眼科用組成物

【課題】プロスタグランジン化合物および増粘性化合物を含有する眼科用組成物を提供する。
【解決手段】本願発明の組成物は、増粘性化合物を配合することによって、PG化合物が有する作用効果をより安定に発現させ、作用効果の持続性を高め、またより増強された作用効果の発現が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロスタグランジン化合物を有効成分として含む眼科用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プロスタグランジン類(以後PG(類)として示す)はヒトまたは他の哺乳類の組織または器官に含有され、広範囲の生理学的活性を示す有機カルボン酸の1群である。天然に存在するPG類(天然PG類)は一般に、式(A)に示すプロスタン酸骨格を有する。
【化1】

【0003】
一方天然PG類の幾つかの合成類似体は修飾された骨格を持っている。天然PG類は5員環部分の構造特性によって、PGA類、PGB類、PGC類、PGD類、PGE類、PGF類、PGG類、PGH類、PGI類およびPGJ類に分類され、さらに炭素鎖部分の不飽和結合の数と位置によって、以下の3つのタイプに分類される。
下付1:13,14−不飽和−15−OH
下付2:5,6−および13,14−ジ不飽和−15−OH
下付3:5,6−、13,14−および17,18−トリ不飽和−15−OH。
【0004】
さらに、PGF類は9位の水酸基の配置によってα(水酸基がアルファー配置である)およびβ(水酸基がベータ配置である)に分類される。
【0005】
幾つかの15−ケト(すなわち、水酸基の代わりに15位にオキソ基を持つ)−PG類および13,14−ジヒドロ(すなわち、13位と14位の間が単結合である)−15−ケト−PG類は、天然PG類の代謝中に酵素の作用によって自然に産生する物質として知られている。また、15−ケト−PG化合物が医薬品として有効であることも知られている(米国特許第5073569号、米国特許5534547号、米国特許第5225439号、米国特許第5166174号、米国特許第5428062号、米国特許5380709号、米国特許第5886034号、米国特許第6265440号、米国特許第5106869号、米国特許第5221763号、米国特許5591887号、米国特許第5770759号、米国特許第5739161号、これらの文献はいずれも引用により本明細書に含まれる)。
【0006】
幾つかのPG化合物は、眼圧降下剤あるいは緑内障治療薬などの眼科領域の医薬品として有用であることが知られている。例えば、13,14−ジヒドロ−17−フェニル−18,19,20−トリノール−PGF2αイソプロピルエステル(一般名:ラタノプロスト)、16−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)−17,18,19,20−トリノール−PGF2αイソプロピルエステル(一般名:トラボプロスト)および17−フェニル−18,19,20−トリノール−PGF2αN−エチルアミド(一般名:ビマトプロスト)は、キサラタン(商標)、トラバタン(商標)およびルミガン(商標)点眼液として、緑内障・高眼圧症治療用の医薬品として既に市販されている。
【0007】
さらに、15−ケト−プロスタグランジン化合物は、眼圧降下剤および緑内障治療薬(米国特許第5001153号、米国特許5151444号、米国特許第5166178号、米国特許第5194429号、米国特許第5236907号)、白内障処置剤(米国特許第5212324号、米国特許第5686487号)、脈絡膜血流量増加剤(米国特許第5221690号)、視神経障害改善剤(米国特許第5773471号)などの眼科領域の医薬品として有用であることも知られている(これらの公報の内容は引用により本明細書に含まれる)。特に13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−PGF2αイソプロピルエステルは、レスキュラ(商標)点眼液(一般名イソプロピルウノプロストン)として、緑内障・高眼圧症治療用の医薬品として既に市販されている。レスキュラ点眼液は、1日2回点眼により充分な眼圧降下作用を提供する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、作用効果の安定性、増大性あるいは持続性に優れた性能を有する眼科用組成物を提供することを目的とする。
【0009】
本発明者は、PG化合物および増粘性化合物からなる眼科用組成物が安定性に優れ、持続性が高く、より増強された作用効果を発現することから、この眼科用組成物が優れた性能を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、プロスタグランジン化合物と増粘性化合物とからなる眼科用組成物を提供するものである。
