眼用レンズ材料のための紫外線/可視光吸収剤
ベンゾトリアゾールUV/可視光吸収単量体を開示する。UV/Vis吸収剤は、眼内レンズ材料での使用に特に適している。本発明の吸収剤化合物は、より高エネルギーの400〜320nmのUVA光線、320〜280nmのUVB光線、および280nm未満のUVC光線に加えて、400〜450nmの光の波長を吸収する。本発明の吸収剤化合物は、吸収剤と眼球レンズ材料との共有結合を可能にする反応基を含有する。さらに、本発明の吸収剤は、容易に入手可能な出発物質から約5個のステップで合成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紫外線/可視光吸収剤に関する。より詳細には、本発明は、移植可能な眼用レンズ材料での使用に特に適した新規ベンゾトリアゾール単量体に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの紫外線および可視光吸収剤が眼用レンズを作製するために使用するポリマー材料の成分として知られている。そのような吸収剤は、好ましくは、それがレンズ材料から移動、相分離または浸出することを防止するために、材料内に単に物理的に封入するのではなく、レンズ材料のポリマーネットワークと共有結合している。そのような安定性は、吸収剤の浸出が双方の毒物学的な問題を提示し、移植物中のUV/可視の遮断活性の損失をもたらし得る、移植可能な眼用レンズにおいて特に重要である。
【0003】
数々の共重合可能なベンザトリアゾール、ベンゾフェノンおよびトリアジン吸収剤が知られている。これらの化合物のほとんどはUV吸収剤として知られているが、一部は、可視光の一部分も吸収することが知られている場合もある。多くの吸収剤は、メタクリレート、アクリレート、メタクリルアミド、アクリルアミドまたはスチレン基などの、慣用的なオレフィン性の重合可能基を含有する。レンズ材料中の他の成分、典型的にはラジカル開始剤との共重合により、吸収剤が、生じたポリマー鎖内に取り込まれる。さらなる官能基を吸収剤に取り込ませることにより、吸収剤の光吸収特性、溶解度または反応性のうちの1つまたは複数に影響が与えられ得る。吸収剤が眼用レンズ材料の成分またはポリマーレンズ材料の残りにおいて十分な溶解度を持たない場合は、吸収剤は光と相互作用する可能性のあるドメインと癒着し、レンズの光学的透明度の減少をもたらし得る。
【0004】
UV吸収剤を取り込ませたポリマー眼用レンズ材料の例は、特許文献1、特許文献2および特許文献3に見つけることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,290,892号明細書
【特許文献2】米国特許第5,331,073号明細書
【特許文献3】米国特許第5,693,095号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、紫外光および可視光の一部分をどちらも吸収するベンゾトリアゾール光吸収単量体(「UV/Vis吸収剤」)を提供する。これらの吸収剤は、コンタクトレンズを含めた眼用レンズでの使用に適している。これらは、眼内レンズ(IOL)などの移植可能なレンズにおいて特に有用である。
【0007】
本発明の吸収剤化合物は、より高エネルギーの400〜320nmのUVA光線、320〜280nmのUVB光線、および280nm未満のUVC光線に加えて、400〜450nmの光の波長を吸収する。本発明の吸収剤化合物は、吸収剤と眼球レンズ材料との共有結合を可能にする反応基を含有する。さらに、本発明の吸収剤は、容易に入手可能な出発物質から約5個のステップで合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、UV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−7のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【図2A】図2A〜2Jは、10または20年間に等しい露光を生じる光安定性試験に供したUV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−4を含有するIOL材料のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【図2B】図2A〜2Jは、10または20年間に等しい露光を生じる光安定性試験に供したUV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−4を含有するIOL材料のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【図2C】図2A〜2Jは、10または20年間に等しい露光を生じる光安定性試験に供したUV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−4を含有するIOL材料のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【図2D】図2A〜2Jは、10または20年間に等しい露光を生じる光安定性試験に供したUV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−4を含有するIOL材料のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【図2E】図2A〜2Jは、10または20年間に等しい露光を生じる光安定性試験に供したUV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−4を含有するIOL材料のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【図2F】図2A〜2Jは、10または20年間に等しい露光を生じる光安定性試験に供したUV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−4を含有するIOL材料のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【図2G】図2A〜2Jは、10または20年間に等しい露光を生じる光安定性試験に供したUV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−4を含有するIOL材料のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【図2H】図2A〜2Jは、10または20年間に等しい露光を生じる光安定性試験に供したUV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−4を含有するIOL材料のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【図2I】図2A〜2Jは、10または20年間に等しい露光を生じる光安定性試験に供したUV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−4を含有するIOL材料のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【図2J】図2A〜2Jは、10または20年間に等しい露光を生じる光安定性試験に供したUV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−4を含有するIOL材料のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
別段に指摘しない限りは、パーセンテージを単位として表したすべての成分量は、%w/wとして提示する。
【0010】
本発明のUV/Vis吸収剤は以下の式によって表される:
【0011】
【化1】
[式中、
R1=H、CH3、CH2CH3、またはCH2OHであり、
R2=C1〜C4アルキルまたはC1〜C4アルコキシであり、
R3=H、CH3、CH3O、F、Cl、Br、I、またはCF3である]。
【0012】
好ましい本発明のUV/Vis吸収剤は、R1=HまたはCH3であり、R2=C1〜C4アルコキシであり、R3=H、CH3、CH3O、F、Cl、またはCF3であるものである。
【0013】
より好ましい本発明の吸収剤は、以下からなる群から選択される:
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート、
3−(5−フルオロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレート、
3−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレート、
3−(5−クロロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレート、
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート、
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−メチル−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート、および
2−ヒドロキシ−5−メチル−3−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート。
【0014】
最も好ましい本発明のUV/Vis吸収剤は、2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレートおよび3−(5−クロロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレートである。
【0015】
本発明のUV/Vis吸収剤の合成を以下に記載する。
【0016】
ステップ1:フェノール誘導体1は、以下に示すp−メトキシフェノールのヒドロキシメチル化によって合成する。
【0017】
【化2】
ステップ2および3では、2−ニトロアニリン誘導体のジアゾニウム塩を合成し、続いて1と反応させてアゾ色素を形成する。
【0018】
【化3】
ステップ4では、アゾ色素をホルムアミジンスルフィン酸などの還元剤で処理して、対応するベンゾトリアゾール化合物を形成する。プロトン酸の添加前の過剰な還元剤および還元剤の副生成物の濾過ならびにカラムクロマトグラフィーを含めた当分野で知られている技術によって、単離したベンゾトリアゾール化合物の純度を増大させることができる。
【0019】
【化4】
ステップ5では、ステップ4からのベンゾトリアゾールをエステル化して、ビニル基を含有する「反応性」化合物を形成する。「反応性」とは、ビニル単量体、コモノマー、マクロマー、架橋剤、およびポリマー系の目の材料、特にアクリルを作製するために典型的に使用する他の構成成分と反応させた際に、ビニル基が重合して共有結合を形成できることとして理解される。反応基は好ましくはアクリレートまたはメタクリレート基である。
【0020】
【化5】
本発明のUV/Vis吸収剤は、IOLでの使用に特に適している。IOL材料は、一般に、0.1〜3%(w/w)の本発明のUV/Vis吸収剤を含有する。好ましくは、IOL材料は0.2〜2.5%(w/w)の本発明の吸収剤を含有する。最も好ましくは、IOL材料は0.3〜2%(w/w)の本発明の吸収剤を含有する。そのようなデバイス材料は、本発明の吸収剤をデバイス形成材料、架橋結合剤、および任意選択で青色光遮断発色団などの他の成分と共重合させることによって調製する。
【0021】
多くのデバイス形成単量体が当分野で知られており、とりわけ、アクリルおよびシリコーン含有単量体がどちらも含まれる。たとえば、米国特許第7,101,949号、第7,067,602号、第7,037,954号、第6,872,793号、第6,852,793号、第6,846,897号、第6,806,337号、第6,528,602号、および第5,693,095号を参照されたい。IOLの場合、任意の既知のIOLデバイス材料が本発明の組成物での使用に適している。好ましくは、眼用デバイス材料はアクリルまたはメタクリルデバイス形成単量体を含む。より好ましくは、デバイス形成単量体は式IVの単量体を含む:
【0022】
【化6】
[式IV中、
Aは、H、CH3、CH2CH3、またはCH2OHであり、
Bは、(CH2)mまたは[O(CH2)2]zであり、
Cは、(CH2)wであり、
mは2〜6であり、
zは1〜10であり、
Yは、存在しないか、O、S、またはNR’であり、ただし、YがO、S、またはNR’である場合、Bは(CH2)mであり、
R’は、H、CH3、Cn’H2n’+1(n’=1〜10)、イソ−OC3H7、C6H5、またはCH2C6H5であり、
wは0〜6であり、ただし、m+w≦8であり;
Dは、H、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、C6H5、CH2C6H5またはハロゲンである]。
【0023】
好ましい式IVの単量体は、AがHまたはCH3であり、Bが(CH2)mであり、mが2〜5であり、Yが存在しないか、またはOであり、wが0〜1であり、DがHであるものである。2−フェニルエチルメタクリレート、4−フェニルブチルメタクリレート、5−フェニルペンチルメタクリレート、2−ベンジルオキシエチルメタクリレート、および3−ベンジルオキシプロピルメタクリレート、ならびにそれらの対応するアクリレートが最も好ましい。
【0024】
式IVの単量体は知られており、既知の方法によって作製することができる。たとえば、所望の単量体の共役アルコールを、反応器内で、メチルメタクリレート、チタン酸テトラブチル(触媒)、および4−ベンジルオキシフェノールなどの重合阻害剤と合わせることができる。その後、反応を促進するために容器を加熱し、反応副生成物を留去して反応を完了させることができる。代替合成スキームは、メタクリル酸を共役アルコールに加え、カルボジイミドを用いて触媒すること、または共役アルコールを塩化メタクリロイルおよびピリジンもしくはトリエチルアミンなどの塩基と共に混合することを含む。
【0025】
デバイス材料は、一般に、合計して少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約80%のデバイス形成単量体を含む。
【0026】
本発明の吸収剤およびデバイス形成単量体に加えて、本発明のデバイス材料は一般に架橋結合剤を含む。本発明のデバイス材料で使用する架橋結合剤は、ひとつより多くの不飽和基を有する任意の末端エチレン性不飽和化合物であり得る。適切な架橋結合剤には、たとえば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、2,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、CH2=C(CH3)C(=O)O−(CH2CH2O)p−C(=O)C(CH3)=CH2[式中、p=1〜50である]、およびCH2=C(CH3)C(=O)O(CH2)tO−C(=O)C(CH3)=CH2[式中、t=3〜20である]、ならびにそれらの対応するアクリレートが含まれる。好ましい架橋結合単量体は、CH2=C(CH3)C(=O)O−(CH2CH2O)p−C(=O)C(CH3)=CH2[式中、pは、数平均分子量が約400、約600、または約1000となる数である]である。
【0027】
