説明

眼科用清涼組成物

【課題】ソフトコンタクトレンズを装用中においても、十分な清涼感を付与できる眼科用清涼組成物を提供する。
【解決手段】清涼化剤のなかでも特にメントール、カンフル又はボルネオールから選択される化合物を単独または組み合わせて、それらの総量として0.01w/v%以上0.1w/v%未満の限定された範囲内で含有したうえで、無機塩類を必須の構成成分として含有し、さらに、特定の分子量を有する特定の高分子を組み合わせて含有することでソフトコンタクトレンズ装用時に清涼感を付与するための眼科用清涼組成物を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトコンタクトレンズ装用中に眼に適用することで、ソフトコンタクトレンズ装用時においても十分な清涼感を付与することができる眼科用清涼組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科用清涼組成物においては、メントールに代表される清涼化剤が配合される。清涼化剤の配合は、快適な強さの清涼感を不快な刺激を伴うことなく付与できるよう処方設計することが重要であり、常時起こっている涙液交換、すなわち涙液による希釈と排出を被っても適度な強さの清涼感を付与できるだけの高濃度のメントールの投与が必要になる。しかしながら、過剰に高濃度のメントールは、点眼直後に清涼感を超えた強すぎる不快な刺激を伴うため、眼科用清涼組成物に配合できるメントール量にはおのずと限界がある。
【0003】
そこで、眼科用清涼組成物において、テルペノイド類と水溶性高分子(ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)と、局所麻酔剤(クロロブタノール等)を配合した点眼剤やコンタクトレンズ装着液が、良好な清涼感を付与でき、清涼感が持続するとともに刺激性が低いことが知られている(特許文献1)。また、メントールに対して一定の比率以上のカンフルとボルネオールを配合することで、眼刺激を抑制しつつ清涼感を持続させる方法が開示され、0.015w/v%を上限とするメントールの刺激が緩和できる(特許文献2)。
【0004】
このように、メントール等の清涼化剤を単に増量することなく、十分な清涼感を持続させるとともにメントールの刺激性を改善する方法が示されている。しかしながら、これらの方法や点眼剤は、専らソフトコンタクトレンズを装用していない使用者、すなわち裸眼或いはハードコンタクトレンズを常用する使用者に対して清涼感を付与することを主目的として開発されており、ソフトコンタクトレンズ装用における特有の課題については何ら考慮されてはいない。
【0005】
ところで、ソフトコンタクトレンズ装用においては以下のような特有の課題がある。
角膜は知覚神経に富む組織であり、角膜上皮における神経密度は皮膚の約300〜600倍といわれている。(非特許文献1)。したがって、使用者が清涼感を感じるかどうかは、角膜表面にメントールがどの程度接触したかに影響される。ハードコンタクトレンズ直径は角膜径よりも小さく、ハードコンタクトレンズを装用しても角膜周縁部が露出しているが、ソフトコンタクトレンズ径は、角膜よりも大きくソフトコンタクトレンズを装用すると角膜表面はソフトコンタクトレンズに覆われてしまう。そのため、ソフトコンタクトレンズ装用者は、裸眼の場合に比して格段に清涼感を感じにくい。
また、ソフトコンタクトレンズを装用中は、レンズ後面(角膜側)とレンズに覆われていない部分(結膜表面)との涙液交換率が極めて低下する。ハードコンタクトレンズでは、ベストフィッティングでの涙液交換率が健常眼の涙液メニスカスにおける涙液交換率と同程度の高値25.6±11.1(%/分)を示すが、ソフトコンタクトレンズでは、ベストフィッティングでの涙液交換率ですら、16.5±1.1(%/分)と低値を示す(非特許文献2 レンズと涙液交換率の低下)。そのため、メントールがソフトコンタクトレンズと眼表面の間隙にある涙液層を経て角膜中央部に到達するための涙液交換も著しく遅く、清涼感の感度低下を増長してしまう。
【0006】
これまで、ソフトコンタクトレンズ装用中の眼に適用した場合においても、十分な清涼感を付与することができる眼科用清涼組成物は知られていなかった。また、ソフトコンタクトレンズ装用中にレンズ後面の涙液交換を促進する方法も、ほとんど知られていない。このようにソフトコンタクトレンズ装用中に所要の清涼感を一定時間持続させつつ、刺激を緩和することは極めて困難であった。
さらに、メントールなどの清涼化剤や、クロロブタノール等の局所麻酔作用剤、塩化ベンザルコニウム等の第4級アンモニウム塩などの防腐剤等、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン等の血管収縮剤等のソフトコンタクトレンズに悪影響(吸着や変形)を及ぼすことが懸念される成分を含有する場合には、製剤設計が制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−183157号公報
【特許文献2】特開平9−132526号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】角膜表面の知覚に関する文献 新しい眼科,4(1),p11-20,1987年
