説明

眼球後部への低侵襲性眼球外放射線送達方法と装置

【課題】 眼の後部への放射線の低侵襲的送達のための方法と装置を提供する。
【解決手段】 近位部につながる遠位部と、放射性核種小線源照射療法源(radionuclide brachytherapy source:RBS)を遠位部の先端部の方向に前進させるための手段とを含むカニューレを含む、眼の後部への放射線の低侵襲的送達のための方法および装置である。ヒトの眼に放射線を導入する方法は、ヒトの眼のテノン嚢と強膜との間にカニューレを挿入し、前記強膜の外面上にカニューレから放射線を照射することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年1月7日付出願の米国仮特許出願第61/010,322号、2008年3月3日付出願の米国仮特許出願第61/033,238号、2008年3月10日付出願の米国仮特許出願第61/035,371号、及び2008年4月24日付出願の米国仮特許出願第61/047,693号に対して優先権を主張するものであり、これらの仮出願の全開示内容はこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、黄斑変性を含む眼の症状を治療および/または管理するために、眼の後部に放射線を導くための低侵襲的方法と装置に関する。
【背景技術】
【0003】
眼の後部のいくつかの病気および症状は失明を引き起こす恐れがある。加齢黄斑変性症(age related macular degeneration:ARMD)、脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization:CNV)、網膜症(例えば、糖尿病性網膜症、硝子体網膜症)、網膜炎(例えば、サイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)性網膜炎)、ブドウ膜炎、黄斑浮腫、および緑内障がいくつかの例である。
【0004】
加齢黄斑変性症(age related macular degeneration:ARMD)は、高齢者の失明の主な原因である。ARMDは、繊細な視覚を担う網膜の中央領域を侵し(すなわち黄斑)、網膜を損傷し、読むこと、運転、顔を認識すること、および他の細い作業を困難または不可能にする。現在の推定値では、75歳を超える人口のほぼ40%および60歳を超える人口のほぼ20%が、ある程度の黄斑変性症に悩んでいることを示している。「湿潤」または滲出性ARMDは、最も多く失明を引き起こす種類のARMDである。湿潤ARMDでは、新しく形成される、脈絡膜血管(脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization:CNV))は流体を漏らし、網膜への漸進的損傷を引き起こす。湿潤ARMDの約200,000の新しい事例が、米国のみでも毎年発生している。
【0005】
小線源照射療法は、治療領域内、領域上または領域近くに放射性同位元素を配置することによって、ある領域を治療する方法である。悪性および良性両方の症状は小線源照射療法を用いて十分に治療される。病変の位置により治療技法が決まる。胸部、舌、腹部または筋肉の被膜における腫瘍または腫瘍床の治療では、カテーテルが組織に導入される(介在用途(interstitial application))。放射線は、予め決められた時間の間、これらのカテーテルに放射性シードのストランドを挿入することにより送達され得る。永続的な移植もまた可能である。例えば、前立腺癌の治療では、放射性シードは前立腺内に直接配置され、その位置に無期限に留まる。ステント移植後の冠状動脈の再狭窄は、悪性ではない症状では、冠状動脈内にカテーテルを配置し、次にカテーテルに放射線源を挿入し、血管壁に十分な線量を送達するために、予め決められた時間の間カテーテルをその位置に保持することにより、成功裏に治療された。リン32(P−32)およびストロンチウム90(Sr−90)などのβ放射体と、イリジウム192(Ir−192)などのγ放射体が使用されている。眼の黒色腫の共同研究(Collaborative Ocular Melanoma Study:COMS)では、国立眼研究所および国立がん研究所による支援を受けている無作為に選択された多くの施設での試験は、眼癌および/または腫瘍の治療に対する小線源照射療法の有用性を実証した。この技法は、眼の強膜に縫合することにより眼球外に適用される表面アプリケータ(上強膜プラークと称される)の装着を可能にするために、侵襲性外科手術を採用する。金のプラークは内部型を含み、この型内に放射性ヨウ素125(I−125)シードが挿入される。金のプラークは、強膜、脈絡膜、脈絡膜の黒色腫を露出し、放射線に対して網膜を位置合わせする間に、眼の外側の組織を保護するのに役立つ。プラークは、腫瘍の頂端に約85Gyを送達するために、数日から1週間固定されたままである。
【0006】
放射線療法は、脳における、動静脈奇形(arteriovenous malformations:AVM)、すなわち病的な血管形成を含む良性症状を治療するために長く使用されてきた。AVMは、静脈と動脈とのもつれにより特徴付けられる、先天的な血管の病状である。ここに説明する装置による、加齢黄斑変性症における新血管形成(neovascularization in age−related macular degeneration:WAMD)の治療に対して適用可能な線量は、動静脈奇形(arteriovenous malformations:AVM)の定位放射線治療(stereotactic radiosurgery:SRS)処置に基づいてもよい。SRSは、AVMに放射線を送達してAVMを除去するために使用され、放射線はAVM治療に対して極めて有効である。高確率でAVMを除去するために必要な最小線量は約20Gyである。しかし、小さなAVM(<1cm)は多くの場合、より高線量(例えば、30Gy)で治療される。なぜなら、小さいAVMを治療する場合、活発な脳のかなりの量(例えば、典型的には、負傷が障害を引き起こす神経学的欠損を生じさせる脳の領域)が放射線の高線量に露出されないためである。報告されたSRS線量はAVMの周辺部において受ける線量に相当し、一方、病巣(中心)における線量は、報告されたSRSの線量の最大2.5倍に達することもある。
【0007】
WAMDに含まれる血管領域は最少のAVMよりかなり小さく、したがって、有効な線量は、AVMに対して使用される最高線量と同等であると予想される。WAMDの照射の研究では、20Gyを超える照射量が要求されることを示しているが、ある研究では16Gyにおいて多少の反応を示している。本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、WAMDに対してここに説明する装置は、新血管形成の領域全体にほぼ均一な線量を送達することにより、または、20Gyの最少線量および75Gyの最大線量を用いる領域の境界と比較すると、中心において2.5倍高い線量で変化し得る不均一な線量を送達することにより、有効であると予想される。黄斑変性症に対して放射線外科手法を用いる報告では、わずか10Gyの線量では有効ではないと述べている(Haasその他、J Neurosurgery 93,172−76,2000)。この研究では、提示された線量は周辺部の線量であり、中心部は約10%多い線量を有する。さらに、この研究結果は、網膜の複雑性によりかなり悩まされた。
【0008】
本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、本発明の装置は先行技術に勝る利点があると考えられる。例えば、SRSは眼の構造体を容易に貫通し、脳全体を通過する外部光子線を使用するので、患者は、光子線が黄斑の方向に向けられるように位置決めされなければならず、数ミリメートルの送達の幾何的な不確実性を生じる。本発明の装置は、これら装置をミリメートル未満の正確性で黄斑に向けて配置でき、β放射性同位体を使用して、主要な制限領域を備える放射線源を構成し得る理由から、幾何学的および線量測定の利点を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、患者の眼の標的に照射する方法を特徴とする。この方法は、テノン嚢の下の潜在的な空間にカニューレを挿入することを含む。カニューレは、治療位置に放射性核種小線源照射療法の放射線源(radionuclide brachytherapy source:RBS)を含み、これによりRBSは標的の上に位置決めされる。RBSは標的に照射する。いくつかの実施形態では、治療位置は、カニューレ上またはカニューレ内のある位置(例えば、カニューレの中間、カニューレの全長または全長の一部に沿って、カニューレの端部近く)である。
【0010】
いくつかの実施形態において、テノン嚢はカニューレの挿入を誘導し、カニューレの位置決めを補助する。いくつかの実施形態において、前記標的は網膜に関連する病変である。いくつかの実施形態において、前記標的は、眼の硝子体側に位置する。いくつかの実施形態において、前記標的(例えば、病変)は良性腫瘍または悪性腫瘍である。
【0011】
いくつかの実施形態では、上記方法は、テノン嚢と眼の強膜との間、例えば縁郭、眼の縁郭に対して後方の箇所、縁郭と円蓋との間の箇所に、カニューレを挿入することを含む。いくつかの実施形態では、任意の適切なカニューレが、本発明に従って、テノン嚢下手法に対して使用されてもよい。いくつかの実施形態では、本発明に従って使用され得るカニューレは、可撓性カニューレ、固定形状カニューレ(または可撓性カニューレと固定形状カニューレとの組み合わせ)、および先細のカニューレを含み、この先細のカニューレは、挿入するとテノン嚢内に留まるカニューレの部分により大きな周囲面積を提供し、これにより、標的の上にカニューレを保持するための付加的な位置決め支援を提供する。いくつかの実施形態では、カニューレの遠位部分の弧の適切な長さは、テノン嚢を貫通し、眼球の外側周りに黄斑の標的に近接する遠位端部分にまで延在するのに十分な長さである。
【0012】
いくつかの実施形態では、本発明のテノン嚢下手法において採用されるカニューレは遠位部分を含み、この遠位部分は眼球の一部分の周りに配置されるカニューレの部分である。カニューレは、治療位置(例えば、カニューレの中間、カニューレの端部近く、カニューレの全長または全長の一部に沿って中間)において、放射性核種小線源照射療法の放射線源(radionuclide brachytherapy source:RBS)を有する。カニューレは、RBSを「予め装着」されるかまたは「後から装着」されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、RBSは、カニューレが挿入される前にカニューレ内に装着される。例えば、Whiteの米国特許第7,070,554号明細書においては、装置を眼に挿入する前に、小線源照射療法装置は「予め装着された」放射線源、すなわち装置の先端に取り付けられた放射線源を含む。いくつかの実施形態では、RBSはカニューレが挿入された後にカニューレ内に装着される。例えば、図6を参照すると、放射線源は、カニューレが眼に挿入された後に先端近くに装着される。また例えば、図1Cおよび1Dを参照すると、遠位部分を位置決めした後、放射線源はハンドル/ピッグから前方に進められる。この方法はさらに、標的(例えば、病変)に一致する強膜部分の上にRBSを位置決めすることを含み、RBSは強膜を介して標的(例えば、病変)を照射する。
【0013】
カニューレは様々な形状および寸法であってもよく、様々な材料から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、カニューレは固定形状のカニューレである。いくつかの実施形態では、カニューレは、内視鏡のような装置を含む可撓性カニューレである。いくつかの実施形態では、カニューレは先細である(例えば、挿入するとテノン嚢内に留まる部分により大きな周囲面積を提供する)。
【0014】
いくつかの実施形態では、標的は網膜に関連する病変である。いくつかの実施形態では、標的(例えば、病変)は血管新生病変である。
【0015】
湿潤黄斑変性の血管新生病変は一般に、間接/直接検眼検査法では確認できない。いくつかの実施形態では、例えば、カニューレがテノン嚢と強膜の間に挿入される前に、血管造影法(または、光コヒーレンストモグラフィ、超音波などの、他の位置特定技法)が実行される。血管造影法は、カニューレおよび標的(例えば、病変)の位置を特定し、カニューレを標的の上の正しい位置に向けるのに役立ち得る。例えば、周囲の目印によって、および以前に得られた血管撮影図を参照して標的(例えば、病変)の位置を特定する間、カニューレは正確な位置に向けられる。いくつかの実施形態では、カニューレは、窓および/または開口部を含み、カニューレの窓および開口部は標的(例えば、病変)の真後ろに配置できる。いくつかの実施形態では、カニューレの位置決めを記録する手順中に、写真またはビデオが撮影されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、例えば、カニューレがテノン嚢と強膜の間に挿入された後に、血管造影法、光コヒーレンストモグラフィ、超音波または他の位置特定技法が実行される。位置特定技法(例えば、血管造影法)は、カニューレおよび標的(例えば、病変)の位置を特定し、カニューレを標的上の正しい位置に向けるのに役立ち得る。例えば、位置特定技法(例えば、血管造影法)によって標的(例えば、病変)を視覚化する間、カニューレは正確な位置に向けることができる。いくつかの実施形態では、カニューレは、窓および/または開口部を含み、カニューレの窓/開口部は標的(例えば、病変)の真後ろに配置できる。いくつかの実施形態では、位置特定技法(例えば、血管造影法)はリアルタイム手法である。いくつかの実施形態では、位置特定技法は、光コヒーレンストモグラフィまたは超音波または他の技法である。いくつかの実施形態では、カニューレの位置決めを記録する手順中に、写真またはビデオが撮影されてもよい。
【0017】
RBSは標的に任意の線量率を提供するように構成できる。いくつかの実施形態では、RBSは、標的(例えば、病変)に対して、約0.1〜1Gy/分、約1〜10Gy/分、約10〜20Gy/分、約20〜30Gy/分、約30〜40Gy/分、約40〜50Gy/分、約50〜60Gy/分、約60〜70Gy/分、約70〜80Gy/分、約80〜90Gy/分、約90〜100Gy/分、または100Gy/分を超える線量率を提供する。
【0018】
本発明はまた、患者の眼の標的(例えば、網膜に関連する病変)を照射する方法を特徴とする。この方法は、眼のテノン嚢の下(例えば、テノン嚢と強膜との間)の潜在的な空間にカニューレを挿入することを含む。いくつかの実施形態では、縁郭、縁郭よりも後方(posterior)の箇所、または縁郭と円蓋との間に、カニューレが挿入される。いくつかの実施形態では、カニューレは、遠位部分(例えば、眼球の一部分の上に配置されるカニューレの部分)を含む。いくつかの実施形態では、カニューレの遠位部分は、標的(例えば、網膜上の病変)の後方の強膜上またはその近くに置かれる。放射性核種小線源照射療法の放射線源(radionuclide brachytherapy source:RBS)は、RBSを前方に進める手段を用いて、カニューレを通して、例えば治療位置(例えば、カニューレの中間、遠位部分の先端/末端近く)まで前方に進められる。標的はRBSに対して露出される。RBSは、カニューレが挿入される前またはカニューレが挿入された後に装着されてもよい。
【0019】
カニューレは様々な形状および寸法で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、遠位部分は、眼球の一部分の周りに配置するために設計される。いくつかの実施形態では、遠位部分は、約9〜15mmの曲率半径と約25〜35mmの弧の長さを有する。いくつかの実施形態では、カニューレはさらに、カニューレの内部断面半径に近い値から約1メートルまでの曲率半径を有する、近位部分を含む。いくつかの実施形態では、カニューレはさらに、遠位部分と近位部分とが相互につながる位置にある、変曲点を含む。いくつかの実施形態では、変曲点において眼球に接する線lと近位部分との間の角度θは、約0°より大きく、約180°までの間にある。
【0020】
本発明はまた、固定形状を有する中空のカニューレを特徴とする。カニューレは、眼球の一部分の周りに配置するための遠位部分を含み、遠位部分は、約9〜15mmの曲率半径と約25〜35mmの弧の長さを有する。カニューレはさらに、カニューレの内側断面半径に近い値から約1メートルの間の曲率半径を有する、近位部分を含む。カニューレはさらに、遠位部分と近位部分とが相互につながる位置にある、変曲点を含む。いくつかの実施形態では、変曲点において眼球に接する線lと近位部分との間の角度θは、約0°より大きく、約180°までの間にある。
【0021】
いくつかの実施形態では、遠位部分の遠位端が標的の近傍内に位置決めされると、近位部分は視軸から離れるように曲げられ、ユーザが目で直接見ることができるようにされる。
【0022】
本発明はまた、固定形状を有するカニューレを特徴とする。カニューレは、眼球の一部分の周りに配置するための遠位部分と、変曲点を介して遠位部分につながる近位部分とを含む。いくつかの実施形態では、遠位部分は、楕円体上に位置する2つの点の間の接続から形成される弧の形を有する。ここで、楕円体は、x軸寸法「a」、y軸寸法「b」、およびz軸寸法「c」を有する。いくつかの実施形態では、「a」は約0〜1メートルであり、「b」は約0〜1メートルであり、「c」は約0〜1メートルである。いくつかの実施形態では、近位部分は、楕円体上の2つの点の間の接続から形成される弧の形を有する。ここで、楕円体は、x軸寸法「d」、y軸寸法「e」、およびz軸寸法「f」を有する。いくつかの実施形態では、「d」は約0〜1メートルであり、「e」は約0〜1メートルであり、「f」は約0〜1メートルである。いくつかの実施形態では、変曲点において眼球に接する線lと近位部分との間の角度θは、約0°より大きく、約180°までの間にある。
【0023】
本発明はまた、眼に放射線を送達する方法を特徴とする。この方法は、強膜の外面から標的(例えば、網膜に関連する病変、眼の硝子体側上の標的、良性腫瘍、悪性腫瘍)を照射することを含む。いくつかの実施形態では、標的は約10Gy/分を超える線量率を照射される。
【0024】
本発明はまた、患者の眼の標的(例えば、網膜に関連する標的/病変)を照射する方法を特徴とする。この方法は、標的に一致する眼の一部分(例えば、強膜)に、またはその近くに放射性核種小線源照射療法の放射線源(radionuclide brachytherapy source:RBS)を置くことを含む。RBSは強膜を介して標的に照射し、RBSからの放射線の1%超が、RBSから1cmの距離に、またはその距離を超えて、組織上に蓄積される。いくつかの実施形態では、RBSからの放射線の約1%から15%は、RBSから1cmの距離に、またはこの距離を超えて組織上に蓄積される。いくつかの実施形態では、RBSからの放射線の約99%未満は、RBSから1cm未満の距離において組織上に蓄積される。
【0025】
本発明の方法はまた、他の手法と比較すると、より小さい容積/面積に放射線を送達することを可能にする。例えば、ディスク形状の放射性核種小線源照射療法の放射線源(「RBS」)は、標的に放射線の制御された照射(例えば、治療線量)を提供し、一方で、放射線量が標的の周辺部において急激に減衰することを可能にする。これは、放射線を制限された面積/容積内に維持し、視神経および/または水晶体などの構造体の、放射線に対する望ましくない露出を防止するのに役立つ。本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、小さい面積/容積の照射は、より高線量率の使用を可能にし、その結果として、手術時間をより短縮し、合併症をより少なくすることを可能にすると考えられている。
【0026】
ここに開示された任意の特徴または特徴の組み合わせは、任意のこのような組み合わせに含まれる特徴が、本文、本明細書および当業者の知識から明らかであるように、互いに矛盾していないならば、本発明の範囲内に含まれる。本発明のさらなる利点および観点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲において明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1A】図1は、本発明による様々な固定形状のカニューレ100の図である。図1Aは、遠位部分110、近位部分120、変曲点130およびハンドル140を含む、固定形状のカニューレ100の側面図である。また、先端部200、遠位部分110の弧の長さ185および近位部分120の弧の長さ195が示されている。
【図1B】図1Bは、図1Aからの固定形状のカニューレ100の斜視図である。
【図1C】図1Cは、遠位部分110の遠位領域112、遠位部分の中間領域113、窓510、シード形状のRBS400、および遠位端320を有するガイドワイヤ350を示す図であり、ワイヤ350は固定形状のカニューレ100のハンドル140内に収容されている。
【図1D】図1Dは、固定形状のカニューレ100の近位部分120および遠位部分110を通って延在するガイドワイヤ350を示す図である。
【図1E】図1Eは、遠位部分110の曲率により画定される円181、円181の半径182および遠位部分110の曲率半径180を示す図である。
【図1F】図1Fは、近位部分120の曲率により画定される円191、円191の半径192および近位部分120の曲率半径190を示す図である。
【図2A−2I】図2A〜2Iは、本発明による遠位部分110の様々な先端部200の側面図である。様々な先端部200は、開口部500または窓510および/または光源610、および/またはくぼんだ先端部600を含んでもよい。
【図2J−2M】図2Jは、メモリワイヤ300が示す図であり、メモリワイヤ300は先端部200から突き出ると、平らな螺旋部310を形成する。図2Kは、遠位チャンバ210を示す図であり、メモリワイヤ300は遠位チャンバ210内に延在すると、平らな螺旋部310を形成する。
【図3】図3は、本発明による遠位部分110および近位部分120の側面図である。
【図4A】図4は、本発明によるハンドル140の斜視図である。図4Aは、親指リング810を含むハンドル140を示す図であり、ハンドルはワイヤなしプランジャ800を含む。
【図4B】図4Bは、目盛り付きダイヤル820を含むハンドル140を示す図である。
【図4C】図4Cは、スライダ830を含むハンドル140を示す図である。
【図4D】図4Dは、近位部分120とハンドル140との間に放射線遮蔽ピッグ900を含む、固定形状のカニューレの例を示す図である。シード形状のRBS400はガイドワイヤ350に取り付けられ、シード形状のRBS400はピッグ900内に収容される。
【図5】図5は、本発明による組み立てられ固定された形状のカニューレ100の挿入を示す図である。固定形状のカニューレ100は、ロケータ160を含む。ハンドル140および近位部分120は、内科医および患者の視軸220から外れている。テノン嚢は、前方の縁郭から後方の視神経まで延在する、組織の層である。テノン嚢は前方を、縁郭において生じ、結膜円蓋において瞼結膜内に後方に折れ曲がる、眼球結膜により囲まれる。
【図6A】図6は、本発明による、組み立てられていない固定形状のカニューレ100の挿入を示す図であり、ハンドル140および/または放射線遮蔽ピッグ900は、固定形状のカニューレ100が所定の位置に置かれた後、コネクタ150によって近位部分120に取り付けられる。
【図6B】図6は、本発明による、組み立てられていない固定形状のカニューレ100の挿入を示す図であり、ハンドル140および/または放射線遮蔽ピッグ900は、固定形状のカニューレ100が所定の位置に置かれた後、コネクタ150によって近位部分120に取り付けられる。
【図7】図7は、固定形状のカニューレに挿入される放射性核種小線源照射療法の放射線源(「RBS」)(例えば、シード形状のRBS400)の例を示す図である。
【図8】図8は、本発明の装置(SalutarisMD)の放射線量も含む、様々な装置の放射線量の横方向プロファイルを示す図である。グラフは、標的(x軸)の中心からの各距離において測定された相対放射線量(y軸)の例を表している。SalutarisMD装置は、標的の周辺部(例えば、標的の中心から約1mm以内の範囲)から離れる距離が増加すると、放射線量が急激に低下することを表している。
【図9】図9は、本発明の固定形状のカニューレ100の挿入(例えば、後部放射線手法にしたがう)と、硝子体内放射線手法のために使用される装置910の挿入との比較を示す図である。
【図10】図10は、用語の「横方向」を定義する図である。図は眼球の水平断面を表しており、標的は脈絡膜新生血管膜(choroidal neovascular membrane:CNVM)であり、放射源は放射性線源(例えば、シード形状のRBS400)であり、強膜は放射線源と標的との間に位置する。
【図11】図11は、深さ1.5mmにおいて、横方向に測定される、1mmSr−90放射線源の放射線量プロファイルの例を示す図である。
【図12】図12は、線lに沿って下向きにRBS/標的の上方を見たときの、線lに垂直な線の例を示す図である。
【図13】図13は、線lに沿って下向きにRBS/標的を上から見たときの、線lに垂直な等線量の例(例えば、標的の中心を直接取り囲む領域であり、放射線量はほぼ均一である)を示す図である。この例では、放射線量がほぼ均一である領域は、標的の中心から約1.0mmまで広がっている。
【図14A】図14Aは、固定形状のカニューレ100の遠位部分110の正面断面図であり、固定形状のカニューレ100の頂部(例えば、遠位部分110)は丸くされ、底部は平らである。
【図14B】図14Bは、図14Aの遠位部分110の底面図である。
【図14C】図14Cは、高さ「h」406および直径「d」407を有するディスク405形状のRBSの例の斜視図である。
【図14D】図14Dは、様々な形状(例えば、長方形、三角形、台形)を有する、RBSの様々な垂直断面図である。
【図14E】図14Eディスク形状の基体361を含むRBSの例を示す図である。基体361の底面363上には同位体362が存在する。
【図14F】図14Fは、回転対称形状の例を示す図である。本発明は図14Fに示された形状に制限されない。
【図14G】図14Gは、窓364(例えば、回転対称形の窓)を含む、放射線シェーパ366の例を示す図である。窓364は一般に放射線透過性であり、放射線シェーパ366は一般に放射線を通さない。RBSからの放射線は実質的に、窓364以外は放射線シェーパ366により遮断または減衰される.
