説明

眼内近接照射療法のための方法および装置

標的組織に放射線を供給するためにカニューレが眼中に導入される、眼内近接照射療法の方法および装置を開示する。標的組織に対してカニューレを適切に位置決めし、非標的組織を保護し、x線放出体によって生成される熱を調節し、治療を組み合わせる技術を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
AMD(加齢性黄班変性症)に付随する、網膜の根底にある脈絡膜新生血管膜(CNV)をイオン化放射線(ベータまたはx線等)で照射することによってAMDを処置することを提案する。本明細書にそれぞれ参照により組み込まれる米国特許第6,875,165号および米国出願公報第2003/0179854を一般的に参照する。網膜上または網膜下で放射線を眼内送達するある装置やその使用方法は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる2005年2月11日に出願された同時係属の米国出願第11/056,763号および2005年9月15日に出願された米国出願第11/228,030号に開示される。
【背景技術】
【0002】
上述の特許および出願に記載されるように、ベータ線およびいくつかの形態のx線は、このような放射線源により送達される線量が水と同様の密度の材料(ヒトの組織等)において距離の略二乗で減衰するため、AMDを処置するのに有利である。従って、放射線源または放出体を標的組織(この場合CNV)に近接して正確に位置決めする、および/または、マスクを使用するか物質およびフィルタを減衰することで非標的組織を照射することを回避する工程を採ることで、治療用の放射線量を標的組織に送達することができるが、非標的組織(例えば、周囲の眼のあるいは眼外の構造)には殆どまたは全く線量を送達しない。本願は、このような処置の正確な標的化を実現する様々な方法および装置を開示する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一態様において、標的組織に放射線を局所的かつ方向付けて眼内送達するための装置が提供される。該装置は、眼に挿入するよう大きさが決められ、近位端および遠位端を有するカニューレを含有する。放射線放出源は、カニューレの遠位端に位置するよう適合され、超音波トランスデューサもカニューレの遠位端に位置する。一実施形態では、超音波トランスデューサは、放射線放出源に近接して位置し、第2の実施形態では超音波トランスデューサは、放射線放出源に対して遠位のカニューレに位置する。
【0004】
本発明の別の態様において、前述の通り、超音波トランスデューサを含む装置を位置決めする方法が提供される。該方法は、標的組織に対するカニューレの遠位端のための所定の間隔に従って超音波トランスデューサを校正して、所定の間隔が得られたときに信号を生成する工程を含む。カニューレを、眼の表面におけるアクセス部位を通って眼の内部に導入し、カニューレの遠位端を、超音波トランスデューサによって生成された信号がユーザによって気付かれるまで標的組織に向かって移動させる。該方法の一態様では、超音波トランスデューサによって生成された信号は可聴信号であり、本発明の別の態様では、信号は可視信号である。
【0005】
本発明の別の態様において、超音波トランスデューサを含む第2のカニューレを用いて眼の内部に放射線放出体を有する第1のカニューレを位置決めする方法が提供される。まず、第1のカニューレを、眼の表面におけるアクセス部位を通って眼の内部に導入する。次いで、第2のカニューレを、眼の表面におけるアクセス部位を通って眼の内部に導入する。次いで、第1のカニューレの遠位端を、第2のカニューレに付随する超音波トランスデューサと標的組織との間に位置決めする。次いで、第1のカニューレの遠位端を、超音波トランスデューサによって信号が生成される時点である、第1のカニューレの遠位端と標的組織との間で所定の間隔が得られるまで標的組織に向かって移動させる。また、信号は可聴信号または可視信号であってよい。
【0006】
本発明の別の態様では、眼内の標的組織に治療的処置を眼内送達するためにカニューレを位置決めする方法が提供される。まず、所定の圧力で膨張されると所定の大きさが得られる柔軟な膨張可能バルーンを有するカニューレを設け、所定の大きさは治療的処置の送達のためのカニューレと標的組織との間の所望の間隔に対応する。バルーンは柔軟または非柔軟であってよい。カニューレを、眼の表面におけるアクセス部位を通って眼の内部に導入し、所定の圧力にバルーンを膨張させる。続いて、カニューレを、膨張されたバルーンが標的組織と接触するまで標的組織に向かって進行させる。バルーンを、バルーンの膨張によって置き換えられる流体の密度よりも低密度の流体で膨張されることが好ましく、それにより、処置時間が短縮される。別の態様では、バルーンを、標的組織の形状に対応する形状を有するように選択する。
【0007】
本発明の別の態様では、眼の内部にカニューレを位置決めする方法が提供され、第1の流体の密度と異なる密度を有する第2の流体の既知の体積によって眼の内部の流体を置き換えて、第1の流体と標的組織から所定の距離で離間された第2の流体との間に可視界面を形成する。カニューレを、眼の表面におけるアクセス部位を通って眼の内部に導入して、カニューレの遠位端が界面と接触するまで第1の流体と第2の流体との界面に進行させる。カニューレには、任意選択的に、遠位端に近接して可視マークが設けられ、この場合、カニューレの遠位端を、カニューレ上の可視マークが界面と位置合わせされるまで、第1の流体と第2の流体との界面を通って進行させる。第2の流体は、第1の流体の密度よりも高いまたは低い密度を有していてよい。
【0008】
本発明による別の方法では、カニューレの遠位端が標的組織と接触する、眼の内部の標的組織を処置する第1のカニューレを位置決めする方法が提供される。第2のカニューレを、眼の表面におけるアクセス部位を通って眼の内部に導入し、第2のカニューレは標的組織に向かって光線を投射する光源を有している。第1のカニューレを、眼の表面における第2のアクセス部位を通って眼の内部に導入して、第2のカニューレによって標的組織に向かって投射された光線内に位置するように第1のカニューレの遠位端が第2のカニューレと標的組織との間に位置するようにする。これにより、標的組織にかかる第1のカニューレの遠位端によって影をおとし、影は眼のレンズを通して観察可能である。先端と先端によっておとされる影とが一致するまで標的組織に向かって第1のカニューレの遠位端を進行させることにより、標的組織との第1のカニューレの遠位端の接触が示される。
【0009】
