説明

着信呼転送管理サーバ、コールバック用端末装置、着信呼転送システム

【課題】着信転送サービスに加入しているユーザが、着信を中継する複数の転送元の端末装置を利用している場合に懸念される、コールバック受信側での混乱を防止した、着信呼転送管理サーバ、コールバック用端末装置、着信呼転送システムを提供する。
【解決手段】着信呼転送システムからの着信要求が、既定の転送元の端末装置を経由して届いたものであるか否かを、着信呼中継状況識別部で、着信要求に含まれる着信呼中継状況識別情報に基づいて判断し、着信呼中継状況識別情報による判断の結果が肯定的である場合には、着信呼中継状況識別情報に基づいて、着信呼の中継に適用された転送元の端末装置を表す転送元端末情報を含むコールバック用情報をディスプレイ部に表示して、何れの転送元からの着信呼であるかを転送先のユーザにおいて認識できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着信呼転送サービスに加入しているユーザの利便性の向上を図った、着信呼転送管理サーバ、コールバック用端末装置、着信呼転送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発信元の端末装置からの着信呼を、転送元の端末装置を経由して、転送先の端末装置に転送する転送電話サービスは、よく知られている。
転送電話サービスでは、同一ユーザが、着信呼の中継に用いる転送元の端末装置を複数保有する場合がある。
上述のように転送元の端末装置を複数保有するユーザは、多くの場合、それら複数の転送元の端末装置への着信呼を、全て、同一の転送先の端末装置に転送させるようにして、多岐の方面の転送元からの情報を一つの端末装置で集約的に受信可能に設定している。
【0003】
一般に、複数の転送元の端末装置からの着信呼を一つの転送先の端末装置で集約的に受信する場合、或る発信元の端末装置からの着信要求が、複数のうちの何れの転送元の端末装置によって中継されてきたかは不明である。
このため、転送先の端末装置のユーザが、着信履歴を見て、不用意にコールバックしてしまう(折り返し電話をかけ直す)と、種々混乱を招くおそれがあった。
【0004】
例えば、転送先の端末装置のユーザが、外部に対しては特定の転送元の端末装置のみを公表し、転送先の端末装置については秘匿しておきたいといった場合である。このような場合に、上述のように不用意にコールバックしてしまうことによって、転送先の端末装置の存在が、コールバックを受信したユーザに知られてしまうといった事態が発生してしまう。
【0005】
或いはまた、上記発信元の端末装置のユーザ側からすれば、上述のようなコールバックは、想定外の端末装置(番号)からの着信である。このため、コールバックを受けた上記発信元の端末装置のユーザは、この着信を不審者からのものであると見做して、通話に応じないということも起こり得る。
尚、コールバックに関するユーザ間での意思疎通を支援するために、コールバック要請の実行条件を設定しておき、この実行条件が充足される場合に、転送先の端末装置の着信履歴画面に発信元の端末装置へのコールバックを要請する旨のメッセージを表示させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、或る発信元からの着信要求が、着信を中継する複数の転送元の端末装置のうち何れの端末装置によって中継されたかが不明であることに起因して、コールバック時に上述のような混乱を生じるおそれがあるといった点には、別段の着眼が示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−160241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述のような状況に鑑みてなされたものであり、着信転送サービスに加入しているユーザが、着信を中継する複数の転送元の端末装置を利用している場合に懸念される、コールバック受信側での混乱を防止できる、着信呼転送管理サーバ、コールバック用端末装置、着信呼転送システムを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、ここに、次のような技術を提案する。
(1)発信元の端末装置から転送元の端末装置への着信呼を、コールバック機能を有する転送先の端末装置に転送する、着信呼転送システムに適用される着信呼転送管理サーバであって、
着信呼転送サービス加入契約による転送元の端末装置と転送先の端末装置との対応関係を表す着信呼転送形態設定データを保持する着信呼転送形態設定データ保持部と、
転送先に関する情報の要求に応答して、前記着信呼転送形態設定データ保持部に保持された前記着信呼転送形態設定データのうち該当する着信呼転送形態設定データを抽出し、該抽出された着信呼転送形態設定データに基づいて着信呼の中継形態を規定する中継形態規定情報を形成する中継形態規定情報形成部と、
