説明

眼用アプリケーション用ナノハイブリッドポリマー

本発明は、特に眼用アプリケーション(ophthalmic applications)及びその生成と使用の方法に有用な新規材料に関する。とりわけ、本発明は眼内レンズ、コンタクトレンズ及び他の眼用インプラントの生産における使用に特に適した、比較的柔軟で、光学的に透明な、折りたたみ可能である高屈折率材料、及びその製造と使用の方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の参照)
本願は、2004年12月7日提出の米国出願番号11/005,820に対して優先権を主張する。
(技術分野)
本発明は、特に眼用アプリケーション(ophthalmic applications)及びその製造と使用の方法に有用な新規材料に関する。とりわけ、本発明は眼内レンズ、コンタクトレンズ及び他の眼用インプラントの生産における使用に特に適した、比較的柔軟で、光学的に透明な、折りたたみ可能である高屈折率材料、及びその製造と使用の方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
1940年代以来、眼内レンズ(IOL)の形状の光学デバイスが、罹病又は損傷した天然接眼レンズの代わりとして利用されてきた。殆どの場合、例えば白内障の場合、罹病又は損傷した天然レンズを手術で取り去る際、眼内レンズは眼内に移植される。数十年間、上記の眼内レンズを作るために好ましい材料は、硬質なガラス状のポリマーであるポリ(メチルメタクリレート)であった。
【0003】
ここ数年、より柔軟で、より可撓性のある眼内レンズが、圧縮、折りたたみ、回転若しくは変形できる能力を理由に人気を得ている。このようなより柔軟な眼内レンズは、眼の角膜の切開を通して挿入する前に変形しうる。眼内レンズを眼内に挿入すると、眼内レンズは当該柔軟な材料の記憶特性(memory characteristics)により、元の、折りたたむ前の形に戻る。前述のより柔軟で、より可撓性のある眼内レンズは4.0mm未満、すなわちより硬質な眼内レンズを移植するために必要な5.5〜8.0mmよりずっと小さな切開を通して、眼内に移植することができる。より大きな切開は、より硬質な眼内レンズに必要である。なぜなら、当該レンズは、不撓性の眼内レンズの光学部の直径より若干大きい角膜の切開を通して挿入する必要があるためである。従って、さらに大きな切開が、乱視の誘発など術後合併症発生の増加に関連すると折に触れて判明したため、市場においてより硬質な眼内レンズの人気は停滞した。
【0004】
小切開白内障手術における最近の進歩に伴い、人工眼内レンズにおける使用に適した、柔軟で、折りたためるポリマー材料の開発が更に重要視されてきた。一般に、これらの材料はハイドロゲル、シリコーン及び低ガラス転移温度アクリルの三つのカテゴリーのうち一つに当てはまる。
【0005】
一般に、高含水率のハイドロゲル材料は比較的低屈折率を有しているため、最小の切開サイズに関しては他の材料に比べ望ましくない。低屈折率の材料は、所定の屈折力を得るため、より厚い眼内レンズの光学部を必要とする。シリコーン材料は高含水率のハイドロゲルより高屈折率を有しうるが、眼内に折りたたんだ状態で配置した後、あまりに素速く広がる傾向がある。折りたたんだレンズがあまり素速く広がると、角膜内皮を潜在的に傷つけ、及び/又は天然水晶体嚢及び付随する毛様体小帯(associated zonules)を破る可能性がある。低ガラス転移温度アクリル材料は、典型的に高屈折率を有し、例えば水晶体嚢などに挿入される場合、シリコーン材料に比べよりゆっくり、より制御可能に広がるため望ましい。残念なことに、初めに(initially)殆ど又は全く水分を含まない低ガラス転移温度アクリル材料は、生体内で嚢の水分(pockets of water)を吸収し、光反射又は“グリスニング(glistening)”の原因となる。さらに、アクリルポリマーの温度感受性のため、理想的な折りたたみ及び広がりの特性を得ることは困難である。
【0006】
1996年1月2日に登録された米国特許番号5,480,950は、眼内レンズの製造における使用のため少なくとも57%の水和平衡含水率を有する、高屈折率のハイドロゲル材料を教示している。当該高屈折率のハイドロゲル材料は、90%までの平衡含水率及び乾燥状態において1,560〜1,594の屈折率を有するN-ビニルピロリジン、4-ビニルピリミジン及びビニルピリジンの混合物から調製された架橋ポリマーである。記載された眼内レンズは水和状態で移植されない。むしろ、当該眼内レンズは乾燥し、折りたたみ、伸ばした(elongated)状態で移植され、その場で水和する。眼内で使用される際の、当該水和状態における屈折率は提供されていない。
米国特許出願公開2002/0049290は、高屈折率(RI)の眼用ハイドロゲル材料に関する。
