説明

眼の疾患、ならびに増殖および脈管形成応答に関連する疾患の処置に関する5,6,7−トリヒドロキシヘプタン酸およびアナログ

【課題】5,6,7−トリヒドロキシヘプタン酸およびアナログを提供すること。
【解決手段】本発明は、5,6,7−トリヒドロキシヘプタン酸およびアナログおよび眼科用組成物を含むそれらの使用方法に関する。その化合物は、糖尿病網膜症および加齢性黄斑変性症、および慢性関節リウマチ、バルーン血管形成術、ならびに癌後の冠状動脈の再狭窄といった細胞増殖および血管形成の特徴がある疾患といった後区眼疾患に罹患しているヒトの治療に特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、仮特許出願である、2004年11月9日に出願された米国特許出願第60/626,209号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、5,6,7−トリヒドロキシヘプタン酸およびアナログおよび眼科用組成物を含むそれらの使用方法に関する。その化合物は、糖尿病網膜症および加齢性黄斑変性症、および慢性関節リウマチ、バルーン血管形成術、ならびに癌後の冠状動脈の再狭窄といった細胞増殖および血管形成の特徴がある疾患といった後区眼疾患(posterior segment ocular disease)に罹患しているヒトの治療に特に有用である。
【背景技術】
【0003】
慢性炎症、虚血性疾患、および癌のような細胞の過剰増殖によって特徴付けられる状態は、しばしば、激しい脈管形成が付随する。これは、管出芽、内皮細胞遊走、増殖、および成熟を含む高度に組織化されたプロセスである。内皮細胞は、通常は静止性であるが、脈管形成応答の間ずっと活性化状態になる。刺激の際に、内皮細胞は、その基底膜および近位の細胞外マトリックスを退化させ、方向的に移動し、次いで分割し、そして新規基底膜によって覆われる機能的毛細血管を形成し得る。
【0004】
後区新生血管形成(NV)は、先進国における後天性の失明の2つの最も一般的な要因:滲出性加齢性黄斑変性症(ウェットAMD)および増殖糖尿病網膜症(PDR)に関与する、視力を脅かす病理である。現在、ウェットAMDの間に起こる後区NVを処置するための、米国で認可された処置がいくつか存在する。レーザー光凝固術は、レーザーターゲティングおよび熱エネルギー移動の予期せぬ変化が、一部の周辺組織の付随的な破壊を導くので、レーザーによる血管新生病変の熱的破壊を伴う。Visudyne(登録商標)溶液による光力学的治療は、患者への溶液の静脈内投与を伴う。ある時間後、赤色レーザーがAMDに侵された眼に照射される。ポルフィリン活性成分により生じる光子吸収は、酸素へエネルギーを移動して活性酸素種を生成する、電子的励起状態を生成する。厳密な薬理学的治療の使用は、ウェットAMDの処置のための、VEGF結合アプタマーペガプタニブナトリウム(Macugen(登録商標)溶液)の米国での認可を、2004後半に開始した。ガラス体切除術および膜除去での外科的介入が、増殖糖尿病網膜症の患者に対して、現在利用可能な唯一の選択である。ウェットAMDの処置および糖尿病網膜症の処置に関する臨床的に評価される他の薬学的処置としては、AMDのための酢酸アネコルタブ(Alcon,Inc.)およびrhuFabV2(Genentech)、ならびに糖尿病黄斑浮腫のためのLY333531(Lilly)およびフルオシノロン(Bausch&Lomb)が挙げられる。
【0005】
非滲出性(ドライ)AMDは、以下の記載するようにウェットAMDへと進行し得る。正常に機能する網膜においては、光レセプターは、網膜色素上皮(RPE)における特定の細胞によって支持されている。これらのRPE細胞は、放出された11−トランスレチノールアルデヒド(還元されたレチノールの形態で)を取り込み、オレフィン配置を光反応性11−シス形態に戻すように異性体化する。RPE細胞はまた、継続的に抜け落ち、そして置き換えられる光レセプター外膜セグメントを貪食する。脈絡膜の毛細血管は、光レセプターおよびRPE細胞に栄養学的支持(酸素、タンパク質、ホルモンなど)を提供し、それらから廃棄物を除去し、そしてそれらをブルーフ膜から分離させる。正常に機能するブルーフ膜は、脈絡膜毛細血管とRPE細胞との間の栄養素および廃棄産物の拡散的交換を可能にするのに十分に透過性である。ドライAMDでは、ブルーフ膜内における不溶性物質の堆積が増加し、タンパク質架橋をもたらす。疎水性物質の蓄積は、不十分な貪食作用の結果であり得、そして炎症応答を引き起こす。時間とともに、その膜は厚くなり、そして結果的に、脈絡膜毛細血管からの酸素(および血漿産生栄養素)に対する透過性も、RPE細胞からの廃棄産物に対する透過性も、いずれも減少させる。RPE細胞は、生じる代謝的損傷によって死ぬ可能性がある。それらのRPE細胞の支持なしでは、付随する斑における光レセプターは死ぬ。