説明

眼内に医薬を送達するための組成物ならびにその調製方法および使用方法

本発明は、処置に効果的な量の処置成分を投与するための組成物を提供する。本発明の組成物は、眼科的に許容され得るキャリア成分;処置に効果的な量の処置成分;および、組成物の湿潤性を低下し、粘性を誘導し、粘膜付着性を増大し、眼の角膜におけるメニスカス高さを増大し、および/または眼の角膜への物理的付着を増大するのに効果的であり得る保持成分を含み得る。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処置成分をヒトまたは動物に投与するために有用な組成物および方法に関する。より具体的には、本発明は、眼の角膜を介する投薬を促進するのに非常に効果的である組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品を眼内に投与するために有用な先行技術の組成物は一般に効果的である。だが、そのような先行技術組成物はいくつかの欠点を有することが多い。例えば、これらの組成物では、組成物が眼の自然のプロセスによって迅速に洗い流されることが多いので、典型的には、その医薬品の比較的頻繁な投与および/または比較的高い濃度が要求される。医薬品の頻繁な投与および/または高濃度は何らかの望ましくない副作用の一因となり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
眼内へおよび/または眼を介して医薬品(例えば、処置剤など)を効果的かつ/または効率的に送達するための新規な組成物であって、都合よく使用することができるもの、例えば、好ましい長期の間隔で定期的に、かつ/または低下した処置成分濃度で投与することができるものが、依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
処置成分を投与するための新規な組成物、および、そのような組成物を使用するための方法が発見された。これらの組成物は比較的平易であり、容易かつ安価に製造することができ、また、処置成分を、眼に、または眼を介して効果的および/または効率的に投与するために使用することができる。重要なこととして、本発明の組成物は、多くの場合には頻繁な再投与または補充を必要とすることなく、眼内への(例えば、眼の角膜を介した)処置成分の送達を好ましく提供する物質を含む。加えて、本発明の組成物は、好都合なことには、組成物が投与される眼の明瞭な視覚に対し、過度な悪影響を及ぼさない。
【0005】
1つの広い局面において、本発明は、保持成分と、処置成分(例えば、処置に有効な量の処置成分)と、眼科的に許容され得るキャリア成分とを含む組成物に関する。
【0006】
保持成分は、好都合なことには、眼に適用されたとき、保持成分を伴わない実質的に同一の組成物と比較して、例えば、眼の角膜に対する、または、眼の角膜における増大した保持を本発明の組成物に提供するために効果的である。角膜に対する増大した保持、または、角膜における増大した保持は、例えば、角膜を介した眼内への処置成分の増大した浸透を提供する。本発明の組成物は、眼の角膜に組成物を投与することを含む方法において、例えば、組成物を眼の角膜と接触させることを含む方法において用いることができる。
【0007】
本発明の組成物に含まれるとき、保持成分は、下記の1つまたは複数を組成物に提供するために効果的である:1)保持成分を伴わない実質的に同一の組成物と比較して、例えば、ヒトの皮膚(例えば、下眼瞼皮膚)および/または毛(例えば、睫毛)に対する組成物の低下した湿潤性;2)保持成分を伴わない実質的に同一の組成物と比較して、眼の角膜における増大したメニスカス高さ、および/または、保持成分を伴わない実質的に同一の組成物と比較して、メニスカス高さが眼の角膜において増大する時間の増大;3)保持成分を伴わない実質的に同一の組成物と比較して、組成物の増大した粘膜付着性;4)保持成分を伴わない実質的に同一の組成物と比較して、組成物の、増大または実質的に最適化された粘度(本明細書中に説明する);および5)保持成分を伴わない実質的に同一の組成物と比較して、眼の角膜における増大した物理的付着または層形成、例えば、増大した涙液厚さ。
【0008】
本発明の組成物は、ヒト涙液の湿潤性と同等またはそれ以下の湿潤性を有することができる。1つの実施形態において、本発明の組成物は、約0.1%(w/v)〜約2.0%(w/v)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、約0.2%(w/v)〜約1.0%(w/v)のヒドロキシプロピルメチルセルロースまたは約0.5%(w/v)のヒドロキシプロピルメチルセルロース)を含有する生理的食塩水よりも小さい湿潤性を有する。別の実施形態において、本発明の組成物は、90,000の平均分子量を有するカルボキシメチルセルロースを0.5%(w/v)含有する生理的食塩水よりも小さい湿潤性を有する。
【0009】
組成物の低下した湿潤性は、少なくとも部分的には、組成物の表面張力の増大、例えば、ヒト涙またはヒト涙液と比較しての組成物の表面張力の増大に起因し得る。本発明の組成物の表面張力測定値は約10ダイン〜約300ダイン(例えば、約60ダイン〜約75ダイン)の範囲であり得る。
【0010】
本発明の組成物は、ヒトの涙液と同等またはそれ以上の表面張力を有することができる。加えて、組成物は、ヒトの皮膚または類似する表面で測定されたとき、ヒトの涙液と同等またはそれ以上の前進接触角を有することができる。1つの実施形態において、本発明の組成物は、約0.1%(w/v)〜約2.0%(w/v)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、約0.2%(w/v)〜約1.0%(w/v)のヒドロキシプロピルメチルセルロースまたは約0.5%(w/v)のヒドロキシプロピルメチルセルロース)を含有する生理的食塩水より大きい表面張力を有する。別の実施形態において、本発明の組成物は、90,000の平均分子量を有するカルボキシメチルセルロースを0.5%(w/v)含有する生理的食塩水よりも大きい表面張力を有する。1つの実施形態において、本発明の組成物は、約0.1%(w/v)〜約2.0%(w/v)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、約0.2%(w/v)〜約1.0%(w/v)のヒドロキシプロピルメチルセルロースまたは約0.5%(w/v)のヒドロキシプロピルメチルセルロース)を含有する生理的食塩水より大きい前進接触角を有する。別の実施形態において、組成物は、90,000の平均分子量を有するカルボキシメチルセルロースを0.5%(w/v)含有する生理的食塩水よりも大きい前進接触角を有する。
【0011】
組成物に存在する濃度での保持成分は、例えば、眼で涙液と混合されたとき、ヒト涙液の表面張力の低下に実質的に無効であり得る。1つの実施形態において、組成物に存在する濃度で、保持成分は、例えば、眼で涙液と混合されたとき、ヒト涙液の表面張力を増大させるために効果的である。
【0012】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、組成物がヒトの眼に投与された後、ヒトの眼の眼瞼の皮膚部分を濡らすのに実質的に無効である。例えば、本発明の組成物は、眼瞼縁または粘膜皮膚移行部(すなわち、結膜の粘膜組織と眼瞼の真皮との間の移行部)に対して外側の眼瞼部分を濡らすのに実質的に無効であり得る。
【0013】
保持成分を含む本発明の組成物は、好ましくは、保持成分を伴わない実質的に同一の組成物と比較して、眼に適用されたとき、眼の角膜において増大したメニスカス高さを有する。本発明の組成物のメニスカス高さは、保持成分を含まない実質的に同一の組成物の眼の角膜におけるメニスカス高さと比較して、約1%〜約5,000%またはそれ以上の範囲の量(例えば、約10%〜約2,000%の範囲の量)、増大させることができる。1つの実施形態において、本発明の組成物のメニスカス高さは、保持成分を含まない実質的に同一の組成物の眼の角膜におけるメニスカス高さと比較して、約10%または約20%〜約400%または約500%または約1,000%の範囲の量、増大する。
【0014】
眼(例えば、ヒトの眼)に適用されたとき、本発明の組成物は好ましくは、角膜において、ヒト涙液のメニスカス高さと同等またはそれ以上のメニスカス高さを有し得る。1つの実施形態において、眼に適用されたとき、本発明の組成物は、約0.1%(w/v)〜約2.0%(w/v)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、約0.2%(w/v)〜約1.0%(w/v)のヒドロキシプロピルメチルセルロースまたは約0.5%(w/v)のヒドロキシプロピルメチルセルロース)を含有する生理的食塩水よりも大きい、角膜上におけるメニスカス高さを有する。別の実施形態において、眼に適用されたとき、本発明の組成物は、90,000の平均分子量を有するカルボキシメチルセルロースを0.5%(w/v)含有する生理的食塩水よりも大きい、角膜上におけるメニスカス高さを有する。
【0015】
粘膜付着性は、表面(例えば、角膜表面または眼の角膜の表面)に対する物質(例えば、眼科用組成物)の付着性として定義することができる。
【0016】
本発明の組成物はヒト涙液と同等またはそれ以上の粘膜付着性を有することができる。1つの実施形態において、本発明の組成物は、90,000の平均分子量を有するカルボキシメチルセルロースを0.5%(w/v)含有する生理的食塩水の粘膜付着性よりも大きい粘膜付着性を有する。
【0017】
本発明の組成物はヒト涙液と同等またはそれ以上の粘度を有することができる。1つの実施形態において、本発明の組成物は、90,000の平均分子量を有するカルボキシメチルセルロースを0.5%(w/v)含有する生理的食塩水よりも大きい粘度を有する。本発明の組成物の粘度は、約0.5/秒〜約10/秒の範囲の剪断速度で約1cps〜約10,000cpsの範囲(例えば、約0.5/秒〜約10/秒の範囲の剪断速度で約2cps〜約5000cpsの範囲)であり得る。1つの実施形態において、本発明の組成物の粘度は、約0.5/秒〜約10/秒の範囲の剪断速度で約5cps〜約500cpsの範囲(例えば、約1/秒〜約5/秒の範囲(例えば、約2/秒)の剪断速度で約20cps〜約100cpsの範囲)であり得る。1つの実施形態において、保持成分は、組成物が約2/秒の剪断速度を有するとき、35℃で約40cpsよりも大きい粘度を組成物に与えるために効果的である。
【0018】
本発明の組成物はずり流動化性(shear-thinning)または実質的に非ずり流動化性であり得る。
【0019】
本発明の組成物は幾分か増大した粘度を有し得るが、組成物が眼瞼の機械的な作用によって眼から排除または除去されることを回避するために、本発明の組成物の粘度を制限するよう考慮するのが好都合である。本発明の1つの特に有用な実施形態において、本発明の組成物は、眼に投与された後に眼の眼瞼の機械的な作用によって眼から実質的に排除されるのに十分な粘度を有する実質的に同一の組成物と比較して、低下した粘度を有する。
【0020】
保持成分を含む本発明の組成物は、保持成分を伴わない実質的に同一の組成物と比較して、眼の角膜において増大した物理的付着または層形成を示すことができる。1つの実施形態において、増大した物理的付着は、液体組成物(例えば、本発明の組成物)の増大したメニスカス高さおよび低下した湿潤性によって特徴づけられる。本発明の組成物の増大した物理的付着は、本発明の組成物の増大したメニスカス高さおよび低下した湿潤性の結果であり得る。
【0021】
本発明の組成物はヒト涙液の物理的付着と同等またはそれ以上の物理的付着を示すことができる。1つの実施形態において、本発明の組成物は、90,000の平均分子量を有するカルボキシメチルセルロースを0.5%(w/v)含有する生理的食塩水よりも大きい物理的付着を示す。
【0022】
本発明を何らかの作用理論に限定することを望まないが、保持成分の機能は本発明の組成物の電気的な電荷によって促進され得る。
【0023】
そのようなものとして機能することができる任意の好適な保持成分を本発明において用いることができる。保持成分は、組成物が投与される眼に対して、あるいは、組成物が投与されているヒトまたは動物に対して、あるいは、組成物自体に対して、過度の有害な影響を有してはならない。保持成分は、好ましくは、本発明の組成物において眼科的に許容可能である。保持成分には、例えば、ポリアニオン性成分が含まれ得るが、これに限定されない。1つの実施形態において、保持成分(例えば、ポリアニオン性成分)は組成物の少なくとも約0.01%(w/v)の量で存在する。例えば、保持成分を約0.05%(w/v)または約0.1%(w/v)〜約60%(w/v)あるいは約0.1%(w/v)〜約10%(w/v)または約20%(w/v)の範囲の量で存在させることができる。別の実施形態において、保持成分は約0.05%(w/v)または約0.1%(w/v)〜約5%(w/v)の範囲の量で存在し、例えば、約0.2%(w/v)〜約5%(w/v)の範囲の量で存在する。別の実施形態において、保持成分は約0.6%(w/v)〜約1.8%(w/v)の範囲の量で存在する。
【0024】
ポリアニオン性成分は1つまたは複数のポリアニオン性成分部分を含むことができ、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個またはそれ以上のポリアニオン性成分部分を含むことができる。1つの実施形態において、それぞれのポリアニオン性成分部分は、組成物における別のポリアニオン性成分部分とは異なる分子量を有する。
【0025】
本発明のポリアニオン性成分部分の平均分子量は約5,000もしくはそれ以下または約10,000もしくはそれ以上であり得る。1つの実施形態において、ポリアニオン性成分部分の分子量は約5,000〜約10,000,000であり、例えば、約10,000または約20,000〜約2,000,000または約5,000,000である。
【0026】
1つの非常に有用な実施形態において、ポリアニオン性成分は、第1の分子量を有する第1のポリアニオン性成分部分と、第2の(好ましくは異なる)分子量を有する第2のポリアニオン性成分部分とを含む。好都合なことに、ポリアニオン性成分部分のそれぞれは、患者に投与されたとき(例えば、患者の角膜に投与されたとき)、第1のポリアニオン性成分部分を有しない実質的に同一の組成物と比較して、患者(例えば、患者の眼)への処置成分の高まった送達を提供するために効果的な量で存在することができる。そのような組成物は、組成物を眼の角膜と接触させることによって投与することができる。
【0027】
1つの実施形態において、それぞれのポリアニオン性成分部分は組成物の少なくとも約0.01%(w/v)の量で存在する。例えば、ポリアニオン性成分部分のそれぞれを約0.01%(w/v)〜約60%(w/v)の範囲の量で存在させることができ、例えば、約0.01%(w/v)〜約10%(w/v)〜約20%(w/v)の範囲の量で存在させることができる。別の例では、ポリアニオン性成分部分のそれぞれが約0.2%(w/v)または約0.1%(w/v)〜約5%(w/v)の範囲の量で存在する。さらなる例では、ポリアニオン性成分部分のそれぞれが約0.1%(w/v)〜約2.0%(w/v)の範囲の量で存在する。
【0028】
上記のように、ポリアニオン性成分部分のそれぞれは異なる分子量を有することができる。1つの実施形態において、第1のポリアニオン性成分部分は、第2のポリアニオン性成分部分の第2の分子量よりも大きい第1の分子量を有する。ポリアニオン性成分部分の間での分子量の差、例えば、第1のポリアニオン性成分部分の第1の分子量と、第2のポリアニオン性成分部分の第2の分子量との差は、少なくとも約5,000または少なくとも約10,000、例えば、少なくとも約50,000であり得る。1つの実施形態において、ポリアニオン性成分部分の間での分子量の差、例えば、第1のポリアニオン性成分部分の第1の分子量と、第2のポリアニオン性成分部分の第2の分子量との差は約5,000〜約10,000,000の間である。
【0029】
1つの実施形態において、第1のポリアニオン性成分部分と、第2のポリアニオン性成分部分との重量比は約0.02〜約50の範囲である。例えば、第1のポリアニオン性成分部分と、第2のポリアニオン性成分部分との重量比は約0.25〜約4の範囲であり得る。
【0030】
本明細書中で使用される用語「分子量」は、その用語がポリマー分野において一般に知られているように、重量平均分子量を示し、ポリマー分野において広く知られている手法および/または技術を使用して測定または決定することができる。
【0031】
任意の好適なポリアニオン性成分を本発明に従って用いることができる。そのようなポリアニオン性成分は、本発明の組成物において眼科的に許容可能でなければならなず、組成物のそれ以外の成分との適合性を有しなければならず、かつ、眼科的に妥当な濃度において、患者の眼に投与されたときに患者への処置成分の投与を容易にするために、また、他にも本発明に従って機能するために効果的でなければならない。
【0032】
