説明

眼内高血圧を治療するための新たなアプローチ

【課題】眼内高血圧の治療及び/又は予防における抗分泌性因子を含む医薬組成物、眼内高血圧の治療及び/又は予防における前記医薬組成物の使用を提供する。
【解決手段】抗分泌性タンパク質、抗分泌性活性を有するその相同体、誘導体及び/又は断片等からなる抗分泌性因子。前記抗分泌性因子を含む医薬品組成物。高眼圧をもたらす体液の妨げられた流出によって特徴付けられる眼内高血圧の治療及び/又は予防における抗分泌性因子を含む前記医薬組成物の使用であり、眼内圧力を許容されるレベル、場合により21mmHg又はそれ以下に変えて、このような状態を治療及び/又は予防するための新規なアプローチ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは、高眼圧をもたらす体液の妨げられた流出によって特徴付けられる眼内高血圧の治療及び/又は予防における抗分泌性因子を含む医薬組成物の使用に関する。本発明は、眼内圧力を、許容されるレベル、場合により21mmHg又はそれ以下に変えて、このような状態を治療及び/又は予防するための新規なアプローチを提供する。本発明は、また抗分泌性因子を含む医薬組成物の投与によって眼内高血圧を治療及び/又は予防するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高眼圧レベルは、眼からの流体の増加した産生又は流体の妨げられた流出の何れか、又はその代わりのそれらの組み合わせによって引き起こされる。哺乳動物の眼における眼内圧力(IOP)は、広範囲の種の間で類似しており、10〜20mmHg、12〜18mmHgなど、11〜21mmHgのオーダーである。ヒトに関しては、正常な範囲は、ほぼ11〜21mmHgの間である。それは、21mmHg、21〜24mmHg又は22〜30mmHgなど、20mmHgを長時間超過する場合、高いと考えられている。IOPのレベルは、血液を起源とし、毛様体プロセスを介して眼の前房内に転送される流体の房水(AH)の形成によって制御される。AHは、後房中の硝子体及び水晶体、次いで瞳孔を通過して前房に入る。そこから、AHのほとんどが、虹彩角膜角へ最終的に流れ、シュレム管、房水静脈並びに強膜及び強膜上の静脈を経て線維柱帯網を通って眼から出て行く。AHと、例えば後房の水晶体及び前房の角膜との間には流体及び代謝産物の交換がある。AHの少量の部分が、ぶどう膜強膜路、すなわち虹彩、毛様体筋及び強膜に入り、局所的に産生された組織液と最終的に混合した後、眼から出る(Jerndal,Hansson & Bill,1990;Oyster,1999)。IOPは、主として流出によってモニターされるが、一方成人におけるAHの形成は、あまり変化しないと考えられている。IOPの主要制御因子は、線維柱帯網の内皮、小管近傍(juxtacanalicular)内皮網及びシュレム管の内壁内皮である(Lutjen−Drecoll 1998;Sacca et al 2005)。後者は、前房から循環器系への流れを矯正し及びモニターする上で特に重要である。内皮細胞において、カベオラと呼ばれる陥入部位が形成され、AHで満され、その後主に巨大液胞として内皮細胞を通って転送され、最終的にシュレム管内にその内容物を移す。IOPが上昇すると、このような巨大液胞の多数の形成をもたらし、IOPが減少する場合にはその逆になる(Jerndal,Hansson & Bill,1990;Lutjen−Drecoll 1998)。さらに、これらの細胞は、その細胞容積をモニターする能力を暫定的に有し、それによりAH傍細胞漏出に影響し得る(Starner et al.,2001)。図1aは、ヒトの眼の模式図を示し、図1bは、成人の眼の虹彩角膜角の走査電子顕微鏡写真を示す。
【0003】
眼内高血圧という用語は、21〜24mmHg、22〜30mmHgなど、IOPが20mmHgを超過する慢性疾患のための診断として使用される医療行為におけるものである。眼内高血圧を有する患者は、視野欠損等の続発症の何れかの徴候又は他の徴候を発症することなく網膜及び視神経の異常のその状態に罹患している可能性がある。IOPの急性の上昇は、例えば発咳、高い作業負荷で、眼球に対する外傷及びバルサルバ手技の後に一過性で起り得る。通常、IOPの日内変動があり、ヒトでは早朝で最も高い。成人では、1分あたりAH約2〜3μLが形成され、眼の中のAHは、約1+1/2時間で一新される結果となる。そのことは、形成及び流出が、通常の範囲内でIOPを維持するために、狭い範囲内でモニターされなければならないことを意味する。IOPは、高過ぎても低過ぎてもいけない。AHの主要な機能は、栄養、酸素、イオン及び流体を例えば水晶体及
び角膜に提供すること、及び代謝産物及びゴミを排出することである。さらに、IOP及びAHは、光学特性及び眼の形状を維持するよう相互作用する。AHの産生は、AHの代謝回転及びその流出を測定するなど幾つかの方法によって明らかにされ得る。眼内圧は、例えば眼圧測定法によって正確に測定される。
【0004】
異常なIOPの存在は、幾人かの緑内障患者において実証可能であり得る。それにもかかわらず、緑内障患者全員が必ずしも眼内高血圧の徴候を示すわけではない。従って、眼内高血圧という用語は、緑内障の医学的診断と混同してはならない。眼内高血圧とは対照的に、緑内障は、網膜神経細胞の進行性の欠損及び視神経の変性に起因する経時的な憎悪と最終的な失明によって特徴付けられる疾患として定義される。状態の広範な範囲は、緑内障という用語の下に含まれ、全てが、最終的に視野の悪化に至ることで共通している(Ritch et al.,1996)。従って、診断緑内障は、視覚的欠損に関するものであり、異常なIOPの存在に関するものではない。
【0005】
IOPは主として、眼の前房から、虹彩角膜角を通ってシュレム管に至る静脈へのAHの流出によって制御される。眼からのAH排出が、妨げられ又は遮断さえされる場合、IOPは、上昇することになる。通常、12〜18mmHgなど、10〜20mmHgの範囲のIOPをもたらす、流出に対する抵抗は主として、線維柱帯網及びシュレム管の内皮内膜に集中する。線維柱帯網及びシュレム管における内皮細胞は、AHの流出の制御において相互作用する(Alvarado et al.,2005;Jerndal et al.,1991)。一方では前房と、もう一方では強膜及び強膜上の静脈を含むシュレム管との間に直接的なやりとりはない。眼内高血圧を有する対象(subject)において、線維柱帯網は、可変の程度までの変性、鞘由来のプラーク物質の蓄積及びAHの流出に対する増大した抵抗によって特徴付けられる(Rohen et al,1993)。さらに、色素及び剥脱物質並びに血液細胞及び血餅の蓄積は、特定の場合、同様に流出に加わり、さらに流出を妨げ、IOPを上昇させる。過分泌、すなわちAHの過剰形成は、眼内高血圧のまれな単独の原因である。従って、AHの代謝回転の改良され持続された制御、特に、虹彩角膜角を通じてのAHの流出の制御は、IOPを低下及び正常化させるのに、眼内高血圧をモニターするために重要である。
【0006】
臨床診療における眼内高血圧の治療のための利用可能な治療法は、好ましくはAHの流出を増大させることを目的としているが、例えばドルゾラミド及びブリンゾラミド等の幾つかの薬物は、AH産生を低下させる。現に使用されている薬物の幾つかは、形成及び流出経路の両者に影響を及ぼす。AHが、例えば水晶体及び角膜に栄養分、流体及び酸素を供給し、形成された莫大な産物に対処するので、AHの組成及び代謝回転が重要であることが強調されるべきである。副作用は、現に使用される薬物でよく見られ、適切な治療をしばしば妨害する。さらに、利用可能な薬物では十分に治療できない眼内高血圧を有する対象が存在する。従って、IOPを正常レベルに低下させるための治療上のアプローチが必要である。
【0007】
抗分泌性タンパク質は、41kDaタンパク質であり、元々下痢性疾患及び腸管炎症に対する保護を提供すると云われていた(概説については、Lange and Lonnroth,2001参照)。抗分泌性タンパク質は、配列決定されており、そのcDNAはクローン化されている。抗分泌性活性は、1〜163の間に位置するペプチド、又はより具体的には、抗分泌性タンパク質アミノ酸配列の位置35〜50の間によって主としてもたらされているようである。免疫化学的及び免疫組織化学的研究によって、抗分泌性タンパク質が身体中のほとんどの組織及び器官に存在し、またそれらによって合成され得ることが明らかとなった。抗下痢性配列を含む合成ペプチドが、特性化されている(WO97/08202;WO05/030246)。抗分泌性因子が、コレラ毒素による処理後の腸管及び中枢神経系の脈絡叢におけるような、病原性流体輸送及び/又は炎症反応を正
常化することが既に記載されている(WO97/08202)。従って、WO97/08202において、抗分泌性因子を食物及び食餌に添加することは、浮腫、下痢、脱水症状及び炎症の治療に有用であることが示唆された。WO98/21978には、抗分泌性タンパク質の形成を誘導する食物の生産のための、酵素活性を有する産物の使用が記載されている。WO00/038535にはさらに、抗分泌性タンパク質それ自体の豊富な食品が記載されている。
【0008】
抗分泌性タンパク質及びその断片が、細胞の損失及び/又は獲得と関連した状態の治療において、神経組織の修復、並びに幹細胞及び前駆細胞及びそれらに由来する細胞の増殖、アポトーシス、分化及び/又は遊走を改善することも示されている(WO05/030246)。
【0009】
本発明者は、今般驚くべきことに、抗分泌性因子タンパク質、それに由来する相同体及びペプチド断片が、眼の虹彩角膜角を通る静脈系へのAHの流出に対する抵抗を低下させることを発見した。これは、抗分泌性タンパク質、その相同体及び断片のための新たな治療適用を与え、すなわち、眼内高血圧の治療及び/又は予防のための薬物の調製におけるこのようなタンパク質及び断片の使用を与える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、眼内高血圧の治療及び/又は予防における抗分泌性因子を含む医薬組成物の使用に関する。本発明は、抗分泌性因子、すなわち抗分泌性タンパク質、並びに抗分泌性活性を有するそのペプチド、誘導体、相同体及び断片が、眼における液体の流出を増大させ、それにより眼内圧を低下させるという発見に基づいている。
