説明

眼圧を低下させる組合せ、キット、および方法

本発明は、プロスタグランジンアナログおよびアデノシン受容体A1アゴニストを含む組合せまたはキットに関し、また、そのような組合せまたはキットを用いて、被験対象の眼圧(IOP)を低下させる方法に関する。本発明は、特に、Xalatan(商標)のブランドで販売されているラタノプロストおよび化合物Aの組合せに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロスタグランジンアナログおよびアデノシン受容体Aアゴニストを含む組合せまたはキットに関し、また、そのような組合せまたはキットを用いて、被験対象の眼圧(IOP)を低下させる方法に関する。一実施形態では、本発明は、Xalatan(商標)のブランドで販売されているラタノプロストおよび化合物Aの組合せに関する。
【0002】
ラタノプロストはプロスタグランジンF2αアナログである。その化学名はイソプロピル−(Z)−7[(1R,2R,3R,5S)3,5−ジヒドロキシ−2−[(3R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル]シクロペンチル]−5−ヘプテノエートであり、化学構造は以下のとおりである。
【0003】
【化1】

化合物Aはアデノシン受容体Aアゴニストであり、構造は以下のとおりである。
【0004】
【化2】

((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート。
【背景技術】
【0005】
緑内障は、網膜神経節細胞の喪失およびその結果生ずる視野欠損を伴う視神経萎縮を特徴とする一群の視神経症を指す。この疾患は全世界における回復不能な失明の主要原因で
あり、白内障に次ぐ失明の第2の主要原因である。臨床試験により、高いIOPが緑内障の主要なリスク因子であることが実証され、また、緑内障の管理においてIOPを低下させることが有効であることが確認された。
【0006】
緑内障は3つのパラメーターに従って分類される。1)根本的な原因、すなわち、原発性(特発性)または二次性(他のいくつかの視覚症状または全身性症状に関連する)、2)前房隅角の状態、すなわち、開放隅角(線維柱帯への流出房水の接近が可能)または閉塞隅角(狭い角度;線維柱帯が辺縁虹彩と角膜との付着により塞がれる)、および3)慢性度、すなわち、急性または慢性。明確な病因に基づく緑内障の二次的な形態が存在するが(例えば偽落屑および色素分散)、緑内障の最も一般的な形態は原発性開放隅角緑内障(POAG)である。
【0007】
高眼圧症(OHT)は、IOPが上昇しているが、緑内障の所見が観察されていない症状である(Bell and Charleton,2011―http://emedicine.medscape.com/article/1207470−overview)。高眼圧症研究により、OHTの患者は、緑内障を発病する全体的なリスクが5年間で10%であること、およびこのリスクは、IOPを低下させる医学的処置の実施により半分に減少させ得ることが実証された。ラタノプロストは、例えば米国特許第5,296,504号明細書;同第5,422,368号明細書;同第6,429,229号明細書、および同第7,163,959号明細書に記載されており、これらすべては、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0008】
ラタノプロストは、眼圧を低下させることによって緑内障または高眼圧症の進行を制御するための局所用眼科薬剤として用いられてきた。眼からの液体の流出(ぶどう膜強膜路を通って)を高めることによって作用するのがプロスタグランジンアナログである。Xalatan(商標)として販売されているラタノプロストには、開放隅角緑内障または高眼圧症の患者の高い眼圧を低下させるための適用がある。
【0009】
出願人は、Aアゴニストについて臨床研究を行なってきた。この研究は同時係属出願の国際公開第2010/127210号パンフレットに記載されている。出願人は、緑内障のヒト被験対象において、Aアゴニストによる臨床的に顕著な眼圧低下を明らかにしてきた。国際公開第2010/127210号パンフレットの明細書は、その全体が、個別に記載されたかのように本明細書に組み込まれるものとする。
【0010】
出願人は最近前臨床研究を行い、Aアゴニスト、具体的には化合物A、およびプロスタグランジンアナログ、具体的にはラタノプロストの組合せを使用すると、正常血圧サルにおいて顕著なIOP低下が実現することを見出した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
高い眼圧(IOP)および高いIOPに起因する症状に対する新しい処置および治療に対する要求が依然としてある。さらに、高いIOPの1つまたは複数の症候および高いIOPに起因する症状の処置または予防または回復に有用な化合物に対する要求もある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本明細書では、有効量のアデノシン受容体Aアゴニスト(例えば式Iの化合物)および有効量のプロスタグランジンアナログ(例えばラタノプロスト)を含む組合せ療法を提供する。この組合せは、高いIOPの1つまたは複数の症候および高いIOPに起因する症状、例えば緑内障の処置に有用となり得る。
【0013】
第1の態様では、i)アデノシン受容体Aアゴニストおよびii)被験対象の眼の眼圧を低下させるのに使用するプロスタグランジンアナログを含む眼科用組合せを提供する。
【0014】
一実施形態では、プロスタグランジンアナログはラタノプロスト、トラボプロスト、ウノプロストン、およびビマトプロストから選択される。
別の実施形態では、プロスタグランジンアナログはラタノプロストである。
【0015】
一実施形態では、アデノシン受容体Aアゴニストは式(I)の化合物
【0016】
【化3】

またはその薬学的に許容される塩から選択され、
式中、
Aは、−CHOH、−CHONO、または−CHOSOHであり;
BおよびCは−OHであり;
Dは、
【0017】
【化4】

である。
【0018】
さらなる実施形態では、式Iの化合物は、
化合物A[((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート];
化合物B[((2R,3S,4R,5R)−5−(2−クロロ−6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート];
化合物C[((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルサルフェートナトリウム];
化合物D[((2R,3S,4R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(6−(テトラヒドロフラン−3−イルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート];
化合物E[((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロヘキシルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート];
化合物F[((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(ビシクル−[2.2.1]−ヘプタン−2−イルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート];
化合物G[((2R,3S,4R,5R)−5−(2−クロロ−6−(シクロヘキシルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルサルフェートナトリウム];
化合物H[((2R,3S,4R,5R)−5−(2−クロロ−6−(シクロヘキシルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート];
化合物I[(2R,3R,4S,5R)−2−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3,4−ジオール(N6シクロペンチルアデノシン(CPA));および
化合物J[(2R,3R,4S,5R)−2−(2−クロロ−6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3,4−ジオール(N6シクロペンチルアデノシン(CCPA))]、またはそれらの薬学的に許容される塩から選択される。
【0019】
さらなる実施形態では、アデノシン受容体Aアゴニストは化合物A、((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート)、またはそれらの薬学的に許容される塩である。
【0020】
眼科用組合せのさらに別の実施形態では、アデノシン受容体Aアゴニストは化合物A、((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレートであり、またはそれらの薬学的に許容される塩であり、プロスタグランジンアナログはラタノプロストである。
【0021】
別の実施形態では、被験対象の眼にプロスタグランジンアナログを適用するのと同時に、別々に、または逐次的に被験対象の眼にAアゴニストを適用する。
さらなる実施形態では、1日1〜4回被験対象の眼に、約30μg/ml〜約50μg/mlのプロスタグランジンアナログと一緒に約0.05mg/ml〜約7.0mg/mlのAアゴニストの1滴または複数滴を適用することにより、この組合せを達成する。
【0022】
さらなる実施形態では、1日1〜2回被験対象の眼に、Aアゴニスト約20〜700μgを適用することにより、この組合せを達成する。
さらなる実施形態では、1日1〜2回被験対象の眼に、Aアゴニスト約20〜350μgを適用することにより、この組合せを達成する。一実施形態では、Aアゴニストおよびプロスタグランジンアナログは、被験対象の眼に1滴または複数滴の点眼剤として局所投与する。
【0023】
さらなる態様では、被験対象の冒された眼に上記に定義した組合せの有効量を投与することにより、被験対象におけるIOPならびに高いIOPに起因する関連疾患および症状を軽減させる方法を提供する。
【0024】
一実施形態では、ヒトでの高いIOPに起因する疾患および症状は、正常眼圧緑内障、OHT、およびPOAGからなる群から選択される。
さらなる態様では、被験対象の眼の眼圧低下に使用するi)アデノシン受容体Aアゴニストおよびii)プロスタグランジンアナログを含むキットを提供する。
【0025】
キットに関する一実施形態では、プロスタグランジンアナログは、ラタノプロスト、トラボプロスト、ウノプロストン、およびビマトプロストから選択される。
キットに関する別の実施形態では、プロスタグランジンアナログはラタノプロストである。
【0026】
キットに関する別の実施形態では、アデノシン受容体Aアゴニストは式(I)の化合物
【0027】
【化5】

またはそれらの薬学的に許容される塩から選択され、
式中、
Aは−CHOH、−CHONO、または−CHOSOHであり;
BおよびCは−OHであり;
Dは、
【0028】
【化6】