一般に、架橋結合構成成分の合計量は少なくとも0.1重量%であり、残りの構成成分および所望の物理特性が何であるかおよびその濃度に応じて、約20重量%までの範囲であることができる。架橋結合構成成分の好ましい濃度範囲は、典型的には500ダルトン未満の分子量を有する小さな疎水性化合物では1〜5%であり、典型的には500〜5000ダルトンの分子量を有するより大きな親水性化合物では5〜17%(w/w)である。
【0028】
本発明のUV/Vis吸収剤を含有するデバイス材料の適切な重合開始剤には、熱開始剤および光開始剤が含まれる。好ましい熱開始剤には、(ペルオキシ−2−エチル)ヘキサン酸t−ブチルおよびペルオキシ二炭酸ジ−(tert−ブチルシクロヘキシル)(Akzo Chemicals Inc.、Chicago,IllinoisからPerkadox(登録商標)16として市販されている)などのペルオキシフリーラジカル開始剤が含まれる。開始剤は、典型的には約5%(w/w)以下の量で存在する。フリーラジカル開始剤は形成されるポリマーの一部に化学的にならないため、他の成分の量を決定する際に開始剤の合計量は習慣的には含まれない。
【0029】
本発明のUV/Vis吸収剤を含有するデバイス材料は、任意選択で反応性着色料も含有する。適切な反応性青色光吸収化合物には、米国特許第5,470,932号に記載のものが含まれる。青色光吸収剤は、典型的には約0.01〜0.5%(重量)の量で存在する。
【0030】
本発明の材料から構築されたIOLは、比較的小さな切開を通ることができる小さな断面積へと巻くまたは折り畳むことができる、任意の設計のものであることができる。たとえば、IOLは、一体型または組立型の設計として知られるものであることができ、オプティック(optic)およびハプティック(haptic)構成成分を含む。オプティックとは、レンズとして役割を果たす部分である。ハプティックはオプティックに付着しており、オプティックを眼内のその正しい位置に保つ。オプティックおよびハプティック(複数可)は、同じまたは異なる材料であることができる。組立型レンズは、オプティックおよびハプティック(複数可)を別々に作製し、その後にハプティックをオプティックに付着させるため、そう呼ばれる。一体型レンズでは、オプティックおよびハプティックをワンピースの材料から形成する。その後、材料に応じて、ハプティックを材料から切り出す、すなわち旋盤加工(lathe)して、IOLを生成する。
【0031】
IOLに加えて、本発明の材料は、コンタクトレンズ、人工角膜、および角膜インレーまたは角膜リングなどの他の眼用デバイスでの使用にも適している。
【0032】
本発明を、例示することを意図するが限定することを意図しない、以下の実施例によってさらに例示する。
【実施例】
【0033】
実施例1
(2−ヒドロキシ−5−メトキシ−1,3−フェニレン)−ジメタノールの合成。磁気撹拌機を備えた2リットルの反応フラスコ中で、200gのp−メトキシフェノールを1300mlの水に懸濁させた。ホルムアルデヒド溶液(335ml、水中に37%)を撹拌溶液に加え、次いで55.8gの酸化カルシウムを加えた。反応混合物をアルミニウム箔で覆い、周囲温度で10日間静置した。固形物を濾過し、その後、1Lの脱イオン水に懸濁させた。130mlの氷酢酸を撹拌懸濁液に周囲温度で加えた。オフホワイト色固形物を濾過し、ヘキサンですすぎ、その後、高真空下で72時間乾燥させて、118.9g(37.8%)が得られた。1H NMR(DMF−d7)δ:3.75(s、3H、OCH3)、4.73(s、4H、CH2O)、5.39(bs、2H、CH2OH)、6.85(s、2H、Ar−H)。13C NMR(DMF−d7)δ:55.12(1C、OCH3)、59.84(2C、CH2OH)、111.18(2C、Ar−CH)、129.51(2C、Ar−CCH2)、146.30(1C、Ar−COH)、152.95(1C、Ar−COCH3)。
【0034】
【化7】
実施例2
2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−((2−ニトロ−4−(トリフルオロ−メチル)−フェニル)ジアゼニル)−フェノールの合成。磁気撹拌機を備えた500mlの丸底フラスコ中に、19.9gの2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)−アニリン(96.5mmol)(Aldrich、Milwaukee,WI)、41mlの濃HCl(水性)、100mlの脱イオン水、100mlのエタノール、および80mlのTHFを加えた。懸濁液を30分間撹拌し、反応混合物を0℃に保ちながら、30mlの水中の7.07gの亜硝酸ナトリウム(102mmol)を60分間かけて滴下した。反応混合物をさらに1時間撹拌した。300mgのスルファミン酸を加えて過剰の亜硝酸塩を分解した。混合物を濾過して溶けなかった固形物を除去した。濾過したジアゾニウム混合物および水酸化ナトリウムの溶液(100mlの水中に15.1g)を、19.7g(2−ヒドロキシ−5−メトキシ−1,3−フェニレン)ジメタノール(107mmol)、4.3の水酸化ナトリウム、200mlの脱イオン水、および50mlのTHFを含有する溶液に、0℃で滴下した。反応混合物を0℃で1時間および室温で4時間撹拌させた。混合物を3リットルの水中に注いだ。混合物をpH3〜4まで酸性化した。暗色粗生成物を濾過し、数リットルの水で洗浄して、暗色固形物が生じ、これを55℃で72時間、高真空下で乾燥させて、15.2g(42%の収率)の生成物が得られた。
【0035】
2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノールの合成。磁気撹拌機を備えた250mlの丸底フラスコ中に、実施例2パート1からの7.70g(20.7mmol)の2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−((2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)ジアゼニル)−フェノール、25mlの脱イオン水、1.85gの水酸化ナトリウム、および80mlの1−プロパノールを加えた。混合物を80℃まで加熱し、6.55g(60.6mmol)のホルムアミジンスルフィン酸(Aldrich)を、ゆっくりかつ50mlの脱イオン水中の3.0gのNaOHの溶液と同時に加えた。反応混合物を80℃で2時間加熱した。反応混合物を−20℃で2時間冷却し、濾過した。固形物を4グラムのNaOHを含有する2.5Lの脱イオン水に溶かした。1NのHClを用いてpHを2.0に調整した。生じた固形物を濾過し、十分な量の脱イオン水で洗浄し、濾過し、乾燥させて、2.2g(31%)の黄色固形物が得られた。1H NMR(CDCl3)δ:11.03(s、1H、Ar−OH)、8.30(s、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール4位)、8.07(d、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール6位)、7.88(s、1H、Ar−Hフェノール)、7.69(d、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、7.08(s、1H、Ar−Hフェノール)、4.84(s、2H、Ar−CH2)、3.90(s、3H、Ar−OCH3)。
【0036】
実施例3(化合物WL−1)
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレートの合成。磁気撹拌機および窒素導入
口を備えた250mlの丸底フラスコ中で、実施例3からの1.15g(3.39mmol)の2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノールを、BHT阻害剤(Aldrich)を含有する50mlの無水THFに溶かした。トリエチルアミン(1.4ml、11mmol)を加え、混合物を−10℃まで冷却した。塩化メタクリロイル(0.436g、4.17mmol)を滴下し、混合物を1時間、−10℃で撹拌し、次いで20時間、周囲温度で撹拌した。固形物を濾過し、100mlのジエチルエーテルですすいだ。濾液を100mlのジエチルエーテル中に注ぎ、0.5NのHClおよび水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、その後、ロータリーエバポレーションによって濃縮して、所望の生成物が暗黄色油状物として得られ、これをメタノール中で再結晶化させて、0.35gの生成物(25%)が得られた。[M+H+]=408.1。1H NMR (CDCl3)δ:10.97(s、1H、Ar−OH)、8.30(s、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、8.07(d、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、7.91(s、1H、Ar−Hフェノール)、7.69(d、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、7.10(s、1H、Ar−Hフェノール)、6.21(s、1H、C=C−Hトランス)、5.62(s、1H、C=C−Hシス)、5.40(s、2H、Ar−CH2)、3.90(s、3H、Ar−OCH3)、2.01(s、3H、C=C−CH3)。元素分析:計算値 %C(56.02)、%H(3.96)、%N(10.32)、%F(13.99);実測値 %C(56.11)、%H(3.96)、%N(10.24)、%F(14.37)。
【0037】
【化8】
実施例4
2−((4−フルオロ−2−ニトロフェニル)ジアゼニル)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシフェノールの合成。磁気撹拌機を備えた500mlの丸底フラスコ中に、25.1g(161mmol)の4−フルオロ−2−ニトロアニリン(Aldrich)、HCl(水性)(J.T.Baker)、100mlの脱イオン水、および100mlの無水エタノールを加えた。懸濁液を0℃まで冷却した。反応混合物を0℃に保ちながら、50mlの水中の11.8g(171mmol)の亜硝酸ナトリウム(Sigma−Aldrich)を60分間かけて滴下した。反応混合物をさらに1時間撹拌した。420mgのスルファミン酸(Aldrich)を加え、反応混合物をさらに30分間撹拌し、その後、濾過した。1リットルの丸底フラスコ中で、32.5g(176mmol)の(2−ヒドロキシ−5−メトキシ−1,3−フェニレン)ジメタノール、200mlの脱イオン水、および200mlのエタノールを合わせた。32.3g(807mmol)のNaOH(Aldrich)を100mlの水に溶かし、これの約1/4を、フェノール誘導体を含有する溶液に0℃で加えた。ジアゾニウム塩溶液および残りの水酸化ナトリウム溶液を反応混合物に0℃で1時間の期間をかけて滴下し、その後、さらに1時間、0℃および3時間、周囲温度で撹拌させた。反応混合物を3リットルの水中に注ぎ、1NのHClを用いてpHを4に調整した。固形物を濾過によって収集し、数リットルの水で洗浄し、P2O5を乾燥剤として用いて55℃で72時間真空乾燥させて(0.1mmHg)、29.9g(68%)の暗色固形物が得られ、これをさらに精製せずに次のステップで使用した。
【0038】
2−(5−フルオロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−6−(ヒドロキシ−メチル)−4−メトキシフェノールの合成。磁気撹拌機、液体添加漏斗、粉末添加漏斗、および窒素導入口を備えた500mlの丸底フラスコ中に、実施例5パートIからの2−((4−フルオロ−2−ニトロフェニル)ジアゼニル)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシフェノールおよび200mlのエタノールを加えた。NaOH(21.7g、542mmol)のペレット(97+%、A.C.S.試薬、Aldrich)を100mlの脱イオン水に溶かし、溶液の約1/4を反応混合物に滴下した。続いて、混合物を80℃まで加熱し、29.3g(271mmol)のホルムアミジンスルフィン酸(Aldrich)および残りの水酸化ナトリウム溶液を反応混合物に30分間かけて同時に加えた。混合物を80℃で3時間撹拌し、その後、内容物を3Lの脱イオン水中に注ぎ、1NのHClを用いてpH4まで酸性化した。固形物を濾過によって収集し、300mlのメタノールに懸濁させ、−20℃未満まで冷却する間に30分間撹拌した。固形物を濾過によって収集し、その後、300mlのエタノールに懸濁させ、−20℃未満まで再度冷却し、濾過し、その後、乾燥させて、7.8g(30%)の黄色固形物が得られ、これを次のエステル化ステップで使用した。
【0039】
実施例5(化合物WL−2)
3−(5−フルオロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレートの合成。実施例5からの生成物を用いてエステル化を実施した。磁気撹拌機および窒素導入口を備えた250mlの丸底フラスコ中で、5.06g(17.5mmol)の2−(5−フルオロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシフェノールを60mlの無水THFに溶かした。トリエチルアミン(8.7ml、62mmol))を加え、混合物を−10〜0℃まで冷却した。塩化メタクリロイル(2.26g、21.6mmol)を滴下し、混合物を1時間、−10℃で撹拌し、次いで20時間、周囲温度で撹拌した。塩を濾過し、100mlのTHF(≧99.9%、無水、阻害剤を含有、Aldrich)ですすいだ。ジエチルエーテル(100ml)を濾液に加え、これを1NのHClおよび水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーションによって濃縮して、所望の生成物が得られ、これをエタノール中で再結晶化させて、2.5g(40%)の黄色固形物が得られた。1H NMR(CDCl3)δ:11.03(s、1H、フェノールOH)、7.94(m、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール環)、7.87(s、1H、Ar−Hフェノール環)、7.53(m、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール環)、7.29(m、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール環)、7.05(s、1H、Ar−Hフェノール環)、6.21(s、1H、C=C−Hトランス)、5.61(s、1H、C=C−Hシス)、5.39(s、2H、Ar−CH2)、3.89(s、3H、Ar−OCH3)、2.01(s、3H、C=C−CH3)。
【0040】
【化9】
実施例6