【0011】
第一の側面において、本発明は、眼内高血圧の予防及び/又は治療のための医薬組成物の製造のための抗分泌性タンパク質、若しくは抗分泌性活性を有するその相同体、誘導体若しくは断片、又は医薬的に許容されるそれらの塩の使用に関する。
【0012】
第二の側面において、本発明は、哺乳動物における眼内高血圧を治療及び/又は予防するための方法に関するものであり、ここで該方法は、抗分泌性タンパク質、若しくは抗分泌性活性を有するその相同体、誘導体若しくは断片、又は医薬的に許容されるそれらの塩を含む医薬組成物の有効量を、上記方法を必要とする哺乳動物に投与することを含む。
【0013】
定義
本願において、前[眼]房は、虹彩角膜角でつながる虹彩の前部表面と角膜の内皮表面との間の空間として定義される。
【0014】
後[眼]房は、硝子体及び水晶体の前部表面と虹彩の後部表面との間の空間として定義される。後房及び前房は、瞳孔を通じて接続されている。
【0015】
本文脈における抗分泌性タンパク質とは、WO97/08202及びWO00/38535に既に定義されている抗分泌性特性を有するタンパク質を指す。
【0016】
本文脈において、抗分泌性因子(AF)とは、抗分泌性タンパク質若しくは抗分泌性ペプチド又は抗分泌性活性を有するその相同体、誘導体及び/又は断片を指す。本文脈において、このようなペプチド、相同体、誘導体又は断片は、眼内高血圧の治療及び/又は予防において類似の生物活性を有する。抗分泌性因子は、例えばWO97/08202及びWO05/030246に既に記載されている。本文脈において、抗分泌性因子、抗分泌性因子タンパク質、抗分泌性タンパク質、抗分泌性ペプチド、抗分泌性誘導体及び抗分泌性断片という用語は、交換可能に使用される。また、抗分泌性因子という用語によって企図されるのは、以下にさらに記載されるSE900028−2及びWO00/38535において記載されるような抗分泌性因子の豊富な卵黄である。
【0017】
房水AHによって意味されるのは、毛様体突起で血液から形成される水様流体であり、後房及び瞳孔を通って前房中へと流れた後、主として線維柱帯網及びシュレム管を介して前房を出て、最終的には静脈血管に至る。
【0018】
CNSとは、中枢神経系であり、脳及び脊髄を含む。
【0019】
浮腫によって意味されるのは、細胞、組織又は漿液腔中の水様流体の過剰量の蓄積である(例えば、Stedman’s Medical Dictionary,5th ed.,Lippincott, Williams & Wilkins,Philadelphia,2005参照)。
【0020】
緑内障によって意味するところは、視野の欠損及び狭窄並びに最終的には失明に至る網膜及び視神経に対する進行性損傷によって特徴付けられる疾患の群である。
【0021】
眼内圧(IOP)とは、眼球中の房水によって加えられる圧である。
【0022】
眼内高血圧とは、覚醒状態にある対象において、眼球中の圧が、21mmHgのような、22〜30mmHgのような、20mmHgを超過している状態である。従って、本文脈において、眼内高血圧という用語は、異常な眼内圧と交換可能に使用される。
【0023】
眼内低血圧によって意味するところは、覚醒中の対象において、眼球中の圧が、10mmHgなど、11mmHg未満であることである。
【0024】
虹彩角膜角とは、虹彩と角膜の後部との間の前房における接合部である。
【0025】
PBSとは、リン酸緩衝化生理食塩水である。
【0026】
本文脈において、「治療」又は「治療すること」という用語は、眼内高血圧の状態(condition)を治癒又は緩和するための治療上の処置をいう。また、本発明において企図されるのは、眼内高血圧の「予防」であり、これは眼内高血圧の発症を回避するための予防的処置に関するものである。
【0027】
線維柱帯網によって意味することろは、前房とシュレム管との間の虹彩角膜角で挟まれた、内皮細胞で内側が覆われたコラーゲン性結合組織の小柱及びシートの網である。
【0028】
シュレム管によって意味するところは、眼の縁領域の内部強膜溝の外側部分にあり、房水静脈を介して、眼の静脈ドレーン系に接続される環状静脈チャネルである。シュレム管は、眼の前房からの房水の主要流出系である。
【0029】
タンパク質とは、ペプチド結合によって互いに連結されるアミノ酸残基によって構成される生物学的巨大分子である。アミノ酸の線状ポリマーとしてのタンパク質は、ポリペプチドとも呼ばれる。典型的に、タンパク質は、50〜800個のアミノ酸残基を有し、それゆえ、約6,000〜約数十万Da又はそれ以上の範囲にある分子量を有する。小タンパク質は、ペプチド又はオリゴペプチドと呼ばれる。「タンパク質」及び「ペプチド」という用語は、本文脈において交換可能に使用され得る。
【0030】
本文脈における「医薬組成物」とは、場合により担体又はビヒクル等の製薬的に活性のある添加剤との組み合わせで、抗分泌性タンパク質の治療活性量を含む組成物を指す。該医薬組成物は、適切な投与経路用に製剤化され、これは、患者の状態、及び年齢又は好ましい選択等の他の要因に応じて変動し得る。抗分泌性タンパク質を含む医薬組成物は、薬物送達システムとして機能する。投与した医薬組成物は、ヒト又は動物の身体に活性物質を与える。本発明に適した医薬組成物は、以下にさらに記載される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1a】ヒトの眼の概略図を示す(1−1)。シュワン管(Sch)は、より高い倍率で、線維柱帯網(T)によって前房(AC)から隔てられているのが見える(1−2)。また、各小柱(Tr)が、内皮細胞(EC)によって包まれていることも示されている(1−3)。房水は、図1−1においてフレームをつけられた領域の右側に見られる毛様体突起において形成される。L=水晶体;C=角膜;I=虹彩;S=強膜;R.V.Krstic,1991から改変。
【図1b】球後腫瘍により眼が摘出された55歳の男性由来のヒトの眼の虹彩角膜角の操作電子顕微鏡写真である。Uで記号を付けた線維柱帯網は、かなり密な組織によって、シュレム管(Schlemm)から隔てられているのが見える。C=角膜;Sp=強膜岬;I=虹彩;Cp=毛様体突起;S=シュワルベ線。大気は、右上部にある。Jerndal et al.,1991より。
【図2】実施例7に従った、AF−16(▼)、薬物Timolol(登録商標)(▲)及びPBSビヒクル(■)それぞれによるウサギの眼の局所処置における眼内圧を示す。
【図3】実施例7に従った、AF−16(▼)、薬物Timolol(登録商標)(▲)及びPBSビヒクル(■)それぞれによるウサギの眼の局所処置の5日後の眼内圧を示す。
【図4】本発明の配列番号6に従った抗分泌性タンパク質のアミノ酸配列を示す。配列は、米国特許第6344440号からの配列番号2に相当する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、抗分泌性タンパク質及びその相同体、誘導体又は断片等の抗分泌性因子(AF)が、眼の虹彩角膜角を通る静脈系への房水流出に対する抵抗の低下をひき起こし、眼の中に異常に蓄積された流体の流出を増大させるという驚くべき発見に基づいている。それにより、房水の流出が増大し、眼の中の眼内圧が低下するに至る。これは、抗分泌性タンパク質及びその断片についての新たな治療上の適用を与え、すなわち、眼内高血圧の治療及び/又は予防のための医薬組成物の調製におけるこのようなタンパク質及び断片の使用を与える。本発明に従った医薬組成物の使用は、眼内高血圧に進行又は罹患する危険性のある患者において最も有用であるようである。
【0033】
上述のように、房水の流出は、主として虹彩角を通って生じ、線維柱帯網を形成する細胞によって調節される。房水のほとんどが、シュレム管を介して眼の外に輸送される。房水は、小さな小胞に封入され、線維柱帯網の細胞を通ってシュレム管に、及びある程度は傍細胞に輸送される。さらに、わずかな程度であるが、AHは、虹彩及び強膜の角構造を通って眼から出る。流体の「わずかな部分」が一度に輸送される房水の眼からの流出は、例えば腸におけるイオン及び水の輸送とは根本的に異なり、腸の内皮細胞のイオン及び水のポンプは、その時点で1分子を輸送する。それゆえ、抗分泌性因子が、浮腫、下痢、脱水症状、緑内障及び炎症等の状態の治療における使用に関して既に示唆されている(WO97/08202)けれども、これらの疾患の治療における抗分泌性因子の作用機序は、眼の虹彩角膜角を通って静脈系への房水の流出に対する抵抗が、抗分泌性因子によって低下する、本発明の作用機序とは異なっている。しかしながら、とはいえより後期の段階における眼内高血圧が、緑内障をもたらす可能性があり又はもたらさないかも知れないことに、注目すべきである。
【0034】
それゆえ、第一の側面において、本発明は、眼内高血圧の予防及び/又は治療のための医薬組成物の製造のための抗分泌性タンパク質及び/又は抗分泌性活性を有するその相同体、誘導体若しくは断片、すなわち、抗分泌性因子、及び/又は医薬的に許容されるそれらの塩の使用に関する。
【0035】
抗分泌性因子とは、身体中に自然に存在するタンパク質である。ヒトの抗分泌性因子は、41kDaタンパク質であり、脳下垂体から単離される場合、382個のアミノ酸を含む。本発明に従った眼内圧を低下させる効果に関する活性部位は、タンパク質のN末端近くの領域中に位置し、配列番号6のアミノ酸1〜163に、又はこの領域の断片に位置しているようである。
【0036】