【非特許文献2】日本コンタクトレンズ学会誌45(1), p1-10,2003年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、ソフトコンタクトレンズを装用中においても、十分な清涼感を付与できる清涼組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、課題解決のために鋭意検討の結果、a)メントール、カンフル又はボルネオールから選択される化合物を、それらの総量として0.01(w/v)%以上0.1(w/v)%未満、b)無機塩類、およびc)平均分子量が20万〜250万のヒドロキシエチルセルロース、平均分子量が5万〜50万のメチルセルロース、平均分子量が1万〜15万のポリビニルピロリドン、平均分子量が5万〜50万のコンドロイチン硫酸又はその塩、平均分子量が5万〜50万のヒドロキシプロピルメチルセルロース、平均分子量が1万〜30万のポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種から選ばれる少なくとも1種を含有する眼科用清涼組成物が、ソフトコンタクトレンズ装用時の眼に適用しても刺激を伴うことなく十分な清涼感を付与することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明者は、かかる知見に基づいて開発されたものである。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(12)に掲げる眼科用清涼組成物である。
(1)a)メントール、カンフル又はボルネオールから選択される化合物を、それらの総量として0.01w/v%以上0.1w/v%未満、
b)無機塩類、および
c)平均分子量が20万〜250万のヒドロキシエチルセルロース、平均分子量が5万〜50万のメチルセルロース、平均分子量が1万〜15万のポリビニルピロリドン、平均分子量が5万〜50万のヒドロキシプロピルメチルセルロース、平均分子量が1万〜30万のポリビニルアルコール、又は平均分子量が0.5万〜50万のコンドロイチン硫酸或いはその塩から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とするソフトコンタクトレンズ装用時に清涼感を付与するための眼科用清涼組成物、
(2) 平均分子量が20万〜250万のヒドロキシエチルセルロースを、0.001〜10w/v%で含有する(1)に記載の眼科用清涼組成物、
(3) 平均分子量が5万〜50万のメチルセルロースを、0.001〜10w/v%で含有する(1)に記載の眼科用清涼組成物、
(4) 平均分子量が1万〜15万のポリビニルピロリドンを、0.001〜10w/v%で含有する(1)に記載の眼科用清涼組成物、
(5) 平均分子量が5万〜50万のヒドロキシプロピルメチルセルロースを、0.001〜10w/v%で含有する(1)に記載の眼科用清涼組成物、
(6) 平均分子量が1万〜30万のポリビニルアルコールを、0.001〜10w/v%で含有する(1)に記載の眼科用清涼組成物、
(7) 平均分子量が0.5万〜50万のコンドロイチン硫酸或いはその塩を、0.001〜10w/v%で含有する(1)に記載の眼科用清涼組成物、
(8) さらに、非イオン性界面活性剤を0.001〜5w/v%含有する(1)乃至(7)に記載の眼科用清涼組成物、
(9)さらに、エデト酸又はその塩を0.0001〜1w/v%含有する(1)乃至(8)に記載の眼科用清涼組成物、
(10)さらに、アミノエチルスルホン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、グルタミン酸ナトリウム、グルコース又はトレハロースから選択される少なくとも1種以上の成分を、それらの総量として0.01〜5w/v%含有する(1)乃至(9)に記載の眼科用清涼組成物、
(11)点眼剤又は洗眼剤である(1)乃至(10)に記載の眼科用清涼組成物、
(12)a)メントール、カンフル又はボルネオールから選択される化合物を、それらの総量として0.01w/v%以上0.1w/v%未満、
b)無機塩類、および
c)平均分子量が20万〜250万のヒドロキシエチルセルロース、平均分子量が5万〜50万のメチルセルロース、平均分子量が1万〜15万のポリビニルピロリドン、平均分子量が5万〜50万のヒドロキシプロピルメチルセルロース、平均分子量が1万〜30万のポリビニルアルコール、又は平均分子量が0.5万〜50万のコンドロイチン硫酸或いはその塩から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とするソフトコンタクトレンズ常用者用の眼科用清涼組成物。
なお、本明細書中、特に言及しない限り、%はw/v%を意味するものとする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の眼科用清涼組成物によれば、清涼化剤のなかでも特にメントール、カンフル又はボルネオールから選択される化合物を単独または組み合わせて、それらの総量として0.01w/v%以上0.1w/v%未満の限定された範囲内で含有したうえで、無機塩類を必須の構成成分として含有し、さらに、特定の分子量を有する特定の高分子を組み合わせて含有することを特徴とする、ソフトコンタクトレンズ装用時に清涼感を付与するための眼科用清涼組成物を提供することができる。
これまで、ソフトコンタクトレンズ装用中に適用する点眼剤としては、人工涙液型点眼剤が広く用いられている。従来型の人工涙液型点眼剤では、十分な清涼感を付与したくてもメントールなどの清涼化剤がソフトコンタクトレンズに吸着することが安全面での弊害となり、高濃度のメントールを含有することができなかった。また吸着の問題を解決してメントールを増量しても、ソフトコンタクトレンズ装用中の眼では、角膜が露出していないうえに涙液交換率が低下しているために、メントール等による刺激を受けることがなく清涼感の付与が困難であった。
