説明

着信通知機能付き電子メールシステム

【課題】 パソコン通信を含むダイアルアップによる電子メールの利用者に、インターネットワーク接続業者やパソコン通信業者にコンピュータを接続することなく、電子メールの着信通知を携帯電話機,PHS,ポケットベル,ページャなどにリアルタイムに通知することを可能にする。
【解決手段】 メールボックス31に格納される新着メール23を定期的に調べ新着メール受信者に差出人データベース6と比較して、差出人のアドレス及び主題に含まれるキーワードに一致するメールのみを抽出し、そのメッセージID,差出人のアドレスなどを新着メールデータベース11として作成し、発信部12は別名管理データベース7と通知情報設定データベース8とを比較して、通知手段と通知内容を決定し、その通知手段により利用者に新着メールがあることを通知する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は着信通知機能付き電子メールシステムに関し、特に、インターネットおよびパソコン通信における着信通知機能付き電子メールシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のインターネットおよびパソコン通信を利用した着信通知機能付き電子メールシステムは、例えば特開平4−362826号公報に記載された電子メールの着信通知システムに示されるように、ログインしていない端末や、身辺に端末がなく、また端末を複数ユーザで共有している場合でも、ユーザにメールの到着を知らせる目的で用いられている。
【0003】図12は、上記の従来の電子メールの着信通知システムの構成を示すブロック図である。このシステムは、セクション50,51が会社の「部」や「課」等を示しており、このセクション50,51,・・・毎に、それぞれワークステーション等のメール通信機能を備えた複数の端末61,71が設けられ、これらの端末61,71が伝送路55を介して接続されてイーサネット式のバス型LANを構成している。また、各セクション50,51,・・・には少なくとも一台の端末がメールサーバ60,70として設けられ伝送路に接続されると共に、各セクション50,51,・・・の構成人員毎に複数の表示機能付き電話機62,72が設けられている。これらの電話機62,72は構内交換機(PBX)52を介して公衆網56と接続されている一方、構内交換機52はLANを構成する伝送路55に交換機制御端末53を介して接続されている。交換機制御端末53は交換機制御機能を有し、構内交換機52へ各電話機62,72への接続指示を送出すると共に、交換機通信プログラムを実行して各電話機62,72に音声出力およびメッセージ表示の処理を行わせる。なお、伝送路55には上記端末の他に、このLAN全体の制御および管理を行うドメイン管理端末54が接続されてこのシステムが構築されている。
【0004】次に、上述した従来の着信通知機能付き電子メールシステムの動作について図12を参照して説明する。図12において、各セクション50,51内、あるいはセクション50,51の端末間でメール通信が行われており、セクション50の端末61宛に送られてきたメールはメールサーバ60に、セクション51の端末71宛に送られてきたメールはメールサーバ70にスプールされている。その際、メールサーバ60,70は着信したメールの有無を調べ、メールが有る場合には、新しいメールであるか否かを前回判断時から今回のこの判断時までの間にスプールされているメールのサイズが大きくなっているか否かの判断により行う。新しいメールがあると判断した場合には、そのメールに対応する電話機の有無を判断し、対応する電話機が無いと判断した場合には、メールの通知を行えないのでそこでその通知処理を終了するが、電話機が有ると判断された場合には、メールサーバ60,70が交換機制御端末53に対して電話機の状態を問い合わせる要求を出力し、交換機制御端末53からのレスポンスを受信して電話機の状態を判断する。
【0005】その際、電話機の状態が、例えば電話中などのためにメッセージ通知不可の場合には、メールが無い場合と同様に、一定時間ウェイトをかけて最初へ戻り、前述の判断処理を繰り返す。なお、ここではメッセージ通知不可の場合として電話中を例にとったが、電話中でも表示部の表示などによりメッセージを送ることは可能であり、これに対して、メッセージ表示可能の場合には、交換機制御端末53に電話機の音声出力を要求し、電話機の音声出力処理により新しいメールの着信をユーザに通知し、交換機制御端末53に電話機のメッセージ表示を要求し、電話機の表示部にメッセージを表示する。
【0006】一方、メールサーバ60,70にスプールされているメールは新しいメールではなく、すでに電話機の音声出力処理が一回なされ、新しいメールではないと判断された場合には、音声出力処理は行わずに電話機にメッセージを表示する。