【0011】
本発明の眼科用組成物は、プロスタグランジン化合物が有効であることが従来知られている眼疾患に用いられ、特に緑内障および/または高眼圧症の処置に好適に用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のPG化合物の命名に際しては前記式(A)に示したプロスタン酸の番号を用いる。前記式(A)はC−20の基本骨格のものであるが、本発明では炭素数がこれによって限定されるものではない。即ち、基本骨格を構成する炭素の番号はカルボン酸を1とし5員環に向って順に2〜7までをα鎖上の炭素に、8〜12までを5員環の炭素に、13〜20までをω鎖上に付しているが、炭素数がα鎖上で減少する場合、2位から順次番号を抹消し、α鎖上で増加する場合2位にカルボキシル基(1位)に代わる置換基がついたものとして命名する。同様に、炭素数がω鎖上で減少する場合、20位から炭素の番号を順次減じ、ω鎖上で増加する場合、21番目以後の炭素原子は置換基として命名する。また、立体配置に関しては、特にことわりのないかぎり、上記基本骨格の有する立体配置に従うものとする。
【0013】
また、例えばPGD、PGE、PGFは、9位および/または11位に水酸基を有する化合物をいうが、本発明では、9位および/または11位の水酸基に代えて他の基を有するものも包含する。これらの化合物を命名する場合、9−デヒドロキシ−9−置換体あるいは11−デヒドロキシ−11−置換体の形で命名する。なお、水酸基の代わりに水素を有する場合は、単に9あるいは11−デヒドロキシ化合物と称する。
【0014】
前述のように、本発明ではプロスタグランジン化合物の命名はプロスタン酸骨格に基づいて行うが、化合物がプロスタグランジンと類似の部分構造を有する場合には、簡略化のため「PG」の略名を利用することがある。この場合、α鎖の骨格炭素数が2個延長されたPG化合物、即ち、α鎖の骨格炭素数が9であるPG化合物は、2−デカルボキシ−2−(2−カルボキシエチル)−PG化合物と命名する。同様にα鎖の骨格炭素数が11であるPG化合物は、2−デカルボキシ−2−(4−カルボキシブチル)−PG化合物と命名する。また、ω鎖の骨格炭素数が2個延長されたPG化合物、すなわちω鎖の骨格炭素数が10であるPG化合物は、20−エチル−PG化合物と命名する。なお、命名はこれをIUPAC命名法に基づいて行うことも可能である。
【0015】
本発明において用いられる15−ケトPG類は15位に水酸基の代わりにオキソ基を有するあらゆるPG誘導体類であり得、13−14位に1つの2重結合を有する15−ケト−PGタイプ1化合物類、13−14位と5−6位に2つの2重結合を有する15−ケト−PGタイプ2化合物類、5−6位、13−14位、および17−18位に3つの2重結合を有する15−ケト−PGタイプ3化合物類、あるいはこれら化合物の13−14位の2重結合が単結合となった13,14−ジヒドロ−15−ケト−PG化合物類などが例示される。
【0016】
置換体または誘導体の例は、上記PG化合物のα鎖末端のカルボキシル基がエステル化された化合物、生理学的に許容し得る塩、2−3位の炭素結合が2重結合あるいは5−6位の炭素結合が3重結合を有する化合物、3位、5位、6位、16位、17位、18位、19位および/または20位の炭素に置換基を有する化合物、9/11位の水酸基の代りに低級アルキル基またはヒドロキシ(低級)アルキル基を有する化合物等である。
【0017】
この発明において3位、17位、18位および/または19位の炭素原子に結合する置換基としては、例えば炭素数1〜6のアルキル基があげられ、特にメチル基、エチル基があげられる。16位の炭素原子に結合する置換基としては、例えばメチル基、エチル基などの低級アルキル基、水酸基あるいは塩素、ふっ素などのハロゲン原子、トリフルオロメチルフェノキシ等のアリールオキシ基があげられる。17位の炭素原子の置換基としては、塩素、フッ素等のハロゲン原子が挙げられる。20位の炭素原子に結合する置換基としては、C1−4アルキルのような飽和または不飽和の低級アルキル基、C1−4アルコキシのような低級アルコキシ基、C1−4アルコキシ−C1−4アルキルのような低級アルコキシアルキルを含む。5位の炭素原子の置換基としては、塩素、フッ素などのハロゲン原子を含む。6位の炭素原子の置換基としては、カルボニル基を形成するオキソ基を含む。9位および11位の炭素原子にヒドロキシ基、低級アルキルまたは低級(ヒドロキシ)アルキル置換基を有する場合、これらの基の立体配置はα,βまたはそれらの混合物であってもかまわない。
【0018】
