説明

眼内徐放型ドラッグ送達システムおよび眼症状を処置する方法

前房内または前部硝子に設置するための生体適合性、生体内分解性の徐放型インプラントおよびマイクロスフェアは、降圧剤および生分解性ポリマーを含み、治療有効量の降圧剤を10日と1年の間の期間にわたり放出することによって眼高血圧状態(たとえば緑内障)を治療することに効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
Michael R. Robinson、James A. Burke、Hui Liu、Werhner C. Orilla、Lon T. Spada、Scott Whitcup、Alazar N、GhebremeskelPatrick M. Hughes、Kun XuおよびMarianne M. Doによる。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年3月25日に出願された米国特許非仮出願第12/411,250号の利益を主張し、その開示全体は、この特定の参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
本発明は、眼内システムおよび眼状態を処置する方法に関する。特に、本発明は、緑内障の症状または緑内障のリスクを示すこともあり得る、眼圧が上昇した(すなわち高血圧状態)前眼房を処置するために、徐放型ドラッグ送達システム(すなわち薬物組込みマイクロスフェアおよび/またはインプラント)の、前眼房への局所投与(すなわち前房内投与)および/または眼の前硝子体腔への局所投与に関する。
【0004】
我々の発明によるドラッグ送達システムは、薬物を含有するインプラント(単一の一体化徐放ドラッグ送達システム)もしくはインプラント類または複数の薬物を含有するマイクロスフェア類(「微小粒子」と同義語)であり得る。本ドラッグ送達システムを治療的に用いて、眼疾患または状態、たとえば上昇した眼圧および/または緑内障を処置することができる。緑内障は、眼房眼圧(IOP)の上昇によって特徴づけられる眼の疾患である。緑内障を処置しないとは、失明をもたらすこともあり得る。緑内障は、原発性または続発性の緑内障であり得る。成人における原発性緑内障(先天性緑内障)は、開放隅角緑内障または急性もしくは慢性の閉塞隅角緑内障のいずれかであり得る。続発性緑内障は、既存する眼疾患、たとえばブドウ膜炎、眼内腫瘍または白内障の拡大に起因する。種々の降圧剤を用いて、IOPを低下させ、緑内障が処置されている。たとえば、いくつかのプロスタグランジンおよびそれらの類似体ならびに誘導体、たとえば、PGF誘導体(プロスタグランジンF2α類似体と呼ばれることもある)ラタノプロスト(Xalatan(登録商標)の商標下で販売されている)を用いて、高眼圧症および緑内障が処置されている。眼内プロスタグランジンおよびプロスタミドのインプラント類およびマイクロスフェア類は、たとえば米国特許出願第11/368,845号、11/303,462号、10/837,260号、および12/259,153号によって開示されている。とりわけ注目すべきは、第12/259,153号の36頁から47頁の実施例1から5である。米国特許出願第11/952,938号も興味深い。さらに、米国特許第5972326号および5965152号も興味深い。
【0005】
緑内障の従来の処置は、IOPを低下させるために降圧剤を含有する点眼剤を毎日適用することによる。点眼剤を定期的に毎日使用ことに対する患者の遵守率は、低いことが多い。たとえば、Nordstrom et al. AJO 2005; 140:598を参照されたい。さらに、眼感染症が、不適当な点眼剤使用に起因することがある。したがって、たとえば、診療所への来院時に簡便に投与できる高眼圧のための長期(すなわち徐放型)処置方法が求められている。したがって、上昇したIOPおよび/または緑内障を処置するための眼内治療用途の眼内徐放型ドラッグ送達システム(インプラント類および/またはマイクロスフェア類を含む)を提供することは、有利であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこの必要性を満たし、かつ眼内徐放型ドラッグ送達システムと、該ドラッグ送達システムを作製するための過程と、該ドラッグ送達システムを用いて眼状態を処置するための方法とを提供する。眼内徐放型ドラッグ送達システムは、1つまたは複数の治療的な降圧剤(たとえばプロスタグランジンまたはラタノプロスト等のプロスタミド)の持続放出を提供するのに有利なインプラントまたはマイクロスフェアの形状である。
定義
【0007】
以下の定義を本明細書で使用する。
【0008】
「約」とは、数、パラメータもしくはそのように限定された特性のプラスまたはマイナス10パーセントを意味する。
【0009】
「マイクロスフェア」および「微小粒子」は、同義語として使用され、前房内へ投与されるよう構築され、大きさに作られる、またはさもなければ形成される、小径のもしくは寸法(以下を参照されたい)のデバイスまたは要素をいう。マイクロスフェアまたは微小粒子としては、治療薬をカプセル封入したまたは組み込んだ生体適合性マトリックスを成す粒子、マクロもしくはナノスフェア、小断片、微小粒子、ナノ粒子、微粉体等が挙げられる。マイクロスフェアは通常、眼の生理的条件で生体適合性であり、有意な有害副作用を引き起こさない。本明細書に開示するように作製されかつ使用されるマイクロスフェアは、眼の視力を混乱させることなく、前房内へ投与され、かつ安全に用いられることができる。マイクロスフェアは、1mm未満の最大寸法、たとえば直径または長さを有する。たとえば、微小粒子は、約500μm未満の最大寸法を有することが可能である。マイクロスフェアは、約200μmを超えない、好ましくは30μm以上から約50μmまで、または約75ミクロンまでの最大寸法を有することも可能である。「インプラント」とは、マイクロスフェアよりもかなり大きいドラッグ送達デバイスである。多数(すなわ、数百または数千)のマイクロスフェアが眼状態(たとえば緑内障)を処置するために投与されるのに対して、通常わずか1から多くても6のインプラントが同じ目的で投与される。
【0010】
「眼領域」または「眼部位」とは、前眼部および後眼部を含む眼球の領域を意味する。通常、眼球内で見られるいずれかの機能的組織(たとえば視力のための)もしくは構造的組織、または眼球の内部もしくは外部を部分的にもしくは完全に裏打ちする組織類もしくは細胞層が含まれるが、これらに限定されない。眼領域内の眼球領域の具体的な例としては、前(眼)房、後眼房、硝子体腔、脈絡膜、上脈絡膜腔、結膜、結膜下腔、強膜外隙、角膜内腔、角膜外腔、強膜、毛様体扁平部、外科的に誘導された無血管領域、黄斑、および網膜が含まれる。
【0011】
「眼状態」とは、眼、または眼の部分もしくは領域のうちの1つに影響を及ぼすまたは関わる疾患、病気もしくは状態を意味する。概して、眼は、眼球と、眼球を構成する組織および液体と、眼周囲の筋肉(たとえば斜筋および直筋)と、眼球内もしくは近傍にある視神経の部分とを含む。
【0012】
前眼部状態は、前方(すなわち眼の前面)眼領域または部位、たとえば眼周囲筋肉、眼瞼または眼球の組織または水晶体嚢もしくは毛様筋の前部から後壁に位置する液体に影響を及ぼす、または関わる疾患、病気または状態である。このように、前眼部状態は、主に結膜、角膜、前眼房、虹彩、後眼房(網膜の後ろだが、水晶体嚢の後壁の前面)、水晶体もしくは水晶体嚢、および前眼部領域もしくは部位を血管新生するまたは神経支配する血管および神経に影響を及ぼすか、または関わる。
【0013】
したがって、前眼部状態としては、たとえば無水晶体;偽水晶体;乱視;眼瞼けいれん;白内障;結膜疾患;結膜炎;角膜疾患;角膜潰瘍;眼球乾燥症候群;眼瞼疾患;涙器疾患;涙道閉塞;近視;老視;瞳孔障害;屈折障害および斜視等の疾患、病気または状態が挙げられる。緑内障処置の臨床目的は、眼の前眼房内の房水の血圧上昇を低下させる(すなわち眼圧を低下させる)ことができることであるので、緑内障も前眼部状態であるとみなすことができる。
【0014】
後眼部状態は、主に後眼領域もしくは部位、たとえば脈絡膜または強膜(水晶体嚢の後壁を通る面に対して後方の位置の)、硝子体、硝子体腔、網膜、視神経(すなわち視神経円板)、および後眼領域もしくは部位を血管新生するまたは神経支配する血管および神経に影響を及ぼすか、または関わる疾患、病気または状態である。
【0015】
したがって、後眼部状態は、たとえば急性黄斑の視神経網膜障害;ベーチェット病;脈絡膜新生血管;糖尿病性ブドウ膜炎;ヒストプラスマ症;感染症、たとえば真菌もしくはウイルスによる感染症;黄斑変性症、たとえば急性黄斑変性症、非滲出性加齢黄斑変性症および滲出性加齢黄斑変性症;浮腫、たとえば黄斑浮腫、嚢胞様黄斑浮腫および糖尿病性黄斑浮腫;多病巣性脈絡膜炎;後方眼部位または位置に影響を及ぼす眼球損傷;眼腫瘍;網膜障害、たとえば網膜中心静脈閉塞症、糖尿病性網膜症(増殖性糖尿病性網膜症を含む)、増殖性硝子体網膜症(PVR)、網膜中心動脈閉塞症、網膜剥離、ブドウ膜網膜疾患;交感神経眼炎;Vogt・小柳・原田(VKH)症候群;ブドウ膜拡散;眼のレーザー処置に起因するまたは影響される後眼部状態;光線力学的治療、光凝固、放射線網膜症、網膜上膜疾患、網膜静脈分枝閉塞症、前部虚血性視神経症、非網膜症糖尿病性網膜機能不全、網膜色素変性症、および緑内障によって起因するまたは影響される後眼部状態等の疾患、病気または状態を含むことができる。緑内障は、後眼部状態とみなされることができる。それは、その治療目的が、網膜細胞もしくは視神経細胞への損傷または損失に起因する視力喪失を防止すること、または視力喪失の発生を低減させること(すなわち神経保護)にあるからである。
【0016】
「生分解性ポリマー」とは、in vivoで分解するポリマーまたはポリマー類を意味し、該ポリマーまたはポリマー類の経時侵食が、治療薬の放出と同時にまたは放出に続いて発生する。用語「生分解性の」および「生体内分解性の」は、同等であり、かつ本明細書では互換的に用いられる。生分解性ポリマーは、2つ以上の異なるポリマー単位を含むホモポリマー、コポリマー、またはポリマーであり得る。ポリマーは、ゲル型もしくはヒドロゲル型のポリマー、PLAポリマーもしくはPLGAポリマーまたはその混合物もしくは誘導体であり得る。
【0017】
「治療有効量」とは、眼状態を処置するために、または眼に対してもしくは眼の領域に対して著しいマイナスの副作用または有害副作用を起こすことなく眼の損傷もしくは損害を減少させるまたは防止するために必要とされる薬剤の濃度もしくは量を意味する。上記の点を考慮して、治療薬、たとえばラタノプロストの治療有効量は、眼状態の少なくとも1つの症状を減少させるのに有効な量である。
【0018】
我々の発明の範囲内でのインプラントおよびマイクロスフェアは、降圧剤を含有するインプラントまたはマイクロスフェアの眼内(すなわち前房内)への投与後、比較的長期にわたり、たとえば少なくとも約1週間の間、もしくはたとえば約2ヵ月と約6ヵ月の間、降圧剤を放出することができる。このような持続放出期間のために、良好な治療結果を容易に得られる。好ましくは、眼内徐放型ドラッグ送達システムは、前房内(すなわち眼の眼房(前眼房とも呼ばれる)内に)または眼の後眼房(硝子体腔とも呼ばれる)の前方部分のいずれかに投与される。
【0019】
我々の発明の一実施形態は、眼状態を処置するための眼内使用用の医薬組成物である。該組成物は、生体侵食性ポリマーから作られている複数のマイクロスフェア、およびマイクロスフェアに含有される降圧剤、たとえばラタノプロスト、ビマトプロスト、およびトラボプロストならびにそれらの塩類、エステル類および誘導体を含むことができる。マイクロスフェアは、該ポリマーの約1質量%〜約99質量%を成すことができ、および該ポリマーは、PLGAおよび/またはPLAであり得る。さらに、マイクロスフェアは、約5ミクロン〜約1mmの範囲の平均最大寸法を有することができ、たとえばマイクロスフェアは、約15ミクロンと約55ミクロンの間の平均径を有することができ、および治療薬は、マイクロスフェアの約0.1質量%〜約90質量%、たとえば、約8質量%〜15質量%のラタノプロストを成すことができる。
【0020】
我々の発明の別の実施例では、該組成物は、高粘性ヒアルロン酸を含むことができ、および処置される眼状態は緑内障であり得る。我々の発明の詳細な実施形態は、PLGAおよび/またはPLAから作られる複数のマイクロスフェアと、該マイクロスフェアによって含有されるラタノプロストと、高粘性ヒアルロン酸とを含む、緑内障を処置するための眼内使用用の医薬組成物である。我々の発明の別の実施形態は、緑内障を処置するための眼内使用用の医薬組成物であり、該組成物は、PLGAポリマー、PLAポリマー、およびPEG共溶媒から作られる徐放型インプラントと;該インプラントに含有されるラタノプロストとを含み、該インプラントが約30質量パーセントのラタノプロストを含み、該インプラントが少なくとも20、30、40、50、60、70、または最高180日の間の期間にわたりラタノプロストを放出することができる。
【0021】
我々の発明の別の実施形態は、緑内障を処置する方法であり、該方法は、上述のインプラントまたはPLGAおよび/もしくはPLAから作られた複数のマイクロスフェアと;該マイクロスフェアもしくはインプラントに含有されるラタノプロストまたは降圧剤EP2作動薬と、高粘性ヒアルロン酸(HA)とを含む医薬組成物を緑内障患者に眼内投与し、それによって緑内障を治療することを含む。好ましくは、HAは複数のマイクロスフェア製剤と共に用いられるが、投与される単一のインプラント共に用いられない。マイクロスフェアは、投与ステップの後、少なくとも約1週間、降圧剤を放出することができる。眼内投与ステップは、テノン嚢下腔、たとえば前方テノン嚢下腔への注射によって行われることが可能であり、医薬組成物は、ベースライン眼圧を20%まで、30%まで、40%までもしくは最高50%またはそれを超えて低下させることによって緑内障を処置する。
【0022】
我々の発明は、眼圧が上昇した患者に、30ミクロンと60ミクロンの間の平均径を有する複数の徐放型生分解性マイクロスフェアを前房内に投与することによって眼圧の上昇を処置する方法を包含し、該マクロスフェアは、約10質量パーセント〜約30質量パーセントの降圧剤と、約70質量パーセント〜約90質量パーセントの生分解性ポリマーとを含み、該マイクロスフェアが、治療有効量の降圧剤を約10日と約120日の間の期間にわたり放出する。生分解性ポリマーは、ポリ乳酸−ポリグリコール酸コポリマー(PLGA)および/またはポリ乳酸ポリマー(PLA)から成り得る。降圧剤は、ラタノプロスト、ビマトプロストおよびトラボプロストならびにそれらの塩類、エステル類およびプロドラッグであり得る。あるいは、降圧剤は、化合物A〜O(EP2受容体作動薬である)(以下に図示する)のうちの1つまたは複数、ならびにそれらの塩類、エステル類およびプロドラッグであり得る:
【0023】
【化1】

