説明

眼への局所投与のためのカルボン酸NSAIDのアミド誘導体を含む処方物

カルボン酸非ステロイド系抗炎症剤のアミド誘導体の局所用組成物が開示される。本発明の組成物は、眼に局所投与されると、ミトコンドリアの膨潤を引き起こす可能性が低下する。本発明はまた、眼の炎症性障害を処置する必要のある哺乳動物において眼の炎症性障害を処置する方法に関する。本発明の1つの実施形態において、抗炎症有効量のカルボン酸NSAIDのアミド誘導体と、ミトコンドリアの膨潤およびシトクロームcの放出を弱めるか、または防げるために効果的な量の亜硫酸塩と、眼に受容され得るビヒクルとを含む組成物が、哺乳動物の眼に局所投与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、カルボン酸非ステロイド系抗炎症剤(「NSAID」)のアミド誘導体の局所投与可能な眼用配合物に関する。本発明の配合物は、眼の炎症性障害を処置するために有用である。
【背景技術】
【0002】
多くの非ステロイド系抗炎症剤(「NSAID」)が知られている。1つの知られている種類のNSAIDがカルボン酸NSAIDである。数ある使用の中で、カルボン酸NSAIDは、白内障手術に関連して広く使用されている。
【0003】
外科手術手技および手術器具が改善されているにもかかわらず、局所用NSAIDの使用に伴う白内障手術後の角膜の潰瘍形成が低い発生率で起こり続けている。近年の科学文献では、NSAIDが、シクロオキシゲナーゼの阻害(すなわち、プロスタグランジン合成)のために必要とされる濃度よりも高い濃度で使用されると、プログラム化された細胞死(アポトーシス)を開始させることが示されている。例えば、非特許文献1;非特許文献2;および非特許文献3を参照のこと。アポトーシスは、ミトコンドリアが膨潤し、シトクロームcを放出するフリーラジカル機構によって開始される。シトクロームcは、放出されたとき他のカスパーゼの活性化を促進するセリンプロテアーゼ(カスパーゼ−9)を活性化し、それにより、核成分が続いて分解される。必要とされるものは、膨潤応答およびミトコンドリアからのシトクロームcの放出を最小限に抑えるか、妨げるか、またはなくし、それにより、カルボン酸NSAIDの局所的使用により直面する副作用を軽減または排除する、カルボン酸NSAIDの局所用配合物である。
【0004】
特許文献1は、強化された安定性のために亜硫酸塩および水溶性ポリマーを含む、ある種のカルボン酸NSAIDの局所用配合物を開示する。特許文献1の組成物における、任意選択の亜硫酸塩添加物の濃度は「約0.1〜1.0w/w%の範囲」である(特許文献1の第3段落61行〜62行)。特許文献1は、約0.1w/w%未満の亜硫酸塩を含有するカルボン酸NSAID組成物、または、カルボン酸NSAIDのアミド誘導体を含有するいかなる組成物も示していない。
【0005】
特許文献2はアリール酢酸のある種のアミド誘導体の局所用配合物を開示する。特許文献2に開示される組成物はいずれも、亜硫酸塩添加物を含有しない。
【特許文献1】米国特許第4,910,225号
【特許文献2】米国特許第5,475,034号
【非特許文献1】Zhangら、Leukemia Research、第24巻:385〜392頁(2000年)
【非特許文献2】Taibら、Saudi Medical Journal、第25巻(10号):1360〜1365頁(2004年)
【非特許文献3】Gomez−Lechonら、Biochemical Pharmacology、第66巻:2155〜2167頁(2003年)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明の組成物は、カルボン酸NSAIDのアミド誘導体を抗炎症有効量で含有する局所投与可能な眼用組成物である。さらに、この組成物は、ミトコンドリアの膨潤およびシトクロームcの放出を弱めるか、または防げるために効果的な量の亜硫酸塩を含む。この組成物はまた、眼に受容され得るビヒクルを含む。本発明はまた、眼の炎症性障害を処置する必要性のある哺乳動物において眼の炎症性障害を処置する方法に関する。本発明の1つの実施形態において、抗炎症有効量のカルボン酸NSAIDのアミド誘導体と、ミトコンドリアの膨潤およびシトクロームcの放出を弱めるか、または防げるために効果的な量の亜硫酸塩と、眼に受容され得るビヒクルとを含む組成物が、哺乳動物の眼に局所投与される。別の実施形態において、亜硫酸塩およびカルボン酸NSAIDのアミド誘導体をそれぞれ含む別々の組成物が、哺乳動物の眼に連続して投与される。
