着座状態解析装置及び着座状態解析方法
【課題】着座状態を解析する際に、異物の影響を排除した解析が可能な、着座状態解析装置及び着座状態解析方法を提供すること。
【解決手段】押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域が検出された場合に、その所定量以上に異なる領域と、その領域に対応する対応領域とが、押圧力の分布から除外される。例えば、着座者が臀部ポケットに異物を収納した状態で着座した場合、異物が収納された臀部ポケットは、前記所定量以上に異なる領域となり、対応する対応領域と併せて押圧力の分布から除外される。この処理が施された押圧力の分布に基づいて着座状態を解析することで、異物の影響を排除した着座状態の解析が可能になる。さらに、前記異なる領域と対応する対応領域も押圧力の分布から除外されるので、臀部ポケットを除外した影響も補正される。
【解決手段】押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域が検出された場合に、その所定量以上に異なる領域と、その領域に対応する対応領域とが、押圧力の分布から除外される。例えば、着座者が臀部ポケットに異物を収納した状態で着座した場合、異物が収納された臀部ポケットは、前記所定量以上に異なる領域となり、対応する対応領域と併せて押圧力の分布から除外される。この処理が施された押圧力の分布に基づいて着座状態を解析することで、異物の影響を排除した着座状態の解析が可能になる。さらに、前記異なる領域と対応する対応領域も押圧力の分布から除外されるので、臀部ポケットを除外した影響も補正される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座者の着座状態を解析することが可能なシートに関し、特に着座状態を解析する際に、異物が着座者と椅子との間に介在するかを考慮した解析が可能なシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、椅子の座面に圧力を検知するセンサを設け、着座者の押圧力を検知する技術が、様々な分野で用いられている。例えば、特許文献1では、座席上に設けられた複数の圧力センサ素子からの出力を利用して、着座者の座骨間隔を決定する技術が開示される。特許文献1に開示の技術は、自動車等の乗員に対してエアバッグを動作させる際に、エアバッグの動作を制御するために用いられる。また、特許文献2では、座面に加えて椅子の背面にも身体圧分布を検出するセンサシートが設けられる。特許文献2に開示の技術は、センサシートからの出力に基づいて、着座者の性別,着座姿勢,体型等を判断するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−5761号公報
【特許文献2】特開2003−111646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ズボン,スカート等の着衣は、臀部にポケットを備える。そして、その臀部ポケットの中には、財布や携帯電話等がしばしば収納される。財布や携帯電話等、人間の皮膚より固い物(以下、異物と称する)が臀部ポケットに収納された状態で着座者が着座すると、臀部ポケットに収納された異物が座面を強く押圧するため、押圧力の分布がポケットに異物が収納されない場合とは異なると考えられる。即ち、特許文献1や特許文献2に開示の技術においては、着座者が臀部ポケットに異物を収納した状態で着座すると、座骨間隔を算出や着座者の性別,着座姿勢,体型等の判断が正しく行われない可能性がある。
【0005】
本発明は、着座状態を解析する際に異物の影響を排除した解析が可能な、着座状態解析装置及び解析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、着座時に着座者に接触する着座面に設けられ、前記着座接触面が受ける押圧力の分布を検出する押圧力分布検出部と、前記押圧力分布検出部の検出結果のテンプレートを記憶するテンプレート記憶部と、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレート記憶部に記憶された前記テンプレートとを比較することで、押圧力が前記テンプレートに対して所定量以上に異なる領域を検出する比較検出部と、前記比較検出部によって前記所定量以上に異なる領域が検出された場合に、前記押圧力分布検出部の検出結果から前記所定量以上に異なる領域と、前記所定量以上に異なる領域に対応する対応領域とを除外する領域除外部と、前記領域除外部によって処理が施された前記押圧力分布検出部の検出結果に基づいて、着座状態を解析する着座状態解析部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
