説明

着信応答機会が平等な構内無線電話システム

【課題】構内無線電話システムにおいて、着信時の構内PHS端末毎の応答機会を平等とすることができる技術を提供する。
【解決手段】構内PHS端末10は、無線基地局20をサーチし、無線基地局20の同期信号のRSSI値と帰属情報を無線基地局候補テーブルに記憶して、その無線基地局候補テーブルから帰属する無線基地局20を選択し、無線基地局20へ帰属する。無線基地局20は、帰属された構内PHS端末10の帰属台数を管理する帰属台数テーブルを有し、構内PHS端末10から待受通知を受けた際に帰属台数テーブルで帰属台数が3台を超えなければ、帰属を許可、3台超えるならば、拒否する。無線基地局20の各々は、PBX30から着信を受けた場合に、帰属された構内PHS端末10へのみ着信通知を送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着信の到来に対して応答可能なPHS(Personal Handy−phone System)等の無線電話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業向けの無線電話システムとして、構内PHS端末を構内無線電話端末として適用する構内PHSシステムがよく知られている。
【0003】
構内PHSシステムの場合、構内PHS端末と無線基地局とPBX(Private Branch eXchange:構内電話交換機)とから構成され、PBXは、無線基地局を収容し、無線基地局の通話チャネルに応じて回線を割り当てる。通常1台の無線基地局の通話チャネルは3チャネルである。1台の無線基地局に多数の構内PHS端末が帰属していて、着信呼が3つ以上同時に発生した場合、先に応答可能とした3台の構内PHS端末のみが応答可能となる。ここで、無線基地局から各構内PHS端末への着信通知は、PBXから指示された内線番号を基にして内線番号の若番順に着信処理するので、内線番号の若番の構内PHS端末程、先に応答できる可能性が高く、着信応答チャンスが不平等となる欠点がある。
【0004】
また、4台目以降の着信先構内PHS端末が当該着信に応答するには、付近にある別の無線基地局に再帰属(ハンドオーバ)する必要があり、その場合、応答可能となるまで時間が掛かり、相手が切断してしまう可能性がある。
【0005】
これを解決する技術として、帰属要求(位置登録要求信号)を受けた無線基地局が予め設定された帰属台数の範囲内かどうかを確認し、範囲内であれば帰属を許可し(位置登録成功信号を送信)、範囲外であれば帰属を拒否し(位置登録拒否信号を送信)、1台の無線基地局に対する帰属台数を制限する技術がある(例えば、特許文献1)。
【0006】
また、構内PHSシステムの場合、無線基地局毎で帰属している構内PHS端末を管理していないため、すべての無線基地局から着信対象の構内PHS端末へ着信通知を送出するため、帰属していない構内PHS端末へも若番順に着信通知を送出し、呼び出したい構内PHS端末への着信通知が遅れる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−231884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された技術は、構内PHS端末は、無線特性を示すRSSI(Received Signal Strength Indicator:受信電界強度)値を元に、近くにある無線基地局を探索し、見つかった無線基地局の候補の中から最も大きいRSSI値を持つ無線基地局に対し、一度帰属した後に位置登録要求信号を送信して帰属台数制限により帰属を許可された無線基地局へ帰属を継続する。このため、帰属台数制限により帰属を拒否された構内PHS端末は、無線基地局の候補の中から次に大きいRSSI値を持つ無線基地局に対し、一度帰属した後に位置登録要求信号を送信する。