1997年12月2日登録の米国特許番号5,693,095は、高屈折率かつ低含水率の眼内レンズ材料について教示している。特にこの特許で教示されている材料は、少なくとも150%の伸びを有するアクリル材料である。上記の伸びの特徴を有する材料から製造される眼内レンズは、折りたたんだ際に亀裂が入ったり、破れたり裂けたりしない。しかし、上記の低含水率のアクリル材料は、眼内レンズデバイスとして製造され使用される際、他の材料に比べて生体適合性が劣ることが判明している。
【0007】
過去10年の間、疎水性ポリマーが眼内レンズ製造において多少の成功をもって使用されていた。眼組織はこのタイプのポリマーを、優れた物理的性質、及び眼環境において良好な生体適合性を有するという理由で受け入れていた。しかしながら、通常の疎水性ポリマーから生成された現在の眼内レンズは、眼液において光学的安定性に乏しく(例えばグリスニング、 光学的人工産物)、また低屈折指数であるという欠点が時に見受けられる。疎水性ポリマーの大部分(bulk)における不要な粒子及び堆積物の形成は、制御できない水分吸着及びその結果として起こる相の分離に起因する。高いRI(>1.51)のコポリマーを生産するために現在使用される通常のホモポリマーは、相の分離、ヘーズ及びグリスニングを引き起こしながら、散発型で異なる量の水分を吸収する。
現在、グリスニング及び堆積物の形成を阻止する、折りたためる高RI眼内レンズポリマーは存在しない。
【0008】
(発明の簡単な要約)
本発明は、以下に限定されるものではないが、折りたためる眼内レンズアプリケーション(applications)に特に適した高RIポリマーの新しい系統(family)である。本発明の材料は眼液において光学的に安定しており、不要な光学的人工産物の形成を阻止する。本発明のコポリマーの珍しい特質は、一般に親水性のポリマーからなるナノクラスターを、超疎水性ポリマーマトリックスにおいて作成することにより得られる。水分吸着は最小限に抑えられ、ナノクラスターに限定される。加えて、限定された量の吸収した水は当該マトリックスにおいてよく分布及び分散され、先行技術の組成物において言及されているマクロファージ分離を防ぐ。ナノサイズに近似のクラスターの直径は、1.0nm又はそれ以下の範囲にある。概して、本発明における実施可能なクラスターの大きさは、ごく僅か又は可視光と高分子網目(polymer network)の相互作用を有するよう十分に小さな直径のものとなる。当該結果は安定した光学的性質を伴った、光学的にクリアーな材料である。
【0009】
本発明は、眼内レンズ、コンタクトレンズ及び他の眼用及び光学アプリケーションのための、新規コポリマーに関する。本発明の材料から生成される眼内レンズは非常に高い屈指率を有し、またおよそ室温において機械加工しうる。本発明の眼内レンズは折りたたむことができ、小さな切開を通して挿入することにより、さらなる処理及び水和を要することなく、眼に問題のない天然レンズと置き換えることに使用されうる。本発明の材料の特別な利点は、制御されていない水分吸着を防ぐ珍しいハイブリッド特性である。
制御可能で、不変な、比較的高含水率及び眼内レンズとしての使用に特に適した予期せぬ高屈折指数を有する折りたためる眼用レンズ、又は以下に限定されるものではないが、コンタクトレンズ、人工角膜移植及び角膜輪(corneal rings)又は象眼(inlays)のような他の眼用デバイスは、本発明の主たる焦点である。
本発明は例えば、カルバゾール及び/又はナフチル部分、カルバゾール、ナフタレン、又はナフチル基及び疎水性モノマーを有する、限られた量のモノマーを含有するコポリマー組成物に関する。カルバゾール及び又はナフチル部分モノマーはコモノマーに加えられ、コモノマーの屈折率を増加させ、青色光(波長475nmまで)を遮断するコポリマー材料の能力を増加させる。一般的に0.05N/m(50dyn/cm)又はそれ以下の範囲にある表面張力を有するモノマーが使用され、超疎水性マトリックスを作成する。親水性ポリマーが加えられ、制御された水分吸着のためナノクラスターを作成する(下記に記載された方法による)。
【0010】
従って、本発明の目的は、生体適合性のある高屈折率を有する眼内レンズ材料を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、高屈折率及び制御された水分吸着を有する眼内レンズ材料を提供することである。
さらに、本発明のもう一つの目的は、比較的製造が容易な眼内レンズの材料を提供することである。
本発明のこれら又は他の目的及び利点は、特に記載されているものもあれば、記載されていないものもあるが、後述の詳細な説明及び特許請求の範囲において明らかになる。
【0011】
(発明の詳細な説明)
高屈折率を備えた本発明の材料は、製造業者がより薄い眼内レンズを製造することを可能にするため望ましい。薄い眼内レンズ又は薄い眼内レンズ光学(optic)は、外科医が切開のサイズを最小にできるようにする際重要となる。手術上の切開のサイズを最小限に留めることにより、手術中の外傷及び術後合併症を抑えられる。薄い眼内レンズはまた、前房や繊毛溝(ciliary sulcus)のような眼内の解剖学的位置に適応するため重要である。眼内レンズは、無水晶体眼及び有水晶体眼の双方における視力を高めるため前房に位置してもよく、有水晶体眼の視力を高めるため繊毛溝に位置してもよい。
