはカード上の真贋認証チップのイメージを読み取りデジタル化し、同時に同じカード上に付されている真贋証明チップの暗号化データを読み取って復号し、真贋証明チップから復号したデータと真贋認証チップのデータとを比較しカードの真贋を判定する真贋認証システムについて記載されている。
【0005】
また、特許文献2では、赤色光を用いて紙幣の特徴を読み取ってこれにより金額の識別を行い、真贋判定として、赤外光ラインセンサにより紙幣の特徴を読み取ってこれに基づき複数の評価値を算出し、それぞれ許容範囲であれば紙幣を真正であると判定する紙幣識別装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO2007/072793号
【特許文献2】国際公開WO2009/072211号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、人工物メトリクス技術を用いたとしても、複製や偽造の可能性を完全には否定できない。そこで、対象物に固有の特徴をより複雑に組み合わせて検証するようにすればセキュリティが向上するが、検証を行うための設備環境を整えることが困難であれば利便性が損なわれる。真贋検証のシステムとしては、様々な検証環境に対応でき、求められるセキュリティレベルに応じて検証の仕方を容易に変更できるような実用性の向上も望まれる。しかし、特許文献1や特許文献2の方法をはじめ、従来の方法では、検証環境に応じて検証の仕方を変更しセキュリティを高めるなどといったことは容易ではなかった。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、偽造による不正使用を困難とし、また、設備環境やセキュリティレベルに応じた設定を容易に行える真贋検証装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題を解決するため第1の発明は、対象物の真贋を検証する真贋検証装置であって、前記対象物についての検証用パラメータを取得する検証用パラメータ取得手段と、取得した前記検証用パラメータに従って、前記対象物に固有な物理的特徴に基づき取得した固有値と予め算出された真の固有値との比較により前記対象物の真贋を判定する真贋判定手段と、を備えることを特徴とする真贋検証装置である。
【0010】
前記検証用パラメータ取得手段は、前記対象物についての異なる複数の検証用パラメータを取得し、前記真贋判定手段は、異なる複数の検証用パラメータに従って、前記物理的特徴に基づき取得した複数の固有値と複数の真の固有値のそれぞれの比較により前記対象物の真贋を判定することが望ましい。
また、前記真贋判定手段は、前記複数の固有値のうち、全てではない所定の数の固有値が前記真の固有値と一致する場合、前記対象物を真と判定することが望ましい。
さらに、前記真贋判定手段は、前記複数の固有値のうち、所定の固有値が、前記真の固有値と一致しない場合、前記対象物を真でないと判定することが望ましい。
【0011】
前記検証用パラメータは、前記対象物の物理的特徴の読取方法についての指定を含むことが望ましい。
また、前記検証用パラメータが、前記物理的特徴から前記固有値を算出する算出方法についての指定を含むことが望ましい。
さらに、前記検証用パラメータが、前記真の固有値の問い合わせ先の指定を含むことが望ましい。
また、前記検証用パラメータ取得手段は、コード化され印刷された前記検証用パラメータ、または前記対象物に付されたメモリに記憶された前記検証用パラメータ、もしくは前記真贋検証装置と接続されたサーバに記憶された前記検証用パラメータを取得することが望ましい。
【0012】
第2の発明は、固有の物理的特徴と、真贋検証装置により、前記固有の物理的特徴に基づき取得した固有値と予め算出された真の固有値との比較により真贋を判定するための検証用パラメータとを有することを特徴とする真贋検証対象物である。
【0013】
第2の発明の真贋検証対象物は、真贋検証装置により、前記物理的特徴に基づき取得した複数の固有値と複数の真の固有値とのそれぞれの比較により真贋を判定するための、複数の異なる検証用パラメータを有することが望ましい。
また、前記検証用パラメータが、前記対象物の前記物理的特徴の読取方法についての指定を含むことが望ましい。
また、前記検証用パラメータが、前記物理的特徴から前記固有値を算出する算出方法についての指定を含むことが望ましい。
さらに、前記検証用パラメータが、前記真の固有値の問い合わせ先の指定を含むことが望ましい。
また、前記検証用パラメータがコード化され印刷されたものが付与されるか、または真贋検証対象物に付されたメモリに記憶されることが望ましい。
【0014】
第3の発明は、対象物の真贋を検証する真贋検証方法であって、真贋検証装置が、前記対象物についての検証用パラメータを取得する検証用パラメータ取得ステップと、取得した前記検証用パラメータに従って、前記対象物に固有な物理的特徴に基づき取得した固有値と予め算出された真の固有値との比較により前記対象物の真贋を判定する真贋判定ステップと、を実行することを特徴とする真贋検証方法である。
【0015】
前記検証用パラメータ取得ステップでは、前記対象物についての異なる複数の検証用パラメータを取得し、前記真贋判定ステップでは、異なる複数の検証用パラメータに従って、前記物理的特徴に基づき取得した複数の固有値と複数の真の固有値のそれぞれの比較により前記対象物の真贋を判定することが望ましい。
また、前記真贋判定ステップでは、前記複数の固有値のうち、全てではない所定の数の固有値が前記真の固有値と一致する場合、前記対象物を真と判定することが望ましい。
さらに、前記真贋判定ステップでは、前記複数の固有値のうち、所定の固有値が、前記真の固有値と一致しない場合、前記対象物を真でないと判定することが望ましい。
【0016】
前記検証用パラメータは、前記対象物の物理的特徴の読取方法についての指定を含むことが望ましい。
また、前記検証用パラメータが、前記物理的特徴から前記固有値を算出する算出方法についての指定を含むことが望ましい。
さらに、前記検証用パラメータが、前記真の固有値の問い合わせ先の指定を含むことが望ましい。
また、前記検証用パラメータ取得ステップでは、コード化され印刷された前記検証用パラメータ、または前記対象物に付されたメモリに記憶された前記検証用パラメータ、もしくは前記真贋検証装置と接続されたサーバに記憶された前記検証用パラメータを取得することが望ましい。
【0017】
第1、第2、第3の発明によれば、検証用パラメータによって、対象物に固有な物理的特徴に基づき取得した固有値と予め算出された真の固有値との比較により対象物の真贋を判定する方法を可変に設定できるようになるので、設備環境やセキュリティレベルに応じた設定の変更、追加、削除を容易に行える。したがって要求されるセキュリティレベルに応じた設定が柔軟かつ簡易になり、必要に応じてセキュリティレベルを高め不正使用を困難とするなど、その実用性が向上する。
【0018】
また、異なる複数の検証用パラメータを用いて、各対象物につき複数の固有値を算出し検証に用いることにより、対象物が偽造されたとしても容易に検証成功の結果を得ることができないため偽造による不正使用が困難となる。
これら複数の固有値は、全てが真の固有値に一致することを条件として対象物を真と判定するようにしてもよいが、一方、全てではない所定の数の固有値が真の固有値に一致することを条件として対象物を真と判定するようにしてもよい。
すなわち、対象物の物理的特徴の読取範囲には傷、汚れ等が存在する場合もあるので、実際には真である対象物でも、これを原因として、一部の固有値が真の固有値と一致しない可能性がある。そこで、全てではない所定の数の固有値が真の固有値と一致することを条件とすることにより、このような傷、汚れを原因とする誤判定の可能性を小さくすることができる。
また、必ず真の固有値と一致しなければならない固有値を定めることにより、真贋判定の精度を向上させることができる。
【0019】
検証用パラメータとして、対象物の物理的特徴の読取方法や物理的特徴から固有値を算出する算出方法、真の固有値の問い合わせ先などの指定を含むことにより、上記の各項目を可変に設定することができ、セキュリティの向上が容易にできるとともに、様々な設備環境にも対応が容易であり実用性が向上する。
【0020】
さらに、印刷によりコード化された検証用パラメータが対象物に付与される場合、簡易かつ低コストに検証用パラメータを付与でき、検証用パラメータの取得も容易になる。また、対象物に付されたメモリに検証用パラメータを記憶させる場合には、検証用パラメータの読取エラーを防ぐことができる。さらに、検証用パラメータをサーバに記憶させる場合には、セキュリティを強化でき、対象物の製造コストも低減することができる。
【0021】
第4の発明は、コンピュータを、第1の発明の真贋検証装置として機能させるためのプログラムである。
第5の発明は、コンピュータを、第1の発明の真贋検証装置として機能させるためのプログラムを記憶した記憶媒体である。
第4、第5の発明により、コンピュータを第1の発明の真贋検証装置として機能させることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、偽造による不正使用を困難とし、また、設備環境やセキュリティレベルに応じた設定を容易に行える真贋検証装置等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】真贋検証システム1の全体構成を示す図
【図2】対象物10について説明する図
【図3】対象物10に付与される検証パラメータ13の内容の一例を示す図
【図4】検証方法の指定について説明する図
【図5】異なる対象物10A、10Bの各読取範囲について説明する図
【図6】検証装置2のハードウエア構成を示すブロック図
【図7】検証装置2の機能構成を示す図
【図8】検証用サーバ3、5のハードウエア構成を示すブロック図
【図9】真贋検証処理の全体の流れを説明するフローチャート
【図10】検証処理の流れを説明するフローチャート
【図11】問い合わせ・比較検証処理について説明するフローチャート
【図12】真贋検証処理の全体の流れの別の例を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0025】
[第1の実施形態]
まず、図1〜図8を参照して、本発明の第1の実施形態に係る真贋検証装置を含む真贋検証システム1について説明する。
【0026】
図1に示すように、真贋検証システム1は、対象物10(真贋検証対象物)と、検証装置2(真贋検証装置)と、検証用サーバ3、5とを備える。検証装置2は、インターネット等のネットワーク4を介して外部の検証用サーバ3に接続するとともに、LAN等のネットワーク6を介してローカルな検証用サーバ5に接続される。
【0027】
対象物10は、対象物10に固有のランダムで分離不可能な物理的特徴を有するとともに、検証用パラメータ13が付与されたものである。対象物10固有の物理的特徴は、対象物10が製品として流通するときにはすでに対象物10に形成されているものであり、前述したように、対象物10が含有する紙繊維等の透過あるいは反射の画像パターンなど種々の表面画像全般や、対象物10にランダムに漉き込んだ磁性繊維のパターンなどである。
【0028】
図2は対象物10の上面図の一例である。
図に示すように、検証パラメータ13は、2次元コード等のコードの形式で対象物10の基材11上に印刷により付与される。或いは、対象物10の内部または表面に設けられるICチップのメモリに格納されていてもよい。その他、検証パラメータ13は、コード化しシールに印刷した上でそのシールを対象物に貼る、あるいは、シール化されたICチップ内のメモリに含め、そのシールを対象物に貼る、また、対象物表面に加工されたホログラフィックメモリに含める、シール化されたホログラフィックメモリに含めそのシールを対象物に貼る、なども可能である。
また、各対象物10にはIDも付与される。IDは例えば2次元コードにより付与されたり、ICチップ等に記憶される。その他、上記と同様種々の方法を適宜用いてこれを付与することが可能である。
【0029】
図3は検証用パラメータ13の内容の一例を示している。
図3に示すように、検証用パラメータ13には、
(a)検証回数に関する情報<検証対象 回数=“2”>
(b)各回の検証方法に関する情報<検証 verifyId=“0”method=“am01”>など
(c)読取方法に関する情報((読取の)範囲、向き)<範囲 x=“10”y=“20”width=“100”height=“15”/>、<向き angle=“0”/>など
(d)補助情報<補助情報 format=“hex”>9402b1ac38d35d...</補助情報>など
(e)検証時の問い合わせ先情報<問い合わせ contact=“self”format=“hex”encryption=“true”>60a5b91d74c...<問い合わせ/>、あるいは、<問い合わせ contact=“server”format=“url”>https://dnp.co.jp/verifyserver.asp<問い合わせ/>など
等が記述されている。
この検証用パラメータ13は、検証装置2により、対象物10に固有な物理的特徴に基づき取得した固有値と、予め算出された真の固有値との比較検証により、対象物10の真贋を判定する方法について指定するものである。
【0030】
(a)検証回数に関する情報は、対象物の物理的特徴を読み取り、読み取った物理的特徴に基づき固有値を取得し、取得した固有値により検証を行う回数を指定するものであり、本実施形態では2以上の値が設定される。
図3の例では、「回数」により、検証を行う回数を指定する。すなわち、<検証対象 回数=“2”>により、2回の検証を行うことが指定される。
【0031】
(b)各回の検証方法に関する情報は、対象物の物理的特徴を読み取り、読み取った物理的特徴に基づき固有値を算出する方法を、検証回ごとに指定するものである。
図3の例では、「verifyId」により指定される検証回について、その検証に用いる方法を「method」により指定する。例えば、<検証 verifyId=“0”method=“am01”>により、1回目の検証回(verifyIdのカウントは0から開始する)について、am01で指定される方法で固有値を求め、検証に用いることが1回目の検証回の検証用パラメータ13aにより指定される。2回目の検証回についても検証用パラメータ13bにより同様に指定される。
【0032】
検証装置2の記憶部には、各種読取装置を起動して物理的特徴の読取を行うための各種のプログラムや、読み取った物理的特徴に基づき固有値を求める各種の固有値算出プログラムなどが記憶されるとともに、図4に示すように、上記のam01などの方法ID(methodID)ごとに、用いる読取装置や固有値算出プログラム等との対応付けを定めるテーブル23が予め記憶されている。