前記中継形態規定情報形成部によって形成された中継形態規定情報を、前記転送先に関する情報の要求への応答である転送先情報応答に含ませる転送先情報応答部と、
を備えていることを特徴とする着信呼転送管理サーバ。
【0010】
上記(1)の着信呼転送管理サーバによれば、その転送先情報応答部からの転送先情報応答には、着信呼の転送元となった転送元の端末装置を特定する中継形態規定情報が含まれている。このため、転送先の端末装置のユーザは、コールバックを行うに際して、着信呼を中継した端末装置(転送元の端末装置)が何であるかを上記中継形態規定情報に基づいて認識することができる。従って、適切なコールバックが行われ、コールバック受信側での混乱を防止できる。
【0011】
(2)前記転送先の端末装置からのコールバックに際して、該コールバックの発信元を表すコールバック発信元情報として、前記転送先の端末装置を表す情報に替えて、前記着信呼転送形態設定データ保持部に保持された着信呼転送形態設定データによる転送元の端末装置を表す情報を適用するように、コールバック発信元情報を変換するコールバック発信元情報変換部を更に備えていることを特徴とする(1)の着信呼転送管理サーバ。
【0012】
上記(2)では、(1)の着信呼転送管理サーバにおいて特に、コールバックの発信元を表すコールバック発信元情報として、前記転送先の端末装置を表す情報に替えて、着信呼を中継した転送元の端末装置を表す情報を適用する。このため、コールバック受信側では予定の相手からの応答であると自然に認識されるため、混乱を生じることがない。
【0013】
(3)前記転送先情報応答部は、着信呼転送形態設定データ保持部に保持された前記着信呼転送形態設定データが、転送元の端末装置を表す情報に替えてダミー端末情報を適用することを規定するデータであるときには、前記中継形態規定情報形成部は、前記中継形態規定情報として、転送元の端末装置を表す情報に替えてダミー端末情報を適用することを規定する中継形態規定情報を形成することを特徴とする(1)の着信呼転送管理サーバ。
【0014】
上記(3)の着信呼転送管理サーバでは、(1)の着信呼転送管理サーバにおいて特に、転送元の端末装置としてダミー端末情報が用いたれているため、ユーザのコールバック用端末装置が他者の手に渡ったような場合でも、秘匿しておきたい中継形態規定情報が漏洩する不都合を防止できる。
【0015】
(4)発信元の端末装置から転送元の端末装置への着信呼を、転送先の端末装置に転送する、着信呼転送システムに適用されるコールバック用端末装置であって、
前記着信呼転送システムからの着信要求が既定の転送元の端末装置を経由して届いたものであるときには、前記着信要求に含まれる着信呼中継状況識別情報に基づいて、着信呼の中継に適用された転送元の端末装置を表す転送元端末情報を取得する着信呼中継状況識別部と、
前記着信呼中継状況識別部から前記取得された転送元端末情報を受け、該受けた転送元端末情報による転送元の端末装置の表示を含む形態でコールバック用情報の表示を行うディスプレイ部と、
を備えていることを特徴とするコールバック用端末装置。
【0016】
上記(4)のコールバック用端末装置では、転送先の端末装置のユーザは、コールバックを行うに際して、着信呼を中継した端末装置(転送元の端末装置)が何であるかを、ディスプレイ部におけるコールバック用情報の表示に基づいて認識することができる。従って、適切なコールバックが行われ、コールバック受信側での混乱を防止できる。
【0017】
(5)前記着信呼中継状況識別情報に、前記転送元端末情報に替えて適用するダミー端末情報が含まれているときには、前記ディスプレイ部は、前記転送元端末情報に替えて前記ダミー端末情報を表示することを特徴とする(4)のコールバック用端末装置。
上記(5)のコールバック用端末装置では、(4)のコールバック用端末装置において特に、ディスプレイ部は、転送元の端末装置としてダミー端末情報を表示するため、このコールバック用端末装置が他者の手に渡ったような場合でも、秘匿しておきたい転送元端末情報が漏洩する不都合を防止できる。
【0018】
(6)発信元の端末装置から転送元の端末装置への着信呼を、着信呼転送管理サーバによる管理下で、コールバック機能を有する転送先の端末装置に転送する、着信呼転送システムであって、
前記着信呼転送管理サーバは、
着信呼転送サービス加入契約による転送元の端末装置と転送先の端末装置との対応関係を表す着信呼転送形態設定データを保持する着信呼転送形態設定データ保持部と、
転送先に関する情報の要求に応答して、前記着信呼転送形態設定データ保持部に保持された前記着信呼転送形態設定データのうち該当する着信呼転送形態設定データを抽出し、該抽出された着信呼転送形態設定データに基づいて着信呼の中継形態を規定する中継形態規定情報を形成する中継形態規定情報形成部と、
前記中継形態規定情報形成部によって形成された中継形態規定情報を、前記転送先に関する情報の要求への応答である転送先情報応答に含ませる転送先情報応答部と、
を備えていることを特徴とする着信呼転送システム。
【0019】