本発明の別の態様では、カニューレを含む、標的組織に治療的処置を局所的かつ方向付けて眼内送達する装置が提供され、処置源が標的組織から所定の距離で離間されることが意図されるカニューレの遠位端に位置されるよう適合され、少なくとも一つの光源がカニューレの遠位端から二本の可視光線を投射するよう適合される。二本の光線は交点を形成し、交点が標的組織に一致する場合、処置源が標的組織から所定の距離で離間されているようにする。光源は光管またはレーザであることが好ましい。
本発明の別の態様では、表面摩擦が減少された、標的組織に治療的処置を局所的に眼内送達する装置が提供される。表面摩擦の減少は、カニューレの表面を電解研磨すること、カニューレの表面に窪みを付けること、グリセリン等の液体潤滑剤をカニューレの表面に適用すること、または、耐放射線低摩擦コーティングをカニューレの表面に設けること等により行われる。
【0010】
本発明の別の態様では、眼の内部から眼の標的組織にx線放射線を送達する方法が提供され、付随するx線放出体を備えるx線プローブを、眼の表面におけるアクセス部位を通って眼の内部に導入する。プローブを、標的組織に対して位置決めして、x線放出体を所望の放射線量が標的組織に送達されるまで間欠的に作動させる。x線放出体を、プローブに付随していることが好ましい眼の内部に位置する熱電対によって作動および停止させてよい。x線プローブは、冷却流体を受ける流路を含む、付随する熱交換器を有してもよい。更に、熱交換器は、好ましくは、比較的低い熱伝導係数を有する材料よりなるシースを含んでよい。
【0011】
本発明の別の態様では、標的組織に放射線を局所的かつ方向付けて眼内送達する装置が提供され、眼に挿入するよう大きさが決められるプローブを、プローブの遠位端に位置するよう適合される所定の長さを有する放射線放出源とともに含む。フィルタがプローブの遠位端に付随していて、放射線放出源の近位端よりも放射線放出源の遠位端でより多量の放射線を遮断し、結果として、プローブが標的組織に対してある角度で方向付けられている場合、標的組織に略対称的な線量プロフィールが送達される。一実施形態では、フィルタは、近位端に隣接するよりも放射線放出源の遠位端に隣接する方が、厚さが大きい。あるいは、フィルタは、近位端に隣接するよりも放射線放出源の遠位端に隣接する方が、より高い密度を有する場合がある。
【0012】
本発明の別の態様では、x線放射線を局所的かつ方向付けて眼内送達する装置が提供され、高密度金属層は、x線放射線を減衰するためにアノードに近接してカニューレの遠位端に付随している。金属層は、開口部を有してx線放射線を実質的に妨げられずに通過させ、開口部は、標的組織にx線放射線を方向付けて制限するよう位置されて大きさが決められる。
【0013】
本発明の別の態様では、x線放射線を局所的かつ方向付けて眼内送達する装置が提供され、カニューレの遠位端およびアノードは半球形状を有する。あるいは、カニューレの遠位端およびアノードは略平坦であり、カニューレの遠位端の長手軸に対して略垂直に方向付けられる。
【0014】
本発明の別の態様では、放射線および抗VEGF薬剤の両方で眼の内部における標的組織を処置する方法が提供される。異なる二種類の治療を14日以内の期間内に行い、好ましくは、4時間以内の期間で行い、更に好ましくは、同じ手順中に行う。薬剤は、標的組織の照射前または後に投与してよい。薬剤を更に投薬してよく、好ましくは最初の処置後2〜8週間後に与えてよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
放射線量の目標とする送達のための様々な方法および装置を以下に説明する。
放射線源の位置決め
標的組織から放射線源を適切に離間する一つの方法は、当該技術分野において公知の様々な距離フィードバックシステムを使用することである。例えば、RF(無線周波数)または超音波送信器は、上述の特許および出願に開示される放射線送達プローブおよび/カニューレに取り付けられ得る。具体的には、図1を参照すると、超音波トランスデューサ10aまたは10b、「トランスデューサ位置1」(トランスデューサ10a用)である放射線放出体14に対して近位で、または、「トランスデューサ位置2」(トランスデューサ10b用)の放射線放出体14に対して遠位でプローブ12に取り付けられ得る。トランスデューサは、超音波エネルギーを生成および感知する。トランスデューサは、外部から駆動されるスイッチによって作動され、オンにされるとトランスデューサは超音波エネルギーのパルスを交互に生成してフィードバック信号を聞く。フィードバックは、ユーザに対し、図2に示すように、画像表示15に、または、可聴信号に変換されることで、標的組織16に対するプローブの位置に関する距離情報を提供する。超音波トランスデューサの好ましい位置は、放射線源または放出体14(即ち、トランスデューサ10b)に対して遠位である。トランスデューサが放射線源または放出体に対して遠位であると、放射線源14は処置位置に移動される際にトランスデューサ中をまたはその周りを通る必要がないため、トランスデューサを比較的大きくすることができる。
【0016】
トランスデューサは、標的組織に向かってまたはプローブの先端に向かって超音波を放出することができる。プローブ先端と網膜との間の空間を考慮して処方された線量が計算されている場合には、トランスデューサは、標的組織に向かって超音波が放出されるよう方向付けられ、処置前に校正が必要となる。超音波距離校正技術は、当該技術分野において周知であり、ここでは詳細に説明しない。図3に概略的に示すように、例として、放射線放出源15の中心と標的組織との間の最適距離「X」が校正中3.0mmであると仮定すると、組織対源の分離を3.0mmにするためのトランスデューサ10bと組織16との間の実際の分離は、基本的には水の密度である硝子体液、食塩水(硝子体茎切除術後)または標的組織に匹敵する密度を有する典型的にはプラスチック材料の標的18を用いて眼外で決定される。校正するために、プローブ12は固定され、トランスデューサ10bがオンにされる。システムのソフトウェアを用いて、現在の位置を「処置位置」として識別する。校正は、装置の製造場所または臨床部位で行われてよい。好ましくは外科用顕微鏡の接眼レンズを通して見ることができる図2に示すような超音波表示により、執刀医が超音波出力を見てプローブが適切に位置決めされたときを決定することができる。代替的には、または、追加的には、以下により詳細に説明するように、所望の間隔に達したときに可聴信号が供給され得る。
【0017】