である。
【0029】
キットに関する別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物A、化合物B、化合物C、化合物D、化合物E、化合物F、化合物H、または化合物Iから選択される。
キットに関する別の実施形態では、アデノシン受容体Aアゴニストは、化合物A、((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、またはその薬学的に許容される塩である。
【0030】
キットに関するさらに別の実施形態では、アデノシン受容体Aアゴニストは化合物A、((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレートであり、プロスタグランジンアナログはラタノプロストである。
【0031】
一実施形態では、アデノシン受容体Aアゴニストの化合物A、((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、およびプロスタグランジンアナログのラタノプロストを含む組合せの有効量を投与することにより、被験対象における高いIOPならびに高いIOPに起因する関連疾患および症状を処置する方法を本明細書において提供する。
【0032】
上記に定義された組合せまたはキットは、ヒト被験対象の冒された眼においてIOPを低下させるかまたは高いIOPに関連した症状を処置するための薬剤の製造に用いることができることがさらに認識されるはずである。上記に定義された組合せまたはキットは、ヒト被験対象の冒された眼において緑内障を処置するための薬剤の製造に用いることができることがさらに認識されるはずである。
【0033】
一実施形態では、高いIOPの処置および高いIOPに起因する関連疾患および症状の処置のための薬剤の製造における、アデノシン受容体Aアゴニストの化合物A、((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、およびプロスタグランジンアナログのラタノプロストの組合せの使用を本明細書において提供する。
【0034】
本発明の別の態様では、有効量のアデノシン受容体Aアゴニストおよび有効量のプロスタグランジンアナログを含む組合せ療法を提供する。
一実施形態では、組合せ療法は高いIOPの処置に対するものである。一実施形態では、組合せ療法は緑内障の処置に対するものである。
【0035】
前述の概要には、本発明の特定の実施形態の特徴および技術的利点が幅広く記載されている。さらなる技術的利点は、以下の本発明の詳細な説明に記載される。本発明の特徴になると考えられる新規の特徴は、添付の任意の図および実施例と関連させて考察すれば、本発明の詳細な説明から一層良く理解されるであろう。しかしながら、本明細書において提供する図および実施例は、本発明の説明を補助するかまたは本発明についての理解の促進を支援することを意図するものであり、本発明の範囲を定義することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】プロスタグランジンアナログ単独の投与後におけるIOP低下と比較した、プロスタグランジンアナログの眼への投与4時間後の化合物A100mcgの眼への投与後における、正常血圧サルのIOP低下(mmHg)を示す図である。
【図2】プロスタグランジンアナログ単独の投与後におけるIOP低下と比較した、プロスタグランジンアナログの眼への投与4時間後の化合物A100mcgの眼への投与後における、正常血圧サルのIOP低下(ベースラインからの%変化)を示す図である。
【図3】(i)プロスタグランジンアナログ単独の投与後におけるIOP低下と比較した、プロスタグランジンアナログの眼への投与4時間後の化合物Aの眼への投与後における、正常血圧サルのIOP低下(mmHg)、および(ii)プロスタグランジンアナログ単独の投与後におけるIOP低下と比較した、プロスタグランジンアナログの眼への投与直後の化合物A500mcgの眼への投与後における、正常血圧サルのIOP低下(mmHg)を示す図である
【図4】(i)プロスタグランジンアナログ単独の投与後におけるIOP低下と比較した、プロスタグランジンアナログの眼への投与4時間後の化合物Aの眼への投与後における、正常血圧サルのIOP低下(ベースラインからの%変化)、および(ii)プロスタグランジンアナログ単独の投与後におけるIOPの低下と比較した、プロスタグランジンアナログの眼への投与直後の化合物A500mcgの眼への投与後における、正常血圧サルのIOP低下(ベースラインからの%変化)を示す図である。
【図5】右眼へのラタノプロスト(1.5μg/用量)の1日1回局所投与に続く、右眼への化合物A(65μg/用量;130μg/日)の1日2回反復局所投与後における、正常血圧サル(n=10)の処置右眼の平均IOP(mmHg)を示す図である。この組合せ処置は、右眼へのラタノプロスト(1.5μg/用量)のみの1日1回反復局所投与後における平均IOPと比較される。左眼には右眼と同じ容量の対照(ラタノプロストの代わりに平衡塩類溶液、化合物Aの代わりにプラセボ)を投与した。プロットには、数日にわたり測定した平均IOP値を示す。
【図6】右眼へのラタノプロスト(1.5μg/用量)の1日1回局所投与に続く、右眼への化合物A(65μg/用量;130μg/日)の1日2回反復局所投与後における、正常血圧サル(n=10)の処置右眼のベースラインからのIOP平均パーセント変化を示す図である。この組合せ処置は、右眼へのラタノプロスト(1.5μg/用量)の1日1回反復局所投与後におけるベースラインからのIOP平均パーセント変化と比較される。左眼には右眼と同じ容量の対照(ラタノプロストの代わりに平衡塩類溶液、化合物Aの代わりにプラセボ)を投与した。プロットには、数日にわたり測定した、IOPのベースラインからの平均パーセント変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
有効量のアデノシン受容体Aアゴニスト(例えば式Iの化合物)および有効量のプロスタグランジンアナログ(例えばラタノプロスト、トラボプロスト、ウノプロストン、およびビマトプロスト)を含む組合せ療法を本明細書において提供する。この組合せは、その必要性がある被験対象の眼の眼圧を低下させるために用いることができる。この組合せはまた、緑内障(例えば正常眼圧緑内障)、OHT、およびPOAGなど、ヒトにおける高いIOPに起因する疾患および症状の処置に有用となり得る。
化合物および処置方法
式Iの化合物は下記の構造、
【0038】
【化7】

またはそれらの薬学的に許容される塩であり、
式中、
Aは−CHOH、−CHONO、または−CHOSOHであり;
BおよびCは−OHであり;
Dは、
【0039】
【化8】

であり、
AおよびBは互いにトランスであり;
BおよびCは互いにシスであり;
CおよびDは互いにシスまたはトランスであり;
は−H、−C−C10、アルキル、―アリール、−3〜7員単環式複素環、−8〜12員二環式複素環、−C−C単環式シクロアルキル、−C−C単環式シクロアルケニル、−C−C12二環式シクロアルキル、−C−C12二環式シクロアルケニル−(CH−(C−C単環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C単環式シクロアルケニル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルケニル)、または−(CH−アリールであり;
は、−H、ハロ、−CN、−NHR、−NHC(O)R、−NHC(O)OR、−NHC(O)NHR、−NHNHC(O)R、−NHNHC(O)OR、−NHNHC(O)NHR、または−NH−N=C(R)Rであり;
は、−C−C15アルキル、−アリール、−(CH−アリール、−(CH−(3〜7員単環式複素環)、−(CH−(8〜12員二環式複素環)、−(CH−(C−C単環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C単環式シクロアルケニル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルケニル)、−C≡C−(C−C10アルキル)、または−C≡Cアリールであり;
は、−C−C10アルキル、−アリール、−(CH−アリール、−(CH−(3〜7員単環式複素環)、−(CH−(8〜12員二環式複素環)、−(CH−(C−C単環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C単環式シクロアルケニル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルケニル)、−(CH−(C−C単環式シクロアルケニル)、−フェニレン−(CHCOOH、または−フェニレン−(CHCOO−(C−C10アルキル)であり;
は、−H、−C−C10アルキル、−アリール、−(CH−アリール、−(CH−(3〜7員単環式複素環)、−(CH−(8〜12員二環式複素環)、−(CH−(C−C単環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C単環式シクロアルケニル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルケニル)、または−(CH−(C−C12二環式シクロアルキル)であり、かつnはそれぞれ独立に1から5の整数である。
【0040】
さらなる実施形態では、式Iの化合物は、式Ia:
【0041】
【化9】

またはそれらの薬学的に許容される塩であり、
式中、
Aは−CHONOまたは−CHOSOHであり;
BおよびCは−OHであり;
Dは、
【0042】
【化10】

であり;
AおよびBは互いにトランスであり;
BおよびCは互いにシスであり;
CおよびDは互いにシスまたはトランスであり;
は、−C−C単環式シクロアルキル、−3〜7員単環式複素環、または−C−C12二環式シクロアルキルであり;
は−Hまたは−ハロである。
【0043】
さらに別の実施形態では、式Iの化合物は、式Ib:
【0044】
【化11】

またはそれらの薬学的に許容される塩であり、
式中、
Aは−CHONOであり;
BおよびCは−OHであり;
Dは、
【0045】
【化12】

であり;
AおよびBは互いにトランスであり;
BおよびCは互いにシスであり;
CおよびDは互いにシスまたはトランスであり;
は、−C−C単環式シクロアルキル、−3〜7員単環式複素環、または−C−C12二環式シクロアルキルであり;
は−Hまたは−ハロである。
【0046】
さらなる実施形態では、式Iの化合物は、
化合物A
【0047】
【化13】

((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、化合物B
【0048】
【化14】

((2R,3S,4R,5R)−5−(2−クロロ−6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、
化合物C
【0049】
【化15】

((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルサルフェートナトリウム、
化合物D
【0050】
【化16】

((2R,3S,4R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(6−(テトラヒドロフラン−3−イルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、
化合物E
【0051】
【化17】

((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロヘキシルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、化合物F
【0052】
【化18】

((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(ビシクル−[2.2.1]−ヘプタン−2−イルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン
−2−イル)メチルニトレート、
化合物G
【0053】
【化19】

((2R,3S,4R,5R)−5−(2−クロロ−6−(シクロヘキシルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルサルフェートナトリウム、
化合物H
【0054】
【化20】