化合物A
【化2】

化合物B
【0024】
【化3】

化合物C
【0025】
【化4】

化合物D
【0026】
【化5】

化合物E
【0027】
【化6】

化合物F
【0028】
【化7】

化合物G
【0029】
【化8】

化合物H
【0030】
【化9】

化合物I
【0031】
【化10】

化合物J
【0032】
【化11】

化合物K
【0033】
【化12】

化合物L
【0034】
【化13】

化合物M
【0035】
【化14】

化合物N
【0036】
【化15】

化合物O
【0037】
我々の発明の一実施形態は、ドラッグ送達システムの一部として高粘性ヒアルロン酸を含む。我々の発明の詳細な実施形態は、眼圧が上昇した患者に、30ミクロンと60ミクロンの間の平均径を有する複数の徐放型生分解性マイクロスフェアを前房内に投与することによって上昇した眼圧を処置するための方法であり、該マイクロスフェアは約10質量パーセント〜約30質量パーセントのラタノプラストと、約70質量パーセント〜約90質量パーセントの生分解性ポリマーとを含み、該マイクロスフェアが治療有効量のラタノプロストを約10日と約120日の間の期間にわたり放出する。
【0038】
我々の発明のさらに詳細な実施形態は、眼圧が上昇した患者にラタノプロストと生分解性ポリマーとを含む徐放型ロッド状インプラントを線維柱帯網に対して、前房内に投与することによって上昇した眼圧を処置するための方法であり、該インプラントは約10質量パーセント〜約50質量パーセントの降圧剤と、約50質量パーセント〜約90質量パーセントの生分解性ポリマーとを含み、該インプラントが治療有効量のラタノプロストを約10日と約120日の間の期間にわたり放出する。
【0039】
我々の発明は、眼状態を処置するための眼内使用用医薬組成物も含み、該組成物は30ミクロンと60ミクロンの間の平均径を有する複数の徐放型生分解性マイクロスフェアを含み、該マイクロスフェアは約10質量パーセント〜約30質量パーセントの降圧剤と、約70質量パーセント〜約90質量パーセントの生分解性ポリマーとを含み、該マイクロスフェアが治療有効量の降圧剤を約10日と約120日の間の期間にわたり放出する。該マイクロスフェアは、約1質量パーセント〜約99質量パーセントのポリマーを含むことができる。
【0040】
我々の発明の最も好ましい実施形態は、眼内に配置される、徐放型、ロッド状で単一の一体化(すなわち降圧剤はポリマーマトリックスのインプラント全体にわたり均一に分布される(すなわちリザーバー型インプラントは、我々の発明の最も好ましい実施形態の範囲から除外される))インプラント(治療量の降圧剤を含有する)であり、該インプラントは長さが約2mm〜約4mmおよび幅が約0.5mm〜約2mmであり、シリンジ型(すなわち22ゲージ)アプリケーター(注射器)を用いて、線維柱帯網に対して6時または12時の位置に移植される。円板インプラントは好ましくない。線維柱帯網にうまく隣接せずおよび/または線維柱帯網に隣接した位置にとどまらないからである。小型のロッド状インプラント(上述の寸法を有する)を線維柱帯網に対して配置して、眼房の流れを活用し、かつ線維柱帯網に流体を引き入れることで、線維柱帯網に対する位置にインプラントを保持し、それによって、インプラントがその設置位置から流れることを防ぐ。この最も好ましい実施形態により、インプラントを安定に配置すると視力がぼやけることもなく、かつ虹彩擦傷もない。
【0041】
特に添付の図面と併せて考慮すると、本発明のさらなる態様および利点は、以下の発明を実施するための形態および特許請求の範囲に記述されている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】線維柱帯内の大きな孔を通って近傍小管領域(垂直矢印で示す)への房水の流れる方向(水平矢印)を示す、正常なヒト眼の前房隅角の領域を示す断面図である。
【図2】前眼房内に設置されたマイクロスフェアを下方に示すと共に前眼房内の房水の対流を矢印で示す模式図である。
【図3】図3Aは初期視のウサギ眼の外部写真である。図3Bはフルオレセインインプラント(矢印)の移植から2日後にHeidelberg HRA画像装置上に配置したフルオレセインフィルタによる図3Aのウサギ眼の画像である。図3Cは下方に回転させたウサギ眼の外部写真である図3Dはフルオレセインインプラントの移植から7日後のHRAによる図3Cのウサギ眼の画像である。該インプラントから放出されたフルオレセインの分布(矢印)を示している。
【図4】日数の経過(x軸)とともに、製剤Aマイクロスフェアからin vitro(0.1%トリトンを含むPBS)で放出されたラタノプロスト(y軸)の累積%を示すグラフである。
【図5】日数の経過(x軸)とともに、製剤Bマイクロスフェアからin vitro(0.1%トリトンを含むPBS)で放出されたラタノプロスト(y軸)の累積%を示すグラフである。
【図6】ベースラインIOPからのパーセント変化をy軸に、ドラッグ送達デバイスの眼内投与からの日数をx軸にとるグラフである。図6の結果は、製剤A徐放型マイクロスフェアをイヌ(ビーグル)の左眼に前房内注射した後に得られた(図6での実線:「API」)。フェロー(右)対照眼(図6での点線:「対照」)は、IOPの減少を何ら示していない。
【図7】実施例5のビマトプロストの棒状のインプラント(「API」)を前房内投与してから84日間にわたる、被験イヌ眼のベースライン眼圧(y軸)対日数(x軸)のパーセント変化を示すグラフである。約50%〜60%のIOP降下が84日の観察期間を通して維持されたことを示している。フェロー(左または「対照」)眼にはプラセボ(ビマトロプロストを含まない)インプラントが投与された。
【発明を実施するための形態】
【0043】
経強膜送達は、眼局所(すなわち点眼薬)ならびに強膜内(すなわち結膜下またはテノン嚢下)配置(たとえば、注射、挿入または移植による)による薬剤投与を含む。我々の発明は、経強膜送達が、上昇した眼圧の処置のために眼房または硝子体腔の標的組織に降圧剤(薬物または生物学的薬剤)を投与する非効率的な方法であるという観察に基づいている。我々がそう確信する理由は、経強膜薬物送達を妨げている3種類のバリア、すなわち静的、動的、および代謝のバリアが明らかに存在することにある。薬物拡散に対して物理的なバリアをもたらす眼組織(強膜、脈絡膜−Bruch膜、網膜色素上皮)は、静的バリアを損なう。動的バリアは、主に結膜に位置する血管およびリンパ管を介する薬物クリアランス機序、前方から後方に網膜を通るバルク流体の流れ、および脈絡毛細管と強膜を介するクリアランス、および網膜色素上皮のトランスポータータンパク質によって生成される。代謝バリアも眼内に存在し、かつ強膜に投与された薬物の急速な分解によって眼内への薬物浸透を減少させる。動的バリアが、高眼圧症および緑内障を処置するための、眼の前面(前眼房)への治療薬の経強膜(すなわちテノン嚢下)送達にとって最も重要なバリアであると思われる。
【0044】
本明細書に記載の眼内徐放型ドラッグ送達システム(降圧剤を含有するインプラントまたはマイクロスフェアを含む)の直接的前房内投与または前部硝子体腔内投与が、強い経強膜の薬物クリアランス機序を迂回することによって、眼状態、たとえば、眼圧の上昇に特徴づけられる緑内障を処置するのに、効果的に役立ち得るという発見に我々の発明は基づいている。
【0045】
眼圧(IOP)を低下させかつ経強膜バリアの攻撃的クリアランスを回避するための、薬物を眼の前面(眼前房)に送達する適切な代替部位の存在を我々は決定した。毛様体扁平部を介しての前房内注射(すなわち前眼房への直接注射)および前部硝子体注射は、経強膜バリアを効果的に回避し、かつ眼降圧化合物の有効性を改善する。重要なことに、我々が発見したことは、前眼房の独特の生体構造および生理機能の理由から房内ドラッグ送達システムが、新しい徐放型ドラッグ送達システムの物理的特性の開発を必要とし、かつ治療効果のために必要とされることであった。たとえば、前眼房では房水流の速度が速い。このためにIOP降下薬を含有する徐放型マイクロスフェアを効果的に除去して、他のポリマー送達システムの分解を促進し得る。限外濾過と呼ばれる過程を介して、房水は毛様体によって、特に毛様体の非色素上皮によって後眼房に分泌される。房水は、水晶体の前面と虹彩の後ろの間の狭い間隙を通って流れ、瞳孔を介して前眼房に流れ出る。房水は、ヒトにおいて最初は10ミクロンから30ミクロン未満の範囲の孔径を有する線維柱帯網に、全方向360度で流れ出る(図1を参照されたい)。図1は、眼の前眼房隅角の領域を示す断面図であり、線維柱内の大きな孔(約10ミクロン〜30ミクロン未満)を通って流れる房水の方向(水平矢印)および近傍小管の領域を通って徐々に流れる(垂直矢印で示す)房水を示す。近傍小管領域で孔はシュレム管に入る前には約6ミクロンまで縮小する。房水はシュレム管を通って流れ出て、25〜30の集合管を通って眼から房水静脈に出て、最終的に上強膜血管系および眼窩の静脈に流れ出る(図2を参照されたい)。図2は、前眼房での房水対流を矢印で示す模式図である。下方に配置された眼降圧剤を放出するマイクロスフェアを示す。ポリマーマイクロスフェア(またはインプラント)から溶出する遊離薬物は、房水対流(矢印)に入る。次いで、遊離薬物は前眼房全体にうまく分散して、虹彩根部領域を介し、標的組織、たとえば線維柱帯網および毛様体領域に入る。
【0046】
前房内注射の別の利点は、前眼房が体内の免疫特権部位であり、異物、たとえばポリマードラッグ送達システムに対して反応する可能性が低いことである。これは、異物に対する炎症反応がよく起こるテノン嚢下腔の場合はそうではない。免疫特権を与える免疫調節因子を含んでいる前眼房に加えて、30ミクロンを超える粒径の粒子は、免疫原性が少なく、眼性炎症を引き起こす傾向が低い。眼内の在住マクロファージは、異物または感染病原体との防御の最前線であるが、しかし30ミクロンより大きい粒子を貪食するのは難しい。したがって、30ミクロンより大きい粒子は、マクファージ活性化およびそれに続く炎症カスケードを起こす可能性が低い。
【0047】
ポリマー放出システムにより薬物を房水に送達する効率が、テノン嚢下への投与よりも前房内部位への投与の方が極めて大きいことを我々は見出した。したがって、テノン嚢下腔に送達される薬物の1%未満が房水に入るが、前房内システムから放出される薬物の100%が房水に入ることになる。したがって、テノン嚢下と比較して、効果的な前房内ドラッグ送達システムに必要な薬物負荷は低くなり、その結果として、全身の薬物曝露が少なくなると予想される。加えて、たとえばプロスタグランジン類似体等の薬物を送達するとき、結膜が医薬品成分に曝露されることが少なくなり、かつ結膜充血を発現する傾向が少なくなる。最後に、前房内注射の後に、薬物は、房水静脈を経て結膜/上強膜の血管に入ることになる。これにより、結膜の血管外間隙に拡散して存在する高濃度の薬物によって複数の血管が拡張するリスクがあるテノン嚢下の注射と比較して、プロスタグランジン類似体による結膜充血を最小限に抑えることが可能になる。眼への直接注射は、防腐剤の必要性も除去する。防腐剤は局所的な点眼剤に用いられるとき、眼表面を刺激し得る。
【0048】
本明細書に開示される前房内および硝子体内の徐放型ドラッグ送達システムで活性剤として使用するのに適した降圧剤には、以下が含まれる:
プロスタグランジン、プロスタミドおよび血圧降下脂質(たとえば、ビマトロプロスト(Lumigan)(ビマトロプロストは、房水のブドウ膜強膜路を増加させ、ならびに線維柱帯の流出を増加させる)および米国特許第5,352,708号に記載の化合物)。プロスタグランジンは、種々の哺乳類の組織で生成される薬理活性ホルモン様物質の種類である。プロスタグラジンは、アラキドン酸に由来し、血圧、平滑筋の収縮および炎症を含む広範囲にわたる生理機能を仲介する。プロスタグランジンの例としては、プロスタグランジンE1(アルプロスタジル)、プロスタグランジンE2(ジノプロストン)、ラタノプロスト、およびトラボプロストがある。ラタノプロストおよびトラボプロストは、実際にはプロスタグランジンプロドラッグ(すなわちプロスタグランジンの1−イソプロピルエステル)であるが、1−カルボン酸に加水分解された後にプロスタグランジンF受容体に作用するので、プロスタグランジンと呼ぶ。プロスタミド(プロスタグランジン−エタノールアミドとも呼ばれる)は、プロスタグランジン類似体であり、プロスタグランジンとは薬理学的に異なり、(すなわちプロスタミドは、プロスタグランジンが作用するのと異なる細胞受容体(プロスタミド受容体)に作用するために)、かつ内在性カンナビノイド(たとえばアナンダミド)のシクロオキシゲナーゼ−2(「COX−2」)酵素酸素化の産物として形成される中性脂質である。さらに、プロスタミドは、in situでカルボン酸に加水分解しない、プロスタミドの例としては、ビマトプロスト(17−フェニルプロスタグランジンFで合成的に作られたエチルアミド)およびプロスタミドF
プロスタグランジン類似体(プロスタグランジン類似体は、房水のブドウ膜強膜流出を増加させる)(すなわちラタノプロスト(Xalatan)、トラボプロスト(Travatan)、ウノプロストン;EP2/EP4受容体作動薬;
βアドレナリン受容体拮抗薬(毛様体によって房水産生を減少させる、たとえばチモロール、ベタキソロール、レボベタキソロール、カルテオロール、レボブノロール、およびプロプラノロール);
αアドレナリン受容体作動薬、たとえばブリモニジン(Alphagan)およびアプラクロニジン(アイオピジン)(房水の産生を減少させて、ブドウ膜強膜路を増加させる二重機序によって作用する);
選択性の低い交感神経模倣薬、たとえばエピネフリンおよびジピベフリン(Propine)(線維柱帯網を通って、あるいはブドウ膜強膜流出路を通って作用し、おそらくβ2−作動薬の作用によって、房水の流出を増加させる);
ピロカルピン(毛様筋の収縮、線維柱帯網を締めること、および眼房水の流出増加を可能にすることによって作用する)等の縮瞳薬(副交感神経作動薬);
炭酸脱水酵素阻害薬、たとえばドルゾラミド(Trusopt)、ブリンゾラミド(Azopt)、アセタゾラミド(Diamox)(毛様体内で炭酸脱水酵素を阻害することによって房水分泌を低下させる);
Rhoキナーゼ阻害剤(線維柱帯網のアクチン細胞骨格を破壊することによってIOPを低下させる);
カルシウムチャネル遮断薬;
バプタン(バソプレシン受容体拮抗剤);アネコルタブ酢酸エステルおよび類似体;
エタクリン酸;
カンナビノイド;
カルテオロール、レボブノロール、メチプラノロール、チモロール半水和物、マレイン酸チモロール、ベタキソロール等のβ1選択的拮抗薬を含むβ遮断薬(またはβアドレナリン拮抗薬);
非選択的アドレナリン作動薬、たとえばホウ酸エピネフリンホウ、塩酸エピネフリン、およびジピベフリン;
α2選択的アドレナリン作動薬、たとえばアプラクロニジンおよびブリモニジン;
アセタゾラミド、ジクロルフェナミド、メタゾラミド、ブリンゾラミド、およびドルゾラミドを含む炭酸脱水酵素阻害薬;
たとえばカルバコール、塩酸ピロカルピン等の直接作用コリン作動薬を含むコリン作動薬;硝酸ピロカルビンおよびピロカルピン;
コリンエステラーゼ阻害剤、たとえばデメカリウム、エコチオパートおよびフィゾスチグミン;
グルタミン酸塩拮抗剤;
メマンチン、アマンタジン、リマンタジン、ニトログリセリン、デキストロルファン、デキストロメトルファン、ジヒドロピリジン、ベラパミル、エモパミル、ベンゾチアゼピン、ベプリジル、ジフェニルブチルピペリジン、ジフェニルピペラジン、フルスピリレン、エリプロジル、イフェンプロジル、チバロシン、フルナリジン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、バルニジピン、ベラパミル、リドフラジン、プレニラミン乳酸塩、およびアミロリドを含むカルシウムチャネル遮断薬;プロスタミド、たとえばビマトプロスト、またはその薬学的に許容される塩類もしくはプロドラッグ;ならびにトラボプロスト、クロプロステノール、フルプロステノール、13,14−ジヒドロ−クロプロステノール、イソプロピルウノプロストン、およびラタノプロストを含むプロスタグランジン;
AR−102(Aerie Pharmaceuticals,Inc.から入手可能なプロスタグランジンFP作動薬;
AL−3789(アネコルタブ酢酸エステル、Alconから入手可能な血管新生抑制ステロイド);
AL−6221(トラボプロスト(Travatan)、プロスタグランジンFP作動薬);
PF−03187207(Pfizerから入手可能な一酸化窒素供与性プロスタグランジン);
PF−04217329(こちらもPfizerから入手可能);
INS115644(Inspire Pharmaceuticalsから入手可能なラトランクリンB化合物);
INS117548(こちらもInspire Pharmaceuticalsから入手可能なRhoキナーゼ阻害剤)。
【0049】
眼降圧剤の組み合わせ、たとえばβ遮断薬とプロスタグランジン類似体の組み合わせも、本送達システムで用いることができる。これらには、Ganfort(ビマトプロスト/チモロール)、ExtravanまたはDuotrav(トラボプロスト/チモロール)、Xalcom(ラタノプロスト/チモロール)、Combigan(ブリモニジン/チモロール)、およびCosopt(ドルゾラミド /チモロール)が含まれる。IOP降下薬との併用で、神経保護を与える薬剤も、本送達システムに配置されることが可能であり、メマチンおよびセロトニン作動薬(たとえば、5−HT2作動薬、たとえば S−(+)−1−(2−アミノプロピル)−インダゾール−6−オール)が含まれる。
【0050】
我々は、種々の期間にわたり薬物負荷量を放出することができるインプラントおよびマイクロスフェアを開発した。これらのインプラントまたはマイクロスフェアは、治療上、前房内にまたは前部硝子体に挿入されると、治療レベルの降圧剤を長期間(たとえば、約1週間から最高約1年の間)供給する。さらに、我々はインプラントおよびマイクロスフェアを作製する新規の方法を開発した。本インプラントおよびマイクロスフェアの降圧剤は、好ましくは、マイクロスフェアの約1質量%〜90質量%である。より好ましくは、降圧剤はインプラントまたはマイクロスフェアの約5質量%〜約30質量%である。好ましい実施形態では、降圧剤はマイクロスフェアの約15質量%(たとえば5質量%〜30質量%)を含む。別の実施形態では、降圧剤はマイクロスフェアの約40質量%を含む。
【0051】
インプラントまたはマイクロスフェアで用いる適切なポリマー材料または組成物としては、眼の機能または生理に実質的な障害を何ら起こさないように、眼と適合する、すなわち生体適合性のある材料を含む。このような材料は、好ましくは少なくとも部分的に、およびより好ましくは実質的に完全に生体適合性であるか、または生体侵食性である。
【0052】
有用なポリマー材料の例としては、有機エステルおよび有機エーテルに由来する、および/またはこれらを含み、分解されると、モノマーを含む生理学的に許容される分解生成物をもたらす材料が挙げられるがこれらに限定されない。また、無水物、アミド、オルトエステル等に由来する、および/またはこれらを含むポリマー材料は、それ自体で、または、他のモノマーとの組み合わせの使用も見出され得る。ポリマー材料は、付加ポリマーまたは縮合ポリマーであってもよく、縮合ポリマーが有利である。ポリマー材料は、架橋したもの、または非架橋したもの、たとえば、せいぜい軽度な架橋、たとえば、架橋されるポリマー材料の約5%未満、または約1%未満の架橋したものでもよい。大部分は、炭素および水素以外に、ポリマーは酸素および窒素のうちの少なくとも1つを含み、酸素が有利である。酸素は、オキシ(たとえばヒドロキシ)またはエーテル、カルボニル(たとえば非オキソ−カルボニル)として、たとえばカルボン酸エステル等で存在し得る。窒素は、アミド、シアノおよびアミンとして存在し得る。制御型ドラッグ送達のためのカプセル封入を記述する、Heller, Biodegradable Polymers in Controlled Drug Delivery, In: CRC Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, Vol. 1, CRC Press, Boca Raton, FL 1987, pp39−90に記載されているポリマー類は、本マイクロスフェアでの使用を見出され得る。
【0053】
さらに関心のポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーのいずれかのヒドロキシ脂肪族カルボン酸、および多糖類である。関心のポリエステル類は、D−乳酸、L−乳酸、ラセミ乳酸、グリコール酸、ポリカプロラクトン、およびそれらの組み合わせのポリマーを含む。通常、L−乳酸塩またはD−乳酸塩を使用することによって、ゆっくりと侵食するポリマーまたはポリマー材料が達成され、一方侵食は乳酸塩ラセミ化合物によって実質的に促進される。有用な多糖類の中には、アルギン酸カルシウムおよび機能化セルロース、特に、非水溶性であり、たとえば約5kD〜500kDの分子量であることを特徴とするカルボキシメチルセルロースエステルがあるが、これらに限定されない。
【0054】
他の関心のポリマーとしては、生体適合性であり、かつ生分解性および/または生体侵食性であり得るポリビニルアルコール、ポリエステル類、およびポリエルテルとそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。本発明で使用されるポリマーまたはポリマー材料の一部の好ましい特性は、生体適合性、選択される治療薬との適合性、本発明のドラッグ送達システムを作製する際のポリマーの使い易さ、少なくとも約6時間、好ましくは約1日を超える生理的環境での半減期、および非水溶性を含み得る。
【0055】
マトリックスを形成するために含まれる生分解性のポリマー材料は、酵素不安定性または加水分解不安定性を条件とすることが好ましい。有用な非水溶性ポリマーを提供するために、水溶性ポリマーは、加水分解性または生分解性が不安定な架橋で架橋されてもよい。安定性の程度は、ホモポリマーまたはコポリマーを使用するかどうか、ポリマーの混合物を使用するかどうか、およびポリマーが末端酸性基を含むかどうかのモノマーの選択に応じて大きく異なり得る。
【0056】
ポリマーの生分解、したがってインプラントの持続放出プロファイルを制御することと同様に重要なことは、インプラントまたはマイクロスフェアで使用されるポリマー組成物の相対平均分子量である。異なる分子量を有する同じまたは異なるポリマー組成物をマイクロスフェアに含め、放出プロファイルを調節してもよい。ラタノプロストインプラントの場合、ポリマーの相対平均分子量は、好ましくは約4kD〜約25kD、より好ましくは約5kD〜約20kD,最も好ましくは約5kD〜約15kDの範囲ににわたる。
【0057】
一部のインプラントおよびマイクロスフェアでは、グリコール酸と乳酸のコポリマーが用いられ、生分解の速度はグリコール酸対乳酸の割合によって制御される。最も急速に分解するコポリマーは、ほぼ等しい量のグリコール酸と乳酸を有する。ホモポリマー、または同等以外の割合を有するコポリマーは、分解に対してより耐性がある。グリコール酸対乳酸の割合も、マイクロスフェアの脆性に影響を及ぼすことになる。ポリ乳酸ポリグリコール酸(PLGA)コポリマーにおけるポリ乳酸のパーセンテージは、0〜100%、好ましくは約15〜85%、より好ましくは約35〜65%であり得る。一部のインプラントでは、50/50PLGAコポリマーが用いられる。
【0058】
インプラントおよびマイクロスフェアは、一体化する、すなわち活性剤もしくは複数の薬剤をポリマーマトリックスに全体にわたり均一に分布させることが可能であり、またはカプセル封入されることが可能であり、ここで活性剤のリザーバーはポリマーマトリックスでカプセル封入される。製造の容易さのため、一体化したインプラントは通常、カプセル封入形態よりも好まれる。しかし、カプセル封入マイクロスフェアによってより良好な制御がもたらされるので、状況によっては、薬物の治療レベル域が狭い範囲内の場合、有利になり得る。さらに、ラタノプロスト成分を含む治療成分は、該マトリックス内で不均一なパターンで分布されることもある。たとえば、マイクロスフェアは、マイクロスフェアの第2の部分と比べて、より高い濃度のラタノプロストを有する部分を含むこともある。