本発明者は、抗分泌性因子が、全ての脊椎動物細胞において、存在する成分、26Sプロテアソーム、のサブユニット、より具体的には19S/PA700キャップを構成する、Rpn10とも呼ばれるタンパク質S5aとある程度相同であることを証明した。本発明において、抗分泌性タンパク質とは、同一の機能特性を有する相同的タンパク質の1クラスとして定義される。プロテアソームは、過剰なタンパク質、並びに短命の、望ましくない、変性した、ミスフォールディングの及びさもなくば異常なタンパク質の分解と関連した多数の機能を有する。さらに、抗分泌性因子/S5a/Rpn10は、一般に入手可能な教科書においてさらに記載されるように、細胞成分、最も明らかにはタンパク質、の細胞内分布及び輸送に関与する。
【0037】
本発明の抗分泌性タンパク質及び/又はペプチドの相同体、誘導体及び断片は全て、眼内圧を低下できる類似の生物活性を有する。本文脈における抗分泌性の相同体、誘導体及び断片は、天然の抗分泌性タンパク質の少なくとも4個のアミノ酸を含み、これは、眼内高血圧の治療及び/又は予防における抗分泌性因子の生物活性を最適化するために、1つ又はそれ以上のアミノ酸を変化させることによってさらに修飾されていてもよい。
【0038】
抗分泌性タンパク質の断片は、調製物中にペプチド/アミノ酸配列又はそれらの断片を一般に含み、その中に調製物中のタンパク質の90%以上、例えば95%、96%、97%、98%又は99%が、本発明のタンパク質、ペプチド及び/又はそれらの断片となる。
【0039】
さらに、本発明の抗分泌性タンパク質、ペプチド、相同体、誘導体及び/又は断片のアミノ酸配列と、少なくとも72%、75%、77%、80%、82%、85%、87%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるなど、少なくとも70%同一である何れかのアミノ酸配列も、本発明の範囲内にあるとされる。本文脈において、相同的及び同一性という用語は、交換可能に使用され、すなわち別のアミノ酸配列と特定の度合の同一性を有するアミノ酸配列は、特定のアミノ酸配列と特定の度合の相同性を有する。
【0040】
本文脈において、誘導体によって企図するところは、本明細書で定義される抗分泌性活性を有し、直接的に又は修飾若しくは部分的置換によって別の物質から誘導されるタンパク質であり、1つ又はそれ以上のアミノ酸が、修飾された又は非天然アミノ酸であり得る別のアミノ酸によって置換されている。このような修飾された及び/又は非天然のアミノ酸は、当業者によく知られている。例えば、本発明の抗分泌性因子誘導体は、N末端及び/又はC末端保護基を含み得る。N末端保護基の一例には、アセチルが含まれる。C末端保護基の一例には、アミドが含まれる。
【0041】
参照アミノ酸配列と例えば少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するタンパク質、その相同体、ペプチド及び/又は断片によって企図することろは、例えばペプチドのアミノ酸配列が、参照配列と同一であるが、例外は、前記アミノ酸配列が、参照アミノ酸配列の各100個のアミノ酸あたり5個までの点変異を含み得るということである。言い換えれば、参照アミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るために、参照配列のアミノ酸の5%までを欠失させるか又は別のアミノ酸と置換でき、又は参照配列中のアミノ酸全体の5%までの数のアミノ酸を、参照配列中に挿入し得る。参照配列のこれらの変異は、参照アミノ酸配列のアミノ末端若しくはカルボキシ末端の位置で、又は参照配列列中のアミノ酸の中で個々に、若しくは参照配列内の1つ若しくはそれ以上の連続した基中で散在して、それら末端の位置の間のどこかに存在してもよい。
【0042】
本発明において、局所アルゴリズムプログラムは、同一性を決定するのに最も良く適している。局所アルゴリズムプログラム(Smith−Waterman等)は、1つの配列中のサブ配列を、第二の配列中のサブ配列と比較し、サブ配列の組み合わせ及びそれらのサブ配列のアラインメントを発見し、これにより最高の全体的類似スコアが得られる。許容される場合、内部ギャップは、ペナルティ化される。局所アルゴリズムは、単一ドメイン又は共通して1つだけの結合部位を有する2つのマルチドメインタンパク質を比較するのに十分機能する。
【0043】
同一性及び相同性を決定する方法は、公的に利用可能なプログラムにおいてコード化される。2つの配列間の同一性及び相同性を決定する好ましいコンピュータプログラム方法には、GCGプログラムパッケージ(Devereux,J et al(1994))BLASTP、BLASTN及びFASTA(Altschul,S.F.et al(1990))が含まれるが、それらに限定されるわけではない。BLASTXプログラムは、NCBI及び他の源(BLAST Manual,Altschul,S.F.et
al,Altschul,S.F.et al(1990))から公的に利用可能である。各配列分析プログラムは、デフォルトスコア化マトリックス及びデフォルトギャップペナルティを有する。一般的に、分子生物学者により、選択されたソフトウェアプログラムによって確立されたデフォルト設定が使用されると予想される。
【0044】
本発明の抗分泌性活性を有する高分泌性タンパク質又はペプチド又はそれらの相同体、誘導体若しくは断片は、5〜16個のアミノ酸、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19若しくは20個又はそれ以上のアミノ酸など、4個又はそれ以上のアミノ酸であり得る。他の好ましい実施態様において、抗分泌性因子は、42、43、45、46、51、80、128、129又は163個のアミノ酸からなる。好ましい実施態様において、抗分泌性因子は、5、6、7、8又は16個のアミノ酸からなる。
【0045】
別の好ましい実施態様において、本発明の抗分泌性タンパク質、ペプチド及び/又はそれらの相同体、誘導体若しくは断片は、次式
X1−V−C−X2−X3−K−X4−R−X5
に従った配列からなり、式中、X1は、Iであり、配列番号6のアミノ酸1〜35であり、又は欠失しており、X2は、H、R又はKであり、X3は、S又はLであり、X4は、T又はAであり、X5は、配列番号6のアミノ酸43〜46、43〜51、43〜80又は43〜163であり、又は欠失している。
【0046】
本発明の抗分泌性因子は、インビボ又はインビトロで、例えば組換え生産し、化学合成し、及び/又はブタ脳下垂体又はトリの卵等に由来する分泌性因子の天然源から単離することが可能である。生産後、抗分泌因子は、化学的又は酵素的切断によって、より小さな抗分泌性活性断片に、又はアミノ酸の修飾によって、さらに処理することがきる。精製によって純粋な形態で抗分泌性因子を得ることは今のところ可能ではない。しかしながら、WO97/08202及びWO05/030246においてすでに記載されているように、生物活性のある抗分泌性因子タンパク質を組換えで生産することは可能である。WO05/030246及びWO97/08202には、このタンパク質の生物活性のある断片の生産も記載されている。
【0047】
本発明の抗分泌性因子は、N末端及び/又はC末端保護基をさらに含み得る。N末端保護基の一例には、アセチルが含まれる。C末端保護基の一例には、アミドが含まれる。
【0048】
「医薬的に活性のある塩」という用語は、いわゆるHofmeiserシリーズをベースにした、抗分泌性タンパク質に由来する何れかの塩であり得る抗分泌性タンパク質の塩を指す。タンパク質及びペプチドは両性であるので、「医薬的に許容される塩」という用語は従って本発明の範囲を制限することなく、例えばトリフルオロ酢酸塩又は酢酸塩として貯蔵される場合本発明の抗分泌性因子のより安定した形態をも意味する。
【0049】
本発明の医薬組成物又は薬剤は、本分野で公知のものなど、1つ又はそれ以上の薬理学的に許容される担体、添加剤又は賦形剤をさらに含み得る。
【0050】
組成物又は薬剤は、以下に限定されるわけではないが、例えば、滅菌生理食塩水、種々の塩溶液、グルコース溶液、リン酸緩衝化生理食塩水、血液、血漿又は水等の溶解された輸液、粉末、マイクロカプセル、マイクロスフェア、ナノ粒子、スプレー、エアゾール、吸入デバイス、溶液、分散液、懸濁液、エマルション及びそれらの混合物等の液体、半液体、半固体又は固体の組成物の形態にあり得る。組成物は、ペプチド又はタンパク質の安定性及び反応性を考慮に入れ得る。
【0051】
本発明の医薬組成物は、例えば、「Remington:The science and practice of pharmacy」,第21版、ISBN 0−7817−4673−6又は「Encyclopedia of pharmaceutical technology」,第2版、Swarbrick J.編、ISBN:0−8247−2152−7に記載の従来の製薬プラクティスに従って製剤化され得る。
【0052】
本発明の好ましい一実施態様において、抗分泌性タンパク質は、配列番号6に示されるアミノ酸配列を有する抗分泌性タンパク質、又は配列番号6のアミノ酸38〜42を含むその相同体、誘導体及び/又は断片である。
【0053】
本発明の好ましい実施態様において、抗分泌性因子は、配列番号1〜6から選択されたものであり、すなわち、アミノ酸の一般的な1文字略記を使用して、VCHSKTRSNPENNVGL(配列番号1、本文脈ではAF−16とも呼ばれる)、IVCHSKTR(配列番号2)、VCHSKTR(配列番号3)、CHSKTR(配列番号4)、HSKTR(配列番号5)、又は(図4にも示される)配列番号6に従った抗分泌性タンパク質のアミノ酸配列である。配列番号1、2及び3は、例えばWO05/030246及び米国特許第6344440号中の配列番号6に既に記載されている。付随する配列の列挙において特定されるように、上述の特定された配列中のアミノ酸の幾つかは、他のアミノ酸によって置換され得る。本段落の以下において、特定のアミノ酸配列中の特定のアミノ酸の位置は、左から計算され、最もN末端のアミノ酸を、その特定の配列中の位置1にあるものとして示す。以下に特定したように、何れかのアミノ酸置換は、その配列中の何れかの他のアミノ酸置換とは独立して達成し得る。配列番号1において、位置2におけるCは、Sによって置換され得、位置3におけるHは、R又はKによって置換され得、位置4におけるSは、Kと置換され得、及び/又は位置6におけるTは、Aと置換され得る。配列番号2において、位置3におけるCは、Sによって置換され得、位置4におけるHは、R