さらに、上記誘導体は、ω鎖が天然のPG類より短い化合物のω鎖末端にアルコキシ基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルオキシ基、フェノキシ基、フェニル基等の置換基を有するものであってもよい。
【0019】
特に好ましい化合物としては、13−14位の炭素結合が単結合となった13,14−ジヒドロ−15ケト−PG化合物、20位の炭素に低級アルキル(特にエチル)基を有する化合物(15−ケト−20−低級アルキル(特にエチル)−PG化合物)、5員環の9位および11位の炭素に水酸基を有する化合物(15−ケト−PGF化合物)があげられる。
【0020】
本発明で使用される好ましい化合物は、下記式(I)によって示されるものである:
【化2】

[式中、L、MおよびNは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、ヒドロキシ(低級)アルキル、低級アルカノイルオキシまたはオキソ(ただし、LおよびMの基のうちの少なくとも1つは、水素以外の基であり、5員環は少なくとも1つの二重結合を有していてもよい);
Aは、−CH、−CHOH、−COCHOH、−COOHまたはそれらの官能性誘導体;
Bは、−CH−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH−CH−CH−、−CH=CH−CH−、−CH−CH=CH−、−C≡C−CH−または−CH−C≡C−;
Zは、
【化3】

(RおよびRは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシあるいはヒドロキシ(低級)アルキル、但しRおよびRが同時にヒドロキシおよび低級アルコキシとなることはない);
は、非置換またはハロゲン、アルキル、ヒドロキシ、オキソ、アリールまたは複素環で置換された、二価の飽和または不飽和の低〜中級の脂肪族炭化水素残基(脂肪族炭化水素の少なくとも1つの炭素原子は任意に酸素、窒素あるいは硫黄と置き換えられていてもよい);そして、
Raは、非置換またはハロゲン、オキソ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、シクロ(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、複素環または複素環オキシで置換された、飽和または不飽和の低〜中級脂肪族炭化水素残基(脂肪族炭化水素の少なくとも1つの炭素原子は任意に酸素、窒素あるいは硫黄と置き換えられていてもよい);シクロ(低級)アルキル基;シクロ(低級)アルキルオキシ基;アリール基;アリールオキシ基;複素環基;複素環オキシ基]。
【0021】
上記化合物のうち、特に好ましい化合物の一群としては、式(II)で表されるものである:
【化4】

[式中、LおよびMは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、ヒドロキシ(低級)アルキル、低級アルカノイルオキシまたはオキソ(ただし、LおよびMの基のうちの少なくとも1つは、水素以外の基であり、5員環は少なくとも1つの二重結合を有していてもよい);
Aは、−CH、−CHOH、−COCHOH、−COOHまたはそれらの官能性誘導体;
Bは、−CH−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH−CH−CH−、−CH=CH−CH−、−CH−CH=CH−、−C≡C−CH−または−CH−C≡C−;
Zは、
【化5】

(RおよびRは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシあるいはヒドロキシ(低級)アルキル、但しRおよびRが同時にヒドロキシおよび低級アルコキシとなることはない);
およびXは、水素、低級アルキルまたはハロゲン;
は、非置換またはハロゲン、アルキル、ヒドロキシ、オキソ、アリールまたは複素環で置換された、二価の飽和または不飽和の低〜中級の脂肪族炭化水素残基(脂肪族炭化水素の少なくとも1つの炭素原子は任意に酸素、窒素あるいは硫黄と置き換えられていてもよい);
は、単結合または低級アルキレン(低級アルキレンの少なくとも1つの炭素原子は任意に酸素、窒素あるいは硫黄と置き換えられていてもよい);そして、
は、シクロ(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、複素環または複素環オキシ]。
【0022】
