説明

眼圧測定方法

【課題】より自然に近い状態で、長期間にわたって連続的に眼圧を測定することが可能な眼圧測定方法、及び、前記測定が可能な動物を提供する。
【解決手段】前記動物は、複数の平行する切れ目を生体膜に入れ、該切れ目にカテーテルを通すことにより、圧力センサー又は少なくともその圧感知部位が眼内に固定されている。あるいは、別の前記動物は、圧力センサー及び送信部を含む圧力計測用送信器が、眼内に設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然状態あるいは持続的な眼圧測定方法に関し、更には、眼圧の変動が関与する疾患(特に緑内障)のモデル動物として有用な新規動物(ヒト及び非ヒト動物を含む)及びその作製方法、並びにそれを用いる各種方法に関する。
【背景技術】
【0002】
緑内障は、「視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患」〔日本緑内障学会のガイドライン(第二版)〕である。従来、眼圧が上昇することで視神経が障害される病気として理解されてきたが、近年、正常眼圧にもかかわらず緑内障性視神経障害を示す正常眼圧緑内障の存在が明らかになった。特に本邦においては正常眼圧が主流であることが疫学研究で明らかになった。現時点、正常眼圧緑内障でも確証ある治療は眼圧の下降だけである。眼圧測定は、緑内障の診断・治療・および緑内障治療薬の開発において重要である。
【0003】
ヒトにおける緑内障の診断の際に用いられる眼圧測定法としては、接触型眼圧測定法と非接触型眼圧測定法が知られている。接触型眼圧測定法は、細隙灯顕微鏡に組み込まれている眼圧計の先端のチップを角膜に接触させて眼圧を測定するものであり、測定前に麻酔薬を点眼する必要がある。一方、非接触型眼圧測定法は、圧縮空気を角膜に吹き付けて眼圧を測定するものであり、麻酔薬の点眼の必要はないが、測定値の誤差が大きい点で問題がある。眼圧には血圧同様に日内変動が存在する。診察あるいは検査時だけの測定値では不十分である。また、被験者の姿勢、体位によって異なる値を示す。いかなる状態にあっても測定値が得られることが重要である。また、いずれの方法も、単回の測定を前提としており、連続的に眼圧を測定し、経時的変化を追跡する用途には不向きである。
【0004】
また、緑内障治療薬のスクリーニング、あるいは、緑内障治療薬の候補化合物の評価においては、実験動物を使用することが多いが、長期間にわたって連続的に眼圧をモニタリングすることが求められている。更には、接触型眼圧測定法および非接触型眼圧測定法のいずれも、その測定操作自体が眼圧に影響を与える可能性があり、動物本来の生理的環境における眼圧を、より自然な状態で測定することも求められている。両測定法において角膜厚等、解剖学上の相違が測定値に影響を与えることが知られている。人眼球を対象に作成された装置は解剖学的に異なる異種動物の眼圧の正確な測定は不可能である<第30回比較眼科学会記念年次大会(2010年8月)にて本発明者らにより発表>。
【0005】
これらの課題を解決するためのモデル動物として、ウサギの眼球の所定箇所に圧力センサーを埋め込み、テレメトリックに信号を受信することにより、長期間にわたって連続的に眼圧を測定することが試みられている(非特許文献1〜3)。
非特許文献1には、市販の圧力計測用送信器(model TA11PA-C40; Data Sciences International, St. Paul, MN)を使用し、送信器部分(長さ25mm、直径15mm、重量9g)は、ウサギの首背部の肩甲骨間の皮下に埋め込み、送信器から延びるセンサーカテーテル(長さ15cm、直径0.7mm)は、皮下を通した後、角膜縁(limbal opening)から前房内に挿入することにより、180〜370日間にわたって眼圧を測定できたことが開示されている。
非特許文献2には、非特許文献1と同じ圧力計測用送信器を使用し、送信器部分(長さ25mm、厚さ12mm、重量9g)は首の皮下に埋め込み、頭部から挿入したセンサーカテーテル(長さ15cm、幅0.7mm)は、結膜嚢(superior conjunctival sac)に達するまで皮下を通し、硝子体(midvitreous)〔強角膜接合部(corneoscleral junction)の後方3〜4mmの位置〕に挿入することによって、少なくとも2箇月にわたって眼圧を測定できたことが開示されている。
非特許文献3には、ウサギの角膜に切り込みを入れ、虹彩に圧力センサーを固定したことが開示されている。非特許文献3で用いた圧力センサーは、圧力によってその形状が変形する湾曲チューブ又は螺旋状チューブを備えており、外界(眼球外)からその形状変化を観察することにより、眼圧を決定するものである。
【0006】
また、モデル動物としてではなく、治療を目的として圧力センサーを患者の眼球に埋め込む技術が、例えば、特許文献1〜3に開示されている。
特許文献1には患者の角膜に、特許文献2には患者の結膜下に(under the conjunctiva)、特許文献3には患者の角膜又は強膜に、それぞれ、圧力センサーを埋め込むことが開示されている。なお、特許文献3には、硝子体液(vetreous humor)と接触しないように圧力センサーを配置する旨の記載(請求項6)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2009/081031号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6,579,235号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0078487号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】McLaren JW et al. Invest Ophthalmol Vis Sci 1996;37:966−975.