【0059】
本明細書に開示されるマイクロスフェアは、針による投与のために、約5μmと約1mmの間、または約10μmと約0.8mmの間の大きさであってもよい。針で注射されるマイクロスフェアの場合、最も長い寸法のマイクロスフェアであってもそのマイクロスフェアが針を通って移動できる限り、任意の適切な寸法であってもよい。これは、通常、マイクロスフェアの投与の際に問題にならない。
【0060】
前房眼の容積および活性剤の活性および溶解度に応じて、単一投与量のインプラントまたはマイクロスフェアの全重量は、最適量である。ほとんどの場合、用量は通常、1用量あたり約0.1mg〜約200mgのインプラントまたはマイクロスフェアである。たとえば、単回前房内注射は、組み込まれる治療成分を含む、約1mg、3mg、または約5mg、または約8mg、または約10mg、または約100mg、または約150mg、または約175mg、または約200mgのマイクロスフェアを含み得る。
【0061】
インプラントまたはマイクロスフェアは、マイクスフェアロとナノスフェア、マイクロ粒子とナノ粒子、球体、散剤、断片等を含む任意の微粒子の形状であってもよい。マイクロスフェアの大きさの上限は、インプラントに対する寛容、挿入時の大きさ限定、所望の放出速度、取扱い易さ等の要素によって決定されることになる。スフェアは、約0.5μm〜4mmの範囲の径であり、他の形状の粒子については、同等の容積である。
【0062】
降圧剤、ポリマー、および他のいずれの修飾因子の割合も、平均割合を変えていくつかのマイクロスフェアバッチを処方することによって経験的に決定され得る。溶解または放出試験のためのUSP承認方法を用いて、放出速度を測定することができる(USP 23; NF 18(1995) pp.1790−1798)。たとえば、無限シンク方法を用いて、秤量した試料のマイクロスフェアを、水中0.9%NaClを含有する測定量の溶液に加える。該溶液量は、放出後の薬物濃度が飽和の5%未満になる量である。この混合物を37℃で維持し、ゆっくりと攪拌してマイクロスフェアを懸濁状態で維持する。時間の関数としての溶解した薬物の外観を、たとえば、分光測定、HPLC、質量分析法等の当技術分野で既知の種々の方法で、吸光度が一定になるまで、または90%を超える薬物が放出されるまで、観察することができる。
【0063】
治療成分に加えて、本明細書で開示されるインプラントおよびマイクロスフェアは、有効量の緩衝剤、防腐剤等を含有する組成物を含んでもよく、それが提供されてもよい。適切な水溶性緩衝剤としては、アルカリおよびアルカリ土属炭酸塩、ホスフェート、炭酸水素塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、コハク酸塩等、たとえばリン酸ナトリウム、クエン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩等が挙げられるがこれらに限定されない。これらの薬剤は、本システムのpH、約2と約9の間、より好ましくは約4と約8の間のpHを維持するのに十分な量で有利に存在する。したがって該緩衝剤は、全インプラントの約5質量%程度であり得る。適切な水溶性防腐剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸塩、ベンザルコニウムクロリド、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、パラベン、メチルパラベン、ポリビニルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエタノール等、およびそれらの混合物が挙げられる。これらの薬剤は、約0.001質量%〜約5質量%、好ましくは約0.01質量%〜約2質量%の量で存在してもよい。本マイクロスフェアのうちの少なくとも1つでは、たとえばラタノプロストが基本的にビマトプロストからなるときに、塩化ベンジルアルコニウム防腐剤が、インプラント内に供給される。
【0064】
種々の技法を用いて、本明細書に記述するインプラントおよび/またはマイクロスフェアを生成することが可能である。有用な技法としては、自己乳化方法、超臨界流体法、溶媒蒸発法、相分離方法、噴霧乾燥法、研磨法、界面法、成形法、射出成形法、それらの組み合わせ等が挙げられるが、かならずしもこれらに限定されない。
【0065】
本明細書で考察したように、本方法で記述するポリマー成分は、生分解性ポリマーまたは生分解性コポリマーを含み得る。少なくとも一実施形態では、ポリマー成分は、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)PLGAコポリマーを含む。さらなる実施形態では、PLGAコポリマーは、75/25比のラクチド/グリコリドを有する。さらにさらなる実施形態では、PLGAコポリマーは、約63キロダルトンの分子量および約0.6dL/gの固有粘度のうちの少なくとも1つを有する。
【0066】
さらに、微小粒子の本集団は、約200μm未満の最大粒子径を有し得る。いくつかの実施形態では、微小粒子の集団は、約50μm未満の平均または平均粒子直径を有する。さらなる実施形態では、微小粒子の集団は、約30μm〜約50μmから平均粒子径を有する。
【0067】
本明細書に開示する、降圧剤を含有するインプラントおよびマイクロスフェアを用いて、以下の眼状態を処置することができる。すなわち、黄斑症/網膜変性:加齢黄斑変性症(ARMD)、たとえば非滲出性加齢黄斑変性症および滲出性加齢黄斑変性症を含む黄斑部変性、脈絡膜新生血管、糖尿病性網膜症、急性および慢性黄斑の視神経網膜障害、中心性漿液性網膜脈絡膜症を含む網膜症、ならびに嚢胞状黄斑浮腫および糖尿病性黄斑浮腫を含む黄斑浮腫。ブドウ膜炎/網膜炎/脈絡膜炎:急性多発性後極部色素上皮症、ベーチェット病、バードショット網膜脈絡膜症、感染性(梅毒症、ライム病、結核、トキソプラスマ症)、中間部ブドウ膜炎(毛様体扁平部炎)および前部ブドウ膜炎、多病巣性脈絡膜炎、多発性一過性白点症候群(MEWDS)、眼性サルコイドーシス、後強膜炎、匍行性脈絡膜炎、網膜下線維症、ブドウ膜炎症候群、およびVogt・小柳・原田症候群を含むブドウ膜炎。血管疾患/滲出性疾患:網膜動脈閉塞性疾患、網膜中心静脈閉塞症、血管内凝固症候群、網膜静脈分枝閉塞症、高血圧性眼底変化、眼性虚血性症候群、網膜細動脈瘤、コート病、中心窩周囲毛細管拡張、半網膜静脈閉塞症、乳頭血管炎、網膜中心動脈閉塞症、網膜動脈分岐閉塞症、頚動脈疾患(CAD)、樹氷状血管炎、鎌状赤血球網膜症および他異常ヘモグロビン症、網膜色素線条症、家族性滲出性硝子体網膜症、イールズ病。外傷性/外科的状態:交感性眼炎、ブドウ膜網膜疾患、網膜剥離、外傷、レーザー、PDT、光凝固、外科術中の低灌流、放射線網膜症、骨髄移植網膜症。増殖障害:増殖性硝子体網膜症および網膜上膜、増殖性糖尿病性網膜症。感染性障害:眼ヒストプラスマ症、眼性イヌ蛔虫症、推定眼ヒストプラスマ症候群(POHS)、眼内炎、トキソプラスマ症、HIV感染症に関連する網膜疾患、HIV感染症に関連する脈絡膜疾患、HIV感染症に関連するブドウ膜疾患、ウイルス性網膜炎、急性網膜壊死、進行性網膜外層壊死、真菌の網膜疾患、眼梅毒、眼結核、広汎性片眼性亜急性視神経網膜炎とハエ幼虫症。遺伝障害:網膜色素変性症、網膜ジストロフィーに関連する全身性障害、先天停在性夜盲、錐体ジストロフィー、シュタルガルト病および黄色斑眼底、ベスト病、網膜色素上皮のパターンジストロフィー、X連鎖性網膜分離症、ソースビー眼底変性症、良性同心性黄斑症、ビエッティ結晶性ジストロフィー、弾力線維性仮性黄色腫。網膜裂孔/円孔:網膜剥離、黄斑円孔、巨大網膜裂孔。腫瘍;腫瘍に関連する網膜疾患、RPEの先天性肥大、後部ブドウ膜黒色腫、脈絡膜血管腫、脈絡膜骨腫、脈絡膜転移、網膜および網膜色素上皮の混合性過誤腫、網膜芽細胞腫、眼底の血管増殖性腫瘍、網膜星状細胞腫、眼内リンパ系腫瘍。その他:点状脈絡膜内層症、急性後部多発性小板状色素上皮症、近視性網膜変性症、急性網膜色素上皮炎等。
【0068】
眼内注射後に医薬組成物の分散を減少させるために、我々の発明の範囲内の医薬組成物(たとえインプラントまたはマイクロスフェア)を、高粘性のポリマーゲルを用いて処方されることができる。好ましくは、ポリマーゲルは、高剪断特性を有する。これは、25〜30ゲージ針を介して、より好ましくは27〜30ゲージ針を介して該ゲルが眼内部位に注射され得ることを意味する。この目的のために、適切なゲルは、水中または他の水性媒体中の分散体として形成されるヒドロゲルまたはコロイド状ゲルであり得る。適切なゲル類の例としては、たとえば、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート、ならびに化学的または物理的架橋したポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリエチレンオキシド、および加水分解ポリアクリロニトリル等の合成ポリマーが挙げられる。有機ポリマーである適切なヒドロゲルの例としては、たとえばアルギン酸塩の多価金属塩、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、ヘパリン、ヒアルロン酸塩(すなわちポリマーヒアルロン酸)等の共有結合したまたはイオン架橋した多糖類ベースのヒドロゲル類と、キチン、キトサン、プルラン、ゲラン、キサンタンおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースに由来するヒドロゲル類とが挙げられる。市販の皮膚充填剤(たとえばHylafrom(登録商標)、Restylane(登録商標)、Sculptura(商標)およびRadiesse)を、我々の医薬組成物の実施形態において高粘性ゲルとして用いることも可能である。
【0069】
ヒアルロン酸(「HA」)は、種々の体組織によって作られる多糖である。米国特許第5,166,331号は、眼内液の代用として、および局所点眼薬の担体として使用するために、ヒアルロン酸の異なる画分の精製を考察している。ヒアルロン酸の眼使用を考察する他の米国特許出願としては、第11/859,627号;第11/952,927号;第10/966,764号;第11/741,366号;および第11/039,192号が挙げられる。我々の発明の範囲内の医薬組成物は、好ましくは、約100万と400万Daltonの間の平均分子量を有する、より好ましくは、約200万と300万Daltonの間の平均分子量を有する、最も好ましくは約(±10%)200万Daltonの平均分子量を有する高粘性ヒアルロン酸を含む。
【0070】
乾燥、非架橋HA材料は、市販HAの線維または粉末、たとえばヒアルロン酸ナトリウム(NaHA)の線維または粉末を含む。HAは、微生物由来のヒアルロン酸ナトリウム、動物由来のヒアルロン酸ナトリウムまたはその組み合わせであってもよい。一部の実施形態では、乾燥HA材料は、HAと、少なくとも1つの他の多糖、たとえばグリコサミノグリカン(GAG)とを含む原料の組み合わせである。我々の発明では、使用されるHAは、高分子量HAを含む、または高分子量HAからなる。すなわち本組成物中のHA材料のほぼ100%は、高分子量HAである。高分子量HAとは、少なくとも約100万Dalton(分子量≧106Da)〜約400万Da(分子量≦4×106Da)の分子量を有するHAを意味する。たとえば、本組成物における高分子量HAは、約200万Da(分子量2×106Da)の分子量を有し得る。別の例では、高分子量HAは、約280万Da(分子量2.8×106Da)の分子量を有し得る。
【0071】