【0007】また、他の従来例として、特開平8−97854号公報に示されるように、専用の通信機能付携帯端末装置とデータ自動配信システムを用いて、ユーザ宛に届いた電子メールやデータファイルなどの内容を即時に確認して迅速な情報交換を図れるようにする技術もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来例では、電子メールを日常的に利用する利用者は、1日数十通から100通前後の電子メールを受信しており、これら全てを携帯電話やページャに通知することはかえって利便性を損ねてしまう。従って、電子メールの内容にかかわらず、全ての着信の通知を行ってしまうという問題を有する。
【0009】また、携帯電話,ページャ,ポケットベル,携帯情報端末(これらを以後、携帯式装置と呼ぶ)の中でも種類が豊富で、その情報伝達能力も様々であり従来例では利用者の多岐にわたる利用形態に対応できず汎用性を欠き、各種装置が普及しているにもかかわらず、サービスに応じて対応する製品の購入を利用者に強いてしまう。従って、電子メールを特定の限られた種類のページャや携帯情報端末にしか通知もしくは本文の転送を行うことができないという問題も有する。
【0010】そこで、本発明の目的は、電子メールの着信を利用者の携帯式装置に即時に通知できる電子メールシステムを提供することにある。
【0011】また、本発明の他の目的は、到着した電子メールを必要に応じて選別し、緊急度の高い電子メールだけを着信通知する電子メールシステムを提供することにある。
【0012】さらに、本発明の他の目的は電子メールの着信通知用機器に、携帯電話機,PHS,ポケットベル,ページャのいずれでも利用でき、かつ、それらの機器の情報伝達能力に応じて通知する情報および手段を利用者がいつでも自由に変更することができる電子メールシステムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の着信通知機能付き電子メールシステムは、利用者のコンピュータで動作するインターネット閲覧ソフトウェアもしくは通信端末装置からの要求を公衆通信網を経由して受け、携帯式装置に電子メールを発信する着信通知機能付き電子メールシステムにおいて、要求を受けた際、利用者の認証を行う認証処理部と、利用者の契約者データベースと、要求を受け付けるコマンド処理部と、要求に従い電子メールの受信を知らせる対象となる差出人を登録する差出人データベースと、差出人の別名を管理する別名管理データベースと、電子メールの到着を伝える利用者の電話番号,通知手段,通知内容を設定する通知情報設定データベースと、利用者の携帯式装置毎の情報伝達能力をデータベース化した携帯式装置仕様データベ−スと、電子メールを一時的に格納するメールボックス内の受信メールを確認する電子メール受信確認部と、受信メール確認部による確認により呼び出され新着メールを登録する新着メールデータベースと、新着メールデータベースを作成する新着メールデータベース作成部と、新着メールデータベースに従って利用者の携帯式装置に発呼しメッセージを送る発信部とを備えたことを特徴とする。
【0014】また、差出人データベースが、携帯式装置に通知すべき電子メールの差出人を電子メールのアドレスとキーワードとにより特定するのが好ましい。
【0015】さらに、電子メールのアドレスを、複数指定することもワイルドカード記号を用いて冗長性をもたせることもでき、また、キーワードと併用することにより通知すべき電子メールをさらに限定することができるのが好ましい。
【0016】またさらに、別名管理データベ−スが、差出人を分かりやすく通知するために、差出人のメールアドレスを漢字に変換したり、または、数字しか表示できない携帯式装置のためにメールアドレスを意味のある数字に変換したデータを持つのが好ましい。
【0017】また、携帯式装置仕様データベースが、各種携帯式装置の機種毎に異なる仕様をあらかじめデータベース化しておき、利用者に選択させる情報を限定しメニュー化することにより、操作性を向上させ、かつ、利用者による誤った設定を最小限に止めるのが好ましい。
【0018】さらに、通知情報設定データベースが、通知手段として、ASCII文字,漢字,音声,単に発信のみのいずれかを設定でき、音声を設定した場合には、利用者が好みの音声のタイプを指定設定することができるのが好ましい。
【0019】またさらに、新着メールデータベースが、メールボックスに到着した電子メールの一部、すなわち、メッセージID,差出人のアドレス,日付,主題,本文の一部,レコードの状態の少なくとも一つを持つのが好ましい。
