説明

眼内血管新生疾患の予防又は治療剤

本発明は、クリスタリン阻害物質を有効成分として含む、眼内血管新生疾患の予防または治療剤を提供するものである。クリスタリン阻害物質の具体例としては、CCUGAAGGAGACUGGUAUGTT(配列番号1)のヌクレオチド配列を有するRNA鎖及びその相補鎖より構成されるsiRNA等の二本鎖RNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド等が挙げられる。本発明の医薬組成物は、眼内における血管新生を抑制する効果を有しており、糖尿病網膜症、未熟児網膜症等の眼内血管新生疾患に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、眼内血管新生疾患の予防または治療剤に関するものである。
更に詳しく述べれば、クリスタリン阻害物質を含む、眼内血管新生疾患の予防または治療剤に関するものである。
【背景技術】
血管新生は、一般的に、プロテアーゼによる血管の基底膜の消化・破壊、血管内皮細胞の遊走・増殖及び血管内皮細胞の分化による管腔形成、並びに血管の再構成を伴い進展する。眼内においてこのような血管新生が原因として発症する血管新生疾患としては、糖尿病網膜症、未熟児網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性症を始め種々の疾患が知られている。例えば、糖尿病網膜症は、視神経乳頭、網膜、虹彩或いは隅角に血管新生を認める失明原因の最大疾患であり、血管新生がその予後に最も重要な要因となる眼科疾患の一つである。網膜静脈閉塞症は、網膜新生血管膜を認め、硝子体出血を繰り返す重篤な血栓性疾患である。未熟児網膜症は、環境変化に伴うストレス、酸素投与、呼吸窮迫症候群、交換輸血、敗血症等の原因により早産児の網膜に血管新生を認める疾患であり、その大半は自然寛解するが、網膜剥離等の視力障害に至る場合がある。加齢黄斑変性症は、加齢に伴い網膜色素上皮細胞が脆弱化し、主として脈絡膜から網膜下に血管新生が起こり、視機能に障害を来たすことのある疾患である。
その治療方法としては、網膜光凝固術、汎網膜冷凍凝固術、硝子体手術、レーザー毛様体破壊術、毛様体冷凍凝固術、放射線照射が施行されている。また、加齢黄斑変性症はおいては、ビタミンEなどの抗酸化薬、亜鉛、インターフェロンα2aやインターフェロンβが投薬され、未熟児網膜症では、イブプロフェンが有効であることが報告されている(例えば、下記文献1参照)。しかしながら、眼内における血管新生の形成機序は未だ解明されておらず、確立された薬物療法も存在しない。
最近、加齢黄斑変性症患者のドルーゼンにおいてクリスタリンが検出されたことが報告されているが、クリスタリンと血管新生の形成との関係については何ら言及されていない(例えば、下記文献2参照)。現在、上述の眼内血管新生疾患に対し、新規な予防又は治療方法の開発が望まれている。
文献1:特開2002−326929号公報
文献2:Crabb JW.、外11名,「Proc.Natl.Acad.Sci.USA」,2002年11月,第99巻,第23号,p.14619−14621
【発明の開示】
本発明の目的は、新規な眼内血管新生疾患の予防又は治療剤を提供することである。
本発明者らは、眼内血管新生疾患の予防または治療に有用な薬剤を見出すべ鋭意検討した結果、クリスタリンが眼内における血管新生の形成に深く関与しており、このクリスタリンの発現を阻害することにより未熟児網膜症を始めとする眼内血管新生疾患における血管新生を抑制できるという驚くべき知見を得、本発明を成すに至った。
即ち、本発明は、
[1]クリスタリン阻害物質を含む、眼内血管新生疾患の予防または治療剤;
[2]クリスタリンがクリスタリンβである、前記[1]記載の予防または治療剤;
[3]クリスタリンがクリスタリンβ−B2である、前記[2]記載の予防または治療剤;
[4]クリスタリン阻害物質がクリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNAである、前記[1]〜[3]の何れかに記載の予防または治療剤;
[5]二本鎖RNAがsiRNAである、前記[4]記載の予防または治療剤;
[6]siRNAが配列番号1〜7の何れかに示されるヌクレオチド配列を有するRNA鎖及びその相補鎖より構成されるRNAである、前記[5]記載の予防または治療剤;
[7]クリスタリン阻害物質がクリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドである、前記[1]〜[3]の何れかに記載の予防または治療剤;
[8]クリスタリン阻害物質がクリスタリン阻害作用を有する化合物またはそのセンスオリゴヌクレオチドである、前記[1]〜[3]の何れかに記載の予防または治療剤;
[9]クリスタリン阻害物質が、クリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNA発現組換えベクター、クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクター、或いはクリスタリン阻害作用を有する化合物又はそのセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクターである、前記[1]〜[3]の何れかに記載の予防または治療剤;