上記式中、RおよびRaにおける「不飽和」の語は、主鎖および/または側鎖の炭素原子間の結合として、少なくとも1つまたはそれ以上の2重結合および/または3重結合を孤立、分離または連続して含むことを意味する。通常の命名法に従って、連続する2つの位置間の不飽和は若い方の位置番号を表示することにより示し、連続しない2つの位置間の不飽和は両方の位置番号を表示して示す。
【0023】
「低〜中級脂肪族炭化水素」の語は、炭素数1〜14の直鎖または分枝鎖(ただし、側鎖は炭素数1〜3のものが好ましい)を有する炭化水素を意味し、好ましくはRの場合炭素数1〜10、特に6〜10の炭化水素であり、Raの場合炭素数1〜10、特に1〜8の炭化水素である。
【0024】
「ハロゲン」の語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を包含する。
【0025】
「低級」の語は、特にことわりのない限り炭素原子数1〜6を有する基を包含するものである。
【0026】
「低級アルキル」の語は、炭素原子数1〜6の直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチルおよびヘキシルを含む。
【0027】
「低級アルコキシ」の語は、低級アルキルが上述と同意義である低級アルキル−O−を意味する。
【0028】
「ヒドロキシ(低級)アルキル」の語は、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換された上記のような低級アルキルを意味し、例えばヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチルおよび1−メチル−1−ヒドロキシエチルである。
【0029】
「低級アルカノイルオキシ」の語は、式RCO−O−(ここで、RCO−は上記のような低級アルキルが酸化されて生じるアシル、例えばアセチル)で示される基を意味する。
【0030】
「シクロ(低級)アルキル」の語は、炭素原子3個以上を含む上記のような低級アルキル基が閉環して生ずる環状基であり、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルを含む。
【0031】
「シクロ(低級)アルキルオキシ」の語は、シクロ(低級)アルキルが上述と同意義であるシクロ(低級)アルキル−O−を意味する。
【0032】
「アリール」の語は、非置換でも置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基を包含し、好ましくは単環性の、例えばフェニル、トリル、キシリルが例示される。置換基としては、ハロゲン、ハロゲン置換低級アルキル基(ここで、ハロゲンおよび低級アルキル基は前記の意味)が含まれる。
【0033】
「アリールオキシ」の語は、式ArO−(ここで、Arは上記のようなアリール基)で示される基を意味する。
【0034】
「複素環」としては、置換基を有していてもよい炭素原子および炭素原子以外に窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる1種または2種のヘテロ原子を1乃至4個、好ましくは1乃至3個含む、5乃至14員、好ましくは5乃至10員の、単環式乃至3環式、好ましくは単環式の複素環基が例示される。複素環基としては、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、フラザニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、2−ピロリニル基、ピロリジニル基、2−イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、2−ピラゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基、インドリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、プリニル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズイミダゾリニル基、ベンゾチアゾリル基、フェノチアジニル基などが例示される。置換基としてはハロゲン、ハロゲン置換低級アルキル基(ここで、ハロゲンおよび低級アルキル基は前記の意味)が例示される。
【0035】
「複素環オキシ」の語は、式HcO−(ここでHcは上記のような複素環基)で示される基を意味する。
【0036】
Aの「官能性誘導体」の語は、塩(好ましくは、医薬上許容し得る塩)、エーテル、エステルおよびアミド類を含む。
【0037】
