説明

着信時情報提供装置

【課題】転送やサーバ発呼等のイベントに基づいて呼制御装置を発信元とする呼を受信した端末上に、発信元や発信先等の情報を表示する。
【解決手段】着信時情報提供装置において、所定のイベントの発生を契機として、当該所定のイベントに関わる電話番号とユーザ端末のユーザIDとを取得し、イベント情報保持手段に格納する手段と、前記所定のイベントの発生を契機として、発信元電話番号を含む電話発信信号の着信を受けた前記ユーザ端末から、ユーザIDと当該発信元電話番号とを含む着信時情報要求を受信する手段と、前記着信時情報要求に含まれる前記発信元電話番号が呼制御装置の電話番号である場合に、前記着信時情報要求に含まれる前記ユーザIDに対応する電話番号を前記イベント情報保持手段から取得し、当該電話番号を検索キーとして、電話帳情報を検索することで取得された設定情報を含む着信時情報を前記ユーザ端末に送信する手段とを備えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末への電話着信時に、端末に発信者情報や発信先情報等の着信時情報を表示させる技術に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、IP−PBX等の豊富な機能を備える呼制御装置が普及してきている。このような呼制御装置は、一般に、ある電話番号宛に発信された電話呼を、他の電話番号宛に転送する電話転送機能を備えている。
【0003】
また、例えば特許文献1に記載されているクリックツーダイヤルのようなサーバ発呼機能を備えたSIPサーバ等の呼制御装置もある。サーバ発呼機能では、呼接続を希望する2つの端末の電話番号を指定したサーバ発呼要求を呼制御装置が受信し、当該呼制御装置が、上記2つの端末に電話発信を行って、それぞれの端末と通話路を確立し、これらの通話路を接続することにより2端末間での通話を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−109470号公報
【特許文献2】特開2010−268178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の転送機能を用いた場合、転送された呼を受信する端末には、発信元電話番号として、呼の転送元である呼制御装置の電話番号が表示されてしまい、実際に電話をかけた発信元を判別するための情報は表示されない。このため、端末のユーザは、実際の発信者が誰かを確認することができないという問題がある。
【0006】
また、サーバ発呼の場合も同様に、サーバ発呼要求に基づく発信呼を受信した端末には、呼の発信元である呼制御装置の電話番号が表示されるだけである。このため、端末のユーザは、受信した呼が、サーバ発呼に係る呼であるのか、それとも通常の呼であるのかさえ判別できないという問題がある。
【0007】
このように、転送やサーバ発呼等のイベントに基づき、呼制御装置を発信元とする呼を受信する端末には呼制御装置の電話番号しか表示されないので、端末のユーザは、受信した呼の種類(サーバ発呼等)や発信元/発信先等の情報を把握できないという問題があった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、転送やサーバ発呼等のイベントに基づいて呼制御装置を発信元とする呼を受信した端末上に、発信元や発信先等の情報を表示することを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、呼制御装置を備える電話網を介して電話通信を行う電話通信機能を備えたユーザ端末とネットワークを介して接続される着信時情報提供装置であって、
電話番号と設定情報とを対応付けた電話帳情報を格納した電話帳格納手段と、
所定のイベントの発生を契機として、当該所定のイベントに関わる電話番号と前記ユーザ端末のユーザIDとを取得し、これらを対応付けてイベント情報保持手段に格納するイベント情報処理手段と、
前記所定のイベントの発生を契機として、発信元電話番号を含む電話発信信号の着信を受けた前記ユーザ端末から、当該ユーザ端末のユーザIDと当該発信元電話番号とを含む着信時情報要求を受信する着信時情報要求受信手段と、
前記着信時情報要求に含まれる前記発信元電話番号が前記呼制御装置の電話番号である場合に、前記着信時情報要求に含まれる前記ユーザIDに対応する電話番号を前記イベント情報保持手段から取得し、当該電話番号を検索キーとして、前記電話帳情報を検索し、当該電話番号に対応する設定情報を取得し、当該設定情報を含む着信時情報を前記ユーザ端末に送信する手段と、を備えることを特徴とする着信時情報提供装置として構成される。
【0010】
例えば、前記所定のイベントは、前記呼制御装置が発信元端末の電話番号を発信元電話番号とする第1の電話発信信号を、当該呼制御装置の電話番号を発信元電話番号とする第2の電話発信信号に変換して前記ユーザ端末に転送する転送イベントであり、その場合、前記イベント情報処理手段は、前記第1の電話発信信号を受信した前記呼制御装置から、当該第1の電話発信信号における発信先電話番号に対応する前記ユーザIDと当該第1の電話発信信号における発信元電話番号とを含む転送呼着信通知を受信し、当該転送呼着信通知から、前記所定のイベントに関わる電話番号としての当該発信元電話番号と前記ユーザIDとを取得して、前記イベント情報保持手段に格納し、前記着信時情報要求受信手段は、前記第2の電話発信信号を受信した前記ユーザ端末から、前記ユーザIDと当該第2の電話発信信号における前記発信元電話番号とを含む着信時情報要求を受信する。
【0011】
