説明

眼鏡レンズ

【課題】光吸収性能を有するポルフィリン化合物を用いて光透過性を得ることのできる眼鏡レンズを提供する。
【解決手段】一般式(1)で表されるポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなる眼鏡レンズ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は眼鏡レンズに関する。さらに詳しくは、光吸収性能を有する有機色素を用いて光透過性を得ることのできる眼鏡レンズに関する。さらには、例えば、近視用眼鏡、老眼鏡、保護眼鏡、サングラス、ゴーグル、偏光サングラス、偏光ゴーグル、3D映像用メガネ、3D映像用ゴーグルに設けて使用される眼鏡レンズに関する。

【背景技術】
【0002】
眼鏡レンズには、可視光線がレンズに反射することでレンズの光透過率が低下することを抑制するため、反射防止膜を形成することが行なわれている。これら反射防止膜を備えた眼鏡レンズは、光透過率が高められるので、認知することができる光の明るさを高めることができる。
ところで、太陽から発せられる自然光は、眼に有害な光線を含有し、かつ、眼に眩しさを感じさせるが、反射防止膜を形成しているレンズの場合、眩しさを感じさせる原因となる乱反射光、特に容易に乱反射する短波長光の透過率をも高めているので、認識される眩しさは、増大することとなる。
また、短波長光は、高エネルギーの光であるので、眼にストレスを与え易い。くわえて、太陽から発せられる自然光が無い状態であっても、室内に設置された照明器機によって短波長光が眼に入射する状況となっており、昼夜を問わず眼にストレスが与えられる。更に、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ及び3Dディスプレイなどの画像表示装置は、高輝度化に進んでおり、この装置から発せられる光量の増加に伴い、眼が受けるストレスは増加の一途を辿っている。そのため、眼精疲労を訴える者の増加の問題が生じている。また、眼が受けるストレスは、特に、老化により眼が衰退した高齢者や、白内障、緑内障等の症状を有する眼病患者にとっての重大な問題である。
このように、可視光に対する眩しさと関連した不快感やコントラストの不鮮明感、更には視覚疲労などを軽減することが求められている。その対処法のひとつとしては、眼鏡レンズに適切な遮光性、いわゆる防眩性機能を付与させる方法がある。例えば、サングラスは可視光の透過率を抑えることで、眩しさを抑える目的で作られている。しかしながら、薄暮等の環境下では、視野が暗くなることによる不快感や、物体の視認の不鮮明感などを感じる場合がある。すなわち、眩しさを抑えようとした結果、全体の透過光線量が減り過ぎ、視認性を不必要なまでに低下させてしまう状態となってしまう。その為、できるだけ満足な視認性や明るさを維持しながらも同時に適切な遮光性を発揮する処方が必要とされている。
【0003】
この処方としては、眩しさを与え易い波長帯をできるだけ選択的に遮光することであり、実際に、585nm付近の可視光を高度に波長選択的に吸収できる希土類金属化合物を眼鏡レンズに含有させると効果的な防眩性が得られることが知られている。希土類金属化合物は、可視光線領域での吸収波長帯における吸光スペクトルのピーク形状が極めてシャープな点、すなわち吸収波長領域が狭くて波長選択的な特性を有している。この特性は、視認性に必要な波長帯では大きな透過率を有し、かつ眩しさに悪影響を与える波長帯を選択的に吸収するので、防眩性と視認性を兼備することになり、防眩性眼鏡レンズとしては極めて望ましい特性を有することになる。
このように、防眩性付与やコントラスト増強の目的で希土類金属化合物、特にネオジム化合物を配合することは、これまでガラスレンズに希土類金属化合物を配合させる方法が行われていたが(特許文献1)、レンズ材料のプラスチック化の流れに伴い、最近では、プラスチックレンズ材料に特定の希土類金属化合物を配合させたレンズが開発されてきている。
【0004】
しかしながら、レンズ材料に希土類金属化合物を配合させる方法には各種の不都合な問題をかかえている。例えば、レンズ材料によっては希土類金属化合物の選択が大幅に制限されるため高価な化合物に限定されることが多く、実用的な観点から希土類金属化合物に変わる化合物が望まれていた。
その為、特定波長帯でできるだけ選択的に遮光する機能を付与させる目的で、色素を使用した各種試みが開示されており、例えば、成形後のレンズを染料水溶液に浸漬して染色させることで防眩性を付与させる方法(特許文献2)、あるいはコバルト化合物や特定の有機色素をモノマーに配合して硬化させるなどの方法が提案されている(特許文献3〜5)。しかしこれらに使用される色素は、吸収帯幅が極度に幅広く、有効な防眩性を確保するには他の可視領域の透過度も必要以上に遮光せざるを得ず、視認性が大幅に犠牲となった。また、575nm付近に最大吸光係数を有しかつピーク幅が比較的シャープな特定の有機色素からなる防眩性眼鏡レンズが開示されているが、色調を兼備させる際に一定の制約を伴う問題点をかかえている(特許文献6)。
故に、有機色素を使用する場合における従来までの不足点あるいは欠点として共通するのは吸収帯が極めて幅広い点であり、そのため特に希土類金属と置き換えるに値する防眩性と視認性、更には良好な色調設定性を兼備した有機色素が望まれていた。
【0005】
加えて、容易に乱反射して特に眩しさを感じさせる570nm以下の波長域においては、短波長であるほど、人の目にストレスを与える光となり、この波長域の透過率が低い眼鏡レンズは、通常、この波長域を超える波長域での透過率も低い眼鏡レンズとなってしまうので、570nm以下の短波長可視光線の光透過率が特に低い眼鏡レンズが望まれている。
ポルフィリン化合物は、古くから知られている化合物であり、各種機能材料への応用が提案されている。例えば、ポルフィリン化合物を、光記録材料へ応用することが提案されている(特許文献7)。また、ポルフィリン化合物を、プラズマディスプレイなどのディスプレイ用フィルタへの応用することが提案されている(特許文献8)。しかし、現在までに、ポルフィリン化合物を、眼鏡レンズへ応用することに関しては報告されていない。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−75128号公報
【特許文献2】特公昭53−39910号公報
【特許文献3】特開平5−5860号公報
【特許文献4】特開平5−45610号公報
【特許文献5】特開平2−254401号公報
【特許文献6】特開2003−107412号公報
【特許文献7】特開平5−159410号公報
【特許文献8】特開2004−45887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、光吸収性能を有する有機系色素を用いて光透過性を得ることのできる眼鏡レンズを提供することある。さらに詳しくは、ポルフィリン化合物を含有して成る眼鏡レンズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、眼鏡レンズに関し、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
(i)ポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなる眼鏡レンズであり、
(ii)ポルフィリン化合物が、一般式(1)で表される化合物である(i)記載の眼鏡レンズであり、

【0009】

[式中、X1〜X8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のエテニル基、置換または未置換のエチニル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアリールオキシカルボニル基、置換または未置換のアルキルチオ基、置換または未置換のアリールチオ基、置換または未置換のアラルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシ基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、置換または未置換のアシル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシアルキル基、置換または未置換のアリールオキシアルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシアルキル基、あるいは直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシアルキル基から選ばれる置換基であり、さらに、X1〜X8から選ばれる互いに隣接する基は互いに結合して、置換している炭素原子と共に、置換または未置換の芳香族環を形成していてもよいを表す。ただし、X1〜X8のすべてが水素原子であることはない。R1〜R4はそれぞれ独立に、置換または未置換のアリール基を表し、Mは2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子を表す]

【0010】
(iii)一般式(1)においてX1〜X8がそれぞれ独立に、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のエテニル基、置換または未置換のエチニル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアリールオキシ基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、さらに、X1〜X8から選ばれる互いに隣接する基が互いに結合して、置換している炭素原子と共に、置換または未置換のベンゼン環、又はナフタレン環で縮環していて、R1〜R4が、置換または未置換のアリール基であり、Mが2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子から選ばれるポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなる(i)〜(ii)記載の眼鏡レンズであり、

(iv)一般式(1)においてX1〜X8がそれぞれ独立に、置換または未置換のエチニル基であり、R1〜R4が、置換または未置換のフェニル基であり、Mが2価の金属原子または酸化金属原子であるポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなる(i)〜(iii)記載の眼鏡レンズであり、

(v)一般式(1)において、X1〜X8から選ばれる互いに隣接する基が、ナフタレン環の1位と8位で縮環した置換または未置換のナフチレン環であり、R1〜R4が、置換または未置換のフェニル基であり、Mが2価の金属原子または酸化金属原子であるポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなる(i)〜(iii)記載の眼鏡レンズであり、

【0011】
(vi)更に、下記の一般式(2)で表されるテトラアザポルフィリン化合物を含有することを特徴とする(i)〜(vii)の眼鏡レンズ用に関するものである。

[式中、Y1〜Y8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアラルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシ基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、置換または未置換のアミノ基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシアルキル基、置換または未置換のアリールオキシアルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシアルキル基、あるいは直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシアルキル基を表し、さらに、Y1〜Y8から選ばれる互いに隣接する基は互いに結合して、置換している炭素原子と共に、置換または未置換の炭素環式脂肪族環を形成していてもよいを表す。ただし、Y1〜Y8のすべてが水素原子であることはない。Mは2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子を表す]

【発明の効果】
【0012】
本発明により、ポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなる眼鏡レンズを提供することが可能になった。

【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に関し詳細に説明する。本発明は、ポルフィリン化合物を少なくとも1種含有して成る眼鏡レンズ(以下、本発明の眼鏡レンズと略記する)に関するものである。本発明に係るポルフィリン化合物は、ポルフィリン骨格に種々の置換基を有していてもよく、好ましくは、例えば、一般式(1)で表されるポルフィリン化合物である。
【0014】