【0020】また、レコードの状態が、利用者に電子メールの着信を通知した後に設定する通知完了状態を含むのが好ましい。
【0021】また、発信部が、メールボックスと新着メールデータベースとを定期的に調べ比較するのが好ましい。
【0022】本発明は、特に、インターネットおよびパソコン通信の電子メール利用者に配達された電子メールを、携帯式装置を用いて、電子メールの到着と発信者の電子メールアドレスおよび電子メールの主題および本文などを利用者の携帯装置にその情報伝達能力に合わせて通知内容と通知手段の通知情報に応じたデータベースを設け、それに従って利用者がリアルタイムに確認できるように電子メールの受信確認部と、その新着メールをデータベース化するデータベース作成部と、利用者に新着メールの通知を行う発信部とを設けることにより業者の電子メールシステムに電子メールの着信通知機能を付加することができる。
【0023】これにより利用者は自分のコンピュータで動作するインターネット閲覧ソフトウェアもしくは通信端末装置から、携帯式装置の電話番号を設定でき、発信音か文字情報か音声情報として通知するかを設定でき、通知の対象となる電子メールの差出人を指定でき、差出人の電子メールアドレスを簡略化したり所属氏名に変換したり音声に変換するように別名の指定ができ、音声の種類が選択できる。
【0024】電子メールの着信を普及が急速に進んでいる種々の仕様の携帯電話機,PHS,ポケットベル,ページャに対し通知ができるように、各種装置の仕様データベースを用意し、その仕様の範囲で利用者に通知手段と通知データを指定できるようにする。
【0025】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0026】図1は本発明の着信通知機能付き電子メールシステムの構成および環境を示すブロック図である。このシステムは、利用者のコンピュータで動作するインターネット閲覧ソフトウェア20または通信端末装置21からの要求を公衆通信網22を経由して受け、携帯式装置40に電子メールを発信するシステムである。その構成としては、利用者の認証を行う認証処理部2と、その利用者の契約者データベース3と、その利用者の要求を受け付けるコマンド処理部4と、その要求に従い電子メールの受信を知らせる対象となる差出人を登録する差出人データベース6と、その別名を管理する別名管理データベース7と、電子メールの到着を伝える利用者の電話番号,通知手段,通知内容を設定する通知情報設定データベース8と、利用者の携帯式装置毎の情報伝達能力をデータベース化した携帯式装置仕様データベ−ス5と、配達された電子メールが従来の電子メール集配信部30に受信され一時的に格納されるメールボックス31と、このメールボックス31に対して受信メールの到着を確認する電子メール受信確認部9と、その結果により呼び出されて新着メールを登録する新着メールデータベース11と、新着メールデータベース11を作成する新着メールデータベース作成部10と、新着メールデータベース11に従って利用者の携帯式装置40に発呼しメッセージを送る発信部12を備える。
【0027】次に、各部の機能について詳細に説明する。携帯式装置仕様データベース5は、各種携帯式装置40の機種毎に異なる仕様をあらかじめデータベース化しておき、利用者に選択させる情報を限定しメニュー化することにより、操作性を向上させ、かつ、利用者による誤った設定を最小限に止める。差出人データベース6は、携帯式装置40に通知すべき電子メールの差出人をその電子メールアドレスとキーワードで特定する。この電子メールアドレスは、複数指定することもワイルドカード記号を用いて冗長性をもたせることもでき、またキーワードと併用することにより通知すべき電子メールをさらに限定することができる。別名管理データベ−ス7は、電子メールの差出人を分かりやすく通知するために差出人のメールアドレスを漢字に変換したり、また数字しか表示できない携帯式装置のためにメールアドレスを意味のある数字に変換したデータ等を持たせる。通知情報設定データベース8は、電子メールの到着を通知すべき利用者の携帯式装置の電話番号および携帯式装置に送信すべきデータの種類および情報の伝達手段、すなわちASCII文字,漢字,音声,単に発信のみのいずれかを設定でき、音声を設定した場合には、利用者が好みの音声のタイプを指定設定することができる。新着メールデータベース11は、メールボックス31に到着した電子メールの一部、すなわち、メッセージID,差出人のアドレス,日付,主題,本文の一部,レコードの状態などを持ち、このレコードの状態には、利用者にメールの着信を通知した後に通知完了状態として設定することができる。利用者にはメールの到着は通知しても電子メールそのものはまだ未読状態なので、メールボックス31とは別にする必要がある。時折、利用者が電子メールの着信通知よりも先に電子メールを読み取ってしまう場合があり、そのときはメールボックス31から電子メールが削除されてしまうので、発信部12は定期的にメールボックス31と新着メールデータベース11とを比較する。
