説明

眼病治療のための組成物及び方法

この発明は、眼病を治療する方法であって、式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、又はオキシリピン化合物を投与することを含む当該方法に関係する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2007年10月12日出願の米国暫定特許出願第60/998,677号及び2008年4月25日出願の米国暫定特許出願第61/125,463号の優先権の利益を請求するものである(これらの出願は、参考として、そっくりそのまま、本明細書中で援用する)。
【背景技術】
【0002】
米国において、約247人に一人(110万人を超える人々)が、法律上、盲人である。世界的には、4,200万人の人々が盲目であると見積もられている。更に多くの人々が、他の重篤な網膜の異常に苦しんでいる。
【0003】
インドにおける盲目の研究は、62%が白内障により、19%が屈折障害により、そして5.8%が未治療の緑内障により引き起こされることを示している。しかしながら、西側世界においては、制限はしないが、糖尿病性網膜症、色素性網膜炎(RP)、湿潤性及び乾燥性の加齢関連黄斑変性(ARMD)、黄斑浮腫を含む炎症性疾患、中心静脈閉塞、網膜を冒すブドウ膜炎、増殖性硝子体網膜症が、遥かに一般的な盲目の原因である。
【0004】
糖尿病性網膜症は、網膜疾患の他の一般的な形態である。ダイエット、運動及び薬物療法が、網膜における糖尿病の影響を大いに軽減しうるとはいえ、糖尿病性網膜症に対する特効性の治療又は予防法はない。
【0005】
同様に、緑内障は、高い眼内圧により最も一般的に(他を排除するものではないが)特徴付けられる病気であり、それは又、網膜及び視神経の変性をも含む。高い眼内圧は、例えば、β−アドレナリン作動性レセプターのアンタゴニスト例えばチモロール及びα−アドレナリン作動性レセプターのアゴニスト例えばブリモニジンによる統御を受けやすいが、緑内障に伴う神経変性は、不可逆的であり、眼内圧を下げるだけでは決定的停止はできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先進世界においては、60歳より高齢の成人において盲目を引き起こす最も一般的な網膜疾患は、加齢関連黄斑変性(AMD)である。米国において、この年齢範囲内の人口区分は、着実に増加しており、この病気に対する有効な治療をしなければ、AMD患者数が増えることはありそうなことである。AMDは、網膜斑の特定の神経及び上皮層の機能が漸進的に低下する。この病気の臨床像は、ドルーゼンの存在、網膜色素上皮(RPE)過形成、地理的萎縮(geographic atrophy)、及び脈絡膜の新血管新生(CNV)を含む。萎縮性AMDは、外側網膜及びRPEの萎縮及び下に隣接している脈絡毛細管の退行により特徴付けられ、重い中心視覚喪失を有する患者の約25%を占める。滲出性(即ち「湿潤性」)AMDは、RPE及び網膜下でのCNV成長及びその後の出血、滲出性網膜剥離、円板状(diciform)瘢痕及び網膜萎縮により特徴付けられる。色素上皮剥離も又、起こりうる。滲出性AMDは、重い中心視覚喪失を有するAMD患者の約75%を占める。現在、この病気に対する殆どの治療は、この病気の比較的進行した症状に苦しんでいる患者に対して最も助けとなる治療を含んでいる。これらの治療は、レーザー光凝固術、光力学的療法及び外科手術(CNVが含まれる場合)を含む。しかしながら、現在、この病気の初期段階に対する有効な治療法はない。この及び他の眼病に対する更なる治療法に対する要求が残っている。
【0007】
ドライアイ、又は乾性角結膜炎は、世界人口のかなりの割合に影響を及ぼしている一般的な眼科学的疾患である。これらの個人の何人かは、シェーグレン病を患っている。閉経後の女性は、ドライアイ人口の他の部分を構成している。ドライアイは、異なった重篤度で個体を悩ましうる。軽度の症例では、患者は、灼熱感、乾燥感、及び他の眼の不快症状を経験しうる。重い症例では、視力がかなり減じうる。
【0008】
ドライアイは、様々な関連のない病因を有しうるが、すべては、共通の効果として、眼の涙被膜の破損、及び露出した外側眼表面の脱水とそれに続く損傷を共有している。
【0009】
シェーグレン症候群として知られる全身性自己免疫疾患に苦しんでいる個人は、典型的に、重いドライアイに苦しんでいる。この病気においては、涙腺の炎症が正常な分泌過程を害して、涙被膜の異常を生じる。眼の表面の変化は、様々な炎症のメディエーターの産生及び蓄積を含む。
【0010】
ドライアイに対する以前の治療は、緩和剤例えば人工涙配合物と薬物例えば局所用ステロイド、局所用レチノイド(例えば、ビタミンA)、経口用ピロカルピン及び局所用シクロスポリンの両方を含んだ。一般に、緩和剤治療は、ドライアイの症状の幾つかの短期的軽減を与えることができるが、これらの緩和用生成物は、一般に、ドライアイ状態の生理学的原因を排除するのではないので、この軽減を維持するには、これらの生成物の眼への頻繁な適用が必要とされる。これらの薬物療法は、ドライアイ状態の治療に限定的な成功を有してきたが、これは、典型的には、この薬物が、ドライアイ状態の根本原因を排除又は低減することができないこと、患者の眼全体の健康を脅かす薬物の副作用、若しくは患者が治療に従順でなかった結果、又はこれらの因子の組合せに起因するものである。
【0011】
例えば、ある種のグルココルチコイドは、このクラスの他の化合物よりも、眼内圧(「IOP」)を上昇させる一層大きい潜在能力を有している。かかる化合物の一つであるプレドニゾロンは、非常に強力な眼の抗炎症剤であるが、中程度の眼の抗炎症活性を有するフルオロメトロンよりもIOPを上昇させる傾向が一層大きい。このグルココルチコイドの眼への局所的使用に関連したIOP上昇のリスクは、経時的に増大する。換言すれば、慢性的(即ち、長期間の)これらの薬剤の使用は、有意のIOP上昇のリスクを増大させる。
【0012】
細菌感染又は物理的外傷に伴う急性の眼の炎症(これらは、数週間の短期治療を必要とする)と異なり、ドライアイ状態は、一般に数カ月以上の長期間にわたる治療を必要とする。コルチコステロイドの慢性的使用は、IOP上昇のリスクを有意に増大させる。コルチコステロイド長期使用は、典型的には、白内障形成のリスクを増大させる。
従って、一層有効な眼病用治療剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、患者の眼病を治療する方法であって、該患者に式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリンとオメガ−3脂肪酸の組合せ、を投与することを含む、当該方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、患者の眼病を治療する方法であって、該患者に、式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリンとオメガ−3脂肪酸の組合せ、を投与することを含む当該方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】IL−6(a)及びIL−8(b)などの炎症メディエーターの緊張亢進誘導性放出の、化合物Xによる治療における阻害を示す図である。
【図2】IL−6(a)及びIL−8(b)などの炎症メディエーターの緊張亢進誘導性放出の、化合物Zによる治療における阻害を示す図である。
【図3】マウスドライアイモデルにおけるゴブレット細胞の喪失の、化合物V又はWによる治療における防止を示す図である。
【図4】化合物V又はWによる治療の際の、マウスドライアイモデルにおける角膜染色の減少及び角膜の完全性を示す図である。
【図5】化合物V又はWによる治療の際の、マウスドライアイモデルにおけるプロ炎症酵素アルギナーゼ(a)及びCox−2(b)の過剰発現のブロックを示している図である。
【図6】化合物X又はZによる治療の際の、網膜色素上皮細胞における酸化的ストレス誘発性アポトーシスのイン・ビトロ阻害を示している図である。
【図7】化合物X、Z又は48aによる治療の際の、実験的脈絡膜新血管新生における、脈絡膜の血管漏出の、7日目及び14日目における減少を示す図である。
【図8】化合物X又はZによる治療の際の、実験的脈絡膜新血管新生における、脈絡膜の血管漏出の、7日目における減少を示す図である。
【図9】化合物X又はZによる治療の際の、実験的脈絡膜新血管新生における、脈絡膜の血管漏出の、14日目における減少を示す図である。
【図10】化合物48aによる治療の際の、実験的脈絡膜新血管新生における、脈絡膜の血管漏出の、7日目及び14日目における減少を示す図である。
【図11】化合物X、Z又は48aによる治療の際の、実験的脈絡膜新血管新生における、脈絡膜病変の大きさの、14日目における減少を示す図である。
【0016】
式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリンとオメガ−3脂肪酸の組合せ、を投与することにより治療することのできる眼病の例には、AIDS関連網膜疾患;加齢関連黄斑変性;アルカリ腐食性角結膜炎;アレルギー性角膜炎;前部虚血性視神経症;前部ブドウ膜炎(虹彩毛様体炎);ベーチェット病;眼瞼炎;脂漏性眼瞼炎;小管炎;白内障;中心漿液性網脈絡膜症;脈絡膜炎;慢性ブドウ膜炎;コーツ病;結膜炎(例えば、感染性結膜炎、新生児結膜炎、非感染性結膜炎、及びアレルギー性結膜炎);コンタクトレンズ誘発性角結膜炎;接触性湿疹;角膜潰瘍(例えば、モーレン潰瘍、慢性関節リウマチ又は膠原病後の角膜潰瘍、感染性角膜潰瘍);水晶体網膜症;毛様体炎;浮腫(例えば、類嚢胞黄斑浮腫);涙腺炎;涙嚢炎;変性近視;変性網膜分離症;糖尿病性角膜症;ドライアイ疾患(例えば、涙腺系のドライアイ又は角膜のドライアイ);乾燥性加齢関連黄斑変性;眼内炎;上鞏膜炎;滲出性黄斑浮腫;フックスジストロフィー;巨細胞動脈炎;巨乳頭結膜炎;緑内障(例えば、一次開放隅角緑内障、一次閉鎖隅角緑内障、二次開放隅角緑内障、二次閉鎖隅角緑内障、及び小児期緑内障);緑内障手術の失敗;眼の移植片対宿主病(しばしば、ドライアイから生じる);ヘルペス帯状疱疹(帯状ヘルペス);高血圧性網膜症;白内障手術後の炎症;ICE症候群;虹色細胞炎;虹彩炎;角膜炎(例えば、感染性角膜炎、非感染性角膜炎、及び顔面神経麻痺性角膜炎);乾性角結膜炎;角結膜炎炎症性疾患;円錐角膜;角膜症;格子ジストロフィー;マップドットフィンガープリントジストロフィー;壊死性角膜炎;網膜、眼球血管膜又は角膜(新血管新生緑内障など)の新血管新生を含む新血管新生疾患(炎症性、移植、虹彩の発育不全)、組み合わせた硝子体切除及び水晶体切除術後に起きる新血管新生、視神経の新血管新生、及び眼の穿通又は打撲による眼の傷害による新血管新生;眼のヘルペス;眼の酒さ;眼の感染症(例えば、角膜ヘルペス、細菌性角膜炎、細菌性結膜炎、真菌性の角膜炎、アカントアメーバ性角膜炎、感染性眼内炎、感染性角膜潰瘍、結膜又は角膜の、ブドウ球菌、連鎖球菌、腸球菌、エウテロ球菌、バチルス、コリネバクテリウム、クラミジア及びナイセリア属双球菌による炎症);眼の類天疱瘡;視神経円板ドルーゼン;視神経炎;全葡萄膜炎;乳頭水腫;乳頭炎;扁平部炎;持続性黄斑浮腫;水晶体アナフィラキシー;後部ブドウ膜炎(脈絡網膜炎);手術後の炎症(例えば、角膜のLASIK後の炎症);増殖性糖尿病性網膜症;増殖性鎌型細胞網膜症;増殖性硝子体網膜症;網膜動脈閉塞;網膜剥離;網膜脈管炎;網膜静脈閉塞;色素性網膜炎;未熟児網膜症;虹彩血管新生;鞏膜炎;スティーヴンズ-ジョンソン症候群(多形性紅斑);交感性眼炎;側頭動脈炎;毒素性網膜症;ブドウ膜炎(例えば、前部ブドウ膜炎又は後部ブドウ膜炎);春季結膜炎;ビタミンA欠乏性角質軟化症;硝子体炎;及び湿潤性加齢関連黄斑変性が含まれる。
【0017】
ある具体例において、式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリンとオメガ−3脂肪酸の組合せ、の投与により治療することのできる眼の病気には、AIDS関連網膜異常;前方虚血性神経症;ベーチェット病;眼瞼炎;脂漏性眼瞼炎;小管炎;白内障;中心性漿液性網脈絡膜症;脈絡膜炎;コーツ病;接触湿疹;角膜潰瘍(例えば、モーレン潰瘍、慢性関節リウマチ又は膠原病後の角膜潰瘍、テリエン辺縁変性、カタル性角膜潰瘍、感染性角膜潰瘍);水晶体網膜症;毛様体炎;浮腫(例えば、類嚢胞黄斑浮腫);涙腺炎;涙嚢炎;変性近視;糖尿病性角膜症;糖尿病性黄斑浮腫;ドライアイ疾患(例えば、涙組織のドライアイ又は角膜のドライアイ);眼内炎;上鞏膜炎;滲出性黄斑浮腫;フックスジストロフィー;巨細胞性動脈炎;緑内障(例えば、一次開放隅角緑内障、一次閉鎖隅角緑内障、二次開放隅角緑内障、二次閉鎖隅角緑内障、及び小児期緑内障);緑内障手術の失敗;移植片の拒絶;ヘルペス帯状疱疹(帯状ヘルペス);高血圧性網膜症;白内障手術後の炎症;ICE症候群;虹色細胞炎;角膜炎(例えば、感染性角膜炎、非感染性角膜炎、及び顔面神経麻痺性角膜炎);乾性角結膜炎;角結膜炎炎症性疾患;円錐角膜;角膜症;格子ジストロフィー;マップドットフィンガープリントジストロフィー;壊死性角膜炎;網膜、眼球血管膜又は角膜(新血管新生緑内障など)の新血管新生を含む新血管新生疾患(炎症性、移植、虹彩の発育不全)、組み合わせた硝子体切除及び水晶体切除術後に起きる新血管新生、視神経の新血管新生、及び眼の穿通又は打撲による眼の傷害による新血管新生;眼のヘルペス;眼の酒さ;眼の感染症(例えば、角膜ヘルペス、細菌性角膜炎、細菌性結膜炎、真菌性の角膜炎、アカントアメーバ性角膜炎、感染性眼内炎、感染性角膜潰瘍、結膜又は角膜の、ブドウ球菌、連鎖球菌、腸球菌、エウテロ球菌、バチルス、コリネバクテリウム、クラミジア及びナイセリア属双球菌による炎症);眼の類天疱瘡;視神経円板ドルーゼン;視神経炎;全葡萄膜炎;乳頭水腫;乳頭炎;扁平部炎;持続性黄斑浮腫;水晶体アナフィラキシー;手術後の炎症(例えば、角膜のLASIK後の炎症);増殖性鎌型細胞網膜症;網膜動脈閉塞;網膜剥離;網膜脈管炎;網膜静脈閉塞;色素性網膜炎;未熟児網膜症;スティーヴンズ-ジョンソン症候群(多形性紅斑);交感性眼炎;側頭動脈炎;毒素性網膜症;ビタミンA欠乏性角質軟化症;及び硝子体炎が含まれる。
【0018】
ドライアイにより引き起こされる病気には、ライリーデイ症候群、シャイ‐ドレーガー症候群、シェーグレン症候群、サルコイドーシス、アミロイドーシス、放射線療法の後遺症、兎眼、ビタミンA欠乏症、スティーヴンズ-ジョンソン症候群、眼の類天疱瘡、眼瞼縁炎、マイボーム腺炎、眼内手術の後遺症、コンタクトレンズの影響、糖尿病性角膜上皮症、VDT操作によるドライアイなどが含まれる。角膜感染性疾患により引き起こされる異常には、例えば、ウイルス性上皮症などが含まれる。幹細胞涸渇症候群には、スティーヴンズ-ジョンソン症候群、眼の類天疱瘡、熱又は化学薬品による火傷、イドクスウリジン(IDU)及び緑内障の治療剤の薬物毒性などが含まれる。本発明は、患者の眼におけるCOX−2又はTNFを阻害する方法であって、該患者に、式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリンとオメガ−3脂肪酸の組合せ、を投与することを含む当該方法を提供する。本発明は、更に、患者の眼におけるゴブレット細胞の喪失から保護する方法であって、該患者に、式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリンとオメガ−3脂肪酸の組合せ、を投与することを含む当該方法をも含む。
【0019】
ここに記載された化合物は又、TNF、IL−1a、IL−1b、IL−6及びIL−8を含む角膜における炎症メディエーターの阻害をも示している。従って、これらの化合物は、ドライアイ疾患、加齢関連黄斑変性、未熟児網膜症、ブドウ膜炎、及び緑内障の治療において有用でありうる。
【0020】
ここに記載された化合物は又、角膜におけるCOX−2阻害をも示した。従って、これらの化合物は、ドライアイ疾患の治療において有用でありうる。
【0021】
ここに記載された化合物は又、ゴブレット細胞喪失の防止をも示した。従って、これらの化合物は、ドライアイ疾患、加齢関連黄斑変性、未熟児網膜症、色素性網膜炎、及び緑内障の治療において有用でありうる。ここに記載された化合物は又、ドライアイの治療に関して2つの終点であるところの涙の生成及び表面上皮細胞の密度を有意に増大させることをも示した。
【0022】
ここに記載された化合物は、CD11b+細胞を阻害する。ドライアイの動物モデルは、CD11b+細胞の増加を示しており、これは、角膜における白血球の増大した存在を示唆している。従って、これらの化合物は、ドライアイにより誘導された白血球の生存を減少させることによって、ドライアイの治療において有用でありうる。
【0023】
ここに記載された化合物は又、色素沈着した網膜上皮の破壊の防止をも示した。従って、これらの化合物は、加齢関連黄斑変性、未熟児網膜症、色素性網膜炎、及び緑内障の治療において有用でありうる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の方法で用いるのに適した化合物は、下記式Aのものを包含する
【化1】

