説明

眼疲労抑制組成物及びそれを含む飲食品

【課題】本発明の目的は、VDT作業などで生じる眼疲労を抑制するための組成物を提供することである。
【解決手段】本発明はレスベラトロールを有効成分とする眼疲労抑制組成物を提供する。本発明の発明者らは、研究を重ねた結果、レスベラトロールが眼疲労を抑制する効果を有することを見出し、本発明の、レスベラトロールを有効成分とする眼疲労抑制組成物を完成した。本発明の組成物は、口腔から吸収され、即効的に眼疲労を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は眼疲労を抑制する組成物およびそれを含む飲食品に関する。さらに本発明は眼疲労に対して即効的に効果を発揮し、さらには、口腔から吸収される形態で投与されることを特徴とする上記組成物、及びそれを含む飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
眼疲労について
社団法人電子情報技術産業協会 EMF専門委員会の報告等(非特許文献1、2)によると、眼の疲労(眼疲労)について以下のように説明される。眼疲労とは、眼が重い、物がぼやけるなどの一般的な眼の疲れであり、一定の休息を取ることによって比較的短時間に回復する疲労である。眼疲労の蓄積により眼精疲労に発展する。眼精疲労とは、疲労状態が著しく病的な状態であり、休息を取っても回復しない。視作業を続けることにより、眼部、鼻根部、前額部の不快感、圧迫、頭痛、視力減衰、めまい、吐き気などを訴える。
【0003】
具体的には、眼疲労は、焦点調節機能に影響を及ぼす毛様体筋などの眼調節系の筋肉疲労と、認知機能に影響を及ぼす視覚情報処理の中枢性疲労の2種類からなる。眼調節系の筋疲労の原因の一つに、近くにあるものを長時間注視し続けることが挙げられる。PCディスプレイや本などの近距離にある物体を長時間注視すると眼の特定の筋肉の緊張状態が続き、筋肉疲労物質が蓄積して眼疲労として現れる。本発明の成果は眼疲労に関するものである。
【0004】
眼疲労抑制の重要性
近年、眼疲労を訴える人は増加しその解決方法が望まれており、温感や冷感を与える商品、目周辺のマッサージ機など多岐にわたる商品が開発されている。眼疲労の原因として、読書、注視作業、観察作業などの目の酷使や精神的緊張によるもの等が挙げられるが、その中でもパーソナルコンピューターの普及に伴い急激に増加してきたVDT(Visual Display Terminal)作業による眼疲労が非常に多くなっており、その解決が望まれている。しかし、作業中でも手軽にでき、かつ即効的に眼疲労状態を改善する方法がなく、新たな改善方法が求められていた。
【0005】
報告されている眼疲労抑制作用のある化合物
これまでに眼疲労や眼精疲労への効果が報告されている化合物として、アスタキサンチン(非特許文献3、4)、クロセチン(非特許文献5)を挙げられるが、これらは長期的に摂取することで効果が認められるのであり、即効的な効果は期待できない。効果が比較的早く認められることが報告されているカシスアントシアニン(非特許文献6、7)でも効果が現れるまでに数時間かかり、かつ効果も十分とは言えない。
【0006】
レスベラトロールについて
レスベラトロールすなわち3,5,4’−トリヒドロキシスチルベンは、種々のトリヒドロ及びテトラヒドロキシスチルベンを含むスチルベンフィトアレキシン群に属する化合物である。レスベラトロールはブドウやイタドリ根や落花生等に含まれ、中でも赤ブドウに最も多く存在し、好ましい薬理学的効果を持つ物質として知られている。これまでにレスベラトロールの薬理効果について以下のような報告がある。特許文献1はレスベラトロールを四肢関節の関節痛や腰痛・坐骨神経痛の再発予防・症状緩和に有用な経口組成物として開示する。特許文献2は、レスベラトロールをペルオキシソーム増殖応答性受容体α活性化により循環器系障害を進展抑制する医薬組成物として開示する。特許文献3はレスベラトロールを風邪およびインフルエンザ様疾患に関連した症状の予防及び治療のための組成物として開示する。特許文献4はレスベラトロールを、足の浮腫み・冷えを改善させる食品組成物として開示する。特許文献5はレスベラトロールを、AMPK活性化作用を有する物質として開示し、さらにレスベラトロールを含む飲食品を脂質代謝活性化剤・肥満抑制剤・糖尿病予防改善剤・肝臓肥大抑制剤・脂肪肝抑制効果を有するとして開示する。特許文献6はレスベラトロールを含む飲食品などを抗炎症用栄養補助食品組成物として開示する。特許文献7はレスベラトロールを含む飲食品を血糖値低下効果を有するとして開示する。特許文献8レスベラトロールが持久力向上効果を有するとして開示する。特許文献9はレスベラトロールを美肌のための組成物として開示する。特許文献10はレスベラトロールをアディポネクチン産生促進剤として開示する。
【0007】