((2R,3S,4R,5R)−5−(2−クロロ−6−(シクロヘキシルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、
化合物I
【0055】
【化21】

(2R,3R,4S,5R)−2−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3,4−ジオール(N6シクロペンチルアデノシン(CPA))、及び
化合物J
【0056】
【化22】

(2R,3R,4S,5R)−2−(2−クロロ−6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3,4−ジオール(N6シクロペンチルアデノシン(CCPA))、またはそれらの薬学的に許容される塩から選択される。
【0057】
さらなる実施形態では、アデノシン受容体Aアゴニストは、化合物A、(((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート)、またはそれらの薬学的に許容される塩である。
【0058】
眼科用組合せのさらに別の実施形態では、アデノシン受容体Aアゴニストは化合物A、((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレートであり、プロスタグランジンアナログはラタノプロストである。
【0059】
本明細書において使用する特定の用語の定義を定めることは参考になり得る。他に定義されない限り、本明細書において用いる技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0060】
本発明は、治療薬剤組合せならびに高い眼圧(IOP)および高いIOPに起因する症状を処置する薬剤組合せの投与を提供する。本明細書において使用する「薬剤組合せ」および類似用語は、2つのタイプの薬剤、すなわち、(1)アデノシン受容体Aアゴニスト(例えば式Iの化合物)および/またはアデノシン受容体Aアゴニストの薬理学的に活性な代謝物、塩、溶媒和物、およびラセミ体、ならびに(2)プロスタグランジンアナログ(例えばラタノプロスト)および/またはプロスタグランジンアナログの薬理学的に活性な代謝物、塩、溶媒和物、およびラセミ体の組合せを指す。薬理学的に活性な代謝物には、不活性であるが投与後に体内で薬理学的に活性な形に変換されるものが含まれる。
【0061】
組合せの投与には、単一製剤または単位投与剤形の組合せを投与すること、同時であるが別々に個々の組合せ薬剤を投与すること、または任意の適切なルートにより逐次的に個々の組合せ薬剤を投与することが含まれる。個々の組合せ薬剤の投与では、一方の組合せ薬剤の投与を、他方の薬剤と比較して、より頻繁に行う必要がある場合がある。したがって、適切な投与を可能にするために、パッケージ化された医薬品は、薬剤組合せを含有する1つまたは複数の投与剤形および薬剤組合せの一方を含有するが、薬剤組合せの他方を含有しない1つまたは複数の投与剤形を含有することがある。
【0062】
薬剤組合せ(例えばアデノシン受容体Aアゴニストおよびプロスタグランジンアナログ)の「有効量」とは、この組合せで処置されたうつ病性障害について、臨床的に観察可能なベースラインの徴候および症候を上回る観察可能な改善をもたらすのに十分な量である。
【0063】
用語「処置する」は、被験対象の疾患の少なくとも1つの症候を軽減するか、減少させるか、または緩和することを意味するために本明細書において使用する。例えば、緑内障に関しては、用語「処置する」は、高い眼圧を低下させるかまたは緩和することを意味し得る。本発明の意義の範囲内では、用語「処置する」はまた、発症(すなわち疾患の臨床症状に先立つ期間)を抑えて遅延させること、および/または疾患を発病させるかもしくは悪化させるリスクを低減することを意味する。用語「防止する」は、被験対象における疾患の発病または継続または悪化の適切な予防、遅延、もしくは処置、またはそのすべてを意味するために本明細書において使用する。
【0064】
用語「被験対象」は、高いIOPおよび高いIOPに起因する症状に罹患するかまたは患う可能性のある動物を含めることを意図する。被験対象の例としては、哺乳類、例えばヒト、イヌ、雌ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット、およびトランスジェニック非ヒト動物が挙げられる。特定の実施形態では、被験対象はヒト、例えばIOPまたは高いIOPに起因する症状に罹患しているか、罹患するリスクがあるか、または潜在的に罹患する可能性があるヒトである。
【0065】
用語「約(about)」または「約(approximately)」は、通常、所与の値または範囲の20%以内、より好ましくは10%以内、さらに最も好ましくは5%以内を意味する。あるいは、特に生物系では、用語「約(about)」は、所与の値の約1ログ(すなわち1桁)以内、好ましくは2倍以内を意味する。
【0066】
本発明の記載に関連して(特に以下の特許請求の範囲に関連して)、用語「1つの(a)」および「1つの(an)」ならびに「その(the)」および類似の指示語を使用する場合、本明細書において他に指示がない限り、または文脈によって明確に矛盾しない限り、単数および複数の両方をカバーすると解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含有する(containing)」は、他に指示がない限り、オープンエンド用
語(すなわち「含むが、これに限定されない」ことを意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書において他に指示がない限り、その範囲内に入る別々の値それぞれを個々に言及するための省略表現として活用することを単に意図したものであり、別々の値それぞれは、あたかも本明細書に個々に記載されたかのように本明細書中に組み込まれる。
【0067】
本発明の実施形態は、正常または高い眼圧(IOP)を低下させかつ制御する処置および/または緑内障の処置に有用な組合せを提供する。
アデノシンは多くの生理的プロセスを調節するプリンヌクレオシドである。アデノシンによる細胞シグナリングは、4つのアデノシン受容体サブタイプ、すなわちRalevicおよびBurnstock(Pharmacol Rev.50:413−492,1988)ならびにFredholm BB et al(Pharmacol Rev.53:527−552,2001)により報告されたA、A2A、A2B、およびAを介して起こる。眼では、アデノシンA受容体アゴニストが、マウス、ウサギ、およびサルのIOPを低下させる(Tian B et al.Exp Eye Res.64:979−989,1997;Crosson CE.J Pharmacol Exp
Ther.273:320−326,1995;およびAvila MY et al.Br J Pharmacol.134:241−245,2001)。他の論文には、眼におけるアデノシンA1受容体アゴニストが線維柱帯を介する通常の流出経路を標的にしているとの記載があるが(Husain S et al.J Pharmacol
Exp Ther.320:258−265,2007)、他の経路を介するIOP低下が排除されているわけではない。
【0068】
一実施形態では、被験対象の眼の眼圧低下に使用するi)アデノシン受容体Aアゴニストおよびii)プロスタグランジンアナログを含む、眼の眼圧低下に使用する眼科用組合せおよびキットを本明細書において提供する。
【0069】
一実施形態では、プロスタグランジンアナログは、ラタノプロスト、トラボプロスト、ウノプロストン、およびビマトプロストから選択される。別の実施形態では、プロスタグランジンアナログはラタノプロストである。本明細書において提供される別の実施形態では、Aアゴニストは化合物Aである。別の実施形態では、化合物Aおよびラタノプロストの組合せの有効量を被験対象の冒された眼に投与することを含む、正常眼圧緑内障を処置する方法を本明細書において提供する。別の実施形態では、化合物Aおよびラタノプロストの組合せの有効量を被験対象の冒された眼に投与することを含む、OHPを処置する方法を本明細書において提供する。別の実施形態では、化合物Aおよびラタノプロストの組合せの有効量を被験対象の冒された眼に投与することを含む、POAGを処置する方法を本明細書において提供する。組合せの一実施形態では、約0.05mg/ml〜約7.0mg/mlの化合物Aを、被験対象の冒された眼に1日1〜4回適用する。一実施形態では、化合物A約20〜700μgを、被験対象の冒された眼に1日1〜4回適用する。一実施形態では、化合物A約20〜350μgを、被験対象の冒された眼に1日1〜4回適用する。化合物Aは数滴、例えば1滴〜2滴で投与することができる。一実施形態では、約30μg/ml〜約50μg/mlのプロスタグランジンを冒された眼に適用する。一実施形態では、被験対象はヒトである。
【0070】
式Iの化合物が1つまたは複数のキラル中心を含有し得ることが認識される。本発明は、式Iのエナンチオマー、ジアステレオマー、およびそれらの混合物をすべて考慮する。
さらに、本発明の特定の実施形態は、式Iの化合物の薬学的に許容される塩を含む。薬学的に許容される塩は、アレルギー反応または毒性などの過度の望ましくない作用を示すことなく疾患を処置するのに適している、式Iの化合物の溶解形態または分散形態を含むが、これらに限定されない。代表的な薬学的に許容される塩としては、これらに限定され
ないが、酢酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、またはリン酸塩などの酸付加塩、およびリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、またはアルミニウム塩などの塩基付加塩が挙げられる。
【0071】
本明細書において使用する用語「Aアゴニスト」は、A受容体に対して親和性を有するが、同時に、AおよびAアデノシン受容体に対してはより低い親和性を有するAアゴニストを意味する。本明細書に記載の化合物A〜Jは、AAおよびA受容体それぞれに対する親和性より顕著に大きなA1受容体に対する親和性を有する。化合物A〜Jに関するA選択性データを下記の表に要約する。
【0072】
【表1】