1つの有用な実施形態において、ポリアニオン性成分は、アニオン性のセルロース誘導体およびその混合物から選択される。1つの実施形態において、2つ以上のポリアニオン性成分部分が用いられるとき、本発明の組成物のポリアニオン性成分部分の1つまたは複数(例えば、すべて)が、アニオン性のセルロース誘導体およびその混合物から選択される。1つの有用な実施形態において、ポリアニオン性成分、またはポリアニオン性成分部分のすべてがカルボキシメチルセルロースまたはその混合物である。
【0033】
他の好適なポリアニオン性成分またはポリアニオン性成分部分には、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸金属およびメタクリル酸金属の1つまたは複数のユニットを含むアニオン性のホモポリマーおよびコポリマーまたはそれらの混合物が含まれる。例えば、有用なポリアニオン性成分またはポリアニオン性成分部分には、アクリル酸、アクリル酸金属の1つまたは複数のユニットを含むホモポリマーおよびコポリマーまたはそれらの混合物が含まれる。
【0034】
任意の好適な処置成分を本発明の組成物に含めることができ、かつ、本発明の組成物によって送達することができる。好都合には、本発明の組成物における処置成分は、眼の組織と少なくとも適合性であり、好ましくは眼科的に許容可能である。処置成分は、本発明の組成物が投与されるヒトまたは動物に対し、眼に、かつ/または別の身体部分に、かつ/または全身的に、所望する処置効果をもたらすようなものであり得る。
【0035】
本発明の組成物は、眼の自然のプロセスによって洗い流されるよりもむしろ、眼に投与されている処置成分のはるかにより多くが実際に角膜を通過し、または角膜に浸透することを可能にするので、本発明の組成物は、保持成分を有しない実質的に同一の組成物と比較して、所与の処置効果を得るために、低下した量の処置成分を含むことができ、好ましくは、低下した量の処置成分を含む。この特徴の利点の1つは、効力を維持しながら、処置成分の潜在的な副作用(例えば、アレルギー性副作用)を軽減させることができることである。あるいは、本発明の組成物は、例えば、保持成分を有しない実質的に同一の組成物と比較して、同じ濃度の処置成分による高まった処置効果を提供することができる。一般に、本発明の組成物は、保持成分を有しない実質的に同一の組成物と比較して、処置成分のより効果的な利用を提供する。
【0036】
患者の眼に、または眼を介して患者に処置成分を投与するために有用であることに加えて、本発明の組成物は、眼に投与されたとき、例えば、眼の角膜に投与されたとき、潤滑を眼に提供するために効果的であり得る。1つの実施形態において、本発明の組成物は、処置成分を、患者に(例えば、患者の眼に)投与するために効果的であり、また、眼に投与されたとき(例えば、眼の角膜に投与されたとき)、潤滑を眼に提供するために効果的である。
【0037】
キャリア成分は眼科的に許容可能であり、そのような眼科的許容性を提供することにおいて、かつ/あるいは、組成物および/または組成物が投与される眼および/または組成物が眼に投与される患者に他の利益を与えることにおいて効果的である1つまたは複数の成分を含むことができる。好都合には、キャリア成分は水系であり、例えば、主要量(すなわち、少なくとも約50wt%)の水を含む。
【0038】
本発明の組成物を調製する方法は、保持成分を眼科的に許容され得るキャリア成分および処置成分と接触させ、または組み合わせることを含むことができる。本発明の組成物は、従来の手法および技術を使用して調製することができる。例えば、本発明の組成物は、その成分を一緒に混合することによって調製することができる。
【0039】
本発明の組成物は溶液であり得る。だが、他の形態(例えば、軟膏、ゲル、クリームおよび乳剤など)を用いることもできる。
【0040】
本発明はまた、本発明の組成物を投与する方法を提供する。本発明の方法は、本発明の組成物を眼の角膜と接触させることを含むことができる。より具体的には、処置成分を、処置成分を含む本発明の組成物を眼の角膜と接触させることによって、患者に投与することができる。本発明の投与ステップは、組成物が投与される眼を効果的に処置するために、少なくとも1回、好ましくは必要とされるように、繰り返すことができる。
【0041】
1つの非常に有用な実施形態において、組成物が投与される眼は、正常な眼と比較して上昇した眼内圧を有するか、または、上昇した眼内圧に向かう傾向を有する。1つの実施形態において、本発明の組成物は、組成物が眼に投与されたとき、眼内圧を低下させるために効果的である。
【0042】
譲渡先を同じくする米国特許出願第09/848,249号(2001年5月3日出願)、米国特許出願第09/847,935号(2001年5月3日出願)、米国特許出願第10/136,240号(2002年5月1日出願)および米国特許出願第10/017,817号(2001年12月14日出願)は、本特許出願に幾分か関連する主題に関する。これらの同時係属中の米国特許出願のそれぞれの開示はその全体が参考として本明細書中に組み込まれる。
【0043】
本明細書中に記載されるあらゆる特徴、および、そのような特徴の2つ以上のあらゆる組合せは、そのような組合せに含まれる特徴が相互に矛盾しないならば、本発明の範囲に含まれる。
【0044】
本発明のこれらの局面および利点、ならびに他の局面および利点が、下記の図面、詳細な説明、実施例および特許請求の範囲において明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明は、保持成分、処置成分、および眼科的に許容され得るキャリア成分を含む好都合に眼科的に許容され得る組成物を提供する。本発明の組成物は、保持成分を伴わない同一の組成物と比較して、眼の角膜を介した処置成分の増大した浸透を提供する。
【0046】
組成物滴が最初に適用された後においてあふれることなく眼に置くことができる組成物の総体積、および/または、最初の適用期間の後における眼の表面に対する組成物の時間を経た保持が、眼への処置成分の効率的な送達のための重要な要因であることがわかっている。
【0047】
組成物の湿潤性、眼の角膜におけるメニスカス高さ、粘膜付着性、粘度、角膜における物理的付着または層形成は、眼への組成物の投与の後の最初の期間の期間中および/またはその後において眼の表面に保持され得る組成物の総体積に影響を及ぼす要因である。本発明は、低下した湿潤性、眼の角膜における増大したメニスカス高さ、増大した粘膜付着性、増大した粘度または実質的に最適化された粘度、および、眼の角膜における増大した物理的付着または層形成の1つまたは複数を本発明の組成物に付与することによって、眼への組成物の投与の後の最初の期間の期間中および/またはその後において眼の表面に保持されることになる組成物の増大した総体積を提供するために効果的である保持成分を含む組成物を提供する。眼の表面に保持されることになる組成物のこの増大した総体積は、組成物が適用される眼の角膜を介した処置成分の浸透を容易にする。
【0048】
1滴の点眼液の体積(約40〜50マイクロリットル)は一般には、適用前の眼の表面に存在する涙の総体積を超えている。点眼液によってもたらされる体積のこの急激な変化は、眼の涙「保持容量」を超えることがあり、過剰な組成物が眼瞼からあふれるか、あるいは、鼻側または側頭側の眼角から流出する。ヒト涙液は、分泌されたとき、約40ダイン/cmの表面張力を有しており、これは、約70ダイン/cmである水よりも低く、このことは、涙液が眼の表面を効果的に濡らすことを可能にしている。加えて、この低い表面張力は、涙が眼周囲の皮膚を効果的に濡らすことを可能にしており、これにより、眼の表面から皮膚への涙の目に見える排液(または流涙)が起こる。
【0049】
1つの実施形態において、本発明の組成物が眼の表面に適用されたとき、涙と組成物との混合物が、涙の表面張力を超える表面張力をもたらす。この実施形態において、混合物は、皮膚(例えば、眼周囲の皮膚)を濡らすために効果的ではない。
【0050】
処置成分を眼に投与したとき、眼内への処置成分の最大限の送達を可能にするために、眼の表面に投薬の最大体積を置き、それを長期間にわたって保持することが好都合であることが本発明において明らかにされる。
【0051】
1つの実施形態において、本発明は、組成物を眼に適用した後の最初の期間の期間中での眼における組成物の大きな体積の存在を提供し、これにより、眼内への処置成分の促進された送達を可能にする。1つの実施形態において、組成物を眼に適用した後の最初の期間は約1秒〜約10秒または約30秒〜約1分の範囲である。
【0052】
組成物の粘度は、時間を経て眼に保持される組成物の体積を決定する際の1つの要因である。1回または複数回瞬目した後の眼の眼表面に保持される総初期体積に対する粘度の関係は非直線的であり得、逆「U」字形ということができる。すなわち、非常に高粘度の組成物が眼の表面に置かれたとき、眼瞼の作用により、眼瞼縁が物理的に組成物を眼表面から睫毛および/または眼周囲の皮膚に押し出すことによって、組成物は一部が排除される。加えて、低粘度の組成物は、例えば下涙点および上涙点を通る排液によって眼表面から容易に除去され得る。従って、1つの実施形態において、本発明は、組成物を眼に適用した後における眼に対する組成物の保持を最大限にする最適な粘度を有する組成物を提供する。
【0053】
組成物の粘膜付着性は、眼の表面に対する組成物の保持に影響を及ぼし得る。本発明は、眼に対する組成物の付着を可能にする粘膜付着成分を好ましくは含む組成物を意図する。粘膜付着成分には、例えば、負に荷電している物質が含まれる。
【0054】
1つの実施形態において、組成物を眼に適用した後の最初の期間の期間中での眼の表面における組成物の大きな体積の存在は、患者(例えば、患者の眼の中)への、例えば角膜を介した処置剤の効率的な浸透のために特に有用であり得る。別の実施形態において、眼の表面における組成物の時間を経た保持は、例えば角膜を通過することによる患者の眼の中への処置剤の効率的な浸透のために特に有用であり得る。1つの実施形態において、処置成分の分子量および/または電荷により、患者の眼の中への処置成分の効率的な浸透(例えば、角膜を通過することによる)が、組成物を眼に適用した後の最初の期間の期間中での眼の表面における組成物の大きな体積の存在によって、または、眼の表面における組成物の時間を経た保持によって好ましく促進されるかどうかが決定され得る。
【0055】
本発明を何らかの作用理論に限定することを望まないが、低下した湿潤性、増大した(例えば、実質的に最適な)粘度、増大した粘膜付着性、眼の角膜における増大したメニスカス高さ、および/または、眼の角膜に対する増大した物理的付着の1つまたは複数を提供する成分(例えば、本発明の保持成分など)を伴わない実質的に同一の組成物の等しい体積と比較して、眼に投与された組成物の単位体積あたり、増大した割合の処置成分が眼内に送達されることを可能にする様式で、本発明の組成物に含まれる処置成分が眼内に移動することが考えられる。
【0056】
患者の眼の中に送達される処置成分の量を増大させることによって、本発明の組成物は、患者に対して同じまたは類似する利益効果を達成するために、著しくより低い濃度の処置成分が組成物に含まれることを可能にする。それに加えて、または、その代わりに、組成物のより少ない頻度の投与を、同じまたは類似する利益効果を達成するために採用することができる。
【0057】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、保持成分を含まず、かつ、より高い濃度の処置成分を有する組成物と比較して、低下した処置成分濃度を有する組成物のより大きな体積を眼に適用し、これにより、等しい量の処置成分が角膜に浸透することを可能にする。
【0058】
本発明を何らかの特定の作用理論に限定することを望まないが、本発明の組成物は、保持成分を有しない実質的に同一の組成物と比較して、眼の角膜への組成物の物理的付着を増大させるために効果的であることが考えられる。例えば、本発明の組成物は、眼に投与されたとき、角膜の一部(例えば、角膜の下部部分)を覆う層を眼の表面に形成することが考えられる。この層は、少なくとも部分的には、眼の角膜における組成物の増大したメニスカス高さ、および、組成物の低下した眼瞼湿潤性の一方または両方によって形成され得る(この場合、前記の増大した高さおよび低下した湿潤性のそれぞれは、保持成分を有しない実質的に同一の組成物と比較してである)。
【0059】
組成物によって角膜上に形成される層は、処置成分を含有する組成物の増大した量が角膜上に存在することを可能にする。角膜上に形成された層はまた、組成物が角膜上に保持されるより長い時間を提供することができる。究極的には、角膜上の組成物の増大した量、および/または、組成物が角膜上に保持されるより長い時間は、そのような層を形成しない組成物と比較して、増大した量の処置成分が、組成物が眼の自然のプロセスによって洗い流される前に角膜を通過することを可能にする。
【0060】
1つの実施形態において、本発明は、眼の結膜または強膜を介した眼内への処置成分の送達とは対照的に、主に眼の角膜を介した眼内への処置成分の送達を意図する。
【0061】
本発明を何らかの作用理論に限定することを望まないが、角膜が処置成分送達増強のための特に有利な標的である理由は、角膜における本発明の組成物の保持が瞬目時の眼瞼の作用によって促進されるためであることが考えられる。例えば、眼の瞬目の間、眼瞼は下に動き、液体を角膜全体に分布させる。瞬目時に短時間眼瞼が閉じるとき、涙と、眼に投与されている組成物との混合が生じる。眼瞼が開いたとき、涙/組成物の混合物が角膜を横切って上の方に引張られ、このことは、組成物が角膜上に保持されることを可能にする。
【0062】
本発明の組成物に含まれる保持成分は、好都合には、低下した湿潤性、増大した粘度、増大した粘膜付着性、眼の角膜における増大したメニスカス高さ、および、眼の角膜に対する増大した物理的付着または層形成の1つまたは複数を提供するために有用である。
【0063】
本発明ではまた、保持成分が組成物に含まれるとき、保持成分を伴わない実質的に同一の組成物と比較して、低下した湿潤性、増大した粘度、増大した粘膜付着性、眼の角膜における増大したメニスカス高さ、および、眼の角膜における増大した物理的付着または層形成の1つまたは複数を組成物に提供する物質の混合物を含む保持成分が意図される。
【0064】
保持成分が本明細書に記載するように機能し、かつ、全体として組成物に対して、または、組成物が投与される眼に対して実質的な有害作用を有しないならば、任意の好適な保持成分を本発明に従って用いることができる。保持成分は、好ましくは、使用されている濃度において眼科的に許容可能である。
【0065】
非常に有用な実施形態において、保持成分は、ポリアニオン性成分およびその混合物から選択される。ポリアニオン性成分は、例えば、2つ、3つまたはそれ以上のアニオン性荷電(すなわち、負荷電)を含むことができるが、これに限定されない。特に有用なアニオン性成分は、水溶性であるアニオン性成分であり、例えば、周囲温度または室温で本発明の組成物において使用される濃度で可溶性であるアニオン性成分である。
【0066】
本明細書中で使用される用語「ポリアニオン性成分」は、2つ以上の離れたアニオン性荷電(すなわち、複数の離れたアニオン性荷電)を含む化学的実体、例えば、イオン荷電化学種(例えば、イオン荷電ポリマー物質など)を示す。好ましくは、ポリアニオン性成分は、複数のアニオン性荷電を有するポリマー物質およびその混合物からなる群から選択される。
【0067】
有用な種類のポリアニオン性成分は、複数のアニオン性荷電を有する1つまたは複数のポリマー物質である。例には、下記が含まれるが、それらに限定されない:
金属カルボキシメチルセルロース
金属カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース
金属カルボキシメチルデンプン
金属カルボキシメチルヒドロキシエチルデンプン
アンモニウムメチルセルロース
アミノ化合物メチルセルロース
加水分解されたポリアクリルアミドおよびポリアクリロニトリル
ヘパリン
グコアミノグリカン(gucoaminoglycan)
ヒアルロン酸
コンドロイチン硫酸
デルマタン硫酸
ペプチドおよびポリペプチド
アルギン酸
アルギン酸金属
【0068】
下記の1つまたは複数のホモポリマーおよびコポリマー:
アクリル酸およびメタクリル酸
アクリル酸金属およびメタクリル酸金属
ビニルスルホン酸
ビニルスルホン酸金属
アミノ酸(例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸など)
アミノ酸の金属塩
p-スチレンスルホン酸
p-スチレンスルホン酸金属
2-メタクリロイルオキシエチルスルホン酸
2-メタクリロイルオキシエチルスルホン酸金属
3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルスルホン酸
3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルスルホン酸金属
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸金属