しかしながら帰属を許可する無線基地局がない場合、その場を移動しない限り、再び近くにある同じ無線基地局に帰属要求(位置登録要求信号送信)するので、通信可能範囲内に存在する他の無線基地局にも帰属できないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、1台の無線基地局に帰属する構内PHS端末を制限すると共に、前記制限により帰属を拒否された構内PHS端末が、通信可能範囲内に存在する他の無線基地局に帰属できるようにして、各無線基地局に帰属する構内PHS端末の台数を均一化する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明は、複数の無線端末と、前記無線端末を収容し通信網と繋がる複数の無線基地局から構成される構内無線電話システムにおいて、前記無線端末は、自無線端末と通信可能な範囲に存在する複数の無線基地局を探索する無線基地局探索手段と、前記無線基地局探索手段が探索した複数の無線基地局のいずれかに当該無線基地局に帰属することを要求する帰属要求手段を有し、前記複数の無線基地局の各々は、自無線基地局に帰属している無線端末の台数を管理する台数管理手段を有し、前記無線端末のいずれかから帰属要求を受けた場合に前記台数管理手段を参照し予め設定された帰属台数を超えないならば帰属を許可し前記帰属台数を超えるならば帰属を拒否し、前記拒否された無線端末は、前記無線基地局探索手段が探索した複数の無線基地局の内、前記帰属を拒否してきた無線基地局以外のいずれかの無線基地局に対して帰属することを要求し、前記無線基地局の各々は、前記通信網から着信があった場合に、自無線基地局に帰属している無線端末へのみ当該着信を通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、帰属情報を含んだ同期信号を無線基地局が一定周期で報知し、通話用に割当てられた通話チャネルを使用せずに効率的に通信可能範囲内に存在する無線基地局へ帰属することで、1台の無線基地局に帰属する構内PHS端末が集中することによる着信時の構内PHS端末毎の応答可能時間までの遅延を軽減させ、構内PHS端末毎の応答機会を平等とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例に係わる構内PHS端末を用いた無線通信システムの全体構成を示す図である。
【図2】図1に示す構内PHS端末の機能ブロック図である。
【図3】図1に示す無線基地局の機能ブロック図である。
【図4】無線基地局候補テーブルの概略図である。
【図5】構内PHS端末が無線基地局への帰属と構内PHS端末へ一斉に着信があった場合のシーケンス図である。
【図6】構内PHS端末が無線基地局検索から帰属処理までのフローチャートである。
【図7】構内PHS端末が帰属した際の無線基地局の処理を示すフローチャートである。
【図8】無線基地局から送出される情報フォーマットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施例に係わる構内PHSを用いた無線通信システムの全体構成を示す図である。同図に示す本実施例に係る構内PHSを用いた無線通信システムは、ユーザが使用する構内PHS端末10(本実施の形態では10−1〜10−4)と、複数の無線基地局20(本実施の形態では20−1,20−2)と、各無線基地局20と公衆網等の網(非図示)との間を接続するPBX30とを有している。
尚、構内PHS端末10は、RCR・STD−28(電波産業会規格)に基づく無線制御機能、呼制御を実施する機能および電話機としてのマンマシンインターフェース機能を有するものとする。
【0015】
無線基地局20は、PBX30に接続しており、通話用に3つの独立したチャネルを有し、各々のチャネルを用いて、1台の無線基地局20において同時に3つの構内PHS端末10との間に通話路を設定する。
【0016】
また、無線基地局20は、構内PHS端末10の帰属用に1つのチャネルを有し、複数の構内PHS端末10の帰属を可能にして、着信および発信を行う為の情報を送受信する。
【0017】
なお、無線基地局20は、無線PHS端末10との無線通信チャネルの制御を担うRCR・STD−28に沿った機能を有する。
【0018】
PBX30は、公衆網等の網との回線交換機能を有して発信および着信の呼制御を管理する。
【0019】
図2は、図1に示す構内PHS端末10の機能ブロック図である。
【0020】
図2の構成は、一例であり、構内PHS端末10として機能するものであれば、いずれの構成でも適用可能である。
【0021】