[式中、X1〜X8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のエテニル基、置換または未置換のエチニル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアリールオキシカルボニル基、置換または未置換のアルキルチオ基、置換または未置換のアリールチオ基、置換または未置換のアラルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシ基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、置換または未置換のアシル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシアルキル基、置換または未置換のアリールオキシアルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシアルキル基、あるいは直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシアルキル基から選ばれる置換基であり、さらに、X1〜X8から選ばれる互いに隣接する基は互いに結合して、置換している炭素原子と共に、置換または未置換の芳香族環を形成していてもよいを表す。ただし、X1〜X8のすべてが水素原子であることはない。R1〜R4はそれぞれ独立に、置換または未置換のアリール基を表し、Mは2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子を表す]
【0015】
一般式(1)で表されるポルフィリン化合物において、X1〜X8は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のエテニル基、置換または未置換のエチニル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアリールオキシ基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、さらに、X1〜X8から選ばれる互いに隣接する基が互いに結合して、置換している炭素原子と共に、置換または未置換のベンゼン環、又はナフタレン環で縮環していて、R1〜R4が、置換または未置換のアリール基であり、Mが2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子であることが好ましい。
【0016】
尚、本明細書において、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基などの炭素環式芳香族基、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基などの複素環式芳香族基を表し、好ましくは、炭素環式芳香族基を表す。
【0017】
本発明に係るポルフィリン化合物の置換基は、特に限定されるものではないが、以下に具体的に例示する。
一般式(1)で表されるポルフィリン化合物において、好ましくは、X1〜X8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられ、
直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、3−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2,4−ジメチルペンチル基、シクロヘキシルメチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、2,5−ジメチルヘキシル基、2,5,5−トリメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、4−エチルオクチル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、1,3,5,7−テトラメチルオクチル基、n−トリデシル基、1−ヘキシルヘプチル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のアルキル基、
【0018】
直鎖、分岐または環状のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−トリコシルオキシ基、n−テトラコシルオキシ基などの炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、
【0019】
置換または未置換のエテニル基としては、エテニルの2,2’位に、前記のような炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のアルキル基を置換基としてもつものが挙げられ、
置換または無置換のエチニル基としては、エチニルの2位に、前記のような炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のアルキル基を置換基としてもつものが挙げられ、
【0020】
置換または未置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−n−ペンチルフェニル基、4−tert−ペンチルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、4−n−ノニルフェニル基、4−n−デシルフェニル基、、4−n−ドデシルフェニル基、4−n−テトラデシルフェニル基、4−n−オクタデシルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、5−インダニル基、1,2,3,4−テトラヒドロ−6−ナフチル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、4−n−プロポキシフェニル基、4−イソプロポキシフェニル基、4−n−ブトキシフェニル基、4−n−ペンチルオキシフェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル基、4−n−ヘプチルオキシフェニル基、4−n−オクチルオキシフェニル基、4−n−デシルオキシフェニル基、4−n−ウンデシルオキシフェニル基、4−n−テトラデシルオキシフェニル基、4−n−ヘキサデシルオキシフェニル基、2,3−ジメトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジエトキシフェニル基、2−メトキシ−4−メチルフェニル基、2−メチル−4−メトキシフェニル基、2−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、2−クロロ−4−メトキシフェニル基、3−フルオロ−4−メトキシフェニル基、2−フェニルフェニル基、3,5−ジフェニルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−エトキシ−1−ナフチル基、6−n−ブチル−2−ナフチル基、2−フリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、4−アミノフェニル基、3−アミノフェニル基、2−アミノフェニル基、2−(N−n−ブチルアミノ)フェニル基、4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル基、4−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フェニル基、4−(N,N−ジエチルアミノ)−1−ナフチル基、4−ピロリジノフェニル基、4−ピペリジノフェニル基、4−モルフォリノフェニル基、4−ピロリジノ−1−ナフチル基、4−(N−メチル−N−フェニルアミノ)フェニル基、4−〔N,N−ジ(4’−メチルフェニル)アミノ〕フェニル基、4−〔N,N−ジ(4’−エトキシフェニル)アミノ〕フェニル基、4−〔N,N−ジ(4’−n−ヘキシルオキシフェニル)アミノ〕フェニル基、4−〔N−フェニル−N−(1’−ナフチル)アミノ〕フェニル基、4−(N−フェノキサジイル)フェニル基などの炭素数4〜30の置換または未置換のアリール基、
【0021】
置換または未置換のアリールオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ基、2−メチルフェニルオキシ基、4−メチルフェニルオキシ基、4−エチルフェニルオキシ基、4−イソプロピルフェニルオキシ基、4−イソブチルフェニルオキシ基、4−n−ペンチルフェニルオキシ基、4−tert−ペンチルフェニルオキシ基、4−シクロヘキシルフェニルオキシ基、4−n−オクチルフェニルオキシ基、4−n−デシルフェニルオキシ基、4−n−ドデシルフェニルオキシ基、4−n−ヘキサデシルフェニルオキシ基、2,3−ジメチルフェニルオキシ基、2,5−ジメチルフェニルオキシ基、3,4−ジメチルフェニルオキシ基、3,4,5−トリメチルフェニルオキシ基、5−インダニルオキシ基、1,2,3,4−テトラヒドロ−6−ナフチルオキシ基、3−メトキシフェニルオキシ基、3−エトキシフェニルオキシ基、4−n−プロポキシフェニルオキシ基、4−n−ブトキシフェニルオキシ基、4−n−ペンチルオキシフェニルオキシ基、4−シクロヘキシルオキシフェニルオキシ基、4−n−オクチルオキシフェニルオキシ基、4−n−デシルオキシフェニルオキシ基、4−n−ドデシルオキシフェニルオキシ基、4−n−ヘキサデシルオキシフェニルオキシ基、2,3−ジメトキシフェニルオキシ基、2,5−ジメトキシフェニルオキシ基、3,5−ジメトキシフェニルオキシ基、2−メトキシ−4−メチルフェニルオキシ基、3−メトキシ−4−メチルフェニルオキシ基、3−メチル−4−メトキシフェニルオキシ基、2−フルオロフェニルオキシ基、4−フルオロフェニルオキシ基、3−クロロフェニルオキシ基、4−ブロモフェニルオキシ基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシ基、3,5−ジフルオロフェニルオキシ基、3,4−ジクロロフェニルオキシ基、2−メチル−4−クロロフェニルオキシ基、3−クロロ−4−メチルフェニルオキシ基、3−メトキシ−4−フルオロフェニルオキシ基、3−フルオロ−4−メトキシフェニルオキシ基、4−フェニルフェニルオキシ基、3−フェニルフェニルオキシ基、4−(4’−メチルフェニル)フェニルオキシ基、4−(4’−メトキシフェニル)フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、4−メチル−1−ナフチルオキシ基、6−n−ブチル−2−ナフチルオキシ基、7−エトキシ−2−ナフチルオキシ基、2−チエニルオキシ基、2−ピリジルオキシ基、4−ピリジルオキシ基などの炭素数4〜30の置換または未置換のアリールオキシ基、
置換または未置換のアリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル基、2−メチルフェノキシカルボニル基、4−メチルフェノキシカルボニル基、キシリルオキシカルボニル基、クロロフェノキシカルボニル基、4−tert-ブチルフェノキシカルボニル基、2−メトキシフェノキシカルボニル基、4−イソプロピルフェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基などの炭素数7〜11の置換または未置換のアリールオキシカルボニル基、
【0022】
置換または未置換のアルキルチオ基としては、前記に挙げたアルキル基と同様な置換基を有してもよいアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、2−メチルブチルチオ基、メチルカルボキシルエチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、3,5,5−トリメチルヘキシルチオ基、デカリルチオ基などの炭素数1〜10の置換または未置換のアルキルチオ基、
置換または未置換のアリールチオ基としては、前記に挙げたアリール基と同様な置換基を有してもよいアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基、2−メトキシフェニルチオ基、4−tert−ブチルフェニルチオ基、ナフチルチオ基、フェロセニルチオ基等の炭素数6〜10の置換または未置換アリールチオ基、
【0023】
置換または未置換のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基、α−フェニルベンジル基、α,α−ジフェニルベンジル基、フェネチル基、α−メチルフェネチル基、α,α−ジメチルフェネチル基、4−メチルフェネチル基、4−メチルベンジル基、2−メチルベンジル基、4−エチルベンジル基、4−イソプロピルベンジル基、4−tert−ブチルベンジル基、4−tert−ペンチルベンジル基、4−シクロヘキシルベンジル基、4−n−オクチルベンジル基、4−フェニルベンジル基、4−(4’−tert−ブチルフェニル)ベンジル基、4−メトキシベンジル基、3−メトキシベンジル基、2−エトキシベンジル基、4−n−ブトキシベンジル基、3,4−ジメトキシベンジル基、4−フルオロベンジル基、2−フルオロベンジル基、4−クロロベンジル基、2−クロロベンジル基、2−フルフリル基、1−ナフチルメチル基などの炭素数5〜30の置換または未置換のアラルキル基、
【0024】
置換または未置換のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、α−メチルベンジルオキシ基、α−エチルベンジルオキシ基、α,α−ジメチルベンジルオキシ基、α−フェニルベンジルオキシ基、α,α−ジフェニルベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、α−メチルフェネチルオキシ基、β−メチルフェネチルオキシ基、α,α−ジメチルフェネチルオキシ基、4−メチルフェネチルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、2−メチルベンジルオキシ基、4−エチルベンジルオキシ基、2−エチルベンジルオキシ基、4−tert−ブチルベンジルオキシ基、2−tert−ブチルベンジルオキシ基、4−tert−ペンチルベンジルオキシ基、4−シクロヘキシルベンジルオキシ基、4−n−オクチルベンジルオキシ基、4−フェニルベンジルオキシ基、4−(4’−メチルフェニル)ベンジルオキシ基、4−(4’−tert−ブチルフェニル)ベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、2−エトキシベンジルオキシ基、4−n−ヘプチルオキシベンジルオキシ基、3,4−ジメトキシベンジルオキシ基、4−フルオロベンジルオキシ基、3−クロロベンジルオキシ基、3,4−ジクロロベンジルオキシ基、2−フルフリルオキシ基、2−ナフチルメチルオキシ基などの炭素数5〜30の置換または未置換のアラルキルオキシ基、
【0025】
直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、3−フルオロプロピル基、6−フルオロヘキシル基、8−フルオロオクチル基、トリフルオロメチル基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロエチル基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−プロピル基、2−ヒドロ−パーフルオロ−2−プロピル基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−ブチル基、6−フルオロヘキシル基、4−フルオロシクロヘキシル基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−オクチル基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−デシル基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−ドデシル基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−ヘキサデシル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピル基、ジクロロメチル基、3−クロロプロピル基、7−クロロヘプチル基、2,2,2−トリクロロエチル基などの炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、
