説明

眼の状態を13−シス−レチニル誘導体で処置するための組み合わせ方法、組成物および治療

本明細書では、視覚サイクルにおける老廃物の過剰産生から引き起こされるか、該過剰産生に伴うか、または該過剰産生の元となる眼の状態または疾患を処置するための、組み合わせの方法、組成物または治療を記載する。これらの混合物に含まれる薬剤は、13−シス−レチニル誘導体であり、該混合物に含まれる他の薬剤は、ビタミン類、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤および負荷電リン脂質から選択される。このような組み合わせの方法は、単回投与治療法もしくは複数回投与治療法、または他の薬剤もしくは治療法と組み合わせて使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
視覚サイクルまたはレチノイドサイクルは、活性視覚発色団ロドプシンを、引き続いて再生されるオール−トランス−異性体に変換する、一連の光駆動反応および酵素触媒反応である。該サイクルの一部は杆体の外節内で起こり、一部は網膜色素上皮(RPE)中で起こる。該サイクルの成分として、種々のデヒドロゲナーゼおよびイソメラーゼ、ならびに光受容体とRPEとの間で中間体を輸送するためのタンパク質が含まれる。
【0002】
視覚サイクルに関連する別のタンパク質は、オール−トランス−レチナールのような視覚サイクルレチノイドの過剰産生によって蓄積される、化合物および毒性生成物の輸送、除去ならびに/または廃棄を担う。そのような化合物の一例として、オール−トランス−レチナールのホスファチジルエタノールアミンによる縮合反応から産生される、ジレチナール類N−レチニリデン−N−レチニルエタノールアミン(A2E)が挙げられる。特定レベルの、このオレンジ色放出発色団は、光受容体およびRPEによって許容されるが、過剰量は、リポフスチンの生成および黄斑の下の潜在的なドルーゼンを含む悪影響をもたらし得る。たとえば、非特許文献1を参照のこと。ドルーゼンは、RPEの下に蓄積される細胞外沈着物であり、加齢性黄斑変性を発症させる危険因子である。たとえば、非特許文献2を参照のこと。従って、視覚サイクルにおいて副反応から産生する化合物および毒性生成物の除去および廃棄は重要である。何故なら、このような化合物および毒性生成物の過剰な蓄積が、黄斑変性およびジストロフィに関連する症状を部分的に担い得ることがいくつかの証拠によって示されているためである。
【0003】
加齢性黄斑変性は2つの一般的分類がある。湿性(wet form)と乾性(dry form)である。全症例の約90%を占める乾性黄斑変性は、萎縮性、非滲出性またはドルーゼノイド(drusenoid)黄斑変性としても公知である。乾性黄斑変性では、ドルーゼンは、通常、黄斑の下のRPE組織内に蓄積する。次いで、ドルーゼンが黄斑中の光受容体の機能を妨害する際、視力喪失が起こりうる。この型の黄斑変性は、長年に渡って徐々に視力喪失をもたらす。
【0004】
症例の約10%を占める湿性黄斑変性は、脈絡膜新生血管、網膜下新生血管形成、滲出性または円板状変性としても公知である。湿性黄斑変性では、異常な血管増殖を黄斑下で形成し得、これらの血管は、血液および体液を黄斑中に漏出し得、光受容体細胞を損傷し得る。研究によって、乾性黄斑変性の進行期が、湿性黄斑変性を引き起こし得ることが示されてきた。湿性黄斑変性は、急速に進行し得、中心視力に深刻な損傷を起こし得る。
【0005】
シュタルガルト黄斑ジストロフィまたは黄色斑眼底としても公知であるシュタルガルト病は、若年発症型黄斑ジストロフィに最も多く現われるものである。研究によれば、この症状は、ABCR遺伝子内の常染色体劣性形質として伝達されることが示される。この遺伝子は、膜を横切る物質の広範なスペクトルのエネルギー依存性輸送に関与する経膜タンパク質をコードする、ABCスーパーファミリー遺伝子のメンバーである。シュタルガルト様黄斑ジストロフィは、中心視力の喪失に関する優性遺伝形質であるが、シュタルガルト黄斑ジストロフィより後に始まり、リポフスチンの蓄積は、黄斑の中央領域を越えて広がる。
【0006】
シュタルガルト黄斑ジストロフィの症状としては、中心視力の減退および暗順応の困難が挙げられ、問題は、一般的に、加齢とともに悪化するため、シュタルガルト黄斑ジストロフィに罹患している多くの人々は、30〜40歳までに20/100〜20/400の視力喪失を経験する。シュタルガルト黄斑ジストロフィを有する人々は、オール−トランス−レチナールの潜在的過剰産生ゆえに、一般的に、明るい光を避けることが推奨される。
【0007】
シュタルガルト黄斑ジストロフィの診断方法として、黄斑における悪化の萎縮性または「ブロンズ箔(beaten−bronze)」外観の観察、ならびに萎縮が見られる中央黄斑病変を囲む網膜内に発生する、黄色がかった白色スポットの数多くの存在が挙げられる。他の診断テストとして、網膜電位図、眼電図(electro−oculogram)および暗順応テストの使用が挙げられる。さらに、フルオレセイン血管造影は、この診断を確認するために使用され得る。この後者のテストでは、黄斑変性の初期症状の1つである、患者の網膜色素上皮中のリポフスチンの蓄積を伴う、「暗い」または「サイレントな」脈絡膜が観察される。
【0008】
現在、黄斑変性および黄斑ジストロフィの処置の選択肢は、限られている。乾性AMDを有する何人かの患者は、高用量のビタミン類および鉱物に反応した。さらに、いくつかの研究では、乾性AMDをさらに深刻な症状に発展させうる、ドルーゼンの進行を、ドルーゼンのレーザー光凝固(laser photocoagulation)によって、防止し得るかまたは遅らせ得ることが示されている。最後に、ある研究では、体外レオフェレシス(extracorporeal rheopheresis)が乾性AMDを有する患者に利益を提供し得ることを示している。
【非特許文献1】Finnemann,S.C.,Proc.Natl.Acad.Sci.,2002年,第99巻,p.3842−47
【非特許文献2】Crabb,J.W.,ら,Proc.Natl.Acad.Sci.,2002年,第99巻,p.14682−87
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、成功は限定されており、黄斑変性およびジストロフィに伴う視力喪失を管理し、制限するための新規な方法および処置に対する強い要求は続いている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本明細書は、(a)眼の状態を処置し、そして(b)そのような眼の状態の前兆となる症状(たとえば危険因子)またはそのような眼の状態に伴う症状を制御するための、組み合わせ方法および処方物を提供する。1態様では、そのような組み合わせの方法および処方物は、追加の薬剤を伴うレチニル誘導体の使用を含む。別の態様では、この眼の状態は、黄斑変性(乾性および湿性(we form)を含むが、これらに限定されない)および黄斑ジストロフィ(シュタルガルト病およびシュタルガルト様黄斑ジストロフィを含むが、これらに限定されない)である。別の態様では、前記方法および処方物は、哺乳類の眼を光から保護するために使用され、別の態様では、前記方法および処方物は、哺乳類の眼の中でのオール−トランス−レチナール、N−レチニリデン−N−レチニルエタノールアミン、リポフスチンおよび/またはドルーゼンの形成を限定するために使用される。さらにまた別の態様では、前記組み合わせの方法および処方物は、さらに別の治療モダリティと組み合わせて使用される。
【0011】
1態様は、哺乳類の眼の中でのオール−トランス−レチナールの形成を減少させる方法であって、哺乳類に、有効量の、以下の式(I)の構造:
【0012】
【化10】

ここで、Xは、NR、O、S、CHRからなる群から選択され;Rは、(CHR−L−Rであって、ここで、xは、0、1、2または3であり;Lは単結合または−C(O)−であり;Rは、H、(C−C)アルキル、F、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)−NH、−(C−C)アルキルアミン、−C(O)−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)フルオロアルキル、−C(O)−(C−C)アルキルアミンおよび−C(O)−(C−C)アルコキシからなる群から選択される部分であり;Rは、Hであるか、または(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、アリール、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルケニルおよび複素環からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換される部分である、構造を有する第1薬剤、あるいはその活性代謝物、または薬学的に受容可能なプロドラッグもしくは溶媒和物と、有効量の抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤および負荷電リン脂質からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤とを、少なくとも1回投与する工程を包含する方法である。
【0013】
別の態様は、哺乳類の眼の中でのオール−トランス−レチナールの形成を減少させる方法であって、哺乳類に、(a)有効量の、13−シス−レチノイン酸、13−シス−レチノイン酸の同配体、13−シス−レチノイン酸のプロドラッグ、13−シス−レチノイン酸の互変異性体、および13−シス−レチノイン酸の保護された形態からなる群から選択される化合物と、(b)有効量の、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤、負荷電リン脂質および13−シス−レチノイン酸の異性体、ならびにそれらのエステルおよびアミド誘導体(ほんの一例として、それぞれトレチノイン(tretinoin)およびフェンレチニド(fenretinide)としても公知であるオール−トランス−レチノイン酸が挙げられる)からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤とを、少なくとも1回投与する工程を包含する方法である。
【0014】
別の態様は、哺乳類の眼の中でのN−レチニリデン−N−レチニルエタノールアミンの形成を減少させる方法であって、哺乳類に、有効量の、式(I)の構造:
【0015】
【化11】

ここで、Xは、NR、O、S、CHRからなる群から選択され;Rは、(CHR−L−Rであって、ここで、xは、0、1、2または3であり;Lは単結合または−C(O)−であり;Rは、H、(C−C)アルキル、F、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)−NH、−(C−C)アルキルアミン、−C(O)−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)フルオロアルキル、−C(O)−(C−C)アルキルアミンおよび−C(O)−(C−C)アルコキシからなる群から選択される部分であり;Rは、Hであるか、または(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、アリール、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルケニルおよび複素環からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換される部分である、構造を有する第1薬剤、あるいはその活性代謝物、または薬学的に受容可能なプロドラッグもしくは溶媒和物と、有効量の、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤および負荷電リン脂質からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤とを、少なくとも1回、投与する工程を包含する方法である。
【0016】
別の態様は、哺乳類の眼の中でのN−レチニリデン−N−レチニルエタノールアミンの形成を減少させる方法であって、哺乳類に(a)有効量の、13−シス−レチノイン酸、13−シス−レチノイン酸の同配体、13−シス−レチノイン酸のプロドラッグ、13−シス−レチノイン酸の互変異性体、および13−シス−レチノイン酸の保護された形態からなる群から選択される化合物と、(b)有効量の、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤、負荷電リン脂質および13−シス−レチノイン酸の異性体、それらのエステルおよびアミド誘導体(ほんの一例として、それぞれトレチノインおよびフェンレチニドとしても公知であるオール−トランス−レチノイン酸が挙げられる)からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤とを、少なくとも1回投与する工程を包含する方法である。
【0017】
別の態様は、哺乳類の眼の中でのリポフスチンの形成を減少させる方法であって、哺乳類に、有効量の、以下の式(I)の構造:
【0018】
【化12】

ここで、Xは、NR、O、S、CHRからなる群から選択され;Rは、(CHR−L−Rであって、ここで、xは、0、1、2または3であり;Lは単結合または−C(O)−であり;Rは、H、(C−C)アルキル、F、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)−NH、−(C−C)アルキルアミン、−C(O)−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)フルオロアルキル、−C(O)−(C−C)アルキルアミンおよび−C(O)−(C−C)アルコキシからなる群から選択される部分であり;Rは、Hであるか、または(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、アリール、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルケニルおよび複素環からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換される部分である、構造を有する第1薬剤、あるいはその活性代謝物、または薬学的に受容可能なプロドラッグもしくは溶媒和物と、有効量の、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤および負荷電リン脂質からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤とを、少なくとも1回投与する工程を包含する方法である。
【0019】
別の態様は、哺乳類の眼の中でのリポフスチンの形成を減少させる方法であって、哺乳類に(a)有効量の、13−シス−レチノイン酸、13−シス−レチノイン酸の同配体、13−シス−レチノイン酸のプロドラッグ、13−シス−レチノイン酸の互変異性体、および13−シス−レチノイン酸の保護された形態からなる群から選択される化合物と、(b)有効量の、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤、負荷電リン脂質および13−シス−レチノイン酸の異性体、それらのエステルおよびアミド誘導体(ほんの一例として、それぞれトレチノインおよびフェンレチニドとしても公知であるオール−トランス−レチノイン酸が挙げられる)からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤とを、少なくとも1回投与する工程を包含する方法である。
【0020】
別の態様は、哺乳類の眼の中でのドルーゼンの形成を減少させる方法であって、哺乳類に、有効量の、以下の式(I)の構造:
【0021】
【化13】

ここで、Xは、NR、O、S、CHRからなる群から選択され;Rは、(CHR−L−Rであって、ここで、xは、0、1、2または3であり;Lは単結合または−C(O)−であり;Rは、H、(C−C)アルキル、F、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)−NH、−(C−C)アルキルアミン、−C(O)−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)フルオロアルキル、−C(O)−(C−C)アルキルアミンおよび−C(O)−(C−C)アルコキシからなる群から選択される部分であり;Rは、Hであるか、または(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、アリール、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルケニルおよび複素環からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換される部分である、構造を有する第1薬剤、あるいはその活性代謝物、または薬学的に受容可能なプロドラッグもしくは溶媒和物と、有効量の、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤および負荷電リン脂質からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤とを、少なくとも1回、投与する工程を包含する方法である。
【0022】
別の態様は、哺乳類の眼の中でのドルーゼンの形成を減少させる方法であって、哺乳類に(a)有効量の、13−シス−レチノイン酸、13−シス−レチノイン酸の同配体、13−シス−レチノイン酸のプロドラッグ、13−シス−レチノイン酸の互変異性体、および13−シス−レチノイン酸の保護された形態からなる群から選択される化合物と、(b)有効量の、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤、負荷電リン脂質および13−シス−レチノイン酸の異性体、それらのエステルおよびアミド誘導体(ほんの一例として、それぞれトレチノインおよびフェンレチニドとしても公知であるオール−トランス−レチノイン酸が挙げられる)からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤とを、少なくとも1回投与する工程を包含する方法である。
【0023】
別の態様は、哺乳類の任意の眼の中の光受容体を保護する方法であって、哺乳類に、有効量の、以下の式(I)の構造:
【0024】
【化14】

ここで、Xは、NR、O、S、CHRからなる群から選択され;Rは、(CHR−L−Rであって、ここで、xは、0、1、2または3であり;Lは単結合または−C(O)−であり;Rは、H、(C−C)アルキル、F、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)−NH、−(C−C)アルキルアミン、−C(O)−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)フルオロアルキル、−C(O)−(C−C)アルキルアミンおよび−C(O)−(C−C)アルコキシからなる群から選択される部分であり;Rは、Hであるか、または(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、アリール、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルケニルおよび複素環からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換される部分である、構造を有する第1薬剤、あるいはその活性代謝物、または薬学的に受容可能なプロドラッグもしくは溶媒和物と、有効量の、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤および負荷電リン脂質からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤とを、少なくとも1回、投与する工程を包含する方法である。
【0025】
別の態様は、哺乳類の任意の眼の中の光受容体を保護する方法であって、哺乳類に(a)有効量の、13−シス−レチノイン酸、13−シス−レチノイン酸の同配体、13−シス−レチノイン酸のプロドラッグ、13−シス−レチノイン酸の互変異性体、および13−シス−レチノイン酸の保護された形態からなる群から選択される化合物と、(b)有効量の、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤、負荷電リン脂質および13−シス−レチノイン酸の異性体、それらのエステルおよびアミド誘導体(ほんの一例として、それぞれトレチノインおよびフェンレチニドとしても公知であるオール−トランス−レチノイン酸が挙げられる)からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤とを、少なくとも1回投与する工程を包含する方法である。
【0026】
更に別の態様は、哺乳類の眼の中での黄斑変性を予防する方法であって、哺乳類に、有効量の、以下の式(I)の構造:
【0027】
【化15】