さらに、眼の疾患に関していうと、レスベラトロールがサーチュインを活性化し、それによって眼の各種症状を治療するという方法が開示されている(特許文献11、12、13)。しかし、これらの文献は緑内障や黄斑変性症といった病的症状の患者に対し長期間投与したとき、また眼に直接注射またはインプラントしたときの効果を具体例として挙げており、眼疲労を手軽にかつ即効的に解決することについては、開示も示唆もない。また、非特許文献8はヒト網膜色素上皮細胞を用いた試験で、レスベラトロールが抗酸化能、過増殖抑制作用を有することを示し、また、非特許文献9はレスベラトロールが摘出した豚の網膜細動脈を拡張する作用を有することを報告する。しかし、レスベラトロールは摂取しても腸管吸収により硫酸抱合、グルクロン酸抱合され、レスベラトロールそのものとしてほとんど吸収されないため、これらの知見では眼に直接的に注入しない限り眼疲労に対して即効的な効果は望めない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−72582号公報
【特許文献2】特開2003−300904号公報
【特許文献3】特表2003−505500号公報
【特許文献4】・特開2005−052085号公報
【特許文献5】特開2006−273834号公報
【特許文献6】特表2006−528950号公報
【特許文献7】特開2007−126390号公報
【特許文献8】特開2007−145809号公報
【特許文献9】特開2008−088123号公報
【特許文献10】特開2008−255040号公報
【特許文献11】特開2006−298876号公報
【特許文献12】特表2008−538215号公報
【特許文献13】特表2009−529538号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】技術報告書:JEITA−EMF−R0504「眼精疲労」という用語の使い方などの調査報告
【非特許文献2】ヒューマンインターフェースシンポジウム論文集、RONBUN No.2332、2006
【非特許文献3】臨床眼科 58(6)、1051−1054、2004
【非特許文献4】臨床医薬 21(4)、431−436、2005
【非特許文献5】視覚の科学 28(2)、77−84、2007
【非特許文献6】あたらしい眼科 23(1)、129−133、2006
【非特許文献7】新薬と臨牀 56(2)、180−188、2007
【非特許文献8】Chemico−biological interactions、Jan 15、151(2)、143−149、2005
【非特許文献9】Investigative ophthalmology & visual science、Sep 48(9)、4232−4239、2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、VDT作業などで生じる眼疲労を抑制するための組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明はレスベラトロールを有効成分とする眼疲労抑制組成物を提供する。
本発明の発明者らは、研究を重ねた結果、レスベラトロールが眼疲労を抑制する効果を有することを見出し、本発明のレスベラトロールを有効成分とする眼疲労抑制組成物を完成した。本発明の組成物は、口腔から吸収され、即効的に眼疲労を抑制する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の組成物は、10分間という短時間で、しかも単回摂取するのみで、眼疲労を抑制するという驚くべき即効性を有する。また、本発明の組成物は、1から10mgの摂取で、50mgのカシスアントシアニンと比較し、優位であるという顕著な効果を有する。さらに驚くべきことに、本発明の組成物は、口腔粘膜から吸収され、口腔内にとどめるのみで効果を発する。
また、レスベラトロールはブドウやイタドリ根や落花生等に含まれる物質であり、安全性が高く、消費者のイメージもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】レスベラトロールの効果を確認するための試験における、近点計測定の結果を、被験者ごとに示すものである。
【図2】レスベラトロールの効果を確認するための試験における、近点計測定の結果をまとめたグラフである。
【図3】レスベラトロールの効果の濃度依存性を確認するための試験における、近点計測定の結果を、被験者ごとに示すものである。
【図4】レスベラトロールの効果の濃度依存性を確認するための試験における、近点計測定の結果をまとめたグラフである。
【図5】レスベラトロールが口腔で吸収されることを確認するための試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、レスベラトロールを有効成分とする眼疲労抑制組成物を提供する。レスベラトロールは次の構造式で示される化合物である。
【化1】