また、例えば、前記所定のイベントは、前記ユーザIDと発信先電話番号とを含むサーバ発呼要求指示を前記ユーザ端末から受信し、当該ユーザ端末の電話番号と前記発信先電話番号とを含むサーバ発呼要求を前記呼制御装置に送信するサーバ発呼イベントであり、この場合、前記イベント情報処理手段は、前記サーバ発呼要求指示から前記ユーザIDと前記所定のイベントに関わる電話番号としての前記発信先電話番号とを取得して、前記イベント情報保持手段に格納し、前記着信時情報要求受信手段は、前記サーバ発呼要求に基づき前記呼制御装置から発信された電話発信信号を受信した前記ユーザ端末から、前記ユーザIDと当該電話発信信号における前記発信元電話番号とを含む着信時情報要求を受信する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、転送やサーバ発呼等のイベントに基づいて呼制御装置を発信元とする呼を受信した端末上に、電話をかけた実際の発信元やイベントに関わる発信先等の情報を表示することが可能となり、従来技術の問題が解消される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る着信時情報表示システムの全体構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係るユーザ端末10の機能構成図である。
【図3】第1の実施の形態に係る呼制御装置50の機能構成図である。
【図4】ユーザ情報格納部56に格納されるテーブル情報の一例を示す図である。
【図5】転送番号情報格納部54に格納されるテーブル情報の一例を示す図である。
【図6】第1の実施の形態に係る着信時情報提供装置40の機能構成図である。
【図7】転送呼着信情報格納部48に格納されるテーブル情報の一例を示す図である。
【図8】転送発信元電話番号リスト格納部49に格納されるテーブル情報の一例を示す図である。
【図9】第1の実施の形態に係る着信時情報表示システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【図10】第1の実施の形態に係る着信時情報表示システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【図11】個人電話帳格納部441に格納されるテーブル情報の例を示す図である。
【図12】共有電話帳格納部442に格納されるテーブル情報の例を示す図である。
【図13】社内電話帳格納部443に格納されるテーブル情報の例を示す図である。
【図14】第2の実施の形態に係るユーザ端末210の機能構成図である。
【図15】第2の実施の形態に係る着信時情報提供装置240の機能構成図である。
【図16】サーバ発呼情報格納部248に格納されるテーブル情報の一例を示す図である。
【図17】サーバ発呼元電話番号リスト格納部249に格納されるテーブル情報の一例を示す図である。
【図18】第2の実施の形態に係る着信時情報表示システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【図19】第2の実施の形態に係る着信時情報表示システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態では、ユーザ端末10、210のユーザは、特定の会社の社員であるものとする。なお、以下で説明する実施の形態は例に過ぎず、本発明は他の形態にも適用可能である。
【0015】
<第1の実施の形態>
(システム構成)
図1に、本発明の実施の形態に係る着信時情報表示システムの全体構成を示す。図1に示すように、本実施の形態に係る着信時情報表示システムは、呼制御装置50を備える電話網20に接続可能なユーザ端末10が、ネットワーク30を介して着信時情報提供装置40に接続される構成を有する。なお、図1において括弧内で付した符号は、第2の実施の形態に対応するものである。
【0016】
本実施の形態では、ネットワーク30は、インターネット等のIPネットワークである。ユーザ端末10は、ネットワーク30を通じてIP通信が可能であるとともに、電話網20を通じて電話通信も可能な端末である。また、本実施の形態では、ユーザ端末10は無線によりネットワーク30及び電話網20にアクセスする機能を持つことを想定しているが、有線で接続する端末であっても構わない。
【0017】
電話網20は特定の種類に限定されないが、例えば、固定電話網(回線交換網、IP電話網等)、携帯電話網、PHS網等の、03、050、090、070等で始まる所定の電気通信番号を用いて電話発着信を可能とする電話網である。また、電話網20は、内線電話網と外線電話網とがゲートウェイで接続された電話網(例えば、特許文献1参照)であってもよい。この場合、ユーザ端末10は、内線による着信を受ける場合もあるし、外線による着信を受ける場合もある。なお、この場合の内線電話網は、例えば特定の会社内で規定された内線番号が割り振られた各端末間で、内線番号を用いて電話の発着信を可能とする電話網であり、外線電話網は、上述した固定電話網(回線交換網、IP電話網等)、携帯電話網、PHS網等である。
【0018】
また、電話網20の一部又は全部がIP電話網である場合、当該IP電話網はネットワーク30上に構築されたIP電話網であってもよい。電話網20に接続される呼制御装置50は、呼の接続制御や転送制御を行う装置である。本実施の形態では、電話網20がIP電話網であり、呼制御装置50はSIPサーバであることを想定しているが、これに限られるわけではなく、例えば、呼制御装置50は、IP電話呼以外の固定電話呼や携帯電話呼を扱うPBX装置であってもよい。
【0019】
本実施の形態では、着信時情報提供装置40と呼制御装置50はネットワーク30を介して通信可能である。
【0020】
図2に、第1の実施の形態に係るユーザ端末10の機能構成図を示す。本実施の形態では、ユーザ端末10としてスマートフォン等の携帯端末を使用することを想定しているが、ユーザ端末10はスマートフォン等に限られるわけではなく、本実施の形態で説明する動作を実現できる端末であればどのような種類の端末であってもよい。
【0021】
図2に示すように、ユーザ端末10は、無線通信機能部11、アプリケーション部12、電話機能部13、表示部14、ログイン情報格納部15を有する。
【0022】
無線通信機能部11は、例えば無線LAN、3G、LTE等により無線通信を行う機能部であり、アプリケーション部12、及び電話機能部13は、当該無線通信機能部11を利用して無線通信を行う。
【0023】
電話機能部13は、電話網20に接続して電話通信(発信、着信、通話)を行うための機能を有する。また、電話機能部13は、電話着信を受けたときに、発信元電話番号を含む着信イベント情報(着信があったことを示す情報)をアプリケーション部12に渡す機能を有する。