ここで、着座状態とは、着座しているときの姿勢のみならず、着座者自体の状態(性別,身長,体重等)も含む意味である。また、着座面とは、着座面の表面だけでなく、着座面の内側も意味している。即ち、押圧力分布検出部は、着座面の表面に設けられて着座者に直接接触しても良いし、着座面の内側に埋め込まれることで着座面の表面を介して着座者に接触しても良い。要は、押圧力分布検出部は、着座面が受ける押圧力の分布が検出可能なようにして、着座面に設けられれば良い。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記押圧力分布検出部の検出結果に基づいて、着座者の向く着座方位に沿って押圧力の分布を二分する着座方位線を決定する着座方位線決定部をさらに備え、前記対応領域は、前記着座方位線を基準として、前記所定量以上に異なる領域と対称位置にある領域である、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記着座方位線決定部は、前記押圧力分布検出部の検出領域を、長手方向が互いに平行な複数の帯状領域に分割する分割部と、1つの前記帯状領域に対し、押圧力分布の重心位置を決定する重心位置決定部と、前記重心位置に基づいて、所定の処理を行うことで着座方位線を決定する着座方位線決定部とを有する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の発明において、前記比較検出部は、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する対応決定部と、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの差を取ることで、前記圧力検出部の検出結果が前記テンプレートに対して所定量以上に異なる領域を検出する差検出部と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記対応決定部は、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する際に、前記押圧力の分布の輪郭線を用いる、ことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記対応決定部は、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する際に、臀部後方の輪郭線のみを用いる、ことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか1項に記載の発明において、前記テンプレート記憶部は、さらに、前記比較検出部によって前記所定量以上に異なる領域が検出されない場合、前記押圧力分布検出部の検出結果を着座者の個人情報と関連付けて前記テンプレートとして記憶する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、着座時に着座者に接触する着座面が受ける押圧力の分布を検出する押圧力分布検出工程と、前記押圧力の分布のテンプレートを取得するテンプレート取得工程と、前記押圧力分布検出工程の検出結果と前記テンプレートとを比較することで、押圧力が前記テンプレートに対して所定量以上に異なる領域を検出する比較検出工程と、前記比較検出工程によって前記所定量以上に異なる領域が検出された場合に、前記押圧力分布検出工程の検出結果から前記所定量以上に異なる領域と、前記所定量以上に異なる領域に対応する対応領域とを除外する領域除外工程と、前記領域除外工程によって処理が施された前記押圧力分布検出工程の検出結果に基づいて、着座姿勢を解析する着座姿勢解析工程と、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記押圧力分布検出工程の検出結果に基づいて、着座者の向く着座方位に沿って押圧力の分布を二分する着座方位線を決定する着座方位線決定工程をさらに備え、前記対応領域は、前記着座方位線を基準として、前記所定量以上に異なる領域と対称位置にある領域である、ことを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記着座方位線決定工程は、前記押圧力分布検出工程の検知結果を、長手方向が互いに平行な複数の帯状領域に分割する分割工程と、1つの前記帯状領域に対し、押圧力分布の重心位置を決定する重心位置決定工程と、前記重心位置に基づいて、所定の処理を行うことで着座方位線を決定する着座方位線決定工程とを有する、ことを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項8〜10の何れか1項に記載の発明において、前記比較検出工程は、前記押圧力分布検出工程の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する対応決定工程と、前記押圧力分布検出工程の検出結果と前記テンプレートとの差を取ることで、前記圧力検出工程の検出結果が前記テンプレートに対して所定量以上に異なる領域を検出する差検出工程と、を有することを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の発明において、前記対応決定工程は、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する際に、前記押圧力の分布の輪郭線を用いる、ことを特徴とする。