上記(6)の着信呼転送システムでは、その着信呼転送管理サーバから発する転送先情報応答には、着信呼の転送元となった転送元の端末装置を特定する中継形態規定情報が含まれている。このため、転送先の端末装置のユーザは、コールバックを行うに際して、着信呼を中継した端末装置(転送元の端末装置)が何であるかを上記中継形態規定情報に基づいて認識することができる。従って、適切なコールバックが行われ、コールバック受信側での混乱を防止できる。
【発明の効果】
【0020】
着信転送サービスに加入しているユーザが、着信を中継する複数の転送元の端末装置を利用している場合に懸念される、コールバック受信側での混乱を防止できる、着信呼転送管理サーバ、コールバック用端末装置、着信呼転送システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本願発明のコールバック用端末装置の機能の概略を説明するための図である。
【図2】本願発明の一つの実施の形態としてのコールバック用端末装置および着信呼転送管理サーバを含む着信呼転送システムの構成および動作を、発信元から転送先までについて表すシーケンスチャートである。
【図3】図2の着信呼転送システムにおける着信呼転送管理サーバが保有する着信呼転送形態設定データを表す概念図である。
【図4】図2の着信呼転送システムにおいてコールバック用端末装置が応答処理を起動したときのディスプレイ部における表示例を表す図である。
【図5】図2の着信呼転送システムにおける、転送先から発信元へコールバックする場合の動作を表すシーケンスチャートである。
【図6】本発明の一つの実施の形態としての着信呼転送管理サーバを表す図である。
【図7】本発明の一つの実施の形態としてのコールバック用端末装置を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について詳述することにより、本発明を明らかにする。
(本願発明の着信呼転送システムの機能の概略)
図1は、本願発明の一つの実施の形態としてのコールバック用端末装置の機能の概略を説明するための図である。
図1(a)は、本願発明の一つの実施の形態としてのコールバック用端末装置に、「Y」という番号が附された転送元の端末装置から、着信呼が転送され、受信されたときの、該コールバック用端末装置における表示例を表している。この表示は該コールバック用端末装置のディスプレイにおけるものであり、この点は、以下、図1(b)〜図1(d)について同様である。
図示の通り、転送元として機能し得る複数の端末装置のうちの何れの転送元からの転送呼であるかが表示され、かつ、発信元の端末装置のユーザは“M”氏であることが表示される。
【0023】
図1(b)は、図1(a)のコールバック用端末装置からコールバックを行うときの、着信履歴の表示例を表している。
図示の通り、“L”氏、“M”氏、“N”氏からの着信履歴が、これら各氏の電話番号を伴って表示される。また、これらの着信履歴に対応して、各着信が、何れの転送元からの転送呼であるかが表示される。
図示の例では、“L”氏からの着信は、転送を経ず直接に受信され、“M”氏からの着信は、「Y」という番号が附された転送元の端末装置から受信され、“N”氏からの着信は、「W」という番号が附された転送元の端末装置から受信されたことが表示されている。
【0024】
本例では、このように、現実の転送元の端末装置を表す番号がそれぞれ表示される。
しかしながら、或る視点では、このように、現実の転送元の端末装置を表す番号が表示され、また、この表示の元となるデータが保存されることが望ましくない場合もある。例えば、コールバック用端末装置のユーザが、現実の転送元の端末装置を表す番号は部外者に対しては秘匿しておきたいような場合である。このような場合に、仮に、ユーザがコールバック用端末装置を紛失したり盗難に遭うなどして、そのコールバック用端末装置が他者に渡ったような場合、秘匿しておきたい情報が漏洩してしまう。本発明の一つの実施の形態では、このような懸念に対しても配慮しているが、この点については、後に図面を参照して詳述する。
【0025】
図1(c)は、図1(a)のコールバック用端末装置からコールバックを行うときの、コールバックのガイド表示の一例を表している。
図示の例では、図1(a)のコールバック用端末装置自体(ここでは「X」とする)からの発信ではなく、「Y」という番号が附された転送元の端末装置からの発信であるとして、着信側(即ち、発信元である“M”氏)に通知するか否かの選択を促す表示となっている。
【0026】
この選択を促す表示において、「はい」を選択すると、「Y」という番号が附された転送元の端末装置からの発信であるとして、着信側(従って、発信元)の“M”氏への通知が行われる。
この場合は、発信元である“M”氏側からすれば、元々電話をかけた相手方からのコールバックであるため、想定外の者からの電話であるといった不信感を持ったり、そのコールバックに応じないといった混乱を招くおそれがない。
【0027】