アリルスルホン酸
アリルスルホン酸金属など。
【0069】
本発明において有用なポリアニオン性成分には、カルボキシメチルセルロースおよびその混合物、例えば、アルカリ金属カルボキシメチルセルロースおよび/またはアルカリ土類金属カルボキシメチルセルロースから選択されるポリアニオン性成分が含まれる。他の有用なポリアニオン性成分には、ポリアクリル酸、カルボマー、カルボポール、グルコサミノグリカン、ポリカルボフィル、特異的に修飾されたセルロース、天然ガム物質または修飾ガム物質(例えば、アルギネートおよびカラゲナンなど)など、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0070】
本発明の組成物において好適なポリアニオン性成分の例には、アニオン性のセルロース誘導体、アニオン性のアクリル酸含有ポリマー、アニオン性のメタクリル酸含有ポリマー、アニオン性のアミノ酸含有ポリマーなど、およびそれらの混合物がが含まれるが、これらに限定されない。アニオン性のセルロース誘導体が本発明において特に有用である。
【0071】
1つの非常に有用な実施形態において、ポリアニオン性成分は、第1の分子量を有する第1のポリアニオン性成分部分と、第2の分子量を有する第2のポリアニオン性成分とを含む。好都合には、ポリアニオン性成分部分のそれぞれは、組成物が眼に投与されたとき、眼の角膜を介した眼内への処置成分の投与を容易にするために効果的な量で存在する。ポリアニオン性成分部分のそれぞれを組成物の少なくとも約0.1%(w/v)の量で存在させることができる。
【0072】
1つの実施形態において、そのような少なくとも2つのポリアニオン性成分部分(例えば、第1および第2のポリアニオン性成分部分)は、異なる分子量を有すること以外は、実質的に類似する化学構造を有する。しかしながら、そのような少なくとも2つのポリアニオン性成分部分は異なる化学構造を有することができる。
【0073】
ポリアニオン性成分部分のそれぞれ(例えば、第1および第2のポリアニオン性成分部分)は由来が別であり得る。すなわち、ポリアニオン性成分部分のそれぞれを別個の物質として組み合わせて本発明の組成物に入れることができる。
【0074】
本発明の組成物は、好ましくは、水の粘度を超える粘度を有する。1つの実施形態において、本発明の組成物の粘度は少なくとも約15cps(センチポアズ)であり、例えば、約15cps〜約2000cpsまたは約3,000cpsの範囲である。好都合には、本発明の組成物の粘度は約30cpsまたは約70cps〜約750cpsまたは約1000cpsの範囲であり得る。1つの実施形態において、組成物の粘度は約15cpsまたは約50cps〜約200cpsの範囲である。別の実施形態において、組成物の粘度は約30cps〜約5000cpsまたは約200cps〜約4000cpsの範囲である。さらに別の実施形態において、組成物の粘度は約200cps〜約2000cpsの範囲である。これらの粘度は、約1/秒〜約10/秒の間の剪断速度で測定することができる。
【0075】
本発明の組成物の粘度は任意の好適な様式で測定することができる。従来のBrookfield粘度計を使用して、そのような粘度を測定することができる。本発明の組成物はニュートン組成物または非ニュートン組成物のいずれかであり得る。より低い粘度を物理的剪断(例えば、瞬目)の条件のもとで有する組成物をもたらす非ニュートン組成物のずり流動化性は、非ニュートン組成物について、ニュートン組成物よりも大きい初期粘度を可能にし得る。
【0076】
前記で記されたように、ポリアニオン性成分部分のそれぞれ(すなわち、例えば、少なくとも第1および第2のポリアニオン性成分部分)を組成物の少なくとも約0.1%(w/v)の量で存在させることができる。1つの非常に有用な実施形態において、ポリアニオン性成分は、組成物の約0.2%(w/v)〜約5%(w/v)の範囲の量で、例えば、組成物の約0.4%(w/v)〜約2.5%(w/v)の範囲の量で、または、例えば、組成物の約0.6%(w/v)〜約1.8%(w/v)の範囲の量で、例えば、組成物の約0.8%(w/v)〜約1.3%(w/v)の範囲の量で存在する。
【0077】
第1のポリアニオン性成分部分と第2のポリアニオン性成分部分との重量比は広い範囲にわたって変化させることができる。1つの実施形態において、第1の部分と第2の部分との重量比は約0.02〜約50の範囲であり、好ましくは約0.1〜約10の範囲であり、より好ましくは約0.25〜約4の範囲である。
【0078】
本発明の組成物の異なるポリアニオン性成分部分(例えば、第1および第2のポリアニオン性成分部分)は由来が別であり得る。言い換えれば、異なるポリアニオン性成分部分(例えば、第1および第2のポリアニオン性成分部分)は、異なる供給源から本発明の組成物に混合することができる。異なるポリアニオン性成分部分の分子量は少なくとも約10,000(例えば、少なくとも約50,000)異なり得る。
【0079】
ポリアニオン性成分はさらに、第1の分子量および第2の分子量とは異なる第3の分子量を有する第3のポリアニオン性成分部分を含むことができる。第3のポリアニオン性成分部分は、第3のポリマー成分を有しない実質的に同一の組成物と比較して、眼への処置成分(例えば、ブリモニジン成分)の投与を容易にするために効果的な量で存在させることができる。
【0080】
本発明の組成物は、ポリアニオン性成分の総量は等しいが第1のポリアニオン性成分部分を実質的に有しない実質的に同一の組成物と比較して、増強された処置成分送達を提供することができる。
【0081】
本明細書中の他のところで記されるように、任意の好適な処置成分を本発明の組成物において用いることができる。1つの非常に有用な実施形態において、処置成分には、眼に適用されたとき、眼内圧を低下させるために効果的である物質が含まれ得る。
【0082】
治療剤成分には、下記物質の1つまたは複数が含まれ得るが、それらに限定されない:NMDA拮抗剤;抗菌物質、例えばβ-ラクタム系抗生物質、例えばセフォキシチン、n-ホルムアミドイルチエナマイシンおよび他のチエナマイシン誘導体、テトラサイクリン類、クロラムフェニコール、ネオマイシン、カルベニシリン、コリスチン、ペニシリンG、ポリミキシンB、バンコマイシン、セファゾリン、セファロリジン、チブロリファマイシン(chibrorifamycin)、グラミシジン、バシトラシンおよびスルホンアミド類、アミノグリコシド系抗生物質、例えばゲンタマイシン、カナマイシン、アミカシン、シソマイシンおよびトブラマイシン;ナリジクス酸およびその類似体、例えばノルフロキサシンおよび抗微生物複合剤フルオロアラニン/ペンチジドン(fluoroalanine/pentizidone)、ニトロフラゾン類、およびその類似体;抗ヒスタミン剤およびうっ血除去剤、例えばピリラミン、クロルフェニラミン、テトラヒドラゾリン、アンタゾリンおよびその類似体;マスト細胞ヒスタミン放出阻害剤、例えばクロモリン;
【0083】
抗炎症剤、例えばコルチゾン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンエステル、ベタメタゾン、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、メドリゾン、フルオロメトロン、プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、トリアムシノロン、インダインエタシン(indainethacin)、スリンダク、その塩および対応するスルフィド、ならびにその類似体;縮瞳剤および抗コリン作動剤、例えばエコチオフェート、ピロカルピン、サリチル酸フィゾスチグミン、フルオロリン酸ジイソプロピル、エピネフリン、ジピバロイルエピネフリン、ネオスチグミン、ヨウ化エコチオパート、臭化デメカリム(demecarim bromide)、塩化カルバモイルコリン、メタコリン、ベタネコール、およびその類似体;散瞳剤、例えばアトロピン、ホマトロピン、スコポラミン、ヒドロキシアンフェタミン、エフェドリン、コカイン、トロピカミド、フェレフリン、シクロペントレート、オキシフェノニウム、ユーカトロピン;など、およびその混合物。
【0084】
有用な処置成分には下記のものが含まれる:抗緑内障剤、例えばチモロール、特にそのマレイン酸塩およびR-チモロール、ならびにチモロールまたはR-チモロールとピロカルピンとの組合わせ;他のアドレナリン作動剤および/またはアドレナリン拮抗剤、例えばエピネフリンおよびエピネフリン複合体、またはプロドラッグ、例えば酒石酸水素塩、ホウ酸塩、塩酸塩およびジピベフリン誘導体;炭酸脱水酵素阻害剤、例えばアセタゾラミド、ジクロルフェナミド、2-(p-ヒドロキシフェニル)チオチオフェンスルホンアミド、6-ヒドロキシ-2-ベンゾチアゾールスルホンアミド、および6-ピバロイルオキシ-2-ベンゾチアゾールスルホンアミド;抗寄生虫化合物および/または抗原虫化合物、例えばイベルメクチン、ピリメタミン、トリスルファピリミジン、クリンダマイシンおよびコルチコステロイド製剤;抗ウイルス活性を持つ化合物、例えばアシクロビル、5-ヨード-2'-デオキシウリジン(IDU)、アデノシンアラビノシド(Ara-A)、トリフルオロチミジン、インターフェロン、およびインターフェロン誘導剤、例えばポリI:C;抗真菌剤、例えばアンホテリシンB、ニスタチン、フルシトシン、ナタマイシンおよびミコナゾール;
【0085】
麻酔剤、例えばエチドカイン、コカイン、ベノキシネート、塩酸ジブカイン、塩酸ジクロニン、ネパイン、塩酸フェナカイン、ピペロカイン、塩酸プロパラカイン、塩酸テトラカイン、ヘキシルカイン、ブピバカイン、リドカイン、メピバカインおよびプリロカイン;眼科診断薬、例えば(a)網膜の検査に使用されるもの、例えばフルオレセインナトリウムなど、(b)結膜、角膜および涙器の検査に使用されるもの、例えばフルオレセインおよびローズベンガル、および(c)異常瞳孔反応の検査に使用されるもの、例えばメタコリン、コカイン、アドレナリン、アトロピン、ヒドロキシアンフェタミンおよびピロカルピン;手術時に補助剤として使用される眼科薬、例えばα-キモトリプシンおよびヒアルロニダーゼ;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびデフェロキサミン;免疫抑制剤および代謝拮抗剤、例えばメトトレキセート、シクロホスファミド、6-メルカプトプリンおよびアザチオプリン、ならびに上述した化合物の組合わせ、例えば抗生物質/抗炎症剤の組合わせ、例えば硫酸ネオマイシンとリン酸デキサメタゾンナトリウムとの組合わせ、および緑内障の処置に併せて使用される組合わせ、例えばマレイン酸チモロールとアセクリジンとの組合わせ;など、ならびにその混合物。
【0086】
処置成分にはまた、下記物質の1つまたは複数が含まれ得るが、それらに限定されない:ステロイド、例えばフルオロメトロン、プレドニゾロン、メドリゾン、デキサメタゾンおよびロテプレドノル;NSAID、例えばケトロラク、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、ケトプロフェンおよびスプロフェン(これらに限定されない);ベータ遮断剤、例えばチモロール、ベタキソロール、カルテオロール、レボブノロールおよびメチプロラノロ−ル(これらに限定されない);縮瞳剤および交感神経興奮剤、例えばカルバコール、ピロカルピン、ジピベフリンおよびエピネフリン(これらに限定されない);プロスタグランジン類、例えばラタノプロスト、ビマトプロストおよびトラボプロスト(これらに限定されない);キノロン類;抗微生物剤、例えばオフロキサシンン、シプロフロキサシン、ノルフロキサシンン、ガチフロキサシン、バシトラシン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、ポリキシシンB、ネオマイシン、アミカシン、バンコマイシン、アンピシリン、カナマイシン、ペニシリン、セファゾリンおよびスルファセタミド(これらに限定されない);アドレナリン性麻酔剤、例えばプロパラカインおよびテトラカイン(これらに限定されない);抗真菌剤、例えばアンフォテリシンB、フルコナゾール、ナタマイシン、ミコナゾール、ケトコナゾール(これらに限定されない);散瞳剤および毛様体筋麻痺剤、例えばフェニレフリン、ヒドロキシアンフェタミン、アトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミンおよびトロピカミド;抗ヒスタミン剤、APIクロモリン、レボカバスチン、ナファゾリンおよびアンタゾリンなど、およびその混合物。
【0087】
ある種のステロイド(例えばテストステロン)および他の不溶性薬物(例えばシクロスポリン)は、当業者によく知られているように、界面活性剤または他の可溶化剤(例えばシクロデキストリン)を用いて可溶化しうる。
【0088】
1つの実施形態において、有用な処置成分にはアドレナリン作動剤が含まれる。例えば、有用な処置成分にはα-アドレナリン作動剤が含まれる。α-アドレナリン作動剤の例には下記のものが含まれるが、それらに限定されない:アドラフィニル、アドレノロン(adrenolone)、アミデフリン(amidephrine)、アプラクロニジン、ブドララジン、クロニジン、シクロペンタミン、デトミジン、ジメトフリン(dimetofrine)、ジピベフリン、エフェドリン、エピネフリン、フェノキサゾリン(fenoxazoline)、グアナベンズ、グアンファシン、ヒドロキシアンフェタミン、イボパミン、インダナゾリン(indanazoline)、イソメテプテン、メフェンテルミン、メタラミノール、メトキサミン、メチルヘキサネアミン、メチゾレン(metizolene)、ミドドリン、ナファゾリン、ノルエピネフリン、ノルフェネフリン、オクトドリン(octodrine)、オクトパミン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、フェニルプロピルメチルアミン、フォレドリン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、リルメニジン、シネフリン、テトラヒドロゾリン、チアメニジン(tiamenidine)、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、チラミン、キシロメタゾリンなど、およびその混合物。
【0089】
1つの有用な実施形態において、処置成分にはα2アドレナリン作動剤が含まれる。本明細書で使用する用語「α2アドレナリン作動剤」には、例えば節後交感神経終末のシナプス前α2受容体または例えば平滑筋細胞のシナプス後α2受容体に結合することなどによって、正味の交感神経遮断応答を引き起して、調節の増加をもたらす化合物、イオン、複合体などの化学物質が包含される。交感神経遮断応答は、交感神経系によって伝達されるインパルスの作用の阻害、低減または防止を特徴とする。本発明のα2アドレナリン作動剤は、α2アドレナリン受容体にシナプス前性に結合して、ニューロンノルエピネフリンの放出を減少させる負のフィードバックを引き起す。さらに、本発明のα2アドレナリン作動剤はα2アドレナリン受容体にシナプス後性にも結合して、β-アドレナリン受容体刺激によるサイクリックAMP形成を阻害する(毛様体筋の弛緩に寄与する)と共に、他の細胞内経路に対するシナプス後α2アドレナリン受容体の効果にも影響する。シナプス前またはシナプス後α2アドレナリン受容体での活性はアドレナリン作動性作用を低下させるだろう。アドレナリン作動性作用の低下は、コリン作動性神経支配がもたらす収縮を増加させる。α2アドレナリン作動剤には神経保護活性を持つ化合物も含まれる。例えば5-ブロモ-6-(2-イミダゾリン-2-イルアミノ)キノキサリンは、未知の機序による神経保護活性を持つα2アドレナリン作動剤である。
【0090】
本発明に役立つ代表的α2アドレナリン作動剤を以下に列挙するが、本発明はここに挙げる特定の群および化合物に限定されない:イミノ-イミダゾリン類、例えばクロニジン、アプラクロニジン;イミダゾリン類、例えばナファゾリン、キシメタゾリン(xymetazoline)、テトラヒドロゾリン、およびトラマゾリン;イミダゾール類、例えばデトミジン、メデトミジン、およびデクスメデトミジン;アゼピン類、例えばB-HT 920(6-アリル-2-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-チアゾロ[4,5-d]アゼピン)およびB-HT 933;チアジン類、例えばキシラジン;オキサゾリン類、例えばリルメニジン;グアニジン類、例えばグアナベンズおよびグアンファシン;カテコールアミン類など、およびその混合物。
【0091】
特に有用な処置成分、例えばα2アドレナリン作動剤にはキノキサリン成分が含まれる。1つの実施形態において、キノキサリン成分には、キノキサリン、その誘導体、例えば、限定するわけではないが眼科的に許容され得るその酸付加塩、およびその混合物が含まれる。
【0092】
本発明に従って特に有用なキノキサリン成分には、下記の式を有するキノキサリン成分、およびその眼科的に許容され得る酸付加塩、ならびにそれらの混合物が含まれる:
【化1】