【0007】
数多くの要因の中でも、本発明は、ミトコンドリアが、フリーラジカル(ヒドロキシルフリーラジカル、超酸化物および過酸化物など)によるストレスを受けたとき、カルボン酸NSAIDのアミド誘導体の代謝物として形成されるカルボン酸NSAIDを含めて、カルボン酸NSAIDに感作され、膨潤するという知見に基づいている。ミトコンドリアの膨潤(すなわち、透過性移行細孔(permeability transition pore)の開口)はシトクロームcの放出およびアポトーシス経路の開始と関連する。この形態学的変化は、ミトコンドリアの透過性移行細孔が開口することによって誘導される。ミトコンドリアの移行細孔阻害剤は、炎症を起こした、過酸化物によるストレスを受けた組織においてNSAIDの暴露により誘導される角膜の潰瘍形成を、ミトコンドリアの膨潤、シトクロームcの放出、および、続く角膜実質細胞のアポトーシスを防げることによって阻止することができる。後者の細胞は、組織修復または創傷修復のために必要とされる細胞外マトリックス成分の合成を含めて、様々なサイトカインおよび増殖因子を産生することによって角膜の治癒のために不可欠である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(発明の詳細な説明)
別途示されない限り、すべての成分濃度は%(重量/体積)(%(w/v))の単位で示される。
【0009】
本発明の組成物および方法における使用に適したカルボン酸NSAIDのアミド誘導体は、下記の式(I)、式(II)および式(III)のアミド誘導体である
【0010】
【化5】

[式(I)および式(II)の両方について、
=H、C1〜6(非)分岐アルキル、(非)置換(下記Zによって定義されるような置換)、−(CH−X−(CHn’A;
=H、C1〜3アルキル、OR
=H、C1〜3アルキル;
=H、Me−、MeO−、MeS−;
=H、Me−;
X=非存在(炭素−炭素結合)、O、C=O、OC(=O)、C(=O)O、C(=O)NR、NRC(=O)、S(O)n2、CHOR、NR
、X2’(独立して)=H、F;
n=2〜6;
n’=1〜6;
=0〜2;
A=H、OH、場合により(非)置換のアリール(下記Zによって定義されるような置換)、(非)置換の複素環(下記Zによって定義されるような置換);および
Z=H、Cl、F、Br、I、OR、CN、OH、CF、R、NOである;そして
【0011】
【化6】

式中、
R=H、C1〜4(非)分岐アルキル、CF、SR
Y=NR”R’;
R’=H、C1〜10(非)分岐アルキル、(非)置換(下記Xによって定義されるような置換)、(非)置換の複素環(下記Xによって定義されるような置換)、−(CHZ(CHn’A;
n=2〜6;
n’=1〜6;
Z=非存在、O、C=O、OC(=O)、C(=O)O、C(=O)NR、NRC(=O)、S(O)n2、CHOR、NR
=0〜2;
=H、C1〜6(非)分岐アルキル、(非)置換のアリール(下記Xによって定義されるような置換)、(非)置換の複素環(下記Xによって定義されるような置換);
A=H、OH、場合により(非)置換のアリール(下記Xによって定義されるような置換)、(非)置換の複素環(下記Xによって定義されるような置換)、−(CHOR
R”=H、OH、OR’;
XおよびX’(独立して)=H、F、Cl、Br、I、OR’、CN、OH、S(O)n2、CF、R、NO
=C1〜6(非)分岐アルキル;
m=0〜3;
m’=0〜5;および
W=O、Hである]。
【0012】
式(I)および式(II)の好ましい化合物は、
=H、C1〜4(非)分岐アルキル、(非)置換(下記Zによって定義されるような置換);
、X2’、R、R=H;
=F;および
Z=Cl、F、Br、OH
である化合物である。
【0013】