一方、「いいえ」を選択すると、通常のコールバックの如く、コールバック用端末装置「X」からの発信であるとしてコールバックが実行される。
図1(d)は、図1(c)のガイド表示で「はい」を選択した場合の、コールバック起動中の、動作表示の一例を表している。
図示の例では、「Y」という番号が附された転送元の端末装置からの発信であるとしてコールバック中である旨と、着信側(従って、発信元)は“M”氏である旨が表示されている。
【0028】
(着信呼転送システムの構成および動作)
図2は、本願発明の一つの実施の形態としてのコールバック用端末装置を含む着信呼転送システムの構成および動作を、発信元から転送先までについて表すシーケンスチャートである。
図2の実施の形態における着信呼転送システムは、発信元ネットワーク11、転送元ネットワーク12、および、転送先ネットワーク13の各ネットワーク中の、下記の各要素を含んで構成されている。
発信元ネットワーク11は、発信元の端末装置(図中UEと表記)110と、呼処理サーバ120とを含んでいる。
【0029】
また、転送元ネットワーク12は、本発明の実施の形態である着信呼転送管理サーバとしての顧客管理サーバ130、呼処理サーバ140、音源サーバ150、および、転送元UE160(No.Y)を含んでいる。
さらに、転送先ネットワーク13は、顧客管理サーバ170、呼処理サーバ180、および、コールバック用端末装置としての転送先のUE(No.X)190を含んでいる。
【0030】
(一例における着信転送システムの各要素の機能および動作)
次に、図2のシーケンスチャートを参照して、着信転送システムの各要素の機能および動作について説明する。
図2の例における着信転送システムでは、転送元のUE160(No.Y)および転送先のUE(No.X)190は、着信転送サービスに加入している同一のユーザが所有する端末装置である。
ここでは、ユーザは、着信呼を中継する転送元UEとして、上述のUE160(No.Y)の他に、このシーケンスチャート上には表記のない、他のUE(No.W)をも利用する加入契約を結んでいるものとする。
【0031】
そして、No.YのUEに着信した着信呼も、No.WのUEに着信した着信呼も、何れも、転送先のUE(No.X)190に転送されるように設定してあるものとする。
尚、上述において、転送元UE160および転送先のUE(No.X)190は、現実の使用時において、同一ユーザが用いることが必須とされるわけではない。即ち、転送元UE160のユーザであり、かつ、転送元UE160への着信呼の転送サービスに加入しているユーザに替えて、他の関連するユーザが転送先のUE(No.X)190の事実上のユーザであるという状況は許容される。
【0032】
今、他のユーザが発信元のUE(No.Z)110から転送元UE160(No.Y)に電話をかけた場合を想定する。
上述の想定においては、先ず、発信元のUE(No.Z)110から呼処理サーバ120に通話接続要求が送信される(ステップS201)。
ステップS201での通話接続要求を受けて、呼処理サーバ120は、着信呼転送管理サーバとしての顧客管理サーバ130に着信先情報の問い合わせを行う(ステップS202)。
【0033】
ステップS202での問い合わせを受けて、顧客管理サーバ130は、呼処理サーバ120に着信先情報を返答する(ステップS203)。
ステップS203での着信先情報を受けて、呼処理サーバ120は、転送元ネットワーク12に設けられた本発明の実施の形態としての呼処理サーバ140に通話接続要求を送信する(ステップS204)。
【0034】
ステップS204での通話接続要求を受けて、呼処理サーバ140は、転送元UE160(No.Y)に通話接続要求を送信する(ステップS205)。
呼処理サーバ140は、また、ステップS204での通話接続要求を受けて、音源サーバ150にRBT(リングバックトーン)の送出指示を送る(ステップS206)。
ステップS206でのRBT送出指示を受けて、音源サーバ150は、発信元のUE110にRBTを供給する(ステップS207)。
【0035】
ここで、先のステップS205での通話接続要求を受けた転送元UE160(No.Y)においては、ユーザによる応答操作が無い状況にあるか、或いは、圏外にあって応答できない状況にあるものと想定する。このような状況にあるとき、転送元UE160(No.Y)は、自装置が無応答の状況にあることを認識している。
【0036】
転送元UE160(No.Y)が上述のように無応答の状況にあるとき、呼処理サーバ140は、転送元UE160(No.Y)での無応答の継続時間を計時し、既定の時間を経過しても無応答の状態が継続している場合に、タイムアウトの状態に到ったことを検知する(ステップS208)。上述のようにタイムアウトの状態に到ったということは、転送元UE160(No.Y)への着信呼(ステップS205における通話接続要求)を既定の転送先に転送する契機が到来したことを意味する。
【0037】