直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基としては、例えば、フルオロメチルオキシ基、3−フルオロプロピルオキシ基、6−フルオロヘキシルオキシ基、トリフルオロメチルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−プロピルオキシ基、1,1,3−トリヒドロ−パーフルオロ−n−プロピルオキシ基、2−ヒドロ−パーフルオロ−2−プロピルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−ブチルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−ヘキシルオキシ基、4−フルオロシクロヘキシルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−オクチルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−ドデシルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−テトラデシルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−ヘキサデシルオキシ基、パーフルオロエチルオキシ基、パーフルオロ−n−ペンチルオキシ基、パーフルオロ−n−ヘキシルオキシ基、ジクロロメチルオキシ基、2−クロロエチルオキシ基、4−クロロシクロヘキシルオキシ基、2,2,2−トリクロロエチルオキシ基などの炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、
【0026】
置換または未置換のアシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、イソブチルカルボニル基、tert−ブチルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、イソペンチルカルボニル基、2−メチルブチルカルボニル基、フェナシル基、プロピルフェナシル基、tert−ブチルフェナシル基、ニトロベンジルカルボニル基、3−ブトキシ−2−ナフトイル基、シンナモイル基などの炭素数1〜15の置換または未置換のアシル基、
【0027】
直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−ブトキシメチル基、n−ペンチルオキシメチル基、n−ヘキシルオキシメチル基、(2−エチルブチルオキシ)メチル基、n−ヘプチルオキシメチル基、n−オクチルオキシメチル基、n−ドデシルオキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−イソプロポキシエチル基、2−n−ブトキシエチル基、2−n−ヘキシルオキシエチル基、2−n−ヘプチルオキシエチル基、2−n−オクチルオキシエチル基、2−n−ドデシルオキシエチル基、2−n−テトラデシルオキシエチル基、2−シクロヘキシルオキシエチル基、2−メトキシプロピル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、3−イソプロポキシプロピル基、3−n−ブトキシプロピル基、3−n−ペンチルオキシプロピル基、3−(2’−エチルブトキシ)プロピル基、3−n−オクチルオキシプロピル基、3−n−デシルオキシプロピル基、3−シクロヘキシルオキシプロピル基、4−メトキシブチル基、4−エトキシブチル基、4−n−プロポキシブチル基、4−イソプロポキシブチル基、4−n−ブトキシブチル基、4−n−オクチルオキシブチル基、4−n−デシルオキシブチル基、4−n−ドデシルオキシブチル基、5−メトキシペンチル基、5−エトキシペンチル基、5−n−ペンチルオキシペンチル基、6−メトキシヘキシル基、6−エトキシヘキシル基、6−n−ブトキシヘキシル基、6−n−ヘキシルオキシヘキシル基、6−n−デシルオキシヘキシル基、4−メトキシシクロヘキシル基、7−エトキシヘプチル基、8−メトキシオクチル基、9−メトキシノニル基、10−メトキシデシル基、10−n−ブトキシデシル基、12−メトキシドデシル基、12−イソプロポキシドデシル基、テトラヒドロフルフリル基などの炭素数2〜24の直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、
直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシアルキル基としては、例えば、(2−メトキシエトキシ)メチル基、(2−エトキシエトキシ)メチル基、(2−n−ブチルオキシエトキシ)メチル基、(3−メトキシプロピルオキシ)メチル基、(3−エトキシプロピルオキシ)メチル基、(3−n−ペンチルオキシプロピルオキシ)メチル基、(6−メトキシヘキシルオキシ)メチル基、(10−エトキシデシルオキシ)メチル基、2−(2’−エトキシエトキシ)エチル基、3−(2’−エトキシエトキシ)プロピル基、3−(2’−メトキシプロピルオキシ)プロピル基、3−(3’−メトキシプロピルオキシ)プロピル基などの炭素数3〜24の直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシアルキル基、
【0028】
置換または未置換のアリールオキシアルキル基としては、例えば、フェニルオキシメチル基、4−メチルフェニルオキシメチル基、4−エチルフェニルオキシメチル基、4−n−ブチルフェニルオキシメチル基、4−n−ヘキシルフェニルオキシメチル基、4−n−デシルフェニルオキシメチル基、4−メトキシフェニルオキシメチル基、4−ブトキシフェニルオキシメチル基、4−n−ペンチルオキシフェニルオキシメチル基、4−フルオロフェニルオキシメチル基、2−フルオロフェニルオキシメチル基、3,4−ジフルオロフェニルオキシメチル基、4−クロロフェニルオキシメチル基、4−フェニルフェニルオキシメチル基、2−ナフチルオキシメチル基、2−フリルオキシメチル基、1−フェニルオキシエチル基、2−(4’−メチルフェニルオキシ)エチル基、2−(4’−エチルフェニルオキシ)エチル基、2−(4’−メトキシフェニルオキシ)エチル基、2−(4’−n−ブトキシフェニルオキシ)エチル基、2−(4’−フルオロフェニルオキシ)エチル基、2−(4’−ブロモフェニルオキシ)エチル基、2−(1’−ナフチルオキシ)エチル基、2−フェニルオキシプロピル基、3−フェニルオキシプロピル基、3−(4’−メチルフェニルオキシ)プロピル基、4−フェニルオキシブチル基、4−(2’−エチルフェニルオキシ)ブチル基、4−フェニルオキシペンチル基、5−(4’−tert−ブチルフェニルオキシ)ペンチル基、6−フェニルオキシヘキシル基、8−フェニルオキシオクチル基、10−(3’−メチルフェニルオキシ)デシル基などの炭素数5〜30の置換または未置換のアリールオキシアルキル基、
【0029】
置換または未置換のアラルキルオキシアルキル基としては、例えば、ベンジルオキシメチル基、フェネチルオキシメチル基、4−メチルベンジルオキシメチル基、4−n−プロピルベンジルオキシメチル基、4−n−オクチルベンジルオキシメチル基、4−メトキシベンジルオキシメチル基、4−n−ブトキシベンジルオキシメチル基、4−フルオロベンジルオキシメチル基、3−フルオロベンジルオキシメチル基、4−クロロベンジルオキシメチル基、2−ベンジルオキシエチル基、2−フェネチルオキシエチル基、2−(4’−メチルベンジルオキシ)エチル基、2−(4’−フルオロベンジルオキシ)エチル基、2−(4’−クロロベンジルオキシ)エチル基、3−(4’−メトキシベンジルオキシ)プロピル基、4−ベンジルオキシブチル基、4−(4’―フェニルベンジルオキシ)ブチル基、6−ベンジルオキシヘキシル基などの炭素数6〜30の置換または未置換のアラルキルオキシアルキル基、
【0030】
あるいは直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシアルキル基としては、例えば、フルオロメチルオキシメチル基、3−フルオロ−n−プロピルオキシメチル基、トリフルオロメチルオキシメチル基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロエチルオキシメチル基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−プロピルオキシメチル基、2−ヒドロ−パーフルオロ−2−プロピルオキシメチル基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−ブチルオキシメチル基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−ヘキシルオキシメチル基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−オクチルオキシメチル基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−テトラデシルオキシメチル基、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピルオキシメチル基、2−(8−フルオロ−n−オクチルオキシ)エチル基、2−(1,1,3−トリヒドロ−パーフルオロ−n−プロピルオキシ)エチル基、2−(6−フルオロ−n−ヘキシルオキシ)エチル基、2−(1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−オクチルオキシ)エチル基、3−(1,1−ジヒドロ−パーフルオロエチルオキシ)プロピル基、4−(パーフルオロ−n−ヘキシルオキシ)ブチル基、6−(2−クロロエチルオキシ)ヘキシル基などの炭素数2〜24の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシアルキル基を挙げることができる。
【0031】
一般式(1)において、より好ましくは、X1〜X8は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜16の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、炭素数1〜12の直鎖、分岐または環状のアルキル基を置換基としてもつエテニル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐または環状のアルキル基を置換基としてもつエチニル基、炭素数6〜24の置換または未置換のアリール基、炭素数6〜24の置換または未置換のアリールオキシ基、炭素数1〜16の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、あるいは炭素数1〜16の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基を表す。
一般式(1)において、さらに好ましくは、X1〜X8は、フッ素原子、臭素原子、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基を置換基としてもつエテニル基、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基を置換基としてもつエチニル基、炭素数6〜16の置換または未置換のアリール基、炭素数6〜16の置換または未置換のアリールオキシ基、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、あるいは炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基を表す。
【0032】
さらに、X1〜X8から選ばれる互いに隣接する基は互いに結合して、置換している炭素原子と共に、置換または未置換の芳香族環を形成していてもよく、好ましくは、X1〜X8から選ばれる互いに隣接する基は互いに結合して、置換している炭素原子と共に、置換または未置換のベンゼン環、又はナフタレン環を縮環し、置換基としては塩素原子、フッ素原子、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基である。より好ましくは、X1〜X8から選ばれる互いに隣接する基は互いに結合して、置換または未置換のベンゼン環、又はナフタレン環の2位と3位、1位と2位もしくは1位と8位のいずれかで縮環し、縮環したフェニレン環の置換基としては炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基であり、縮環したナフチレン環の置換基としては塩素原子、フッ素原子、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基である。さらに好ましくは、X1〜X8から選ばれる互いに隣接する基は互いに結合して、置換している炭素原子と共に、ナフタレン環の2位と3位もしくは1位と8位のいずれかで縮環し、縮環したナフチレン環の置換基としては塩素原子、フッ素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル基である。
一般式(1)で表されるポルフィリン化合物において、好ましくは、R1〜R4はそれぞれ独立に、置換または未置換のアリール基であり、置換のアリール基としては、前記一般式(1)におけるX1〜X8で挙げたアリール基と同じ置換基を有してもよいアリール基が挙げられる。
一般式(1)において、より好ましくは、R1〜R4は、炭素数6〜24の置換または未置換のアリール基を表し、さらに好ましくは、炭素数6〜16の置換または未置換のアリール基を表す。
【0033】
一般式(1)で表されるポルフィリン化合物において、Mは、2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子を表し、より好ましくは、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子または酸化金属原子であり、さらに好ましくは、2価の金属原子、または酸化金属原子である。
Mで表される1価の金属原子としては、例えば、Na、K、Liなどを挙げることができる。
Mで表される2価の金属原子としては、例えば、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Ru、Pd、Pt、Mn、Mg、Ti、Ba、Cd、Hg、Pb、Snなどを挙げることができる。
Mで表される3価の置換金属原子としては、例えば、Al−F、Al−Cl、Al−Br、Al−I、Ga−Cl、In−F、In−Cl、In−I、Tl−F、Tl−Cl、Al−C、Al−C(CH)、In−C、In−C(CH)、Mn(OH)、Mn(OC
、Mn[OSi(CH]、Fe−Cl、Ru−Clなどを挙げることができる。
Mで表される4価の置換金属原子としては、例えば、CrCl、SiCl、SiF、SiI、ZrCl、ZrI、GeBr、GeF、SnCl、SnF、TiCl、TiBr、TiF、Si(OH)、Zr(OH)、Mn(OH)、Sn(OH)、Cr(Z1)、Si(Z1)、Sn(Z1)〔式中、Z1は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、あるいはその誘導体を表す〕、Si(OZ2)、Sn(OZ2)、Ti(OZ2)、Cr(OZ2)〔式中、Z2は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基、あるいはその誘導体を表す〕、Sn(SZ3)、Ge(SZ3)〔式中、Z3は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、あるいはその誘導体を表す〕などを挙げることができる。Mで表される酸化金属原子としては、例えば、VO、MnO、TiOなどを挙げることができる。
一般式(1)において、Mは、より好ましくは、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Pd、Mn、Mg、Mn(OH)、Mn(OH)、VO、TiOであり、さらに好ましくは、Cu、Ni、Pd、VOである。
本発明に係るポルフィリン化合物のより好ましい具体例としては、例えば、一般式(3)及び一般式(4)で表される化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】