【図15】図15は、x軸寸法、y軸寸法、およびz軸寸法を有する楕円体450の例を示す図である。
【図16A】図16Aは、固定形状のカニューレ100の近位部分120の側面図である。
【図16B−16D】図16B〜16Dは、固定形状のカニューレ100の近位部分120の断面図の内径171、外径172および内部半径173の例を示す図である。
【図17】図17は、変曲点130において眼球に接する線l420と近位部分120との間の角度θ425の例を示す図である。
【図18A】図18Aは、2つの異なる平面P431およびP432を示す図である。
【図18B】図18Bは、平面nに対する垂線により定義される平面P431と平面nに対する垂線により定義される平面P432とを示す図である。
【図18C】図18Cは、P431とP432と間の角度の例を示す図である。
【図19A】図19Aは、固定形状のカニューレ100の斜視図であり、遠位部分110と近位部分120の断面は一般的に円形である。
【図19B】図19Bは、固定形状のカニューレ100の斜視図であり、遠位部分110と近位部分120の断面はリボンのような構成で平らにされる。
【図20A】図20Aは、固定形状のカニューレ100の先端部200に向かってRBSを前進させるための手段に挿入されるディスク形状のRBSの斜視図である。
【図20B】図20Bは、固定形状のカニューレ100の先端部200に向かってRBSを前進するための手段に挿入される複数の円柱形のRBSの斜視図である。
【図21】図21は、放射線を通さない壁を有するウェルの斜視図であり、放射性核種小線源照射療法の放射線源はウェル内に取り付けられている。
【図22】図22は、縁部における放射線強度が著しく減衰する放射線のプロファイルを示す図であり、すなわち標的の端部において急激な減衰がある。遮蔽物が採用されると、縁部における放射線の減衰は、遮蔽物が存在しない場合に比べて急激である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、放射線を眼の後部へ低侵襲的に送達する方法と装置を特徴とする。本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、本発明の眼の後部に放射線を送達する、テノン嚢下の方法は、いくつかの理由のため有利であると考えられている。例えば、テノン嚢下方法は低侵襲的であり、広範囲の外科的解剖を必要としない。その結果、この特有の方法は、より迅速で容易であり、別に解剖を必要とする先行技術の方法より、副作用および/または合併症が少ない。さらに、テノン嚢下方法は、より迅速な回復時間を有する簡単な診療所ベースの手法を可能にし得る。
【0029】
テノン嚢下方法はまた、テノン嚢および他の構造体(例えば、強膜)が、使用中の装置を所定の位置に案内し保持することに役立つことを可能にする。治療の間、標的から離れた固定位置にカニューレを維持することにより、エラーの可能性が低減し、線量の送達の予測精度が増す。硝子体内手法では(例えば、硝子体腔内からの放射線を、前方から眼の網膜に向けて標的の方向に戻るように導くことにより、標的領域を照射する)、内科医は、広い領域の硝子体腔内の標的からある一定の距離だけ離れた固定位置に装置を維持することが要求される(図9参照)。内科医が、任意の時間長さにわたってその位置を正確に保持することが困難になることもある。さらに、一般的に、内科医/外科医が、プローブと網膜の間の正確な距離を知ることは不可能であり、距離を単に推定できるだけである。
【0030】
本発明の方法は、放射線を眼の後側面から前方に標的にまで導き、放射線は後方において遮蔽される。本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、これらの方法では、患者は、眼の後方の組織および眼より深い組織が電離放射線を受けることを免れると考えられている。網膜前方への放射線の進入(例えば、放射線を網膜の前側面から標的の方向に戻るように導くことにより、標的範囲を照射する)は、眼の前方構造体(例えば、角膜、光彩、毛様体、水晶体)を照射し、眼窩周囲の脂肪、骨および脳などの、病変より深い組織を照射する可能性を有する。硝子体内放射線手法はまた、病変より深い組織(例えば、眼窩周囲の脂肪、骨および脳)と、前方方向では、水晶体、毛様体および角膜とを照射する可能性もまた有する。
【0031】
本発明より以前には、眼に適用される放射線療法は一般に、侵襲的な眼の手術を伴っていた。例えば、「COMS研究」として公知である、放射線療法分野における信頼すべき報告は、眼周囲の組織を解剖し、小線源照射療法装置を配置するための侵襲的な外科手法を採用するプロトコルを開示している。これは、本発明の低侵襲的テノン嚢下の方法とは異なる。
【0032】
先行技術は、多数の小線源照射療法装置と、その装置を使用して眼の後方から病変を照射する方法とを開示している。しかし、これらの技法は、本発明の低侵襲的テノン嚢下手法を採用しない。先行技術の開示を読めば、当業者には容易に、開示されている方法が、4半分を切開する手法または眼球後眼窩内手法であることが認識されるが、これらはいずれも低侵襲的テノン嚢下手法ではない。
【0033】
本明細書では、用語の「約」は、参照される数字のプラスマイナス10%以内を意味する。例えば、角度が約50°である実施形態は、45°〜55°の角度を含む。
【0034】

哺乳類の眼は、感光性組織すなわち網膜上に、外部で照明された物体の画像を形成することにより、その視覚機能を実行する全体的に球形の構造体である。眼の機能要素に対する基本支持構造体は、全体的に球形の丈夫な白い外殻すなわち強膜235であり、これは主として、膠質性結合組織から構成され、眼の内圧により球形形状に維持される。強膜235は外側を、テノン嚢230(眼球筋膜)すなわち縁郭前方から視神経後方に延在する組織の薄い層により囲まれている。テノン嚢230は前方を、縁郭から発し、結膜円蓋において瞼結膜内に後方に折れ曲がる、眼球結膜、すなわち薄く、緩んだ、血管が新生したリンパ組織により囲まれている。強膜235は前方で、角膜すなわち透明でより凸状の構造体に結合する。強膜および角膜が存在する箇所は縁郭と称される。強膜235の前方部は、入射光を集中させる機能を実行する構成素子、例えば、角膜および水晶体と、眼に入る光の強度を調整する機能を実行する構成要素、例えば光彩とを含み、これらを支持する。眼球の後部部分は網膜および関連する組織を支持する。
【0035】
強膜235の内面に近接する眼球の後部(ここでは「眼の後部」と称される)には、脈絡膜、すなわち血管により大量に供給される色素沈着組織の薄い層がある。内面に近い脈絡膜の部分は毛細血管網、すなわち脈絡毛細管板から構成され、この毛細血管網は網膜の隣接層への酸素および栄養分の供給において重要である。脈絡膜の直ぐ前には網膜が位置し、この網膜は、眼の後部のもっとも内側の層であり、眼球の前方部分にある屈折要素により形成される画像を受ける。網膜の光受容桿体細胞と錐状体細胞は、これらの上に入射する光により刺激され、それら光感覚を網膜神経節細胞を通して脳に伝える。網膜の中心領域は「黄斑」と称され、この領域は網膜中心動脈の上側および下側頭枝によりおよその範囲が定められ、またこの領域は主に、色覚、コントラスト感度および形状認識の機能を果たす。黄斑のもっとも中心の部分は「窩」と称され、優れた視力に関与する。
【0036】
眼球の後部に放射性核種小線源照射療法の放射線源(「RBS」)を導入するための新しいテノン嚢下手法
本発明は、(眼球内空間を考慮することにより)低侵襲的方法で眼の後部に放射線を導入する方法を特徴とする。一般にこの方法は、標的に照射するために強膜235の外面から照射することを含む。標的は、黄斑、網膜、強膜235および/または脈絡膜であってもよい。いくつかの実施形態では、標的は眼の硝子体側上にあってもよい。いくつかの実施形態では、標的は血管新生病変である。いくつかの実施形態では、標的は約10Gy/分を超える放射線の線量率を受ける。
【0037】
いくつかの実施形態では、上記方法は、標的に一致する強膜235の領域にRBSを送達するために、中空のカニューレ100を使用することを含む。(本発明のカニューレ100はテノン嚢下手法において使用されるが、内視鏡などの他の器具もまた本発明の新しいテノン嚢下手法にしたがって使用されてもよい)。カニューレ100は、眼の後部に到達するように、眼の外部湾曲部上を滑らせてもよい。より具体的には、いくつかの実施形態では、上記方法は、RBSを含むカニューレ100をテノン嚢230と強膜235との間の眼の後部に導入し、眼の後部を放射線に露出させることを含む。カニューレ100は、眼の縁郭に対して後方の箇所(例えば、縁郭と結膜円蓋との間の任意の箇所)に挿入されてもよい。
【0038】
上記方法はさらに、カニューレ100を通して、RBSを前進させる手段を介して遠位部分110の先端部200にRBSを前進させることを含んでもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、上記方法はさらに、放射線に眼の標的(例えば、黄斑)を露出するステップを含む。いくつかの実施形態では、上記方法は、黄斑における血管新生腫瘍を標的にすることを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、RBSは、眼の症状(例えば、WAMD、腫瘍)により影響される脈絡膜および/または網膜の一部分に重なる、強膜235の一部に極めて近接してテノン嚢下空間に配置される。本明細書では、「極めて近接して」配置されるRBSとは、RBSが、強膜235の表面から約0mmから約10mmであることを意味する。いくつかの実施形態では、放射線は、強膜235を通して脈絡膜および/または網膜に照射される。
【0041】
いくつかの実施形態では、テノン嚢230と強膜235との間にカニューレ100を挿入するステップはさらに、眼の上外側の四半分にカニューレ100を挿入することを含む。いくつかの実施形態では、テノン嚢230と強膜235との間にカニューレ100を挿入するステップはさらに、眼の下外側の四半分にカニューレ100を挿入することを含む。いくつかの実施形態では、テノン嚢230と強膜235との間にカニューレ100を挿入するステップは、眼の上内側の四半分にカニューレ100を挿入することを含む。いくつかの実施形態では、テノン嚢230と強膜235との間にカニューレ100を挿入するステップはさらに、眼の下内側の四半分にカニューレ100を挿入することを含む。
【0042】
カニューレ100の遠位端に配置されたRBSは標的に照射し、標的は約10Gy/分を超える線量率を受ける。いくつかの実施形態では、RBSは、標的に約11Gy/分を超える線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約12Gy/分を超える線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約13Gy/分を超える線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約14Gy/分を超える線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約15Gy/分を超える線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約10から15Gy/分間の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約15から20Gy/分間の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約20から30Gy/分間の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約30から40Gy/分間の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約40から50Gy/分間の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約50から60Gy/分間の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約60から70Gy/分間の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約70から80Gy/分間の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約80から90Gy/分間の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約90から100Gy/分間の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に100Gy/分を超える線量率を提供する。
【0043】
いくつかの実施形態では、RBSから標的までの距離は約0.4〜2.0mmである。いくつかの実施形態では、RBSから標的まで距離は約0.4〜1.0mmである。いくつかの実施形態では、RBSから標的までの距離は約1.0〜1.6mmである。いくつかの実施形態では、RBSから標的までの距離は約1.6〜2.0mmである。
【0044】
いくつかの実施形態では、RBSは標的に約15〜20Gy/分の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約20〜25Gy/分の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約25〜30Gy/分の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約30〜35Gy/分の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約35〜40Gy/分の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約40〜50Gy/分の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約50〜60Gy/分の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約60〜70Gy/分の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約70〜80Gy/分の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約80〜90Gy/分の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約90〜100Gy/分の線量率を提供する。いくつかの実施形態では、RBSは標的に約100Gy/分を超える線量率を提供する。
【0045】
本発明の方法は、症状(例えば、眼の症状)を治療および/または管理するのに有効である。例えば、本発明の方法は、湿潤(血管新生)加齢黄斑変性症を治療および/または管理するために使用されてもよい。本発明の方法は、湿潤(血管新生)加齢黄斑変性症を治療および/または管理することには限定されない。例えば、本発明の方法はまた、黄斑変性症、異常細胞の増殖、脈絡膜血管新生、網膜疾患(例えば、糖尿病性網膜症、硝子体網膜症)、黄斑浮腫および腫瘍(例えば、眼球内の黒色腫、網膜芽細胞腫)を含む症状を治療および/または管理するために使用されてもよい。
【0046】
テノン嚢下手法の利点
本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、本発明の新しいテノン嚢下方法は、より侵襲性が低く(例えば、眼球内空間に侵入しない)、局部麻酔のみを必要とし、より迅速な患者の回復時間を提供するので、先行技術に勝る利点があると考えられている。例えば、眼の後部において強膜235上に放射性プラークを縫合することにより、眼の後部に放射線を導入する技法は、360°の環状切除術(例えば、結膜の切開)、4つの直筋の分離および眼球の広範囲の処置を必要とする。さらに、プラークが所定の位置に残され、次に数日後に除去されるとき、第2の手術が必要となる。本発明の方法は実行がより簡単である。また、眼の後極を放射線に露出する眼球内方法は、硝子体茎切除術を実行するとともに、安定化機構なしにかなりの長時間にわたり網膜前方の硝子体腔内に放射性プローブを位置決めし、保持することを含む。この技法は実行が困難であり、眼球内空間への侵入を必要とし、網膜剥離、白内障、緑内障および/または眼内炎の危険性などの、多くの起こりうる合併症に陥りやすい。この技法の複雑性のため、硝子体網膜手術における協力が要求される。本発明の方法は実行がより簡単であり、低侵襲性であり、眼球内構造体への損傷の危険性を伴なわない。さらに、本発明の方法は、これらの方法が手術するいずれの眼科医によっても採用できるように、硝子体網膜手術の追加の協力トレーニングを必要としない。
【0047】
本明細書では、用語の「低侵襲的」方法は、器具が眼の後部への放射線源の送達のために、眼の眼球内空間(前方、後方または硝子体腔)に導入されることを必要としない方法、あるいは、強膜235上への放射性プラークの縫合または広範囲の結膜の環状切除術を必要としない方法を意味する。例えば、本発明の低侵襲的方法は、眼の後部に対してRBSを含むカニューレ100を挿入するために、単に結膜およびテノン嚢230の小さな切開を必要とするだけである。好ましい手法は、上外側の四半分を通すが、下内側の四半分、下外側の四半分または下内側の四半分を通す挿入を採用できる。
【0048】
本発明は、人間の眼の縁郭に対して後方の箇所において、ヒトの眼のテノン嚢230と強膜235との間にカニューレ100を挿入するステップを含む、ヒトの眼に放射線を導入する方法を特徴とする。カニューレ100は、約9〜15mmの曲率半径180および約25〜35mmの弧の長さ185を有する遠位部分110と、近位部分120と、カニューレ100の先端部200(例えば、遠位部分110の先端部200)に向かってRBSを前進させ、血管新生病変の後方の強膜235上またはその近くに遠位部分110を配置し、RBSを遠位端110の先端部200に前進させ、血管新生病変をRBSに露出させるための手段とを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、放射線に露出される強膜235の面積は、直径で約0.1mm〜約0.5mmである。いくつかの実施形態では、放射線に露出される強膜235の面積は、直径で約0.5mm〜約2mmである。いくつかの実施形態では、放射線に露出される強膜235の面積は、直径で約2mm〜約3mmである。いくつかの実施形態では、放射線に露出される強膜235の領域は、直径で約3mm〜約5mmである。いくつかの実施形態では、放射線に露出される強膜235の領域は、直径で約5mm〜約10mmである。いくつかの実施形態では、放射線に露出される強膜235の領域は、直径で約10mm〜約25mmである。
【0050】
カニューレ
本発明は、眼の後部にRBSを送達するための固定形状のカニューレ100を特徴とする。固定形状のカニューレ100は、画定され、固定された形状を有し、変曲点130を介して近位部分120につながる遠位部分110を含む。固定形状のカニューレ100の遠位部分110は、眼球の一部の周りに配置される部分である。いくつかの実施形態では、固定形状のカニューレ100の遠位部分110は、テノン嚢230の下方の、強膜235の上方に挿入される。いくつかの実施形態では、固定形状のカニューレ100は中空である。
【0051】
本明細書では、「固定された」形状を有する固定形状のカニューレ100は、単一の永続的な形状を有し、別の形状に変形することができない、固定形状のカニューレ100を指す。例えば、本発明の固定形状のカニューレ100は、一般に1つの形状を有するため、「固定された」形状を有する。これに反して、内視鏡は可撓性であり、別の形状に変形できるため、「固定された」形状を有していない。「固定された」形状を有する固定形状のカニューレ100はまた、幾分かの可撓性を有する材料から構成されてもよい。したがって、本発明の固定形状のカニューレ100に圧力が加えられると、カニューレ100は曲がることもある。しかし、圧力が取り除かれると、本発明の固定形状のカニューレ100は、その本来の固定形状に戻るかまたは変形形状の一部を維持することもある。
【0052】
いくつかの実施形態では、変曲点130は、曲率の符号すなわち方向が変わる曲線上の点として定義される。いくつかの実施形態では、遠位部分と近位部分との間に固定形状のカニューレの直線部分であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、近位と遠位部分とは、曲率が符号を変える変曲点で分離される。いくつかの実施形態では、近位部分は、曲率が有限値からゼロに変わる点において終る。
【0053】
いくつかの実施形態では、変曲点130は、対象(例えば、患者)の視軸220、または対象に固定形状のカニューレ100を挿入する、ユーザ(例えば、内科医)の視軸220から離れるように、固定形状のカニューレ100の近位部分120を曲げるのに役立つ。いくつかの実施形態では、ユーザは、固定形状のカニューレ100が所定の位置にある間に、間接検眼鏡または外科用顕微鏡などの同軸検眼鏡装置を採用することにより、対象の眼の後部を視覚化できる。
【0054】
固定形状カニューレの遠位部分の寸法
眼球の寸法は大人ではほぼ一定であり、通常は、各種の研究ではわずか約1mm変化するだけである。しかし、遠視および近視では、眼球の前後方向の直径は、通常の測定値と著しく異なることもある。
【0055】
眼球の外側の前後方向の直径は、正視眼において、平均約24.15mmであり、約21.7mm〜28.75mmに及ぶ(半径は、平均約12.1mmであり、約10.8mm〜14.4mmに及ぶ)のに対して、内側の前後方向の直径の平均は約22.12mmである(半径の平均は約11.1mmである)。強い遠視および近視では、前後方向の直径は、それぞれ、約20mmの小さい値、約29mm以上の大きい値にまでなることが多い。
【0056】
横径(例えば、鼻から側頭側に測定される解剖学的赤道における眼球の直径)の平均は、約23.48mmであり(半径の平均は約11.75mmである)、縦径(例えば、上方から下方に測定される解剖学的赤道における眼球の直径)の平均は、約23.48mmである(半径の平均は約11.75mmである)。解剖学的赤道における眼球の円周の平均は、約74.91mmである。眼球の体積の平均は、約6.5mL〜7.2mLであり、約22.86cmの表面面積を有する。
【0057】
固定形状のカニューレ100の遠位部分110は、様々な方法で設計されてもよい。いくつかの実施形態では、固定形状のカニューレ100の遠位部分110は、約25〜35mmの弧の長さ185を有する。
【0058】