ここで、Xは、NR、O、S、CHRからなる群から選択され;Rは、(CHR−L−Rであって、ここで、xは、0、1、2または3であり;Lは単結合または−C(O)−であり;Rは、H、(C−C)アルキル、F、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)−NH、−(C−C)アルキルアミン、−C(O)−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)フルオロアルキル、−C(O)−(C−C)アルキルアミンおよび−C(O)−(C−C)アルコキシからなる群から選択される部分であり;Rは、Hであるか、または(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、アリール、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルケニルおよび複素環からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換される部分である、構造を有する第1薬剤、あるいはその活性代謝物、または薬学的に受容可能なプロドラッグもしくは溶媒和物と、有効量の、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤および負荷電リン脂質からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤とを、少なくとも1回、投与する工程を包含する方法である。
【0028】
更に別の態様は、哺乳類の眼の中での黄斑変性を予防する方法であって、哺乳類に(a)有効量の、13−シス−レチノイン酸、13−シス−レチノイン酸の同配体、13−シス−レチノイン酸のプロドラッグ、13−シス−レチノイン酸の互変異性体、および13−シス−レチノイン酸の保護された形態からなる群から選択される化合物と、(b)有効量の、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤、負荷電リン脂質および13−シス−レチノイン酸の異性体、それらのエステルおよびアミド誘導体(ほんの一例として、それぞれトレチノインおよびフェンレチニドとしても公知であるオール−トランス−レチノイン酸が挙げられる)からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤とを、少なくとも1回投与する工程を包含する方法である。
【0029】
前記態様のいずれかのさらなる実施態様は、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤、生理学的に受容可能な抗酸化剤、生理学的に受容可能な鉱物、負荷電リン脂質および13−シス−レチノイン酸からなる群から選択される薬剤を含有する少なくとも1種の追加の薬剤を少なくとも1回投与する工程を包含する。前記態様のいずれかのなおさらなる実施態様は、体外レオフェレシスおよびレーザー光凝固からなる群から選択される追加の処置を施し、ドルーゼンを取除く工程を包含する。
【0030】
別の態様は、(a)哺乳類の眼の中でのN−レチニリデン−N−レチニルエタノールアミンの形成を減少させ、(b)哺乳類の眼の中でのリポフスチンの形成を減少させ、(c)哺乳類の眼の中でのドルーゼンの形成を減少させ、(d)哺乳類の眼の中での黄斑変性を予防し、そして/または(e)哺乳類の眼の中でのオール−トランス−レチナールの形成を減少させるための、薬学的組成物であって、有効量の、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤および負荷電リン脂質からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤と組み合わせて、有効量の、式(I)の構造を有する少なくとも1種の化合物の有効量を含有する薬学的組成物である。
【0031】
本明細書に記載される方法および組成物の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、当業者には該詳細な説明から、本発明の精神および範囲内で、種々の変更および修正が明らかになるので、詳細な説明および特定の例示は、特定の実施態様を示すが、説明のためだけに挙げられたものであることは当然に理解される。
【0032】
本明細書に引用した、特許、特許出願および刊行物を含む全ての参考文献は、参考としてその全部が本明細書に援用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(発明の詳細な説明)
レチノイドは、細胞増殖および細胞分化、免疫調節、腫瘍促進、および細胞増殖の阻害のような生物系に対する多彩な効果を持つ化合物である。たとえば、Grunwaldら,J.Nucl.Med.,39:1903−6(1998);Chengら,J.Formos.Med.Assoc,96:525−34(1997);Huangら,Proc.Natl.Acad.Sci.,94:5826−30(1997);Yokotaら,Atherosclerosis159:491−6(2001)を参照のこと。レチノイドは、遺伝子転写を直接および/または間接的に調節する受容体を結合することによって機能する、任意の種々のビタミンAの天然または合成の誘導体を含む。たとえば、Goldfarbら,Curr.Opin.Dermatol.,4:236−40(1997)を参照のこと。イソトレチノインまたは13−シス−レチノイン酸は、多くの皮膚の状態の処置のために使用されてきた。たとえば、Peckら,New Engl.J.Med.,300:329−333(1979)参照。近年の研究では、イソトレチノイン処置によって、最終的には光受容体の喪失を引き起こし得る、オール−トランス−レチナールの産生をもたらす、11−シス−レチナールの形成を遅らせることがわかった。たとえば、Raduら,Proc.Natl.Acad.Sci.,100:4742−47(2003)を参照のこと。
【0034】
第2薬剤の特定。第2薬剤は、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤、負荷電リン脂質および13−シス−レチノイン酸の適切な異性体、そのエステルおよびアミド誘導体(ほんの一例として、それぞれトレチノインおよびフェンレチニドとしても公知であるオール−トランス−レチノイン酸が挙げられる)が挙げられるがこれらに限定されない、数多くの供給源から選択され得る。また、追加的な第2薬剤は、本明細書を通して特定される。特定の第2薬剤は、薬剤の複数のクラスの範囲内であり得ることが理解される。したがって、ほんの一例として、亜鉛は、鉱物でありかつ抗酸化剤であり、ビタミンCはビタミンでありかつ抗酸化剤である。したがって、1カテゴリー中に薬剤を置くことは、別のカテゴリーからのその薬剤の除外であるべきではない。
【0035】
他の研究は、加齢性黄斑変性の処置における、栄養補助食の使用に関する。そのような研究は、高力価抗酸化剤であるビタミンおよび鉱物の補助物が、加齢性黄斑変性およびそれに伴う視力喪失の中程度形態から進行形態の進行を遅くし得ることの証拠を提供している。たとえば、AREDS Report No.8 Arch.Ophthalmol.,119:1417−36(2001);Changら,Can.J.,Ophthalmol.,38:27−32(2003)を参照のこと。さらに、特定の栄養補助食の毎日の摂取は、正常な代謝機能によって産生され得るフリーラジカルに起因する酸化損傷、および太陽光の照射または環境中の毒性汚染物への曝露から該網膜およびレンズを保護することによる網膜およびレンズの健康維持において重要であると考えられている。たとえば、Brownら,Eye,12:127−133(1998)を参照のこと。
【0036】
特に、ビタミンA、CおよびEは、眼の健康維持において効果を持つようである。ビタミンAは、網膜光受容体色素の形成において役割を有し、その欠乏は夜間視力の低下をもたらし得る。たとえば、Brownらを参照のこと。房水中には高濃度ビタミンCが見られるが、これは、眼のレンズの保持におけるその重要な役割を示唆する。たとえば、Taylorら,Curr.Eye Res.,10:751−9(1991)を参照。ビタミンCも、白内障の進行を低減させ、網膜を光による損傷から保護することにおいて役割を有する。たとえば、Tsoら,Curr.Eye Res.,3:166−74(1984);Robertsonら,Ann.NY Acad.Sci.,570:372−82(1989)参照。ビタミンEは、皮膚部白内障、核性白内障および混合型白内障の危険性を減少させることに関係する。たとえば、Leskeら,Arch.Ophthalmol.,109:244−51(1991)参照。
【0037】
本発明者らは、第2薬剤として特定のビタミン類と組み合わせた式(I)の化合物を、乾性加齢性黄斑変性およびシュタルガルト病が挙げられるがこれらに限定されない、種々の黄斑変性およびジストロフィを患う患者またはこれを罹患しやすい患者に利点を提供するために使用することができると考える。すなわち、本発明者らは、ビタミン類と組み合わせた式(I)の化合物は、そのようなヒトの患者に以下に記載する利点の少なくともいくつかを提供することができると考える:オール−トランス−レチナールの量の減少、A2Eの形成の減少、リポフスチンの形成の減少、ドルーゼンの形成の減少および光感受性の減少。さらに、乾性加齢性黄斑変性は、しばしば、湿性加齢性黄斑変性の前駆現象であるので、ビタミン類とともに式(I)の化合物を使用することは、この後の眼の状態のための予防的治療としても使用され得る。
【0038】
式(I)の化合物の少なくとも1種とビタミン類との組み合わせによって、これらの治療薬の別々の使用を越えた付加的利点が提供されることは予期されなくてもよい。さらに、イソトレチノインは、ビタミンAの誘導体であり、ビタミンAの過剰投与が見られる場合、急性毒性および慢性毒性を含む多くの有害な作用をもたらす。急性毒性は、頭蓋内高血圧、悪心、嘔吐、めまい、視覚的見当識障害(visual disorientation)および皮膚の剥離が挙げられる症状をもたらし得る。たとえば、Gangemiら,Acta Neurol.7:27−31(1985);BendichおよびLangseth,Am.J.Clin.Nutr.49:358−371(1989);Hathcockら,Am.J.Clin.Nutr.52:183−202(1990)を参照。慢性ビタミンA毒性の症状は、動物で研究されており、抜け毛、限局性紅斑、上皮の肥厚化、肝臓および心臓の脂肪浸潤、腎臓障害および精巣障害、貧血、高コレステロール血症、時には高グリセリド血症および骨格の変質が挙げられる。たとえば、SinghおよびSingh,Am.J.Physiol.234:511−514(1978);Kammら,Preclinical and clinical toxicology of selected retinoids,“The Retinoids”Vol.2,pp.287−326,Academic Press,New York(1984);NiemanおよびObbink,Vitam.Horm.12:69−99(1954)を参照のこと。また、生物系内でのビタミンAおよびレチノイドの役割および調節は、異なっていることが示されている。たとえば、ビタミンAの重要性は、胚発生において重要であることが示され、一方、外来のレチノイン酸の導入は、殆どすべての発生中の組織または器官系における奇形発生効果を示唆する。たとえば、Shenfelt,Teratology 5:103−118(1972);Osmondら,Development 113:1405−1417(1991),HofmannおよびEichele,Retinoids in development,“The Retinoids:Biology,Chemistry,and Medicine”第2版,pp.387−441 Raven Press,New York(1994);Woodら,Development 120:2279−2285(1994),Avantaggiatoら,Dev.Biol.175:347−357(1996);Zhangら,Dev.Dynam.206:73−86(1996)を参照のこと。したがってイソトレチノインとβ−カロチン(ビタミンAの形態)を含有する栄養補助食との組み合わせは、処置の明らかな選択ではない。しかし、いかなる特定のメカニズムにも縛られるわけではないが、式(I)の化合物および特定のビタミン類は、視覚サイクル(および眼の一般的な健康)の異なる態様において作用するので、組み合わせ処置は、どちらか単独の処置よりも効果的に作用し得る。ほんの一例として、イソトレチノインおよびビタミンAは、異なる機能を提供し得る。イソトレチノインは、オール−トランス−レチナールの産生を減少させるように作用し得、一方、ビタミンAは、網膜光受容体の発生において役割を果たし得る。
【0039】
また、特定の鉱物の使用も、黄斑変性およびジストロフィを有する患者に利点を提供することが示されている。たとえば、Arch.Ophthalmol.,119:1417−36(2001)参照。単なる一例として、式(I)の構造を有する化合物の少なくとも1種と組み合わせて使用することのできる適切な鉱物として、酸化銅(単なる一例である)のような銅含有鉱物、酸化亜鉛(単なる一例である)のような亜鉛含有鉱物、およびセレン含有化合物が挙げられる。
【0040】
第2薬剤として特定の鉱物と組み合わせた式(I)の化合物は、乾性加齢性黄斑変性およびシュタルガルト病が挙げられるがこれらに限定されない種々の黄斑変性およびジストロフィを患う患者またはこれを罹患しやすい患者に利点を提供するために、使用することができる。すなわち、本発明者らは、特定の鉱物と組み合わせた式(I)の化合物は、そのようなヒトの患者に以下に記載する利点の少なくともいくつかを提供することができると考える:オール−トランス−レチナールの量の減少、A2Eの形成の減少、リポフスチンの形成の減少、ドルーゼンの形成の減少および光感受性の減少。
【0041】
抗酸化剤の使用は、黄斑変性およびジストロフィを有する患者に利点を提供することが示されている。たとえば、Arch.Ophthalmol.,119:1417−36(2001);Sparrowら,J.Biol.Chem.,278:18207−13(2003)を参照のこと。ほんの一例として、本明細書で挙げられる式(I)の構造を有する化合物の少なくとも1種と組み合わせて使用することのできる適切な抗酸化剤として、コエンザイムQ、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(Tempolとしても公知である)、ルテイン、ブチル化ヒドロキシトルエン、レスベラトロール(resveratrol)、トロロクス(trolox)アナログ(PNU−83836−E)およびビルベリー抽出液が挙げられる。
【0042】
第2薬剤として特定の抗酸化剤と組み合わせた式(I)の化合物は、乾性加齢性黄斑変性およびシュタルガルト病が挙げられるがこれらに限定されない、種々の黄斑変性およびジストロフィを患う患者またはこれを罹患しやすい患者に利点を提供するために、使用することができる。すなわち、本発明者らは、特定の抗酸化剤と組み合わせた式(I)の化合物は、そのようなヒトの患者に以下に記載する利点の少なくともいくつかを提供することができると考える:オール−トランス−レチナールの量の減少、A2Eの形成の減少、リポフスチンの形成の減少、ドルーゼンの形成の減少および光感受性の減少。
【0043】
特定の負荷電リン脂質の使用もまた、黄斑変性およびジストロフィを有する患者に利点を提供することが示されている。たとえば、Shaban&Richter,Biol.Chem.,383:537−45(2002);Shabanら,Exp.Eye Res.,75:99−108(2002)参照。単なる一例として、本明細書で挙げられる式(I)の構造を有する化合物の少なくとも1種と組み合わせて使用することのできる適切な負荷電リン脂質として、ルテイン、ゼアキサンチン、カルジオリピンおよびホスファチジルグリセロールが挙げられる。
【0044】
第2薬剤として特定の負荷電リン脂質と組み合わせた式(I)の化合物は、乾性加齢性黄斑変性およびシュタルガルト病が挙げられるがこれらに限定されない、種々の黄斑変性およびジストロフィを患う患者またはこれを罹患しやすい患者に利点を提供するために、使用することができる。すなわち、本発明者らは、特定の負荷電リン脂質と組み合わせた式(I)の化合物は、そのようなヒトの患者に以下に記載する利点の少なくともいくつかを提供することができると考える:オール−トランス−レチナールの量の減少、A2Eの形成の減少、リポフスチンの形成の減少、ドルーゼンの形成の減少および光感受性の減少。
【0045】
適切な一酸化窒素(NO)誘発物質として、インビボで、内因性NOを刺激する化合物、または内皮由来血管弛緩因子(EDRF)のレベルを上昇させる化合物が挙げられる。または、適切な一酸化窒素誘発物質は、一酸化窒素シンターゼの基質である。そのような化合物として、たとえば、L−アルギニン、L−ホモアルギニンおよびN−ヒドロキシ−L−アルギニン、およびそれらのニトロソ化アナログおよびニトロシル化アナログ(たとえば、ニトロソ化L−アルギニン、ニトロシル化L−アルギニン、ニトロソ化N−ヒドロキシ−L−アルギニン、ニトロシル化N−ヒドロキシ−L−アルギニン、ニトロソ化L−ホモアルギニンおよびニトロシル化L−ホモアルギニン);L−アルギニンの前駆体および/またはその生理学的に受容可能な塩類(たとえば、シトルリン、オルニチン、グルタミン、リジン、これらのアミノ酸の少なくも1種を含有するポリペプチド)、酵素アルギナーゼのインヒビター(たとえば、N−ヒドロキシ−L−アルギニンおよび2(S)−アミノ−6−ボロノへキサン酸)および一酸化窒素シンターゼの基質;サイトカイン、アデノシン、ブラジキニン、カルレチクリン、ビサコジルおよびフェノールフタレインが挙げられる。EDRFは、内皮によって分泌される血管弛緩因子であり、一酸化窒素(NO)またはその密接に関連する誘導体として同定されている(Palmerら,Nature,327:524−526(1987);Ignarroら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:9265−9269(1987))。さらに、スタチンは適切な一酸化窒素誘発物質として作用し、スタチンとしては、ほんの一例として、ロスバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン、ベロスタチン、フラバスタチン、コンパクチン、ロバスタチン、ダルバスタチン、フルインドスタチン、アトロバスタチン、アトロバスタチンカルシウム(アトロバスタチンのヘミカルシウム塩)およびジヒドロコンパクチンが挙げられる。
【0046】
第2薬剤としての適切な一酸化窒素と組み合わせた式(I)の化合物は、乾性加齢性黄斑変性およびシュタルガルト病が挙げられるがこれらに限定されない、種々の黄斑変性およびジストロフィを患う患者またはこれを罹患しやすい患者に利点を提供するために、使用することができる。すなわち、本発明者らは、適切な一酸化窒素と組み合わせた式(I)の化合物は、そのようなヒトの患者に以下に記載する利点の少なくともいくつかを提供することができると考える:オール−トランス−レチナールの量の減少、A2Eの形成の減少、リポフスチンの形成の減少、ドルーゼンの形成の減少および光感受性の減少。
【0047】
本明細書で挙げられる式(I)の化合物と組み合わせて使用してもよい適切な抗炎症剤として、ほんの一例として、アスピリンおよび他のサリチレート、クロモリン、ネドクロミル、テオフィリン、ジロートン、ザフィルルカスト、モンテルカスト、プランルカスト、インドメタシンおよびリポオキシゲナーゼインヒビター;非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)(たとえば、イブプロフェンおよびナプロキセン);プレドニゾン、デキサメタゾン、シクロオキシゲナーゼインヒビター(すなわち、NaproxenTM、CelebrexTMまたはVioxxTMのようなCOX−1インヒビターおよび/またはCOX−2インヒビター);スタチン類(ほんの一例として、ロスバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン、ベロスタチン、フラバスタチン、コンパクチン、ロバスタチン、ダルバスタチン、フルインドスタチン、アトロバスタチン、アトロバスタチンカルシウム(アトロバスタチンのヘミカルシウム塩)およびジヒドロコンパクチン);および解離ステロイド類が挙げられる。
【0048】
第2薬剤として適切な抗炎症剤と組み合わせた式(I)の化合物は、乾性加齢性黄斑変性およびシュタルガルト病が挙げられるがこれらに限定されない、種々の黄斑変性およびジストロフィを患う患者またはこれを罹患しやすい患者に利点を提供するために、使用することができる。すなわち、本発明者らは、適切な抗炎症剤と組み合わせた式(I)の化合物は、そのようなヒトの患者に以下に記載する利点の少なくともいくつかを提供することができると考える:オール−トランス−レチナールの量の減少、A2Eの形成の減少、リポフスチンの形成の減少、ドルーゼンの形成の減少および光感受性の減少。
【0049】
第2薬剤として適切な13−シス−レチノイン酸の異性体、そのエステル誘導体およびアミド誘導体(ほんの一例として、それぞれトレチノインおよびフェンレチニドとしても公知であるオール−トランス−レチノイン酸が挙げられる)と組み合わせた式(I)の化合物は、乾性加齢性黄斑変性およびシュタルガルト病が挙げられるがこれらに限定されない、種々の黄斑変性およびジストロフィを患う患者またはこれを罹患しやすい患者に利点を提供するために、使用することができる。すなわち、本発明者らは、適切な13−シス−レチノイン酸の異性体、そのエステル誘導体およびアミド誘導体(ほんの一例として、それぞれトレチノインおよびフェンレチニドとしても公知であるオール−トランス−レチノイン酸が挙げられる)と組み合わせた式(I)の化合物は、そのようなヒトの患者に以下に記載する利点の少なくともいくつかを提供することができると考える:オール−トランス−レチナールの量の減少、A2Eの形成の減少、リポフスチンの形成の減少、ドルーゼンの形成の減少および光感受性の減少。さらに、そのような異性体およびその誘導体は、式(I)の化合物と相乗的に作用し得、したがって、望ましくない副作用および/または毒性を持つ薬剤の少ない投与量を可能にする。
【0050】
ほんの一例として、式(I)の化合物の処置は、第2薬剤としてのビタミンAおよびCの投与前、投与中、投与後に投与することができる。ほんの一例として、式(I)の化合物の処置は、第2薬剤としてのビタミンAおよびEの投与前、投与中、投与後に投与することができる。ほんの一例として、式(I)の化合物の処置は、第2薬剤としてのビタミンEおよびCの投与前、投与中、投与後に投与することができる。さらに想定される選択肢として、他の薬剤の1回または複数回投与と組み合わせた、いずれかの薬剤の複数回投与も含まれる。
【0051】
ほんの一例として、式(I)の化合物の処置は、第2薬剤としての特定の鉱物の投与前、投与中、投与後に投与することができる。ほんの一例として、式(I)の化合物での治療は、第2薬剤としての特定の抗酸化剤の投与前、投与中および/または投与後に投与することができる。ほんの一例として、式(I)の化合物の処置は、第2薬剤としての特定の負荷電リン脂質の投与前、投与中、投与後に投与することができる。ほんの一例として、式(I)の化合物の処置は、第2薬剤としての適切な一酸化窒素誘発物質の投与前、投与中および/または投与後に投与することができる。ほんの一例として、式(I)の化合物の処置は、第2薬剤としての適切な抗炎症剤の投与前、投与中および/または投与後に投与することができる。さらに、想定される選択肢として、第2薬剤の1回または複数回投与と組み合わせた、第1薬剤の複数回投与も含まれる。
【0052】
さらなる第2薬剤は、DHA、すなわちドコサヘキサエン酸であり、これは、シュタルガルト黄斑ジストロフィおよびシュタルガルト様黄斑ジストロフィを有する患者の黄斑機能を改善する栄養補助食品であると考えられている。DHAは、正常な脳および眼の発生に必須の脂肪酸である。これは食餌の中に普通に見られるものであるが、大量ではない。遺伝子における突然変異であるELOVL4(超長鎖脂肪酸−4の伸張)は、シュタルガルト様黄斑ジストロフィを有する個体の中に見出されている。補助物は、いくつかの眼疾患の進行の防止または遅延を助け得る。DHAの投与量は、200〜4000mg/日の範囲であり得る。
【0053】
視覚サイクル。脊椎動物の網膜は、2つのタイプの光受容体細胞を含む。杆体は、暗い光の条件下での視力に特化している。錐体は、敏感性に劣るが、高い時間解析能かつ空間解析能で視覚を提供し、色彩知覚を与える。日光の条件下では杆体反応は飽和し、視覚は、錐体によって完全に調整される。両細胞タイプとも、大量の膜状円盤を含む外節と呼ばれる構造を含む。視覚変換の反応は、これらの円盤の表面上で行われる。視覚の第1ステップは、レチナール発色団の11−シスからオール−トランスへの異性体化を包含する、オプシン−色素分子による光子の吸収である。光感度が回復できる前は、得られたオール−トランス−レチナールが、オプシンアポタンパク質から解離し、11−シス−レチナールに異性化しなければならない。
【0054】
黄斑または網膜の変性およびジストロフィ。黄斑変性(網膜変性とも言われる)は、網膜の中心部である黄斑の悪化を含む、眼の疾患である。黄斑変性の症例の約85%〜90%が、「乾性」(萎縮性または非血管新生)型である。「乾性」黄斑変性では、網膜の悪化は、黄斑下におけるドルーゼンとして公知の小さい黄色の沈着物の形成に関係する。この現象は、黄斑の薄化(thinning)および乾燥をもたらす。ドルーゼンによって起こる網膜中の薄化の位置および量は、中央視力喪失の量に直接相関する。ドルーゼンを覆う網膜および光受容体の着色層の変性は萎縮性になり、中心視力のゆっくりとした喪失をもたらし得る。
【0055】
シュタルガルト病は、子供時代に発症する黄斑変性の劣性型として表れる黄斑ジストロフィである。たとえば、Allikmetsら,Science,277:1805−07(1997);Lewisら,Am.J.Hum.Genet.,64:422−34(1999);Stoneら,Nature Genetics,20:328−29(1998);Allikmets,Am.J.Hum.Gen.,67:793−799(2000);Kleveringら,Ophthalmology,111:546−553(2004)を参照のこと。シュタルガルト病は、中心視力の進行性喪失および黄斑を覆うRPEの進行性萎縮によって臨床的に特徴づけられる。RmPのヒトABCR遺伝子における突然変異が、シュタルガルト病の原因である。疾患経過の初期では、患者は、暗順応に遅れを示すが、それ以外は正常な杆体機能を示す。組織学的には、シュタルガルト病は、RPE細胞中におけるリポフスチン色素粒体の沈着と関係する。
【0056】
シュタルガルト病のほかに、ABCRにおける突然変異は、劣性色素性網膜炎と関連付けられており(たとえばCremersら,Hum.Mol.Genet.,7:355−62(1998)を参照のこと)、劣性錐体−杆体ジストロフィと関連付けられており(前記文献を参照のこと)、そして、非滲出性加齢性黄斑変性(AMD)と関連付けられている(たとえばAllikmetsら,Science,277:1805−07(1997);Lewisら,Am.J.Hum.Genet.,64:422−34(1999)を参照のこと)が、AMDにおけるABCR突然変異の有症率はまだ未確定である(Stoneら,Nature Genetics,20:328−29(1998);Allikmets,Am.J.Hum.Gen.,67:793−799(2000);Kleveringら,Ophthalmology,111:546−553(2004)を参照のこと)。シュタルガルト病と同様に、これらの疾患も、杆体暗順応の遅れを伴う。Steinmetzら,Brit.J.Ophthalm.,77:549−54(1993)参照のこと。RPE細胞中のリポフスチン沈着は、AMDにおいても顕著に見られ(Kliffenら,Microsc.Res.Tech.,36:106−22(1997)参照のこと)、そして色素性網膜炎のいくつかの症例においても顕著に見られ(Bergsmaら,Nature,265:62−67(1977)を参照のこと)。
【0057】
(化学用語)
「アルコキシ」基は、(アルキル)O−基を言い、アルキルは本明細書で規定するとおりである。
【0058】
「アルキル」基は、脂肪族炭化水素基を言う。アルキル部分は、「飽和アルキル」基でもよく、これは、いかなるアルケン部分またはアルキン部分も含まないことを意味する。また、アルキル部分は、「不飽和アルキル」部分であってもよく、これは、少なくとも1個のアルケン部分またはアルキン部分を含むことを意味する。「アルケン」部分は、少なくとも2個の炭素原子と少なくとも1個の炭素−炭素二重結合とからなる基を言う。「アルキン」部分は、少なくとも2個の炭素原子と少なくとも1個の炭素−炭素三重結合とからなる基を言う。アルキル部分は、飽和であろうと不飽和であろうと、分枝状であっても、直鎖状であってもまたは環状であってもよい。
【0059】
「アルキル」部分は、1〜10個の炭素原子を有する。(本明細書で「1〜10」のような数字範囲が記載されている場合、これは、与えられた範囲内での各整数を言う。たとえば、「1〜40個の炭素原子」は、アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、10個までの炭素原子からなることを意味する。しかし、本定義では、数字範囲を示さない場合の語「アルキル」の出現もまたカバーする。また、アルキル基は、1〜5個の炭素原子を有する「低級アルキル」であってもよい。本明細書に記載されている化合物のアルキル基は、「C1−C4アルキル」または類似の表し方で示され得る。ほんの一例として、「C1−C4アルキル」は、アルキル鎖中に1〜4個の炭素原子があること、すなわち、アルキル鎖がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルからなる群から選択されることを示す。代表的なアルキル基として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
用語「アルキルアミン」は、−N(アルキル)xHy基を言い、式中、xおよびyは、x=1、y=1およびx=2、y=0の群から選択される。x=2の場合、アルキル基は、一緒になって、必要に応じて環状環系を形成し得る。
【0061】
用語「アルケニル」は、アルキル基の最初の2個の原子が、芳香族基一部分ではない二重結合を形成しているタイプのアルキル基を言う。すなわち、アルケニル基は、原子群:−C(R)=C−R(ここで、Rは、アルケニル基の残りの部分をいい、これらは同じでも異なっていてもよい)から始まる。アルケニル基の非限定の例としては、−CH=CH、−C(CH)=CH、−CH=CCHおよび−C(CH)=CCHが挙げられる。アルケニル部位は、分枝状、直鎖状、環状(この場合、「シクロアルケニル」基として公知である)であってもよい。
【0062】
用語「アルキニル」は、アルキル基の最初の2個の原子が三重結合を形成しているタイプのアルキル基を言う。すなわち、アルキニル基は、原子群:−C≡C−R(ここで、Rは、アルキニル基の残りの部分をいい、これらは同じでも異なっていてもよい)から始まる。アルキニル基の非限定の例としては、−C≡CH、−C≡CCHおよび−C≡CCHCHが挙げられる。アルキニル部分の「R」部分は、分枝状、直鎖状、環状であってもよい。
【0063】
「アミド」は、式:−C(O)NHRまたは−NHC(O)R(ここで、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合)およびヘテロ脂環式(環炭素を介して結合)からなる群から選択される)を有する化学的部分である。アミドは、式(I)の化合物に結合するアミノ酸またはペプチド分子であって、それによってプロドラッグを形成し得る。本明細書に記載の化合物上の任意のアミン側鎖、ヒドロキシ側鎖またはカルボキシル側鎖を、アミド化することができる。そのようなアミド類を製造する手順および特定の基は、当業者に公知であり、以下のような参考文献において容易に見出され得る:GreeneおよびWuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版,John Wiley&Sons,New York,NY,1999(これはその全体が参考として本明細書に援用される)。
【0064】
用語「芳香族」または「アリール」は、共役π電子系を持つ環を少なくとも1個有し、炭素環式アリール(たとえばフェニル)およびヘテロ環式アリール(または「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」)基(たとえばピリジン)の両方を含む芳香族基を言う。該用語は、単環式および縮合環式多環(すなわち、隣り合う炭素原子対を共有する環)基も含む。用語「炭素環」は、共有結合による閉環構造を1個以上含み、該環の骨格を形成する原子は、全て炭素原子である化合物を言う。したがって、該用語は、環の骨格に炭素とは異なる原子を少なくとも1個含むヘテロ環から炭素環を区別する。
【0065】
「シアノ」基は、−CN基を言う。
【0066】
用語「シクロアルキル」は、炭素および水素のみを含む単環式ラジカルまたは多環式ラジカルを言い、飽和であっても、部分的に不飽和であっても、または完全に不飽和であってもよい。シクロアルキル基は、3〜10個の環原子を有する基を含む。シクロアルキル基の代表的な例として、以下の部分が挙げられる:
【0067】
【化16】