本発明の眼科用清涼組成物によれば、眼に組成物を適用した直後から十分な清涼感が得られ、かつ刺激が緩和されているため、ソフトコンタクトレンズ装用者に快い清涼感を付与するための眼科用清涼組成物を提供できる。さらに、本発明によれば、メントールを少量用いても十分な清涼感を付与することができ、刺激がなく安全性が高い眼科用清涼組成物を提供できる。
さらに、本発明の眼科用清涼組成物は、清涼化剤の刺激を伴うことなく清涼感を感じることができるので、例えばソフトコンタクトレンズ装用によって障害を有する眼となった、ソフトコンタクトレンズ常用者がソフトコンタクトレンズの装用中のみならずソフトコンタクトレンズを外した後の眼に清涼感を付与するためのソフトコンタクトレンズ常用者用の眼科用清涼組成物としても利用できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の眼科用清涼組成物は、メントール、カンフル又はボルネオールから選択される1種又は2種以上の化合物をそれらの総量として0.01%以上0.1%未満で含有する。下限として好ましくは、0.012%以上、より好ましくは0.014%以上、特に好ましくは0.016%以上であり、上限として好ましくは0.08%以下、より好ましくは0.06%以下、特に好ましくは0.04%以下である。0.01%未満では、組成物を眼に適用した直後に十分な清涼感を感じにくく、0.1%以上では、組成物を眼に適用した直後の清涼感が強く、使用者によっては反って刺激を感じる場合があるため好ましくない。なお、これらの化合物は公知の化合物であり市販のものを利用でき、d体又はl体のいずれでも用いることができる。
【0014】
本発明の眼科用清涼組成物は、無機塩類を必須成分として含有する。かかる無機塩類としては、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムが挙げられる。なかでも、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムが好ましく、塩化カリウム、塩化ナトリウムが特に好ましい。
【0015】
本発明において眼科用清涼組成物中のこれらの無機塩類は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その含有量は無機塩類の総量として、好ましくは0.01〜10%、より好ましくは0.1〜10%、特に好ましくは0.1〜5%程度である。無機塩類が0.01%未満では、組成物を眼に適用した直後に十分な清涼感を感じにくく、10(w/v)%以上では、組成物を眼に適用した直後の清涼感が強くなりすぎる傾向があり使用者によっては刺激を感じる場合がある。
【0016】
本発明の眼科用清涼組成物では、特定の分子量を有する特定の高分子を組み合わせて含有することが必須の構成となる。すなわち、本発明では、平均分子量が20万〜250万のヒドロキシエチルセルロース、平均分子量が5万〜50万のメチルセルロース、平均分子量が1万〜15万のポリビニルピロリドン、平均分子量が5万〜50万のヒドロキシプロピルメチルセルロース、平均分子量が1万〜30万のポリビニルアルコール、又は平均分子量が0.5万〜50万のコンドロイチン硫酸或いはその塩から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする。
【0017】
本発明に用いるヒドロキシエチルセルロースは公知の高分子化合物であり、平均分子量が20万〜250万のものが用いられ、より好ましくは50万〜200万、特に好ましくは80万〜150万のヒドロキシエチルセルロースを用いる。かかるヒドロキシエチルセルロースは市販のものを利用することができ、例えば住友精化株式会社から販売されているHEC−CF−G(平均分子量約40万)、HEC−CF−H(平均分子量約70万)、HEC−CF−V(平均分子量約100万)、HEC−CF−W(平均分子量約130万)、HEC−CF−X(平均分子量約150万)、HEC−CF−Y(平均分子量約180万)等が利用できる。
本発明において眼科用清涼組成物中のヒドロキシエチルセルロースの含有量は、好ましくは0.001〜10%、より好ましくは0.005〜5%、特に好ましくは0.01〜3%程度である。
【0018】
本発明に用いるメチルセルロースは公知の高分子化合物であり、平均分子量が5万〜50万のものが用いられる。さらに好ましくは平均分子量10万〜50万であり、特に好ましくは20万〜50万のメチルセルロースを用いる。かかるメチルセルロースは市販のものを利用することができ、例えば、メトローズSMシリーズとして信越化学工業株式会社から販売されている、SM−15(平均分子量約7万)、SM−25(平均分子量約9万)、SM−50(平均分子量約11万)、SM−100(平均子量約12万)、SM−400(平均分子量約17万)、SM−1500(平均分子量約29万)、SM−4000(平均分子量約36万)等が利用できる。
本発明において眼科用清涼組成物中のメチルセルロースの含有量は、好ましくは0.001〜10%、より好ましくは0.005〜5%、特に好ましくは0.01〜3%程度である。
【0019】
本発明に用いるポリビニルピロリドンは公知の高分子化合物であり、平均分子量が1万〜15万のものが用いられる。さらに好ましくは平均分子量2万〜15万のポリビニルピロリドンを用いる。かかるポリビニルピロリドンは市販のものを利用することができ、例えば、コリドンシリーズとしてBASF株式会社から販売されている、コリドン25(平均分子量約3万)、コリドン30(平均子量約5万)、コリドン17PF(平均分子量約9万)、コリドン90(平均分子量約12万)等が利用できる。