いくつかの実施形態では、遠位部分110の弧の長さ185(例えば、遠位部分110の弧111の長さ)は、様々な長さであってもよい。例えば、遠視または小児科の患者はより小さい眼を有することもあり、遠位部分110のより短い弧の長さ185を必要とすることもある。または例えば、固定形状のカニューレ100の異なる挿入点(例えば、縁郭、結膜円蓋)は、遠位部分110の異なる弧の長さ185を必要とすることもある。いくつかの実施形態では、遠位部分110の弧の長さ185は、約10mm〜約15mmであってもよい。いくつかの実施形態では、遠位部分110の弧の長さ185は、約15mm〜約20mmであってもよい。いくつかの実施形態では、遠位部分110の弧の長さ185は、約20mm〜約25mmであってもよい。いくつかの実施形態では、遠位部分110の弧の長さ185は、約25mm〜約30mmであってもよい。いくつかの実施形態では、遠位部分110の弧の長さ185は、約30mm〜約35mmであってもよい。いくつかの実施形態では、遠位部分110の弧の長さ185は、約35mm〜約50mmであってもよい。いくつかの実施形態では、遠位部分110の弧の長さ185は、約50mm〜約75mmであってもよい。
【0059】
本明細書では、固定形状のカニューレの遠位部分110の用語「弧の長さ」185は、遠位部分110の先端部200から変曲点130までの、測定された弧の長さを指す。固定形状のカニューレ100の遠位部分110の用語「曲率半径」180は、遠位部分110の曲線により決まる、円/楕円181の半径182の長さを指す(図19A参照)。いくつかの実施形態では、本発明は、特有のテノン嚢下挿入方法を採用し、弧の長さは、テノン嚢および、テノン嚢の入口と標的(例えば、黄斑)領域との間に置かれる、眼の一部を横断するのに十分な長さであるように設計される。
【0060】
いくつかの実施形態では、固定形状のカニューレ100の遠位部分110は、約9〜15mmの曲率半径180を有する。いくつかの実施形態では、遠位部分110の曲率半径180は、約9〜約10mmである。いくつかの実施形態では、遠位部分110の曲率半径180は、約10〜約11mmである。いくつかの実施形態では、遠位部分110の曲率半径180は、約11〜約12mmである。いくつかの実施形態では、遠位部分110の曲率半径180は、約12〜約13mmである。いくつかの実施形態では、遠位部分110の曲率半径180は、約13〜約14mmである。いくつかの実施形態では、遠位部分110の曲率半径180は、約14〜約15mmである。いくつかの実施形態では、遠位部分110の弧の長さ185および変曲点130はまた、強膜235に沿って固定形状のカニューレ100の挿入の深さを制限するのに役立ち、遠位部分110の先端部200が、後毛様体の動脈または視神経に誤って損傷を与えることを防止する。
【0061】
いくつかの実施形態では、遠位部分110は、大人の眼の強膜235の曲率半径とほぼ等しい曲率半径180を有する。本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、大人の眼の強膜235の曲率半径にほぼ等しい遠位部分110の曲率半径180を有することは、放射線に対して露出される領域が強膜235の外面、一般的には黄斑の上方にあることを保証するので、有利であると考えられている。加えて、設計により、RBSの正確な配置を可能にし、ユーザ(例えば、外科医)が、放射線量を照射する間において、RBSを最小の労力で正確な位置に固定して保持することを可能にする。これは、線量の送達の改善された幾何学的な正確性および改善された投与を可能にする。
【0062】
いくつかの実施形態では、遠位部分110の曲率半径180は一定である。例えば、遠位部分110の曲率半径180は一定で12mmであってもよい。いくつかの実施形態では、遠位部分110の曲率半径180は可変である。例えば、遠位部分110の曲率半径180は遠位領域112ではより大きく、中間領域113ではより小さくてもよい。
【0063】
本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、異なるおよび可変の曲率半径は、前後径が縦径より大きい、近視眼などの特別な場合においてより簡単に正確に位置決めすることを可能にする、と考えられている。この場合には、全体的により大きい曲率半径180を含み、詳細には、中間領域113における曲率半径と比較して、遠位領域112において相対的に小さい曲率半径を有する、遠位部分110を有する固定形状のカニューレ100を使用することが有利であろう。同様に、全体的により小さい曲率半径180を有する遠位部分110を有し、詳細には、中間領域113における曲率半径と比較して、遠位領域112において相対的により大きい曲率半径を有する、固定形状のカニューレ100を使用することが有利であろう。
【0064】
固定形状のカニューレ100の遠位部分110と近位部分120はそれぞれ、縦断面の内径171と外径172を有する。図16に示すように、いくつかの実施形態では、遠位部分110の縦断面の内径171は一定である(例えば、固定形状のカニューレ100の内側は円形断面である)。いくつかの実施形態では、遠位部分110の縦断面の内径171は可変である(例えば、固定形状のカニューレ100の内面は楕円の断面である)。いくつかの実施形態では、遠位部分110の縦断面の外径172は一定である(例えば、固定形状のカニューレ100の外面は円形断面である)。いくつかの実施形態では、遠位部分110の縦断面の外径172は可変である(例えば、固定形状のカニューレ100の外面は楕円断面である)。
【0065】
いくつかの実施形態では、固定形状のカニューレ100は、ほぼ円形の外側断面形状を有する。いくつかの実施形態では、固定形状のカニューレ100は、全体的に丸い外側断面形状を有する。いくつかの実施形態では、固定形状のカニューレ100は、楕円形、長方形、卵形または台形の外側断面形状を有する。
【0066】
いくつかの実施形態では、固定形状のカニューレ100は、RBSを通過させるように構成される、内側断面形状を有する。
【0067】
いくつかの実施形態では、固定形状のカニューレ100は、ほぼ円形の内側断面形状を有する。いくつかの実施形態では、固定形状のカニューレ100は、全体的に丸い外側断面形状を有する。いくつかの実施形態では、固定形状のカニューレ100は、楕円形、長方形、卵形または台形の内側断面形状を有する。
【0068】
いくつかの実施形態では、遠位部分110の縦断面の平均外径172は約0.1mm〜0.4mmである。いくつかの実施形態では、遠位部分110の平均外径172は、約0.4mm〜1.0mmである。いくつかの実施形態では、遠位部分110の平均外径172は約0.9mmである。いくつかの実施形態では、遠位部分110の平均外径172は約1.0mm〜2.0mmである。いくつかの実施形態では、遠位部分110の平均外径172は約2.0mm〜5.0mmである。いくつかの実施形態では、遠位部分110の平均外径172は約5.0mm〜10.0mmである。
【0069】
いくつかの実施形態では、遠位部分110の縦断面の平均内径171は、約0.1mm〜0.4mmである。いくつかの実施形態では、遠位部分110の平均内径171は約0.4mm〜1.0mmである。いくつかの実施形態では、遠位部分110の平均内径171は約0.9mmである。いくつかの実施形態では、遠位部分110の平均内径171は約1.0mm〜2.0mmである。いくつかの実施形態では、遠位部分110の平均内径171は約2.0mm〜5.0mmである。いくつかの実施形態では、遠位部分110の平均内径171は約5.0mm〜10.0mmである。
【0070】
いくつかの実施形態では、遠位部分110の縦断面の平均外径172は約0.4mmであり、遠位部分110の縦断面の平均内径171は約0.1mmである(例えば、壁の厚さは約0.15mmである)。いくつかの実施形態では、遠位部分110の縦断面の平均外径172は約0.7mmであり、遠位部分110の縦断面の平均内径171は約0.4mmである(例えば、壁の厚さは約0.15mmである)。いくつかの実施形態では、遠位部分110の平均外径172は約0.9mmであり、遠位部分110の平均内径171は約0.6mmである(例えば、壁の厚さは約0.15mmである)。いくつかの実施形態では、遠位部分110の平均外径172は約1.3mmであり、遠位部分110の平均内径171は約0.8mmである(例えば、壁の厚さは約0.25mmである)。いくつかの実施形態では、遠位部分110の平均外径172は約1.7mmであり、遠位部分110の平均内径171は約1.2mmである(例えば、壁の厚さは約0.25mmである)。いくつかの実施形態では、遠位部分110の平均外径172は約1.8mmであり、遠位部分110の平均内径171は約1.4mmである(例えば、壁の厚さは約0.20mmである)。いくつかの実施形態では、遠位部分110の平均外径172は約2.1mmであり、遠位部分の平均内径171は約1.6mmである(例えば、壁の厚さは約0.25mmである)。
【0071】
いくつかの実施形態では、遠位部分110の直径は12ゲージ〜22ゲージのワイヤ針サイズである。
【0072】
いくつかの実施形態では、遠位部分の壁の厚さ(例えば、遠位部分110の内径171と遠位部分110の外径172の間で測定される)は、約0.01mm〜約0.1mmである。いくつかの実施形態では、遠位部分の壁の厚さ(例えば、遠位部分110の内径171と遠位部分110の外径172との間で測定される)は、約0.1mm〜約0.3mmである。いくつかの実施形態では、遠位部分の壁の厚さは約0.3mm〜約1.0mmである。いくつかの実施形態では、遠位部分の壁の厚さは約1.0mm〜約5.0mmである。いくつかの実施形態では、遠位部分の壁の厚さは遠位部分110の全長に沿って一定である。図16Bに示すように、いくつかの実施形態では、遠位部分の壁の厚さは内径171および外径172周りで一定である。いくつかの実施形態では、遠位部分の壁の厚さは遠位部分110の全体を通して、例えば、遠位部分110の全長に沿って、変化する。図16Cおよび16Dに示すように、いくつかの実施形態では、遠位部分の壁の厚さは、内径171および外径172の周りで変化する。
【0073】
固定形状のカニューレの近位部分の寸法
固定形状のカニューレ100の近位部分120はまた、様々な方法で設計されてもよい。いくつかの実施形態では、固定形状のカニューレ100の近位部分120は約10〜75mm間の弧の長さ195を有する。
【0074】
近位部分120の弧の長さ195(例えば、近位部分120の弧の長さ)は様々な長さであってもよい。いくつかの実施形態では、近位部分120の弧の長さ195は、約10mm〜約15mmである。いくつかの実施形態では、近位部分120の弧の長さ195は約15mm〜約18mmであってもよい。いくつかの実施形態では、近位部分120の弧の長さ195は約18mm〜約25mmであってもよい。いくつかの実施形態では、近位部分120の弧の長さ195は約25mm〜約50mmであってもよい。いくつかの実施形態では、近位部分120の弧の長さ195は約50mm〜約75mmであってもよい。
【0075】
本明細書では、固定形状のカニューレ100の近位部分120の用語の「弧の長さ」195は、変曲点130から近位部分120の反対端までの、測定された弧の長さを指す。固定形状のカニューレ100の近位部分120の用語の「曲率半径」190は、近位部分120の曲線により決まる円/楕円191の半径192の長さを指す(図19B参照)。
【0076】
いくつかの実施形態では、固定形状のカニューレ100の近位部分120は、固定形状のカニューレ100の近位部分120の内部半径173に近い、例えば、0.1mm〜1メートルの曲率半径190を有する。いくつかの実施形態では、近位部分120の曲率半径190は一定である。いくつかの実施形態では、近位部分120の曲率半径190は可変である。
【0077】
固定形状のカニューレ100の遠位部分110と近位部分120はそれぞれ、縦断面の内径171と外径172を有する。図16に示すように、いくつかの実施形態では、近位部分120の縦断面の内径171は一定である(例えば、固定形状のカニューレ100の内側は円形断面を有する)。いくつかの実施形態では、近位部分120の縦断面の内径171は可変である(例えば、固定形状のカニューレ100の内側は楕円の断面形状を有する)。いくつかの実施形態では、近位部分120の縦断面の外径172は一定である(例えば、固定形状のカニューレ100の外側は円形断面を有する)。いくつかの実施形態では、近位部分120の縦断面の外径172は可変である(例えば、固定形状のカニューレ100の外側は楕円断面を有する)。
【0078】
いくつかの実施形態では、固定形状のカニューレ100は、全体的に丸い外側断面形状を有する。いくつかの実施形態では、固定形状のカニューレ100は、楕円形、長方形、卵形または台形の外側断面形状を有する。
【0079】
いくつかの実施形態では、固定形状のカニューレ100は、RBSを通過させるように構成される、内側断面形状を有する。
【0080】
いくつかの実施形態では、固定形状のカニューレ100は、全体的に丸い内側断面形状を有する。いくつかの実施形態では、固定形状のカニューレ100は、楕円形、長方形、卵形または台形の内側断面形状を有する。
【0081】
図17に示すように、線l420は、変曲点130および/または縁郭において眼球に接する線を表している。線l420と線l(固定形状のカニューレ100の直線部分または固定形状のカニューレ100の直線部分に平行な線)は、角度θ425を形成する(図17参照)。固定形状のカニューレ100は多くの方法で構成されてもよく、その結果、角度θ425は様々な値を有し得る。いくつかの実施形態では、角度θ425は約0°より大きく、180°までの間にある。いくつかの実施形態では、固定形状のカニューレ100がより大きい角度で湾曲している場合、角度θ425の値はより大きくなる。
【0082】
いくつかの実施形態では、角度θ425は約1〜10°である。いくつかの実施形態では、角度θ425は約10〜20°である。いくつかの実施形態では、角度θ425は約20〜30°である。いくつかの実施形態では、角度θ425は約30〜40°である。いくつかの実施形態では、角度θ425は約40〜50°である。いくつかの実施形態では、角度θ425は約50〜60°である。いくつかの実施形態では、角度θ425は約60〜70°である。いくつかの実施形態では、角度θ425は約70〜80°である。いくつかの実施形態では、角度θ425は約80〜90°である。
【0083】
いくつかの実施形態では、角度θ425は約90〜100°である。いくつかの実施形態では、角度θ425は約100〜110°である。いくつかの実施形態では、角度θ425は約110〜120°である。いくつかの実施形態では、角度θ425は約120〜130°である。いくつかの実施形態では、角度θ425は約140〜150°である。いくつかの実施形態では、角度θ425は約150〜160°である。いくつかの実施形態では、角度θ425は約160〜170°である。いくつかの実施形態では、角度θ425は約170〜180°である。
【0084】
図1、図3および図5に示すように、いくつかの実施形態では、遠位部分110と近位部分120とは同一平面にある。いくつかの実施形態では、近位部分120は遠位部分110から斜め方向にずれている。例えば、近位部分120は、遠位部分110と近位部分120とが異なる平面にあるように、遠位部分110に対して回転またはねじられている。図18Aおよび18Bに示すように、いくつかの実施形態では、遠位部分110は平面P431にあり、近位部分120は平面P432にある。平面P431と平面P432はそれぞれの垂線、例えば、平面P431に対してnおよび平面P432に対してnにより定義できる。遠位部分110をnとして表わし、近位部分120をnとして表わすことができるならば、いくつかの実施形態では、遠位部分110と近位部分120とは約−90°〜+90°で相互に回転/ねじることができる。図18Cは、近位部分120のP432と遠位部分110のP431との間の空間的関係のいくつかの例を図示している。近位部分120と遠位部分110と間の空間的関係は図18の例に限定されない。
【0085】
いくつかの実施形態では、変曲点130周りの領域は、放射線源(例えば、ディスク形状の405RBS、シード形状の400RBS)が固定形状のカニューレ100を通して押される(例えば、近位部分120から遠位部分110に)ように、緩やかな曲線で湾曲している。
【0086】
いくつかの実施形態では、固定形状のカニューレ100の変曲点130は、遠位部分110と近位部分120との間の固定形状のカニューレの直線状部分に広がる。いくつかの実施形態では、直線状の部分は約0〜2mmである。いくつかの実施形態では、直線状の部分は約2〜5mm間である。いくつかの実施形態では、直線状の部分は約5〜7mm間である。いくつかの実施形態では、直線状の部分は約7〜10mm間である。いくつかの実施形態では、直線状の部分は約10mmを超える。
【0087】
本発明はまた、遠位部分110、近位部分120、および遠位部分110と近位部分130とをつなぐ変曲点130を含む、固定形状を有する固定形状のカニューレ100を特徴とし、遠位部分110および/または近位部分120は、楕円体450上に位置する第1点と第2点との接続から形成される弧の形状を有し、楕円体450はx軸、y軸、およびz軸を有する(図15参照)。楕円体は以下の式により定義できる。
【0088】
【数1】

【0089】
いくつかの実施形態では、遠位部分110はx軸寸法「a」、y軸寸法「b」、およびz軸寸法「c」を有する、楕円体450から得られる弧の形状を有する。いくつかの実施形態では、「a」は約0〜1メートルであり、「b」は約0〜1メートルであり、「c」は約0〜1メートルである。例えば、いくつかの実施形態では、「a」は約0〜50mmであり、「b」は約0〜50mmであり、「c」は約0〜50mmである。
【0090】
いくつかの実施形態では、楕円体450は、約1〜3mmの、寸法「a」、「b」および/または「c」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約3〜5mmの、寸法「a」、「b」および/または「c」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約5〜8mmの、寸法「a」、「b」および/または「c」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約8〜10mmの、寸法「a」、「b」および/または「c」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約10〜12mmの、寸法「a」、「b」および/または「c」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約12〜15mmの、寸法「a」、「b」および/または「c」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約15〜18mmの、寸法「a」、「b」および/または「c」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約18〜20mmの、寸法「a」、「b」および/または「c」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約20〜25mmの、寸法「a」、「b」および/または「c」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約25mmを超える、寸法「a」、「b」および/または「c」を有する。
【0091】
いくつかの実施形態では、楕円体450は寸法「a」と「b」を有し、これらは両方とも約9〜15mm、例えば約12.1mmである。この楕円体450は、眼がほぼ球形である、正視眼に対して固定形状のカニューレ100を設計するのに適するであろう。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約11〜17mm、例えば約14mmである寸法「a」と、約9mm〜15mm、例えば12.1mmである寸法「b」とを有する。この楕円体450は、軸の長さが約28mmである、近視眼に対して固定形状のカニューレ100を設計するのに適するであろう。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約7〜13mm、例えば約10mmである寸法「a」と、約9mm〜15mm、例えば12mmである寸法「b」とを有する。この楕円体450は、軸の長さが約20mmである遠視眼に対して適するであろう。
【0092】
いくつかの実施形態では、近位部分120はx軸寸法「d」、y軸寸法「e」、およびz軸寸法「f」を有する楕円体450から得られる、弧の形状を有する。いくつかの実施形態では、「d」は約0〜1メートルであり、「e」は約0〜1メートルであり、「f」は約0〜1メートルである。例えば、いくつかの実施形態では、「d」は約0〜50mmであり、「e」は約0〜50mmであり、「f」は約0〜50mmである。
【0093】
いくつかの実施形態では、楕円体450は、約1〜3mmの、寸法「d」、「e」および/または「f」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約3〜5mmの、寸法「d」、「e」および/または「f」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約5〜8mmの、寸法「d」、「e」および/または「f」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約8〜10mmの、寸法「d」、「e」および/または「f」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約10〜12mmの、寸法「d」、「e」および/または「f」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約12〜15mmの、寸法「d」、「e」および/または「f」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約15〜18mmの、寸法「d」、「e」および/または「f」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約18〜20mmの、寸法「d」、「e」および/または「f」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約20〜25mmの、寸法「d」、「e」および/または「f」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約25〜30mmの、寸法「d」、「e」および/または「f」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約30〜40mmの、寸法「d」、「e」および/または「f」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約40〜50mmの、寸法「d」、「e」および/または「f」を有する。いくつかの実施形態では、楕円体450は、約50mmを超える、寸法「d」、「e」および/または「f」を有する。
【0094】