[10]クリスタリン阻害物質が、クリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNA発現組換えベクター、クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクター、及びクリスタリン阻害作用を有する化合物又はそのセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクターから選択される組換えベクターにより形質転換された宿主細胞である、前記[1]〜[3]の何れかに記載の予防または治療剤;
[11]眼内血管新生疾患が糖尿病網膜症、未熟児網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性症、血管新生黄斑症、血管新生緑内障、虹彩ルベオーシスおよびEales病から選択される疾患である、前記[1]〜[10]の何れかに記載の予防または治療剤;
[12]眼内血管新生疾患が糖尿病網膜症である、前記[11]記載の予防または治療剤;
[13]眼内血管新生疾患が未熟児網膜症である、前記[11]記載の予防または治療剤;
[14]眼内血管新生疾患が網膜静脈閉塞症である、前記[11]記載の予防または治療剤;
[15]眼内血管新生疾患が加齢黄斑変性症又は血管新生黄斑症である、前記[11]記載の予防または治療剤;
[16]クリスタリン阻害物質を有効量投与することからなる、眼内血管新生疾患の予防または治療方法;
[17]クリスタリンがクリスタリンβである、前記[16]記載の予防または治療方法;
[18]クリスタリンがクリスタリンβ−B2である、前記[17]記載の予防または治療方法;
[19]クリスタリン阻害物質がクリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNAである、前記[16]〜[18]の何れかに記載の予防または治療方法;
[20]二本鎖RNAがsiRNAである、前記[19]記載の予防または治療方法;
[21]siRNAが配列番号1〜7の何れかに示されるヌクレオチド配列を有するRNA鎖及びその相補鎖より構成されるRNAである、前記[20]記載の予防または治療方法;
[22]クリスタリン阻害物質がクリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドである、前記[16]〜[18]の何れかに記載の予防または治療方法;
[23]クリスタリン阻害物質がクリスタリン阻害作用を有する化合物またはそのセンスオリゴヌクレオチドである、前記[16]〜[18]の何れかに記載の予防または治療方法;
[24]クリスタリン阻害物質が、クリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNA発現組換えベクター、クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクター、或いはクリスタリン阻害作用を有する化合物又はそのセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクターである、前記[16]〜[18]の何れかに記載の予防または治療方法;
[25]クリスタリン阻害物質が、クリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNA発現組換えベクター、クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクター、及びクリスタリン阻害作用を有する化合物又はそのセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクターから選択される組換えベクターにより形質転換された宿主細胞である、前記[16]〜[18]の何れかに記載の予防または治療方法;
[26]眼内血管新生疾患が糖尿病網膜症、未熟児網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性症、血管新生黄斑症、血管新生緑内障、虹彩ルベオーシスおよびEales病から選択される疾患である、前記[16]〜[25]の何れかに記載の予防または治療方法;
[27]眼内血管新生疾患が糖尿病網膜症である、前記[26]記載の予防または治療方法;
[28]眼内血管新生疾患が未熟児網膜症である、前記[26]記載の予防または治療方法;
[29]眼内血管新生疾患が網膜静脈閉塞症である、前記[26]記載の予防または治療方法;
[30]眼内血管新生疾患が加齢黄斑変性症又は血管新生黄斑症である、前記[26]記載の予防または治療方法;
[31]眼内血管新生疾患の予防または治療用の医薬組成物を製造するためのクリスタリン阻害物質の使用;
[32]クリスタリンがクリスタリンβである、前記[31]記載の使用;
[33]クリスタリンがクリスタリンβ−B2である、前記[32]記載の使用;
[34]クリスタリン阻害物質がクリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNAである、前記[31]〜[33]の何れかに記載の使用;
[35]二本鎖RNAがsiRNAである、前記[34]記載の使用;
[36]siRNAが配列番号1〜7の何れかに示されるヌクレオチド配列を有するRNA鎖及びその相補鎖より構成されるRNAである、前記[35]記載の使用;