我々の発明の一実施形態では、所望の高分子量/低分子量の割合を有する乾燥または生のHA材料(この具体的な例ではNaHA)は、浄化されて、精製される。これらのステップは通常、所望の高分子量/低分子量の割合で乾燥HA線維または粉末を、たとえば純水を用いて水和させるステップと、この材料を濾過して大きな異物および/または不純物を除去するステップとを含む。次いで、濾過された水和材料は乾燥されて、精製される。高分子量および低分子量のNaHAは、別々に浄化されて、精製されてもよく、または架橋する直前にたとえば所望の割合で混合させてもよい。プロセスのこの段階で、精製、乾燥させたNaHA線維をアルカリ溶液中で水和させて、非架橋NaHAアルカリ性ゲルを生成する。このステップでは、いかなる適切なアルカリ溶液も用いて、これに限定するものではないが、たとえばNaOHを含有する水溶液を用いてNaHAを水和させてもよい。結果としてもたらされるアルカリ性ゲルは、7.5を超えるpH、たとえば8を超えるpH、たとえば9を超えるpH、たとえば10を超えるpH、たとえば12を超えるpH、たとえば13を超えるpHを有することになる。この具体的な例では、製造プロセスにおける次のステップは、水和したアルカリ性NaHAゲルを適切な架橋剤、たとえばBDDEで架橋ステップを含む。
【0072】
架橋ステップは、当業者に既知の方法を用いて行われ得る。当業者は、HAの性質によって架橋条件を最適化する方法、および最適化された程度まで架橋を行う方法を理解している。本発明の一部の実施形態では、架橋度は少なくとも約2%〜約20%であり、たとえば約4%〜約12%である。ここで架橋度は組成物中のモノマーユニットに対するパーセント重量比として定義される。水和架橋HAゲルを、HClを含有する水溶液を加えることによって中和させてもよい。次いで、HAゲルを、低温で充分に時間をかけて、リン酸緩衝生理食塩水中で膨張させる。
【0073】
いくつかの実施例では、得られた膨張したゲル(HA)は、実質的に目にみえる別々の粒子がない、たとえば、肉眼で見ると、目にみえてはっきりした粒子が実質的にはない粘着性ゲルである。一部の実施形態では、該ゲルは、35倍未満の拡大率下で、実質的には目にみえてはっきりした粒子がない。架橋材料のpHを安定させて、いずれの未反応架橋剤も除去するために、ここでゲル(HA)を、従来の方法、たとえば透析法またはアルコール沈殿法によって精製して、架橋材料を回収する。追加の水または弱アルカリ性水溶液を加えて、組成物中のNaHAの濃度を所望の濃度にすることができる。一部の実施形態では、組成物中のNaHAの濃度は、約10mg/mLと約30mg/mLの間の範囲にある。
【0074】
我々の発明の範囲内のインプラントは、米国特許出願第11/455,392号;第11/552,835号;第11/552,630号、および第12/355,709号に示されるアプリケーター(注射器)を含む任意の適切な眼内注射装置を用いて、投与され得る。
【0075】
我々の発明の実施形態は、徐放型生分解性マイクロスフェアまたはインプラントであり得る。我々の発明の好ましい実施形態は、降圧剤を含有するPLAおよび/またはPLGAインプタントである。これは、この組成物のインプラントが眼房内または前部硝子体への投与後、炎症が有意に少ない(すなわち角膜充血が少ない)という理由からである。我々の発明の一実施形態は、同じインプラントの異なるセグメント内に、または同時に投与される異なるインプラント内に複数の降圧剤を含有するドラッグ送達システムを含むことができる。たとえば、1つのセグメント(すなわち1つのインプラント)は、ムスカリン性降圧剤を含むことができ、第2のセグメント(すなわち第2のインプラント)は降圧剤プロスタグランジンを含むことができ、第3のセグメント(すなわち第3のインプラント)は降圧剤β遮断薬を含むことができる。複数のインプラント(「セグメント」)は、同時に、注射されることができる。たとえば、降圧剤(たとえばムスカリン性薬剤)を有する1つのインプラントは線維柱帯網を介して房水流出を増強させ、第2のインプラントを用いてブドウ膜強膜の流れを増強させる(たとえば降圧脂質)ことができ、第3のインプラントは、房水の産生を減少させる(たとえばβ遮断薬)ことができる。異なる作用機序を有する複数の降圧剤は、IOPを低下させるのに、単剤療法、すなわち単一種の降圧剤の使用より効果的であり得る。複数のセグメント(複数のインプラント)は、単剤療法で必要な用量よりも、使用される個々の降圧剤のそれぞれの用量を低くすることができ、それによって使用されるそれぞれの降圧剤の副作用を低減させることができる利点がある。たとえば神経保護化合物または神経増強化合物を含有する別々のセグメントおよび付加的なセグメントは、降圧剤を含有する他の部分とともに送達されることも可能である。
【0076】
複数のセグメント(すなわち投与される複数のインプラント)を使用するとき、各セグメントは、約2mmを超えない長さを有することが好ましい。好ましくは、22〜25Gの同じ針の口径で投与されるセグメントの総数は、約4である。27G径の針で、針の孔またはルーメン内の総セグメント長は、最高約12mmになり得る。
【0077】
線維柱帯網(TM)が眼房液体の上の検出可能な流体取込み作用または吸入作用を有することを我々は決定した。我々の隅角鏡検査イメージングによる測定では、このTM流体取込みによって、30ミクロン未満の径を有するマイクロスフェア(MS)がTMに引き入れられる。
【0078】
TMの流体取込み作用を活用して、適切な形状を有するMSまたはインプラントを、不明瞭な視覚の原因である後眼房の周りで浮遊しないように保持することができることも突き止めた。重力によってこれらのインプラントは6時の位置まで下がる。インプラントまたはMSがこの位置で非常に安定である(比較的固定される)ことを我々は認めた。全長(すべてのセグメントを含めた)が約6〜8mmを超えない22G〜30G径の針で前房内に投与されることが可能なインプラントは、眼内インプラントが固定され、かつ視覚の不明瞭化もなく、TM流体の取入れ機序を利用するのに最も好ましい。したがって、TM流体取入れ効果より、前眼房の6時の位置に安定するにもかかわらず、インプランントはTMクリアランス速度を超える放出速度を有することが可能であり、かつこれによりインプラントによって放出される降圧剤が前眼房を急速に満たし、360度分布パターンに沿って標的組織に良好に分布されることを可能にする。隅角鏡検査法による前眼房の角度でのインプラントの我々の検査では、該インプラントの近傍で被包も組織の炎症も見られなかった。
【0079】
実施例
以下の実施例は、本発明の非限定的な実施形態を記載する。
【0080】
実施例1
前眼房対流の測定
本発明者等は、前眼房において、虹彩と接触している眼房水の方が高温であることにより起こる、6時の位置から12時の位置まで垂直に上方向への対流があることを突き止めた。本発明者等は、前眼房において、角膜内皮に隣接している眼房水の方が低温であることにより起こる、12時位置から6時位置まで房水流の下方への対流が起こることも突き止めた。図2を参照されたい。本発明者等は、送達系が眼房水中に直接薬剤を放出する場合、これらの眼房水流は360度分布パターンで前眼房全体および前眼房周辺に降圧剤を効果的に運ぶことができると仮定し、そして前眼房中に入れた持続放出性インプラントからの放出の画像診断研究により、前眼房で代理薬剤を分布させる対流の効果を示した。図3を参照されたい。
【0081】
さらに、本発明者等は、30ミクロンを越える直径を有し、マイクロスフェアの前房内注射後に前眼房の下角に定着するのに充分な密度を有するマイクロスフェアを作製した。重要なことに、マイクロスフェアの30ミクロンを超える直径は、マイクロスフェアが小柱網を通して除去されないか、または小柱網中に組み込まれないようなものであり、それによって、遊離薬剤が確実に水流中に直接放出され、360度分布パターンに沿った角度で効果的に薬剤を分布させることを確実にする。遊離薬剤は、小柱網および虹彩根部を通過して毛様体領域へ入ることができる。6時位置へのマイクロスフェア処方の定着を加速するために、担体として、未架橋または架橋ヒドロゲル(例えばヒアルロン酸またはメチルセルロース化合物)を0.2%〜4%の濃度でマイクロスフェアに添加することができる。ゲルを添加することにより、30ミクロンを越える直径を有するマイクロスフェアが小ゲージ(例えば27〜30G)針を通過するのを促進することができ、プレフィルシリンジにおける使用が可能になる。別の送達系、例えば生体内分解性ポリマーを含む固体インプラントは、前眼房への注射後に6時位置で定着するので、これらを使用することもできる(図3Bを参照)。
【0082】
このように、図3は、ハイデルベルクHRA画像形成装置を使用して視覚化された眼房水薬剤送達(インプラントを6時位置に前房内設置した後)の証拠を示す。図3Aは、主凝視におけるウサギの眼の外観の写真である。図3Bは、HRA上の定位置にフルオレセインフィルターを有する3Aのウサギの眼の画像である。図3Bにおいて、このウサギは、前眼房中に持続放出性フルオレセインインプラントを移植した2日後であり、インプラントは6時の位置(矢印)で定着したことがわかる。図3Cは、下方向へ回転させた同じウサギの眼の外観の写真である。
【0083】
図3Dは、HRAを用いた3Cのウサギの眼の画像である。図3Dにおいて、このウサギは、3Bで示すように6時位置で定着した前眼房中の持続放出性フルオレセインインプラントの移植の7日後である。対流によって、インプラントから放出される遊離フルオレセインは前眼房(矢印)全体にわたって均一に分布するようになり、それによって小柱網および毛様体(抗高血圧治療の標的組織)へ360度暴露されることに留意されたい。
【0084】
本発明者らはまた、眼房水より密度の低いマイクロスフェアまたは他の持続放出性送達系が、浮き上がって上方に12時の位置で定着するので、治療的有用性を有すると断定した。ここでは、薬物送達系は対流中に薬剤を放出することができ、そしてこれは遊離薬剤を360度の角に分布させるために6時の位置にある送達系の適切な代替物である。したがって、本発明者らは12時の位置で注射された薬剤代用物の時間が経過した画像を撮影し、20分以内に前眼房(360度にわたる均一な薬剤暴露)全体を通じて薬剤代用物を分布させる前眼房対流の存在を示した。
【0085】
下記のように、本発明者らは、製造プロセスで使用されるPVA安定剤を水で5回洗浄して、マイクロスフェアからPVA成分を除去する技術を開発した。この化学修飾により、ミクロスフェアは前眼房中12時の位置まで浮き上がることができる。なぜなら、前眼房マイクロスフェア面は親水性PVAを失った後に非常に疎水性が高くなり、水が粒子面を効果的に濡らすことができないからである。薬剤送達系が迅速に上方または下方に定着して、視軸からすべての閉塞を除去することは重要である。
【0086】
意外にも、毛様体での薬剤組織濃度を調査する薬物動態研究により、持続性インプラントを前硝子体領域中に注入した後、高い濃度が示された。硝子体腔中に注射される大部分の薬は様々な機構によって眼の後方へと拡散および/または誘導され、網膜と脈絡膜を通して除去されると以前には考えられていた。本発明者等は、画像診断および薬理学的研究を実施し、前硝子体基底部に送達系を設置し、これにより降圧剤を毛様体へ送達することができ、その結果としてIOPが低下することを突き止めた。これらの画像診断検査から、前硝子体基底部中に入れた薬剤は後眼房中で眼房水に接近することができ、動物およびヒトのどちらの眼でも薬剤を360度急速に分散させることができることが証明された。マイクロスフェアやインプラントなどの薬剤送達系は、標準外科的処置を使用して前部硝子体中に慣例どおり設置することができる。MRI画像診断検査では、薬剤代用物を前部硝子体へ注射した後のブタの眼を使用した。薬剤は急速に後眼房中に移動し、360度パターンで毛様体周辺に分布した。さらに、本発明者等は、前部硝子体中に薬剤代用物を注射した後、ヒトの眼のMRI画像診断検査を行って、当該薬剤が後眼房および前眼房に急速に移ることを証明し、硝子体注射によって薬剤を眼房水に送達できることを示した。
【0087】
実施例2
持続放出性マイクロスフェアの開発
【0088】

