説明

眼科レーザ治療装置

【課題】 レーザ照射により変化する患部の画像を的確なタイミングで取得でき、適切なレーザ治療を行う。
【解決手段】 治療レーザ光源からの治療レーザ光を患者眼に照射する照射光学系と、レーザ照射時間を含むレーザ照射条件を設定する設定手段とを有し、レーザ照射のトリガ信号の入力によりレーザ光を照射する眼科レーザ治療装置は、レーザ照射が行われる患部を撮影する電子カメラを持つ撮影光学系と、レーザ照射のトリガ信号の入力に連動して電子カメラに撮影を実行させる制御手段と、電子カメラにより撮影された画像を表示するディスプレイと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者眼の患部にレーザ光を照射することにより治療を行う眼科レーザ治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スリットランプ等の観察光学系により患者眼を観察しながら、患者眼の患部に治療レーザ光を照射して治療を行う眼科レーザ治療装置として、代表的には光凝固装置がある(例えば、特許文献1、2参照)。光凝固は、眼底の組織をレーザ光の熱作用を利用して蛋白凝固を生じさせるもので、汎網膜光凝固、黄斑機能障害の治療に使用される。この蛋白凝固によって生じる白斑は凝固斑と呼ばれており、術者はこの凝固斑の形成具合を見ながら、レーザ光の出力、照射時間等を経験的に調節していた。また、眼科の診察では、古くからビデオカメラによる撮影が行われ、患者又は付き添いの者に対しての説明用に使われていた。
【特許文献1】特開2002−136539
【特許文献2】特開2001−46417
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来行われていたビデオカメラによる撮影では、術者が撮影開始及び撮影停止の信号をスイッチ操作で入力していたので、その操作が手間であるばかりか、スイッチ操作を忘れたり、スイッチ操作を誤ったりすると、レーザ照射により変化する患部の画像が的確なタイミングで取得されない問題があった。
【0004】
また、光凝固においては、適正な凝固斑を形成することが重要であるが、レーザ照射後に時間を置いて現れる凝固斑の形成状態の適否は、術者の経験により判断されていたので、必ずしも的確なタイミングで判断されていなかった。特に、経験の浅い術者にとっては適切な判断を行う事が難しかった。ビデオ撮影がなされていても、これは単に動画での再生であり、あるいは任意の時刻の停止画像であり、的確なタイミングでの凝固班の確認には使用できなかった。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、レーザ照射により変化する患部の画像を的確なタイミングで取得でき、適切なレーザ治療を行うことができる眼科レーザ治療装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】
(1) 治療レーザ光源からの治療レーザ光を患者眼に照射する照射光学系と、レーザ照射時間を含むレーザ照射条件を設定する設定手段とを有し、レーザ照射のトリガ信号の入力によりレーザ光を照射する眼科レーザ治療装置において、レーザ照射が行われる患部を撮影する電子カメラを持つ撮影光学系と、レーザ照射のトリガ信号の入力に連動して前記電子カメラに撮影を実行させる制御手段と、前記電子カメラにより撮影された画像を表示するディスプレイと、を備えることを特徴とする。
(2) (1)の眼科レーザ治療装置は、患者眼眼底に光凝固用の治療レーザ光を照射する光凝固装置であり、前記制御手段は、レーザ照射終了後に凝固斑が現れる時間として予め設定された所定時間が経過した時に前記電子カメラに撮影を実行させて静止画像を得ることを特徴とする。
(3) (2)の眼科レーザ治療装置において、前記照射光学系にはエイミング光源からのエイミング光を患者眼に照射する光学系が含まれ、眼科レーザ治療装置は、エイミング光の観察により患部への位置合わせを行った後、レーザ照射のトリガ信号の入力によりレーザ光を照射する装置であり、前記電子カメラの撮影に連動して前記エイミング光を消灯するエイミング光消灯手段であって、少なくとも前記電子カメラによる撮影時に前記エイミング光を消灯するエイミング光消灯手段を備えることを特徴とする。
(4) (2)又は(3)の何れかの眼科レーザ治療装置において、前記制御手段は、少なくとも治療レーザ光の照射終了時の第1静止画像と前記所定時間の経過時の第2静止画像を前記電子カメラに撮影させ、前記ディスプレイは、前記第1静止画像と第2静止画像とを比較可能に表示することを特徴とする。