本発明の好ましい材料は、生成された眼内レンズが、実行できる最小の切開を通して眼内に導入できるよう、折りたたみ又は変形させることができる柔軟性を有する。
本発明の新規の材料は、三つの主要なモノマー成分、高屈折率(RI)モノマー、疎水性モノマー及び親水性モノマーを含有するコポリマー、三重体、四重体等である。架橋剤として一般的に含まれるものは紫外吸収体である。
本発明の高屈折率モノマーは、エチレン不飽和又はビニル不飽和部分に連結する(coupled to)縮合環芳香族部分を含有する。“高屈折率モノマー”という用語により、高屈折率モノマーのポリマー(すなわち、当該モノマーのホモポリマー)は、少なくとも1.50、望ましくは少なくとも1.53、また最も望ましくは少なくとも1.56の屈折率を有することを意味している。
【0012】
ビニル又はエチレン不飽和部分は、もちろん、一般的に以下の種類の構造を意味する技術によく知られている。
【化1】

式中、R1〜R4は個々にかつ独立してH、C、X又はRCであり、
Cはいずれかの炭化水素部分であり、及び
少なくともR1〜R4の一つが、下記に議論されるように縮合環芳香族構造又は部分である場合、Xはいずれかのヘテロ原子(heteratom)である。縮合環芳香族構造は適宜又はしばしば Rcである。
“縮合環芳香族”又は多核又は多環式の芳香族部分は、もちろんよく知られている。これらの部分は、一対の炭素原子を分配する少なくとも二つの芳香族環の存在により特徴づけられている。縮合環芳香族部分の最もよく知られた例は、おそらくナフタレン、カルバゾール、アントラセン及びフェナントレンである。これらの部分、つまりナフチル、アントラシル、カルバゾール及びフェナントリルは、高屈折率モノマーの好ましい部分の例である。上記縮合環芳香族分子及びそれらの部分の例は以下を含む。
縮合ベンゼン環化合物
【化2】

上述のリストはもちろん非制限的である。さらに、不飽和部分は、当技術の当業者に容易に明らかであるように、上述の構造の外環炭素のいずれか一つに連結しうる。
【0013】
好ましい実施においては、高屈折率モノマーは、カルバゾール及び又はナフチル部分、少なくとも15%及び好ましくは約25〜45%までの濃度の組成物で存在する当該カルバゾール/ナフチル部分のモノマーを含むマルチマーを含有する。
当該組成物はさらに疎水性ホモポリマーを伴う第二モノマーを含み、当該疎水性は約0.05N/m(50dyn/cm)以下の表面張力を有するホモポリマーとして定義されており、当該第二モノマーは少なくとも約20質量%、好ましくは約50〜60質量%の量で、コポリマーに存在する。
当該組成物はさらに、少なくとも約10質量%、好ましくは20〜30質量%の親水性モノマーを含む。当該組成物は次に架橋用モノマーを含み、当該架橋用モノマーは10質量%まで、好ましくは約1質量%から約8質量%の範囲の濃度で存在する。
【0014】
好適な親水性モノマー(つまり、ホモポリマーが本発明の親水性であるモノマー)は、以下に限定されるものではないが、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、N-オルニチンアクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)アクリルアミド、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、N-ビニルピロリドン(N-vinyl pyrolidone)、N-フェニルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、アクリル酸、ベンジルメタクリルアミド、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート(glycerol mono methacrylate)、グリセロールモノアクリレート(glycerol mono acrylate)、2-スルホエチルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルメタクリレート、フルフリルアクリレート、フルフリルメタクリレート及びメチルチオエチルアクリルアミドを含む。
【0015】
好適な疎水性モノマー(つまり、ホモポリマーが本発明により疎水性であるモノマー)は、以下に限定されるものではないが、ラウリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-デシルアクリレート、n-デシルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート(metcarylate)、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ビニルラウレート、ビニルステアレート、1-ヘキサデシルアクリレート、1-ヘキサデシルメタクリレート、n-ミリスチルアクリレート、n-ミリスチルメタクリレート、n-ドデシルメタクリルアミド、ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソトリデシルアクリレート、イソオクチルメタクリレート及びイソトリデシルメタクリレートを含む。