2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−((2−ニトロフェニル)−ジアゼニル)−フェノールの合成。磁気撹拌機を備えた500mlの丸底フラスコ中に、19.9g(144mmol)の2−ニトロアニリン(Aldrich)、HCl(水性)、100mlの脱イオン水、および100mlのEtOHを加えた。混合物を0℃まで冷却し、反応混合物を−10〜0℃に保ちながら、50mlの水中の10.6g(153mmol)の亜硝酸ナトリウムを60分間かけて滴下した。反応混合物をさらに1時間撹拌した。300mgのスルファミン酸を加えて過剰の亜硝酸塩を分解し、混合物をさらに20分間撹拌した。固形物を濾過し、ジアゾニウム塩を含有する濾液を取り置き、−10℃で冷蔵した。NaOH(29.3g、731mmol)を100mlの水に溶かし、約1/4を、100mlの脱イオン水および200mlのエタノール中の(2−ヒドロキシ−5−メトキシ−1,3−フェニレン)ジメタノールの溶液に加えた。ジアゾニウム塩混合物および残りの水酸化ナトリウム溶液を、フェノール誘導体を含有する反応混合物に1時間の期間をかけて0℃で加えた。反応混合物を0℃で1時間および周囲温度で3時間撹拌させた。内容物を3リットルの水中に注ぎ、1NのHClを用いてpHを6に調整した。生じた固形物を数リットルの水で洗浄し、その後、P2O5を乾燥剤として用いて55℃で40時間乾燥させて、24.4g(55.8%)の暗色固形物が得られ、これをさらに精製せずに次のステップで使用した。
【0041】
2−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシフェノールの合成。磁気撹拌機、通常添加漏斗、粉末添加漏斗、および窒素導入口を備えた500mlの丸底フラスコ中に、23.6g(77.7mmol)の2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−((2−ニトロフェニル)ジアゼニル)フェノールおよび200mlのエタノールを加えた。NaOH(18.8g、470mmol)を100mlの脱イオン水に溶かし、約1/4を反応混合物に滴下した。混合物を80℃まで加熱し、25.1g(232mmol)のホルムアミジンスルフィン酸および残りの水酸化ナトリウム溶液を反応混合物に30分間かけて同時に滴下した。混合物を80℃で3時間撹拌し、3.5Lの水中に注ぎ、その後、1NのHClを用いてpH4まで酸性化した。生じた固形物を濾過によって収集し、実施例5と同様に後処理して、薄黄色固形物(4.3g、20.5%)が得られた。
【0042】
実施例7(化合物WL−3)
3−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレートの合成。磁気撹拌機および窒素導入口を備えた250mlの丸底フラスコ中で、実施例7からの4.03g(14.9mmol)の2−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシフェノールを50mlの無水THFに溶かした。トリエチルアミン(7.4ml、53mmol)を加え、混合物を−10℃まで冷却した。塩化メタクリロイル(1.99g、19.0mmol)を滴下し、混合物を1時間、0℃で撹拌し、次いで6時間、周囲温度で撹拌した。混合物を200mlのジエチルエーテル中に注ぎ、0.5NのHClおよび水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーションによって濃縮して、所望の生成物が暗黄色油状物として得られ、これをメタノール中で再結晶化させて、1.73gの薄黄色固形物(34%)が得られた。1H NMR(CDCl3)δ:11.26(s、1H、Ar−OH)、7.92(d、2H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、7.91(s、1H、Ar−H、フェノールに対してメタ)、7.49(d、2H、Ar−Hベンゾトリアゾール、5,6位)、7.05(s、1H、Ar−H、フェノールに対してメタ)、6.21(s、1H、C=C−Hトランス)、5.61(s、1H、C=C−Hシス)、5.40(s、2H、Ar−CH2)、3.90(s、3H、Ar−OCH3)、2.01(s、3H、C=C−CH3)。
【0043】
【化10】
実施例8
2−((5−クロロ−2−ニトロフェニル)ジアゼニル)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシフェノールの合成。磁気撹拌機を備えた500mlの丸底フラスコ中に、30.0g(174mmol)の5−クロロ−2−ニトロアニリン(Aldrich)、濃HCl(水性)(J.T.Baker)、100mlの脱イオン水および100mlの無水エタノールを加えた。懸濁液を0℃まで冷却し、反応混合物を0℃に保ちながら、50mlの水中の12.7g(184mmol)の亜硝酸ナトリウムを30分間かけて滴下した。反応混合物をさらに1時間撹拌した。スルファミン酸(430mg)を加えて過剰の亜硝酸塩を分解し、反応混合物をさらに20分間撹拌した。固形物を濾過し、ジアゾニウム塩を含有する濾液を取り置き、−10℃で冷蔵した。NaOH(34.9g、873mmol)を100mlの水に溶かし、約1/4を、100mlの脱イオン水および200mlのエタノール中の(2−ヒドロキシ−5−メトキシ−1,3−フェニレン)ジメタノールの溶液に加えた。ジアゾニウム塩混合物および残りの水酸化ナトリウム溶液を、フェノール誘導体を含有する反応混合物に1時間の期間をかけて0℃で加えた。反応混合物を0℃で1時間および周囲温度で2時間撹拌させた。内容物を3リットルの水中に注ぎ、1NのHClを用いてpHを5に調整した。生じた固形物を数リットルの水で洗浄し、その後、P2O5を乾燥剤として用いて55℃で40時間真空乾燥させて(0.1mmHg)、28.0g(48%)の暗色固形物が得られ、これをさらに精製せずに次のステップで使用した。
【0044】
2−(5−クロロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−6−(ヒドロキシ−メチル)−4−メトキシフェノールの合成。磁気撹拌機、添加漏斗、粉末添加漏斗、および窒素導入口を備えた500mlの丸底フラスコ中に、27.4g(81.0mmol)の2−((5−クロロ−2−ニトロフェニル)ジアゼニル)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシフェノールおよび200mlのエタノールを加えた。NaOH(19.7g、493mmol)を100mlの脱イオン水に溶かし、約1/4を反応混合物に滴下した。混合物を80℃まで加熱し、26.5g(245mmol)のホルムアミジンスルフィン酸および残りの水酸化ナトリウム溶液を反応混合物に同時に滴下した。混合物を80℃で2時間撹拌し、その後、3Lの脱イオン水中に注いだ。1NのHClを用いて混合物をpH3まで酸性化し、固形物を濾過によって収集し、十分な量の水ですすぎ、その後、実施例5と同様に後処理して、7.4g(30%)の固形物が得られ、これを次のエステル化ステップで使用した。
【0045】
実施例9(化合物WL−4)
3−(5−クロロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレートの合成。磁気撹拌機および窒素導入口を備えた250mlの丸底フラスコ中で、3.98g(13.0mmol)の2−(5−クロロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシフェノールを60mlの無水THFに溶かした。トリエチルアミン(6.4ml)を加え、混合物を−10〜0℃まで冷却した。塩化メタクリロイル(1.62g、15.5mmol)を滴下し、混合物を1時間、−10〜0℃で撹拌し、次いで20時間、周囲温度で撹拌した。固形物を濾過し、100mlのジエチルエーテルですすいだ。有機層を1NのHClおよび水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーションによって濃縮して、黄色油状物が得られ、これをエタノール中で再結晶化させて、1.73g(34%)の薄黄色固形物が得られた。1H NMR(CDCl3)δ:11.00(s、1H、Ar−OH)、7.92(s、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、7.88(s、1H、Ar−Hフェノール)、7.87(d、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、7.45(d、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、7.06(s、1H、Ar−Hフェノール)、6.21(s、1H、C=C−Hトランス)、5.62(s、1H、C=C−Hシス)、5.38(s、2H、Ar−CH2)、3.89(s、3H、Ar−OCH3)、2.01(s、3H、C=C−CH3)。
【0046】
【化11】
実施例10
2−(2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−(5−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノールの合成。磁気撹拌機を備えた500mlの丸底フラスコ中に、24.8g(148mmol)の4−メトキシ−2−ニトロアニリン(Aldrich)、濃HCl(水性)(J.T.Baker)、150mlの水、および150mlの無水エタノールを加えた。混合物を−20℃まで冷却し、40mlの水中の10.8(156mmol)の亜硝酸ナトリウムからなる溶液を30分間かけて滴下した。反応混合物をさらに1時間撹拌し、その後、スルファミン酸(315mg)を加えて過剰の亜硝酸塩を分解した。溶けなかった固形物を濾過し、ジアゾニウム塩を含有する濾液を取り置き、−10℃で冷蔵した。NaOH(29.5g、739mmol)を100mlの水に溶かし、約1/4を、100mlの脱イオン水および200mlのエタノール中の(2−ヒドロキシ−5−メトキシ−1,3−フェニレン)ジメタノールからなる溶液に加えた。ジアゾニウム塩混合物および残りの水酸化ナトリウム溶液を、フェノール誘導体を含有する反応混合物に1時間の期間をかけて0℃で加えた。反応混合物を0℃で1時間および周囲温度で3時間撹拌させた。内容物を3リットルの水中に注ぎ、1NのHClを用いてpHを4.5に調整した。生じた固形物を濾過し、数リットルの水で洗浄し、その後、P2O5を乾燥剤として用いて65℃で20時間真空乾燥させて(0.1mmHg)、33.5g(68%)の暗色固形物が得られ、これをさらに精製せずに次のステップで使用した。
【0047】
2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−(5−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノールの合成。磁気撹拌機、添加漏斗、粉末添加漏斗、および窒素導入口を備えた500mlの丸底三叉フラスコ中に、実施例11からの2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−((4−メトキシ−2−ニトロフェニル)ジアゼニル)フェノールおよび200mlの無水エタノール(Pharmco Products、Brookfield,CT)を加えた。NaOHペレット、97%(Aldrich、16.8g、420mmol)を80mlの脱イオン水に溶かし、溶液の約1/4をアゾ混合物に滴下した。反応混合物を80℃まで加熱し、22.6g(209mmol)のホルムアミジンスルフィン酸(Aldrich)および残りのNaOH溶液をアゾ混合物に0.5時間かけて同時に加えた。混合物を80℃で3時間加熱し、3.5Lの水中に注ぎ、濃HCl(J.T.Baker)を用いてpH4〜5まで酸性化した。粗生成物をエタノールから再結晶化させ、その後、収集し、50℃で72時間真空乾燥させて(0.1mmHg)、7g(27%)の薄黄色固形物が得られた。
【0048】
実施例11(化合物WL−5)
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレートの合成。実施例11からの生成物を用いてエステル化を実施した。磁気撹拌機および窒素導入口を備えた100mlの丸底三叉フラスコ中で、3.24g(10.8mmol)の2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−(5−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノールを60mlの無水THFに溶かした。トリエチルアミン(1.2ml)を加え、混合物を−10〜0℃まで冷却した。塩化メタクリロイル(1.40g、13.4mmol)を滴下し、混合物を2時間、0℃で撹拌し、次いで20時間、周囲温度で撹拌した。塩を濾取し、濾液を100mlのジエチルエーテル中に注ぎ、0.5NのHClおよび水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーションによって濃縮して、所望の生成物が暗黄色油状物として得られ、これをエタノール中で再結晶化させて、薄黄色固形物が得られた。1H NMR(CDCl3)δ:11.20(s、1H、フェノールOH)、7.80(m、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、7.77(s、1H、Ar−Hフェノール)、7.17(m、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、7.14(s、1H、Ar−Hフェノール)、7.10(m、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、6.21(s、1H、C=C−Hトランス)、5.61(s、1H、C=C−Hシス)、5.38(s、2H、Ar−CH2)、3.92(s、3H、Ar−OCH3、フェノール)、3.88(s、3H、Ar−OCH3、ベンゾトリアゾール)、2.01(s、3H、C=C−CH3)。
【0049】
【化12】
実施例12
2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−((4−メチル−2−ニトロフェニル)−ジアゼニル)フェノールの合成。磁気撹拌機を備えた500mlの丸底フラスコ中に、24.3g(160mmol)の4−メチル−2−ニトロアニリン、98%(Aldrich)、67mlの濃HCl(水性)、100mlの水、および100mlの無水エタノールを加えた。混合物を−10〜0℃まで冷却し、40mlの水中の11.6g(169mmol)の亜硝酸ナトリウムを30分間かけて−10〜0℃で滴下した。反応混合物をさらに1時間撹拌し、315mgのスルファミン酸を加えて過剰の亜硝酸塩を分解した。さらに20分間撹拌した後、反応混合物を濾過し、冷濾液を取り置いた。1Lのフラスコ中で、(2−ヒドロキシ−5−メトキシ−1,3−フェニレン)ジメタノールを200mlの脱イオン水および100mlのエタノールに懸濁させた。32.2g(805mmol)の水酸化ナトリウムの溶液を調製し、約1/4をフェノール誘導体に加えた。フェノール誘導体を0℃まで冷却し、ジアゾニウム塩混合物および残りの水酸化ナトリウム溶液をフェノール誘導体に1時間かけて0℃で同時に加えた。反応混合物を0℃で1時間および周囲温度で3時間撹拌した。混合物を3リットルの水中に注ぎ、1NのHClを用いてpHを4.5に調整した。粗生成物を、P2O5を乾燥剤として用いて65℃で20時間、高真空下(0.1mmHg)で乾燥させて、30.8g(61%)が得られた。生成物をさらに精製せずに次のステップで使用した。
【0050】