図2に示す構内PHS端末10は、アンテナ部11、無線部12、制御部13、記憶部(ROM、RAM等を含む)14、通話部(音声コーデック部、マイク、音声出力レシーバ、スピーカ等を含む)15、入力部(キー、スイッチ等の操作器を含む)16、表示部(液晶ディスプレイ、ランプ表示等)17等の各部を有する。
【0022】
アンテナ部11は、無線基地局20とのインターフェースであり、無線基地局20からの同期信号(無線基地局20より構内PHS端末10へ無線基地局20の帰属を継続するための受信タイミング、および無線基地局20より構内PHS端末10へ着信の情報を報知する信号:報知情報メッセージ<RCR・STD−28に基づく>)を受信すると、無線部12へ同期信号を渡し、無線部12からの待受通知(構内PHS端末10より無線基地局20へ帰属すること通知する帰属用のチャネルを使用した信号)を渡されると、無線基地局20へ送信する。
【0023】
無線部12は、無線制御全般を行うブロックである。無線部12は、無線基地局20からの受信した受信信号のRSSI値を測定するRSSI測定部121と受信した受信信号の解析を行う信号解析部122と無線送信部123とで構成する。
【0024】
RSSI測定部121は、アンテナ部11で受信した無線基地局20のRSSI値を測定し、測定結果を制御部13へ渡す。
【0025】
信号解析部122は、アンテナ部11で受信した同期信号および着信通知を解析し、解析結果を制御部13へ渡す。
【0026】
無線送信部123は、制御部13にて選択し、指示した無線基地局20へアンテナ部11から待受信号を送信する。
【0027】
制御部13は、プログラム制御により各部の動作を制御する。
【0028】
制御部13は、無線部12から受信した同期信号の解析結果を記憶部14の無線基地局候補テーブル141に記憶する。また、制御部13は、記憶部14の無線基地局候補テーブル141を参照して無線基地局20へ無線部12から待受通知を送出する。
【0029】
制御部13は、通話部15との間で音声信号のやり取りを音声コーデック部、マイク、音声出力レシーバ等を制御して、通話を可能とする。
【0030】
制御部13は、入力部16からのマンマシンインターフェースとしてキーやスイッチの入力情報を受信して、発信および着信の応答を可能とする。
【0031】
制御部13は、発信および着信の表示情報を送信して、表示部17で液晶ディスプレイおよびランプにて表示する。
【0032】
記憶部14は、制御部13からの無線基地局20の情報を無線基地局候補テーブル141に記憶する。
【0033】
ここで、無線基地局候補テーブル141は、RSSI測定部121により測定されたRSSI値および信号解析部122で解析した無線基地局20への帰属の許可、拒否情報を、制御部13にて無線基地局20のID(識別子)に対応付けて無線基地局20毎に記憶したテーブルを意味する。図4を参照して詳細について説明する。
【0034】
図4は、無線基地局候補テーブル141の概略図である。
【0035】
無線基地局候補テーブル141は、基地局IDフィールド1411とRSSI値フィールド1412と帰属可フラグフィールド1413とで構成され、各レコード1414にて無線基地局20毎に記憶する。
【0036】
基地局IDフィールド1411は、帰属候補の各無線基地局20のIDを記憶するフィールドである。
【0037】
RSSI値フィールド1412は、帰属候補の各無線基地局20からのRSSI値を記憶するフィールドである。
【0038】
帰属可フラグフィールド1413は、帰属可フラグ(帰属可:0および帰属不可:1)を記憶するフィールドである。
【0039】
図3は、図1に示す無線基地局20の機能ブロック図である。
【0040】
図3の構成は、一例であり、構内PHS端末10の無線基地局20として機能するものであれば、いずれの構成でも適用可能である。
【0041】
図3に示す無線基地局20は、アンテナ部21、無線部22、制御部23、記憶部(ROM、RAM等を含む。)24、PBX30と接続するI/F(インターフェース)部25等の各部を有する。
【0042】
このうち、アンテナ部21は、構内PHS端末10とのインターフェースとなり、無線部22からの同期信号および着信通知の送信要求を受信すると、構内PHS端末10へ報知する。また、アンテナ部21は、構内PHS端末10から待受通知を受信して、無線部22へ送信する。
【0043】