楕円体450は球体であってもよく、その場合「a」は「b」と等しく、「b」は「c」と等しい。楕円体450は、不等辺楕円体(例えば、三軸楕円体)であってもよく、その場合「a」は「b」と異なり、「b」は「c」と異なり、「a」は「c」と異なる。
【0095】
いくつかの実施形態では、楕円体450は扁平楕円体であり、その場合「a」は「b」と等しく、「a」および「b」は両方とも「c」より大きい。いくつかの実施形態では、楕円体450は長楕円であり、その場合「a」は「b」と等しく、「a」および「b」は両方とも「c」より小さい。
【0096】
いくつかの実施形態では、「a」は「b」とほぼ等しい(例えば、正視眼に対して)。いくつかの実施形態では、「a」は「b」と異なる(例えば、正視眼に対して)。いくつかの実施形態では、「b」は「c」とほぼ等しい。いくつかの実施形態では、「b」は「c」と異なる。いくつかの実施形態では、「a」は「c」とほぼ等しい。いくつかの実施形態では、「a」は「c」と異なる。いくつかの実施形態では、「d」は「e」とほぼ等しい。いくつかの実施形態では、「d」は「e」と異なる。いくつかの実施形態では、「e」は「f」とほぼ等しい。いくつかの実施形態では、「e」は「f」と異なる。いくつかの実施形態では、「d」は「f」とほぼ等しい。いくつかの実施形態では、「d」は「f」と異なる。
【0097】
「a」、「b」および「c」の寸法は変化してもよい。表1は寸法のいくつかの組み合わせを一覧表示している。「a」、「b」および「c」の寸法は表1において一覧表示されているものに限定されない。
【0098】
【表1−1】

【0099】
【表1−2】

【0100】
「d」、「e」および「f」の寸法は変化してもよい。表2は寸法のいくつかの組み合わせを一覧表示している。「d」、「e」および「f」の寸法は表2において一覧表示されているものに限定されない。
【0101】
【表2】

【0102】
いくつかの実施形態では、楕円体450は、卵形であるかまたはそれの変形体である。
【0103】
本発明はまた、眼球の一部分の周りに配置するための遠位部分110を有する固定形状を有する、中空の固定形状のカニューレ100を特徴とし、遠位部分110は、約9〜15mmの曲率半径180と、約25〜35mmの弧の長さ185とを有する。固定形状のカニューレ100は、固定形状のカニューレ100の内側断面半径173にほぼ等しい値から約1メートルまでの曲率半径190を有する、近位部分120(例えば、固定形状のカニューレ100の近位部分120)と、変曲点130とを含み、変曲点130では、遠位部分110と近位部分120とが相互につながる。いくつかの実施形態では、遠位部分110の遠位端(例えば、先端部200、遠位領域112)が標的の近傍に位置決めされると、近位部分120は視軸220から離れるように曲げられ、これにより、ユーザ(例えば、内科医)は眼で直接観察できるようになる。
【0104】
いくつかの実施形態では、本発明は新しいカニューレを特徴とし、上記新しいカニューレは、(a)眼球の一部分の周りに配置するための遠位部分であって、約9〜15mmの曲率半径と約25〜35mmの弧の長さとを有する遠位部分と、(b)新しいカニューレの内側断面半径に近い値から約1メートルまでの曲率半径を有する近位部分と、(c)遠位部分と近位部分とが相互につながる変曲点と、を含み、変曲点において眼球に接する線lと近位部分と間の角度θは、約0°より大きく、約180°までである。いくつかの実施形態では、前記新しいカニューレの遠位部分の近位端は先細とされ、この結果、近位端の円周は遠位部分の遠位端の円周より長くなる。いくつかの実施形態では、前記新しいカニューレの遠位部分は、治療を受ける眼球の直径の少なくともπ/4倍での弧の長さを有する。いくつかの実施形態では、前記新しいカニューレの遠位部分は、治療を受ける眼のテノン嚢を貫通し、上記眼の外径周りに延在するのに十分な弧の長さであり、この結果、遠位部分の遠位端は黄斑の近傍と後方に位置決めされるようになる。いくつかの実施形態では、上記新しいカニューレ内に置かれるRBSを前進する手段が存在し、上記新しいカニューレは眼の後方にRBSを送達するためのものであり、上記RBSは、露出面から1cmの距離を超えて全体の放射線源の放射線エネルギー束の1%超を放射する能力を有する、回転対称露出面を有する。
【0105】
カニューレ上のロケータ
いくつかの実施形態では、カニューレ100はロケータ160を含む。いくつかの実施形態では、ロケータ160は、カニューレ100上に置かれる物理的マーカ(例えば、可視マーカおよび/または物理的突出部)である。いくつかの実施形態では、ロケータ160は、遠位部分110および/または先端部200および/またはRBSの位置決めを容易にするために、カニューレ100を位置調整するものである。いくつかの実施形態では、ロケータ160は、カニューレ100が所定の位置にある場合、縁郭と整列するように、カニューレ100上に置かれる(例えば、図5および図6Bを参照)。いくつかの実施形態では、カニューレ100上に位置する変曲点130がロケータ160として働いてもよい。例えば、ユーザは、カニューレ100の先端部200が、標的(例えば、黄斑)に一致する強膜235領域の近くにあることを示す表示として、変曲点130を縁郭に位置合わせできる。
【0106】
カニューレの材料
いくつかの実施形態では、カニューレ100はステンレス鋼、金、プラチナ、チタニウムなど、またはこれらの組み合わせを含む材料で構成される。いくつかの実施形態では、遠位部分110および/または近位部分120は、外科用ステンレス鋼を含む材料で構成される。いくつかの実施形態では、遠位部分110および/または近位部分120は、テフロン(登録商標)、他の金属、合金、ポリエチレン、ポリプロピレン、他の従来のプラスチックなどの他の従来の材料を含む材料で構成されるか、または上記材料の組み合わせが使用されてもよい。例えば、遠位部分110はプラスチックを含む材料でら構成されてもよい。別の例として、遠位部分110の先端部の一部は、プラスチックを含む材料で構成されてもよく、遠位部分110の残り部分と近位部分120は、金属を含む材料で構成されてもよい。本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、プラスチックは、ここで述べるように、カニューレ100が眼に挿入されるとき、強膜235またはテノン嚢230の貫通の可能性を最小限にするのに十分な柔軟性および/または可撓性を有すると考えられる。加えて、遠位部分110のプラスチック部分ならびに特定のプラスチックの長さは、好ましくは、カニューレ100が眼に挿入されるとき、遠位部分110がその部分の曲率半径180を維持するように選択される。
【0107】
ハンドル、押出/前進機構、ガイドワイヤ
いくつかの実施形態では、カニューレ100はハンドル140と機能的に接続される(図1、図4、図5参照)。ハンドル140はカニューレ100の近位部分120に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、カニューレ100には近位部分120が存在せず、ハンドル140は、近位部分120が通常は遠位部分110につながる位置(例えば、変曲点130)周りで遠位部分110に取り付けられる。本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、ハンドル140は、カニューレ100上のより優れた握りをユーザに提供し、ユーザが、眼の後部により容易に到達することを可能にし得ると考えられる。いくつかの実施形態では、ハンドル140は、摩擦嵌合および/または従来の取り付け手段により、カニューレ100に取り付けられる。いくつかの実施形態では、ハンドル140は放射線遮蔽材料から構成される。いくつかの実施形態では、カニューレ100とハンドル140は、一体型として予め組み立てられる。いくつかの実施形態では、カニューレ100とハンドル140は、眼に挿入する前に組み立てられる。いくつかの実施形態では、カニューレ100とハンドル140は、本発明に従って、眼の後部にカニューレ100を挿入した後に組み立てられる。
【0108】
いくつかの実施形態では、近位部分120および/またはハンドル140はRBSを前進させるための1若しくはそれ以上の機構を含む(例えば、ディスク405、シード形状のRBS400)。このような機構の例には、スライド機構、ダイヤル機構、親指リング810、目盛り付きダイヤル820、スライダ830、取り付け具、Toughy−Burst型取り付け具など、またはこれらの組み合わせが含まれる(図4参照)。
【0109】
いくつかの実施形態では、カニューレ100はさらに、ワイヤなしプランジャ800を含む(図4参照)。ワイヤなしプランジャ800の非限定的な例には、剛性棒、ピストンまたはシャフトを含む。いくつかの実施形態では、ワイヤなしプランジャ800はプラスチック、金属、木材など、またはこれらの組み合わせから成る材料で構成される。いくつかの実施形態では、RBSは、ワイヤなしプランジャ800を用いてカニューレ100から突き出され、およびカニューレ100内に引き込まれる。いくつかの実施形態では、ワイヤなしプランジャ800は気密性である。いくつかの実施形態では、ワイヤなしプランジャ800は気密性ではない。いくつかの実施形態では、カニューレ100はさらにバネを含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、カニューレ100は、RBSを前進させるように作用する、ガイドワイヤ350および/またはワイヤなしプランジャ800を含む。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ350とワイヤなしプランジャ800は、RBSを前進させるように作用する、別の機構に置き換えられる。いくつかの実施形態では、RBSは、シリンジまたは他の方法を使用して、流体(例えば、食塩水、油または別の種類の流体)を使用する静水圧機構により前進と後退が行なわれてもよい。いくつかの実施形態では、RBSは、空気圧機構(例えば、空気圧力)により前進および/または後退が行なわれ、真空により後退が行なわれる。
【0111】
いくつかの実施形態では、ワイヤなしプランジャ800および/またはガイドワイヤ350はステンレス鋼を含む。いくつかの実施形態では、ワイヤなしプランジャ800および/またはガイドワイヤ350はより合わされている。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ350は、金、銀、ステンレス鋼、チタニウム、プラチナなど、またはこれらの組み合わせなどの、RBS(例えば、ディスク405、シード形状のRBS400)を収容するために使用されるのと同一材料である、材料を含む。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ350は、内部に放射線源が置かれているのと同一材料である、材料を含む。いくつかの実施形態では、RBSはニチノールワイヤによって前進および後退が行われてもよい。
【0112】
カニューレの開口部
いくつかの実施形態では、カニューレ100は、遠位部分110の内側(例えば、底)に位置する開口部500を含む(図2参照)。この開口部500により、放射線がカニューレ100を通過し、標的に到達することができる。いくつかの実施形態では、開口部500は、遠位部分110の先端部200または遠位部分110上の他の領域に位置してもよい。いくつかの実施形態では、遠位部分110は複数の開口部500を有してもよい。いくつかの実施形態では、開口部500は丸い形状(例えば、円形)を有する。開口部500はまた、正方形、長円、長方形、楕円または三角形などの、別の形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、開口部500は約0.01mm〜約0.1mmの面積を有する。いくつかの実施形態では、開口部500は約0.1mm〜約1.0mmの面積を有する。いくつかの実施形態では、開口部500は約1.0mm〜約10.0mmの面積を有する。
【0113】
いくつかの実施形態では、開口部500の寸法は、RBS(例えば、ディスク405、シード形状のRBS400)の寸法より小さい。いくつかの実施形態では、開口部500は円形であり、約0.1ミリメートルの直径を有する。いくつかの実施形態では、開口部500は円形であり、約0.01ミリメートル〜約0.1ミリメートルの直径を有する。いくつかの実施形態では、開口部500は円形であり、約0.1ミリメートル〜1.0ミリメートルの直径を有する。いくつかの実施形態では、開口部500は円形であり、約1.0ミリメートル〜5.0ミリメートルの直径を有する。いくつかの実施形態では、開口部500は円形であり、約5.0ミリメートル〜10.0ミリメートルの直径を有する。
【0114】
いくつかの実施形態では、開口部500は長方形である。いくつかの実施形態では、開口部500は長方形であり、約1.0mm×2.5mmである。いくつかの実施形態では、開口部500は長方形であり、約0.5mm×2.5mmである。いくつかの実施形態では、開口部500は長方形であり、約0.5mm×2.0mmである。いくつかの実施形態では、開口部500は長方形であり、約0.5mm×1.5mmである。いくつかの実施形態では、開口部500は長方形であり、約0.5mm×1.0mmである。いくつかの実施形態では、開口部500は長方形であり、約0.5mm×0.5mmである。いくつかの実施形態では、開口部500は長方形であり、約0.25mm×2.5mmである。いくつかの実施形態では、開口部500は長方形であり、約0.25mm×2.0mmである。いくつかの実施形態では、開口部500は長方形であり、約0.25mm×1.5mmである。いくつかの実施形態では、開口部500は長方形であり、約0.25mm×1.0mmである。いくつかの実施形態では、開口部500は長方形であり、約0.25mm×0.5mmである。いくつかの実施形態では、開口部500は長方形であり、約0.25mm×0.25mmである。
【0115】
いくつかの実施形態では、開口部500の遠位端520は、遠位部分110の先端部200から約0.1mm〜0.5mmの間に位置決めされる。いくつかの実施形態では、開口部500の遠位端520は、遠位部分110の先端部200から約0.5mm〜1.0mmの間に位置決めされる。いくつかの実施形態では、開口部500の遠位端520は、遠位部分110の先端部200から約1.0mm〜2.0mmの間に位置決めされる。いくつかの実施形態では、開口部500の遠位端520は、遠位部分110の先端部200から約2.0mm〜5.0mmの間に位置決めされる。いくつかの実施形態では、開口部500の遠位端520は、遠位部分110の先端部200から約5.0mm〜10.0mmの間に位置決めされる。いくつかの実施形態では、開口部500の遠位端520は、遠位部分110の先端部200から約10.0mm〜20.0mmの間に位置決めされる。
【0116】
カニューレの窓
本明細書では、用語の「放射線透過性」は、放射束の約10−1未満または約10−2未満を吸収する材料を指す。例えば、放射線透過性材料から構成される窓510は、放射束の10−5を吸収する材料から構成される窓510を含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、カニューレ100は窓510を含む。いくつかの実施形態では、カニューレ100は、開口部500および窓510を含み、これら両方は一般に、カニューレ100の遠位部分110に配置される(図2参照)。いくつかの実施形態では、カニューレ100の窓510は、カニューレ100の他の部分より多い放射線透過を可能にする材料で構成される。窓510は、例えば、低密度材料で構成されるか、またはより小さい原子番号を有する材料で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、窓510は、カニューレ100と同一材料で構成されてもよいが、より薄い壁厚を有してもよい。いくつかの実施形態では、窓510は放射線透過性材料で構成される。いくつかの実施形態では、窓510はカニューレ100と同一材料で構成され、カニューレ100と同一の壁厚を有する。いくつかの実施形態では、窓510は、そこから放射線が放射される、カニューレ100上の領域である。
【0118】
いくつかの実施形態では、カニューレ100は、遠位部分110の内側(例えば、底)に位置する窓510を含む。この窓510を使用することにより、放射線がカニューレ100を通過し、標的の組織に到達することを可能にする。いくつかの実施形態では、窓510は、カニューレの壁厚より薄い厚さを有するカニューレ100の一部分である。いくつかの実施形態では、窓510は、カニューレの壁厚と等しい厚さを有するカニューレ100の一部分である。いくつかの実施形態では窓510は、カニューレの壁厚より厚い厚さを有する、カニューレ100の一部分である。
【0119】
いくつかの実施形態では、遠位部分110は複数の窓510を有してもよい。いくつかの実施形態では、窓510は丸い形状(例えば、円形)を有する。窓510はまた、正方形、長円、長方形または三角形などの、別の形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、窓510は、約0.01mm〜約0.1mmの面積を有する。いくつかの実施形態では、窓510は、約0.1mm〜約1.0mmの面積を有する。いくつかの実施形態では、窓510は、約1.0mm〜約10.0mmの面積を有する。いくつかの実施形態では、窓510は、約2.5mmの面積を有する。いくつかの実施形態では、窓510は、約2.5mmを超える、例えば、50mm、または100mmの面積を有する。
【0120】
いくつかの実施形態では、窓510は長方形である。いくつかの実施形態では、窓510は長方形であり、約1.0mm×2.5mmである。いくつかの実施形態では、窓510は長方形であり、約0.5mm×2.5mmである。いくつかの実施形態では、窓510は長方形であり、約0.5mm×2.0mmである。いくつかの実施形態では、窓510は長方形であり、約0.5mm×1.5mmである。いくつかの実施形態では、窓510は長方形であり、約0.5mm×1.0mmである。いくつかの実施形態では、窓510は長方形であり、約0.5mm×0.5mmである。いくつかの実施形態では、窓510は長方形であり、約0.25mm×2.5mmである。いくつかの実施形態では、窓510は長方形であり、約0.25mm×2.0mmである。いくつかの実施形態では、窓510は長方形であり、約0.25mm×1.5mmである。いくつかの実施形態では、窓510は長方形であり、約0.25mm×1.0mmである。いくつかの実施形態では、窓510は長方形であり、約0.25mm×0.5mmである。いくつかの実施形態では、窓510は長方形であり、約0.25mm×0.25mmである。いくつかの実施形態では、窓510は約2.5mmを超える、例えば、50mm、または100mmの面積を有する。
【0121】
いくつかの実施形態では、窓510の寸法は、RBS(例えば、ディスク405、シード形状のRBS400)の寸法より小さい。いくつかの実施形態では、窓510の寸法はRBSの寸法より大きい。いくつかの実施形態では、窓510は楕円形であり、約0.1ミリメートルの軸寸法を有する。いくつかの実施形態では、窓510は楕円形であり、約0.1ミリメートル〜1.0ミリメートルの軸寸法を有する。いくつかの実施形態では、窓510は楕円形であり、約1.0ミリメートル〜5.0ミリメートルの軸寸法を有する。
【0122】
いくつかの実施形態では、窓510の遠位端520は、遠位部分110の先端部200から約0.1mm〜0.5mmの間に位置決めされる。いくつかの実施形態では、窓510の遠位端520は、遠位部分110の先端部200から約0.5mm〜1.0mmの間に位置決めされる。いくつかの実施形態では、窓510の遠位端520は、遠位部分110の先端部200から約1.0mm〜2.0mmの間に位置決めされる。いくつかの実施形態では、窓510の遠位端520は、遠位部分110の先端部200から約2.0mm〜5.0mmの間に位置決めされる。いくつかの実施形態では、窓510の遠位端520は、遠位部分110の先端部200から約5.0mm〜10.0mmの間に位置決めされる。いくつかの実施形態では、窓510の遠位端520は、遠位部分110の先端部200から約10.0mm〜20.0mmの間に位置決めされる。
【0123】
放射線遮蔽
いくつかの実施形態では、カニューレ100のハンドル140および/または近位部分120および/または遠位部分110は、RBS(例えば、ディスク405)からユーザをさらに遮蔽することができる材料から構成される。いくつかの実施形態では、ハンドル140および/または近位部分120は、カニューレ100より高密度の材料を含む。いくつかの実施形態では、ハンドル140および/または近位部分120は、カニューレ100より厚い材料を含む。いくつかの実施形態では、ハンドル140および/または近位部分120は、カニューレ100に比べてより多い材料層を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、遠位部分110の一部は、RBSからユーザおよび/または患者をさらに遮蔽することができる材料から構成される。例えば、強膜235に接触する側と反対側の遠位部分110の側は、RBSから患者をさらに遮蔽することができる材料から構成される。
【0125】
いくつかの実施形態では、近位部分120および/またはハンドル140は、ここでは、放射線遮蔽「ピッグ」900と称される、放射線遮蔽を提供するコンテナを含む(図4、図6参照)。放射線遮蔽ピッグ900により、RBS(例えば、ディスク405、シード形状のRBS400)を、引っ込んだ位置に収納することができる。いくつかの実施形態では、放射線遮蔽ピッグ900はRBSの収納場所を提供することにより、ユーザが装置をより安全に取り扱いできるようにしている。
【0126】
いくつかの実施形態では、カニューレ100の近位部分120および/またはハンドル140は、RBSを遮蔽するように設計された壁厚を有する。いくつかの実施形態では、カニューレ100の近位部分120および/またはハンドル140は、ステンレス鋼を含み、約1mm〜約2mmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、カニューレ100の近位部分120および/またはハンドル140は、ステンレス鋼を含み、約2mm〜約3mmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、カニューレ100の近位部分120および/またはハンドル140は、ステンレス鋼を含み、約3mm〜約4mmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、カニューレの近位部分120および/またはハンドル140は、ステンレス鋼を含み、約4mm〜約5mmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、カニューレ100の近位部分120および/またはハンドル140は、ステンレス鋼を含み、約5mm〜約10mmの厚さを有する。
【0127】