[37]クリスタリン阻害物質がクリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドである、前記[31]〜[33]の何れかに記載の使用;
[38]クリスタリン阻害物質がクリスタリン阻害作用を有する化合物またはそのセンスオリゴヌクレオチドである、前記[31]〜[33]の何れかに記載の使用;
[39]クリスタリン阻害物質が、クリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNA発現組換えベクター、クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクター、或いはクリスタリン阻害作用を有する化合物又はそのセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクターである、前記[31]〜[33]の何れかに記載の使用;
[40]クリスタリン阻害物質が、クリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNA発現組換えベクター、クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクター、及びクリスタリン阻害作用を有する化合物又はそのセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクターから選択される組換えベクターにより形質転換された宿主細胞である、前記[31]〜[33]の何れかに記載の使用;
[41]眼内血管新生疾患が糖尿病網膜症、未熟児網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性症、血管新生黄斑症、血管新生緑内障、虹彩ルベオーシスおよびEales病から選択される疾患である、前記[31]〜[40]の何れかに記載の使用;
[42]眼内血管新生疾患が糖尿病網膜症である、前記[41]記載の使用;
[43]眼内血管新生疾患が未熟児網膜症である、前記[41]記載の使用;
[44]眼内血管新生疾患が網膜静脈閉塞症である、前記[41]記載の使用;
[45]眼内血管新生疾患が加齢黄斑変性症又は血管新生黄斑症である、前記[41]記載の使用;
[46]配列番号1〜7の何れかに示されるヌクレオチド配列を有するRNA鎖及びその相補鎖より構成されるsiRNA;等に関するものである。
詳細に述べれば、第一に、本発明者らは、高酸素負荷マウス網膜血管新生モデルを用いたin vivo試験において、血管新生が認められた網膜組織中にクリスタリンβ−B2、クリスタリンβ−A3、クリスタリンβ−A1、クリスタリンγ−Cなどの種々のクリスタリンのmRNAが高発現していることをDNAマイクロアレーにて確認した。また、血管新生が認められた網膜組織においてクリスタリンβタンパク質産生が亢進していることをウエスタンブロット法にて確認し、網膜内の新生血管が生じる部位にのみクリスタリンβが存在していることを免疫染色にて確認した。更には、ヒト糖尿病網膜症患者において、網膜新生血管部位にクリスタリンβが局在していることを免疫染色にて確認した。それ故、以上の結果から、血管新生形成やその進展においてクリスタリン、特にはクリスタリンβが深く関与していることが認められる。
更に、本発明者らは、眼内におけるクリスタリン産生を阻害すべく、特異的なクリスタリンβ阻害物質であるsiRNAを作製し、高酸素負荷マウス網膜血管新生モデルに眼内投与した。その結果、網膜組織切片の硝子体側に認められる新生血管核数が顕著に減少していることを観察した。それ故、クリスタリン阻害物質は、眼内に起きる血管新生を阻害でき、血管新生が関与して発症する眼内血管新生疾患の予防又は治療に有用であることが認められた。
即ち、下記配列番号1〜7で示されるヌクレオチド配列を有するRNA鎖及びその相補鎖より構成されるsiRNAを始めとするクリスタリン阻害物質を有効成分として含有させることにより、眼内血管新生疾患の予防または治療に有用な薬剤を提供することができる。
本発明において、眼内血管新生疾患とは、血管新生が関与して発症する眼内疾患をいい、例えば、糖尿病網膜症、未熟児網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性症、血管新生黄斑症、血管新生緑内障、虹彩ルベオーシス、Eales病等を挙げることができる。
本発明において、クリスタリン阻害物質とは、クリスタリン阻害作用を有する物質をいい、クリスタリン阻害作用とは、それ自体クリスタリンの産生或いは作用の阻害に限定されるものではなく、生体内または培養系におけるクリスタリンの産生或いは作用の阻害を含む。クリスタリン阻害物質としては、クリスタリンβに対するものが好ましく、クリスタリンβ−B2に対するものが更に好ましい。