【0033】
(c)読取方法に関する情報は、対象物につき物理的特徴を読み取る読取範囲や読取向きを定めるものである。読取向きを指定するのは、読み取った物理的特徴から算出する値が2次元的特徴を含むものであれば、読取り時の向きによってその値が変化するためである。簡単な例として、読み取った物理的特徴から平面的な輝度分布をマトリクスとして取得する場合を考えると、縦方向に読み取る場合と、横方向に読み取る場合ではマトリクスが異なるものになる。
【0034】
図3の例では、「範囲」により読取範囲を指定し、「向き」によりこの読取範囲における読取向きを指定する。
例えば、1回目の検証回の検証用パラメータ13aでは、<範囲 x=“10”y=“20”width=“100”height=“15”/>、<向き angle=“0”/>により、対象物10の左上隅を原点とし、左から右へ向かう方向をx軸方向の正、上から下に向かう方向をy軸方向の正とする座標系において、1回目の検証回での物理的特徴の読取範囲が、左上の頂点の座標を(10、20)、幅を100、高さを15(単位:mm)とする矩形状に定められる。さらに、この範囲の物理的特徴を、所定の向き(例えば対象物の幅方向)に対して0°の角度をなす方向で読み取ることが定められる。2回目の検証回についても検証用パラメータ13bにより同様に定められる。なお、読取範囲や読取向きの指定方法はこれに限ることはなく、座標系の設定もこれに限ることはない。また、前記のような使用する読取装置の指定をここで行うことも可能である。
【0035】
(d)補助情報は、固有値を求める際に用いるもので、物理的特徴の読み取り時の対象物のずれ等に対する固有値のロバスト性を高め、認証の誤りを低減するものである。例えば、福田康裕、松本勉“紙から固有な値を抽出する人工物メトリック・システムの一方式”電子情報通信学会情報セキュリティ研究会(ISEC),ISEC2010-16,pp41-46,2010,に記載のように、読み取った物理的特徴から算出された値に誤り訂正符号を適用し生成されたパリティビットを用いることができる。
【0036】
図3の例では、補助情報の値が記述されるとともに、値の内容が「format」で指定される。例えば、1回目の検証回の検証用パラメータ13aでは、<補助情報 format=“hex”>9402b1ac38d35d...</補助情報>により、1回目の検証回で用いる補助情報の値が「9402b1ac38d35d...」であり、これが16進数で記述されたもの(format=“hex”)であることが指定される。2回目の検証回についても検証用パラメータ13bにより同様に定められる。
【0037】
(e)検証時の問い合わせ先情報は、上記の固有値についての比較対象となる真の固有値を保持する検証用サーバ3、5を指定するものである。また、検証装置2自身で比較処理を行う場合は、これを指定する。
【0038】
図3の例では、問い合わせ先を検証用サーバ3、5とする場合には、「contact」でサーバを指定し、指定したサーバのアドレスを値として記述する。さらに、「format」にて、上記の値がurlやIPアドレス等であることなど、その内容を指定する。
例えば、2回目の検証回における検証用パラメータ13bを見ると、問い合わせ先情報は、<問い合わせ contact=“server”format=“url”>https://dnp.co.jp/verifyserver.asp<問い合わせ/>となっている。この場合、検証時に外部の検証用サーバ3に問い合わせを行うこと(contact=“server”)、および外部の検証用サーバ3のアドレスの値(https://dnp.co.jp/verifyserver.asp)、また、この値がurlを示すこと(format=“url”)が指定される。
なお、図3にはないが、ローカルな検証用サーバ5を指定し問い合わせを行う場合も上記の例とほぼ同様である。例えば、contact=“local”である場合に、検証用サーバ5に問い合わせを行うように定めるとともに、検証用サーバ5のアドレスの値としては検証用サーバ5のIPアドレスを記述し、「format」により、これがIPアドレスを示すことを指定しておくようにする。
【0039】
一方、検証装置2自身で比較処理を行う場合には、「contact」で検証装置2自身を指定し、比較対象となる真の固有値を併せて記述する。さらに、「format」にて、上記の固有値が16進数で表記された値であることなど、その内容を指定する。必要な場合には、「encryption」により固有値が暗号化されているか否かを指定する。なお、真の固有値は、検証用パラメータ13で指定される読取方法や検証方法などに沿って対象物10について予め算出しておいた固有値である。
例えば、1回目の検証回における検証用パラメータ13aを見ると、問い合わせ先情報は、<問い合わせ contact=“self”format=“hex”encryption=“true”>60a5b91d74c...<問い合わせ/>となっている。この場合、検証装置2自身で比較処理を行うこと(contact=“self”)に加え、比較対象となる真の固有値(60a5b91d74c...)、また、この値が16進数で記述されたものであり(format=“hex”)、暗号化されていること(encryption=“true”)も記述される。
【0040】
本実施形態では、複数の検証回数と、検証回ごとに異なる検証用パラメータ13a、13bにより、各回における読取方法および検証方法などが指定され、1つの対象物10に対して複数の異なる読取方法や検証方法などを指定することが可能となる。
例えば、図3の例では、図2の読取範囲(1)12aおよび読取範囲(2)12bに対応する範囲が、(c)読取方法に関する情報として指定され、それぞれの範囲等から物理的特徴を読み取り、これを基に固有値を取得する方法が、(b)各回の検証方法に関する情報として指定されている。
【0041】
なお、(b)各回の検証方法に関する情報としては、異なる装置を用いて物理的特徴を読み取ることや、異なる特性の物理的特徴を読取ることを指定することができ、例えば、ある読取範囲はスキャナで読み取り別の読取範囲では所定の照射光を照射しながら顕微鏡で読み取ることや、ある読取範囲は光学特性を読み取り、別の読取範囲では磁気特性を読み取ることを指定することが可能である。
このように、1回目の検証(verifyId=“0”)時と、2回目の検証(verifyId=“1”)時で、読取方法や検証方法などが異なるパラメータを記述することにより、各回の検証時で異なる固有値により検証を行うことが可能である。
【0042】
さらに、本実施形態では、検証用パラメータ13は対象物10ごとに異なり、読取方法や検証方法その他を設定する際に、対象物10の個々に対してそれぞれ異なるものを設定することができる。
【0043】
例えば、図5に示すように、対象物10Aと対象物10Bとで異なる読取方法を指定することができる。
すなわち、対象物10Aにおいて、2つの読取範囲12c、12dを読み取り、各範囲の物理的特徴について固有値を算出することが検証用パラメータ13として記述でき、対象物10Bでは、3つの読取範囲12e、12f、12gを読み取り各範囲の物理的特徴について固有値を算出することが検証用パラメータ13として記述できる。対応する検証方法により、各範囲について読み取られた物理的特徴に基づき固有値が算出され検証に用いられる。
【0044】
なお、検証用パラメータ13で指定する情報は図3で説明したものに限らず、前述したような読取装置の指定 (例えば、多数の種類のカメラからの必要なカメラの指定)をはじめ、読取環境の指定 (例えば、照明条件やカメラの距離、拡大率、角度などの指定)、各種画像補正の指定 (例えば、ホワイトバランス、シャープネス、白黒反転など)、レーザの照射面積、強度、入射角などの指定(読取装置としてレーザを用いる場合)などを含むこともできる。
【0045】
図1の真贋検証システム1の説明に戻る。検証装置2は、検証用パラメータ13に従って、対象物10固有の物理的特徴を読み取り、読み取った物理的特徴に基づき固有値を算出し、これを用いて対象物10の真贋の検証を行うものである。
【0046】
図6は、検証装置2のハードウエア構成を示す図である。
図6に示すように、検証装置2は、制御部201、記憶部202、入力部203、表示部204、メディア入出力部205、通信I/F(インタフェース)206、周辺機器I/F207等がバス209を介して接続されて構成される。また、周辺機器I/F207には、検証用情報取得装置21と物理的特徴読取装置22とを有するリーダ20が接続されている。
【0047】
制御部201は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Accsess Memory)等により構成される。
CPUは、記憶部202、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス209を介して接続された各部を駆動制御する。ROMは、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持する。RAMは、ロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部201が後述する各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。
また、制御部201は、記憶部202等に記憶されている、検証用パラメータ13で指定される検証方法に対応するプログラムに従って、後述する真贋検証処理を実行する。
【0048】
記憶部202は、HDD(ハードディスクドライブ)等であり、制御部201が実行するプログラムや、プログラム実行に必要なデータ、OS(オペレーティング・システム)等が格納されている。これらのプログラムコードは、制御部201により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて実行される。
前述したように、記憶部202には、各種読取装置を起動させて物理的特徴の読取を行うための各種のプログラムや、読み取った物理的特徴に基づき固有値を求める各種の固有値算出プログラム、図4に示したテーブル23、その他真贋検証処理の実行に必要なプログラムが予め記憶されている。
【0049】
入力部203は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、タブレット等のポインティング・デバイス、テンキー等の入力装置であり、入力されたデータを制御部201へ出力する。
【0050】
表示部204は、例えば液晶パネル、CRTモニタ等のディスプレイ装置と、ディスプレイ装置と連携して表示処理を実行するための論理回路(ビデオアダプタ等)で構成され、制御部201の制御により入力された表示情報をディスプレイ装置上に表示させる。
なお、入力部203と表示部204とが一体的に構成されたタッチパネル式の入出力部としてもよい。
【0051】
メディア入出力部205は、例えば、CDドライブ、DVDドライブ等のメディア入出力装置であり、データの入出力を行う。
通信I/F206は、通信制御装置、通信ポート等を有し、ネットワーク4、6を介して検証用サーバ3、5との通信を媒介する通信インタフェースであり、通信制御を行う。
【0052】
周辺機器I/F207は、検証装置2に周辺機器を接続させるためのポートであり、検証装置2は周辺機器I/F207を介して周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器I/F207は、USB等で構成されており、通常複数の周辺機器I/Fを有する。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。
バス209は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0053】
検証用情報取得装置21は、対象物10に付与された検証用パラメータ13及びIDを読み取るものである。
本実施形態では、前述したように、検証用パラメータ13が対象物10に2次元コードとして付与されており、これを読み取るためにコードリーダ、スキャナ、カメラ等の光学的読取装置を用いる。なお、検証用パラメータ13が対象物10に備えたICチップのメモリ等に記憶されている場合は、対応するICリーダ/ライタ等を用いる。対象物10のIDについても同様に、対応する読取装置を用いて読み取る。
【0054】
物理的特徴読取装置22は、読み取るべき特性に応じた読取装置を用いる。例えば、光学特性を読み取る場合には、スキャナ、CCDカメラ、顕微鏡等の画像読取装置を用いる。また、磁気特性を読み取る場合には、物理的特徴読取装置22として磁気読取装置を用い、電気的特性を読み取る場合には、電荷を読み取る検出器等を用いればよい。
【0055】
図7は検証装置2の機能構成を示す図である。
検証装置2は、図7に示すように、検証用パラメータ取得手段210と、真贋判定手段230とを有する。
検証用パラメータ取得手段210は、検証装置2の制御部201が、検証用情報取得装置21により対象物10の検証用パラメータ13を取得するものである。
真贋判定手段230は、検証装置2の制御部201が、検証用パラメータ13の情報に沿って、物理的特徴読取装置22により対象物10固有の物理的特徴を読み取り、読み取った物理的特徴に基づき固有値を算出し、算出した固有値と対象物10のID等を用いて後述する方法により対象物10の真贋を判定するものである。
【0056】
検証用サーバ3、5は、対象物10から算出される固有値のそれぞれについて、真の固有値を予め保持したものであり、対象物10の真贋の検証時に使用されるものである。
【0057】
図8は検証用サーバ3、5のハードウエア構成を示す図である。
図8に示すように、検証用サーバ3、5は、制御部301、記憶部302、入力部303、表示部304、メディア入出力部305、通信I/F306等がバス309を介して接続されて構成される。
【0058】
制御部301は、CPU、ROM、RAM等により構成される。
CPUは、記憶部302、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス309を介して接続された各部を駆動制御する。ROMは、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持する。RAMは、ロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部301が後述する各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。