2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−(5−メチル−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノールの合成。磁気撹拌機、通常添加漏斗、粉末添加漏斗、および窒素導入口を備えた500mlの丸底三叉フラスコ中に、パート1からの30.0g(94.6mmol)のアゾ化合物および200mlのエタノールを加えた。NaOH(22.9g、573mmol)を100mlの脱イオン水に溶かし、溶液の約1/4を反応混合物に滴下した。反応混合物を80℃まで加熱した。ホルムアミジンスルフィン酸(30.7g、284mmol)および残りの水酸化ナトリウム溶液をアゾ混合物に30分間かけて同時に加えた。混合物を80℃で3時間加熱した。反応混合物を3Lの水中に注ぎ、その後、1NのHClを用いてpH4〜5まで酸性化した。固形物を濾過し、その後、5グラムのNaOHを含有する3Lの水に溶かし、1NのHClを用いてpH2まで酸性化した。固形物を再度濾過し、その後、55℃、高真空下(0.1mmHg)で40時間乾燥させて、20g(74%)が得られ、これをさらに精製せずに次のステップで使用した。
【0051】
実施例13(化合物WL−6)
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−メチル−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレートの合成。磁気撹拌機および窒素口を備えた100mlの丸底三叉フラスコ中で、19.5g(68.3mmol)の2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−(5−メチル−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノールを200mlの無水THFに溶かした。トリエチルアミン(34ml、240mmol)を加え、混合物を−10℃まで冷却した。塩化メタクリロイル(8.55g、81.8mmol)を滴下し、混合物を2時間、0℃で撹拌し、次いで20時間、周囲温度で撹拌した。固形物を濾過し、ジエチルエーテルですすぎ、濾液を100mlのジエチルエーテル中に注ぎ、0.5NのHClおよび水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーションによって濃縮した。粗生成物をエタノール中で再結晶化させて、7.2g(30%)の薄黄色固形物が得られた。1H NMR(CDCl3)δ:11.28(s、1H、Ar−OH)、7.89(s、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール4位)、7.79(d、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール6位)、7.66(s、1H、Ar−Hフェノール6位)、7.26(d、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール7位)、7.03(s、1H、Ar−Hフェノール4位)、6.21(s、1H、C=C−Hトランス)、5.61(s、1H、C=C−Hシス)、5.39(s、2H、Ar−CH2)、3.89(s、3H、Ar−OCH3)、2.54(s、3H、Ar−CH3)、2.01(s、3H、C=C−CH3)。
【0052】
【化13】
実施例14
2−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−6−((2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)−フェニル)−ジアゼニル)フェノールの合成。磁気撹拌機を備えた500mlの丸底フラスコ中で、26.0g(126mmol)の2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)−アニリン、53mlの濃HCl、100mlの脱イオン水、および150mlのエタノールを合わせた。混合物を0℃まで冷却し、30mlの水中の亜硝酸ナトリウムを60分間かけて滴下した。反応混合物をさらに1時間撹拌し、300mgのスルファミン酸を加えて過剰の亜硝酸塩を分解した。固形物を濾過し、冷濾液を取り置いた。1リットルのフラスコ中で、(2−ヒドロキシ−5−メトキシ−1,3−フェニレン)ジメタノールを200mlの脱イオン水および100mlのエタノールに懸濁させた。100mlの水中の水酸化ナトリウム(25.4g、635mmol)の溶液の約1/4をフェノール混合物に0℃で加えた。ジアゾニウム塩混合物および残りの水酸化ナトリウム溶液をフェノール混合物に1時間かけて同時に加えた。反応混合物を0℃で1時間および室温で4時間撹拌させた。混合物を3リットルの水中に注ぎ、1NのHClを用いてpHを3〜4に調整した。固形物を濾過し、十分な量の水で洗浄し、その後、55℃で40時間真空乾燥させて(0.1mmHg)、27.4g(76%)の赤色固形物が得られた。
【0053】
2−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−6−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノールの合成。磁気撹拌機、添加漏斗、粉末添加漏斗、および窒素導入口を備えた1Lの丸底フラスコ中に、26.0g(73.2mmol)の2−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−6−((2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−ジアゼニル)フェノールおよび300mlのエタノールを加えた。水酸化ナトリウム(17.6g、441mmol)を100mlの脱イオン水に溶かし、約1/4をアゾ混合物に滴下した。反応混合物を80℃まで加熱し、23.9g(221mmol)のホルムアミジンスルフィン酸および残りの水酸化ナトリウム溶液をアゾ混合物に30分間かけて加えた。反応混合物を80℃で3時間加熱し、3Lの脱イオン水中に注ぎ、1NのHClを用いてpH4まで酸性化した。固形物を真空濾過によって収集し、十分な量の水で洗浄し、その後、20時間、真空下(0.1mmHg)、42℃で乾燥させて、18.6g(79%)のオフホワイト色固形物が得られた。
【0054】
実施例15(化合物WL−7)
2−ヒドロキシ−5−メチル−3−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレートの合成。磁気撹拌機および窒素導入口を備えた100mlの丸底三叉フラスコ中で、3.58g(11.1mmol)の2−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−6−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノールを60mlの無水THFに溶かした。トリエチルアミン(5.6ml、40mmol)を加え、混合物を−10℃まで冷却した。塩化メタクリロイル(1.373g、13.1mmol)を滴下し、混合物を1時間、−10℃で撹拌し、次いで20時間、周囲温度で撹拌した。固形物を濾取し、ジエチルエーテルですすぎ、生じた濾液を100mlのジエチルエーテル中に注ぎ、0.5NのHClおよび水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ジエチルエーテル中で再結晶化させて、1.90g(44%)の白色固形物が得られた。1H NMR(CDCl3)δ:11.17(s、1H、Ar−OH)、8.29(s、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール4位)、8.21(s、1H、Ar−Hフェノール6位)、8.06(d、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール6位)、7.69(d、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール7位)、7.29(s、1H、Ar−Hフェノール4位)、6.20(s、1H、C=C−Hトランス)、5.61(s、1H、C=C−Hシス)、5.39(s、2H、Ar−CH2)、2.42(s、3H、Ar−CH3)、2.00(s、3H、C=C−CH3)。
【0055】
【化14】
実施例16
化合物WL−1からWL−7の透過率の曲線をUV/Vis分光分析によって作成した。それぞれの化合物をクロロホルムに溶かし、PerkinElmer Lambda35 UV/Vis分光計で評価した。結果を図1に示し、1%Tおよび10%Tの結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
実施例17
アクリルIOL配合物
表2〜6に示すように、化合物WL−1〜WL−4をIOL材料中に配合した。すべての構成成分を30mlのガラスバイアル中で渦撹拌し、窒素で脱気し、その後、0.2ミクロンのテフロン(登録商標)フィルターを用いて約1mmの深さの四角形のポリプロピレン製の型中にシリンジ濾過した。試料を70℃で1時間および110℃で2時間熱硬化させ、その後、90分間ごとに新しい溶媒で交換しながら、アセトン中で、50℃で6時間抽出した。
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
実施例18
光安定性
配合物17A、17B、17C、17D、17E、17F、17G、17H、17I、および17Jの試料を、試験試料の高さで約8〜10mW/cm2の光強度を有するキセノンアーク灯を利用した、Atlas Suntest CPS+試験チャンバ(Atlas Electric Devices Company、Chicago,Illinois)を用いた300〜800nmのUV照射に供した。PBS媒体の温度は35℃であった。0.9mmの厚さの試料切片からのUV/Visスペクトル、PerkinElmer Lambda35 UV/Vis分光計を用いて集めた。20年間(実施例17A〜17H)または10年間(実施例17Iおよび17J)に等しい露光からの結果を図2A〜2Jに示す。
【0062】
本発明は、特定の好ましい実施形態を参照することによって説明したが、その特別または本質的な特徴から逸脱せずに、他の具体的な形態またはその変形中で具現化し得ることが理解されよう。したがって、上述の実施形態はすべての観点において例示的であり限定的でないとみなされ、本発明の範囲は前述の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示される。
【技術分野】
【0001】
本発明は紫外線/可視光吸収剤に関する。より詳細には、本発明は、移植可能な眼用レンズ材料での使用に特に適した新規ベンゾトリアゾール単量体に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの紫外線および可視光吸収剤が眼用レンズを作製するために使用するポリマー材料の成分として知られている。そのような吸収剤は、好ましくは、それがレンズ材料から移動、相分離または浸出することを防止するために、材料内に単に物理的に封入するのではなく、レンズ材料のポリマーネットワークと共有結合している。そのような安定性は、吸収剤の浸出が双方の毒物学的な問題を提示し、移植物中のUV/可視の遮断活性の損失をもたらし得る、移植可能な眼用レンズにおいて特に重要である。
【0003】
数々の共重合可能なベンザトリアゾール、ベンゾフェノンおよびトリアジン吸収剤が知られている。これらの化合物のほとんどはUV吸収剤として知られているが、一部は、可視光の一部分も吸収することが知られている場合もある。多くの吸収剤は、メタクリレート、アクリレート、メタクリルアミド、アクリルアミドまたはスチレン基などの、慣用的なオレフィン性の重合可能基を含有する。レンズ材料中の他の成分、典型的にはラジカル開始剤との共重合により、吸収剤が、生じたポリマー鎖内に取り込まれる。さらなる官能基を吸収剤に取り込ませることにより、吸収剤の光吸収特性、溶解度または反応性のうちの1つまたは複数に影響が与えられ得る。吸収剤が眼用レンズ材料の成分またはポリマーレンズ材料の残りにおいて十分な溶解度を持たない場合は、吸収剤は光と相互作用する可能性のあるドメインと癒着し、レンズの光学的透明度の減少をもたらし得る。
【0004】
UV吸収剤を取り込ませたポリマー眼用レンズ材料の例は、特許文献1、特許文献2および特許文献3に見つけることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,290,892号明細書
【特許文献2】米国特許第5,331,073号明細書
【特許文献3】米国特許第5,693,095号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、紫外光および可視光の一部分をどちらも吸収するベンゾトリアゾール光吸収単量体(「UV/Vis吸収剤」)を提供する。これらの吸収剤は、コンタクトレンズを含めた眼用レンズでの使用に適している。これらは、眼内レンズ(IOL)などの移植可能なレンズにおいて特に有用である。
【0007】
本発明の吸収剤化合物は、より高エネルギーの400〜320nmのUVA光線、320〜280nmのUVB光線、および280nm未満のUVC光線に加えて、400〜450nmの光の波長を吸収する。本発明の吸収剤化合物は、吸収剤と眼球レンズ材料との共有結合を可能にする反応基を含有する。さらに、本発明の吸収剤は、容易に入手可能な出発物質から約5個のステップで合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、UV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−7のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【図2A】図2A〜2Jは、10または20年間に等しい露光を生じる光安定性試験に供したUV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−4を含有するIOL材料のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【図2B】図2A〜2Jは、10または20年間に等しい露光を生じる光安定性試験に供したUV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−4を含有するIOL材料のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【図2C】図2A〜2Jは、10または20年間に等しい露光を生じる光安定性試験に供したUV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−4を含有するIOL材料のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【図2D】図2A〜2Jは、10または20年間に等しい露光を生じる光安定性試験に供したUV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−4を含有するIOL材料のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【図2E】図2A〜2Jは、10または20年間に等しい露光を生じる光安定性試験に供したUV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−4を含有するIOL材料のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【図2F】図2A〜2Jは、10または20年間に等しい露光を生じる光安定性試験に供したUV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−4を含有するIOL材料のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【図2G】図2A〜2Jは、10または20年間に等しい露光を生じる光安定性試験に供したUV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−4を含有するIOL材料のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【図2H】図2A〜2Jは、10または20年間に等しい露光を生じる光安定性試験に供したUV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−4を含有するIOL材料のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【図2I】図2A〜2Jは、10または20年間に等しい露光を生じる光安定性試験に供したUV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−4を含有するIOL材料のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【図2J】図2A〜2Jは、10または20年間に等しい露光を生じる光安定性試験に供したUV/Vis吸収剤化合物WL−1〜WL−4を含有するIOL材料のパーセント透過率の曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