具体的には、(i)クリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNA、(ii)クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド、(iii)クリスタリン阻害作用を有する化合物及びそのセンスオリゴヌクレオチド、並びに(iv)クリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNA発現組換えベクター、(v)クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクター、(vi)クリスタリン阻害作用を有する化合物又はそのセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクター、(vii)クリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNA発現組換えベクター、クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクター、或いはクリスタリン阻害作用を有する化合物又はそのセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクターによって形質転換された宿主細胞等を例示することができる。二本鎖RNAおける二本鎖構造は、単一の自己相補性RNA鎖又は2つの別個の相補性RNA鎖により形成することができる。本発明において二本鎖RNAとしては、例えば、クリスタリン遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズ(例えば、400mM NaCl、40mM PIPES(pH6.4)、1mM EDTA、50℃又は70℃で12〜16時間ハイブリダイゼーション後に洗浄)するRNA及びその相補的RNAより構成される二本鎖RNAが含まれる。ストリンジェントな条件下とは、通常、クリスタリン遺伝子又はその一部とRNAの間において少なくとも90%の配列同一性を確立するために当該技術分野における当業者により用いられる条件を指す。ハイブリダイゼーション及びそれに続く洗浄の条件としては、例えば、Current Protocol in Molecular Biology,Vol.1,Chap.2.10,John & Sons,Publishers(1994);Sambrook et al.,Molecular Cloning,Cold Spring Harbor(1989)を参照することができる。上記の配列同一性は、当業者に公知の配列比較又はアラインメント・アルゴリズム(Sequence Analysis Primer,Stockton Press(1991);Computational Molecular Biology,Oxford University Press(1988);Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Academic Press(1993);Computer Analysis in Molecular Biology,Academic Press(1987))により計算することができる。本発明におけるクリスタリン阻害物質としては、特には、RNA干渉により標的遺伝子の機能を部分的又は完全に喪失させクリスタリンの発現を阻害する、21〜23塩基の二本鎖RNAを意味する、siRNA(small interfering RNA)が挙げられる。このようなsiRNAとしては、実施例1記載の下記配列番号1〜7の何れかに示されるRNA鎖及びその相補鎖より構成される二本鎖RNAが好ましい。尚、本発明において、クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクターとは、クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドをコードする塩基配列を複製し、標的組織または宿主細胞内で当該アンチセンスオリゴヌクレオチドを発現することができる組換えベクターを意味する。クリスタリン阻害作用を有する化合物又はそのセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクターとは、クリスタリン阻害作用を有する化合物またはそのセンスオリゴヌクレオチドを標的組織または宿主細胞内で発現することができる組換えベクターを意味する。また、クリスタリン阻害作用を有する化合物としては、クリスタリン抗体を含むタンパク質の他、クリスタリン阻害作用を有する低分子化合物等が含まれる。
本発明で使用されるsiRNAは、例えば、酵素的に或いは部分的又は全有機合成的に一般的に行われているRNA合成技術を用いて作製することができる(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989);Dna Cloning,Vol.I and II,D.N.Glover ed.,(1985);Oligo Nucleotide Synthesis,M.J.Gait ed.,(1984);Nucleic Acid Hybridisation,B.D.Hanies & S.J.Higgins eds.,(1984);Animal Cell Culture,R.I.Freshney ed.,(1986);Immobilised Cells and Enzymes,IRL Press(1986);B.Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning(1984)他)。