呼処理サーバ140は、ステップS208でのタイムアウトの検知に次いで、転送元UE160(No.Y)が着信呼転送サービスの正規の加入者であるか否かを判定する(ステップS209)。ここでは、転送元UE160(No.Y)は正規の加入者であり、呼処理サーバ140はその旨を認識するものとする。
ステップS209で、転送元UE160(No.Y)が正規の加入者であると認識した呼処理サーバ140は、次いで、転送先情報要求を顧客管理サーバ130に送信する(ステップS210)。
【0038】
ステップS210での転送先情報要求を受けて、顧客管理サーバ130は、着信呼転送サービスの加入契約データ中の着信呼転送形態設定データから、転送元UE160(No.Y)に係る転送先情報を検索し、この転送先情報を導出する(ステップS211)。
ステップS211で転送元UE160(No.Y)に係る転送先情報を導出すると、顧客管理サーバ130は、回線契約データベースを参照して、着信呼転送サービスに係る契約内容を認識する(ステップS212)。
【0039】
(着信呼転送形態設定データの一例)
図3は、顧客管理サーバ130が保有する着信呼転送形態設定データの一例を表す概念図である。
図3において「契約No.」の欄にそれぞれ表記された大文字表記の番号“X”“Y”“W”は、着信呼転送サービスに加入している同一ユーザが用いる各UEの番号である。
図3を参照して理解されるとおり、大文字表記の番号 “Y”“W”の各UEへの着信呼は、全て、 図2を参照して既述の、転送先のUE(No.X)190に転送されるように設定されている。即ち、この契約の場合、UE(No.X)190のユーザは、着信呼の中継に用いる全ての転送元のUEからの着信呼を、一つのUE(No.X)190に集約して受信するように設定している。
【0040】
ところで、ユーザがUE(No.X)190を紛失し、他者が、このUE(No.X)190を、自らの手中に置いてしまった場合を想定すると、このユーザにとって極めて不本意な情報漏えいが生じることが懸念される。具体的には、このユーザが自らの複数の各UE“Y”“W”への着信呼を一つのUE(No.X)190に集約して受信するように設定しつつも、これら各UE“Y”“W”のうちの少なくとも何れかのものについては、その存在を秘匿しておくことを望んでいた場合等の例である。このような場合、紛失したUE(No.X)190を手中にした者によってこのUE(No.X)190の着信履歴を見られてしまうと、中継用UE“Y”“W”の存在や、それらを経由しての着信呼の転送に係る設定をその者に知られてしまう懸念がある。
【0041】
本実施の形態では、上述のような情報漏えいの懸念を払拭するために、着信呼を中継する転送元の端末装置を表す実際の正規の登録番号に替えて、ダミー番号を用いるようにしている。
図3の例では、大文字表記の正規の各契約番号“X”“Y”“W”に替えて、それらに各対応する小文字表記のダミー番号“x”“y”“w”が適用される。そして、この例の場合には、UE(No.X)190には、中継用UEの実番号“Y”“W”は着信履歴にも残らず、これらの実番号“Y”“W”にかえてダミー番号“y”“w”が表示され、また着信履歴にもダミー番号“y”“w”が残る。
【0042】
従って、この実施の形態では、中継用UE“Y”“W”の存在や、それらを経由しての着信呼の転送に係る設定を他者に知られてしまう懸念が払拭される。
ステップS212で、顧客管理サーバ130が保有する着信呼転送形態設定データを参照して取得されるデータは、上述の図3に表されたものである。
次いで、顧客管理サーバ130は、転送先情報応答に転送フラグを附加する(ステップS213)。
【0043】
この転送フラグには、発信元のUE(No.Z)110から転送先のUE(No.X)190へ、図3にて既述のダミー番号“y”が対応付けられたUE経由で着信呼を転送するという内容の情報が込められている。
ステップS213で、附加された上述のような転送フラグを伴って、転送先情報応答が呼処理サーバ140に送信される(ステップS214)。
【0044】
ステップS214での転送先情報応答を受けて、呼処理サーバ140は、この転送先情報応答に対応する着信先情報問い合せを転送先ネットワーク13の顧客管理サーバ170に送る(ステップS215)。
ステップS215での着信先情報問い合せを受けて、顧客管理サーバ170は、呼処理サーバ140に、着信先情報応答を返す(ステップS216)。
【0045】
ステップS216での着信先情報応答を受けて、呼処理サーバ140は、既述の転送フラグを伴った通話接続要求を転送先ネットワーク13の呼処理サーバ180を通して(ステップS217)、転送先のUE(No.X)190へ送信する(ステップS218)。
ステップS218での通話接続要求を受けて、転送先のUE(No.X)190は、転送フラグの情報に基づいて、コールバックを行うための応答処理を起動する(ステップS219)。
【0046】
(ディスプレイ部における表示例)
図4は、ステップS219での応答処理を起動したときの転送先のUE(No.X)190のディスプレイ部における表示例を表す図である。