いくつかの実施形態では、カニューレ100の近位部分120および/またはハンドル140は、複数の層を含む。いくつかの実施形態では、近位部分120および/またはハンドル140は、複数の材料を含む。いくつかの実施形態では、複数の材料はタングステン合金を含む。タングステン合金は当業者にはよく知られている。例えば、いくつかの実施形態では、タングステン合金は高含有量のタングステンと低含有量のNiFeを有し、時には放射線遮蔽に使用される。
【0128】
いくつかの実施形態では、RBSにおけるβ同位体を遮蔽することは困難であり得る。いくつかの実施形態では、遮蔽のために小さい原子番号(Z)を有する材料を使用してもよい(例えば、ポリメタクリル酸メチル)。いくつかの実施形態では、材料の1若しくはそれ以上の層は遮蔽のために使用され、内側の層は小さい原子番号を有する材料を含み(例えば、ポリメタクリル酸メチル)、外側の層は鉛を含む。いくつかの実施形態では、近位部分120および/またはハンドル140および/または放射線遮蔽ピッグ900は、外側層により囲まれる内側層を含む。いくつかの実施形態では、近位部分120および/またはハンドル140および/または放射線遮蔽ピッグ900は、鉛(または他の材料)の外側層により囲まれるポリメタクリル酸メチル(または他の材料)の内側層を含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、内側層は約0.1mm〜0.25mmの厚さである。いくつかの実施形態では、内側層は約0.25mm〜0.50mmの厚さである。いくつかの実施形態では、内側層は約0.5mm〜1.0mmの厚さである。いくつかの実施形態では、内側層は約1.0mm〜1.5mmの厚さである。いくつかの実施形態では、内側層は約1.5mm〜2.0mmの厚さである。いくつかの実施形態では、内側層は約2.0mm〜5.0mmの厚さである。
【0130】
いくつかの実施形態では、外側層は約0.01mm〜0.10mmの厚さである。いくつかの実施形態では、外側層は約0.10mm〜0.15mmの厚さである。いくつかの実施形態では、外側層は約0.15mm〜0.20mmの厚さである。いくつかの実施形態では、外側層は約0.20mm〜0.50mmの厚さである。いくつかの実施形態では、外側層は約0.50mm〜1.0mmの厚さである。
【0131】
いくつかの実施形態では、内側層(例えば、ポリメタクリル酸メチルまたは他の材料)は約1.0mmの厚さであり、外側層(例えば、鉛または他の材料)は約0.16mmの厚さである。いくつかの実施形態では、内側層(例えば、ポリメタクリル酸メチルまたは他の材料)は約0.1mm〜1.0mmの厚さであり、外側層(例えば、鉛または他の材料)は約0.01mm〜0.10mmの厚さである。いくつかの実施形態では、内側層(例えば、ポリメタクリル酸メチルまたは他の材料)は約0.1mm〜1.0mmの厚さであり、外側層(例えば、鉛または他の材料)は約0.10mm〜0.20mmの厚さである。いくつかの実施形態では、内側層(例えば、ポリメタクリル酸メチルまたは他の材料)は約1.0mm〜2.0mmの厚さであり、外側層(例えば、鉛または他の材料)は約0.15mm〜0.50mmの厚さである。いくつかの実施形態では、内側層(例えば、ポリメタクリル酸メチルまたは他の材料)は約2.0mm〜5.0mmの厚さであり、外側層(例えば、鉛または他の材料)は約0.25mm〜1.0mmの厚さである。
【0132】
図1、図4および図5に示すように、いくつかの実施形態では、カニューレ100はハンドル140で終端する。いくつかの実施形態では、近位部分120はさらにコネクタ150を含む。いくつかの実施形態では、ハンドル140および/または放射線遮蔽ピッグ900はコネクタ150を介してカニューレ100にはめ込まれてもよい。いくつかの実施形態では、放射線遮蔽ピッグ900はさらに、プランジャ機構を含む。いくつかの実施形態では、カニューレ100は患者に挿入する前に組み立てられる。いくつかの実施形態では、カニューレ100は挿入前に組み立てられず、例えば、カニューレ100は、遠位部分110が患者に挿入された後に組み立てられる。
【0133】
いくつかの実施形態では、ハンドル140および/またはピッグ900は、カニューレ100がテノン嚢下手法により挿入された後に、カニューレ100に取り付けられる。本発明をいずれの理論または機構に限定することなく、カニューレ100が挿入された後にカニューレ100にハンドル140および/またはピッグ900を取り付けることは、ハンドル140および/またはピッグ900がカニューレ100の位置決定を妨害しないため、有利であると考えられている。加えて、カニューレ100の位置決定は、寸法が大きくなる可能性のある、ハンドル140および/またはピッグ900が、患者の身体的特徴とは干渉しないため、より容易になり得る。
【0134】
カニューレの先端部、くぼんだ先端部
遠位部分110は先端部200を含む。いくつかの実施形態では、遠位部分110は、丸い形状を有する先端部200を含む(図2参照)。いくつかの実施形態では、先端部200の末端は丸みを有する。いくつかの実施形態では、遠位部分110の先端部200は開いている。いくつかの実施形態では、遠位部分110の先端部200は閉じている。いくつかの実施形態では、遠位部分110は先端部200を有し、この先端部200は、眼周囲の組織の血管および/または神経に損傷を与えることを防止し、強膜235上を滑らかに通過するように、丸みを有する。いくつかの実施形態では、遠位部分110の先端部200はさらに、強膜235をくぼませるためにカニューレ100から突出する突出部(例えば、くぼんだ先端部600)を含み、眼の後部の正確な位置にカニューレ100の遠位部分110を案内するための視覚上の助けとして機能する(例えば、図2参照)。いくつかの実施形態では、強膜235の窪みは、瞳孔を通して見ることにより眼の後極において観察されてもよい。
【0135】
いくつかの実施形態では、突出部(例えば、くぼんだ先端部600)はRBSの上方にある(図2参照)。いくつかの実施形態では、カニューレ壁とくぼんだ先端部600の全体としての厚さ(両方はステンレス鋼で構成されてもよい)は、約0.33mmであり、その結果、RBSは、1cmを超えるRBSにより放射されたエネルギーの1%を超える放射エネルギーを蓄積するx線を発生する。
【0136】
いくつかの実施形態では、突出部(例えば、くぼんだ先端部600)は、約0.01mm〜0.10mmの厚さである。いくつかの実施形態では、突出部(例えば、くぼんだ先端部600)は、約0.10mm〜0.20mmの厚さである。いくつかの実施形態では、くぼんだ先端部600は、約0.20mm〜0.33mmの厚さである。いくつかの実施形態では、くぼんだ先端部600は、約0.33mm〜0.50mmの厚さである。いくつかの実施形態では、くぼんだ先端部600は、約0.50mm〜0.75mmの厚さである。いくつかの実施形態では、くぼんだ先端部600は、約0.75mm〜1.0mmの厚さである。いくつかの実施形態では、くぼんだ先端部600は、約1.0mm〜5.0mmの厚さである。
【0137】
カニューレ上の光源
いくつかの実施形態では、遠位部分110は先端部200と先端部200に配置された光源610を含む(図2参照)。いくつかの実施形態では、遠位部分110は、遠位部分110の全長の一部の範囲を照明する、光源610を含む。いくつかの実施形態では、カニューレ100は、カニューレ100の全長の範囲を照明する、光源610を含む。本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、カニューレ100の全長の範囲を照明する光源610は、カニューレ100全体を照射することにより、カニューレ100の位置決めを案内し、および/または位置決め範囲内の身体的構造を観察する際において、ユーザ(例えば、内科医、外科医)を支援できるため、有利であり得ると考えられる。
【0138】
いくつかの実施形態では、光源610は、カニューレ100の先端部200に発光ダイオード(light−emitting diode:LED)を含む。LEDの光は光透過物を通して見ることができ、カニューレ100の正確な位置に外科医を案内するのに役立つ。いくつかの実施形態では、光源610からの光は、光ファイバによりカニューレ100を通して導かれる。いくつかの実施形態では、光源610、くぼんだ先端部600および窓510または開口部500は同軸上にある。
【0139】
いくつかの実施形態では、光源610は標的領域を照明する。いくつかの実施形態では、光源610は標的領域の一部を照明する。いくつかの実施形態では、光源610は標的領域と非標的領域とを照明する。本明細書では、「標的領域」は、意図する治療放射線量の約100%を受ける領域である。いくつかの実施形態では、カニューレ100は、標的とされる放射線ゾーンより広い領域を照明する光源610を含む。本発明をいずれかの理論またはメカニズムに限定することなく、光源610は、光源610が、間接検眼鏡の光の代わりに使用され得る、横方向の散乱により拡散光照明を生成できるため、有利であると考えられている。光源610からの光は病変の範囲を超えて広がって、参照点(例えば、視神経、窩、血管)を目に見えるようにし、これにより、ユーザ(例えば、内科医、外科医)が方向合わせするのを助ける。
【0140】
いくつかの実施形態では、カニューレ100の一部分または全体が光りを放っている。これにより、ユーザ(例えば、内科医、外科医)が、カニューレ100の挿入を観察するおよび/または標的を観察することができる。いくつかの実施形態では、カニューレ100は、標的上に位置すべき領域内は照明されない(例えば、標的以外のすべてに領域が照明される)。
【0141】
放射性核種小線源照射療法の放射線源
連邦規制基準によると、放射性核種小線源照射療法の放射線源(radionuclide brachytherapy source:RBS)は、封入層に封入された放射性核種を含む。例えば、連邦規制基準は放射性核種小線源照射療法の放射線源を、以下のように定義する。
【0142】
「放射性核種小線源照射療法放射線源は放射性核種から成る装置であって、この放射性核種は、金、チタニウム、ステンレス鋼またはプラチナから作られる密閉容器内に封入され、および治療用の核放射線の放射線源として、医療目的のために、人体表面上、あるいは体腔または組織内に置くことを意図するものである」
本発明は、新しい放射性核種小線源照射療法の放射線源(「RBS」)を特徴とする。本発明のRBSは、連邦規制基準と一致する方法で構成されるが、連邦規制基準に記載された項目に限定されない。例えば、本発明のRBSはさらに、任意選択で、基体を含んでもよい(以下に説明される)。また、例えば、記載された「金、チタニウム、ステンレス鋼またはプラチナ」により封入されることに加えて、いくつかの実施形態では、本発明の放射性核種(同位体)は、「金、チタニウム、ステンレス鋼またはプラチナ」のうちの1若しくはそれ以上の組み合わせにより封入されてもよい。いくつかの実施形態では、本発明の放射性核種(同位体)は、銀、金、チタニウム、ステンレス鋼、プラチナ、スズ、亜鉛、ニッケル、銅、他の金属、セラミックまたはこれらの組み合わせを含む、不活性材料の1若しくはそれ以上の層により封入されてもよい。
【0143】
RBSは、種々の設計および/または形状および/または放射線分布を有する、様々な方法で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、RBSは、基体361、放射性同位体362(例えば、ストロンチウム−90)およびカプセル封入部を含む。図14E。いくつかの実施形態では、同位体362は、基体361上を覆い、基体361と同位体362の両方はさらに、カプセル封入部で覆われる。いくつかの実施形態では、放射性同位体362は、基体361内に埋め込まれる。いくつかの実施形態では、放射性同位体362は、基体361のマトリクスの一部である。いくつかの実施形態では、カプセル封入部は同位体362の上、および任意選択で基体361の一部の上を覆う。いくつかの実施形態では、カプセル封入部は基体361と同位体362との全体の周りを覆う。いくつかの実施形態では、カプセル封入部は同位体362を封入する。いくつかの実施形態では、カプセル封入部は基体361と同位体362との全体を封入する。いくつかの実施形態では、放射性同位体362は独立した部分であり、カプセル封入部と基体361との間でサンドイッチ状にはさまれる。
【0144】
RBSは、標的上に回転対称(例えば、円形対称)形状の制御された放射線放射を提供するように設計される。いくつかの実施形態では、RBSは、標的上に回転対称放射を提供するために、回転対称形状を有する露出面を有する。
【0145】
n個の側面を有する形状は、それぞれ360°/nの大きさのn回転が同一形を形成する場合、n回回転対称を有すると考えられる。いくつかの実施形態では、回転対称であるようにここに説明される形状は、n回回転対称を有する形状であり、nは3若しくはそれ以上の正の整数である。
【0146】
いくつかの実施形態では、回転対称形状は少なくとも5回回転対称を有する(n=5)。いくつかの実施形態では、回転対称形状は少なくとも6回回転対称を有する(n=6)。いくつかの実施形態では、回転対称形状は少なくとも7回回転対称を有する(n=7)。いくつかの実施形態では、回転対称形状は少なくとも8回回転対称を有する(n=8)。いくつかの実施形態では、回転対称形状は少なくとも9回回転対称を有する(n=9)。いくつかの実施形態では、回転対称形状は少なくとも10回回転対称を有する(n=10)。いくつかの実施形態では、回転対称形状は無数回の回転対称を有する(n=∞)。円、正方形、等辺三角形、六角形、八角形、6つの尖端を有する星形および12の尖端を有する星形などの、回転対称形状の例は、図14Fに見ることができる。
【0147】
本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、回転対称形状は、標的の周辺における放射線の急激な減衰を提供すると考えられる。いくつかの実施形態では、回転対称形状は、標的の周辺における放射線の均一な減衰を提供する。いくつかの実施形態では、標的の周辺における放射線の急激な減衰は、照射される容積および/または面積を低減する。
【0148】
基体の形状により制御される回転対称露出面
いくつかの実施形態では、基体361の表面は、標的上への回転対称形状の放射線の制御された放射を提供するような形状にされる。例えば、いくつかの実施形態では、基体361の底面363は、回転対称、例えば、円形、六角形、八角形、十角形などである。放射性同位体362は、このような基体362の回転対称底面363の上を覆うと、回転対称露出面が形成される。
【0149】
いくつかの実施形態では、基体361はディスク405であり、例えば、ディスク405は高さ406および直径407を有する(図14参照)。いくつかの実施形態では、ディスク405の高さ406は約0.1mm〜10mmである。例えば、いくつかの実施形態では、ディスク405の高さ406は約0.1〜0.2mmである。いくつかの実施形態では、ディスク405の高さ406は、1.5mmなど、約0.2〜2mmの間である。いくつかの実施形態では、ディスク405の高さ406は約2〜5mmである。いくつかの実施形態では、ディスク405の高さ406は約5〜10mmである。いくつかの実施形態では、ディスク405の直径407は約0.1〜0.5mmである。いくつかの実施形態では、ディスク405の直径407は約0.5〜10mmである。例えば、いくつかの実施形態では、ディスク405の直径407は、2mmなど、約0.5〜2.5mmの間である。いくつかの実施形態では、ディスク405の直径407は約2.5〜5mmである。いくつかの実施形態では、ディスク405の直径407は約5〜10mmである。いくつかの実施形態では、ディスク405の直径407は約10〜20mmである。
【0150】
基体361は、様々な材料から構成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、基体361は、銀、アルミニウム、ステンレス鋼、タングステン、ニッケル、スズ、ジルコニウム、亜鉛、銅、金属材料、セラミック材料、セラミックマトリクスなどまたはこれらの組み合わせを含む材料から構成される。いくつかの実施形態では、基体361は、同位体362から放射される、放射線の一部を遮蔽するように作用する。例えば、いくつかの実施形態では、基体361は、同位体362からの放射線が基体361を通過できないような、厚さを有する。いくつかの実施形態では、基体361の密度×厚さは、約0.01g/cm〜10g/cmである。
【0151】
基体361は、様々な形状で構成されてもよい。例えば、形状は、これらに限定されないが、立方体、球体、円柱、直角プリズム、三角プリズム、角錐、円錐、切頭円錐、半球、楕円体、不規則な形状などまたはそれら形状の組み合わせを含んでもよい。図14に示すように、いくつかの実施形態では、基体361は全体的に長方形の垂直断面を有してもよい。いくつかの実施形態では、基体361は全体的に三角形または台形の垂直断面を有してもよい。いくつかの実施形態では、基体361は全体的に円形/楕円の垂直断面を有してもよい。基体361の垂直断面は、様々な幾何学的および/または不規則な形状の組み合わせであってもよい。
【0152】
同位体の形状により制御される回転対称露出面
いくつかの実施形態では、同位体362は、基体361全体の上を覆う。いくつかの実施形態では、同位体362は、様々な形状で基体361の一部の上を(例えば、基体361の底面363上を)覆うかまたは埋め込まれる。例えば、基体361上の同位体362の被覆は、回転対称形状、例えば、円形、六角形、八角形、十角形などの形状であってもよい。基体361の底面363上の同位体362の被覆の回転対称形状は、回転対称露出面を提供し、標的上に回転対称形状の制御された放射線放射をもたらす。
【0153】
カプセル封入部の形状により制御される回転対称露出面
いくつかの実施形態では、カプセル封入部は、標的上に回転対称形状を有する、制御された放射線放射のための、回転対称露出面を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、カプセル封入部は、いくつかの部分において放射線のほぼすべてを遮蔽し、他の部分において放射線のほぼすべてを透過するように、可変厚さを有する。例えば、一実施形態では、カプセル封入部の密度×厚さは、放射線源の放射性部分の中心から1mmを超える距離で1g/cmであり、カプセル封入部の密度×厚さは、放射線源の放射性部分の中心から1mm未満の距離において0.01g/cm2である。Sr−90放射線源では、このカプセル封入部は、放射線源の放射性部分の中心から1mmを超える距離において放射される、放射線のほぼすべてを遮断し、さらに、放射線源の放射性部分の中心の1mm内で放射される放射線のほぼすべてが通過することを可能にする。いくつかの実施形態では、カプセル封入部の厚さは0.001g/cm〜10g/cmの間で変化する。いくつかの実施形態では、上述のように高密度および低密度領域の回転対称形状が使用される。
【0154】
カプセル封入部は、様々な材料、例えば、鋼、銀、金、チタニウム、プラチナ、別の生物学的適合性材料などまたはこれらの組み合わせを含む、不活性材料の1若しくはそれ以上の層から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、カプセル封入部は約0.01mmの厚さである。いくつかの実施形態では、カプセル封入部は約0.01〜0.10mmの厚さである。いくつかの実施形態では、カプセル封入部は約0.10〜0.50mmの厚さである。いくつかの実施形態では、カプセル封入部は約0.50〜1.0mmの厚さである。いくつかの実施形態では、カプセル封入部は約1.0〜2.0mmの厚さである。いくつかの実施形態では、カプセル封入部は、例えば約3mm、約4mmまたは約5mmの厚さであり、約2.0mmの厚さを超える。いくつかの実施形態では、カプセル封入部は、例えば6mm、7mm、8mm、9mm、または10mmの厚さであり、約5mmの厚さを超える。
【0155】
他の構成要素により制御される回転対称露出面
いくつかの実施形態では、放射線シェーパ366により、標的上に回転対称形状の制御された放射線放射を提供できる(図14G)。放射線シェーパ366は放射線を通さない部分と実質的に放射線透過性の部分(以下「窓364」)とを含む。いくつかの実施形態では、放射線シェーパ366はRBSの下に置かれる。窓364と部分的に重なるRBSの一部からの放射線は、標的に向かって窓364を通して放射され、窓364と部分的に重ならない部分からの放射線は放射線を通さない部分により阻止され、標的に到達しない。その結果、回転対称形状を有する窓364により、標的上に回転対称放射が可能になる。
【0156】
いくつかの実施形態では、カニューレ100の窓510(または開口部500)は、標的上に回転対称形状の制御された放射線放射を提供するために、放射線シェーパ366の窓364であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、窓510は円形である。
【0157】
上述のように、標的上への回転対称形状の制御された放射線放射は、標的の縁部における急激な減衰を可能にする。標的上への回転対称形状の制御された放射線放出を生成するための、RBSおよび/またはカニューレ100の構成要素の配置の様々な組み合わせもまた、本発明の範囲内にあるものとする。ここでの開示に基づいて、当業者であれば、これらの様々な組み合わせを発展させて、標的の縁部における急激な減衰を可能にする、標的上への回転対称形状の制御された放射線放射を生成する方法を理解するであろう。標的の縁部における急激な減衰はまた、放射線を通さない深部壁を有するウェル内にRBSを収容することにより強化されてもよい。例えば、図21は、深部壁を含むウェル内に収容されたRBSを示しており、壁は標的の縁部における放射線の減衰を増強し、さらにより急激に減衰させる。
【0158】
同位体および放射能
本発明の範囲内で様々な同位体が採用されてもよい。リン32およびストロンチウム90などのβ放射体は、透過が限定され、容易に遮蔽される理由から、有効な放射性同位体であると以前は見なされていた。いくつかの実施形態では、同位体362は、リン32(P−32)、ストロンチウム−90(Sr−90)、ルテニウム106(Ru−106)、イットリウム90(Y−90)など、またはこれらの組み合わせを含む。
【0159】
それらの同位体は、β放射体とは明瞭に異なるが、いくつかの実施形態では、RBSは、γ放射体および/またはα放射体などの、同位体362を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、同位体362は、ヨウ素125(I−125)、パラジウム103(Pd−103)、セシウム131(Cs−131)、セシウム137(Cs−137)、コバルト60(co−60)など、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、RBSは、様々な種類の同位体362の組み合わせを含む。例えば、いくつかの実施形態では、同位体362は、Sr−90およびP−32の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、同位体362は、Sr−90およびY−90の組み合わせを含む。