本発明のクリスタリン阻害物質の使用方法としては、上述のクリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNA発現組換えベクター、クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクター、クリスタリン阻害作用を有する化合物又はそのセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクターや、それらの組換えベクターによって形質転換された宿主細胞を生体内の標的組織に適当な方法により導入し、所望の二本鎖RNA、アンチセンスヌクレオチド、各種化合物又はそのセンスオリゴヌクレオチドを発現させることによる遺伝子的な予防または治療剤としての使用や、クリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNA、クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド、或いはクリスタリン阻害作用を有する化合物又はそのセンスオリゴヌクレオチドを有効成分とする医薬組成物を経口または非経口的に投与させることによる薬物的な予防または治療剤としての使用を挙げることができる。非経口的な投与方法としては、例えば、眼内への局所投与や静脈内投与を挙げることができる。
本発明において使用できるベクターとしては、プラスミドベクター、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、センダイウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター)、リポソームベクター(例えば、カチオニックリポソームベクター)等を挙げることができる。
組換えベクターにおいては、クリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNA、クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド等をコードする塩基配列の他に、これを実際に標的組織または宿主細胞に導入して所望の二本鎖RNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド等を発現させるために、その発現を制御する塩基配列(例えば、プロモーター配列、ターミネーター配列、エンハンサー配列)や微生物、昆虫細胞または動物培養細胞等を選択するための遺伝子マーカー(例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子)等を含んでいてもよい。
本発明において使用できる宿主細胞としては、例えば、大腸菌、酵母、昆虫細胞、並びにCHO細胞、COS細胞、ミンク肺上皮細胞(例えば、Mv1Lu細胞)、リンパ球、線維芽細胞(NIH/3T3細胞)、血液系細胞、腎細胞(例えば、293細胞)および腫瘍細胞(例えば、Hela細胞)等の動物細胞を挙げることができる。
組換えベクターの標的組織または宿主細胞への導入方法としては、HVJリポソーム法(金田,実験医学,Vol.12,No.2,p.78(1994);森下等,実験医学,Vol.12,No.15,p.158(1994))、クリスタリン阻害物質を注射等により直接投与する方法、リン酸カルシウム法、DEAE−デキストラン法、エレクトロポレーション法、遺伝子銃による方法(T.M.Klein et al.,Bio/Technology 10,pp.286−291(1992))、リポフェクション法によって投与する方法(Nabel et al.,Science,Vol.244,p.1285(1990))、ベクター(例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター等)を使う方法等を挙げることができる。
クリスタリン阻害物質を有効成分とする医薬組成物を実際に眼内血管新生疾患の予防または治療において用いる場合、用法に応じ種々の製剤形態のものが使用される。製剤形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒剤、トローチ剤、注射剤、直腸投与剤、座剤等を挙げることができ、経口または非経口的に投与される。
クリスタリン阻害物質を含有するこれらの各種医薬組成物は、上記クリスタリン阻害物質を有効成分として、通常用いられている賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤等の医薬品添加物と適宜混合または希釈若しくは溶解し、常法に従い調剤することにより製造することができる。
クリスタリン阻害物質の眼内血管新生疾患に対する薬物的な予防または治療における投与量は、用法、患者の年齢、性別、症状の程度や疾患の種類等を考慮して適宜決定することができる。また、クリスタリン阻害物質の眼内血管新生疾患に対する遺伝的な予防または治療における投与量も同様にして適宜決定することができる。