【0059】
記憶部302は、HDD等であり、制御部301が実行するプログラムや、プログラム実行に必要なデータ、OS等が格納されている。これらのプログラムコードは、制御部301により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて実行される。
【0060】
入力部303は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、タブレット等のポインティング・デバイス、テンキー等の入力装置であり、入力されたデータを制御部301へ出力する。
【0061】
表示部304は、例えば液晶パネル、CRTモニタ等のディスプレイ装置と、ディスプレイ装置と連携して表示処理を実行するための論理回路(ビデオアダプタ等)で構成され、制御部301の制御により入力された表示情報をディスプレイ装置上に表示させる。
【0062】
メディア入出力部305は、例えば、CDドライブ、DVDドライブ等のメディア入出力装置であり、データの入出力を行う。
通信I/F306は、通信制御装置、通信ポート等を有し、ネットワーク4あるいはネットワーク6を介した検証装置2との通信を媒介する通信インタフェースであり、通信制御を行う。
バス309は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0063】
検証用サーバ3、5の記憶部302には、対象物10ごとに、読取方法、検証方法などに応じた真の固有値が格納される。真の固有値は、前記したように、検証用パラメータ13で指定される読取方法や検証方法などに従って対象物10について予め算出したものであり、検証用パラメータ13において上記の読取方法や検証方法などとあわせて問い合わせ先として指定されるサーバごとに、対象物10のID等と紐付けて登録される。
【0064】
次に、真贋検証システム1における真贋検証処理の流れを説明する。
図9は、真贋検証処理の全体の流れを説明するフローチャート、図10は検証処理の詳細を説明するフローチャート、図11は問い合わせ・比較検証処理を説明するフローチャートである。
【0065】
まず、真贋検証処理の全体の流れを図9を参照して説明する。
検証装置2のリーダ20に対象物10がセットされると、検証装置2の制御部201は、検証用情報取得装置21によって検証用パラメータ13の読み取りを行う(ステップS101)。この際対象物10のIDも読み取る。
【0066】
検証装置2の制御部201は、読み取った検証用パラメータ13から(a)検証回数を取得する(ステップS102)。これにより、ステップS103〜S105の処理を、(最大で)取得した検証回数分、繰り返すことになる。
【0067】
検証装置2の制御部201は、対象物10の検証処理を行い(ステップS103)、対象物10の真偽を検証結果として取得する。この検証処理については後述する。
【0068】
検証結果が「偽」であれば(ステップS104;偽)、検証装置2の制御部201は、対象物10を正規品ではない(対象物が真でない)と判定して(ステップS106)、検証結果を表示部204に表示する。
一方、検証結果が「真」であれば(ステップS104;真)、検証装置2の制御部201は、更に、検証回数分の検証がすべて終了したか否かを判定し、すべての検証が終了していない場合は(ステップS105;No)、ステップS103へ移行し、次の回の検証処理を行う。
検証回数だけ検証処理を繰り返し、すべての検証の結果が「真」であった場合に(ステップS104;真、ステップS105;Yes)、対象物10が正規品である(対象物が真である)と判定して(ステップS107)、検証結果を表示部204に表示する。
【0069】
次に、図10を参照して、ステップS103の検証処理について説明する。
【0070】
検証処理において、まず、検証装置2の制御部201は、ステップS101で読み取った検証用パラメータ13から(b)各回の検証方法、及び(c)読取方法(範囲、向き)を取得する(ステップS201、ステップS202)。
例えば、図3に示す1回目の検証用パラメータ13aから、第1回目の検証方法として、method=“am01”を取得し、読取方法として、読取範囲については、x=“10”y=“20”width=“100”height=“15”を取得し、読取の向きについては、angle=“0”を取得する。
【0071】
検証装置2の制御部201は、ステップS201で取得した検証方法に対応するプログラムを実行し、物理的特徴読取装置22を制御して、ステップS202で取得した読取方法に沿って対象物10の読取範囲について物理的特徴を読み取るとともに、読み取った物理的特徴に基づく値を算出し取得する(ステップS203)。
【0072】
前述したように、上記のmethod=“am01”に対応するプログラムは記憶部202に記憶されており、これに従って、物理的特徴の読み取り、およびこの物理的特徴に基づく値の算出を行う。
値の算出については、各種の物理的特徴に対し既知の算出方法をプログラムとして用意しておき、対応するものを適用すればよい。一例として、前述の福田らによる論文には、対象物について所定範囲の画像を読みとり、読み取った範囲内の各微小領域での輝度値を求め、輝度分布を量子化し並べた1次元ベクトルを用いることが記載されている。
【0073】
次に、検証装置2の制御部201は、ステップS101で読み取った検証用パラメータ13から(d)補助情報を取得する(ステップS204)。
前述したように、補助情報は、対象物10の読取時の位置ずれ等により物理的特徴から算出される値がずれることに伴う認証の誤りを防ぐため、この値を修正して読取時の位置ずれ等に対しロバストな値を固有値として得るために用いられる情報であり、一例として前述のパリティビットを適用できる。
例えば、図3に示す検証用パラメータ13aからは、第1回目の検証に用いる補助情報として「9402b1ac138d35d...」を取得する。
【0074】
そして、検証装置2の制御部201は、読み取った物理的特徴から算出した値、および補助情報を入力として、前記値を修正して修正後の値を出力し(ステップS205)、修正後の値のハッシュ値を固有値として取得する(ステップS206)。ハッシュ値の取得方法は適宜定めることができる。
【0075】
なお、上記のステップS204〜S206は、対象物10の読取時の位置ずれ等の影響を低減した値を固有値として比較検証に用いる目的で行われるものであり、例えば対象物10の読取時の位置ずれ等を考慮しない場合には補助情報による値の修正は必ずしも必要でなく、また、ハッシュ値の取得を省略し、物理的特徴から得られる前記の値自体を固有値として以降の認証に用いることも可能である。上記のステップS204〜S206の処理を行い固有値を算出すること、あるいはこれを省略することなどは、(b)各回の検証方法に対応するプログラム(“am01”等)などで予め定めることが可能である。
【0076】
検証装置2の制御部201は、ステップS206で取得した固有値(ハッシュ値)と、対象物10のID等を用いて問い合わせ・比較検証処理を行う(ステップS207)。
【0077】
ステップS207の問い合わせ・比較検証処理について、図11を参照して説明する。
【0078】
図11に示すように、まず、検証装置2の制御部201は、ステップS101で取得した検証用パラメータ13から、(e)問い合わせ先情報を取得する(ステップS301)。例えば、図3に示した第1回目の検証回の検証用パラメータ13aからは、contact=“self”format=“hex”encryption=“true”、および真の固有値である「60a5b91d74c...」を取得する。
【0079】
検証用パラメータ13aのように、取得した問い合わせ先情報が検証装置2自身を指定するものであれば(ステップS302;self)、制御部201は、問い合わせ先と併せて記述された、比較対象となる値である真の固有値(上記ステップS201〜S206と同じ手順にて予め得られた値)を取得する(ステップS303)。真の固有値が暗号化されて記述されている場合には復号して取得する。復号に用いる復号鍵は予め検証装置2の記憶部202に記憶させておく。
なお、本実施形態では、真の固有値を(e)問い合わせ先情報の問い合わせ先と併せて記述しているが、これに限らず、検証用パラメータ13とは別として、対象物10に設けたICチップのメモリなどに記憶させておいてもよい。
【0080】
次いで、検証装置2の制御部201は、ステップS206で取得した固有値とS303で取得した真の固有値とを比較検証し一致するか否かを判定する(ステップS304)。
【0081】
一方、取得した問い合わせ先情報がローカルな検証用サーバ5を指定するものであれば(ステップS302;local)、制御部201は検証用サーバ5に対し、問い合わせを行う。この際、ネットワーク6を介して検証用サーバ5に対し対象物10のIDを送信する。
検証用サーバ5は、対象物10のIDを受信すると、検証用サーバ5の記憶部302に対象物10のIDと紐付けて格納されている、対象物10の真の固有値を検証装置2に送信する。検証装置2の制御部201は、この真の固有値を、ステップS206で取得した固有値の比較対象として受信し取得する(ステップS305)。
【0082】
検証装置2の制御部201は、取得した真の固有値とステップS206で取得した固有値とを比較検証し一致するか否かを判定する(ステップS306)。
【0083】
さらに、ステップS302において、取得した問い合わせ先情報が外部の検証用サーバ3を指定するものであれば(ステップS302;URL、serverなど)、検証装置2の制御部201は、検証用サーバ3にネットワーク4を介して接続し、まず、サーバ認証を行う(ステップS307)。
認証が成功すると、検証装置2の制御部201は、検証用サーバ3に対して、ステップS206で取得したハッシュ値を固有値として対象物10のIDとあわせて送信する(ステップS308)。すると、検証用サーバ3側でこの固有値の比較検証が行われる(ステップS309)。検証用サーバ3での比較検証は、ステップS306と同様に行われる。即ち、受信した固有値と、対象物10のIDに紐づけて記憶部302に格納された真の固有値とを比較し一致するか否かを判定する。
【0084】
検証用サーバ3は、ステップS309の検証結果を検証装置2に送信し、検証装置2の制御部201はこれを受信する(ステップS310)。
【0085】
ステップS304またはS306の検証結果、もしくはステップS310で受信した検証結果により、値が一致していれば「OK」を図10のステップS208へ渡し、一致しなければ「NG」をステップS208へ渡す(ステップS311)。なお、検証の際、「一致」とは、厳密な一致に限定する必要はなく、所定の許容範囲内にあるものも含むことができる。また、その許容範囲は真贋判定に必要な精度などを考慮して、任意に設定できる。
【0086】
図10のステップS208において、検証装置2の制御部201は、検証結果が「OK」であれば、対象物10を「真」と判定し、検証結果が「NG」であれば、対象物10を「偽」と判定する。以上のようにして、図9のステップS103の検証処理が行われる。
その結果により、前述したステップS104以降の処理が行われる。結果が「真」の場合であれば、次の回の検証処理(ステップS103)が、1回目のものとは異なる、2回目の検証時の検証用パラメータ13bで指定された読取方法や検証方法などに沿って上記と同様に行われ、前述した手順により対象物10の真贋が判定される。
【0087】
なお、本実施形態では、図3に示す検証用パラメータ13の(e)検証時の問い合わせ先情報により、1回目の検証が検証装置2自身で行われ、2回目の検証時の問い合わせが外部の検証用サーバ3に行われることになるが、その他、例えば複数回の検証処理を、同じ検証用サーバへの問い合わせにより行うことも可能である。
この場合、各回の検証時についての真の固有値を、対象物10のIDおよび各検証回を示す情報(図3のverifyId=“0”やverifyId=“1”など)と紐付けて検証用サーバに記憶させておき、上記の問い合わせ時に対象物10のIDと検証回の情報(および必要に応じて固有値)を検証用サーバに送信すればよい。
これに応じて、検証用サーバが対象物10のIDと検証回の情報に紐づく真の固有値を検証装置2に返し、検証装置2で比較判定を行うことができる(ステップS305〜ステップS306のフロー)。あるいは、検証用サーバが、検証装置2から受信した固有値と、対象物10のIDと検証回の情報に紐づく真の固有値を比較し、検証結果を検証装置2に返すこともできる(ステップS308〜S310のフロー)。
なお、複数回の検証処理を検証装置2で行うことも、検証用パラメータ13の記述により可能である。
したがって、本実施形態では、検証装置2に検証用サーバ3、5を接続して真贋検証システム1を構成しているが、上記のようにして全ての検証回の検証を、1つの検証用サーバと検証装置2により、あるいは検証装置2のみにより行うことができるので、検証用サーバ3、5は一方のみ設けるようにしてもよく、あるいは双方を省略することも可能である。
【0088】
以上説明したように、本実施形態では、対象物10に、読取方法や検証方法などを示す検証用パラメータ13をコード化して印刷し対象物10に付与しておき、検証を行う際には、検証装置2の検証用情報取得装置21によって対象物10から検証用パラメータ13を読み取り、読み取った検証用パラメータ13に従って、対象物10に固有な物理的特徴を物理的特徴読取装置22によって読み取り、読み取った物理的特徴から固有値を算出し、真の固有値との比較により真贋判定処理を実行する。
【0089】
検証用パラメータ13により、物理的特徴の読取範囲や読取向きなどの読取方法、物理的特徴から固有値を算出する方法、真の固有値の問い合わせ先などを可変に設定できるようになり、設備環境やセキュリティレベルに応じた項目の変更、追加、削除を容易に行える。したがって、必要に応じてセキュリティレベルを高め不正使用をより困難とするなど、要求されるセキュリティレベルに応じた設定が柔軟かつ簡易になり、様々な設備環境に対応でき実用性が向上する。
また、異なる複数の検証用パラメータを用いて、各対象物10について物理的特徴の読取方法や、固有値の算出方法等を変えて複数の固有値を算出し検証に用いるので、対象物10が偽造されたとしても容易に検証成功の結果を得ることができないため偽造による不正使用が困難となる。
【0090】