{式中、
各W’及びY’は、最大で20原子を含む環又は最大で20原子を含む鎖から独立に選択される結合又はリンカーである(但し、W’及びY’は、独立に、一つ以上の窒素、酸素又は硫黄又はリン原子を含むことができ、更に、W’及びY’は、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ホスホリル、又はスルホニルから独立に選択される一つ以上の置換基を含むことができ、更に、W’及びY’は、独立に、一つ以上の融合した炭素環式、ヘテロ環式、アリール又はヘテロアリール環を含むことができ、更に、o’が0であって、V1
【化2】

である場合には、Y’は、炭素原子を介してV1と結合される);
1は、
【化3】

から選択され、
q’が0であって、V3が結合である場合には、n’は、0又は1であり;
別の選択肢として、n’は、1であり;
2は、結合
【化4】

から選択され、式中
L’は、−C(R1003)(R1004)−から選択され、ここに、R1003及びR1004は、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、アリール又はヘテロアリールから選択され、又はR1003及びR1004は、一緒に、炭素環式又はヘテロ環式環を形成し;V3
【化5】

である場合には、L’は追加的にW’から選択され、n’は、0又は1であり;
3は、結合又は
【化6】

から選択され、ここに、
各R1001及びR1002は、各出現につき独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルコキシ、又はハロから選択され、該アルキル又はアリール含有部分は、3つ以下の独立に選択された置換基で置換されていてよく;
a'及びRb'は、各出現につき独立に、−OR’又は−N(R’)2から選択され、又は隣接するRa'及びRb'は、一緒に、シス又はトランスの配置を有するエポキシド環を形成し、ここに、各R’は、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、シリル、アルコキシアシル、アミノアシル、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、又は保護基から選択され;
又はV1
【化7】

であって、V2
【化8】

である場合には、
1002及びRb'は、共に、水素であり;
X’は、−CN、−C(NH)N(R”)(R”)、−C(S)−A’、-C(S)R”、−C(O)−A’、−C(O)−R”、−C(O)−SR”、−C(O)−NH−S(O)2−R”、−S(O)2−A’、−S(O)2−R”、S(O)2N(R”)(R”)、−P(O)2A’、−PO(OR”)−A’、−テトラゾール、アルキルテトラゾール、又は−CH2OHから選択され、ここに
A’は、−OR”、−N(R”)(R”)又は−OM’から選択され;
各R”は、独立に、水素、アルキル、アリール、アリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル又は検出可能な標識分子から選択され、ここに、任意のアルキル−、アリール−又はヘテロアリール−含有部分は、最大で3つの独立に選択された置換基により置換されていてよく;そして
M’は、カチオンであり;
G’は、水素、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド又は検出可能な標識分子から選択され、ここに、任意のアルキル−、アリール−又はヘテロアリール−含有部分は、最大で3つの独立に選択された置換基により置換されていてよく;
o’は、0、1、2、3、4、又は5であり;
p’は、0、1、2、3、4、又は5であり;
q’は、0、1、又は2であり;そして
o’+p’+q’は、1、2、3、4、5又は6であり;
ここに、
2が結合であるならば、q’は、0であって、V3は結合であり;
3
【化9】

であるならば、o’は0であり、V1は、
【化10】

であり、p’は1であり且つV2
【化11】

であり;
任意の非環式の二重結合は、シス若しくはトランス配置であってよく、三重結合により置換されてもよく;そして
この化合物の一つの
【化12】

部分(存在する場合)は、
【化13】

により置換されていてよく、又はこの化合物の一つの
【化14】

部分(存在する場合)は、
【化15】

(式中、Q’は、一つ以上の置換基を表し、各Q’は、独立に、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ又はアミノカルボニルから選択される)により置換されていてよい}。
【0025】
ある具体例において、V1は、
【化16】

から選択される。
【0026】
ある具体例において、V2は、
【化17】

から選択される。
【0027】
ある具体例において、q’は0であり、V3は結合であり、n’は0又は1であり;別の選択肢として、n’は1である。
【0028】
ある具体例において、p’は、0、1、2、3、又は5である。
【0029】
ある具体例において、q’は、0又は1である。
【0030】
ある具体例において、V1が、
【化18】

であるならば、o’は0又は1であり、p’は、1又は2であり、o’+p’は、1又は2であり、V2は、
【化19】

であり、そしてV3は結合である。
【0031】
ある具体例において、V1が、
【化20】

であるならば、o’は、3、4又は5であり、p’は0、1又は2であり、o’+p’は、4又は5であり、V2は、結合である。
【0032】
ある具体例において、V2が結合であるならば、o’は0、3、4又は5であり、p’は0、1、2又は5であり、o’+p’は、4又は5であり、q’は0であり、V3は結合である。
【0033】
ある具体例において、W’及びY’の各々は、独立に、結合又は低級アルキル又はヘテロアルキル(アルケニル、アルキニル、アリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アミノ又はオキソから独立に選択される一つ以上の置換基により置換されていてよい)から選択される。
【0034】
ある具体例において、式Aの化合物は、式48、48a、48b、48c、又は48dの化合物と異なる。
【0035】
式Aのある具体例において、o’が2である場合には、V1は、
【化21】

であり、p’は1であり、V2は、
【化22】

であり、q’は1であり、V3は結合である(R1001の少なくとも一つの出現は、水素以外である)。
【0036】
この発明の方法において用いるのに適した化合物は、下記式1のもの、又は製薬上許容しうるそれらの塩を含む
【化23】

{式中、
炭素a’及びb’は、二重結合又は三重結合により結合されており;
炭素c’及びd’は、二重結合又は三重結合により結合されており;
Re、Rf及びRgは、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル(例えば、アルコキシアシル、アミノアシル)、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル又はシリルから選択され;
Rh、Ri及びRjは、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アリール又はヘテロアリールから選択され;
Iは、−C(O)−E、−SO2−E、−PO(OR)−Eから選択され(Eは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、又はアリール網のであり;Rは水素又はアルキルである);
J、L及びHは、20以下の原子を含む環又は20以下の原子の鎖から独立に選択されるリンカーであり;但し、J、L及びHは、独立に、一つ以上の窒素、酸素、硫黄又はリン原子を含むことができ、更に、J、L及びHは、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ホスホリル、及びスルホニルから選択される少なくとも一つの置換基を含むことができ、更に、J、L及びHは又、一つ以上の融合した炭素環式、ヘテロ環式、アリール又はへテロアリール環を含むこともでき、そして、リンカーJは、隣接するC(R)OR基に炭素原子を介して結合され;
Gは、水素、アルキル、パーフルオロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ又はカルボキサミドから選択される}。
【0037】
ある具体例において、この化合物の製薬上許容しうる塩が、Eを誘導体化することにより形成される(式中、Eは、−OMであり、ここに、Mは、アンモニウム、テトラ−アルキルアンモニウム、Na、K、Mg及びZnから選択されるカチオンである)。
【0038】
幾つかの具体例において、式1の化合物は、式2により表される
【化24】

(式中、
E、Re、Rf、及びRgは、上で定義した通りである)。
【0039】
ある具体例において、この化合物の製薬上許容しうる塩は、Eを誘導体化することにより形成される(式中、Eは、−OMであり、ここに、Mは、アンモニウム、テトラ−アルキルアンモニウム、Na、K、Mg及びZnから選択される)。
【0040】
式2の典型的化合物は、化合物2aを含む
【化25】

【0041】
ある具体例において、式1の化合物は、式3により表される
【化26】

(式中、
E、Re、Rf、及びRgは、上で定義した通りである)。
【0042】
ある具体例において、この化合物の製薬上許容しうる塩は、Eを誘導体化することにより形成される(式中、Eは、−OMであり、ここに、Mは、アンモニウム、テトラ−アルキルアンモニウム、Na、K、Mg及びZnから選択される)。
【0043】
式3の典型的化合物は、化合物3a
【化27】

及び化合物3b
【化28】

を含む。
【0044】
式1の更なる典型的化合物は、化合物X
【化29】

及びその製薬上許容しうる塩及びエステルを含む。
【0045】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式4のもの、又は製薬上許容しうるそれらの塩を含む
【化30】

{式中、
Aは、H又は−OP4であり;
1、P2及びP4は、各々独立に、保護基又は水素原子であり;
1及びR2は、各々独立に、置換された又はされてない、分枝した又はしてないアルキル、アルケニル、又はアルキニル基、置換された又はされてないアリール基、置換された又はされてない、分枝した又はしてないアルキルアリール基、ハロゲン原子、水素原子であり;
Zは、−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(O)H、−C(NH)NRcc、−C(S)H、−C(S)ORd、−C(S)NRcc、−CN、好ましくは、カルボン酸、エステル、アミド、チオエステル、チオカルボキサミド又はニトリルであり;
各Ra(存在する場合)は、水素、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4−C11)シクロアルキルアルキル、(C5−C10)アリール、フェニル、(C6−C16)アリールアルキル、ベンジル、2−6員のヘテロアルキル、3−8員のヘテロシクリル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4−11員のヘテロシクリルアルキル、5−10員のヘテロアリール及び6−16員のヘテロアリールアルキルから独立に選択され;
各Rb(存在する場合)は、=O、−ORd、(C1−C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcc、ハロゲン、−CF3、−CN、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2d、−S(O)2ORd、−S(O)NRcc、−S(O)2NRcc、−OS(O)Rd、−OS(O)2d、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(NH)NRcc、−C(NRa)NRcc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcc、−OC(NH)NRcc、−OC(NRa)NRcc、−[NHC(O)]nd、−[NRaC(O)]nd、−[NHC(O)]nORd、−[NRaC(O)]nORd、[NHC(O)]nNRcc、−[NRaC(O)]nNRcc、−[NHC(NH)]nNRcc及び−[NRaC(NRa)]nNRcc;から独立に選択される適当な基であり;
各Rc(存在する場合)は、独立に、保護基又はRaであり、又はもう一つの選択肢として、2つのRcが、それらが結合している窒素原子と共に5〜8員のヘテロシクリル又はヘテロアリールとなり、これは、一つ以上の追加的へテロ原子を含むことができ、一つ以上の同一又は異なるRaまたは適当なRb基により置換されていてよく;
各nは、独立に、0〜3であり;
各Rdは、独立に、保護基又はRaである}。
【0046】
式4の典型的化合物は、化合物4a、
【化31】

化合物4b、
【化32】

及び製薬上許容しうるこれらの塩及びエステルを含む。
【0047】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式5のもの、又は製薬上許容しうるそれらの塩を含む
【化33】

(式中、
炭素ii’〜炭素jj’結合の立体化学は、シス又はトランスであり;
3は、保護基又は水素原子であり;そして
1、P2、R1及びZは、上で、式4で定義した通りである)。
【0048】
ある具体例において、炭素ii’〜炭素jj’結合の立体化学は、トランスである。
【0049】
式5の典型的化合物は、化合物5a、
【化34】

化合物5b、
【化35】

及び、製薬上許容しうるこれらの塩及びエステルを含む。
【0050】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式6のもの、又は製薬上許容しうるそれらの塩を含む
【化36】

(式中、
炭素gg’〜炭素hh’結合の立体化学は、シス又はトランスであり;
各Xは、水素を表すか又は、一緒になって置換された若しくはされてないメチレン、酸素原子、置換された若しくはされてないN原子、又は硫黄原子を表して、3員環が形成され;そして
1、P2、R3、R1及びZは、上で定義した通りである)。
【0051】
ある具体例において、炭素gg’〜炭素hh’結合の立体化学は、トランスである。
【0052】
式6の典型的化合物は、化合物6a、
【化37】

化合物6b、
【化38】

及び、製薬上許容しうるこれらの塩及びエステルを含む。
【0053】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式7のもの、又は製薬上許容しうるそれらの塩を含む
【化39】

{式中、
炭素e’とf’は、二重結合又は三重結合により結合されており、炭素e’が炭素f’と二重結合により結合されている場合には、その立体化学は、シス又はトランスであり;
炭素g’とh’は、二重結合又は三重結合により結合されており、炭素g’が炭素h’と二重結合により結合されている場合には、その立体化学は、シス又はトランスであり;
mは、0又は1であり;
T’は、水素、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C5−C14)アリール、(C6−C16)アリールアルキル、5−14員のヘテロアリール、6−16員のヘテロアリールアルキル、又は−CH=CHCH2CH3であり;
Tは、−(CH2)q−又は−(CH2)q−O−(式中、qは、0〜6の整数である)であり;
Z’は、(C1−C6)アルキレン(1、2、3、4、5又は6個の同一又は異なるハロゲン原子、−(CH2)p−O−CH2−又は−(CH2)m−S−CH2−(式中、pは、0〜4の整数である)置換されていてよい)であり;
11、R12及びR13は、各々独立に、置換された又はされてない、分枝した又はしてないアルキル、アルケニル、又はアルキニル基、置換された又はされてないアリール基、置換された又はされてないアルキルアリール基、C1-4アルコキシ、ハロゲン原子、−CH214、−CHR1414、−CR141414、又は水素原子であり;
14は、各出現につき独立に、−CN、−NO2又はハロゲンから選択され;
1、P2、P3及びZは、上で定義した通りである}。
【0054】
ある具体例において、炭素e’及びf’は、シス二重結合により結合されている。
【0055】
ある具体例において、炭素g’及びh’は、二重結合により結合されている。
【0056】
ある具体例において、炭素e’及びf’は、シス二重結合により結合され、炭素g’及びh’は、二重結合により結合されている。
【0057】
式7の典型的化合物は、化合物7a、
【化40】

化合物7b、
【化41】

及び、製薬上許容しうるこれらの塩及びエステルを含む。
【0058】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式8のもの、
【化42】

(式中、
炭素i’〜炭素j’の立体化学は、シス又はトランスであり;
mは、0又は1であり;
D’は、CH3、−CH=CHCH2U又は−CH=CHCH2CH2Aであり;
Uは、分枝した又はしてない、置換された又はされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アルコキシカルボニルオキシ、及びアリールオキシカルボニルオキシ基であり;
Aは、H又は−OP4であり;
1、P2、P4、R1、R2及びZは、上で定義した通りである)
又は製薬上許容しうるそれらの塩を含む。
【0059】
ある具体例において、この炭素i’〜炭素j’結合の立体化学は、シスである。
【0060】
式8の典型的化合物は、化合物8a、
【化43】

化合物8b、
【化44】

化合物8c、
【化45】

及び製薬上許容しうるこれらの塩及びエステルを含む。
【0061】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式9のもの、
【化46】

(炭素k’及びl’は、二重結合又は三重結合により結合され、炭素k’が炭素l’に二重結合により結合されている場合には、その立体化学は、シス又はトランスであり;
炭素m’〜炭素n’二重結合の立体化学は、シス又はトランスであり;
mは、0又は1であり;
Dは、−CH3又は−CH=CHCH2CH3であり;
1、P2、P3、R1、X及びZは、上で定義した通りである)
又は、製薬上許容しうるこれらの塩を含む。
【0062】
ある具体例において、炭素m’〜炭素n’二重結合は、シスである。
【0063】
ある具体例において、炭素k’とl’は、シス二重結合により結合されている。
【0064】
ある具体例において、炭素m’〜炭素n’二重結合の立体化学は、シスであり、炭素k’とl’は、シス二重結合により結合されている。
【0065】
式9の典型的化合物は、化合物9a、
【化47】

化合物9b、
【化48】

及び、製薬上許容しうるこれらの塩及びエステルを含む。
【0066】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式10のもの、
【化49】

(式中、
1、P2、P3、R1及びZは、上で定義した通りであり;そして
Qは、少なくとも一つの置換基を表し、各Qは、独立に(存在する場合)、ハロゲン原子、又は分枝した若しくはしてない、置換された若しくはされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ又はアミノカルボニル基である)
又は、製薬上許容しうるこれらの塩を含む。
【0067】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式11のもの、
【化50】

(式中、
1、P2、P3、R1、及びZは、上で定義した通りである)
又は、製薬上許容しうるこれらの塩を含む。
【0068】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式12のもの、
【化51】

(式中、
1、P2、P3、Q、R1、及びZは、上で定義した通りである)
又は、製薬上許容しうるこれらの塩を含む。
【0069】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式13のもの、
【化52】