無線部22は、構内PHS端末10へ信号を送信する無線送信部221、構内PHS端末10からの受信信号を解析する信号解析部222が含まれる。
【0044】
無線送信部221は、制御部23から渡された同期信号および着信通知を受信して、構内PHS端末10へアンテナ部21から送信する。
【0045】
信号解析部222は、アンテナ部21から受信した構内PHS端末10の待受通知を解析して制御部23へ渡す。
【0046】
制御部23は、プログラム制御を実行することで各部の動作を制御する。
【0047】
制御部23は、同期信号および着信通知を生成し、無線部22へ渡す。また、制御部23は、無線部22から構内PHS端末10の信号を受信すると、記憶部14へ帰属情報を含む同期信号を生成する。
【0048】
制御部23は、I/F部25にてPBX30とコマンドの送受を行い、公衆網への発信および公衆網からの着信を制御する。
【0049】
記憶部24は、現在帰属している構内PHS端末10の帰属台数を保持する帰属台数テーブル241が含まれる。
【0050】
帰属台数テーブル241は、図示しないが構内PHS端末10のIDを記憶する領域を有して、自無線基地局20へ帰属している構内PHS端末10の台数を管理する。
【0051】
この帰属台数テーブル241には、構内PHS端末10から受信した待受通知を信号解析部222にて解析して、制御部23にて構内PHS端末10のIDを記憶する。
【0052】
その際、制御部23は、帰属台数テーブル241の帰属台数がN台の範囲内であるかを判断して、範囲内であれば、同期信号の帰属情報を帰属許可で報知する制御を制御部23で行い、無線送信部221へ送信し、範囲を超えていれば、同期信号の帰属情報を帰属拒否で報知する制御を制御部23で行い、無線送信部221へ送信する。(本例ではを3とし、帰属許可は3台未満、帰属拒否は3台以上とする。)
次に、図5は、構内PHS端末が無線基地局への帰属と構内PHS端末へ一斉に着信があった場合のシーケンス図である。
【0053】
図4、図5を用いて、本実施例の動作について説明する。
【0054】
本実施例は、構内PHS端末10が4台(10−1、10−2、10−3、10−4)と、無線基地局20が2台(20−1、20−2)を接続してあるPBX30で構成される構内無線システムにおいて、構内PHS端末10にて受信するRSSI値は、無線基地局20−1がRa、無線基地局20−2がRbとし、Ra>RbのRSSI値大小関係とする。そして、構内PHS端末10−4が無線基地局20−1へ帰属の際に帰属台数が3台以上の同期信号(S104)を受信することで、無線基地局20−2に対して帰属処理動作を行う実施例について説明する。図5は、この場合の動作手順を示し、図4は、図5に示す動作手順において、構内PHS端末10−4側の無線基地局候補テーブル141を示す。なお、図5に示す動作手順は、制御部13にて実行可能な制御プログラムとして予め設定されている。
【0055】
まず、無線基地局20−1、20−2は、各々、構内PHS端末10−1、10−2、10−3、10−4に対して、帰属情報を帰属可能(3台未満:帰属許可)で同期信号を送信し続けている(S100)。以降の同一内容の同期信号を送信しているため、記載を省略する。
【0056】
始めに、構内PHS端末10−1は、無線基地局20−1と20−2の同期信号(S100)を無線部12内の信号解析部122で解析した帰属情報と無線部12内のRSSI測定部121で測定したRSSI値から無線基地局候補テーブル141の帰属可フラグフィールド1413とRSSI値フィールド1412、基地局IDフィールド1411に無線基地局20毎に各レコード1414へ記憶する。この際、構内PHS端末10−1の制御部13は、この無線基地局候補テーブル141から帰属可フラグフィールド1413が“0”で、RSSI値フィールド1412が最も高い無線基地局20−1を選択する(S11)。
【0057】
そして、構内PHS端末10−1は、待受通知を送出(S12)して無線基地局20−1に帰属する。
【0058】
無線基地局20−1は、待受通知(S12)を信号解析部222で受信し、制御部23で帰属させた構内PHS端末10−1のIDを帰属台数テーブル241へ記憶する(S101)。無線基地局20−1は、帰属台数が3台未満のため、同期信号の帰属情報は、帰属可能(3台未満:帰属許可)のままとして、無線送信部221より送信を継続する。