【0024】
アプリケーション部12は、ユーザ端末10にインストールされるアプリケーションプログラムにより実現される機能部であり、電話機能部13から着信イベント情報を受けたことを契機として、着信時情報要求を着信時情報提供装置40に送信する機能、及び、着信時情報提供装置40から受信した着信時情報を表示部14で表示するための機能を備える。なお、着信時情報とは、電話着信時にユーザ端末10に表示する情報のことであり、本実施の形態では、着信時情報は発信者情報(発信元の情報)である。第2の実施の形態では、着信時情報は発信先情報である。
【0025】
表示部14は、電話機能部13もしくはアプリケーション部12が出力する情報を表示する機能を有するとともに、操作部を兼ねており、画面をタッチする等の操作により操作情報を生成し、操作情報を電話機能部13もしくはアプリケーション部12に渡す機能等を有する。
【0026】
ログイン情報格納部15には、着信時情報要求に含めるユーザID(ログインID)、ユーザパスワードが格納されている。
【0027】
図3に、呼制御装置50の機能構成図を示す。図3に示すように、本実施の形態に係る呼制御装置50は、対端末通信部51、ネットワーク通信部52、転送処理部53、転送番号情報格納部54、転送呼着信通知部55、ユーザ情報格納部56を備える。
【0028】
対端末通信部51は、ユーザ端末10と電話網20を介して呼制御通信を行う機能を有する。ネットワーク通信部52は、ネットワーク30を介して着信時情報提供装置40と通信を行うための機能を有する。転送呼着信通知部55は、端末から電話網20を介して受信する電話発信信号に含まれる発信先電話番号に基づき、当該電話発信に係る呼が転送すべき呼かどうかを判断し、転送すべき呼である場合に、ユーザ情報格納部56からユーザIDを取得し、ユーザID及び発信元電話番号を含む転送呼着信通知を着信時情報提供装置40に送信する機能を有する。
【0029】
なお、本実施の形態での「転送」とは、端末から受信した電話発信信号に含まれる発信先の電話番号とは別の電話番号を発信先として電話発信することである。また、本実施の形態では、受信した呼が転送すべきものかどうかを、受信した呼の発信先電話番号が後述するDI電話番号であるか否かにより判断しているが、これは一例に過ぎず、他の基準で転送すべきか否かを判定することとしてもよい。例えば、受信した呼の発信先電話番号への発信を行ったが、所定時間内に応答が返却されなかった場合に、転送すべきと判定し、当該発信先電話番号と対応付けて予め記録された転送先番号への転送を行うこととしてもよい。いずれにしても、発信先電話番号と対応付けて予め記録された転送先番号を取得し、当該転送先番号への転送を行うという転送自体の動作は同じである。
【0030】
転送処理部53は、端末から受信した電話発信信号に含まれる発信先電話番号に基づき、転送番号情報格納部54から転送先となる転送先電話番号を取得し、当該転送先電話番号に呼を転送する、すなわち、当該転送先電話番号を宛先として電話発信を行う機能を有する。
【0031】
図4に、ユーザ情報格納部56に格納されるテーブル情報の一例を示す。図4に示すように、ユーザ情報格納部56には、DI電話番号とユーザIDとが対応付けて格納されている。なお、DIはダイヤルインの略である。ここでのユーザIDは、個々のユーザに配布され、着信時情報提供装置40にログインIDとして登録されるユーザIDと同じものである。また、DI電話番号は、当該ユーザIDのユーザに割り当てられた電話番号である。例えば、当該DI電話番号は、当該ユーザが所属する組織(会社等)の外部から当該ユーザに電話をかける場合の電話番号であり、ユーザ端末10に(キャリア等により)割り当てられた電話番号とは異なる外部に見せるための電話番号である。
【0032】
図5に、転送番号情報格納部54に格納されるテーブル情報の例を示す。図5に示すように、転送番号情報格納部54には、DI電話番号、転送先電話番号、及び転送発信元電話番号とが対応付けて格納されている。転送先電話番号とは、DI電話番号宛の着信呼を転送する転送先の端末の電話番号である。転送発信元電話番号は、転送に係る呼の発信元の電話番号であり、呼制御装置50の電話番号である。本実施の形態では、呼制御装置50は、転送用に複数の回線を有しており、システム管理者等がどの転送先をどの回線に割り当てるかを定め、当該転送先に対して使用する回線の電話番号が転送元電話番号として転送番号情報格納部54に格納される。
【0033】
図6に、着信時情報提供装置40の機能構成図を示す。図6に示すように、着信時情報提供装置40は、着信時情報取得部41、ユーザ認証部42、電話帳設定部43、電話帳格納部44、ユーザ情報格納部45、ネットワーク通信部46、転送呼着信情報作成部47、転送呼着信情報格納部48、転送発信元電話番号リスト格納部49を備える。以下、各機能部の機能の概要について説明する。
【0034】
転送呼着信情報作成部47は、呼制御装置50から受信する転送呼着信通知に含まれるユーザID及び発信元電話番号を対応付けた情報を転送呼着信情報格納部48に格納する機能を有する。すなわち、図7に示すように、転送呼着信情報格納部48には、ユーザIDと発信元電話番号とが対応付けて格納される。また、図8に示すように、転送発信元電話番号リスト格納部49には、呼制御装置50が転送に使う回線の電話番号のリストが格納される。
【0035】
図6における着信時情報取得部41は、ユーザ端末10から受信する着信時情報要求に含まれる発信元電話番号をキーとして転送発信元電話番号リスト格納部49を検索し、転送発信元電話番号リスト格納部49に当該発信元電話番号が存在する場合に、ユーザ端末10は転送呼の着信を受けたものと判断し、ユーザIDに基づき転送呼着信情報格納部48に格納された発信元電話番号を取得し、当該発信元電話番号をキーに用いて電話帳格納部44に格納された電話帳情報を検索し、当該発信元電話番号に対応する着信時情報を取得し、ユーザ端末10に送信する機能を有する。なお、転送発信元電話番号リスト格納部49に当該発信元電話番号が存在しない場合には、ユーザ端末10は転送呼ではなく、直接相手端末から着信を受けたものと判断し、着信時情報要求に含まれる発信元電話番号をキーとして電話帳格納部44に格納された電話帳情報を検索し、当該発信元電話番号に対応する着信時情報を取得し、ユーザ端末10に送信する機能を有する。検索の方法自体はどちらの場合も同様である。