1回当たりの投与量は1から10mgが好ましく、さらには、1から6mgであることが好ましい。
【0015】
また、本発明は、眼疲労に対して即効的に効果を発揮することを特徴とする上記眼疲労抑制組成物を提供する。即効的であるとは、投与より5分から1時間以内に効果を発揮し、より好ましくは、投与より10分から30分以内に効果を発揮することを指す。
【0016】
また、本発明は、口腔から吸収される形態で投与されることを特徴とする上記眼疲労抑制組成物を提供する。口腔から吸収される形態とは、口腔内より組成物が取り込まれる形態をいい、具体的には、口腔内で本発明の組成物を含む溶液を1分から10分撹拌した際に、10から30%が吸収されることが望ましい。ただし、本発明の組成物は、生体に安全なものであるから、その後嚥下してもよく、消化器官など、口腔内以外の器官等から併せて吸収が起こることを妨げるものではない。
【0017】
さらには、本発明は、上記眼疲労抑制組成物を含有する飲食品を提供する。飲食品に限定はなく、たとえば、清涼飲料、菓子、冷菓、乳製品、酒類および肉類等の食品を挙げることができる。本発明の組成物が口腔内から吸収されることを鑑みれば、特に、口腔内に滞在する時間の長い、チューインガム、キャンディ、錠菓などが好ましい。なお、飲食品は1回あたりのレスベラトロールの摂取量が1から10mg、さらに好ましくは1から6mgとなるよう調製されていることが望ましい。
【0018】
以下実施例をあげて、本発明の実施形態についてより具体的に説明する。
【実施例1】
【0019】
眼疲労におけるレスベラトロールの効果の測定
<試験方法>
レスベラトロールはサンブライト株式会社製のVINEATROL(登録商標)WDを用いた。この製品は、グリセリン製剤中にレスベラトロール0.30%含有する(分析値)。1回あたりの服用には、このグリセリン製剤2g(レスベラトロールとして6mgを含有)を蒸留水で10mlに定容したものを用いた。
【0020】
カシスアントシアニンはタマ生化学株式会社製の「カシスエキス−35」(粉末)を用いた。本粉末は、粉末中にデルフィニジン−3−ルチノシド、シアニジン−3−ルチノシド、デルフィニジン−3−グルコシド、シアニジン−3−グルコシドの4種を合計して35.0%以上含有する(規格値)。1回あたりの服用には、上記4種の合計が35.0%として、アントシアニンとして50mgを含むよう、粉末142.9mを蒸留水で10mlに定容したものを用いた。
【0021】
被験者は全3名のうち2名については、コントロール期間18日間、レスベラトロール摂取期間9日間、ウォッシュアウト期間14日、カシスアントシアニン摂取期間9日間を設けた。被験者1名については、コントロール期間5日間、レスベラトロール摂取期間5日間、ウォッシュアウト期間5日間、カシスアントシアニン摂取期間5日間を設けた。この試験期間中は毎日夕方に以下の測定を実施した。
【0022】
はじめに、負荷前測定として、近点計測定、眼疲労、身体疲労に関するアンケートを実施した。次に20分間の負荷をかけた。すなわち、−2〜−3デオプターレンズを着用し、明室にて20分間PC作業(文書入力)を実施した。この間、開始から10分間、コントロール期間は何も摂取せず、レスベラトロール摂取期間はレスベラトロール溶液を、カシスアントシアニン摂取期間はカシスアントシアニン溶液を、口に含み舌や頬を使って口腔内撹拌(バッカル吸収)し、吐き出した。その後、さらに10分間入力作業を継続した。負荷試験終了直後に、負荷後測定として近点計測定、眼疲労、身体疲労に関するアンケートを実施した。
【0023】
近点計測定は、両眼開放式定屈折近点計D’ACOMO(株式会社ワック)を用い、取扱説明書に従って調節能力測定を行った。具体的には、指標を被検眼(優位眼)にゆっくり近づけ、被験者に明視し続けるよう指示し、ピントがボケはじめた時の指標の位置を読み取る。これをa cmとすると、100/aが近点の屈折値(単位はDiopter;D)となり、この測定値を用いて解析を行った。一般的に目が疲れるとピント調節力の低下から、ものがはっきり見える一番近い距離(調節近点距離)が次第に遠くなるといわれており、この数値に基づいて眼疲労を測定できるのである。なお、近点計測定は1回の測定において5回行い、解析にはその平均値を用いた。
【0024】
一方、眼疲労、身体疲労に関するアンケートについては、眼疲労に関する項目では目が疲れる、目が痛む、目がかすむ、涙が出る、眼が充血する、目が乾く、瞼を重く感じる、の7項目について、身体疲労に関する項目では頭が痛い、頭が重い、肩がこる、イライラする、の4項目について、まったく感じない、やや感じる、感じる、やや強く感じる、非常に強く感じる、の5段階で評価を行い、まったく感じないを0点、非常に強く感じるを4点として点数化し、解析を行った。
【0025】
これらの実験結果の解析は、群間比較には母平均の多重検定(Tukey)を行い、有意水準0.05として検定を行った。負荷試験実施前後の測定結果の検定にはpaired t検定を行い、有意水準0.05として検定を行った。
【0026】
<試験結果>
被験者2名のコントロール期間18回、レスベラトロールおよびカシスアントシアニン摂取期間9回の近点計測定の結果、および被験者1名の各期間5回の測定結果は以下の表1の通りであった。これをグラフ化すると図1のようになる。
【0027】
【表1】