ある状況においては、トランスデューサは、例えば、標的組織の表面にプローブを接触させることで放射線源が位置決めされるときに、プローブの先端に向かって超音波を放出することができる。このような場合には、校正は任意である。プローブの先端と網膜との接触を仮定して処方された線量が計算されると、執刀医は接眼レンズを通して直接超音波出力を見て接触したときを決定することができる。先端と網膜との間の幾らかの分離を仮定して処方された線量が計算されると、システムは、上述の通り、製造後または処置前に校正される必要がある。超音波が先端に向かって方向付けられると、先端は、シリコンまたは液体で満たされたバルーン等、プローブを形成する金属より低密度の材料よりなってよい。これにより、高密度金属からの影が超音波画像に映ることを防止する必要があり、組織をより傷付けなくなる。
【0018】
更なる選択肢では(図4に示すように)、超音波トランスデューサ20は、放射線送達プローブから全体的に分離した器具22の一部であってよい。この場合、超音波トランスデューサ20は、硝子体腔に位置決めされる眼内の別の開口部に導入されるか、眼の外部に位置決めされる。図5に示すように、放出体26を有する放射線プローブ24は、超音波トランスデューサと標的組織16との間に位置する。
【0019】
各瞬間には、トランスデューサからの出力は、執刀医に実時間の位置フィードバックを提供し、プローブの位置を調節して処方された線量の放射線を送達することができるようにする。例えば、プローブが標的から離間したときに一秒のインクリメントで別個のトーンまたはビープを生成することができる。ビープ周波数は、プローブが標目に近付くほど増加する。プローブが標目に接触すると、ビープトーンが連続的に発せられる。標的組織を放射線露光している間、記録装置は処置の継続時間中プローブの位置を記述するデータを収集する。データは、送達される線量の手順後分析に使用されてよい。出力を分析して各位置における源の位置および時間の長さの両方を決定することができる。該情報が放射線源の線量率と組み合わされると、標的組織に送達される正確な線量が計算される。
【0020】
代替的には、放射線源は、送達プローブの一部を構成する柔軟バルーンを用いることにより標的組織から適当に離間されていてよい。具体的には、図6に示すように、ラテックスまたはシリコン等の柔軟または半柔軟な材料よりなるバルーン28が放射線送達プローブ30の遠位端に取り付けられる。バルーン28は、特定の圧力/サイズ関係によって設計される。図7を参照すると、プローブには、バルーン28を膨張させるためのルーメン32(放射線源ルーメン33に加えて)が設けられている。膨張ルーメン32の近位端はルア接続部34により眼の外部で終端し、膨張ルーメン32の遠位端はバルーンを膨張させるために流体を逃がす穴またはポート36が形成されたバルーン28の下でプローブ30の遠位端で終端する。膨張流体(気体あるいは液体)で満たされたポンプまたは膨張シリンジ等の圧力源は、近位のルア接続部34に取り付けられる。圧力源は、閉鎖系の圧力をモニタリングする手段を含む。バルーンを膨張させる流体は圧縮可能(例えば、窒素、空気、二酸化炭素)または非圧縮可能(例えば、食塩水、グリセリン、または油)である。圧縮源は、作動されて、流体は所望の圧力にバルーンを膨張させる。バルーンは、低圧力が既知の小体積と相関し、高圧力が既知の大体積と相関するよう設計される。バルーンは、組織からの所望の距離に放射線源を位置決めする所望の圧力に膨張される。バルーンが所望の圧力に膨張されると、プローブ/膨張されたバルーンは、網膜に向かって移動され、放射線源が標的組織上に位置決めされてバルーンが網膜と軽く接触する。放射線が送達された後、バルーンは収縮され、システムが眼から引き抜かれる。
【0021】
放射線源が組織から離れて位置決めされるほど、処方された線量を得るために処置分野がより広く且つ源がより長く定位置にある必要がある。この現象は図8および図9に示される。その結果、低密度の流体(例えば、気体)を用いてバルーンを膨張させる利点の一つは、放射線が気体によって著しく減衰されず、そのため、バルーンが高密度の材料で満たされた場合よりも放射線源が単位時間当たりより高い線量率を送達することができる点である。更に、線量分布は、低密度の流体で空間的により均一になる。バルーンの幾何学的形状は、所望の性能特性に依って球形、円筒形、立方体、ピラミッド形等であってよい。バルーンは、網膜を金属プローブで直接触ることと比べて、網膜を比較的柔らかく触るといった更なる利点を有する。追加的には、執刀医の手から生じて放射線送達プローブを介して網膜に伝わる負荷は、バルーンが網膜に接触するために使用される場合に、より大きい面積にわたって分布される。
【0022】
柔軟バルーンの使用の代替例として、PET等の材料よりなる非柔軟バルーンが放射線送達プローブの先端に取り付けられていてよい。非柔軟バルーンは、上述の流体のいずれかによって所定の圧力に膨張され、調節できない既知の体積に膨張される。この既知の体積により、プローブを標的組織から既知の距離に位置決めする。手順は、柔軟バルーンを使用したときと同じである。
【0023】
図10および図11を参照すると、標的組織に対して治療用プローブ28を適切に位置決めする更なる代替的な方法は、食塩水もしくは硝子体液よりも高い密度、または食塩水もしくは硝子体液よりも低い密度を有する既知の体積の流体、例えば気体を眼に注入することによって、眼の内部に「バブル」を作ることを含む。注入される流体の体積は、一般的な眼の幾何学的形状を仮定して、あるいは、患者の眼を測定した後に計算され、また流体の所望の深さに基づいている。流体の深さは、硝子流体または食塩水と新たに導入された流体との間の界面40を決定する。この深さは、装置の先端を位置決めする際に執刀医への信号として使用される。図10に示すように、執刀医は、装置の先端が高密度流体に接触するときを、顕微鏡を通して見ることができる。これは、執刀医に対して、装置38の先端と標的組織との間が適当な距離の分離に達して、放射線量が送達され得ることを示している。治療中、執刀医は、先端をこの正確な位置で保持する。代替的には、プローブ38の先端が低および高密度の流体間の界面40の内側の位置に置かれる場合、プローブ38の外面は、プローブ38が界面40を越えて進行することができる程度を示すスクライブ線42または他の視覚的マークを含んでよい。図11に示すように、執刀医は、顕微鏡で見ながら、視覚的インジケータを流体界面と位置合わせして源を送達することができる。処置後、標準的な硝子体茎切除術を用いて密度の高い流体が除去され、食塩水で置き換えられる。
【0024】
図12Aおよび12Bに示す、標的組織と緩やかに接触してプローブの先端を位置決めする更なる技術は、顕微鏡を通して硝子体網膜手術中に執刀医が患者のレンズを通して見ることができる眼の内部にプローブ44からの影を形成することを含む。このため、執刀医は、プローブ先端と共に標準的な照明器または光管46を用いてよい。光管46がプローブに対して正確に位置決めされると、プローブから網膜表面50に影48をおとす。影48の形状および位置を見ることによって、執刀医は網膜50に対するプローブ先端の位置を決定することができる。執刀医がプローブ44を網膜50に向かって移動させると、影48の先端とプローブ44とが集束して最終的には重なり合い、網膜50との接触をシグナル伝達する。執刀医がプローブ44を網膜50から離れるように移動させると、影48の先端およびプローブ44が互いから遠ざかる。