など。
【0068】
用語「エステル」は、式:−COOR(ここで、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合)およびヘテロ脂環式(環炭素を介して結合)からなる群から選択される)を有する化学的部分である。本明細書に記載の化合物上の任意のアミン側鎖、ヒドロキシ側鎖またはカルボキシル側鎖を、エステル化することができる。そのようなエステル類を製造する手順および特定の基は、当業者に公知であり、以下のような参考文献において容易に見出され得る:GreeneおよびWuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版,John Wiley&Sons,New York,NY,1999(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)。
【0069】
用語「ハロ」あるいは「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。好ましいハロ基は、フッ素、塩素および臭素である。
【0070】
用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロアルキニル」および「ハロアルコキシ」は、1個以上のハロ基またはその組み合わせで置換した、アルキル構造、アルケニル構造、アルキニル構造およびアルコキシ構造を含む。用語「フルオロアルキル」および「フルオロアルコキシ」は、それぞれ、ハロアルキル基およびハロアルコキシ基を含み、ここで、ハロはフッ素である。
【0071】
用語「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」および「ヘテロアルキニル」は、必要に応じて置換されたアルキルラジカル、アルケニルラジカルおよびアルキニルラジカルであって、炭素以外の原子(たとえば、酸素、窒素、イオウ、リンまたはこれらの組み合わせ)から選択される、骨格鎖原子として1個以上有する。
【0072】
用語「ヘテロアリール」あるいは「ヘテロ芳香族」は、窒素、酸素およびイオウから選択される環ヘテロ原子を1個以上含むアリール基を言う。N含有「ヘテロ芳香族」部分またはN含有「ヘテロアリール」部分は、環の骨格原子の少なくとも1個が窒素原子である芳香族基を言う。多環式ヘテロアリール基は、縮合であっても、または非縮合であってもよい。例示的なヘテロアリール基として、以下の部分が挙げられる:
【0073】
【化17】

など。
【0074】
用語「複素環」は、それぞれO、SおよびNから選択される1〜4個のヘテロ原子を含むヘテロ芳香族基およびヘテロ脂環式基であって、各ヘテロ環基は、その環系中に4〜10個の原子を持つが、ただし、前記基の環は2個の隣り合うO原子またはS原子を含まないことが条件である基を言う。非芳香族ヘテロ環式基は、その環系中に4個の原子のみを持つ基を含むが、芳香族ヘテロ環式基は、その環系中に少なくとも5個の原子を持たなければならない。ヘテロ環式基は、ベンゾ縮合環系を含む。4員のヘテロ環式基の例は、アゼチジニル(アゼチジンから誘導される)である。5員のヘテロ環式基の例は、チアゾリルである。6員のヘテロ環式基の例は、ピリジルであり、10員のヘテロ環式基の例は、キノリニルである。非芳香族ヘテロ環式基の例としては、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノニ、チオキサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼパニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H−インドリルおよびキノリジニルである。芳香族ヘテロ環式基の例は、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、およびフロピリジニルである。上に列挙した群から誘導されるような、上に記載した基は、可能である場合、Cに結合してもNに結合してもよい。たとえば、ピロールから誘導される基は、ピロール−1−イル(Nに結合)またはピロール−3−イル(Cに結合)でもよい。さらに、イミダゾールから誘導される基は、イミダゾール−1−イルもしくはイミダゾール−3−イル(両方Nに結合)またはイミダゾール−2−イル、イミダゾール−4−イルもしくはイミダゾール−5−イル(全てCに結合)であってもよい。ヘテロ環式基は、ベンゾ縮合環系、およびピロリジン−2−オンのような1個または2個のオキソ(=O)部分で置換された環系を含む。
【0075】
「ヘテロ脂環式基は」、窒素、酸素およびイオウから選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含むシクロアルキルを言う。ラジカルは、アリールと縮合してもヘテロアリールと縮合してもよい。ヘテロシクロアルキル基の例として、以下が挙げられる:
【0076】
【化18】

など。
【0077】
また、用語「ヘテロ脂環式」は、炭水化物の全ての環形態を含み、この炭水化物としては、単糖類、二糖類およびオリゴ糖類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
用語「員環」は、任意の環構造を包含しうる。用語「員」は、環を構成する骨格原子の数を表すことを意味する。したがって、たとえば、シクロヘキシル、ピリジン、ピラン、およびチオピランは6員環であり、シクロペンチル、ピロール、フラン、およびチオフェンは、5員環である。
【0079】
「イソシアナト」基は、−NCO基を言う。
【0080】
「イソチオシアナト」基は、−NCS基を言う。
【0081】
「メルカプチル」基は、(アルキル)S−基を言う。
【0082】
用語「求核物質」および「求電子物質」は、本明細書では、合成有機化学および/または物理有機化学でよく使用される通常の意味を持つ。炭素求電子物質は、通常、炭素それ自体より大きなポーリングの電気陰性度を持つ任意の原子または基で置換されている、1個以上のアルキル、アルケニル、アルキニルまたは芳香族(sp、spまたはspハイブリダイゼーション)炭素原子を含む。炭素求電子物質の例として、カルボニル類(アルデヒド類、ケトン類、エステル類、アミド類)、オキシム類、ヒドラゾン類、エポキシド類、アジリジン類、アルキルハライド類、アルケニルハライド類およびアリールハライド類、アシル類、スルホネート類(アリール、アルキルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。炭素求電子物質の他の例として、電子求引性基と電気的に結合体化した不飽和炭素原子が挙げられ、例として、α−不飽和ケトン中の6−炭素、または、フッ素で置換されたアリール基中の炭素原子があげられる。炭素求電子を作製する方法、特に正確に制御された生成物を得る方法は、有機合成の当業者に公知である。
【0083】
芳香族置換基の相対配置(オルト、メタおよびパラ)は、そのような立体異性体に対し、特有の化学を与え、芳香族化学の分野内でよく認識されている。パラ−置換パターンおよびメタ−置換パターンは、2つの置換基を異なる方向に向かわせる。オルト置換は、互いに60°の方向に向かい、メタ位置換は、互いに120°の方向に向かい、パラ位置換は、互いに180°の方向に向かう。
【0084】
【化19】