本発明によれば、クリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNA、クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド、クリスタリン阻害作用を有する化合物またはそのセンスオリゴヌクレオチドをコードする塩基配列またはこれを含むベクター、またはそのベクターにより形質転換させた宿主細胞を用いて標的組織に接触又は導入することにより、眼内血管新生疾患の発症または進展を抑制することができる。また、クリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNA、クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド、或いはクリスタリン阻害作用を有する化合物又はそのセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を経口または非経口的に投与することにより、眼内血管新生疾患の発症または進展を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、高濃度負荷マウスの摘出網膜新生血管におけるクリスタリンβタンパク質の発現量を示すウエスタンブロット像である。縦軸は、タンパク質の重量(kDa)を示し、横軸は誕生から網膜摘出迄の経過日数(日)を示し、ROP P13とは生後13日を、ROP P14とは生後14日を、ROP P15とは生後15日を、ROP P16とは生後16日を、ROP P17とは生後17日を、ROP P18とは生後18日をそれぞれ意味する。
第2図は、マウス網膜内の新生血管におけるクリスタリンβの発現部位を示す共焦点レーザー蛍光顕微鏡写真である。
第3図は、マウス網膜内の新生血管におけるクリスタリンβの発現部位を示す共焦点レーザー蛍光顕微鏡写真である。
第4図は、ヒト糖尿病網膜症患者におけるクリスタリンβの発現部位を示す共焦点レーザー蛍光顕微鏡写真である。
【実施例】
本発明の内容を以下の試験例および実施例でさらに詳細に説明するが、本発明はその内容に限定されるものではない。
(試験例1)
高酸素負荷マウス網膜血管新生モデルの作製
C57BL/6Jマウスを生後7日から5日間、母親と共に75%酸素下にて飼育した後、通常酸素濃度に戻した(以下、高酸素負荷群という)。対照群のマウスは生後より通常酸素濃度下にて飼育した。麻酔下にてFITC(蛍光性イソチオシアネート)−デキストラン50mg/mLを左心室に注入した後、眼球を摘出した。フラットマウント標本を作製して蛍光眼底造影を行う網膜血管新生の評価を行った。また、摘出眼球を4%パラホルムアルデヒドに固定し、乳頭を通る垂直面で半切したパラフィン包埋切片を作製してヘマトキシリン−エオジン染色を行い光学顕微鏡下で網膜血管新生の評価を併せて行った。その結果、高酸素負荷群では、生後12日後には新生血管は認められなかったが、生後15日及び17日に新生血管を顕著に認めた。
(試験例2)
網膜新生血管におけるmRNAの発現量の確認
試験例1記載のマウスを用いて、生後15日に高酸素負荷群および対照群より眼球を摘出し、摘出網膜よりRNAを抽出した。ジーンチップMGU74Av2(アフィメトリックス社製)を用いてハイブリダイゼーションを行い、両群間におけるRNA発現量の増減を比較検討した。その結果は、以下の表1に示す通りであり、網膜上の新生血管においては、クリスタリンβ−B2、クリスタリンβ−A3/A1やクリスタリンγ−CのmRNAが顕著に高発現していることが確認された。


(試験例3)
網膜新生血管におけるクリスタリンβタンパク質の発現量の確認
試験例1記載の高酸素負荷群のマウスを用いて、生後13〜18日に眼球を摘出し、摘出網膜よりタンパク質を抽出し、ウエスタンブロット法にてクリスタリンβの発現量を確認した。その結果は、第1図に示す通りであり、網膜上の新生血管においては、生後14及び15日にクリスタリンβタンパク質が高発現していた。
(試験例4)
網膜新生血管におけるクリスタリンβの発現部位の確認
試験例1にて作製したパラフィン包埋切片を用いて、クリスタリンβ特異的ペプチド抗体(StresGenSPA−230)及び血管内皮細胞特異的蛍光抗体(Griffonia simplicifolia lectin)にてクリスタリンβの発現部位を共焦点レーザー蛍光顕微鏡で確認した。その結果は、第2図及び第3図に示す通りであり、クリスタリンβの発現が血管内皮細胞に局在的に認められた。特に、硝子体側に突出している新生血管部位(neovascular tuft)に多く発現していた。
(試験例5)
ヒト糖尿病網膜症患者におけるクリスタリンβの発現部位の確認
ヒト糖尿病網膜症患者から摘出した網膜新生血管のパラフィン包埋切片を用いて、クリスタリンβ特異的ペプチド抗体(StresGenSPA−230)及び血管内皮細胞特異的蛍光抗体(Griffonia simplicifolia lectin)にてクリスタリンβの発現部位を共焦点レーザー蛍光顕微鏡で確認した。その結果は、第4図に示す通りであり、クリスタリンβの発現が新生血管部位に局在的に認められた。
【実施例1】
クリスタリンβに対するsiRNAの作製
酵素的に或いは部分的又は全有機合成的に一般的に行われているRNA合成技術を用いて、下記配列番号1で示されるRNA及びその相補的RNAを作製した後、アニーリングによりそのsiRNA(siRNA No.1)を作製した。

また、同様にして、下記配列番号2〜7で示されたRNAから相当するsiRNAを作製することができる(siRNANo.2〜7)。

【実施例2】
網膜血管新生抑制効果の確認試験
試験例1記載の高酸素負荷群のマウスを用いて、生後12、14及び16日に実施例1記載のsiRNA No.1(5μg)を生理食塩水に溶解して静注した(siRNA投与群)。尚、対照群には、生理食塩水のみ静注した。生後17日に網膜を摘出した後、摘出眼球を4%パラホルムアルデヒドに固定し、乳頭を通る垂直面で半切したパラフィン包埋切片を作製してヘマトキシリン−エオジン染色を行い光学顕微鏡下で網膜新生血管核数を測定し、血管新生の抑制効果を評価した。その結果は、表2に示す通りである。siRNAの投与により顕著な血管新生の抑制効果が確認された。