又はKによって置換され得、位置5におけるSは、Lによって置換され得、及び/又は位置7におけるTは、Aによって置換され得る。配列番号3において、位置2におけるCは、Sによって置換され得、位置3におけるHは、R又はKによって置換され得、位置4におけるSは、Lによって置換され得、及び/又は位置6におけるTは、Aによって置換され得る。配列番号4において、位置1におけるCは、Sによって置換され得、位置2におけるHは、R又はKによって置換され得、位置3におけるSは、Lによって置換され得、及び/又は位置5におけるTは、Aによって置換され得る。配列番号5において、位置1におけるHは、R又はKによって置換され得、位置2におけるSは、Lによって置換され得、及び/又は位置4におけるTは、Aによって置換され得る。
【0054】
本発明の好ましい一実施態様において、前記断片は、配列番号1において示されるアミノ酸配列を含む。
【0055】
本発明の好ましい一実施態様において、前記断片は、配列番号2において示されるアミノ酸配列を含む。
【0056】
本発明の好ましい一実施態様において、前記断片は、配列番号3において示されるアミノ酸配列を含む。
【0057】
本発明の好ましい一実施態様において、前記断片は、配列番号4において示されるアミノ酸配列を含む。
【0058】
本発明の好ましい一実施態様において、前記断片は、配列番号5において示されるアミノ酸配列を含む。
【0059】
また、本発明によって企図されるのは、本発明の抗分泌性因子の何れかのうちの2つ又はそれ以上の組み合わせであり、また場合により抗分泌性因子の豊富な卵黄との組み合わせである。
【0060】
本発明の好ましい一実施態様において、抗分泌性因子は、眼内高血圧の治療及び/又は予防のための医薬組成物を製造するために、又は眼内高血圧を治療及び/又は予防する方法において使用され、ここで、眼内張力は、22mmHg又はそれ以上のような、21mmHg又はそれ以上である。本発明の別の好ましい実施態様において、眼内張力は、正常であり又は低くさえあり、すなわち、11〜21mmHgの間のような、21〜24mmHg未満、好ましくは10〜12mmHg未満である。10mmHg未満のような、10〜12mmHg未満のような、11mmHg未満のIOPは、正常よりも低いとして、すなわち低いと考えられている。正常であり又は正常を下回りさえする眼内圧を有する哺乳動物に対しても本発明の医薬組成物の投与することの有益な効果は、このような哺乳動物も、1日にわたって眼内圧にピークを有する可能性があり、従って本発明の医薬組成物によって治療し及び/又は予防することが可能であるということである。別の好ましい実施態様において、眼内張力は、21〜24mmHgのような、22〜30mmHgのような、21mmHgを超過している。
【0061】
また本発明によって企図されるのは、抗分泌性因子の豊富な卵黄を使用して、眼内高血圧を治療及び/又は予防し、及び/又は医薬組成物を調製する可能性である。SE9000028−2には、トリにおいて抗分泌性因子の形成をどのように刺激することができるか、次に抗分泌性因子を卵黄の消化物からどのように回収又は濃縮するかが記載されている。WO00/38535にはさらに、このように回収され又は濃縮された抗分泌性因子を食事又は食餌と共に、又は多かれ少なかれ単離された生産物として、医薬製品中に製剤化され、動物又はヒトへ、どのように投与することができるかが記載されている。それゆ
え、また本願において企図されるのは、医薬組成物等の製品を調製するための、眼内高血圧を治療及び/若しくは予防するための、又はこのような治療方法に使用するための、抗分泌性因子の豊富な卵黄の使用である。好ましい実施態様において、前記抗分泌性タンパク質は、前記卵黄中少なくとも1000FIL単位/mLの濃度で提供される。本文脈において、WO00/38535及びSE9000028−2に記載されているように、FIL単位は、抗分泌性因子の供給なしの対照と比較して、腸における流体流れの50%の低下に相当する。本発明に従った抗分泌性因子はそれゆえ、「医療用食品」の形態で投与することも可能である。本文脈において、医療用食品とは、抗分泌性タンパク質を有する組成物で調製されている食品を指す。該食品は、液体又は粉末等の流体又は固体の形態にある何れかの適切な食品、又は何れかの他の適切な食材であり得る。このような物の例は、WO00/38535において見出され得る。
【0062】
本発明の好ましい一実施態様において、治療しようとする及び/又は予防しようとする眼内高血圧は、眼の前房からの房水の流出における抵抗によって引き起こされる。
【0063】
別の好ましい実施態様において、本発明で使用される医薬組成物は、線維柱帯網及びシュレム管を通る前房からの房水の流出における抵抗を低下させる。
【0064】
本発明の一実施態様において、本発明の医薬組成物は、医薬的に許容される添加剤をさらに含む。医薬的に許容される添加剤及び本発明の使用のための該添加剤の最適濃度に関する選択は、実験によって当業者によって容易に決定され得る。本発明の使用のための医薬的に許容される添加剤には、溶剤、緩衝剤、保存料、キレート化剤、抗酸化剤、安定剤、乳化剤、懸濁化剤及び/又は賦形剤が含まれる。
【0065】
医薬的に許容される添加剤とは、組成物を投与することになる個体に対して実質的に無害である物質である。このような添加剤は通常、薬物に関する国家機関によって定められた必要条件を満たす。米国薬局方及び欧州薬局方等の公的薬局方は、よく知られた医薬的に許容される添加剤に関する基準を設定している。
【0066】
以下は、本発明の使用のための関連する医薬組成物の概説である。概説は、特定の投与経路に基づいている。しかしながら、医薬的に許容される添加剤が異なる剤形又は組成物において採用され得る場合において、当然ながら、特定の医薬的に許容される添加剤の適用が、特定の剤形又は添加剤の特定の機能に限定されるわけではない。
【0067】
非経口的組成物:
全身的適用のため、本発明組成物は、マイクロスフェア及びリポソームを含む従来の非毒性の医薬的に許容される担体及び添加剤を含有し得る。
【0068】
本発明の使用のための組成物には、固体、半固体及び液体の組成物の全種類が含まれ得る。
【0069】
医薬的に許容される添加剤には、溶剤、緩衝剤、保存料、キレート化剤、抗酸化剤、安定剤、乳化剤、懸濁化剤及び/又は賦形剤が含まれ得る。種々の作用剤の例は、以下に付与される。
【0070】
多様な作用剤の例:
溶剤の例には、水、アルコール、血液、血漿、髄液、腹水及びリンパ液が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0071】
緩衝剤の例には、クエン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、リン酸水素(hydrogenph
osphoric acid)、炭酸水素塩、リン酸塩、ジエチルアミン等が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0072】
キレート化剤の例には、EDTAナトリウム及びクエン酸が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0073】
抗酸化剤の例には、ブチル化ヒドロキシルアニソール(BHA)、アスコルビン酸及びその誘導体、トコフェロール及びその誘導体、システイン、並びにそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0074】
賦形剤及び崩壊剤の例には、乳糖、ショ糖、エムデックス(emdex)、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、デンプン及び微結晶セルロースが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0075】
結合剤の例には、ショ糖、ソルビトール、アカシアゴム、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン及びポリエチレングリコールが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0076】
本発明に使用される医薬組成物又は物質は好ましくは、患者への末梢静脈内注入を介して又は筋肉内注射若しくは皮下注射を介して、又は口腔(buccal)、肺、鼻、皮膚又は経口の経路を介して投与される。さらに、外科的に挿入されたシャントを通して患者の脳室内に医薬組成物又は医薬的に活性のある物質を投与することも可能である。
【0077】