【非特許文献2】Schnell CR et al. Invest Ophthalmol Vis Sci 1996;37:958−965.
【非特許文献3】Chen P−J et al. J Micromech Microeng 2007;17:1931−1938.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
非特許文献1〜3に記載のモデル動物では、広く使用されている接触型眼圧測定法または非接触型眼圧測定法と異なり、自然状態で連続的に眼圧を測定することが可能である。また、埋め込み手術の後、適切な安静期間を設けることにより、接触型眼圧測定法または非接触型眼圧測定法で懸念される測定操作自体による眼圧への影響を受けることなく、動物本来の生理的環境における眼圧を、より自然な状態で測定することも可能と思われる。
【0010】
しかしながら、非特許文献1又は2に記載のモデル動物では、眼球外、例えば、首背部の皮下に送信器部分を埋め込む必要があり、モデル動物にとっては不快であるだけでなく、手術跡を引っ掻いたりして健康を損ねたり、送信器の損傷を引き起こすことがある。また、外部の送信器と連結するカテーテルが眼球の所定内に挿入されているため、眼球運動に制約が生じ、この点においても、モデル動物にストレスを与えることになる。さらに眼球運動にともないカテーテルが湾曲することで、カテーテル内の圧力に影響が生じ正確な眼圧の測定が不可能になる。
【0011】
本発明者は、これらの欠点を解決するために鋭意検討したところ、圧力計測用送信器を眼内、例えば眼球の硝子体腔または水晶体嚢内、等に埋め込むことにより、これらの欠点を全て解消できることに気がついた。
意外にも、背景技術欄に記載した先行技術文献の各開示内容から明らかなように、唯一、非特許文献2において、硝子体へのセンサーカテーテルの挿入が開示されている以外は、これまで、硝子体または水晶体内の圧力を測定することは行われていなかった。
それどころか、特許文献3には、圧力センサーを、硝子体液と“接触しないように”角膜又は強膜に配置することが記載されており、この記載からも、当業者にとって、眼内に埋め込むことの発想がいかに意外なものであるかが想像できる。
更に付言すれば、非特許文献3に記載の圧力センサー(虹彩に固定)は、外界(眼球外)からその形状変化を観察することにより、眼圧を決定するものであり、外界からの観察が必須である以上、観察可能な体位、かつ開瞼下でのみ測定可能(従って、就寝時の測定が不可能である)という欠点が存在する。虹彩よりも後方に位置する硝子体または水晶体内に埋め込むことは、非特許文献3の存在を知る当業者にとって、決して容易に想到できるものではない。
【0012】
また、本発明者は、前記の解決方法に加え、センサーカテーテルの固定方法を検討することにより、圧力計測用送信器の送信部を眼内または眼外のいずれに設けても、正確な眼圧の測定が可能であることも新たに見出した。
非特許文献1においてカテーテルをナイロン糸で強膜に縫合固定しているように、通常、カテーテルは縫合により固定される。しかしながら、センサーカテーテルの縫合固定は、弱く結べばカテーテルが動き、強く結べばカテーテルの折れやよじれを引き起こす。さらに角膜や強膜は薄い組織であるがゆえに、縫合部が裂けてカテーテルが外れてしまうことも考えられる。これらの問題は追従のために眼球運動を行う動物では特に深刻であり、正確な眼圧測定を妨げる一因となっていた。
【0013】
本発明の課題は、より自然に近い状態で、長期間にわたって連続的に眼圧を測定することが可能な新規の眼圧測定方法を提供することにあり、また、前記測定が可能な新規動物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題は、本発明による、
[1]圧力センサー及び送信部を含む圧力計測用送信器が、眼内に設置されていることを特徴とする、非ヒト動物(以下、本発明の第1の動物と称することがあります)、
[2]複数の平行する切れ目を生体膜に入れ、該切れ目にカテーテルを通すことにより、圧力センサー、あるいは、圧力センサーの少なくとも圧感知部位が眼内に固定されていることを特徴とする、非ヒト動物(以下、本発明の第2の動物と称することがあります)、
[3]非ヒト動物がイヌ、ブタ、またはサルである、[1]又は[2]の非ヒト動物、
[4]眼圧の変動が関与する疾患のモデル動物である、[1]〜[3]のいずれかの非ヒト動物、
[5][1]〜[4]のいずれかの非ヒト動物を使用する、眼圧の測定方法、
[6]圧力センサー及び送信部を含む圧力計測用送信器を、眼内に設置し、前記圧力計測用送信器から送信される情報から眼圧を決定することを特徴とする、眼圧の測定方法、
[7]複数の平行する切れ目を生体膜に入れ、該切れ目にカテーテルを通すことにより、圧力センサー又は少なくともその圧感知部位を眼内に固定し、前記圧力センサーから得られる情報を、眼内または眼外に設置した送信部から生体外部の受信器に送信することにより眼圧を決定することを特徴とする、眼圧の測定方法、