[式中、X1〜X8はそれぞれ独立に、置換または未置換のエチニル基を表し、置換基を有するエチニル基として、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基を置換基とするエチニル基、Mは2価の金属原子または酸化金属原子を表す]
【0035】

[式中、Q1〜Q24はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基を表し、R1〜R4はそれぞれ独立に、置換または未置換のアリール基を表し、置換基を有するアリール基として、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基もしくはアルコキシ基を置換基とするフェニル基、Mは2価の金属原子または酸化金属原子を表す]

【0036】
本発明に係るポルフィリン化合物は、それ自体公知の方法を参考にして製造することができる。すなわち、一般式(1)で表される化合物は、例えば、一般式(5−1)〜一般式(5−4)で表される化合物と一般式(6−1)〜一般式(6−4)で表される化合物を、酸触媒(例えば、プロピオン酸、ボロントリフルオリド・エチルエーテル錯体、トリフルオロ酢酸)による脱水縮合反応および酸化(例えば、2,3−ジクロロ−5,6-ジシアノ−1,4-ベンゾキノン)、いわゆるRothermunt反応により合成し、更に、所望により金属あるいは金属塩(例えば、アセチルアセトン錯体、金属の酢酸塩)を適当な溶媒中で反応させることにより製造することができる〔例えば、J.Am.Chem.Soc.,61、2921(1939)、J.Org.Chem.,32、476(1967)、Ann.,745、135(1971)、J.Am.Chem.Soc.,118、8767(1996)に記載の方法に従って製造することができる〕。
【0037】


〔式中、X1〜X8、及びR1〜R4は一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕
又、例えば、メソ−テトラフェニルポルフィリン化合物のピロール部の3,4位をハロゲン化し、次いで置換することで所望の一般式(1)で表される化合物法を製造することができる。
なお、本明細書においては、一般式(1)で表されるポルフィリン化合物は、実際には、1種または2種以上の異性体から成る混合物を表している。このような複数の異性体から成る混合物の構造の記載に際しても、本明細書においては、便宜上、例えば、一般式(1)で表される一つの構造式を記載しているものである。
【0038】
本発明の眼鏡レンズにおいては、本発明に係るポルフィリン化合物は、1種を単独で使用してもよく、あるいは複数を併用してもよい。さらに、1種または2種以上の異性体から成る混合物を使用することができる。また、所望により、該混合物から各異性体を分離し、異性体の内の1種の化合物を用いることができ、さらには、任意の割合から成る複数の異性体を併用することができる。尚、本発明に係るポルフィリン化合物とは、結晶は勿論であるが、無定型(アモルファス体)をも包含するものである。
【0039】
要求される本発明の眼鏡レンズの特性を考慮し、本発明に係るポルフィリン化合物としては、好ましくは、一般式(1)で表される化合物の中で、440〜570nmの間の波長領域に吸収極大波長を有し、詳細には、濃度0.01g / Lトルエン溶液の光路長10mmで測定した吸収スペクトルにおいて、吸収ピークの半値幅が10nm以上40nm未満、より好ましくは15nm以上35nm未満である化合物が、より好ましくは、一般式(3)で表される化合物の中で、440〜510nmの間の波長領域に吸収極大波長を有する化合物、一般式(4)で表される化合物の中で、520〜570nmの間の波長領域に吸収極大波長を有する化合物が、本発明の眼鏡レンズに使用することができる。
【0040】
なお、本明細書において半値幅とは半値全幅のことであり、吸収スペクトルにおいて吸収極大波長における吸光係数値(εg)の1/2の値にて引いた横軸に並行な直線と当該ピークとにより形成される2つの交点の間の距離(nm)で表される。
本発明に係るポルフィリン化合物は、吸収ピークの半値幅が10nm以上40nm未満、より好ましくは15nm以上35nm未満であるため、可視光波長領域での選択的光吸収特性を保持しながら複数の色素を組み合わせる場合、つまり、レンズ材料を様々な色調にする場合に、選択的光波長域以外の波長域での光吸収要因ができるだけ少ないので、色素の組み合わせ法がよりシンプルとなるだけでなく、目的の色調範囲をより広くとれ、かつよりくすみの少ない色調を得やすいことになる。
【0041】
さらに、網膜に対する光毒性の高い440〜510nmの間の波長領域に吸収極大を有することから、加齢に伴う白内障に有効である。
これは、加齢に伴なって水晶体の中に微小なたんぱく質の小片がいくつも発生することで混濁し、これに光が当たると乱反射を招き、見たものがぼんやりとしか見えなくなってしまうことで、以前よりも日中もしくは明るい光源下でものを見たときに眩しく感じるようになった場合も同じである。
この原因としては、400〜500nmの短波長光による網膜光傷害が加齢性白内障を誘発する一因との報告があり、網膜色素上皮(RPE)が加齢とともに、加齢色素”リポフスチン”を蓄積し、リポフスチンの主要成分AE2は、短波長光に高感受性を有し、短波長光が吸収されることによって生成されたフリーラジカルが、RPEの細胞死を引き起こすと言われている。
このように、本発明に係るポルフィリン化合物は、網膜光傷害を誘発しやすい波長領域である440〜510nmの間の波長領域に吸収極大を有することから、加齢に伴う白内障に有効であると言える。
【0042】
また、440〜510nmの間の波長領域の可視光線を一部カットできる眼鏡レンズとしても有効であり、加齢性白内障にとっては、眩しさと関連した不快感やコントラストの不鮮明感、更には視覚疲労などを軽減することができる。
本発明における眼鏡レンズは、必要により、本発明に係るポルフィリン化合物と、光吸収化合物を併用することができる。係る光吸収化合物としては、本発明の効果に対するさらなる防眩性付与やコントラスト増強を考慮し、可視光域に所望の吸収を有する化合物を挙げることができる。
例えば、一般式(2)で表されるテトラアザポルフィリン化合物を挙げることができる。
【0043】