【0019】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の発明において、前記対応決定工程は、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する際に、臀部後方の輪郭線のみを用いる、ことを特徴とする。
【0020】
請求項14に記載の発明は、請求項8〜13の何れか1項に記載の発明において、前記比較検出工程によって所定量以上に異なる領域が検出されない場合、前記押圧力分布検出工程の検出結果を着座者の個人情報と関連付けて前記テンプレートとして記憶するテンプレート記憶工程をさらに備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明では、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域が検出された場合に、その所定量以上に異なる領域と、その所定量以上に異なる領域に対応する対応領域とが、押圧力分布検出部の検出結果から除外される。例えば、着座者が臀部ポケットに異物を収納した状態で着座した場合、異物形状やその硬さは、人体形状や人間の皮膚との硬さは異なるため、臀部ポケット周辺の押圧力の分布は、臀部ポケットに異物が介在しない場合の押圧力の分布と異なる。その結果、異物が収納された臀部ポケットは、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域と見なされ、対応する対応領域と併せて押圧力分布検出部の検出結果から除外される。着座状態解析部は、領域除外部によって処理が施された押圧力分布検出部の検出結果に基づいて着座状態を解析するので、異物の影響を排除した着座状態の解析が可能になる。さらに、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域と対応する対応領域も押圧力分布検出部の検出結果から除外されるので、着座状態の解析において、押圧力分布検出部の検出結果から、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域を除いた影響も補正される。
【0022】
請求項2に記載の発明では、対応領域は、着座方位線を基準として、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域と対称位置にある領域である。着座方位線は、着座者の向く着座方位に沿って押圧力の分布を二分する線である。従って、着座方位線に対して、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域と対称位置にある領域を除外することにより、押圧力分布検出部の検出結果から、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域を除いた影響がより正確に補正できる。そのため、さらに正確に着座状態の解析ができる。
【0023】
請求項3に記載の発明では、帯状領域における重心位置に基づいて所定の処理を行うことで、着座方位線が求められる。従って、着座方位が変化しても着座方位線を正確に求められる。その結果、着座方位線を基準として、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域と対称位置にある領域を、正確に決定することができる。
【0024】
請求項4に記載の発明では、押圧力分布検出部の検出結果とテンプレートとの対応が決定される。対応を決定することで、例えば着座位置や着座時に向く方向が異なる等、押圧力分布検出部の検出結果とテンプレートとで押圧力の分布が異なるために単純な比較が困難な場合であっても、正確に押圧力分布検出部の検出結果とテンプレートとの比較ができる。
【0025】
請求項5に記載の発明では、押圧力の分布の輪郭線を用いて、押圧力分布検出部の検出結果とテンプレートとの対応が決定される。輪郭線を用いることにより処理が簡略化されるため、押圧力分布検出部の検出結果とテンプレートとの対応が容易に決定される。
【0026】
請求項6に記載の発明では、臀部後方の輪郭線を用いて、押圧力分布検出部の検出結果とテンプレートとの対応が決定される。臀部後方の輪郭線の形状は、着座者の体重のかけ方等の着座状態に強く依存する押圧力の分布に比べると、着座状態への依存性が小さい。従って、臀部後方の輪郭線を用いることにより、押圧力分布検出部の検出結果とテンプレートとの対応がより正確に決定される。