(式中、
1、P2、R1、R2、U及びZは、上で定義した通りである)
又は、製薬上許容しうるこれらの塩を含む。
【0070】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式14のもの、
【化53】

(式中、
1、P2、R1、R2、Q及びZは、上で定義した通りである)
又は、製薬上許容しうるこれらの塩を含む。
【0071】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式15のもの、
【化54】

(式中、
1、P2、及びZは、上で定義した通りである)
又は、製薬上許容しうるそれらの塩を含む。
【0072】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式16のもの、
【化55】

(P1及びZは、上で定義した通りである)
又は、製薬上許容しうるそれらの塩を含む。
【0073】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式17のもの、
【化56】

(式中、
炭素o’とp’は、単結合又は二重結合(例えば、シス又はトランス二重結合)により結合され;
炭素q’とr’は、単結合又は二重結合(例えば、シス又はトランス二重結合)により結合され;
1、P2、及びZは、上で定義した通りである)
又は、製薬上許容しうるそれらの塩を含む。
【0074】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式18のもの、
【化57】

(式中、
炭素s’〜炭素t’二重結合の立体化学は、シス又はトランスであり;
炭素u’〜炭素v’二重結合の立体化学は、シス又はトランスであり;そして
1、P2、R1、R2、及びZは、上で定義した通りである)
又は、製薬上許容しうるそれらの塩を含む。
【0075】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式19のもの、
【化58】

(式中、
炭素w’とx’は、単結合又は二重結合により結合され;
炭素y’とz’は、単結合又は二重結合により結合され;そして
1、P2、及びZは、上で定義した通りである)
又は、製薬上許容しうるそれらの塩を含む。
【0076】
式4〜19のある具体例において、各Rb(存在する場合)は、=O、-ORd、(C1−C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2d、−S(O)2ORd、−S(O)NRcc、−S(O)2NRcc、−OS(O)Rd、−OS(O)2d、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(NH)NRcc、−C(NRa)NRcc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcc、−OC(NH)NRcc、−OC(NRa)NRcc、−[NHC(O)]nd、−[NRaC(O)]nd、−[NHC(O)]nORd、[NHC(O)]nNRcc、−[NRaC(O)]nNRcc、−[NHC(NH)]nNRcc及び−[NRaC(NRa)]nNRccから独立に選択される適当な基である。
【0077】
この発明の方法において用いるのに適した他の化合物は、式20のもの、
【化59】

式21のもの、
【化60】

式22のもの、
【化61】

式23のもの、
【化62】

式24のもの、
【化63】

式25のもの、
【化64】

式26のもの、
【化65】

式27のもの、
【化66】

式28のもの、
【化67】

(式中、
各Pは、独立に、H又は保護基から選択され;そして
Rは、H、C1-6アルキル(例えば、メチル、エチル、グリセロール)、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルである)
又は、上記の何れかの製薬上許容しうる塩を含む。
【0078】
式21の典型的化合物は、化合物21a、
【化68】

及び、製薬上許容しうるその塩及びエステルを含む。
【0079】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式29のもの、
【化69】

{式中、
1−E1及びF1−G1は、独立に、シス又はトランス−C=C−又は−C≡C−であり;
101、R102及びR103は、独立に、水素、(C1−C4)直鎖又は分枝鎖アルキル、(C2−C4)アルケニル、(C2−C4)アルキニル、(C1−C4)アルコキシ、−CH2104、−CHR104104及び−CR104104104から選択され;
各R104は、独立に、CN、−NO2及び水素から選択され;
1は、−R105、−OR105、−SR105及び−NR105105から選択され;
各R105は、独立に、水素、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル又は(C2−C6)アルキニル(一つ以上の同一又は異なるR基により置換されていてよい)、(C5−C14)アリール(一つ以上の同一又は異なるR基により置換されていてよい)、フェニル(一つ以上の同一又は異なるR基により置換されていてよい)、(C6−C16)アリールアルキル(一つ以上の同一又は異なるR基により置換されていてよい)、5−14員のヘテロアリール(一つ以上の同一又は異なるR基により置換されていてよい)、6−16員のヘテロアリールアルキル(一つ以上の同一又は異なるR基により置換されていてよい)及び検出可能な標識分子から選択され;
1は、(C1−C6)アルキレン(1、2、3、4、5又は6個の同一又は異なるハロゲン原子、−(CH2)m−O−CH2−及び−(CH2)m−S−CH2−(式中、mは、0〜4の整数である)で置換されていてよい);
1は、−(CH2)n−及び−(CH2)n−O−(式中、nは、0〜6の整数である)から選択され;
1は、水素、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、又は(C2−C6)アルキニル(一つ以上の同一又は異なるR100基により置換されていてよい)、(C5−C14)アリール(一つ以上の同一又は異なるR100基により置換されていてよい)、フェニル(一つ以上の同一又は異なるR100基により置換されていてよい)、(C6−C16)アリールアルキル(一つ以上の同一又は異なるR100基により置換されていてよい)、5−14員のヘテロアリール(一つ以上の同一又は異なるR100基により置換されていてよい)、6−16員のヘテロアリールアルキル(一つ以上の同一又は異なるR100基により置換されていてよい)及び検出可能な標識分子;
各R100は、独立に、=O、−ORal、(C1−C3)ハロアルキルオキシ、=S、−SRal、=NRal、=NONRal、−NRclcl、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Ra1、−S(O)2a1、−S(O)2ORa1、−S(O)2NRc1c1、−OS(O)Ra1、−OS(O)2a1、−OS(O)2ORa1、−OS(O)2NRc1c1、−C(O)Ra1、−C(O)ORa1、−C(O)NRc1c1、−C(NH)NRc1c1、−OC(O)Ra1、−OC(O)ORa1、−OC(O)NRc1c1、−OC(NH)NRc1c1、−NHC(O)Ra1、−NHC(O)ORa1、−NHC(O)NRc1c1及び−NHC(NH)NRc1c1から選択され;
各Ra1は、独立に、水素、(C1−C4)アルキル、(C2−C4)アルケニル又は(C2−C4)アルキニルから選択され;そして
各Rc1は、独立に、Ra1であり又は、もう一つの選択肢として、Rc1c1は、それが結合している窒素原子と共に5又は6員環を形成する}
及び、製薬上許容しうるそれらの塩、水和物及び溶媒和物を含む。
【0080】
式29のある具体例において、X1−Y1が−CH2CH3であるならば、R101、R102又はR103の少なくとも一つは、水素以外である。
【0081】
ある具体例において、式29の化合物は、式30により、
【化70】

(式中、
1−E1及びF1−G1は、独立に、シス又はトランス−C=C−又は−C≡C−であり;そしてR101、R102、R103、R104、W1、R105、A1、X1、n、Y1、R100、Ral、及びRclは、上で定義した通りである)
及び製薬上許容しうるそれらの塩、水和物及び溶媒和物により表される。
【0082】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式31〜37のものを含む
【化71】

(式中、
106は、−OH、−OCH3、−OCH(CH3)2又は−NHCH2CH3であり;そして
107は、
【化72】

である)
及び製薬上許容しうるそれらの塩、水和物及び溶媒和物を含む。
【0083】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式38のもの、又は製薬上許容しうるそれらの塩を含む
【化73】

{式中、
炭素aa’及びbb’は、二重結合又は三重結合により結合され;
炭素cc’及びdd’は、二重結合又は三重結合により結合され;
Re、Rf及びRgは、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル(例えば、アルコキシアシル、アミノアシル)、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、又はシリルから選択され;
Eは、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、又はアリールアミノであり;
Rh、Ri及びRjは、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アリール又はヘテロアリールから選択され;
4は、水素、アルキル、パーフルオロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、フルオロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシから選択され;
5は、次のi−ivから選択され:i)CH2CH(R6)CH2(式中、R6は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アリール、ヘテロアリール、フルオロ、ヒドロキシル又はアルコキシである);ii)CH2C(R67)CH2(式中、R6及びR7は、各々独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アリール、又はフルオロであり、又はR6及びR7は、一緒に結合されて炭素環又はヘテロ炭素環を形成し;iii)CH2OCH2、CH2C(O)CH2、又はCH2CH2;又はiv)R5は、炭素環、ヘテロ炭素環、アリール又はヘテロアリール環;及びR8及びR9は、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、アリール又はヘテロアリールから選択され、又はR8及びR9は、一緒に結合されて、炭素環又はへテロ環を形成する}。
【0084】
ある具体例において、R8及びR9は、水素である。
【0085】
ある具体例において、この化合物の製薬上許容しうる塩は、Eを誘導体化することにより形成される(式中、Eは、−OMであり、ここに、Mは、アンモニウム、テトラ−アルキルアンモニウム、Na、K、Mg、及びZnから選択されるカチオンである)。
【0086】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式39〜44のもの、及び製薬上許容しうるそれらの塩を含む
【化74】

【化75】

【化76】

【化77】

【化78】

【化79】

(式中、Re、Rf、E、Ri、R5、R8及びR9は、上で定義した通りである)。
【0087】
式39、41及び43の典型的化合物は、
【化80】

及び、製薬上許容しうる、その塩及びエステルを含む。
【0088】
ある具体例において、この化合物の製薬上許容しうる塩は、Eを誘導体化することにより形成される(式中、Eは、−OMであり、ここに、Mは、アンモニウム、テトラ−アルキルアンモニウム、Na、K、Mg及びZnから選択されるカチオンである)。かかる化合物の例は、下記の化合物Zを含む。
【化81】

【0089】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式46のもの、又は製薬上許容しうるそれらの塩又はプロドラッグを含む
【化82】

{式中、

【化83】

は、独立に、二重結合又は三重結合を示しており;
1、R2及びR3は、各々独立に、OR、OX1、SR、SX2、N(R)2、NHX3、NRC(O)R、NRC(O)N(R)2、C(O)OR、C(O)N(R)2、SO2R、NRSO2R、C(O)R、又はSO2N(R)2であり;
各Rは、独立に、水素又は、C1-6脂肪族から選択される適宜置換された基、又は窒素、酸素若しくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和の、部分的に不飽和の、即ちアリール環から選択され、又は;
同じ窒素上の2つのRは、その窒素と一緒に、窒素、酸素又は硫黄から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員のヘテロシクリル又はヘテロアリール環を形成し;
各X1は、独立に、適当なヒドロキシル保護基であり;
各X2は、独立に、適当なチオール保護基であり;
各X3は、独立に、適当なアミノ保護基であり;そして
4は、NRC(O)R、NRC(O)N(R)2、C(O)OR、C(O)N(R)2、SO2R、NRSO2R、C(O)R、又はSO2N(R)2である}。
【0090】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式47のもの、又は製薬上許容しうるそれらの塩又はプロドラッグを含む
【化84】

{式中、
炭素kk’〜炭素ll’二重結合の立体化学は、シス又はトランスであり;
炭素mm’〜炭素nn’二重結合の立体化学は、シス又はトランスであり;
炭素oo’〜炭素pp’二重結合の立体化学は、シス又はトランスであり;
Y’は、最大で20原子を含む環又は最大で20原子を含む鎖から選択される結合又はリンカーであり、但し、Y’は、一つ以上の窒素、酸素、硫黄又はリン原子を含むことができ、更に、Y’は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ホスホリル、又はスルホニルから独立に選択される一つ以上の置換基を含むことができ、更に、Y’は、一つ以上の縮合した炭素環、ヘテロ環、アリール又はヘテロアリール環を含むことができ;
Z’は、−CN、−C(NH)N(R”)(R”)、−C(S)−A’、−C(S)R”、−C(O)−A’、−C(O)−R”、−C(O)−SR”、−C(O)−NH−S(O)2−R”、−S(O)2−A’、−S(O)2−R”、S(O)2N(R”)(R”)、−P(O)2−A’、−PO(OR”)−A’、−テトラゾール、アルキルテトラゾール、又は−CH2OHから選択され、ここに、A’は、−OR”、−N(R”)(R”)又は−OM’から選択され;
各R”は、独立に、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル又は検出可能な標識分子から選択され、ここに、任意のアルキル−、アリール−又はヘテロアリール−含有部分は、適宜、最大3個の独立に選択される置換基により置換されており;そして
M’は、カチオンである}。
【0091】
ある具体例において、式47の化合物は、式48により表され、又はその製薬上許容しうる塩及びエステルにより表される
【化85】

(式中、
炭素kk’〜炭素ll’二重結合の立体化学は、シス又はトランスであり;
炭素mm’〜炭素nn’二重結合の立体化学は、シス又はトランスであり;
炭素oo’〜炭素pp’二重結合の立体化学は、シス又はトランスである)。
【0092】
ある具体例において、炭素kk’〜炭素ll’二重結合の立体化学は、トランスである。
【0093】
ある具体例において、炭素mm’〜炭素nn’二重結合の立体化学は、トランスである。
【0094】
ある具体例において、炭素oo’〜炭素pp’二重結合の立体化学は、シスである。
【0095】
ある具体例において、炭素kk’〜炭素ll’二重結合の立体化学は、トランスであり、炭素mm’〜炭素nn’二重結合の立体化学は、トランスであり、そして炭素oo’〜炭素pp’二重結合の立体化学は、シスである。
【0096】
ある具体例において、式47の化合物は、化合物48a、
【化86】

化合物48b、
【化87】

化合物48c、
【化88】

又は、それらの製薬上許容しうる塩及びエステルにより表される。
【0097】
ある具体例において、式47の化合物は、式48d、又はその製薬上許容しうる塩及びエステルにより表される
【化89】

(式中、
炭素kk’〜ll’二重結合の立体化学は、シス又はトランスであり;
炭素mm’〜nn’二重結合の立体化学は、シス又はトランスであり;
炭素oo’〜pp’二重結合の立体化学は、シス又はトランスである)。
【0098】
ある具体例において、式47の化合物は、式48、48a、48b、48c又は48dの化合物以外である。
【0099】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、式49のもの、又は製薬上許容しうるそれらの塩又はプロドラッグを含む
【化90】

{式中、
Y’は、最大で20原子を含む環又は最大で20原子を含む鎖から選択される結合又はリンカーであり、但し、Y’は、一つ以上の窒素、酸素、硫黄又はリン原子を含むことができ、更に、Y’は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ホスホリル、又はスルホニルから独立に選択される一つ以上の置換基を含むことができ、更に、Y’は、一つ以上の縮合した炭素環、ヘテロ環、アリール又はヘテロアリール環を含むことができ;
Z’は、−CN、−C(NH)N(R”)(R”)、−C(S)−A’、−C(S)R”、−C(O)−A’、−C(O)−R”、−C(O)−SR”、−C(O)−NH−S(O)2−R”、−S(O)2−A’、−S(O)2−R”、S(O)2N(R”)(R”)、−P(O)2−A’、−PO(OR”)−A’、−テトラゾール、アルキルテトラゾール、又は−CH2OHから選択され、ここに、A’は、−OR”、−N(R”)(R”)又は−OM’から選択され;
各R”は、独立に、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル又は検出可能な標識分子から選択され、ここに、任意のアルキル−、アリール−又はヘテロアリール−含有部分は、最大3個の、独立に選択された置換基で、適宜置換され;そして
M’は、カチオンであり;そして
各Ra'及びRb'は、各出現につき独立に、−OR’から選択され、又は隣接するRa'及びRb'は、一緒に、シス又はトランス配置を有するエポキシド環を形成し、ここに、各R’は、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、シリル、アルコキシアシル、アミノアシル、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、又は保護基から選択される}。
【0100】
式49の典型的化合物は、化合物49a、
【化91】

化合物49b、
【化92】

又は、製薬上許容しうるそれらの塩及びエステルを含む。
【0101】
上記の化合物(例えば、式A又は式1〜49の化合物)は、炎症又は炎症性疾患の治療及び防止において有用であることが知られている。かかる化合物の例は、次の特許及び特許出願中に記載されている:US2003/0191184、WO2004/014835、WO2004/078143、US6670396、US2003/0236423、US2005/0228047、US2005/0238589及びUS2005/0261255。これらの化合物は、本発明の方法で用いるのに適している。
【0102】
この発明で有用な他の化合物は、上記の式A又は式1〜49の化合物の何れかに化学的に類似した変異物である化合物である。用語「化学的に類似した変異物」は、公知のバイオスターでの様々な部分の置換;上記の化合物の一つの末端基の、任意の他の上記の化合物の、上記の任意の他の化合物の対応する末端基での置換、化合物中の任意の二重結合の配向の改変、任意の化合物における任意の二重結合の三重結合による置換、及び上記の化合物の一つに存在する少なくとも一つの置換基の、任意の他の化合物の対応する置換基での置換を包含するが、これらに限られない。
【0103】
この発明で用いるのに適したリポキシン化合物は、下記式のもの、及び製薬上許容しうるこれらの塩を包含する
【化93】

[式中、
Xは、R301、OR301、又はSR301であり;
301は、
(a)水素原子;
(b)1〜8炭素原子のアルキル(直鎖であっても分枝鎖であってもよい);
(c)3〜10炭素原子のシクロアルキル;
(d)7〜12炭素原子のアルアルキル;
(e)フェニル;
(f)置換されたフェニル
【化94】