図示の通り、“L”氏、“M”氏、“N”氏からの着信履歴が、これら各氏の電話番号を伴って表示される。また、これらの着信履歴に対応して、各着信が、何れの転送元からの転送呼であるかが表示される。
図示の例では、“L”氏からの着信は、転送を経ず直接に着信したことが表示されている。そして、この実施の形態では特に、転送元のUEについては、図3を参照して既述のようなダミー番号で表示される。
【0047】
図示の例では、“M”氏からの着信は、「y」というダミー番号が附された転送元のUEはから受信され、“N”氏からの着信は、「w」というダミー番号が附された転送元のUEから受信されたことが表示されるのみである。
そして、それら転送元のUEの実番号は表示されないだけでなく、転送先のUE(No.X)190の内部に記憶されることもない。従って、仮に、転送先のUE(No.X)190が他者の手に渡るようなことが生じても、転送元のUEに関する情報は、秘匿された状態が維持される。
【0048】
ステップS219に次いで、転送先のUE(No.X)190は、通話接続応答を、転送先ネットワーク13の呼処理サーバ180を通して(ステップS220)、転送元ネットワーク12の呼処理サーバ140へ送信する(ステップS221)。
ステップS221以降は、この種の通話システムにおける一般的な着信処理の如く動作する(ステップS222)。
【0049】
(転送先から発信元へのコールバック)
図5は、図2の着信呼転送システムの動作を、転送先から発信元へのコールバックする場合について表すシーケンスチャートである。
転送先のUE(No.X)190は、ユーザからのコールバック操作を受け付ける(ステップS501)。
ステップS501でユーザからのコールバック操作を受け付けると、転送先のUE(No.X)190は、転送先ネットワーク13の呼処理サーバ180に着信要求を送信する(ステップS502)。
【0050】
ステップS502での着信要求には、転送先のUE(No.X)190から発信元のUE(No.Z)への着信であることを表す情報、および、ダミー番号(No.y)が対応付けられたUEを介しての着信であることを表す情報が含まれている。
ステップS502での着信要求を受けて、呼処理サーバ180は、転送元ネットワーク12の着信呼転送管理サーバとしての顧客管理サーバ130へ着信先在圏情報を問い合せる(ステップS503)。
【0051】
ステップS503での着信先在圏情報の問い合せには、転送先のUE(No.X)190から発信元のUE(No.Z)への着信であることを表す情報、および、ダミー番号(No.y)が対応付けられたUEを介しての着信であることを表す情報が含まれている。
ステップS503での着信先在圏情報の問い合せを受けて、顧客管理サーバ130は、転送先のUE(No.X)190が着信呼転送サービスに加入しているか否かを判定する(ステップS504)。
ここでは、転送先のUE(No.X)190が着信呼転送サービスに加入している場合を想定している。
【0052】
ステップS504に次いで、顧客管理サーバ130は、回線契約データベースを参照する(ステップS505)。
ステップS505で参照するデータベースにおけるデータは、図3を参照して既述のデータである。従って、顧客管理サーバ130は、図3のデータを参照することによって、コールバックの発信元(転送先のUE(No.X)190)と、転送元(No.Y)とが、対応付けられていることを認識する。そして、この認識に従って、コールバックの発信元の番号を、コールバックの当初には転送先のUEの番号(No.X)であったものを、転送元UEの番号である(No.Y)に変換する(ステップS506)。
【0053】
ステップS506での、コールバックの発信元の番号の変換の後に、顧客管理サーバ130は、転送先ネットワーク13の呼処理サーバ180に着信先在圏情報の返答を行う(ステップS507)。
ステップS507で、着信先在圏情報の返答を受けた呼処理サーバ180は、発信元ネットワークの呼処理サーバ120を介して(ステップS508)、発信元のUE(No.Z)110に着信要求を送信する(ステップS509)。
ステップS509以降は、この種の通話システムにおける一般的な着信処理の如く動作する(ステップS510)。
【0054】
(着信呼転送管理サーバの構成)
図6は、本発明の一つの実施の形態としての着信呼転送管理サーバを表す図である。
図6の着信呼転送管理サーバ600は、図2および図5の顧客管理サーバ130に該当する装置である。
この着信呼転送管理サーバ600は、回線契約データ保持部610、中継形態規定情報形成部620、および、転送先情報応答部630を含んで構成されている。そして、本実施の形態の着信呼転送管理サーバ600では、回線契約データ保持部610は、着信呼転送形態設定データ保持部640を含んでいる。また、コールバック発信元情報変換部650が備えられている。
【0055】
回線契約データ保持部610は、ユーザの加入契約に関する種々のデータを保持している。そして、中継形態規定情報形成部620は、着信呼転送サービス加入契約による転送元の端末装置と転送先の端末装置との対応関係を表す着信呼転送形態設定データを保持している。