この実施例で本発明者等は、緑内障および関連する眼症状を治療するために使用される昇圧剤をを含むさまざまなマイクロスフェア作製し、評価した。このようにして、本発明者等は高眼圧を治療するための持続的放出性マイクロスフェアを開発した。本発明者等が作製したマイクロスフェアは、約3ヵ月から約6ヵ月までIOPを減少させ(単独療法として、すなわち追加の降圧剤を含む点眼剤を必要としない)、(同じマイクロスフェアまたはインプラントのテノン嚢下投与と比較して)角膜充血が非常に軽減された。30μmを越える直径を有するマイクロスフェアを使用するとマイクロスフェアの前房内投与後の眼充血が軽減されることを突き止めたので、マイクロスフェアは少なくとも約10質量%の昇圧剤負荷を含み、30μmを越える平均直径を有する。
【0089】
マイクロスフェア製造プロセスは、溶媒およびSDS界面活性剤としてジクロロメタンを用いる溶媒蒸発プロセスから開始した。しかし、ラタノプロストが組み込まれた場合、当該プロセスには、収率が非常に低い、粒子径がはるかに小さい、そして薬剤封入効率が不十分であるということに関する多くの問題があった。従って、本発明者等は、溶媒および界面活性剤の両方を変えることによって、プロセスを改善した。最終的に、本発明者等は、溶媒としての酢酸エチルおよび安定剤としての1%のポリビニルアルコール(PVA)を用いてプロセスを完成させた。また、本発明者等は19質量%もの高い昇圧剤負荷を達成することができた。マイクロスフェア直径は30μmを越えて維持され、低い剪断速度を使用する場合は65μmまでにすることができる。マイクロスフェア直径および直径分布は、Malvern Mastersizer 2000装置を使用して測定した。各試料は、5回の読み取りの平均によって分析した。マイクロスフェア分画は、シーブを通して濾過して、最小サイズのカットオフを維持することによっても実施した。多くの異なるPLAおよびPLGAポリマーならびにポリマーブレンドをスクリーニングして、放出プロフィール群を得、インビボマイクロスフェア投与の候補を選択した。調査した処方のインビトロ放出率は、17〜88μg/日の範囲であった。
【0090】
作製したマイクロスフェアに関して広範囲の形態学的研究を実施した。したがって、マイクロスフェア表面をSEM(Zeiss EVO40装置を使用)により調査し、粒子内部の薬剤分布を凍結割断SEMにより測定した。SEM冷凍乾燥マイクロスフェアを使用し、これを両面粘着グラファイトテープ上に散布し、反対面をアルミニウムスタブに施用して、表面および内部形態を調査した。過剰の試料を除去し、スタブを5〜10nmの金層でスパッターコーティングした。内部マイクロスフェア形態は、炭素テープ上に単層マイクロスフェアを塗布することによって実施したマイクロスフェア凍結割断にしたがって観察し、スタブ上のもう一つの炭素テープでおおい、次いでこのサンドイッチ構造を液体窒素中に10秒間浸漬した。サンドイッチ状の単層を分解して、割断マイクロスフェアを得た。
【0091】
薬剤放出の前後の試料を比較し、薬剤負荷試料もプラセボと比較した。試料は著しく異なる形態を示し、ポリマー特性、形態、および放出挙動の間の密接な関係が明らかになった。本発明者等が作製した23の異なるマイクロスフェア処方全てにおいて。2つのマイクロスフェア処方Aおよび処方Bをインビボで評価した。本発明者等は、これらの持続放出性マイクロスフェア処方AおよびBが数ヵ月にわたって降圧剤を放出できることを突き止め、マイクロスフェアは外来ベースでの眼内注射によって投与することができると断定した。
【0092】
処方Aマイクロスフェア
最初に、本発明者等は、ポリマーマトリックス中にラタノプロストを導入すると、凝集が有意に減少し、微粒子直径が小さくなることを見いだした。さらに、不十分な薬剤封入効率(低い薬物負荷(質量パーセント))は、SDSと長い緩徐DCM蒸発プロセスとのために薬物の水中溶解度が大きく増加したことが原因であった。DCMは水混和性でなく、その蒸発プロセスは相当長い時間がかかり、その間、ラタノプロストには水相中に拡散するために十分な時間がある。本発明者等は、実験を実施して、ラタノプロスト水溶解度を減少させ、使用される安定剤を(SDSからポリビニルアルコールに)変えた。もう一つのプロセス改善は、より水混和性の高い溶媒(例えばアセトニトリルまたは酢酸エチル)を徐々に添加することであった。これによって、粒子乾燥プロセスが促進された。使用される最後のプロセスは、溶剤抽出プロセスであった。
【0093】
これらのプロセス改善で、23.8%のラタノプロスト含有量を有するポリマー75:25ポリ(D,L、ラクチドコグリコリド)(Resomer RG755,Boehringer Ingelheim,Ingelheim,Germany)を用いて処方Aマイクロスフェアを作製した。室温で粘稠性油であるラタノプロスト(200mg)、およびポリマー(600mg)を、5.6mlの酢酸エチル中に溶解させた。この溶液を剪断しながらマイクロピペットで160mlの1%PVA水に添加した。Silversonホモジナイザを用いて混合物を3000rpmで5分間遠心分離した。剪断後、乳白色エマルジョンを、3〜5時間フード中で穏やかに撹拌して、溶媒を蒸発させた。懸濁液を、106μmおよび34μmのシーブに通して、106μmより大きい画分と34μmより小さな画分とを除去した。懸濁液を2000rpmで15分間遠心分離することによって上清を除去し、10mlの脱イオン水を添加して、マイクロスフェアを再構成した。マイクロスフェア懸濁液を凍結乾燥して、自由流動性乾燥粉末を得た。注射前にミクロスフェアを懸濁するために用いたビヒクルは、2%のCMCおよび0.9%の食塩水中0.1質量%のTween80(ポリソルベート80)であった。平均マイクロスフェア直径サイズは約60μmであった。0.1%のトリトンX−100[オクチルフェノールポリエトキシレート]を含むPBS媒体中の処方Aからのラタノプロストのインビトロ放出速度(50ul用量の20%マイクロスフェアから)は、図4で示すように、長期間にわたってゼロ次(単位時間当たり一定量の薬剤が放出される)の放出動態であった。処方Aマイクロスフェアは、最初の2週間で約21μg/日のインビトロ放出速度を示した。
【0094】
典型的には、持続放出性薬物送達系は、薬剤が放出され、続いて薬剤放出速度が減少(多くの場合、指数関数的減少)する一次放出動態にしたがって組み込まれた薬剤を放出する。標的組織に対する薬剤投与のそのような変動率(過剰量に続いて過少量)は、眼症状の治療的処置については最適に満たない。一方では、一次薬剤放出が最適であり、眼内組織の治療が成功するために非常に有益な投薬レジメである。
【0095】
ミクロスフェアを、20%濃度で前記溶媒中に懸濁させた。結果として得られた懸濁液を、前眼房中にまたは硝子体中に25G針によって強膜を通して注射した。あるいは、マイクロスフェアは様々な粘稠性ゲル中に懸濁することができ、そして30Gもの小さな針で注射することができる。2〜10ミリグラムのマイクロスフェアを、イヌの眼に注射し、5週間を超える期間で大幅なIOP(ベースラインから50%)の減少が見られた。マイクロスフェアは、前房内、硝子体内、およびテノン嚢下を包含する眼のさまざまな部分に注射することができる。放出速度は、様々な用量のマイクロスフェアを使用することにより調節することができる。マイクロスフェアは、エアゾルの使用を使用して、又は使用せずに、「乾式」注入を可能にするアプリケーターを用いて注射することもできる。ここで、湿潤ビヒクルを用いないマイクロスフェアを、区画の容積を相当増加させることなく前眼房または硝子体腔に注射することができる。処方Aマイクロスフェア処方は、1回の前房内または硝子体内注射で2〜7ヵ月間ラタノプロストを放出する可能性を有する。
【0096】
処方Bマイクロスフェア