一実施態様において、本発明の医薬組成物は、眼内、鼻腔内、経口、皮下及び/又は全身の投与用に製剤化される。医薬組成物は、1日あたり1回又はそれ以上投与することが可能である。本発明の好ましい実施態様において、医薬組成物は、スプレー、エアゾールとして、噴霧器による、又は吸入器による投与のために製剤化される。別の好ましい実施態様において、本発明の組成物は、スプレー、エアゾールで又は噴霧器で、経鼻的に及び/又は気道に、吸入するための、懸濁液又はさらにより好ましくは粉末として適用することによって投与しようとするものである。噴霧器とは、液体投薬物を霧の状態で気道に送達する医療用装置である。噴霧圧縮器は、液体薬物で満たされた医薬カップ内にチューブを通して空気を送り込む。空気力により、液体は、気道内に深く吸入することが可能なごく小さな霧様粒子にされる。本文脈において「エアゾール」という用語は、微細な固体又は液体粒子のガス状懸濁物を指す。抗分泌性因子を含む粉末の形態にある医薬組成物は、安定性及び投与量、及び乾燥粉末は吸入器で投与できるという点でさらなる利点を有する。医薬組成物は、また、眼に局所的に、眼内で、鼻腔内で、経口で、皮下的に及び/又は血管を介して全身的に適用可能である。好ましい実施態様において、医薬組成物は、眼に対する局所適用のために製剤化される。典型的には、眼に対する局所適用のために使用される場合、本発明の組成物で1日あたりに適用される濃度は、1回あたり1μg〜1mgのような1回あたり1μg〜10mg、好ましくは1日あたり50〜500μg、1日あたり50〜250μg、1日あたり100〜250μg、1日あたり500〜250μg、1日あたり500〜750μg、又は1日あたり50〜100μgのような、1日あたり50〜1000μgであり、1日あたりの単回用量として又は1日あたりの単眼あたりに反復された複数回としての何れかである。血液に全身投与する場合、用量は典型的には、1回の適用及び体重kg及び1日あたり、0.1μg〜1mgのような、1回の適用及び体重kg及び1日あたり、0.1μg〜10mgの範囲であり、好ましくは1〜1000μg/体重kgであり、さらに好ましくは1〜100μg/体重kgであり、1日あたりの単回用量として又は1日あたりに反復される複数回としての何れかである。抗分泌性因子の豊富な卵黄を、本発明で使用する場合、これを、好ましくは経口的に投与する。A
Fタンパク質、ペプチド、それらの断片及び/又は誘導体の重要な特徴は、高用量でさえ局所の又は全身的な副作用が認められないことであり、公知のリスクなしに、強力な治療が可能であることである。
【0078】
本発明は、また、眼内投与のための医薬組成物を製造するための抗分泌性タンパク質、又は抗分泌性活性を有するその相同体、誘導体及び/又は断片、及び/又は医薬的に許容されるそれらの塩の使用に関する。
【0079】
本発明は、また、配列番号4に示されるペプチド、その相同体、誘導体及び/又は断片それら自体に関する。本発明はさらに、医学的使用のための配列番号4に従ったペプチドの使用に関する。
【0080】
本発明は、また、配列番号5に示されるペプチド、その相同体、誘導体及び/又は断片それら自体に関する。本発明はさらに、医学的使用のための配列番号5のペプチドの使用に関する。このようなペプチドは、コンパートメント症候群の治療及び/または予防における使用のための医薬組成物を調製するための使用に関する、同一出願人からの係属中の出願にも記載されている。
【0081】
本発明は、また、眼内高血圧の治療及び/又は予防を必要とする哺乳動物において、眼内高血圧を治療及び/又は予防する方法に関するものであって、該方法は抗分泌性タンパク質又は抗分泌性活性を有するその相同体、誘導体若しくは断片、及び/又は医薬的に許容されるそれらの塩を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む。このような方法において使用するための医薬組成物は、上で記載したとおりである。
【0082】
従って、本発明は、眼内高血圧の治療及び/又は予防を必要とする哺乳動物において、眼内高血圧を治療及び/又は予防するための方法に関するものであって、該方法は、抗分泌性タンパク質、抗分泌性活性を有するその相同体、誘導体及び/又は断片、及び/又は医薬的に許容されるそれらの塩を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む。
【0083】
好ましい実施態様において、本発明の方法は、前記医薬組成物を眼内で投与することを含む。
【0084】
本発明方法の好ましい実施態様において、前記医薬組成物は、配列番号1〜6に示されるアミノ酸配列を含む断片の1つ又はそれ以上を含む。
【0085】
本発明方法の好ましい実施態様において、前記抗分泌性タンパク質は、次式
X1−V−C−X2−X3−K−X4−R−X5
に従った配列からなり、式中、X1は、Iであり、配列番号6のアミノ酸1〜35であり、又は欠失しており、X2は、H、R又はKであり、X3は、S又はLであり、X4は、T又はAであり、X5は、配列番号6のアミノ酸43〜46、43〜51、43〜80又は43〜163であり、又は欠失している。
【0086】
本発明方法の好ましい実施態様において、抗分泌性タンパク質は、配列番号6に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、配列番号6のアミノ酸38〜42を含むその相同体、誘導体及び/又は断片である。
【0087】
本発明方法の好ましい実施態様において、前記抗分泌性タンパク質の断片は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む。
【0088】
本発明方法の好ましい実施態様において、前記抗分泌性タンパク質の断片は、配列番号2にあるようなアミノ酸配列を含む。
【0089】
本発明方法の好ましい実施態様において、前記抗分泌性タンパク質の断片は、配列番号3にあるようなアミノ酸配列を含む。
【0090】
本発明方法の好ましい実施態様において、前記抗分泌性タンパク質の断片は、配列番号4にあるようなアミノ酸配列を含む。
【0091】
本発明方法の好ましい実施態様において、前記抗分泌性タンパク質の断片は、配列番号5にあるようなアミノ酸配列を含む。
【0092】
本発明方法の好ましい実施態様において、前記医薬組成物は、本発明の抗分泌性因子の任意の2つ又はそれ以上を、場合により抗分泌性因子の豊富な卵黄とも組み合わせて含む。
【0093】
本発明方法の好ましい実施態様において、哺乳動物における眼内張力は、21mmHg又はそれ以上である。
【0094】
本発明方法の好ましい実施態様において、眼内張力は、正常であり又は低い。
【0095】
本発明方法の好ましい実施態様において、抗分泌性タンパク質は、このような抗分泌性タンパク質の豊富な卵黄で提供され、該抗分泌性タンパク質は、好ましくは該卵黄中少なくとも1000FIL単位/mLの濃度で提供される。
【0096】
本発明方法の好ましい実施態様において、眼内高血圧は、眼の前房からの房水の流出における抵抗によって引き起こされる。
【0097】
本発明方法の好ましい実施態様において、医薬組成物は、線維柱帯網及びシュレム管を通しての前房からの房水の流出における抵抗を低下させる。
【0098】
本発明方法の好ましい実施態様において、医薬組成物は、医薬的に許容される添加剤をさらに含む。
【0099】
本発明方法の好ましい実施態様において、医薬組成物は、眼内、鼻腔内、経口、皮下及び/又は全身の投与用に製剤化される。
【0100】
本発明方法の好ましい実施態様において、医薬組成物は、スプレー、エアゾールとして製剤化され、又は噴霧器若しくは吸入器による投与のために製剤化される。
【0101】
本発明方法の好ましい実施態様において、医薬組成物は、1回の適用及び体重kg及び1日あたり、0.1μg〜10mgの用量で、好ましくは、1回の適用及び体重kgあたり1〜1000μgで血液に全身的に投与される。AFタンパク質、ペプチド、それらの断片及び/又は誘導体に関する重要な特徴は、高用量でさえ局所的又は全身的な副作用が認められないことであり、公知のリスクなしに、強力な治療が可能であることである。
【0102】
本発明方法の同様に好ましい実施態様において、医薬組成物は、1回の適用及び体重kg及び1日あたり0.1μg〜1mgの用量のような、1回の適用及び体重kg及び1日あたり0.1μg〜10mgの用量で、好ましくは1回の適用及び体重kgあたり1〜100μgで血液に全身的に投与される。
【0103】
本発明方法の好ましい実施態様において、医薬組成物は、眼に対する局所投与のために製剤化される。
【0104】
本発明方法の好ましい実施態様において、医薬組成物は、1回の適用あたり1μg〜10mgの用量で、好ましくは1日あたり50〜1000μgで局所的に投与される。
【0105】
本発明方法の同様に好ましい実施態様において、医薬組成物は、1回の適用あたり1μg〜1mgの用量のような、1回の適用及び体重kg及び1日あたり0.1μg〜10mgの用量で、好ましくは1日あたり50〜250μgで投与される。
【0106】
本発明方法の好ましい実施態様において、医薬組成物は、1日あたり1回又はそれ以上投与される。
【実施例】
【0107】
実験セクション
実施例1
若齢成体ウサギ(New Zealand White,NZW)の日内リズムを、午前9時から午後9時まで暗にさらし、それに対して午後9時から午前9時まで点灯することによって調整した。これにより、正常ウサギにおけるIOPが暗の開始時に増大しているので、IOPの動態を知った。眼球とテノン嚢(Tenon’s capsule)との間に10〜50μgのAF−16(配列番号1)(10又は50%エタノールを添加したPBS中に溶解)の片側デポジッション(unilateral deposition)の結果、TonoPen(登録商標)(Medtronic Inc.,Minneapolis MN,USA)を用いて測定して、麻酔したウサギにおいて、IOPが2時間で2.5mmHgほど一過性に降下した。色素フルオレセイン(Sigma−Ald
rich,Inc,St.Louis,MO,USA;PBS中に溶解したナトリウム塩)を静脈注射し、スリットランプ配置を装備した手術用顕微鏡でトレーサーの出現を測定した。AF−16で処置した眼と、ビヒクルだけで処置した反対の眼との間に色素フルオレセインの出現時間に関する差はなかった。記載した手法を反復し、同一の結果を実証した。同様のIOP低下効果は、より高用量である100μgのAF−16で達成された。従って、使用されたトレーサーであるフルオレセインが、AF−16処置された眼とビヒクル処置された眼とでそれぞれほぼ同時に出現することが示され得たという事実によって反映されているように、AHの産生は明らかに、AF−16処置によって顕著には影響を受けなかったと結論付けられた。
【0108】
実施例2