=H、C1〜3アルキルである式(I)および式(II)の化合物がより好ましい。本発明において使用される式(I)の最も好ましい化合物が2−(3−フルオロ−4−フェニル)プロピオンアミドである。本発明において使用される式(II)の最も好ましい化合物が5−ベンゾイル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロリジン−1−カルボキサミドである。
【0014】
式(III)の好ましい化合物は、
R=H、C1〜2アルキル;
R’=H、C1〜6(非)分岐アルキル、−(CHZ(CHn’A;
Z=非存在、O、CHOR、NR
=H;
A=H、OH、(非)置換のアリール(下記Xによって定義されるような置換);
XおよびX’(独立して)=H、F、Cl、Br、CN、CF、OR’、SR、R
R”=H;
=C1〜4(非)分岐アルキル;
m=0〜2;
m’=0〜2;
W=H;
n=2〜4;および
n’=1〜3
である化合物である。
【0015】
式(III)の最も好ましい化合物が、2−アミノ−3−(4−フルオロベンゾイル)フェニルアセトアミド、2−アミノ−3−ベンゾイル−フェニルアセトアミド(ネパフェナク)および2−アミノ−3−(4−クロロベンゾイル)−フェニルアセトアミドである。
【0016】
式(I)〜式(III)の化合物は知られており、当業者によって容易に作製することができる。例えば、これらの全内容が参考として本明細書中に組み込まれる米国特許第6,646,003号および同第5,475,034号を参照のこと。
【0017】
本発明の組成物はカルボン酸NSAIDのアミド誘導体の抗炎症有効量を含有する。組成物は一般には、0.01%〜0.5%の、カルボン酸NSAIDのアミド誘導体を含有する。
【0018】
式(I)〜式(III)のアミド誘導体に加えて、本発明の組成物はまた、亜硫酸塩を含有する。好適な亜硫酸塩には、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸マグネシウム、亜硫酸カルシウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸マグネシウム、重亜硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウムおよびメタ重亜硫酸カルシウムが含まれる。
【0019】
最も好ましいものが亜硫酸ナトリウム塩(NaSO)である。本発明の組成物は、亜硫酸塩を、ミトコンドリアの膨潤およびシトクロームcの放出を弱めるか、または防げるために効果的な量で含む。本発明の組成物は一般には、亜硫酸塩を0.001%〜0.09%の量で含み、好ましくは0.01%〜0.09%の量で含む。
【0020】
本発明の組成物はまた、眼への局所投与のための眼に受容され得るビヒクルを含む。組成物は溶液、懸濁物、エマルション、ゲルまたは軟膏など、様々な局所投与可能な眼用組成物に配合することができる。最も好ましい送達形態が、水性の点眼剤による送達であり、しかし、ゲルまたは軟膏もまた使用することができる。水性点眼剤、ゲルおよび軟膏は従来の技術に従って配合することができ、1つまたは複数の賦形剤を含む。例えば、局所投与可能な組成物は、界面活性剤、例えば、ポリソルバート80またはチロキサポール、張性調節剤、保存剤、緩衝化剤および増粘剤を含有することができる。
【0021】
適切な張性剤を、組成物の張性を、好ましくは、眼用組成物については天然涙の張性に調節するために用いることができる。例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、デキストロースおよび/またはマンニトールを、生理学的張性に近づけるために組成物に加えることができる。張性剤のそのような量は、加えられる具体的な薬剤に依存して変化する。しかしながら、一般には、組成物は、張性剤を、最終的な組成物が、眼に受容され得る重量モル浸透圧濃度(一般には約150mOsm〜450mOsm、好ましくは250mOsm〜350mOsm)を有することを生じさせるために十分な量で有する。
【0022】
好適な緩衝剤系(例えば、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムまたはホウ酸)を、貯蔵条件下でのpH変化を防げるために組成物に加えることができる。具体的な濃度は、用いられた薬剤に依存して変化する。しかしながら、好ましくは、緩衝剤は、目標pHをpH5.5〜8の範囲内で維持するために選ばれる。