(5) (2)〜(4)の何れかの眼科レーザ治療装置は、前記電子カメラにより撮影された凝固斑の形成状態を画像解析し、所定の基準に基づいて凝固斑の適否を判断する判断手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、レーザ照射により変化する患部の画像を的確なタイミングで取得でき、適切なレーザ治療を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形体を図面に基づいて説明する。図1は、光凝固を行う眼科レーザ治療装置に外観図である。図2は、装置の光学系及び制御系の概略構成図である。装置本体1には、レーザ光源やレーザ光を光ファイバ2に入射させる光学系が収納されている。また、装置本体1には、レーザ出力、照射時間、エイミング光の点灯状態等のレーザ照射条件や装置の必要な設定を行うレーザ照射コントローラ3、眼底観察像等を映し出すカラーディスプレイ9、観察光学系に配置された電子カメラ47での画像撮影を行う撮影モードの設定の有無、画像の撮影回数および撮影のタイミング等の設定を行う画像撮影用コントローラ11が設置されている。患者眼を観察しながらレーザ光を患者眼の患部に照射するスリットランプデリバリ4は、光ファイバ2に導光されたレーザ光を照射するレーザ照射部5、患者眼をスリット照明する照明部6、観察光学系としての双眼の顕微鏡部4aを備える。顕微鏡部4a内に備えられたカメラ47からの画像信号は、ケーブル7により装置本体1の制御部50に送信される。レーザ照射のトリガ信号は、フットスイッチ8により入力される。
【0010】
図2において、治療レーザ光を出射する治療用レーザ光源10として、本形態では、波長1064nmの基本波を発振するNd:YAGレーザから、その2倍波(波長532nm)である緑色光を得るものが使用される。レーザ光源10からのレーザ光の大部分を透過し、一部を反射するビームスプリッタ14を反射したレーザ光は拡散板15を通過し、出力センサ16に入射される。出力センサ16はレーザ光源10からのレーザ光の出力を検出する。
【0011】
17は異常時発生の場合に光路に挿入されてレーザ光を遮断するための第1安全シャッタである。18はダイクロイックミラーである。赤色光を発する可視半導体レーザ等により構成されるエイミング光源19からのエイミング光は、コリメータレンズ20を介した後、ダイクロイックミラー18により治療用レーザ光と同軸にされる。第2安全シャッタ21は、エイミング光源19からのエイミング用レーザ光が出ていないときに光路に挿入される。第2安全シャッタ21を通過した各レーザ光は、集光レンズ22により光ファイバ2の入射端面2aに集光して入射する。
【0012】
レーザ照射部5のレーザ照射光学系では、光ファイバ2により導光されたレーザ光はリレーレンズ24、レーザ光のスポットサイズを変更するために光軸方向に移動可能なズームレンズ(変倍光学系)25、対物レンズ26を介した後、可動ミラー27で反射し、コンタクトレンズ28を経て患者眼Eの眼底に照射される。
【0013】
スリット光を投影する照明部6は、照明光源30からの照明光がコンデンサーレンズ31、スリット32、投影レンズ33を介した後、分割ミラー35a、35bで反射され、コンタクトレンズ28を介して患者眼を照明する。34は分割ミラーで反射される照明光の光路長を補正する補正レンズである。
【0014】
双眼の顕微鏡部4aの観察光学系は、対物レンズ40、変倍光学系41、保護フィルター42、正立プリズム群43、視野絞り44、接眼レンズ45を備える。また、双眼のどちらか片側の正立プリズム群43と視野絞り44との間の観察光路上には、ハーフミラー46が配置され、ハーフミラー46にて反射される光束は電子カメラ47に受光される。観察光学系の対物レンズ40からハーフミラー46に至る光路は、電子カメラ47を有する撮影光学系として兼用される。カメラ47としては、電子画像を撮影可能なデジタルカメラ、あるいは静止画及び動画の撮影が可能なCCDカメラが使用される。カメラ47で撮像された画像データは制御部50に送信され、メモリ51に記録される。また、カメラ47で撮像された画像は、ディスプレイ9に表示される。
【0015】