[8][1]〜[4]のいずれかの非ヒト動物に供試物質を投与する工程、及び前記動物の眼圧を測定する工程を含む、眼圧の変動が関与する疾患の治療または予防薬のスクリーニング方法、
[9][1]〜[4]のいずれかの非ヒト動物に供試物質を投与する工程、及び前記動物の眼圧を測定する工程を含む、眼圧の変動が関与する疾患に対する前記供試物質の評価方法、
[10][1]〜[4]のいずれかの非ヒト動物に供試物質を投与する工程、及び前記動物の眼圧を測定する工程を含む、前記供試物質の安全性を評価する方法、
[11]圧力センサー及び送信部を含む圧力計測用送信器を、眼内に設置することを特徴とする、[1]の非ヒト動物の製造方法、
[12]複数の平行する切れ目を生体膜に入れ、該切れ目にカテーテルを通すことにより、圧力センサー又は少なくともその圧感知部位を眼内に固定することを特徴とする、[2]の非ヒト動物の製造方法、
により、解決することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の動物(本発明の第1の動物と本発明の第2の動物の両方を含む)、特に本発明の非ヒト動物は、眼圧の変動が関与する疾患、例えば、緑内障のモデル動物として使用することができる。本発明の動物によれば、長期間にわたって連続的に眼圧を測定することが可能である。また、従来広く使用されている接触型眼圧測定法または非接触型眼圧測定法で懸念される測定操作自体による眼圧への影響あるいはヒトとの眼球構造の相違にもとづく測定誤差を受けることなく、動物本来の生理的環境における眼圧を、より自然な状態で測定することが可能である。更には、これまでのモデル動物で問題となっていた不快感やストレス(例えば、首背部の皮下に埋め込んだ送信器の違和感、あるいは、眼球運動の制約)、眼球運動にともなうカテーテル内圧の変化を回避することができる。
【0016】
特に本発明の第1の動物では、眼球外にカニュレーションがないことで、(1)より自然に近い眼圧測定が可能であること、(2)眼球運動の影響を受けないこと、(3)眼球運動へ影響を与えず、異物感を生じさせないこと、等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1のモデル動物において、外部から眼に物理的圧力を加えた場合の眼内圧の経時的変化(外圧負荷にともなう眼内圧変動)を測定した結果を示すグラフである。
【図2】本発明の第2のモデル動物において、呼吸促進薬であるジモルホラミンを投与した場合の眼内圧(a)及び血圧(b)の経時的変化を測定した結果を示すグラフである。
【図3】図2に示すグラフを、横軸(経過時間)方向に拡大して示すグラフである。
【図4】本発明の第2の製造方法において、強膜に切れ目を入れ、バンドを形成し、カテーテルを固定した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の動物は、圧力センサー及び送信部を含む圧力計測用送信器の全体が、眼内に設置されていることを特徴とする。従って、非特許文献2に記載されているようなモデル動物、すなわち、圧力計測用送信器の一部(センサーカテーテルの先端)のみが硝子体に挿入されており、残る部分(先端を除くセンサーカテーテルの大部分と、送信器部分)が眼球外に配置されているモデル動物は、本発明の第1の動物には含まれない。
【0019】
本発明の第2の動物は、複数の平行する切れ目を生体膜に入れ、該切れ目にカテーテルを通すことにより、圧力センサー及び送信部を含む圧力計測用送信器の内、少なくとも圧力センサーが、あるいは、圧力センサーの少なくとも圧感知部位が、眼内に固定されていることを特徴とする。従って、本発明の第2の動物では、前記送信部を眼内または眼外のいずれに設けることもできる。
【0020】
本発明における動物は、眼球という構造を備えた生物である限り、特に限定されるものではなく、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト、イヌ、サル、ウシ、ブタ、ヒツジ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、モルモット)、鳥類、爬虫類、両生類、魚類などの脊椎動物、あるいは、無脊椎動物を挙げることができ、好ましくは、ヒト以外の動物、すなわち、非ヒト動物である。
【0021】
圧力計測用送信器としては、眼圧を測定可能な圧力センサーと、その圧力センサーから得られる情報を外部の受信器に送信可能な送信部とを少なくとも備えている限り、特に限定されるものではなく、例えば、市販の圧力計測用送信器を使用することができる。このような圧力計測用送信器としては、例えば、マウス用送信器PA−C10〔データ・サイエンシーズ・インターナショナル(Data Sciences International)社製造、プライムテック社販売〕、小動物用送信器PA−C40〔同社〕、MLE1024 TR/ミラー血圧送信器〔アドインスツルメンツ(ADINSTRUMENTS)社〕、ソリッドステート圧力変換器〔コニグスバーグ・インスツルメンツ(Konigsberg Instruments, Inc.)社〕が市販されている。