【0025】
図13A、図13Bに示される、プローブを位置決めする更なる方法では、プローブ52に一つまたは二つの光管あるいはレーザ54および二つのポート56をプローブ52の遠位端に設けて、光源54がプローブ52から逃げることができるようにする。光54は、標的組織上にプローブ52が離間される距離に対応するプローブ52から離間した所定の距離で交差するように合焦され、源が標的組織上で所望の高さに位置決めされる。執刀医は光54をオンにし、プローブ52を網膜に向かって移動し、二つの光線の交点が標的組織に到達すると、プローブ52は標的組織から所望の距離になる。
【0026】
プローブと硝子体液との間の牽引の減少
硝子体網膜手術は、既存の手術器具に適合する、眼の固有の環境のために設計された器具を必要とする。本発明で使用される放射線送達装置のプローブは、トロカールを含む既存のゲージ手術器具20に適合する断面を有することが好ましい。20本のゲージよりも大きいサイズのプローブは、牽引により網膜はく離等の合併症の可能性を高める。これは、眼に挿入される際のプローブの表面積の増大およびプローブの体積置換に起因する。プローブと硝子体液との間の牽引を減少させるために、金属製の場合にはプローブの外面に電解研磨を行って円滑な表面を提供することにより表面摩擦を減少させることができる。代替的には、公知の表面仕上げまたは機械加工技術を用いてミクロまたはマクロレベルでプローブの表面に窪み(ゴルフボールに類似する)を形成してよい。プローブの外面に窪みを形成することで、フロー条件(プローブの挿入および除去)下で表面摩擦を減少させる。
【0027】
追加的には、グリセリンまたはヒンジのない器具の潤滑剤(Steris社から入手可能)等の液体潤滑剤をプローブの外面に適用して、プローブ/硝子体液界面での摩擦を減少させてよい。更に、同じ目的を達成するためにプローブに低摩擦コーティングが設けられていてよい。
【0028】
X線放出体を用いた温熱調節
眼内のx線の生成は、組織損傷に対する閾値を超えて眼内の温度を上昇させ得る。眼に伝達される熱を制限するために、幾つかの対策が採られる。最初に、連続的にオンにされる代わりに、x線生成器によってパルス化して、それにより既知の周波数で自動的にオンとオフとを交互にしてよい。更に、パルス化の周波数は眼中の熱電対(x線プローブに内蔵されているか異なるポートを介して挿入される)によって調整されていてよい。追加的または代替的には、放出体を冷却する手段が使用され得る。例えば、図14を参照すると、熱交換器58がx線プローブ60の電極の外部に内蔵され、冷却流体(気体または液体)がポンプまたは他の圧力源62によって熱交換器中を循環され、x線プローブ60の全体的な熱負荷が減少され得る。加えて、x線放出体60には、熱伝導率係数が低い材料よりなるシース64が熱源(電極)と眼との間に設けられていてよい。
【0029】
更に、図15に示すように、熱電対66または他の温度感知器具がx線コントローラ70に温度データフィードバックを供給するためにx線プローブ68のアノードにあるいはその近傍に配置され得る。温度がある閾値を超えると、コントローラ70はx線システムのエネルギー出力を自動的に調節することができる。
【0030】
非標的組織の線量分布および保護
ベータ放射線および低エネルギーx線放射線は、ガンマ放射線の形態と比較して、それぞれ水中を進行すると急激に線量が低下する。外部放射線の他の携帯は、数センチメートル内で浸透深さを制御することができるが、線量分布はベータおよび低エネルギーx線放射線よりもあまり制御されない。本発明のプローブは、他の放射線の手段よりも線量分布および浸透深さをより正確に制御するといった利点を有する。
【0031】
非標的組織のマスキングおよび/またはフィルタ等による標的組織に向けられた放射線以外の減衰により、「目標とする」放射線アプローチの使用により、周囲の眼の構造が巻き添えで損傷する危険性を低下させながら標的組織により高い総線量を送達することが可能である。目標とするアプローチが使用されない場合(アルファまたはガンマ放射線源等)、総線量は近隣の眼の構造への危険性により制限される。更に、より小体積の組織が照射された場合には放射線網膜症の危険性が低下し、目標とするアプローチによって、照射された組織の治癒応答が改善される。
【0032】
網膜の健康な領域を保護することは、放射線により誘発される副作用の危険性を低下されるため、望ましい。線量分布は、成形フィルタ70を放射線源72の後ろに配置することで(図16A参照)、源76と組織との間に放射線窓74を形成することで(図17A、17Bを参照)、または、放射線源と組織との間に低密度流体を導入することで(図6を参照して上述したようにバルーンを離間させるために膨張流体に気体を使用する等)マスクされていてよい。成形フィルタ70および放射線窓74は、プラチナイリジウム等の高密度材料よりなり、図16Bおよび図17Cに模式的に示すように、分布をより均一にする、分布を広げるおよび/または分布を狭める等、線量分布を成形するのに役立つ。本願で参照により組み込まれる、例えば、WO2005/049139を参照。放射線窓74は、線量分布に対して同様の変更を施すことができる。一般的に、成形フィルタ70または放射線窓74を追加すると、全体のドウェル時間を増加させる。
【0033】
網膜が略半球形状であり、放射線プローブへの入射角が多数あるため、プローブから放射線を方向付ける能力を有することが望ましい場合がある。ベータ放射線は、厚いおよび/または密度の高い材料より遮断される。密度の高い材料を用いることにより、制動放射(二次ガンマ放射線)の放出が増加される。図16Bに示すように、装置の先端にある金属の密度および/または厚さを変更することで、ベータ線量場の形状が変更される。
【0034】
代替的には、図18Aおよび18Bを参照して、食塩水(気体等)よりも低密度の流体で満たされたバルーン78が源と組織との間に配置され得る。低密度流体は、周囲の硝子体液または食塩水ほど放射線を減衰させない。その結果、硝子体液を通じて治療を行うときと比べて、治療時間が短縮される。治療時間が短縮されると、比較的高密度の食塩水または硝子体液によってマスクされた他の眼の構造をより保護することができる。バルーンは、バルーンとの接触領域外の組織がマスクされる一方でバルーンと接触する組織が処置されるように、標的組織の形状と対応するよう成形される。病変の形状と一致するよう、多数のバルーンの幾何学的形状が考えられる。接触領域が病変の形状と対応するようにバルーンを成形することによっても、標的組織における虚血の可能性を低下させる。手順の工程および基本的なプローブ設計は上述の通りである。