適当な「医薬上許容し得る塩」としては、慣用される非毒性塩を含み、無機塩基との塩、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、有機塩基との塩、例えばアミン塩(例えばメチルアミン塩、ジメチルアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、ベンジルアミン塩、ピペリジン塩、エチレンジアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、トリス(ヒドロキシメチルアミノ)エタン塩、モノメチル−モノエタノールアミン塩、プロカイン塩、カフェイン塩等)、塩基性アミノ酸塩(例えばアルギニン塩、リジン塩等)、テトラアルキルアンモニウム塩等が挙げられる。これらの塩類は、例えば対応する酸および塩基から常套の反応によってまたは塩交換によって製造し得る。
【0038】
エーテルの例としてはアルキルエーテル、例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、イソブチルエーテル、t−ブチルエーテル、ペンチルエーテル、1−シクロプロピルエチルエーテル等の低級アルキルエーテル、オクチルエーテル、ジエチルヘキシルエーテル、ラウリルエーテル、セチルエーテル等の中級または高級アルキルエーテル、オレイルエーテル、リノレニルエーテル等の不飽和エーテル、ビニルエーテル、アリルエーテル等の低級アルケニルエーテル、エチニルエーテル、プロピニルエーテル等の低級アルキニルエーテル、ヒドロキシエチルエーテル、ヒドロキシイソプロピルエーテルのようなヒドロキシ(低級)アルキルエーテル、メトキシメチルエーテル、1−メトキシエチルエーテル等の低級アルコキシ(低級)アルキルエーテル、および例えばフェニルエーテル、トシルエーテル、t−ブチルフェニルエーテル、サリチルエーテル、3,4−ジメトキシフェニルエーテル、ベンズアミドフェニルエーテル等の所望により置換されたアリールエーテル、ベンジルエーテル、トリチルエーテル、ベンズヒドリルエーテル等のアリール(低級)アルキルエーテルが挙げられる。
【0039】
エステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、1−シクロプロピルエチルエステル等の低級アルキルエステル、ビニルエステル、アリルエステル等の低級アルケニルエステル、エチニルエステル、プロピニルエステル等の低級アルキニルエステル、ヒドロキシエチルエステルのようなヒドロキシ(低級)アルキルエステル、メトキシメチルエステル、1−メトキシエチルエステル等の低級アルコキシ(低級)アルキルエステルのような脂肪族エステルおよび例えばフェニルエステル、トリルエステル、t−ブチルフェニルエステル、サリチルエステル、3,4−ジメトキシフェニルエステル、ベンズアミドフェニルエステル等の所望により置換されたアリールエステル、ベンジルエステル、トリチルエステル、ベンズヒドリルエステル等のアリール(低級)アルキルエステルが挙げられる。
【0040】
Aのアミドとしては、式−CONR'R”で表される基を意味する。ここで、R'およびR”はそれぞれ水素原子、低級アルキル、アリール、アルキル−あるいはアリール−スルホニル、低級アルケニルおよび低級アルキニルであり、例えば、メチルアミド、エチルアミド、ジメチルアミド、ジエチルアミド等の低級アルキルアミド、アニリドおよびトルイジドのようなアリールアミド、メチルスルホニルアミド、エチルスルホニルアミドおよびトリルスルホニルアミド等のアルキル−もしくはアリール−スルホニルアミド等が挙げられる。
【0041】
好ましいLおよびMの例は、ヒドロキシであり、いわゆるPGFタイプと称される5員環構造を有するものである。
【0042】
好ましいAの例は、−COOH、その医薬上許容し得る塩、エステル、アミドである。
【0043】
好ましいBの例は、−CH−CH−であり、いわゆる13,14−ジヒドロタイプと称される構造を有するものである。
好ましいXおよびXは水素およびハロゲンを含み、好ましくは両方が水素であるか、または少なくとも一方がハロゲンである。XおよびXの両方がハロゲン、特にフッ素である化合物は、いわゆる16,16−ジフルオロタイプと称される構造を有するものであり、これもまた好ましい。
【0044】
好ましいRは炭素数1〜10の炭化水素であり、特に好ましくは炭素数6〜10の炭化水素である。また、脂肪族炭化水素における少なくとも1つの炭素原子は任意に酸素、窒素あるいは硫黄と置き換えられていてもよい。
【0045】
の具体例としては、例えば、次のものが挙げられる。
−CH−CH−CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH=CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH=CH−、