斑の光レセプターのこの損失は、ジオグラフィック・アトロフィー(geographic atrophy)と呼ばれる。この光レセプターが死ぬと、中心視力は次第に失われる。さらに、RPE細胞は、十分な血流を再構築する試みにおいてプロ血管形成タンパク質を分泌することによってブルーフ膜が厚くなることから生じる低酸素状態に応答し得る。これらのタンパク質の中で最も重要なのは、血管内皮増殖因子(VEGF)である。VEGFは、既存の毛細血管およびこれらの欠陥ブルーフ膜からの新しい毛細血管の増殖を促進する。このことは、漏出しやすい新しい血管(VEGFは強力な血管透過性増加因子である)からの流体および血液の斑への蓄積、ならびに網膜における繊維状堆積物および瘢痕組織の形成につながり、急速に網膜はく離を引き起こし、それゆえ視覚機能の損失を引き起こす。従って、代謝的損傷誘導性細胞死からRPE細胞を救出することによるドライAMDの処置は、ウェットAMDへの疾患進行も阻害するはずである。
【0006】
糖尿病網膜症に関しては、黄斑浮腫につながる糖尿病患者における高血糖によって誘導される網膜微小血管における変化に加えて、新生血管膜の増殖もまた、血管の漏出および網膜の浮腫に関係する。浮腫が斑に関する場合は、視力は減少する。糖尿病網膜症では、黄斑浮腫が視力損失の主要な要因である。血管新生障害と同様、レーザー光凝固が、浮腫状態を安定化させるかまたは解決するために使用される。浮腫のさらなる進行を減少させる一方で、レーザー光凝固は細胞破壊的手順であり、すなわち、不幸にも、影響された目において視力を減少させる。
【0007】
眼のNVおよび浮腫のための薬理学的治療は、多くの疾患において患者に実質的な効果を提供し、それゆえ侵襲性の外科手術または損傷を与えるレーザー手順を回避する。NVおよび浮腫の効果的な処置は、患者のクオリティ・オブ・ライフおよび社会内での生産性を向上させる。また、盲人に対して補助を提供することおよびヘルスケアに付随する社会的コストが、劇的に削減され得る。
【0008】
関節の滑膜性ライニングにおける血管の過剰な血管新生は、関節リウマチにおける重要な役割を果たすと考えられている。新しい血管ネットワークを形成することに加えて、内皮細胞が、パンヌスの成長および軟骨の破壊を導く、因子および活性酸素種を放出する。血管新生に関与する因子は、間接リウマチの慢性的炎症状態に能動的に寄与し、この状態の維持に役立ち得ると考えられている。血管新生に関連する因子はまた、変形性関節症においても役割を有し得ると考えられている。血管新生関連因子による軟骨細胞の活性化は、関節の破壊の原因となる。後期には、この血管新生因子は、新しい骨の形成を促進し得る。
【0009】
しばしば、癌は血管新生に関連し、固形腫瘍形成および転移によって同定される。腫瘍は、栄養素を提供し、細胞の廃棄物を除去するための血液供給なしでは拡大し得ない。血管新生が重要な腫瘍としては、固形腫瘍、および良性腫瘍(たとえば、聴神経腫、神経線維腫、トラコーマ、および肉芽腫)が挙げられる。血管新生の予防および阻害は、これらの腫瘍の成長、およびその腫瘍の存在に起因するその後の変性状態を予防または停止させ得る。
【0010】
血管新生はまた、白血病を含む血液性腫瘍とも関連している。これは、骨髄の任意の種々の急性または慢性の新生物疾患であり、白血球の無制限の増殖が起こり、通常は貧血、血液凝固不全ならびにリンパ節、肝臓および脾臓の肥大が伴う。血管新生は、白血病様腫瘍を引き起こす、骨髄における異常性における原因因子として重大であると考えられている。
【0011】
血管新生は、腫瘍転移の2つの段階において重要である。血管新生刺激が重要である第一の段階は、腫瘍細胞を血管内に侵入させ、体中を循環させる、腫瘍の脈管化においてである。一旦腫瘍細胞が原発部位を離れ、次の転移部位を見つけると、新しい腫瘍が成長し拡大する前に血管新生が起こらなければならない。従って、血管新生の予防は、腫瘍の転移を予防し得、そして癌性の成長を原発部位へ封じ込め得る。
【0012】
多くの個体が、心臓に栄養素を供給する血管の部分的閉塞によって引き起こされる心臓疾患に罹患している。そのような個体における血管のより重篤な閉塞は、しばしば、高血圧、虚血性損傷、脳卒中、または心筋梗塞につながる。代表的に、血管閉塞よりも、血管内膜平滑筋細胞の過形成から生じる血管狭窄が先に起こる。血管内膜平滑筋細胞の過形成の根底にある原因は、血管平滑筋の損傷および内皮ライニングの完全性の破壊である。再狭窄は、平滑筋細胞遊走および経皮的経管的冠動脈バルーン血管形成術の部位における増殖のプロセスであり、血管形成術の成功を妨げる。バルーン血管形成術の二次的な血管狭窄および再狭窄のいずれについても、全体的な疾患プロセスは、疾患プロセスの病因に起因する過増殖血管疾患であるということができる。
【0013】