【0028】図2は、図1の契約者データベース3の構成を示す図である。契約者データベース3は、利用者の口座であるユーザ名510と、それに一意に対応しコンピュータ処理上必要なユーザID500と、暗号化されたパスワード520とからなる。
【0029】図3は、図1の携帯式装置仕様データベース5の構成を示す図である。携帯式装置仕様データベース5は、携帯式装置のタイプ600と、製品固有の名称もしくは指定番号である型式610と、メーカ620もしくは通信事業者の名前630と、その携帯式装置の情報伝達能力とからなる。情報伝達能力は、携帯式装置に表示できるASCIIの文字数640,漢字文字数650,発信音出力の有無660,音声出力の有無670などを持つ。
【0030】図4は、図1の差出人データベース6の構成を示す図である。差出人データベース6は、図2の契約者データベース内のユーザID500のコピー700と、電子メールの到着を通知する差出人の電子メールアドレスと、主題で使用されるキーワード730とからなり、電子メールアドレスは、アドレスa710,アドレスb720,・・・などと複数指定することができる。このアドレスには正式なアドレスの他に、全ての差出人を示すall,ワイルドカードを用いた冗長性のあるアドレスの書き方が許容される。たとえば、アドレスa710で*@zzz.co.jpと指定した場合には、組織zzz.co.jpからの全てのメールユーザを許容する。またキーワード730は電子メールの主題と比較され、着信通知を行う電子メールを限定するために使用する。
【0031】図5は、図1の別名管理データベース7の構成を示す図である。別名管理データベース7は、図2のユーザID500のコピー800と、図4の通知する差出人の電子メールアドレスa710,電子メールアドレスb720のコピー810と、それに対応する別名820とからなる。この別名管理データベース7は、差出人の電子メールアドレスの別名を管理する。別名820は携帯式装置の表示能力に応じて使用され、例えば数字しか表示能力のないポケットベルにおいては意味のある数字を利用者に指定させる。また、図4のアドレスa710で指定した冗長な電子メールアドレス*@zzz.co.jpは、別名としてその組織名、たとえば株式会社ZZZを指定することができる。
【0032】図6は、図1の通知情報設定データベース8の構成を示す図である。通知情報設定データベース8は、図2のユーザID500のコピー900と,利用者の携帯式装置への電話番号である呼出番号910と、差出人の電子メールアドレスの通知の有無920と、おなじく主題の通知の有無930と、本文の通知の有無940と、本文を通知する場合の文字数である文字長950と、それらの通知方法が音声による通知か文字による通知かを示すタイプ960と、別名の設定の有無970と、音声による通知の場合の音声のタイプ980とからなる。この通信情報設定データベース8は、利用者の携帯式装置の発呼および送信データの形式を指定する。電子メールアドレス920から音声のタイプ980までは、携帯式装置に送信するデータを有する。電子メールの文字データを音声に変換する際には従来の技術を利用し、電子メールの本文にMIME音声データが添付されている場合にはそのままMIMEをエンコードして利用する。MIMEとはMultipurpose Internet Mail Extensionsの略であり、音声や画像データを電子メールの本文に添付できる技術である。
【0033】図7は、図1の新着メールデータベース11の構成を示す図である。新着メールデータベース11は、図2のユーザID500のコピー1100と,電子メールのメッセージID1110と,差出人のアドレス1120と,その主題1130と,その電子メールが差し出された日付1140と,その本文の一部1150と,新着メール情報の状態を示す1160とからなる。
【0034】次に、本発明の実施例の動作について、詳細に説明する。
【0035】まず、図1において、受信された電子メール23はメールボックス31に一時保管され、利用者から読み取られることを待つ。着信通知機能付き電子メールシステム1の電子メール受信確認部9が定期的にメールボックス31を確認し、新たな受信メールがあれば利用者に通知すべきメールかどうか差出人データベース6を参照して判断し、該当する電子メールアドレスがあれば新着メールデータベース作成部10を呼び出し、新着メールデータベース11に、利用者のユーザIDと電子メールのメッセージIDと差出人のアドレスと主題と差し出し日と本文の一部とを通知情報設定データベース8の内容に基づき設定する。