【0022】
例えば、送信器PA−C10は、送信器本体部分(重量:1.4g、容積:1.1cm)に生体アンプ、増幅器、送信回路、圧力センサー本体、バッテリーを内蔵しており、送信器本体部分からセンサーカテーテル(先端側に2mm程度の抗血栓性ゲルが充填されている)が延びている。センサーカテーテルの先端は圧感知部位であり、圧力を伝えるゲルが充填されたカテーテルを通じて、ここで感知した圧力を送信器本体部分に内蔵されたセンサー本体で検出する。
送信器PA−C40は、送信器本体部分(重量:7.6g、容積:4.4cm)に生体アンプ、増幅器、送信回路、圧力センサー本体、バッテリーを内蔵しており、送信器本体部分からセンサーカテーテル(先端側に2mm程度の抗血栓性ゲルが充填されている)が延びている。
MLE1024 TR/ミラー血圧送信器は、送信器本体部分(7cm)とソリッドステートセンサーカテーテル(先端径0.66mm)とからなり、ソリッドステートセンサーであるため圧力センサーはカテーテルの先端にあり、カテーテルに液体やゲルを充填する必要がない。ワイヤレス電源によりイン・ビボで充電可能である。
【0023】
本体部分からカテーテルが延びているタイプの圧力計測用送信器では、先端に圧感知部位を有するカテーテルであるか、カテーテル先端にセンサーを有するカテーテルであるかを問わず、測定部位と本体部分を固定する部位が別になるように、眼内に設置することができる。カテーテルを必要最小限の長さで使用することにより、あるいは、カテーテルを本体部分に巻き付けることにより、測定部位と本体部分の固定部位とを一致させることもできる。カテーテルを持たず本体自身で圧力計測と送信を行う場合、設置部位と測定部位を一致させることができる。
【0024】
以下、本発明の第1の動物について説明し、その後、本発明の第2の動物について説明する。
本発明の第1の動物においては、眼内、すなわち、眼外でない部分であれば、任意の部位に圧力計測用送信器を設置することができる。眼内の内、眼球運動の障害とならない部位に設置することが好ましい。圧力計測用送信器を設置する部位としては、例えば、体液が大部分を占める眼内組織(例えば、前房、硝子体腔内)への設置、眼球構成組織間への設置、眼球構成組織内への設置、眼球構成組織除去後の同部位への設置などを挙げることができる。
【0025】
前房または硝子体腔内へ設置する場合のように、その多くを体液が占める部位では、装置の一部を眼内組織の一部に固定するか、あるいは、浮遊させ設置させることが可能である。眼内組織への固定方法としては、逢着、接着などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。例えば、虹彩、毛様体、毛様溝に逢着し硝子体内に設置、あるいは、角膜、虹彩、隅角に逢着し前房に設置することが可能である。また、眼の生理機構への影響を最低限とし各部位に浮遊させておく方法も可能である。固定・浮遊の状態については、これらの方法に限定されるものではない。
【0026】
眼球構成組織間へ設置する場合には、例えば、網膜と網膜色素上皮細胞の間、網膜色素上皮細胞と脈絡膜の間、虹彩、毛様体、脈絡膜と強膜の間を挙げることができる。
眼球構成組織内へ設置する場合には、例えば、角膜内、強膜内、虹彩・毛様体・脈絡膜内、網膜内、水晶体内を挙げることができる。
眼球構成組織除去後の同部位へ設置する場合には、水晶体の一部あるいは全部、角膜、強膜の一部除去後の水晶体嚢内に設置することができる。
【0027】
本発明の第1の動物は、本発明の第1の製造方法により作製することができる。本発明の第1の製造方法は、圧力センサー及び送信部を含む圧力計測用送信器を、眼内に設置する工程を含む。以下、具体的な設置工程について説明するが、眼内に圧力計測用送信器を設置することができ、設置後、眼圧を測定することができる限り、以下の説明に限定されるものではない。
【0028】
硝子体内に圧力計測用送信器を設置する場合には、網膜硝子体手術術式に準じて実施することができる。その一例を示すと、挿入対象動物を全身麻酔した後、散瞳剤を点眼して瞳孔を開いた状態にする。結膜を切開し、強膜切開部位を露出させる。角膜輪部から外側1.5mmの位置で、強膜の1/2層の深さまで垂直に切開する。このときの切開距離は、設置する機器の大きさに依存するが、一般的に3時から9時方向、すなわち、180度に亘って切開する。続いて、角膜中心方向へ1.5mmの水平切開を行う。前房を維持するために、粘弾性物質を添加する。前記粘弾性物質は、以下、必要に応じて適宜追加する。更に、眼球中心方向へ垂直切開して前房に入り、水晶体前嚢の部分切除、水晶体の除去、水晶体後嚢の部分切除、硝子体の部分切除を順次行う。各部分切除の程度は、機器の大きさに応じて適宜決定することができる。部分切除により確保した硝子体腔内に、機器を挿入する。