[式中、Y1〜Y8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアラルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシ基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、置換または未置換のアミノ基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシアルキル基、置換または未置換のアリールオキシアルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシアルキル基、あるいは直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシアルキル基を表し、さらに、Y1〜Y8から選ばれる互いに隣接する基は互いに結合して、置換している炭素原子と共に、置換または未置換の炭素環式脂肪族環を形成していてもよいを表す。ただし、X1〜X8のすべてが水素原子であることはない。Mは2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子を表す]
【0044】
本発明に係るテトラアザポルフィリン化合物の置換基は、特に限定されるものではないが、以下に具体的に例示する。
一般式(2)で表されるテトラアザポルフィリン化合物において、好ましくは、Y1〜Y8はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられ、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアラルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシ基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、置換または未置換のアミノ基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシアルキル基、置換または未置換のアリールオキシアルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシアルキル基、あるいは直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシアルキル基としては、前記一般式(1)におけるX1〜X8と同様の置換基が挙げられ、
【0045】
置換または未置換のアミノ基としては、例えば、アミノ基、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−シクロヘキシルアミノ基、N−n−オクチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N−(3−メチルフェニル)アミノ基、N−(4−メトキシフェニル)アミノ基、N−(3−フルオロフェニル)アミノ基、N−(4−クロロフェニル)アミノ基、N−(2−ナフチル)アミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジ−n−ブチルアミノ基、N,N−ジ−n−デシルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、N−エチル−N−n−ブチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N−n−ブチル−N−フェニルアミノ基、N−ベンジル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジ(3−メチルフェニル)アミノ基、N,N−ジ(4−エチルフェニル)アミノ基、N,N−ジ(4−tert−ブチルフェニル)アミノ基、N,N−ジ(4−メトキシフェニル)アミノ基、N,N−ジ(4−エトキシフェニル)アミノ基、N,N−ジ(4−n−ヘキシルオキシフェニル)アミノ基、N,N−ジ(2−ナフチル)アミノ基、N−フェニル−N−(4−メチルフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−(4−メトキシフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−(4−n−ヘキシルオキシフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−(1−ナフチル)アミノ基、N−フェニル−N−(2−ナフチル)アミノ基、N−フェニル−N−(4−フェニルフェニル)アミノ基、N−フェノキサジイル基、N−フェノチアジイル基などの炭素数1〜30の置換または未置換のアミノ基を挙げることができる。
【0046】
一般式(2)において、より好ましくは、Y1〜Y8は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、炭素数1〜16の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、炭素数4〜24の置換または未置換のアリール基、炭素数1〜16の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、炭素数1〜16の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、炭素数2〜16の直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、炭素数3〜16の直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシアルキル基、炭素数5〜24の置換または未置換のアリールオキシアルキル基、炭素数6〜24の置換または未置換のアラルキルオキシアルキル基、あるいは炭素数2〜16の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシアルキル基を表す。
【0047】
一般式(2)において、さらに好ましくは、Y1〜Y8は、水素原子、塩素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、炭素数6〜16の置換または未置換のアリール基、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、あるいは炭素数2〜10の直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基を表す。さらに、Y1〜Y8から選ばれる互いに隣接する基は互いに結合して、置換している炭素原子と共に、置換または未置換の炭素環式脂肪族環を形成していてもよく、好ましくは、総炭素数4〜20の置換または未置換の炭素環式脂肪族環を形成していてもよく、より好ましくは、総炭素数6〜10の置換または未置換の炭素環式脂肪族環を形成していてもよく、さらに好ましくは、シクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成していてもよい
一般式(2)において、Mは、前記一般式(1)におけるMと同様で、より好ましくは、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Pd、Mn、Mg、VO、TiOであり、さらに好ましくは、Cu、Pd、VOである。
本発明に係るテトラアザポルフィリン化合物のより好ましい具体例としては、例えば、一般式(7)で表される化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0048】

[式中、Y1、Y3、Y5、Y7はそれぞれ独立に水素原子を表し、Y2、Y4、Y6、Y8はそれぞれ炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、Mは2価の金属原子または酸化金属原子を表す]
本発明に係るテトラアザポルフィリン化合物は、それ自体公知の方法を参考にして製造することができる。すなわち、一般式(2)で表される化合物は、例えば、一般式(8−1)〜一般式(8−4)で表される化合物と、金属あるいは金属塩(例えば、ハロゲン化金属、カルボン酸金属)とを、所望により塩基(例えば、モリブデン酸アンモニウム、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、トリアルキルアミン、アンモニア)の存在下で反応させることにより製造することができる〔例えば、米国特許2850505号、英国特許689387号、英国特許763085号、J.Gen.Chem.USSR,47、1954(1977)、J.Org.Chem.USSR,15、962(1979)、J.Org.Chem.USSR,28、1723(1992)、Chem.Heterocyclic Comp.,18、1269(1982)、Synthesis,687(1991)、特開平11−11015号公報、特開平11−43619号公報、特開平11−100520号公報、特開平11−116574号公報、特開平11−130971号公報、特開2002−129052号公報、特開2006−321925号公報に記載の方法に従って製造することができる〕。
【0049】