本発明において眼科用清涼組成物中のポリビニルピロリドンの含有量は、好ましくは0.001〜10%、より好ましくは0.01〜5%、特に好ましくは0.1〜3%程度である。
【0020】
本発明に用いるヒドロキシプロピルメチルセルロースは公知の高分子化合物であり、平均分子量が5万〜50万のものが用いられる。さらに好ましくは平均分子量10万〜50万であり、特に好ましくは20万〜50万のヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いる。かかるヒドロキシプロピルメチルセルロースは市販のものを利用することができ、例えば、メトローズSHシリーズとして信越化学工業株式会社から販売されている、60SH−15(平均分子量約7万)、60SH−25(平均分子量約9万)、60SH−50(平均分子量約11万)、60SH−100(平均分子量約12万)、60SH−400(平均分子量約17万)、60SH−1500(平均分子量約29万)、60SH−4000(平均分子量約36万)等が利用できる。
本発明において眼科用清涼組成物中のヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量は、好ましくは0.001〜10%、より好ましくは0.005〜5%、特に好ましくは0.01〜3%程度である。
【0021】
本発明に用いるポリビニルアルコールは公知の高分子化合物であり、平均分子量が1万〜30万のものを用いる。さらに好ましくは平均分子量2万〜20万、特に好ましくは平均分子量2万〜15万のポリビニルアルコールを用いる。かかるポリビニルアルコールは市販のものを利用することができ、例えば、ゴーセノールシリーズとして日本合成化学株式会社から販売されている、ゴーセノールEG05(平均分子量約3万)、ゴーセノールEG40(平均分子量約12万)等が利用できる。
本発明において眼科用清涼組成物中のポリビニルアルコールの含有量は、好ましくは0.001〜10%、より好ましくは0.01〜5%、特に好ましくは0.1〜3%程度である。
【0022】
本発明に用いるコンドロイチン硫酸又はその塩は公知の高分子化合物であり、平均分子量が0.5万〜50万のものを用いる。より好ましくは0.5万〜20万、さらに好ましくは平均分子量0.5万〜10万、特に好ましくは0.5万〜4万のコンドロイチン硫酸又はその塩を用いる。かかるコンドロイチン硫酸又はその塩は市販のものを利用することができ、例えば、生化学工業株式会社から販売されている、コンドロイチン硫酸ナトリウム(平均分子量約1万、平均分子量約2万、平均分子量約4万等)、マルハ株式会社から販売されているコンドロイチン硫酸ナトリウム(平均分子量約0.7万等)等が利用できる。
本発明において眼科用清涼組成物中のコンドロイチン硫酸又はその塩の含有量は、好ましくは0.001〜10%、より好ましくは0.01〜5%、特に好ましくは0.05〜3%程度である。
【0023】
本発明の清涼感付与効果は、非イオン性界面活性剤を配合した場合に顕著になる。
【0024】
本発明に用いる非イオン性界面活性剤としては、通常当業者が眼科用清涼組成物に利用しうるものを用いることができ、例えばポリオキシエチレン(以下、POEともいう。)−ポリオキシプロピレン(以下、POPともいう。)ブロックコポリマー (例えば、ポロクサマー407 、ポロクサマー235 、ポロクサマー188 など) ;ポロキサミンなどのエチレンジアミンのPOE-POPブロックコポリマー付加物;モノラウリル酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20) ,モノオレイン酸POE(20)ソルビタン (ポリソルベート80) ,POEソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60),POEソルビタントリステアレート(ポリソルベート65) などのPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POE硬化ヒマシ油5 ,POE硬化ヒマシ油10 ,POE硬化ヒマシ油20 ,POE硬化ヒマシ油40 ,POE硬化ヒマシ油50、POE硬化ヒマシ油60 ,POE硬化ヒマシ油100などのPOE硬化ヒマシ油類;POE(9) ラウリルエーテルなどのPOEアルキルエーテル類;POE(20)POP(4) セチルエーテルなどのPOE・POPアルキルエーテル類;POE(10)ノニルフェニルエーテルなどのPOEアルキルフェニルエーテル類などが挙げられる。なお、括弧内の数字は付加モル数を示す。
【0025】
なかでも好ましくは、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、POEソルビタン脂肪酸エステル類又はPOE硬化ヒマシ油類から選ばれる非イオン性界面活性剤であり、特に好ましくは、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60である。
【0026】
本発明の眼科用清涼組成物において非イオン性界面活性剤の含有量は、界面活性剤の種類などによって異なるので一概に規定できないが、通常0.001〜5%、好ましくは0.001〜1%、より好ましくは0.005〜0.5%程度で用いられる。
【0027】