【0027】
請求項7に記載の発明では、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域が検出されない場合、即ち異物が介在しない場合、押圧力分布検出部の検出結果が、着座者の個人情報と関連付けて、テンプレートとして記憶される。従って、着座者個人に対応したテンプレートが記憶されることで、押圧力分布検出部の検出結果とテンプレートとの比較がさらに正確になる。
【0028】
請求項8に記載の発明では、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域が検出された場合に、その所定量以上に異なる領域と、その所定量以上に異なる領域に対応する対応領域とが、押圧力分布検出工程の検出結果から除外される。その結果、臀部ポケットに異物が収納されている場合、臀部ポケットが押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域となり、対応する対応領域と併せて押圧力分布検出工程の検出結果から除外される。着座状態解析部は、領域除外部によって処理が施された押圧力分布検出工程の検出結果に基づいて着座状態を解析するので、異物の影響を排除した着座状態の解析が可能になる。さらに、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域と対応する対応領域も押圧力分布検出工程の検出結果から除外されるので、着座状態の解析において、押圧力分布検出部の検出結果から、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域を除いた影響も補正される。
【0029】
請求項9に記載の発明では、対応領域は、着座方位線を基準として、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域と対称位置にある領域である。着座方位線は、着座者の向く着座方位に沿って押圧力の分布を二分する線である。従って、着座方位線に対して、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域と対称位置にある領域を除外することにより、押圧力分布検出工程の検出結果から、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域を除いた影響がより正確に補正できる。そのため、さらに正確に着座状態の解析ができる。
【0030】
請求項10に記載の発明では、帯状領域における重心位置に基づいて所定の処理を行うことで、着座方位線が求められる。従って、着座方位が変化しても着座方位線を正確に求められる。その結果、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域と着座方位線を基準として対称位置にある領域を、正確に決定することができる。
【0031】
請求項11に記載の発明では、押圧力分布検出工程の検出結果とテンプレートとの対応が決定される。対応を決定することで、例えば着座位置や着座時に向く方向が異なる等、押圧力分布検出工程の検出結果とテンプレートとで押圧力の分布が異なるために単純な比較が困難な場合であっても、正確に押圧力分布検出工程の検出結果とテンプレートとの比較ができる。
【0032】
請求項12に記載の発明では、押圧力の分布の輪郭線を用いて、押圧力分布検出工程の検出結果とテンプレートとの対応が決定される。押圧力の分布の輪郭線を用いることにより処理が簡略化されるため、押圧力分布検出工程の検出結果とテンプレートとの対応が容易に決定される。
【0033】
請求項13に記載の発明では、臀部後方の輪郭線を用いて、押圧力分布検出工程の検出結果とテンプレートとの対応が決定される。前記したように、臀部後方輪郭線の形状は、常に着座方位線に対して略左右対称な形状となる傾向にある。従って、臀部後方の輪郭線を用いることにより、押圧力分布検出工程の検出結果とテンプレートとの対応がより正確に決定される。
【0034】
請求項14に記載の発明では、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域が検出されない場合、即ち異物が介在しない場合、押圧力分布検出工程の検出結果が、着座者の個人情報と関連付けて、テンプレートとして記憶される。従って、着座者個人に対応したテンプレートが記憶されることで、押圧力分布検出工程の検出結果とテンプレートとの比較がさらに正確になる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る着座状態解析装置1の概略図。
【図2】着座状態解析装置1の制御回路構成を示すブロック図。
【図3】座面圧力データimg1及び背面圧力データimg2の一例を示す図。
【図4】テンプレート比較処理で用いられるテンプレートを示す図。