【0160】
標的において特定の線量率を達成するために、使用される同位体の放射能は、同位体と標的間の所定の距離に対して決定される。例えば、放射線源が、直径約4mmのディスクを形成し、かつ約0.06mmの高さを有する銀クラッドマトリクスの内部に含まれ、およびディスクの一方の平坦面上で約0.8mmの厚さであり、ディスクの反対側の平坦面(ディスクの標的側)上および周辺周りに約0.1mmの厚さであるチタニウム内に封入された、ストロンチウム−イットリウム−90チタネートである場合、標的は(組織において)深さ約1.5mmにあり、所望の線量率は標的において約24Gy/分であり、約100mCiの放射能が使用されてもよい。または、放射線源のすべての態様が、銀クラッドマトリクスのディスク内に含まれる、ストロンチウム−イットリウム−90チタネートの直径が約3mmであり、標的は深さ約2.0mm(組織内の)にあり、所望の線量率は標的において約18Gy/分であることを除いて、同一である場合、約150mCiの放射能が使用されてもよい。または、放射線源のすべての態様が、銀クラッドマトリクスのディスク内に含まれる、ストロンチウム−イットリウム−90チタネートの直径が約3mmであり、標的が深さ約0.5mm(組織内の)にあり、所望の線量率は標的において約15Gy/分であることを除いて、同一である場合、約33mCiの放射能が使用されてもよい。または、放射線源のすべての態様が、銀クラッドマトリクスのディスク内に含まれる、ストロンチウム−イットリウム−90チタネートの直径が約2mmであり、標的は深さ約5.0mm(組織内の)にあり、所望の線量率は標的において約30Gy/分であることを除いて、同一である場合、約7100mCiの放射能が使用されてもよい。
【0161】
いくつかの実施形態では、同位体は約5〜20mCi、例えば10mCiを有する。
【0162】
いくつかの実施形態では、標的において特定の線量率を達成するために、使用されるべき同位体362の放射能は、同位体362と標的との間の所定の距離に対して決定される。例えば、Sr−90同位体362は、(組織における)標的から約5mmの距離にあり、所望の線量率は標的において約20Gy/分である場合、約5,000mCiの放射能を有するSr−90同位体362が使用されてもよい。または、P−32同位体362が標的から約2mmの距離にあり、所望の線量率が標的において約25Gy/分である場合、約333mCiの放射能を有するP−32同位体362が使用されてもよい。
【0163】
いくつかの実施形態では、同位体362は、約0.5〜5mCiの放射能を有する。いくつかの実施形態では、同位体362は、約5〜10mCiの放射能を有する。いくつかの実施形態では、同位体362は、約10〜50mCiの放射能を有する。いくつかの実施形態では、同位体362は、約50〜100mCiの放射能を有する。いくつかの実施形態では、同位体362は、約100〜500mCiの放射能を有する。いくつかの実施形態では、同位体362は、約500〜1,000mCiの放射能を有する。いくつかの実施形態では、同位体362は、約1,000〜5,000mCiの放射能を有する。いくつかの実施形態では、同位体362は、約5,000〜10,000mCiの放射能を有する。いくつかの実施形態では、同位体362は、約10,000mCiを超える放射能を有する。
【0164】
ガイドおよびメモリワイヤ
いくつかの実施形態では、RBS(例えば、基体および/またはカプセル封入部)はガイドワイヤ350に取り付けられる。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ350への基体361および/またはカプセル封入部の取り付けは様々な方法を使用して達成されてもよい。いくつかの実施形態では、基体361および/またはカプセル封入部は溶着により取り付けられる。いくつかの実施形態では、基体361および/またはカプセル封入部は接着剤によりガイドワイヤ350に取り付けられる。いくつかの実施形態では、基体361および/またはカプセル封入部は、プラスチックのガイドワイヤ350を形成する延長部を有する、プラスチックスリーブ内に封入されることにより、ガイドワイヤ350に取り付けられる。いくつかの実施形態では、これは、熱収縮性チューブなどの方法を使用して達成されてもよい。
【0165】
いくつかの実施形態では、RBSは展開可能なウェハの形状である。いくつかの実施形態では、ウェハは、円柱、楕円、または同様の形状である。いくつかの実施形態では、ウェハは、展開されると広がる、放射性同位体が添加されるか、またはこの放射性同位体で表面を覆われている、ニッケルチタニウム(NiTi)を含む。いくつかの実施形態では、ウェハは、長期間にわたり所定の位置に置かれる場合、生体不活性材料で覆われる。
【0166】
いくつかの実施形態では、メモリワイヤ300はRBSを含む。いくつかの実施形態では、メモリワイヤ300は、ディスク405またはシード形のRBS400と同様の役目をする。シード形のRBS400は、球体または楕円体の形状を有してもよい。シード形のRBS400の形状は上述の形状に限定されない。いくつかの実施形態では、シード形のRBS400の形状は、カニューレ100の説明に従って、カニューレ100を通すことができる面積および/または容積を最大にするように、寸法を決定される。例えば、いくつかの実施形態では、RBSは湾曲した円柱の形状である。いくつかの実施形態では、湾曲した円柱は、さらにカニューレ100の湾曲部を収容するために、丸みのある遠位端と丸みのある近位端を有する。
【0167】
いくつかの実施形態では、RBSはカニューレ100に挿入するためのものである。いくつかの実施形態では、RBSはカニューレ100の全長にわたって移動するように設計される。いくつかの実施形態では、標的に放射線を送達するために2若しくはそれ以上のRBSが使用される。例えば、いくつかの実施形態では、2つのディスク405がカニューレ100の内側で使用されてもよい。
【0168】
放射線源全体の1%を超える放射線エネルギー束が1cmの距離を超えて広がるRBSの構成
本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、湿潤加齢黄斑変性症を治療するための医療装置の有効な設計は、放射線源全体の1%を超える放射線エネルギー束(例えば、線lに沿った放射線源の中心における合計の放射線エネルギー束)が、(線lに沿って)RBSから1cmを超えるまたは1cmに等しい距離にまで伝達されるような、放射線の線量分布を有していなければならないと考えられている。
【0169】
いくつかの実施形態では、本発明は、RBSから1cm以下の距離において、放射線源全体の放射線エネルギー束の約99%(例えば、98%、97%他)未満を蓄積する、RBSを有する。
【0170】
いくつかの実施形態では、本発明は、RBSから1cm以上の距離において、放射線源全体の放射線エネルギー束の1%(例えば、2%、3%、4%他)を超える量を蓄積する、RBSを有する。いくつかの実施形態では、本発明は、RBSから1cm以上の距離において、この合計の放射線源全体の放射線エネルギー束の1%〜15%を蓄積する、RBSを有する。
【0171】
いくつかの実施形態では、同位体の放射線(例えば、β放射線)とカプセル封入部(例えば、金、チタニウム、ステンレス鋼、プラチナ)との相互作用は、β放射線エネルギーの一部を制動放射X線の放射に変換する。これらのx線の両方は、所定の標的領域において放射線療法の全体線量に寄与し、またβ放射線よりさらに浸透する。したがって、主となるβ放射線源を含む、上述の望ましい属性を有して構成されるこのような装置は、放射線源からの放射線全体の1%以上が1cmを超える距離においてで吸収される、放射線パターンを生成する(例えば、標的の中心から1cm離れた距離における放射線エネルギー束は、放射線源全体の放射線エネルギー束の1%を超える)。表3を参照のこと。いくつかの実施形態では、本発明は、RBSは同位体を含み、同位体はβ放射性同位体を含み、放射線源全体の放射線エネルギー束の約1%は、標的の中心から1cmを超える距離において減衰する、装置を特徴とする。
【0172】
本発明をいずれの理論または機構に限定することなく、製造の容易さのために本発明に記載されるようにRBSを構成することが望ましく、そのため体に対して不活性である(生物学的適合性材料にRBSを封入するため)と考えられている。この方法で構成されるRBSは、放射線源全体の1%を超える放射線エネルギー束が、約1cmを超える距離まで広がるように、β線、x線またはβ線とx線の両方を含む放射線パターンを生成してもよい。
【0173】
表3は、このようなSr−90構成の放射性シードの非限定的な例についての一覧表である。
【0174】
【表3】

【0175】
いくつかの実施形態では、RBSは展開可能なウェハの形状である。いくつかの実施形態では、ウェハは、円柱、楕円、または同様の形状である。いくつかの実施形態では、ウェハは、展開されると広がる、同位体362が添加されるか、または表面がこの同位体で覆われた後に封入される、ニッケルチタニウム(NiTi)基体を含む。いくつかの実施形態では、ウェハは、長期間にわたって所定の位置に置かれる場合、生体不活性材料で封入される。
【0176】
いくつかの実施形態では、RBSはカニューレ100に挿入するためのものである。いくつかの実施形態では、RBSはカニューレ100の全長にわたって移動するように設計される。いくつかの実施形態では、標的に放射線を送達するために2若しくはそれ以上のRBSが使用される。例えば、いくつかの実施形態では、2つの放射性ディスク405またはシード形状のRBS400がカニューレ100に挿入される。
【0177】
メモリワイヤ
いくつかの実施形態では、本発明のカニューレ100はカニューレ100内に挿入されるガイドワイヤ350を含み、これによりガイドワイヤ350は、遠位部分110の先端部200に向かってRBSを押すように作用する。
【0178】
いくつかの実施形態では、カニューレ100はメモリワイヤ300を含む(図2)。いくつかの実施形態では、カニューレ100はガイドワイヤ350とメモリワイヤ300を含み、ガイドワイヤ350はメモリワイヤ300に接続されている。いくつかの実施形態では、カニューレ100はガイドワイヤ350とメモリワイヤ300を含み、ガイドワイヤ350とメモリワイヤ300とは同じワイヤである。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ350が前進または後退すると、メモリワイヤ300は、それぞれ、カニューレ100から突き出るかまたはカニューレ100内に引き込まれる。
【0179】
いくつかの実施形態では、メモリワイヤ300は、カニューレ100の先端部200に配置されると、ある形状を呈する。いくつかの実施形態では、メモリワイヤ300は、眼の後部に放射線を送達するために用いるのに望ましい形状をとる、材料を含む。当業者であれば治療に対して要求されるまたは望ましい形状と一致する形状を提供するために、メモリワイヤの多くの形状を利用できることは理解するであろう。いくつかの実施形態では、メモリワイヤ300は螺旋、平らな螺旋310、リボンなど、またはこれらの組み合わせ形状である(図2)。いくつかの実施形態では、放射線を送達するためのメモリワイヤ300の望ましい形状では、メモリワイヤ300をカニューレ100に挿入できないことがある。したがって、いくつかの実施形態では、メモリワイヤ300を直線状に伸ばして、カニューレ100に挿入できるようにする。いくつかの実施形態では、メモリワイヤ300は、カニューレ100から突き出ると、ある形状(例えば、螺旋)を形成し得る。いくつかの実施形態では、ある形状(例えば、平らな螺旋310)を有するメモリワイヤ300は、カニューレ100内に引き込まれると、直線状に伸びる。いくつかの実施形態では、メモリワイヤ300は、カニューレ100の遠位部分110の先端部200から突き出る。
【0180】
いくつかの実施形態では、メモリワイヤ300は、ニッケルチタニウム(NiTi)の合金を含む。しかし、当業者であれば、任意の金属または合金またはばね鋼などの他の材料、形状記憶ニッケルチタニウム、超弾性ニッケルチタニウム、プラスチックおよび他の金属などを用いて、メモリワイヤ300を形成できることは理解されるであろう。
【0181】
いくつかの実施形態では、メモリワイヤ300は、RBS(例えば、基体261、同位体362および/またはカプセル封入部)を含む。いくつかの実施形態では、メモリワイヤ300は、このワイヤ上に堆積され、さらに封入される、同位体362を有し、その結果、メモリワイヤ300はRBSを含む。いくつかの実施形態では、メモリワイヤ300の遠位端320はRBS(例えば、同位体362とカプセル封入部)を含み、例えば、遠位端320は同位体で覆われ、さらに封入される。いくつかの実施形態では、メモリワイヤ300の遠位端320はRBSを含み、メモリワイヤ300および/またはガイドワイヤ350の残りの部分は、近傍領域を放射線から遮蔽するように作用する。いくつかの実施形態では、RBSおよび/または同位体362は、薄い被覆としてメモリワイヤ300に付着される。いくつかの実施形態では、RBSは、固体部品としてメモリワイヤ300に付着される。
【0182】
いくつかの実施形態では、メモリワイヤ300はディスク405またはシード形状のRBS400と同様の役目をする。シード形状のRBS400は、球体形状、円柱形状または楕円体形状を有してもよい。シード400の形状は上述の形状に限定されない。いくつかの実施形態では、シード400の形状は、カニューレ100の説明に従って、カニューレ100を通すことができる面積および/または容積を最大にするように、寸法を決定される。例えば、いくつかの実施形態では、RBSは湾曲した円柱の形状である。いくつかの実施形態では、湾曲した円柱は、さらにカニューレ100の湾曲部を収容するために、丸みのある遠位端と丸みのある近位端を有する。
【0183】
いくつかの実施形態では、メモリワイヤ300は、カニューレ100の先端部200に向かって前進され、メモリの形状を形成することを可能にする。本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、このメモリの形状は、形成されると、RBSを所望の形状に集束させるため、有利であると考えられる。さらに、様々な形状を用いて、放射線の一定の濃度を達成および/または一定の露出範囲を達成してもよい。形状は特定の望ましい結果を達成するためにカスタマイズされてもよい。例えば、低い放射線強度は、遠位端を露出されたワイヤがほぼ直線である場合に送達され、より高い放射線強度は、遠位端を露出されたワイヤがコイル状に巻かれている場合に送達され、その領域では放射線のさらなる集束が生じる。
【0184】
いくつかの実施形態では、メモリワイヤ300は、リボンに類似した平らなワイヤである。いくつかの実施形態では、リボンは、一端だけを覆われ(例えば、同位体およびカプセル封入部で)、リボンがコイル状に巻かれると、放射性材料で覆われた端部はRBSを集中させ、放射性材料を含まない他端は、遮蔽体として作用する。
【0185】
いくつかの実施形態では、RBS(例えば、基体361および/またはカプセル封入部および同位体362)はガイドワイヤ350に取り付けられる。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ350への基体361および/またはカプセル封入部の取り付けは、様々な方法を用いて達成されてもよい。いくつかの実施形態では、基体361および/またはカプセル封入部は溶着により取り付けられる。いくつかの実施形態では、基体361および/またはカプセル封入部は、接着剤によりガイドワイヤ350に取り付けられる。いくつかの実施形態では、基体361および/またはカプセル封入部は、延長部を有するプラスチックスリーブ内に収容されることにより、ガイドワイヤ350に取り付けられ、これはプラスチックガイドワイヤ350を形成する。いくつかの実施形態では、これは熱収縮チューブなどの方法を使用して達成されてもよい。
【0186】
遠位チャンバおよびバルーン
いくつかの実施形態では、カニューレ100は遠位部分110の端部に配置された遠位チャンバ210を含む(図2参照)。遠位チャンバ210により、メモリワイヤ300を保護された環境内でコイル状に巻くことができる。いくつかの実施形態では、遠位チャンバ210はディスク形状である。いくつかの実施形態では、遠位チャンバ210は2次元の涙滴の形状である。
【0187】
いくつかの実施形態では、遠位チャンバ210は、先端部を丸くされ、カニューレ100の幅とほぼ同一の幅を有する。いくつかの実施形態では、遠位チャンバ210は中空である。遠位チャンバ210を設けることにより、メモリワイヤ300またはRBS(例えば、ディスク405またはシード形状のRBS400)をチャンバ内に挿入することができる。いくつかの実施形態では、メモリワイヤ300は遠位チャンバ210内でコイル状に巻かれる。いくつかの実施形態では、遠位チャンバ210の内部でメモリワイヤ300をコイル状に巻くことにより、RBSを集束させる。本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、RBSを集束させることはより迅速な手順を可能にすると考えられている。加えて、これは、より低放射能のRBSの使用を可能にする。いくつかの実施形態では、遠位チャンバ210は、メモリワイヤ300を制御された空間内に封入して維持し、メモリワイヤ300を遠位チャンバ210内でコイル状に巻くことを可能にし、メモリワイヤ300を周囲の構造体内で折れるかまたは構造体内に閉じ込められるという問題なしに、カニューレ100内に引き込むことを可能にする。いくつかの実施形態では、遠位チャンバ210は眼の後部に対して(例えば、強膜に対して)平らに置くように方向付けられる。
【0188】
いくつかの実施形態では、遠位チャンバ210はさらに、強膜をくぼませるように、遠位チャンバ210から突出する突出部(例えば、遠位チャンバのくぼんだ先端部)を含み、眼の後部の正確な位置に遠位チャンバ210を案内する役目をする。いくつかの実施形態では、遠位チャンバのくぼんだ先端部は遠位チャンバ210の前部に配置され、この前部は患者の眼と接触する部分である。いくつかの実施形態では、遠位チャンバのくぼんだ先端部により、内科医は、標的領域上のカニューレ100の先端部200の位置を識別できる。いくつかの実施形態では、遠位チャンバ210はさらに光源610を含む。
【0189】
いくつかの実施形態では、遠位チャンバ210は、金属、プラスチックなど、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、遠位チャンバ210は金属および/または合金(例えば、金、ステンレス鋼)の1若しくはそれ以上の層を含む。いくつかの実施形態では、遠位チャンバ210はRBSを遮蔽しない材料を含む。いくつかの実施形態では、遠位チャンバ210は、遠位チャンバ210の前部に配置された開口部500および/または窓510を含む。いくつかの実施形態では、遠位チャンバ210はさらに、遠位チャンバ210の後方および/または遠位チャンバ210の側方に配置された放射線遮蔽物を含む。本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、遠位チャンバ210の後方および/または側方に放射線遮蔽物を含む遠位チャンバ210は、放射線が標的領域以外(例えば、患者の視神経)の方向を照射することを防止するため、有利であると考えられている。
【0190】
いくつかの実施形態では、カニューレ100は、拡張可能な先端部(例えば、バルーン)を含む。いくつかの実施形態では、拡張可能な先端部は、気体または液体、例えば平衡塩類溶液(balanced salt solution:BSS)を使用して拡張される。いくつかの実施形態では、拡張可能な先端部は最初に拡張され、次にRBS(例えば、ディスク405またはシード形状のRBS400)またはメモリワイヤ300の放射性部分が導入される。本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、拡張可能な先端部は、カニューレ100を正確な位置に配置するためのガイドとして作用するため、有利であると考えられている。拡張可能な先端部は強膜235に凸部を生成するため、内科医は、カニューレ100の位置を確認することができる。拡張可能な先端部はさらに、放射線が標的領域(例えば、患者の眼)以外の領域を照射することを防止するために遮蔽物を含む。
【0191】
いくつかの実施形態では、拡張可能な先端部はバルーンである。いくつかの実施形態では、非拡張状態におけるバルーンは、被覆のようにカニューレ100の遠位部分110を覆う。
【0192】
線量
本明細書では、用語の「横方向」および/または「横方向に」は、線lに垂直な、任意の線の方向にあることを指し、線lは、点lおよびlを接続することから得られる線であり、lはRBSの中心に位置する点であり、lは標的の中心に位置する点である(図10および図12参照)。
【0193】
本明細書では、用語の「前方に」は、lからlを通り、l方向におよび/またはlに沿っていることを指す(図10参照)。
【0194】
本明細書では、用語の「ほぼ均一」は値のグループ(例えば、2若しくはそれ以上の値)を指し、グループ内の各値は、グループの最高値の少なくとも約90%以上である。例えば、標的の中心から約1mmまでの距離における放射線量がほぼ均一であるような実施形態は、標的の中心から最大約1mm離れた距離内の任意の放射線量が、その領域内の最高放射線量(例えば、標的の中心の全体放射線量)の約90%以上であることを意味する。例えば、標的の中心から最大約1mmの距離内の相対放射線量のグループは、99、97、94、100、92、92および91であると測定される場合、相対放射線量は、グループ内の各値はグループ内の最高値(100)の90%以上であるため、ほぼ均一である。
【0195】
本明細書では、用語の「等線量」(または処方等線量または治療等線量)は、放射線量がほぼ均一である、標的の中心を直接取り囲む領域を指す(図13参照)。
【0196】
本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、本発明の装置および方法は、標的領域全体(例えば、血管新生組織)にほぼ均一な線量または不均一な線量を送達することにより有効に作用すると考えられており、この場合、標的の中心部は、標的の境界領域における線量より約2.5倍高い線量を有する。
【0197】
いくつかの実施形態では、約16Gyの線量が標的に送達される。いくつかの実施形態では、約16Gy〜20Gyの線量が標的に送達される。いくつかの実施形態では、約20Gyの線量が標的に送達される。いくつかの実施形態では、約24Gyの線量が標的に送達される。いくつかの実施形態では、約20Gy〜24Gyの線量が標的に送達される。いくつかの実施形態では、約30Gyの線量が標的に送達される。いくつかの実施形態では、約24Gy〜30Gyの線量が標的に送達される。いくつかの実施形態では、約30Gy〜50Gyの線量が標的に送達される。いくつかの実施形態では、約50Gy〜100Gyの線量が標的に送達される。いくつかの実施形態では、約75Gyの線量が標的に送達される。