[式中、R1およびR2はそれぞれが独立して、H、1個〜4個の炭素原子を含有するアルキル基(例えば、メチル基)、および、1個〜4個の炭素原子を含有するアルコキシ基からなる群から選択され、2-イミダゾリン-2-イルアミノ基は、キノキサリン核の5位、6位、7位または8位のいずれかに存在することができ、R3、R4およびR5はそれぞれが、キノキサリン核の残る5位、6位、7位または8位のいずれかに位置することができ、かつ、Cl、Br、H、および、1個〜3個の炭素原子を含有するアルキル基(例えば、メチル基)からなる群から独立して選択される]。
【0093】
1つの有用な実施形態において、キノキサリン成分のR1およびR2はともにHである。別の有用な実施形態において、キノキサリン成分のR1およびR2はともに、1個〜4個の炭素原子を含むアルキル基である。さらに別の有用な実施形態において、キノキサリン成分のR3はHまたはメチル基のいずれかである。なおさらに別の有用な実施形態において、2-イミダゾリン-2-イルアミノ基はキノキサリン核の6位に存在し、R4およびR5がともにHである。さらに別の有用な実施形態において、2-イミダゾリン-2-イルアミノ基はキノキサリン核の6位に存在し、R3がHまたはメチル基のいずれかであり、R4およびR5がともにHである。
【0094】
例えば、限定されないが、式は下記のものであり得る:
【化2】