なお、本明細書においては、一般式(2)で表されるテトラアザポルフィリン化合物は、実際には、1種または2種以上の異性体から成る混合物を表している。このような複数の異性体から成る混合物の構造の記載に際しても、本明細書においては、便宜上、例えば、一般式(2)で表される一つの構造式を記載しているものである。
本発明の眼鏡レンズにおいては、本発明に係るテトラアザポルフィリン化合物は、1種を単独で使用してもよく、あるいは複数を併用してもよい。さらに、1種または2種以上の異性体から成る混合物を使用することができる。また、所望により、該混合物から各異性体を分離し、異性体の内の1種の化合物を用いることができ、さらには、任意の割合から成る複数の異性体を併用することができる。尚、本発明に係るテトラアザポルフィリン化合物とは、結晶は勿論であるが、無定型(アモルファス体)をも包含するものである。
要求される本発明の眼鏡レンズの特性を考慮し、本発明に係るテトラアザポルフィリン化合物としては、好ましくは、一般式(2)で表される化合物の中で、より好ましくは、580〜605nmに吸収極大を有する化合物が、本発明の眼鏡レンズに使用することができる。
【0050】
本発明の眼鏡レンズは、基材中に化合物を含有してなるもので、化合物としては、一般式(1)で表されるポルフィリン化合物を少なくとも1種含有していて、一般式(2)で表されるテトラアザポルフィリン化合物を含有していても構わない(以下、本発明に係る化合物と略記する)。なお、本発明でいう基材に含有するとは、基材の内部に含有されることは勿論、基材の表面に塗布した状態、基材と基材の間に挟まれた状態等を意味する。
基材としては、ガラスレンズ又はプラスチックレンズの何れであってもよい。プラスチックは、ガラスと比較して軽量であり、また割れ難く安全性も高いことから、特にプラスチックレンズが繁用される。プラスチックレンズ基材としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のいずれであってもよく、特に制限されないが、光線透過率が高く、成形可能なポリマー、例えば(メタ)アクリル樹脂をはじめとしてスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)等のアリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシアネート化合物とジエチレングリコールなどのヒドロキシ化合物との重合反応で得られたポリウレタン樹脂、イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを重合反応させたポリチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する重合性組成物を硬化して得られる透明樹脂等を例示することができる。
好ましくは、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリチオウレタン樹脂又はポリアミド樹脂を用いることができる。
【0051】
ポリカーボネート樹脂は、主たる方法としてジヒドロキシジアリール化合物類とホスゲンを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物類とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステル類とを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり代表的なものとして、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
なお、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は通常10000〜100000、好ましくは10000〜400000である。
ポリチオウレタン樹脂は、代表的なものとして、メタキシリレンジイソシアネートと、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)から製造されたポリチオウレタン樹脂が挙げられる。
【0052】
ポリアミド樹脂は、芳香族又は脂肪族基を含むジアミン化合物類と、芳香族又は脂肪族基を含むジカルボン酸化合物類との脱水重縮合物の構造を有する樹脂である。ここで脂肪族基は脂環式脂肪族基も含まれる。上記ジアミン化合物類とジカルボン酸化合物類との脱水重縮合物の構造を有する樹脂は必ずしも脱水重縮合反応から得られるものに限定はされず、例えば1種又は2種以上のラクタム化合物類の開環重合などからも得られることができる。
特に透明性の観点から非結晶性のポリアミド樹脂が好ましく、一般的には透明ナイロンと称され、例えばエムス社のグリルアミドTR−55、グリルアミドTR−90、グリルアミドTR−XE3805、あるいはヒュルス社のトロガミドCX−7323などを例示することができる。
これらは単体で用いてもよいし、混合したものを用いてもよい。例えば、ポリカーボネート樹脂100重量部にポリアミド樹脂を30〜0.5重量部、好ましくは20〜1重量部、更に好ましくは15〜2重量部混合した熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0053】
本発明に係る化合物は、一般式(1)で表されるポルフィリン化合物を少なくとも1種含有していて、一般式(2)で表されるテトラアザポルフィリン化合物を含有していても構わない。一般式(1)で表されるポルフィリン化合物は、油溶性の性質を有し、クロロホルム又はトルエン溶液で測定された可視光吸収分光スペクトルにおいて、440nm〜570nmの間に最大吸収ピークを有し、前記最大吸収ピークの吸光係数が0.5×105(ml/g・cm)以上であり、半値幅が80nm以下であること、一般式(2)で表されるテトラアザポルフィリン化合物は、油溶性の性質を有し、クロロホルム又はトルエン溶液で測定された可視光吸収分光スペクトルにおいて、580nm〜605nmの間に最大吸収ピークを有し、前記最大吸収ピークの吸光係数が0.5×105(ml/g・cm)以上であり、半値幅が80nm以下であることを要件とする
【0054】
以下に、眼鏡レンズについて具体的に説明する。
本発明の眼鏡レンズは、レンズの材質に応じて、慣用の方法で製造することができる。
例えば、ガラスレンズの場合は、所定の形状に成形されたレンズに、本発明に係る化合物を含有する被膜を形成させることにより製造することができる。被膜形成は、慣用のコーティング法により行うことができるが、例えば、レンズ表面にコーティングする方法としては、本発明に係る化合物をバインダー樹脂及び有機系溶媒に溶解させて塗料化する方法などが挙げられる。
バインダー樹脂としては、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変成樹脂(PVB、EVA等)或いはそれらの共重合樹脂等が挙げられる。
溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、或いはそれらの混合物系等が挙げられる。
本発明に係る化合物の濃度は、吸収係数、コーティングの厚み、目的の吸収強度、目的の可視光透過率等によって異なるが、バインダー樹脂の重量に対して、通常、0.1ppm〜30重量%である。また、樹脂濃度は、塗料全体に対して、通常、1〜50重量%である。上記の方法で作製した塗料は、ガラスレンズの上にバーコーダー、ブレードコーター、スピンコーター、リバースコーター、ダイコーター、或いはスプレー等のコーティング法で被膜を形成させることができる。なお、被膜は、赤外線吸収剤等を含む複数の層で形成されていても良い。
【0055】
本発明の実施に当たって、例えば、基材が熱硬化性樹脂であるプラスチックレンズの場合、通常は目的の重合体を形成させるモノマーを重合硬化させる方法が含まれる。本発明を限定するものではないが、例としては、ジエチレングリコールジアリルカーボネートモノマー、ジアリルフタレートモノマー、イソシアネート系化合物とポリオールやポリチオールなどの混合物、およびアクリルモノマーなどの矯正レンズの製造に使われるモノマー類の硬化物が挙げられる。その重合方法は特に限定されるものではないが、通常、注型重合が採用される。その際、熱硬化性樹脂配合物には、本発明に係る化合物が配合されており、前記樹脂配合物をレンズ注型用鋳型に供給して重合反応を行い眼鏡レンズに成型する。上記レンズ注型用鋳型に供給する方法は特に限定されるものではないが、例えば前記樹脂配合物を細管に通すなどによって注入する方法が使用される。前記樹脂配合物は予め減圧等の方法で脱泡処理が施されてもよく、また空気環境因子が実質的に排除された状態で注型重合が行われてもよい。
本発明におけるレンズ注型用鋳型は、ガスケットで保持された2個のモールドから構成されるものが一般的である。モールドには、得られたレンズの離型性を向上するために離型剤を塗付してもよい。また、レンズ材料にハードコート性能を付与するためのコート液をモールドに塗付してもよい。
熱硬化性樹脂組成物に本発明に係る化合物を配合させる方法について、以下に具体的に説明する。重合硬化に供する熱硬化性樹脂組成物は大別すると、モノマー混合物、本発明に係る化合物、触媒、及びその他の添加剤から構成される。
【0056】
添加剤としては、ジブチル錫ジクロライドなどの触媒、紫外線吸収剤、酸性リン酸エステルなどの内部離型剤、光安定剤、酸化防止剤、ラジカル反応開始剤などの反応開始剤、鎖延長剤、架橋剤、充填剤などがあり、さらに必要に応じ、屈折率、アッベ数、耐熱性、比重等の物性や耐衝撃性等の機械強度等を調整あるいは向上のために公知の樹脂改質剤、例えばヒドロキシ化合物、チオール化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、有機酸及びその無水物、(メタ)アクリレート化合物等を含むオレフィン化合物等が挙げられる。
本発明に係る化合物を混合するに当たっての混合対象成分が0℃以上で液状であればその選択には特に限定はなく、操作性、安全性、便宜性等を踏まえ、適宜選択される。例えばモノマー混合物を構成するモノマー群のいずれかに混合させた後にモノマー混合物とする方法、モノマー混合物及びその他の添加剤からなる混合物に混合させた後、触媒を加える方法、あるいはモノマー混合物、触媒、及びその他の添加剤からなる混合物に混合させる方法などが挙げられる。
【0057】
また本発明に係る化合物を混合するにあたっては、本発明に係る化合物を直接混合させる方法、あるいは予め本発明に係る化合物を低沸点の有機溶媒に溶解させ、前記有機溶媒溶液を上記混合対象成分に混合後、加熱及び/又は減圧等の条件下で前記有機溶媒を蒸発除去してもよい。その際使用される有機溶媒としてはヘキサン、ヘプタン、アセトン、メチルエチルケトン、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルムなどが挙げられるが、上記樹脂組成物に対して化学反応的に不活性で、かつ適度に低沸点のものであれば特に限定されるものではない。
また、プラスチックレンズに必要とされる本発明に係る化合物の濃度に相当する量が樹脂組成物に含有されるように前記の方法で混合させてもよく、またモノマー混合物や前記樹脂組成物などいずれかの成分に目的濃度より高濃度で本発明に係る化合物を含有させたマスターバッチを調製しておき、必要に応じて配合すべき他成分を加えて希釈させて目的の濃度の本発明に係る化合物を含有させる方法等も挙げることができる。
また本発明に係る化合物の溶解にあたって、樹脂組成物の劣化や可使時間などの点で実施上支障がない範囲で加温することもできる。本発明に係る化合物を混合させるにあたっては、例えば通常行われる撹拌、振とう、バブリングなどの方法が挙げられる。更に必要に応じて本発明に係る化合物の溶解後、減圧下での脱泡処理や加圧、減圧等での濾過処理等を行うことが好ましい場合が多い。
【0058】
次いで、例えば、基材が熱可塑性樹脂であるプラスチックレンズの場合、通常、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法、圧縮射出成形法などの公知の方法が採用される。すなわち供給される該熱可塑性樹脂を溶融温度以上に加熱させ、これを目的のプラスチックレンズの形状を有する金型内に導入後、冷却固化させてプラスチックレンズを得る方法である。その際、偏光フィルムなど目的の機能を有するプラスチックフィルムを予め金型内に設置しておき、上記方法で成形されたプラスチックレンズ内に該機能性のプラスチックフィルムを一体化させるいわゆるインサート法も本発明の範囲を超えるものではない。
その際、熱可塑性樹脂に予め本発明に係る化合物を配合させておく。配合の方法としては特に制限はないが、例えば、本発明に係る化合物と熱可塑性樹脂ペレットを、ペレットの溶融温度以下で機械的に混合させて、本発明に係る化合物を該ペレット表面に保持させる方法、又別の方法としては、適切な混練機を用いて、本発明に係る化合物と熱可塑性樹脂ペレットを、ペレットの溶融温度以上で混練して本発明に係る化合物を該熱可塑性樹脂ペレットに含有させることができる。
前記成形機への熱可塑性樹脂の供給にあたっては、該熱可塑性樹脂中に含有されている水分量を低減させるため必要に応じて予め公知の条件で乾燥処理を施してもよい。
【0059】
熱硬化性樹脂に対する本発明に係る化合物の濃度は0.0002〜0.05重量%、好ましくは0.0002〜0.01重量%、更に好ましくは0.0004〜0.01重量%の範囲であり、この濃度を設定するための前記熱硬化性樹脂組成物に対する本発明に係る化合物の配合量の設定は、プラスチックレンズに対する目的濃度と通常近似的同一であることを目安に実験的に容易に決定することができる。
本発明に係る化合物は、熱硬化性又は熱可塑性プラスチックレンズの少なくとも片面表面から500μm以下の範囲に局在させるとよい。
熱可塑性樹脂組成物に本発明に係る化合物を配合させる方法について以下に具体的に説明する。熱可塑性樹脂に対する本発明に係る化合物の濃度は0.0002〜0.05重量%、好ましくは0.0002〜0.01重量%、更に好ましくは0.0004〜0.01重量%であり、この濃度にするための前記熱可塑性樹脂組成物に対する本発明に係る化合物の配合量の設定は、前記プラスチックレンズに対する目的濃度と通常近似的同一であることを目安にして容易に決定することができる。
【0060】
また、前記熱可塑性樹脂に必要とされる本発明に係る化合物の濃度に相当する量を、前記の方法で供給される該熱可塑性樹脂中に配合させてもよく、また必要とされる本発明に係る化合物を該熱可塑性樹脂中に目的量を超えて配合させた異種の配合熱可塑性樹脂を所定量混合させて供給し、最終的にプラスチックレンズ中に目的濃度の本発明に係る化合物が含有される様に設定するいわゆるマスターバッチ法も採用できる。その際、希釈の目的で本発明に係る化合物非含有の熱可塑性樹脂を併用して供給してもよい。また、上記所定量混合させた該熱可塑性樹脂を予め溶融混練などの方法で混合し、必要に応じてペレット化などの処方を施した後、成形機に供給してもよい。
なお、本発明の熱硬化性又は熱可塑性のプラスチックレンズにおいては、必要に応じてプラスチックレンズの少なくとも片面にレンズ部材として施された単層又は多層積層を構成する成分層の少なくとも1層に本発明に係る化合物を含有させて、目的の波長選択的光吸収性を有するプラスチックレンズとすることができる。
前記熱硬化性又は熱可塑性のプラスチックレンズの少なくとも片面に単層又は多層積層を形成させるにあたっては、シート層を貼り付けて形成させることもできるが、通常は本発明に係る化合物を含有させた有機樹脂コート剤を塗布することで形成される。
【0061】
有機樹脂コート剤としては(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン樹脂系などを例示することができ、あるいはそれら樹脂成分が混成されてブレンド又は共重合された樹脂なども挙げられる。樹脂は目的に応じて熱可塑タイプあるいは熱硬化性タイプのいずれかが採用される。
前記プラスチックレンズへの塗布にあたっては前記樹脂を無溶剤下又は通常は溶剤に溶解して塗布液とする。溶剤としては、水、あるいはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、イソホロンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミルなどのエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール/エステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、アミルアルコール、2−エチルヘキシルアルコールなどのアルコール類、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族類、シクロヘキサンなどの脂環族類などが例示でき、それらから選択された2種以上の溶剤を混合させた溶剤も使用することができる。これら溶剤の選択は、樹脂成分の溶解性、樹脂成分との反応性の程度、沸点、環境調和性、価格、など目的に応じた観点から決定される。
前記塗布液の前記プラスチックレンズへの塗布にあたってはデイッピング法、スプレー法、スピンコート法、デイップスピンコート法、ロールコート法など一般に実施されている方法で行うことができる。必要に応じてレンズウエハーの塗布対象表面に予めプラズマ処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、シランカップリング剤や水酸化ナトリウムなどによる化学的処理などを施すこともできる。また前記塗布液中にはシリコーン系あるいはフッ素系などのレベリング剤などを必要に応じて併用することができる。
前記有機樹脂コート剤が熱可塑性樹脂系の場合は塗布後、溶剤を蒸発乾燥させることで本発明に係る化合物を含有させた熱可塑性樹脂系成分層を得ることができる。
【0062】
前記有機樹脂コート剤が熱硬化性樹脂系の場合は塗布後、溶剤を蒸発乾燥させた後、熱、紫外線、エレクトロンビームなどの手段を用いて硬化反応させることで本発明に係る化合物を含有させた熱硬化性樹脂系成分層を得ることができる。溶媒乾燥条件と硬化反応条件は同時に適用することもできる。
前記形成された成分層の厚さは、0.05〜100μm、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは0.5〜30μm、特に好ましくは0.5〜10μmが適当である。前記成分層中に含有される本発明に係る化合物の濃度は0.02〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%が適当である。
本発明に係る化合物は、プラスチックレンズのみに含有させてもよいし、このプラスチックレンズの片面又は両面に形成されるハードコート層やプライマー層その他の成分層のみに含有させてもよい。成分層が複数層ある場合は、このうちの少なくとも一層に本発明に係る化合物を含有させてもよい。また、プラスチックレンズと成分層の両方に本発明に係る化合物を含有させてもよい。
プライマー層としては、プラスチックレンズの耐衝撃性を向上できる上、耐水性、耐光性に優れ、しかも、後述するハードコート層との密着性に優れる水性化アクリル−ウレタン樹脂又はポリエステル系熱可塑性エラストマーが好ましい。
前記本発明に係る化合物を含有させた成分層の形成に関して、以下に具体例を挙げて説明する。しばしば実施されている形態においては、前記熱硬化性又は熱可塑性プラスチックレンズの少なくとも片面にプライマー層を形成させ、その表面にハードコートが施されレンズ材料表面に耐擦傷性などの機械的特性が付与される。更に必要に応じてハードコート層の表面には所定の無機多層膜が施され反射防止性能が付与される。前記プライマー層はレンズ面とハードコート層間の密着性に寄与するだけでなく、主たる目的はハードコートや反射防止層が施されることによって生じるレンズ自体の耐衝撃性の劣化を応力の緩衝作用を通して改善できることである。
【0063】
本発明に係る化合物を前記ハードコート層やプライマー層に含有させて本発明で必要な選択的遮光性を発現させることができる。前記プライマー層としては公知の方法、例えばブロック型ポリイソシアネートとポリオールをイソシアネートと水酸基の当量比が概略0.8〜1.25となるよう配合し、溶媒で希釈し、微量の錫系触媒とレベリング剤を加えた溶液に本発明に係る化合物を樹脂分に対して0.5〜2重量%で加えてプライマー溶液とし、例えば、チオウレタン系熱硬化性樹脂レンズの両面を前記プライマー溶液を用いてデイッピング処理後、溶剤を蒸発乾燥後約120〜140℃で熱硬化させることで本発明に係る化合物が含有されたポリウレタン系プライマー層を形成させることができる。
前記プライマー層の形成において、本発明に係る化合物を含有させないポリウレタン系プライマー層を形成させ、その上に本発明に係る化合物を含有させたハードコート層を形成させることができる。適用できるハードコート剤は公知のものが使用できる。
例えばコロイダル珪素酸化物、コロイダルアルミニウム酸化物、コロイダルアンチモン酸化物、コロイダルジルコニウム酸化物、コロイダルタングステン酸化物、コロイダルチタン酸化物、コロイダル亜鉛酸化物、コロイダルスズ酸化物、のような50〜200オングストロームの平均粒子直径を有する無機酸化物粒子、又は官能基を有しないアルコキシ金属化合物などの官能基を有しない金属化合物と、エポキシ基、メタクリル基のような官能基を有するシラン化合物を含む配合物を共加水分解させてなる成分を主体とする組成物が挙げられる。前記官能基を有するシラン化合物の例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル−メチル−ジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。ハードコート剤は前記例示の成分に加えて、必要に応じて前記例示の成分と化学的に実質上不活性な溶媒で希釈してハードコート液として使用することもできる。
【0064】
前記ハードコート液はプラスチックレンズの少なくとも片面に前記プライマーコートされた面上に塗布され通常は60〜140℃、好ましくは70〜130℃で加熱することで硬化処理が施される。その際必要に応じてハードコート液中に無機酸などの触媒を含有させることもできる。硬化反応はまた紫外線などの光を照射することでも行うことができる。その際は前記のコロイダル無機酸化物物表面の表面を(メタ)アクリル基などのビニル基含有有機基による改質、あるいは光開始剤の併用などの処方を施すことがより好ましい。硬化後のハードコート層の場合の層の厚さは、1〜10μm、好ましくは2〜5μmである。
【0065】
このようにして、例えば予め前記ハードコート液に本発明に係る化合物を樹脂分に対して0.5〜2重量%で加え溶解し、更にレベリング剤を加えて色素含有ハードコート液を調製し、前記両面にプライマー層の施された熱硬化性樹脂レンズを、前記色素含有ハードコート液にて両面をデイッピング処理し溶剤を蒸発乾燥後例えば120℃で3時間硬化処理することでポリウレタンプライマー層を介して本発明に係る化合物が含有されたハードコート層の施されたプラスチックレンズが得られる。
本発明に係る化合物含有のプラスチックレンズは必要に応じてマルチコート(反射防止層)、防曇処理、撥水処理、あるいは帯電防止処理など、従来の技術範囲で可能な機能処理が施されてもよい。また、眼鏡レンズに度をいれることにより、近視用レンズあるいは老眼レンズとすることもできる。本発明の眼鏡レンズを老眼レンズとすることにより、目の弱い老人用保護メガネとして好適に利用できる。