また、置換基の相対配置、つまり、オルト、メタ、パラは、置換基の電気的特性にも影響を与える。いかなる特定のタイプまたはレベルの理論に縛られるものでもないが、オルト位およびパラ位に配置された置換基は、互いに電気的に影響し、対応するメタ位の置換基に比べてより大きく影響することは公知である。メタ位の芳香族は、しばしば、対応するオルト位およびパラ位の芳香族とは異なる経路を使用して合成される。
【0085】
用語「部分(moiety)」は、分子の特定のセグメントまたは官能基を言う。化学的部分は、分子中に存在するかまたは分子に付属する化学的実態であるとしばしば認識される。
【0086】
用語「結合」または「単結合」は、結合によって一緒になった原子が、より大きな下位構造の一部であると考えられる場合、2個の原子または2個の部分の間の化学結合を言う。
【0087】
「スルフィニル」基は、−S(=O)−Rを言い、ここで、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合する)およびヘテロ脂環式(環炭素を介して結合する)からなる群から選択される。
【0088】
「スルホニル」基は、−S(=O)−Rを言い、ここで、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合する)およびヘテロ脂環式(環炭素を介して結合する)からなる群から選択される。
【0089】
「チオシアナト」基は、−CNS基を言う。
【0090】
用語「必要に応じて置換される」は、参照される基が1個以上の追加的な基(複数を含む)で個々に置換されていてもよいことを意味し、置換基は、独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、チオカルボニル、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、ペルハロアルキル、ペルフルオロアルキル、シリル、モノ置換アミノ基およびジ置換アミノ基を含むアミノ、ならびにその保護誘導体から選択される。上記置換基の保護誘導体を形成し得る保護基は、当業者に公知であり、上記GreeneおよびWutsのような文献中に見出され得る。
【0091】
本明細書に挙げられた化合物は、1個以上の不斉中心を持っていてもよく、各中心は、R配置中またはS配置中に存在してもよい。本明細書に挙げられた化合物は、ジアステレオマー形態、光学異性体形態およびエピマー形態を全て含み、さらにこれらの適正な混合物も含む。所望であれば、当該分野で公知の方法、たとえば、キラルクロマトグラフィーカラムによる立体異性体の分離によって、立体異性体を得てもよい。
【0092】
本明細書に記載された方法および処方物は、式(I)の構造を持つ化合物のN−オキシド類、結晶形態(多形としても公知である)または薬学的に受容可能な塩類、ならびに、同じタイプの活性を持つこれらの化合物の活性代謝物の使用を包含する。いくつかの場合において、この化合物は、互変異性体として存在してもよい。全互変異性体が、本明細書に示された化合物の範囲内に包含される。さらに、本明細書に記載された化合物は、非溶媒和物形態で存在し得、そして、水、エタノールなどのような薬学的に受容可能な溶剤とともに溶媒和物形態で存在し得る。また、本明細書に示される化合物の溶媒和物形態は、ここで開示されたものであるとみなされる。
【0093】
(薬学的組成物)
別の態様では、本明細書で記載する式(I)の化合物と、薬学的に受容可能な希釈剤、賦形剤またはキャリアとを含有する薬学的組成物が提供される。
【0094】
用語「薬学的組成物」は、本明細書で挙げられた第2薬剤と組合わされた式(I)の化合物と、キャリア、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤および/または賦形剤のような他の化学成分との混合物を言う。該薬学的組成物は、生物への化合物の投与を容易にする。化合物を投与する複数の技術が当該分野に存在し、静脈内投与、経口投与、エアロゾル投与、非経口投与、眼内投与、肺投与および局所投与が挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
用語「キャリア」は、比較的非毒性の化学化合物または薬剤であって、細胞または組織への化合物の導入を促進するものを言う。
【0096】
用語「希釈剤」は、送達前に目的の化合物を希釈するために使用される化学化合物をいう。また、希釈剤は、より安定な環境を提供することができるため、化合物を安定化するために使用することもできる。緩衝化溶液に溶解された塩類(pH制御を提供する)は、当該分野では、希釈剤として利用される。一般的に使用される緩衝溶液の1つは、リン酸緩衝生理食塩水である。これは、血液系において天然に見出される緩衝液である。
【0097】
用語「生理学的に受容可能な」は、化合物の生物学的活性または特性を抑制せず、非毒性である、キャリアや希釈剤のような物質を言う。
【0098】
用語「薬学的に受容可能な塩」は、投与される生物に対し有意な刺激作用を起こさず、化合物の生物学的活性および特性を抑制しない化合物の処方を言う。薬学的に受容可能な塩類は、本明細書中で挙げられた第2薬剤と組合わされた式(I)の化合物を、塩酸、臭素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などのような酸と反応させることによって、得られ得る。また、薬学的に受容可能な塩類は、本明細書中で挙げられた第2薬剤と組合わされた式(I)の化合物を塩基と反応させ、アンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩またはマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン、N−メチル−D−グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンのような有機塩基の塩、アルギニン、リジンなどのようなアミノ酸との塩のような塩を形成してもよく、当該分野で公知の他の方法によって形成してもよい。
【0099】
本明細書で開示する化合物の「代謝物」は、化合物が代謝するときに形成される化合物の誘導体である。用語「活性代謝物」は、化合物が代謝するときに形成される化合物の、生物学的に活性な誘導体である。用語「代謝される」は、特定の物質が生物によって変えられるプロセス(加水分解反応、および酵素による触媒反応が挙げられるがこれらに限定されない)を総合したものを言う。したがって、酵素は、特定の構造的改変を化合物に起こすことができる。たとえば、シトクロームP450は、種々の酸化反応および還元反応を触媒し、一方で、ウリジン二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼは、活性化されたグルクロン酸分子の、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸類、アミン類および遊離スルフヒドリル基への転移を触媒する。代謝に関するさらなる情報は、The Pharmacological Basis of Therapeutics,第9版,McGraw−Hill(1996)から得ることができる。
【0100】
本明細書中で開示される化合物の代謝物は、宿主への化合物の投与および該宿主からの組織サンプルの分析、または、インビトロでの肝細胞と化合物とのインキュベーションおよび得られた化合物の分析の、いずれかによって同定することができる。両方法とも当該分野で周知である。
【0101】
「プロドラッグ」は、インビボで親薬物に変換される薬剤を言う。プロドラッグは、いくつかの場合、親薬物より容易に投与され得るので、しばしば有用である。たとえば、プロドラッグは、経口投与により生物が利用可能になり得るが、親薬物はそうではない。また、プロドラッグは、薬学的組成物において、親薬物を超えて改良された溶解性を有する。プロドラッグの例は、非限定で、本明細書に列挙される第2薬剤と組み合わせた式(I)化合物であり、この化合物は、エステル(「プロドラッグ」)として投与され、細胞膜を横切る移動を促進する。ここで、水溶性は、移動性に有害であるが、代謝的にカルボン酸(活性な実体)に加水分解される場合、それが一旦細胞内に入れば、水溶性は有益である。さらなるプロドラッグの例としては、酸の基へ結合した短鎖ペプチド(ポリアミノ酸)であり、ここで、ペプチドが代謝されて活性部分を明らかにする。
【0102】
本明細書に記載された化合物は、ヒト患者に、それ自体で投与されてもよく、あるいは組み合わせ治療におけるように他の活性成分と混合された薬学的組成物、または適切なキャリア(複数を含む)もしくは賦形剤(複数を含む)と組み合わせた薬学的組成物において、投与されてもよい。本願の化合物の処方および投与ための技術は、“Remington:The Science and Practice of Pharmacy”第20版(2000)において見出され得る。
【0103】
(投与の経路)
投与の適切な経路は、たとえば、経口投与、直腸投与、経粘膜投与、肺投与、眼内投与あるいは腸内投与を含み得、非経口送達として、筋肉内注射、皮下注射、静脈内注射、骨髄内注射、および、くも膜下内注射、直接心室内注射、腹腔内注射、鼻腔内注射または眼内注射が挙げられる。
【0104】
あるいは、化合物を、全身的方法ではなく局所的に投与することができる。たとえば、化合物の注射を、直接に器官内に、多くの場合、デポー処方物または持続性処方物として投与してもよい。さらに、たとえば、器官特異的抗体でコーティングしたリポソ−ム中で、標的化薬物送達系において薬物を投与してもよい。リポソームは、器官によって選択的に標的化され、取り込まれる。
【0105】
(組成物/処方物)
式(I)の化合物および/または本明細書で挙げられる第2薬剤を含有する薬学的組成物は、公知である様式(たとえば、従来的な混合プロセス、溶解プロセス、造粒プロセス、糖衣製造プロセス、研磨プロセス、乳化プロセス、カプセル化プロセス、密閉プロセスまたは圧縮プロセス)によって製造され得る。
【0106】
薬学的組成物は、活性化合物の薬学的に使用され得る調製物への加工を促進する、賦形剤および補助剤を含む生理学的に受容可能なキャリアを1種以上使用して、従来的な様式で処方され得る。適正な処方物は、選択する投与の経路に依る。周知の技術、キャリアおよび賦形剤のいずれも、当該分野において適切なものとして使用され得、そして理解される(たとえば、前述のRemington’s Pharmaceutical Sciences)。
【0107】
式(I)の化合物および/または本明細書に列挙される第2薬剤は、眼への局所的送達の全ての形態を含む種々の方法で投与することができる。さらに、式(I)の化合物および/または本明細書に列挙される第2薬剤は、経口投与または静脈内投与のように全身的に投与することができる。式(I)の化合物および/または本明細書に列挙される第2薬剤は、眼に局所的に投与することができ、溶液、懸濁液、ゲル、または軟膏のような、種々の局所投与可能眼内組成物に処方することができる。したがって、「眼内投与」は、眼内注射、網膜下注射、硝子体内注射、眼周囲投与、結膜下注射、眼球後注射、前房内注射(前室すなわち硝子体眼房を含む)、トノン下(sub−Tenon’s)注射、または移植片、点眼溶液、点眼懸濁液、点眼軟膏、眼内レンズ、および眼球挿入物、眼内溶液、イオン泳動の使用、外科的洗浄溶液中への組み込みおよびパック(pack)(ほんの一例として、脳弓内に挿入された飽和綿球)への組み込みを包含するが、これらに限定されない。
【0108】
組成物の眼への投与は、一般的には、薬剤と角膜との直接接触をもたらし、投与された薬剤の少なくとも一部が角膜を通りぬける。この組成物は、眼中において、効果的な滞留時間を有し、この時間は多くの場合、約2〜約24時間であり、より一般的には、約4〜約24時間であり、最も一般的には、約6〜約24時間である。
【0109】
式(I)の化合物および/または本明細書に列挙される第2薬剤を含有する組成物は、薬剤が溶液、懸濁液、またはその両方中に存在する液体の形を取ることができる。通常、組成物を溶液または懸濁液として投与する場合、薬剤の第1の部分は溶液として存在し、薬剤の第2の部分は液体マトリックス中の懸濁液中の粒状形態として存在する。いくつかの実施態様では、液体組成物は、ゲル処方物を含んでもよい。他の実施態様では、液体組成物は水性である。あるいは、組成物は、軟膏の形態を取ることができる。
【0110】
有用な組成物は、水性溶液、懸濁液または溶液/懸濁液であり得、これらは点眼剤の形態で提供され得る。望ましい投薬量は、公知の数の滴によって眼に投与され得る。たとえば、1滴の容積が25μlであれば、1〜6滴の投与で25〜150μlの組成物が送達される。水性組成物は、通常、約0.01%〜約50%重量/容量、より典型的には約0.1%〜約20%重量/容量、さらにより典型的には約0.2%〜約10%重量/容量、最も典型的には約0.5%〜約5%重量/容量の式(I)の化合物および/または本明細書中に列挙される第2薬剤を含有する。
【0111】
通常、水性組成物は、眼内で受容可能なpHと浸透圧とを有する。処方物、組成物または成分に関し、「眼内で受容可能な」は、通常、処置した眼もしくはその機能、または処置を受けた被験体の一般的な健康に対し、持続的に有害な影響を持たないことを言う。小さな刺激や「刺痛」感のような一過性の影響は、薬剤の局所眼内投与にはよくあることで、「眼内に受容可能な」という問題における処方物、組成物、または成分と両立する。
【0112】
また、有用な水性懸濁液は、懸濁化剤として1種以上のポリマーを含有し得る。有用なポリマーとして、セルロース系ポリマー(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)のような水溶性ポリマー、架橋カルボキシル含有ポリマーのような水不溶性ポリマーが挙げられる。また、有用な組成物は、たとえば、カルボキシメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/ブチルアクリレート共重合体、アルギン酸ナトリウムおよびデキストランから選択される、眼内で受容可能な粘膜付着性ポリマーを含有し得る。
【0113】
また有用な組成物は、式(I)の化合物および/または本明細書中に列挙された第2薬剤の溶解性を補助する、眼内で受容可能な可溶化剤を含んでもよい。用語「可溶化剤」は、一般的に、薬剤のミセル溶液または真性溶液を形成する薬剤を含む。眼内で受容可能な非イオン系界面活性剤、たとえば、ポリソルベート80は、可溶化剤として有用であり得、眼内で受容可能なグリコール類、ポリグリコール類、たとえばポリエチレングリコール400およびグリコールエーテルであってもよい。
【0114】
また、有用な組成物は、1種以上の眼内で受容可能なpH調整剤または緩衝剤を含んでもよく、pH調整剤または緩衝剤としては、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、塩酸のような酸;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびトリス−ヒドロキシメチルアミノメタンのような塩基;およびクエン酸塩/デキストロース、炭酸水素ナトリウムおよび塩化アンモニウムのような緩衝液が挙げられる。このような酸、塩基および緩衝液は、組成物のpHを眼内で受容可能な範囲に保つために必要な量含まれる。
【0115】
また、有用な組成物は、1種以上の眼内で受容可能な塩を、組成物の浸透圧を眼内で受容可能な範囲にするために必要な量含んでもよい。そのような塩として、ナトリウムカチオン、カリウムカチオンまたはアンモニウムカチオン、および塩酸塩アニオン、クエン酸塩アニオン、アスコルビン酸塩アニオン、ホウ酸塩アニオン、リン酸塩アニオン、炭酸水素塩アニオンまたは硫酸塩アニオン、チオ硫酸塩アニオン、または亜硫酸水素塩アニオンを持つ塩が挙げられ、適切な塩として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムおよび硫酸アンモニウムが上げられる。
【0116】
また、他の有用な組成物は、微生物の活動を阻害する眼内で受容可能な保存剤を1種以上含んでもよい。適切な保存剤として、メルフェンおよびチオメルサールのような水銀含有物質;安定化された二酸化塩素;および塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウムおよび塩化セチルピリジニウムのような第四級アンモニウム化合物が挙げられる。
【0117】
また更に他の有用な組成物は、物理的安定性を強化するため、または他の目的のために、眼内で受容可能な界面活性剤を1種以上含んでもよい。適切な非イオン系界面活性剤として、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドおよび植物油(たとえば、ポリオキシエチレン(60)水素化ヒマシ油);ならびにポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびアルキルフェニルエーテル(たとえば、オクトキシノール10、オクトキシノール40)が挙げられる。
【0118】
また、さらに有用な組成物は、必要であれば、化学的安定性を高める抗酸化剤を1種以上含んでもよい。適切な抗酸化剤として、ほんの一例として、アルコルビン酸およびメタ重亜硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0119】
水性懸濁組成物は、単回用量用の、再閉鎖できない容器に包装してもよい。あるいは、多回用量用の、再閉鎖可能な容器を使用することもできる。そのような場合、該組成物中には、一般的に保存剤が含まれる。
【0120】
また、眼内組成物は、眼と目蓋との間または結膜嚢に挿入することができ、そこで薬剤を放出する、中実体(solid article)の形態を取り得る。放出は、角膜の表面を覆う涙液に対して、または角膜(一般的に中実体が密接に接している)それ自体に直接行われる。そのような様式での眼中の移植に適切な中実体は、一般的に、主にポリマーによって構成され、生分解性であってもまたは非生分解性であってもよい。
【0121】
静脈内注射に関しては、式(I)の化合物および/または本明細書中で列挙される第2薬剤は、水溶液として処方されてもよく、Hank溶液、リンゲル溶液、または生理食塩緩衝液のような生理適合性緩衝液中で処方されるのが好ましい。経粘膜投与に関しては、浸透すべきバリアに対して適正な浸透剤を処方物中で使用する。そのような浸透剤は、一般的に、当該分野で公知である。他の非経口注射に関しては、水性溶液または非水性溶液が、好ましくは生理適合性緩衝液または賦形剤とともに、適正な処方物中に含まれ得る。そのような賦形剤は、一般的に、当該分野で公知である。
【0122】
大量の式(I)の化合物を安定化するための有用な処方物の1つとして、ほんの一例として、正に帯電したリン脂質、負に帯電したリン脂質、もしくは中性のリン脂質、またはLi,C.Y.ら,Pharm.Res.13:907−913(1996)に記載のもののような胆汁塩/ホスファチジルコリン混合脂質凝集物系が挙げられる。式(I)の構造を持つ化合物に対して同じ目的で使用することのできる追加的な処方には、アルコキシ化ヒマシ油と組み合わせて、エタノールのようなアルコールを含有する溶剤の使用が含まれる。たとえば、米国特許出願公開第2002/0183394号を参照のこと。あるいは、水相に分散したリポイド、安定化させる量の非イオン性界面活性剤、必要に応じて溶剤、および必要に応じて等張剤からなる乳液中に、式(I)の化合物を含有する処方物も挙げられる。前述の文献を参照のこと。
【0123】
経口投与に関して、式(I)の化合物および/または本明細書中で列挙される第2薬剤は、活性化合物と、当該分野で周知である薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤とを組み合わせることによって、簡単に処方することができる。そのようなキャリアによって、治療を受けるべき患者により、経口消化されるために、ここで記載された化合物を、錠剤、散剤、丸剤、糖衣剤、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、エリキシル剤、スラリー、懸濁液などに製剤化することができる。経口用途用の薬学的製剤は、1種以上の固体賦形剤と、本明細書中に記載された化合物1種以上とを混合し、必要に応じて得られた混合物を造粒し、顆粒状の混合物に加工し、所望の場合は、錠剤または糖衣剤コアを得るために適切な補助剤を加えることによって、得られ得る。適切な賦形剤は、特に、乳糖、ショ糖、マンニトールまたはソルビトールを含む糖類のような充填剤;たとえば、とうもろこしデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガントガム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース調製物;ポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)またはリン酸カルシウムのような他のものが挙げられる。所望であれば、崩壊剤を加えてもよく、架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸の塩などである。
【0124】
糖衣剤コアは、適切なコーティングとともに提供される。この目的のため、濃縮砂糖溶液を使用してもよく、この濃縮砂糖溶液は、必要に応じて、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶剤または有機混合物を含んでもよい。識別のためまたは異なる活性化合物投薬物を特徴付けるために、色素または着色剤を錠剤コーティングまたは糖衣剤コーティングに加えてもよい。
【0125】
経口的に使用することのできる薬学的処方物としては、ゼラチンで造られたプッシュ・フィットカプセル、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールのような可塑剤で造られた、柔らかい、密封カプセルが挙げられる。プッシュ・フィットカプセルは、活性成分を、乳糖のような充填剤、デンプンのような結合剤および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤と、必要に応じて安定剤と、混合して含有することができる。ソフトカプセル中には、活性化合物が、脂肪油、液体パラフィンまたは液体ポリエチレングリコールのような適切な液体中に溶解または懸濁されていてもよい。さらに、安定剤が加えられてもよい。経口投与用処方物の全ては、そのような投与に適した投与物であるべきである。
【0126】
経頬投与または舌下投与に関しては、組成物を従来の様式で処方した、錠剤、トローチまたはゲルの形態としてもよい。
【0127】
式(I)の構造を持つ化合物および/または本明細書中で列挙される第2薬剤の投与に有用な別の処方は、経皮送達デバイス(「パッチ」)を使用する。このような経皮パッチは、制御された量で本発明の化合物の連続的なまたは非連続的な注入を提供するために使用され得る。薬学的薬剤の送達のための経皮パッチの構造および用途は、当該分野で周知である。たとえば、米国特許第5,023,252号明細書を参照のこと。このようなパッチは、薬学的薬剤の継続的送達、パルス送達、または要望に応じた送達のために構成され得る。さらに、式(I)の化合物および/または本明細書中で列挙される第2薬剤の経皮送達は、イオン泳動的パッチなどの手段によって達成され得る。経皮パッチは、化合物の制御された送達を提供することができる。吸収速度は、速度制御膜の使用により、または化合物をポリマーマトリックスまたはゲルの内側に閉じ込めることによって遅くすることができる。逆に、吸収促進剤を使用して、吸収を早めることもできる。経皮投与用に適切な処方物は、別個のパッチとして提供されても、ポリマーまたは接着剤中に溶解および/または分散させた、親油性乳液または緩衝水溶液であってもよい。経皮パッチは、眼の上を含む、患者の体の異なる部分に配置され得る。
【0128】
式(I)の構造を持つ化合物および/または本明細書中で列挙される第2薬剤の眼内投与に使用することができる追加的なイオン泳動的デバイスは、Optis France S.A.によって製造され特許されているEyegateアプリケーター、およびIomed Inc.が開発したOcuphorTM、眼球電気泳動システムである。
【0129】
吸入による投与に関しては、式(I)の化合物および/または本明細書中で列挙される第2薬剤は、従来的に、適切な噴霧剤(たとえば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガス)を使用して、加圧パックまたはネブライザーから、エアロゾル・スプレー調製物の形態で、送達されている。加圧エアロゾルの場合、計量した量を送達するために、投薬単位を、バルブを提供することによって測定し得る。吸入器または注入器の使用のために、化合物と乳糖やデンプンのような適切な粉体ベースとの粉体混合物を含有する、例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジを、処方してもよい。
【0130】
化合物は、注射(たとえば、ボーラス注射もしくは点滴)による非経口投与のために処方されてもよい。注射用の処方物は、たとえば、アンプル中の単位投薬形態で調製されてもよく、または保存剤を加えた多回答投薬容器中に調製されてもよい。組成物は、油性ビヒクル中または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、乳液の形態を取ってもよく、懸濁化剤、安定剤および/または分散剤のような調剤用薬剤を含んでもよい。
【0131】
非経口投与用の薬学的処方物としては、水溶性の形態の活性化合物の水溶液が挙げられる。さらに、活性化合物の懸濁液は、適正な油性注射用懸濁液として調製され得る。適切は油性溶剤またはビヒクルとして、ごま油のような脂肪油、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル、またはリポソームが挙げられる。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させる物質、たとえば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランを含んでもよい。また必要に応じて、懸濁液は、適切な安定剤を含んでもよく、または化合物の溶解性を増して高濃度の溶液の調製を可能にする薬剤を含んでもよい。
【0132】
あるいは、活性成分は、使用前は、適切なビヒクル(たとえば発熱性物質除去蒸留水)による構成のための粉末形態であってもよい。
【0133】
また、化合物は、たとえば、カカオバターもしくは他のグリセリドのような従来の坐剤ベースを含有する、直腸ゲル、直腸フォーム、直腸エアロゾル、坐剤または滞留浣腸のような直腸組成物に処方されてもよい。
【0134】
先に記載した処方物に加えて、また、化合物は、デポー調製物として処方されてもよい。このような長く作用する処方物は、移植(たとえば、皮下移植もしくは筋肉内移植)するか、または筋肉内注射によって投与され得る。したがって、たとえば、化合物を、適切な高分子材料または疎水性材料(たとえば、受容可能な油中の乳液)あるいはイオン交換樹脂を用いて処方してもよく、または難溶性誘導体(たとえば難溶性塩)として処方してもよい。
【0135】
注射可能なデポー形態は、生分解性ポリマー中に、式(I)の化合物および/または本明細書中で列挙される第2薬剤の微小カプセルマトリックス(microencapsule matrix)を形成することによって製造され得る。薬物対ポリマーの比および使用する特定のポリマーの性質に依存して、薬剤放出速度は、制御され得る。また、デポー注射可能な処方物は、薬物をリポソームまたは微小乳液中に閉じこめることによって製造され得る。ほんの一例として、後方強膜近傍デポーを、式(I)の構造を持つ化合物および/または本明細書中で列挙される第2薬剤の投与の様式として使用してもよい。強膜は薄い無血管層であり、脊椎動物の眼の殆どを囲む高度に秩序的なコラーゲンネットワークからなる。強膜は無血管性なので、注射された物質が早急に除去されたり、眼から一掃されたりされない、天然の貯蔵デポーとして利用することができる。眼の強膜層に化合物を投与するために使用する処方物は、強膜層への注射に適切な、小さな直径のカニューラを介する注射によって、強膜に適用するのに適切な、任意の形態であり得る。注射可能な適用形態の例は、溶液、懸濁液またはコロイド状懸濁液である。
【0136】
疎水性の式(I)の化合物用の薬学的キャリアは、ベンジルアルコール、無極性界面活性剤、水混和性有機ポリマーおよび水相を含有する共溶剤系である。共溶剤系は、10%のエタノール、10%のポリエチレングリコール300および10%のポリエチレングリコール40ヒマシ油(PEG−40ヒマシ油)を含有する70%水溶液でもよい。この共溶剤系は、疎水性化合物もよく溶解し、全身投与の際、それ自体は低毒性を産生する。当然、共溶剤系の割合は、その安定性特性および毒性特性を破壊しない限り、かなり変化させてもよい。さらに、共溶剤成分の実体を変更してよい。たとえば、他の低毒性無極性界面活性剤を、PEG−40ヒマシ油の代わりに使用してもよいし、ポリエチレングリコール300の画分サイズを変更してもよく、他の生体適合性ポリマー、ポリエチレングリコールをたとえばポリビニルピロリドンに変えてもよく、他の糖類または多糖類を該水溶液に加えてもよい。
【0137】
あるいは、疎水性薬学的化合物の他の送達システムを使用してもよい。リポソームおよび乳液は、疎水性薬物用の送達ビヒクルまたはキャリアの、周知の例である。N−メチルピロリドンのような特定の有機溶剤もまた、使用され得るが、普通、より大きな毒性の問題がある。さらに化合物は、治療剤を含有する固形疎水性ポリマーの半透性物質のような、徐放系を使用して送達してもよい。種々の徐放性材料が確立されてきており、当業者には周知である。徐放カプセルは、その化学的性質に依るが、数週間から100日を超えて化合物を放出し得る。治療試薬の化学的性質および生物学的安定性に基づいて、タンパク質安定化の更なる戦略が使用され得る。
【0138】
本明細書に記載される全ての処方物は、抗酸化剤、金属キレート剤、チオール含有化合物および他の一般的な安定剤から利益を得る。このような安定剤の例として、(a)約0.5%〜約2%w/vのグリセロール、(b)約0.1%〜約1%w/vのメチオニン、(c)約0.1%〜約2%w/vのモノチオグリセロール、(d)約1mM〜約10mMのEDTA、(e)約0.01%〜約2%w/vのアスコルビン酸、(f)0.003%〜約0.02%w/vのポリソルベート80、(g)0.001%〜約0.05%w/vのポリソルベート20、(h)アルギニン、(i)ヘパリン、(j)デキストランスルフェート(k)シクロデキストリン類、(l)ペントサンポリスルフェートおよび他のヘパリノイド類、(m)マグネシウムおよび亜鉛のような2価のカチオンまたは(n)これらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
本明細書中で列挙される第2薬剤と組合わされる式(I)の化合物の多くは、薬学的に適合性のある対イオンとの塩として提供されてもよい。薬学的に適合性のある塩は、多くの酸(たとえば、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、その他が挙げられるがこれらに限定されない)によって形成されてもよい。塩は、水性または他の極性溶剤中で、対応する遊離の酸または塩基の形態より可溶性である傾向がある。
【0140】
(処置方法、投薬量および組み合わせ治療)
用語「哺乳類」は、ヒトを含む哺乳類全てを意味する。哺乳類として、ほんの一例として、ヒト、ヒト以外の霊長類、ウシ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ラット、マウス、およびウサギが挙げられる。
【0141】
本明細書で使用される用語「有効量」は、投与される化合物の量であって、処置される疾患、状態または障害の1以上の症状をある程度和らげる量を言う。
【0142】
本明細書で記載される化合物を含有する組成物を、予防的および/または治療的処置のために投与することができる。用語「処置する」は、予防的および/または治療的処置のどちらかに関して使用する。治療的適用の場合、組成物を、すでに疾患、状態または障害を患っている患者に、その疾患、障害または状態の症状を治癒させるかまたは少なくとも部分的に停止させるのに充分な量で投与する。この用途のために有効な量は、疾患、障害または状態の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態および薬物に対する反応、および処置を行う医師の判断に依る。そのような治療的有効量を決定することは、当業者の慣用的な実験(たとえば、用量漸増臨床試験)による範囲内であると考えられる。
【0143】
予防的適用では、本明細書に記載される化合物を含有する組成物を、特定の疾患、障害または状態の疑いのある患者、あるいはその危険のある患者に投与する。その量は、「予防的有効量または用量」として規定されている。この用途でも、正確な量は患者の健康状態、体重などに依る。そのような予防的有効量を決定することは、当業者の慣用的な実験(たとえば、用量漸増臨床試験)による範囲内であると考えられる。
【0144】
用語「促進」または「促進する」は、力価または持続時間のどちらかにおいて、所望の効果を増加するまたは長引かせることを意味する。したがって、治療剤の効果を促進することに関連して、用語「促進する」は、力価または持続時間のどちらかにおいて、システム上の他の治療剤の効果を増加させるまたは長引かせる能力を言う。本明細書で使用される「促進有効量」は、所望のシステムにおいて、別の治療剤の効果を促進するのに適正な量を言う。患者について使用される場合、この用途のために効果的な量は、疾患、障害または状態の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態および薬物に対する反応、および処置を行う医師の判断に依る。
【0145】
患者の状態が改善しない場合は、医師の判断において、患者の疾患や状態の症状を回復させるか、あるいは制御または限定するために、化合物の投与を長期的に(すなわち、より長い期間(患者の人生を通した期間を含む))投与してもよい。
【0146】
患者の状態が改善する場合は、医師の判断において、化合物の投与をある一定期間(すなわち、「ドラッグホリデイ」)一時的に止めてもよい。
【0147】
患者の状態の改善が一旦起こったら、必要であれば、維持用量を投与してもよい。続いて、投与の用量または頻度、または両方を、改善された疾患、障害、状態を維持するレベルまで、症状の関数として減らすことができる。しかし、患者は、症状の再発の際には、長期間ベースの間欠的処置を必要とし得る。
【0148】
そのような量に対応する所定の薬剤の量は、特定の化合物、疾患状態およびその重症度、処置を必要とする被験体または宿主の個性(たとえば、体重)のような要因により変化するが、それでもなお、たとえば、投与される特定の薬剤、投与の経路、処置される状態、処置される被験体または宿主を含む、この場合の周囲の特定の状況にしたがって、当該分野で公知の様式で、慣用的に決定することができる。しかし、一般的に、成人ヒトの処置のために使用される用量は、通常0.02〜5000mg/日の範囲であり、好ましくは1〜1500mg/日である。望ましい用量を、便宜的に一回投与で投与してもよく、あるいは適正な間をおいた分割用量として、たとえば、1日につき2、3、4回またはそれ以上の回数で小用量で投与してもよい。
【0149】
場合によっては、本明細書中で記載される化合物(または薬学的に受容可能な塩、エステル、アミド、プロドラッグまたは溶媒和物)の少なくとも1種を、他の治療剤と組み合わせて、投与することが適切であり得る。ほんの一例として、本明細書中で記載される化合物の1つを与えた際に、患者が経験した副作用の1つが炎症である場合は、最初の治療剤と組み合わせて、抗炎症剤を投与することが適切であるかもしれない。あるいは、ほんの一例として、本明細書中で記載される化合物の1つの治療的有用性は、アジュバントの投与によって促進されるかもしれない(すなわち、アジュバントそれ自体は、最小の治療的有益性しかないかもしれないが、別の治療剤と組み合わせることによって、患者に対する全体的な治療的利益が増大される)。あるいは、ほんの一例として、患者が経験する利益は、本明細書中で記載される化合物の1種と、やはり治療利益を有する他の治療剤(治療的レジメンもまた含む)と共に投与することによって増加させられ得る。ほんの一例として、本明細書中で記載される化合物の1つの投与に関連する黄斑変性の治療において、黄斑変性の別の治療剤あるいは治療法を患者に提供することによっても、増大した治療利益がもたらされ得る。いずれの場合においても、処置される疾患、障害または状態にかかわらず、患者が経験する全体的な利益は、2つの治療剤の単なる相加効果であってもよく、または患者は相乗的な利益を経験し得る。
【0150】
特定の、可能性のある組み合わせ治療の限定ではない例示として、式(I)の化合物の少なくとも1種と、本明細書中で列挙される第2薬剤と、ビタミン類、鉱物、一酸化窒素誘発物質、負荷電リン脂質、抗酸化剤、鉱物および抗炎症剤との使用が挙げられる。いくつかの例では、適切な組み合わせ薬剤が、複数の分類に属し得る(ほんの一例として、ルテインは、抗酸化剤であり負荷電リン脂質でもある)。
【0151】
また、式(I)の化合物および本明細書中で列挙される第2薬剤は、相加的または相乗的利益を患者に提供し得る手順(ほんの一例として、体外レオフェレシス(膜示差ろ過としても公知である)の使用、移植可能な小型望遠鏡の使用、ドルーゼンのレーザー光凝固および微小刺激治療)の使用と組み合わせて使用され得る。さらに、式(I)の化合物および本明細書中で列挙される第2薬剤は、患者に利益を与え得る追加の薬剤(ほんの一例として、酢酸アネコルタブおよびシクロスポリンAが挙げられる)とともに投与され得る。
【0152】
特定のビタミン類の使用は、黄斑変性およびジストロフィを有する患者に利益をもたらすことが示されてきた。特に、ビタミンA、CおよびEは、眼の健康の維持において効果があるようである。ビタミンAは、網膜光受容体色素の形成において役割を有し、その欠乏は、夜間の視力の低下をもたらし得る。たとえば、Brownら参照。高濃度のビタミンCが、房水中で見出されることがあり、これは、眼レンズの維持における重要な役割を示唆する。たとえば、Taylorら,Curr.Eye Res.,10:751−9(1991)を参照。ビタミンCはまた、白内障の発症の減少および光損傷からの網膜の保護においても役割を有する。たとえば、Tsoら,Curr.Eye Res.,3:166−74(1984);Robertsonら,Ann.NY Acad.Sci.,570:372−82(1989)を参照のこと。ビタミンEは、皮膚性、核性、および混合型の型の白内障危険性の減少に関係している。たとえば、Leskeら,Arch.Ophthalmol.,109:244−51(1991)を参照。適切なビタミン類の例を、式(I)の構造を持つ化合物の少なくとも1種と、本明細書中で列挙される第2薬剤と組み合わせて使用し、乾性加齢性黄斑変性およびシュタルガルト病を含むがこれらに限定されない、様々な黄斑変性およびジストロフィを患っている患者、またはその疑いのある患者に、利益をもたらすことができる。
【0153】
特定の鉱物の使用もまた、黄斑変性およびジストロフィを有する患者に利益をもたらすことが示されている。たとえば、Arch.Ophthalmol.,119:1417−36(2001)を参照のこと。式(I)の構造を持つ化合物の少なくとも1種と組み合わせて使用することができる適切な鉱物の例として、酸化銅(単なる一例である)のような銅含有鉱物;(単なる一例である)酸化亜鉛のような亜鉛含有鉱物;およびセレン含有化合物が挙げられる。適切な鉱物の例を、式(I)の構造を持つ化合物の少なくとも1種と、本明細書中で列挙される第2薬剤と組み合わせて使用し、乾性加齢性黄斑変性およびシュタルガルト病を含むがこれらに限定されない、様々な黄斑変性およびジストロフィを患っている患者、またはその疑いのある患者に利益をもたらすことができる
抗酸化剤の使用は、黄斑変性およびジストロフィを有する患者に利益をもたらすことが示されている。たとえば、Arch.Ophthalmol.,119:1417−36(2001);Sparrow,ら,J.Biol.Chem.,278:18207−13(2003)を参照。式(I)の構造を持つ化合物の少なくとも1種と、本明細書中で列挙される第2薬剤とを組み合わせて使用される、適切な抗酸化剤の例は、第3薬剤として、コエンザイムQ、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(Tempolとしても公知である)、ルテイン、ブチル化ヒドロキシトルエン、レスベラトール、トロロクスアナログ(PNU−83836−E)またはビルベリー抽出液が挙げられる。
【0154】
特定の負荷電リン脂質の使用も、黄斑変性およびジストロフィを患う患者に利益をもたらすことが示されている。たとえば、Shaban&Richter,Biol.Chem.,383:537−45(2002);Shabanら,Exp.Eye Res.,75:99−108(2002)を参照のこと。式(I)の構造を持つ化合物の少なくとも1種と、本明細書中で列挙される第2薬剤と組み合わせて使用される、適切な負荷電リン脂質の例としては、第3薬剤として、ルテイン、ゼアキサンチン、カルジオリピンまたはホスファチジルグリセロールが挙げられる。
【0155】
適切な一酸化窒素(NO)誘発物質は、内因性NOを刺激し、またはインビボで内因性内皮由来血管弛緩因子(EDRF)のレベルを上昇させる化合物が挙げられ、または一酸化窒素シンターゼの基質である。そのような化合物として、たとえば、そのニトロソ化アナログおよびニトロシル化アナログ(たとえば、ニトロソ化L−アルギニン、ニトロシル化L−アルギニン、ニトロソ化N−ヒドロキシ−L−アルギニン、ニトロシル化N−ヒドロキシ−L−アルギニン、ニトロソ化L−ホモアルギニンおよびニトロシル化L−ホモアルギニン)を含むL−アルギニン、L−ホモアルギニンおよびN−ヒドロキシ−L−アルギニン、L−アルギニン前駆体および/またはその生理学的に受容可能な塩(たとえば、シトルリン、オルニチン、グルタミン、リジン、これらのアミノ酸の少なくとも1個を含むポリペプチドをが挙げられる)、酵素アルギナーゼのインヒビター(たとえば、N−ヒドロキシ−L−アルギニンおよび2(S)−アミノ−6−ボロノへキサン酸)、および一酸化窒素シンターゼの基質、サイトカイン類、アデノシン、ブラジキニン、カルレチクリン、ビサコジルおよびフェノールフタレインが挙げられる。EDRFは、内皮によって分泌される血管弛緩因子であり、一酸化窒素(NO)またはそれに密接に関連する誘導体として同定されている(Palmerら,Nature,327:524−526(1987);Ignarroら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:9265−9269(1987))。さらに、スタチン類は、適切な一酸化窒素誘発物質としても作用し、ほんの一例として、ロスバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン、ベロスタチン、フラバスタチン、コンパクチン、ロバスタチン、ダルバスタチン、フルインドスタチン、アトロバスタチン、アトロバスタチンカルシウム(これはアトロバスタチンのヘミカルシウム塩である)およびジヒドロコンパクチンが挙げられる。本明細書で列挙される適切な一酸化窒素誘発物質の例は、式(I)の構造を持つ化合物の少なくとも1種と、本明細書中で列挙される第2薬剤と組み合わせて、第3薬剤として使用することができる。
【0156】
式(I)の化合物および本明細書中で列挙される第2薬剤とともに使用され得る、適切な抗炎症剤としては、第3薬剤として、アスピリンまたは他のサリチル酸エステル類、クロモリン、ネドクロミル、テオフィリン、ジロートン、ザフィルルカスト、モンテルカスト、プランルカスト、インドメタシンおよびリポオキシゲナーゼインヒビター;非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)(たとえばイブプロヘンおよびナプロキセン);プレドニソン、デキサメタゾン、シクロオキシゲナーゼインヒビター(すなわち、NaproxenTM、CelebrexTMまたはVioxxTMのようなCOX−1インヒビターおよび/またはCOX−2インヒビター);スタチン類(ほんの一例として、ロスバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン、ベロスタチン、フラバスタチン、コンパクチン、ロバスタチン、ダルバスタチン、フルインドスタチン、アトロバスタチン、アトロバスタチンカルシウム(これはアトロバスタチンのヘミカルシウム塩である)、およびジヒドロコンパクチン);および解離されたステロイド類が挙げられる。
【0157】
ほんの一例として、化合物の投与の例示的な順番として以下が挙げられ得る:第1薬剤が式(I)の化合物であり、第2薬剤が特定のビタミン類であり、次いで第3薬剤が鉱物である。化合物の投与の別の例示的な順番は以下であり得る:第1薬剤が式(I)の化合物であり、第2薬剤が特定のビタミン類であり、次いで第3薬剤が特定の抗酸化剤である。化合物の投与の別の例示的な順番は以下であり得る:第1薬剤が式(I)の化合物であり、第2薬剤が特定のビタミン類であり、次いで第3薬剤が特定の負荷電リン脂質である。化合物の投与の別の例示的な順番は以下であり得る:第1薬剤が式(I)の化合物であり、第2薬剤が特定のビタミン類であり、次いで第3薬剤が適切な一酸化窒素誘発物質である。化合物の投与の別の例示的な順番は以下であり得る:第1薬剤が式(I)の化合物であり、第2薬剤が特定のビタミン類であり、次いで第3薬剤が適切な抗炎症剤である。
【0158】
ほんの一例として、化合物の投与の例示的な順番として以下が挙げられ得る:第1薬剤が式(I)の化合物であり、第2薬剤が特定の鉱物であり、次いで第3薬剤が特定の抗酸化剤である。化合物の投与の別の例示的な順番は以下であり得る:第1薬剤が式(I)の化合物であり、第2薬剤が特定の鉱物であり、次いで第3薬剤が特定の負荷電リン脂質である。化合物の投与の別の例示的な順番は以下であり得る:第1薬剤が式(I)の化合物であり、第2薬剤が特定の鉱物であり、次いで第3薬剤が適切な一酸化窒素誘発物質である。化合物の投与の別の例示的な順番は以下であり得る:第1薬剤が式(I)の化合物であり、第2薬剤が特定の鉱物であり、次いで第3薬剤が適切な抗炎症剤である。
【0159】
ほんの一例として、化合物の投与の例示的な順番として以下が挙げられ得る:第1薬剤が式(I)の化合物であり、第2薬剤が特定の抗酸化剤であり、次いで第3薬剤が特定の負荷電リン脂質である。化合物の投与の別の例示的な順番は以下であり得る:第1薬剤が式(I)の化合物であり、第2薬剤が特定の抗酸化剤であり、次いで第3薬剤が適切な一酸化窒素誘発物質である。化合物の投与の別の例示的な順番は以下であり得る:第1薬剤が式(I)の化合物であり、第2薬剤が特定の抗酸化剤であり、次いで第3薬剤が適切な抗炎症剤である。
【0160】
ほんの一例として、化合物の投与の例示的な順番として以下が挙げられ得る:第1薬剤が式(I)の化合物であり、第2薬剤が特定の負荷電リン脂質であり、次いで第3薬剤が適切な一酸化窒素誘発物質である。化合物の投与の別の例示的な順番は以下であり得る:第1薬剤が式(I)の化合物であり、第2薬剤がある負荷電リン脂質であり、次いで第3薬剤が適切な抗炎症剤である。
【0161】
ほんの一例として、化合物の投与の例示的な順番として以下が挙げられ得る:第1薬剤が式(I)の化合物であり、第2薬剤が適切な一酸化窒素誘発物質であり、次いで第3薬剤が適切な抗炎症剤である。
【0162】
これらの薬剤の投与時期の例示的な変形は、医師の判断に基づき、ほんの一例として、連続して次々に薬剤が投与される場合に、全て構成の組み合わせは、以下から選択される:3番目の薬剤の投与の前に他の薬剤と同時に1薬剤を投与する、3番目の薬剤の投与の後に1薬剤を他の薬剤と同時に投与する、3薬剤を同時に投与する、特定の薬剤を複数回投与で投与する。
【0163】
いずれの場合においても、複数の治療剤(これらのうちの1つは、本明細書中で記載される化合物の1つである)は、どのような順番で投与されてもよく、また同時に投与されてもよい。同時に投与する場合は、複数の治療剤は、単一の統合された形でも、複数の形態でもよい(ほんの一例として、単一の丸剤でも、2個の別々の丸剤でもよい)。治療剤の1つを複数回投与で与えてもよいし、両方とも複数回投与で与えてもよい。同時に投与しない場合は、複数回投与の間の時期は、0週間より多くから4週間未満まで変化してよい。さらに、組み合わせの方法、組成物および処方物は、2種の薬剤のみの使用に限定されなくてもよい。本発明者らは、複数の治療的組み合わせの使用を想定している。ほんの一例として、式(I)の構造を持つ化合物および本明細書中で列挙される第2薬剤を、少なくとも1種の追加の抗酸化剤および少なくとも1種の負荷電リン脂質とともに提供してもよく;式(I)の構造を持つ化合物および本明細書中で列挙される第2薬剤を、少なくとも1種の追加の抗酸化剤および少なくとも1種の一酸化窒素産生の誘発物質とともに提供してもよく;または、式(I)の構造を持つ化合物および本明細書中で列挙される第2薬剤を、少なくとも1種の一酸化窒素産生の誘発物質および少なくとも1種の負荷電リン脂質とともに提供してもよい。
【0164】
個体に利益を提供するために使用されてもよいさらなる組み合わせとして、個体が、特定の眼の状態と相関することが公知である、突然変異遺伝子のキャリアであるかどうか決定するための、遺伝子テストの使用も含まれる。ほんの一例として、ヒトABCR遺伝子における欠損は、シュタルガルト病、錐体−杆体ジストロフィ、加齢性黄斑変性および色素性網膜炎を含む、5つの異なる網膜の表現型と関連していると考えられる。たとえば、Allikmetsら,Science,277:1805−07(1997);Lewisら,Am.J.Hum.Genet.,64:422−34(1999);Stoneら,Nature Genetics,20:328−29(1998);Allikmets,Am.J.Hum.Gen.,67:793−799(2000);Kleveringら,Ophthalmology,111:546−553(2004)を参照のこと。このような患者は、本明細書で記載された方法で治療的利益および/または予防的利益を見出すことが期待される。
【0165】
(式(I)の化合物の合成)
式(I)の化合物は、当業者に公知の標準合成技術を使用して合成してもよく、また、本明細書に記載された方法を当該分野で公知の方法と組み合わせて合成してもよい。たとえば、米国特許公開公報第2004/0102650号;Um,S.J.ら,Chem.Pharm.Bull.,52:501−506(2004)を参照のこと。さらに、フェンレチニドのような式(I)の化合物のいくつかは、様々な市販供給源から購入してもよい。さらなる手引きとして、以下の合成方法を利用してもよい。
【0166】
(求電子物質の求核物質との反応による共有結合の形成)
共有結合および共有結合を生じるの前駆体官能基の選択された例を、「共有結合およびその前駆体の例」と題する表に示す。前駆体官能基は、求電子基および求核基として示す。有機物質上の官能基は、以下に規定するように、直接結合してもよく、または任意の有用なスペーサーまたはリンカーを介して結合してもよい。
【0167】
(表1:共有結合およびその前駆体の例)
【0168】
【表1】