処方Bマイクロスフェアは、12.4%のラタノプロスト含有量を有するResomer R203H(ポリDL乳酸)(「PLA」)を用いて調製した。製造プロセスは、前述の処方Aマイクロスフェアプロセスと類似していた。マイクロスフェアをスクリーニングして、34ミクロン以上の直径を有するものを単離し、結果として得られる平均直径は45ミクロンであった。ゼロ次に近い放出速度を示す0.1%のトリトンX−100(オクチルフェノールポリエトキシレート)を含むPBS媒体中のインビトロ放出速度を、図5に示す。処方Bマイクロスフェア放出のインビトロ放出速度は、2週間にわたって約88μg/日であった。
【0097】
本発明者らは、作製したマイクロスフェアに更なる処理工程を実行することによってマイクロスフェアのインビボ投与に対する望ましくない副作用を軽減する重要な特徴が得られることを見いだした。このように、眼に注射されるマイクロスフェアの1つの副作用は、角膜充血であり得る。本発明者らは、サイズ分別および洗浄の2つの精製ステップを使用することによって、そのようにさらに処理されたマイクロスフェアの眼内注入によりほとんどすべての充血が防止されることを突き止めた。これらの2つのステップは、34μmシーブを通してマイクロスフェア懸濁液を濾過してマイクロスフェアの小さな集団を除去し、続いて結果として得られる微小粒子を水で3〜5回洗浄することによって実施した。これらの精製されたマイクロスフェアをイヌの眼に前房内注射した際、角膜充血の有意な(50〜80%軽減)改善が観察された。
【0098】
まとめ
ミクロスフェアは、溶媒抽出プロセスでうまく製造された。均質化剪断速度とポリマー濃度とが粒径調節の主な因子であることが判明した。マイクロスフェア直径は1μmから最高100μmまで変化し得、シーブを用いた分画によって明確なサイズ範囲が得られた。ラタノプロスト負荷は、約25質量%まで最適化できる。マイクロスフェアはいかなる保護剤をも使用せずに凍結乾燥することができ、顕著なサイズ安定性を示した。本発明者らは、適度な線量(18KGy)で電子ビームを照射すると、その後のマイクロスフェアからの薬剤放出に対する影響なしに優れた滅菌を達成できることを見いだした。多種多様な放出プロフィールは、主に異なるポリマーマトリックスを使用することによって得られた。マイクロスフェアは、ポリマー特性およびプロセス条件に密接に関連した様々な形態を示した。マイクロスフェアは急速に定着する傾向があり、高粘度ビヒクル、例えば2%のCMCは定着を遅らせることができ、注射をより容易にすることができる。27〜30G針を用いた注射は、適切なゲル担体の使用に際して得ることができる。
【0099】
下記の実施例3〜7は、水性ビヒクル(2%のカルボキシメチルセルロース[CMC]、0.9%の食塩水中0.1%のTween80)中または高粘度高剪断速度ゲル(すなわち適切な重合性ヒアルロン酸)中に懸濁させたマイクロスフェアまたはインプラントの眼内注射によって実施したインビボ(ビーグル犬)研究を記載する。降圧剤を含むマイクロスフェアまたはインプラントを片眼に注射し、プラセボマイクロスフェアまたはインプラントを対照としてもう一方の眼に注射した。IOPおよび充血を数週間モニタリングした。超薄壁25−27ゲージ針を使用した。マイクロスフェアを使用する場合は、10%または20質量%でビヒクル中に懸濁させた。
【0100】
実施例3
前房内処方Aマイクロスフェア
10μlの処方Aを、12時の位置で25G皮下針を用いて角膜を通して棚付法(shelving appproach)を使用してビーグル犬の左前眼房に注射した。創傷は自己密封性であり、マイクロスフェアは30分以内に下角に急速に定着した。図6は、未処置の右眼と比較した左眼におけるIOPの顕著な減少を示す。IOPのこのような減少は数週間持続した。図6で示すように、左眼(実線)に持続放出性ラタノプロストマイクロスフェアを前房内注射し、3日目までに左眼で約50%のベースラインからのIOP減少が記録され、このIOP減少は、少なくとも1ヶ月の時点まで持続した。注射を受けなかった対照の眼(点線)ではIOPの減少はみられなかった。眼の外観写真は、軽度の結膜充血のみを示す。
【0101】
実施例4
前房内処方Bマイクロスフェア
イヌに、左眼には鼻上の四半部中角膜輪部後方4mmで処方Bマイクロスフェア処方50μlを前方に硝子体内注射し、右眼にはプラセボマイクロスフェアを注射した。左眼において、IOPはベースラインより最大約40%まで減少し、注射部位に限局される中軽度の結膜充血があった。反対側の四半部の充血等級は一貫して0と記録された。プラセボマイクロスフェアを投与した右眼ではIOP減少は見られなかった。
【0102】
実施例5
硝子体内および前房内ビマトプロストインプラント
持続放出性ビマトプロスト熱押出インプラントを、45質量%のレゾマーR203s(ポリDL乳酸)、20質量%のR202H(ポリ(DL−ラクチド))、30質量%の薬剤負荷量および共溶媒として5質量%のPEG3350を使用して調製した。調製された棒状のインプラントの合計重量は、1.64mg(492.4μg薬剤負荷量)または800μgであり、後者の半分の大きさの棒状インプラントは、幅1mm、長さ2mmと測定された。インプラントは、4ヶ月の期間にわたってビマトプロストのインビトロ放出を示した。
【0103】
硝子体内
1つのビマトプロストインプラントを、イヌの左眼の鼻上の四半部、外科縁の後方4mmに挿入した。プラセボ(ビマトプロストを含まない)インプラントを、もう一方の眼に配置した。左眼対右眼においてIOPの有意な減少(ベースラインより最高約45%低い)があった。加えて、テノン嚢下設置と比較して、硝子体内インプラント設置では結膜充血がかなり少なかった。
【0104】
前房内
1つの800μgのビマトプロストインプラントを右眼の縁の近くで上方に透明な角膜の棚付切開(sherlved incision)から前房中に挿入し、左眼にはプラセボ(ビマトプロストを含まない)インプラントを挿入した。インプラントは6時間の時点に上方に位置し、挿入後24時間までに6時の位置で下方に定着した。インプラントの緩徐性生体内分解が見られ、生体内分解および眼内毒性の兆候はなかった。ベースライン記録より60〜70%低いIOPの大きな減少が最初の24時間で見られ、その後維持された。図7を参照。
【0105】
インプラントは、投与後に最初の30日間で約6μgのビマトプロストを毎日放出した。インプラントは投与されると、6時の位置で小柱網に沿って角のウェル中にうまく嵌まった。角膜が虹彩と出会う箇所で、前房角が存在する。この位置で小柱網が見られ、小柱網は(正常な眼で)眼房水が眼から排出される部位である。眼房水が眼から適切に排出され得ない場合、眼内圧は高くなる。図7は、ビマトプロスト棒状インプラントの前房内投与後84日間にわたる時間(日)(x軸)に対する対象のイヌの眼のベースライン眼内圧の変化(%)(y軸)のグラフであり、約50%〜60%のIOP減少が84日間の観察期間中維持されたことを示し、高IOPを治療するためには、別の抗高血圧剤の毎日投与(84日間毎日少なくとも1回)よりもこの1回の前房内持続放出性インプラントの方が非常に優れていることを示す。
【0106】
実施例6
前房内および硝子体内EP2
EP2アゴニスト化合物A(キラル中心を有する分子)の1回の前房内および硝子体内ニート注射の安全性および寛容性を評価した。処方は、生理食塩水中0.1%の化合物Aを使用した。化合物Aの化学名は、5−{(R)−1−[4−((S)−1−ヒドロキシ−ヘキシル)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−2−イルメトキシメチル}−チオフェン−2カルボン酸イソプロピルエステルであり、化学式はC2635NO5Sであり、分子量は473.63である。
【0107】
【化16】