【0036】
ユーザ認証部42は、ユーザ端末10からアクセスしてきたユーザのログイン認証を行う機能部であり、着信時情報要求に含まれるユーザID、ユーザパスワードが、ユーザ情報格納部45に予め登録されたものかどうかを判定することにより認証を行う。なお、認証の方法はこれに限られるわけではない。ユーザ情報格納部45には、登録されたユーザのユーザID、ユーザパスワードが格納されている。
【0037】
電話帳格納部44は、個人電話帳格納部441、共有電話帳格納部442、社内電話帳格納部443を含む。個人電話帳格納部441には、個人別(ユーザID毎)の電話帳情報が格納されている。共有電話帳格納部442には、会社内の組織等を単位とするグループ毎の電話帳情報が格納されている。社内電話帳格納部443には、会社(組織の一例)における全社員共通の電話帳情報が格納されている。
【0038】
電話帳設定部43は、電話帳格納部44における電話帳を設定/編集等しようとするユーザの端末に対して設定用画面を表示し、当該端末からネットワーク30を介して受信する電話帳の情報を電話帳格納部44に格納するための機能部である。ただし、設定の際には、ユーザは端末から自身のユーザID,パスワードを用いて着信時情報提供装置40にログインを行い、ログインできた場合に、個人電話帳格納部441については当該ユーザIDに対応する個人の電話帳のみ参照/設定できる。共有電話帳格納部442については当該ユーザIDに対応するグループの共有電話帳のみ参照/設定できる。ただし、共有電話帳の設定については特定の担当者のみが設定できることとしてもよい。また、社内電話帳格納部443に関しては、ログインできたユーザは参照はできるが、設定は特定の担当者のみが行う。
【0039】
なお、着信時情報提供装置40における電話帳の設定方法は特に限定されるわけでなく、上記の方法は一例に過ぎない。また、上記のように3つの電話帳に分けることも一例に過ぎない。
【0040】
ネットワーク通信部46は、着信時情報提供装置40が、各ユーザ端末等とネットワーク30を介してデータ通信を行うための機能部である。
【0041】
図6に示した着信時情報提供装置40は、記憶装置及びCPUを備える一般的なコンピュータに、上記各機能部に対応する処理を行うためのプログラムを搭載することにより実現できる。当該プログラムは、メモリやディスク等の記録媒体から上記コンピュータにインストールしてもよいし、ネットワーク上のサーバから上記コンピュータにダウンロードし、インストールすることとしてもよい。
【0042】
また、着信時情報提供装置40の上記各機能部は、1つのコンピュータ内に備える必要はなく、例えば、上記機能部のうちの1つ又は複数の機能部を有するコンピュータを、複数個ネットワーク接続した構成を、着信時情報提供装置40として用いてもよい。例えば、電話帳格納部44をデータベースサーバとして着信時情報提供装置40とは別のコンピュータで構成し、これらをネットワーク接続した構成を採用してもよい。
【0043】
(システムの動作)
以下、図9、10に示すシーケンス図に沿って、着信時情報表示システムの動作を説明する。以下では、発信元端末21の電話番号が電話番号Aであり、転送発信元電話番号が電話番号Bであり、転送先となるユーザ端末10の電話番号が電話番号Cであるものとして説明を行う。
【0044】
電話網20に接続されている発信元端末21からユーザ端末10に対するDI電話番号を発信先とした電話発信が行われると、当該DI電話番号及び発信元電話番号(電話番号A)を含む電話発信信号(呼接続要求信号)が呼制御装置50に送信される(ステップ1)。
【0045】
電話発信信号を受信した呼制御装置50の転送呼着信通知部55は、DI電話番号をキーとしてユーザ情報格納部56を検索し、DI電話番号に対応するユーザIDを取得する(ステップ2)。本実施の形態では、検索に成功するものとするが、検索に成功しない場合は、転送呼ではなく、通常の呼と判断して、発信先を変更することなく電話発信信号を発信先端末に送信することとしてよい。
【0046】
続いて、転送呼着信通知部55は、ステップ2で取得したユーザIDと、電話発信信号に含まれていた発信元電話番号(電話番号A)とを含む転送呼着信通知を着信時情報提供装置40に送信する(ステップ3)。
【0047】
転送呼着信通知を受信した着信時情報提供装置40の転送呼着信情報作成部47は、転送呼着信通知に含まれるユーザIDと発信元電話番号(電話番号A)とを対応付けて転送呼着信情報格納部48に格納する(ステップ4)。
【0048】
一方、転送呼着信通知を行った後、呼制御装置50の転送処理部53は、DI電話番号をキーに転送番号情報格納部54を検索し、DI電話番号に対応する転送先電話番号(電話番号C)及び発信元電話番号(電話番号B)を取得し(ステップ5)、当該発信元電話番号(電話番号B)を発信元とする転送先電話番号(電話番号C)宛の電話発信信号(以下、転送信号と呼ぶ)の発信を行う(ステップ6)。
【0049】
発信元電話番号(電話番号B)を含む転送信号を受信したユーザ端末10の電話機能部13は、ユーザに着信を知らせるとともに、発信元電話番号(電話番号B)を含む着信イベント情報(発信元電話番号そのものが着信イベント情報であってもよい)をアプリケーション部12に渡し、着信イベント情報を受けたアプリケーション部12は、発信元電話番号(電話番号B)と、ログイン情報格納部15から取得したユーザID及びユーザパスワードとを含む着信時情報要求を生成し(ステップ7)、着信時情報要求を着信時情報提供装置40に送信する(ステップ8)。
【0050】
着信時情報要求を受信した着信時情報提供装置40において、ユーザ認証部42が着信時情報要求に含まれるユーザID及びユーザパスワードを用いてユーザ認証を行う(ステップ9)。本例ではユーザ認証に成功したものとし、ステップ10に進む。なお、ユーザ認証に成功しなかった場合は、例えば、エラーメッセージがユーザ端末10に返される。