{式中、Zi、Zii、Ziii、Ziv及びZvは、各々独立に、−NO2、−CN、−C(=O)−R301、−SO3H、水素原子、水素、メチル、−ORx(式中、Rxは、1〜8炭素原子であり、これは、直鎖であっても分枝鎖であってもよい)、及びヒドロキシルから選択され、Zi、Zii、Ziii、Ziv又はZvがC(=O)−R301である場合には、該Zi、Zii、Ziii、Ziv又はZvは、他のC(=O)−R301により置換されていない};
(g)検出可能な標識分子;又は
(h)2〜8炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルケニルであり;
1は、(C=O)、SO2又は(CN)であり、但し、Q1がCNの場合には、Xは存在しない;
3及びQ4は、各々独立して、O、S又はNHであり;
302及びR303の一方は水素原子であり、他方は、
(a)H;
(b)1〜8炭素原子のアルキル(直鎖又は分枝鎖であってよい);
(c)3〜6炭素原子のシクロアルキル;
(d)2〜8炭素原子のアルケニル(直鎖又は分枝鎖であってよい);又は
(e)Rk21{式中、Q2は、−O−又は−S−であり;Rkは、0〜6炭素原子のアルキレン(直鎖又は分枝鎖であってよい)であり;R1は、0〜8炭素原子のアルキルであり(直鎖又は分枝鎖であってよい);但し、R1が0である場合には、R1は、水素原子である)}であり;
304は、
(a)H;
(b)1〜6炭素原子のアルキル(直鎖又は分枝鎖であってよい)であり;
305は、
【化95】

(式中、Zi、Zii、Ziii、Ziv及びZvは、上で定義した通りである)であり;
306は、
(a)H;
(b)1〜4炭素原子の、直鎖又は分枝鎖のアルキルであり;
301は、−OH、メチル、−SH、2〜4炭素原子の直鎖又は分枝鎖のアルキル、1〜4炭素原子のアルコキシ、又は(CH)p(Z)q(式中、p+q=3、p=0〜3、q=0〜3、そしてZはシアノ、ニトロ又はハロゲンである)であり;そして
Tは、O又はSである]。
【0104】
この発明における使用に適したリポキシン化合物は、下記式51、52、53又は54のものを含む:
【化96】

【化97】

【化98】

【化99】

[式中、
各R307は、独立に、水素原子及び、1〜20炭素原子を有する直鎖、分枝鎖、環式の、飽和又は不飽和のアルキルから選択され;
308、R309、R310、R319、及びR320は、独立に、下記から選択される:
(a)水素;
(b)1〜20炭素原子を有する直鎖、分枝鎖、環式の、飽和又は不飽和のアルキル;
(c)1〜20炭素原子を有する置換されたアルキル(該アルキルは、ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、カルボキシ、カルボキサミド、カルボアルコキシ、アリール、及びへテロアリールから選択される一つ以上の置換基により置換されている);
(d)置換されたアリール又はヘテロアリール(該アリール又はヘテロアリールは、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、及びカルボキサミドから選択される一つ以上の置換基により置換されている);及び
(e)Z−Y
{式中、
Zは、1〜20炭素原子を有する直鎖、分枝鎖、環式の、飽和又は不飽和のアルキル;置換された低級アルキル(該アルキルは、ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、カルボキシ、カルボキサミド、カルボアルコキシ、アリール、及びヘテロアリールから選択される一つ以上の置換基により置換されている);及び置換されたアリール又はヘテロアリール(該アリール又はヘテロアリールは、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、及びカルボキサミドから選択される一つ以上の置換基により置換されている)であり;
Yは、水素;アルキル;シクロアルキル;カルボキシル;カルボキサミド;アリール;ヘテロアリール;置換されたアリール又はヘテロアリール(該アリール又はヘテロアリールは、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、及びカルボキサミドから選択される一つ以上の置換基により置換されている)から選択される};そして
311〜R318は、独立に、下記から選択される:
(a)水素;
(b)ハロ;
(c)1〜20炭素原子を有する直鎖、分枝鎖、環式の、飽和又は不飽和のアルキル;
(d)1〜20炭素原子を有する置換されたアルキル(該アルキルは、ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、カルボキシ、カルボキサミド、カルボアルコキシ、アリール、及びへテロアリールから選択される一つ以上の置換基により置換されている);
(e)置換されたアリール又はヘテロアリール(該アリール又はヘテロアリールは、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、及びカルボキサミドから選択される一つ以上の置換基により置換されている);又は
308〜R320は、独立に、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、又はリポキシン主鎖を有する環を形成する結合であり;又は
307〜R320の何れか2つは、それらが結合している(適宜、1〜6個の酸素原子、1〜6個の窒素原子に又は1〜6個の酸素原子及び1〜6個の窒素原子の両方に結合している)原子と共に3〜20原子を含む環を形成する]。
【0105】
この発明における使用に適したリポキシン化合物は、下記の式55のものを含む:
【化100】

[式中、
401は、下記:
【化101】

から選択され;
402は:
【化102】

から選択される
{式中、
10は、R411、OR411、又はSR411であり;
411は、
(a)水素原子;
(b)1〜8炭素原子のアルキル(直鎖又は分枝鎖であってよい);
(c)3〜10炭素原子のシクロアルキル;
(d)7〜12炭素原子のアルアルキル;
(e)フェニル;
(f)置換されたフェニル
【化103】

(式中、Zi、Zii、Ziii、Ziv及びZvは、各々、独立に、−NO2、−CN、−C(=O)−R411、−SO3H、水素原子、ハロゲン、メチル、−ORx(Rxは、1〜8炭素原子であり、これは、直鎖又は分枝鎖であってよい)、及びヒドロキシルから選択され;Zi、Zii、Ziii、Ziv又はZvの何れかがC(=O)−R411である場合には、該Zi、Zii、Ziii、Ziv又はZvは、他のC(=O)−R411で置換されない)
(g)検出可能な標識分子;又は
(h)2〜8炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルケニルであり;
1は、(C=O)、SO2又は(CN)であり;
3は、O、S又はNHであり;
412及びR413の一方は、水素原子であり、他方は、下記から選択され:
(a)H;
(b)1〜8炭素原子のアルキル(直鎖又は分枝鎖であってよい);
(c)3〜6炭素原子のシクロアルキル;
(d)2〜8炭素原子のアルケニル(直鎖又は分枝鎖であってよい);又は
(e)R4312432(式中、Q2は、−O−又は−S−であり;R431は、0〜6炭素原子のアルキレン(直鎖又は分枝鎖であってよい)であり、そしてR431は、0〜8炭素原子のアルキル(直鎖又は分枝鎖であってよい)であり;
413a及びR413bは、各々独立に:
(a)H;
(b)1〜8炭素原子のアルキル(直鎖又は分枝鎖であってよい);
(c)3〜6炭素原子のシクロアルキル;
(d)2〜8炭素原子のアルケニル(直鎖又は分枝鎖であってよい);又は
(e)R4312432(式中、R431、Q2、及びR432は、上で定義した通りである)であり;
414は、
(a)H;
(b)1〜6炭素原子のアルキル(直鎖又は分枝鎖であってよい)であり;
415は、
(a)1〜9炭素原子のアルキル(直鎖又は分枝鎖であってよい);
(b)−(CH2)−Ri
(式中、n=0〜4であり、Ri
(i)3〜10炭素原子のシクロアルキル;
(ii)フェニル;又は
(iii)置換されたフェニル
【化104】

(式中、Zi〜Zvは、上で定義した通りである));
(c)R4312432(式中、R431、Q2、及びR432は、上で定義した通りである);
(d)−C(Riii)(Riv)−Ri
(式中、Riii及びRivは、各々独立に:
(i)水素原子;
(ii)(CH)p(Z)q(式中、Z、p及びqは、上で定義した通りである);
(e)1〜8炭素原子及び1〜6ハロゲン原子のハロアルキル(直鎖又は分枝鎖)であり;
416は、
(a)H;
(b)1〜4炭素原子のアルキル(直鎖又は分枝鎖);
(c)ハロゲンであり;
401又はY402の一つは、−OH、メチル又は−SHであり、他は、下記から選択され:
(a)H;
(b)(CH)p(Z)q(式中、Z、p+q=3、p=0〜3、q=0〜3であり、各Zは、独立に、シアノ、ニトロ又はハロゲンである);
(c)2〜4炭素原子のアルキル(直鎖又は分枝鎖);
(d)1〜4炭素原子のアルコキシ、
又はY401及びY402は、一緒に、
(d)=NH;又は
(e)=Oであり;
403又はY404の一方は、−OH、メチル又は−SHであり、他方は、下記から選択され

(a)H;
(b)(CH)p(Z)q(式中、Z、p及びqは、上で定義した通りである);
(c)2〜4炭素原子のアルキル(直鎖又は分枝鎖);又は
(d)1〜4炭素原子のアルコキシ、
又はY401及びY402は、一緒に
(a)=NH;又は
(b)=Oであり;
405又はY406の一方は、−OH、メチル又は−SHであり、他方は、下記から選択され:
(a)H
(b)(CH)p(Z)q(式中、Z、p及びqは、上で定義した通りである);
(c)2〜4炭素原子のアルキル(直鎖又は分枝鎖);又は
(d)1〜4炭素原子のアルコキシ、
又はY401及びY402は、一緒に、
(a)=NH;又は
(b)=Oであり;
421は、
(a)H;又は
(b)1〜8炭素原子のアルキルであり;
422及びR423は、各々独立に:
(a)H;
(b)ヒドロキシル、又はチオール;
(c)メチル又はハロメチル;
(d)ハロゲン;又は
(e)1〜3炭素原子のアルコキシであり;
424及びR425は、各々独立に:
(a)H;
(b)ヒドロキシル、又はチオール;
(c)メチル又はハロメチル;
(d)ハロゲン;
(e)1〜3炭素原子のアルコキシ;又は
(f)2〜4炭素原子のアルキル又はハロアルキル(直鎖又は分枝鎖であってよい)であり;そして
426は、
(a)置換されたフェニル
【化105】

(式中、Zi〜Zvは、上で定義した通りである);
(b)置換されたフェノキシ
【化106】

(式中、Zi〜Zvは、上で定義した通りである);又は
(c)
【化107】

(式中、Zi〜Zvは、上で定義した通りである)である}]。
【0106】
この発明で用いるのに適したリポキシン化合物は、式56のものを含む:
【化108】

{式中、
Eは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又は−OM(式中、Mは、アンモニウム、テトラ−アルキルアンモニウム、並びにナトリウム、カリウム、マグネシウム及び亜鉛のカチオンから選択されるカチオンである)であり;
Wは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、又はスルホンアミド;
各R501−R503は、独立に、水素、アルキル、アリール、アシル又はアルコキシアシルから選択され;
nは、0、1又は2であり;
mは、1又は2であり;そして
これらの2つのフェニル環上の置換基は、オルト、メタ、又はパラである}]。
【0107】
この発明での使用に適したリポキシン化合物は、式57のものを含む
【化109】

{式中、
Iは、次から選択される:−C(O)−E、SO2−E、−PO(OR)−E(式中、Eは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、又は−OM(式中、Mは、アンモニウム、テトラ−アルキルアンモニウム、Na、K、Mg及びZnから選択されるカチオンである)であり;Rは、ヒドロキシ又はアルコキシである)
J’及びK’は、最大で20原子の鎖及び最大で20原子の環から、独立に選択されるリンカーであり、但し、J’及びK’は、独立に、一つ以上の窒素、酸素、硫黄又はリン原子を含むことができ、更に、J’及びK’は、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ホスホリル、及びスルホニルから選択される一つ以上の置換基を含むことができ、そして更に、J’及びK’は又、一つ以上の縮合した炭素環、ヘテロ環、アリール又はヘテロアリール環を含むこともでき、そしてJ’及びK’は、隣接するC(R)OR基に炭素原子又はC−へテロ原子結合を介して結合される(ここに、ヘテロ原子は、酸素、硫黄、リン又は窒素である);
Gは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、及びカルボキサミドから選択される、
Re、Rf及びRgは、独立に、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、シリル、アルコキシアシル及びアミノアシルから選択され;
601、R602及びR603は、独立に、水素、アルキル、アリール及びヘテロアリールから選択され、但し、R601、R602及びR603は、独立に、リンカーJ’又はK’と結合することができ;
604及びR605は、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、フルオロから選択され、但し、R604及びR605は、一緒に、炭素環、ヘテロ環又は芳香族環を形成することができ、但し、R604及びR605は、三重結合を形成する結合により置換されうる}。
【0108】
この発明の方法で用いるのに適した他の化合物は、国際出願WO2006055965、WO2007090162及びWO2008103753に記載されたオキシリピンであり、これらの出願中の該化合物を参考として本明細書中に援用する。かかるか化合物の例は、下記の表1に示した式58〜115のものである。これらの化合物は、長鎖オメガ−6脂肪酸、ドコサペンタエン酸(DPAn−6)(化合物58−73)及びドコサテトラエン酸(DTAn−6)(化合物74−83)、及びDPAn−6、ドコサペンタエン酸のオメガ−3対応物(DPAn−3)(化合物84−97)を含む。更なる化合物は、ドコサノイド98−115、γ−リノレン酸(GLA)(化合物116−122)、及びステアリドン酸(SDA)(化合物123−132)である。
【0109】
【表1−1】

【0110】
【表1−2】

【0111】
【表1−3】

【0112】
【表1−4】

【0113】
【表1−5】

【0114】
【表1−6】

【0115】
【表1−7】

【0116】
【表1−8】

【0117】
【表1−9】

【0118】
【表1−10】

【0119】
【表1−11】

【0120】
【表1−12】

【0121】
この発明の方法で用いるのに適した他のオキシリピン化合物は、表1に示した化合物の類似体を含む。かかる化合物は、少なくとも一つの二重結合が三重結合により置き換えられた類似体、少なくとも一つのカルボキシル基が誘導体化されてエステル、アミド又は塩を形成している誘導体、ヒドロキシルを有する炭素が更に誘導体化されて(例えば、置換された又はされてない、分枝した又はしてない、アルキル、アルケニル又はアルキニル基により、置換された又はされてないアリール基、置換された又はされてない、分枝した又はしてないアルキルアリール基、ハロゲン原子によって)、三級アルコール(又は、エーテル、エステル、又は他の誘導体)を形成している類似体、少なくとも一つのヒドロキシル基が誘導体化されて、エステル又は保護されたアルコールを形成している類似体、又は、前述の改変の何れかの組合せを有する類似体を含むが、これらに限られない。
【0122】
この発明の方法で用いるのに適した更なるオキシリピン化合物は、次を含む:ドコサペンタエン酸(DPAn−6)の単離されたドコサノイド;DPAn−6のモノヒドロキシ、ジヒドロキシ及びトリヒドロキシ誘導体;ドコサペンタエン酸(DPAn−3)の単離されたドコサノイド;DPAn−3のモノヒドロキシ、ジヒドロキシ及びトリヒドロキシ誘導体;ドコサペンタエン酸(DTAn−6)の単離されたドコサノイド;又はDTAn−6のモノヒドロキシ、ジヒドロキシ及びトリヒドロキシ誘導体。
【0123】
用語「LASIK」は、ここで用いる場合、LAser in SItu Keratomileusisの頭字語である。これは、角膜を整形し直してその視力を変化させる、屈折矯正手術の一種である。詳細には、角膜の円板をフラップとして持ち上げ、エキシマレーザーを用いて、角膜組織の中間層を整形し直して、外科的に平たん化する。LASIK外科手術は、近視、遠視、及び乱視を矯正するために利用することができる。
【0124】
用語「アシル」は、技術的に認められており、一般式ヒドロカルビルC(O)−、好ましくは、アルキルC(O)−により表される基を指す。
【0125】
用語「アシルアミノ」は、技術的に認められており、アシル基で置換されたアミノ基を指し、好ましくは、例えば、式ヒドロカルビルC(O)NH−により表すことができる。
【0126】
用語「アシルオキシ」は、技術的に認められており、一般式ヒドロカルビルC(O)O−、好ましくは、アルキルC(O)O−により表される基を指す。
【0127】
用語「アルコキシ」は、アルキル基であって、それに結合した酸素を有する当該アルキル基、好ましくは低級アルキル基を指す。典型的なアルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシなどを含む。
【0128】
用語「アルコキシアルキル」は、アルコキシ基により置換されたアルキル基を指し、一般式アルキル−O−アルキルにより表すことができる。
【0129】
用語「アルケニル」は、ここで用いる場合、少なくとも一つの二重結合を含む脂肪族基を指し、「未置換のアルケニル」及び「置換されたアルケニル」の両方を含むことを意図しており、後者は、アルケニル基の少なくとも一つの炭素上の水素を置換した置換基を有するアルケニル部分を指す。かかる置換基は、一つ以上の二重結合に含まれるか又は含まれない一つ以上の炭素上に存在してよい。その上、かかる置換基は、下記のように、安定性が妨げられる場合以外、アルキル基について企図されるすべてのものを含む。例えば、アルケニル基の、一つ以上のアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、又はヘテロアリール基による置換が企図される。
【0130】
用語「アルキル」は、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換されたシクロアルキル基、及びシクロアルキル置換されたアルキル基を含む飽和脂肪族基を指す。好適具体例において、直鎖又は分枝鎖アルキルは、その主鎖中に最大で30炭素原子を有し(例えば、直鎖に関してC1−C30、分枝鎖に関してC3−C30)、一層好ましくは、20以下を有する。同様に、好適なシクロアルキルは、それらの環構造中に3−10炭素原子を有し、一層好ましくは、該環構造中に5、6又は7炭素を有する。
【0131】
その上、用語「アルキル(又は「低級アルキル」)」は、この明細書、実施例及び特許請求の範囲中で用いる場合、「未置換のアルキル」及び「置換されたアルキル」の両方を包含することを意図しており、後者は、炭化水素主鎖の一つ以上の炭素上の水素に置き換わる置換基を有するアルキル部分を指す。かかる置換基は、別途特定しない限り、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、又はアシル)、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオアセテート、又はチオホルメート)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、サルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アルアルキル、又は芳香族若しくはへテロ芳香族部分を含むことができる。炭化水素鎖上の置換された部分自身が、適宜置換されうるということは、当業者には理解されよう。例えば、置換されたアルキルの置換基は、置換された又は未置換形態のアミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネートとホスフィネートを含む)、スルホニル(サルフェート、スルホンアミド、スルファモイル及びスルホネートを含む)、及びシリル基、並びにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシレート、及びエステルを含む)、−CF3、−CNなどを含むことができる。典型的な置換されたアルキルは、下記する通りである。シクロアルキルは、更に、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル置換されたアルキル、−CF3、−CNなどによって置換されうる。
【0132】
用語「Cx-y」は、アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル又はアルコキシなどの化学的部分と共に用いる場合には、鎖中にx〜y個の炭素を含む基を含むことを意味する。例えば、用語「Cx-yアルキル」は、x〜y個の炭素を鎖中に含む直鎖又は分枝鎖アルキル基を含む、置換された又は未置換の、飽和炭化水素基を指す(トリフルオロメチル及び2,2,2−トリフルオロエチルなどのハロアルキル基を含む)。C0アルキルは、水素を示し(基が、末端位置にある場合)、内部であれば結合を示す。用語「C2-yアルケニル」及び「C2-yアルキニル」は、類似の長さを有し且つ上記のアルキルに対する可能な置換を有する置換された又は未置換の不飽和脂肪族基を指すが、それは、それぞれ、少なくとも一つの二重結合又は三重結合を含む。
【0133】
用語「アルキルアミノ」は、ここで用いる場合、少なくとも一つのアルキル基で置換されたアミノ基を指す。
【0134】
用語「アルキルチオ」は、ここで用いる場合、アルキル基で置換されたチオ基を指し、一般式アルキルS−により表されうる。
【0135】
用語「アルキニル」は、ここで用いる場合、少なくとも一つの三重結合を含む脂肪族基を指し、「未置換のアルキニル」及び「置換されたアルキニル」の両方を包含することを意図しており、後者は、アルキニル基の少なくとも一つの炭素の上の水素に置き換わった置換基を有するアルキニル部分を指す。かかる置換基は、一つ以上の三重結合に含まれるか又は含まれない一つ以上の炭素上に現れうる。その上、かかる置換基は、上記のように、安定性が妨げられる場合を除いて、アルキル基について企図されたすべてのものを含む。例えば、アルキニル基の、一つ以上のアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、又はヘテロアリール基による置換は、企図される。
【0136】
用語「アミド」は、ここで用いる場合、下記の基を指す
【化110】