さらに、本実施形態では、検証用パラメータ13は、コード化され、印刷されたものが対象物10へ付与される。印刷により検証用パラメータが付与される場合、簡易かつ低コストに検証用パラメータ13を対象物10に付与でき、検証用パラメータ13の取得も容易になる。なお、前述のように、検証用パラメータ13を対象物10に付されたメモリに記憶させておくことも可能で、この場合、検証用パラメータ13の読取エラーなどを防ぐことができる。
【0091】
なお、本実施形態の変形例として、対象物10に検証用パラメータ13を二次元コードとして印刷する代わりに、検証用サーバ側に、対象物10のIDに紐付けて、検証用パラメータ13の情報を持たせるようにしてもよい。この場合、ステップS101において、検証装置2から検証用サーバに対象物10のIDを送信し、これに応じて、検証用サーバが、予め対象物10のIDに紐付けて記憶した検証用パラメータ13の情報を検証装置2に送信する。検証装置2は、これを受信して検証用パラメータ13を取得し、以降の処理を同様に行うことができる。これによりセキュリティを強化でき、対象物10の製造コストも低減することができる。
【0092】
加えて、検証用サーバ3側に、対象物10のID等に紐付けて、読取方法や検証方法などを指定する追加の検証用パラメータ(指定の方法は検証用パラメータ13と同様)を持たせ、追加検証を行うようにしてもよい。
この場合、図11のステップS309までは、上述の手順と同様の処理を行うが、図11のステップS309で、比較した値が一致した場合、検証用サーバ3は、上記の追加の検証用パラメータを検証装置2に更に送信する。検証装置2は受信した追加の検証用パラメータに従って、前述のステップS201〜S206の手順で追加の固有値を取得し、検証用サーバ3に送信する。
検証用サーバ3では、この固有値についても真の固有値を対象物10のID等に紐付けて記憶しておき、ステップS309と同様に比較検証し、その後上記のステップS310以降と同様の処理を行う。これにより、更にセキュリティ性を向上させることができる。
同様の処理は検証用サーバ5においても可能であり、例えば、ステップS306にて比較した値が一致した場合に、検証装置2から対象物10のID等を検証用サーバ5に送信する。検証用サーバ5は、これに応じて、予め対象物10のID等に紐付けて記憶した追加の検証用パラメータ、および追加の検証用パラメータに沿って取得した場合の真の固有値を検証装置2に送信する。検証装置2では、追加の検証用パラメータに従って取得した値と真の固有値とをステップS306と同様に比較判定し、以降の処理を進めればよい。
【0093】
また、本実施形態では、検証回数を2回としているが、これに限らず、検証回数を増やすことも可能であるし、検証回数を1回とすることも可能である。
さらに、検証用パラメータ13で指定された複数の検証のうち、検証装置2側で選択したいくつかの検証を行ってもよい。検証の選択方法等は、検証装置2の記憶部202に記憶させておき、これに従って行うことができる。例えば、図3の検証用パラメータ13中、所定の検証回(verifyID)の検証のみ行うことを定めておくことができる。
【0094】
また、本実施形態では、実施したすべての検証で「真」と判定された場合のみ、真贋判定でOKとしているが、セキュリティポリシーの例としては、これに限ることはない。以下、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0095】
[第2の実施形態]
第2の実施形態の真贋検証処理の全体の流れを示すフローチャートが図12である。第2の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、第1の実施形態が、対象物10が正規品とされるためには実施した全ての検証に成功する必要があり、検証が失敗した時点で対象物10が正規品でないと判定されるのに対し、第2の実施形態では、検証の成功、失敗に関わらず全ての検証を行い、予め指定された(全てではない)所定回数の検証に成功すれば、対象物10が正規品であると判定する点である。すなわち、所定回数検証を成功していれば、その他の検証に失敗した場合でも対象物10が正規品とされる。
【0096】
図12等を参照して、第2の実施形態の真贋検証処理の流れを説明する。
検証用パラメータ13を読み取り、対象物10の検証処理を行うまでの(ステップS401〜S403)流れは第1の実施形態と同様である。図10や図11で説明した処理も同様に行われ、検証装置2は、対象物10の真偽を検証結果として取得し、RAM等に記憶する。
【0097】
第2の実施形態では、検証装置2は、続いて検証回数分の検証がすべて終了したか否かを判定し、すべての検証が終了していない場合は(ステップS404;No)、ステップS403へ移行し、次の回の検証処理を行う。
検証回数分の検証処理を終了した(ステップS404:Yes)後、検証装置2は、所定回数の検証結果が「真」であったかを判定する。所定回数の検証結果が「真」であった場合(ステップS405:Yes)、対象物10が正規品であると判定し(ステップS406)、それ以外の場合(ステップS405:No)、対象物10を正規品でないと判定する(ステップS407)。例えば、5回検証を行い、そのうち3回検証結果が「真」であれば対象物10が正規品であるとし、検証結果が「真」であるものが3回未満である場合、対象物10が正規品でないとする。
【0098】
上記の所定回数は、様々に定めておくことができ、検証用パラメータ13で指定したり、あるいは検証装置2で設定、記憶することもできる。
【0099】
第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、正規品であるのにも関わらず、対象物10のキズ等により、ある検証回で検証結果が「偽」となった場合に即正規品でないと判定される誤判定を回避できる。
【0100】
また、前記と同様に、検証用パラメータ13で指定された複数の検証のうち、検証装置2側で選択したいくつかの検証を行ったうえ、上記の手順により、所定回数の検証結果が「真」である場合に対象物10を正規品であると判定するようにしてもよい。
【0101】
さらに、所定の検証については検証結果が「真」であることを必須とし、上記所定の検証について検証結果が「真」であり、かつ所定回数の検証結果が「真」である場合に、対象物10を正規品であると判定するようにしてもよい。
上記の所定の検証については、例えば検証用パラメータ13にて指定することができる。あるいは、検証装置2側で指定しておくようにしてもよい。この場合、図3の検証用パラメータ13における検証回(verifyID)や検証方法(method)について、検証結果が「真」であることを必須とする特定のものを予め定め検証装置2の記憶部202に記憶しておき、判定に用いればよい。
【0102】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0103】
1・・・・・・・・・・・・真贋検証システム
2・・・・・・・・・・・・検証装置
3、5・・・・・・・・・・検証用サーバ
4、6・・・・・・・・・・ネットワーク
10、10A、10B・・・対象物
11・・・・・・・・・・・基材
12a〜12g・・・・・・読取範囲
13、13a、13b・・・・・・・・・・・検証用パラメータ
20・・・・・・・・・・・リーダ
21・・・・・・・・・・・検証用情報取得装置
22・・・・・・・・・・・物理的特徴読取装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品から分離できない固有の物理的特徴を抽出し、抽出した物理的特徴に基づいて物品の真贋検証を行う人工物メトリクス技術を用いた真贋検証装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工業製品や商品パッケージ、証明書等の公的証書や商品券等の有価証券等の真正性認証(真贋検証)を行うための技術として、人工物メトリクス技術が提案されている。人工物メトリクス技術とは、対象物(人工物)に分離不可能にランダムに付与されるような固有の物理的特徴を計測し、これに基づくデータを事前に計測された真のデータと比較照合することにより、対象物の真贋検証を行うものである。すなわち、人間の指紋に相当するような固有の物理的特徴を人工物から読取り検証に利用する。
【0003】
対象物固有の物理的特徴としては、大別して光学特性、磁気特性、電気特性、振動特性等がある。光学特性の例としては、対象物が含有する紙繊維等の透過あるいは反射の画像パターンなど種々の表面画像があげられる。また、磁気特性の例としては、対象物に漉き込んだ磁性繊維のパターンを読み取るものなどがある。これら対象物固有の特徴は、その特性に対応する読取機器により読み取られる。例えば光学特性についてであれば、スキャナやカメラ等の撮像装置によって画像データとして読み取られるのが一般的である。
【0004】
このような人工物メトリクスの例として、特許文献1には、真贋認証チップをカードに設けると共に、別のチップ(真贋証明チップ)をカードに設け、ATM等でカードを処理する際にはカード上の真贋認証チップのイメージを読み取りデジタル化し、同時に同じカード上に付されている真贋証明チップの暗号化データを読み取って復号し、真贋証明チップから復号したデータと真贋認証チップのデータとを比較しカードの真贋を判定する真贋認証システムについて記載されている。
【0005】
また、特許文献2では、赤色光を用いて紙幣の特徴を読み取ってこれにより金額の識別を行い、真贋判定として、赤外光ラインセンサにより紙幣の特徴を読み取ってこれに基づき複数の評価値を算出し、それぞれ許容範囲であれば紙幣を真正であると判定する紙幣識別装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO2007/072793号
【特許文献2】国際公開WO2009/072211号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、人工物メトリクス技術を用いたとしても、複製や偽造の可能性を完全には否定できない。そこで、対象物に固有の特徴をより複雑に組み合わせて検証するようにすればセキュリティが向上するが、検証を行うための設備環境を整えることが困難であれば利便性が損なわれる。真贋検証のシステムとしては、様々な検証環境に対応でき、求められるセキュリティレベルに応じて検証の仕方を容易に変更できるような実用性の向上も望まれる。しかし、特許文献1や特許文献2の方法をはじめ、従来の方法では、検証環境に応じて検証の仕方を変更しセキュリティを高めるなどといったことは容易ではなかった。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、偽造による不正使用を困難とし、また、設備環境やセキュリティレベルに応じた設定を容易に行える真贋検証装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題を解決するため第1の発明は、対象物の真贋を検証する真贋検証装置であって、前記対象物についての検証用パラメータを取得する検証用パラメータ取得手段と、取得した前記検証用パラメータに従って、前記対象物に固有な物理的特徴に基づき取得した固有値と予め算出された真の固有値との比較により前記対象物の真贋を判定する真贋判定手段と、を備えることを特徴とする真贋検証装置である。
【0010】
前記検証用パラメータ取得手段は、前記対象物についての異なる複数の検証用パラメータを取得し、前記真贋判定手段は、異なる複数の検証用パラメータに従って、前記物理的特徴に基づき取得した複数の固有値と複数の真の固有値のそれぞれの比較により前記対象物の真贋を判定することが望ましい。
また、前記真贋判定手段は、前記複数の固有値のうち、全てではない所定の数の固有値が前記真の固有値と一致する場合、前記対象物を真と判定することが望ましい。
さらに、前記真贋判定手段は、前記複数の固有値のうち、所定の固有値が、前記真の固有値と一致しない場合、前記対象物を真でないと判定することが望ましい。
【0011】
前記検証用パラメータは、前記対象物の物理的特徴の読取方法についての指定を含むことが望ましい。
また、前記検証用パラメータが、前記物理的特徴から前記固有値を算出する算出方法についての指定を含むことが望ましい。
さらに、前記検証用パラメータが、前記真の固有値の問い合わせ先の指定を含むことが望ましい。
また、前記検証用パラメータ取得手段は、コード化され印刷された前記検証用パラメータ、または前記対象物に付されたメモリに記憶された前記検証用パラメータ、もしくは前記真贋検証装置と接続されたサーバに記憶された前記検証用パラメータを取得することが望ましい。
【0012】
第2の発明は、固有の物理的特徴と、真贋検証装置により、前記固有の物理的特徴に基づき取得した固有値と予め算出された真の固有値との比較により真贋を判定するための検証用パラメータとを有することを特徴とする真贋検証対象物である。
【0013】
第2の発明の真贋検証対象物は、真贋検証装置により、前記物理的特徴に基づき取得した複数の固有値と複数の真の固有値とのそれぞれの比較により真贋を判定するための、複数の異なる検証用パラメータを有することが望ましい。
また、前記検証用パラメータが、前記対象物の前記物理的特徴の読取方法についての指定を含むことが望ましい。
また、前記検証用パラメータが、前記物理的特徴から前記固有値を算出する算出方法についての指定を含むことが望ましい。
さらに、前記検証用パラメータが、前記真の固有値の問い合わせ先の指定を含むことが望ましい。
また、前記検証用パラメータがコード化され印刷されたものが付与されるか、または真贋検証対象物に付されたメモリに記憶されることが望ましい。
【0014】
第3の発明は、対象物の真贋を検証する真贋検証方法であって、真贋検証装置が、前記対象物についての検証用パラメータを取得する検証用パラメータ取得ステップと、取得した前記検証用パラメータに従って、前記対象物に固有な物理的特徴に基づき取得した固有値と予め算出された真の固有値との比較により前記対象物の真贋を判定する真贋判定ステップと、を実行することを特徴とする真贋検証方法である。
【0015】
前記検証用パラメータ取得ステップでは、前記対象物についての異なる複数の検証用パラメータを取得し、前記真贋判定ステップでは、異なる複数の検証用パラメータに従って、前記物理的特徴に基づき取得した複数の固有値と複数の真の固有値のそれぞれの比較により前記対象物の真贋を判定することが望ましい。
また、前記真贋判定ステップでは、前記複数の固有値のうち、全てではない所定の数の固有値が前記真の固有値と一致する場合、前記対象物を真と判定することが望ましい。