本発明の清涼感付与効果は、眼科用清涼組成物にエデト酸またはその塩を配合した場合に、更に顕著となる。また、エデト酸またはその塩と非イオン性界面活性剤を組み合わせて配合した場合に更に顕著になる。
【0028】
かかるエデト酸またはその塩としては、例えば、エデト酸(エチレンジアミン四酢酸,EDTA)、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)などが例示できる。これらは、1種又は2種以上配合でき、薬理学的に又は生理学的に許容される塩(例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等)として使用してもよい。なかでも好ましくは、エチレンジアミン四酢酸またはその塩であり、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物(以下、エデト酸ナトリウムともいう。)である。
【0029】
本発明の眼科用清涼組成物中におけるエデト酸またはその塩の含有量は分子量や種類などによって異なるので一概に規定できないが、好ましくは0.0001〜1%、より好ましくは0.0005〜0.5%、特に好ましくは0.001〜0.3%程度である。
【0030】
本発明の清涼感付与効果は、眼科用清涼組成物に、アミノエチルスルホン酸(タウリン)、グルタミン酸、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、グルタミン酸ナトリウム、グルコース又はトレハロースから選択される少なくとも1種以上の成分を配合した場合に、更に顕著となる。この場合に、上記したエデト酸またはその塩や非イオン性界面活性剤と組み合わせて配合した場合に更に顕著になる。
【0031】
本発明の眼科用清涼組成物中におけるこれらの成分は、総量として、0.01〜5%配合するのが好ましく、特に好ましくは0.05〜3%程度である。
【0032】
本発明の眼科用清涼組成物は、清涼感付与の観点から、適切な粘度を設計することが望ましい。20℃における粘度として、好ましくは2〜100mPa・s、より好ましくは、2〜80mPa・s、特に好ましくは2〜50mPa・s程度に設計する。下限としては、2mPa・s以上に設計することが好ましく、上限としては100mPa・sを超えた粘度では、点眼直後の清涼感が十分に付与されない傾向がある。
粘度の測定は、円すい一平板形回転粘度計を用いる方法(第十四改正日本薬局法に記載の、一般試験法、45.粘度測定法、第2法回転粘度計法、「(3)円すい−平板形回転粘度計」の項に記載の方法)に従い行うことができる。一例として、E型粘度計の1種であるTVE−20L形粘度計コーンプレートタイプ(トキメック(TOKIMEC)製、東機産業(日本))を用いて以下の測定条件の下で測定を行うことができる。
TVE−20L形粘度計コーンプレートタイプに付属の標準コーンロータ(α=1°34'、半径(R)=2.4cm)をフルスケール・トルク67.37×10-6 Nm のスプリングを介してモータで回転させる。測定時、粘度計は回転軸が水平面に対して垂直になるように設置する。被検試料1mlをコーンロータの所定のプレート位置に載置し、温度が20℃になるまで放置する。次いで、装置を被検試料の粘度に応じた回転数で回転させ、4分後に、表示された粘度を読み取る。高精度の測定結果を得るために、被検試料測定前に、JIS Z 8809 により規定されている石油系の炭化水素油(ニュートン流体)を校正用標準液として用い、測定値が標準液の粘度に一致するように調整する。測定時の使用ローター、回転数、測定試料量等は適宜選択できる。
【0033】
本発明の眼科用清涼組成物としては、ソフトコンタクトレンズ装用中の眼やソフトコンタクトレンズ常用者に適用されるものであれば特に制限されることはないが、点眼剤(点眼薬)、洗眼剤(洗眼薬)が好適である。
本発明の眼科用清涼組成物を用いることができるソフトコンタクトレンズとしては、ソフトコンタクトレンズのカーブ形状やエッジの形状、材質等によらず利用することができ、非含水ソフトコンタクトレンズや、厚生省医薬安全局によるソフトコンタクトレンズ及びソフトコンタクトレンズ用消毒剤の審査におけるソフトコンタクトレンズの分類方法によってグループI〜グループIVに分類されるいずれのソフトコンタクトレンズであっても、十分な清涼感を付与することができる。例えば、非含水ソフトコンタクトレンズ、グループI(メダリスト・登録商標、ボシュロム・ジャパン株式会社)、グループII(メニコンソフトS・登録商標、メニコン株式会社)、グループIII(ハイフローAce・登録商標、HOYAヘルスケア株式会社)、グループIV(2ウイークアキュビュー・登録商標、ジョンソンエンドジョンソン株式会社)等のソフトコンタクトレンズが挙げられる。
【0034】
本発明の眼科用清涼組成物は、種々の成分(薬理活性成分や生理活性成分を含む)を組み合わせて含有するのに適している。眼科用清涼組成物に通常用いられる充血除去成分、眼調節薬成分、抗炎症薬成分または収斂薬成分、抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分、ビタミン類、アミノ酸類、糖類などが例示できる。具体的には、以下に挙げる成分が例示できる。
【0035】
充血除去成分:例えば、α−アドレナリン作動薬、具体的にはエピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸メチルエフェドリン、酒石酸水素エピネフリン、硝酸ナファゾリンなど。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