(式中、R10は、独立に、水素又はヒドロカルビル基を表し、又は2つのR10は、それらが結合しているN原子と共に、環構造中に4〜8原子を有するヘテロ環を完成する)。
【0137】
用語「アミン」及び「アミノ」は、技術的に認められており、未置換の及び置換されたアミン及びそれらの塩の両方を指し、例えば、下記式
【化111】

(式中、各R10は、独立に、水素又はヒドロカルビル基を表し、又は2つのR10は、それらが結合しているN原子と共に、環構造中に4〜8原子を有するヘテロ環を完成する)
により表されうる部分を指す。
【0138】
用語「アミノアルキル」は、ここで用いる場合、アミノ基で置換されたアルキル基を指す。
【0139】
用語「アルアルキル」は、ここで用いる場合、アリール基で置換されたアルキル基を指す。
【0140】
用語「アリール」は、ここで用いる場合、置換された又は未置換の、単一環の芳香族基(該環中で各原子は、炭素である)を含む。好ましくは、該環は、5〜7員環であり、一層好ましくは、6員環である。用語「アリール」は又、2以上の環を有する多環式の系をも包含し、その場合、2以上の炭素が2つの隣接する環に共有され、それらの環の少なくとも一つは芳香族環であり、例えば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/又はヘテロシクリルであってよい。アリール基は、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、フェノール、アニリンなどを含む。
【0141】
用語「カルバメート」は、技術的に認められており、下記の基を指す
【化112】

(式中、各R10は、独立に、水素又はヒドロカルビル基を表し、又は両R10基は、介在原子と共に、環構造中に4〜8原子を有するヘテロ環を完成する)。
【0142】
用語「炭素環」、「カルボシクリル」及び「炭素環式」は、ここで用いる場合、非芳香族性の、飽和又は不飽和の環を指し、その環の各原子は炭素である。好ましくは、一つの炭素環は、3〜10原子を含み、一層好ましくは、5〜7原子を含む。
【0143】
用語「カルボシクリルアルキル」は、ここで用いる場合、炭素環基で置換されたアルキル基を指す。
【0144】
用語「カーボネート」は、技術的に認められており、基−OCO2−R10(式中、R10は、ヒドロカルビル基を表す)を指す。
【0145】
用語「カルボキシ」は、ここで用いる場合、式−CO2Hにより表される基を指す。
【0146】
用語「エステル」は、ここで用いる場合、基−C(O)OR10(式中、R10は、ヒドロカルビル基を表す)を指す。
【0147】
用語「エーテル」は、ここで用いる場合、酸素原子を介して他のヒドロカルビル基に結合されたヒドロカルビル基を指す。従って、ヒドロカルビル基のエーテル置換基は、ヒドロカルビル−O−であってよい。エーテルは、対称的であっても非対称的であってもよい。エーテルの例は、ヘテロ環−O−ヘテロ環及びアリール−O−ヘテロ環を含むが、これらに限られない。エーテルは、「アルコキシアルキル」基(これは、一般式アルキル−O−アルキルにより表すことができる)を含む。
【0148】
用語「ハロ」及び「ハロゲン」は、ここで用いる場合、ハロゲンを意味し、クロロ、フルオロ、ブロモ及びヨードを含む。
【0149】
用語「ヘタラルキル」及び「ヘテロアルアルキル」は、ここで用いる場合、ヘタリール基で置換されたアルキル基を指す。
【0150】
用語「ヘテロアルキル」は、ここで用いる場合、炭素原子と少なくとも一つのへテロ原子の飽和の又は不飽和の鎖(2つのヘテロ原子は、隣接しない)を指す。
【0151】
用語「ヘテロアリール」及び「ヘタリール」は、置換された又は未置換の、芳香族単一環構造(好ましくは、5〜7員環、一層好ましくは、5〜6員環)であって、少なくとも一つのへテロ原子を、好ましくは1〜4個のヘテロ原子を、一層好ましくは1個又は2個のヘテロ原子を含む当該環構造を含む。用語「ヘテロアリール」及び「ヘタリール」は又、2以上の炭素が2つの隣接する環に共有される2以上の環を有する多環系(該環の少なくとも一つは、ヘテロ芳香族性であり、例えば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール及び/又はヘテロシクリルであってよい)をも含む。ヘテロアリール基は、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、及びピリミジンなどを含む。
【0152】
用語「ヘテロ原子」は、ここで用いる場合、炭素又は水素以外の任意の元素の原子を意味する。好適なヘテロ原子は、窒素、酸素及び硫黄である。
【0153】
用語「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環」及び「ヘテロ環式」は、置換された又はされてない、非芳香族性の環構造、好ましくは3〜10員の環、一層好ましくは3〜7員の環であって、その環構造は、少なくとも一つのへテロ原子を、好ましくは1〜4個のヘテロ原子を、一層好ましくは1個又は2個のヘテロ原子を含む。用語「ヘテロシクリル」及び「ヘテロ環式」は又、2以上の環を有する多環系をも包含し、その場合、2以上の炭素が、2個の隣接する環に共有され、これらの環の少なくとも一つは、ヘテロ環式であり、例えば他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/又はヘテロシクリルであってよい。ヘテロシクリル基は、例えば、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ラクトン、ラクタムなどを含む。
【0154】
用語「ヘテロシクリルアルキル」は、ここで用いる場合、ヘテロ環基で置換されたアルキル基を指す。
【0155】
用語「ヒドロカルビル」は、ここで用いる場合、=O又は=S置換基を有しない炭素原子を介して結合された基を指し、典型的には、その炭素原子は、少なくとも一つの炭素−水素結合を有し、そして主たる炭素主鎖を有するが、適宜、ヘテロ原子を含むことができる。従って、メチル、エトキシエチル、2−ピリジル及びトリフルオロメチル様の基は、この出願の目的に関して、ヒドロカルビルであると考えられるが、アセチル(=O置換基を結合炭素上に有する)及びエトキシ(炭素でなく、酸素を介して結合される)などの置換基は、ヒドロカルビルではない。ヒドロカルビル基は、アリール、ヘテロアリール、炭素環、ヘテロ環、アルキル、アルケニル、アルキニル及びこれらの組合せを包含するが、これらに限られない。
【0156】
用語「ヒドロキシアルキル」は、ここで用いる場合、ヒドロキシ基で置換されたアルキル基を指す。
【0157】
用語「低級」は、アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はアルコキシなどの化学的部分に関して用いる場合には、置換基内に10以下の好ましくは6以下の非水素原子がある基を含むことを意味する。「低級アルキル」は、例えば、10以下の炭素原子、好ましくは6以下の炭素原子を含むアルキル基を指す。ある具体例において、ここに規定したアシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はアルコキシ置換基は、それらが単独で現れるか他の置換基との組合せ(列挙すれば、ヒドロキシアルキル及びアルアルキルなど)で現れるかによらず、それぞれ、低級アシル、低級アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、又は低級アルコキシである(その場合、例えば、これらのアリール基内の原子は、アルキル置換基内の炭素原子を計数する場合に、計数されない)。
【0158】
用語「ポリシクリル」、「多環」及び「多環式」は、2以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/又はヘテロシクリル)を指し、その中で、2以上の原子が、2つの隣接する環(例えば、該環は、「縮合環」である)に共有されている。多環の各環は、置換されていてもいなくてもよい。ある具体例において、多環の各環は、環中に3〜10原子を、好ましくは5〜7原子を含む。
【0159】
用語「シリル」は、3つのヒドロカルビル部分を結合して有するケイ素部分を指す。
【0160】
用語「置換された」は、主鎖の一つ以上の炭素上の水素を置き換える置換基を有する部分を指す。「置換」又は「で置換された」は、かかる置換が、置換される原子と置換基の許された原子価に従うこと及びこの置換が安定な化合物を生じる(例えば、それは、転移、環化、脱離等による変換を自発的に受けることはない)という暗黙の条件を含んでいるということは理解されよう。ここで用いる場合、用語「置換された」は、有機化合物のすべての許される置換基を包含することを意図している。広い面において、許される置換基には、有機化合物の非環式及び環式の、分枝した及び分枝してない、炭素環及びヘテロ環の、芳香族及び非芳香族の有機化合物の置換基が含まれる。これらの許される置換基は、適当な有機化合物につき、1つであっても2つ以上であってもよく且つ同じであっても異なってもよい。この発明の目的につき、窒素等のヘテロ原子は、水素置換基及び/又はここに記載の有機化合物の任意の許される置換基(ヘテロ原子の原子価を満たすもの)を有することができる。置換基は、ここに記載の任意の置換基例えばハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、又はアシル)、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオアセテート、又はチオホルメート)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、サルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、へテロシクリル、アルアルキル、又は芳香族若しくはへテロ芳香族部分を含むことができる。炭化水素鎖上の置換された部分は、それら自身が、適宜、置換されうるということは、当業者には理解されよう。
【0161】
特に「未置換の」と述べてない限り、化学的部分の参照は、本書では、置換された変異物を包含すると理解される。例えば、「アリール」基又は部分の参照は、暗に、置換された変異物及び置換されてない変異物の両方を含む。
【0162】
用語「サルフェート」は、技術的に認められており、基−OSO3H又は製薬上許容しうるその塩を指す。
【0163】
用語「スルホンアミド」は、技術的に認められており、下記の一般式により表される基を指す
【化113】

(式中、各R10は、独立に、水素又はヒドロカルビルを表し、又は両R10基は、介在原子と共に、環構造中に4〜8原子を有するヘテロ環を完成する)。
【0164】
用語「スルホキシド」は、技術的に認められており、基−S(O)−R10を指す(式中、R10は、ヒドロカルビルを表す)。
【0165】
用語「スルホネート」は、技術的に認められており、基SO3H、又は製薬上許容しうるその塩を指す。
【0166】
用語「スルホン」は、技術的に認められており、基−S(O)2−R10を指す(式中、R10は、ヒドロカルビルを表す)。
【0167】
用語「チオアルキル」は、ここで用いる場合、チオール基で置換されたアルキル基を指す。
【0168】
用語「チオエステル」は、ここで用いる場合、基−C(O)SR10又は−SC(O)R10を指す(式中、R10は、ヒドロカルビルを表す)。
【0169】
用語「チオエーテル」は、ここで用いる場合、エーテルと同等である(酸素は、硫黄で置換されている)。
【0170】
用語「尿素」は、技術的に認められており、下記の一般式により表されうる
【化114】