または
【化3】

または
【化4】

【0095】
キノキサリン誘導体の非限定的な例には、(2-イミダゾリン-2-イルアミノ)キノキサリン系化合物および5-ハライド-6-(2-イミダゾリン-2-イルアミノ)キノキサリン系化合物、それらの眼科的に許容され得る酸付加塩など、ならびに、それらの混合物が含まれる。5-ハライド-6-(2-イミダゾリン-2-イルアミノ)キノキサリンの「ハライド」は、例えば、フッ素、塩素、ヨウ素または臭素が可能であり、例えば、5-ブロモ-6-(2-イミダゾリン-2-イルアミノ)キノキサリン(ブリモニジン)を形成する。
【0096】
α2-アドレナリン作動剤、例えば、本明細書中に示されるα2-アドレナリン作動剤は、α2A-アドレナリン作動性受容体、α2B-アドレナリン作動性受容体およびα2D-アドレナリン作動性受容体の1つまたは複数を活性化することに対して効果的であり得る。
【0097】
本発明における使用のために意図される他のキノキサリン系化合物およびキノキサリン誘導体が広く知られており、これらには、例えば、Danielwicz他の米国特許第3,890,319号、Gluchowskiの米国特許第5,021,416号、Burke他の米国特許第5,703,077号、およびBurke他の米国特許第5,773,440号によって開示されるキノキサリン系化合物およびキノキサリン誘導体がある。Danielwicz他の米国特許第3,890,319号、Gluchowskiの米国特許第5,021,416号、Burke他の米国特許第5,703,077号、およびBurke他の米国特許第5,773,440号のそれぞれの開示はその全体が参考として本明細書中に組み込まれる。
【0098】
キノキサリン系化合物はα2-アドレナリン作動剤であり得る。α2-アドレナリン作動剤または他のα2-アドレナリン作動剤として機能するキノキサリン系化合物、例えば、限定されないが、本明細書中に示されるキノキサリン系化合物のアナログもまた、本発明における使用のために特に意図される。
【0099】
1つの有用な実施形態において、本発明の組成物におけるキノキサリン成分の量は組成物の約0.001%(w/v)〜約40%(w/v)の範囲であり、例えば、約0.01%(w/v)〜約10%(w/v)の範囲である。1つの特に有用な実施形態において、キノキサリン成分には、ブリモニジン、その眼科的に許容され得る酸付加塩、およびそれらの混合物が含まれ、それは約0.04%(w/v)〜約2%(w/v)の範囲の量で存在し、例えば、約0.05%(w/v)〜約0.3%(w/v)の範囲(例えば、約0.15%(w/v)など)の量で存在する。
【0100】
キノキサリン系化合物(例えば、ブリモニジン)は、荷電分子として、または遊離塩基として存在することができる。例えば、pH7.8では、キノキサリン系化合物(例えば、ブリモニジン)の大きな割合が遊離塩基として存在する。遊離塩基はより疎水性であり、従って、より容易に角膜に浸透することができる。従って、キノキサリン系化合物(例えば、ブリモニジン)の遊離塩基形態が好まれる場合がある。
【0101】
他の有用な処置成分には、降圧脂質成分(例えば、Woodward他の米国特許第5,688,819号に開示される)、降圧脂質成分とチモロール成分との組合せ(例えば、同時係属中の米国特許出願第10/153,043号(2002年5月22日出願)に記載される);ピラノキノリノン誘導体(例えば、Cairns他の米国特許第4,474,787号に開示される)、レチノイド様活性を有する化合物(例えば、Chandraratnaの米国特許第5,089,509号に開示される)、ケトロラク/ピロール-1-カルボン酸系化合物(例えば、Muchowski他の米国特許第4,089,969号に開示されれる)、オフロキサシン類/ベンゾオキサジン誘導体(例えば、Hayakawa他の米国特許第4,382,892号に開示される)、メマンチン類(例えば、Lipton他の米国特許第5,922,773号に開示される)など、およびそれらの混合物が含まれる。上記のWoodward他の特許、同時係属中の特許出願、ならびに、Cairns他、Chandraratna、Muchowski他、Hayakawa他およびLipton他の特許のそれぞれの開示はその全体が参考として本明細書中に組み込まれる。
【0102】
1つの実施形態において、本発明の組成物において有用な降圧脂質成分は下記の式(I)を有するか、またはその医薬的に許容され得る塩である:
【化5】

【0103】
[式中、点線の結合は、シスまたはトランスの立体配置が可能である単結合または二重結合を表す;Aは、2個〜6個の炭素原子を有するアルキレン基またはアルケニレン基であり、ただし、このアルキレン基またはアルケニレン基は、1個または複数個のオキシド基を鎖中に含むこと、および、1個または複数個のヒドロキシ基、オキソ基、アルキルオキシ基またはアルキルカルボキシ基により置換されることが可能であり、この場合、前記アルキル基は1個〜6個の炭素原子を含む;Bは、3個〜7個の炭素原子を有するシクロアルキル基であるか、または、4個〜10個の炭素原子を有するヒドロカルビルアリール基およびヘテロアリール基からなる群から選択されるアリール基であり、この場合、ヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子およびイオウ原子からなる群から選択される;Xは、-OR4および-N(R42からなる群から選択される基であり、この場合、R4は、水素、1個〜6個の炭素原子を有する低級アルキル基、R5-(C=O)-またはR5-O-(C=O)-(式中、R5は、1個〜6個の炭素原子を有する低級アルキル基である)からなる群から選択される;Zは=O基であるか、または、2個の水素基を表す;R1およびR2の一方は、=O基、-OH基もしくは-O(CO)R6基であり、もう一方は-OHもしくは-O(CO)R6であるか、または、R1は=Oであり、かつ、R2はHであり、この場合、R6は、1個〜約20個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和非環状炭化水素基、または-(CH2mR7(式中、mは0であるか、または、1〜10の整数であり、R7は、3個〜7個の炭素原子を有するシクロアルキル基、または、上記で定義されるようなヒドロカルビルアリール基もしくはヘテロアリール基である)である]。
【0104】
ただし、Bがヘテロ原子含有ペンダント基により置換されておらず、また、Zが=Oであるとき、Xは-OR4でない。(すなわち、該シクロアルキル基またはヒドロカルビルアリール基もしくはヘテロアリール基は、炭素または水素とは異なる原子を有するペンダント基により置換されていない)
【0105】
1つの実施形態において、降圧脂質成分は下記の式IIを有する:
【化6】