眼筋調節薬成分:例えば、アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害剤、具体的にはメチル硫酸ネオスチグミン、トロピカミド、ヘレニエン硫酸アトロピンなど。
抗炎症薬成分または収斂薬成分:例えば、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、アラントイン、イプシロン−アミノカプロン酸、インドメタシン、塩化リゾチーム、硝酸銀、プラノプロフェン、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、ジクロフェナクナトリウム、ブロムフェナクナトリウム、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリンなど。
抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分:例えば、アシタザノラスト、アンレキサノクス、イブジラスト、トラニラスト、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸レボカバスチン、フマル酸ケトチフェン、クロモグリク酸ナトリウム、ペミロラストカリウム、マレイン酸クロルフェニラミンなど。
ビタミン類:例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、リン酸ピリドキサール、シアノコバラミン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、アスコルビン酸、酢酸トコフェロールなど。
局所麻酔薬成分:例えば、クロロブタノール、塩酸オキシブプロカイン、塩酸コカイン、塩酸コルネカイン、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル、塩酸ピペロカイン、塩酸プロカイン、塩酸プロパラカイン、塩酸ヘキソチオカイン、塩酸リドカインなど。
【0036】
また、本発明の眼科用清涼組成物には、発明の効果を損なわない範囲でその用途や形態に応じて、常法に従い、様々な成分や添加物を適宜選択し、一種またはそれ以上を併用して含有させてもよい。それらの成分または添加物として、例えば、半固形剤や液剤などの調製に一般的に使用される担体(水、水性溶媒、水性または油性基剤など)、増粘剤、糖類、界面活性剤、防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤、pH調節剤、等張化剤、香料または清涼化剤、緩衝剤、などの各種添加剤を挙げることができる。
【0037】
以下に本発明の眼科用清涼組成物に使用される代表的な成分を例示するが、これらに限定されない。
増粘剤:例えば、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸またはその塩、マクロゴール、ヒアルロン酸ナトリウム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、グリセリン、デキストラン、アルギン酸プロピレングリコールエステルなど。
糖類:例えば、グルコース、シクロデキストリン、トレハロースなど。
糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなど。
界面活性剤:例えば、アルキルジアミノエチルグリシンなどのグリシン型両性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩(具体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどの陽イオン界面活性剤など。なお、括弧内の数字は付加モル数を示す。
防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:例えば、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、ポリヘキサメチレンビグアニドなど)、グローキル(ローディア社製 商品名)など。
pH調整剤:例えば、塩酸、ホウ酸、イプシロン−アミノカプロン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ砂、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなど。
等張化剤:例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、グリセリン、プロピレングリコールなど。
香料又は清涼化剤:例えば、上記したメントール、カンフル、ボルネオール以外の、ゲラニオール、リュウノウ、ウイキョウ油、クールミント油、スペアミント油、ハッカ水、ハッカ油、ペパーミント油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油など。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
安定剤:ジブチルヒドロキシトルエン、トロメタモール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウムなど。
【0038】