【0036】発信部12は定期的に新着メールデータベ−ス11を参照し、新着メールがあれば通知情報設定データベース8から通知先の電話番号と通知手段すなわち発信のみか文字情報による通知か音声による通知かを得て、利用者の携帯式装置40を発呼し、メッセージを送信する。別名管理データベース7に別名が設定されていれば別名で通知する。メッセージの送信に成功すると、発信部12は、新着メールデータベース11から通知済みの新着メール情報の状態を通知済みとする。
【0037】差出人データベース6,別名管理データベース7,通知情報設定データベース8は、利用者による外部からの設定が可能であり、設定を行う場合にはインターネット閲覧ソフトウェア20、もしくは通信端末装置21を利用して公衆通信網22経由で業者のコンピュータ内に設けられた本発明の受信通知機能付き電子メールシステム1に接続すると、認証処理部2が利用者の口座(ユーザID)と暗証番号とを要求し、契約者データベース3を参照して利用者の認証を行う。それが妥当な場合には、まずコマンド処理部4で利用者が所有する携帯式装置の型式を問い合わせ、その型式の製品の情報伝達能力を携帯式装置仕様データベース5を参照して調べ、その能力に応じて質問内容を限定しかつメニュー化し利用者に問い合わせる。利用者が前述のメニューに従って入力した設定内容は、コマンド処理部4により各種データベース6,7,8に設定または更新する。
【0038】図8は、図1の認証処理部2の動作を示すフローチャートである。図1の公衆通信網22を挟んで、利用者のインターネット閲覧ソフトウェア20もしくは通信端末装置21(クライアント)と、本発明の着信通知機能付き電子メールシステム1(サーバ)との間における認証処理部2の働きを示したものである。以下、通信端末21をクライアント,着信通知機能付き電子メールシステム1をサーバと呼ぶ。まず、クライアントが電子メール通知の設定を行いたいときには、サーバに接続要求(ステップ100)を出し、サーバはその接続要求を受入れ(ステップ200)、その後、サーバはクライアントに利用者のユーザ名およびパスワードを要求する(ステップ210)。その要求はクライアントに受信され(110)、クライアントの画面上に表示されこの画面に従いクライアントはユーザ名およびパスワードを入力する(ステップ120)。それをサーバが受信すると(ステップ220)、図2の契約者データベースを参照し登録されているユーザかどうかを比較する(ステップ230,240)。該当者である場合には、ウェルカムメッセージをクライアントに送信し(ステップ250)、クライアントが受信して表示する(ステップ130)。次に、図3のコマンド処理部に移行する。ステップ240で入力されたユーザ名が図4のユーザ名510と一致しなかったり、入力されたパスワードが図4の暗号化されたパスワード520と一致しなかった場合には、ステップ260へ進む。ステップ260では数回までのアクセスの試みは許容するが、一定回数たとえば5回のアクセスの失敗があるとステップ100,200で成立していた回線の接続を断ち、クライアントとサーバ双方に回線の切断警告を発する(ステップ270)。
【0039】図9は、図1のコマンド処理部の動作を示すフローチャートである。上述したステップ130の後、コマンド処理部4に移行するが、コマンド処理部4では、利用者が使用する携帯式装置を選択させるようにそのメニューをクライアントに送信し(ステップ400)、クライアントでは、そのメニューを受信すると(ステップ300)、利用者が電子メールの通知先として使用する携帯式装置の機種をそのメニューに従って選択する(ステップ310)。サーバは、この選択情報を受信し(ステップ410)、クライアントより指示のあった携帯式装置の機種を図3の携帯式装置仕様データベースから抽出し(ステップ420)、機種に応じたメニューを作成して通信方式メニューとしてクライアントに送信する(ステップ430)。クライアントでは、この通信方式メニューを受信後(320)、選択できるパラメータ、たとえば文字数などの許容範囲でしか選択できず、その選択情報をサーバに送信する(330)。クライアントからの入力が完了すると、サーバは入力内容の確認をクライアントに促し(ステップ440)、これに対してクライアントは回答する(ステップ340)。ここで、再入力が必要か否か判断し(ステップ450)、再入力が必要な場合にはステップ430に戻り、不要な場合にはステップ460にて差出人データベース6(図6R>6に示す),別名管理データベ−ス7(図3に示す),通知情報設定データベース8(図6に示す)を更新する。