別段に指摘しない限りは、パーセンテージを単位として表したすべての成分量は、%w/wとして提示する。
【0010】
本発明のUV/Vis吸収剤は以下の式によって表される:
【0011】
【化1】
[式中、
R1=H、CH3、CH2CH3、またはCH2OHであり、
R2=C1〜C4アルキルまたはC1〜C4アルコキシであり、
R3=H、CH3、CH3O、F、Cl、Br、I、またはCF3である]。
【0012】
好ましい本発明のUV/Vis吸収剤は、R1=HまたはCH3であり、R2=C1〜C4アルコキシであり、R3=H、CH3、CH3O、F、Cl、またはCF3であるものである。
【0013】
より好ましい本発明の吸収剤は、以下からなる群から選択される:
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート、
3−(5−フルオロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレート、
3−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレート、
3−(5−クロロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレート、
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート、
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−メチル−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート、および
2−ヒドロキシ−5−メチル−3−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート。
【0014】
最も好ましい本発明のUV/Vis吸収剤は、2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレートおよび3−(5−クロロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレートである。
【0015】
本発明のUV/Vis吸収剤の合成を以下に記載する。
【0016】
ステップ1:フェノール誘導体1は、以下に示すp−メトキシフェノールのヒドロキシメチル化によって合成する。
【0017】
【化2】
ステップ2および3では、2−ニトロアニリン誘導体のジアゾニウム塩を合成し、続いて1と反応させてアゾ色素を形成する。
【0018】
【化3】
ステップ4では、アゾ色素をホルムアミジンスルフィン酸などの還元剤で処理して、対応するベンゾトリアゾール化合物を形成する。プロトン酸の添加前の過剰な還元剤および還元剤の副生成物の濾過ならびにカラムクロマトグラフィーを含めた当分野で知られている技術によって、単離したベンゾトリアゾール化合物の純度を増大させることができる。
【0019】
【化4】
ステップ5では、ステップ4からのベンゾトリアゾールをエステル化して、ビニル基を含有する「反応性」化合物を形成する。「反応性」とは、ビニル単量体、コモノマー、マクロマー、架橋剤、およびポリマー系の目の材料、特にアクリルを作製するために典型的に使用する他の構成成分と反応させた際に、ビニル基が重合して共有結合を形成できることとして理解される。反応基は好ましくはアクリレートまたはメタクリレート基である。
【0020】
【化5】
本発明のUV/Vis吸収剤は、IOLでの使用に特に適している。IOL材料は、一般に、0.1〜3%(w/w)の本発明のUV/Vis吸収剤を含有する。好ましくは、IOL材料は0.2〜2.5%(w/w)の本発明の吸収剤を含有する。最も好ましくは、IOL材料は0.3〜2%(w/w)の本発明の吸収剤を含有する。そのようなデバイス材料は、本発明の吸収剤をデバイス形成材料、架橋結合剤、および任意選択で青色光遮断発色団などの他の成分と共重合させることによって調製する。
【0021】
多くのデバイス形成単量体が当分野で知られており、とりわけ、アクリルおよびシリコーン含有単量体がどちらも含まれる。たとえば、米国特許第7,101,949号、第7,067,602号、第7,037,954号、第6,872,793号、第6,852,793号、第6,846,897号、第6,806,337号、第6,528,602号、および第5,693,095号を参照されたい。IOLの場合、任意の既知のIOLデバイス材料が本発明の組成物での使用に適している。好ましくは、眼用デバイス材料はアクリルまたはメタクリルデバイス形成単量体を含む。より好ましくは、デバイス形成単量体は式IVの単量体を含む:
【0022】
【化6】
[式IV中、
Aは、H、CH3、CH2CH3、またはCH2OHであり、
Bは、(CH2)mまたは[O(CH2)2]zであり、
Cは、(CH2)wであり、
mは2〜6であり、
zは1〜10であり、
Yは、存在しないか、O、S、またはNR’であり、ただし、YがO、S、またはNR’である場合、Bは(CH2)mであり、
R’は、H、CH3、Cn’H2n’+1(n’=1〜10)、イソ−OC3H7、C6H5、またはCH2C6H5であり、
wは0〜6であり、ただし、m+w≦8であり;
Dは、H、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、C6H5、CH2C6H5またはハロゲンである]。
【0023】
好ましい式IVの単量体は、AがHまたはCH3であり、Bが(CH2)mであり、mが2〜5であり、Yが存在しないか、またはOであり、wが0〜1であり、DがHであるものである。2−フェニルエチルメタクリレート、4−フェニルブチルメタクリレート、5−フェニルペンチルメタクリレート、2−ベンジルオキシエチルメタクリレート、および3−ベンジルオキシプロピルメタクリレート、ならびにそれらの対応するアクリレートが最も好ましい。
【0024】
式IVの単量体は知られており、既知の方法によって作製することができる。たとえば、所望の単量体の共役アルコールを、反応器内で、メチルメタクリレート、チタン酸テトラブチル(触媒)、および4−ベンジルオキシフェノールなどの重合阻害剤と合わせることができる。その後、反応を促進するために容器を加熱し、反応副生成物を留去して反応を完了させることができる。代替合成スキームは、メタクリル酸を共役アルコールに加え、カルボジイミドを用いて触媒すること、または共役アルコールを塩化メタクリロイルおよびピリジンもしくはトリエチルアミンなどの塩基と共に混合することを含む。
【0025】
デバイス材料は、一般に、合計して少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約80%のデバイス形成単量体を含む。
【0026】
本発明の吸収剤およびデバイス形成単量体に加えて、本発明のデバイス材料は一般に架橋結合剤を含む。本発明のデバイス材料で使用する架橋結合剤は、ひとつより多くの不飽和基を有する任意の末端エチレン性不飽和化合物であり得る。適切な架橋結合剤には、たとえば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、2,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、CH2=C(CH3)C(=O)O−(CH2CH2O)p−C(=O)C(CH3)=CH2[式中、p=1〜50である]、およびCH2=C(CH3)C(=O)O(CH2)tO−C(=O)C(CH3)=CH2[式中、t=3〜20である]、ならびにそれらの対応するアクリレートが含まれる。好ましい架橋結合単量体は、CH2=C(CH3)C(=O)O−(CH2CH2O)p−C(=O)C(CH3)=CH2[式中、pは、数平均分子量が約400、約600、または約1000となる数である]である。
【0027】
一般に、架橋結合構成成分の合計量は少なくとも0.1重量%であり、残りの構成成分および所望の物理特性が何であるかおよびその濃度に応じて、約20重量%までの範囲であることができる。架橋結合構成成分の好ましい濃度範囲は、典型的には500ダルトン未満の分子量を有する小さな疎水性化合物では1〜5%であり、典型的には500〜5000ダルトンの分子量を有するより大きな親水性化合物では5〜17%(w/w)である。
【0028】
本発明のUV/Vis吸収剤を含有するデバイス材料の適切な重合開始剤には、熱開始剤および光開始剤が含まれる。好ましい熱開始剤には、(ペルオキシ−2−エチル)ヘキサン酸t−ブチルおよびペルオキシ二炭酸ジ−(tert−ブチルシクロヘキシル)(Akzo Chemicals Inc.、Chicago,IllinoisからPerkadox(登録商標)16として市販されている)などのペルオキシフリーラジカル開始剤が含まれる。開始剤は、典型的には約5%(w/w)以下の量で存在する。フリーラジカル開始剤は形成されるポリマーの一部に化学的にならないため、他の成分の量を決定する際に開始剤の合計量は習慣的には含まれない。
【0029】
本発明のUV/Vis吸収剤を含有するデバイス材料は、任意選択で反応性着色料も含有する。適切な反応性青色光吸収化合物には、米国特許第5,470,932号に記載のものが含まれる。青色光吸収剤は、典型的には約0.01〜0.5%(重量)の量で存在する。
【0030】
本発明の材料から構築されたIOLは、比較的小さな切開を通ることができる小さな断面積へと巻くまたは折り畳むことができる、任意の設計のものであることができる。たとえば、IOLは、一体型または組立型の設計として知られるものであることができ、オプティック(optic)およびハプティック(haptic)構成成分を含む。オプティックとは、レンズとして役割を果たす部分である。ハプティックはオプティックに付着しており、オプティックを眼内のその正しい位置に保つ。オプティックおよびハプティック(複数可)は、同じまたは異なる材料であることができる。組立型レンズは、オプティックおよびハプティック(複数可)を別々に作製し、その後にハプティックをオプティックに付着させるため、そう呼ばれる。一体型レンズでは、オプティックおよびハプティックをワンピースの材料から形成する。その後、材料に応じて、ハプティックを材料から切り出す、すなわち旋盤加工(lathe)して、IOLを生成する。
【0031】
IOLに加えて、本発明の材料は、コンタクトレンズ、人工角膜、および角膜インレーまたは角膜リングなどの他の眼用デバイスでの使用にも適している。
【0032】
本発明を、例示することを意図するが限定することを意図しない、以下の実施例によってさらに例示する。
【実施例】
【0033】
実施例1
(2−ヒドロキシ−5−メトキシ−1,3−フェニレン)−ジメタノールの合成。磁気撹拌機を備えた2リットルの反応フラスコ中で、200gのp−メトキシフェノールを1300mlの水に懸濁させた。ホルムアルデヒド溶液(335ml、水中に37%)を撹拌溶液に加え、次いで55.8gの酸化カルシウムを加えた。反応混合物をアルミニウム箔で覆い、周囲温度で10日間静置した。固形物を濾過し、その後、1Lの脱イオン水に懸濁させた。130mlの氷酢酸を撹拌懸濁液に周囲温度で加えた。オフホワイト色固形物を濾過し、ヘキサンですすぎ、その後、高真空下で72時間乾燥させて、118.9g(37.8%)が得られた。1H NMR(DMF−d7)δ:3.75(s、3H、OCH3)、4.73(s、4H、CH2O)、5.39(bs、2H、CH2OH)、6.85(s、2H、Ar−H)。13C NMR(DMF−d7)δ:55.12(1C、OCH3)、59.84(2C、CH2OH)、111.18(2C、Ar−CH)、129.51(2C、Ar−CCH2)、146.30(1C、Ar−COH)、152.95(1C、Ar−COCH3)。
【0034】
【化7】
実施例2
2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−((2−ニトロ−4−(トリフルオロ−メチル)−フェニル)ジアゼニル)−フェノールの合成。磁気撹拌機を備えた500mlの丸底フラスコ中に、19.9gの2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)−アニリン(96.5mmol)(Aldrich、Milwaukee,WI)、41mlの濃HCl(水性)、100mlの脱イオン水、100mlのエタノール、および80mlのTHFを加えた。懸濁液を30分間撹拌し、反応混合物を0℃に保ちながら、30mlの水中の7.07gの亜硝酸ナトリウム(102mmol)を60分間かけて滴下した。反応混合物をさらに1時間撹拌した。300mgのスルファミン酸を加えて過剰の亜硝酸塩を分解した。混合物を濾過して溶けなかった固形物を除去した。濾過したジアゾニウム混合物および水酸化ナトリウムの溶液(100mlの水中に15.1g)を、19.7g(2−ヒドロキシ−5−メトキシ−1,3−フェニレン)ジメタノール(107mmol)、4.3の水酸化ナトリウム、200mlの脱イオン水、および50mlのTHFを含有する溶液に、0℃で滴下した。反応混合物を0℃で1時間および室温で4時間撹拌させた。混合物を3リットルの水中に注いだ。混合物をpH3〜4まで酸性化した。暗色粗生成物を濾過し、数リットルの水で洗浄して、暗色固形物が生じ、これを55℃で72時間、高真空下で乾燥させて、15.2g(42%の収率)の生成物が得られた。
【0035】