血管形成を阻害することが知られている多くの因子が存在する。例えば、ヘパリンまたは特異的ヘパリンフラグメントの存在下で血管形成を阻害するように機能するステロイドが、非特許文献1に記載されている。著者らは、そのようなステロイドを、「血管静的(angiostatic)」ステロイドと称している。血管静的であることが見出されたこの種類のステロイドには、コルチゾールおよびコルテキソロン(cortexolone)のジヒドロ代謝物およびテトラヒドロ代謝物が挙げられる。ステロイドが血管形成を阻害するメカニズムについての仮説の試験に関するその後の研究において、ヘパリン/血管静的ステロイド組成物が、毛細血管の退縮をもたらす、係留依存性内皮細胞が付着する基底膜足場の崩壊を引き起こすことが示された;非特許文献2を参照のこと。
【0014】
血管形成を阻害するのに有用なテトラヒドロステロイドの群が、Aristoffらの米国特許第4,975,537号に開示されている。この化合物は、頭部外傷、脊髄外傷、敗血性ショックまたは外傷性ショック、発作、および出血ショックの処置における使用について開示された。さらに、この特許は、胚着床における、ならびに癌、関節炎、および動脈硬化の処置における、これらの化合物の有用性について考察している。Aristoffらにおいて開示されたステロイドのうちのいくつかは、温血動物における血管形成を阻害するためのヘパリンまたはヘパリンフラグメントと組み合わせて、特許文献1に開示されている。
【0015】
各々βシクロデキストリンと組み合わせた、ヒドロコルチゾン、「テトラヒドロコルチゾール−S(tetrahydrocortisol−S)」、およびU−72,745Gの組成物は、角膜の血管新生を阻害することが示されている:非特許文献3を参照のこと。このステロイド単独でも血管新生をいくらか減少させるが、血管新生の退行を起こすには単独では効果的ではない。
【0016】
テトラヒドロコルチゾール(THF)は、Folkman,et al.,Angiostatic Steroids,Ann.Surg.,Vol.206(3),374−383,1987において血管静的ステロイドとして開示されており、この中で血管静的ステロイドは異常な血管新生によって支配される疾患(糖尿病網膜症、血管新生緑内障、および水晶体後線維増殖症が挙げられる)のための、潜在的用途を有し得ることが示唆されている。
【0017】
特定の非ステロイド抗炎症剤(NSAID)が病的状態における血管新生および血管浮腫を阻害し得ることが以前に示されている。ほとんどのNSAIDの、血管透過性に影響する能力、浮腫および血管新生をもたらす能力は、シクロオキシゲナーゼ酵素(COX−1およびCOX−2)を遮蔽するそれらの能力に関連しているようである。COX−1およびCOX−2の遮蔽は、炎症性メディエーター(例えば、PGE)の減少に関連する。さらに、PGE阻害は、種々のサイトカイン(血管内皮増殖因子(VEGF)が挙げられる)の発現および産生における減少をもたらす。VEGFは、前臨床モデルの目において、血管の漏出および血管新生を生じさせることが知られている。同様に、VEGFレベルの増加が、新生血管組織、ならびに糖尿病網膜症および加齢性黄斑変性症の患者の目からの細胞外流体において見出されている。従って、NSAIDは、PGEレベルならびにそのVEGF発現および活性に対する効果を調節することによって、血管漏出および血管形成を阻害し得る。この理論は、COX−2インヒビターの全身投与がPGEおよびVEGF組織レベルを減少させ、それによって腫瘍誘導性血管形成を防ぐことを実証する、動物腫瘍モデルにおける研究によって支持されている。これらのモデルにおいて、VEGF活性および血管新生は、継続的なCOX−2の遮蔽の間に、外因性PGEを加えることによって回復する。しかしながら、NSAIDは、眼性新生血管形成(NV)の動物モデルにおいて変動する活性を有するようであり、選択的COXインヒビターは、脈絡膜の新生血管形成を阻害しないようである。実際に、これらの研究は、CNVの発症におけるCOX−1および/またはCOX−2の役割に関する疑問を投げかけている。
【0018】
共有に係る米国特許出願第09/929,381号に記載されているように、特定の3−ベンゾイルフェニル酢酸および誘導体(NSAIDである)が血管形成関連疾患を処置するために有用であることが見出された。
【0019】
Leeらは、化合物1および化合物2がリポキシンAと同程度に強力に好中球のLTB誘導走化性を阻害することを開示している[非特許文献4]。著者らはALXR抗体または低分子機能的アンタゴニストを用いて、それらの走化性の阻害を無効にすることを試みていないため、化合物1および化合物2がリポキシンAレセプター(ALXR)の活性化を経て作用するかどうかは不明瞭である。化合物1または化合物2に関する他の生物学的データは、当該分野では明らかになっていない。
【0020】
【化9】