【産業上の利用可能性】
本発明は、クリスタリン阻害物質を有効成分として使用した眼内血管新生疾患の予防または治療に関するものである。本発明により、糖尿病網膜症、未熟児網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性症等の各種眼内血管新生疾患の予防または治療剤を提供することができる。
【配列表】


【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリスタリン阻害物質を含む、眼内血管新生疾患の予防または治療剤。
【請求項2】
クリスタリンがクリスタリンβである、請求項1記載の予防または治療剤。
【請求項3】
クリスタリンがクリスタリンβ−B2である、請求項2記載の予防または治療剤。
【請求項4】
クリスタリン阻害物質がクリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNAである、請求項1〜3の何れかに記載の予防または治療剤。
【請求項5】
二本鎖RNAがsiRNAである、請求項4記載の予防または治療剤。
【請求項6】
siRNAが配列番号1〜7の何れかに示されるヌクレオチド配列を有するRNA鎖及びその相補鎖より構成されるRNAである、請求項5記載の予防または治療剤。
【請求項7】
クリスタリン阻害物質がクリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項1〜3の何れかに記載の予防または治療剤。
【請求項8】
クリスタリン阻害物質がクリスタリン阻害作用を有する化合物またはそのセンスオリゴヌクレオチドである、請求項1〜3の何れかに記載の予防または治療剤。
【請求項9】
クリスタリン阻害物質が、クリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNA発現組換えベクター、クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクター、或いはクリスタリン阻害作用を有する化合物又はそのセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクターである、請求項1〜3の何れかに記載の予防または治療剤。
【請求項10】
クリスタリン阻害物質が、クリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNA発現組換えベクター、クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクター、及びクリスタリン阻害作用を有する化合物又はそのセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクターから選択される組換えベクターにより形質転換された宿主細胞である、請求項1〜3の何れかに記載の予防または治療剤。
【請求項11】
眼内血管新生疾患が糖尿病網膜症、未熟児網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性症、血管新生黄斑症、血管新生緑内障、虹彩ルベオーシスおよびEales病から選択される疾患である、請求項1〜10の何れかに記載の予防または治療剤。
【請求項12】
眼内血管新生疾患が糖尿病網膜症である、請求項11記載の予防または治療剤。
【請求項13】
眼内血管新生疾患が未熟児網膜症である、請求項11記載の予防または治療剤。
【請求項14】
眼内血管新生疾患が網膜静脈閉塞症である、請求項11記載の予防または治療剤。
【請求項15】
眼内血管新生疾患が加齢黄斑変性症又は血管新生黄斑症である、請求項11記載の予防または治療剤。
【請求項16】
クリスタリン阻害物質を有効量投与することからなる、眼内血管新生疾患の予防または治療方法。
【請求項17】
クリスタリンがクリスタリンβである、請求項16記載の予防または治療方法。
【請求項18】
クリスタリンがクリスタリンβ−B2である、請求項17記載の予防または治療方法。
【請求項19】
クリスタリン阻害物質がクリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNAである、請求項16〜18の何れかに記載の予防または治療方法。
【請求項20】
二本鎖RNAがsiRNAである、請求項19記載の予防または治療方法。
【請求項21】
siRNAが配列番号1〜7の何れかに示されるヌクレオチド配列を有するRNA鎖及びその相補鎖より構成されるRNAである、請求項20記載の予防または治療方法。
【請求項22】
クリスタリン阻害物質がクリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項16〜18の何れかに記載の予防または治療方法。
【請求項23】
クリスタリン阻害物質がクリスタリン阻害作用を有する化合物またはそのセンスオリゴヌクレオチドである、請求項16〜18の何れかに記載の予防または治療方法。
【請求項24】
クリスタリン阻害物質が、クリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNA発現組換えベクター、クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクター、或いはクリスタリン阻害作用を有する化合物又はそのセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクターである、請求項16〜18の何れかに記載の予防または治療方法。