若齢成体NZWウサギの日内リズムを、午前9時から午後9時まで暗にさらし、それに対して午後9時から午前9時まで点灯することによって調整した。これにより、IOPの動態を知った。2羽の麻酔したウサギの眼球とテノン嚢との間の耳側に10〜50μgのAF−16(10又は50%エタノールを添加したPBS中に溶解)を注入することによる片側デポジッションの結果、TonoPen(登録商標)を用いて測定して、IOPが2時間で約2.5mmHgほど低下した。次に、3%エバンスブルー(Merck,Si
gma)及び2%ウシ血清アルブミン(Sigma)を含有するPBS中の溶液20又は50μLを両眼内に、毛様体扁平部を通って後眼房と硝子体との間の境界中に注射した。灌流及び漏出を防止するために、眼の縫合により注射部位を封鎖した。青色の色素が前房に入り、強膜上静脈を通って眼から離れるのを観察し、ビヒクルのみで処置された反対の眼においてよりもAF−16で前処置された眼においてより迅速であった。翌日に、実験を1回反復し、同一の結果であった。従って、虹彩角膜角を通ってシュレム管及びそれに隣接している静脈に至るアルブミン−色素複合体によって可視化されるAHの流出は、ペプチドAF−16の適用によって見かけ上促進された。
【0109】
実施例3
麻酔された成体動物は、確立され繰り返し発表されるアプローチである強膜吸引キャップ技術に従って決定されるAHの流量及び流出に対する抵抗を有した。さらなるアプローチを使用することにより、これらのパラメータを測定することになる。それにより、正常動物及び実験的に高IOPを有する動物におけるAH及びIOPの動態に及ぼすAF−16の効果に関して、定量的及び定性的なデータを得ることになる。同じことが、先天性の眼内高血圧を有する動物についてもいえる。
【0110】
実施例4
若齢成体NZWウサギの日内リズムを、午前9時から午後9時まで暗にさらし、それに対して午後9時から午前9時まで点灯することによって調整した。これにより、暗の最初の数時間に、IOPが数mmHgほど上昇する。ビヒクル(10%エタノールを有するPBS)のみをデポジットした(deposit)反対の眼におけるIOPと比較して、テノン嚢の真下に、10%エタノールの添加されたPBS中に溶解した最高100μgのAF−16を麻酔した動物へ片側デポジッションすると、1時間でIOPが最大5mmHgほど有意な降下を引き起こした。AF−16による処置後のIOPの低下は、少なくとも4時間持続した後、翌日測定して、反対の眼のIOPと同等の値に戻った。これらの結果は、3羽のウサギで3日連続して反復することが可能であった。AF−16は、正常な眼でIOPを数mmHg効率的に低下させており、IOPを低下させることを目的とした他の薬物で達成されたと報告されているものに相当していると結論付けられた。
【0111】
実施例5
若齢成体NZWウサギの日内リズムを、午前9時から午後9時まで暗にさらし、それに対して午後9時から午前9時まで点灯することによって調整した。これにより、IOPの日内動態を知った。ビヒクルであるリン酸塩類緩衝溶液(PBS)のみをデポジットした反対の眼におけるIOPと比較して、下結膜円蓋(結膜嚢)において、麻酔した動物に対し、25μLのPBS中の(全体で50μg中の)25μgのAF−16を、2分間隔で2回片側デポジッションすると、1時間後にIOPが1.5〜2.5mmHgほど降下した。AF−16による処置後のIOPの低下は、少なくとも4時間持続した後、翌日、反対の眼のIOPと同等の値に戻った。これらの結果は、2羽のウサギで2日連続して反復することが可能であった。従って、これらの実験は、正常ウサギの結膜嚢におけるAF−16の局所デポジッションの結果、IOPが一過性に低下することを示した。
【0112】
実施例6
若齢成体NZWウサギの日内リズムを、午前9時から午後9時まで暗にさらし、それに対して午後9時から午前9時まで点灯することによって調整した。これにより、IOPの日内動態を知った。ビヒクルをデポジットした反対の眼におけるIOPと比較して、下結膜嚢(下結膜円蓋)において、麻酔した動物に対し、50μLのPBS中の(全体で100μg中の)50μgのAF−16を、2分間隔で2回片側デポジッションすると、1時間後にIOPが2〜4mmHgほど降下した。AF−16による処置後のIOPの低下は、少なくとも4時間持続した後、翌日、反対の眼のIOPと同等の値に戻った。これらの結果は、2羽のウサギで3日連続して反復することが可能であった。実施例5において記載したように、AF−16の2倍用量による正常眼の局所処置は、同様にIOPを一過性に低下させ、明らかな局所的又は全身的な副作用が認められなかったと結論付けられた。
【0113】
実施例7
出願人に代わってVisionar AB,Uppsala,Swedenによって実施された本実験の目的は、AF−16による局所処置後のウサギにおけるIOPの動態を研究すること、及び達成された効果を、眼内高血圧を低下させることが公知である薬物Timolol(登録商標)(2,5mg/mL;Alcon Sweden AB,Stockholm,Sweden)の効果及びビヒクルであるPBSと比較することであった。体重2.1〜2.4kgの20羽のアルビノ雌NZWウサギを購入し、単一ケージで個々に、自由摂餌(K1,Lactamin,Stockholm,Sweden)及び自由摂水(常水)で飼育した。午前9時と午後9時の間点灯することによって、明暗サイクルを調節した。3週間の長期順化の間、角膜に麻酔を局所適用した後のIOPを測定する検査状況で動物を毎日訓練した。
【0114】
動物を次の2群に無作為に分けた:
第1群(n=10)。これらの動物に、単眼で(全体で50μg、50μLのPBS中の)AF−16を2滴デポジッションし、等容量のビヒクルPBS2×25μLを反対の眼にデポジッションした。
第2群(n=10)。これらの動物に、単眼で1滴(Timolol(登録商標)50μL;125μg)デポジッションし、等容量のPBSを反対の眼にデポジッションした。Timolol(登録商標)は、ウサギにおいて眼内圧を低下させることが公知であり、それゆえ、基準としてモデルを検証するために使用した。局所麻酔剤として各角膜にTetrakain Chauvin(登録商標)(Novartis Ophthalmics,Taby,Sweden)を1滴適用した後、TonoPen XL(登録商標)(Medtronic)によってIOPを測定した。従って、最終プロトコールにおいて、測定の2つのシリーズをスケジュール化した。1つのシリーズは、AF−16及びビヒクルで5日間局所処置した後のものであり、別のシリーズは、Timolol(登録商標)又はビヒクルで5日間局所処置した後のものであった。
【0115】
IOPが、日内サイクルによって上昇することが予期されたので、第一の測定において、Timolol(登録商標)のIOP低下効果は、5回目及び6回目の測定で見出されると期待された。IOP測定の最後の日は、データが延長された期間に得られることを確実にするために、延長された期間(動物飼育室における暗の開始1、2、3.25、4.25、5.5、6.5、7.75、9及び10時間後)に実施した。結果を以下の図3に表す。5日間の処置期間の開始時のIOPを図2に示す。局所的又は全身的の何れにおいても、AF−16による処置において、不都合な作用も合併症も認められなかった。
【0116】
AF−16が、IOPに及ぼす低下効果を有し、ビヒクルであるPBSのみによる処理後に測定されたIOPとは有意に異なることは、データから明らかであった。AF−16によって発揮される非常に有意な効果は、Timolol(登録商標)の効果に匹敵した(図3)。これらのデータは、AF−16が、このような効果を有することが公知である一般に使用される薬物(Timolol(登録商標))と同じように、ウサギにおいてIOPを効果的に低下させ得ることを示していると結論付けられた。従って、AF−16は、ヒトにおける眼内高血圧の治療に有用であり得た。
【0117】
実施例8
2羽の若齢成体NZWウサギ(2.4〜2.9kg、雌)の日内リズムを、午前9時から午後9時まで暗にさらし、それに対して午後9時から午前9時まで点灯することによって調整した。これにより、IOPの日内動態を知った。ビヒクルのみをデポジットした反対の眼におけるIOPと比較して、麻酔した動物に対し、下結膜嚢(下結膜円蓋)に、各回50μLのPBS中の合成ヘキサペプチド CHSKTR 50又は100μg(全体で100〜200μg中の)を、2分間隔で2回片側デポジッションすると、1時間後にIOPが2〜3mmHgほど降下した。ヘキサペプチドによる処置後のIOPの低下は、少なくとも2時間持続した後、翌日測定して、反対の眼のIOPと同等の値に戻った。これらの結果は、2羽のウサギで達成することが可能であった。下位涙嚢にデポジットした、配列番号6の抗分泌性タンパク質の活性配列の一部であるCHSKTR(配列番号4)を有する合成ペプチドによる正常眼の局所処置は、IOPを低下させると結論付けられた。
【0118】
実施例9
2羽の正常な若齢成体NZWウサギ(2.4〜2.9kg、雌)の日内リズムを、午前9時から午後9時まで暗にさらし、それに対して午後9時から午前9時まで点灯することによって調整した。これにより、IOPの日内動態を知った。麻酔した動物に、テノン嚢の下の耳側の位置で、10%エタノールを有する100μLPBS中に溶解した合成ヘキサペプチド CHSKTR 50又は100μgを片側デポジットすると、ビヒクルを同様に併せてデポジットした反対の眼におけるIOPと比較して、30分後にIOPが2〜4mmHgほど低下した。ヘキサペプチドによる処置後のIOPの低下は、少なくとも2時間持続した。翌日測定して、IOPは、両動物において、反対の眼のIOPと同等の値に戻った。これらの結果は、その後2日間達成することが可能であった。配列番号6の抗分泌性タンパク質の活性配列の一部を有する合成ペプチドCHSKTR(配列番号4)とともに、眼球の外側に試験物質を注射することによる正常眼の局所処置は、何れの局所的又は全身的副作用を誘導することなく、IOPを低下させると結論付けられた。
【0119】