【0023】
局所用眼用製造物は典型的には、多回服用形態で包装される。保存剤が典型的には、使用期間中における微生物の混入を防げるために要求される。好適な保存剤には、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、臭化ベンゾドデシニウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸、ポリクオテルニウム(polyquaternium)−1、または、当業者に知られている他の薬剤が含まれる。そのような保存剤は典型的には、0.001〜1.0%(w/v)のレベルで用いられる。本発明の単位服用組成物は無菌であるが、典型的には保存剤を含有せず、非保存性である。
【0024】
代表的な点眼用配合物が下記において実施例1に提供される。
【実施例】
【0025】
(実施例1)
【0026】
【表1】

(実施例2)
【0027】
【表2】

(実施例3〜5)
カルボン酸NSAIDにより誘導されるミトコンドリア膨潤に対する亜硫酸塩の影響を評価するために、下記のアッセイを使用した。ミトコンドリアをBroekemeierら(J. Biol. Chem.、1985年、第260巻、105〜113頁)の手順に従ってオスのSprague Dawleyラットの肝臓から調製した。簡単に記載すると、20gの肝臓を、207mMのマンニトール、63mMのスクロース、2.0mMのEGTAおよび2mg/mlの脂肪酸非含有ウシ血清アルブミンが補充された、氷冷した等浸透圧の3.0mM HEPES緩衝液(pH7.4)において3ストロークによりホモジネートした。最初の低速度での遠心分離(600×g、10分間)を行って、核および細胞破片を除いた。ペレットを捨て、上清を7,740×gで10分間遠心分離して、粗ミトコンドリアペレットを得た。上清を捨て、ペレットを30mLの氷冷した等浸透圧の洗浄緩衝液(207mMのマンニトールおよび63mMのスクロースを含有する3.0mMのHEPES緩衝液、pH7.4)に懸濁した。懸濁物を7,740×gで10分間遠心分離した。ミトコンドリアのペレットを30mLの氷冷した洗浄緩衝液に懸濁し、10,100×gで10分間遠心分離した。ミトコンドリアのペレットを、207mMのマンニトールおよび63mMのスクロースを含有する適量の氷冷した等浸透圧の3.0mM HEPES緩衝液(pH7.4)に懸濁した。このミトコンドリア懸濁物を、直ちにアッセイするために氷上に置いた。ミトコンドリア調製物のアリコートを、コハク酸ナトリウムおよびロテノンが補充された2.95mLの等浸透圧HEPES緩衝液を含有する5.0mLのキュベット(1.0cmの光路長)に加えた。ミトコンドリア懸濁物の適切なアリコートをキュベットに加え、膨潤を540nmにおける光散乱によって17分間にわたってモニターした。薬物の影響が調べられたとき、ミトコンドリアは、緩衝液、t−BOOH(150μM)または亜硫酸ナトリウム(300μM)のいずれかが加えられる前に、最初に試験品に1分間さらされた。
【0028】
(実施例3)
a)緩衝液(コントロール)、b)アンフェナク(100μM)、c)ブロムフェナク(100μM)、d)イブプロフェン(100μM)およびe)ジクロフェナク(100μM)を加えた後における、過酸化物によるストレスを受けていない(コントロール)ミトコンドリアのインビトロ膨潤応答の経時変化が図1にプロットされる。これらの結果は、カルボン酸NSAIDが、ストレスを受けていない正常なミトコンドリアの膨潤に影響を及ぼさないことを示す。
【0029】
(実施例4)
t−BOOH(150μM)、または、t−BOOH/ジクロフェナク(150μM/30μM)、t−BOOH/ジクロフェナク(150μM/100μM)、t−BOOH/ジクロフェナク(150μM/300μM)を加えた後におけるミトコンドリアのインビトロ膨潤応答の経時変化が図2にプロットされる。これらの結果は、実施例3とは異なり、ミトコンドリアが、例えば、t−BOOHによりストレスを受けるならば、カルボン酸NSAID(例えば、ジクロフェナクなど)はミトコンドリアの膨潤を促進することを示す。