【0040】図10は、新着電子メールの受信確認部9の動作を示すフローチャートである。新着電子メールの受信確認部9は、5〜6分程の一定時間の後にメールボックス31に新着メールが届いているか確認する(ステップ1000,1010)。ここで、一定時間おいてからメールボックスに確認に行くのは、新着メールが届いた時点で利用者が直に電子メールを利用できる状態にあるにもかかわらず発呼することによる利用者不快感を軽減するためである。新着メールの有無を確認し(ステップ1020)、新着メールがなければ、ステップ1000のタイマに戻る。メールボックス31にて新着メールを確認できたら(ステップ1030)、新着メールデータベース11(図7に示す)の電子メール固有のメッセージIDを比較し登録されているか登録されていないかを判断し(ステップ1040)、そのデータベースに未登録の新着メールに関する情報のみを格納する(ステップ1050)。
【0041】図11は、発信部の動作を示すフローチャートである。発信部12は、新着メールがデータベースに登録されているか確認し(ステップ1200)、その新着メールがメールボックス30にも存在するか否かを確認し(ステップ1210)、存存する場合には発信用データを別名管理データベース7および通知情報設定データベース8から発信用データリストを作成し(ステップ1220)、発呼する(ステップ1230)。話し中の可能性もあるので、接続状態を監視し、必要に応じてリトライを行い再発呼待ちにする(ステップ1240,1280,1290)。メッセージの送信が成功すると(ステップ1250,1260)、新着メールデータベース11から該当レコードを削除する(ステップ1270)。まれに、携帯電話機などの電源を切っている場合など、新着メールの通知より先に利用者が電子メールを読んでしまう場合がある。このときは、新着メールデータベース11に該当レコードが残っているが、メールボックスに電子メールが読み取られて存在しない状態になるので、この場合には即座に該当レコードを新着メールデータベース11から削除する。一方、通知をしても利用者が電子メールを読まない場合にはメールボックスに電子メールが残り続けるため、新着メールの通知が完了してもそのレコードは消さずに残しておき、該当レコードの状態(図10の1160)を通知完了にする。
【0042】
【発明の効果】本発明の着信通知機能付き電子メールシステムは、電子メールの着信通知を現在広く普及している携帯電話,PHS,ポケットベル,ページャを利用して通知できる。従って、パソコン通信を含め、ダイアルアップによる電子メールの利用者に電子メールの着信をリアルタイムに通知でき、迅速なコミュニケーションができるという効果を奏する。
【0043】また、本発明の着信通知機能付き電子メールシステムは、利用者が携帯式装置の機種に応じて自由に設定変更ができるユーザインターフェースがある。従って、電子メールの着信通知を自由に制限および変更ができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の機能構成および動作環境を示すブロック図である。
【図2】図1の契約者データベースの構成を示す図である。
【図3】図1の携帯式装置仕様データベースの構成を示す図である。
【図4】図1の差出人データベースの構成を示す図である。
【図5】図1の別名管理データベースの構成を示す図である。
【図6】図1の通知情報設定データベ−スの構成を示す図である。
【図7】図1の新着メールデータベ−スの構成を示す図である。
【図8】図1の認証処理部の動作を示すフローチャートである。
【図9】図1のコマンド処理部の動作を示すフロチャートである。
【図10】図1の新着電子メールの受信確認部の動作を示すフローチャートである。
【図11】図1の発信部の動作を示すフローチャートである。
【図12】従来の電子メール着信通知システムの一例の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 着信通知機能付き電子メールシステム
2 認証処理部
3 契約者データベース
4 コマンド処理部
5 携帯式装置仕様データベース
6 差出人データベース
7 別名管理データベース
8 通知情報設定データベ−ス
9 電子メール受信確認部
10 新着メールデータベース作成部
11 新着メールデータベ−ス
12 発信部
20 インターネット閲覧ソフトウェア
21 通信端末装置
22 公衆通信網
23 電子メール
30 電子メール集配信部
31 メールボックス
40 携帯式装置
50,51 セクション
52 交換機
53 交換機制御端末
54 ドメイン管理端末
55 伝送路
56 公衆網
70 メールサーバ
61,71 端末
62,72 電話機
100〜270 認証処理部の動作ステップ