【0016】
好適な架橋剤は、以下に限定されるものではないが、例えばエチレングリコールジメタクリレート(EGDMDA)、ジエチレングリコールジメタクリレート及びトリエチレングリコールジメタクリレート及びポリ(エチレングリコール)ジメタクリレートを含み、エチレングリコールジメタクリレートが好ましい。好適な開始剤は、以下に限定されるものではないが、例えばアゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトドル(valeronitdle))、2,2'-アゾビス(メチルブチロニトリル)、1,1'-アゾビス(シアノシクロヘキサン)、過酸化ジ-t-ブチル、過酸化ジクミル、過酸化t-ブチルクミル(butylcumyl)、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、t-ブチルペルオキシネオデカノエート(decanote)、t-ブチルペルオキシ2-エチルヘキサノエート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボネート(peroxydicarbonate)、t-ブチルペルオキシピバラート、過酸化デカノイル、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、過酸化2,4-ペンタンジオン(2,4-pentanedione peroxide)、ジ(n-プロピル)ペルオキシジカルボネート、t-アミルペルオキシネオデカノエート及びt-ブチルペルオキシアセテートを含み、中でも2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)が好ましい。
【0017】
好適な紫外光吸収体は、以下に限定されるものではないが、例えばβ(4-ベンゾトリアゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)エチルアクリレート(beta-(4-benzotriazoyl-3-hydroxyphenoxy)ethyl acrylate)、4-(2-アクリルオキシエトキシ(acryloxyethoxy))-2-ヒドロキシベンゾフェノン、4-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシベンゾ-フェノン、2-(2'-メタクリルオキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メタクリオキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(3''メタクリロイルオキシプロピル(methacryloyloxypropyl))フェニル]-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3'-t-ブチル-5'-[3''-ジメチルビニシリルプロポキシ(vinyisilylpropoxy))-2'-ヒドロ-キシフェニル]-5-メトキシベンゾトリアゾール、2-(3'-アリル-2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾ-トリアゾール、2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(3''-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]-5-クロロベンゾ-トリアゾールを含み、中でもβ-(4-ベンゾトリアゾイル-3-ヒドロキシフェン-オキシ)エチルアクリレートが好ましい紫外光吸収体である。
【0018】
紫外吸収体は、コポリマー組成物に任意に加えられてもよい。新規で好ましい紫外/青色光吸収体、つまりビニルアントラセンは、コポリマー組成物に加えてもよい。ビニルベンゾフェノン又はビニルベンゾトリアゾールのような一般の紫外吸収体も、同様に使用することができる。
疎水性及び親水性モノマーと共重合しうるモノマー染料は、任意にコポリマーに加えることができ、特定の光の波長を弱める。上記染料は、以下に限定されるものではないが、ビニル基を包含するものを含み、紫、青、赤及び緑の光を400〜700nmの範囲で吸収しうる。
上記モノマー染料の例は、以下に限定されるものではないが、
ディスパースレッド(Disperse Red) 13アクリレート、
ディスパースオレンジ3アクリルアミド、
ディスパースオレンジ3メタクリルアミド、
ディスパースレッド1メタクリレート、
ディスパースレッド1アクリレート、
ディスパースレッド13メタクリレート、
ディスパースイエロー7アクリレート、
ディスパースイエロー7メタクリレート、
エチルトランス-α-シアン-3-インドールアクリレート、