【0198】
線量率
医療放射線の分野では、高線量率の照射がより多くの合併症を引き起こす可能性があるため、高線量率の照射より低線量率の照射(例えば、約10Gy/分未満)が好まれることが法医学の事実として信じられている。例えば、化学出版物「Posttreatment Visual Acuity in Patients Treated with Episcleral Plaque Therapy for Choroidal Melanomas:Dose and Dose Rate Effects(脈絡膜メラノーマに対して強膜上プラーク療法を用いて治療された患者における治療後の視力:線量および線量率の影響)」(Jones,R.,Gore,E.,Mieler,W.,Murray,K.,Gillin,M.,Albano,K.,Erickson,B.,International Journal of Radiation Oncology Biology Physics,52巻,NO.4,989−995頁,2002)は、「111cGy/時(+/−11.1cGy/時)が黄斑の線量率が著しい視覚損失の50%の危険性に関連している」結果を報告し、それらを「黄斑に対するより高い線量率はより劣る治療後の視覚の結果に強く関連している」と結論付けている。さらに、米国小線源照射療法学会(American Brachytherapy Society:ABS)は、化学発行物「The American Brachytherapy Society Recommendations for Brachytherapy of Uveal Melanomas(ぶどう膜メラノーマの小線源照射療法に対する米国小線源照射療法学会の勧告)」(Nag,S.,Quivey,J.M.,Earle,J.D.,Followill,D.,Fontanesi,J.,およびFinger,P.T.,International Journal of Radiation Oncology Biology Physics,56巻,NO.2,544−555頁,2003)において、「ABSは、線量の計算に対してAAPM TG−43組成を使用して、線量率0.60〜1.05Gy/時において85Gyの最少の腫瘍I−125線量を推奨する」ことを提示している、勧告を発行した。その結果、治療の医療基準は低線量率を要求する。
【0199】
高線量率の使用から離れた教示にも関わらず、本発明の発明者らは驚いたことに、血管新生状態を治療するために、高線量率(すなわち約10Gy/分を超える線量率)を有利に使用できることを見出した。
【0200】
いくつかの実施形態では、標的に送達され/測定された線量率は、10Gy/分(例えば、約15Gy/分、20Gy/分)を超える。いくつかの実施形態では、標的に送達され/測定された線量率は約10Gy/分〜15Gy/分である。いくつかの実施形態では、標的に送達され/測定された線量率は約15Gy/分〜20Gy/分である。いくつかの実施形態では、標的に送達され/測定された線量率は約20Gy/分〜30Gy/分である。いくつかの実施形態では、標的に送達され/測定された線量率は約30Gy/分〜40Gy/分である。いくつかの実施形態では、標的に送達され/測定された線量率は約40Gy/分〜50Gy/分である。いくつかの実施形態では、標的に送達され/測定された線量率は約50Gy/分〜75Gy/分である。いくつかの実施形態では、標的に送達され/測定された線量率は約75Gy/分〜100Gy/分である。いくつかの実施形態では、標的に送達され/測定された線量率は約100Gy/分を超える。
【0201】
いくつかの実施形態では、約16Gyの照射線が、約1分間に約16Gy/分の線量率で送達される(標的において測定)。いくつかの実施形態では、約20Gyの照射線が、約1分間に約20Gy/分の線量率で送達される(標的において測定)。いくつかの実施形態では、約25Gyの照射線が、約2分間に約12Gy/分の線量率で送達される(標的において測定)。いくつかの実施形態では、約30Gyの照射線が、約3分間に約10Gy/分を超える線量率(例えば、11Gy/分)で送達される(標的において測定)。いくつかの実施形態では、約30Gyの照射線が、約2分間に約15Gy/分から16Gy/分の線量率で送達される(標的において測定されるように)。いくつかの実施形態では、約30Gyの照射線が、約1分間に約30Gy/分の線量率で送達される(標的において測定)。いくつかの実施形態では、約40Gyの照射線が、約2分間に約20Gy/分の線量率で送達される(標的において測定)。いくつかの実施形態では、約40Gyの照射線が、約1分間に約40Gy/分の線量率で送達される(標的において測定)。いくつかの実施形態では、約40Gyの照射線が、約48秒間に約50Gy/分の線量率で送達される(標的において測定)。いくつかの実施形態では、約50Gyの照射線が、約2分間に約25Gy/分の線量率で送達される(標的において測定)。いくつかの実施形態では、約50Gyの照射線が、約40秒間に約75Gy/分の線量率で送達される(標的において測定)。いくつかの実施形態では、約75Gyの照射線が、約1分間に約75Gy/分の線量率で送達される(標的において測定)。いくつかの実施形態では、約75Gyの照射線が、約3分間に約25Gy/分の線量率で送達される(標的において測定)。
【0202】
いくつかの実施形態では、標的は、約0.01秒〜約0.10秒の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は、約0.10秒〜約1.0秒の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は、約1.0秒〜約10秒の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は、約10秒〜約15秒の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は、約15秒〜約30秒の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は、約30秒〜約1分の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は、約1分〜約5分の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は、約5分〜約7分の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は、約7分〜約10分の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は、約10分〜約20分の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は、約20分〜約30分の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は、約30分〜約1時間の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は1時間を超えて放射線に露出される。
【0203】
腫瘍に対する線量、線量率
本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、黄斑変性症以外の症状(例えば、腫瘍)を治療または管理するためには、典型的な線量は、約10Gy〜約100Gyの範囲、例えば85Gyと予測されると考えられている。さらに、放射線が強膜を通過しなければならない、眼の外側から照射するためには、RBSは標的に約0.6Gy/分〜約100Gy/分の線量率を供給しなければならないと考えられている。いくつかの実施形態では、黄斑変性症以外の症状(例えば、腫瘍)を治療するために、RBSは標的に約10Gy/分〜約20Gy/分を超える線量率を供給する。いくつかの実施形態では、RBSは、標的に約20Gy/分より大きい線量率から40Gy/分までの線量率(例えば、36Gy/分)を供給する。いくつかの実施形態では、RBSは、標的に約40Gy/分より大きい線量率から60Gy/分までの線量率を供給する。いくつかの実施形態では、RBSは、標的に約60Gy/分より大きい線量率から80Gy/分までの線量率を供給する。いくつかの実施形態では、RBSは、標的に約80Gy/分より大きい線量率から100Gy/分までの線量率を提供する。いくつかの実施形態では、腫瘍に照射するためにユーザ(例えば、物理学者、内科医)により選択される線量率は、1若しくはそれ以上の特性(例えば、腫瘍/病変の高さ/厚さ)に依存する(例えば、腫瘍の厚さが、ユーザがどの線量率を使用するかを決定することもある)。
【0204】
本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、露出時間は実用的な理由から約15秒〜約10分の間でなければならないと考えられる。しかし、他の露出時間が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、標的は、約0.01秒〜約0.10秒の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は約0.10秒〜約1.0秒の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は約1.0秒〜約10秒の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は約10秒〜約15秒の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は約15秒〜約30秒の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は約30秒〜約1分秒の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は約1〜5分の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は約5分〜約7分の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は約7分〜約10分の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は約10分〜約20分の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は約20分〜約30分の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は約30分〜約1時間の間放射線に露出される。いくつかの実施形態では、標的は1時間を超えて放射線に露出される。
【0205】
放射領域、放射プロファイル
いくつかの実施形態では、本発明のカニューレ100および/またはRBSは、ほぼ均一な線量で小さな標的領域を治療するように設計され、また、先行技術と比較して、標的から横方向に測定して、より急激に放射線量が低下するように設計されている(図8参照)。先行技術は逆に、より大きい直径の標的上にほぼ均一な線量を照射することの利点、および放射線量が緩やかに低下(横方向に測定して)することの利点を教示している(例えば、米国特許第7,070,544B2号明細書)。
【0206】
いくつかの実施形態では、放射線量は、等線量の縁部(例えば、放射線量がほぼ均一である、標的の中心を直接取り囲む範囲)から横方向に測定して、急激に低下する(図8に示すように)。
【0207】
図11は、Sr−90から構成される1mmの放射線源の放射線量プロファイル(横方向に測定される)の非限定的な例を示している。いくつかの実施形態では、標的の中心から約0.5mmの距離における放射線量は、標的の中心軸上の線量より約10%少ない。いくつかの実施形態では、標的の中心から約1.0mmの距離における放射線量は、標的の中心軸上の線量より約30%少ない。いくつかの実施形態では、標的の中心から約2.0mmの距離における放射線量は、標的の中心軸上の線量より約66%少ない。いくつかの実施形態では、標的の中心から約3.0mmの距離における放射線量は、標的の中心軸上の線量より約84%少ない。いくつかの実施形態では、標的の中心から約4.0mmの距離における放射線量は、標的の中心軸上の線量より約93%少ない。
【0208】
いくつかの実施形態では、標的の中心軸における線量は、脈絡膜新生血管膜(choroidal neovascular membrane:CNVM)に送達される線量である。いくつかの実施形態では、放射線量は、すべての方向に(例えば、横方向、前方向)標的(例えば、脈絡膜新生血管膜)から離れて広がり、放射線量がほぼ均一に横方向に広がる距離は、最大約0.75mmである。いくつかの実施形態では、放射線量は、すべての方向に(例えば、横方向、前方向)標的から離れて広がり、放射線量がほぼ均一に横方向に広がる距離は、最大約1.5mmである。いくつかの実施形態では、放射線量は、すべての方向に(例えば、横方向、前方向)標的から離れて広がり、放射線量がほぼ均一に横方向に広がる距離は、最大約2.5mmである。
【0209】
いくつかの実施形態では、標的の中心から横方向に2mmの距離の放射線量は、標的の中心軸における放射線量の60%未満である。いくつかの実施形態では、標的の中心から横方向に3mmの距離の放射線量は、標的の中心における放射線量の25%未満である。いくつかの実施形態では、標的の中心から横方向に4mmの距離の放射線量は、標的の中心における放射線量の10%未満である。視神経の縁が標的に近接しているため、この線量プロファイルは先行技術の方法に比べて視神経に対してより優れた安全性を提供する。
【0210】
いくつかの実施形態では、放射線量は、標的の中心から最大約1.0mmの距離内で(横方向に測定して)ほぼ均一である。いくつかの実施形態では、放射線量は、標的の中心から約2.0mmの距離において(横方向に測定して)、標的の中心における放射線量の約25%未満に低下する。いくつかの実施形態では、放射線量は、標的の中心から約2.5mmの距離において(横方向に測定して)、標的の中心における放射線量の約10%未満に低下する。
【0211】
いくつかの実施形態では、放射線量は、標的の中心から最大約6.0mmの距離内で(横方向に測定して)ほぼ均一である。いくつかの実施形態では、放射線量は、標的の中心から約12.0mmの距離において(横方向に測定して)、標的の中心における放射線量の約25%未満に低下する。いくつかの実施形態では、放射線量は、標的の中心から約15.0mmの距離において(横方向に測定して)、標的の中心における放射線量の約10%未満に低下する。
【0212】
いくつかの実施形態では、放射線量は、標的の中心から約10.0mmまでの距離内で(横方向に測定して)ほぼ均一である。いくつかの実施形態では、放射線量は、標的の中心から約20.0mmの距離において(横方向に測定して)、標的の中心における放射線量の約25%未満に低下する。いくつかの実施形態では、放射線量は、標的の中心から約25.0mmの距離において(横方向に測定して)、標的の中心における放射線量の約10%未満に低下する。
【0213】
いくつかの実施形態では、標的の中心における放射線量(例えば、脈絡膜新生血管膜の中心における放射線量)は、黄斑全体(約1.5mm〜6.0mmの直径)に横方向に広がらない。いくつかの実施形態では、本発明の装置はまた、より大きな領域を治療でき、さらに、先行技術の装置と比較して、より急激な放射線量の減衰を有する。
【0214】
短い送達時間の利点
本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、放射線のより高速な送達時間は、内科医が最小限の疲労で所望の位置に器具を保持することを可能にし、患者が処置を受ける時間を最小にするため、有利であると考えられる。より低い線量率およびより長い送達時間は、内科医に疲労を引き起こし、あるいは、標的からのカニューレの偶発的な移動の原因になる。さらに、より長い送達時間は、内科医の手あるいは患者の眼または頭が動く機会を増加させる(局部麻酔が採用される場合、患者が処置中に目覚める)。
【0215】
より急速な送達時間の別の利点は、短期間の局部麻酔(例えば、リドカイン)、および/または全身性誘導剤または鎮痛剤(例えば、メトヘキシタールナトリウム、ミダゾラム)を採用可能になることである。短期間の麻酔を使用すると、治療後の機能(例えば、運動性、視覚)のより速い回復をもたらす。短時間で作用する麻酔は、不注意な中枢神経系への注射の場合における呼吸障害をより短時間で終わらせる。
【0216】
シャッタシステム
いくつかの実施形態では、カニューレ100は、カニューレ100の先端部200の近くまたは先端部200に配置される、シャッタシステムを含む。シャッタシステムはカメラのシャッタシステムと類似であってもよい。いくつかの実施形態では、シャッタシステムを用いて、約0.01秒の間に最大約200,000Gy/分の線量率を送達する。本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、シャッタシステムは短い露出時間を可能にすることにより、手、眼または頭の動きがカニューレ100を標的から離れるように移動させる不安なく、放射線量を標的に送達できるようになるため、有利であると考えられている。
【0217】
シャッタシステムの代替として、いくつかの実施形態では、超高速の後負荷システム(afterloaded system)機構を使用して、高放射線量を短時間で送達でき、この場合、RBSは短い休止時間で治療位置に移動され、治療位置から後退される。
【0218】
本発明は、ここに例により説明されており、様々な変更が当業者によりなされてもよい。例えば、本発明のカニューレ100は、一般的に黄斑の上方の好ましいテノン下嚢放射線送達に関連して上述されているが、カニューレ100を用いて、テノン嚢230の下方で、および一般的に黄斑以外の網膜の一部の上方で、強膜235の外面上に直接放射線を送達してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、本発明の装置(例えば、カニューレ100)を用いて、結膜の下方およびテノン嚢230の上方から放射線を送達してもよい。いくつかの実施形態では、装置を用いて、眼の前方半分に放射線を送達してもよい。いくつかの実施形態では、装置を用いて、結膜の上方から放射線を送達してもよい。別の例では、カニューレの遠位部分の弧の長さおよび/または曲率半径を修正して、テノン嚢230または強膜235の内部に、望ましい場合は、一般的に黄斑または網膜の別の部分の上方に放射線を送達してもよい。
【0219】
装置および方法の原理の追加説明
本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、後部放射線手法を特徴とする本発明の方法は、いくつかの理由から、網膜前部手法、または硝子体内装置910を使用する硝子体内放射線手法のどちらかを採用する方法より優れていると考えられている(図9参照、米国特許第7,223,225B2号明細書参照)。
【0220】
例えば、網膜前部手法(例えば、網膜の前方側から標的に向かって後方に放射線を導くことにより、標的領域を照射すること)は、眼の前方構造体(例えば、角膜、虹彩、毛様体、水晶体)を照射し、眼窩周囲の脂肪、骨および脳などの、病変より深い組織を照射する可能性がある。硝子体内放射線手法(例えば、硝子体腔内からの放射線を、眼の前方側から後方に標的まで導くことにより標的領域を照射すること)はまた、病変(例えば、眼窩周囲の脂肪、骨および脳)およびまた前方向に、水晶体、毛様体および角膜より深い組織に照射する可能性がある。本発明の方法により、患者は、眼の後方のおよび眼より深い組織にイオン化放射線を受けないようになると考えられている。本発明によると、放射線は前方向に向けられ(例えば、放射線は眼の後方側から前方向に標的にまで導かれる)、後部で遮蔽され、したがって、過剰な放射線は主として硝子体ゲルに入り、周辺組織(例えば、脂肪、骨、脳)を避ける。
【0221】
治療の間、標的から少し離れた固定位置にカニューレ100を維持することにより、エラーの可能性が低減し、線量送達の予測精度が増す。逆に、硝子体腔に装置を挿入することにより放射線治療を達成すること(例えば、硝子体内手法)は、内科医が、広い硝子体腔内の標的から一定の距離だけ離れた固定位置に装置を保持することを要求する(図9参照)。内科医が、任意の時間長さにわたってその位置を正確に保持することが困難になることもある。さらに、一般的に、内科医/外科医が、プローブと網膜の間の正確な距離を知ることは不可能であり、距離を単に推定できるだけである。眼の後方から治療を実行することにより、介在する構造体(例えば、強膜235)が、装置を支持し、カニューレ100を所定の位置に保持することに役立ち、固定スペーサとして作用するので、内科医は標的から離れた正確な固定位置に装置を保持することができる。これは幾何学的正確さおよび線量の精度の両方を向上させる。表4に示すように、放射線量は深さ(例えば、lに沿って測定された放射線源からの距離)に依存して大きく変化する。例えば、RBS(例えば、プローブ)間の距離が標的から離れて0.1mmから0.5mmに移されると、放射線量は約25から50%に減少する。
【0222】
【表4】

【0223】
後部手法はまた、硝子体内手法より簡単で時間が短くなる。後部手法は硝子体内手法より低侵襲的であり、往々にして白内障発生の原因となる、硝子体内手法(例えば、硝子体茎切除術、硝子体内ステロイド注射またはVEGF注射)の副作用、ならびに角膜への物理的損傷または眼内感染症の可能性を回避する。後部手法は患者に対してより安全である。
【0224】
本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、本発明の装置は、機械的により単純であり、故障を発生しにくいので、先行技術の他の後部放射線装置より有利であると考えられている。いくつかの実施形態では、本発明の装置は1回使用されるだけである。
【0225】
本発明をいずれかの理論または機構に限定することなく、本発明の特有の放射線プロファイルは、先行技術より有利であると考えられている。上述のように、および図8に示すように、上述の回転対称面の概念を適切に採用する、本発明の装置および方法は、ほぼ均一な線量領域の縁部からより明確に区別される線量放射線プロファイルを提供する。他の後部装置はこの特有の放射線プロファイルを提供しない。本発明の装置および方法が有利である理由は、標的(例えば、中央の黄斑構造体に影響を与える血管新生腫瘍)への放射線の治療線量を送達すると同時に、放射線量が先行技術より急激に減衰することを可能にし、これにより、放射線への視神経および/または水晶体の露出を防止することに役立つからである。さらに、横方向の放射線量のより急激な減衰は、放射線の網膜障害、網膜炎、脈管炎、動脈および/または静脈血栓症、視神経症および場合によってはhyatrogenic新生物形成の危険性および程度を最小にする。
【0226】