【0059】
つぎに、構内PHS端末10−2は、無線基地局20−1と20−2の同期信号(S100)を無線部12内の信号解析部122で解析した帰属情報と無線部12内のRSSI測定部121で測定したRSSI値から無線基地局候補テーブル141の帰属可フラグフィールド1413とRSSI値フィールド1412、基地局IDフィールド1411に無線基地局20毎に各レコード1414へ記憶する。この際、構内PHS端末10−2の制御部13は、この無線基地局候補テーブル141から帰属可フラグ1413が“0”で、RSSI値1412が最も高い無線基地局20−1を選択する(S21)。
【0060】
そして、構内PHS端末10−2は、待受通知を送出(S22)して無線基地局20−1に帰属する。
【0061】
無線基地局20−1は、待受通知(S22)を信号解析部222で受信し、制御部23で帰属させた構内PHS端末10−2のIDを帰属台数テーブル241へ記憶する(S102)。無線基地局20−1は、帰属台数が3台未満のため、同期信号の帰属情報は、帰属可能(3台未満:帰属許可)のままとして、無線送信部221より送信を継続する。
【0062】
つぎに、構内PHS端末10−3は、無線基地局20−1と20−2の同期信号(S100)を無線部12内の信号解析部122で解析した帰属情報と無線部12内のRSSI測定部121で測定したRSSI値から無線基地局候補テーブル141の帰属可フラグフィールド1413とRSSI値フィールド1412、基地局IDフィールド1411に無線基地局20毎に各レコード1414へ記憶する。この際、構内PHS端末10−3の制御部13は、この無線基地局候補テーブル141から帰属可フラグフィールド1413が“0”で、RSSI値1412が最も高い無線基地局20−1を選択する(S31)。
【0063】
そして、構内PHS端末10−3は、待受通知を送出(S32)して無線基地局20−1に帰属する。
【0064】
無線基地局20−1は、待受通知(S32)を信号解析部222で受信し、制御部23で帰属させた構内PHS端末10−2のIDを帰属台数テーブル241へ記憶する(S103)。
【0065】
無線基地局20−1は、この際、無線基地局20−1の帰属台数テーブル241の帰属台数が3台となり、制御部23は、帰属情報の1ビットを帰属拒否(3台以上)として同期信号の値を変えて、無線送信部221から構内PHS端末10へ送信する(S104)。以降の同一内容の同期信号を送信しているため、記載を省略する。
【0066】
つぎに、構内PHS端末10−4は、無線基地局20−1と20−2の同期信号(S104とS100)を無線部12内の信号解析部122で解析した帰属情報と無線部12内のRSSI測定部121で測定したRSSI値から無線基地局候補テーブル141の帰属可フラグフィールド1413とRSSI値フィールド1412、基地局IDフィールド1411に無線基地局20毎に各レコード1414へ記憶する。その際の無線基地局候補テーブル141を図4に示す。
【0067】
構内PHS端末10−4の制御部13は、無線基地局候補テーブル141から帰属可フラグフィールド1413が“0”で、RSSI値1412が最も高い無線基地局20−2を選択して、待受通知S42を送出して無線基地局20−2に帰属する。
【0068】
無線基地局20−2は、構内PHS端末10−4からの待受通知S42を受信して構内PHS端末10−4のIDを格納する。
【0069】
これにより、構内PHS端末10は、無線基地局20に帰属台数の分散化を行える(構内PHS端末10−1、10−2、10−3は無線基地局20−1に帰属、構内PHS端末10−4は無線基地局20−2に帰属)。
【0070】
その後、PBX30が、公衆網より着信を受け、各構内PHS端末10への着信し、応答可能となる無線通信までを説明する。
【0071】
PBX30は、公衆網から着信を受けて、すべての構内PHS端末10−1、10−2、10−3、10−4への着信を無線基地局20−1へ通知S108し、無線基地局20−2にも同様にすべての構内PHS端末10−1、10−2、10−3、10−4への着信を通知S109する。
【0072】
無線基地局20は、PBX30からI/F部25で受信した着信から制御部23で帰属台数テーブル241に記憶してある構内PHS端末10に対して着信通知を無線送信部221から送信する。