−CH−C≡C−CH−CH−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH(CH)−CH−、
−CH−CH−CH−CH−O−CH−、
−CH−CH=CH−CH−O−CH−、
−CH−C≡C−CH−O−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH=CH−CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH−CH=CH−、
−CH−C≡C−CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH−CH(CH)−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH=CH−CH−CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH=CH−、
−CH−C≡C−CH−CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH(CH)−CH−、
など。
【0046】
好ましいRaは末端がアリール基またはアリールオキシ基で置換された炭素数1〜10、好ましくは1〜8の炭化水素である。ここで、少なくとも1つの炭素原子は任意に酸素、窒素あるいは硫黄と置き換えられていてもよい。
【0047】
上記式(I)および(II)中、環、αおよび/またはω鎖の配置は、天然のPG類の配置と同様かまたは異なっていてもよい。しかしながら、本発明は、天然の配置を有する化合物および非天然の配置を有する化合物の混合物も包含する。
【0048】
本発明の典型的な化合物の例は、13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−PGF化合物あるいは13,14−ジヒドロ−15−ケト−17−フェニル−18,19,20−トリノール−プロスタグランジンF化合物およびその誘導体あるいはアナログであり、あるいは13,14−ジヒドロ−17−フェニル−18,19,20−トリノール−PGF2αイソプロピルエステル、16−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)−17,18,19,20−トリノール−PGF2αイソプロピルエステルあるいは17−フェニル−18,19,20−トリノール−PGF2αN−エチルアミドである。
【0049】
本発明において、PG化合物の13,14位の炭素結合が単結合であり、15位がケト(=O)である場合、11位のヒドロキシと15位のオキソ間のへミアセタール形成により、ケト−ヘミアセタール平衡を生ずる場合がある。
【0050】
例えば、XおよびXの両方がハロゲン、特にフッ素の場合は、互変異性体として、二環式化合物が存在することが確認されている。
【0051】
このような互変異性体が存在する場合、両異性体の存在比率は他の部分の構造または置換基の種類により変動し、場合によっては一方の異性体が圧倒的に存在することもあるが、本発明で用いるPG化合物はこれら両者を含むものとする。
【0052】
さらに、本発明に用いられる15−ケト−PG化合物は、二環式化合物およびそのアナログまたは誘導体を含む。二環式化合物は下記式(III)で示される。
【化6】

[式中、Aは−CHOH、−COCHOH、−COOHまたはその官能性誘導体;
’およびX’は水素、低級アルキル、またはハロゲン;
Yは
【化7】

’およびR’は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシまたはヒドロキシ(低級)アルキルであり、R’およびR’は同時にヒドロキシおよび低級アルコキシであることはない;
は非置換またはハロゲン、アルキル、ヒドロキシ、オキソ、アリールまたは複素環で置換された、二価の飽和または不飽和の低〜中級の脂肪族炭化水素残基であり、脂肪族炭化水素における少なくとも1個の炭素原子は任意に酸素、窒素または硫黄と置き換えられていてもよい;
Ra’は、非置換またはハロゲン、オキソ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、シクロ(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、複素環または複素環オキシで置換された、飽和または不飽和の低〜中級脂肪族炭化水素残基(脂肪族炭化水素の少なくとも1つの炭素原子は任意に酸素、窒素あるいは硫黄と置き換えられていてもよい);シクロ(低級)アルキル基;シクロ(低級)アルキルオキシ基;アリール基;アリールオキシ基;複素環基;複素環オキシ基;
’は水素、低級アルキル、シクロ(低級)アルキル、アリールまたは複素環基]。