2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノールの合成。磁気撹拌機を備えた250mlの丸底フラスコ中に、実施例2パート1からの7.70g(20.7mmol)の2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−((2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)ジアゼニル)−フェノール、25mlの脱イオン水、1.85gの水酸化ナトリウム、および80mlの1−プロパノールを加えた。混合物を80℃まで加熱し、6.55g(60.6mmol)のホルムアミジンスルフィン酸(Aldrich)を、ゆっくりかつ50mlの脱イオン水中の3.0gのNaOHの溶液と同時に加えた。反応混合物を80℃で2時間加熱した。反応混合物を−20℃で2時間冷却し、濾過した。固形物を4グラムのNaOHを含有する2.5Lの脱イオン水に溶かした。1NのHClを用いてpHを2.0に調整した。生じた固形物を濾過し、十分な量の脱イオン水で洗浄し、濾過し、乾燥させて、2.2g(31%)の黄色固形物が得られた。1H NMR(CDCl3)δ:11.03(s、1H、Ar−OH)、8.30(s、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール4位)、8.07(d、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール6位)、7.88(s、1H、Ar−Hフェノール)、7.69(d、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、7.08(s、1H、Ar−Hフェノール)、4.84(s、2H、Ar−CH2)、3.90(s、3H、Ar−OCH3)。
【0036】
実施例3(化合物WL−1)
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレートの合成。磁気撹拌機および窒素導入
口を備えた250mlの丸底フラスコ中で、実施例3からの1.15g(3.39mmol)の2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノールを、BHT阻害剤(Aldrich)を含有する50mlの無水THFに溶かした。トリエチルアミン(1.4ml、11mmol)を加え、混合物を−10℃まで冷却した。塩化メタクリロイル(0.436g、4.17mmol)を滴下し、混合物を1時間、−10℃で撹拌し、次いで20時間、周囲温度で撹拌した。固形物を濾過し、100mlのジエチルエーテルですすいだ。濾液を100mlのジエチルエーテル中に注ぎ、0.5NのHClおよび水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、その後、ロータリーエバポレーションによって濃縮して、所望の生成物が暗黄色油状物として得られ、これをメタノール中で再結晶化させて、0.35gの生成物(25%)が得られた。[M+H+]=408.1。1H NMR (CDCl3)δ:10.97(s、1H、Ar−OH)、8.30(s、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、8.07(d、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、7.91(s、1H、Ar−Hフェノール)、7.69(d、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、7.10(s、1H、Ar−Hフェノール)、6.21(s、1H、C=C−Hトランス)、5.62(s、1H、C=C−Hシス)、5.40(s、2H、Ar−CH2)、3.90(s、3H、Ar−OCH3)、2.01(s、3H、C=C−CH3)。元素分析:計算値 %C(56.02)、%H(3.96)、%N(10.32)、%F(13.99);実測値 %C(56.11)、%H(3.96)、%N(10.24)、%F(14.37)。
【0037】
【化8】
実施例4
2−((4−フルオロ−2−ニトロフェニル)ジアゼニル)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシフェノールの合成。磁気撹拌機を備えた500mlの丸底フラスコ中に、25.1g(161mmol)の4−フルオロ−2−ニトロアニリン(Aldrich)、HCl(水性)(J.T.Baker)、100mlの脱イオン水、および100mlの無水エタノールを加えた。懸濁液を0℃まで冷却した。反応混合物を0℃に保ちながら、50mlの水中の11.8g(171mmol)の亜硝酸ナトリウム(Sigma−Aldrich)を60分間かけて滴下した。反応混合物をさらに1時間撹拌した。420mgのスルファミン酸(Aldrich)を加え、反応混合物をさらに30分間撹拌し、その後、濾過した。1リットルの丸底フラスコ中で、32.5g(176mmol)の(2−ヒドロキシ−5−メトキシ−1,3−フェニレン)ジメタノール、200mlの脱イオン水、および200mlのエタノールを合わせた。32.3g(807mmol)のNaOH(Aldrich)を100mlの水に溶かし、これの約1/4を、フェノール誘導体を含有する溶液に0℃で加えた。ジアゾニウム塩溶液および残りの水酸化ナトリウム溶液を反応混合物に0℃で1時間の期間をかけて滴下し、その後、さらに1時間、0℃および3時間、周囲温度で撹拌させた。反応混合物を3リットルの水中に注ぎ、1NのHClを用いてpHを4に調整した。固形物を濾過によって収集し、数リットルの水で洗浄し、P2O5を乾燥剤として用いて55℃で72時間真空乾燥させて(0.1mmHg)、29.9g(68%)の暗色固形物が得られ、これをさらに精製せずに次のステップで使用した。
【0038】
2−(5−フルオロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−6−(ヒドロキシ−メチル)−4−メトキシフェノールの合成。磁気撹拌機、液体添加漏斗、粉末添加漏斗、および窒素導入口を備えた500mlの丸底フラスコ中に、実施例5パートIからの2−((4−フルオロ−2−ニトロフェニル)ジアゼニル)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシフェノールおよび200mlのエタノールを加えた。NaOH(21.7g、542mmol)のペレット(97+%、A.C.S.試薬、Aldrich)を100mlの脱イオン水に溶かし、溶液の約1/4を反応混合物に滴下した。続いて、混合物を80℃まで加熱し、29.3g(271mmol)のホルムアミジンスルフィン酸(Aldrich)および残りの水酸化ナトリウム溶液を反応混合物に30分間かけて同時に加えた。混合物を80℃で3時間撹拌し、その後、内容物を3Lの脱イオン水中に注ぎ、1NのHClを用いてpH4まで酸性化した。固形物を濾過によって収集し、300mlのメタノールに懸濁させ、−20℃未満まで冷却する間に30分間撹拌した。固形物を濾過によって収集し、その後、300mlのエタノールに懸濁させ、−20℃未満まで再度冷却し、濾過し、その後、乾燥させて、7.8g(30%)の黄色固形物が得られ、これを次のエステル化ステップで使用した。
【0039】
実施例5(化合物WL−2)
3−(5−フルオロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレートの合成。実施例5からの生成物を用いてエステル化を実施した。磁気撹拌機および窒素導入口を備えた250mlの丸底フラスコ中で、5.06g(17.5mmol)の2−(5−フルオロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシフェノールを60mlの無水THFに溶かした。トリエチルアミン(8.7ml、62mmol))を加え、混合物を−10〜0℃まで冷却した。塩化メタクリロイル(2.26g、21.6mmol)を滴下し、混合物を1時間、−10℃で撹拌し、次いで20時間、周囲温度で撹拌した。塩を濾過し、100mlのTHF(≧99.9%、無水、阻害剤を含有、Aldrich)ですすいだ。ジエチルエーテル(100ml)を濾液に加え、これを1NのHClおよび水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーションによって濃縮して、所望の生成物が得られ、これをエタノール中で再結晶化させて、2.5g(40%)の黄色固形物が得られた。1H NMR(CDCl3)δ:11.03(s、1H、フェノールOH)、7.94(m、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール環)、7.87(s、1H、Ar−Hフェノール環)、7.53(m、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール環)、7.29(m、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール環)、7.05(s、1H、Ar−Hフェノール環)、6.21(s、1H、C=C−Hトランス)、5.61(s、1H、C=C−Hシス)、5.39(s、2H、Ar−CH2)、3.89(s、3H、Ar−OCH3)、2.01(s、3H、C=C−CH3)。
【0040】
【化9】
実施例6
2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−((2−ニトロフェニル)−ジアゼニル)−フェノールの合成。磁気撹拌機を備えた500mlの丸底フラスコ中に、19.9g(144mmol)の2−ニトロアニリン(Aldrich)、HCl(水性)、100mlの脱イオン水、および100mlのEtOHを加えた。混合物を0℃まで冷却し、反応混合物を−10〜0℃に保ちながら、50mlの水中の10.6g(153mmol)の亜硝酸ナトリウムを60分間かけて滴下した。反応混合物をさらに1時間撹拌した。300mgのスルファミン酸を加えて過剰の亜硝酸塩を分解し、混合物をさらに20分間撹拌した。固形物を濾過し、ジアゾニウム塩を含有する濾液を取り置き、−10℃で冷蔵した。NaOH(29.3g、731mmol)を100mlの水に溶かし、約1/4を、100mlの脱イオン水および200mlのエタノール中の(2−ヒドロキシ−5−メトキシ−1,3−フェニレン)ジメタノールの溶液に加えた。ジアゾニウム塩混合物および残りの水酸化ナトリウム溶液を、フェノール誘導体を含有する反応混合物に1時間の期間をかけて0℃で加えた。反応混合物を0℃で1時間および周囲温度で3時間撹拌させた。内容物を3リットルの水中に注ぎ、1NのHClを用いてpHを6に調整した。生じた固形物を数リットルの水で洗浄し、その後、P2O5を乾燥剤として用いて55℃で40時間乾燥させて、24.4g(55.8%)の暗色固形物が得られ、これをさらに精製せずに次のステップで使用した。
【0041】
2−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシフェノールの合成。磁気撹拌機、通常添加漏斗、粉末添加漏斗、および窒素導入口を備えた500mlの丸底フラスコ中に、23.6g(77.7mmol)の2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−((2−ニトロフェニル)ジアゼニル)フェノールおよび200mlのエタノールを加えた。NaOH(18.8g、470mmol)を100mlの脱イオン水に溶かし、約1/4を反応混合物に滴下した。混合物を80℃まで加熱し、25.1g(232mmol)のホルムアミジンスルフィン酸および残りの水酸化ナトリウム溶液を反応混合物に30分間かけて同時に滴下した。混合物を80℃で3時間撹拌し、3.5Lの水中に注ぎ、その後、1NのHClを用いてpH4まで酸性化した。生じた固形物を濾過によって収集し、実施例5と同様に後処理して、薄黄色固形物(4.3g、20.5%)が得られた。
【0042】
実施例7(化合物WL−3)
3−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレートの合成。磁気撹拌機および窒素導入口を備えた250mlの丸底フラスコ中で、実施例7からの4.03g(14.9mmol)の2−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシフェノールを50mlの無水THFに溶かした。トリエチルアミン(7.4ml、53mmol)を加え、混合物を−10℃まで冷却した。塩化メタクリロイル(1.99g、19.0mmol)を滴下し、混合物を1時間、0℃で撹拌し、次いで6時間、周囲温度で撹拌した。混合物を200mlのジエチルエーテル中に注ぎ、0.5NのHClおよび水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーションによって濃縮して、所望の生成物が暗黄色油状物として得られ、これをメタノール中で再結晶化させて、1.73gの薄黄色固形物(34%)が得られた。1H NMR(CDCl3)δ:11.26(s、1H、Ar−OH)、7.92(d、2H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、7.91(s、1H、Ar−H、フェノールに対してメタ)、7.49(d、2H、Ar−Hベンゾトリアゾール、5,6位)、7.05(s、1H、Ar−H、フェノールに対してメタ)、6.21(s、1H、C=C−Hトランス)、5.61(s、1H、C=C−Hシス)、5.40(s、2H、Ar−CH2)、3.90(s、3H、Ar−OCH3)、2.01(s、3H、C=C−CH3)。
【0043】
【化10】
実施例8
2−((5−クロロ−2−ニトロフェニル)ジアゼニル)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシフェノールの合成。磁気撹拌機を備えた500mlの丸底フラスコ中に、30.0g(174mmol)の5−クロロ−2−ニトロアニリン(Aldrich)、濃HCl(水性)(J.T.Baker)、100mlの脱イオン水および100mlの無水エタノールを加えた。懸濁液を0℃まで冷却し、反応混合物を0℃に保ちながら、50mlの水中の12.7g(184mmol)の亜硝酸ナトリウムを30分間かけて滴下した。反応混合物をさらに1時間撹拌した。スルファミン酸(430mg)を加えて過剰の亜硝酸塩を分解し、反応混合物をさらに20分間撹拌した。固形物を濾過し、ジアゾニウム塩を含有する濾液を取り置き、−10℃で冷蔵した。NaOH(34.9g、873mmol)を100mlの水に溶かし、約1/4を、100mlの脱イオン水および200mlのエタノール中の(2−ヒドロキシ−5−メトキシ−1,3−フェニレン)ジメタノールの溶液に加えた。ジアゾニウム塩混合物および残りの水酸化ナトリウム溶液を、フェノール誘導体を含有する反応混合物に1時間の期間をかけて0℃で加えた。反応混合物を0℃で1時間および周囲温度で2時間撹拌させた。内容物を3リットルの水中に注ぎ、1NのHClを用いてpHを5に調整した。生じた固形物を数リットルの水で洗浄し、その後、P2O5を乾燥剤として用いて55℃で40時間真空乾燥させて(0.1mmHg)、28.0g(48%)の暗色固形物が得られ、これをさらに精製せずに次のステップで使用した。
【0044】
2−(5−クロロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−6−(ヒドロキシ−メチル)−4−メトキシフェノールの合成。磁気撹拌機、添加漏斗、粉末添加漏斗、および窒素導入口を備えた500mlの丸底フラスコ中に、27.4g(81.0mmol)の2−((5−クロロ−2−ニトロフェニル)ジアゼニル)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシフェノールおよび200mlのエタノールを加えた。NaOH(19.7g、493mmol)を100mlの脱イオン水に溶かし、約1/4を反応混合物に滴下した。混合物を80℃まで加熱し、26.5g(245mmol)のホルムアミジンスルフィン酸および残りの水酸化ナトリウム溶液を反応混合物に同時に滴下した。混合物を80℃で2時間撹拌し、その後、3Lの脱イオン水中に注いだ。1NのHClを用いて混合物をpH3まで酸性化し、固形物を濾過によって収集し、十分な量の水ですすぎ、その後、実施例5と同様に後処理して、7.4g(30%)の固形物が得られ、これを次のエステル化ステップで使用した。