【0051】
ステップ10において、着信時情報取得部41が、着信時情報要求に含まれている発信元電話番号(電話番号B)をキーにして転送発信元電話番号リスト格納部49を検索し、転送発信元電話番号リスト格納部49に当該発信元電話番号(電話番号B)と同じ電話番号が存在するか否かを判定する。本実施の形態では、転送発信元電話番号リスト格納部49に当該発信元電話番号(電話番号B)と同じ電話番号が存在するものとし、ステップ11に進む。
【0052】
ステップ11において、着信時情報取得部41は、ユーザIDを用いて転送呼着信情報格納部48を検索し、当該ユーザIDに対応する発信元電話番号(電話番号A)を取得する。この発信元電話番号に基づき、ステップ12〜16において、着信時情報の取得及び送信の処理が行われる。なお、ステップ10において、転送発信元電話番号リスト格納部49に当該発信元電話番号(電話番号B)と同じ電話番号が存在しなかった場合は、着信時情報要求に含まれている発信元電話番号に基づき同様の検索が行われる。このように、電話番号Bと同じ電話番号が存在しなかった場合は、ユーザ端末10は転送呼ではなく、他の端末から直接に着信呼を受けたもの判断できる。
【0053】
ステップ12以降の処理内容を説明するにあたり、まず、個人電話帳格納部441、共有電話帳格納部442、社内電話帳格納部443に格納されるテーブル情報例を説明する。
【0054】
図11に、個人電話帳格納部441に格納されるテーブル情報の例を示す。図11に示す例では、各ユーザID毎に、電話番号と設定情報が格納されている。個人電話帳格納部441は、個々のユーザが、自分の個人的な情報として電話帳情報を格納するものであり、各ユーザは、ユーザIDで特定される自分の電話帳情報のみを参照・設定可能である。本実施の形態において、個人電話帳格納部441における電話番号は、例えば当該ユーザの個人的な業務相手や友人等の外線番号である。また、設定情報は、特定の情報に限定される必要はなく、例えば、氏名、会社名、自分との関係等である。
【0055】
図12に、共有電話帳格納部442に格納されるテーブル情報の例を示す。図12に示すように、共有電話帳格納部442には、ユーザIDとグループIDとを対応付けたテーブル情報(a)と、グループID毎に電話帳情報を有するテーブル情報(b)が格納されている。着信時情報取得部41は、テーブル情報(a)を参照してユーザIDからグループIDを取得し、当該グループIDに対応するテーブル情報(b)における該当グループの電話帳情報を検索する。すなわち、ユーザは、自分の所属するグループの電話帳のみを利用可能である。なお、テーブル情報(a)とテーブル情報(b)を一体として構成してもよい。
【0056】
ここでのグループは、例えば、ユーザ端末10のユーザが属する会社の営業部、開発部等の部署単位であるが、これに限られるわけではない。また、電話番号は、例えば、該当部署の取引先の外線番号であり、設定情報は、例えば、氏名、会社名、役職等である。
【0057】
図13に、社内電話帳格納部443に格納されるテーブル情報の例を示す。図13に示すように、本例の社内電話帳格納部443には、ユーザ端末10のユーザが属する会社の社員に割り当てられている社内の電話番号(内線番号、外線番号)毎に、設定情報が格納されている。設定情報は、本例では、氏名、所属部署名、役職である。また、例えば、図13の電話番号3で例示しているように、電話番号が代表番号である場合、当該代表番号に該当する複数人の設定情報が格納される。なお、個人電話帳格納部441、共有電話帳格納部442、社内電話帳格納部443のいずれにおいても、1つの電話番号に対して格納される設定情報は1つ(1レコード)とは限らず、複数であってもよい。
【0058】
図10に戻り、ステップ12において、着信時情報取得部41は、ユーザIDと発信元電話番号(電話番号A)を用いて個人電話帳格納部441を検索する。すなわち、発信者情報取得部41は、個人電話帳格納部441において、当該ユーザIDに対応する個人の電話帳情報のみを発信元電話番号(電話番号A)を用いて検索する。当該発信元電話番号(電話番号A)と同じ電話番号を検出できた場合(個人の電話帳情報に電話番号Aが含まれていた場合)はステップ15に進み、検出できなかった場合はステップ13に進む。
【0059】
ステップ13では、着信時情報取得部41は、ユーザIDと、発信元電話番号(電話番号A)を用いて共有電話帳格納部442を検索する。すなわち、発信者情報取得部41は、共有電話帳格納部442において、上記ユーザIDに対応するグループIDをテーブル情報(a)から取得し、当該グループIDに対応するグループの電話帳情報のみを発信元電話番号(電話番号A)を用いて検索する。当該発信元電話番号(電話番号A)と同じ電話番号を検出できた場合(グループの電話帳情報に電話番号Aが含まれていた場合)はステップ15に進み、検出できなかった場合はステップ14に進む。
【0060】
ステップ14では、着信時情報取得部41は、発信元電話番号(電話番号A)を用いて社内電話帳格納部443を検索する。当該発信元電話番号(電話番号A)と同じ電話番号を検出できた場合(電話帳情報に電話番号Aが含まれていた場合)はステップ15に進む。検出できなかった場合は、例えば、発信元電話番号(電話番号A)に該当する情報がなかった旨の情報をユーザ端末10に通知する。
【0061】
ステップ15において、着信時情報取得部41は、検出された電話番号に対応する設定情報を該当の格納部から取得し、ユーザ端末10に表示するための着信時情報を作成する。例えば、検出された電話番号に対応する設定情報が1つであれば、電話番号と設定情報を対にした情報を着信時情報とする。また、検出された電話番号に対応する設定情報が複数であれば、電話番号と複数設定情報からなるリストとが着信時情報となる。設定情報が複数である場合とは、例えば、電話番号が代表番号である場合等である。なお、着信時情報の中に電話番号を含めることは必須ではない。
【0062】