これらの化合物を合成するために使用できる方法を以下に記載する。
【0073】
本明細書において使用する用語「C−C15アルキル」は、1〜15個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖飽和炭化水素を指す。代表的なC−C15アルキル基としては、これらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチ、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、ネオヘプチル、オクチル、イソオクチル、ネオオクチル、ノニル、イソノニル、ネオノニル、デシル、イソデシル、ネオデシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、およびペンタデシルが挙げられる。一実施形態では、C−C15アルキル基は、次の基、すなわち−ハロ、−O−(C−Cアルキル)、−OH、−CN、−COOR’、−OC(O)R’、−N(R’)、−NHC(O)R’または−C(O)NHR’基のうちの1つまたは複数で置換されており、式中、R’はそれぞれ独立に−Hまたは非置換−C−Cアルキルである。指示がない限り、C−C15アルキルは非置換である。
【0074】
本明細書において使用する用語「C−C10アルキル」は、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖飽和炭化水素を指す。代表的なC−C10アルキル基としては、これらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、ネオヘプチル、オクチル、イソオク
チル、ネオオクチル、ノニル、イソノニル、ネオノニル、デシル、イソデシル、およびネオデシルが挙げられる。一実施形態では、C−C10アルキル基は、次の基、すなわち−ハロ、−O−(C−Cアルキル)、−OH、−CN、−COOR’−OC(O)R’、−N(R’)、−NHC(O)R’または−C(O)NHR’基のうちの1つまたは複数で置換されており、式中、R’はそれぞれ独立に−Hまたは非置換−C−Cアルキルである。指示がない限り、C−C10アルキルは非置換である。
【0075】
本明細書において使用する用語「C−Cアルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖飽和炭化水素を指す。代表的なC−Cアルキル基としては、これらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチ、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、およびネオヘキシルが挙げられる。指示がない限り、C−Cアルキルは非置換である。
【0076】
本明細書において使用する用語「アリール」は、フェニル基またはナフチル基を指す。一実施形態では、アリール基は、次の基、すなわち−ハロ、−O−(C−Cアルキル)、−OH、−CN、−COOR’、−OC(O)R’、−N(R’)、−NHC(O)R’、または−C(O)NHR’基のうちの1つまたは複数で置換されており、式中、R’はそれぞれ独立に−Hまたは非置換−C−Cアルキルである。指示がない限り、アリールは非置換である。
【0077】
本明細書において使用する用語「C−C単環式シクロアルキル」は、3員、4員、5員、6員、7員、または8員の飽和非芳香族単環式シクロアルキル環である。代表的なC−C単環式シクロアルキル基としては、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。一実施形態では、C−C単環式シクロアルキル基は、次の基、すなわち−ハロ、−O−(C−Cアルキル)、−OH、−CN、−COOR’、−OC(O)R’、−N(R’)、−NHC(O)R’、または−C(O)NHR’基のうちの1つまたは複数で置換されており、式中、R’はそれぞれ独立に−Hまたは非置換−C−Cアルキルである。指示がない限り、C−C単環式シクロアルキルは非置換である。
【0078】
本明細書において使用する用語「C−C単環式シクロアルケニル」は、少なくとも1つの環内二重結合を有するが芳香族ではない、3員、4員、5員、6員、7員、または8員の非芳香族単環式炭素環である。任意の2つの基が、それらが結合している炭素原子と一緒に、C−C単環式シクロアルケニル基を形成する場合、2つの基が結合している炭素原子は4価のままであることを理解されたい。代表的なC−C単環式シクロアルケニル基としては、これらに限定されないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、1,3−シクロブタジエニル、シクロペンテニル、1,3−シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、1,3−シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、1,3−シクロヘプタジエニル、1,4−シクロヘプタジエニル、1,3,5−シクロヘプタトリエニル、シクロオクテニル、1,3−シクロオクタジエニル、1,4−シクロオクタジエニル、1,3,5−シクロオクタトリエニルが挙げられる。一実施形態では、C−C単環式シクロアルケニル基は、次の基、すなわち−ハロ、−O−(C−Cアルキル)、−OH、−CN、−COOR’、−OC(O)R’、−N(R’)、−NHC(O)R’、または−C(O)NHR’基のうちの1つまたは複数で置換されており、式中、R’はそれぞれ独立に−Hまたは非置換−C−Cアルキルである。指示がない限り、C−C単環式シクロアルケニルは非置換である。
【0079】
本明細書において使用する用語「C−C12二環式シクロアルキル」は、8員、9員
、10員、11員、または12員の飽和非芳香族二環式シクロアルキル環構造である。代表的なC−C12二環式シクロアルキル基としては、これらに限定されないが、デカヒドロナフタレン、オクタヒドロインデン、デカヒドロベンゾシクロヘプテン、およびドデカヒドロヘプタレンが挙げられる。一実施形態では、C−C12二環式シクロアルキル基は、次の基、すなわち−ハロ、−O−(C−Cアルキル)、−OH、−CN、−COOR’、−OC(O)R’、−N(R’)、−NHC(O)R’、または−C(O)NHR’基のうちの1つまたは複数で置換されており、式中、R’はそれぞれ独立に−Hまたは非置換−C−Cアルキルである。指示がない限り、C−C12二環式シクロアルキルは非置換である。
【0080】
本明細書において使用する用語「C−C12二環式シクロアルケニル」は、少なくとも1つの環内二重結合を有する、8員、9員、10員、11員、または12員の非芳香族二環式シクロアルキル環構造である。任意の2つの基が、それらが結合している炭素原子と一緒に、C−C12二環式シクロアルケニル基を形成する場合、2つの基が結合している炭素原子は4価のままであることを理解されたい。代表的なC−C12二環式シクロアルケニル基としては、これらに限定されないが、オクタヒドロナフタレン、ヘキサヒドロナフタレン、ヘキサヒドロインデン、テトラヒドロインデン、オクタヒドロベンゾシクロヘプテン、ヘキサヒドロベンゾシクロヘプテン、テトラヒドロベンゾシクロヘプテン、デカヒドロヘプタレン、オクタヒドロヘプタレン、ヘキサヒドロヘプタレン、およびテトラヒドロヘプタレンが挙げられる。一実施形態では、C−C12二環式シクロアルキル基は、次の基、すなわち−ハロ、−O−(C−Cアルキル)、−OH、−CN、−COOR’、−OC(O)R’、−N(R’)、−NHC(O)R’、または−C(O)NHR’基のうちの1つまたは複数で置換されており、式中、R’はそれぞれ独立に−Hまたは非置換−C−Cアルキルである。指示がない限り、C−C12単環式シクロアルキルは非置換である。
【0081】
本明細書において使用する用語「有効量」は、(i)高いIOPを処置または予防すること、または(ii)ヒトにおいてIOPを低下させることに有効な選択的アデノシン受容体Aアゴニストの量を指す。
【0082】
本明細書において使用する用語「ハロ」は−F、−Cl、−Br、または−Iを指す。
用語「3〜7員単環式複素環」は、(i)環炭素原子のうちの1個がN、O、またはS原子に置換されている3員または4員の非芳香族単環式シクロアルキル、または(ii)環炭素原子のうちの1〜4個がN、O、またはS原子に独立に置換されている5員、6員、または7員の芳香族または非芳香族単環式シクロアルキルを指す。非芳香族3〜7員単環式複素環は、環の窒素、イオウ、または炭素原子を介して結合することができる。芳香族3〜7員単環式複素環は環の炭素原子を介して結合する。3〜7員単環式複素環基の代表的な例としては、これらに限定されないが、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホルニル、オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、チアジアジニル、チアジアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオモルホリニル、チオフェニル、トリアジニル、トリアゾリルが挙げられる。一実施形態では、3〜7員単環式複素環基は、次の基、すなわち−ハロ、−O−(C−Cアルキル)、−OH、−CN、−COOR’、−OC(O)R’、−N(R’)、−NHC(O)R’、または−C(O)NHR’基のうちの1つまたは複数で置換されており、式中、R’はそれぞれ独立に−Hまたは非置換−C−Cアルキルである。指示がない限り、
3〜7員単環式複素環は非置換である。
【0083】
用語「8〜12員二環式複素環」は、二環式環構造の環の一方または両方が、N、O、またはS原子に独立に置換されている環炭素原子のうちの1〜4個を有している、二環式8〜12員芳香族または非芳香族二環式シクロアルキルを指す。このクラスには、ベンゼン環に融合した3〜7員単環式複素環が含まれる。8〜12員単環式複素環の非芳香族環は、環の窒素、イオウ、または炭素原子を介して結合する。芳香族8〜12員単環式複素環は環炭素原子を介して結合する。8〜12員二環式複素環の例としては、これらに限定されないが、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、シノリニル、デカヒドロキノリニル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソインダゾリル、イソインドリル、イソインドリニル、イソキノリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、キノキサリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、およびキサンテニルが挙げられる。一実施形態では、8〜12員二環式複素環基のそれぞれの環は、次の基、すなわち−ハロ、−O−(C−Cアルキル)、−OH、−CN、−COOR’、−OC(O)R’、−N(R’)、−NHC(O)R’、または−C(O)NHR’基のうちの1つまたは複数で置換されていてもよく、式中、R’はそれぞれ独立に−Hまたは非置換−C−Cアルキルである。指示がない限り、8〜12員二環式複素環は非置換である。「フェニレン基」の代表的な例を以下に示す。
【0084】
本明細書において使用する語句「薬学的に許容される塩」は、酸とプリン化合物の塩基性窒素原子との塩である。例示する塩としては、これらに限定されないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコビル酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカル酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸(すなわち1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸)塩が挙げられる。薬学的に許容される塩はさらに樟脳スルホン酸塩であってもよい。用語「薬学的に許容される塩」はまた、カルボン酸官能基などの酸性官能基を有するプリン化合物と塩基との塩を指す。適切な塩基としては、これらに限定されないが、ナトリウム、カリウム、およびリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウムおよび亜鉛などの他の金属の水酸化物;アンモニア、および非置換またはヒドロキシ置換モノ−、ジ−、もしくはトリアルキルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの有機アミン;トリブチルアミン;ピリジン;N−メチル、N−エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ−、ビス−、もしくはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、またはトリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどのモノ−、ビス−、またはトリス−(2−OH−低級アルキルアミン)、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミンまたはトリ−(2−ヒドロキシエチル)アミンなどのN、N−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシル−低級アルキル)−アミン;N−メチル−D−グルカミン;ならびにアルギニン、リジンなどのアミノ酸等が挙げられる。さらに、用語「薬学的に許容される塩」にはプリン化合物の水和物が含まれる。本明細書の化学構造の一部は、化学結合を表わすために太線および破線を用いて描かれている。これらの太線および破線は絶対立体化学を表現するものである。太線は、置換基が、それが結合している炭素原子の平面よりも上にあることを示し、破線は、置換基が、それが結合している炭素原子の平面よりも下にあることを