いくつかの実施形態では、カニューレ100は放射線を後で装着される。いくつかの実施形態では、RBSは、カニューレ100の先端部200の開口部500または窓510に向かって前方に押される。いくつかの実施形態では、本発明の装置は、着脱可能な遮蔽またはシャッタを含まない。
【0227】
本発明の治療方法は、例えば、湿潤加齢黄斑変性症を治療するために、単独または薬剤との組み合わせで使用されてもよい。本発明と組み合わせて使用され得る薬剤の非限定的な例は、放射線増感剤、Lucentis(商標)またはAvastin(商標)などの抗VEGF(血管内皮増殖因子)剤、および/または、ステロイド、血管破裂剤療法などの他の相乗作用的な薬物、ならびに薬理学的および装置を利用する他の抗脈管形成療法を含む。
【実施例1】
【0228】
外科技術
以下の例では、本発明のカニューレの使用に対する外科的処置を説明する。眼は短時間作用麻酔薬(例えば、リドカイン)の眼球周囲または球後注射を用いて麻酔される。上外側の結膜におけるボタン穴状切開の後に、下にあるテノン嚢230のボタン穴状切開が実行される。
【0229】
遠位チャンバ210を含むカニューレ100が使用される場合、小さな結膜の環状切除術(遠位チャンバの直径の大きさ)は、上外側の四半分において実行される。次に、同じ大きさのテノン切開が、テノン下の空間にアクセスするために同じ領域において実行される。
【0230】
次に、平衡塩類溶液および/またはリドカインがテノン下の空間に注入され、強膜235からテノン嚢230を緩やかに分離する。
【0231】
次に、先端部200が眼の後極に達するまで、カニューレ100はテノン下の空間に挿入され、後方に摺動される。いくつかの実施形態では、カニューレ100はロケータ160を含む。ロケータ160は、正しい位置に到達したときを示す。いくつかの実施形態では、カニューレ100は、くぼみ先端部600として作用する突出部を含む。外科医は次に、くぼみ先端部600を観察してもよく、または間接検眼鏡検査を用いて、開いた瞳孔を通してカニューレ100により引き起こされる網膜におけるくぼみを簡単に観察してもよい。くぼみにより、放射線が下にある脈絡膜新生血管膜上に正しく存在しないことが示されると、外科医は、手術用顕微鏡を用いて(または用いずに)、後極を直接視覚化しながら、カニューレ100の位置を調整し得る。
【0232】
いくつかの実施形態では、カニューレ100は、カニューレ100の先端部210近くまたはカニューレ100の全長に沿って、パイロット光源610を含む。光は光透過物を通して見ることもでき、外科医をカニューレ100の正確な位置に案内するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、光源610からの光は光ファイバによりまたはLEDの配置により、カニューレ100を通して導かれる。
【0233】
いくつかの実施形態では、カニューレ100が所定の位置に達すると、次に、RBS(例えば、ディスク405またはシード形状のRBS400)がカニューレ100の遠位部分110の方向に押される。放射線は、強膜235に隣接するカニューレ100の側面/底面に位置する、開口部500または窓510を通してカニューレ100から外に漏れ出す。いくつかの実施形態では、メモリワイヤ300の遠位端320はRBSを含み、メモリワイヤ300の放射性部分は、カニューレ100の遠位部分110の先端部200方向に押される。いくつかの実施形態では、メモリワイヤ300は遠位チャンバ210またはバルーン内に押し込まれる。
【0234】
RBS(例えば、ディスク405)は所望の期間、所定の位置にとどまる。予定の治療時間が経過すると、RBS(例えば、ディスク405、メモリワイヤ300)は次に、元の位置に引き戻される。カニューレ100は次にテノン下の空間から除去される。結膜は次に、両極性焼灼器を用いて簡単に再接合されるか、または1つ、2つ若しくはそれ以上の断続する再吸収可能な縫合糸を用いて閉じられてもよい。
【0235】
ボタン穴状の結膜/テノン切開は、本来の結膜/テノン切開より優れたいくつかの利点を有する。より低侵襲的で、より迅速で、閉じることがより容易であり、簡単な再接合に対する適正が高く、縫合糸を必要とする可能性がより低く、結膜の傷の発生がより少ない(患者が緑内障の手術を受けた後、または受ける予定の場合、重要であり得る)。
【実施例2】
【0236】
標的の縁部における放射線の急激な減衰
カニューレが適切な位置に置かれた後、RBSが網膜上の標的(例えば、黄斑の病変)に一致する、眼球上の強膜領域に導入される。RBSの放射性核種はSr−90であり、RBSは回転対称露出面(例えば、円形)を有する(図14E参照)。RBSの露出面は約3mmの直径を有する。標的は直径3mmであり、RBSの露出面から約1.5mm離れている。
【0237】
図22に示すように、露出面から1.5mm離れている標的は、縁部における放射線の強度が著しく減衰する、すなわち、標的の縁部において急激に減衰する、放射線プロファイルを有する。遮蔽物(深部壁、図21参照)が採用されると、縁部における放射線の減衰は、遮蔽物がない場合と比較するとより急激である。
【0238】
この実施例では、標的の直径と露出面の直径との比は約1:1である。
【0239】
本発明の様々な変更形態は、本明細書に記載した内容に加えて、上述の説明から当業者には明らかであろう。このような変更形態もまた、添付の特許請求の範囲内に入るものとする。本願で挙げられた各引用文献は、全内容がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0240】
本発明の好ましい実施形態を示し、説明してきたが、当業者には、添付の特許請求の範囲を超えない変更が可能であることが容易に分かるであろう。したがって、本発明の範囲は単に、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。
【0241】
本明細書で参照される特定の要素に対応する符号の一覧を下記に示す。
【符号の説明】
【0242】
100 固定形状カニューレ
110 遠位部分
112 遠位部分の遠位領域
113 遠位部分の中間領域
120 近位部分
130 変曲点
140 ハンドル
150 コネクタ
160 ロケータ
171 カニューレの内径
172 カニューレの外径
173 近位部分の内部半径
180 遠位部分の曲率半径
181 遠位部分の曲線により画定される円/楕円
182 遠位部分の曲線により画定される円/楕円の半径
185 遠位部分の弧の長さ
190 近位部分の曲率半径
191 近位部分の曲線により画定される円/楕円
192 近位部分の曲線により画定される円/楕円の半径
195 近位部分の弧の長さ
200 先端部
210 遠位チャンバ(ディスク形状)
220 ユーザの視軸
230 テノン嚢
235 強膜
300 メモリワイヤ
310 平らな螺旋部
320 ワイヤの遠位端
350 ガイドワイヤ
361 基体
362 同位体(または「放射性核種」)
363 基体の底面
364 放射線シェーパの窓
366 放射線シェーパ
400 シード形状のRBS
405 ディスク
406 ディスクの高さ
407 ディスクの直径
410 ワイヤの放射線源部分
420 線l
425 角度θ
431 平面P
432 平面P
450 楕円体
500 開口部
510 窓
520 開口部/窓の遠位端
600 くぼみ先端部
610 光源
800 ワイヤなしプランジャ
810 親指リング
820 目盛り付きダイヤル
830 スライダ
900 放射線遮蔽ピッグ
910 硝子体内放射線手法のために使用される装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の眼の標的に放射線治療をする方法であって、
前記患者の眼のテノン嚢の下の潜在空隙にカニューレを挿入する工程を含み、
前記カニューレは放射性核種小線源照射療法の放射線源(radionuclide brachytherapy source:RBS)を治療位置に有し、当該治療位置において、前記RBSが前記標的上に配置され、当該RBSが前標的に放射線治療するものである、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記テノン嚢は前記カニューレの挿入を誘導し、前記カニューレの位置決めを補助するものである。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記標的は眼の硝子体側上に位置するものである。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記RBSは前記カニューレが挿入される前にカニューレ内に装着されるものである。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記RBSは前記カニューレが挿入された後にカニューレ内に装着されるものである。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、前記カニューレは固定形状のカニューレである。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記カニューレは、内視鏡を含む可撓性カニューレである。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記標的は眼の網膜に関連する病変である。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、前記病変は血管新生病変である。
【請求項10】
請求項8記載の方法において、前記病変は良性腫瘍または悪性腫瘍である。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、前記RBSは標的に対して約0.1〜1Gy/分の線量率を提供するものである。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、前記RBSは標的に対して約1〜10Gy/分の線量率を提供するものである。
【請求項13】
請求項1記載の方法において、前記RBSは標的に対して約10〜20Gy/分の線量率を提供するものである。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、前記RBSは標的に対して約20〜30Gy/分の線量率を提供するものである。
【請求項15】
請求項1記載の方法において、前記RBSは標的に対して約30〜40Gy/分の線量率を提供するものである。
【請求項16】
請求項1記載の方法において、前記RBSは標的に対して約40〜50Gy/分の線量率を提供するものである。
【請求項17】
請求項1記載の方法において、前記RBSは標的に対して約50〜75Gy/分の間の線量率を提供するものである。
【請求項18】
請求項1記載の方法において、前記RBSは標的に対して約75〜100Gy/分の線量率を提供するものである。
【請求項19】
請求項1記載の方法において、前記カニューレは眼の縁郭に挿入されるものである。
【請求項20】
請求項1記載の方法において、前記カニューレは眼の縁郭よりも後方の箇所に挿入されるものである。
【請求項21】
請求項1記載の方法において、前記カニューレは眼の縁郭と円蓋の間の箇所に挿入されるものである。
【請求項22】
患者の眼の標的に照射する方法であって、
(a)患者の眼のテノン嚢の下の潜在的な空間にカニューレを挿入する工程と、
(b)前記カニューレの遠位部分を前記標的の後方の強膜上、または強膜の近くに配置する工程と、
(c)RBSを前進させるための手段を介して、前記RBSを前記カニューレを通して前記遠位部分の治療位置まで前進させる工程と、
(d)前記標的を前記RBSに露出する工程と
を含む方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法において、前記カニューレは眼の縁郭に挿入されるものである。
【請求項24】
請求項22記載の方法において、前記カニューレは眼の縁郭よりも後方の箇所に挿入されるものである。
【請求項25】
請求項22記載の方法において、前記カニューレは眼の縁郭と円蓋との間の箇所に挿入されるものである。
【請求項26】
請求項22記載の方法において、前記カニューレの前記遠位部分は、眼球の一部の周りに配置されるように設計され、遠位部分は、約9〜15mmの曲率半径と約25〜35mmの弧の長さを有し、
前記カニューレは、カニューレの内側断面半径に近い値から約1メートルまでの曲率半径を有する近位部分と、前記遠位部分と近位部分とが相互につながる位置にある変曲点とをさらに含み、
前記変曲点において眼球に接する線lと前記近位部分との間の角度θは、約0°より大きく、約180°までの間にあるものである。
【請求項27】
請求項1記載の方法において、前記カニューレは先細り形状であり、挿入した場合にテノン嚢内に留まるカニューレの部分により大きな周囲面積を有するものである。
【請求項28】
中空の固定形状カニューレであって、
(a)眼球の一部の周りに配置するための遠位部分であって、約9〜15mmの曲率半径と約25〜35mmの弧の長さを有する、遠位部分と、
(b)前記カニューレの内側断面半径に近い値から約1メートルまでの曲率半径を有する、近位部分と、
(c)前記遠位部分と近位部分が相互につながる位置にある変曲点と
を含み、
前記変曲点において眼球に接する線lと前記近位部分との間の角度θは、約0°より大きく、約180°までの間にある、中空の固定形状カニューレ。
【請求項29】
請求項28記載のカニューレにおいて、前記遠位部分と近位部分の両方は平面P内にあるものである。
【請求項30】
請求項28記載のカニューレにおいて、前記遠位部分は平面P内にあり、前記近位部分は平面P内にあるものである。
【請求項31】
請求項28記載のカニューレにおいて、前記遠位部分は、約12mmの曲率半径と約30mmの弧の長さを有するものである。
【請求項32】
請求項28記載のカニューレにおいて、前記遠位部分の曲率半径は一定である。
【請求項33】
請求項28記載のカニューレにおいて、前記遠位部分の曲率半径は可変である。
【請求項34】
請求項28記載のカニューレにおいて、このカニューレは、全体的に丸い外側断面形状を有するものである。
【請求項35】
請求項28記載のカニューレにおいて、このカニューレは、楕円形、長方形、卵形または台形の外側断面形状を有するものである。
【請求項36】
請求項28記載のカニューレにおいて、このカニューレは、RBSが滑り抜けできるように構成された内側断面形状を有するものである。
【請求項37】
請求項28記載のカニューレにおいて、このカニューレは、全体的に丸い内側断面形状を有するものである。
【請求項38】
請求項28記載のカニューレにおいて、このカニューレは、楕円形、長方形、卵形または台形の内側断面形状を有するものである。
【請求項39】
請求項28記載のカニューレにおいて、このカニューレは、カニューレの近位部分に接続されたハンドルをさらに含むものである。
【請求項40】
請求項39記載のカニューレにおいて、前記ハンドルはRBSを遮蔽するための放射線遮蔽ピッグを含むものである。
【請求項41】
請求項28記載のカニューレにおいて、RBSを前進させる手段が前記カニューレ内に配置され、前記カニューレは前記RBSを眼の後部(back)に送達するためのものである。
【請求項42】
請求項41記載のカニューレにおいて、RBSを前記遠位部分の先端部の方向に前進させるための手段は、ガイドワイヤ、ワイヤなしプランジャ、空気圧機構、真空機構、流体を使用する静水圧機構またはこれらの組み合わせから成る群から選択されるものである。
【請求項43】
請求項28記載のカニューレにおいて、このカニューレは、前記遠位部分の側面に位置する窓を有し、前記側面は強膜に隣接し、前記窓は放射線透過材料を含むものである。
【請求項44】
請求項28記載のカニューレにおいて、このカニューレは、前記遠位部分上に配置された突出部をさらに含み、前記突出部は眼の縁郭上に置かれるためのものである。
【請求項45】
固定形状のカニューレであって、
(a)眼球の一部の周りに配置するための遠位部分であって、約9〜15mmの曲率半径と約25〜35mmの弧の長さを有する遠位部分と、
(b)カニューレの内側断面半径に近い値から約1メートルの間の曲率半径を有する、近位部分と、
(c)前記遠位部分と近位部分が相互につながる位置にある変曲点と
を含み、
前記遠位部分の遠位端が標的の近傍内に位置決めされると、前記近位部分は視軸から離れるように曲げられ、ユーザが目で直接見ることができる、固定形状のカニューレ。
【請求項46】
請求項28記載のカニューレにおいて、前記カニューレの前記遠位部分の近位端は、前記近位端の円周が前記遠位部分の遠位端の円周より大きくなるように先細り形状とされているものである。
【請求項47】
固定形状を有するカニューレであって、
(a)眼球の一部の周りに配置するための遠位部分と、
(b)変曲点を介して前記遠位部分につながる近位部分と
を含み、
前記遠位部分は、楕円体上に位置する2つの点の接続から形成される弧の形を有し、前記楕円体は、x軸寸法「a」、y軸寸法「b」、およびz軸寸法「c」を有し、「a」は約0〜1メートルであり、「b」は約0〜1メートルであり、「c」は約0〜1メートルであり、
前記近位部分は、楕円体上の2つの点の接続から形成される弧の形を有し、前記楕円体は、x軸寸法「d」、y軸寸法「e」、およびz軸寸法「f」を有し、「d」は約0〜1メートルであり、「e」は約0〜1メートルであり、「f」は約0〜1メートルであり、
前記変曲点において眼球に接する線lと前記近位部分との間の角度θは、約0°より大きく、約180°までの間にある、
カニューレ。
【請求項48】
請求項47記載のカニューレにおいて、「a」は約0〜50mmであり、「b」は約0〜50mmであり、「c」は約0〜50mmである。
【請求項49】
請求項47記載のカニューレにおいて、「d」は約0〜50mmであり、「e」は約0〜50mmであり、「f」は約0〜50mmである。
【請求項50】
請求項47記載のカニューレにおいて、前記変曲点では、前記遠位部分と近位部分の間の緩やかな湾曲が形成されているものである。
【請求項51】
請求項47記載のカニューレにおいて、前記遠位部分は約25〜35mmの弧の長さを有するものである。
【請求項52】
請求項47記載のカニューレにおいて、前記近位部分は約10〜75mmの弧の長さを有するものである。
【請求項53】
眼に放射線を送達する方法であって、
強膜の外側面から眼の硝子体側上の標的に照射する工程を含み、
前記標的は約10Gy/分を超える線量率を受けるものである、方法。
【請求項54】
請求項53記載の方法において、前記中空のカニューレは前記標的に相当する強膜領域にRBSを送達するために使用されるものであり、
前記カニューレは眼のテノン嚢と強膜の間に挿入されるものであって、固定形状を有しており、
前記カニューレは眼球の一部上に配置するための遠位部分と、変曲点を介して前記遠位部分につながる近位部分とを含むものである。
【請求項55】
請求項53記載の方法において、前記RBSは標的に約11Gy/分を超える線量率を提供するものである。
【請求項56】
請求項53記載の方法において、前記RBSは標的に約12Gy/分を超える線量率を提供するものである。
【請求項57】
請求項53記載の方法において、前記RBSは標的に約13Gy/分を超える線量率を提供するものである。
【請求項58】
請求項53記載の方法において、前記RBSは標的に約14Gy/分を超える線量率を提供するものである。
【請求項59】
請求項53記載の方法において、前記RBSは標的に約15Gy/分を超える線量率を提供するものである。
【請求項60】
請求項53記載の方法において、前記RBSは標的に約15〜30Gy/分の線量率を提供するものである。
【請求項61】
請求項53記載の方法において、前記RBSは標的に約30〜60Gy/分の線量率を提供するものである。
【請求項62】
請求項53記載の方法において、前記RBSは標的に約60〜100Gy/分の線量率を提供するものである。
【請求項63】
請求項53記載の方法において、前記標的は血管新生組織である。
【請求項64】
請求項53記載の方法において、前記標的は黄斑である。
【請求項65】
請求項53記載の方法において、前記標的は良性腫瘍または悪性腫瘍である。
【請求項66】
患者の眼の網膜に関連する標的に照射する方法であって、
前記標的に相当する眼の強膜部分に、または強膜部分の近くに放射性核種小線源照射療法放射線源(「RBS」)を配置する工程を含み、
前記RBSは強膜を介して前記標的に照射し、前記RBSからの1%を超える放射線がRBSから1cmの距離に、または1cmの距離を超えて、組織上に蓄積されるものである、方法。
【請求項67】
請求項66記載の方法において、前記RBSからの放射線の約1%〜約15%がRBSから1cmの距離に、または1cmの距離を超えて、組織上に蓄積されるものである。
【請求項68】
請求項66記載の方法において、前記RBSからの放射線の約99%未満がRBSから1cm未満の距離において、組織上に蓄積されるものである。
【請求項69】
患者の眼の標的に照射する方法であって、
患者の眼のテノン嚢と強膜との間にカニューレを挿入する工程を含み、
前記カニューレは遠位端に放射性核種小線源照射療法放射線源(「RBS」)を有し、前記RBSは前記標的に相当する眼の強膜部分の上に位置決めされ、前記RBSは強膜を介して前記標的に照射し、
前記標的は約10Gy/分を超える線量率を受け、
前記カニューレは固定形状のカニューレであり、
前記RBSは前記カニューレが挿入された後にカニューレ内に装着される、方法。
【請求項70】
請求項69記載の方法において、前記標的は眼の網膜に関連する病変である。
【請求項71】
請求項70記載の方法において、前記病変は血管新生病変である。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2A−2I】
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【図2J−2M】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図14F】
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【図14G】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B−16D】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2011−508654(P2011−508654A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541598(P2010−541598)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/030343
【国際公開番号】WO2009/089288
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(510166825)
【出願人】(510166836)
【出願人】(510166847)
【出願人】(510166858)
【出願人】(510166869)
【Fターム(参考)】