また、着信時情報取得部41は、社内電話帳格納部443で検索がヒットし、社内電話帳格納部443から設定情報を取得して着信時情報を作成する場合は、着信時情報の中に、社員からの発信であることを示す情報を含めるようにしてもよい。また、社内電話帳格納部443以外の格納部から設定情報を取得して着信時情報を作成する場合は、社外からの発信であることを示す情報を含めるようにしてもよい。また、個人電話帳格納部441、共有電話帳格納部442、社内電話帳格納部443の各々において、設定情報の項目として社員か非社員かを示す項目を設けることにより、着信時情報取得部41は、当該項目の情報で社員/非社員を識別して、社員/非社員の情報を着信時情報に含めるようにしてもよい。
【0063】
続いて、ステップ16では、着信時情報取得部41は、ネットワーク通信部46を介して、作成した着信時情報をユーザ端末10に送信する。
【0064】
着信時情報を受信したユーザ端末10において、アプリケーション部12が、表示部14上に着信時情報を表示する。これにより、ユーザ端末10には、発信者の電話番号、設定情報(例えば、氏名、会社名、役職等)、社員からの発信か否かを示す情報等が表示される(ステップ17)。
【0065】
続いて、ユーザが、ユーザ端末10で受話操作(例えば、表示部14上で応答ボタンにタッチする操作)を行うことにより(ステップ18)、応答信号が発信元端末21に送られ(ステップ19)、通話が行われる(ステップ20)。
【0066】
なお、上記の例では、電話帳格納部44は、個人電話帳格納部441、共有電話帳格納部442、社内電話帳格納部443を含み、順番に検索を行うこととしていたが、これは一例に過ぎない。例えば、電話帳格納部44に、電話番号と設定情報を対応付けた電話帳情報を格納し、発信元電話番号に基づき当該電話帳情報を検索することとしてもよい。第2の実施の形態でも同様である。
【0067】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0068】
(システム構成)
第2の実施の形態に係るシステムの全体構成は第1の実施の形態と同じであり、図1に示したとおりである。ただし、各装置の機能が第1の実施の形態と異なるので、第2の実施の形態では、参照符号をユーザ端末210、呼制御装置250、着信時情報提供装置240としている。
【0069】
本実施の形態に係る呼制御装置250は、後述するサーバ発呼や通信の接続を行うサーバ発呼通信機能を含む。サーバ発呼通信機能自体は既存技術である。
【0070】
図14に本実施の形態に係るユーザ端末210の機能構成図を示す。図14に示すように、ユーザ端末210のアプリケーション部212の中に、サーバ発呼要求部2121を含む点で第2の実施の形態のユーザ端末10と異なる。それ以外の各部の機能は第1の実施の形態と同様である。
【0071】
サーバ発呼要求部2121は、ユーザIDと発信先電話番号を含むサーバ発呼要求を着信時情報提供装置240に送信する機能を有する。
【0072】
図15に、着信時情報提供装置240の機能構成図を示す。図15に示すように、着信時情報提供装置240は、着信時情報取得部241、ユーザ認証部242、電話帳設定部243、電話帳格納部244、ユーザ情報格納部245、ネットワーク通信部246、サーバ発呼要求処理部247、サーバ発呼情報格納部248、サーバ発呼元電話番号リスト格納部249を備える。
【0073】
図15に示すように、第2の実施の形態の着信時情報提供装置240では、第1の実施の形態の着信時情報提供装置40における転送呼着信情報作成部47、転送呼着信情報格納部48、転送発信元電話番号リスト格納部49に変えて、サーバ発呼要求処理部247、サーバ発呼情報格納部248、サーバ発呼元電話番号リスト格納部249が備えられている。サーバ発呼要求処理部247は、ユーザ端末210から受信するサーバ発呼要求に係るユーザIDと発信先電話番号とを対応付けてサーバ発呼情報格納部248に格納する機能部である。図16に、サーバ発呼情報格納部248に格納されるテーブル情報例を示す。
【0074】
また、本実施の形態におけるユーザ情報格納部245には、ユーザID、パスワードとともに、当該ユーザIDに対応する端末の電話番号(サーバ発呼要求の発信元電話番号)を格納している。サーバ発呼要求処理部247は、ユーザIDに基づきユーザ情報格納部245から発信元電話番号を取得し、当該発信元電話番号及び発信先電話番号を含むサーバ発呼要求を呼制御装置250に送信する機能を備える。
【0075】
呼制御装置250にはサーバ発呼用に複数の回線が設定されており、サーバ発呼元電話番号リスト格納部249には、当該回線の電話番号(呼制御装置250の電話番号)のリストが格納されている。図17に、サーバ発呼元電話番号リスト格納部249に格納されるテーブル情報の一例を示す。
【0076】
上記以外の各機能部の機能については、第1の実施の形態における着信時情報提供装置40の対応する機能部の機能と同様である。
【0077】
図15に示した着信時情報提供装置240は、記憶装置及びCPUを備える一般的なコンピュータに、各機能部に対応する処理を行うためのプログラムを搭載することにより実現できる。当該プログラムは、メモリやディスク等の記録媒体から上記コンピュータにインストールしてもよいし、ネットワーク上のサーバから上記コンピュータにダウンロードし、インストールすることとしてもよい。
【0078】
また、着信時情報提供装置240の各機能部は、1つのコンピュータ内に備える必要はなく、例えば、全機能部のうちの1つ又は複数の機能部を有するコンピュータを、複数個ネットワーク接続した構成を、着信時情報提供装置240として用いてもよい。例えば、電話帳格納部244をデータベースサーバとして着信時情報提供装置240とは別のコンピュータで構成し、これらをネットワーク接続した構成を採用してもよい。
【0079】
(システムの動作)
以下、図18、19に示すシーケンス図に沿って、第2の実施の形態に係る着信時情報表示システムの動作を説明する。以下では、発信先端末201の電話番号が電話番号Aであり、サーバ発呼元電話番号が電話番号Bであり、発信元(サーバ発呼要求元)となるユーザ端末210の電話番号が電話番号Cであるものとして説明を行う。
【0080】