さらに、前記真贋判定ステップでは、前記複数の固有値のうち、所定の固有値が、前記真の固有値と一致しない場合、前記対象物を真でないと判定することが望ましい。
【0016】
前記検証用パラメータは、前記対象物の物理的特徴の読取方法についての指定を含むことが望ましい。
また、前記検証用パラメータが、前記物理的特徴から前記固有値を算出する算出方法についての指定を含むことが望ましい。
さらに、前記検証用パラメータが、前記真の固有値の問い合わせ先の指定を含むことが望ましい。
また、前記検証用パラメータ取得ステップでは、コード化され印刷された前記検証用パラメータ、または前記対象物に付されたメモリに記憶された前記検証用パラメータ、もしくは前記真贋検証装置と接続されたサーバに記憶された前記検証用パラメータを取得することが望ましい。
【0017】
第1、第2、第3の発明によれば、検証用パラメータによって、対象物に固有な物理的特徴に基づき取得した固有値と予め算出された真の固有値との比較により対象物の真贋を判定する方法を可変に設定できるようになるので、設備環境やセキュリティレベルに応じた設定の変更、追加、削除を容易に行える。したがって要求されるセキュリティレベルに応じた設定が柔軟かつ簡易になり、必要に応じてセキュリティレベルを高め不正使用を困難とするなど、その実用性が向上する。
【0018】
また、異なる複数の検証用パラメータを用いて、各対象物につき複数の固有値を算出し検証に用いることにより、対象物が偽造されたとしても容易に検証成功の結果を得ることができないため偽造による不正使用が困難となる。
これら複数の固有値は、全てが真の固有値に一致することを条件として対象物を真と判定するようにしてもよいが、一方、全てではない所定の数の固有値が真の固有値に一致することを条件として対象物を真と判定するようにしてもよい。
すなわち、対象物の物理的特徴の読取範囲には傷、汚れ等が存在する場合もあるので、実際には真である対象物でも、これを原因として、一部の固有値が真の固有値と一致しない可能性がある。そこで、全てではない所定の数の固有値が真の固有値と一致することを条件とすることにより、このような傷、汚れを原因とする誤判定の可能性を小さくすることができる。
また、必ず真の固有値と一致しなければならない固有値を定めることにより、真贋判定の精度を向上させることができる。
【0019】
検証用パラメータとして、対象物の物理的特徴の読取方法や物理的特徴から固有値を算出する算出方法、真の固有値の問い合わせ先などの指定を含むことにより、上記の各項目を可変に設定することができ、セキュリティの向上が容易にできるとともに、様々な設備環境にも対応が容易であり実用性が向上する。
【0020】
さらに、印刷によりコード化された検証用パラメータが対象物に付与される場合、簡易かつ低コストに検証用パラメータを付与でき、検証用パラメータの取得も容易になる。また、対象物に付されたメモリに検証用パラメータを記憶させる場合には、検証用パラメータの読取エラーを防ぐことができる。さらに、検証用パラメータをサーバに記憶させる場合には、セキュリティを強化でき、対象物の製造コストも低減することができる。
【0021】
第4の発明は、コンピュータを、第1の発明の真贋検証装置として機能させるためのプログラムである。
第5の発明は、コンピュータを、第1の発明の真贋検証装置として機能させるためのプログラムを記憶した記憶媒体である。
第4、第5の発明により、コンピュータを第1の発明の真贋検証装置として機能させることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、偽造による不正使用を困難とし、また、設備環境やセキュリティレベルに応じた設定を容易に行える真贋検証装置等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】真贋検証システム1の全体構成を示す図
【図2】対象物10について説明する図
【図3】対象物10に付与される検証パラメータ13の内容の一例を示す図
【図4】検証方法の指定について説明する図
【図5】異なる対象物10A、10Bの各読取範囲について説明する図
【図6】検証装置2のハードウエア構成を示すブロック図
【図7】検証装置2の機能構成を示す図
【図8】検証用サーバ3、5のハードウエア構成を示すブロック図
【図9】真贋検証処理の全体の流れを説明するフローチャート
【図10】検証処理の流れを説明するフローチャート
【図11】問い合わせ・比較検証処理について説明するフローチャート
【図12】真贋検証処理の全体の流れの別の例を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0025】
[第1の実施形態]
まず、図1〜図8を参照して、本発明の第1の実施形態に係る真贋検証装置を含む真贋検証システム1について説明する。
【0026】
図1に示すように、真贋検証システム1は、対象物10(真贋検証対象物)と、検証装置2(真贋検証装置)と、検証用サーバ3、5とを備える。検証装置2は、インターネット等のネットワーク4を介して外部の検証用サーバ3に接続するとともに、LAN等のネットワーク6を介してローカルな検証用サーバ5に接続される。
【0027】
対象物10は、対象物10に固有のランダムで分離不可能な物理的特徴を有するとともに、検証用パラメータ13が付与されたものである。対象物10固有の物理的特徴は、対象物10が製品として流通するときにはすでに対象物10に形成されているものであり、前述したように、対象物10が含有する紙繊維等の透過あるいは反射の画像パターンなど種々の表面画像全般や、対象物10にランダムに漉き込んだ磁性繊維のパターンなどである。
【0028】
図2は対象物10の上面図の一例である。
図に示すように、検証パラメータ13は、2次元コード等のコードの形式で対象物10の基材11上に印刷により付与される。或いは、対象物10の内部または表面に設けられるICチップのメモリに格納されていてもよい。その他、検証パラメータ13は、コード化しシールに印刷した上でそのシールを対象物に貼る、あるいは、シール化されたICチップ内のメモリに含め、そのシールを対象物に貼る、また、対象物表面に加工されたホログラフィックメモリに含める、シール化されたホログラフィックメモリに含めそのシールを対象物に貼る、なども可能である。
また、各対象物10にはIDも付与される。IDは例えば2次元コードにより付与されたり、ICチップ等に記憶される。その他、上記と同様種々の方法を適宜用いてこれを付与することが可能である。
【0029】
図3は検証用パラメータ13の内容の一例を示している。
図3に示すように、検証用パラメータ13には、
(a)検証回数に関する情報<検証対象 回数=“2”>
(b)各回の検証方法に関する情報<検証 verifyId=“0”method=“am01”>など
(c)読取方法に関する情報((読取の)範囲、向き)<範囲 x=“10”y=“20”width=“100”height=“15”/>、<向き angle=“0”/>など
(d)補助情報<補助情報 format=“hex”>9402b1ac38d35d...</補助情報>など
(e)検証時の問い合わせ先情報<問い合わせ contact=“self”format=“hex”encryption=“true”>60a5b91d74c...<問い合わせ/>、あるいは、<問い合わせ contact=“server”format=“url”>https://dnp.co.jp/verifyserver.asp<問い合わせ/>など
等が記述されている。
この検証用パラメータ13は、検証装置2により、対象物10に固有な物理的特徴に基づき取得した固有値と、予め算出された真の固有値との比較検証により、対象物10の真贋を判定する方法について指定するものである。
【0030】
(a)検証回数に関する情報は、対象物の物理的特徴を読み取り、読み取った物理的特徴に基づき固有値を取得し、取得した固有値により検証を行う回数を指定するものであり、本実施形態では2以上の値が設定される。
図3の例では、「回数」により、検証を行う回数を指定する。すなわち、<検証対象 回数=“2”>により、2回の検証を行うことが指定される。
【0031】
(b)各回の検証方法に関する情報は、対象物の物理的特徴を読み取り、読み取った物理的特徴に基づき固有値を算出する方法を、検証回ごとに指定するものである。
図3の例では、「verifyId」により指定される検証回について、その検証に用いる方法を「method」により指定する。例えば、<検証 verifyId=“0”method=“am01”>により、1回目の検証回(verifyIdのカウントは0から開始する)について、am01で指定される方法で固有値を求め、検証に用いることが1回目の検証回の検証用パラメータ13aにより指定される。2回目の検証回についても検証用パラメータ13bにより同様に指定される。
【0032】
検証装置2の記憶部には、各種読取装置を起動して物理的特徴の読取を行うための各種のプログラムや、読み取った物理的特徴に基づき固有値を求める各種の固有値算出プログラムなどが記憶されるとともに、図4に示すように、上記のam01などの方法ID(methodID)ごとに、用いる読取装置や固有値算出プログラム等との対応付けを定めるテーブル23が予め記憶されている。
【0033】
(c)読取方法に関する情報は、対象物につき物理的特徴を読み取る読取範囲や読取向きを定めるものである。読取向きを指定するのは、読み取った物理的特徴から算出する値が2次元的特徴を含むものであれば、読取り時の向きによってその値が変化するためである。簡単な例として、読み取った物理的特徴から平面的な輝度分布をマトリクスとして取得する場合を考えると、縦方向に読み取る場合と、横方向に読み取る場合ではマトリクスが異なるものになる。
【0034】
図3の例では、「範囲」により読取範囲を指定し、「向き」によりこの読取範囲における読取向きを指定する。
例えば、1回目の検証回の検証用パラメータ13aでは、<範囲 x=“10”y=“20”width=“100”height=“15”/>、<向き angle=“0”/>により、対象物10の左上隅を原点とし、左から右へ向かう方向をx軸方向の正、上から下に向かう方向をy軸方向の正とする座標系において、1回目の検証回での物理的特徴の読取範囲が、左上の頂点の座標を(10、20)、幅を100、高さを15(単位:mm)とする矩形状に定められる。さらに、この範囲の物理的特徴を、所定の向き(例えば対象物の幅方向)に対して0°の角度をなす方向で読み取ることが定められる。2回目の検証回についても検証用パラメータ13bにより同様に定められる。なお、読取範囲や読取向きの指定方法はこれに限ることはなく、座標系の設定もこれに限ることはない。また、前記のような使用する読取装置の指定をここで行うことも可能である。
【0035】
(d)補助情報は、固有値を求める際に用いるもので、物理的特徴の読み取り時の対象物のずれ等に対する固有値のロバスト性を高め、認証の誤りを低減するものである。例えば、福田康裕、松本勉“紙から固有な値を抽出する人工物メトリック・システムの一方式”電子情報通信学会情報セキュリティ研究会(ISEC),ISEC2010-16,pp41-46,2010,に記載のように、読み取った物理的特徴から算出された値に誤り訂正符号を適用し生成されたパリティビットを用いることができる。
【0036】
図3の例では、補助情報の値が記述されるとともに、値の内容が「format」で指定される。例えば、1回目の検証回の検証用パラメータ13aでは、<補助情報 format=“hex”>9402b1ac38d35d...</補助情報>により、1回目の検証回で用いる補助情報の値が「9402b1ac38d35d...」であり、これが16進数で記述されたもの(format=“hex”)であることが指定される。2回目の検証回についても検証用パラメータ13bにより同様に定められる。
【0037】
(e)検証時の問い合わせ先情報は、上記の固有値についての比較対象となる真の固有値を保持する検証用サーバ3、5を指定するものである。また、検証装置2自身で比較処理を行う場合は、これを指定する。
【0038】
図3の例では、問い合わせ先を検証用サーバ3、5とする場合には、「contact」でサーバを指定し、指定したサーバのアドレスを値として記述する。さらに、「format」にて、上記の値がurlやIPアドレス等であることなど、その内容を指定する。
例えば、2回目の検証回における検証用パラメータ13bを見ると、問い合わせ先情報は、<問い合わせ contact=“server”format=“url”>https://dnp.co.jp/verifyserver.asp<問い合わせ/>となっている。この場合、検証時に外部の検証用サーバ3に問い合わせを行うこと(contact=“server”)、および外部の検証用サーバ3のアドレスの値(https://dnp.co.jp/verifyserver.asp)、また、この値がurlを示すこと(format=“url”)が指定される。
なお、図3にはないが、ローカルな検証用サーバ5を指定し問い合わせを行う場合も上記の例とほぼ同様である。例えば、contact=“local”である場合に、検証用サーバ5に問い合わせを行うように定めるとともに、検証用サーバ5のアドレスの値としては検証用サーバ5のIPアドレスを記述し、「format」により、これがIPアドレスを示すことを指定しておくようにする。
【0039】
一方、検証装置2自身で比較処理を行う場合には、「contact」で検証装置2自身を指定し、比較対象となる真の固有値を併せて記述する。さらに、「format」にて、上記の固有値が16進数で表記された値であることなど、その内容を指定する。必要な場合には、「encryption」により固有値が暗号化されているか否かを指定する。なお、真の固有値は、検証用パラメータ13で指定される読取方法や検証方法などに沿って対象物10について予め算出しておいた固有値である。
例えば、1回目の検証回における検証用パラメータ13aを見ると、問い合わせ先情報は、<問い合わせ contact=“self”format=“hex”encryption=“true”>60a5b91d74c...<問い合わせ/>となっている。この場合、検証装置2自身で比較処理を行うこと(contact=“self”)に加え、比較対象となる真の固有値(60a5b91d74c...)、また、この値が16進数で記述されたものであり(format=“hex”)、暗号化されていること(encryption=“true”)も記述される。
【0040】
本実施形態では、複数の検証回数と、検証回ごとに異なる検証用パラメータ13a、13bにより、各回における読取方法および検証方法などが指定され、1つの対象物10に対して複数の異なる読取方法や検証方法などを指定することが可能となる。