示す。
【0085】
本明細書において使用する用語「被験対象」は、哺乳類、例えばヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、雌ウシ、ブタ、またはサル、チンパンジー、もしくはヒヒなどの非ヒト霊長類である。一実施形態では、サルはカニクイザルである。一実施形態では、被験対象はヒトである。
【0086】
用語「処置する」「処置された」「処置している」、または「処置」には、処置される状態、障害、または疾患に関連または起因する少なくとも1つの症候の減弱または緩和が含まれる。特定の実施形態では、この処置は、高いIOPの誘導とその後の本発明の化合物の活性化を含み、この活性化により、次に、高いIOPに関連または起因する少なくとも1つの症候が減弱または緩和されることになる。例えば、処置は、障害の1つまたはいくつかの症候の減弱であっても障害の完全な根絶であってもよい。
【0087】
用語「使用」には、本発明の以下の実施形態、すなわち他に記載がない限り、適切で好都合なものとして、高いIOPの処置おける使用;これらの疾患の処置における使用のための医薬組成物を製造するための使用、例えば薬剤の製造における使用;これらの疾患の処置における本発明の化合物の使用方法;これらの疾患の処置のために本発明の化合物を含む医薬品;およびこれらの疾患の処置における使用のための本発明の化合物のうちのいずれか1つまたは複数がそれぞれ含まれる。具体的には、処置されることになる、したがって本発明の化合物の使用が好ましい疾患は、緑内障、POAG、またはOHTから選択される。
【0088】
用語「約(about)」または「約(approximately)」は、通常、所与の値または範囲の20%以内、より好ましくは10%以内、さらに最も好ましくは5%以内を意味する。あるいは、特に生物系では、用語「約(about)」は、所与の値の約1ログ(すなわち1桁)以内、好ましくは2倍以内を意味する。
【0089】
本明細書において使用する用語「滴(drop)」または「滴(drops)」は、液滴と類似の眼科的に許容される液体の量を指す。一実施形態では、1滴は、約5μl〜約200μl、例えば約30μl〜約80μlに等しい液体容量を指す。約5μl〜約200μl、例えば約30μl〜約80μlに等しい液体容量を指す。
【0090】
以下の略語を本明細書において使用し、ここにその定義を示す。すなわち、CCPAは2−クロロ−N6−シクロペンチルアデノシンであり;CPAはN6−シクロペンチルアデノシンであり;NECAはアデノシン−5’−(N−エチル)カルボキサミドであり;NMRは核磁気共鳴であり;R−PIAはN6−(2−フェニル−イソプロピル)アデノシン、R異性体であり;OHTは高眼圧症であり、またはPOAGは原発性開放隅角緑内障であり;HPβCDはヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンである。
投与量
高いIOP処置のための薬剤組合せの至適用量は、公知の方法を用いて各個体それぞれに対して経験的に決定することができ、疾患進行度;個体の年齢、体重、健康状態、性別、および食事;投与時間;および個体が摂取している他の薬剤を含むがこれらに限定されない様々な因子に依存するであろう。至適投与量は当技術分野で周知の日常的な試験および手順を用いて確立することができる。式Iの化合物の1日投与量は10μg〜約2000μgとすることができる。
【0091】
担体物質と組み合わせて投与剤形を製造することができる薬剤組合せの量は、処置する個体に依存して変動させることになる。
投与回数は、使用する化合物および処置または予防すべき高いIOPによる特定の症状
および患者/被験対象の病歴に依存して変動させることができる。一般には、有効な治療を行うのに十分な最小投与量の使用が好ましい。処置または予防するIOP症状に適するアッセイまたは試験を用いて治療有効性を見るために患者を全般的にモニターすることができるが、当業者であればこれらに精通しているであろう。
【0092】
製剤化学分野の当業者にとっては容易に明らかである、様々な従来型の混合、粉砕、および成型技術により投与剤形を調製することができる。
本発明の薬剤化合物(例えば、式(I)の化合物、特に化合物A、およびプロスタグランジンアナログ、例えばラタノプロスト)は、1:100〜100:1、より好ましくは1:10〜1:100、例えば1:15〜1:60、例えば1:20〜1:50(プロスタグランジンアナログ:Aアゴニスト)の範囲内の比で、本明細書に開示の組合せ、投与剤形、医薬組成物、および医薬製剤の中に含まれる。
【0093】
毒性を示さずに効果を発揮する薬剤化合物の最適比、個々および合計の投与量、ならびに濃度は、標的部位に対する有効成分のアベイラビリティの動力学に基づき、当業者に公知の方法を用いて決定する。
医薬組成物
本明細書において提供される医薬組成物または組合せ(例えば式(I)の化合物、特に化合物A、およびプロスタグランジンアナログ、例えばラタノプロスト)は、臨床試験で検証することができる。適切な臨床試験は、例えば、高いIOPの患者では、非盲検用量漸増試験とすることができる。高いIOPに対する有益な効果は、当業者にそれ自体公知であるこれらの試験の結果によって直接判定することができる。このような試験は、有効成分を用いる単独療法の効果と本発明の組合せ療法の効果とを比較するのに特に適切なものとなり得る。一実施形態では、式(I)の化合物、例えば化合物Aの用量は最大耐量に到達するまで漸増し、プロスタグランジンアナログは固定用量で投与する。あるいは、式(I)の化合物、例えば化合物Aは固定用量で投与し、プロスタグランジンアナログの用量は漸増することも可能である。各患者は、1日1回または1日2〜4回のいずれかで、式(I)の化合物、例えば化合物Aの投与を受けることができる。このような試験では、6週間毎の症候スコアの評価によって、例えば12、18、または24週間後に、処置の効果を判定することができる。
【0094】
本発明の医薬組合せの投与は、本発明の組合せの中で用いる医薬有効成分のうちの1つのみを適用する単独療法と比較して、例えば高いIOP症候の緩和、進行遅延、または抑制に関する有益な効果だけでなく、例えば副作用の減少または生活の質の向上などのさらに驚くべき有益な効果ももたらすことができる。
【0095】
さらなる有益性は、本発明の組合せの有効成分をより低用量で用いることができること、例えば、投与をより少量にする必要がしばしばあるだけでなく、適用回数を少なくすることもできることであり、これによって、副作用の発生率または重症度を低減させることができる。これは、処置される患者の要望および要求にも一致する。
【0096】
本発明の目的の一つは、IOPの低下および/または緑内障の軽減に、併用すると治療上有効になり得る量を含む医薬組成物を提供することである。この組成物では、式(I)の化合物およびプロスタグランジンアナログを、1つの組合せ単位投与剤形または2つの別々の単位投与剤形で、一緒に、逐次的に、または別々に投与することができる。
【0097】
両方の化合物を別々に投与するための医薬組成物は、それ自体公知の方法で調製することができ、ヒトを含む哺乳類(温血動物)に対する眼への局所投与に適しているものであり、例えば上記記載のように単独でまたは1つもしくは複数の薬学的に許容される担体または希釈剤と組み合わせて、少なくとも1つの薬理学的に活性な組合せパートナーの治療
有効量を含む。
製剤
本明細書において提供される薬剤組合せは、当業者には明らかな様々な医薬製剤方法により製剤化することができる。適切な医薬製剤は、例えば約0.1%〜約99.9%、好ましくは約1%〜約60%の有効成分を含有することができる。個々の用量の投与剤形それぞれに含有される組合せパートナーの単位含量は、投与量単位の複数回投与により必要な有効量に到達させてもよいので、それ自体で有効量を構成する必要はないことが理解されよう。
【0098】
具体的には、本発明の組合せの組合せパートナーのそれぞれにおける治療有効量を、同時にまたは逐次的かつ任意の順番で投与することができる。例えば、本発明によるIOP低下方法は、同時にまたは任意の順番で逐次的に、併用治療有効量、例えば本明細書に記載の量に相当する1日投与量または間歇投与量で、(i)遊離形態または薬学的に許容される塩形態で第1の薬剤(a)を投与すること、および(ii)遊離形態または薬学的に許容される塩形態で薬剤(b)を投与することを含むことができる。本発明の組合せの個々の組合せパートナーは、治療期間中の様々な時点で別々にまたは同時に、分割形態または単一組合せ形態で投与することができる。さらに、用語「投与」は、組合せパートナーそれ自体にインビボで変換する組合せパートナーのプロドラッグの使用も包含する。したがって、本発明は、同時または交互の処置のようなレジメンすべてを包含するものと理解されるべきであり、用語「投与」はそれに応じて解釈されるべきである。
【0099】
本発明の組合せに用いられる組合せパートナーのそれぞれにおける有効投与量は、使用される特定の化合物または医薬組成物、処置されている症状、処置されている症状の重症度に応じて変動し得るものである。したがって、本発明の組合せの投与レジメンは、患者の病歴を含む様々な因子に従って選択される。通常の技術を有する臨床医または医師は、症状進行の緩和、抑制、または阻止に必要とされる単一有効成分の有効量を容易に決定し処方することができる。
【0100】
式Iの化合物は、送達のために、様々なタイプの眼科用組成物または製剤に組み込むことができる。式Iの化合物は、当業者に周知の手法を用いて、眼に直接送達させることができる(例えば:局所的な眼への滴剤または軟膏剤;結膜嚢に埋め込まれたまたは強膜に隣接してもしくは眼の内部に埋め込まれた医薬的な薬物送達スポンジなどの除放性装置;眼周囲、結膜、テノン嚢下、前房内、硝子体内、または小管内への注射)。さらに、本発明の薬剤は眼内挿入装置または眼内移植装置の中に製剤化することができると考えられる。
【0101】
式Iの化合物は、眼への送達のために、pH約4〜8の局所用眼科製剤に組み込むことが好ましい。そのような製剤の1つが、PCT/米国特許出願公開第2010/054040号明細書に詳細に記載されている水性懸濁液製剤であり、実施例において以下で概説する。この化合物は、眼科的に許容される防腐剤、界面活性剤、粘性促進剤、経皮吸収促進剤、緩衝液、塩化ナトリウム、および水と組み合わせて、水性無菌眼科用懸濁液剤または水性無菌眼科用液剤を形成させることができる。眼科用液製剤は、生理学的に許容される等張水性緩衝液中に化合物を溶解させることにより調製することができる。さらに、眼科用液剤は、化合物の溶解を促進する、眼科的に許容される界面活性剤を含むことができる。さらに、眼科用液剤は、結膜嚢における製剤の保持を改善するために、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン(HPβCD)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなど、粘性または溶解性を高める薬剤を含有することができる。これらに限定されないが、ゲランゴムおよびキサンタンガムを含むゲル化剤も用いることができる。無菌の眼科用軟膏製剤を調製するために、有効成分を適切な担体中で鉱油、液体ラノリ
ン、または白色ワセリンなどの防腐剤と組み合わせることができる。無菌の眼科用ゲル製剤は、類似の眼科用調製物のために公開されている製剤化に従って、例えばcarbopol−974等の組合せから調製された親水性基剤の中に化合物を懸濁させることにより調製することができ、また、防腐剤および等張化剤を組み込むことができる。
【0102】
好ましい実施形態における化合物は、POAGまたはOHTの患者で高いIOPを経験したことがありかつ/または正常なIOPレベルを維持している患者のIOPを低下させるのに十分な量で組成物の中に含有される。本明細書においては、そのような量を、「IOPを制御または低下させるのに有効な量」、すなわちより簡単には「有効量」と呼ぶ。化合物は通常、0.05mg/ml〜7.0mg/mlの量、好ましくは0.4〜7.0mg/mlの量で、これらの製剤の中に含有されることになる。したがって、局所的な症状に対しては、熟練した臨床医の判断に従って、これらの製剤の1〜2滴が1日1〜4回眼の表面に送達されることになる。
合成方法
式Iの化合物は、米国特許第7,423,144号明細書(この開示の内容全体が本明細書に組み込まれる)に記載の合成手順および他の公表された方法(Cristalli
et al.,J.Med.Chem.35:2363−2369,1992;Cristalli et al.,J.Med.Chem.37:1720−1726,1994;Cristalli et al,J.Med.Chem.38:1462−1472,1995;およびCamaioni et al.,Bioorg.Med.Chem.5:2267−2275,1997を参照のこと)を用いて、または以下に概説の合成手順を用いて調製することができる。
【0103】
本発明の化合物を製造するために有用なヌクレオシド中間体を製造する方法をスキーム1に示す。
【0104】
【化23】