【0073】
無線基地局20−1は、帰属している構内PHS端末10−1と10−2と10−3へ着信通知(S13、S23、S33)を送信して、着信応答可能な無線通信状態(S14、S24、S34)とする。
【0074】
無線基地局20−2は、帰属している構内PHS端末10−4へ着信通知S43を送信して着信可能な無線通信状態S44とする。
【0075】
これにより、無線基地局20は、帰属している構内PHS端末へのみ着信通知を送出するため、捨てられる着信通知を送出しないため、各構内PHS端末10の着信応答までの時間が均一化でき、応答機会を平等にできる。
【0076】
図6は、構内PHS端末が無線基地局検索から帰属処理までのフローチャートである。構内PHS端末10が、電源ONまたは帰属している無線基地局20から遠ざかり圏外へ移行した際、新たに帰属する無線基地局20を検索し、無線基地局20を選択し、帰属するまでを示す。
【0077】
まず、構内PHS端末10の制御部13は、無線基地局20を検索する制限時間として基地局サーチタイマを開始する(S111)。本例では、基地局サーチタイマ時間は、600msとする。
【0078】
そして、制御部13は、無線基地局20をサーチして、周辺の無線基地局20から同期信号を受信する(S112)。
【0079】
ここで、制御部13は、無線基地局20から受信した同期信号のRSSI値が通信可能閾値以上かを判断する(S113)。本例では、通信可能閾値は、20dBμVとする。
【0080】
制御部13は、RSSI値が通信可能閾値以上の場合(S113でYES)、無線基地局候補テーブル141のレコード1414に信号解析部122で取得した基地局IDを基地局IDフィールド1411に記憶し、同一レコード1414のRSSI値フィールド1412にRSSI測定部121で測定したRSSI値を記憶する(S114)。
【0081】
そして、制御部13は、無線基地局20から受信した同期信号の帰属情報が3台未満かを判断する(S115)。
【0082】
まず、制御部13は、同期信号の帰属情報が3台未満の場合(S115でYES)、無線基地局候補テーブル141の帰属可フラグフィールド1413に“0”を記憶する(S115)。なお、制御部13は、すでに同一の基地局IDがある際、RSSI値フィールド1412と帰属可フラグフィールド1413を上書きする。
【0083】
つぎに、制御部13は、同期信号の帰属情報が3台以上の場合(S115でNO)、無線基地局候補テーブル141の帰属可フラグフィールド1413に“1”を記憶する(S116)。なお、制御部13は、すでに同一の基地局IDがある際、RSSI値フィールド1412と帰属可フラグフィールド1413を上書きする。
【0084】
一方、制御部13は、RSSI値が通信可能閾値未満の場合(S113でNO)、無線基地局候補テーブル141の基地局IDフィールド1411とRSSI値フィールド1412と帰属可フラグフィールド1413への記憶はしない。
【0085】
そして、制御部13は、基地局サーチタイマがタイムアウトかを判断する(S118)。
【0086】
ここで、制御部13は、基地局サーチタイマがタイムアウトでない場合(S118でNO)、無線基地局20をサーチして、周辺の無線基地局20から同期信号を受信する(S112)。
【0087】
一方、制御部13は、基地局サーチタイムアウトとなった場合(S118でYES)、無線基地局候補テーブル141の基地局IDフィールド1411に基地局IDが記憶されているか判断を行う(S119)。
【0088】
ここで、制御部13は、無線基地局候補がない場合(S119でNO)、帰属する無線基地局20がないので、帰属先を見つけるために基地局サーチタイマを開始する(S111)。
【0089】
一方、制御部13は、無線基地局候補がある場合(S119でYES)、無線基地局候補テーブル141のRSSI値フィールド1412から最もRSSI値が大きい無線基地局20のレコード1414を選択(S120)する。
【0090】
そして、制御部13は、該当レコード1414の帰属可フラグフィールドが“0”か判断する(S121)。
【0091】
ここで、制御部13は、該当レコード1414の帰属可フラグフィールドが“0”の場合(S121でYES)、選択した無線基地局20へ構内PHS端末10のIDを含む待受通知を送信(S122)して、無線基地局20へ帰属する(S123)。