次に、以上のような構成を備える装置において、その動作を説明する。汎網膜光凝固においては、多数の箇所に光凝固が行われるが、これらの光凝固に先立ち、適切な凝固班が形成られるように、術者は、所望する部位に「試し凝固」を行う。術者はコントローラ11に配置されたモード選択スイッチの操作によってカメラ47の設定を撮影モードに設定する。撮影モードでは、レーザ照射のトリガ信号に連動してカメラ47による撮影が実行される。また、術者は、ズームレンズ(変倍光学系)25を移動してレーザ光のスポット径を設定し、コントローラ3の各種スイッチにて治療レーザ光の照射時間、出力、リピートモード時のレーザ光の休止時間、等のレーザ光照射条件を設定する。例えば、レーザ光のスポット径は200μmに設定され、レーザ照射時間は200m秒に設定されたとする。
【0016】
術者は、コントローラ3のエイミングスイッチを操作してエイミング光源19からエイミング光を出射させる。術者は、眼底に照射されたエイミング光を顕微鏡部4aにより観察しながら、スリットランプ4をジョイスティック(図示を略す)の操作により移動し、又は可動ミラー27をマニュピレータ(図示を略す)の操作により動かし、患部への位置合わせを行う。フットスイッチ8が押され、トリガ信号が制御部50に入力されると、制御部50は治療用レーザ光源10を駆動し、設定されたレーザ照射時間TAだけレーザ光を出射させる。
【0017】
図3は、撮影モード時のレーザ照射と凝固斑を撮影するタイミングチャートの説明図である。制御部50は、フットスイッチ8からのトリガ信号に連動して、トリガ信号が入力された時刻T0から照射時間TAが経過した時刻T1となると、カメラ47に撮影信号を出力し、レーザ照射直後の患部をカメラ47に撮影させる。これにより、レーザ照射直後の患部の静止画像G1がメモリ51に記憶される。さらに、制御部50は、レーザ照射の終了時刻T1から、コントローラ11で予め設定された次の撮影までの時間TBが経過すると、再びカメラ47に撮影信号を出力し、時間TB経過後の時刻T2でカメラ47に撮影を実行させる。静止画像G2はメモリ51に記録される。
【0018】
ここで、時間TBは、レーザ照射後の患部に凝固斑が現れるに十分な時間として設定される。例えば、本実施例のように、可視レーザ光で光凝固を行う場合には、比較的早い時間で凝固斑が現れるので、例えば、時間TBは0.2秒で設定されている。一方、近赤外レーザ光で光凝固を行う場合には、凝固斑が現れるのに比較的時間がかかるので、可視レーザ光の場合より長い時間に設定される。例えば、時間TBは1秒が設定されている。これらの時間TBは、治療レーザ光の波長により予め設定されている。
【0019】
時刻T2における撮影が完了すると、レーザ照射終了直後の静止画像G1と時間TB経過時の静止画像G2とが、ディスプレイ9に比較可能に表示される。例えば、図4に示されるように、ディスプレイ9の同一画面に並べて表示される。術者は、レーザ照射直後の凝固班M1として反応が現れ始める静止画像G1と凝固斑M2が現れた静止画像G2と見比べ、凝固斑の色の変化、凝固斑のサイズの変化を確認することにより、凝固班の形成状態が適切か否かを判断する。凝固斑が適切である場合には、通常、凝固斑の色は乳白色になるので、静止画像G2に現れた凝固斑M2の色合い(色相)が適切な乳白色になっているかによって判断される。凝固斑M2の白色度合が少ない場合は、レーザ光のエネルギ不足(レーザ光の照射時間又は出力が不足)であり、凝固斑M2が乳白色よりさらに白くなっている場合にはレーザ光のエネルギが過剰であると判断される。また、凝固斑のサイズは、エイミング光のサイズと同じになっているか否かにより判断される。図4に示されるように、レーザ照射後の静止画像G1には、エイミング光AIが撮影されている。このエイミングAIのサイズWeと、静止画像G2に現れた凝固班M2のサイズWmがほぼ同サイズか否かにより適否が判断される。エイミングAIのサイズWeに対して凝固班M2のサイズWmが小さい場合は、レーザ光のエネルギ不足(照射時間又は出力の不足)と判断され、サイズWeに対して凝固班M2のサイズWmが大きい場合は、レーザ光のエネルギが過剰であると判断される。
【0020】
術者は、凝固班の色合い又は/及び凝固班のサイズが適性でない場合は、コントローラ3の各種スイッチにて治療レーザ光の照射時間又は出力を変更する。そして、再度、エイミング光により別の部分の患部に位置合わせし、フットスイッチ8からのトリガ信号を入力して「試し凝固」を行う。そして、同様にカメラ47により撮影された画像の凝固班が適性になるまで、「試し凝固」を繰り返す。
【0021】