まず、ユーザ端末210からサーバ発呼要求が着信時情報提供装置240に送信される(ステップ201)。このサーバ発呼要求には、ユーザIDと発信先電話番号(電話番号A)が含まれる。なお、このサーバ発呼要求は、着信時情報提供装置240へのログイン要求を含むものであってもよい。サーバ発呼要求に係る発信先電話番号(電話番号A)は、ユーザがユーザ端末210に入力したものでもよいし、ユーザ端末210が着信時情報提供装置240から取得し、表示する電話帳情報の中からタッチ又はクリックにより選択されたものでもよい。
【0081】
サーバ発呼要求を受信した着信時情報提供装置240におけるサーバ発呼要求処理部247は、サーバ発呼要求に係るユーザIDと発信先電話番号(電話番号A)とをサーバ発呼情報格納部248に格納する(ステップ202)。そして、サーバ発呼要求処理部247は、ユーザ情報格納部245から、サーバ発呼要求に係るユーザIDに対応する発信元電話番号(本実施の形態ではユーザ端末10の電話番号C)を取得し、当該発信元電話番号(電話番号C)と発信先電話番号(電話番号A)を含むサーバ発呼要求を呼制御装置250に送信する(ステップ203)。
【0082】
サーバ発呼要求を受信した呼制御装置250は、ユーザ端末10への発呼(サーバ発呼機能による発呼)を行う。すなわち、発信元を呼制御装置250の電話番号(電話番号B)とし、発信先をユーザ端末210の電話番号Cとした電話発信信号が送信される(ステップ204)。
【0083】
発信元電話番号(電話番号B)を含む電話発信信号を受信したユーザ端末210の電話機能部213は、ユーザに着信を知らせるとともに、発信元電話番号(電話番号B)を含む着信イベント情報(発信元電話番号そのものが着信イベント情報であってもよい)をアプリケーション部212に渡し、着信イベント情報を受けたアプリケーション部212は、発信元電話番号(電話番号B)と、ログイン情報格納部215から取得したユーザID及びユーザパスワードとを含む着信時情報要求を生成し(ステップ205)、着信時情報要求を着信時情報提供装置240に送信する(ステップ206)。
【0084】
着信時情報要求を受信した着信時情報提供装置240において、ユーザ認証部242が着信時情報要求に含まれるユーザID及びユーザパスワードを用いてユーザ認証を行う(ステップ207)。本例ではユーザ認証に成功したものとし、ステップ208に進む。なお、ユーザ認証に成功しなかった場合は、例えば、エラーメッセージがユーザ端末210に返される。
【0085】
ステップ208において、着信時情報取得部241が、着信時情報要求に含まれている発信元電話番号(電話番号B)をキーにしてサーバ発呼元電話番号リスト格納部249を検索し、サーバ発呼元電話番号リスト格納部249に当該発信元電話番号(電話番号B)と同じ電話番号が存在するか否かを判定する。本実施の形態では、サーバ発呼元電話番号リスト格納部249に当該発信元電話番号(電話番号B)と同じ電話番号が存在するものとし、ステップ209に進む。
【0086】
ステップ209において、着信時情報取得部241は、ユーザIDを用いてサーバ発呼情報格納部248を検索し、当該ユーザIDに対応する発信先電話番号(電話番号A)を取得する。この発信先電話番号(電話番号A)をキーとして、ステップ210以降において、検索、着信時情報の取得及び送信の処理等が行われる。なお、ステップ209において、サーバ発呼元電話番号リスト格納部249に当該発信元電話番号(電話番号B)と同じ電話番号が存在しなかった場合は、着信時情報要求に含まれている発信元電話番号に基づき同様の検索が行われる。
【0087】
ステップ210〜216の処理は、第1の実施の形態におけるステップ12〜18と同じである。ただし、本実施の形態では、着信時情報として、ユーザ端末210で発信先として指定した発信先の情報が表示されることになる。また、ステップ213で作成する着信時情報として、サーバ発呼であることを示す情報を含め、ステップ215において、表示情報としてサーバ発呼に係る着信である旨の説明を含む情報を表示してもよい。
【0088】
ステップ216にて受話操作が行われると、応答信号が呼制御装置250に返される(ステップ217)。呼制御装置250は、発信先端末201への電話発信を行い(ステップ218)、発信先端末201からの応答信号を受信する(ステップ219)。この時点で、呼制御装置250とユーザ端末210間、及び呼制御装置250と発信先端末201間のそれぞれで通話路が設定され、呼制御装置250がこれらの通話路を接続することにより、ユーザ端末210と発信先端末201間での通話が行われる(ステップ220)。
【0089】
<その他の実施形態>
これまで、第1の実施の形態と第2の実施の形態とを分けて説明したが、着信時情報提供装置(40、240)が、第1の実施の形態と第2の実施の形態の両方の機能を備えてもよい。すなわち、例えば、着信時情報提供装置40における転送呼着信情報作成部47が、サーバ発呼要求処理部247の機能を更に備え、転送呼着信通知を受けた場合に第1の実施の形態での動作を行い、サーバ発呼要求を受信した場合に第2の実施の形態での動作を行うようにする。この場合、転送呼着信情報格納部48はサーバ発呼情報格納部248を兼ねるとともに、転送発信元電話番号リスト格納部49はサーバ発呼元電話番号リスト格納部249を兼ねる。ただし、転送呼着信情報格納部48(サーバ発呼情報格納部248)にユーザIDと電話番号を格納するときに、転送呼かサーバ発呼かを区別するためのフラグをユーザIDに対応付けて格納することとする。また、転送呼着信情報格納部48(サーバ発呼情報格納部248)に格納された情報は、着信時情報提供後に削除する。なお、転送呼着信情報格納部48(サーバ発呼情報格納部248)は、イベント情報保持手段と称することができる。
【0090】
着信時情報要求を受信したときの着信時情報取得部(41、241)の動作は、転送呼の場合とサーバ発呼の場合とで共通である。すなわち、着信時情報要求に含まれるユーザID、パスワードで認証を行った後、着信時情報要求に含まれる電話番号で転送発信元電話番号リスト格納部49(サーバ発呼元電話番号リスト格納部249)を検索し、電話番号が検出された場合に、ユーザIDに基づき転送呼着信情報格納部48(サーバ発呼情報格納部248)からフラグと電話番号を取得し、当該電話番号をキーにして電話帳情報の検索を行う。なお、着信時情報取得部(41、241)は、取得したフラグに基づき、ユーザ端末に提供する着信時情報の中に、転送呼もしくはサーバ発呼である旨の情報を含めることができる。