リポキシンAおよびその特定のアナログは、抗炎症剤であることが報告されている(例えば、Serhanら、特許文献2を参照のこと)。活性化白血球のアスピリン処置が、COX−2アイソザイムのシクロオキシゲナーゼ活性をリポキシゲナーゼ活性へ変換することによって、アラキドン酸から15−エピ−リポキシンAの生合成(アスピリン誘因性リポキシンまたはATL)導くことが報告されている[非特許文献5;非特許文献6]。
【0021】
【化10】


アスピリンはまた、抗癌効果[非特許文献7;非特許文献8]および抗血管形成効果と関係している。これらは、ATLの仲介によって部分的には起こりえる[非特許文献9;JP 08268886 A2(CAN 126:65396);糖尿病網膜症の処置のための、ジフェニルシアノペンテノン酸であるサチグレル(satigrel)と組み合わせたアスピリンの使用もまた、この出願において公開されている]。リポキシンアナログ3は、インビトロでVEGF誘導性およびロイコトリエンD誘導性の内皮細胞走化性および増殖の両方を阻害すること、そしてインビボでネズミの慢性肉芽腫空気嚢モデルにおいてVEGF誘導性血管形成を阻害することが示されている[非特許文献10]。
【0022】
【化11】


加齢性黄斑変性および糖尿病網膜症のような眼の血管新生疾患を含む血管形成依存疾患の処置のための、3を含むリポキシンAおよび特定のアナログの使用が、開示されている(SerhanおよびFierro,特許文献3)。しかしながら、本発明者らの知る限りでは、式1の化合物は、AMDおよび糖尿病網膜症のような後区眼疾患、またはリウマチ様動脈炎、癌、および経皮的経管的冠動脈形成術の二次的な脈管の再狭窄のような細胞増殖依存性疾患および血管形成依存性疾患に関して、特許請求されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許第4,771,042号明細書
【特許文献2】米国特許第5,441,951号明細書
【特許文献3】米国特許第6,627,658号明細書
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】Crum,et al.,A New Class of Steroids Inhibits Angiogenesis in the Presence of Heparin or a Heparin Fragment,Science,1985年12月20日,Vol.230:1375−1378
【非特許文献2】Ingber,et al.,A Possible Mechanism for Inhibition of Angiogenesis by Angiostatic Steroids:Induction of Capillary Basement Membrane Dissolution,Endocrinology,1986,Vol.119:1768−1775
【非特許文献3】Liら,Angiostatic Steroids Potentiated by Sulphated Cyclodextrin Inhibit Corneal Neovascularization,Investigative Ophthalmology and Visual Science,1991年10月,Vol.32(11):2898−2905
【非特許文献4】Leeら、Biochemical and Biophysical Research Communications 1991,180(3),1416−21
【非特許文献5】Serhan,Charles Nら,J.Pharmacol.Exp.Ther.1998,287,779
【非特許文献6】Serhan,Charles Nら,Clin.Chem.Lab.Med.1999,37,299
【非特許文献7】Current Topics in Pharmacology 2002,6,25−39
【非特許文献8】Nature Medicine(New York)1999,5(12),1348−1349
【非特許文献9】Anticancer Research 2001,21(6A),3829−3837
【非特許文献10】Fierroら、J.Pharm.Expt.Ther.2002,300(2),385−392
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0025】
(発明の要旨)
本発明は、眼後区の眼疾患(例えば、ドライAMD);眼後区血管新生および浮腫障害(例えば、糖尿病網膜症およびウェットAMD);ならびに細胞の過増殖および過剰血管形成によって特徴付けられる疾患(例えば、慢性関節リウマチ、癌および経皮的経管的冠動脈形成術の二次的な血管再狭窄)に罹患している個人を処置するための、5,6,7−トリヒドロキシヘプタン酸およびアナログの使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
特許請求される本発明の化合物は、ドライAMDの処置のために、および病理脈管形成の間に起こるような細胞増殖のインヒビターとして有用である。本発明の一つの局面は、血管形成の予防、低減、もしくは阻害のための方法に関する。本方法は、5,6,7−トリヒドロキシヘプタン酸クラスの一つ以上の化合物およびその薬学的に受容可能な塩、エステル、アミドもしくはプロドラッグの有効量の、それを必要とする被験体への投与によって達成される。治療薬の作用の結果、ドライAMDもしくは血管形成が、被験体中で阻害または抑制される。
【0027】
本発明の別の局面は、本発明の一つ以上の5,6,7−トリヒドロキシヘプタン酸アナログでのドライAMD罹患患者の処置に関する。これらの化合物はまた、ドライAMDからウェットAMDへの進行を遅らせることに関して有用である。
【0028】
本発明の別の局面は、眼血管新生疾患もしくは浮腫疾患の処置に関する。その処置は、本発明の一つ以上の5,6,7−トリヒドロキシヘプタン酸アナログで罹患患者の処置をすることによる。本発明の化合物は、ウェットAMDおよび糖尿病網膜症ならびにそれらに関する後遺症(例えば、糖尿病黄斑浮腫)の処置のために、特に有用である。ヒト患者において本発明の一つ以上の5,6,7−トリヒドロキシヘプタン酸アナログによって処置され得る他の眼血管新生依存疾患としては、以下が挙げられる。慢性緑内障、網膜剥離、かま状赤血球網膜症、加齢性黄斑変性症、ルベオーシス虹彩炎、ブドウ膜炎、新生物形成、フックス虹彩異色性虹彩毛様体炎、血管新生緑内障、角膜新生血管形成、ガラス体切除術および水晶体切除術との組み合わせから結果としておこる新生血管形成、網膜虚血、脈絡膜血管不全、脈絡膜血栓症、頚動脈の動脈虚血、挫傷的な眼の外傷、早期発見の網膜症、網膜の静脈閉塞、増殖ガラス体網膜症、角膜血管形成、網膜微小血管症。
【0029】
本発明の別の局面は、本発明の一つ以上の5,6,7−トリヒドロキシヘプタン酸アナログでの罹患患者の処置による、リウマチおよび変形性関節症の処置および予防に関する。
【0030】
本発明の別の局面は、被験体において血管新生を起こしている固形腫瘍組織成長の予防もしくは阻害のための方法に関する。本方法は、5,6,7−トリヒドロキシヘプタン酸クラスの一つ以上の化合物および薬学的に好ましい塩、エステル、アミドもしくはプロドラッグの有効量の、それを必要とする被験体への投与により達成される。
【0031】
本発明の別の局面は、本発明の一つ以上の5,6,7−トリヒドロキシヘプタン酸アナログでの罹患患者の処置による、血管狭窄もしくは経皮的経管的冠動脈形成術の二次的な再狭窄の阻害、低減、もしくは予防に関する。再狭窄の予防のために、これらの化合物は、好ましくは、経口、静脈注射、または薬剤浸透ステントの使用のいずれかによって、投与し得る。経口または静脈デリバリーに関して、罹患患者の処置は、手術の数日前または血管形成術後約2日から約28日間、そしてより代表的には処置後の最初の14日間で開始し得る。
【0032】
本発明の方法のために有用な5,6,7−トリヒドロキシヘプタン酸アナログは、式1のものである:
【0033】
【化12】