【0029】
硝子体腔内に挿入した機器の固定・浮遊の方法としては、本体部分からカテーテルが伸びるタイプでは、例えば、前記カテーテルを毛様体根部に自身の復元力を利用し輪状に設置することができる。必要に応じてカテーテルの逢着や接着も可能である。本体は、カテーテルの装着角度、長さ、復元力で硝子体腔内の自在の位置に網膜等の組織と接触することなく浮遊させることが可能である。カテーテルの設置部位は、前記毛様体根部に加え、毛様体溝、水晶体嚢内、チン小体−毛様体間、水晶体前嚢−毛様体根部間、等が可能であるがこの限りではない。カテーテル自身に加工が施され、本体を硝子体腔内の自在の位置に浮遊させることが可能である。
【0030】
カテーテルを有さず、本体と一体型の場合は、例えば、毛様体扁平部の最低2方向から本体へ通糸し、硝子体腔内に懸架逢着することが可能である。あるいは、眼球側あるいは本体側に設置された磁石と金属で浮遊した状態で硝子体内へ設置することも可能である。また、本体自身に加工された複数本のループが眼球内に足を広げ、本体を固定する方法も可能である。本体を包む様な生体適合性に富み含水性が高く、眼内圧を検出部に反映するようなゲルで眼内組織との接触を防ぐことも可能であるが、この方法に限定されることはない。
【0031】
前房に圧力計測用送信器を設置する場合には、散瞳が不要であることを除き、前房に到達するまで前記術式を実施し、機器を前房に挿入することが可能である。
【0032】
水晶体嚢内に水晶体と置換して圧力計測用送信器を設置する場合には、前記術式の水晶体嚢の部分切除の後、水晶体の部分あるいは全切除を行い、機器を水晶体嚢内に設置することが可能である。
【0033】
本発明の第2の動物においては、圧力センサー及び送信部を含む圧力計測用送信器の内、少なくとも圧力センサー、あるいは、圧力センサーの少なくとも圧感知部位が特定の方法により眼内に固定されている。すなわち、複数の平行する切れ目を生体膜に入れ、その切れ目にカテーテルを通すことにより、圧力センサー又はその圧感知部位を眼内に固定する。
具体的には、生体膜に垂直に切れ目を入れ、前記切れ目と平行に同様の切れ目を入れた後、2本の切れ目の底部を水平切開することで、1本の輪状のバンドを形成することができる。本発明では、前記バンドにカテーテルを通した後、必要に応じて余剰部分を縫合することにより、適度な強度で容易にカテーテルを固定することができる。
前記固定方法によれば、ウサギのみならず、追従のために眼球運動をおこなうイヌ、サル、ブタなどの動物についても、カテーテルのずれや抜けを防ぐことが可能となる。これにより、眼組織の損傷を抑え、長期間にわたって連続的に眼圧を測定することが可能となる。
【0034】
生体膜としては、カテーテルを固定できる程度に強固な結合組織であればよく、例えば、強膜、結膜、皮下組織などを挙げることができる。
切れ目の長さは留置するカテーテルの大きさに依存し、短すぎるとカテーテルを通し難く、長すぎるとカテーテルを通した後の縫合が煩雑になる。また、切れ目の間隔、すなわちバンドの幅も、留置するカテーテルの大きさにより適宜決定することができる。例えば、PA−C40の場合は、長さ1mm、幅2mm程度で良好な固定が可能である。
バンドの本数は、動物の眼球の大きさにより適宜決定することができる。本数が多いとより安定にカテーテルを固定できることから、2本から3本が好ましい。
【0035】
カテーテルは、組織等に固定する際に一般的に用いられるビーズ等のオプションを施したものを使用してもよい。必要に応じて、バンド間のカテーテル表出部分に接着剤を塗布することにより、カテーテルの横ずれや抜けを防ぐことができる。接着剤としては生体適合性のものであれば特に制限されず、例えば、生体用接着剤(3M社製ベットボンド(Vetbond))、医療用生体接着剤(Johnson & Johnson社製ダーマボンド(Dermabond))、医療用瞬間接着剤(三共社製アロンアルファA(Aronalpha A))、シリコンやポリウレタンなどの樹脂を接着できる接着剤などが挙げられる。より良好に接着することが可能なことから、カテーテルの素材に適応する接着剤を使用することが好ましい。
【0036】
本発明の第2の動物は、本発明の第2の製造方法により作製することができる。本発明の第2の製造方法は、複数の平行する切れ目を生体膜に入れ、該切れ目にカテーテルを通すことにより、圧力センサーを眼内に固定する工程を含む。以下、具体的な設置工程について説明する。