(式中、各R10は、独立に、水素又はヒドロカルビルを表し、又は二度現れるR10は、介在原子と共に、環構造中に4〜8原子を有するヘテロ環を完成する)。
【0171】
用語「プロドラッグ」は、生理的条件下で治療上有効な本発明の薬剤(例えば、式A又は式1〜49の化合物、リポキシン化合物、又はオキシリピン化合物)に変換される化合物を包含することを意図している。プロドラッグを作成する一般的方法は、生理的条件下で加水分解されて所望の分子を出現させる、一つ以上の部分を含有させることである。他の具体例において、このプロドラッグは、宿主動物の酵素活性によって変換される。例えば、エステル(例えば、アルコール又はカルボン酸のエステル)は、本発明の好適なプロドラッグである。ある具体例において、式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン、又はオキシリピンの幾つか又はすべて、上記の配合物中の式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン、又はオキシリピンの前部又は一部を、対応する適当なプロドラッグで置き換えることができる(例えば、親化合物中に存在するヒドロキシル又はカルボン酸がエステルとして存在する場合)。
【0172】
「保護基」は、分子中の反応性官能基に結合させた場合にその官能基の反応性をマスクし、減じ又は妨げる原子団を指す。典型的には、保護基は、所望であれば、合成の過程中に選択的に除去することができる。保護基の例は、Greene及びWuts, Protective Groups in Organic Chemistry, 第三版、1999, John Wiley & Sons, NY 及び Harrison等、Compendium of Synthetic Organic Methods, 第1−8巻、1971-1996, John Wiley & Sons, NY中に見出すことができる。代表的な窒素保護基には、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(「CBZ」)、tert−ブトキシカルボニル(「Boc」)、トリメチルシリル(「TMS」)、2−トリメチルシリル−エタンスルホニル(「TES」)、トリチル及び置換されたトリチル基、アリルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(「FMOC」)、ニトロベラトリルオキシカルボニル(「NVOC」)などが含まれるが、これらに限られない。代表的なヒドロキシル保護基には、ヒドロキシル基がアセチル化(エステル化)又はアルキル化されたもの例えばベンジル及びトリチルエーテル並びにアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル(例えば、TMS又はTIPPS基)、グリコールエーテル、例えばエチレングリコール及びプロピレングリコール誘導体及びアリルエーテルが含まれるが、これらに限られない。
【0173】
用語「健康管理者」は、個人、団体などに、健康管理サービスを提供する個人又は組織を指す。「健康管理者」の例には、医師、病院、継続的介護退職者コミュニティー、高度看護施設、亜急性看護施設、診療所、総合診療所、独立巡回センター、家庭衛生エージェンシー、及びHMOが含まれる。
【0174】
用語「治療」は、病気、異常又は病状が、その病気、異常又は病状になりやすい細胞、組織、動物又はヒト(未だ、それを有すると診断されていない)に起きることを防止すること;病気、異常又は病状を安定化させること、即ち、その発生を阻止すること;及びその病気、異常又は病状の少なくとも一つの症状を軽減すること、即ち、その病気、異常及び/又は病状の緩解を引き起こすことを指す。
【0175】
ここで用いる場合、病気又は異常を「防止する」治療剤は、統計的試料において、治療された試料における異常又は病状の出現を、未治療の対照試料と比べて減じ、又はその異常又は病状の少なくとも一つの開始を、未治療の対照試料と比べて遅らせ又は重篤さを軽減する化合物を指す。
【0176】
式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン、又はオキシリピンの各々の合成は、当分野で周知の方法により達成することができる。例えば、式A又は式1〜49の化合物の合成は、US2003/0191184、WO2004/014835、WO2004/078143、US6670396、US2003/0236423及びUS2005/0228047(これらのすべてを、参考として、本明細書中に援用する)に示されている。リポキシン化合物の合成は、US2002/0107289、US2004/0019110、US2006/0009521、US2005/0203184、US2005/0113443(これらのすべてを、参考として、本明細書中に援用する)に示されている。オキシリピン化合物の製造は、WO2006/055965、WO2007/090162、及びWO2008/103753(これらのすべてを、参考として、本明細書中に援用する)に示されている。
【0177】
本発明の組成物及び方法は、それを必要とする個体を治療するために利用することができる。ある具体例において、その個体は、動物例えばヒト、又は非ヒト哺乳動物である。動物例えばヒトに投与する場合には、この組成物又は化合物は、好ましくは、例えば式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリン及び/又はオメガ−3脂肪酸及び製薬上許容しうるキャリアーを含む医薬組成物として投与される。製薬上許容しうるキャリアーは、当分野で周知であり、例えば、水性溶液例えば水又は生理的緩衝塩溶液又は他の溶媒又はビヒクル例えばグリコール、グリセロール、油例えば例えばオリーブ油又は注射可能な有機エステルが含まれる。好適具体例において、かかる医薬組成物がヒトへの投与用である場合には、その水溶液は、発熱物質を含まず、又は実質的に含まない。賦形剤を、例えば、薬剤の遅延された放出を達成するために又は一以上の細胞、組織又は器官を選択的に標的とするために選択することができる。この医薬組成物は、錠剤、カプセル、スプリンクルカプセル、顆粒、粉末、シロップ、坐薬、注射などの投薬単位形態であってよい。この組成物は又、経皮的送達システム例えば絆創膏中に存在しうる。
【0178】
製薬上許容しうるキャリアーは、例えば、式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリン及び/又はオメガ−3脂肪酸などの化合物の吸収を安定化させ又は増大させるために生理的に許容しうる薬剤を含むことができる。かかる生理的に許容しうる薬剤には、例えば、炭水化物例えばグルコース、スクロース又はデキストラン、抗酸化剤例えばアスコルビン酸又はグルタチオン、キレート剤、低分子量タンパク質又は他の安定剤若しくは賦形剤が含まれる。製薬上許容しうる薬剤を含む製薬上許容しうるキャリアーの選択は、例えば、組成物の投与経路による。医薬組成物(製剤)は又、例えばこの発明の化合物を内部に取り込むことのできるリポソーム又は他のポリマーマトリクスであってもよい。リポソーム(例えば、リン脂質又は他の脂質を含む)は、作成及び投与が比較的容易な、非毒性で、生理的に許容できて、代謝することのできるキャリアーである。
【0179】
語句「製薬上許容しうる」は、ここでは、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー応答又は他の問題若しくは合併症を伴わず、妥当な利益/リスク比の、ヒト及び動物の組織に接触する使用に適した化合物、物質、組成物、及び/又は投薬形態を指すために用いられる。
【0180】
語句「製薬上許容しうるキャリアー」は、ここで用いる場合、液体又は固体状の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又はカプセル化材のような製薬上許容しうる物質、組成物又はビヒクルを意味する。各キャリアーは、他の配合物の成分と適合性であって患者に無害であるという意味で「許容しうる」ものでなければならない。製薬上許容できるキャリアーとして使用できる材料のいくつかの例には、(1)糖類、例えばラクトース、グルコース及びサッカロース、(2)でんぷん、例えばコーンスターチ及びジャガイモでんぷん、(3)セルロース及びその誘導体、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及び酢酸セルロース、(4)粉末状トラガンタ、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)賦形剤、例えばココアバター及び座薬用ワックス、(9)油、例えばピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーンオイル及び大豆油、(10)グリコール、例えばプロピレングリコール、(11)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビット、マンニット及びポリエチレングリコール、(12)エステル、例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチル、(13)寒天、(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム、(15)アルギン酸、(16)発熱原を含まない水、(17)等張性塩水、(18)リンゲル溶液、(19)エチルアルコール、(20)燐酸塩緩衝溶液及び(21)製薬処方物に使用されるその他の非毒性の許容できる物質が包含される。
【0181】
医薬組成物(製剤)は、例えば、経口投与(例えば、水性又は非水性の溶液又は懸濁液中のドレンチェ(drenches)、錠剤、ボーラス、粉末、顆粒、舌への塗布用のペースト);舌下投与;肛門、直腸又は膣投与(例えば、ペッサリー、クリーム又は泡);非経口投与(例えば、無菌の溶液又は懸濁液としての、筋肉内投与、静脈内投与、皮下投与又は髄腔内投与を含む);鼻腔投与;腹腔内投与;皮下投与;経皮的投与(例えば、皮膚に塗布される絆創膏);及び局所投与(例えば、皮膚に適用されるクリーム、軟膏又はスプレー)を含む多くの投与経路の何れかによって、患者に投与することができる。この化合物は又、吸入用に配合することもできる。ある具体例においては、一の化合物が、単独で、無菌水に溶解され又は懸濁されうる。同化合物に対する適当な投与経路及び組成物の詳細は、例えば、米国特許第6,110,973号、5,763,493号、5,731,000号、5,541,231号、5,427,798号、5,358,970号及び4,172,896号並びにそれらにおいて引用されている特許において見出すことができる。
【0182】
これらの配合物は、便利に、単位投薬形態で提供することができ、製薬業界で周知の任意の方法によって製造することができる。キャリアー物質と結合させて単一投薬形態を生成することのできる活性成分の量は、治療される宿主、特定の投与方式によって変化する。キャリアー物質と結合させて単一投薬形態を生成することのできる活性成分の量は、一般に、治療効果を生じる化合物の量である。一般に、100パーセント以外では、この量は、活性成分の約1パーセントから約99パーセントに及び、好ましくは、約5パーセントから約70パーセントに及び、最も好ましくは、約10パーセントから約30パーセントに及ぶ。
【0183】
これらの配合物又は組成物を製造する方法は、活性化合物例えば式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリン及び/又はオメガ−3脂肪酸を、キャリアーと、及び随時、一種以上の付随的成分と合わせる工程を含む。一般に、これらの配合物は、均一に且つ密接に、本発明の化合物を、液体キャリアー又は微粉末化した固体キャリアー、又は両者と合わせ、要すれば、製品を成形することにより製造される。
【0184】
経口投与に適したこの発明の配合物は、カプセル、カシェ剤、丸薬、錠剤、ロゼンジ(風味付けベース、例えばサッカロース及びアカシア又はトラガンタを使用)、粉末、顆粒の形態であってよく、又は水性又は非水性の液体中の溶液又は懸濁液として、又は水中油又は油中水液体エマルジョンとして、エリキシル又はシロップ、又は香錠(不活性ベース、例えばゼラチン及びグリセリン、又はサッカロース及びアカシアを使用)及び/又はうがい薬などとして、各々、予め決めた量の本発明の化合物を活性成分として含む。組成物又は化合物は又、ボーラス、舐剤又はペーストとして投与することもできる。
【0185】
経口投与のための固体投薬形態(カプセル、錠剤、丸薬、糖剤、粉末、顆粒など)を製造するためには、活性成分は、1種以上の製薬上許容できるキャリアー、例えば、クエン酸ナトリウム若しくは燐酸二カルシウム及び(又は)下記のいずれか:(1)充填剤又は増量剤、例えばでんぷん、ラクトース、サッカロース、グルコース、マンニット及び(又は)珪酸、(2)結合材、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、サッカロース及び(又は)アカシア、(3)保湿剤、例えばグリセリン、(4)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカでんぷん、アルギン酸、ある種の珪酸塩及び炭酸ナトリウム、(5)溶解遅延剤、例えばパラフィン、(6)吸収促進剤、例えば第四アンモニウム化合物、(7)湿潤剤、例えばセチルアルコール及びグリセリンモノステアレート、(8)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイトクレー、(9)滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びこれらの混合物、(10)着色剤と混合される。カプセル、錠剤及びピルの場合には、製薬組成物は、緩衝剤も含むことができる。類似のタイプの固形組成物は、ラクトース又は乳糖のような賦形剤並びに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用する軟質及び硬質ゼラチンカプセルにおける充填剤として使用できる。
【0186】
錠剤は、1種以上の随意の補助成分と共に圧縮又は成形によって製造することができる。圧縮錠剤は、結合材(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、でんぷんグリコール酸ナトリウム又は架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、界面活性又は分散剤を使用して製造することができる。成形錠剤は、加湿した粉末状化合物と不活性液体希釈剤との混合物を適当な機械で成形することによって製造することができる。
【0187】
本発明の製薬組成物の錠剤及びその他の固形投薬形態、例えば糖剤、カプセル、ピル及び顆粒は、要すれば、被覆及び外殻、例えば腸用被覆及び製薬処方分野において周知のその他の被覆で得ることができ又は調製することができる。また、それらは、例えば、所望の放出プロフィルを与えるように割合を変えてヒドロキシプロピルメチルセルロース、その他の重合体マトリックス、リポソーム及び(又は)マイクロスフェアーを使用して活性成分の遅延された又は制御された放出を与えるように処方することもできる。それらは、例えば、細菌保持性フィルターによる濾過により、又は使用直前に無菌水若しくはその他の無菌注射可能媒体に溶解できる無菌固形組成物の形で滅菌剤を配合することによって滅菌することができる。これらの組成物は随意に不透明剤も含有でき、またこれらが活性成分のみを又は優先的に、胃腸器官のある部分で、場合により遅延された態様で放出させるような組成物であることができる。使用できる包封用組成物の例は重合体物質及びワックスを包含する。また、活性成分は、適当ならば、上記した賦形剤の1種以上によりマイクロカプセル化された形態であることができる。
【0188】
本発明の化合物の経口投与用の液状投薬形態は、製薬上許容できるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルを包含する。液状投薬形態は、活性成分に加えて、斯界で普通に使用される不活性希釈剤、例えば、水又はその他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、コーンオイル、胚芽油、オリーブ油、ひまし油及びゴマ油)、グリセリン、テトラヒドロフリルアリール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、これらの混合物を含有することができる。
【0189】
不活性希釈剤以外に、経口投与用組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味料、風味料、着色剤、香料及び保存剤のような補助剤も含有することができる。
【0190】
懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビット及びソルビタンエステル、微結晶質セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天及びトラガンタ並びにこれらの混合物を含有することができる。
【0191】
直腸、膣又は尿道投与用の本発明の製薬組成物の処方物は坐薬として提供でき、これは本発明の1種以上の化合物を、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、座薬用ワックス又はサリチル酸エステルを含む1種以上の好適な非刺激性賦形剤又はキャリアーであって、室温で固体であるが体温で液状であり、従って直腸又は膣内で溶融して活性な化合物を放出するものと混合することによって製造することができる。
【0192】
口への投与のための医薬組成物の配合は、うがい薬、又は口用スプレー、又は口用軟膏として製造することができる。
【0193】
別法として又は追加的に、カテーテル、ステント、ワイヤー、又は他の管内デバイスによる送達のための組成物を配合することができる。かかるデバイスによる送達は、特に、膀胱、尿道、尿管、直腸、又は腸管への送達に有用でありうる。
【0194】
膣に投与するのに好適な本発明の処方物は、斯界で適切であることが知られているようなキャリアーを含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレー処方物も包含する。
【0195】
本発明の化合物の局所又は経皮投与のための投薬形態は、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ及び吸入剤を包含する。活性化合物は、製薬上許容できるキャリアーと、要求されるかもしれない任意の保存剤、緩衝剤又は吸入剤とを無菌条件下で混合することができる。
【0196】
軟膏、ペースト、クリーム及びゲルは、本発明の活性化合物に加えて、動物性及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、でんぷん、トラガンタ、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、珪酸、タルク、酸化亜鉛及びこれらの混合物のような賦形剤を含有することができる。
【0197】
粉末及びスプレーは、活性化合物に加えて、ラクトース、タルク、珪酸、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、ポリアミド粉末又はこれらの物質の混合物のような賦形剤を含有することができる。スプレーは、さらにクロルフルオル炭化水素や、ブタン及びプロパンのような揮発性非置換炭化水素のような慣用の発射剤を含有することができる。
【0198】
経皮用パッチは、身体に対する本発明の化合物の制御された送出を提供するという付加的な利点を有する。このような投薬形態は、活性化合物を適切な媒質に溶解又は分散することによって製造することができる。皮膚を介する活性化合物の流れを増大させるために吸収向上剤を使用することができる。このような流れの速度は、速度制御膜を備えるか又は化合物を重合体マトリックス若しくはゲルに分散させることによって制御することができる。
【0199】
眼科用処方物、眼用軟膏、粉末、溶液なども本発明の範囲内にあるものとして意図される。典型的な眼科用処方物は、米国特許出願第2005/0080056、2005/0059744、2005/0031697、2005/004074及び米国特許第6,583,124号(これらの内容を、参考として、本明細書中に援用する)に記載されている。もし所望であれば、液体の眼科用処方物は、涙液、房水又は硝子液と類似の特性を有し、又はかかる液体と互換性である。好適な投与経路は、局所投与(例えば、眼への滴下、インプラントによる投与などの局所投与)である。
【0200】
本発明の配合物は、当業者に公知の一般的方法で投与することができる。ある具体例において、この配合物は、点眼器を用いて投与される。この点眼器は、任意の適当な方法で組み立てることができる。米国特許第5,514,118号に記載されたタイプの確定投与量点眼器又は米国特許第5,584,823号に記載されたタイプの照光されている点眼装置を利用するのが望ましいであろう。下記の米国特許第5,059,188号;4,834,727号;4,629,456号;及び4,515,295号に記載されたタイプの他の点眼器の範囲も又、利用されうる。ここで引用した、点眼器を開示しているこれらの特許は、参考として、本明細書中に援用される。それらは、様々な特許及びそれらの特許中で引用され、検討された公開である。
【0201】
語句「非経口投与」及び「非経口的に投与した」は、個々で用いる場合、腸内及び局所投与を除く投与方法、通常は注射による投与を意味し、制限はしないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、髄腔内及び胸骨内注射及び浸剤が挙げられる。
【0202】
非経口的投与のために好適な本発明の製薬組成物は、1種以上の活性化合物を1種以上の製薬上許容できる無菌で等張性の水溶液又は非水溶液、分散液、懸濁液又はエマルジョン、或いは使用直前に無菌注射可能溶液又は分散液に再構成できる無菌粉末と組合わせて含み、これは酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤や、処方物を意図された受容体の血液により又は懸濁若しくは増粘剤により等張性にさせる溶質を含有することができる。
【0203】
本発明の製薬組成物に使用できる好適な水性及び非水性キャリアーの例には、水、エタノール、ポリオール(グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)及びこれらの好適な混合物、オリーブ油のような植物油、オレイン酸エチルのような注射可能有機エステルが包含される。適切な流動性は、例えば、レシチンのような被覆材を使用して、分散液の場合には所要の粒度を維持することによって、及び界面活性剤を使用することによって保持することができる。
【0204】
これらの組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤のような補助剤を含有することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗細菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロルブタノール、フェノール、ソルビン酸などを含有させることによって確実にすることができる。また、糖、塩化ナトリウムなどのような等張剤を組成物中に含有させることも望ましいであろう。更に、注射可能な製薬形態の持続された吸収は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンのような吸収を遅延させる剤を含有させることによりもたらすことができる。
【0205】
ある場合には、薬物の効果を持続させるために、皮下又は筋肉内注射からの薬物の吸収を遅延させることが望ましい。これは、水溶解度が劣った結晶質又は非晶質材料の液状懸濁液を使用することにより達成することができる。この場合に、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、後者も結晶寸法及び結晶形態に依存しよう。別法として、非経口的に投与された薬物形態の吸収の遅延は、薬物を油性ビヒクルに溶解又は懸濁させることにより達成される。
【0206】