化合物A
化合物Aは、水酸基の形態でも存在し得る:
【0108】
【化17】

【0109】
前房内注射
化合物A処方の50マイクロリットルを、27Gの皮下針を使用して、左眼の前眼房中に注射し、ビヒクルを右眼に注射した。IOPは、右眼でベースラインから最大約50%まで減少した。IOPの減少は、他方の眼の記録と比較して3日目を通して維持された。両眼の注射部位付近で+0.5の最大結膜充血スコアであり、以降の記録は全て0であった。眼性炎症の徴候は追跡検査ではなかった。
【0110】
イヌ2:前部硝子体注射
化合物A処方の50マイクロリットルを、27Gの皮下針を使用して左眼の前部硝子体中、毛様体のすぐ後部に注射した。ビヒクルを右眼に注射した。IOPは、右眼でベースラインから最高約30%まで減少した。IOP減少は、他方の眼の記録と比較して3日間維持された。両眼で注射をした半球に限局された軽度の結膜充血が3日中存在した。追跡検査では眼性炎症の徴候はなかった。
【0111】
要約すると、前眼房と前部硝子体中の化合物Aの無希釈注射は十分寛容性であり、1回の注射後数日間IOPの低下が存在した。IOPを減少させることに加えてEP2およびEP4アゴニストは強力な神経保護剤でもあり得る。
【0112】
前記実施例で記載した方法を用いて、化合物Aを生物分解性ポリマーマイクロスフェアまたは生物分解性ポリマーインプラントに処方することができ、前房内または前部硝子体中に投与して、持続的抗高血圧(緑内障治療)効果を提供することができる。
【0113】
実施例7
前房内ラタノプロストインプラント
30%のラタノプロスト、40%のRG752s、20%のRG502s、5%のプラスドンおよび5%のPEG3350を含む持続放出性ラタノプロスト(熱押出)インプラントを作製し、イヌの左眼に前房内注入した。角膜切開刀を用いて11時の位置で棚付切開を行い、ラタノプロストインプラントを前眼房中に挿入した。9−0のバイクリル縫合を使用して切開を閉じた。24時間の時点で、この眼でベースラインから約50%のIOPの減少が記録された。
【0114】
実施例8
ヒアルロン酸中の処方Aマイクロスフェア
23.8%の薬剤含有量を有する処方Aマイクロスフェアを、架橋ヒアルロン酸(Juvederm)と混合した。ゲルベースのマイクロスフェア懸濁液を使用して、27G針を用いて左眼に活性マイクロスフェアを注射し、右眼にはプラセボを注射した。注射はゲルを用いることにより促進され、針が詰まることによる障害はなかった。注射後1日目に、ベースライン値と比較して左眼においてIOPの35%減少がみられた。マイクロスフェアは下角においてゲル中で凝集しているようであり、眼性炎症は最小であった。
【0115】
実施例9
降圧剤を含むマイクロスフェアおよびインプラント
降圧剤を含む持続的放出性生物分解性マイクロスフェアは、緑内障のような高圧性疾患を治療するために前房内または前方硝子体内注射用に作製することができる。降圧剤は、それらの塩、エステル、プロドラッグおよび誘導体を含む1以上のEP2アゴニスト、例えば化合物A〜Oであり得る。以下に示すように、化合物A〜HおよびJのそれぞれは少なくとも1つのキラル中心を有する。マイクロスフェアは、15〜25質量%の化合物(化合物A〜Oのいずれか)含有量(質量%)を有するポリマー75:25ポリ(D,L、ラクチドコグリコリド)(Resomer RG755,Boehringer Ingelheim,Ingelheim,Germany)を用いて作製することができる。したがって、200mgの化合物(化合物A〜Oのいずれか)および600mgのポリマーを、約6mlの酢酸エチル中に溶解させる。次いで、この溶液を剪断しながらマイクロピペットにより約160mlの1%ポリビニールアルコール水に添加する。混合物を、次いでSilversonホモジナイザを用いて5分間約3000rpmで遠心分離する。剪断後、乳白色エマルジョンを得、これをフード中で約3〜5時間穏やかに撹拌して、溶媒を蒸発させることができる。懸濁液を次いで、106μmおよび34μmシーブにかけて、106μmより大きな画分および34μmより小さな画分を除去する。上清は、懸濁液を15分間2000rpmで遠心分離することによって除去し、10mlの脱イオン水を添加して、マイクロスフェアを再構成する。マイクロスフェア懸濁液を次いで凍結乾燥して、自由流動性乾燥粉末を得る。注射前にマイクロスフェアを懸濁させるために用いられるビヒクルは、2%のCMCおよび0.9%の食塩水中0.1質量%のTween80(ポリソルベート80)であり得る。
【0116】
さらに、降圧剤を含む持続性放生物分解可能性インプラントは、緑内障などの高圧性疾患を治療するために前房内または前方硝子体内注射用に作製することができる。降圧剤は、1以上のEP2アゴニスト、例えば化合物A〜Oであり得る。インプラントは、約30質量%の化合物(化合物A〜Oのいずれか)、40〜60質量%の生物分解性ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)ポリマー(Resomer(登録商標)RG752)(PLGA)、0〜20%の生物分解性ポリ(D,L−ラクチド)ポリマー(Resomer(登録商標)R202)(PLA)および10%のPEG−3350を含むようにホットメルト押出によって作製することができる。
【0117】
この実施例における化合物を含む生体内分解性ポリマーインプラントは、機械駆動のラムマイクロ押出機を使用して作製することができるが、直接圧縮または溶媒キャスティングによって作製することもできる。インプラントは好ましくは桿状であるが、押出または圧縮ダイを変えることによって任意の幾何学的形状に作製することができる。ポリマー(resomer)はBoehringer Ingelheimから入手したままの状態で使用する。
【0118】
化合物(化合物A〜Oのいずれか)およびポリマーレゾマー粉末を、まず15分の間秤量皿(weigh−boat)中でスパチュラを使用して15分間混合する(10質量%のPEGを含む)。混合物を次いで、2つの1/4”ステンレス鋼製球を含むステンレス鋼製容器中に移し、Turbulaミキサーを用いて2回の独立した15分サイクルで混合を続ける。粉末ブレンドを、各サイクル間および最終サイクル後にスパチュラを用いて手動で混合する。ブレンドされた材料を押出機バレル中に詰め、押出バレルをピストン押出機の加熱されたウェル(50〜55℃)中に入れ、500pmノズルおよび速度セッティングナンバー0.0025を用いて押し出す。押出フィラメント(桿状)インプラントを、1ミリグラムのインプラント(長さ約3mm)に切り出す。これらの持続的放出性生物分解性インプラントを前房内投与して、1から6ヵ月まで(またはそれ以上)減少したIOP(抗高血圧性効果)を提供することができる。
【0119】
【化18】

化合物A
【0120】
【化19】

化合物B
【0121】
【化20】

化合物C
【0122】
【化21】

化合物D
【0123】
【化22】

化合物E
【0124】
【化23】

化合物F
【0125】
【化24】

化合物G
【0126】
【化25】

化合物H
【化26】

化合物I
【0127】
【化27】

化合物J
【0128】
【化28】

化合物K
【0129】
【化29】

化合物L
【0130】
【化30】

化合物M
【化31】

化合物N
【0131】
【化32】

化合物O
【0132】
本明細書中で引用されるすべての参考文献、論文、刊行物ならびに特許および特許出願は、その全体が参照することによって組み込まれる。
【0133】
本発明をさまざまな具体例および実施形態に関して記載したが、本発明がそれらに限定されるものではなく、以下の請求の範囲内でさまざまに実施できると理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上昇した眼圧を処置するための方法であって、前記方法は、眼圧が上昇(IOP)した患者に、降圧剤と生分解性ポリマーとを含む徐放型インプラントを前房内または前部硝子体に投与するステップを含み、前記インプラントは約10質量パーセント〜約50質量パーセントの降圧剤と、約50質量パーセント〜約90質量パーセントの生分解性ポリマーとを含み、前記インプラントは治療有効量の降圧剤を約10日と約120日の間の期間にわたり放出する方法。
【請求項2】
前記インプラントはIOPをベースラインIOPの約20%〜約70%減少させることができる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上昇した眼圧を処置する方法であって、前記方法は、眼圧が上昇した患者に、ラタノプロストまたはビマトプロストおよび生分解性ポリマーを含むロッド状の徐放型インプラントを線維柱帯網に対して前房内に投与するステップを含み、前記インプラントは約10質量パーセント〜約50質量パーセントのラタノプロストまたはビマトプロストと、約50質量パーセント〜約90質量パーセントの生分解性ポリマーとを含み、前記インプラントは治療有効量のラタノプロストまたはビマトプロストを約10日と約120日の間の期間にわたり放出する方法。
【請求項4】
上昇した眼圧を処置する方法であって、前記方法は、眼圧が上昇した患者に、30ミクロンと60ミクロンの間の平均径を有する複数の徐放型生分解性マイクロスフェアと、約10質量パーセント〜約30質量パーセントの降圧剤と、約70質量パーセント〜約90質量パーセントの生分解性ポリマーとを含むマイクロスフェアを前房内または前部硝子体に投与するステップを含み、前記マイクロスフェアは治療有効量の降圧剤を約10日と約120日の間の期間にわたり放出する方法。
【請求項5】
前記生分解性ポリマーがポリ乳酸ポリグリコール酸コポリマー(PLGA)および/またはポリ乳酸ポリマー(PLA)を含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記降圧剤が、ラタノプロスト、ビマトプロストおよびトラボプロストならびにそれらの塩類、エステル類およびプロドラッグからなる群から選択される請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記降圧剤が、化合物A〜O、およびそれらの塩類、エステル類およびプロドラッグからなる群から選択される請求項4に記載の方法。
【化1】

化合物A
【化2】

化合物B
【化3】

化合物C
【化4】

化合物D
【化5】

化合物E
【化6】

化合物F
【化7】

化合物G
【化8】

化合物H
【化9】

化合物I
【化10】

化合物J
【化11】

化合物K
【化12】

化合物L
【化13】

化合物M
【化14】

化合物N
【化15】

化合物O
【請求項8】
前記ドラッグ送達システムは高粘性ヒアルロン酸を含む請求項4に記載の方法。
【請求項9】
上昇した眼圧を処置する方法であって、前記方法は眼圧が上昇した患者に、30ミクロンと60ミクロンの間の平均径を有する複数の徐放型生分解性のマイクロスフェアを前房内に投与するステップを含み、前記マイクロスフェアは約10質量パーセント〜約30質量パーセントのラタノプロストと、約70質量パーセント〜約90質量パーセントの生分解性ポリマーとを含み、前記マイクロスフェアは治療有効量のラタノプロストを約10日と約120日の間の期間にわたり放出する方法。
【請求項10】
上昇した眼圧を処置する方法であって、前記方法は眼圧が上昇した患者に、ラタノプロストおよびビマトプロストを含むロッド状の徐放型インプラントを線維柱帯網に対して前房内に投与するステップを含み、前記インプラントは約10質量パーセント〜約50質量パーセントの降圧剤と、約50質量パーセント〜約90質量パーセントの生分解性ポリマーとを含み、前記インプラントは治療有効量のラタノプロストを約10日と約120日の間の期間にわたり放出する方法。
【請求項11】
眼状態を処置するための眼内使用用医薬組成物であって、前記組成物は30ミクロンと60ミクロンの間の平均径を有する複数の徐放型生分解性マイクロスフェアを含み、前記マイクロスフェア約10質量パーセント〜約30質量パーセントの降圧剤と、約70質量パーセント〜約90質量パーセントの生分解性ポリマーとを含み、前記マイクロスフェアは治療有効量の降圧剤を約10日と約120日の間の期間にわたり放出する医薬組成物。
【請求項12】
前記マイクロスフェアが約1質量%〜約99質量%のポリマーを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリマーがPLGAである、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記降圧剤が、ラタノプロスト、ビマトプロストおよびトラボプロストならびにそれらの塩類、エステル類およびプロドラッグからなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記降圧剤が化合物A〜O、およびそれらの塩類、エステル類およびプロドラッグからなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【化16】

化合物A
【化17】

化合物B
【化18】

化合物C
【化19】

化合物D
【化20】

化合物E
【化21】

化合物F
【化22】

化合物G
【化23】

化合物H
【化24】

化合物I
【化25】

化合物J
【化26】

化合物K
【化27】

化合物L
【化28】

化合物M
【化29】

化合物N
【化30】

化合物O
【請求項16】
高粘性ヒアルロン酸をさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項17】
眼状態が緑内障である、請求項11に記載の組成物。
【請求項18】
前記降圧剤が化合物A〜O、ならびにそれらの塩類、エステル類およびプロドラッグからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【化31】

化合物A
【化32】

化合物B
【化33】

化合物C
【化34】

化合物D
【化35】

化合物E
【化36】

化合物F
【化37】

化合物G
【化38】

化合物H
【化39】

化合物I
【化40】

化合物J
【化41】

化合物K
【化42】

化合物L
【化43】

化合物M
【化44】

化合物N
【化45】

化合物O

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−521997(P2012−521997A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502224(P2012−502224)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/028584
【国際公開番号】WO2010/111449
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(390040637)アラーガン インコーポレイテッド (117)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】