例えば、図3の例では、図2の読取範囲(1)12aおよび読取範囲(2)12bに対応する範囲が、(c)読取方法に関する情報として指定され、それぞれの範囲等から物理的特徴を読み取り、これを基に固有値を取得する方法が、(b)各回の検証方法に関する情報として指定されている。
【0041】
なお、(b)各回の検証方法に関する情報としては、異なる装置を用いて物理的特徴を読み取ることや、異なる特性の物理的特徴を読取ることを指定することができ、例えば、ある読取範囲はスキャナで読み取り別の読取範囲では所定の照射光を照射しながら顕微鏡で読み取ることや、ある読取範囲は光学特性を読み取り、別の読取範囲では磁気特性を読み取ることを指定することが可能である。
このように、1回目の検証(verifyId=“0”)時と、2回目の検証(verifyId=“1”)時で、読取方法や検証方法などが異なるパラメータを記述することにより、各回の検証時で異なる固有値により検証を行うことが可能である。
【0042】
さらに、本実施形態では、検証用パラメータ13は対象物10ごとに異なり、読取方法や検証方法その他を設定する際に、対象物10の個々に対してそれぞれ異なるものを設定することができる。
【0043】
例えば、図5に示すように、対象物10Aと対象物10Bとで異なる読取方法を指定することができる。
すなわち、対象物10Aにおいて、2つの読取範囲12c、12dを読み取り、各範囲の物理的特徴について固有値を算出することが検証用パラメータ13として記述でき、対象物10Bでは、3つの読取範囲12e、12f、12gを読み取り各範囲の物理的特徴について固有値を算出することが検証用パラメータ13として記述できる。対応する検証方法により、各範囲について読み取られた物理的特徴に基づき固有値が算出され検証に用いられる。
【0044】
なお、検証用パラメータ13で指定する情報は図3で説明したものに限らず、前述したような読取装置の指定 (例えば、多数の種類のカメラからの必要なカメラの指定)をはじめ、読取環境の指定 (例えば、照明条件やカメラの距離、拡大率、角度などの指定)、各種画像補正の指定 (例えば、ホワイトバランス、シャープネス、白黒反転など)、レーザの照射面積、強度、入射角などの指定(読取装置としてレーザを用いる場合)などを含むこともできる。
【0045】
図1の真贋検証システム1の説明に戻る。検証装置2は、検証用パラメータ13に従って、対象物10固有の物理的特徴を読み取り、読み取った物理的特徴に基づき固有値を算出し、これを用いて対象物10の真贋の検証を行うものである。
【0046】
図6は、検証装置2のハードウエア構成を示す図である。
図6に示すように、検証装置2は、制御部201、記憶部202、入力部203、表示部204、メディア入出力部205、通信I/F(インタフェース)206、周辺機器I/F207等がバス209を介して接続されて構成される。また、周辺機器I/F207には、検証用情報取得装置21と物理的特徴読取装置22とを有するリーダ20が接続されている。
【0047】
制御部201は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Accsess Memory)等により構成される。
CPUは、記憶部202、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス209を介して接続された各部を駆動制御する。ROMは、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持する。RAMは、ロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部201が後述する各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。
また、制御部201は、記憶部202等に記憶されている、検証用パラメータ13で指定される検証方法に対応するプログラムに従って、後述する真贋検証処理を実行する。
【0048】
記憶部202は、HDD(ハードディスクドライブ)等であり、制御部201が実行するプログラムや、プログラム実行に必要なデータ、OS(オペレーティング・システム)等が格納されている。これらのプログラムコードは、制御部201により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて実行される。
前述したように、記憶部202には、各種読取装置を起動させて物理的特徴の読取を行うための各種のプログラムや、読み取った物理的特徴に基づき固有値を求める各種の固有値算出プログラム、図4に示したテーブル23、その他真贋検証処理の実行に必要なプログラムが予め記憶されている。
【0049】
入力部203は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、タブレット等のポインティング・デバイス、テンキー等の入力装置であり、入力されたデータを制御部201へ出力する。
【0050】
表示部204は、例えば液晶パネル、CRTモニタ等のディスプレイ装置と、ディスプレイ装置と連携して表示処理を実行するための論理回路(ビデオアダプタ等)で構成され、制御部201の制御により入力された表示情報をディスプレイ装置上に表示させる。
なお、入力部203と表示部204とが一体的に構成されたタッチパネル式の入出力部としてもよい。
【0051】
メディア入出力部205は、例えば、CDドライブ、DVDドライブ等のメディア入出力装置であり、データの入出力を行う。
通信I/F206は、通信制御装置、通信ポート等を有し、ネットワーク4、6を介して検証用サーバ3、5との通信を媒介する通信インタフェースであり、通信制御を行う。
【0052】
周辺機器I/F207は、検証装置2に周辺機器を接続させるためのポートであり、検証装置2は周辺機器I/F207を介して周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器I/F207は、USB等で構成されており、通常複数の周辺機器I/Fを有する。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。
バス209は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0053】
検証用情報取得装置21は、対象物10に付与された検証用パラメータ13及びIDを読み取るものである。
本実施形態では、前述したように、検証用パラメータ13が対象物10に2次元コードとして付与されており、これを読み取るためにコードリーダ、スキャナ、カメラ等の光学的読取装置を用いる。なお、検証用パラメータ13が対象物10に備えたICチップのメモリ等に記憶されている場合は、対応するICリーダ/ライタ等を用いる。対象物10のIDについても同様に、対応する読取装置を用いて読み取る。
【0054】
物理的特徴読取装置22は、読み取るべき特性に応じた読取装置を用いる。例えば、光学特性を読み取る場合には、スキャナ、CCDカメラ、顕微鏡等の画像読取装置を用いる。また、磁気特性を読み取る場合には、物理的特徴読取装置22として磁気読取装置を用い、電気的特性を読み取る場合には、電荷を読み取る検出器等を用いればよい。
【0055】
図7は検証装置2の機能構成を示す図である。
検証装置2は、図7に示すように、検証用パラメータ取得手段210と、真贋判定手段230とを有する。
検証用パラメータ取得手段210は、検証装置2の制御部201が、検証用情報取得装置21により対象物10の検証用パラメータ13を取得するものである。
真贋判定手段230は、検証装置2の制御部201が、検証用パラメータ13の情報に沿って、物理的特徴読取装置22により対象物10固有の物理的特徴を読み取り、読み取った物理的特徴に基づき固有値を算出し、算出した固有値と対象物10のID等を用いて後述する方法により対象物10の真贋を判定するものである。
【0056】
検証用サーバ3、5は、対象物10から算出される固有値のそれぞれについて、真の固有値を予め保持したものであり、対象物10の真贋の検証時に使用されるものである。
【0057】
図8は検証用サーバ3、5のハードウエア構成を示す図である。
図8に示すように、検証用サーバ3、5は、制御部301、記憶部302、入力部303、表示部304、メディア入出力部305、通信I/F306等がバス309を介して接続されて構成される。
【0058】
制御部301は、CPU、ROM、RAM等により構成される。
CPUは、記憶部302、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス309を介して接続された各部を駆動制御する。ROMは、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持する。RAMは、ロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部301が後述する各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。
【0059】
記憶部302は、HDD等であり、制御部301が実行するプログラムや、プログラム実行に必要なデータ、OS等が格納されている。これらのプログラムコードは、制御部301により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて実行される。
【0060】
入力部303は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、タブレット等のポインティング・デバイス、テンキー等の入力装置であり、入力されたデータを制御部301へ出力する。
【0061】
表示部304は、例えば液晶パネル、CRTモニタ等のディスプレイ装置と、ディスプレイ装置と連携して表示処理を実行するための論理回路(ビデオアダプタ等)で構成され、制御部301の制御により入力された表示情報をディスプレイ装置上に表示させる。
【0062】
メディア入出力部305は、例えば、CDドライブ、DVDドライブ等のメディア入出力装置であり、データの入出力を行う。
通信I/F306は、通信制御装置、通信ポート等を有し、ネットワーク4あるいはネットワーク6を介した検証装置2との通信を媒介する通信インタフェースであり、通信制御を行う。
バス309は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0063】
検証用サーバ3、5の記憶部302には、対象物10ごとに、読取方法、検証方法などに応じた真の固有値が格納される。真の固有値は、前記したように、検証用パラメータ13で指定される読取方法や検証方法などに従って対象物10について予め算出したものであり、検証用パラメータ13において上記の読取方法や検証方法などとあわせて問い合わせ先として指定されるサーバごとに、対象物10のID等と紐付けて登録される。
【0064】
次に、真贋検証システム1における真贋検証処理の流れを説明する。
図9は、真贋検証処理の全体の流れを説明するフローチャート、図10は検証処理の詳細を説明するフローチャート、図11は問い合わせ・比較検証処理を説明するフローチャートである。
【0065】
まず、真贋検証処理の全体の流れを図9を参照して説明する。
検証装置2のリーダ20に対象物10がセットされると、検証装置2の制御部201は、検証用情報取得装置21によって検証用パラメータ13の読み取りを行う(ステップS101)。この際対象物10のIDも読み取る。
【0066】
検証装置2の制御部201は、読み取った検証用パラメータ13から(a)検証回数を取得する(ステップS102)。これにより、ステップS103〜S105の処理を、(最大で)取得した検証回数分、繰り返すことになる。
【0067】
検証装置2の制御部201は、対象物10の検証処理を行い(ステップS103)、対象物10の真偽を検証結果として取得する。この検証処理については後述する。
【0068】
検証結果が「偽」であれば(ステップS104;偽)、検証装置2の制御部201は、対象物10を正規品ではない(対象物が真でない)と判定して(ステップS106)、検証結果を表示部204に表示する。
一方、検証結果が「真」であれば(ステップS104;真)、検証装置2の制御部201は、更に、検証回数分の検証がすべて終了したか否かを判定し、すべての検証が終了していない場合は(ステップS105;No)、ステップS103へ移行し、次の回の検証処理を行う。
検証回数だけ検証処理を繰り返し、すべての検証の結果が「真」であった場合に(ステップS104;真、ステップS105;Yes)、対象物10が正規品である(対象物が真である)と判定して(ステップS107)、検証結果を表示部204に表示する。
【0069】
次に、図10を参照して、ステップS103の検証処理について説明する。
【0070】
検証処理において、まず、検証装置2の制御部201は、ステップS101で読み取った検証用パラメータ13から(b)各回の検証方法、及び(c)読取方法(範囲、向き)を取得する(ステップS201、ステップS202)。
例えば、図3に示す1回目の検証用パラメータ13aから、第1回目の検証方法として、method=“am01”を取得し、読取方法として、読取範囲については、x=“10”y=“20”width=“100”height=“15”を取得し、読取の向きについては、angle=“0”を取得する。
【0071】
検証装置2の制御部201は、ステップS201で取得した検証方法に対応するプログラムを実行し、物理的特徴読取装置22を制御して、ステップS202で取得した読取方法に沿って対象物10の読取範囲について物理的特徴を読み取るとともに、読み取った物理的特徴に基づく値を算出し取得する(ステップS203)。
【0072】
前述したように、上記のmethod=“am01”に対応するプログラムは記憶部202に記憶されており、これに従って、物理的特徴の読み取り、およびこの物理的特徴に基づく値の算出を行う。
値の算出については、各種の物理的特徴に対し既知の算出方法をプログラムとして用意しておき、対応するものを適用すればよい。一例として、前述の福田らによる論文には、対象物について所定範囲の画像を読みとり、読み取った範囲内の各微小領域での輝度値を求め、輝度分布を量子化し並べた1次元ベクトルを用いることが記載されている。
【0073】
次に、検証装置2の制御部201は、ステップS101で読み取った検証用パラメータ13から(d)補助情報を取得する(ステップS204)。