【0053】
さらに本発明に用いられる化合物は、異性体の存在の有無にかかわりなくケト型の構造式または命名法によって表わすことがあるが、これは便宜上のものであってヘミアセタール型の化合物を排除しようとするものではない。
【0054】
本発明においては、個々の互変異性体、その混合物または光学異性体、その混合物、ラセミ体、その他の立体異性体等の異性体も、同じ目的に使用することが可能である。
【0055】
本発明に使用する化合物のあるものは、米国特許第5073569号、米国特許第5166174号、米国特許第5221763号、米国特許第5212324号、米国特許第5739161号、米国特許第6242485号(これらの文献はいずれも引用により本願明細書に含まれる)等に記載の方法によって製造し得る。
【0056】
本発明のPG化合物は、前述の如く眼科領域の医薬品として有用であり、種々の眼科領域の疾患に対する処置剤として有用である。特に緑内障および/または高眼圧症の処置剤として有用である。
【0057】
本発明にいう「眼科用組成物」の語は、眼局所投与用液体組成物をいい、溶液、乳濁液および懸濁液が含まれる。
【0058】
本発明にいう「処置」には、予防、治療、症状の軽減、症状の減退、進行停止等、あらゆる管理が含まれる。
【0059】
この発明の眼科用組成物において、有効成分となるPG化合物は、前記に詳述した化合物を用いることができる。
【0060】
本発明において用いられるPG化合物の濃度は、使用する化合物、対象の種類、年齢、体重、処置されるべき症状、所望の治療効果、投与容量、処置期間等により異なり、適宜適切な濃度を選択しうるが、典型的には0.0001〜10w/v%程度、好ましくは0.0001〜5w/v%程度、より好ましくは0.001〜1w/v%程度である。
【0061】
本発明において増粘性化合物とは水性媒体に溶解又は分散して粘稠性を生じる高分子物質を意味する。増粘性化合物をPG化合物と配合することによって、PG化合物が有する作用効果の持続性を高め、またより増強された作用効果が発現される。好ましい増粘性化合物としては、アクリル酸ポリマー類、ポリオール類、セルロースポリマー類、多糖類およびポリラクタム類などがあげられる。具体的に用いられる増粘性化合物としては、カルボマー(carbomer)(商標カルボポール(carbopol)941、934、940、941,971、974、980、981など)、ポリカルボフィル(polycarbophil)(商標ノベオン(noveon)AA-1、CA-1、CA-2など)などのアクリル酸ポリマー類(なお、これらはカルボキシビニルポリマーという総称でも知られる。);ポリビニルアルコール、グリセリン、ポリエチレングリコールなどのポリオール類;メチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロースポリマー類;カラギーナン、ゲランガム、キサンタンガム、ローストビーンガムなどの多糖類;およびポリビニルピロリドンなどのポリラクタム類(以下、単に増粘性化合物と称する場合がある)があげられる。特に、セルロースポリマー類および多糖類が好適に用いられる。
【0062】
この増粘性化合物は必要あるいは目的に応じて2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。また、必要によりこの発明に用いられる増粘性化合物とそれ以外の増粘性化合物とを併用してもよい。
【0063】
増粘性化合物の濃度は、PG化合物の濃度や用いる増粘性化合物の種類や分子量などによっても異なるが、通常、組成物全体に対して0.001〜30w/v%程度、好ましくは0.01〜10w/v%程度で、所望の効果が期待できる眼科用組成物を得ることができる。
【0064】
本発明の眼科用組成物は、常套手段に従って製造することができ、例えば、有効成分を無菌の水溶液、例えば生理食塩水、緩衝液等に溶解させるかまたは用時溶解用に粉末組成物を組み合わせて作られる。
【0065】
本発明の眼科用組成物は、所望により、眼科の分野で通常用いられる添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては例えば、緩衝剤・等張化剤(例えばホウ酸、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、マンニトールなど)、可溶化剤(ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60など)、保存剤(例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノールなど)などが挙げられる。
【0066】