【0035】
プローブの先端の磁石(例えば、図1においてトランスデューサが配置される、位置2)および外部磁石の使用により、放射線源の網膜からの方向および距離が制御され得るよう柔軟なx線またはベータ放射線プローブは定位固定的に案内され、眼の内部に位置決めされる(例えば、本願で参照により組み込まれるミズーリ州セントルイスのSereotaxis社による米国特許第6,755,816号参照)。放射線プローブは、眼に挿入され、装置が作動される。磁石は、x線またはベータ放射線場が病変上を掃くようプローブを移動させるように交互に励磁され得る。磁石は、所望の処置計画方法が予めプログラミングされたコンピュータによって制御され得る。網膜上を掃くことで、根底の疾患を処置するのに必要な線量に対する執刀引の評価に依存して、標的の異なる領域に異なる線量を送達することができる。
【0036】
図19に示すように、低エネルギーのx線放射線は、高密度金属80の薄層によって遮断され得る。更に、低エネルギーx線放射線は、図20A〜Cに示すようにアノード82および/またはカソードの幾何学的形状によって成形されていてよい。例えば、x線放出体のアノード82が半球形である場合(図20A)、x線放射線は、180°の弧(側面から見た場合)にわたって放出体の先端の周りに放出される。アノード82が平坦な形状(図20Bまたは図20C)を有する場合、x線は放出体の端部から略「長手方向」に放出される。局所的x線光線は標的組織の小部分に特に方向付けられ得る。この網膜の処置領域への選択的なアプローチは、非標的組織を保護する際に特に有用であり得る。
【0037】
放射線への過度の露光から非標的組織を保護する別の方法は、標的組織の境界線をより正確に画定することである。色眼底撮影法および蛍光眼底血管造影法等の処置前診断テストは、AMD病変の特定の境界線を可視化する方法を提供する。次に、線量分布の局所的性質により、一般的に網膜に線量を与える代わりに、執刀医は病変あるいは病変の一部を具体的に標的することができる。
【0038】
色眼底写真は、執刀医が外科用顕微鏡を通して見る解剖学的特徴と同様の特徴を示す、網膜の写真または画像を提供する。色眼底写真により、執刀医はドルーゼ、主な網膜血管、および、他の特徴を見ることができる。しかしながら、これらの写真から(および手術中に)AMD病変および漏れの程度を見ることは困難である。
【0039】
AMD病変および漏れの程度を見るためには、x線不透過色素が患者に静脈内に注入される。色素が血流を通り最終的に網膜循環に到着すると、撮影者はx線をオンにし、網膜および脈絡膜の循環を潅流する際の色素のフレームを捕捉する。x線画像は、眼底撮影法では見ることができないAMD漏れの境界線を示す。
【0040】
手術前にImagenetソフトウェアを用いると、血管、血管分岐、および、視神経円板等の顕微鏡で見ることができる生体構造に対して病変の境界線を位置することができる。この情報により、標的組織からのプローブの間隔、放射線源のドウェル時間、放射線源の中心の位置、および/または、手術中に使用する成形フィルタまたは窓のタイプを決定することを含む、処置計画方法が展開され得る。
【0041】
放射線量率は、源と標的との間の距離の二乗に反比例し、線量場は源と標的との間の分離が増加すると広がる。放射線物理学のこれら特徴は、線量分布の形状を制御するために使用されてよい。上述の柔軟バルーンと併せて、線量分布はAMD病変と具体的に一致するよう変更されてよい。具体的には、病変の程度が測定され得る。柔軟バルーンは、所与の膨張体積に対して放射線源の所定の間隔を与えるよう設計され得る。それにより、病変の大きさに基づき、治療用放射線量を与えるための放射線源の設計のされた間隔を設ける膨張体積が既知となり、バルーンは該体積に膨張され得る。
【0042】
上述の同時係属出願に記載されるように、過度の副作用を生ずることなく標的組織に対して所望の処置効果を有する線量の治療範囲が存在する。治療範囲未満の線量は、CNV漏れを中止するに十分でない。治療範囲を越えるの線量はCNV漏れを中止するが、処置の危険性が処置の利益をまさる副作用を生ずることもある。治療範囲は、イオン化放射線で眼内近接照射療法に固有である。治療範囲は、他のエネルギー源または供給手段に伴って変化する可能性が高い。ベータ放射線に対する治療範囲は、約7〜50Gy(CNVで測定される)。好ましい線量は10Gy〜30Gyである。
【0043】
標的組織の組合せ治療および/または再処置
現在使用されているあるいは開発されている他の治療物質と共に非イオン化放射線で黄班変性症を処置することが有利であり得る。例えば、血管内皮増殖因子(VEGF)カスケードに作用にするある薬剤物質が現在開発されている。VEGFは血管拡張作用があり血管増殖作用がある。血管拡張特徴は結果として漏れやすい血管壁を生じ、血管増殖作用は結果として新しい血管を形成する。抗VEGF薬剤、例えば、マクゲン(Macugen)(登録商標)、アバスチン(Avastin)(登録商標)、および、ルセンチス(Lucentis)(登録商標)はVEGFに結合することで血管拡張および血管増殖を防止し、CNV漏れを中止する。
【0044】
抗VEGF薬剤ルセンチス(登録商標)を用いた臨床トライアルは、血管拡張および血管増殖の効果を遅くするだけでなく、注入直後の漏れを減少させるのに有効であることを示している。しかしながら、その効果は恒久的ではなく、最大の効果を得るためには薬剤を毎月注入する必要がある。反対に、放射線処置がDNAレベルで細胞分裂に干渉することによって行われるため、放射線処置の効果は直ぐにでないと予想される。実際に、臨床トライアルでは、術後一週間で視力の低下を示し、四週間で僅かな改善が見られ、二ヶ月で大きく改善された。従って、抗VEGFと放射線治療との組み合わせ処置は、主に薬剤により早発効果が得られ、主に放射線治療により遅発効果が得られる。
【0045】
放射線処置と、抗VEGFによる処置との時間間隔は、好ましくは二週間以内、より好ましくは、五日以内、更に好ましくは、四時間以内である。最も好ましい時間間隔は15分以内である。つまり、放射線および抗VEGFの両方は同じ手順の間に投与される。これは、上記同時継続出願に示して記載するように、放射線量を送達するカニューレまたはプローブが抗VEGFを注入し得る別個のルーメンも含む単一の装置で実施されてよい。放射線源は、好ましくは5〜30cGy/秒の線量率、より好ましくは8〜15cGy/秒の線量率で20〜30Gyの標的組織への放射線量を送達する、ベータ放出体または小型x線放出体であってよい。抗VEGF薬剤は、近接照射療法の前、後、あるいは、前後の両方に送達されてよい。
【0046】