【0030】
(実施例5)
a)60μMアンフェナク、b)60μMブロムフェナク、c)300μM亜硫酸ナトリウム/60μMアンフェナク、d)300μM亜硫酸ナトリウム/60μMブロムフェナク、e)非存在(陰性コントロール);CaCl(陽性コントロール)を加えた後における、過酸化物(t−BOOH、150μM)によるストレスを受けたミトコンドリアのインビトロ膨潤応答の経時変化が図3にプロットされる。これらの結果は、亜硫酸塩が、ジクロフェナクの添加に先立って、「過酸化物によるストレスを受けた」ミトコンドリアに加えられるとき、ミトコンドリアの膨潤が防止されることを示す。
【0031】
上記で述べられたように、本発明の組成物は、カルボン酸NSAIDのアミド誘導体と、亜硫酸塩との両方を含む。好ましい実施形態において、本発明はまた、カルボン酸NSAIDのアミド誘導体と、亜硫酸塩との両方を含む組成物を眼の炎症性障害を処置する必要性のある哺乳動物の眼に局所投与することを含む、眼の炎症性障害を処置する方法に関連する。しかしながら、本発明の別の実施形態によれば、亜硫酸塩を含む組成物が、カルボン酸NSAIDのアミド誘導体を含む組成物に関して連続して(例えば、10分以内に、好ましくは5分以内に、より好ましくは2分以内に)投与される。別個の組成物が連続して投与されるこの実施形態において、亜硫酸塩を含む組成物は、好ましくは、カルボン酸NSAIDのアミド誘導体を含む組成物の前に投与される。
【0032】
本発明は、いくつかの好ましい実施形態を参照することによって記載されている。しかしながら、本発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態またはその変形において具体化され得ることを理解しなければならない。したがって、上記で記載される実施形態は、すべての点で例示的であり、限定的でないと見なされ、本発明の範囲は、前記の記載によるのではなく、むしろ、添付された特許請求の範囲によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】カルボン酸NSAIDを加えた後における、過酸化物によるストレスを受けていない(コントロール)ミトコンドリアのインビトロ膨潤応答の経時変化を示す図である。
【図2】t−BOOH(150μM)、t−BOOH/ジクロフェナク(150μM/30μM)、t−BOOH/ジクロフェナク(150μM/100μM)またはt−BOOH/ジクロフェナク(150μM/300μM)を加えた後におけるミトコンドリアのインビトロ膨潤応答の経時変化を示す図である。
【図3】a)60μMアンフェナク、b)60μMブロムフェナク、c)300μM亜硫酸ナトリウム/60μMアンフェナク、d)300μM亜硫酸ナトリウム/60μMブロムフェナク、または、e)非存在(陰性コントロール);CaCl(陽性コントロール)を加えた後における、過酸化物(t−BOOH、150μM)によるストレスを受けたミトコンドリアのインビトロ膨潤応答の経時変化を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)下記の式(I)〜式(III)の化合物である、抗炎症有効量のカルボン酸非ステロイド系抗炎症剤のアミド誘導体
【化1】

[式(I)および式(II)の両方について、
=H、C1〜6(非)分岐アルキル、(非)置換(下記Zによって定義されるような置換)、−(CH−X−(CHn’A;
=H、C1〜3アルキル、OR
=H、C1〜3アルキル;
=H、Me−、MeO−、MeS−;
=H、Me−;
X=非存在(炭素−炭素結合)、O、C=O、OC(=O)、C(=O)O、C(=O)NR、NRC(=O)、S(O)n2、CHOR、NR
、X2’(独立して)=H、F;
n=2〜6;
n’=1〜6;
=0〜2;
A=H、OH、場合により(非)置換のアリール(下記Zによって定義されるような置換)、(非)置換の複素環(下記Zによって定義されるような置換);および
Z=H、Cl、F、Br、I、OR、CN、OH、CF、R、NOである;そして
【化2】

式(III)について、
R=H、C1〜4(非)分岐アルキル、CF、SR
Y=NR”R’;