なお、図4に示された上記において、凝固斑の色合い、凝固班のサイズを確認する上では、赤色のエイミング光が邪魔になる場合がある。この場合、制御部50は、カメラ47での撮影に連動させて、少なくともカメラ47による撮影時にエイミング光源19からのエイミング光を消灯させる。例えば、図3に示されるように、レーザ照射のトリガ信号が入力された後、レーザ照射時間TAが経過後、カメラ47により撮影がなされた後は、次の撮影が終了するまでエイミング光が消灯される。あるいは、時刻T2で静止画像G2がカメラ47に撮影される時間だけエイミング光が消灯される。エイミング光の消灯の制御は、エイミング光源19の駆動が制御部50により直接制御される他、安全シャッタ21が光路に挿入される制御も含まれる。これにより、静止画像G2にはエイミング光が入射せず、エイミング光が邪魔にならずに凝固班の形成状態を判断できる。静止画像G2の撮影がされた後は、再びエイミング光源19が点灯され、エイミング光を観察しての患部への位置合わせを引き続き行える。また、時刻T1での静止画像G1の取得においても、エイミング光が邪魔になる場合は、エイミング光が消灯される。凝固班のサイズWmの適否を確認するために、エイミング光のサイズWeが必要な場合には、レーザ照射のトリガ信号に連動して、トリガ信号の入力の時刻T0でエイミング光が照射されている患部がカメラ47にて撮影されるように構成しても良い。
【0022】
撮影モードが設定されている場合は、「試し凝固」に限られず、上記のように、レーザ照射のトリガ信号の入力に連動して、レーザ照射が終了して所定時間TB経過時に現れる凝固斑がリアルタイムに電子カメラ47により撮影され、メモリ51に記憶される。メモリ51に記憶された画像は、順次又はコントローラ11のスイッチにより任意に呼び出され、ディスプレイ9に表示される。これにより、レーザ照射後に現れる凝固班の形成状態を適切なタイミングで確認できる。また、静止画像のみを記録する場合には、動画の場合に比べてメモリ51の記憶容量を大幅に低減できる。
【0023】
上記では、術者が経験に基づいて凝固斑の適否を判断するように構成したが、経験の浅い術者では、静止画像G1と静止画像G2での凝固斑の比較からでは困難な場合がある。この場合には、ベテランの術者により撮影された凝固班の基準画像を予めメモリ51に記録しておき、コントローラ11の操作によって基準画像を呼び出し、図4の画像G2と比較可能にディスプレイ9の同一画面に表示するように構成される。ベテランの術者が記録した静止画像が参照されることによって、経験が浅い術者でも自身が行ったレーザ照射の適否の判断を容易に行えるようになる。
【0024】
なお、凝固斑の形成にかかる時間は、同一の照射条件(レーザ出力、照射時間、スポットサイズ)であっても被検者ごとに個体差がある。そのため、レーザ照射が終了した時刻T1から時間TBが経過した初期画像のみでは、凝固斑の判定に十分でない場合がある。この場合には、コントローラ11の操作によって、画像の撮影回数を複数回に設定することができる。例えば、レーザ照射が完了した時刻T1から時間TB経過時の時刻T2、時刻T2から時間TC経過時の時刻T3、時刻T3から時間TD経過時の時刻T4で静止画像が撮影され、これらもディスプレイ9に表示される。レーザ照射後の異なる時間毎に画像撮影が行われ、複数の静止画像が取得されることによって、凝固斑が現れにくい被検者であっても、画像データによる凝固斑の適否の判断が適切に行われるようになる。
【0025】
また、術者が凝固班の適否を判断する代わりに、制御部50により自動的に判断され、判断結果を術者に知らせるようにしても良い。制御部50が持つ画像解析部により、静止画像G2の凝固斑の形成状態(色合い又は/及び凝固班のサイズ)が画像解析され、適正な凝固斑が得られた基準画像から予め設定された凝固斑の基準(凝固サイズの変化の基準値、凝固斑の色変化の基準値)に基づいて、凝固班の適否が判断される。そして、制御部50によりレーザ光の照射時間又は出力の変更値が算出される。これにより、経験が浅い術者でも容易に凝固班の適否を知ることができる。そして、より適切なレーザ照射条件での光凝固手術が行われるようになる。
【0026】
また、上記ではカメラ19での撮影は、デジタルカメラによる静止画像としたが、電子カメラによる動画の撮影であっても良い。この場合、フットスイッチ8のトリガ信号により撮影が開始され、時刻T2での撮影画像が得られたときに、自動的に撮影の記録が終了される(時刻T3、T4・・・の設定がなされているときは、その時刻が終了するまで撮影が行われる)。そして、動画の撮影から時刻T1、時刻T2での静止画像が抽出され、ディスプレイ9に表示される。もちろん、動画であるので、コントローラ11の操作によりリアルタイムの再生、スロー再生等も自由に行える。