【0028】
被験者3名の近点計測定の結果をまとめると表2の通りであった。これをグラフ化すると図2のようになる。
【0029】
【表2】

【0030】
コントロール群に比べてレスベラトロール摂取群では、負荷をかけられたことによって低下した屈折値が有意に改善する効果が認められた。カシスアントシアニン摂取群においても有意に改善する結果が得られているが、レスベラトロールの改善効果の方が有意に高いことが明らかになった。
【0031】
一方、眼疲労、身体疲労に関するアンケート結果は表3のようであった。
【0032】
【表3】

【0033】
負荷前から負荷後の値を引いた変化量について被験者3名の解析を行うと、表4のような結果となった。
【0034】
【表4】

【0035】
コントロール群では各項目がマイナスの値となり、悪化が認められているのに対し、レスベラトロール摂取群では目が疲れる、目が乾く、瞼を重く感じる、頭が重いの4項目が有意に改善した。カシスアントシアニン摂取群では目が乾くの1項目で有意に改善が認められた。レスベラトロール摂取群とカシスアントシアニン摂取群の比較においては、瞼を重く感じるにおいて有意に差が認められ、レスベラトロールの方が体感性が高いことが明らかになった。
【実施例2】
【0036】
眼疲労におけるレスベラトロールの効果の濃度依存性の確認
<試験方法>
被験者2名について、コントロール期間5日間、3mgレスベラトロール摂取期間5日間、1mgレスベラトロール摂取期間5日間を設けた。この試験期間中は毎日夕方に実施例1と同様の測定を実施した。ただし、実施例1とは異なり、コントロール期間中、水をバッカル吸収した。
レスベラトロールは、1回あたりの服用に、グリセリン製剤1g(レスベラトロールとして3mgを含有)または0.33g(レスベラトロールとして1mg)を蒸留水で10mlに定容したものを用いた。
【0037】
<試験結果>
コントロールとして水をバッカル吸収した場合と比較し、1、3mgのレスベラトロールのバッカル吸収による疲れ目に対する効果を比較したところ、被験者2名の各期間5回の近点計測定結果は表5のようであった。これをグラフ化すると図3のようになる。
【0038】
【表5】

【0039】
被験者2名の結果をまとめると表6の通りであった。これをグラフ化すると図4のようになる。
【0040】
【表6】

【0041】
1、3mgレスベラトロールの摂取を行うことで用量依存的に屈折値が改善する傾向が認められ、それぞれコントロールに対して有意に改善する結果が得られた。
一方、眼疲労、身体疲労に関するアンケート結果は表7のようであった。
【0042】
【表7】