[(S)-(-)-1-(4-ニトロフェニル)-2-ピロリジンメチル]アクリレートを含む。
【0019】
実施例1-15のポリマーの一般的な調製方法
下記にリストされたコモノマーを、ガラスフラスコの中で磁気攪拌棒を用いて室温で少なくとも30分間混合し、示された時間、超音波処理し、さらに30分間再び攪拌した。超音波処理と親水性/疎水性斥力の組み合わせは、ナノクラスターの形成を可能にする。ナノクラスターの大きさは、これらの段階で供給されたエネルギーの量によって理論上制御される。Branson5510超音波処理装置の100%の電力設定で約30分間行う超音波処理は、適切な光学的及び物理的性質を伴う光学的にクリアーな材料を提供することが判明した。超音波処理時間は、使用される製剤により1分間〜60分間の間で異なる。少なくとも約10分間の任意の第二超音波処理段階は、所望の光学的特長の材料を生産するため時折必要となることが判明している。
得られたコポリマーはおよそ室温で機械加工するのに十分硬質である。上述の材料に特有な又驚くべき局面は、コポリマーの屈折率が高いため、眼内レンズはさらなる処理又は水和なしで、折りたためるほど十分薄く生成することが可能であるという点である。























実施例1-15











VA2.5%質量(by weight)及びMEB0.3%質量が全てのコポリマー組成物において使用された。
VC:ビニルカルバゾール
VN:2-ビニルナフタレン
EHA: 2-エチルヘキシルアクリレート
LM:ラウリルメタクリレート
HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
EGDM:エチレングリコールジメタクリレート
VA:ビニルアントラセン
MEB:2-(2'-メタクリルオキシ-5'メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
DR1:ディスパースレッド1メタクリレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルバゾール又はナフチル部分、カルバゾール、ナフタレン、又はナフチル基を含有する高屈折率モノマー、疎水性モノマー、親水性モノマー及び架橋剤を含有する組成物。
【請求項2】
前記組成物が紫外光吸収材料を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物がβ-(4-ベンゾトリアゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)エチルアクリレート、4-(2-アクリルオキシエトキシ)-2-ヒドロキシベンゾフェノン、4-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシベンゾ-フェノン、2-(2'-メタクリルオキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メタクリオキシ-エチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(3”-メタクリルオイルオキシプロピル)フェニル]-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3'-t-ブチル-5'-(3-ジメチルビニルシリルプロポキシ)-2'-ヒドロキシフェニル]-5-メトキシベンゾ-トリアゾール、2-(3'-アリル-2'-ヒドロキシ-5- 'メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-[3”-メタクリルオイルオキシプロポキシ)フェニル]-5-メトキシベンゾトリアゾール及び2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(3”-メタクリルオイルオキシプロポキシ)フェニル]-5-クロロ-ベンゾトリアゾールからなる群から選択される紫外吸収体材料を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
当該紫外吸収体材料がビニルアントラセン又はその誘導体である、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物がモノマー染料を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
当該モノマー染料が400〜700nm領域で光を吸収する、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
当該モノマー染料がディスパースレッド1メタクリレートである、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
当該モノマー染料がディスパースレッド13メタクリレートである、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