抗VEGF薬剤の後続投与は、組み合わせ治療の効果を向上させるために眼内に標的組織に投与されてよい。二回目の投与は、最初の投与から2〜8週間後、好ましくは、最初の投与から3〜5週間後、より好ましくは最初の投与から25〜35日後に与えられ得る。
【0047】
黄班変性症の処置のために他の治療剤またはモダリティが放射線と組み合わせて使用されてよい。これは、限定されない例として、どの組み合わせでも、一つ以上の低分子干渉RNA(「siRNA」)、光力学的治療(「PDT」典型的にはベルテポルフィンを感光剤として)、コルチコステロイド(トリアムシノロンアセトニドおよびデキサメタゾン)、アンギオスタチックステロイド(例えば、アネコルタブアセテート)、カプセル化されたヒト毛様体神経栄養分子のインプラント(「CNTF」−NTC−201)、VEGFトラップ、栄養補助食品(例えば、ドコサヘキサノン酸)、坑炎症剤(例えば、インフウリキシマブ、シロリムス、デシリズマブ、または、ケトロラクトロメタミン)、インターフェロン、抗代謝薬(例えば、メトトレキサート)、スクアルアミンラクテート(アミノステロール)、ルボキシタウリンメシラート(タンパク質キナーゼCベータ抑制剤)、フルオシノロンアセトニドインプラント、モノクローナル抗体(例えば、スフィンゴマブ)、および、酸化防止剤を挙げることができる。このような薬剤は、硝子体内、静脈内、皮下内(注入)、経口、局所(目薬を含む)および、移植等幅広い種類の方法で投与される。
【0048】
標的組織の再照射が示されてもよい。放射線への組織応答は、投与される線量に比例し、放射線に対して四つの一般的な組織応答がある。低線量(治療閾値未満)では、組織応答は僅かか持続しない。治療閾値以上であるが毒性閾値未満の線量では、所望の治療効果に達する。毒性閾値以上の線量では、長期繊維症および瘢痕化が生ずる。治療閾値を著しく越える線量では、明確な壊死および瘢痕化が生ずる。
【0049】
AMDに対する外部放射線治療による分割研究からは恩恵が受けられない。しかしながら、放射線によるAMDの再発を示す患者の再処置は、毒性の閾値を超えることなく利益を提供することができる。同文書は、多数の処置に亘る放射線の組織における蓄積効果の証拠を幾らか提供する(即ち、先に照射された組織は未使用の組織よりも新たな放射線処置に対してより敏感である)。この理論が証明されると、第1回、第2回、および、第3回の投与方法に影響を及ぼす場合がある。追加的には、組織は、放射線処置間で時間とともに回復する場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、眼の内部における標的組織に対して処置プローブを位置決めする超音波技術の概略図である。
【図2】図2は、図1と関連して説明する、超音波位置決め技術に関する画像表示の概略図である。
【図3】図3は、図1と関連して説明する、超音波位置決めシステムを校正する方法の概略図である。
【図4】図4は、超音波トランスデューサが、放射線放出体を含むプローブとは別のプローブに取り付けられている眼の内部において処置プローブを位置決めする方法の概略図である。
【図5】図5は、超音波トランスデューサが、放射線放出体を含むプローブとは別のプローブに取り付けられている眼の内部において処置プローブを位置決めする方法の概略図である。
【図6】図6は、遠位端に固定された離間するバルーンを有する処置プローブの概略図である。
【図7】図7は図6のプローブの断面図である。
【図8】図8および図9は、小さいバルーンによって得られる放射線源の間隔における線量分布(図8)および比較的大きいバルーンが使用されたときの線量分布(図9)におけるコントラストを示す、投与された線量対放射線源からの距離のグラフである。
【図9】図8および図9は、小さいバルーンによって得られる放射線源の間隔における線量分布(図8)および比較的大きいバルーンが使用されたときの線量分布(図9)におけるコントラストを示す、投与された線量対放射線源からの距離のグラフである。
【図10】眼中の流体と異なる(高い)密度を有する流体が眼に注入されている眼の内部においてプローブを位置決めする方法を示す。
【図11】眼中の流体と異なる(高い)密度を有する流体が眼に注入されている眼の内部においてプローブを位置決めする方法を示す。
【図12】AおよびBは、別の光源を用いて眼の内部に送達プローブを位置決めする方法を概略的に示す。
【図13】AおよびBは、一体化された一対の光源を有するプローブを位置決めする二つの代替例を概略的に示す。
【図14】付随する熱交換器を有するx線放射線プローブを概略的に示す。
【図15】温度データを提供する熱電対を含むx線放射線プローブを概略的に示す。
【図16】図16AおよびBならびに図17A〜Cは、放射線量場を成形する手段(図16A、図17A、図17B)を含む放射線送達プローブと、このような手段を組み込むことによる線量場への影響(図16B、図17C)とを概略的に示す。
【図17】図16AおよびBならびに図17A〜Cは、放射線量場を成形する手段(図16A、図17A、図17B)を含む放射線送達プローブと、このような手段を組み込むことによる線量場への影響(図16B、図17C)とを概略的に示す。
【図18】AおよびBは、バルーンが送達プローブに取り付けられた非標的組織を保護する方法を概略的に示す。
【図19】図19および図20A〜Cは、x線放射線プローブの線量プロフィールを成形する手段を示す。
【図20】図19および図20A〜Cは、x線放射線プローブの線量プロフィールを成形する手段を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的組織に放射線を局所的に眼内送達するための装置であって、
眼に挿入するよう大きさが決められ、近位端および遠位端を有するカニューレと、
カニューレの遠位端に位置するよう適合される放射線放出源と、
カニューレの遠位端に位置する超音波トランスデューサと
を含む装置。
【請求項2】
超音波トランスデューサは、放射線放出源に近接するカテーテルの遠位端に位置する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
超音波トランスデューサは、放射線放出源に対して遠位のカニューレの遠位端に位置する、請求項1記載の装置。
【請求項4】
眼内標的組織に放射線を局所的に送達するために、請求項1記載の装置を位置決めする方法であって、
標的組織からカニューレの遠位端に関する所定の間隔に従って超音波トランスデューサを校正して、所定の間隔が得られたときに信号を生成する工程と、
眼のアクセス部位を通って眼にカニューレを導入する工程と、
超音波トランスデューサによって生成された信号がユーザに気付かれるまで標的組織に向かってカニューレの遠位端を移動させる工程と
を含む方法。
【請求項5】