本発明の眼科用清涼組成物には、上記のように様々な成分や添加物を適宜選択し、一種またはそれ以上を併用して含有することができるが、専らソフトコンタクトレンズ装用時に適用されるため、クロロブタノール(1,1,1-トリクロロ-2-メチル-2プロパノール)、塩化ベンザルコニウム(アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド)、メチルパラベン,エチルパラベン,プロピルパラベン,ブチルパラベン等のパラヒドロキシ安息香酸エステル類、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン、dl-塩酸メチルエフェドリン、エピネフリン、塩酸エピネフリン等、ソフトコンタクトレンズに吸着しやすい成分やコンタクトレンズの変形を起こしやすい成分、或いはコンタクト装用時の重篤な病症を隠匿してしまう恐れのある充血除去剤を含有する場合には、製剤設計を工夫する必要がある。また、実質的にこれらの成分を含まない製剤設計とすることも可能であり、場合によっては実質的にこれらの成分を含まない眼科用清涼組成物が望ましい。
【0039】
本発明の眼科用清涼組成物は、必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧に調整して用いる。浸透圧は、100〜1200mOsm、好ましくは100〜600mOsm、特に好ましくは150〜400mOsm程度であり、生理食塩液に対する浸透圧比は、通常、0.4〜4.1、好ましくは0.3〜2.1、特に好ましくは0.5〜1.4程度である。
【0040】
本発明の眼科用清涼組成物は、必要に応じて、生体に適用可能な範囲内の浸透圧に調整して用いる。pHは、通常、pH5.0〜10.0、好ましくは6.0〜9.0、特に好ましくは6.5〜8.5である。pHの調整は、緩衝剤、前記pH調整剤などを用いて行うことができる。
【0041】
本発明の眼科用清涼組成物は、公知の方法により製造できる。例えば、液剤であれば基剤と各成分とを混合し、調製できる。さらに、必要により、ろ過滅菌処理工程や、容器への充填工程等を加えることができる。
【0042】
また、本発明の眼科用清涼組成物は、清涼化剤の刺激を伴うことなく清涼感を感じることができるので、例えばソフトコンタクトレンズ装用によって障害を有する刺激に敏感な眼に対して、ソフトコンタクトレンズを常用している使用者がソフトコンタクトレンズの装用中のみならずソフトコンタクトレンズを外した後の眼に清涼感を付与するための眼科用清涼組成物としても利用できる。
清涼化剤のなかでも特にメントール、カンフル又はボルネオールから選択される化合物を単独または組み合わせて、その総量として0.01w/v%以上0.1w/v%未満の限定された範囲内で含有したうえで、無機塩類を必須の構成成分として含有し、さらに、特定の分子量を有する特定の高分子を組み合わせて含有することで、ソフトコンタクトレンズを常用することによって眼に障害を有して、刺激に敏感になった眼に適用した場合においても、適用直後から十分な清涼感が付与され、かつ、刺激が緩和されている使用感に優れた組成物を提供することができる。
【実施例】
【0043】
以下に、試験例及び実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0044】
実施例および比較例の調製
試験に用いた各実施例及び試験例の調製は、表1〜6に示す処方に従った。具体的には、表1に記載の実施例1の調製方法を示す。ヒドロキシエチルセルロース(HEC-CF-G)を約100mLの精製水中にて攪拌溶解した(調製液A)。次に、ポリソルベート80、l-メントール、d-カンフル、d-ボルネオールを攪拌溶解した(調整液B)。エデト酸ナトリウムと塩化ナトリウムを50mLの精製水に溶解し、調整液Aおよび調製液Bを加え、さらに精製水を加えてpHを調整して(pH=7.4)、全体を200mlとした。さらに実施例1に従い、他の実施例及び比較例も調製した。
【0045】
清涼感付与試験
試験溶液を無菌的に濾過し、10mlずつ点眼容器に充填して、20名のソフトコンタクトレンズを常用している専用パネラーにおいて、ソフトコンタクトレンズを装用中又は裸眼時(ソフトコンタクトレンズを外した直後)に点眼した場合の、点眼直後及び点眼5分後、点眼10分後の清涼感の評価を行った。使用したソフトコンタクトレンズは、グループIV(2ウイークアキュビュー(登録商標)、ジョンソンエンドジョンソン株式会社)のソフトコンタクトレンズを用いた。
各パネラーには、清涼感について全く感じない場合を0点、十分に強い清涼感を感じる場合を6点として7段階評価してもらった。同様に眼刺激について全く感じない場合を6点、強い刺激を感じる場合を0点として7段階評価してもらった。パネラー全員の評価点を平均して、その平均値が0〜2点未満を×、2点以上3点未満を△、3点以上4点未満を○、4点以上6点以下を◎として表に結果を示す。
【0046】
【表1】

【0047】
試験の結果、本発明の実施例では眼に組成物を適用した直後から十分な清涼感が得られ、刺激がなく安全性が高いことが示された。また、ソフトコンタクトレンズを常用すると、涙液の減少や角膜表面に何らかの障害を惹起することが知られており、特にソフトコンタクトレンズを外した直後は、メントール等の清涼感に対して極めて過敏になっているが、この極めて過敏な眼に対しても刺激を伴うことなく十分な清涼感を付与することができることが確認された。
【0048】
【表2】

【0049】
試験の結果、本発明の実施例では眼に組成物を適用した直後から十分な清涼感が得られ、刺激がなく安全性が高いことが示された。また、ソフトコンタクトレンズを常用すると、涙液の減少や角膜表面に何らかの障害を惹起することが知られており、特にソフトコンタクトレンズを外した直後は、メントール等の清涼感に対して極めて過敏になっているが、この極めて過敏な眼に対しても刺激を伴うことなく十分な清涼感を付与することができることが確認された。