一般的に、炭素求電子物質は、補体求核物質(炭素求核物質を含む)による攻撃に対して感受性が高く、この攻撃において、求核物質と炭素求電子物質との間に新しい結合を形成するために、攻撃する求核物質が電子対を炭素求電子物質にもたらす。
【0169】
適切な炭素求核物質として、アルキルグリニヤール(alkyl Grignard)、アルケニルグリニヤール、アリールグリニヤールおよびアルキニルグリニヤール、有機リチウム、有機亜鉛、アルキル−錫試薬、アルケニル−錫試薬、アリール−錫試薬およびアルキニル−錫試薬(有機スタンナン類)、アルキル−ボラン試薬、アルケニル−ボラン試薬、アリール−ボラン試薬およびアルキニル−ボラン試薬(有機ボランおよび有機ボラン酸エステル)が挙げられるがこれらに限定されない。これらの炭素求核物質は、水または極性有機溶剤中で、動力学的に安定であるという利点を有する。他の炭素求核物質として、リンイリド試薬、エノール試薬およびエノレート試薬があり、これらの炭素求核物質は、合成有機化学の当業者に周知の前駆体から比較的簡単に生成されるという利点を有する。炭素求核物質を炭素求電子物質と組み合わせて使用する時は、炭素求核物質と炭素求電子物質との間に新しい炭素−炭素結合を生じる。
【0170】
炭素求電子物質にカップリングするのに適する非炭素求核物質として、第一および第二アミン類、チオール類、チオレート類、およびチオエーテル類、アルコール類、アルコキシド類、アジド類、セミカルバジド類などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの非炭素求核物質は、炭素求電子物質とともに使用する場合は、通常ヘテロ原子結合:(C−X−C)を生じ、ここで、Xは、ヘテロ原子(例えば酸素または窒素)である。
【0171】
(保護基の使用)
用語「保護基」は、該保護基が除去されるまで、いくつかのまたは全ての反応性部分をブロックするか、またはそのような基を化学反応の関与から保護する化学的部分を言う。各保護基は、異なる方法によって除去されるのが好ましい。総合的に違う反応条件下で開裂する保護基は、異なる除去の要求を果たす。保護基は、酸、塩基、および水素分解によって除去することができる。トリチル、ジメトキシトリチル、アセタールおよびt−ブチルジメチルシリルのような基は、酸に不安定で、Cbz基で保護されたアミノ基の存在下で、カルボキシ反応部分およびヒドロキシ反応部分を保護するために使用され得、これは、水素分解によって除去可能であり、Fmoc基は塩基不安定性である。カルボン酸反応性部分およびヒドロキシ反応性部分は、t−ブチルカルバメートのような酸に不安定な基でブロックされたアミン類の存在下で、塩基に不安定な基(たとえば、メチル、エチルおよびアセチル(これらに限定されない))でブロックされてもよく、または酸および塩基の両方に安定だが、加水分解で除去されうるカルバメートでブロックされてもよい。
【0172】
また、カルボン酸反応性部分およびヒドロキシ反応性部分は、ベンジル基のような加水分解により除去しうる保護基でブロックされてもよく、一方、酸と水素結合しうるアミン基は、Fmocのような塩基に不安定な基でブロックされてもよい。カルボン酸反応性部位は、本明細書で例示した単純なエステル誘導体に変換することによって保護されてもよく、または、これらは、2,4−ジメトキシベンジルのような酸化的に除去可能な保護基でブロックされてもよい。一方、共存するアミノ基は、フッ素に不安定なシリルカルバメートでブロックされてもよい。
【0173】
次いで、アリルブロック基は安定で、後に金属触媒またはπ酸触媒によって除去することができるので、酸保護基および塩基保護基の存在下で有用である。たとえば、アリルでブロックされたカルボン酸は、酸に不安定なt−ブチルカルバメートまたは塩基に不安定な酢酸アミン保護基の存在下で、Pd0−触媒化反応で脱保護され得る。更に別の保護基の形態は、化合物または中間体が結合し得る樹脂である。残渣が樹脂に結合している限り、その官能基はブロックされており、反応することはできない。一度、該樹脂から放出されると、官能基は、反応可能になる。
【0174】
代表的なブロック基/保護基は以下から選択され得る:
【0175】
【化20】