挿入対象動物を全身麻酔した後、散瞳剤を点眼して瞳孔を開いた状態にする。結膜を切開し、強膜切開部位を露出させる。センサーカテーテルは、血管の少ない部位に留置することが好ましく、右目であれば2時から3時方向、左目であれば9時から10時方向が挙げられる。また、バンドを圧力センサー挿入部である角膜輪部近傍の強膜に形成することで、圧力センサーを安定させることが可能となる。すなわち、図4に示すように、角膜輪部から外側およそ1.5mmの位置で、強膜1のおよそ1/2層の深さまで垂直な切れ目2a,2bを平行に2本入れる。前記2本の切れ目を入れた強膜のおよそ1/2層のところ(図4に示す2c)を水平切開することで、1本のバンド3を形成する。同様のバンドを2本形成し、カテーテル9を通す。次いで、角膜輪部に針で穴を開け、前房に粘弾性物質を注入し、カテーテルを前房内に挿入した後、切開部分を縫合する。粘弾性物質としては生体適合性のものであれば特に制限されず、例えば、眼科用粘弾性物質(日本アルコン社製プロビスク(Provisc)ヒアルロン酸ナトリウム)や眼粘弾剤(日本アルコン社製ディスコビスク(Discovisc)ヒアルロン酸ナトリウム/コンドロイチン硫酸エステルナトリウム)などが挙げられる。
【0037】
送信部の設置位置は、動物の動きによる影響を受けず、動物に与える異物感を抑制できる場所であればよい。例えば、眼窩内では結膜下、眼筋の間、さらに奥の眼筋付着部付近に埋設することが挙げられる。眼窩外であれば目尻、目頭等の眼瞼の近傍や前頭骨上皮下に埋設することが挙げられる。あるいは、頭蓋骨内側を削ることで生じる、頭蓋骨と硬膜の間隙に設置することも可能である。カテーテルが短いほどノイズを抑えることが可能であるため、目尻に設置することが特に好ましい。必要に応じて、圧力センサーの挿入部位から送信器の設置部位までの複数の部位にバンドを形成することで、カテーテルをより強固に固定することが可能となる。
【0038】
以上、本発明の第1および第2の動物について説明したが、本発明の動物(第1の動物であるか、第2の動物であるかを問わず)では、圧力計測用送信器から送信される情報を、動物の外部に設置した受信器で受信し、所定の情報処理を行うことにより、眼圧を決定することができる。市販の前記の各圧力計測用送信器に関して、それぞれの会社から、例えば、受信器、変換器、データ解析システム等が市販されており、適宜、本発明において使用することができる。
なお、送信器PA−C10等は送信距離が20cmであるため、大型の飼育ケージではデータを受信することができない可能性がある。このような場合、ジャケットや首輪を用いて、中継アンテナ及び体外式テレメトリーシステムを動物に装着することにより、大型ケージでの無麻酔無拘束化における生体信号も、安定して受信することが可能となる。中継アンテナとしては、JET−BPアンテナ(データ・サイエンシーズ・インターナショナル(Data Sciences International)社製造)等、体外式テレメトリーシステムとしては、体外ジャケット式テレメトリーJET(送信距離10m、同社製造)等が挙げられる。
【0039】
本発明の動物(特に非ヒト動物)は、眼圧の変動が関与する疾患、例えば、緑内障のモデル動物として使用することができる。また、眼圧の変動(降下または上昇)を指標とすることにより、薬効薬理試験または安全性薬理試験の試験用動物として使用することができる。より具体的には、本発明の動物を使用して、眼圧の変動が関与する疾患の治療または予防薬(眼圧作動薬)のスクリーニング、前記疾患(特には、前記疾患の治療または予防に対する有効性)に関する供試物質の評価、供試物質の安全性評価、外部から間接的に眼圧を測定する機器の開発への利用などを行うことができる。また、本発明をヒトに適用した場合、治療効果の経時的なモニタリングを行うことができる。
【0040】
本発明のスクリーニング方法は、本発明の動物に供試物質を投与する工程、及び前記動物の眼圧を測定する工程を含む。また、本発明の評価方法は、本発明の動物に、供試物質を投与する工程、及び前記動物の眼圧を測定する工程を含む。
供試物質を投与した後、動物における眼圧変動が検出された場合、その供試物質を眼圧作動薬の候補物質として選択することができ、また、眼圧の変動が関与する疾患に対して、有用であると評価することができる。例えば、供試物質を投与した後、眼圧降下が検出された場合、その供試物質を緑内障の治療または予防薬の候補物質として選択することができ、また、その供試物質は、緑内障に対して有用であると評価することができる。
前記供試物質の投与方法は特に限定されないが、マイクロインフュージョンポンプiPRECIO(プライムテック社製)等の自動投薬装置を使用することが好ましい。動物を興奮させること無く、無麻酔無拘束下で供試物質を投与できるため、より自然な状態で眼圧を測定することが可能となる。
また、テレメトリーによる生体情報と共に、動物の行動をビデオにより監視することにより、動物の振舞によるノイズを確認することができ、より信頼性の高いデータを取得することが可能となる。
【0041】
本発明の動物を緑内障のモデル動物として使用する場合、正常な動物を出発材料として、眼内に圧力計測用送信器を設置することにより本発明のモデル動物とすることもできる。あるいは、公知の緑内障モデルと組み合わせることもできる。
公知の緑内障モデルとしては、例えば、自然発症によるもの、正常動物に所定の負荷操作を加えるもの、遺伝子操作によるもの等を挙げることができる。