超音波トランスデューサによって生成された信号は可聴信号である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
超音波トランスデューサによって生成された信号は可視信号である、請求項4記載の方法。
【請求項7】
眼内の標的組織に治療的処置を送達するために眼内に第1のカニューレを位置決めする方法であって、
眼のアクセス部位を通って眼に第1のカニューレを導入する工程と、
眼のアクセス部位を通って眼に第2のカニューレを導入する工程であって、第2のカニューレが超音波トランスデューサを含む工程と、
第2のカニューレに付随する超音波トランスデューサと標的組織との間に第1のカニューレの遠位端を位置決めする工程と、
超音波トランスデューサによって信号が生成される時点である、第1のカニューレの遠位端と標的組織との間の所定の間隔が得られるまで標的組織に向かって第1のカニューレの遠位端を移動させる工程と
を含む方法。
【請求項8】
超音波トランスデューサによって生成された信号は可聴信号である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
超音波トランスデューサによって生成された信号は可視信号である、請求項7記載の方法。
【請求項10】
眼内の標的組織に治療的処置を眼内送達するためにカニューレを位置決めする方法であって、
特定の圧力に膨張されると所定の大きさが得られる柔軟な膨張可能バルーンを含むカニューレを設ける工程であって、所定の大きさが治療的処置を送達するためのカニューレと標的組織との間の所望の間隔に対応する工程と、
眼のアクセス部位を通って眼にカニューレを導入する工程と、
特定の圧力にバルーンを膨張させる工程と、
膨張されたバルーンが標的組織と接触するまで標的組織に向かってカニューレを進行させる工程と
を含む方法。
【請求項11】
バルーンを、バルーンの膨張によって置き換えられる流体の密度よりも低密度の流体で膨張させる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
標的組織の形状に対応する形状を有するようにバルーンを選択する工程を更に含む、請求項10記載の方法。
【請求項13】
眼内の標的組織に治療的処置を眼内送達するためにカニューレを位置決めする方法であって、
膨張すると所定の大きさが得られる非柔軟な膨張可能バルーンを含むカニューレを設ける工程であって、所定の大きさが治療的処置を送達するためのカニューレと標的組織との間の所望の間隔に対応する工程と、
眼の表面におけるアクセス部位を通って眼の内部にカニューレを導入する工程と、
バルーンを膨張させる工程と、
膨張されたバルーンが標的組織と接触するまで標的組織に向かってカニューレを進行させる工程と
を含む方法。
【請求項14】
バルーンを、バルーンの膨張によって置き換えられる流体の密度よりも低密度の流体で膨張させる、請求項13記載の方法。
【請求項15】
標的組織の形状に対応する形状を有するようにバルーンを選択する工程を更に含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
第1の流体で満たされた眼内の標的組織に治療的処置を眼内送達するために遠位端を有するカニューレを位置決めする方法であって、
第1の流体の密度と異なる密度を有する第2の流体の既知の体積によって標的組織と隣接する第1の流体を置き換えて、第1の流体と標的組織から所定の距離だけ離間された第2の流体との間の可視界面を形成する工程と、
眼のアクセス部位を通って眼にカニューレを導入する工程と、
カニューレの遠位端が界面と接触するまで第1の流体と第2の流体との界面に向かってカニューレを進行させる工程と
を含む方法。
【請求項17】
遠位端に近接して可視マークをカニューレに設ける工程と、カニューレの可視マークが、第1の流体と第2の流体との界面と位置合わせされるまで、第1の流体と第2の流体との界面を通ってカニューレを進行させる工程とを更に含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
第2の流体の密度は第1の流体の密度よりも高い、請求項16または17記載の方法。
【請求項19】
第2の流体の密度は第1の流体の密度よりも低い、請求項16または17記載の方法。
【請求項20】
レンズを有する眼内の標的組織に治療的処置を眼内送達するために遠位端を有する第1のカニューレを位置決めして、カニューレの遠位端を標的組織と接触させる方法であって、
眼のアクセス部位を通って眼に第2のカニューレを導入する工程であって、第2のカニューレが標的組織に向かって光線を投射する光源を有している工程と、
眼の第2のアクセス部位を通って眼に第1のカニューレを導入して、第2のカニューレによって標的組織に向かって投射された光線内で、第1のカニューレの遠位端が第2のカニューレと標的組織との間にあるようにして、標的組織にかかる第1のカニューレの遠位端によって影をおとすようにする工程であって、影が眼のレンズを通して観察可能である工程と、
レンズを通して見た際に、第1のカニューレの遠位端によっておとされる影が第1のカニューレの遠位端と一致するまで標的組織に向かって第1のカニューレの遠位端を進行させることにより、標的組織との第1のカニューレの遠位端の接触を示す工程と
を含む方法。
【請求項21】
標的組織に治療的処置を局所的に眼内送達する装置であって、
眼に挿入するよう大きさが決められ、近位端および遠位端を有するカニューレと、
カニューレの遠位端に位置されるよう適合される治療的処置源であって、治療的処置を送達するために標的組織から所定の距離で離間されることが意図される源と、
カニューレの遠位端から二本の可視光線を投射するよう適合される少なくとも一つの光源であって、光線は交点を形成し、交点が標的組織に一致すると処置源が標的組織から所定の距離で離間されている光源と
を含む装置。
【請求項22】
光源は光管である、請求項20または21記載の装置。
【請求項23】
光源はレーザである、請求項20または21記載の装置。
【請求項24】
標的組織に治療的処置を局所的に眼内送達する装置であって、
眼に挿入するよう大きさが決められ、摩擦を減少するよう電解研磨された表面を有するカニューレ
を含む装置。
【請求項25】
標的組織に治療的処置を局所的に眼内送達する装置であって、
眼に挿入するよう大きさが決められ、摩擦を減少するよう窪みが形成された表面を有するカニューレ
を含む装置。
【請求項26】
標的組織に治療的処置を局所的に眼内送達する装置であって、
眼に挿入するよう大きさが決められ、摩擦を減少するよう液体潤滑剤が適用されている表面を有するカニューレ
を含む装置。
【請求項27】
液体潤滑剤はグリセリンである、請求項26記載の装置。
【請求項28】