【0043】
また、負荷前から負荷後の値を引いた変化量について被験者2名の解析を行ったところ、表8のような結果が得られた。
【0044】
【表8】

【0045】
コントロール群では目が疲れる、瞼を重く感じる、頭が重いの項目でマイナスの値となり悪化が認められた。それに対して1mgのレスベラトロールの摂取で目が疲れる、頭が重いの2項目が有意に改善された。用量依存的な改善傾向は認められなかったが、コントロールと比較して両群とも改善傾向は認められており、1〜3mgの摂取により眼疲労、身体疲労が改善されることが明らかになった。
【実施例3】
【0046】
バッカル吸収試験によるレスベラトロールの口腔吸収性の確認
口腔内からレスベラトロールが吸収されることを確認するため、レスベラトロール溶液を口腔内で舌や頬を使って飲み込まないよう一定時間撹拌したとき、吐き出した液中のレスベラトロールの残存率を調べるバッカル吸収試験を行った。
【0047】
<試験方法>
1回当たりの服用のレスベラトロールの摂取量が1または2mgとなるよう、必要量のレスベラトロール製剤を秤量し、37℃に加温した5mM リン酸Buffer(pH6.5)を加え10mlに定容して、試験溶液とした。被験者(2名)は、蒸留水で口をすすぎ、5分間安静にした。その後、上記試験溶液10mlを口に含み、一定時間、飲み込まないように1回/1秒のペースで頬や舌を使って撹拌した。口腔内の溶液を50mlファルコンチューブにできる限り完全に吐き出し、すぐに5mMリン酸塩Buffer(pH6.5)で3回すすぎ(3回合計で20mlのBuffer使用)、吐き出した。吐き出した液を合わせ、残留するレスベラトロールの量を測定した。具体的には、吐き出した溶液をあわせて5mMリン酸塩Buffer(pH6.5)で50mlに定容し、等量のアセトニトリルを添加し、3000rpm、10分、4℃で遠心分離したのち、上清を0.45μmフィルターろ過し、HPLC分析を行った。
【0048】
<試験結果>
3回分の試験結果を解析したところ、表9のような結果が得られた。これをグラフ化すると図5のようになる。
【0049】
【表9】

【0050】
これらの試験結果より、口腔でのレスベラトロールの吸収量は濃度依存的で、1〜2mg/10mlの5分間撹拌試験において20〜25%の吸収率が見込まれることが明らかになった。
【0051】
以下、実施例を挙げて本発明品を更に詳細に説明するが、それらによって本発明品の範囲を制限するものではない。
【0052】
レスベラトロールを約8%含む製剤を用いて、チューインガム、キャンディ、錠菓を常法にて調製した。以下にその処方を示した。
【0053】
なお、各飲食品の1回あたりの摂取量はチューインガム1枚(3g)、キャンディ1粒(5.4g)、錠菓4粒(4.0g)として、レスベラトロールの摂取量が1から10mgとなるよう調製した。
【実施例4】
【0054】
下記処方にしたがってチューインガムを調製した。
ガムベース 20.0%
砂糖 54.7
グルコース 15.0
水飴 9.3
香料 0.5
レスベラトロール含有製剤 0.5
100.0%
【実施例5】
【0055】
下記処方にしたがってチューインガムを調製した。
ガムベース 20.0%
砂糖 54.0
グルコース 10.0
水飴 13.0
香料 0.5
レスベラトロール含有製剤 2.5
100.0%
【実施例6】
【0056】
下記処方にしたがってチューインガムを調製した。
ガムベース 20.0%
砂糖 50.5
グルコース 14.0
水飴 13.0
香料 0.3
レスベラトロール含有製剤 1.2
100.0%
【実施例7】
【0057】
下記処方にしたがってキャンディを調製した。
砂糖 50.0%
水飴 33.0
クエン酸 1.0
香料 0.2
L−メントール 1.0
レスベラトロール含有製剤 0.3
水 14.5
100.0%
【実施例8】
【0058】
下記処方にしたがってキャンディを調製した。
砂糖 38.0%
水飴 41.0
クエン酸 1.0
香料 0.2
レスベラトロール含有製剤 1.5
水 18.3
100.0%
【実施例9】
【0059】
下記処方にしたがって錠菓を調製した。
砂糖 76.3%
グルコース 19.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
香料 0.2
レスベラトロール含有製剤 0.3
水 4.0
100.0%
【実施例10】
【0060】
下記処方にしたがって錠菓を調製した。
砂糖 74.7%
乳糖 18.9
ショ糖脂肪酸エステル 0.15
レスベラトロール含有製剤 2.0
水 4.25
100.0%
【実施例11】
【0061】
下記処方にしたがって錠菓を調製した。
砂糖 73.7%
乳糖 18.9
ショ糖脂肪酸エステル 0.15
レスベラトロール含有製剤 3.12
水 4.13
100.0%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レスベラトロールを有効成分とする眼疲労抑制組成物。
【請求項2】
眼疲労に対して即効的に効果を発揮することを特徴とする請求項1の眼疲労抑制組成物。
【請求項3】
口腔から吸収される形態で投与されることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の眼疲労抑制組成物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の眼疲労抑制組成物を含有する飲食品。
【請求項5】
1回あたりのレスベラトロールの摂取量が1から10ミリグラムとなるよう調製された請求項4の飲食品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−10714(P2013−10714A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144389(P2011−144389)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(307013857)株式会社ロッテ (101)
【Fターム(参考)】