実施例10
若齢成体NZWウサギの日内リズムを、午前9時から午後9時まで暗にさらし、それに対して午後9時から午前9時まで点灯することによって調整した。これにより、IOPの日内動態を知った。麻酔したウサギに、10%エタノールを添加したPBS中に溶解した50又は100又は1000μg/体重kgのうちの2つの用量レベルの何れかで、AF−16を静脈内注射すると、AF−16の注射直前に測定したIOPと比較して、1時間後に、IOPが何れかの眼で2〜3mmHgほど低下した。AF−16による処置後のIOPの低下は、少なくとも2時間持続した。これらの動物の左眼と右眼との間で、IOPにおける明白な差はなかった。IOPは、翌日もう一度何れかの眼で測定され、AF−16処置の前日の値近くにまで戻った。明白な副作用は、認められなかった。50、100又は最も効率的には1000μg/体重kgの何れかでAF−16を静脈内注射すると、IOPの低下を1時間で証明可能であり、IOPの低下が数時間持続し、IOPが、1日で元のレベルに回復したと結論付けられた。処置したウサギの両眼は、IOPに及ぼすAFの効果に関して、同一の動的パターンを示した。静脈内投与の場合、すなわち、全身的に投与する場合、ペプチドAF−16は、IOPを効率的に低下させるが、異常に低いIOPを引き起こすことがない程、許容される程度までであると結論付けられた。
【0120】
実施例11
若齢成体NZWウサギの日内リズムを、午前9時から午後9時まで暗にさらし、それに対して午後9時から午前9時まで点灯することによって調整した。これにより、IOPの日内動態を知った。PBS中に溶解した50、100又は1000μg/体重kgのAF−16の経鼻デポジッションを、麻酔された3羽のウサギで実施し、その結果、外鼻孔にAF−16をデポジッションする直前に測定されたIOPと比較して、1時間で、IOPが、何れかの眼で少なくとも2mmHgほど降下した。AF−16の高用量による処置後のIOPの低下は、調査し時間の2時間及び3時間持続した。同一動物の左眼と右眼との間でIOPに差はなかった。IOPを、翌日もう一度何れかの眼で測定し、AF−16処置の前日の値にまでほぼ戻っていたことが示された。明白な副作用は、認められなかった。AF−16の1000μg/kgまでの鼻腔内注入の結果、1時間以内でIOPの低下を証明可能であり、IOPの低下が少なくとも3時間持続し、IOPが1日で元のレベルに回復すると結論付けられた。各ウサギの両眼は、同一の圧力パターンを示した。局所的又は全身的な副作用は認められなかった。
【0121】
実施例12
若齢成体NZWウサギの日内リズムを、午前9時から午後9時まで暗にさらし、それに対して午後9時から午前9時まで点灯することによって調整した。これにより、IOPの日内動態をモニターして知った。全身酔下だが、このようなウサギの胃に、AFタンパク質の豊富な凍結乾燥卵黄(SalovumTM、希釈された市販のオレンジジュース中に溶解)10gをデポジットした。AFタンパク質のこのような胃内デポジッションにより、SalovumTMを入れる直前に測定されたIOPと比較して、1時間で、何れかの眼のIOPが低下した。動物の左眼と右眼との間でIOPに差はなかった。IOPを、翌日もう一度何れかの眼で測定し、AF−16処置の前日の値にまでほぼ戻っていた。明白な副作用は、認められないようである。抗分泌性タンパク質の豊富な卵黄、例えばSalovumTMを経口消化すると、ほぼ1時間以内でIOPの低下を証明可能であり、IOPの低下が持続し、IOPが1日で元のレベルに回復すると結論付けられた。両眼は、同一のIOPパターンを示した。
【0122】
実施例13
片側にわずかな牛眼症(左眼球膨大)を有する若齢成体NZWウサギを麻酔し、TonoPen(登録商標)眼圧計を用いて、該ウサギのIOPを測定した。反復して調査して、牛眼症の眼のIOPは、30〜32mmHgであったのに対し、正常な反対の眼においては、11〜12mmHgであった。10%エタノールを有する100μLのPBS中の50μgのAF−16を、麻酔された動物に対し、テノン嚢の真下で耳側で片側注射すると、1時間でIOPが14〜16mmHgにまで低下した。反対の眼に対してAF−16の同一量を注射すると、TonoPen(登録商標)で測定して、ちょうど約2mmHgの低下が生じた。翌日、牛眼症の左眼におけるIOPは、30mmHgを丁度超過するまで増大し、すなわち、左眼の元のレベルに戻った。AF−16をさらに一度注注射すると、2時間で再度IOPが15〜16mmHgになったのに対し、AF−16の同一用量で、右眼ではIOPが1〜2mmHgだけ低下した。不都合な作用は認められ得なかった。従って、眼球での注射による局所デポジッションは、牛眼症の眼において高眼内圧を通常レベルにまで一過性で低下させると結論付けられた。
【0123】
実施例14
若齢成体NZWウサギの日内リズムを、午前9時から午後9時まで暗にさらし、それに対して午後9時から午前9時まで点灯することによって調整した。これにより、IOPの動態を、IOPにおける日内変動と同調させた。科学的な国際医学雑誌における最近の刊行物(Krave U,Hojer S & Hansson H.−A.,European J Neuroscience,21,2867−2882,2005)において記載されているように、矢状面回転加速インパルスにこのようなウサギを曝露することにより、びまん性脳損傷を生じさせることに加え眼を損傷させることが本調査の間に発表された。麻酔したウサギを前部から後部への矢状面回転加速インパルスに、又は後部から前部への矢状面回転加速インパルスに、最大200krad/秒2の力で曝露すると、眼において機械的な歪み及び力負荷が生じた。次の30分間で、麻酔された動物においてTonoPen(登録商標)眼圧計で測定して、IOPは、35〜40mmHgにまで増大し、数時間上昇したままであった。矢状面回転加速衝撃の10〜30分後に、眼の耳側の領域のテノン嚢と強膜との間にAF−16(10%エタノールを有する100μLのPBS)の溶液の注射によって、AF−16を体重kgあたり100μgデポジッションすると、1時間以内で、IOPがほぼ正常レベルに回復した。何れのAF−16も与えていない反対の眼のIOPは、上昇したままであった。
【0124】
このような矢状面回転加速インパルスにウサギを曝露すると、例えば神経細胞及び血管細胞において細胞骨格の広範な変化が生じる(Hamberger et al.,2003)。同じことがブタ脳を高いエネルギー負荷に曝露した後で、既に証明されている(Suneson et al.,1990)。従って、回転加速外傷によって誘発される線維柱帯網及びシュレム管における細胞の膜変化及び細胞骨格変化によって、前房からの
AHの流出が一過性で損なわれ、IOPの一過性の上昇が生ずると結論付けられた。ペプチドAF−16による局所処置は、上昇したIOPを改善するようである。
【0125】
実施例15
ラットの4つの強膜上静脈のうちの3つが片側だけ閉塞した。これにより、手術された眼の前セグメントからの静脈血には、眼の前セグメントからの血液の流出にとって唯一の単一静脈しか有していないことになった。その処置によって、数週間で、処理された眼のIOPが上昇する。高IOPの眼を、PBS中のAF−16で局所的に及び/又は全身的に処置して、AF−16によるこのような処置が、IOPを正常化するかどうかを測定する。このような結果によって、AH形成速度及び流出特性の算出が可能となり、それにより、眼を通してのAH流れの経路におけるAF−16の作用部位をつきとめることが可能となる。
【0126】
実施例16
さらなるラットの耳側の強膜上静脈に高張生理食塩水注射し、一方その他の3つの強膜上静脈の血流を一過性で遮断した。Morrisonらの文献における記載によればその処理の結果、処理された眼において数週間で高IOPが生じる。高IOPの眼を、PBS中のAF−16で局所的に及び/又は全身的に処置して、AF−16によるこのような処置が、IOPを正常化するかどうかを測定する。このような結果によって、AH形成速度及び流出特性の算出が可能となり、それにより、眼を通してのAH流れの経路におけるAF−16の作用部位をつきとめることが可能となる。
【0127】
実施例17
高頻度で高眼内圧を発症させる、その幾つかがトランスジェニックである一定の齧歯類の系続が交配されている。局所適用の、局所的に及び又は全身的にAF−16がIOPに及ぼす効果が評価される。このような結果によって、AH形成速度及び流出特性の算出が可能となり、それにより、眼を通してのAH流れの経路におけるAF−16の作用部位をつきとめることが可能となる。このような動物の使用は、眼内高血圧の治療を目的とした薬物を評価するための標準的なアプローチを構成するとされる。
【0128】
要約及び結論
記載した本実験により、抗分泌性因子による処置が、哺乳動物の高眼圧を低下させ、及び正常化しさえすることを不均一ながら開示した。これは、眼内高血圧を有する患者において高IOPを制御するための臨床診察における抗分泌性因子、タンパク質、ペプチド、相同体及び断片を含む薬物の有用性を示している。抗分泌性因子AF−16が、IOPの高眼圧を効率的に正常化することを実験的に開示した。AF−16の主要な効果は、房水の流出を改善する能力によって発揮される。従って、AF−16が、線維柱帯網及びシュレム管の細胞を通してAHの放出を促進することによって、眼内高血圧を低下させ及び正常化することが明らかであると結論付けられた。
【0129】
参考文献
1. Alvarado JA, Alvarado RG, Yeh RF, Franse-Carman L, Marcellino GR, & Brownstein MJ. A new insight into the cellular regulation of aqueous outflow: how trabecular meshwork endothelial cells drive a mechanism that regulates the permeability of Schlemm’s canal endothelial cells. Brit. J Ophthalmol 89, 1500-1505, 2005.