【請求項25】
クリスタリン阻害物質が、クリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNA発現組換えベクター、クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクター、及びクリスタリン阻害作用を有する化合物又はそのセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクターから選択される組換えベクターにより形質転換された宿主細胞である、請求項16〜18の何れかに記載の予防または治療方法。
【請求項26】
眼内血管新生疾患が糖尿病網膜症、未熟児網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性症、血管新生黄斑症、血管新生緑内障、虹彩ルベオーシスおよびEales病から選択される疾患である、請求項16〜25の何れかに記載の予防または治療方法。
【請求項27】
眼内血管新生疾患が糖尿病網膜症である、請求項26記載の予防または治療方法。
【請求項28】
眼内血管新生疾患が未熟児網膜症である、請求項26記載の予防または治療方法。
【請求項29】
眼内血管新生疾患が網膜静脈閉塞症である、請求項26記載の予防または治療方法。
【請求項30】
眼内血管新生疾患が加齢黄斑変性症又は血管新生黄斑症である、請求項26記載の予防または治療方法。
【請求項31】
眼内血管新生疾患の予防または治療用の医薬組成物を製造するためのクリスタリン阻害物質の使用。
【請求項32】
クリスタリンがクリスタリンβである、請求項31記載の使用。
【請求項33】
クリスタリンがクリスタリンβ−B2である、請求項32記載の使用。
【請求項34】
クリスタリン阻害物質がクリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNAである、請求項31〜33の何れかに記載の使用。
【請求項35】
二本鎖RNAがsiRNAである、請求項34記載の使用。
【請求項36】
siRNAが配列番号1〜7の何れかに示されるヌクレオチド配列を有するRNA鎖及びその相補鎖より構成されるRNAである、請求項35記載の使用。
【請求項37】
クリスタリン阻害物質がクリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項31〜33の何れかに記載の使用。
【請求項38】
クリスタリン阻害物質がクリスタリン阻害作用を有する化合物またはそのセンスオリゴヌクレオチドである、請求項31〜33の何れかに記載の使用。
【請求項39】
クリスタリン阻害物質が、クリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNA発現組換えベクター、クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクター、或いはクリスタリン阻害作用を有する化合物又はそのセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクターである、請求項31〜33の何れかに記載の使用。
【請求項40】
クリスタリン阻害物質が、クリスタリン阻害作用を有する二本鎖RNA発現組換えベクター、クリスタリンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクター、及びクリスタリン阻害作用を有する化合物又はそのセンスオリゴヌクレオチド発現組換えベクターから選択される組換えベクターにより形質転換された宿主細胞である、請求項31〜33の何れかに記載の使用。
【請求項41】
眼内血管新生疾患が糖尿病網膜症、未熟児網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性症、血管新生黄斑症、血管新生緑内障、虹彩ルベオーシスおよびEales病から選択される疾患である、請求項31〜40の何れかに記載の使用。
【請求項42】
眼内血管新生疾患が糖尿病網膜症である、請求項41記載の使用。
【請求項43】
眼内血管新生疾患が未熟児網膜症である、請求項41記載の使用。
【請求項44】
眼内血管新生疾患が網膜静脈閉塞症である、請求項41記載の使用。
【請求項45】
眼内血管新生疾患が加齢黄斑変性症又は血管新生黄斑症である、請求項41記載の使用。
【請求項46】
配列番号1〜7の何れかに示されるヌクレオチド配列を有するRNA鎖及びその相補鎖より構成されるsiRNA。

【国際公開番号】WO2004/096277
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【発行日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505920(P2005−505920)
【国際出願番号】PCT/JP2004/006098
【国際出願日】平成16年4月27日(2004.4.27)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【Fターム(参考)】