【0042】
緑内障を発症させる負荷操作としては、例えば、アルミニウム化合物(特には三塩化アルミニウム)を投与することにより、視神経軸索障害を惹起せしめた正常眼圧緑内障を発症させる方法(特開2004−313188号公報)、架橋ポリマー(特には架橋カルボキシビニルポリマーまたは架橋ポリビニルアルコール)含有液を前房内に注入することによって高眼圧および視神経損傷を誘発させる方法(特開2003−149236号公報)、飲水負荷により浸透圧差を生じさせ、眼内へ水分を流入させる方法、静脈を焼結あるいは結紮し、房水流出抵抗を増大させる方法、隅角にレーザ照射し、流出抵抗を増大させる方法などを挙げることができる。
自然発症によるものとしては、自然発症ビーグル犬(Gellatt, Florida univ.)や緑内障好発犬種、柴犬(加藤、東大)(Kato, K., N. Sasaki, et al. (2007). "Cloning of canine myocilin cDNA and molecular analysis of the myocilin gene in Shiba Inu dogs." Veterinary ophthalmology 10 Suppl 1: 53-62.、Kato, K., N. Sasaki, et al. (2006). "Possible association of glaucoma with pectinate ligament dysplasia and narrowing of the iridocorneal angle in Shiba Inu dogs in Japan." Veterinary ophthalmology 9(2): 71-75.)などを挙げることができる。
【0043】
緑内障関連遺伝子候補は既に多数知られており(例えば、Genome-wide association study of normal tension glaucoma: common variants in SRBD1 and ELOVL5 contribute to disease susceptibility. Writing Committee fot the Normal Tension Glaucoma Genetic Study Group of Japan Glaucoma Society, Meguro A, Inoko H, Ota M, Mizuki N, Bahram S. Ophthalmology. 2010 Jul;117(7):1331-8.e5. Epub 2010 Apr 3.)、これらの遺伝子を操作することにより緑内障を発症させることができる。例えば、WO2004/092371には、内在性グルタミン酸トランスポーターGLAST遺伝子の機能を欠損させた正常眼圧緑内障のモデルマウスが記載されている。
【実施例】
【0044】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0045】
《実施例1》
(1)モデル動物の作製
送信部と圧力センサー本体を内蔵する送信器本体部分と、本体部分から延びる、先端の圧感知部位で圧力を感知するセンサーカテーテルとを備える圧力計測用テレメトリー送信器(PA−C10、Data Sciences International社製)を用意した。本体部分のサイズは直径9.3mm×長さ14.7mmであり、センサーカテーテル部分のサイズは直径0.41mmである。次いで、雄性ビーグル犬を麻酔下で強角膜輪部を切開し、テレメトリー送信器を硝子体腔に留置した。続いて、テレメトリー送信器のカテーテル部分を毛様体扁平部に固定し、切開した部分を縫合した。
【0046】
(2)外圧負荷にともなう眼内圧変動の検出
上記手術後、回復馴化期間を設け、一般身体状態に異常が見られないビーグル犬を用いて、無麻酔拘束化および麻酔下で、テレメトリー送信器から送信される圧信号をテレメトリー方式で受信し、データ取得分析用コンピューターシステムにより、眼内圧を測定した。ビーグル犬の外圧による眼内圧異常に与える影響を調べるために、外部からの物理的圧力をビーグル犬の眼に約10秒間徐々に加え、眼内圧の変化を測定した。
結果を図1に示す。なお、図1のグラフ中に示す縦のラインは、外部からの物理的圧力の負荷開始点を示す。図1の結果から、外部からの物理的圧力をビーグル犬の眼に加えたときは、眼内圧の上昇が検出された。一方、外部からの物理的圧力をビーグル犬の眼に加えないときは、ビーグル犬の外圧による眼内圧異常の影響は、認められなかった。
【0047】
《実施例2》
(1)モデル動物の作製
送信部と圧力センサー本体を内蔵する送信器本体部分と、本体部分から延びる、先端の圧感知部位で圧力を感知するセンサーカテーテルとを備える圧力計測用テレメトリー送信器(PA−C40、Data Sciences International社製)を用意した。本体部分のサイズは直径15mm×長さ24mmであり、センサーカテーテル部分のサイズは直径0.7mmである。次いで、雄性ビーグル犬を麻酔下でカテーテル先端を耳側上方角膜輪部から前房内に刺入した。続いて、カテーテル幹部を強膜に固定した(図4参照)。テレメトリー送信器の本体部分は、前頭骨上皮下に誘導、縫合により固定し、切開した部分を縫合し、当該本体部分を皮下に埋設した。