標的組織に治療的処置を局所的に眼内送達する装置であって、
眼に挿入するよう大きさが決められ、低摩擦コーティングが適用されている表面を有するカニューレ
を含む装置。
【請求項29】
低摩擦コーティングはポリテトラフルオロエチレンである、請求項28記載の装置。
【請求項30】
x線放出体を備える細長いプローブを有するx線送達装置によって眼の内部から眼の標的組織にx線放射線を送達する方法であって、
眼のアクセス部位を通って眼にプローブを導入する工程と、
標的組織に対してプローブを位置決めする工程と、
所望の放射線量が標的組織に送達されるまでx線放出体を間欠的に作動させる工程と
を含む方法。
【請求項31】
x線放出体を、既知の周波数で作動させる、請求項30記載の方法。
【請求項32】
x線放出体を、眼の内部に位置する熱電対によって作動および停止させる、請求項30記載の方法。
【請求項33】
熱電対はプローブに付随している、請求項32記載の方法。
【請求項34】
標的組織にx線放射線を局所的に眼内送達する装置であって、
眼に挿入するよう大きさが決められ、近位端および遠位端を有する細長いプローブと、
プローブの遠位端に付随しているx線放出体と、
プローブの遠位端に付随している熱交換器と
を含む装置。
【請求項35】
熱交換器は、冷却流体を受ける流路を含む、請求項34記載の装置。
【請求項36】
熱交換器は、シースを含む、請求項35記載の装置。
【請求項37】
プローブは、比較的低い熱伝導係数を有する材料よりなる、請求項34記載の装置。
【請求項38】
標的組織に放射線を局所的に眼内送達する装置であって、
眼に挿入するよう大きさが決められ、近位端および遠位端を有するプローブと、
プローブの遠位端に位置するよう適合される所定の長さを有する放射線放出源であって、近位端および遠位端を有する放射線放出源と、
標的組織によって略画定される面に対してある角度でプローブの遠位端に方向付けられる場合、放射線放出源によって略対称的な線量プロフィールが標的組織に送達されるように、放射線放出源の近位端よりも放射線放出源の遠位端でより多量の放射線を遮断するプローブの遠位端に付随しているフィルタと
を含む装置。
【請求項39】
フィルタは、放射線放出源の近位端に隣接するよりも放射線放出源の遠位端に隣接する方が、厚さが大きい、請求項38記載の装置。
【請求項40】
フィルタは、放射線放出源の近位端に隣接するよりも放射線放出源の遠位端に隣接する方が、より高い密度を有する、請求項38記載の装置。
【請求項41】
標的組織にx線放射線を局所的に眼内送達する装置であって、
眼に挿入するよう大きさが決められ、近位端および遠位端を有するカニューレと、
カニューレの遠位端内のカソードと、
カニューレの遠位端上のアノードと、
x線放射線を減衰するためにアノードに近接してカニューレの遠位端に付随している高密度金属層であって、x線放射線を実質的に妨げられずに通過させるよう減少された厚さの領域を有し、開口部が、標的組織にx線放射線を方向付けて制限するよう位置されて大きさが決められる、高密度金属層と
を含む装置。
【請求項42】
標的組織にx線放射線を局所的に眼内送達する装置であって、
眼に挿入するよう大きさが決められ、近位端および遠位端を有するカニューレと、
カニューレの遠位端内のカソードと、
カニューレの遠位端上のアノードと
を備え、
カニューレの遠位端およびアノードが半球形状を有している装置。
【請求項43】
標的組織にx線放射線を局所的に眼内送達する装置であって、
眼に挿入するよう大きさが決められ、近位端および遠位端を有するカニューレと、
カニューレの遠位端内のカソードと、
カニューレの遠位端上のアノードと
を備え、
ニューレの遠位端およびアノードが略平坦であり、カニューレの遠位端の長手軸に対して略垂直に方向付けられている装置。
【請求項44】
カニューレの遠位端は、x線透過材料を含む、請求項43記載の装置。
【請求項45】
カニューレの遠位端は、標的組織によって受けられるx線放射線を減衰するx線遮断材料を含む、請求項44記載の装置。
【請求項46】
放射線および更なる治療薬で眼の内部に位置する標的組織を処置する方法であって、
イオン化放射線源を含有する眼内プローブを設ける工程と、
標的組織に近接して眼の内部に眼内プローブを導入する工程と、
所定の線量のイオン化放射線で標的組織を照射する工程と、
一つ以上の抗VEGF薬剤、小型干渉RNA、光力学的治療、コルチコステロイド、アンギオスタチックステロイド、カプセル化されたヒト毛様体神経栄養分子のインプラント、VEGFトラップ、栄養補助食品、坑炎症剤、インターフェロン、抗代謝薬、アミノステロール、タンパク質キナーゼベータ抑制剤、フルオシノランインプラント、モノクローナル抗体、および、酸化防止剤から更なる治療薬を選択する工程と、
更なる治療薬の処方された第1の線量によって標的組織を処置する工程と
を備え、
標的組織の照射および標的組織の更なる治療薬での処置を14日以内の期間内で行う方法。
【請求項47】
期間は4時間以内である、請求項46記載の方法。
【請求項48】
更なる治療薬を標的組織の照射前に投与する、請求項46記載の方法。
【請求項49】
更なる治療薬を標的組織の照射後に投与する、請求項46記載の方法。
【請求項50】
放射線源はベータ放出体である、請求項46記載の方法。
【請求項51】
放射線源はx線放出体である、請求項46記載の方法。
【請求項52】
放射線量は20〜35Gyである、請求項46記載の方法。
【請求項53】
放射線量を5〜30cGy/秒の割合で送達する、請求項52記載の方法。
【請求項54】
放射線量を8〜15cGy/秒の割合で送達する、請求項52記載の方法。
【請求項55】
更なる治療薬の二回目の投与を一回目の投与後に与える、請求項46記載の方法。
【請求項56】
更なる治療薬の二回目の投与を一回目の投与の2〜8週間後に与える、請求項55記載の方法。
【請求項57】
更なる治療薬の二回目の投与を一回目の投与の25〜35日後に与える、請求項55記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【公表番号】特表2009−515655(P2009−515655A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541307(P2008−541307)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/044335
【国際公開番号】WO2007/059208
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(506152405)ネオビスタ、インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】