ここで:
はC、COR、CONR、CHOR、もしくはCHNRであり;
RはH、C−Cの直鎖もしくは分枝アルキル、C−Cの直鎖もしくは分枝アルケニル、C−Cの直鎖もしくは分枝アルキニル、C−Cのシクロアルキル、もしくはフェニル;またはRは式COのカルボン酸塩であり、RはLi,Na,Kであるか、式NR10111213のアンモニウム部分であり、R10、R11、R12、およびR13は独立してHまたはC−Cの直鎖または分枝アルキルであり、各アルキル基は、必要に応じてOHまたはOCH置換基を有し;
、Rは、独立してH、C−Cの直鎖または分枝アルキル、C−Cの直鎖または分枝アルケニル、C−Cの直鎖または分枝アルキニル、C−Cのシクロアルキル、ベンジル、フェニル、OH、OCH、またはOCであり、ただし、多くてもR、Rの一方のみがOH、OCH、またはOCであり;
はH、C(O)R14、C−Cの直鎖または分枝アルキル、C−Cの直鎖または分枝アルケニル、C−Cの直鎖または分枝アルキニル、C−Cのシクロアルキルベンジル、またはフェニルであり;
、Rは、独立してH、C(O)R14、C−Cの直鎖または分枝アルキル、C−Cの直鎖または分枝アルケニル、C−Cの直鎖または分枝アルキニル、C−Cのシクロアルキル、ベンジル、フェニル、OH、OCH、またはOCであり、ただし、多くてもR、Rの一方のみがOH、OCH、またはOCであり;
Xは、O、CH、またはSであり;
、R、およびRは、独立してH、CH、C、C(O)R14、C(O)NR1415、もしくはCO15であり;
またはRおよびRまたはRおよびRは、一緒になってカルボニル基(C=O)を構成し、それによって、環状炭酸塩を形成し;
またはORは、一緒になって環式エステル(ラクトン)を形成し;
14およびR15は、H、C−Cの直鎖もしくは分枝アルキル、C−Cの直鎖または分枝アルケニル、C−Cの直鎖または分枝アルキニル、C−Cのシクロアルキル、ベンジル、またはフェニルであり;そして
【0034】
【化13】


は、該OR置換基がその位置でR絶対配置またはS絶対配置を与える配置をし得ることを示す。
【0035】
【化14】


本発明の使用方法のために好ましいのは、式1の化合物であり:
は、C、COR、CHOR、または式COのカルボン酸塩であって;
はLi,Na,K、またはNHであり;
Rは、H、CH、C、n−C、またはi−Cであり;
Xは、CHであり;
は、H、COCH、またはCHであり;そして
、R、Rは、独立してH、CH、CHCOであり;
または、RおよびR、またはRおよびRは、一緒になってカルボニル基(C=O)を構成し、それによって、環状カルボン酸を形成し;
またはORは一緒になって環状エステル(ラクトン)を形成する。
【0036】
中でも特に好ましいものは、化合物1−6である。化合物1は、Biomol Research Laboratories,Plymouth Meeting,PAから市販されており、そして化合物2は、Leeら、Biochemical and Biophysical Research Communications 1991,180(3),1416−21に詳述されているように調製され得る。化合物3−6は、以下の実施例1−4に詳述されているように調製し得る。
【0037】
【化15】