【図5】個人情報と、個人用テンプレートとの対応テーブルを示す図。
【図6】本発明の実施形態における、メイン処理を説明するフローチャート。
【図7】臀部に異物が介在する場合の、座面圧力データimg3及び背面圧力データimg4の一例を示す図。
【図8】本発明の実施形態における、領域除外処理に係る処理を説明するフローチャート。
【図9】本発明の実施形態における、テンプレート比較処理に係る処理を説明するフローチャート。
【図10】本発明の実施形態における、着座方位線決定処理に係る処理を説明するフローチャート。
【図11】着座方位線決定処理において、座面圧力データに対して行われる処理の概要を説明する図。
【図12】本発明の実施形態における、着座状態解析処理に係る処理を説明するフローチャート。
【図13】異物が介在する領域を除外された、座面圧力データimg5の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について詳述する。
【0037】
<本発明の概観説明>
図1は、本発明の実施形態に係る着座状態解析装置1及び着座状態解析装置1が設置される椅子2の概要図である。着座状態解析装置1は、椅子2の表面に配置される圧力センサ20と、着座状態解析に係る一連の処理を実行する制御部30と、制御部30による着座状態解析の結果等を表示するための表示部40と、着座者からの入力を受付ける入力部50とから構成される。椅子2は、椅子2への着座時に着座者の臀部が接触する着座部3と、着座部3を支持する椅子支持脚4と、椅子2への着座時に着座者の背中が接触する背当部5とを有する。圧力センサ20は、座面圧力センサ21と、背面圧力センサ22とを有する。座面圧力センサ21は、着座部3が受ける押圧力を検出するために、着座部3の表面に設けられる。背面圧力センサ22は、背当部5が受ける押圧力を検出するために、背当部5の表面に設けられる。ここで、座面圧力センサ21は、着座部3の内部に埋め込まれても良い。背面圧力センサ22に関しても同様である。尚、圧力センサ20は、着座部3に設けられる座面圧力センサ21と、背当部5に設けられる背面圧力センサ22との何れか一方を選択的に有しても、本発明の意図するところである。要は、椅子2への着座時に着座者が接触する着座面(着座部3及び背当部5を含む)の何処かに、圧力センサ20が設けられれば良い。また、図1においては、着座状態解析装置1の構成要素である圧力センサ20、制御部30、表示部40及び入力部50が別々に記載されているが、これらは一体として構成されても良い。さらに、着座状態解析装置1が椅子2に内蔵され、着座状態を解析可能な椅子システムとして一体に構成されても良い。
【0038】
<本発明のブロック図の説明>
図2は、本発明の実施形態に係る着座状態解析装置1の電気的な構成を説明するブロック図である。着座状態解析装置1は、前記した様に、圧力センサ20と、制御部30と、表示部40と、入力部50とから構成される。制御部30は、CPU31,ROM32,RAM33,インターフェース34,画像形成回路35,記憶装置36,インターフェース37とを備える。
【0039】
CPU31は、ROM32と、RAM33と、インターフェース34と、画像形成回路35と、記憶装置36と、インターフェース37との間で信号の送受信を行い、各種演算,処理を行う。ROM32は、着座状態解析装置1を制御する各種プログラムやパラメータを記憶する。RAM33は、CPU31で処理されるプログラムや、CPU31が処理するデータを、そのアドレス空間に一時記憶する。
【0040】
インターフェース34は、CPU31からの制御信号を受信し、その制御信号を圧力センサ20に送信する。また、インターフェース34は、圧力センサ20からの圧力信号を受信し、その圧力信号をCPU31に送信する。インターフェース37は、CPU31からの制御信号を受信し、その制御信号を入力部50に送信する。また、インターフェース37は、入力部50からの入力信号を受信し、その入力信号をCPU31に送信する。
【0041】
画像形成回路35は、CPU31から送信された制御信号に応じた画像信号を形成し、その画像信号を表示部40に送信する。画像形成回路35は、画像表示のための一時記憶領域として、非図示のVRAMを有する。
【0042】
記憶装置36は、着座者の個人情報と、後記するテンプレート比較処理で用いられるテンプレートとを記憶する。着座者の個人情報及びテンプレートの詳細は、後述する。記憶装置36は、例えばHDD,フラッシュROM等の、記憶内容が書き換え可能な不揮発性の記憶媒体で構成される。
【0043】
圧力センサ20は、圧力センサ20に対して加えられる押圧力の分布を検知し、圧力信号を生成する。具体的には、座面圧力センサ21が座面圧力信号を生成し、背面圧力センサ22が背面圧力信号を生成する。生成された座面圧力信号及び背面圧力信号は、インターフェース34を介してCPU31に送信された後に、座面圧力データ及び背面圧力データとしてRAM33に一時記憶される。圧力センサ20は、マトリクス状に配置された複数の感圧部を有する。圧力センサ20は、感圧抵抗方式,静電容量方式,電磁誘導方式等の様々な方式によって構成することができる。本実施形態では、一例として、電磁誘導方式を利用した株式会社シロク製のLLSENSOR(登録商標)等の圧力分布シートが用いられる。