式中、Rは上記に定義した通りである。
【0105】
式1の保護されたリボース化合物を、リチウムヘキサメチルジシラジドおよびトリメチルシリルトリフレートを用いて式2のプリン化合物とカップリングした後、トリフルオロ酢酸を用いてアセトニドを除去し、式3のヌクレオシド中間体およびそれに対応する式4の他のアノマーを得ることができる。同様に、式5のリボースジアセテートを、リチウムヘキサメチルジシラジドおよびトリメチルシリルトリフレートを用いて、式2の化合物と
カップリングして、式6のアセトニド保護ヌクレオシド中間体およびそれに対応する式7の他のアノマーを得ることができる。
【0106】
本発明の化合物を製造するために有用な式8のアデノシン中間体を製造するために有用な方法をスキーム2に示す。
【0107】
【化24】

式中、RおよびRは上記に定義したものである。
【0108】
式3aの6−クロロアデノシン誘導体を、樟脳スルホン酸の存在下でアセトンおよび2,2−ジメトキシプロパンを用いて、この誘導体の2’,3’−アセトニドに変換する。このアセトニドを、塩基の存在下で式R−NHのアミンを用いてさらに誘導体化して、式8の化合物を得ることができる。
【0109】
本発明の他の化合物を製造するために有用な方法論をスキーム4に記載する。
【0110】
【化25】

式中、RおよびRは上記に定義したものである。
【0111】
式8のアデノシン中間体を、無水酢酸の存在下で硝酸を用いて、またはMsCl/ONOもしくはニトロソニウムテトラフルオロボレートなどの他のニトロ化剤を用いて、この中間体の5’−ニトレートアナログに変換することができる。TFA/水を用いてアセトニドを除去すると、本発明の化合物が得られる。
【0112】
が−CHOSOHである式(Id)のプリン誘導体を製造するために有用な方法論をスキーム6に概説する。
【0113】
【化26】

式中、RおよびRは上記に定義したものである。
【0114】
式8のアデノシン中間体を三酸化イオウ−ピリジン錯体で処理して、対応する5’−スルホン酸ピリジン塩中間体を得ることができる。次いで、このピリジン塩中間体をNaOHまたはKOHを用いて中和した後、TFA/水を用いてアセトニドを除去して、Aが−CHOSOHである式(Id)のプリン誘導体のそれぞれ対応するナトリウム塩またはカリウム塩を得ることができる。このナトリウム塩またはカリウム塩を硫酸または塩酸などの強酸性水溶液で処理すると、Aが−CHOSOHである本発明の化合物が得られる。
【実施例】
【0115】
実施例/実験例
実験は10匹の無麻酔カニクイザル(マカカ・ファシキュラリス(Macaca fascicularis))で行った。これらのサルは、眼に疾患がなく、正常範囲の眼圧記録を有し、正常血圧サルとして分類されたものである。試験に先だって、サルをあらかじめ試験手順(例えば投薬、眼圧測定、眼検査、およびハンドリング)に馴化させ、また各処置前に休薬期間を置いた。
【0116】
化合物Aは2つの異なる製剤で投与した。
1.HPβCD(ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)製剤
一方の製剤では、凍結乾燥した化合物AとHPβCDを1:20(重量/重量)で、米国薬局方のインジェクション用に0.9%の生理食塩水を用いて再構成した。
2.水性懸濁液製剤
水性製剤は下記のものから構成した。
【0117】
【表2】