他の保護基は、GreeneおよびWuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版,John Wiley&Sons,New York,NY,1999(これはその全体が参考として本明細書中に援用される)に記載されている。
【実施例】
【0176】
(実施例)
以下の実施例は、式(I)の化合物の有効性および安全性を試験するための具体的な方法を提供する。これらの実施例は、説明のためだけに提供されるものであり、本明細書中で提供される特許請求の範囲を限定するものではない。
【0177】
(ヒトの研究)
黄斑変性または網膜変性の測定。眼内の異常な血管の同定は、血管造影法で行うことができる。この同定は、どの患者が、さらなる視力喪失を防ぐかまたは予防する候補物質または他の処置方法の使用のための、候補であるかの決定を補助することもできる。また、血管造影法は、処置の経過観察および任意の新しい血管成長の未来の評価にも有用でありうる。
【0178】
フルオレセイン眼底血管造影(フルオレセイン眼底血管造影法、フルオレセイン血管内視鏡法)は、眼の後ろの脈絡膜循環流および網膜循環流の視覚化のための技術である。フルオレセイン色素を静脈内注射し、次いでマルチフレーム写真撮影(造影法)または眼内研究評価(血管内視鏡法)を行う。フルオレセイン眼底血管造影は、網膜に供給する血管の漏出または障害の可能性の分析を通した、広い範囲の網膜疾患および脈絡膜疾患の評価に有用である。Berkowら(1984)によって、視神経およびこう彩の異常性を評価するためにも使用されている。
【0179】
同様に、インドシアニングリーンを使用する血管造影法も、眼の後ろの循環流の視覚化のために使用することができる。ここでは、フルオレセインが網膜循環流を研究するのに、より効率的であり、インドシアニンは、より深い脈絡膜の血管層を観察するのに、より優れている。インドシアニン造影法の使用は、血管新生がフルオレセイン色素だけでは観察し得ない場合に有益である。
【0180】
式(I)の構造を持つ化合物および/または本明細書中で列挙される第2薬剤のヒトに対する適切な用量は、標準用量漸増試験を使用して決定されるであろう。しかし、いくつかの指針は、数種の結節性アクネの治療におけるイソトレチノイン治療の使用の研究、および 加齢性黄斑変性を有する患者における栄養補助食品の使用における研究から、得られ得る。たとえば、Changら,Can.J.Ophthalmol..38:27−32(2003);Kaminskiら,J.Am.Optometric Ass.,64:862−870(1993)を参照のこと。
【0181】
(実施例1:黄斑変性の処置に対する第2薬剤と組み合わせた式(I)の化合物の有効性試験)
予備試験として、ヒト患者全員に、フルオレセイン眼底血管撮影、視力、電気生理学的パラメーター、ならびに生化学的パラメーターおよび流動学的パラメーターの測定を含む慣用的な眼科的研究を行う。採択基準は以下の通りである。少なくとも1つの眼において20/160と20/32との間の視力、およびドルーゼン、輪紋状の萎縮、色素凝集、色素上皮剥離または網膜下血管新生のようなARMDの徴候。以下のいずれかを持つ患者は、研究から除外する。痴呆;重篤な心臓疾患;悪性腫瘍の病歴、肝炎感染の病歴または梅毒トレポネーマの病歴;およびMacular Photocoagulation Study Groupのガイドラインによるレーザー凝固の適合性(Arch Ophthalmol1991;10:1 109−1114)。詳細は、以下から得られる:Brunnerら,Retina2000;20:483−491。
【0182】
黄斑変性と診断された、すなわち眼中にA2E、リポフスチンまたはドルーゼンの形成が進行している50人のヒト患者を、約25人の患者のコントロール群と、25人の患者の実験群とに分ける。本明細書中で挙げられた第2薬剤と組み合わせた式(I)の化合物を、日単位で実験群に投与する。本明細書中で挙げられた第2薬剤と組み合わせた式(I)の化合物を実験群に投与したのと同じレジメンで、偽薬をコントロール群に投与する。
【0183】
患者への、本明細書中で挙げられた第2薬剤と組み合わせた式(I)の投与または偽薬の投与は、黄斑変性の発症または再発を阻害するのに効果的な量で、経口的または非経口的に投与し得る。有効投与量は、イソトレチノイン約0.1mg/kg/日〜1.0mg/kg/日と、ビタミンC 600mg、ビタミンE 450mg、ビタミンA 30,000IU、亜鉛90mgおよび銅2.5mg、15〜20週間の範囲である。
【0184】
コントロール群および実験群における黄斑変性の進行の測定方法は、基線、3ヶ月目、6ヶ月目、9ヶ月目、12ヶ月目の経過観察検診での、眼底写真撮影およびフルオレセイン眼底血管造影を含む。形態学的変化の記載には、(a)ドルーゼンの大きさ、特徴および分布、(b)脈絡膜血管新生の発症および進行、ならびに(c)他の眼底変化または異常における変化の間隔を含む。
【0185】
コントロール群および実験群における黄斑変性の進行の他の測定方法は、視力検査、アムスラー・グリット試験および色研究を含む。
【0186】
コントロール群および実験群における黄斑変性の進行の他の測定方法は、ラインアセスメントおよび強制選択法(Ferrisら,Am.J.Ophthalmol1982;94:91−96)を使用し、Early Treatment Diabetic Retinopathy Study(ETDRS)チャート(Lighthouse,Long Island,NY)によって測定した最高矯正視力であってもよい。視力はlogMARで記録してもよい。ETDRSチャート上の1ラインの変化は、0.1logMARに相当する。
【0187】
薬剤投与中の統計的な視力改善を評価するために、試験者は、ETDRS(LogMAR)チャートと標準化屈折および視力プロトコルとを使用してもよい。基線から利用可能な処置後の間隔をあけた来診までの平均ETDRS(LogMAR)最高矯正視力(BCVA)の評価は、統計的視力回復の決定を補助することができる。
【0188】
コントロール群と実験群との間のANOVA(2つの群の間の変動の分析)を評価するため、基線から利用可能な治療後の間隔をあけた来診までのETDRS(LogMAR)視力における平均変化を、2つの群のANOVAを使用し、SAS/STATソフトウェア(SAS Institutes Inc,Cary,North Carolina)を使用した非構造共変数で測定分析を繰返して、比較する。
【0189】
研究後の毒性評価も、研究項目に含んでよく、次年度は3ヶ月毎、その年の後は4ヶ月毎、それから6ヶ月毎に行う。また、式(I)の血漿レベルも、これらの来診の時に評価することができる。毒性評価は、式(I)を使用した患者およびコントロール群における患者を含む。
【0190】
(実施例2:A2E生成を低減する第2薬剤と組み合わせた式(I)の化合物の有効性試験)
実施例1で使用した同じ予備試験、投与および毒性評価プロトコルを使用する。コントロール群および実験群におけるA2E形成の進行を測定する1方法は、共焦点走査レーザー検眼鏡の使用を含む。Bindewaldら,Am.J.Ophthalmol,137:556−8(2004)を参照のこと。形態学的変化の記載は、(a)ドルーゼンの大きさ、特徴および分布、(b)脈絡膜血管新生の発症および進行、ならびに(c)他の眼底変化または異常における変化の間隔を含んでもよい。
【0191】
薬剤投与中の統計的な視力改善を評価するために、試験者は、ETDRS(LogMAR)チャートと標準化屈折および視力プロトコルとを使用してもよい。基線から利用可能な処置後の間隔をあけた来診までの平均ETDRS(LogMAR)最高矯正視力(BCVA)の評価は、統計的視力回復の決定を補助することができる。
【0192】
コントロール群と実験群との間のANOVA(2つの群の間の変動の分析)を評価するため、基線から利用可能な治療後の間隔をあけた来診までのETDRS(LogMAR)最高矯正視力(BCVA)における平均変化を、2つの群のANOVAを使用し、SAS/STATソフトウェア(SAS Institutes Inc,Cary,North Carolina)を使用した非構造共変数で測定分析を繰返して、比較する。
【0193】
(実施例3:リポフスチン生成を低減する第2薬剤と組み合わせた式(I)の化合物の有効性試験)
実施例1で使用した同じ予備試験、投与および毒性評価プロトコルを使用する。コントロール群および実験群におけるリポフスチン形成の進行を測定する1方法は、共焦点走査レーザー検眼鏡の使用を含む。形態学的変化の記載は、(a)ドルーゼンの大きさ、特徴および分布、(b)脈絡膜血管新生の発症および進行、ならびに(c)他の眼底変化または異常における変化の間隔を含んでもよい。
【0194】
薬剤投与中の統計的な視力改善を評価するために、試験者は、ETDRS(LogMAR)チャートと標準化屈折および視力プロトコルとを使用してもよい。基線から利用可能な処置後の間隔をあけた来診までの平均ETDRS(LogMAR)最高矯正視力(BCVA)の評価は、統計的視力回復のの決定を補助することができる。
【0195】
コントロール群と実験群との間のANOVA(2つの群の間の変動の分析)を評価するため、基線から利用可能な治療後の間隔をあけた来診までのETDRS(LogMAR)視力における平均変化を、2つの群のANOVAを使用し、SAS/STATソフトウェア(SAS Institutes Inc,Cary,North Carolina)を使用した非構造共変数で測定分析を繰返して、比較する。
【0196】
(実施例4:ドルーゼン生成を低減する第2薬剤と組み合わせた式(I)の化合物の有効性試験)
実施例1で使用した同じ予備試験、投与および毒性評価プロトコルを使用する。コントロール群および実験群におけるドルーゼン形成の進行の測定方法は、基線、3ヶ月目、6ヶ月目、9ヶ月目、12ヶ月目の経過観察検診での、眼底写真撮影およびフルオレセイン眼底血管造影を含む。形態学的変化の記載には、(a)ドルーゼンの大きさ、特徴および分布、(b)脈絡膜血管新生の発症および進行、ならびに(c)他の眼底変化または異常における変化の間隔を含む。
【0197】
コントロール群および実験群におけるドルーゼン形成の進行経過の他の測定方法は、視力検査、アムスラー・グリット試験および色研究を含む。
【0198】
コントロール群および実験群におけるドルーゼン形成の進行経過の他の測定方法は、ラインアセスメントおよび強制選択法(Ferrisら,Am.J.Ophthalmol1982;94:91−96)を使用し、Early Treatment Diabetic Retinopathy Study(ETDRS)チャート(Lighthouse,Long Island,NY)によって測定した最高矯正視力であってもよい。視力はlogMARに記録されてもよい。ETDRSチャート上の1ラインの変化は、0.1logMARに相当する。
【0199】
薬剤投与中の統計的な視力改善を評価するために、試験者は、ETDRS(LogMAR)チャートと標準化屈折および視力プロトコルとを使用してもよい。基線から利用可能な治療後の間隔をあけた来診までの平均ETDRS(LogMAR)最高矯正視力(BCVA)の評価は、統計的視力回復の測定において補助することができる。
【0200】
コントロール群と実験群との間のANOVA(2つの群の間の変動の分析)を評価するため、基線から利用可能な治療後の間隔をあけた来診までのETDRS(LogMAR)視力における平均変化を、2つの群のANOVAを使用し、SAS/STATソフトウェア(SAS Institutes Inc,Cary,North Carolina)を使用した非構造共変数で測定分析を繰返して、比較する。
【0201】
(実施例5:第2薬剤と組み合わせた式(I)の投与のための投薬量)
ヒト被験体を、2療法を追加する以外、実施例1〜4で記載した方法で試験する。追加療法の1つは、被験体の群を、イソトレチノイン(0.1mg/kg/日〜1.0mg/kg/日)および補助物なしで処置する。第2の追加療法は、被験体の群を、イソトレチノイン(0.1mg/kg/日〜1.0mg/kg/日)と、濃度の増加する補助物(50mg〜約600mgのビタミンC、20IU〜約450mgのビタミンE、900IU〜約30,000IUのビタミンA、10mg〜約90mgの亜鉛および0.5mg〜約2.5mgの銅の)とで処置する。実施例1〜4に記載するように、投与の投薬量の利益をアッセイする。
【0202】
(実施例6:投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア)
ヒト被験体を、4療法を追加する以外、実施例1〜5で記載した方法で試験する。追加療法の1つは、被験体の群に、第2薬剤と組み合わせた式(I)を経口投与する。第2の追加療法では、被験体の群に、第2薬剤と組み合わせた式(I)を静脈内投与する。第3の追加療法では、被験体の群に、第2薬剤と組み合わせた式(I)を眼科的に投与する。第4の追加療法では、被験体の群に、第2薬剤と組み合わせた式(I)を注射によって投与する。これらの療法の全てにおいて、第2薬剤を経口投与する。有効量の第2薬剤は、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤および負荷電リン脂質からなる群から選択される薬剤を含有する。投与のためのキャリアの利益を、実施例1〜5に記載するようにアッセイする。
【0203】
(実施例7:黄斑ジストロフィの一般試験)
ヒトABCR遺伝子における欠損は、シュタルガルト病、錐体−杆体ジストロフィ、加齢性黄斑変性および色素性網膜炎を含む5つの互いに異なる網膜表現型に関連すると考えられる。たとえば、Allikmetsら,Science,277:1805−07(1997);Lewisら,Am.J.Hum.Genet.,64:422−34(1999);Stoneら,Nature Genetics,20:328−29(1998);Allikmets,Am.J.Hum.Gen.,67:793−799(2000);Kleveringら;Ophthalmology,111:546−553(2004)を参照のこと。患者は、以下を含む(これらに限定されない)数多くのアッセイにより、シュタルガルト病を有すると診断されうる:
全エキソンの配列決定および配列突然変異(複数を含む)についてのABCRの隣接するイントロン領域を含み得る、直接配列決定突然変異決定戦略;
遺伝的サザンブロット分析;
公知のABCR改変体全てを含むマイクロアレイアッセイ;および
ウェスタン分析と一緒になった液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析による分析。
【0204】
患者およびその家族の病歴と共に、眼底写真、フルオレセイン血管造影、および走査レーザー検眼鏡画像処理は、診断を予測し得るかそして/または確認し得る。
【0205】
(マウスおよびラットの研究)
本明細書中で挙げられた第2薬剤と組み合わせた式(I)の化合物の、abcr−/−マウスにおけるA2Eの形成をブロックするのに至適な用量は、標準用量漸増試験を使用して決定され得る。1つの例示的なアプローチとして、第2薬剤と組み合わせた式(I)の化合物の利用を以下に記載する。しかし、式(I)の構造を持つ他の化合物および/または第2薬剤との組み合わせを利用するために、類似のアプローチを使用してもよい。
【0206】
明順応マウスからの網膜中のオール−トランス−レチナールにおける第2薬剤と組み合わせた式(I)の効果は、ヒト治療用量をまとめた用量で測定するのが好ましい。好ましい方法は、朝1回、腹腔内投与でのマウスの処置を含む。一日を通して網膜中のオール−トランス−レチナールのレベルの低下を維持するために、注射の回数を増やすことが必要とされ得る。
【0207】
ABCRノックアウトマウス。ABCRは、杆体光受容体および錐体光受容体の外節円盤中のリムタンパク質(RmP)、ATP結合カセット(ABC)トランスポーターをコードする。RmPについての輸送された基質は未知である。abcr遺伝子(Wengら,Cell,98:13−23(1999)参照)中のノックアウト突然変異によって作製されたマウスは、RmP機能の研究および候補物質の有用性のインビボ・スクリーニングのために有用である。これらの動物は、複雑な眼表現型を示す:(i)遅い光受容体変性(ii)光暴露後の、杆体感度の遅い回復(iii)光退色後の、光受容体外節におけるRALの上昇およびROLの低下(iv)外節中のホスファチジルエタノールアミン(PE)の恒常的な上昇、ならびに(v)RPE細胞内のリポフスチンの蓄積。Wengら,Cell,98:13−23(1999)を参照のこと。
【0208】
光受容体変性の速度を、処置したマウスおよび処置しないマウス、野生型マウスおよびabcr−/−マウスに関し、2つの手法によってモニタリングすることができる。1つは、ERG分析による異なる時間でのマウスの試験であり、臨床診断手順から採用する。Wengら,Cell,98:13−23(1999)。電極を麻酔したマウスの角膜表面に置き、光閃光に対する電気的応答を網膜から記録する。光受容体の光誘起過分極から起こるa−波の振幅は、光受容体変性の高感度な指標である。Kedzierskiら,Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.,38:498−509(1997)を参照のこと。ERGは、生きている動物に起こる。したがって、同じマウスを、経時的研究の間、繰り返して分析することができる。光受容体変性を定量する最終的な手法は、網膜切片の組織学的分析である。各時点で、網膜中に残る光受容体の数を、外顆粒層中の光受容体核の列を計数することによって、測定する。
【0209】
(実施例8:A2E蓄積における第2薬剤と組み合わせた式(I)の効果)
実験群マウスへの本明細書中で挙げられた第2薬剤と組み合わせた式(I)の投与と、コントロール群マウスへのDMSOのみの投与とを行い、A2E蓄積についてアッセイする。実験群には、0.1mg/kg/日〜1.0mg/kg/日のイソトレチノインを、25μlのDMSO中、600mgのビタミンC、450mgのビタミンE、30,000IUのビタミンA、90mgの亜鉛および2.5mgの銅とともに与える。効果が見られない場合は、1.0mg/kgのイソトレチノインを最高用量として、より高いイソトレチノインの用量を試験する。コントロール群には、DMSOのみの注射25μlを与える。マウスにポンプを移植し、試験物質またはコントロール物質のいずれかを、0.25μl/時間の速度で、1ヶ月を超えない種々の試験時間で送達することができる。
【0210】
abcr−/−マウスRPEにおけるA2E蓄積をアッセイするために、1日当たり、0.1mg/kg/日〜1.0mg/kg/日のイソトレチノインを600mgのビタミンC、450mgのビタミンE、30,000IUのビタミンA、90mgの亜鉛および2.5mgの銅を、浸透圧ポンプを通して、3ヶ月齢abcr−/−マウスに送達する。1ヵ月後、試験群マウスおよびコントロール群マウスの両方を殺し、RPE中のA2EレベルをHPLCによって測定する。
【0211】
(実施例9:リポフスチン蓄積における第2薬剤と組み合わせた式(I)の効果)
実験群マウスへの本明細書中で挙げられた第2薬剤と組み合わせた式(I)の投与と、コントロール群マウスへのDMSOのみの投与とを行い、リポフスチンの蓄積についてアッセイする。実験群には、0.1mg/kg/日〜1.0mg/kg/日のイソトレチノインを、25μlのDMSO中、600mgのビタミンC、450mgのビタミンE、30,000IUのビタミンA、90mgの亜鉛および2.5mgの銅とともに与える。効果が見られない場合は、1.0mg/kgのイソトレチノインを最高用量として、より高いイソトレチノインの用量を試験する。コントロール群には、DMSOのみの注射25μlを与える。マウスにポンプを移植し、試験物質またはコントロール物質のいずれかを、0.25μl/時間の速度で、1ヶ月を超えない種々の試験時間で送達することができる。
【0212】
処置および未処置のabcr−/−マウスにおけるリポフスチンの形成における本明細書中に列挙した第2薬剤と組み合わせた式(I)の効果をアッセイするために、リポフスチンの形成における効果を、処置および非処置abcr−/−マウスにおいてアッセイするために、眼を電子顕微鏡で調べることができる。
【0213】
(実施例10:杆体細胞死または杆体機能障害における第2薬剤と組み合わせた式(I)の効果)
杆体細胞死または杆体機能障害における効果に関し、実験群マウスへの本明細書中で挙げられた第2薬剤と組み合わせた式(I)の投与と、コントロール群マウスへのDMSOのみの投与を行う。実験群には、0.1mg/kg/日〜1.0mg/kg/日のイソトレチノインを、25μlのDMSO中、600mgのビタミンC、450mgのビタミンE、30,000IUのビタミンA、90mgの亜鉛および2.5mgの銅とともに与える。効果が見られない場合は、1.0mg/kgのイソトレチノインを最高用量として、より高いイソトレチノインの用量を試験する。コントロール群には、DMSOのみの注射25μlを与える。マウスにポンプを移植し、試験物質またはコントロール物質のいずれかを、0.25μl/時間の速度で、1ヶ月を超えない種々の試験時間で送達することができる。
【0214】
イソトレチノインおよび第2薬剤で約8週処置したマウスに、ERG記録をモニタリングし、網膜組織研究を行うことによって、杆体細胞死または杆体機能障害におけるそのような処置の効果をアッセイすることができる。
【0215】
(実施例11:光損傷からの保護試験)
以下の試験を、Sieving,P.A.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.,98:1835−40(2001)から採用する。長期的光暴露試験として、Sprague−Dawley系オス7週齢アルビノラットを、5ルックス白色蛍光灯の12:12時間明/暗サイクル中のケースに入れる。0.18mlのDMSO中、0.1mg/kg/日〜1.0mg/kg/日のイソトレチノインと、600mgのビタミンC、450mgのビタミンE、30,000IUのビタミンA、90mgの亜鉛および2.5mgの銅とを含有する注射を、腹腔内投与で、1日3回、8週間、慢性ラットに与える。コントロール群には、0.18mlのDMSOを腹腔内投与する。ラットは、最後の注射後、2日目に殺す。1.0mg/kgのイソトレチノインを最高用量で効果が見られない場合は、より高いイソトレチノインの用量を試験する。
【0216】
急性光暴露試験に関し、ラットを一晩暗順応させ、0.18mlのDMSO中、0.1mg/kg/日〜1.0mg/kg/日のイソトレチノインと、600mgのビタミンC、450mgのビタミンE、30,000IUのビタミンA、90mgの亜鉛および2.5mgの銅とを含有する注射を、薄暗い赤色光下で1回腹腔内投与し、暗い中に1時間保ち、白色光に曝露し、ERGを測定する。ラットを、2,000ルックスの白色蛍光灯に48時間曝露した。ERGは、7日後に記録し、組織研究は直ちに行う。
【0217】
ラットは、安楽死させ、眼を取り除く。外顆粒層の厚さおよび杆体外節(ROS)の長さの柱細胞数を、両半球を横切って200μm毎に測定し、数値を平均化して、全網膜を横切る細胞変化の測定値を得る。慢性ラットからのERGを、治療の4週目および8週目に記録する。急性のげっ歯類においては、白色光からの杆体回復を、錐体寄与を誘発しない刺激を使用する暗順応ERGによって追跡する。錐体回復を、明順応ERGで追跡する。ERGの前、動物を薄暗い赤色光中に入れ、麻酔する。瞳孔を拡張し、金線角膜ループを用い、ERGを両眼から同時に記録する。
【0218】
(実施例12:式(I)の化合物と、第2薬剤と、一酸化窒素誘発物質とを含む組み合わせ治療)
マウスおよび/またはラットを、2療法を追加する以外、実施例8〜11で記載した方法で試験する。追加療法の1つは、マウスおよび/またはラットの群を、適切な一酸化窒素誘発物質である、現在入手可能なスタチン(たとえば、Lipitor(登録商標)(アトロバスタチン)、Mevacor(登録商標)(ロバスタチン)、Pravachol(登録商標)(プラバスタチンナトリウム)、ZocorTM(シンバスタチン)、Leschol(フラバスタチンナトリウム)などが挙げられる)の体重に基づく最適用量で処置する。第2の追加療法では、マウスおよび/またはラットの群を、1.0mg/kg/日のイソトレチノインと、600mgのビタミンC、450mgのビタミンE、30,000IUのビタミンA、90mgの亜鉛および2.5mgの銅との組み合わせで治療し、前段階で使用したスタチンの用量を増やす。このようなスタチンの奨励ヒト用量は、たとえば、Lipitor(登録商標)(アトロバスタチン):10〜80mg/日、Mevacor(登録商標)(ロバスタチン):10〜80mg/日、Pravachol(登録商標)(プラバスタチンナトリウム):10〜40mg/日、ZocorTM(シンバスタチン):5〜80mg/日、Leschol(フラバスタチンナトリウム):20〜80mg/日である。マウスおよび/またはラット被験体に関するスタチンの用量は、体重に基づいて計算すべきである。組み合わせ治療の利益は、実施例8〜11において記載されるようにアッセイされる。
【0219】
(実施例13:式(I)の成分および第2薬剤の投与時期)
マウスおよび/またはラットを、3療法を追加する以外、実施例8〜11で記載した方法で試験する。追加療法の1つでは、マウスおよび/またはラットの群を、式(I)の投与の前に本明細書中で列挙する第2薬剤で処置する。第2の追加療法では、マウスおよび/またはラットの群を、式(I)の投与の間に本明細書中で列挙する第2薬剤で処置する。第3の追加療法では、マウスおよび/またはラットの群を、式(I)の投与の後に本明細書中で列挙する第2薬剤で処置する。補助物濃度は、ビタミンCは50mg〜約600mg、ビタミンEは20IU〜約450mg、ビタミンAは900IU〜約30,000IU、亜鉛は10mg〜約90mg、銅は0.5mg〜約2.5mgで変化させることができる。式(I)の濃度は、0.1mg/kg/日〜1.0mg/kg/日の範囲で変化させることができる。投与時期の利益は、実施例8〜11に記載したようにアッセイされる。
【0220】
本明細書中で開示しそして特許請求した方法の全ては、本開示にしたがって、過度の試験を必要とすることなく作製しかつ実行することができる。本明細書に記載された方法の工程または工程の連続において、本発明の概念、精神および範囲を逸脱しない限り、変更が適用されてもよいことは、当業者には明らかになるであろう。より具体的には、同じ結果または類似の結果が得られるのであれば、化学的および生理学的関連する特定の薬剤は、本明細書中で記載された薬剤と置換可能であることも明らかであろう。当業者に明らかな、そのような類似の置換および変更は全て、添付の特許請求の範囲に規定される、本発明の精神、範囲および概念の範囲内であるとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類の眼の中でのオール−トランス−レチナールの形成を減少させる方法であって、該哺乳類に以下:
a.有効量の、以下の構造:
【化1】