以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれている。本発明者らによって発見された代表的な技術に従う本実施例において開示されている技術が本発明の実施において十分に機能し、従ってその実施のための好ましい様式を攻勢すると考慮され得ることが、当業者によって認識されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示の観点から、多くの変化が開示される具体的な実施形態においてなされ得、かつ本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく同様のまたは類似の結果をなお得ることができることを認識するべきである。
【実施例】
【0038】
(実施例1:化合物3の合成)
【0039】
【化16】


1M LiOH(0.5mL,0.5mmol)を含むMeOH(2.1mL)中のメチルエステル1溶液(20mg,0.104mmol)を、マイクロ波ヒーターにおいて、120℃で6分間加熱した。反応物を濃縮し、残留物を7:3v:vの0.05M HCl:アセトニトリルを用いて溶出する。直径10mm×高さ18cmのC18逆相シリカゲルカラムでクロマトグラフし、濃縮後白色の粗い固体を得た(40.9mg)。この固体を、熱アセトニトリル(2×2mL)で洗浄し、ろ液を濃縮し、ラクトン3を得た(7.8mg,47%)。
【0040】
【化17】


(実施例2:化合物4の合成)
【0041】
【化18】


MeOH水溶液中のメチルエステル1溶液を加熱して、3等量の水酸化リチウム存在下で還流する。6時間後、その反応を室温まで冷却し、溶液のpHを、70−9メッシュスルホン酸樹脂MP(Novabiochem/EMD Biosciences,10394 Pacific Center Court,San Diego,CA 92121から市販されている)の添加により6に調製する。この溶液を、0.2μMポリターフルオロエチレン(poly−terfluoroethylene)シリンジフィルターを通してろ過し、濃縮して、白色固体としてリチウムカルボキシレート4を得た。
【0042】
【化19】


(実施例3:化合物8の合成)
【0043】
【化20】


2−デオキシ−D−リボースは、酢酸エチル中の2−メトキシプロペンと触媒性ピリジニウムp−トルエンスルホン酸(PPTS)で処理することによって、アセトニドで保護されたラクトール10に変換する。触媒性の安息香酸存在下、THF中でのPhP=CHCOEtとのウィッティヒ反応により、エノエート11を得て、それをエタノール中の触媒性のPd/Cの存在下、水素雰囲気下で、12に還元する。5分間、エタノール中で0.1N HClを用いた12の脱保護、それに続いて、水溶性のNaHCOでのクエンチングにより、シリカゲルクロマトグラフ精製後、8を得る。
【0044】
(実施例4:化合物9の合成)
【0045】
【化21】


触媒性の安息香酸の存在下、THF中でのPhP=CHCOEtとのラクトール10のウィッティヒ反応により、エノエート13を得て、それをイソプロパノール中触媒性のPd/Cの存在下、水素雰囲気下で、14に還元する。5分間、イソプロパノール中で0.1N HClを用いた、14の脱保護、それに続いて、水溶性のNaHCOでのクエンチングにより、シリカゲルクロマトグラフ精製後、9を得る。
【0046】
本発明はまた、5,6,7−トリヒドロキシヘプタン酸およびアナログを含む組成物、ならびに、それらの使用に関する。本発明の方法によると、全身投与または局所的投与のための本発明の一つ以上の化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物が、それを必要とする哺乳動物へ投与される。この組成物は、所望される投与の特定のルートに関する当該分野で公知の方法に従って、製剤化される。
【0047】
本発明の化合物は、全身もしくは局所的のいずれかに投与され得る。全身投与としては、以下が挙げられる:経口、経皮、皮下(subdermal)、心膜内、皮下(subcutaneous)、経鼻、舌下、もしくは直腸。眼投与のための局所投与としては以下が挙げられる:局所、ガラス体内、眼周囲、経強膜(transcleral)、眼球後、テノン下、もしくは眼内部のデバイス経由。好ましい投与は、処置される眼の血管新生状態もしくは疾患の種類に依存する。
【0048】
本発明により投与される組成物は、一つ以上の化合物の薬学的有効量を含む。本明細書中で使用される場合、「薬学的有効量」は、新生血管形成および浮腫を軽減または予防するために十分な量である。一般的に、眼の新生血管形成もしくは浮腫、癌、関節炎、または心臓血管形成術の二次的な処置のために全身投与されることを意図される組成物については、化合物の全量は、約0.01−100mg/kgである。
【0049】
表題の化合物の個々の鏡像異性体ならびにそれらのラセミ体や非ラセミ体混合物も本発明の範囲内に含まれる。一般的に、個々のエナンチオマーは、多数の方法により入手可能である。この方法としては、以下のものが挙げられるが、これに限定されない:適切な鏡像異性的に純粋であるかまたは濃縮された出発物質からのエナンチオ選択合成;キラル試薬、触媒、溶媒等を用いたラセミ体/非ラセミ体またはアキラルな出発物質からの合成(たとえば、Asymmetric Synthesis, J.D.MorrisonおよびJ.W.Scott編 Academic Press Publishers,(New York)1985),volumes 1−5;Principles of Asymmetric Synthesis,R.E.GawleyおよびJ.Aube編;Elsevier Publishers(Amsterdam 1996)を参照のこと);ならびに、多くの公知の方法によるラセミ体および非ラセミ体の混合物からの単離。たとえば、キラルHPLCによるサンプルの精製(A Practical Guide to Chiral Separations by HPLC, G.Subramanian編, VCH Publishers,(New York 1994);Chiral Separations by HPLC,A.M.Krstulovic編,Ellis Horwood Ltd.Publishers(1989))によるかまたは酵素によるカルボン酸エステルサンプルのエナンチオ選択加水分解(Ohno,M.;Otsuka,M.,Organic Reactions,37:1(1989))による。当業者は、ラセミ体と非ラセミ体との混合物が、いくつかの手段で得られ得ることを認識する。この手段としては、以下のものが挙げられるが、これに限定されない;非エナンチオ選択合成、部分分割、または異なるエナンチオ比を有するサンプルを混合することまでも。本発明の原理から逸脱することなく、かつ本発明の利点を犠牲にすることなく、添付の特許請求の範囲内で、このような詳細から発展がなされ得る。本発明の範囲内に含まれるものは、それら各々の鏡像異性体を実質的に含まない個々の異性体である。
【0050】
以下の局所的眼処方物および全身処方物は、熟練した臨床医の自由裁量により、一日当たり1−4回投与される本発明によると有用である。
【0051】
【化22】