一方、制御部13は、該当レコード1414の帰属可フラグフィールドが“1”の場合(S121でNO)、該当レコード1414のRSSI値フィールド1411よりも低いRSSI値のレコード1414が有るか判断する(S124)。
【0092】
ここで、制御部13は、該当レコード1414のRSSI値フィールド1411よりも低いRSSI値のレコード1414が有る場合(S124でYES)、該当レコード1414のRSSI値フィールド1411の次に高いRSSI値のレコード1414を選択(S125)し、当該レコード1414の帰属可フラグフィールド1413が“0”であるか判断する(S121)。
【0093】
一方、制御部13は、該当レコード1414のRSSI値フィールド1411よりも低いRSSI値のレコード1414がない場合(S124でNO)、帰属する無線基地局20がないので、帰属先を見つけるために基地局サーチタイマを開始する(S111)
図7は構内PHS端末が帰属した際の無線基地局の処理を示すフローチャートである。
【0094】
無線基地局20が、電源ONにて開始して、帰属する構内PHS端末10の台数によって同期信号内の帰属情報内容を変化させる処理を示す。
【0095】
まず、無線基地局20の制御部23は、同期信号内の帰属情報の1ビット情報を3台未満“0”として、同期信号を報知する(S211)。
【0096】
そして、制御部23は、信号解析部122にて構内PHS端末10より受信した待受信号を解析して、帰属台数テーブル241に構内PHS端末10の端末IDを格納する(S212)。なお、制御部23は、すでに同一の端末IDが格納されている場合は、帰属台数テーブル241に格納しない。
【0097】
その後、制御部23は、帰属台数テーブル241の帰属台数が3台以上かを判断する(S213)。
【0098】
ここで、制御部23は、帰属台数が3台以上の場合(S213でYES)、同期信号内の帰属情報の1ビット情報を3台以上“1”にして(S214)、無線送信部121から同期信号を報知する(S211)。
【0099】
一方、制御部23は、帰属台数が3台未満の場合(S213でNO)、同期信号内の帰属情報の1ビット情報を3台未満“0”として(S215)、無線送信部121から同期信号を報知する(S211)。
【0100】
図8は、無線基地局から送出される情報フォーマットの概略図である。
【0101】
無線基地局20は、同期信号としてRCR・STD−28に基づく報知情報メッセージ(無線チャネル情報報知/システム情報報知/第2システム情報報知/着呼信号)を使用する。
【0102】
帰属情報は、オクテット8のビット4(S303)にて表して、オクテット1〜7(S301)と偶奇識別S302と情報パターンS304は、既存の報知情報メッセージのままとする。
【0103】
帰属情報は、無線基地局20の制御部23で、帰属台数テーブル241の情報より自無線基地局20に3台未満帰属している場合を「3台未満」とし、3台以上を「3台以上」として、無線送信部121から帰属用に1つのチャネルで情報を報知する。本例では、「3台未満」を“0”とし、「3台以上」を“1”とする。
【0104】
以上、本発明の実施例を説明した。
【0105】
なお、本発明では、構内PHS端末10が、無線基地局20毎に分散化して、着信応答可能機会を同じタイミングで受けるようにした。
【0106】
すなわち、構内PHS端末10は、帰属する無線基地局20をサーチし、サーチ時の無線基地局20の同期信号のRSSI値と帰属情報を無線基地局20内の記憶部14の無線基地局候補テーブル141に、基地局IDフィールド1411とRSSI値フィールド1412と帰属可フラグフィールド1413で記憶していき、その無線基地局候補テーブル141のRSSI値フィールド1412と帰属可フラグフィールド1413から帰属する無線基地局20を選択し、待受通知を同期信号と同じチャネルで無線基地局20へ送出できる。無線基地局20は、無線基地局20毎に帰属している構内PHS端末10の帰属台数を管理する帰属台数テーブル241を有し、構内PHS端末10から待受通知を受けた際に帰属台数テーブル241で帰属台数が3台を超えなければ、帰属情報を3台未満で構内PHS端末10へ帰属を許可し、帰属台数が3台超えるならば、帰属情報を3台以上で構内PHS端末10へ帰属を拒否する。無線基地局20の各々は、PBX30から着信を受けた場合に、自無線基地局20に帰属している構内PHS端末10へのみ着信通知を送出する。