【実施例】
【0066】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、全実施例、合成例及び比較例において吸収スペクトルの測定は、濃度0.01g/Lのトルエン溶液及びクロロホルム溶液を、測定機器として(株)日立製作所製、U-3500型自記分光光度計を使用し、光路長10mmで行った。
【0067】
(合成例1)
国際公開WO2006/046497号公報の実施例1記載の方法に従って下記式(1−1)で表される化合物を合成した。この化合物の吸収スペクトルにおける吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、溶解度を表1に示す。
【0068】

【0069】
(合成例2)
合成例1において、p-デシルオキシベンズアルデヒドの代わりに、p-ペントキシベンズアルデヒド、酢酸ニッケルの代わりに、酢酸銅を用いた以外は合成例1と同様の操作を行って下記式(1−2)で表される化合物を合成した。この化合物の吸収スペクトルにおける吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、溶解度を表1に示す。
【0070】

【0071】
(合成例3)
合成例1において、p-デシルオキシベンズアルデヒドの代わりに、p−ヘキシルオキシベンズアルデヒド、酢酸ニッケルの代わりに、酢酸銅を用いた以外は合成例1と同様の操作を行って下記式(1−3)で表される化合物を合成した。この化合物の吸収スペクトルにおける吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、溶解度を表1に示す。
【0072】

【0073】
(合成例4)
特開2008−239592号公報の実施例1記載の方法に従って下記式(1−4)で表される化合物を合成した。この化合物の吸収スペクトルにおける吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、溶解度を表1に示す。

【0074】
(合成例5)
特開2008−239592号公報の実施例2記載の方法に従って下記式(1−5)で表される化合物を合成した。この化合物の吸収スペクトルにおける吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、溶解度を表1に示す。
【0075】

【0076】
これらの化合物とともに、合成例1〜5で合成した化合物について、吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)および溶解度の測定結果を表1に示す。なお、λmaxおよびεgは、クロロホルム溶液中での値であり、溶解度は各溶媒に対する重量%である。
(注)溶解度 ○:完溶する ×:溶け残る
【0077】

【0078】
(合成例6)
特開2006−321925号公報の実施例2記載の方法に従ってテトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリンバナジル錯体(2−1)を合成した。この化合物の吸収スペクトルにおける吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、半値幅を表2に示す。
【0079】
(合成例7)
特開2006−321925号公報の実施例3記載の方法に従ってテトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリン銅錯体(2−2)を合成した。この化合物の吸収スペクトルにおける吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、半値幅を表2に示す。
【0080】

【0081】
(実施例1)
温度計、撹拌機、窒素シール管を備えた500mLセパラブルフラスコに、平均分子量1014のポリオキシテトラメチレングリコール(保土谷化学工業製:PTG−1000N)200部をとり、窒素気流中で撹拌しながら加熱し、100〜110℃/3〜5mmHgの減圧下で1時間脱水した。脱水後4,4´−メチレン−ビス(シクロへキシルイソシアネート)(住友バイエルウレタン製:デスモジュールW)170部を添加し、120〜130℃で2時間反応してプレポリマーを製造した。得られたプレポリマーは無色透明液体であり、NCO含量9.9%、粘度8600mPa・s/30℃,750mPa・ s/60℃であった。
得られたプレポリマー100重量部を70℃に加熱してから、合成例4で製造した、表1記載の化合物(1−4)を0.10重量部添加し混合した後、120℃で溶融した4,4´−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)31.4重量部と脱泡混合した。この混合物を100℃で予備加熱したモールドに注入し、100℃で24時間加熱硬化し、レンズ厚さ約2.6mmの眼鏡用レンズを製造した。
得られたレンズを通しての観察では、例えば、晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
【0082】
(実施例2)
実施例1において、合成例4で製造した、表1記載の化合物(1−4)の代わりに、合成例5で製造した、表1記載の化合物(1−5)を0.10重量部添加させた以外は実施例1と同様にしてレンズ注型に供されるモノマー混合物を調整、更には注型を行い、配合された色素が異なる以外は実施例1と同様にして眼鏡用レンズを得た。
なお、何れの眼鏡用レンズにおいても、得られたレンズを通しての観察では、例えば晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
【0083】
(実施例3)
実施例1において、合成例4で製造した、表1記載の化合物(1−4)の代わりに、合成例5で製造した、表1記載の化合物(1−5)を0.05重量部と、合成例3で製造した、表1記載の化合物(1−3)を0.05重量部を添加させた以外は実施例1と同様にしてレンズ注型に供されるモノマー混合物を調整、更には注型を行い、配合された色素が異なる以外は実施例1と同様にして眼鏡用レンズを得た。
なお、何れの眼鏡用レンズにおいても、得られたレンズを通しての観察では、例えば晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
【0084】
(実施例4)
実施例1において、合成例4で製造した、表1記載の化合物(1−4)の代わりに、合成例5で製造した、表1記載の化合物(1−5)を0.05重量部と、合成例1で製造した、表1記載の化合物(1−1)を0.05重量部を添加させた以外は実施例1と同様にしてレンズ注型に供されるモノマー混合物を調整、更には注型を行い、配合された色素が異なる以外は実施例1と同様にして眼鏡用レンズを得た。
なお、何れの眼鏡用レンズにおいても、得られたレンズを通しての観察では、例えば晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
【0085】
(実施例5)
実施例1において、合成例4で製造した、表1記載の化合物(1−4)の代わりに、合成例5で製造した、表1記載の化合物(1−5)を0.05重量部と、合成例2で製造した、表1記載の化合物(1−2)を0.05重量部を添加させた以外は実施例1と同様にしてレンズ注型に供されるモノマー混合物を調整、更には注型を行い、配合された色素が異なる以外は実施例1と同様にして眼鏡用レンズを得た。
なお、何れの眼鏡用レンズにおいても、得られたレンズを通しての観察では、例えば晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
【0086】
(実施例6〜10)
下記式表3に示した色素とその重量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてレンズ注型に供されるモノマー混合物を調整、更には注型を行い、配合された色素が異なる以外は実施例1と同様にして眼鏡用レンズを得た。
なお、何れの眼鏡用レンズにおいても、得られたレンズを通しての観察では、例えば晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
【0087】