300〜460 コマンド処理部の動作ステップ
500〜520 契約者データベースの構成
600〜670 携帯式装置仕様データベースの構成
700〜730 差出人データベースの構成
900〜980 通知情報設定データベース
1000〜1060 電子メール受信確認部の動作ステップ
1100〜1140 新着メールデータベースの構成
1200〜1310 発信部の動作ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】利用者のコンピュータで動作するインターネット閲覧ソフトウェアもしくは通信端末装置からの要求を公衆通信網を経由して受け、携帯式装置に電子メールを発信する着信通知機能付き電子メールシステムにおいて、前記要求を受けた際、前記利用者の認証を行う認証処理部と、前記利用者の契約者データベースと、前記要求を受け付けるコマンド処理部と、前記要求に従い電子メールの受信を知らせる対象となる差出人を登録する差出人データベースと、前記差出人の別名を管理する別名管理データベースと、前記電子メールの到着を伝える利用者の電話番号,通知手段,通知内容を設定する通知情報設定データベースと、前記利用者の前記携帯式装置毎の情報伝達能力をデータベース化した携帯式装置仕様データベ−スと、前記電子メールを一時的に格納するメールボックス内の受信メールを確認する電子メール受信確認部と、前記受信メール確認部による確認により呼び出され新着メールを登録する新着メールデータベースと、前記新着メールデータベースを作成する新着メールデータベース作成部と、前記新着メールデータベースに従って利用者の携帯式装置に発呼しメッセージを送る発信部と、を備えたことを特徴とする着信通知機能付き電子メールシステム。
【請求項2】前記差出人データベースが、前記携帯式装置に通知すべき電子メールの差出人を前記電子メールのアドレスとキーワードとにより特定することを特徴とする、請求項1に記載の着信通知機能付き電子メールシステム。
【請求項3】前記電子メールのアドレスを、複数指定することもワイルドカード記号を用いて冗長性をもたせることもでき、また、前記キーワードと併用することにより通知すべき電子メールをさらに限定することができることを特徴とする、請求項2に記載の着信通知機能付き電子メールシステム。
【請求項4】前記別名管理データベ−スが、前記差出人を分かりやすく通知するために、前記差出人のメールアドレスを漢字に変換したり、または、数字しか表示できない携帯式装置のためにメールアドレスを意味のある数字に変換したデータを持つことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の着信通知機能付き電子メールシステム。
【請求項5】前記携帯式装置仕様データベースが、各種携帯式装置の機種毎に異なる仕様をあらかじめデータベース化しておき、前記利用者に選択させる情報を限定しメニュー化することにより、操作性を向上させ、かつ、利用者による誤った設定を最小限に止めることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の着信通知機能付き電子メールシステム。
【請求項6】前記通知情報設定データベースが、前記通知手段として、ASCII文字,漢字,音声,単に発信のみのいずれかを設定でき、前記音声を設定した場合には、前記利用者が好みの音声のタイプを指定設定することができることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の着信通知機能付き電子メールシステム。
【請求項7】前記新着メールデータベースが、前記メールボックスに到着した電子メールの一部、すなわち、メッセージID,差出人のアドレス,日付,主題,本文の一部,レコードの状態の少なくとも一つを持つことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の着信痛位置機能付き電子メールシステム。
【請求項8】前記レコードの状態が、前記利用者に前記電子メールの着信を通知した後に設定する通知完了状態を含むことを特徴とする、請求項7に記載の着信通知機能付き電子メールシステム。
【請求項9】前記発信部が、前記メールボックスと前記新着メールデータベースとを定期的に調べ比較することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の着信通知機能付き電子メールシステム。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図9】
image rotate


【図10】
image rotate


【図11】
image rotate


【図12】
image rotate