注射可能なデポー剤形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドのような生分解性重合体中の主題化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成させることにより製造される。薬物対重合体の比率及び使用された特定の重合体の性質に応じて、薬物の放出速度は制御することができる。その他の生分解性重合体の例には、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が包含される。また、デポー剤注射可能処方物も薬物を身体の組織と適合性のリポソーム又はマイクロエマルジョン中に包封することによって製造される。
【0207】
この発明の方法で用いるためには、活性化合物をそれ自体で又は例えば0.1〜99.5%(更に好ましくは0.5〜90%)の活性成分を製薬上許容できるキャリアーと組み合わせて含有する製薬組成物として与えることができる。
【0208】
導入方法は又、再装薬可能な又は生物分解性の装置によっても与えられうる。タンパク質様生物薬剤を含む様々なゆっくりと放出するポリマー性デバイスが、近年、薬物の制御された放出のために開発されて、イン・ビボで試験されてきている。生物分解性ポリマー及び非生物分解性ポリマーの両方を含む様々な生体適合性ポリマー(ヒドロゲルを含む)を利用して、化合物の特定の標的部位における持続放出用の移植物を形成することができる。
【0209】
これらの医薬組成物における活性成分の実際の投薬レベルは、特定の患者についての所望の治療応答を達成するのに有効な活性成分の量、患者に無毒な組成、及び投与方法を得るように変化しうる。
【0210】
選択される投薬レベルは、用いられる特定の化合物又は化合物の組成物、又はそれらのエステル、塩又はアミドの活性、投与経路、投与時間、用いられた特定の化合物の排泄速度、治療期間、用いられた特定の化合物と組み合わせて用いられた他の薬物、化合物及び/又は物質、治療される患者の年齢、性別、病状、一般的健康状態及び以前の病歴を含む様々な因子に依存するであろう。
【0211】
通常の知識を有する医師又は獣医師は、必要とされる医薬組成物の治療上有効な量を容易に決定して処方することができる。例えば、医師又は獣医師は、この医薬組成物又は化合物の投与量を、所望の治療効果を達成するために必要とされるより低いレベルで開始して、所望の効果が達成されるまで投薬漁を徐々に増大させることができよう。「治療上有効な量」とは、所望の治療効果を誘出するのに十分である化合物の濃度を意味する。一般に、化合物の有効量は、患者の体重、性別、年齢及び病歴によって変化するものであると理解されている。効果量に影響する他の因子は、限定はしないが、患者の病状の重さ、治療される病気、化合物の安定性、及び所望であればこの発明の化合物と共に投与される他の種類の治療剤を含む。一層大きな全投与量は、薬剤の多数回の投与にてって送達することができる。効力及び投薬量を決定する方法は、当業者に公知である(Isselbacher等(1996) Harrison's Principles of Internal Medicine 13編、1814-1882, 参考として、本明細書中に援用する)。
【0212】
一般に、この発明の組成物で用いる活性化合物の適当な日々の投与量及び方法は、治療効果を生じるのに有効な最低投与量である化合物の量であろう。かかる有効な投与量は、一般に、上記の因子に依存する。
【0213】
所望であれば、この活性化合物の有効な日々の投与量は、1、2、3、4、5、6回以上に分けて、適当な間隔で、一日中投与することができる(適宜、単位投薬形態で)。本発明のある具体例において、活性化合物は、一日に、2〜3回投与することができる。好適具体例においては、この活性化合物は、一日、一回投与される。
【0214】
この治療を受ける患者は、治療を必要とする任意の動物であり、霊長類特にヒト、及び他の哺乳動物例えばウマ、ウシ、ブタ及びヒツジであり;そして家禽及びペットである(一般に)。
【0215】
ある具体例において、眼病を治療する方法は、式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキキシリピン化合物、又はアスピリンとオメガ−3脂肪酸の組合せを他の治療剤と共同して投与することを含む。ここで用いる場合、語句「共同の投与」は、2以上の異なる治療用化合物の投与の任意の形態を指し、それで、第二の化合物は、前に投与された治療用化合物が未だ身体内で有効であるときに投与される(例えば、2つの化合物は、患者において、同時に有効であり、それは、これらの2つの化合物の相乗効果を含みうる)。例えば、種々の治療用化合物を同じ配合物にて投与することもできるし、又は別々の配合物で、同時に又は順次的に投与することもできる。従って、かかかる治療を受ける個体は、種々の治療用化合物の合わせた効果の利益をえることができる。
【0216】
ある具体例において、式Aの種々の化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、又はオキシリピン化合物は、眼病の治療に適した他の薬剤と共同して投与されうる。例えば、次の薬剤又は薬剤のクラスは、式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリンとオメガ−3脂肪酸の組合せと共同して投与されうる:ドクソサイクリン;デコサヘキサン酸;血管形成インヒビター、例えば、VEGFインヒビター例えばペガプタニブナトリウム、ベバシズマブ、ラニビズマブ、AV−951、バンデタニブ、セマキサニブ、CBO−P11、アキシチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、パゾパニブ、及びTIMP3;アネステチクス及び鎮痛剤例えばリドカイン及び関連化合物及びベンゾジアゼパム及び関連化合物;抗癌剤例えば5−フルオロウラシル、アドリアマイシン及び関連化合物;抗炎症性薬剤例えば6−マンノースホスフェート;抗真菌剤例えばフルコナゾール及び関連化合物;抗ウイルス剤例えばトリソジウムホスホモノホルメート、トリフルオロチミジン、シクロバー、ガンシクロバー、DDI、DDC及びAZT;細胞輸送/移動性イムペンディング剤例えばコルヒチン、ビンクリスチン、サイトカラシンB及び関連化合物;抗緑内障薬物例えばベータ−ブロッカー:チモロール、ベタキソール、アテナロールなど;プロスタグランジン例えばラタノプロスト及びトラボプロストなど;免疫学的応答モディファイヤー例えばムラミルジペプチド及び関連化合物;ペプチド及びタンパク質例えばシクロスポリン、インスリン、成長ホルモン、インスリン関連成長因子、神経成長因子(適宜、ドコサヘキサエン酸との更なる組合せ)、熱ショックタンパク質及び関連化合物;エストロゲン治療剤;コルチコステロイド例えばデキサメタゾン、デキサメタゾン21−ホスフェート、フルオロメトロン、メドリゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリミノロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プレドニゾロン21−ホスフェート、プレドニゾロンアセテート、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンアセテート、プレドニカルベート、デフラザコート、ハロメタゾン、チキソコルトール、プレドニリジン(21−ジエチルアミノアセテート)、プレドニバル、パラメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メプレドニゾン、マジプレドン、イソフルプレドン、ハロプレドンアセテート、ハルシノニド、フォルモコルタル、フルランドレノリド、フルプレドニゾロン、フルプレドニジンアセテート、フルペロロンアセテート、フルオコルトロン、フルオコルチンブチル、フルオシノニド、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルニゾリド、フルメタゾン、フルドロコルチゾン、フルクロリニド、フルオロメタロン、エノキソロン、ジフルプレドネート、ジフルコルトロン、ジフロラゾンジアセテート、デソキシメタゾン(デソキシメタゾン)、デソニド、デスシノロン、コルチバゾール、コルチコステロン、コルチゾン、クロプレドノール、クロコルトロン、クロベタゾン、クロベタゾール、クロロプレドニゾン、カフェストール、ブデゾニド、ベクロメタゾン、アムシノニド、アロプレグナンアセトニド、アルクロメタゾン、21−アセトキシプレグネノロン、トラロニド、ジフロラゾンアセテート、デアシルコルチバゾール、RU−26988、ブデゾニド、及びデアシルコルチバゾールオキセタノン。上記のコルチコステロイドのすべては、公知の化合物である。これらの化合物に関する更なる情報は、例えば、The Merck Index, 第13版(2001)、及びその中で引用されている刊行物中に見出すことができる(その全内容を、参考として、本明細書中に援用する)。ある具体例において、このコルチコステロイドは、フルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド、デキサメタゾン、及び関連化合物、又はそれらの任意の組合せ;及びカルボニックアンハイダーゼインヒビターから選択される。
【0217】
式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリン及びオメガ−3脂肪酸の組合せと共同で投与することができる更なる薬剤又は薬剤のクラスの例は、次を含む:抗酸化剤例えばOT−551;IL−2Rαレセプターを標的とする薬剤例えばダクリツマブ;TNFαアンタゴニスト例えばインフリキシマブ;抗生物質例えばシロリムス;ニコトニックアンタゴニスト例えばメカミラミン;ステロイド例えばアネコルテーブアセテート;光力学的治療を伴う光増感剤例えばベルテポルフィン;PGE1(例えば、アルプロスタジル);合成レチノイド例えばフェンレチニド;カルボニックアンヒドラーゼインヒビター例えばアセタゾラミド;P2Y2レセプターアゴニスト例えばデヌフォソル四ナトリウム及びジクアフォソール;インターフェロン例えばインターフェロンベータ;NSAID例えばブロムフェナク及びネパフェナク;抗VEGF剤例えばEYE001、VEGF−Trap、ベバシラニブ、及びベタラニブ;抗VEGF剤/キナーゼメディエーター例えばTG100801;抗血管形成剤例えばAG−013,958及びスクアラミンラクテート;及びsiRNA例えばCAND5及びAGN211745を含む。
【0218】
式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリン及びオメガ−3脂肪酸の組合せと共同的に投与することのできる更なる薬剤又は薬剤のクラスは、次を含む:DE−104;PF−04217329;PF−03187207;AL37807;OPC−12759;化学療法剤例えばマイトマイシンC;プロスタグランジンの合成の構造類似体例えばビマトプロスト;アルファ2アゴニスト例えばブリモニジン;カルボニックアンヒドラーゼインヒビター例えばドルゾラミドHCl;プロスタグランジン誘導体及び類似体例えばトラフルプロスト及びトラボプロスト;NMDAアンタゴニスト例えばメマンチン;ヒアルロン酸(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム);コルチコステロイド例えばロテプレドノールエタボネート、ジフルプレドネート及びリメキソロン;抗生物質例えばドキシサイクリン;ムチンを増大させる薬剤例えばエカベト及びレバミピド;潤滑剤例えばカルボキシメチルセルロースナトリウムとグリセリンの組合せ;A3アデノシンレセプターアゴニスト例えばCF−101;イムノモジュレーター例えばサリドマイド;TNFαアンタゴニスト例えばエタネルセプト;プロテインキナーゼC−bインヒビター例えばルボキシスタウリン;免疫抑制剤例えばシロリムス;PARPインヒビター例えばAG−014699;神経防護的血栓溶解剤例えば、ミクロプラスミン;ヒアルロニダーゼ;酸化剤例えばカルバミド;ソマトスタチン類似体例えばオクトレオチドアセテート;アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニスト例えばカンデサルタンシレキセチル;疾病改変抗リウマチ薬物例えばレフルノミド;AEB071;TNFアンタゴニスト例えばアダリムマブ;CD11アンタゴニスト例えばエファリズマブ;カルシニューリンインヒビター例えばLX211;インターフェロン例えばインターフェロンα−2a;及びヒトアルファフェトプロテイン例えばMM−093。
【0219】
上記の薬剤に加えて、他の薬剤は、局所的又は全身的な生理的又は薬理学的効果を生成するための、眼及びその周囲の組織への投与に適している。かかる薬剤は、式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリン及びオメガ−3脂肪酸の組合せと共同して投与することができる。かかる薬剤の例は、神経防護剤例えばニモジピン及び関連化合物;抗生物質例えばテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン及びエリスロマイシン;抗細菌剤例えばスルホンアミド、スルファセタミド、スルファメチゾール、及びスルフィソキサゾール;抗ウイルス剤(イドクスウリジンを含む);他の抗細菌剤例えばニトロフラゾン及びプロピオン酸ナトリウム;抗アレルギー性物質例えばアンタゾリン、メタピリリン、クロロフェニラミン、ピリラミン、及びプロフェンピリダミン;鬱血除去剤例えば、フェニルエフリン、ナファゾリン、及びテトラヒドラゾリン;縮瞳薬及び抗コリンエステラーゼ例えばピロカルピン、サリチル酸エゼリン、カルバコール、ジイソプロピルフルオロホスフェート、ホスホリンイオディン、及びデメカリウムブロミド;散瞳薬例えば硫酸アトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、ユーカトロピン、及びヒドロキシアンフェタミン;交感神経興奮剤例えばエピネフリン;及びプロドラッグ例えば Design of Prodrugs (Hans Bundgaard編、Elsevier Scientific Publishing Co., Amsterdam, 1985)に記載されたものを包含する。他の薬剤の同定のために、如何なる標準的な製薬テキストブック例えばRemington's Pharmaceutical Sciences (Remington's Pharmaceutical Sciences. Mack Publishing Company, Easton, Pa., 米国、1985)をも参照することができる。
【0220】
ある具体例において、種々の、式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物を、共同的に、眼病の治療に適した、非化学的方法により投与することができる。ある具体例において、種々の、式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物を、共同的に、レーザー治療(例えば、光凝固術又は光力学的治療)、黄斑移動手術を用いて又は装置(例えば、酒石酸ブリモニジン移植物)によって投与することができる。
【0221】
ある具体例において、種々の、式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物を、共同的に、互いに投与することができる。その上、かかる組合せは、共同的に、他の治療剤例えば、上記したような眼病の治療に適した他の薬剤と共に投与することができる。
【0222】
アスピリンとオメガ−3脂肪酸の組合せが投与される具体例において、これらのアスピリンとオメガ−3脂肪酸は、同時に投与することができ(例えば、両成分を含む単一の配合物として、又は別々の配合物として)、又は別々の時点で投与することもできる(但し、この治療養生中の少なくともある時点で、アスピリンとオメガ−3脂肪酸の両者は、同時に、その患者中に、オメガ−3脂肪酸がSerhan等、2002, J.Exp.Med., 196: 1025-1037に記載されたように代謝されることを可能にするレベルで存在する)。かかる具体例において、このオメガ−3脂肪酸は、部分精製された天然抽出物(例えば、魚油)の形態で与えられるが、他の具体例では、このオメガ−3脂肪酸は、例えばC18:3、C20:5又はC22:6脂肪酸のような一種以上のオメガ−3脂肪酸の実質的に純粋な調製物(特に、エイコサペンタエン酸又はドコサヘキサエン酸)として与えられうる。一種以上のオメガ−3脂肪酸の実質的に純粋な調製物は、脂肪酸成分が少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の一種以上のオメガ−3脂肪酸(例えば、一種以上の、特定の、オメガ−3脂肪酸)である組成物を指す。非脂肪酸成分例えば賦形剤又は配合中に加えられた他の物質は、脂肪酸成分が所望の純度レベルに合っているかどうかを決定する目的に関して、考慮されない。
【0223】
ある具体例において、アスピリン以外のCOX−2イニシエーター例えばセレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、NS−398、又はパレコキシブは、ここで検討した様々な具体例の何れかの眼病の治療のために、オメガ−3脂肪酸と組み合わせて用いることができる。ある具体例において、アスピリン以外の非選択的NSAID例えばジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メフェナミン酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダク、又はトルメチンを、ここで検討した様々な具体例の何れかの眼病の治療のために、オメガ−3脂肪酸と組み合わせて用いることができる。種々のCOX−2インヒビター又は非選択的NSAIDのオメガ−3脂肪酸との組合せは、活性オメガ−3代謝産物の種々のサブセット又は割合を生じうる。
【0224】
この発明は、式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、又はオキシリピン化合物の製薬上許容しうる塩の、本発明の組成物及び方法における利用を包含する。ある具体例において、この発明の企図された塩は、アルキル、ジアルキル、トリアルキル又はテトラ−アルキルアンモニウム塩を包含する。ある具体例において、この発明の企図された塩は、Na、Ca、K、Mg、Zn又は他の金属塩を包含する。
【0225】
製薬上許容しうる酸付加塩は又、水、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミドなどの様々な溶媒和物としても存在しうる。かかる溶媒和物の混合物も又、製造することができる。かかる溶媒和物の起源は、結晶化の溶媒、製造又は結晶化の溶媒の固有の性質、又波かかる溶媒に対する付随的なものからであってよい。
【0226】
湿潤剤、乳化剤及び潤滑剤例えばラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム、並びに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味料、香料及び芳香剤、防腐剤及び抗酸化剤も又、これらの組成物中に存在してよい。
【0227】
製薬上許容しうる抗酸化剤の例は、(1)水溶性の抗酸化剤例えばアスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性抗酸化剤例えばアスコルビルパルミテート、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロールなど;及び(3)金属キレート剤例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などを包含する。
【0228】
本発明は、下記を含むキットを提供する:
a)式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリン及びオメガ−3脂肪酸の組合せを含む医薬配合物;及び
b)眼病を治療するための医薬配合物の投与についての指示書。
【0229】
ある具体例において、このキットは、更に、式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリン及びオメガ−3脂肪酸の組合せを含む医薬配合物の、上記の眼病の治療に適した一の薬剤との共同的投与又は、非化学的方法を用いた投与についての指示書を含む。ある具体例において、このキットは、更に、上記の眼病の治療に適した薬剤を含む第二の医薬配合物を含む。
【0230】
本発明は、下記を含むキットを提供する:
a)各々式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリン及びオメガ−3脂肪酸の組合せ及び製薬上許容しうる賦形剤を含む一以上の単一投薬形態;及び
b)眼病の治療のための単一投薬形態を投与するための指示書。
【0231】
ある具体例において、このキットは、更に、各々式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリン及びオメガ−3脂肪酸の組合せを含む一以上の投薬形態の、上記の眼病の治療に適した一の薬剤との共同的投与、又は非化学的方法を用いた投与のための指示書を含む。ある具体例において、このキットは、更に、上記の眼病の治療に適した薬剤の一以上の単一投薬形態を含む。
【0232】
ある具体例において、本発明は、下記を含むキットを提供する:
a)各々上記の眼病の治療に適した薬剤を含む一以上の単一投薬形態;及び
b)式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリン及びオメガ−3脂肪酸の組合せを含む、眼病を治療し又は防止するための一以上の単一投薬形態の投与についての指示書。
【0233】
本発明は、下記を含むキットを提供する:
a)上記の眼病の治療に適した薬剤を含む第一の医薬配合物;及び
b)第一の医薬配合物及び、眼病を治療し又は防止するための式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリン及びオメガ−3脂肪酸の組合せを含む第二の医薬配合物の投与についての指示書。
【0234】
ある具体例において、この発明は、式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリン及びオメガ−3脂肪酸の組合せの配合物を製造して、その配合物又はキットの眼病治療における使用の利益を健康管理者に売ることによって、医薬ビジネスを行なう方法に関係する。
【0235】
ある具体例において、この発明は、式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリン及びオメガ−3脂肪酸の組合せの配合物、又は上記のキットを販売するための流通ネットワークを与えること、及び患者又は医師に眼病を治療するための配合物の使用についての指示を与えることによって、製薬ビジネスを行なう方法に関係する。
【0236】
ある具体例において、この発明は、式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリン及びオメガ−3脂肪酸の組合せの、眼病の治療における適当な配合及び投薬量を決定し、同定された配合物の動物における効力及び毒性についての製薬用プロファイリングを行い、許容しうる治療プロフィルを有すると同定された製剤の販売のための流通ネットワークを与えることにより製薬ビジネスを行なう方法を含む。ある具体例において、この方法は、更に、この製剤を健康管理者に売るための販売グループを与えることを含む。
【0237】
ある具体例において、この発明は、式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリン及びオメガ−3脂肪酸の組合せの、眼病の治療における適当な配合及び投薬量を決定し、その配合物の更なる開発及び販売の権利を第三者に許諾することにより、製薬ビジネスを行なう方法に関係する。
【実施例】
【0238】
典型的な具体例
式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリン及びオメガ−3脂肪酸の組合せの一以上の生物学的活性を、下記するような、当分野で周知の技術を用いて評価することができる。
【0239】
実施例1:化合物X及びZは、ヒト角膜上皮細胞において、緊張亢進により誘導される炎症促進性サイトカインの放出を阻害する。
ドライアイは、一般に、眼の表面の炎症及び糜爛を誘発しうる涙液膜緊張亢進と関係している。従って、これらのストレス応答を抑制する新規なアプローチを同定することは、臨床的に妥当なことである。式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリン及びオメガ−3脂肪酸の組合せは、急性及び慢性炎症のモデルで示されるように、非常に強力で効能がある免疫応答レギュレーターである。ヒトの角膜上皮細胞(HCEC)を用いて、化合物X
【化115】