[式中、yは0または1であり、xは0または1であり、xおよびyは両方同時に1ではなく、Yは、アルキル、ハロ(例えば、フルオロ、クロロなど)、ニトロ、アミノ、チオール、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アルキルカルボキシ、ハロ置換アルキル(ただし、前記アルキル基は1個〜6個の炭素原子を含む)などからなる群から選択される基であり、nは、0、または、1〜約3の整数であり、R3は、=O、-OHまたは-O(CO)R6(式中、R6は上記で定義される通り)である]。
好ましくは、nは1または2である。
【0106】
好都合には、降圧脂質成分は下記の式(III)を有する:
【化7】

[式中、ハッチングした線はα立体配置を示し、黒塗り三角形の線はβ立体配置を示すために使用される]。
【0107】
1つの実施形態において、降圧脂質成分は下記の式(IV)を有する:
【化8】

[式中、Y1はClまたはトリフルオロメチルであり、それ以外の記号および置換基は上記で定義される通りである]。
【0108】
有用な実施形態において、降圧脂質成分は式(V):
【化9】

で示される化合物ならびにその9-および/または11-および/または15-エステルである。
【0109】
1つの特に有用な実施形態において、降圧脂質成分は下記の構造式(VI)を有する:
【化10】

これはビマトプロストとして知られている。ビマトプロストは、Allergan Inc.によってLumigan(登録商標)の商標で販売されている組成物に0.03%(w/v)の濃度で存在する。
【0110】
降圧脂質成分は、好ましくは、本発明の組成物において、組成物が高眼内圧の眼に投与されたときに眼内圧を低下させるために効果的な量で存在する。用いられる降圧脂質成分の好ましい量は約0.00001%〜約1.0%(w/v)の範囲であり、より好ましくは約0.0001%〜約0.1%(w/v)の範囲である。
【0111】
下記の降圧脂質成分を本発明の組成物において使用することができる:
(1)シクロペンタン ヘプテノール-5-cis-2-(3-ヒドロキシ-5-フェニル-1-trans-ペンテニル)-3,5-ジヒドロキシ、[1α,2β,3α,5α]
(2)シクロペンタン ヘプテンアミド-5-cis-2-(3-ヒドロキシ-5-フェニル-1-trans-ペンテニル)-3,5-ジヒドロキシ、[1α,2β,3α,5α]
(3)シクロペンタン N,N-ジメチルヘプテンアミド-5-cis-2-(3-ヒドロキシ-5-フェニル-1-trans-ペンテニル)-3,5-ジヒドロキシ、[1α,2β,3α,5α]
(4)シクロペンタン ヘプテニル メトキシド-5-cis-2-(3-ヒドロキシ-5-フェニル-1-trans-ペンテニル)-3,5-ジヒドロキシ、[1α,2β,3α,5α]
(5)シクロペンタン ヘプテニル エトキシド-5-cis-2-(3-ヒドロキシ-4-meta-クロロフェノキシ-1-trans-ペンテニル)-3,5-ジヒドロキシ、[1α,2β,3α,5α]
(6)シクロペンタン ヘプテニルアミド-5-cis-2-(3-ヒドロキシ-4-meta-クロロフェノキシ-1-trans-ペンテニル)-3,5-ジヒドロキシ、[1α,2β,3α,5α]
(7)シクロペンタン ヘプテニルアミド-5-cis-2-(3-ヒドロキシ-4-トリフルオロメチルフェノキシ-1-trans-ペンテニル)-3,5-ジヒドロキシ、[1α,2β,3α,5α]
(8)シクロペンタン N-イソプロピル ヘプテンアミド-5-cis-2-(3-ヒドロキシ-5-フェニル-l-trans-ペンテニル)-3,5-ジヒドロキシ、[1α,2β,3α,5α]
(9)シクロペンタン N-エチル ヘプテンアミド-5-cis-2-(3-ヒドロキシ-5-フェニル-1-trans-ペンテニル)-3,5ジヒドロキシ、[1α,2β,3α,5α]
(10)シクロペンタン N-メチル ヘプテンアミド-5-cis-2-(3-ヒドロキシ-5-フェニル-1-trans-ペンテニル)-3,5-ジヒドロキシ、[1α,2β,3α,5α]
(11)シクロペンタン ヘプテノール-5-cis-2-(3-ヒドロキシ-4-meta-クロロフェノキシ-1-trans-ブテニル)-3,5-ジヒドロキシ、[1α,2β,3α,5α]
(12)シクロペンタン ヘプテンアミド-5-cis-2-(3-ヒドロキシ-4-meta-クロロフェノキシ-1-trans-ブテニル)-3,5-ジヒドロキシ、[1α,2β,3α,5α]
(13)シクロペンタン ヘプテノール-5-cis-2-(3-ヒドロキシ-5-フェニル-1-trans-ペンテニル)-3,5-ジヒドロキシ、[1α,2β,3α,5α]。
【0112】
医薬的に許容され得る塩は、元の化合物の活性を保持し、かつ、投与される対象に対して、また、投与される状況において何らかの有害な影響または望ましくない影響を与えない任意の塩である。降圧脂質成分に関して、そのような塩は、医薬的に許容され得るカチオン(例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属など)により形成される塩である。
【0113】
1つの有用な実施形態において、本発明の組成物における処置成分の量は組成物の約0.001%(w/v)以下または約0.005%(w/v)〜約30%(w/v)または約40%(w/v)の範囲であり、例えば、約0.01%(w/v)〜約10%(w/v)の範囲である。1つの特に有用な実施形態において、処置成分は約0.04%(w/v)〜約2%(w/v)の範囲の量で存在し、例えば、約0.05%(w/v)〜約0.3%(w/v)の範囲の量で存在する。1つの実施形態において、処置成分の量は約0.01%(w/v)〜約1.0%(w/v)の範囲である。
【0114】
本発明の組成物はさらに、好ましくは眼科的に許容され得るキャリア成分を含む。
キャリア成分または他の物質は、眼の組織との適合性を有するとき、「眼科的に許容され得る(眼科的に許容可能である)」。すなわち、キャリア成分は、眼の組織と接触させられたとき、何らかの著しいまたは過度な有害な影響を引き起こさない。好ましくは、眼科的に許容され得る物質はまた、本発明の組成物の他の成分との適合性を有する。
【0115】
キャリア成分は、そのような眼科的許容性を提供することにおいて、かつ/または、組成物、および/または、組成物が投与される眼、および/または、眼が処置されている患者に他の利益を与えることにおいて効果的である1つまたは複数の成分を含むことができる。好都合には、キャリア成分は水系であり、例えば、主要量(すなわち、少なくとも約50wt%)の水を含む。
【0116】
本発明のキャリア成分において有用な好適な物質の例には、水、水および水混和性溶媒(例えば、低級アルカノールまたはアラルカノールなど)の混合物、植物油、ポリアルキレングリコール、ワセリン、エチルセルロース、オレイン酸エチル、ポリビニルピロリドン、ミリスチン酸イソプロピル、他の従来用いられている医薬的に許容され得る物質などの1つまたは複数が含まれる。
【0117】
キャリア成分は、所望の浸透圧を組成物に提供するために効果的な量の浸透圧調節成分を含むことができる。用いることができる好適な浸透圧調節成分には、眼科用組成物において従来使用されているものが含まれ、例えば、1つまたは複数の様々な無機塩などがある。塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、デキストロース、グリセリンおよびプロピレングリコールなど、ならびにそれらの混合物が非常に有用な浸透圧調節成分である。
【0118】
キャリア成分には、好ましくは、組成物のpHを所望の範囲で維持するために効果的な量で存在する緩衝剤成分が含まれる。用いることができる好適な緩衝剤成分または緩衝化剤には、眼科用組成物において従来使用されているものが含まれる。緩衝剤塩には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩および/またはアンモニウム塩が含まれる。従来の有機緩衝剤(例えば、Good緩衝剤など)もまた用いることができる。
【0119】
キャリア成分にはまた、補助物質、例えば、乳化剤、湿潤剤、増粘剤、酸および/または塩基、粘度調節剤、潤滑性成分、保存剤成分、眼科用配合物において有用な他の物質などが含まれ得る。これらには、眼科用組成物において従来使用されている物質(これらに限定されない)が含まれる。
【0120】
キャリア成分は様々な形態が可能である。1つの実施形態において、キャリア成分は液体を含み、組成物は溶液または懸濁物であり得る。いずれの場合でも、キャリアは、水と、本明細書中に記される1つまたは複数の補助成分とを単に含有することができる。
【0121】
1つの非常に重要な実施形態において、キャリア成分は、効果的な量の緩衝剤成分、効果的な量の浸透圧調節成分、効果的な量の保存剤成分、および水の少なくとも1つを含む。
【0122】
本発明において有用であり得る増粘剤の例には、様々なポリエチレングリコールおよびカルボワックスなど、ならびにそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0123】
本発明の組成物において有用であり得る酸には、使用されている濃度で眼科的に許容され得るホウ酸、塩酸、酢酸および他の酸など、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0124】
本発明の組成物に含むことができる塩基には、使用されている濃度で眼科的に許容され得る水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウム、他の水酸化アルカリおよび/または水酸化アルカリ土類金属、有機塩基、他の塩基など、ならびにそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。
【0125】
酸/塩基/緩衝剤は、含まれるならば、本発明の組成物を、生理学的に許容され得る範囲でのpH(例えば、約4〜約8.5の範囲、または、約6〜約8の範囲、または、約6.8〜約8の範囲のpH)で提供し、かつ/または維持するために含むことができる。
【0126】
本発明の組成物において有用であり得る保存剤成分には、BAK、有機水銀化合物(例えば、チメロサールならびに酢酸フェニル水銀および硝酸フェニル水銀など)、第四級アンモニウム化合物、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、ベンジルアルコール、フェニルエタノールなど、ならびにそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。本発明の組成物のある種の処置成分の抗菌活性のために、本発明の組成物における保存剤成分(存在する場合)の濃度は、処置成分を伴わない類似する組成物において必要とされる保存剤の濃度と比較して少なくとも約10%または少なくとも約20%減らすことができる。
【0127】
本発明の組成物は効果的な量のキレート化成分または金属イオン封鎖成分(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸および酒石酸など)を含むことができる。
【0128】
本発明の組成物において有用な、場合により使用される他の賦形剤には、安定剤、例えば、抗酸化剤(例えば、メタ重硫酸アルカリ金属およびアスコルビン酸など)などが含まれる。
【0129】
これらのさらなる成分は好ましくは、眼科的に許容可能であり、眼科用組成物(例えば、人工涙液配合物など)において従来用いられている物質から選ぶことができる。
【0130】
本発明の組成物におけるこれらのさらなる成分についての許容され得る効果的な濃度は当業者には容易に明らかである。
【0131】
1つの実施形態において、保存剤成分が、組成物に存在する他の成分の存在によって実質的に影響されないことは重要である。選ばれる保存剤成分は様々な要因(例えば、組成物に存在する他の成分)に依存する。有用な保存剤成分の例には、過塩、例えば、過ホウ酸塩および過炭酸塩など);過酸化物、例えば、非常に低い濃度(例えば、約50〜約200ppm(w/v))の過酸化水素など;アルコール、例えば、ベンジルアルコールおよびクロルブタノールなど;ソルビン酸およびその眼科的に許容され得る塩、ならびそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0132】
そのような成分を含有する本発明の組成物に含まれる保存剤成分の量は、例えば、用いられる特定の保存剤成分に依存して、比較的広い範囲にわたって変化する。そのような成分の量は組成物の約0.000001%(w/v)〜約0.05%(w/v)またはそれ以上の範囲であり得る。
【0133】
1つの特に有用な種類の保存剤成分は二酸化塩素前駆体である。二酸化塩素前駆体の具体的な例には、安定化された二酸化塩素(SCD)、亜塩素酸金属(例えば、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の亜塩素酸塩)など、およびそれらの混合物が含まれる。工業用の亜塩素酸ナトリウムは非常に有用な二酸化塩素前駆体である。二酸化塩素を含有する複合体(例えば、二酸化塩素とカーボネートとの複合体、二酸化塩素とバイカーボネートとの複合体、およびそれらの混合物など)もまた、二酸化塩素前駆体として含められる。多くの二酸化塩素前駆体(例えば、SCDおよび二酸化塩素複合体)の正確な化学組成は完全にはわかっていない。いくつかの二酸化塩素前駆体の製造がMcNicholasの米国特許第3,278,447号(これはその全体が参考として本明細書中に組み込まれる)に記載されている。有用なSCD生成物の具体的な例には、Purite(登録商標)の商標で販売されているもの、Rio Linda Chemical Company, Inc.によってDura Klorの商標で販売されているもの、および、International Dioxide, Inc.によってAnthium Dioxideの商標で販売されているものが含まれる。
【0134】
二酸化塩素前駆体は、組成物を効果的に保存するために本発明の組成物に含ませることができる。そのような効果的な保存濃度は本発明の組成物の約0.0002%(w/v)または約0.002%(w/v)〜約0.02%(w/v)の範囲であり得る。
【0135】
二酸化塩素前駆体が保存剤成分として用いられる場合、組成物は少なくとも約200mOsmol/kgのオスモル濃度を有することができ、また、許容され得る生理学的範囲で、例えば、約6〜約8または約10の範囲でpHを維持するために緩衝化することができる。
【0136】
本発明の組成物は、1つまたは複数の電解質(例えば、天然の涙または人工涙液配合物中に存在する電解質など)である電解質成分の効果的な量を含むことができる。本発明の組成物に含まれる特に有用な電解質の例には、限定されないが、アルカリ土類金属の塩(例えば、アルカリ土類金属の無機塩など)、およびその混合物、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩およびそれらの混合物が含まれる。非常に良好な結果が、塩化カルシウム、塩化マグネシウムおよびそれらの混合物から選択される電解質成分を使用して得られている。
【0137】
本発明の組成物におけるそのような電解質成分の量または濃度は非常に広範囲に変化させることができ、様々な要因(例えば、用いられている具体的な電解質成分、電解質が含まれることになる具体的な組成物、およびその他の要因)に依存する。1つの有用な実施形態において、電解質成分の量は、天然のヒトの涙における電解質濃度に少なくとも部分的に匹敵するように、または、実質的に匹敵するように選ばれる。電解質成分の濃度は本発明の組成物の約0.01%(w/v)〜約0.5%(w/v)または約1%(w/v)の範囲であり得る。
【0138】
本発明の組成物は、従来の手法および技術を使用して調製することができる。例えば、本発明の組成物はその成分を一緒に、例えばひとまとまりに混合することによって調製することができる。
【0139】
例示すると、1つの実施形態において、成分を、例えば、混合および/または撹拌によって、精製水と混ぜ、また、精製水に分散させる。最終混合物を滅菌、例えば、蒸気滅菌する(例えば、少なくとも約100℃の温度で、例えば、約120℃〜約130℃などの範囲で、少なくとも約15分間または少なくとも30分間、例えば、約30分〜約60分などの範囲で行われる)。1つの実施形態において、保存剤成分を滅菌後に混合物に加える。最終生成物を、例えば、20ミクロンの滅菌されたカートリッジフィルター(例えば、20ミクロンの清澄フィルターカートリッジ(例えば、PallによってH.C.IIの商標で販売されている)など)に通してろ過して、透明な滑らかな溶液を得ることができ、その後、溶液を無菌的に容器(例えば、低密度ポリエチレンteal容器)に充填する。
【0140】
あるいは、保持成分を精製水と混合することができる。混合された溶液を、その後、上記のように、それ以外の成分と混ぜ、滅菌し、容器に充填することができる。
【0141】
1つの特に有用な実施形態において、保持成分および精製水からなる溶液が上記のように得られる。その後、この溶液を、例えば、上記のように滅菌する。別に、最終組成物に含められるそれ以外の成分を精製水に可溶化する。この後者の溶液を、例えば、0.2ミクロンのフィルター(例えば、PallによってSuporflowの商標で販売されているフィルターなど)に通してフィルター滅菌する。フィルター滅菌した溶液を、最終溶液を形成するために、保持成分含有溶液に加える。最終溶液を、例えば、上記のようにろ過して、透明な滑らかな溶液を得ることができ、その後、上記のように、無菌的に容器に充填する。
【0142】
本発明の組成物は、効果的な量の組成物を、眼(例えば、正常な眼の眼内圧と比較して、上昇した眼内圧を有する眼、または、上昇した眼内圧に向かう傾向を有する眼)に投与することを含む方法によって、必要とされるように効果的に使用することができる。投与ステップは、そのような眼に対する効果的な処置を提供するために、必要とされるように繰り返すことができる。本発明の組成物の投与様式は組成物の形態に依存する。例えば、組成物が溶液であるならば、組成物の液滴を、例えば、従来の点眼器から眼に適用することができる。一般に、本発明の組成物は、従来の眼科用組成物が適用されるのと実質的に同じ方法で眼の表面に適用することができる。本発明の組成物のそのような投与により、本明細書中の他のところで記載されているように、実質的かつ予想外の利益がもたらされる。
【0143】
下記の非限定的な実施例により、本発明のいくつかの局面が例示される。
(実施例1)
本発明による眼科用配合物を下記のように調製する:
ブリモニジン、精製水、高分子量ナトリウムカルボキシメチルセルロース(HCMC)および中分子量ナトリウムカルボキシメチルセルロース(MCMC)の混合物を、これらの成分を混合しながら混ぜることによって調製する。HCMCは約700,000の重量平均分子量を有し、一方、MCMCは約250,000の重量平均分子量を有する。HCMCおよびMCMCはともに市販されており、HerculesによってAQUALON(登録商標)の商標で販売されている。
【0144】
様々な他の物質をこの混合物と混合して、下記の組成を有する溶液を形成する:

【0145】
この溶液の粘度は、従来のBrookfield粘度計で測定されたとき、136cpsである。
その後、この溶液を、123℃で45分間、閉じたオートクレーブで加熱殺菌する。
【0146】
その後、無菌のPurite(登録商標)溶液を滅菌溶液に0.0075%(w/v)の濃度で加える。Purite(登録商標)はAllergen, Inc.の登録商標であり、この溶液は、安定化された二酸化塩素を含む。
滅菌溶液の粘度は、従来のBrookfield粘度計で測定されたとき、80cpsである。
【0147】
滅菌溶液は、点眼剤の形態で、正常な眼の眼内圧と比較して上昇した眼内圧を有する患者の眼に投与する。そのような投与は、患者の眼を都合良く処置するために効果的である。好都合な処置は、眼の眼内圧を低下させることを少なくとも含む。そのうえ、そのような処置は、患者の眼の角膜を介したブリモニジンの投与促進を効果的に提供するので、HCMCを伴うことなく同じ総量のナトリウムカルボキシメチルセルロースを含む実質的に同一の組成物を用いて同じ好都合な効果をもたらすために必要となるよりも、必要な単位時間あたりの投与回数が少なくてすみ、および/または眼に対する組成物の適用量が少なくてすむ。
【0148】
加えて、患者は、MCMCを伴うことなく同じ総量のナトリウムカルボキシメチルセルロースを含む実質的に同一の組成物を投与した後と比較して、この組成物の投与の後では、より迅速に明瞭な視覚(すなわち、ぼやけていない視覚)を取り戻している。
【0149】
(実施例2〜実施例7)
実施例1を、MCMCを低分子量のナトリウムカルボキシメチルセルロース(LCMC)に置き換え、かつ、HCMCおよびLCMCの様々な異なる比率を採用することを除いて、さらに6回繰り返す。LCMCの重量平均分子量は90,000である。このLCMCは市販されており、HerculesによってAQUALON(登録商標)の商標で販売されている。
【0150】
これらの配合物のそれぞれにおけるHCMCおよびLCMCの量、ならびに、これらの配合物のそれぞれの粘度は下記の通りである:

【0151】
これらの滅菌溶液のそれぞれを、点眼剤の形態で、緑内障患者の眼に投与する。それぞれのそのような投与が、患者の眼の眼内圧を低下させるために効果的である。そのうえ、HCMCを伴うことなく同じ総量のナトリウムカルボキシメチルセルロースを含む実質的に同一の組成物を投与する場合と比較して、好都合なことに、そのような眼内圧低下が1回の投与についてより長い期間にわたって持続し、かつ/または、類似する低下を達成するために1回の投与あたり必要な組成物量が少なくてすむ。加えて、患者のそれぞれが、LCMCを伴うことなく同じ総量のナトリウムカルボキシメチルセルロースを含む実質的に同一の組成物を投与した後と比較して、この滅菌溶液の投与の後では、より迅速に明瞭な視覚(すなわち、ぼやけていない視覚)を取り戻している。
【0152】
実施例2〜実施例7の滅菌溶液は、患者の眼に投与されたとき、比較的長い期間にわたって緑内障の緩和を効果的にもたらしている。
【0153】
(実施例8)
表面張力が大きい組成物が眼に適用されたとき、そのような組成物は眼周囲の皮膚を容易に濡らさず、すなわち、例えば下眼瞼から流れでることによって、顔の表面に進行しないことが見出されている。角膜(1)、下眼瞼(2)、および、涙液メニスカス(3)の交差部の断面像において、2つの異なる組成物と混合された涙液の前進接触角(4)を見ることができる(図1Aおよび図1B)。図1Aは、HCMCおよびMCMCの代わりにHPMCを含む実施例1の組成物と混合された涙液の接触角を示す。図1Bは、実施例1の組成物と混合された涙液の接触角を示す。図1Bに示される大きい前進接触角は、組成物の比較的大きい総体積が眼の表面と接触して残留することを可能にしている。
【0154】
(実施例9)
処置成分を含む組成物の、眼表面に対する増大した保持が、眼内への処置剤の高まった(あるいは最適な)送達を促進し得ることが見出されている。保持は、時間を経て眼に残留する、眼に適用された組成物の割合として定義することができ、または、そのように見なすことができる。
【0155】
図2は、1%(w/v)の中分子量および高分子量カルボキシメチルセルロースを含む組成物と、0.5%(w/v)の低分子量カルボキシメチルセルロースを含む組成物との経時的な眼におけるメニスカス高さを示す。中分子量カルボキシメチルセルロースの平均分子量は約250,000である。高分子量カルボキシメチルセルロースの平均分子量は約700,000である。低分子量カルボキシメチルセルロースの平均分子量は約90,000である。
【0156】
0.5%(w/v)低分子量カルボキシメチルセルロースのメニスカス高さと比較して、高分子量カルボキシメチルセルロースを含む組成物ではより大きいメニスカス高さが眼で維持されていることを認めることができる。0.5%(w/v)低分子量カルボキシメチルセルロースを含む組成物のメニスカス高さと比較して、高分子量カルボキシメチルセルロースを含む組成物のこのより大きいメニスカス高さは、眼におけるより大きな体積の組成物の経時保持を提供している。
【0157】
(実施例10)
降圧脂質成分(すなわち、ビマトプロストとして特定されるそのような成分)をブリモニジン酒石酸塩の代わりに0.02%(w/v)の濃度で使用することを除いて、実施例1を繰り返す。
【0158】
滅菌溶液を、点眼剤の形態で、正常な眼の眼内圧と比較して上昇した眼内圧の有する患者の眼に投与する。そのような投与は、患者の眼を都合良く処置するために効果的である。好都合な処置は、眼の眼内圧を低下させることを少なくとも含む。そのうえ、そのような処置は、患者の眼の角膜を介したビマトプロストの投与促進を効果的に提供するので、HCMCを伴うことなく同じ総量のナトリウムカルボキシメチルセルロースを含む実質的に同一の組成物を用いて同じ好都合な効果をもたらすために必要となるよりも、必要な単位時間あたりの投与回数が少なくてすみ、および/または眼に対する組成物の適用量が少なくてすむ。
【0159】
加えて、患者は、MCMCを伴うことなく同じ総量のナトリウムカルボキシメチルセルロースを含む実質的に同一の組成物を投与した後と比較して、この組成物の投与の後では、より迅速に明瞭な視覚(すなわち、ぼやけていない視覚)を取り戻している。
【0160】
本発明が様々な具体的な実施例および実施形態に関して記載されているが、本発明はそれらに限定されないこと、および、本発明は特許請求の範囲内で様々に実施され得ることを理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1A】高分子量カルボキシメチルセルロース(HCMC)および中分子量カルボキシメチルセルロース(MCMC)の代わりにヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む実施例1の組成物の接触角を示す。
【図1B】実施例1の組成物の接触角が大きいことを示す。
【図2】本発明による組成物の投与後の時間(分)とメニスカス高さの関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0162】
1:角膜; 2:下眼瞼; 3:涙液のメニスカス; 4:前進接触角。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置成分をヒトまたは動物に投与するための組成物であって、
眼科的に許容され得るキャリア成分;
処置成分;および
90,000の平均分子量を有するカルボキシメチルセルロースを0.5%(w/v)含有する生理的食塩水の粘度よりも大きい粘度を組成物に与えるために効果的な量の保持成分
を含む組成物。
【請求項2】
ヒトの涙液と同等またはそれ以上の表面張力を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ヒトの涙液と同等またはそれ以上の前進接触角を有する、実施例2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物に存在する濃度での保持成分が、ヒト涙液の表面張力を増大させるために効果的である、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
組成物が眼に投与された後において眼における涙液の表面張力を低下させるのに実質的に無効である、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
組成物がヒトの眼に投与された後においてヒトの眼の眼瞼皮膚を濡らすのに実質的に無効である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
眼に投与された後に眼の眼瞼の機械的な作用によって眼から実質的に排除されるのに十分な粘度を有する実質的に同一の組成物と比較して、低下した粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
ずり流動化性である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
90,000の平均分子量を有するカルボキシメチルセルロースを0.5%(w/v)含有する生理的食塩水と比較して増大した粘膜付着性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
保持成分が、ポリアニオン性成分およびその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
ポリアニオン性成分が、アニオン性セルロース誘導体およびその混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
ポリアニオン性成分が、カルボキシメチルセルロースおよびその混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
保持成分が、第1の分子量を有する第1のポリアニオン性成分部分と、第2の分子量を有する第2のポリアニオン性成分部分とを含み、第1のポリアニオン性成分部分および第2のポリアニオン性成分部分は、組成物が眼に投与されたとき、眼内への処置成分の投与を促進するために効果的な量で存在し、かつ、第1の分子量と第2の分子量とは異なる、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
第1の分子量は第2の分子量よりも大きく、また、ポリアニオン性成分の総量は等しいが第1のポリアニオン性成分部分を実質的に有しない実質的に同一の組成物と比較して、眼の角膜を介する処置成分の増大した浸透をもたらす、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
第1の分子量は第2の分子量よりも大きく、また、組成物が眼の角膜に投与されたとき、ポリアニオン性成分の総量は等しいが第1のポリアニオン性成分部分を実質的に有しない実質的に同一の組成物と比較して、眼の角膜における増大した物理的付着をもたらす、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
第1の分子量は第2の分子量よりも大きく、また、組成物が眼の角膜に投与されたとき、ポリアニオン性成分の総量は等しいが第1のポリアニオン性成分部分を実質的に有しない実質的に同一の組成物と比較して、眼の角膜への増大した保持をもたらす、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
ポリアニオン性成分が、アニオン性セルロース誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸金属およびメタクリル酸金属の1つまたは複数のユニットを含むアニオン性ホモポリマーおよびアニオン性コポリマー、ならびに、それらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
処置成分が、NMDA拮抗剤、抗菌剤、抗ヒスタミン剤、鬱血除去剤、抗炎症剤、抗寄生虫剤、縮瞳剤、交感神経興奮剤、抗コリン作動剤、アドレナリン作動剤、抗ウイルス剤、局所麻酔剤、抗真菌剤、殺アメーバ剤、殺トリコモナス剤、鎮痛剤、散瞳剤、抗緑内障薬、炭酸脱水酵素阻害剤、眼科診断剤、手術において補助剤と使用される眼科用薬剤、キレート剤、抗新生物剤、抗高圧剤、筋弛緩剤、診断剤、アドレナリン作動性麻酔剤、ベータ遮断剤、α2-作動剤、毛様体筋麻痺剤、プロスタグランジン類、その誘導体、およびそれらの混合物からなる群から選択される物質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
組成物が眼に投与されたとき、処置成分が、眼の眼内圧を低下させるために効果的である、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
処置成分がキノキサリン成分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記キノキサリン成分が、式:
【化1】

[式中、R1およびR2はそれぞれが独立して、H、1個〜4個の炭素原子を含有するアルキル基、および、1個〜4個の炭素原子を含有するアルコキシ基からなる群から選択され、2-イミダゾリン-2-イルアミノ基は、キノキサリン核の5位、6位、7位または8位のいずれかに存在することができ、R3、R4およびR5はそれぞれが、キノキサリン核の残る5位、6位、7位または8位の1つに位置し、かつ、Cl、Br、H、および、1個〜3個の炭素原子を含有するアルキル基からなる群から独立して選択される]
で示される化合物およびその眼科的に許容され得る酸付加塩、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
2-イミダゾリン-2-イルアミノ基がキノキサリン核の6位に存在し、R3がキノキサリン核の5位に存在し、かつ、Cl、Br、および、1個〜3個の炭素原子を含有するアルキル基からなる群から選択され、R4およびR5がともにHである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
R3がBrである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
処置成分が、降圧脂質成分、ピラノキノリノン誘導体、レチノイド様活性を有する化合物、ケトロラク/ピロール-1-カルボン酸系化合物、オフロキサシン類/ベンゾオキサジン誘導体、メマンチン類、およびそれらの混合物からなる群から選択される物質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
処置成分がビマトプロストを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
請求項1に記載される組成物を眼の角膜に投与することを含む、処置成分を投与する方法。
【請求項27】
処置成分をヒトまたは動物に投与するための組成物であって、
眼科的に許容され得るキャリア成分;
処置成分;および
第1の分子量を有する第1のポリアニオン性成分部分と、第2の分子量を有する第2のポリアニオン性成分部分とを含むポリアニオン性成分(ここで、第1のポリアニオン性成分部分および第2のポリアニオン性成分部分は、組成物が眼に投与されたとき、眼の角膜を介した処置成分の投与を促進するために効果的な量で存在し、第1の分子量と第2の分子量とは異なる)
を含む組成物。
【請求項28】
第1の分子量は第2の分子量よりも大きく、また、組成物が眼に投与されたとき、ポリアニオン性成分の総量は等しいが第1のポリアニオン性成分部分を実質的に有しない実質的に同一の組成物と比較して、眼の角膜を介する処置成分の増大した浸透をもたらす、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
第1の分子量は第2の分子量よりも大きく、また、組成物が眼の角膜に投与されたとき、ポリアニオン性成分の総量は等しいが第1のポリアニオン性成分部分を実質的に有しない実質的に同一の組成物と比較して、眼の角膜への増大した保持をもたらす、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
第1の分子量は第2の分子量よりも大きく、また、組成物が眼の角膜に投与されたとき、ポリアニオン性成分の総量は等しいが第1のポリアニオン性成分部分を実質的に有しない実質的に同一の組成物と比較して、増大した量の処置成分が眼の角膜を通過する、請求項27に記載の組成物。
【請求項31】
ポリアニオン性成分が、アニオン性セルロース誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸金属およびメタクリル酸金属の1つまたは複数のユニットを含むアニオン性ホモポリマーおよびアニオン性コポリマー、ならびに、それらの混合物からなる群から選択される、請求項27に記載の組成物。
【請求項32】
処置成分が、NMDA拮抗剤、抗菌剤、抗ヒスタミン剤、鬱血除去剤、抗炎症剤、抗寄生虫剤、縮瞳剤、交感神経興奮剤、抗コリン作動剤、アドレナリン作動剤、抗ウイルス剤、局所麻酔剤、抗真菌剤、殺アメーバ剤、殺トリコモナス剤、鎮痛剤、散瞳剤、抗緑内障薬、炭酸脱水酵素阻害剤、眼科診断剤、手術において補助剤と使用される眼科用薬剤、キレート剤、抗新生物剤、抗高圧剤、筋弛緩剤、診断剤、アドレナリン作動性麻酔剤、ベータ遮断剤、α2-作動剤、毛様体筋麻痺剤、プロスタグランジン類、その誘導体、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項27に記載の組成物。
【請求項33】
組成物が眼に投与されたとき、処置成分が、眼の眼内圧を低下させるために効果的である、請求項27に記載の組成物。
【請求項34】
処置成分がキノキサリン成分を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項35】
キノキサリン成分が、式:
【化2】

[式中、R1およびR2はそれぞれが独立して、H、1個〜4個の炭素原子を含有するアルキル基、および、1個〜4個の炭素原子を含有するアルコキシ基からなる群から選択され、2-イミダゾリン-2-イルアミノ基はキノキサリン核の5位、6位、7位または8位のいずれかに存在することができ、R3、R4およびR5はそれぞれが、キノキサリン核の残る5位、6位、7位または8位の1つに位置し、かつ、Cl、Br、H、および、1個〜3個の炭素原子を含有するアルキル基からなる群から独立して選択される]
で示される化合物およびその眼科的に許容され得る酸付加塩、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
2-イミダゾリン-2-イルアミノ基がキノキサリン核の6位に存在し、R3がキノキサリン核の5位に存在し、かつ、Cl、Br、および、1個〜3個の炭素原子を含有するアルキル基からなる群から選択され、R4およびR5がともにHである、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
R3がBrである、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
処置成分が、降圧脂質成分、ピラノキノリノン誘導体、レチノイド様活性を有する化合物、ケトロラク/ピロール-1-カルボン酸系化合物、オフロキサシン類/ベンゾオキサジン誘導体、メマンチン類、およびそれらの混合物からなる群から選択される物質を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項39】
処置成分がビマトプロストを含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項40】
請求項27に記載される組成物を眼の角膜に投与することを含む、処置成分を投与する方法。




【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2007−501799(P2007−501799A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522767(P2006−522767)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/025540
【国際公開番号】WO2005/014046
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(591018268)アラーガン、インコーポレイテッド (293)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】