【0052】
【化23】

【0053】
【化24】

【0054】
【化25】

【0055】
【化26】

【0056】
【化27】


本発明の好ましい組成物は、以下に罹患しているヒト患者への投与を意図される:非惨出性年齢関連性黄斑変性症;糖尿病網膜症、慢性緑内障、網膜剥離、かま状赤血球網膜症、加齢性黄斑変性症、ルベオーシス虹彩炎、ブドウ膜炎、新生物形成、フックス虹彩異色性虹彩毛様体炎、血管新生緑内障、角膜新生血管形成、ガラス体切除術および水晶体切除術との組み合わせから結果としておこる新生血管形成、網膜虚血、脈絡膜血管不全、脈絡膜血栓症、頚動脈の動脈虚血、挫傷的な眼の外傷、早期発見の網膜症、網膜の静脈閉塞、増殖ガラス体網膜症、角膜血管形成、網膜微小血管症、および網膜(黄斑)浮腫のような眼の新生血管形成、または浮腫状の疾患、もしくは障害;癌;関節炎;ならびに経皮的経管的冠動脈形成術の二次的な脈管の再狭窄。
【0057】
本発明は、具体的な好ましい実施例の参照によって記載されている;しかしながら、本発明は、本発明特有の、もしくは不可欠な特性から逸脱することなく、他の明確な形態またはそのバリエーションにおいて実施され得ることが理解されるべきである。従って、上述の実施形態は、全ての観点かつ非限定的に実証されているとみなされ、本発明の範囲は、上述の説明よりむしろ添付の特許請求の範囲により示される。
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
後区眼疾患もしくは細胞増殖疾患に罹患しているヒトを処置する方法であって、該方法は、式1の一つ以上の化合物の薬学的有効量を投与する工程を包含し、以下:
【化1】


ここで:
はC、COR、CONR、CHOR、もしくはCHNRであり;
RはH、C−Cの直鎖もしくは分枝アルキル、C−Cの直鎖もしくは分枝アルケニル、C−Cの直鎖もしくは分枝アルキニル、C−Cのシクロアルキル、もしくはフェニル;またはRは式COのカルボン酸塩であり、RはLi,Na,Kであるか、式NR10111213のアンモニウム部分であり、R10、R11、R12、およびR13は独立してHまたはC−Cの直鎖または分枝アルキル、OHまたはOCH置換基を任意に支える互いのアルキル基であり;
、Rは、独立してH、C−Cの直鎖または分枝アルキル、C−Cの直鎖または分枝アルケニル、C−Cの直鎖または分枝アルキニル、C−Cのシクロアルキル、ベンジル、フェニル、OH、OCH、またはOCであり、ただし、多くてもR、Rの一方のみがOH、OCH、またはOCであり;
はH、C(O)R14、C−Cの直鎖または分枝アルキル、C−Cの直鎖または分枝アルケニル、C−Cの直鎖または分枝アルキニル、C−Cのシクロアルキルベンジル、またはフェニルであり;
、Rは、独立してH、C(O)R14、C−Cの直鎖または分枝アルキル、C−Cの直鎖または分枝アルケニル、C−Cの直鎖または分枝アルキニル、C−Cのシクロアルキル、ベンジル、フェニル、OH、OCH、またはOCであり、ただし、多くてもR、Rの一方のみがOH、OCH、またはOCであり;
Xは、O、CH、またはSであり;
、R、およびRは、独立してH、CH、C、C(O)R14、C(O)NR1415、もしくはCO15であり;
またはRおよびRまたはRおよびRは一緒になってカルボニル基(C=O)を構成し、それによって、環状炭酸塩を形成し;
またはORは、一緒になって環式エステル(ラクトン)を形成し;
14およびR15は、H、C−Cの直鎖もしくは分枝アルキル、C−Cの直鎖または分枝アルケニル、C−Cの直鎖または分枝アルキニル、C−Cのシクロアルキル、ベンジル、またはフェニルであり;そして
【化1a】