処置1
第1の処置では、10匹のサルに対して、一方の試験眼に、水性懸濁液に製剤化した化合物A100mcgを40mcLで局所投与し、対側眼には、担体/プラセボ対照を局所投与した。試験期間中、試験眼および対側眼の両方の眼圧(IOP)を、局所麻酔剤(プロパラカイン)の適用後、空気眼圧計を用いて反復測定した。第1の処置における対照は、0.8%塩化ナトリウム(NaCl)、0.15%クエン酸塩、0.01%塩化ベンザルコニウム、0.3%ポリソルベート80、および0.7%カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na)を含む組成物40mcLとした。
処置2
第2の処置では、10匹のサルに対して、一方の試験眼に、ラタノプロスト(キサラタン(商標))を、合計用量1.5mcgになるように15mcL(50mcg/mLの濃度)を間隔をあけて2滴投与し、その直後に、さらに、一方の試験眼には、HPβCD溶液に製剤化した化合物A500mcgを40mcLで局所投与し、対側眼には、生理食塩水中のHPβCDの担体/プラセボを投与した。
処置3
第3の処置では、10匹のサルに対して、一方の試験眼に、ラタノプロスト(キサラタン(商標))を、合計用量1.5mcgになるように15mcL(50mcg/mLの濃度)を間隔をあけて2滴投与し、対側眼には、生理食塩水担体を2滴投与した。この処置は、処置間に十分な休薬を置いた2つの別個の時間に実施した。試験眼および対側眼の両方のIOPを、局所麻酔剤(プロパラカイン)の適用後、空気眼圧計を用いて反復測定した。
処置4
第4の処置では、10匹のサルに対して、一方の試験眼に、ラタノプロスト(キサラタン(商標))を、合計用量1.5mcgになるように15mcL(50mcg/mLの濃度)を間隔をあけて2滴局所投与し、対側眼には、生理食塩水を投与した。約4時間後に、さらに、これらのサルに対して、同じ試験眼には、水性懸濁液に製剤化した化合物A100mcgを40mcLで局所投与し、対側眼には、0.8%塩化ナトリウム(NaCl)、0.15%クエン酸塩、0.01%塩化ベンザルコニウム、0.3%ポリソルベート80、および0.7%カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na)の担体/プラセボを投与した。試験眼および対側眼の両方の眼圧(IOP)を、局所麻酔剤(プロパラカイン)の適用後、空気眼圧計を用いて反復測定した。
処置5
第5の処置では、10匹のサルに対して、一方の試験眼に、ラタノプロスト(キサラタン(商標))を、合計用量1.5mcgになるように15mcL(50mcg/mLの濃度)を間隔をあけて2滴局所投与し、対側眼には、生理食塩水を投与した。約5時間後に、さらに、これらのサルに対して、同じ試験眼には、水性懸濁液に製剤化した化合物A100mcgを40mcLで局所投与し、対側眼には、0.8%塩化ナトリウム(NaCl)、0.15%クエン酸塩、0.01%塩化ベンザルコニウム、0.3%ポリソルベート80、および0.7%カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na)の担体/プラセボを局所投与した。試験眼および対側眼の両方のIOPを、局所麻酔剤(プロパラカイン)の適用後、空気眼圧計を用いて反復測定した。
結果
これらの処置から得られた結果を図1〜4に図示する。処置1の結果は図1に、処置2および3は図2に、処置3および4は図3に、処置3および5は図4に見ることができる。水性懸濁液の化合物A100mcgを眼に投与した後のIOP低下を(mmHGおよびベースラインからの%変化)で示している、図1のプロットから結果を見ることができる。図2のプロットは、プロスタグランジン1.5mcg単独を眼に投与して見られたIOP低下と比較した、HPβCD懸濁液の化合物A500mcgおよびプロスタグランジン1.5mcgを眼に同時投与した後のIOP低下を(mmHGおよびベースラインからの%変化)で示す。
【0118】
図3のプロットは、プロスタグランジン1.5mcg単独を眼に投与して見られたIOP低下と比較した、プロスタグランジン1.5mcgを眼に投与した4時間後に水性懸濁液の化合物A100mcgを眼に投与した後のIOP低下を(mmHgおよびベースラインからの%変化)で示す。図4のプロットは、プロスタグランジン1.5mcg単独を眼に投与して見られたIOP低下と比較した、プロスタグランジン1.5mcgを眼に投与した5時間後に水性懸濁液の化合物A100mcgを眼に投与した後のIOP低下を(mmHgおよびベースラインからの%変化)で示す。化合物Aを2つの異なる用量で投与したこと、ならびに化合物Aをラタノプロストと同時に、またラタノプロストの投与後2つの異なる時間に投与したことも図2〜4で認識することができる。試験の各群において、ラタノプロスト単独投与のIOPと比較して、一層顕著なIOP低下が化合物Aの投与1時間後に観察された。
複数回投与試験
無麻酔カニクイザルにおいて、ラタノプロストの1日1回局所投与と組み合せて、懸濁液製剤の化合物Aを1日2回局所投与した際のIOP低下作用を評価するために複数回投与試験を行った。化合物Aとの組合せ処置の前に、ラタノプロストを約2週間動物に投与した。処置前に開始して組合せ処置を通して定期的にIOPをモニターした。
【0119】
1.625mg/mLの化合物Aの懸濁液製剤は、0.7%カルボキシルメチルセルロースナトリウム(CMC)、0.3%ポリソルベート80、0.01%塩化ベンザルコニウム、0.15%クエン酸、および0.8%塩化ナトリウム(NaCl)の中で製剤化した。プラセボには化合物Aを除いて、これらと同じ成分を含有させた。市販のラタノプロスト(0.05mg/mL)を投与した。処置の開始時において3〜4歳で正常眼圧の雌カニクイザル(マカカ・ファシキュラリス(Macaca fascicularis))10匹を、全身麻酔または鎮静状態ではない(無麻酔)状態での眼の局所投与および空気眼圧計(Model 30 Classic)を用いる反復IOP測定に馴化させ、表1に示すように投与した。
【0120】
【表3】

投与約1時間前から開始して、時間0(投与直前)、投与後の様々な時間間隔で両眼の眼圧を測定した(3つの記録/眼/時間間隔を平均値と共にデータ表に示す)。平均IOP値およびベースラインレベルからのIOPレベルのパーセント変化を計算した。試験のこの段階から得られた、処置のIOP平均値および対照に対する平均値の標準偏差を併せたデータの要約を図5および6に示す。対照プロットには、すべての処置(BSS単独ならびにBSSとプラセボとの組合せ)の平均値を併せたものが含まれる。対照眼における平均IOPレベルは21〜22mmHgの範囲であった。
結果
ラタノプロストの1日1回反復局所投与のIOPに対する効果
正常血圧サルの右眼にラタノプロストを1日1回反復局所投与をした後における、4回の別個のIOP測定セッションの平均IOP(mmHg)を図5に示し、ベースラインからの平均パーセント変化を図6に示す。平均IOPレベルは、処置眼においてピークの谷で約2mmHg低下した。これは、平均IOPベースラインレベルからの約13%の低下に相当した。ラタノプロストによる2週間の反復処置の後、処置眼のIOPは、投与前期間を含めた対照眼のIOPよりわずかに低下していた。
ラタノプロストの連日局所投与による定常状態IOPレベルの確立後における、ラタノプロストの1日1回局所投与と組み合せた、化合物A懸濁液製剤(65μg化合物A/用量)の1日2回局所投与のIOPに対する効果
連日反復局所投与後における、正常血圧サルの処理右眼の3回のIOP測定セッションの平均IOP(mmHg)を図5に示し、ベースラインからの平均パーセント変化を図6に示す。右眼へのラタノプロスト(1.5μg/用量)の1日1回局所投与の後に、その右眼に化合物A(65μg/用量/眼;130μg/眼/日)を1日2回投与した。
【0121】
約2週間のラタノプロスト連日局所投与により定常状態IOPレベルを確立した後に、ラタノプロスト(1.5μg/眼)1日1回と組み合せて、化合物A(65μg/用量/眼、130μg/日)の1日2回反復処置を右眼に行った。この組合せ処置により、化合物Aの1日2回投与(時間0および5時間)それぞれの1時間後に、ラタノプロスト単独
処理に比較して顕著なIOP低下が見られた。ラタノプロスト連日局所投与により確立されたIOPレベルに対するIOPの迅速な低下が化合物Aの局所投与により起こった。ラタノプロスト単独での観察よりも組合せ処置によってIOCは顕著に低下した。IOPは、1日の第1および第2の投与後のピークの谷では、それぞれ約12%および17%低下していた。この傾向は組合せ処置の各IOPセッションで一貫していた。
【0122】
同様のまたはより顕著な結果が、高血圧サルのさらなる前臨床試験でも観察されることおよびヒトを含む他の哺乳類にも同様に当てはまることが予測される。
本発明およびその実施形態を詳細に記載してきた。しかしながら、本発明の範囲を、本明細書に記載した任意のプロセス、製造、組成物、化合物、手段、方法、および/または工程の特定の実施形態に限定することを意図するものではない。本発明の精神および/または本質的特質から逸脱することなく、開示された材料に様々な修正、置換、および変更を行うことができる。したがって、当業者であれば、本明細書に記載の実施形態と実質的に同じ機能を発揮するかまたは実質的に同じ結果が得られる、その後の修正形態、置換形態、および/または変更形態をそれらに関連する実施形態に従って利用することができることを本開示から容易に認識するであろう。したがって、以下の特許請求の範囲は、その範囲内に、本明細書に開示の組合せ、キット、化合物、手段、方法、および/または工程に対する修正、置換、および変更を包含するように意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験対象の眼の眼圧低下に使用するための、i)アデノシン受容体Aアゴニストおよびii)プロスタグランジンアナログを含む眼科用組合せ。
【請求項2】
前記プロスタグランジンアナログが、ラタノプロスト、トラボプロスト、ウノプロストン、およびビマトプロストから選択される、請求項1に記載の組合せ。
【請求項3】
前記プロスタグランジンアナログがラタノプロストである、請求項1に記載の組合せ。
【請求項4】
前記アデノシン受容体Aアゴニストが式(I)
【化1】

の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩から選択され、
式中、
Aは−CHOH、−CHONO、または−CHOSOHであり;
BおよびCは−OHであり;
Dは、
【化2】