【0050】
【表3】

【0051】
試験の結果、本発明の実施例では眼に組成物を適用した直後から十分な清涼感が得られ、刺激がなく安全性が高いことが示された。また、ソフトコンタクトレンズを常用すると、涙液の減少や角膜表面に何らかの障害を惹起することが知られており、特にソフトコンタクトレンズを外した直後は、メントール等の清涼感に対して極めて過敏になっているが、この極めて過敏な眼に対しても刺激を伴うことなく十分な清涼感を付与することができることが確認された。
【0052】
【表4】

【0053】
試験の結果、ポリビニルピロリドン(平均分子量約3万)又は/及びポリビニルピロリドン(平均分子量約12万)を塩化ナトリウムと組み合わせて含有する本発明の実施例では眼に組成物を適用した直後から十分な清涼感が得られ、刺激がなく安全性が高いことが示された。また、ソフトコンタクトレンズを常用すると、涙液の減少や角膜表面に何らかの障害を惹起することが知られており、特にソフトコンタクトレンズを外した直後は、メントール等の清涼感に対して極めて過敏になっているが、この極めて過敏な眼に対しても刺激を伴うことなく十分な清涼感を付与することができることが確認された。
【0054】
【表5】

【0055】
試験の結果、ポリビニルアルコール(平均分子量約3万)又は/及びポリビニルアルコール(平均分子量約12万)を塩化ナトリウムと組み合わせて含有する本発明の実施例では眼に組成物を適用した直後から十分な清涼感が得られ、刺激がなく安全性が高いことが示された。また、ソフトコンタクトレンズを常用すると、涙液の減少や角膜表面に何らかの障害を惹起することが知られており、特にソフトコンタクトレンズを外した直後は、メントール等の清涼感に対して極めて過敏になっているが、この極めて過敏な眼に対しても刺激を伴うことなく十分な清涼感を付与することができることが確認された。
【0056】
【表6】

【0057】
試験の結果、コンドロイチン硫酸ナトリウム(平均分子量約1万)又は/及びコンドイチン硫酸ナトリウム(平均分子量約2万)を塩化ナトリウムと組み合わせて含有する本発明の実施例では眼に組成物を適用した直後から十分な清涼感が得られ、刺激がなく安全性が高いことが示された。また、ソフトコンタクトレンズを常用すると、涙液の減少や角膜表面に何らかの障害を惹起することが知られており、特にソフトコンタクトレンズを外した直後は、メントール等の清涼感に対して極めて過敏になっているが、この極めて過敏な眼に対しても刺激を伴うことなく十分な清涼感を付与することができることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)メントール、カンフル又はボルネオールから選択される化合物を、それらの総量として0.01w/v%以上0.1w/v%未満、
b)無機塩類、および
c)平均分子量が20万〜250万のヒドロキシエチルセルロース、平均分子量が5万〜50万のメチルセルロース、平均分子量が1万〜15万のポリビニルピロリドン、平均分子量が5万〜50万のヒドロキシプロピルメチルセルロース、平均分子量が1万〜30万のポリビニルアルコール、又は平均分子量が0.5万〜50万のコンドロイチン硫酸或いはその塩から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とするソフトコンタクトレンズ装用時に清涼感を付与するための眼科用清涼組成物。
【請求項2】
さらに、非イオン性界面活性剤を0.001〜5w/v%含有する請求項1に記載の眼科用清涼組成物。
【請求項3】
さらに、エデト酸又はその塩を0.0001〜1w/v%含有する請求項1又は2に記載の眼科用清涼組成物。
【請求項4】
さらに、アミノエチルスルホン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、グルタミン酸ナトリウム、グルコース又はトレハロースから選択される少なくとも1種以上の成分を、それらの総量として0.01〜5w/v%含有する請求項1乃至3に記載の眼科用清涼組成物。
【請求項5】
点眼剤又は洗眼剤である請求項1乃至4に記載の眼科用清涼組成物。
【請求項6】
a)メントール、カンフル又はボルネオールから選択される化合物を、それらの総量として0.01w/v%以上0.1w/v%未満、
b)無機塩類、および
c)平均分子量が20万〜250万のヒドロキシエチルセルロース、平均分子量が5万〜50万のメチルセルロース、平均分子量が1万〜15万のポリビニルピロリドン、平均分子量が5万〜50万のヒドロキシプロピルメチルセルロース、平均分子量が1万〜30万のポリビニルアルコール、又は平均分子量が0.5万〜50万のコンドロイチン硫酸或いはその塩から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とするソフトコンタクトレンズ常用者用の眼科用清涼組成物。

【公開番号】特開2012−72183(P2012−72183A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−282171(P2011−282171)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【分割の表示】特願2005−167147(P2005−167147)の分割
【原出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】