2. Hamberger A, Huang Y-L, Zhu H, Bao F, Ding M, Blennow K, Olsson A, Hansson
H.-A., Viano D & Haglid KG. Redistribution of neurofilaments and accumulation of β-amyloid protein after brain injury by rotational acceleration of a head. J
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3. Hogan MJ, Alvarado JA & Weddell JE. Histology of the human eye. W B Saunders Co., Philadelphia, PA, USA, 1971
4. Jerndal T, Hansson H-A & Bill A. Goniodysgenesis; a new perspective on glaucoma. Scriptor, Copenhagen, Denmark, 1990
5. Krave U, Hoejer S & Hansson H.-A. Transient powerful pressures are generated in the brain by a rotational acceleration impulse to the head. Europ. J Neuroscience, 21, 2876-2882, 2005.
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10. Morrison JC, Johnson EC, Cepurna W, & Jia L. Understanding mechanisms of pressure-induced optic nerve damage. Progress Retinal Eye Research 24, 217-240, 2005.
11. Oyster CW. The human eye; structure and function. Sinauer Associates Inc,
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12. Ritch R, Shields MB & Krupin T. The glaucomas, 2nd edition, Mosby, St. Louis,Miss. USA, 1996.
13. Rohen JW, Luetjen-Drecoll E, Fluegel C, Meyer M & Grierson I. Ultrastructure of the trabecular meshwork in untreated cases of primary open-angle glaucoma
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16. Stamer WD, Peppel K, O’Donnell ME, Roberts BC, Wu F, & Epstein DL. Expression of aquaporin-1 in human trabecular meshwork cells: role in resting cell volume. Invest Ophthalmol. 42, 1803-1811, 2001.
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system caused by high energy missile extremity impact. Part II. Distant effects
on the central nervous system - a light and electron microscopic study on pigs.
J Trauma 30, 295-306, 1990.
18. WO 05/030246
19. WO 97/08202
20. WO 98/21978
21. 米国特許第6344440号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内高血圧の予防及び/又は治療のための医薬組成物を製造するための、抗分泌性タンパク質、抗分泌性活性を有するその相同体、誘導体及び/又は断片、及び/又は医薬的に許容されるそれらの塩の使用。
【請求項2】
抗分泌性タンパク質が、次式:
X1−V−C−X2−X3−K−X4−R−X5
に従った配列からなり、式中、X1が、Iであり、配列番号6のアミノ酸1〜35であり、又は欠失しており、X2が、H、R又はKであり、X3が、S又はLであり、X4が、T又はAであり、X5が、配列番号6のアミノ酸43〜46、43〜51、43〜80又は43〜163であり、又は欠失している、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
抗分泌性タンパク質が、配列番号6に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、配列番号6のアミノ酸38〜42を含むその相同体、誘導体及び/又は断片である、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
断片が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
断片が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
断片が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項7】
断片が、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項8】
断片が、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項9】
医薬組成物が、請求項1〜8に記載の断片の2つ又はそれ以上を含む、請求項1〜8の何れか一項に記載の使用。
【請求項10】
眼内圧が、22mmHg又はそれ以上である、請求項1〜9の何れか一項に記載の使用。
【請求項11】
眼内圧が、22〜30mmHgである、請求項1〜9の何れか一項に記載の使用。
【請求項12】
眼内張力が、正常であるか又は低い、請求項1〜9の何れか一項に記載の使用。
【請求項13】
抗分泌性タンパク質が、このような抗分泌性タンパク質の豊富な卵黄で提供され、そしてここで好ましくは該抗分泌性タンパク質が該卵黄中少なくとも1000FIL単位/mLの濃度で提供される、請求項1〜12の何れか一項に記載の使用。
【請求項14】
眼内高血圧が、眼の前房からの房水の流出における抵抗によって生じる、請求項1〜13の何れか一項に記載の使用。
【請求項15】
医薬組成物が、線維柱帯網及びシュレム管を通る前房からの房水の流出における抵抗を低下させる、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
異常な眼内圧が、眼の房水の妨げられた形成によって生じる、請求項1〜15の何れか一項に記載の使用。
【請求項17】
医薬組成物が、医薬的に許容される添加剤をさらに含む、請求項1〜16の何れか一項に記載の使用。
【請求項18】
医薬組成物が、局所、眼内、鼻腔内、経口、皮下、皮膚、粘膜及び/又は全身の投与のために製剤化される、請求項1〜17の何れか一項に記載の使用。
【請求項19】
医薬組成物が、噴霧器により、又は吸入器により、スプレー、エアゾールとして投与するために製剤化される、請求項1〜18の何れか一項に記載の使用。
【請求項20】
医薬組成物が、1回の適用及び体重kg及び1日あたり、0.1μg〜10mgの用量で、好ましくは、1回の適用及び体重kgあたり1〜1000μgで血液に全身的に投与される、請求項1〜19に記載の使用。
【請求項21】
医薬組成物が、眼に対する局所投与のために製剤化される、請求項1〜20に記載の使用。
【請求項22】
医薬組成物が、1回の適用あたり1μg〜10mgの用量で、好ましくは1日あたり50〜1000μgで投与される、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
医薬組成物が、1日あたり1回又はそれ以上投与される、請求項1〜22の何れか一項に記載の使用。
【請求項24】
眼内投与のための医薬組成物の製造のための、抗分泌性タンパク質、抗分泌性活性を有するその相同体、誘導体及び/又は断片、及び/又は医薬的に許容されるそれらの塩の使用。
【請求項25】
配列番号4に示されるペプチド又はその相同体、誘導体及び/又は断片。
【請求項26】
医学的使用のための、請求項25に記載のペプチド。
【請求項27】
配列番号5に示されるペプチド又はその相同体、誘導体及び/又は断片。
【請求項28】
医学的使用のための、請求項27に記載のペプチド。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−153695(P2012−153695A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−47547(P2012−47547)
【出願日】平成24年3月5日(2012.3.5)
【分割の表示】特願2009−507632(P2009−507632)の分割
【原出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(508318845)ラントメネン・アーエス−ファクトール・アーベー (6)
【Fターム(参考)】