であり;
AおよびBは互いにトランスであり;
BおよびCは互いにシスであり;
CおよびDは互いにシスまたはトランスであり;
は−H、−C−C10、アルキル、―アリール、−3〜7員単環式複素環、−8〜12員二環式複素環、−C−C単環式シクロアルキル、−C−C単環式シクロアルケニル、−C−C12二環式シクロアルキル、−C−C12二環式シクロアルケニル−(CH−(C−C単環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C単環式シクロアルケニル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルケニル)、または−(CH−アリールであり;
は、−H、ハロ、−CN、−NHR、−NHC(O)R、−NHC(O)OR、−NHC(O)NHR、−NHNHC(O)R、−NHNHC(O)OR、−
NHNHC(O)NHR、または−NH−N=C(R)Rであり;
は、−C−C15アルキル、−アリール、−(CH−アリール、−(CH−(3〜7員単環式複素環)、−(CH−(8〜12員二環式複素環)、−(CH−(C−C単環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C単環式シクロアルケニル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルケニル)、−C≡C−(C−C10アルキル)、または−C≡Cアリールであり;
は、−C−C10アルキル、−アリール、−(CH−アリール、−(CH−(3〜7員単環式複素環)、−(CH−(8〜12員二環式複素環)、−(CH−(C−C単環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C単環式シクロアルケニル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルケニル)、−(CH−(C−C単環式シクロアルケニル)、−フェニレン−(CHCOOH、または−フェニレン−(CHCOO−(C−C10アルキル)であり;
は、−H、−C−C10アルキル、−アリール、−(CH−アリール、−(CH−(3〜7員単環式複素環)、−(CH−(8〜12員二環式複素環)、−(CH−(C−C単環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C単環式シクロアルケニル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルケニル)、または−(CH−(C−C12二環式シクロアルキル)であり、かつnはそれぞれ独立に1から5の整数である、請求項1に記載の組合せ。
【請求項5】
式Iの前記化合物が、
化合物A
【化3】

((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、化合物B
【化4】

((2R,3S,4R,5R)−5−(2−クロロ−6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、
化合物C
【化5】

((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルサルフェートナトリウム、
化合物D
【化6】

((2R,3S,4R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(6−(テトラヒドロフラン−3−イルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、
化合物E
【化7】

((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロヘキシルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、化合物F
【化8】

((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(ビシクル−[2.2.1]−ヘプタン−2−イルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、
化合物G
【化9】

((2R,3S,4R,5R)−5−(2−クロロ−6−(シクロヘキシルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルサルフェートナトリウム、および
化合物H
【化10】

((2R,3S,4R,5R)−5−(2−クロロ−6−(シクロヘキシルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、
化合物I
【化11】

(2R,3R,4S,5R)−2−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3,4−ジオール(N6シクロペンチルアデノシン(CPA))、
化合物J
【化12】

(2R,3R,4S,5R)−2−(2−クロロ−6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3,4−ジオール(N6シクロペンチルアデノシン(CCPA))、
またはそれらの薬学的に許容される塩から選択される、請求項3に記載の組合せ。
【請求項6】
前記アデノシン受容体A1アゴニストが、化合物A、((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、またはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の組合せ。
【請求項7】
前記A1アゴニストが、前記被験対象の眼にプロスタグランジンアナログが適用されるのと同時に、別々に、または逐次的に被験対象の眼に適用される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項8】
請求項1に記載の組合せは、1日1〜4回前記被験対象の眼に、約30μg/ml〜約50μg/mlのプロスタグランジンアナログと一緒に約0.05mg/ml〜約7.0mg/mlのAアゴニストの1滴または複数滴を適用することにより達成される。
【請求項9】
請求項8に記載の組合せは、1日1〜2回前記被験対象の眼に、Aアゴニスト約20
〜700μgを適用することにより達成される。
【請求項10】
請求項8に記載の組合せは、1日1〜2回前記被験対象の眼に、Aアゴニスト約20〜350μgを適用することにより達成される。
【請求項11】
前記Aアゴニストおよびプロスタグランジンアナログが、前記被験対象の眼に1滴または複数滴の点眼剤として局所投与される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項12】
前記被験対象の冒された眼に、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組合せの有効量を投与することにより、被験対象におけるIOPならびに高いIOPに起因する関連疾患および症状を軽減させる方法。
【請求項13】
ヒトでの高いIOPに起因する前記疾患および症状が、正常眼圧緑内障、OHT、およびPOAGからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
被験対象の眼の眼圧低下に使用するための、i)アデノシン受容体Aアゴニストおよびii)プロスタグランジンアナログを含むキット。
【請求項15】
前記プロスタグランジンアナログが、ラタノプロスト、トラボプロスト、ウノプロストン、およびビマトプロストから選択される、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
前記プロスタグランジンアナログがラタノプロストである、請求項14に記載のキット。
【請求項17】
前記アデノシン受容体Aアゴニストが式(I)
【化13】

またはそれらの薬学的に許容される塩から選択され、
式中、
Aは−CHOH、−CHONO、または−CHOSOHであり;
BおよびCは−OHであり;
Dは、
【化14】

であり;
AおよびBは互いにトランスであり;
BおよびCは互いにシスであり;
CおよびDは互いにシスまたはトランスであり;
は−H、−C−C10アルキル、―アリール、−3〜7員単環式複素環、−8〜12員二環式複素環、−C−C単環式シクロアルキル、−C−C単環式シクロアルケニル、−C−C12二環式シクロアルキル、−C−C12二環式シクロアルケニル−(CH−(C−C単環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C単環式シクロアルケニル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルケニル)、または−(CH−アリールであり;
は、−H、ハロ、−CN、−NHR、−NHC(O)R、−NHC(O)OR、−NHC(O)NHR、−NHNHC(O)R、−NHNHC(O)OR、−NHNHC(O)NHR、または−NH−N=C(R)Rであり;
は、−C−C15アルキル、−アリール、−(CH−アリール、−(CH−(3〜7員単環式複素環)、−(CH−(8〜12員二環式複素環)、−(CH−(C−C単環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C単環式シクロアルケニル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルケニル)、−C≡C−(C−C10アルキル)、または−C≡Cアリールであり;
は、−C−C10アルキル、−アリール、−(CH−アリール、−(CH−(3〜7員単環式複素環)、−(CH−(8〜12員二環式複素環)、−(CH−(C−C単環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C単環式シクロアルケニル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルケニル)、−(CH−(C−C単環式シクロアルケニル)、−フェニレン−(CHCOOH、または−フェニレン−(CHCOO−(C−C10アルキル)であり;
は、−H、−C−C10アルキル、−アリール、−(CH−アリール、−(CH−(3〜7員単環式複素環)、−(CH−(8〜12員二環式複素環)、−(CH−(C−C単環式シクロアルキル)、−(CH−(C−C単環式シクロアルケニル)、−(CH−(C−C12二環式シクロアルケニル)、または−(CH−(C−C12二環式シクロアルキル)であり、かつnはそれぞれ独立に1から5の整数である、請求項14に記載のキット。
【請求項18】
式Iの前記化合物が、
化合物A
【化15】

((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、化合物B
【化16】

((2R,3S,4R,5R)−5−(2−クロロ−6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、
化合物C
【化17】

((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−
9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルサルフェートナトリウム、
化合物D
【化18】

((2R,3S,4R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(6−(テトラヒドロフラン−3−イルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、
化合物E
【化19】

((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロヘキシルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、化合物F
【化20】

((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(ビシクル−[2.2.1]−ヘプタン−2−イルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、
化合物G
【化21】

((2R,3S,4R,5R)−5−(2−クロロ−6−(シクロヘキシルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルサルフェートナトリウム、
化合物H
【化22】

((2R,3S,4R,5R)−5−(2−クロロ−6−(シクロヘキシルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、
化合物I
【化23】

(2R,3R,4S,5R)−2−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3,4−ジオール(N6シクロペンチルアデノシン(CPA))、
化合物J
【化24】

(2R,3R,4S,5R)−2−(2−クロロ−6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3,4−ジオール(N6シクロペンチルアデノシン(CCPA))、またはそれらの薬学的に許容される塩から選択される、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
前記アデノシン受容体Aアゴニストが、化合物A、((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、またはその薬学的に許容される塩である、請求項14に記載のキット。
【請求項20】
式Iのアデノシン受容体Aアゴニストおよびプロスタグランジンアナログを含む組合せの有効量を投与することにより、被験対象における高いIOPならびに高いIOPに起因する関連疾患および症状を処置する方法。
【請求項21】
アデノシン受容体Aアゴニストの化合物A、((2R,3S,4R,5R)−5−(6−(シクロペンチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテト
ラヒドロフラン−2−イル)メチルニトレート、および前記プロスタグランジンアナログのラタノプロストを含む組合せの有効量を投与することにより、被験対象における高いIOPならびに高いIOPに起因する関連疾患および症状を処置する方法。
【請求項22】
有効量のアデノシン受容体Aアゴニストおよび有効量のプロスタグランジンアナログを含む組合せ療法。
【請求項23】
前記組合せ療法が高いIOPの処置に対するものである、請求項22に記載の組合せ療法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−516495(P2013−516495A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548226(P2012−548226)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【国際出願番号】PCT/US2011/020808
【国際公開番号】WO2011/085361
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(504080179)イノテック ファーマシューティカルズ コーポレイション (24)
【Fターム(参考)】