前述したように、補助情報は、対象物10の読取時の位置ずれ等により物理的特徴から算出される値がずれることに伴う認証の誤りを防ぐため、この値を修正して読取時の位置ずれ等に対しロバストな値を固有値として得るために用いられる情報であり、一例として前述のパリティビットを適用できる。
例えば、図3に示す検証用パラメータ13aからは、第1回目の検証に用いる補助情報として「9402b1ac138d35d...」を取得する。
【0074】
そして、検証装置2の制御部201は、読み取った物理的特徴から算出した値、および補助情報を入力として、前記値を修正して修正後の値を出力し(ステップS205)、修正後の値のハッシュ値を固有値として取得する(ステップS206)。ハッシュ値の取得方法は適宜定めることができる。
【0075】
なお、上記のステップS204〜S206は、対象物10の読取時の位置ずれ等の影響を低減した値を固有値として比較検証に用いる目的で行われるものであり、例えば対象物10の読取時の位置ずれ等を考慮しない場合には補助情報による値の修正は必ずしも必要でなく、また、ハッシュ値の取得を省略し、物理的特徴から得られる前記の値自体を固有値として以降の認証に用いることも可能である。上記のステップS204〜S206の処理を行い固有値を算出すること、あるいはこれを省略することなどは、(b)各回の検証方法に対応するプログラム(“am01”等)などで予め定めることが可能である。
【0076】
検証装置2の制御部201は、ステップS206で取得した固有値(ハッシュ値)と、対象物10のID等を用いて問い合わせ・比較検証処理を行う(ステップS207)。
【0077】
ステップS207の問い合わせ・比較検証処理について、図11を参照して説明する。
【0078】
図11に示すように、まず、検証装置2の制御部201は、ステップS101で取得した検証用パラメータ13から、(e)問い合わせ先情報を取得する(ステップS301)。例えば、図3に示した第1回目の検証回の検証用パラメータ13aからは、contact=“self”format=“hex”encryption=“true”、および真の固有値である「60a5b91d74c...」を取得する。
【0079】
検証用パラメータ13aのように、取得した問い合わせ先情報が検証装置2自身を指定するものであれば(ステップS302;self)、制御部201は、問い合わせ先と併せて記述された、比較対象となる値である真の固有値(上記ステップS201〜S206と同じ手順にて予め得られた値)を取得する(ステップS303)。真の固有値が暗号化されて記述されている場合には復号して取得する。復号に用いる復号鍵は予め検証装置2の記憶部202に記憶させておく。
なお、本実施形態では、真の固有値を(e)問い合わせ先情報の問い合わせ先と併せて記述しているが、これに限らず、検証用パラメータ13とは別として、対象物10に設けたICチップのメモリなどに記憶させておいてもよい。
【0080】
次いで、検証装置2の制御部201は、ステップS206で取得した固有値とS303で取得した真の固有値とを比較検証し一致するか否かを判定する(ステップS304)。
【0081】
一方、取得した問い合わせ先情報がローカルな検証用サーバ5を指定するものであれば(ステップS302;local)、制御部201は検証用サーバ5に対し、問い合わせを行う。この際、ネットワーク6を介して検証用サーバ5に対し対象物10のIDを送信する。
検証用サーバ5は、対象物10のIDを受信すると、検証用サーバ5の記憶部302に対象物10のIDと紐付けて格納されている、対象物10の真の固有値を検証装置2に送信する。検証装置2の制御部201は、この真の固有値を、ステップS206で取得した固有値の比較対象として受信し取得する(ステップS305)。
【0082】
検証装置2の制御部201は、取得した真の固有値とステップS206で取得した固有値とを比較検証し一致するか否かを判定する(ステップS306)。
【0083】
さらに、ステップS302において、取得した問い合わせ先情報が外部の検証用サーバ3を指定するものであれば(ステップS302;URL、serverなど)、検証装置2の制御部201は、検証用サーバ3にネットワーク4を介して接続し、まず、サーバ認証を行う(ステップS307)。
認証が成功すると、検証装置2の制御部201は、検証用サーバ3に対して、ステップS206で取得したハッシュ値を固有値として対象物10のIDとあわせて送信する(ステップS308)。すると、検証用サーバ3側でこの固有値の比較検証が行われる(ステップS309)。検証用サーバ3での比較検証は、ステップS306と同様に行われる。即ち、受信した固有値と、対象物10のIDに紐づけて記憶部302に格納された真の固有値とを比較し一致するか否かを判定する。
【0084】
検証用サーバ3は、ステップS309の検証結果を検証装置2に送信し、検証装置2の制御部201はこれを受信する(ステップS310)。
【0085】
ステップS304またはS306の検証結果、もしくはステップS310で受信した検証結果により、値が一致していれば「OK」を図10のステップS208へ渡し、一致しなければ「NG」をステップS208へ渡す(ステップS311)。なお、検証の際、「一致」とは、厳密な一致に限定する必要はなく、所定の許容範囲内にあるものも含むことができる。また、その許容範囲は真贋判定に必要な精度などを考慮して、任意に設定できる。
【0086】
図10のステップS208において、検証装置2の制御部201は、検証結果が「OK」であれば、対象物10を「真」と判定し、検証結果が「NG」であれば、対象物10を「偽」と判定する。以上のようにして、図9のステップS103の検証処理が行われる。
その結果により、前述したステップS104以降の処理が行われる。結果が「真」の場合であれば、次の回の検証処理(ステップS103)が、1回目のものとは異なる、2回目の検証時の検証用パラメータ13bで指定された読取方法や検証方法などに沿って上記と同様に行われ、前述した手順により対象物10の真贋が判定される。
【0087】
なお、本実施形態では、図3に示す検証用パラメータ13の(e)検証時の問い合わせ先情報により、1回目の検証が検証装置2自身で行われ、2回目の検証時の問い合わせが外部の検証用サーバ3に行われることになるが、その他、例えば複数回の検証処理を、同じ検証用サーバへの問い合わせにより行うことも可能である。
この場合、各回の検証時についての真の固有値を、対象物10のIDおよび各検証回を示す情報(図3のverifyId=“0”やverifyId=“1”など)と紐付けて検証用サーバに記憶させておき、上記の問い合わせ時に対象物10のIDと検証回の情報(および必要に応じて固有値)を検証用サーバに送信すればよい。
これに応じて、検証用サーバが対象物10のIDと検証回の情報に紐づく真の固有値を検証装置2に返し、検証装置2で比較判定を行うことができる(ステップS305〜ステップS306のフロー)。あるいは、検証用サーバが、検証装置2から受信した固有値と、対象物10のIDと検証回の情報に紐づく真の固有値を比較し、検証結果を検証装置2に返すこともできる(ステップS308〜S310のフロー)。
なお、複数回の検証処理を検証装置2で行うことも、検証用パラメータ13の記述により可能である。
したがって、本実施形態では、検証装置2に検証用サーバ3、5を接続して真贋検証システム1を構成しているが、上記のようにして全ての検証回の検証を、1つの検証用サーバと検証装置2により、あるいは検証装置2のみにより行うことができるので、検証用サーバ3、5は一方のみ設けるようにしてもよく、あるいは双方を省略することも可能である。
【0088】
以上説明したように、本実施形態では、対象物10に、読取方法や検証方法などを示す検証用パラメータ13をコード化して印刷し対象物10に付与しておき、検証を行う際には、検証装置2の検証用情報取得装置21によって対象物10から検証用パラメータ13を読み取り、読み取った検証用パラメータ13に従って、対象物10に固有な物理的特徴を物理的特徴読取装置22によって読み取り、読み取った物理的特徴から固有値を算出し、真の固有値との比較により真贋判定処理を実行する。
【0089】
検証用パラメータ13により、物理的特徴の読取範囲や読取向きなどの読取方法、物理的特徴から固有値を算出する方法、真の固有値の問い合わせ先などを可変に設定できるようになり、設備環境やセキュリティレベルに応じた項目の変更、追加、削除を容易に行える。したがって、必要に応じてセキュリティレベルを高め不正使用をより困難とするなど、要求されるセキュリティレベルに応じた設定が柔軟かつ簡易になり、様々な設備環境に対応でき実用性が向上する。
また、異なる複数の検証用パラメータを用いて、各対象物10について物理的特徴の読取方法や、固有値の算出方法等を変えて複数の固有値を算出し検証に用いるので、対象物10が偽造されたとしても容易に検証成功の結果を得ることができないため偽造による不正使用が困難となる。
【0090】
さらに、本実施形態では、検証用パラメータ13は、コード化され、印刷されたものが対象物10へ付与される。印刷により検証用パラメータが付与される場合、簡易かつ低コストに検証用パラメータ13を対象物10に付与でき、検証用パラメータ13の取得も容易になる。なお、前述のように、検証用パラメータ13を対象物10に付されたメモリに記憶させておくことも可能で、この場合、検証用パラメータ13の読取エラーなどを防ぐことができる。
【0091】
なお、本実施形態の変形例として、対象物10に検証用パラメータ13を二次元コードとして印刷する代わりに、検証用サーバ側に、対象物10のIDに紐付けて、検証用パラメータ13の情報を持たせるようにしてもよい。この場合、ステップS101において、検証装置2から検証用サーバに対象物10のIDを送信し、これに応じて、検証用サーバが、予め対象物10のIDに紐付けて記憶した検証用パラメータ13の情報を検証装置2に送信する。検証装置2は、これを受信して検証用パラメータ13を取得し、以降の処理を同様に行うことができる。これによりセキュリティを強化でき、対象物10の製造コストも低減することができる。
【0092】
加えて、検証用サーバ3側に、対象物10のID等に紐付けて、読取方法や検証方法などを指定する追加の検証用パラメータ(指定の方法は検証用パラメータ13と同様)を持たせ、追加検証を行うようにしてもよい。
この場合、図11のステップS309までは、上述の手順と同様の処理を行うが、図11のステップS309で、比較した値が一致した場合、検証用サーバ3は、上記の追加の検証用パラメータを検証装置2に更に送信する。検証装置2は受信した追加の検証用パラメータに従って、前述のステップS201〜S206の手順で追加の固有値を取得し、検証用サーバ3に送信する。
検証用サーバ3では、この固有値についても真の固有値を対象物10のID等に紐付けて記憶しておき、ステップS309と同様に比較検証し、その後上記のステップS310以降と同様の処理を行う。これにより、更にセキュリティ性を向上させることができる。
同様の処理は検証用サーバ5においても可能であり、例えば、ステップS306にて比較した値が一致した場合に、検証装置2から対象物10のID等を検証用サーバ5に送信する。検証用サーバ5は、これに応じて、予め対象物10のID等に紐付けて記憶した追加の検証用パラメータ、および追加の検証用パラメータに沿って取得した場合の真の固有値を検証装置2に送信する。検証装置2では、追加の検証用パラメータに従って取得した値と真の固有値とをステップS306と同様に比較判定し、以降の処理を進めればよい。
【0093】
また、本実施形態では、検証回数を2回としているが、これに限らず、検証回数を増やすことも可能であるし、検証回数を1回とすることも可能である。
さらに、検証用パラメータ13で指定された複数の検証のうち、検証装置2側で選択したいくつかの検証を行ってもよい。検証の選択方法等は、検証装置2の記憶部202に記憶させておき、これに従って行うことができる。例えば、図3の検証用パラメータ13中、所定の検証回(verifyID)の検証のみ行うことを定めておくことができる。
【0094】
また、本実施形態では、実施したすべての検証で「真」と判定された場合のみ、真贋判定でOKとしているが、セキュリティポリシーの例としては、これに限ることはない。以下、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0095】
[第2の実施形態]
第2の実施形態の真贋検証処理の全体の流れを示すフローチャートが図12である。第2の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、第1の実施形態が、対象物10が正規品とされるためには実施した全ての検証に成功する必要があり、検証が失敗した時点で対象物10が正規品でないと判定されるのに対し、第2の実施形態では、検証の成功、失敗に関わらず全ての検証を行い、予め指定された(全てではない)所定回数の検証に成功すれば、対象物10が正規品であると判定する点である。すなわち、所定回数検証を成功していれば、その他の検証に失敗した場合でも対象物10が正規品とされる。
【0096】
図12等を参照して、第2の実施形態の真贋検証処理の流れを説明する。
検証用パラメータ13を読み取り、対象物10の検証処理を行うまでの(ステップS401〜S403)流れは第1の実施形態と同様である。図10や図11で説明した処理も同様に行われ、検証装置2は、対象物10の真偽を検証結果として取得し、RAM等に記憶する。
【0097】
第2の実施形態では、検証装置2は、続いて検証回数分の検証がすべて終了したか否かを判定し、すべての検証が終了していない場合は(ステップS404;No)、ステップS403へ移行し、次の回の検証処理を行う。
検証回数分の検証処理を終了した(ステップS404:Yes)後、検証装置2は、所定回数の検証結果が「真」であったかを判定する。所定回数の検証結果が「真」であった場合(ステップS405:Yes)、対象物10が正規品であると判定し(ステップS406)、それ以外の場合(ステップS405:No)、対象物10を正規品でないと判定する(ステップS407)。例えば、5回検証を行い、そのうち3回検証結果が「真」であれば対象物10が正規品であるとし、検証結果が「真」であるものが3回未満である場合、対象物10が正規品でないとする。
【0098】
上記の所定回数は、様々に定めておくことができ、検証用パラメータ13で指定したり、あるいは検証装置2で設定、記憶することもできる。
【0099】
第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、正規品であるのにも関わらず、対象物10のキズ等により、ある検証回で検証結果が「偽」となった場合に即正規品でないと判定される誤判定を回避できる。