及びその類似体化合物Z
【化116】

が緊張亢進により誘導される炎症促進性サイトカインの放出の増大を抑制することができるかどうかを研究した。
【0240】
方法
SV−40不滅化HCECを、10%FBS及び5ng/ml上皮成長因子(EGF)を補ったDMEM/F12培地中に維持した。細胞外の培地の張性を、NaClを加えることにより、300mOsm(等張の対照)から600mOsmまで変化させた。最初の実験は、450mOsmが、再現性のあるサイトカインレベルの増大を有するが細胞の剥離を引き起こさない最適ストレスレベルであり、化合物X及びZの効果を研究するために選択されるレベルであることを示した。これらのHCECは、緊張亢進に20時間にわたって、化合物X及びZ(10-11〜10-7Mの濃度)の非存在下又は存在下でさらされた。これらの化合物は、高浸透圧曝露の開始の30分前に加えられた。Q−Pluxヒト炎症性サイトカインのアレイを用いて、緊張亢進誘導性サイトカイン選択につきスクリーニングし、それらは、後で、ELISAを用いて定量的に測定された。
【0241】
結果
450mOsmの高浸透圧環境への曝露は、IL−6レベルの、約2000pg/mLの基底レベルから4000pg/mLへの増大を引き起こし、IL−8については、その増大は、3,700pg/mLから9000pg/mLであった。化合物X(図1)及び化合物Z(図2)の両者は、濃度依存的様式で、IL−6及びIL−8の両方の放出を防止した。10-7Mで、化合物Xは、IL−6放出を75%減じ(図1a)、IL−8放出を70%減じた(図1b)が、対応する減少が、化合物Zを用いて、それぞれ、70%(図2a)及び65%(図2b)見られた。何れの化合物でも、10-11Mの濃度では、IL−6又はIL−8放出に対する効果はなかった。
【0242】
結論
図1及び2は、化合物Xとその類似体の化合物Zが、濃度依存的様式で、炎症性メディエーターIL−6(図1a及び2a)及びIL−8(図1b及び2b)の、HCECからの、緊張亢進誘導性の放出を抑制することを示している。これらの結果は、このクラスの化合物が、ドライアイの治療において、治療的価値を有しうることを示している。
【0243】
実施例2:化合物V及びWは、KCSのマウスモデルにおいて、ゴブレット細胞の喪失を防護して、角膜上皮バリヤーの破壊を減じる
この研究の目的は、化合物V
【化117】

及び化合物W
【化118】

の、ドライアイのマウスモデルにおいて炎症及び病気の徴候を減じる潜在能力を評価することであった。
【0244】
方法
実験的ドライアイを、C57BL/6マウスにおいて、スコポラミンを皮下注射して、通風装置に5日間さらすことにより創出し、300μg/mLの化合物W、300μg/mLの化合物V及びポリソルベートビヒクル対照を1日に4回、1μLの液滴として送達する局所的治療をし、又はしなかった。未処理のマウスを対照として用いた。角膜の透過性を、オレゴングリーンデキストラン(OGD)染色を用いて評価した。ゴブレット細胞密度を、PAS染色により評価した。
【0245】
結果
図3及び4は、それぞれ、脱水ストレスが有意のゴブレット細胞喪失(4.97±0.88対6.18±0.86細胞/100μm、それぞれ、P<0.05)及び角膜上皮のOGDに対する透過性の、未処理対照と比較しての顕著な増大([平均±SD]146.50±25.32対119.3±9.71グレーレベル、それぞれ、P<0.05)を引き起こすことを示している。図4は、化合物Wによる眼の局所的治療がOGD染色をビヒクル対照処理群と比べて有意に減じたことを示している(122.2±5.9対135.1±17.04グレーレベル、それぞれ、P<0.0005)。加えて、図4は、化合物Vによる眼の局所的治療がOGD染色を減じたことを示している(128.5±17.70グレーレベル;P<0.1)。図3は、化合物Vによる眼の局所的治療がゴブレット細胞密度の有意の保護をビヒクル群と比較して示したことを示している(5.72±0.5、P<0.0001)。加えて、図3は、化合物Wによる眼の局所的治療がゴブレット細胞密度をビヒクル対照処理群と比較して有意に維持したことを示している(6.29±0.47対5.10±0.55細胞/100μm、それぞれ、P<0.0001)。
【0246】
結論
これらの結果は、化合物V及びWが、ゴブレット細胞喪失に対して防護し、脱水ストレスにさらされたマウスにおいて角膜バリヤー機能を改善したことも示している。
【0247】
実施例3:化合物V及びWは、マウスドライアイモデルにおいて、アルギナーゼ及びCOX−2の過剰発現をブロックする
ドライアイ(DE)は、特に女性及び年輩者集団で一般的な眼の表面の疾患であり、眼の刺激及び視朦を引き起こしうる。幾つかの研究は、病因は完全には理解されていないが、DEにおける炎症性成分があることを示している。化合物V及びWは、マウスDEモデルにおいて研究された。
【0248】
モデル
13〜14週齢の雌のBALB/Cマウスを脱水条件にさらして、5μlの1%アトロピンを、隔日で、局所的に与えた。DE曝露の1週間後に、これらの動物を、更に1週間にわたって、5μlの0.01%の化合物V(100μg/mL)、0.01%の化合物W(100μg/mL)又はビヒクルを1日に4回、局所的に与えることにより処理した。正常な対照(NC)は、未処理で、通常環境に置かれた。角膜を、ウエスタンブロット分析及び免疫蛍光試験用に処理した。
【0249】
結果
図5は、ウエスタンブロット分析から得られた結果を示しており、アルギナーゼI(図5a)及びCOX−2(図5b)が、DE後、強力にアップレギュレートされたこと及び両化合物により減少されたことを示している。免疫蛍光検査は、DE後の、間質及び/又は上皮における強い陽性染色並びに処理による減少を示した。
【0250】
結論
化合物V及びWは、2つの鍵となる炎症促進性酵素であるアルギナーゼI及びCOX−2の過剰発現をブロックした。これらの結果は、このクラスの化合物が、DEの治療における治療潜在能力を有することを示唆している。
【0251】
実施例4:酸化ストレスにより誘導されるアポトーシスは、網膜色素上皮(arpe−19)細胞において、化合物X及びZによりダウンレギュレートされる
ARPE−19細胞において酸化ストレスにより誘導されるアポトーシスによる細胞死に対する化合物X及びZの効果を研究した。湿潤性及び乾燥性の加齢関連黄斑変性、糖尿病性網膜症、新生児網膜症、及び色素性網膜炎において、網膜色素上皮細胞の保護は、臨床的に重要である。
【0252】
方法
72時間、6ウェルプレート中で成長させた細胞を、8時間にわたって血清涸渇させ、次いで、TNF−α/H22(600μM)により16時間にわたって酸化ストレスを誘導した。細胞を、種々の濃度の化合物X及びZと共にインキュベートした。アポトーシスによる細胞死を、Hoechst陽性細胞により評価した。
【0253】
結果
図6は、化合物X及びZが、酸化ストレスに誘導されるアポトーシスを、濃度依存的様式で阻害することを示している。用いた化合物の3つの濃度(10、30及び50nM)のうちで、最大の阻害は、50nMで達成され(40−46%)、10nMで最低(1.5−2%)、及び30nMで中位(28−32%)であった。
【0254】
炎症促進性IL−1βに誘導されるCOX−2発現の化合物48aによる阻害は又、このモデル(Mukherjee, P.K.等、(2000) Proc.Natl.Acad.Sci. 101(22), 3491-8496に例示)を用いても測定することができる。Mukherjee等は又、化合物48aによる、抗アポトーシスタンパク質のアップレギュレーション及びアポトーシス促進タンパク質の発現のダウンレギュレーションをも示した。
【0255】
結論
化合物X及びZの、酸化ストレスに誘導されるアポトーシスに対する阻害効果は、酸化ストレス環境におけるこれらの化合物の強い抗炎症性生物活性を示している。このデータは、これらの化合物が細胞の生存に決定的に重要なシグナリング機構を標的とすることを示唆しており、更に、それらの、網膜色素上皮の完全性の防護が保持される病気における治療発明としての潜在能力を示唆している。
【0256】
実施例5:化合物X、Z及び48aは、脈絡膜新血管新生(CNV)において、血管漏出を阻害し、脈絡膜の病変サイズを減少させる
黄斑変性は、免疫炎症応答を含み、それは、湿潤型の場合、CNVを生じる。脈絡膜血管漏出は、加齢関連黄斑変性の鍵となる構成要素である。式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、又はアスピリン及びオメガ−3脂肪酸の組合せは、組織の回復を導く炎症の消散を促進するので、我々は、化合物X、Z及び48aを、CNVの潜在的ダウンレギュレーターとして試験した。
【0257】
方法:
マウスにおいてレーザーで誘発されるCNVを、麻酔したマウスの眼を拡張させて、視神経の周りの3、6、9及び12時の位置に4つの病変を創ることにより生成させた。Topconスリットランプ(SL−D7)上に載せられた緑色ダイオードLumenis Novus-Spectra レーザーにより送達されたレーザーパルス(エネルギー200mW、持続時間100mS)は、50μmの直径の火傷を生成し、それは、ブルック膜が破られる際に網膜の泡を生成した。化合物X(18.7μg/kg)、Z(14.3μg/kg)、48a(19.0μg/kg)、又はビヒクル(塩溶液/エタノール)を、1、2、4、6及び8日目に、IP送達(50nMストック)した。7及び14日目に、FITC漏出のイメージが、FITCのIP送達の5分後に病変部から得られた。これらのイメージは、Topcom IMAGEnet 2000 LITE デジタルイメージングシステムを用いて捕らえて調べられ、等級3(強い;FITCの雲が広がり、元より一層大きくなり;臨床的に有意)、等級2(中位;FITCの雲は、元と同じ大きさのままでいる)、等級1(軽微;FITCの雲は、小さいままであり、病変部位の詳細をそれを通して見ることができる)、又は等級0(無し;漏出の証拠なし)として眼科医によりランク付けされた。等級3は、ヒトにおいて、臨床的に該当すると考えられよう。1日後に眼を集めて固定し、網膜を取り出して、平らに固定された脈絡膜を残し、これを、FITC結合したイソレクチンB4(内皮細胞に特異的)で標識した。次いで、脈絡膜病変部(レーザー+15日)の直径をプロットして、新血管新生の程度を測定した。
【0258】
結果:
図7は、対照においては、病変部の75%が7日目に漏出を示し、14日目には、56%であったことを示している。しかしながら、化合物X及びZは、7日目に、それぞれ、7%及び26%漏出を示し、14日目には、これらの治療につき、4%及び6%の漏出を示した。7日目までに、化合物48aは、対照の75%と比べて13%までの減少した露出に導き、14日目までには、漏出は、更に、5%まで減少していた(即ち、防護レベルは、約90%であった)。
【0259】
図8及び9は、7日目及び14日目における、脈絡膜血管漏出のランキングをそれぞれ示している。図9は、14日目において、対照における15%と比較して、「無」漏出の数が化合物Xについては86%であり、化合物Zについては72%であったことを示している。図10は、化合物48aについての「無」漏出部位が、14日目までに、68%まで増大したこと(対照では15%)を示している。
【0260】
図11は、化合物X、Z及び48aを用いた場合の、14日目における、脈絡膜病変域の減少を示している。内皮細胞標識は、脈絡膜病変部は、対照における105μmと比較して、化合物X及び化合物Zにおいて、それぞれ、直径14μm及び43μmであることを示した。化合物48aによる治療の際の病変部位は、14日目に、50μmから約18μmに減少した。
【0261】
結論
第一週における漏出の減少は、化合物Xは、初期事象に作用することにより防護し、化合物Zは、漏出を低減したが、7日目まで有効でなかったことを示唆している。しかしながら、14日目までに、傷害媒介性変化が含まれない場合には、化合物Zの効果は、化合物Xのそれに接近した。この病変は、化合物Xによって70%低減されたが、化合物Zによっては、対照の病変は減少したのに、未変化のままであった。これは、化合物Xが、CNVの低減において、化合物Zよりも一層効果的であることを示唆している。従って、化合物Xは、AMDにおける病原性血管形成を促進するシグナリングの初期カウンターレギュレーターでありうる。
【0262】
化合物48aを用いた場合の治療の第一週における漏出の病変部位からの急速な減少は、全身投与された48aが、脈絡膜新血管新生中に、異常病理的事象に作用することにより防護することを示唆している。これは、病変部位の直径の急速な減少により支持される。従って、このクラスの化合物は、AMDに対する治療的価値がありうる。
【0263】
参考文献の援用
ここに挙げられたすべての刊行物及び特許を、各刊行物又は特許が特定的及び個別的に指示されたかのように、そっくりそのまま参考として本明細書中に援用する。特に、WO2005/105025、WO2006/078457、WO2007/041440、US2003/0191184、WO2004/014835、WO2004/078143、US6670396、US2003/0236423、及びUS2005/0228047に開示された式A又は式1〜49の化合物、US2002/0107289、US2004/0019110、US2006/0009521、US2005/0203184及びUS2005/0113443に開示されたリポキシン化合物、WO2006/055965、WO2007/090162及びWO2008/103753に開示されたオキシリピン化合物、WO2005/089744、US2004/0044050、US2004/0116408及びUS2005/0261255に開示されたエイコサペンタエン酸又はドコサヘキサエン酸の誘導体及び/又は類似体、及びUS7053230に開示されたアスピリンに引き金を引かれる脂質メディエーターを、本発明の組成物及び方法における使用に適しているならば、参考として援用する。本願と上記の参照した特許出願との間で、化合物の構造又は名称に不一致がある場合には、本願は、本願記載の如何なる定義も含めて調整する。
【0264】
同等物
主題の発明の特定の具体例を検討してきたが、上記の明細書は、説明のためのものであり、制限するものではない。この発明の多くの変形が、当業者には、この明細書及び後記の特許請求の範囲を見れば、明らかと成ろう。この発明の全範囲は、それらの同等物の全範囲共に特許請求の範囲を参照して、かかる変形と共に明細書を参照して決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の眼病を治療する方法であって、該患者に、式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、前述の何れかのプロドラッグ、又は前述の何れかの製薬上許容しうる塩を投与することを含む当該方法。
【請求項2】
眼病が、ドライアイである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式Aの化合物、式1〜49の何れか一つの化合物、リポキシン化合物、又はオキシリピン化合物を、式1〜115の何れか一つの化合物から選択する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
患者の眼病を治療する方法であって、該患者に、アスピリン及びオメガ−3脂肪酸を投与することを含む当該方法。
【請求項5】
眼病が、ドライアイである、請求項4に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−500568(P2011−500568A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528897(P2010−528897)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/011664
【国際公開番号】WO2009/051670
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(509018719)リゾルヴィクス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】RESOLVYX PHARMACEUTICALS, INC.
【住所又は居所原語表記】6a Preston Court,Bedford,MA 01730 U.S.A.
【Fターム(参考)】