【0091】
着信時情報提供を行う契機となるイベントは、転送、サーバ発呼に限られるわけではなく、他のイベントを契機として、第1、第2の実施の形態の動作と同様の動作を行って着信時情報提供を行うようにしてもよい。
【0092】
すなわち、本発明の一実施形態に係る着信時情報提供装置は、電話番号と設定情報とを対応付けた電話帳情報を格納した電話帳格納手段と、所定のイベントの発生を契機として、当該所定のイベントに関わる電話番号と前記ユーザ端末のユーザIDとを取得し、これらを対応付けてイベント情報保持手段に格納するイベント情報処理手段と、前記所定のイベントの発生を契機として、発信元電話番号を含む電話発信信号の着信を受けた前記ユーザ端末から、当該ユーザ端末のユーザIDと当該発信元電話番号とを含む着信時情報要求を受信する着信時情報要求受信手段と、前記着信時情報要求に含まれる前記発信元電話番号が呼制御装置の電話番号である場合に、前記着信時情報要求に含まれる前記ユーザIDに対応する電話番号を前記イベント情報保持手段から取得し、当該電話番号を検索キーとして、前記電話帳情報を検索し、当該電話番号に対応する設定情報を取得し、当該設定情報を含む着信時情報を前記ユーザ端末に送信する手段と、を備える装置として構成される。
【0093】
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0094】
10、210 ユーザ端末
20 電話網
30 ネットワーク
40、240 着信時情報提供装置
50、250 呼制御装置
11、211 無線通信機能部
12、212 アプリケーション部
2121 サーバ発呼要求部
13、213 電話機能部
14、214 表示部
15、215 ログイン情報格納部
21 発信元端末
201 発信先端末
41、241 着信時情報取得部
42、242 ユーザ認証部
43、243 電話帳設定部
44、244 電話帳格納部
45、245 ユーザ情報格納部
46、246 ネットワーク通信部
47 転送呼着信情報作成部
48 転送呼着信情報格納部
49 転送発信元電話番号リスト格納部
247 サーバ発呼要求処理部
248 サーバ発呼情報格納部
249 サーバ発呼元電話番号リスト格納部
51 対端末通信部
52 ネットワーク通信部
53 転送処理部
54 転送番号情報格納部
55 転送呼着信通知部
56 ユーザ情報格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼制御装置を備える電話網を介して電話通信を行う電話通信機能を備えたユーザ端末とネットワークを介して接続される着信時情報提供装置であって、
電話番号と設定情報とを対応付けた電話帳情報を格納した電話帳格納手段と、
所定のイベントの発生を契機として、当該所定のイベントに関わる電話番号と前記ユーザ端末のユーザIDとを取得し、これらを対応付けてイベント情報保持手段に格納するイベント情報処理手段と、
前記所定のイベントの発生を契機として、発信元電話番号を含む電話発信信号の着信を受けた前記ユーザ端末から、当該ユーザ端末のユーザIDと当該発信元電話番号とを含む着信時情報要求を受信する着信時情報要求受信手段と、
前記着信時情報要求に含まれる前記発信元電話番号が前記呼制御装置の電話番号である場合に、前記着信時情報要求に含まれる前記ユーザIDに対応する電話番号を前記イベント情報保持手段から取得し、当該電話番号を検索キーとして、前記電話帳情報を検索し、当該電話番号に対応する設定情報を取得し、当該設定情報を含む着信時情報を前記ユーザ端末に送信する手段と、
を備えることを特徴とする着信時情報提供装置。
【請求項2】
前記所定のイベントは、前記呼制御装置が発信元端末の電話番号を発信元電話番号とする第1の電話発信信号を、当該呼制御装置の電話番号を発信元電話番号とする第2の電話発信信号に変換して前記ユーザ端末に転送する転送イベントであり、
前記イベント情報処理手段は、前記第1の電話発信信号を受信した前記呼制御装置から、当該第1の電話発信信号における発信先電話番号に対応する前記ユーザIDと当該第1の電話発信信号における発信元電話番号とを含む転送呼着信通知を受信し、当該転送呼着信通知から、前記所定のイベントに関わる電話番号としての当該発信元電話番号と前記ユーザIDとを取得して、前記イベント情報保持手段に格納し、
前記着信時情報要求受信手段は、前記第2の電話発信信号を受信した前記ユーザ端末から、前記ユーザIDと当該第2の電話発信信号における前記発信元電話番号とを含む着信時情報要求を受信する
ことを特徴とする請求項1に記載の着信時情報提供装置。
【請求項3】
前記所定のイベントは、前記ユーザIDと発信先電話番号とを含むサーバ発呼要求指示を前記ユーザ端末から受信し、当該ユーザ端末の電話番号と前記発信先電話番号とを含むサーバ発呼要求を前記呼制御装置に送信するサーバ発呼イベントであり、
前記イベント情報処理手段は、前記サーバ発呼要求指示から前記ユーザIDと前記所定のイベントに関わる電話番号としての前記発信先電話番号とを取得して、前記イベント情報保持手段に格納し、
前記着信時情報要求受信手段は、前記サーバ発呼要求に基づき前記呼制御装置から発信された電話発信信号を受信した前記ユーザ端末から、前記ユーザIDと当該電話発信信号における前記発信元電話番号とを含む着信時情報要求を受信する
ことを特徴とする請求項1に記載の着信時情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−13020(P2013−13020A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145855(P2011−145855)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000102717)エヌ・ティ・ティ・ソフトウェア株式会社 (43)
【Fターム(参考)】