本発明の眼科用組成物は、保存剤を含まない無菌の1回使いきり型のユニット・ドーズ・タイプとして製剤化することも可能である。
【0067】
本発明の眼科用組成物においては、1種類の有効成分を単独で当該組成物に含めることもできるし、また2種類以上の有効成分を併用して含めることもできる。複数の有効成分を併用する場合には、各々の含有量は、それらの治療効果や安全性等を考慮して適宜増減することができる。
【0068】
さらに、本発明の眼科用組成物においては、本発明の目的に反しない限り、他の薬理活性成分を適宜含有させることもできる。
【0069】
本発明の眼科用組成物は、増粘性化合物を配合することによって、PG化合物が有する作用効果をより安定に発現させ、作用効果の持続性を高め、またより増強された作用効果の発現が可能となることから、より優れた治療効果が期待される眼科用組成物を提供することができる。
【0070】
また、従来は1日複数回必要であったPG化合物製剤の点眼投与回数を減じる(例えば1日1回)など、患者の利便性の向上に寄与した眼科用組成物の提供が可能となる。さらに、点眼投与回数を減じる効果により、角膜障害などの副作用の発現を低減することも期待される。
【0071】
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、これは本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0072】
実施例
被験物質1(13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−PGF2αイソプロピルエステル)を0.12w/v%含有する下記の試験製剤を使用した。
試験製剤1:レスキュラ(商標)点眼液市販品(日本)
試験製剤2:試験製剤1の組成に1w/v%メチルセルロース400cPを添加し、調整。
試験製剤3:試験製剤1の組成中、等張化剤として塩化ナトリウムの代わりに3.5w/v%マンニトールを用い、0.3w/v%ゲランガムを添加し、調整。
【0073】
各試験製剤の30μL/眼を正常白色ウサギの片眼に点眼し、反体側の眼には各試験製剤から被験物質1を除いた基剤の30μL/眼を点眼した。それぞれ点眼直前、点眼2、4、6時間後に空圧圧平式眼圧計を用い眼圧を測定した。点眼後各測定時間における点眼前(0時間)からの眼圧変化値(ΔIOP)を算出した。
【0074】
結果を表1、2および3に示す。特定の増粘性化合物を含有する試験製剤2および3は、特定の増粘性化合物を含有しない試験製剤1に比べ、眼圧下降作用の発現の持続性を高め、より増強された眼圧下降作用を示した。
【表1】

【表2】

【表3】

【0075】
製剤例
製剤例1
12mgのイソプロピルウノプロストン、50mgのカルボポール940(商標)(CARBOPOLTM 940)および90mgのポリソルベート80を50mlの精製水へ混合した。合計100mlとなるよう、さらに精製水を添加し、溶解させて製剤例1の眼科用組成物を得た。
製剤例2
製剤例1のカルボポール940を200mgのポリビニルアルコールと代える以外は製剤例1と同様にして製剤例2の眼科用組成物を得た。
製剤例3
製剤例1のカルボポール940を150mgのグリセリンと代える以外は製剤例1と同様にして製剤例3の眼科用組成物を得た。
製剤例4
製剤例1のカルボポール940を20mgのヒドロキシメチルセルロースと代える以外は製剤例1と同様にして製剤例4の眼科用組成物を得た。
製剤例5
製剤例1のカルボポール940を100mgのポリビニルピロリドンと代える以外は製剤例1と同様にして製剤例5の眼科用組成物を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−PGF2αイソプロピルエステル、並びにキサンタンガムを含有する、眼科用組成物、但し炭酸脱水酵素阻害剤またはその塩を含有する組成物を除く。
【請求項2】
緑内障および/または高眼圧症の処置のために用いられる、請求項1に記載の組成物。

【公開番号】特開2013−100330(P2013−100330A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−8477(P2013−8477)
【出願日】平成25年1月21日(2013.1.21)
【分割の表示】特願2005−513236(P2005−513236)の分割
【原出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
【出願人】(501131276)スキャンポ・アーゲー (37)
【氏名又は名称原語表記】Sucampo AG
【出願人】(592060271)株式会社アールテック・ウエノ (22)
【Fターム(参考)】