【0027】
また、多数の箇所に光凝固を行う場合には、フットスイッチ8からのトリガ信号のON信号が入力されている間、設定された休止時間だけレーザ光の照射が停止され、連続してレーザ照射を繰り返すリピートモードが使用される。リピートモードは、コントローラ3に設けられたモード選択スイッチにより選択される。このリピートモードにおいては、制御部50は、フットスイッチ8のON信号の入力に連動してカメラ47の撮影を実行し、フットスイッチ8からの信号がOFFにされたときに、撮影を停止する。これにより、カメラ47に動画を撮影させる場合においても、適切なタイミングで撮影画像を得ることができる。そして、各レーザ照射時に制御部50により自動的に生成されるレーザ照射のトリガ信号に基づいて、メモリ51に記憶された動画画像から、前述の静止画像G1、静止画像G2が抽出され、ディスプレイ9に表示することも可能である。また、動画の再生も可能である。
【0028】
以上のように、レーザ照射のトリガ信号又はレーザ照射終了のタイミングに連動して電子カメラ47での撮影が自動的に行われるので、適切なタイミングでの凝固斑等の患部の画像が得られる。また、術者は簡単にレーザ照射直後および所定時間TB経過時の凝固斑の画像を取得できる。特にレーザ照射終了後から所定時間TB経過時の画像が的確なタイミングで撮影されるので、凝固班の形成状態の適否を適切に判断可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】光凝固を行う眼科レーザ治療装置に外観図である。
【図2】装置の光学系及び制御系の概略構成図である。
【図3】撮影モード時のタイミングチャートの説明図である。
【図4】静止画像のディスプレイでの表示例である。
【符号の説明】
【0030】
5 レーザ照射部
6 照明部
9 ディスプレイ
10 治療用レーザ光源
19 エイミング光源
50 制御部
47 電子カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療レーザ光源からの治療レーザ光を患者眼に照射する照射光学系と、レーザ照射時間を含むレーザ照射条件を設定する設定手段とを有し、レーザ照射のトリガ信号の入力によりレーザ光を照射する眼科レーザ治療装置において、
レーザ照射が行われる患部を撮影する電子カメラを持つ撮影光学系と、
レーザ照射のトリガ信号の入力に連動して前記電子カメラに撮影を実行させる制御手段と、
前記電子カメラにより撮影された画像を表示するディスプレイと、
を備えることを特徴とする眼科レーザ治療装置。
【請求項2】
請求項1の眼科レーザ治療装置は、患者眼眼底に光凝固用の治療レーザ光を照射する光凝固装置であり、前記制御手段は、レーザ照射終了後に凝固斑が現れる時間として予め設定された所定時間が経過した時に前記電子カメラに撮影を実行させて静止画像を得ることを特徴とする眼科レーザ治療装置。
【請求項3】
請求項2の眼科レーザ治療装置において、前記照射光学系にはエイミング光源からのエイミング光を患者眼に照射する光学系が含まれ、眼科レーザ治療装置は、エイミング光の観察により患部への位置合わせを行った後、レーザ照射のトリガ信号の入力によりレーザ光を照射する装置であり、前記電子カメラの撮影に連動して前記エイミング光を消灯するエイミング光消灯手段であって、少なくとも前記電子カメラによる撮影時に前記エイミング光を消灯するエイミング光消灯手段を備えることを特徴とする眼科レーザ治療装置。
【請求項4】
請求項2又は3の何れかの眼科レーザ治療装置において、前記制御手段は、少なくとも治療レーザ光の照射終了時の第1静止画像と前記所定時間の経過時の第2静止画像を前記電子カメラに撮影させ、前記ディスプレイは、前記第1静止画像と第2静止画像とを比較可能に表示することを特徴とする眼科レーザ治療装置。
【請求項5】
請求項2〜4の何れかの眼科レーザ治療装置は、前記電子カメラにより撮影された凝固斑の形成状態を画像解析し、所定の基準に基づいて凝固斑の適否を判断する判断手段を備えることを特徴とする眼科レーザ治療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−131054(P2010−131054A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307332(P2008−307332)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)
【Fターム(参考)】