【0107】
これにより、各構内PHS端末10の着信応答機会が、平等にすることができる。
【符号の説明】
【0108】
10 構内PHS端末(PS)
11 アンテナ部
12 無線部
13 信号処理部
14 記憶部
15 通話部
16 入力部
17 表示部
20 無線基地局(BS)
21 アンテナ部
22 無線部
23 制御部
24 記憶部
25 I/F部
30 PBX(主装置)
121 RSSI測定部
122 信号解析部
123 無線送信部
141 無線基地局候補テーブル
221 無線送信部
222 信号解析部
241 帰属台数テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線端末と、前記無線端末を収容し通信網と繋がる複数の無線基地局から構成される構内無線電話システムにおいて、
前記無線端末は、自無線端末と通信可能な範囲に存在する複数の無線基地局を探索する無線基地局探索手段と、前記無線基地局探索手段が探索した複数の無線基地局のいずれかに当該無線基地局に帰属することを要求する帰属要求手段を有し、
前記複数の無線基地局の各々は、自無線基地局に帰属している無線端末の台数を管理する台数管理手段を有し、前記無線端末のいずれかから帰属要求を受けた場合に前記台数管理手段を参照し予め設定された帰属台数を超えないならば帰属を許可し前記帰属台数を超えるならば帰属を拒否し、
前記拒否された無線端末は、前記無線基地局探索手段が探索した複数の無線基地局の内、前記帰属を拒否してきた無線基地局以外のいずれかの無線基地局に対して帰属することを要求し、
前記無線基地局の各々は、前記通信網から着信があった場合に、自無線基地局に帰属している無線端末へのみ当該着信を通知することを特徴とする着信応答機会が平等な構内無線電話システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記無線端末は構内PHS端末であって、
前記無線基地局探索手段として自無線端末と通信可能なRSSI値以上の無線基地局をサーチして前記RSSI値と前記のRSSI値、無線基地局からの帰属の許可/拒否信号を無線基地局毎に保持するテーブルに保持することを有することと、
前記テーブルに保持された無線基地局毎のRSSI値と無線基地局帰属の可否に基づいて、無線基地局を選択し、選択した無線基地局に対し、待受信号を送信する帰属要求手段を有することと、
前記待受信号は、構内PHS端末の内線番号を付加した無線基地局から受信する同期信号と同じ制御用周波数による信号で送出することができることと、
前記テーブルに保持された無線基地局毎のRSSI値で無線基地局帰属の許可(3台未満の構内PHS端末が帰属する)無線基地局を選択し、選択した無線基地局に対し、待受信号を送信することを特徴とする請求項1に記載の着信応答機会が平等な構内無線電話システム。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、
前記無線基地局は、前記構内PHS端末から同期信号と同じチャネルで待受信号を受け取れ、帰属している構内PHS端末毎の内線番号を保持するテーブルを有することと、
前記テーブルにて予め設定された構内PHS端末の帰属台数の範囲内かどうかを確認し、範囲内であれば帰属可能な帰属台数情報を付加した同期信号を、前記範囲外であれば帰属台数が3台以上の帰属情報を付加した同期信号をそれぞれ送信できることと、
前記テーブルに保持された構内PHS端末の内線番号に基づいて、複数の構内PHS端末への着信時には、帰属している構内PHS端末への着信信号のみを送出できることを特徴とする請求項1に記載の着信応答機会が平等な構内無線電話システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−62676(P2013−62676A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199647(P2011−199647)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】