R’=H、C1〜10(非)分岐アルキル、(非)置換(下記Xによって定義されるような置換)、(非)置換の複素環(下記Xによって定義されるような置換)、−(CHZ(CHn’A;
n=2〜6;
n’=1〜6;
Z=非存在、O、C=O、OC(=O)、C(=O)O、C(=O)NR、NRC(=O)、S(O)n2、CHOR、NR
=0〜2;
=H、C1〜6(非)分岐アルキル、(非)置換のアリール(下記Xによって定義されるような置換)、(非)置換の複素環(下記Xによって定義されるような置換);
A=H、OH、場合により(非)置換のアリール(下記Xによって定義されるような置換)、(非)置換の複素環(下記Xによって定義されるような置換)、−(CHOR
R”=H、OH、OR’;
XおよびX’(独立して)=H、F、Cl、Br、I、OR’、CN、OH、S(O)n2、CF、R、NO
=C1〜6(非)分岐アルキル;
m=0〜3;
m’=0〜5;および
W=O、Hである]、
b)0.001〜0.09%(w/v)の量の亜硫酸塩、および
c)眼に受容され得るビヒクル
を含む、局所投与可能な眼用組成物。
【請求項2】
式(I)および式(II)について、
=H、C1〜4(非)分岐アルキル、(非)置換(下記Zによって定義されるような置換);
、X2’、R、R=H;
=F;および
Z=Cl、F、Br、OH
であり、
式(III)について、
R=H、C1〜2アルキル;
R’=H、C1〜6(非)分岐アルキル、−(CHZ(CHn’A;
Z=非存在、O、CHOR、NR
=H;
A=H、OH、(非)置換のアリール(下記Xによって定義されるような置換);
XおよびX’(独立して)=H、F、Cl、Br、CN、CF、OR’、SR、R
R”=H;
=C1〜4(非)分岐アルキル;
m=0〜2;
m’=0〜2;
W=H;
n=2〜4;および
n’=1〜3
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記カルボン酸非ステロイド系抗炎症剤のアミド誘導体が、2−(3−フルオロ−4−フェニル)プロピオンアミド、5−ベンゾイル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロリジン−1−カルボキサミド、2−アミノ−3−(4−フルオロベンゾイル)−フェニルアセトアミド、2−アミノ−3−ベンゾイル−フェニルアセトアミドおよび2−アミノ−3−(4−クロロベンゾイル)−フェニルアセトアミドからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
0.01〜0.5%(w/v)の、前記カルボン酸非ステロイド系抗炎症剤のアミド誘導体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
0.01〜0.09%(w/v)の亜硫酸塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記亜硫酸塩が、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸マグネシウム、亜硫酸カルシウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸マグネシウム、重亜硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウムおよびメタ重亜硫酸カルシウムからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記亜硫酸塩が亜硫酸ナトリウムである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の組成物を哺乳動物の眼に局所投与することを含む、哺乳動物の眼における眼の炎症性障害を処置する方法。
【請求項9】
請求項7に記載の組成物を哺乳動物の眼に局所投与することを含む、哺乳動物の眼における眼の炎症性障害を処置する方法。
【請求項10】
哺乳動物の眼における眼の炎症性障害を処置する方法であって、該方法は、2種の組成物を該哺乳動物の眼に局所的に連続して投与することを含み、該組成物の一方が、0.001〜0.09%(w/v)の量の亜硫酸塩と、眼に受容され得るビヒクルとを含み、もう一方の組成物が、抗炎症有効量のカルボン酸非ステロイド系抗炎症剤のアミド誘導体と、眼に受容され得るビヒクルとを含み、該カルボン酸非ステロイド系抗炎症剤のアミド誘導体が、下記の式(I)〜式(III)の化合物である、方法
