説明

眼鏡フレーム

【課題】使用者の顔にフィットしてフロント部が前方へ滑り落ちることのない眼鏡フレームを提供する。また、使用者の視線がレンズの中央部に直交するとともに視界が広く感じられる眼鏡フレームを提供する。
【解決手段】一対のレンズ50を備えるフロント部の両端に智30が形成され、智30はレンズ50の中心位置よりも下に位置している。智30に蝶番を介してテンプル20が取付けられる。また、テンプル20の係止部は使用者の耳の前後に亘って大きく湾曲している。また、テンプル20の前半部はレンズ50の中心位置よりも下に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は眼鏡フレームに関し、特に、装着した時に使用者の顔に安定してフィットするとともに、使用者の視線が常にレンズの中央部に直交する眼鏡フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な眼鏡フレームは、一対のレンズを備えるフロント部の両端に「智」と呼ばれる部品が形成され、この智に蝶番を介してテンプルが連結されている。例えば、フロント部がリング状のリムを備えるフルリムタイプの眼鏡フレームにあっては、リムの外側部に智が取付けられる。また、リムを備えないツーポイントの眼鏡フレームにあっては、レンズの端部に智が直接取付けられる。
【0003】
眼鏡フレームは、使用者の顔に安定してフィットすることが重要である。また、使用者の視線が常にレンズの中央部を通ることが望ましく、視線とレンズの面とが直交することが好ましい。しかしながら、通常の眼鏡フレームは、装着していると、時間の経過と共に使用者の顔に対してフロント部が下がってくる傾向がある。また、何故か、視線に対してレンズの面が前傾していることが多い。さらに、智とテンプルの連結部付近が視界に入って邪魔になったり、視界が狭く感じたりすることが多い。
【0004】
一方で、眼鏡フレームが使用者の顔にフィットするように様々な工夫がなされている。例えば、特許文献1には、テンプルの長さを調整することができる眼鏡フレームが記載されている。また、特許文献2には、モダンの角度を調整することができる眼鏡フレームが記載されている。このように眼鏡フレームの形状を部分的に調整可能とすることは、有効ではあるが、根本的に問題を解決するには至っていない。
【0005】
そこで、本発明者は従来の眼鏡フレームを改良すべく、その構造について詳しく調査を行った。図5〜図7に示すように、従来の眼鏡フレーム110は、装着状態を横から見たときにテンプル120が略水平となるように作られている。そして、耳と鼻とで支持されているのであるが、双方の支点の高さは明らかに異なっている。すなわち、鼻の支点よりも耳の支点の方が高く位置している。このことは、眼鏡フレーム110の重量がレンズ150の近傍に集中していることと相俟って、フロント部140を前方へ滑り易くする主な原因であるように思われる。
【0006】
また、図7に示すように、従来の眼鏡フレーム110では、智130の位置が、レンズ150の中心位置Aよりも上に位置している。この理由は、智130の取付け部分の強度を高くする必要があるために、高い強度が得やすいリムの上部が選ばれているものと考えられる。しかしながら、このことが、フロント部140を一層前方へ滑り易い状態としているように思われる。そして、装着している時にフロント部140が下がり易いために、智130とテンプル120との連結部分が視界に入って邪魔になったり、視界が狭く感じたりすることになる。
【0007】
また、テンプル120は、人の耳に係止する係止部121の後方が下に向って曲率r1で湾曲しているが、その前半部は直線的に形成されている。したがって、智130と同様に、テンプル120の前半部は、レンズ150の中心位置Aよりも上に位置していると言うことができる。
【0008】
そして、このような条件の中で、なるべくフロント部140が滑り落ちないようにするために、視線に対してレンズ150の面を前傾させることにしたものと考えられる。理想的には、使用者の視線がレンズ150の中央部に直交することが望ましいのであるが、図7に示す角度θは直角よりもかなり小さな角度(70〜80°)となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−164744号公報
【特許文献2】特開2009−92946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明が解決しようとする課題は、一対のレンズを備えるフロント部の両端に智が形成され、この智に蝶番を介してテンプルが取付けられる眼鏡フレームであって、使用者の顔に安定してフィットし、フロント部が前方へ滑り落ちることのない眼鏡フレームを提供することである。同時に、使用者の視線がレンズの中央部に直交する眼鏡フレームを提供することである。また、視界が広く感じられる眼鏡フレームを提供することである。
【0011】
さらに、重量の配分に関しては、耳部に大きく作用するようにして鼻部に作用する重さを非常に小さくし、長時間使用しても痛くならないようにした眼鏡フレームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係る眼鏡フレームは、一対のレンズを備えるフロント部の両端に智が形成され、該智に蝶番を介してテンプルが取付けられる眼鏡フレームにおいて、前記智が、前記レンズの中心位置よりも下に位置している手段を採用している。
【0013】
また、本発明の請求項2に係る眼鏡フレームは、請求項1に記載の眼鏡フレームであって、前記テンプルの係止部が、使用者の耳の前後に亘って大きく湾曲している手段を採用している。また、本発明の請求項3に係る眼鏡フレームは、請求項1又は2に記載の眼鏡フレームであって、前記テンプルの前半部が、前記レンズの中心位置よりも下に位置している手段を採用している。また、本発明の請求項4に係る眼鏡フレームは、請求項1乃至3の何れかに記載の眼鏡フレームであって、前記レンズが、リング状のリムに取付けられている手段を採用している。