は、該OR置換基がその位置でR絶対配置またはS絶対配置を与えるように配置され得ることを示す、方法:
【化2】


(項目2)
上記後区眼疾患(posterior segment ocular disease)が、ドライAMDまたは眼後区血管新生または浮腫疾患である項目1に記載の方法。
(項目3)
上記式1の化合物であって、以下:
は、C、COR、CHOR、または式COのカルボン酸塩であって;
はLi,Na,K、またはNHであり;
Rは、H、CH、C、n−C、もしくはi−Cであり;
Xは、CHであり;
は、H、COCH、もしくはCHであり;そして
、R、Rは、独立してH、CH、CHCOであり;
または、RおよびR、もしくはRおよびRは一緒になってカルボニル基(C=O)を構成し、それによって環状カルボン酸を形成し;
またはORは共に環式エステル(ラクトン)を形成する、項目2に記載の方法。
(項目4)
上記化合物が、以下:
【化3】


からなる群から選択される、項目3に記載の方法。
(項目5)
上記眼後区新生血管形成もしくは浮腫疾患が、糖尿病網膜症、ウェットAMD、網膜微小脈管障害、および網膜(黄斑)浮腫からなる群から選択される、項目2に記載の方法。
(項目6)
上記眼後区血管新生もしくは浮腫疾患が、糖尿病網膜症、ウェットAMD、網膜微小脈管障害、および網膜(黄斑)浮腫のからなる群から選択される、項目3に記載の方法。
(項目7)
上記眼後区血管新生もしくは浮腫疾患が、糖尿病網膜症、ウェットAMD、網膜微小脈管障害、および網膜(黄斑)浮腫からなる群から選択される、項目4に記載の方法。
(項目8)
項目2に記載の化合物の薬学的有効量を含有する、組成物。
(項目9)
上記組成物が眼科用組成物である、項目7に記載の組成物。
(項目10)
約0.01mg/kgから約100mg/kgまでの項目1に記載の化合物を含む、項目7に記載の組成物。
(項目11)
項目7に記載の組成物であって、式1の化合物を含み:
【化4】


ここで、式1の化合物について、以下:
は、C、COR、CHOR、または式COのカルボン酸塩であって;
はLi,Na,K、またはNHであり;
Rは、H、CH、C、n−C、またはi−Cであり;
Xは、CHであり;
は、H、COCH、またはCHであり;そして
、R、Rは、独立してH、CH、CHCOであり;
または、RおよびR、もしくはRおよびRは一緒になってカルボニル基(C=O)を構成し、それによって環状カルボン酸を形成し;
またはORは一緒になって環式エステル(ラクトン)を形成する、組成物。
(項目12)
上記化合物が、以下:
【化5】


からなる群から選択される、項目10に記載の組成物
(項目13)
上記組成物中の上記化合物の重量パーセントが、0.01パーセントから2パーセントである、項目9に記載の組成物。
(項目14)
上記組成物が溶液である、項目7に記載の組成物。
(項目15)
上記溶液中の上記化合物の濃度が約0.2%から約0.5% w/v%である、項目13に記載の組成物。
(項目16)
上記化合物が、以下:
【化6】


からなる群から選択される項目14に記載の組成物であって、
ここで、RはCHであるか、またはCORが式COLiのリチウムカルボン酸塩を形成する、組成物。
(項目17)
上記組成物がカプセルである、項目7に記載の組成物。
(項目18)
上記カプセルが約1mgから約10mg配合を備える、項目16に記載の組成物。
(項目19)
上記カプセルが約5mg配合を備える、項目17に記載の組成物。
(項目20)
上記化合物が次式である、項目18に記載の組成物;
【化7】


ここで、RはCHであるか、またはCORが式COLiのリチウムカルボン酸塩を形成する、組成物。
(項目21)
上記組成物が眼科用軟膏である、項目7に記載の組成物。
(項目22)
上記化合物の濃度が約0.01パーセントから約2パーセントである、項目20に記載の組成物。
(項目23)
上記化合物が次式である、項目21に記載の組成物。
【化8】


(項目24)
上記細胞増殖疾患が癌である、項目1に記載の方法。
(項目25)
上記細胞増殖疾患が関節炎である、項目1に記載の方法。
(項目26)
上記細胞増殖疾患が経皮的経管的冠動脈形成術の二次的な脈管の再狭窄である、項目1に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される発明。

【公開番号】特開2012−107073(P2012−107073A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−54606(P2012−54606)
【出願日】平成24年3月12日(2012.3.12)
【分割の表示】特願2007−540158(P2007−540158)の分割
【原出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(399054697)アルコン,インコーポレイテッド (102)
【Fターム(参考)】