【化3】

[式(I)および式(II)の両方について、
=H、C1〜6(非)分岐アルキル、(非)置換(下記Zによって定義されるような置換)、−(CH−X−(CHn’A;
=H、C1〜3アルキル、OR
=H、C1〜3アルキル;
=H、Me−、MeO−、MeS−;
=H、Me−;
X=非存在(炭素−炭素結合)、O、C=O、OC(=O)、C(=O)O、C(=O)NR、NRC(=O)、S(O)n2、CHOR、NR
、X2’(独立して)=H、F;
n=2〜6;
n’=1〜6;
=0〜2;
A=H、OH、場合により(非)置換のアリール(下記Zによって定義されるような置換)、(非)置換の複素環(下記Zによって定義されるような置換);および
Z=H、Cl、F、Br、I、OR、CN、OH、CF、R、NOである;そして
【化4】

式(III)について、
R=H、C1〜4(非)分岐アルキル、CF、SR
Y=NR”R’;
R’=H、C1〜10(非)分岐アルキル、(非)置換(下記Xによって定義されるような置換)、(非)置換の複素環(下記Xによって定義されるような置換)、−(CHZ(CHn’A;
n=2〜6;
n’=1〜6;
Z=非存在、O、C=O、OC(=O)、C(=O)O、C(=O)NR、NRC(=O)、S(O)n2、CHOR、NR
=0〜2;
=H、C1〜6(非)分岐アルキル、(非)置換のアリール(下記Xによって定義されるような置換)、(非)置換の複素環(下記Xによって定義されるような置換);
A=H、OH、場合により(非)置換のアリール(下記Xによって定義されるような置換)、(非)置換の複素環(下記Xによって定義されるような置換)、−(CHOR
R”=H、OH、OR’;
XおよびX’(独立して)=H、F、Cl、Br、I、OR’、CN、OH、S(O)、CF、R、NO
=C1〜6(非)分岐アルキル;
m=0〜3;
m’=0〜5;および
W=O、Hである]。
【請求項11】
前記亜硫酸塩を含む組成物が、前記カルボン酸非ステロイド系抗炎症剤のアミド誘導体を含む組成物の前に投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記亜硫酸塩が、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸マグネシウム、亜硫酸カルシウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸マグネシウム、重亜硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウムおよびメタ重亜硫酸カルシウムからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記カルボン酸非ステロイド系抗炎症剤のアミド誘導体が、2−(3−フルオロ−4−フェニル)プロピオンアミド、5−ベンゾイル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロリジン−1−カルボキサミド、2−アミノ−3−(4−フルオロベンゾイル)−フェニルアセトアミド、2−アミノ−3−ベンゾイル−フェニルアセトアミドおよび2−アミノ−3−(4−クロロベンゾイル)−フェニルアセトアミドからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−535361(P2009−535361A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507953(P2009−507953)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/067499
【国際公開番号】WO2007/127844
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(399054697)アルコン,インコーポレイテッド (102)
【Fターム(参考)】