この着信呼転送形態設定データは、図2のシーケンスチャートにおけるステップS211の処理において、転送先のデータを検索する際の基礎となるデータであり、既述の図3に表記のものである。
【0056】
また、回線契約データ保持部610が保持している回線契約データは、図2のシーケンスチャートにおけるステップS212の処理において、着信呼転送サービスに係る契約を含む電話加入者としての契約内容を認識するための基礎となるデータである。
中継形態規定情報形成部620は、図2のシーケンスチャートにおけるステップS210の転送先に関する情報の要求に応答して、着信呼転送形態設定データ保持部640に保持された着信呼転送形態設定データのうち該当する着信呼転送形態設定データを抽出する。そして、該抽出した着信呼転送形態設定データに基づいて着信呼の中継形態を規定する中継形態規定情報を形成する。
【0057】
この中継形態規定情報は、図2のシーケンスチャートを参照して既述の転送フラグ情報がこれに該当する。即ち、発信元、転送先、および、転送元を表す各情報がこれに含まれる。
転送先情報応答部630は、中継形態規定情報形成部620によって形成された中継形態規定情報を、図2のシーケンスチャートにおけるステップS214の転送先情報応答としての情報に含ませる。尚、図2を参照して既述のように、転送先情報応答とは、転送先に関する情報の要求(ステップS210)への応答である。
【0058】
コールバック発信元情報変換部650は、図5のシーケンスチャートを参照して既述の、コールバック発信元情報の変換処理(ステップS506)を行う。この処理は、ステップS506の例では、コールバックの発信元の番号を、コールバックの当初には転送先のUEの番号(No.X)であったものを、転送元UEの番号である(No.Y)に変換する処理である。
【0059】
この処理を、より一般的に言えば、転送先の端末装置からのコールバックに際して、該コールバックの発信元を表すコールバック発信元情報として、上記転送先の端末装置を表す情報に替えて、着信呼転送形態設定データ保持部640に保持された着信呼転送形態設定データによる転送元の端末装置を表す情報を適用するように、コールバック発信元情報を変換する処理である。
【0060】
(コールバック用端末装置の構成)
図7は、本発明の一つの実施の形態としてのコールバック用端末装置を表す図である。
図7のコールバック用端末装置700は、図2および図5の転送先のUE(No.X)190に該当する端末装置である。
このコールバック用端末装置700は、経由端末装置番号情報管理部710と発信元端末装置番号情報管理部720とを有するアプリケーションプロセッサ部730、操作部740、ディスプレイ部750、および、モデム部760を含んで構成されている。
【0061】
経由端末装置番号情報管理部710は、図2の呼処理サーバ180からモデム部760を通して到来する通話接続要求(ステップS218)に応じて、その通話接続要求、即ち、着信要求が既定の転送元の端末装置を経由して届いたものであるか否かを、この着信要求に含まれる着信呼中継状況識別情報に基づいて判断する。経由端末装置番号情報管理部710は、更に、着信要求に含まれる着信呼中継状況識別情報に基づいて、着信呼の中継に適用された転送元の端末装置を表す転送元端末情報を取得する。上述のように機能する経由端末装置番号情報管理部710は、着信呼中継状況識別部を成している。
【0062】
発信元端末装置番号情報管理部720は、上述の通話接続要求(ステップS218)に含まれている発信元の端末装置番号情報を取得して管理する。
操作部740は、ユーザからのコールバックの操作、その他、端末装置を使うに際しての種々の操作を受け付ける。
ディスプレイ部750は、着信呼中継状況識別部から前記取得された転送元端末情報を受け、該受けた転送元端末情報による転送元の端末装置の表示を含む形態でコールバック用情報の表示を行う。
【0063】
モデム部760は、例えば、3GまたはLTEに適合するものである。
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
【符号の説明】
【0064】
11……………………………発信元ネットワーク
12……………………………転送元ネットワーク
13……………………………転送先ネットワーク
110…………………………発信元端末装置
120…………………………呼処理サーバ
130…………………………顧客管理サーバ
140…………………………呼処理サーバ
150…………………………音源サーバ
160…………………………転送元サーバ
170…………………………顧客管理サーバ
180…………………………呼処理サーバ
190…………………………転送先サーバ
600…………………………着信呼転送管理サーバ
610…………………………回線契約データ保持部
620…………………………中継形態規定情報形成部