【0045】
実施例9(化合物WL−4)
3−(5−クロロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレートの合成。磁気撹拌機および窒素導入口を備えた250mlの丸底フラスコ中で、3.98g(13.0mmol)の2−(5−クロロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシフェノールを60mlの無水THFに溶かした。トリエチルアミン(6.4ml)を加え、混合物を−10〜0℃まで冷却した。塩化メタクリロイル(1.62g、15.5mmol)を滴下し、混合物を1時間、−10〜0℃で撹拌し、次いで20時間、周囲温度で撹拌した。固形物を濾過し、100mlのジエチルエーテルですすいだ。有機層を1NのHClおよび水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーションによって濃縮して、黄色油状物が得られ、これをエタノール中で再結晶化させて、1.73g(34%)の薄黄色固形物が得られた。1H NMR(CDCl3)δ:11.00(s、1H、Ar−OH)、7.92(s、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、7.88(s、1H、Ar−Hフェノール)、7.87(d、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、7.45(d、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、7.06(s、1H、Ar−Hフェノール)、6.21(s、1H、C=C−Hトランス)、5.62(s、1H、C=C−Hシス)、5.38(s、2H、Ar−CH2)、3.89(s、3H、Ar−OCH3)、2.01(s、3H、C=C−CH3)。
【0046】
【化11】
実施例10
2−(2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−(5−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノールの合成。磁気撹拌機を備えた500mlの丸底フラスコ中に、24.8g(148mmol)の4−メトキシ−2−ニトロアニリン(Aldrich)、濃HCl(水性)(J.T.Baker)、150mlの水、および150mlの無水エタノールを加えた。混合物を−20℃まで冷却し、40mlの水中の10.8(156mmol)の亜硝酸ナトリウムからなる溶液を30分間かけて滴下した。反応混合物をさらに1時間撹拌し、その後、スルファミン酸(315mg)を加えて過剰の亜硝酸塩を分解した。溶けなかった固形物を濾過し、ジアゾニウム塩を含有する濾液を取り置き、−10℃で冷蔵した。NaOH(29.5g、739mmol)を100mlの水に溶かし、約1/4を、100mlの脱イオン水および200mlのエタノール中の(2−ヒドロキシ−5−メトキシ−1,3−フェニレン)ジメタノールからなる溶液に加えた。ジアゾニウム塩混合物および残りの水酸化ナトリウム溶液を、フェノール誘導体を含有する反応混合物に1時間の期間をかけて0℃で加えた。反応混合物を0℃で1時間および周囲温度で3時間撹拌させた。内容物を3リットルの水中に注ぎ、1NのHClを用いてpHを4.5に調整した。生じた固形物を濾過し、数リットルの水で洗浄し、その後、P2O5を乾燥剤として用いて65℃で20時間真空乾燥させて(0.1mmHg)、33.5g(68%)の暗色固形物が得られ、これをさらに精製せずに次のステップで使用した。
【0047】
2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−(5−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノールの合成。磁気撹拌機、添加漏斗、粉末添加漏斗、および窒素導入口を備えた500mlの丸底三叉フラスコ中に、実施例11からの2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−((4−メトキシ−2−ニトロフェニル)ジアゼニル)フェノールおよび200mlの無水エタノール(Pharmco Products、Brookfield,CT)を加えた。NaOHペレット、97%(Aldrich、16.8g、420mmol)を80mlの脱イオン水に溶かし、溶液の約1/4をアゾ混合物に滴下した。反応混合物を80℃まで加熱し、22.6g(209mmol)のホルムアミジンスルフィン酸(Aldrich)および残りのNaOH溶液をアゾ混合物に0.5時間かけて同時に加えた。混合物を80℃で3時間加熱し、3.5Lの水中に注ぎ、濃HCl(J.T.Baker)を用いてpH4〜5まで酸性化した。粗生成物をエタノールから再結晶化させ、その後、収集し、50℃で72時間真空乾燥させて(0.1mmHg)、7g(27%)の薄黄色固形物が得られた。
【0048】
実施例11(化合物WL−5)
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレートの合成。実施例11からの生成物を用いてエステル化を実施した。磁気撹拌機および窒素導入口を備えた100mlの丸底三叉フラスコ中で、3.24g(10.8mmol)の2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−(5−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノールを60mlの無水THFに溶かした。トリエチルアミン(1.2ml)を加え、混合物を−10〜0℃まで冷却した。塩化メタクリロイル(1.40g、13.4mmol)を滴下し、混合物を2時間、0℃で撹拌し、次いで20時間、周囲温度で撹拌した。塩を濾取し、濾液を100mlのジエチルエーテル中に注ぎ、0.5NのHClおよび水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーションによって濃縮して、所望の生成物が暗黄色油状物として得られ、これをエタノール中で再結晶化させて、薄黄色固形物が得られた。1H NMR(CDCl3)δ:11.20(s、1H、フェノールOH)、7.80(m、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、7.77(s、1H、Ar−Hフェノール)、7.17(m、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、7.14(s、1H、Ar−Hフェノール)、7.10(m、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール)、6.21(s、1H、C=C−Hトランス)、5.61(s、1H、C=C−Hシス)、5.38(s、2H、Ar−CH2)、3.92(s、3H、Ar−OCH3、フェノール)、3.88(s、3H、Ar−OCH3、ベンゾトリアゾール)、2.01(s、3H、C=C−CH3)。
【0049】
【化12】
実施例12
2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−((4−メチル−2−ニトロフェニル)−ジアゼニル)フェノールの合成。磁気撹拌機を備えた500mlの丸底フラスコ中に、24.3g(160mmol)の4−メチル−2−ニトロアニリン、98%(Aldrich)、67mlの濃HCl(水性)、100mlの水、および100mlの無水エタノールを加えた。混合物を−10〜0℃まで冷却し、40mlの水中の11.6g(169mmol)の亜硝酸ナトリウムを30分間かけて−10〜0℃で滴下した。反応混合物をさらに1時間撹拌し、315mgのスルファミン酸を加えて過剰の亜硝酸塩を分解した。さらに20分間撹拌した後、反応混合物を濾過し、冷濾液を取り置いた。1Lのフラスコ中で、(2−ヒドロキシ−5−メトキシ−1,3−フェニレン)ジメタノールを200mlの脱イオン水および100mlのエタノールに懸濁させた。32.2g(805mmol)の水酸化ナトリウムの溶液を調製し、約1/4をフェノール誘導体に加えた。フェノール誘導体を0℃まで冷却し、ジアゾニウム塩混合物および残りの水酸化ナトリウム溶液をフェノール誘導体に1時間かけて0℃で同時に加えた。反応混合物を0℃で1時間および周囲温度で3時間撹拌した。混合物を3リットルの水中に注ぎ、1NのHClを用いてpHを4.5に調整した。粗生成物を、P2O5を乾燥剤として用いて65℃で20時間、高真空下(0.1mmHg)で乾燥させて、30.8g(61%)が得られた。生成物をさらに精製せずに次のステップで使用した。
【0050】
2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−(5−メチル−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノールの合成。磁気撹拌機、通常添加漏斗、粉末添加漏斗、および窒素導入口を備えた500mlの丸底三叉フラスコ中に、パート1からの30.0g(94.6mmol)のアゾ化合物および200mlのエタノールを加えた。NaOH(22.9g、573mmol)を100mlの脱イオン水に溶かし、溶液の約1/4を反応混合物に滴下した。反応混合物を80℃まで加熱した。ホルムアミジンスルフィン酸(30.7g、284mmol)および残りの水酸化ナトリウム溶液をアゾ混合物に30分間かけて同時に加えた。混合物を80℃で3時間加熱した。反応混合物を3Lの水中に注ぎ、その後、1NのHClを用いてpH4〜5まで酸性化した。固形物を濾過し、その後、5グラムのNaOHを含有する3Lの水に溶かし、1NのHClを用いてpH2まで酸性化した。固形物を再度濾過し、その後、55℃、高真空下(0.1mmHg)で40時間乾燥させて、20g(74%)が得られ、これをさらに精製せずに次のステップで使用した。
【0051】
実施例13(化合物WL−6)
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−メチル−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレートの合成。磁気撹拌機および窒素口を備えた100mlの丸底三叉フラスコ中で、19.5g(68.3mmol)の2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−6−(5−メチル−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノールを200mlの無水THFに溶かした。トリエチルアミン(34ml、240mmol)を加え、混合物を−10℃まで冷却した。塩化メタクリロイル(8.55g、81.8mmol)を滴下し、混合物を2時間、0℃で撹拌し、次いで20時間、周囲温度で撹拌した。固形物を濾過し、ジエチルエーテルですすぎ、濾液を100mlのジエチルエーテル中に注ぎ、0.5NのHClおよび水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーションによって濃縮した。粗生成物をエタノール中で再結晶化させて、7.2g(30%)の薄黄色固形物が得られた。1H NMR(CDCl3)δ:11.28(s、1H、Ar−OH)、7.89(s、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール4位)、7.79(d、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール6位)、7.66(s、1H、Ar−Hフェノール6位)、7.26(d、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール7位)、7.03(s、1H、Ar−Hフェノール4位)、6.21(s、1H、C=C−Hトランス)、5.61(s、1H、C=C−Hシス)、5.39(s、2H、Ar−CH2)、3.89(s、3H、Ar−OCH3)、2.54(s、3H、Ar−CH3)、2.01(s、3H、C=C−CH3)。
【0052】
【化13】
実施例14
2−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−6−((2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)−フェニル)−ジアゼニル)フェノールの合成。磁気撹拌機を備えた500mlの丸底フラスコ中で、26.0g(126mmol)の2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)−アニリン、53mlの濃HCl、100mlの脱イオン水、および150mlのエタノールを合わせた。混合物を0℃まで冷却し、30mlの水中の亜硝酸ナトリウムを60分間かけて滴下した。反応混合物をさらに1時間撹拌し、300mgのスルファミン酸を加えて過剰の亜硝酸塩を分解した。固形物を濾過し、冷濾液を取り置いた。1リットルのフラスコ中で、(2−ヒドロキシ−5−メトキシ−1,3−フェニレン)ジメタノールを200mlの脱イオン水および100mlのエタノールに懸濁させた。100mlの水中の水酸化ナトリウム(25.4g、635mmol)の溶液の約1/4をフェノール混合物に0℃で加えた。ジアゾニウム塩混合物および残りの水酸化ナトリウム溶液をフェノール混合物に1時間かけて同時に加えた。反応混合物を0℃で1時間および室温で4時間撹拌させた。混合物を3リットルの水中に注ぎ、1NのHClを用いてpHを3〜4に調整した。固形物を濾過し、十分な量の水で洗浄し、その後、55℃で40時間真空乾燥させて(0.1mmHg)、27.4g(76%)の赤色固形物が得られた。
【0053】
2−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−6−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノールの合成。磁気撹拌機、添加漏斗、粉末添加漏斗、および窒素導入口を備えた1Lの丸底フラスコ中に、26.0g(73.2mmol)の2−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−6−((2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−ジアゼニル)フェノールおよび300mlのエタノールを加えた。水酸化ナトリウム(17.6g、441mmol)を100mlの脱イオン水に溶かし、約1/4をアゾ混合物に滴下した。反応混合物を80℃まで加熱し、23.9g(221mmol)のホルムアミジンスルフィン酸および残りの水酸化ナトリウム溶液をアゾ混合物に30分間かけて加えた。反応混合物を80℃で3時間加熱し、3Lの脱イオン水中に注ぎ、1NのHClを用いてpH4まで酸性化した。固形物を真空濾過によって収集し、十分な量の水で洗浄し、その後、20時間、真空下(0.1mmHg)、42℃で乾燥させて、18.6g(79%)のオフホワイト色固形物が得られた。
【0054】
実施例15(化合物WL−7)