当該モノマー染料がディスパースレッド1アクリレートである、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
当該モノマー染料がディスパースレッド13アクリレートである、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
当該親水性モノマーが2-ヒドロキシ-エチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、N-オルニチンアクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)アクリルアミド、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、N-ビニルピロリドン、N-フェニルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、アクリル酸、ベンジルメ-タクリルアミド、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、2-スルホエチルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルメタクリレート、フルフリルアクリレート、フルフリルメタクリレート及びメチルチオエチルアクリルアミドからなる群から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
当該疎水性モノマー染料がラウリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-デシルアクリレート、n-デシルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ビニルラウレート、ビニルステアレート、1-ヘキサデシルアクリレート、1-ヘキサデシルメタクリレート、n-ミリスチルアクリレート、n-ミリスチルメタクリレート、n-ドデシルメタクリルアミド、ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソトリデシルアクリレート、イソオクチルメタクリレート及びイソトリデシルメタクリレートからなる群から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
(a)ビニル不飽和部分に連結する縮合環芳香族部分を含有する高屈折率モノマー;
(b)疎水性モノマー;及び
(c)親水性モノマー
を含有するコポリマー。
【請求項14】
高屈折率モノマーが
【化1】

(式中、R1〜R4は個々にかつ独立してH、C、X又はRCであり;
Cはいずれかの炭化水素部分であり;及び
少なくともR1〜R4の一つが縮合環芳香族構造である場合、Xはいずれかのヘテロ原子である)、を含有する、請求項13のコポリマー。
【請求項15】
高屈折率モノマーがエチレン不飽和部分及び縮合環芳香族部分を含有する、請求項13記載のコポリマー。
【請求項16】
エチレン不飽和部分が
【化2】

(式中、R1、R3及びR4は個々にかつ独立してH、C、X又はRCであり;
Cはいずれかの炭化水素部分であり;及び
Xはいずれかのヘテロ原子である)、を含有する、請求項15記載のコポリマー。
【請求項17】
高屈折率モノマーがビニルカルバゾール、ビニルナフタレン及びビニルアントラセンからなる群から選択される、請求項13に従ったコポリマー。
【請求項18】
a)少なくとも約15質量%の高屈折率モノマー;
b)少なくとも約20質量%の疎水性モノマー;
c)少なくとも約10質量%の親水性モノマー
を含有する、請求項13記載のコポリマー。
【請求項19】
高屈折率モノマーがビニルナフタレン、ビニルカルバゾール及びビニルアントラセンからなる群から選択される、請求項18記載のコポリマー。
【請求項20】
a)請求項1記載のモノマーの混合物を提供する工程;
b)少なくとも20分間の期間、ほぼ室温でモノマーを混合する工程;
c)少なくとも10分間の期間、ほぼ室温でモノマーの混合物を超音波処理し、実質的に疎水性マトリックスにおいてコポリマーナノクラスターを生産する工程;
を含有する、高屈折率コポリマーの製造方法。
【請求項21】
超音波処理された混合物を少なくとも約15分間の期間混合するさらなる工程を含む、請求項20記載の方法。

【公表番号】特表2008−523221(P2008−523221A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545625(P2007−545625)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/044430
【国際公開番号】WO2006/063139
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(507188902)キー メディカル テクノロジーズ インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】