ここで、Xは、NR、O、S、CHRからなる群から選択され;Rは、(CHR−L−Rであって、ここで、xは、0、1、2または3であり;Lは単結合または−C(O)−であり;Rは、H、(C−C)アルキル、F、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)−NH、−(C−C)アルキルアミン、−C(O)−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)フルオロアルキル、−C(O)−(C−C)アルキルアミンおよび−C(O)−(C−C)アルコキシからなる群から選択される部分であり;Rは、Hであるか、または(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、アリール、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルケニルおよび複素環からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換される部分である、構造を有する第1薬剤、あるいはその活性代謝物、または薬学的に受容可能なプロドラッグもしくは溶媒和物と、
b.有効量の、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤、負荷電リン脂質、13−シス−レチノイン酸の異性体、およびこれらの誘導体からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤と
を、少なくとも1回、投与する工程を包含する方法。
【請求項2】
哺乳類の眼の中でのN−レチニリデン−N−レチニルエタノールアミンの形成を減少させる方法であって、該哺乳類に以下:
a.有効量の、以下の構造:
【化2】

ここで、Xは、NR、O、S、CHRからなる群から選択され;Rは、(CHR−L−Rであって、ここで、xは、0、1、2または3であり;Lは単結合または−C(O)−であり;Rは、H、(C−C)アルキル、F、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)−NH、−(C−C)アルキルアミン、−C(O)−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)フルオロアルキル、−C(O)−(C−C)アルキルアミンおよび−C(O)−(C−C)アルコキシからなる群から選択される部分であり;Rは、Hであるか、または(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、アリール、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルケニルおよび複素環からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換される部分である、構造を有する第1薬剤、あるいはその活性代謝物、または薬学的に受容可能なプロドラッグもしくは溶媒和物と、
b.有効量の、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤、負荷電リン脂質、13−シス−レチノイン酸の異性体、およびこれらの誘導体からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤と
を、少なくとも1回、投与する工程を包含する方法。
【請求項3】
哺乳類の眼の中でのリポフスチンの形成を減少させる方法であって、該哺乳類に以下:
a.有効量の、以下の構造:
【化3】