【0088】
(実施例11)
温度計、撹拌機、窒素シール管を備えた500mLセパラブルフラスコに、平均分子量1014のポリオキシテトラメチレングリコール(保土谷化学工業製:PTG−1000N)200部をとり、窒素気流中で撹拌しながら加熱し、100〜110℃/3〜5mmHgの減圧下で1時間脱水した。脱水後イソホロンジイソシアネート(バイエル社製デスモジュールI)131部を添加し120〜130℃で2時間反応してプレポリマーを製造した。得られたプレポリマーは無色透明の液体であり、NCO含量9.7%,粘度6900mPa・s/30℃,900mPa・s/60℃であった。
得られたプレポリマーの100重量部を70℃に加熱してから、合成例4で製造した、表1記載の化合物(1−4)を0.10重量部添加し混合した後、120℃で溶融した4,4´メチレン−ビス(2,6−ジエチルアニリン)36.5重量部と脱泡混合した。この混合物を100℃で予備加熱したモールドに注入し、数分のポットライフに応じて速やかに成型を完了させ、100℃で24時間加熱硬化し、レンズ厚さ約2.0mmの眼鏡用レンズを製造した。
次いで、メタノール626部と水性エマルジョンポリウレタン(日華化学製:ネオステッカー700、固形分濃度37%)221.8部を混合した後、メタノール分散二酸化チタン一五酸化アンチモン−二酸化ケイ素複合微粒子ゾル(触媒化成工業製:固形分濃度20wt%)309.6部、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー株式会社製:L−7604)0.25部を混合してよく撹拌してプライマー組成物を製造した。
このプライマー組成物を該眼鏡用レンズ上に浸漬法(引き上げ速度15cm/min)にて塗布した。塗布した眼鏡用レンズは100℃で20分間加熱硬化処理して基材上に膜厚1.0μm、屈折率1.67のプライマー層を形成させた。
【0089】
さらに、メタノール78部、ブチルセロソルブ100.3部、メタノール分散二酸化チタン一五酸化アンチモン−二酸化ケイ素複合微粒子ゾル1380.9部、メタノール分散コロイド状シリカ(触媒化成工業製:オスカル1132 固形分濃度30重量%)61.42部を混合した後、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン289.9部を混合した。この混合液に0.05N塩酸水溶液80.1部を撹拌しながら滴下し、さらに4時間撹拌後、一昼夜熟成させた。この液に過塩素酸マグネシウム4.4部、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー製:L−7001)0.6部およびヒンダードアミン系光安定剤(三共製:サノールLS−770)2.3部を添加し4時間撹拌後一昼夜熟成させてハードコート組成物を製造した。
このハードコート組成物を、該プライマー層の形成で得られたプライマー層上に浸漬法(引き上げ速度25cm/min)にて塗布した。塗布した該眼鏡用レンズは80℃で30分間加熱硬化処理後、120℃で180分間の加熱硬化処理を行った。このようにしてプライマー層上に膜厚2.2μm、屈折率1.67のハードコート層を形成させた。
なお、得られたレンズを通しての観察では、例えば、晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
【0090】
(実施例12〜20)
下記式表4に示した色素とその重量部を用いた以外は、実施例11と同様にしてレンズ注型に供されるモノマー混合物を調整、更には注型を行い、配合された色素が異なる以外は実施例11と同様にしてプライマー層及びハードコート層を有する眼鏡用レンズを得た。なお、何れの眼鏡用レンズにおいても、得られたレンズを通しての観察では、例えば晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
【0091】

【0092】
(実施例21)
温度計、撹拌機、窒素シール管を備えた500mLセパラブルフラスコに、平均分子量1007の1,6−ヘキサンジオールアジペート(日本ポリウレタン社製:ニッポラン164)200部をセパラブルフラスコに取り、窒素気流中で撹拌しながら加熱し、100〜110℃/3〜5mmHgの減圧下で1時間脱水した。脱水後4,4´−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)170部を添加し120〜130℃で2時間反応させてプレポリマーを製造した。得られたプレポリマーは無色透明の液体であり、NCO含量9.0%,粘度19000mPa・ s/30℃,2000mPa・s/60℃であった。
得られたプレポリマーの100重量部を70℃に加熱してから、合成例4で製造した、表1記載の化合物(1−4)を0.10重量部添加し混合した後、120℃で溶融した4,4´メチレン−ビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)44.6重量部と脱泡混合した。この混合物を100℃で予備加熱したモールドに注入する際、ポリカーボネート製偏光膜(筒中プラスチック工業製:PGC−1301)をサンドイッチして迅速に注型成形し、100℃で24時間加熱硬化し、レンズ厚さ約2.2mmの偏光眼鏡用レンズを製造した。
得られたレンズを通しての観察では、例えば、晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。

【0093】
(実施例22〜30)
下記式表5に示した色素とその重量部を用いた以外は、実施例21と同様にしてレンズ注型に供されるモノマー混合物を調整、更には注型を行い、配合された色素が異なる以外は実施例21と同様にして偏光眼鏡用レンズを得た。
なお、何れの偏光眼鏡用レンズにおいても、得られたレンズを通しての観察では、例えば、晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
【0094】

【0095】
(実施例31)
ポリカーボネート樹脂ペレット(帝人化成製:パンライトL−1250VX)100重量部に対し合成例4で製造した、表1記載の化合物(1−4)を0.05重量部混合し押出機にて押し出した後、120℃で12時間乾燥処理を施し、これを260〜300℃に温度調節された射出成型機で外形80φ、中心厚み2mmの眼鏡用レンズを成形した。
得られたレンズを通しての観察では、例えば、晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
【0096】
(実施例32〜40)
下記式表6に示した色素とその重量部を用いた以外は、実施例31と同様にして眼鏡用レンズを得た。
なお、何れの眼鏡用レンズにおいても、得られたレンズを通しての観察では、例えば晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。

【0097】

【0098】
(実施例41)
ポリアミド樹脂ペレット(エムスケミー・ジャパン製:Grilamid TR90)100重量部に対し合成例4で製造した、表1記載の化合物(1−4)を0.05重量部混合し押出機にて押し出した後、80℃で12時間乾燥処理を施し、これを250〜290℃に温度調節された射出成型機で外形73φ、中心厚み2mmの眼鏡用レンズを成形した。
得られたレンズを通しての観察では、例えば、晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
【0099】
(実施例41〜50)
下記式表7に示した色素とその重量部を用いた以外は、実施例31と同様にして眼鏡用レンズを得た。なお、何れの眼鏡用レンズにおいても、得られたレンズを通しての観察では、例えば、晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
【0100】

【産業上の利用可能性】
【0101】
ポルフィリン化合物を含有して成る眼鏡レンズは、可視光に対する眩しさと関連した不快感やコントラストの不鮮明感、更には視覚疲労などの軽減がもたらされる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなる眼鏡レンズ。

【請求項2】
ポルフィリン化合物が、一般式(1)で表される請求項1記載の眼鏡レンズ。

[式中、X1〜X8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のエテニル基、置換または未置換のエチニル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアリールオキシカルボニル基、置換または未置換のアルキルチオ基、置換または未置換のアリールチオ基、置換または未置換のアラルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシ基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、置換または未置換のアシル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシアルキル基、置換または未置換のアリールオキシアルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシアルキル基、あるいは直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシアルキル基から選ばれる置換基であり、さらに、X1〜X8から選ばれる互いに隣接する基は互いに結合して、置換している炭素原子と共に、置換または未置換の芳香族環を形成していてもよいを表す。ただし、X1〜X8のすべてが水素原子であることはない。R1〜R4はそれぞれ独立に、置換または未置換のアリール基を表し、Mは2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子を表す]

【請求項3】
一般式(1)においてX1〜X8がそれぞれ独立に、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のエテニル基、置換または未置換のエチニル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアリールオキシ基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、さらに、X1〜X8から選ばれる互いに隣接する基が互いに結合して、置換している炭素原子と共に、置換または未置換のベンゼン環、又はナフタレン環で縮環していて、R1〜R4が、置換または未置換のアリール基であり、Mが2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子から選ばれるポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなる請求項1〜2記載の眼鏡レンズ。

【請求項4】
一般式(1)においてX1〜X8がそれぞれ独立に、置換または未置換のエチニル基であり、R1〜R4が、置換または未置換のフェニル基であり、Mが2価の金属原子または酸化金属原子であるポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなる請求項1〜3記載の眼鏡レンズ。

【請求項5】
一般式(1)においてX1〜X8から選ばれる互いに隣接する基が、ナフタレン環の1位と8位で縮環した置換または未置換のナフチレン環であり、R1〜R4が、置換または未置換のフェニル基であり、Mが2価の金属原子または酸化金属原子であるポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなる請求項1〜3記載の眼鏡レンズ。

【請求項6】
更に、下記の一般式(2)で表されるテトラアザポルフィリン化合物を含有することを特徴とする請求項1〜5記載の眼鏡レンズ用。

[式中、Y1〜Y8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアラルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシ基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、置換または未置換のアミノ基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシアルキル基、置換または未置換のアリールオキシアルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシアルキル基、あるいは直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシアルキル基を表し、さらに、Y1〜Y8から選ばれる互いに隣接する基は互いに結合して、置換している炭素原子と共に、置換または未置換の炭素環式脂肪族環を形成していてもよいを表す。ただし、Y1〜Y8のすべてが水素原子であることはない。Mは2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子を表す]


【公開番号】特開2011−237730(P2011−237730A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111202(P2010−111202)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(000179904)山本化成株式会社 (70)
【Fターム(参考)】