630…………………………転送先情報応答部
640…………………………着信呼転送形態設定データ保持部
650…………………………コールバック発信元情報変換部
700…………………………コールバック用端末装置
710…………………………着信呼中継状況識別部
720…………………………発信元端末装置番号情報管理部
730…………………………アプリケーションプロセッサ部
740…………………………操作部
750…………………………ディスプレイ部
760…………………………モデム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信元の端末装置から転送元の端末装置への着信呼を、コールバック機能を有する転送先の端末装置に転送する、着信呼転送システムに適用される着信呼転送管理サーバであって、
着信呼転送サービス加入契約による転送元の端末装置と転送先の端末装置との対応関係を表す着信呼転送形態設定データを保持する着信呼転送形態設定データ保持部と、
転送先に関する情報の要求に応答して、前記着信呼転送形態設定データ保持部に保持された前記着信呼転送形態設定データのうち該当する着信呼転送形態設定データを抽出し、該抽出された着信呼転送形態設定データに基づいて着信呼の中継形態を規定する中継形態規定情報を形成する中継形態規定情報形成部と、
前記中継形態規定情報形成部によって形成された中継形態規定情報を、前記転送先に関する情報の要求への応答である転送先情報応答に含ませる転送先情報応答部と、
を備えていることを特徴とする着信呼転送管理サーバ。
【請求項2】
前記転送先の端末装置からのコールバックに際して、該コールバックの発信元を表すコールバック発信元情報として、前記転送先の端末装置を表す情報に替えて、前記着信呼転送形態設定データ保持部に保持された着信呼転送形態設定データによる転送元の端末装置を表す情報を適用するように、コールバック発信元情報を変換するコールバック発信元情報変換部を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の着信呼転送管理サーバ。
【請求項3】
前記転送先情報応答部は、着信呼転送形態設定データ保持部に保持された前記着信呼転送形態設定データが、転送元の端末装置を表す情報に替えてダミー端末情報を適用することを規定するデータであるときには、前記中継形態規定情報形成部は、前記中継形態規定情報として、転送元の端末装置を表す情報に替えてダミー端末情報を適用することを規定する中継形態規定情報を形成することを特徴とする請求項1に記載の着信呼転送管理サーバ。
【請求項4】
発信元の端末装置から転送元の端末装置への着信呼を、転送先の端末装置に転送する、着信呼転送システムに適用されるコールバック用端末装置であって、
前記着信呼転送システムからの着信要求が既定の転送元の端末装置を経由して届いたものであるときには、前記着信要求に含まれる着信呼中継状況識別情報に基づいて、着信呼の中継に適用された転送元の端末装置を表す転送元端末情報を取得する着信呼中継状況識別部と、
前記着信呼中継状況識別部から前記取得された転送元端末情報を受け、該受けた転送元端末情報による転送元の端末装置の表示を含む形態でコールバック用情報の表示を行うディスプレイ部と、
を備えていることを特徴とするコールバック用端末装置。
【請求項5】
前記着信呼中継状況識別情報に、前記転送元端末情報に替えて適用するダミー端末情報が含まれているときには、前記ディスプレイ部は、前記転送元端末情報に替えて前記ダミー端末情報を表示することを特徴とする請求項4に記載のコールバック用端末装置。
【請求項6】
発信元の端末装置から転送元の端末装置への着信呼を、着信呼転送管理サーバによる管理下で、コールバック機能を有する転送先の端末装置に転送する、着信呼転送システムであって、
前記着信呼転送管理サーバは、
着信呼転送サービス加入契約による転送元の端末装置と転送先の端末装置との対応関係を表す着信呼転送形態設定データを保持する着信呼転送形態設定データ保持部と、
転送先に関する情報の要求に応答して、前記着信呼転送形態設定データ保持部に保持された前記着信呼転送形態設定データのうち該当する着信呼転送形態設定データを抽出し、該抽出された着信呼転送形態設定データに基づいて着信呼の中継形態を規定する中継形態規定情報を形成する中継形態規定情報形成部と、
前記中継形態規定情報形成部によって形成された中継形態規定情報を、前記転送先に関する情報の要求への応答である転送先情報応答に含ませる転送先情報応答部と、
を備えていることを特徴とする着信呼転送システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−59000(P2013−59000A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197586(P2011−197586)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】