ここで、Xは、NR、O、S、CHRからなる群から選択され;Rは、(CHR−L−Rであって、ここで、xは、0、1、2または3であり;Lは単結合または−C(O)−であり;Rは、H、(C−C)アルキル、F、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)−NH、−(C−C)アルキルアミン、−C(O)−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)フルオロアルキル、−C(O)−(C−C)アルキルアミンおよび−C(O)−(C−C)アルコキシからなる群から選択される部分であり;Rは、Hであるか、または(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、アリール、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルケニルおよび複素環からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換される部分である、構造を有する第1薬剤、あるいはその活性代謝物、または薬学的に受容可能なプロドラッグもしくは溶媒和物と、
b.有効量の、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤、負荷電リン脂質、13−シス−レチノイン酸の異性体、およびこれらの誘導体からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤と
を、含有する有効量の化合物を投与する工程を包含する方法。
【請求項4】
哺乳類の眼の中でのドルーゼンの形成を減少させる方法であって、該哺乳類に以下:
a.有効量の、以下の構造:
【化4】

ここで、Xは、NR、O、S、CHRからなる群から選択され;Rは、(CHR−L−Rであって、ここで、xは、0、1、2または3であり;Lは単結合または−C(O)−であり;Rは、H、(C−C)アルキル、F、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)−NH、−(C−C)アルキルアミン、−C(O)−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)フルオロアルキル、−C(O)−(C−C)アルキルアミンおよび−C(O)−(C−C)アルコキシからなる群から選択される部分であり;Rは、Hであるか、または(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、アリール、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルケニルおよび複素環からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換される部分である、構造を有する第1薬剤、あるいはその活性代謝物、または薬学的に受容可能なプロドラッグもしくは溶媒和物と、
b.有効量の、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤、負荷電リン脂質、13−シス−レチノイン酸の異性体、およびこれらの誘導体からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤と
を、少なくとも1回、投与する工程を包含する方法。
【請求項5】
哺乳類の眼の中での黄斑変性を処置する方法であって、該哺乳類に以下:
a.有効量の、以下の構造:
【化5】

ここで、Xは、NR、O、S、CHRからなる群から選択され;Rは、(CHR−L−Rであって、ここで、xは、0、1、2または3であり;Lは単結合または−C(O)−であり;Rは、H、(C−C)アルキル、F、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)−NH、−(C−C)アルキルアミン、−C(O)−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)フルオロアルキル、−C(O)−(C−C)アルキルアミンおよび−C(O)−(C−C)アルコキシからなる群から選択される部分であり;Rは、Hであるか、または(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、アリール、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルケニルおよび複素環からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換される部分である、構造を有する第1薬剤、あるいはその活性代謝物、または薬学的に受容可能なプロドラッグもしくは溶媒和物と、
b.有効量の、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤、負荷電リン脂質、13−シス−レチノイン酸の異性体、およびこれらの誘導体からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤と
を含有する有効量の化合物を投与する工程を包含する方法。
【請求項6】
前記第2薬剤が抗酸化剤を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2薬剤が抗酸化剤を含有する、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記第2薬剤が抗酸化剤を含有する、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記第2薬剤が抗酸化剤を含有する、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記第2薬剤が抗酸化剤を含有する、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、約0.1mg/kg/日〜約1.0mg/kg/日の13−シス−レチノイン酸を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、約10mgの13−シス−レチノイン酸を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、約20mgの13−シス−レチノイン酸を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、約40mgの13−シス−レチノイン酸を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記組成物が、ビタミンC、ビタミンEおよびビタミンAからなる群から選択される少なくとも2種のビタミンを含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記組成物が、ビタミンC、ビタミンEおよびビタミンAを含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記組成物が、
約50mg〜約600mgのビタミンCと、
約20IU〜約450mgのビタミンEと、
β−カロチンの形での約900IU〜約30,000IUのビタミンAと、
約10mg〜約90mgの亜鉛と、
約0.5mg〜約2.5mgの銅と
を含有する、請求項1〜5、15または16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が、
約450mg以上のビタミンCと、
約400IU以上のビタミンEと、
β−カロチンの形での約900IU以上のビタミンAと、
約68mg以上の亜鉛と、
約1.6mg以上の銅と
を含有する、請求項1〜5、15または16のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記組成物が、さらにセレンを含有する、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物が、さらにマンガンを含有する、請求項17または18に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が、さらにリボフラビンB2を含有する、請求項17または18に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物が、さらにナイアシンB3を含有する、請求項17または18に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が、さらにルテインを含有する、請求項17または18に記載の方法。
【請求項24】
有効量の前記第1薬剤を、前記哺乳類に全身的に投与する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記化合物を、前記哺乳類に経口投与する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
有効量の前記第1薬剤を、前記哺乳類に静脈内投与する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
有効量の前記第1薬剤を、前記哺乳類に眼科的に投与する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
有効量の前記第1薬剤を、前記哺乳類に注射によって投与する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記哺乳類がヒトである、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
有効量の前記第1薬剤を複数回投与する工程を包含する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
複数回投与の間の時間が、少なくとも1週間である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
複数回投与の間の時間が、少なくとも1日である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記化合物を、前記哺乳類に日単位で投与する、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
一酸化窒素産生の誘発物質、追加の抗炎症剤、薬学的に受容可能な抗酸化剤、負荷電リン脂質、13−シス−レチノイン酸の異性体、およびこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の追加の薬剤を投与する工程をさらに包含し、ここで、該少なくとも1種の追加の薬剤は、前記第2薬剤とは異なる薬剤である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記追加の薬剤が、一酸化窒素産生の誘発物質である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記追加の薬剤が、抗炎症剤である、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記追加の薬剤が、少なくとも1種の追加の生理学的に受容可能な抗酸化剤である、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記生理学的に受容可能な抗酸化剤が、コエンザイムQおよび4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペラジン−N−オキシルからなる群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記追加の薬剤が、負荷電リン脂質である、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記負荷電リン脂質が、ホスファチジルグリセロール、ルテインおよびゼアキサンチンからなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記追加の薬剤を、請求項1〜5記載の薬剤の投与の前に投与する、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記追加の薬剤を、請求項1〜5記載の薬剤の投与の後に投与する、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
前記追加の薬剤を、請求項1〜5記載の薬剤の投与と同時に投与する、請求項34に記載の方法。
【請求項44】
前記追加の薬剤と請求項1〜5記載の薬剤とを同一の薬学的組成物として投与する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記追加の薬剤を、請求項1〜5記載の薬剤の投与前および該投与の後に投与する、請求項34に記載の方法。
【請求項46】
前記薬剤を、前記哺乳類に12時間毎に投与する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
体外レオフェレシスを前記哺乳類に与える工程をさらに包含する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
レーザー光凝固を使用して前記哺乳類の前記眼からドルーゼンを除去することをさらに包含する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
前記哺乳類の前記眼の中でのドルーゼンの形成をモニタリングする工程をさらに包含する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記哺乳類の前記眼の中でのリポフスチンのレベルを測定する工程をさらに包含する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記哺乳類の前記眼において視力を測定する工程をさらに包含する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
有効量の請求項1〜5のいずれかに記載の薬剤と、薬学的に受容可能なキャリアとを含有する薬学的組成物。
【請求項53】
前記薬学的に受容可能なキャリアが、眼投与に適している、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記黄斑変性が、シュタルガルト病またはシュタルガルト様黄斑ジストロフィである、請求項5に記載の方法。
【請求項55】
前記黄斑変性が、乾性加齢性黄斑変性である、請求項5に記載の方法。
【請求項56】
前記ヒトが、シュタルガルト病の突然変異ABCR遺伝子のキャリアである、請求項29に記載の方法。
【請求項57】
前記哺乳類がシュタルガルト病の突然変異ABCR遺伝子のキャリアであるかどうかを決定する工程をさらに包含する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
網膜変性の追加的な処置をさらに包含する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記ヒトが、劣性色素性網膜炎、劣性錐体−杆体ジストロフィ、滲出性加齢性黄斑変性、錐体−杆体ジストロフィ、および色素性網膜炎からなる群から選択される眼の状態または形質を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項60】
アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)を阻害する方法であって、以下:
a.有効量の、以下の構造:
【化6】

ここで、Xは、NR、O、S、CHRからなる群から選択され;Rは、(CHR−L−Rであって、ここで、xは、0、1、2または3であり;Lは単結合または−C(O)−であり;Rは、H、(C−C)アルキル、F、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)−NH、−(C−C)アルキルアミン、−C(O)−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)フルオロアルキル、−C(O)−(C−C)アルキルアミンおよび−C(O)−(C−C)アルコキシからなる群から選択される部分であり;Rは、Hであるか、または(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、アリール、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルケニルおよび複素環からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換される部分である、構造を有する第1薬剤、あるいはその活性代謝物、または薬学的に受容可能なプロドラッグもしくは溶媒和物と、
b.有効量の、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤、負荷電リン脂質、13−シス−レチノイン酸の異性体、およびこれらの誘導体からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤と、
を含有する薬学的組成物を投与する工程による方法。
【請求項61】
前記組成物が、約0.1mg/kg/日〜約1.0mg/kg/日の13−シス−レチノイン酸を含有する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記組成物が、約10mgの13−シス−レチノイン酸を含有する、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記組成物が、約20mgの13−シス−レチノイン酸を含有する、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記組成物が、約40mgの13−シス−レチノイン酸を含有する、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記組成物が、ビタミンC、ビタミンEおよびビタミンAからなる群から選択される少なくとも2種のビタミン類を含有する、請求項60に記載の方法。
【請求項66】
前記組成物が、ビタミンCと、ビタミンEと、ビタミンAとを含有する、請求項60に記載の方法。
【請求項67】
前記組成物が、
約50mg〜約600mgのビタミンCと、
約20IU〜約450mgのビタミンEと、
β−カロチンの形での約900IU〜約30,000IUのビタミンAと、
約10mg〜約90mgの亜鉛と、
約0.5mg〜約2.5mgの銅と
を含有する、請求項60、65または66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
前記組成物が、
約450mg以上のビタミンCと、
約400IU以上のビタミンEと、
β−カロチンの形での約900IU以上のビタミンAと、
約68mg以上の亜鉛と、
約1.6mg以上の銅と
を含有する、請求項60、65または66のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
前記組成物が、さらにセレンを含有する、請求項67または68に記載の方法。
【請求項70】
前記組成物が、さらにマンガンを含有する、請求項67または68に記載の方法。
【請求項71】
前記組成物が、さらにリボフラビンB2を含有する、請求項67または68に記載の方法。
【請求項72】
前記組成物が、さらにナイアシンB3を含有する、請求項67または68に記載の方法。
【請求項73】
前記組成物が、さらにルテインを含有する、請求項67または68に記載の方法。
【請求項74】
前記組成物が、ビタミン類を含有する、請求項67または68に記載の方法。
【請求項75】
前記組成物が、さらに鉱物補助物を含有する、請求項67または68に記載の方法。
【請求項76】
有効量の前記第1薬剤を、前記哺乳類に全身的に投与する、請求項60に記載の方法。
【請求項77】
前記第1薬剤を、前記哺乳類に経口投与する、請求項60に記載の方法。
【請求項78】
有効量の前記化合物を、前記哺乳類に静脈内投与またはイオン泳動的に投与する、請求項60に記載の方法。
【請求項79】
有効量の前記第1薬剤を、前記哺乳類に眼科的に投与する、請求項60に記載の方法。
【請求項80】
有効量の前記第1薬剤を、前記哺乳類に注射によって投与する、請求項60に記載の方法。
【請求項81】
前記哺乳類がヒトである、請求項60に記載の方法。
【請求項82】
有効量の前記薬剤の複数回投与を包含する、請求項60に記載の方法。
【請求項83】
複数回投与の間の時間が、少なくとも1週間である、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
複数回投与の間の時間が、少なくとも1日である、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
前記薬剤を、前記哺乳類に日単位で投与する、請求項82に記載の方法。
【請求項86】
一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤、追加の薬学的に受容可能な抗酸化剤、負荷電リン脂質、13−シス−レチノイン酸の異性体、およびこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の追加の薬剤を投与する工程をさらに包含する、請求項60に記載の方法。
【請求項87】
前記追加の薬剤が、一酸化窒素産生の誘発物質である、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記追加の薬剤が、抗炎症剤である、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
前記追加の薬剤が、少なくとも1種の追加の生理学的に受容可能な抗酸化剤である、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
前記追加の生理学的に受容可能な抗酸化剤が、コエンザイムQおよび4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペラジン−N−オキシルからなる群から選択される、請求項96に記載の方法。
【請求項91】
前記追加の薬剤が、負荷電リン脂質である、請求項86に記載の方法。
【請求項92】
前記負荷電リン脂質が、ホスファチジルグリセロール、ルテインおよびゼアキサンチンからなる群から選択される、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記追加の薬剤を、請求項60に記載の薬剤の投与の前に投与する、請求項87に記載の方法。
【請求項94】
前記追加の薬剤を、請求項60に記載の薬剤の投与の後に投与する、請求項87に記載の方法。
【請求項95】
前記追加の薬剤を、請求項60に記載の薬剤の投与と同時に投与する、請求項93に記載の方法。
【請求項96】
前記追加の薬剤および請求項60に記載の薬剤を同一の薬学的組成物中で投与する、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記追加の薬剤を、請求項60に記載の薬剤の投与前および該投与の後に投与する、請求項86に記載の方法。
【請求項98】
前記薬剤を、前記哺乳類に12時間毎に投与する、請求項60に記載の方法。
【請求項99】
体外レオフェレシスを前記哺乳類に与える工程をさらに包含する、請求項60に記載の方法。
【請求項100】
レーザー光凝固を使用して前記哺乳類の前記眼からドルーゼンを除去することをさらに包含する、請求項60に記載の方法。
【請求項101】
前記哺乳類の前記眼の中でのドルーゼンの形成をモニタリングする工程をさらに包含する、請求項60に記載の方法。
【請求項102】
前記哺乳類の前記眼の中のリポフスチンのレベルを測定する工程をさらに包含する、請求項60に記載の方法。
【請求項103】
前記哺乳類の前記眼において視力を測定する工程をさらに包含する、請求項60に記載の方法。
【請求項104】
請求項60に記載の有効量の化合物と、薬学的に受容可能なキャリアとを含有する薬学的組成物。
【請求項105】
前記薬学的に受容可能なキャリアが、眼投与に適している、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記ヒトが、シュタルガルト病の突然変異ABCR遺伝子のキャリアである、請求項81に記載の方法。
【請求項107】
前記哺乳類が、シュタルガルト病の突然変異ABCR遺伝子のキャリアであるかどうかを決定する工程をさらに包含する、請求項60に記載の方法。
【請求項108】
網膜変性症の追加的処置をさらに包含する、請求項60に記載の方法。
【請求項109】
前記ヒトが、劣性色素性網膜炎、劣性錐体−杆体ジストロフィ、滲出性加齢性黄斑変性、錐体−杆体ジストロフィ、および色素性網膜炎からなる群から選択される眼の状態または形質を有する、請求項81に記載の方法。
【請求項110】
前記哺乳類に、有効量の、以下の構造:
【化7】

ここで、Xは、NR、O、S、CHRからなる群から選択され;Rは、(CHR−L−Rであって、ここで、xは、0、1、2または3であり;Lは単結合または−C(O)−であり;Rは、H、(C−C)アルキル、F、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)−NH、−(C−C)アルキルアミン、−C(O)−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)フルオロアルキル、−C(O)−(C−C)アルキルアミンおよび−C(O)−(C−C)アルコキシからなる群から選択される部分であり;Rは、Hであるか、または(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、アリール、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルケニルおよび複素環からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換される部分である、構造を有する第3薬剤、あるいはその活性代謝物、または薬学的に受容可能なプロドラッグもしくは溶媒和物を、少なくとも1回投与する工程をさらに包含し、ここで前記第1薬剤は該第3薬剤とは異なる、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項111】
哺乳類の眼を光から保護する方法であって、該哺乳類に、以下:
a.有効量の、以下の構造:
【化8】

ここで、Xは、NR、O、S、CHRからなる群から選択され;Rは、(CHR−L−Rであって、ここで、xは、0、1、2または3であり;Lは単結合または−C(O)−であり;Rは、H、(C−C)アルキル、F、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)−NH、−(C−C)アルキルアミン、−C(O)−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)フルオロアルキル、−C(O)−(C−C)アルキルアミンおよび−C(O)−(C−C)アルコキシからなる群から選択される部分であり;Rは、Hであるか、または(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、アリール、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルケニルおよび複素環からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換される部分である、構造を有する第1薬剤、あるいはその活性代謝物、または薬学的に受容可能なプロドラッグもしくは溶媒和物と、
b.有効量の、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤、負荷電リン脂質、13−シス−レチノイン酸の異性体、およびこれらの誘導体からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤と
を有する有効量の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項112】
哺乳類の眼における視覚サイクルを崩壊させる方法であって、該哺乳類に、以下:
a.有効量の、以下の構造:
【化9】

ここで、Xは、NR、O、S、CHRからなる群から選択され;Rは、(CHR−L−Rであって、ここで、xは、0、1、2または3であり;Lは単結合または−C(O)−であり;Rは、H、(C−C)アルキル、F、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)−NH、−(C−C)アルキルアミン、−C(O)−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)フルオロアルキル、−C(O)−(C−C)アルキルアミンおよび−C(O)−(C−C)アルコキシからなる群から選択される部分であり;Rは、Hであるか、または(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、アリール、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルケニルおよび複素環からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換される部分である、構造を有する第1薬剤、あるいはその活性代謝物、または薬学的に受容可能なプロドラッグもしくは溶媒和物と、
b.有効量の、抗酸化剤、鉱物、一酸化窒素産生の誘発物質、抗炎症剤、負荷電リン脂質、13−シス−レチノイン酸の異性体、およびこれらの誘導体からなる群から選択される薬剤を含有する第2薬剤と
を有する有効量の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項113】
前記第2薬剤が、鉱物を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項114】
前記第2薬剤が、一酸化窒素産生の誘発物質を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項115】
前記第2薬剤が、追加的な抗炎症剤を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項116】
前記第2薬剤が、負荷電リン脂質を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項117】
第3薬剤の投与をさらに包含する、請求項6〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項118】
前記第3薬剤が、鉱物を含有する、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記黄斑変性が、湿性加齢性黄斑変性である、請求項5に記載の方法。

【公表番号】特表2008−515778(P2008−515778A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528024(P2007−528024)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/029455
【国際公開番号】WO2006/033734
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(506422490)シリオン セラピューティクス, インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】