【0100】
また、前記と同様に、検証用パラメータ13で指定された複数の検証のうち、検証装置2側で選択したいくつかの検証を行ったうえ、上記の手順により、所定回数の検証結果が「真」である場合に対象物10を正規品であると判定するようにしてもよい。
【0101】
さらに、所定の検証については検証結果が「真」であることを必須とし、上記所定の検証について検証結果が「真」であり、かつ所定回数の検証結果が「真」である場合に、対象物10を正規品であると判定するようにしてもよい。
上記の所定の検証については、例えば検証用パラメータ13にて指定することができる。あるいは、検証装置2側で指定しておくようにしてもよい。この場合、図3の検証用パラメータ13における検証回(verifyID)や検証方法(method)について、検証結果が「真」であることを必須とする特定のものを予め定め検証装置2の記憶部202に記憶しておき、判定に用いればよい。
【0102】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0103】
1・・・・・・・・・・・・真贋検証システム
2・・・・・・・・・・・・検証装置
3、5・・・・・・・・・・検証用サーバ
4、6・・・・・・・・・・ネットワーク
10、10A、10B・・・対象物
11・・・・・・・・・・・基材
12a〜12g・・・・・・読取範囲
13、13a、13b・・・・・・・・・・・検証用パラメータ
20・・・・・・・・・・・リーダ
21・・・・・・・・・・・検証用情報取得装置
22・・・・・・・・・・・物理的特徴読取装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の真贋を検証する真贋検証装置であって、
前記対象物についての検証用パラメータを取得する検証用パラメータ取得手段と、
取得した前記検証用パラメータに従って、前記対象物に固有な物理的特徴に基づき取得した固有値と予め算出された真の固有値との比較により前記対象物の真贋を判定する真贋判定手段と、
を備えることを特徴とする真贋検証装置。
【請求項2】
前記検証用パラメータ取得手段は、前記対象物についての異なる複数の検証用パラメータを取得し、
前記真贋判定手段は、異なる複数の検証用パラメータに従って、前記物理的特徴に基づき取得した複数の固有値と複数の真の固有値のそれぞれの比較により前記対象物の真贋を判定することを特徴とする請求項1記載の真贋検証装置。
【請求項3】
前記真贋判定手段は、前記複数の固有値のうち、全てではない所定の数の固有値が前記真の固有値と一致する場合、前記対象物を真と判定することを特徴とする請求項2記載の真贋検証装置。
【請求項4】
前記真贋判定手段は、前記複数の固有値のうち、所定の固有値が、前記真の固有値と一致しない場合、前記対象物を真でないと判定することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の真贋検証装置。
【請求項5】
前記検証用パラメータが、前記対象物の物理的特徴の読取方法についての指定を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の真贋検証装置。
【請求項6】
前記検証用パラメータが、前記物理的特徴から前記固有値を算出する算出方法についての指定を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の真贋検証装置。
【請求項7】
前記検証用パラメータが、前記真の固有値の問い合わせ先の指定を含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の真贋検証装置。
【請求項8】
前記検証用パラメータ取得手段は、コード化され印刷された前記検証用パラメータ、または前記対象物に付されたメモリに記憶された前記検証用パラメータ、もしくは前記真贋検証装置と接続されたサーバに記憶された前記検証用パラメータを取得することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の真贋検証装置。
【請求項9】
固有の物理的特徴と、
真贋検証装置により、前記固有の物理的特徴に基づき取得した固有値と予め算出された真の固有値との比較により真贋を判定するための検証用パラメータと、
を有することを特徴とする真贋検証対象物。
【請求項10】
真贋検証装置により、前記物理的特徴に基づき取得した複数の固有値と複数の真の固有値とのそれぞれの比較により真贋を判定するための、複数の異なる検証用パラメータを有することを特徴とする請求項9記載の真贋検証対象物。
【請求項11】
前記検証用パラメータが、前記対象物の前記物理的特徴の読取方法についての指定を含むことを特徴とする請求項9または請求項10記載の真贋検証対象物。
【請求項12】
前記検証用パラメータが、前記物理的特徴から前記固有値を算出する算出方法についての指定を含むことを特徴とする請求項9から請求項11のいずれかに記載の真贋検証対象物。
【請求項13】
前記検証用パラメータが、前記真の固有値の問い合わせ先の指定を含むことを特徴とする請求項9から請求項12のいずれかに記載の真贋検証対象物。
【請求項14】
前記検証用パラメータがコード化され印刷されたものが付与されるか、または真贋検証対象物に付されたメモリに記憶されることを特徴とする請求項9から請求項13のいずれかに記載の真贋検証対象物。
【請求項15】
対象物の真贋を検証する真贋検証方法であって、
真贋検証装置が、
前記対象物についての検証用パラメータを取得する検証用パラメータ取得ステップと、
取得した前記検証用パラメータに従って、前記対象物に固有な物理的特徴に基づき取得した固有値と予め算出された真の固有値との比較により前記対象物の真贋を判定する真贋判定ステップと、
を実行することを特徴とする真贋検証方法。
【請求項16】
前記検証用パラメータ取得ステップでは、前記対象物についての異なる複数の検証用パラメータを取得し、
前記真贋判定ステップでは、異なる複数の検証用パラメータに従って、前記物理的特徴に基づき取得した複数の固有値と複数の真の固有値のそれぞれの比較により前記対象物の真贋を判定することを特徴とする請求項15記載の真贋検証方法。
【請求項17】
前記真贋判定ステップでは、前記複数の固有値のうち、全てではない所定の数の固有値が前記真の固有値と一致する場合、前記対象物を真と判定することを特徴とする請求項16記載の真贋検証方法。
【請求項18】
前記真贋判定ステップでは、前記複数の固有値のうち、所定の固有値が、前記真の固有値と一致しない場合、前記対象物を真でないと判定することを特徴とする請求項16または請求項17に記載の真贋検証方法。
【請求項19】
前記検証用パラメータが、前記対象物の物理的特徴の読取方法についての指定を含むことを特徴とする請求項15から請求項18のいずれかに記載の真贋検証方法。
【請求項20】
前記検証用パラメータが、前記物理的特徴から前記固有値を算出する算出方法についての指定を含むことを特徴とする請求項15から請求項19のいずれかに記載の真贋検証方法。
【請求項21】
前記検証用パラメータが、前記真の固有値の問い合わせ先の指定を含むことを特徴とする請求項15から請求項20のいずれかに記載の真贋検証方法。
【請求項22】
前記検証用パラメータ取得ステップでは、コード化され印刷された前記検証用パラメータ、または前記対象物に付されたメモリに記憶された前記検証用パラメータ、もしくは前記真贋検証装置と接続されたサーバに記憶された前記検証用パラメータを取得することを特徴とする請求項15から請求項21のいずれかに記載の真贋検証方法。
【請求項23】
コンピュータを、請求項1から請求項8のいずれかに記載の真贋検証装置として機能させるためのプログラム。
【請求項24】
コンピュータを、請求項1から請求項8のいずれかに記載の真贋検証装置として機能させるためのプログラムを記憶した記憶媒体。
【請求項1】
対象物の真贋を検証する真贋検証装置であって、
前記対象物についての検証用パラメータを取得する検証用パラメータ取得手段と、
取得した前記検証用パラメータに従って、前記対象物に固有な物理的特徴に基づき取得した固有値と予め算出された真の固有値との比較により前記対象物の真贋を判定する真贋判定手段と、
を備えることを特徴とする真贋検証装置。
【請求項2】
前記検証用パラメータ取得手段は、前記対象物についての異なる複数の検証用パラメータを取得し、
前記真贋判定手段は、異なる複数の検証用パラメータに従って、前記物理的特徴に基づき取得した複数の固有値と複数の真の固有値のそれぞれの比較により前記対象物の真贋を判定することを特徴とする請求項1記載の真贋検証装置。
【請求項3】
前記真贋判定手段は、前記複数の固有値のうち、全てではない所定の数の固有値が前記真の固有値と一致する場合、前記対象物を真と判定することを特徴とする請求項2記載の真贋検証装置。
【請求項4】
前記真贋判定手段は、前記複数の固有値のうち、所定の固有値が、前記真の固有値と一致しない場合、前記対象物を真でないと判定することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の真贋検証装置。
【請求項5】
前記検証用パラメータが、前記対象物の物理的特徴の読取方法についての指定を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の真贋検証装置。
【請求項6】
前記検証用パラメータが、前記物理的特徴から前記固有値を算出する算出方法についての指定を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の真贋検証装置。
【請求項7】
前記検証用パラメータが、前記真の固有値の問い合わせ先の指定を含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の真贋検証装置。
【請求項8】
前記検証用パラメータ取得手段は、コード化され印刷された前記検証用パラメータ、または前記対象物に付されたメモリに記憶された前記検証用パラメータ、もしくは前記真贋検証装置と接続されたサーバに記憶された前記検証用パラメータを取得することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の真贋検証装置。
【請求項9】
固有の物理的特徴と、
真贋検証装置により、前記固有の物理的特徴に基づき取得した固有値と予め算出された真の固有値との比較により真贋を判定するための検証用パラメータと、
を有することを特徴とする真贋検証対象物。
【請求項10】
真贋検証装置により、前記物理的特徴に基づき取得した複数の固有値と複数の真の固有値とのそれぞれの比較により真贋を判定するための、複数の異なる検証用パラメータを有することを特徴とする請求項9記載の真贋検証対象物。
【請求項11】
前記検証用パラメータが、前記対象物の前記物理的特徴の読取方法についての指定を含むことを特徴とする請求項9または請求項10記載の真贋検証対象物。
【請求項12】
前記検証用パラメータが、前記物理的特徴から前記固有値を算出する算出方法についての指定を含むことを特徴とする請求項9から請求項11のいずれかに記載の真贋検証対象物。
【請求項13】
前記検証用パラメータが、前記真の固有値の問い合わせ先の指定を含むことを特徴とする請求項9から請求項12のいずれかに記載の真贋検証対象物。
【請求項14】
前記検証用パラメータがコード化され印刷されたものが付与されるか、または真贋検証対象物に付されたメモリに記憶されることを特徴とする請求項9から請求項13のいずれかに記載の真贋検証対象物。
【請求項15】
対象物の真贋を検証する真贋検証方法であって、
真贋検証装置が、
前記対象物についての検証用パラメータを取得する検証用パラメータ取得ステップと、
取得した前記検証用パラメータに従って、前記対象物に固有な物理的特徴に基づき取得した固有値と予め算出された真の固有値との比較により前記対象物の真贋を判定する真贋判定ステップと、
を実行することを特徴とする真贋検証方法。
【請求項16】
前記検証用パラメータ取得ステップでは、前記対象物についての異なる複数の検証用パラメータを取得し、
前記真贋判定ステップでは、異なる複数の検証用パラメータに従って、前記物理的特徴に基づき取得した複数の固有値と複数の真の固有値のそれぞれの比較により前記対象物の真贋を判定することを特徴とする請求項15記載の真贋検証方法。
【請求項17】
前記真贋判定ステップでは、前記複数の固有値のうち、全てではない所定の数の固有値が前記真の固有値と一致する場合、前記対象物を真と判定することを特徴とする請求項16記載の真贋検証方法。
【請求項18】
前記真贋判定ステップでは、前記複数の固有値のうち、所定の固有値が、前記真の固有値と一致しない場合、前記対象物を真でないと判定することを特徴とする請求項16または請求項17に記載の真贋検証方法。
【請求項19】
前記検証用パラメータが、前記対象物の物理的特徴の読取方法についての指定を含むことを特徴とする請求項15から請求項18のいずれかに記載の真贋検証方法。
【請求項20】
前記検証用パラメータが、前記物理的特徴から前記固有値を算出する算出方法についての指定を含むことを特徴とする請求項15から請求項19のいずれかに記載の真贋検証方法。
【請求項21】
前記検証用パラメータが、前記真の固有値の問い合わせ先の指定を含むことを特徴とする請求項15から請求項20のいずれかに記載の真贋検証方法。
【請求項22】
前記検証用パラメータ取得ステップでは、コード化され印刷された前記検証用パラメータ、または前記対象物に付されたメモリに記憶された前記検証用パラメータ、もしくは前記真贋検証装置と接続されたサーバに記憶された前記検証用パラメータを取得することを特徴とする請求項15から請求項21のいずれかに記載の真贋検証方法。
【請求項23】
コンピュータを、請求項1から請求項8のいずれかに記載の真贋検証装置として機能させるためのプログラム。
【請求項24】
コンピュータを、請求項1から請求項8のいずれかに記載の真贋検証装置として機能させるためのプログラムを記憶した記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−61844(P2013−61844A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200345(P2011−200345)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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