【0048】
(2)薬剤による麻酔ビーグル犬の血圧および眼内圧に及ぼす作用
麻酔下で、ビーグル犬にジモルホラミン(9mg/body)を静脈内投与した。ジモルホラミンは、呼吸中枢に直接作用することにより、呼吸興奮を促進し、血圧を上昇させる作用を有する。投与前後で、テレメトリー送信器から送信される圧信号をテレメトリー方式で受信し、データ取得分析用コンピューターシステムにより、眼内圧を測定した。また、大腿動脈からカテーテル型圧力トランスデューサー(SPC-320、Millar Instruments社)を挿入し、カテーテル型圧力トランスデューサーからの信号をプレッシャープロセッサーシグナルコンディショナー(Gould Electronics社)に導き、データ取得分析用コンピューターシステムにより、血圧も同時に測定した。
【0049】
その結果、ジモルホラミン投与後30秒に平均血圧(82mmHgから95mmHgへ)及び平均眼内圧(29mmHgから40mmHgへ)の上昇が認められた。その結果を図2に示す。また、血圧のゆらぎと眼内圧のゆらぎが合致した結果を図3に示す。なお、図2(a)及び図3(a)が眼内圧による波形、図2(b)及び図3(b)が血圧を示すグラフである。また、図2及び図3のグラフ中に示す縦のラインは、ジモルホラミンを静脈内投与した時点を示す。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の動物(特に非ヒト動物)は、緑内障のモデル動物として使用することができ、緑内障の治療または予防薬のスクリーニング、あるいは、供試物質の評価に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の平行する切れ目を生体膜に入れ、該切れ目にカテーテルを通すことにより、圧力センサー、あるいは、圧力センサーの少なくとも圧感知部位が眼内に固定されていることを特徴とする、非ヒト動物。
【請求項2】
圧力センサー及び送信部を含む圧力計測用送信器が、眼内に設置されていることを特徴とする、非ヒト動物。
【請求項3】
非ヒト動物がイヌ、ブタ、またはサルである、請求項1又は2に記載の非ヒト動物。
【請求項4】
眼圧の変動が関与する疾患のモデル動物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の非ヒト動物を使用する、眼圧の測定方法。
【請求項6】
複数の平行する切れ目を生体膜に入れ、該切れ目にカテーテルを通すことにより、圧力センサー又は少なくともその圧感知部位を眼内に固定し、前記圧力センサーから得られる情報を、眼内または眼外に設置した送信部から生体外部の受信器に送信することにより眼圧を決定することを特徴とする、眼圧の測定方法。
【請求項7】
圧力センサー及び送信部を含む圧力計測用送信器を、眼内に設置し、前記圧力計測用送信器から送信される情報から眼圧を決定することを特徴とする、眼圧の測定方法。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の非ヒト動物に供試物質を投与する工程、及び前記動物の眼圧を測定する工程を含む、眼圧の変動が関与する疾患の治療または予防薬のスクリーニング方法。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の非ヒト動物に供試物質を投与する工程、及び前記動物の眼圧を測定する工程を含む、眼圧の変動が関与する疾患に対する前記供試物質の評価方法。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の非ヒト動物に供試物質を投与する工程、及び前記動物の眼圧を測定する工程を含む、前記供試物質の安全性を評価する方法。
【請求項11】
複数の平行する切れ目を生体膜に入れ、該切れ目にカテーテルを通すことにより、圧力センサー又は少なくともその圧感知部位を眼内に固定することを特徴とする、請求項1に記載の非ヒト動物の製造方法。
【請求項12】
圧力センサー及び送信部を含む圧力計測用送信器を、眼内に設置することを特徴とする、請求項2に記載の非ヒト動物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−17573(P2013−17573A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151686(P2011−151686)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(591122956)三菱化学メディエンス株式会社 (45)