2−ヒドロキシ−5−メチル−3−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレートの合成。磁気撹拌機および窒素導入口を備えた100mlの丸底三叉フラスコ中で、3.58g(11.1mmol)の2−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−6−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノールを60mlの無水THFに溶かした。トリエチルアミン(5.6ml、40mmol)を加え、混合物を−10℃まで冷却した。塩化メタクリロイル(1.373g、13.1mmol)を滴下し、混合物を1時間、−10℃で撹拌し、次いで20時間、周囲温度で撹拌した。固形物を濾取し、ジエチルエーテルですすぎ、生じた濾液を100mlのジエチルエーテル中に注ぎ、0.5NのHClおよび水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ジエチルエーテル中で再結晶化させて、1.90g(44%)の白色固形物が得られた。1H NMR(CDCl3)δ:11.17(s、1H、Ar−OH)、8.29(s、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール4位)、8.21(s、1H、Ar−Hフェノール6位)、8.06(d、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール6位)、7.69(d、1H、Ar−Hベンゾトリアゾール7位)、7.29(s、1H、Ar−Hフェノール4位)、6.20(s、1H、C=C−Hトランス)、5.61(s、1H、C=C−Hシス)、5.39(s、2H、Ar−CH2)、2.42(s、3H、Ar−CH3)、2.00(s、3H、C=C−CH3)。
【0055】
【化14】
実施例16
化合物WL−1からWL−7の透過率の曲線をUV/Vis分光分析によって作成した。それぞれの化合物をクロロホルムに溶かし、PerkinElmer Lambda35 UV/Vis分光計で評価した。結果を図1に示し、1%Tおよび10%Tの結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
実施例17
アクリルIOL配合物
表2〜6に示すように、化合物WL−1〜WL−4をIOL材料中に配合した。すべての構成成分を30mlのガラスバイアル中で渦撹拌し、窒素で脱気し、その後、0.2ミクロンのテフロン(登録商標)フィルターを用いて約1mmの深さの四角形のポリプロピレン製の型中にシリンジ濾過した。試料を70℃で1時間および110℃で2時間熱硬化させ、その後、90分間ごとに新しい溶媒で交換しながら、アセトン中で、50℃で6時間抽出した。
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
実施例18
光安定性
配合物17A、17B、17C、17D、17E、17F、17G、17H、17I、および17Jの試料を、試験試料の高さで約8〜10mW/cm2の光強度を有するキセノンアーク灯を利用した、Atlas Suntest CPS+試験チャンバ(Atlas Electric Devices Company、Chicago,Illinois)を用いた300〜800nmのUV照射に供した。PBS媒体の温度は35℃であった。0.9mmの厚さの試料切片からのUV/Visスペクトル、PerkinElmer Lambda35 UV/Vis分光計を用いて集めた。20年間(実施例17A〜17H)または10年間(実施例17Iおよび17J)に等しい露光からの結果を図2A〜2Jに示す。
【0062】
本発明は、特定の好ましい実施形態を参照することによって説明したが、その特別または本質的な特徴から逸脱せずに、他の具体的な形態またはその変形中で具現化し得ることが理解されよう。したがって、上述の実施形態はすべての観点において例示的であり限定的でないとみなされ、本発明の範囲は前述の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式のベンゾトリアゾール化合物であって、
【化15】
式中、
R1=H、CH3、CH2CH3、またはCH2OHであり、
R2=C1〜C4アルキルまたはC1〜C4アルコキシであり、
R3=H、CH3、CH3O、F、Cl、Br、I、またはCF3である、ベンゾトリアゾール化合物。
【請求項2】
R1=HまたはCH3であり、
R2=C1〜C4アルコキシであり、
R3=H、CH3、CH3O、F、Cl、またはCF3である、
請求項1に記載のベンゾトリアゾール化合物。
【請求項3】
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート、
3−(5−フルオロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレート、
3−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレート、
3−(5−クロロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレート、
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート、
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−メチル−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート、および
2−ヒドロキシ−5−メチル−3−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート
からなる群から選択される、請求項2に記載のベンゾトリアゾール化合物。
【請求項4】
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレートである、請求項3に記載のベンゾトリアゾール化合物。
【請求項5】
3−(5−クロロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレートである、請求項3に記載のベンゾトリアゾール化合物。
【請求項6】
請求項1に記載のベンゾトリアゾール化合物とアクリル単量体およびシリコーン含有単量体からなる群から選択されるデバイス形成単量体とを含む眼用デバイス材料。
【請求項7】
0.1〜3%(w/w)の請求項1に記載のベンゾトリアゾール化合物を含む、請求項6に記載の眼用デバイス材料。
【請求項8】
0.2〜2.5%(w/w)の請求項1に記載のベンゾトリアゾール化合物を含む、請求項7に記載の眼用デバイス材料。
【請求項9】
0.3〜2%(w/w)の請求項1に記載のベンゾトリアゾール化合物を含む、請求項8に記載の眼用デバイス材料。
【請求項10】
式[IV]のデバイス形成単量体を含む、請求項6に記載の眼用デバイス材料であって、
【化16】
式[IV]中、
Aは、H、CH3、CH2CH3、またはCH2OHであり、
Bは、(CH2)mまたは[O(CH2)2]zであり、
Cは、(CH2)wであり、
mは2〜6であり、
zは1〜10であり、
Yは、存在しないか、O、S、またはNR’であり、ただし、YがO、S、またはNR’である場合、Bは(CH2)mであり、
R’は、H、CH3、Cn’H2n’+1(n’=1〜10)、イソ−OC3H7、C6H5、またはCH2C6H5であり、
wは0〜6であり、ただし、m+w≦8であり;
Dは、H、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、C6H5、CH2C6H5またはハロゲンである、眼用デバイス材料。
【請求項11】
式[IV]中で、
AがHまたはCH3であり、
Bが(CH2)mであり、
mが2〜5であり、
Yが存在しないか、またはOであり、
wが0〜1であり、
DがHである、
請求項10に記載の眼用デバイス材料。
【請求項12】
2−フェニルエチルメタクリレート、4−フェニルブチルメタクリレート、5−フェニルペンチルメタクリレート、2−ベンジルオキシエチルメタクリレート、および3−ベンジルオキシプロピルメタクリレート、ならびにそれらの対応するアクリレートからなる群から選択される単量体を含む、請求項11に記載の眼用デバイス材料。
【請求項13】
架橋結合剤を含む、請求項6に記載の眼用デバイス材料。
【請求項14】
反応性青色光吸収化合物を含む、請求項6に記載の眼用デバイス材料。
【請求項15】
請求項1に記載のベンゾトリアゾール化合物を含む眼内レンズ。
【請求項16】
請求項2に記載のベンゾトリアゾール化合物を含む眼内レンズ。
【請求項17】
請求項3に記載のベンゾトリアゾール化合物を含む眼内レンズ。
【請求項18】
請求項6に記載の眼用デバイス材料を含む眼用デバイス。
【請求項19】
眼内レンズ、コンタクトレンズ、人工角膜(keratoprosthesis)、および角膜インレーまたは角膜リングからなる群から選択される、請求項18に記載の眼用デバイス。
【請求項1】
以下の式のベンゾトリアゾール化合物であって、
【化15】
式中、
R1=H、CH3、CH2CH3、またはCH2OHであり、
R2=C1〜C4アルキルまたはC1〜C4アルコキシであり、
R3=H、CH3、CH3O、F、Cl、Br、I、またはCF3である、ベンゾトリアゾール化合物。
【請求項2】
R1=HまたはCH3であり、
R2=C1〜C4アルコキシであり、
R3=H、CH3、CH3O、F、Cl、またはCF3である、
請求項1に記載のベンゾトリアゾール化合物。
【請求項3】
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート、
3−(5−フルオロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレート、
3−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレート、
3−(5−クロロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレート、
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート、
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−メチル−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート、および
2−ヒドロキシ−5−メチル−3−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート
からなる群から選択される、請求項2に記載のベンゾトリアゾール化合物。
【請求項4】
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレートである、請求項3に記載のベンゾトリアゾール化合物。
【請求項5】
3−(5−クロロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレートである、請求項3に記載のベンゾトリアゾール化合物。
【請求項6】
請求項1に記載のベンゾトリアゾール化合物とアクリル単量体およびシリコーン含有単量体からなる群から選択されるデバイス形成単量体とを含む眼用デバイス材料。
【請求項7】
0.1〜3%(w/w)の請求項1に記載のベンゾトリアゾール化合物を含む、請求項6に記載の眼用デバイス材料。
【請求項8】
0.2〜2.5%(w/w)の請求項1に記載のベンゾトリアゾール化合物を含む、請求項7に記載の眼用デバイス材料。
【請求項9】
0.3〜2%(w/w)の請求項1に記載のベンゾトリアゾール化合物を含む、請求項8に記載の眼用デバイス材料。
【請求項10】
式[IV]のデバイス形成単量体を含む、請求項6に記載の眼用デバイス材料であって、
【化16】
式[IV]中、
Aは、H、CH3、CH2CH3、またはCH2OHであり、
Bは、(CH2)mまたは[O(CH2)2]zであり、
Cは、(CH2)wであり、
mは2〜6であり、
zは1〜10であり、
Yは、存在しないか、O、S、またはNR’であり、ただし、YがO、S、またはNR’である場合、Bは(CH2)mであり、
R’は、H、CH3、Cn’H2n’+1(n’=1〜10)、イソ−OC3H7、C6H5、またはCH2C6H5であり、
wは0〜6であり、ただし、m+w≦8であり;
Dは、H、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、C6H5、CH2C6H5またはハロゲンである、眼用デバイス材料。
【請求項11】
式[IV]中で、
AがHまたはCH3であり、
Bが(CH2)mであり、
mが2〜5であり、
Yが存在しないか、またはOであり、
wが0〜1であり、
DがHである、
請求項10に記載の眼用デバイス材料。
【請求項12】
2−フェニルエチルメタクリレート、4−フェニルブチルメタクリレート、5−フェニルペンチルメタクリレート、2−ベンジルオキシエチルメタクリレート、および3−ベンジルオキシプロピルメタクリレート、ならびにそれらの対応するアクリレートからなる群から選択される単量体を含む、請求項11に記載の眼用デバイス材料。
【請求項13】
架橋結合剤を含む、請求項6に記載の眼用デバイス材料。
【請求項14】
反応性青色光吸収化合物を含む、請求項6に記載の眼用デバイス材料。
【請求項15】
請求項1に記載のベンゾトリアゾール化合物を含む眼内レンズ。
【請求項16】
請求項2に記載のベンゾトリアゾール化合物を含む眼内レンズ。
【請求項17】
請求項3に記載のベンゾトリアゾール化合物を含む眼内レンズ。
【請求項18】
請求項6に記載の眼用デバイス材料を含む眼用デバイス。
【請求項19】
眼内レンズ、コンタクトレンズ、人工角膜(keratoprosthesis)、および角膜インレーまたは角膜リングからなる群から選択される、請求項18に記載の眼用デバイス。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図2J】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図2J】
【公表番号】特表2012−508171(P2012−508171A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534883(P2011−534883)
【出願日】平成21年11月3日(2009.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/063120
【国際公開番号】WO2010/053917
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(399054697)アルコン,インコーポレイテッド (102)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月3日(2009.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/063120
【国際公開番号】WO2010/053917
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(399054697)アルコン,インコーポレイテッド (102)
【Fターム(参考)】
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