【発明の効果】
【0014】
本発明の眼鏡フレームは、上記の手段を採用したことにより、フロント部が前方へ滑り落ちることなく使用者の顔に安定してフィットすることができる。そして、使用者の視線をレンズの中央部に直交させることができるとともに、視界が広くなったように感じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の眼鏡フレームの一例を示し、装着状態を横から見た概略図である。
【図2】図1の眼鏡フレームを示し、装着時の概略斜視図である。
【図3】図1の眼鏡フレームの説明図である。
【図4】本発明の眼鏡フレームの他の一例を示し、装着状態を横から見た概略図である。
【図5】従来の眼鏡フレームを示し、装着状態を横から見た概略図である。
【図6】図5の眼鏡フレームを示し、装着時の概略斜視図である。
【図7】図5の眼鏡フレームの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜図3は、本発明の眼鏡フレームの一例であって、図1は装着状態を横から見た概略図、図2は装着時の概略斜視図、図3は説明図である。
【0017】
本発明の眼鏡フレーム10は、一対のレンズ50を備えるフロント部40の両端に智30が形成されるとともに、智30に蝶番(図示せず)を介してテンプル20が連結されている。そして、智30がレンズ50の中心位置Aよりも下に位置していることを特徴としている。
【0018】
智30の位置をレンズ50の中心位置Aよりも下に位置することにより、眼鏡フレーム10は、使用者の顔に安定してフィットすることになる。これは、智30の位置が鼻の支点の高さに近づいたことにより、テンプル20に掛る力、すなわち、フロント部40が前に滑ろうとするのを食い止めるために必要な力が、小さくなるためと考えられる。
【0019】
また、眼鏡フレーム10は、テンプル20の係止部21が人の耳に係止し、この係止部21が使用者の耳の前後に亘って湾曲していることを特徴としている。すなわち、係止部21の後方が下に向かって曲率r1で湾曲しているとともに、係止部21の前方も下に向かって曲率r2で湾曲している。
【0020】
係止部21の後方を下に向かって湾曲させることにより、眼鏡フレーム10全体が前へ移動するのを抑制することができる。また、係止部21の前方を下に向かって湾曲させることにより、係止部21の前方部分の高さを低くすることができる。そして、テンプル20の前半部が、レンズ50の中心位置Aよりも下に位置するようにできる。このような配置とすることにより、眼鏡フレーム10が前へ移動するのを一層抑制することになり、使用者の顔にフィットすることになる。
【0021】
眼鏡フレーム10は、使用者の視線がレンズ50の中央部に直交するように作られている。すなわち、図3に示す角度θはほぼ直角であり、このような形態としてもフロント部40が前方へ滑り落ちないことが、本発明の大きな特徴となっている。したがって、使用者の視線が常にレンズ50の中央部に直交することとなり、目に優しい眼鏡とすることができる。
【0022】
また、眼鏡フレーム10は、智30がレンズ50の中心位置Aよりも下に位置しているために、智30とテンプル20の連結部付近が視界に入って邪魔になったり、視界が狭く感じたりすることもない。
【0023】
眼鏡フレーム10は、リング状のリムを備えるフルリムタイプであるが、本発明はこれに限らず、如何なるタイプのフレームにも適用することができる。例えば、リムを備えないツーポイントの眼鏡フレームにあっては、レンズの端部に直接智を取付けて、智の高さがレンズの中心位置よりも下に位置することで、同様の効果を発揮することができる。
【0024】
図4は、本発明の眼鏡フレームであって他の一例を示している。眼鏡フレーム11は、一対のレンズ50を備えるフロント部の両端に智30が形成され、智30がレンズ50の中心位置よりも下に位置している。また、テンプル20の係止部が、使用者の耳の前後に亘って湾曲している。また、テンプル20の前半部がレンズ50の中心位置よりも下に位置している。
【0025】
したがって、眼鏡フレーム10と同様に、眼鏡フレーム11は、フロント部が前方へ滑り落ちることなく使用者の顔に安定してフィットすることができる。そして、使用者の視線をレンズの中央部に直交させることができるとともに、視界が広くなったように感じることができる。
【符号の説明】
【0026】
10、11、110 眼鏡フレーム
20、120 テンプル
21、121 係止部
30、130 智
40、140 フロント部
50、150 レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のレンズを備えるフロント部の両端に智が形成され、該智に蝶番を介してテンプルが取付けられる眼鏡フレームにおいて、
前記智が、前記レンズの中心位置よりも下に位置していることを特徴とする眼鏡フレーム。
【請求項2】
前記テンプルの係止部が、使用者の耳の前後に亘って大きく湾曲していることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡フレーム。
【請求項3】
前記テンプルの前半部が、前記レンズの中心位置よりも下に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の眼鏡フレーム。
【請求項4】
前記レンズが、リング状のリムに取付けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の眼鏡フレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−22325(P2011−22325A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166894(P2009−166894)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(501118624)
【Fターム(参考)】