【0044】
図3は、RAM33に一時記憶された座面圧力データ及び背面圧力データを説明する図である。臀部に異物が介在しない場合の一例として、座面圧力データimg1が図3(a)に、背面圧力データimg2が図3(b)に、それぞれ示される。ここで、着座部3に設けられる座面圧力センサ21は、m行×n列の感圧部から構成される。即ち、座面圧力データは、図3(a)に示される座面圧力データimg1の様に、m行×n列の画素を持つ画像データとして取り扱うことができる。ここで、図3(a)において、横がx方向,縦がy方向にそれぞれ対応する。従って、座面圧力データは、図3(a)に示されるように、左下が座標(x0,y0),右上が座標(xn-1,ym-1)となる。このとき、着座状態において臀部がy方向上側に来るように、座面圧力センサ21は、y方向上側を背当部5側に近い側にして配置される。また、背面圧力データも、座面圧力データと同様に画像データとして取り扱うことができる。
【0045】
表示部40は、画像形成回路35からの画像信号に応じて画像を表示する。表示部40は、CRTモニタ,液晶モニタ等で構成される。
【0046】
入力部50は、着座状態解析装置1を操作するための構成であり、着座者からの入力を受け付ける。入力部50が受け付けた入力内容は、インターフェース37を介して、入力信号としてCPU31に送信される。
【0047】
<記憶装置36に記憶される情報の説明>
図4及び図5を用いて、記憶装置36に記憶される情報の説明を行う。図4は、後記するテンプレート比較処理で用いられるテンプレートを示す図である。記憶装置36に記憶されるテンプレートは、前記した座面圧力データと同様のデータ形式である。図4と図3(a)との比較から明らかなように、テンプレートは、座面圧力データに含まれる押圧力の分布のうち、着座者の臀部によって押圧される領域(以下、臀部領域)における押圧力の分布を記憶したものである。臀部領域のみがテンプレートとして用いられる理由は、以下の2つである。(1)臀部にはポケットがある場合が多いので、異物が介在する可能性が高い。(2)大腿部の位置(臀部領域に対する位置、左右の大腿部間の距離)は着座姿勢によって変化が大きいので、大腿部を含めたテンプレートを用いることは困難を伴う。図4(a)は、後記するテンプレート比較処理において、共通に用いられる共用テンプレートの例を示す。図4(b)及び図4(c)は、後記するテンプレート比較処理において、着座者個人に対応して用いられる個人テンプレートの例を示す。図4(a)の共用テンプレートは、例えば標準的な体型の着座者が、異物を介さずに着座することで発生する座面圧力データを用いて、予め作成することができる。
【0048】
図5は、着座者の個人情報と、個人テンプレートのID番号とを対応付ける対応テーブルを示す図である。この対応テーブルには、名前,身長,体重,生年月日等の個人を特定可能な個人情報と、その個人の座面圧力データから作成された個人テンプレートのID番号とが含まれる。勿論、対応テーブルに含まれる情報は上記した内容に限定されず、個人を特定可能な情報であれば全て含まれて良い。
【0049】
<本発明のフローの説明>
図6は、CPU31が行う、メイン処理を説明するフローチャートである。ステップS1において、CPU31は、圧力センサ20に座面圧力信号及び背面圧力信号を生成させるための制御信号を、インターフェース34を介して圧力センサ20に送信する。圧力センサ20は、生成した座面圧力信号及び背面圧力信号を、インターフェース34を介してCPU31に送信する。CPU31は、圧力センサ20からの座面圧力信号及び背面圧力信号を、座面圧力データ及び背面圧力データとしてRAM33に一時記憶する。その後、CPU31は、処理をステップS2に移行する。尚、前記したステップS1が、本発明における押圧力検出工程の一例である。
【0050】
ステップS2において、CPU31は、座面圧力データから異物が介在する領域と、異物が介在する領域に対応する領域とを除外するための、領域除外処理を実行する。以下、図7及び図8を用いて、この領域除外処理を説明する。
【0051】
図7は、図3と同様に、RAM33に一時記憶された座面圧力データ及び背面圧力データを説明する図である。但し、図3(a)及び図3(b)とは異なり、臀部に異物が介在する場合の一例として、座面圧力データimg3が図5(a)に、背面圧力データimg4が図5(b)に、それぞれ示される。通常、人間の体は柔らかいので、着座時に着座面に接触した箇所が変形し、結果として押圧力の分布は連続的に変化する。即ち、一番荷重のかかる位置が局所ピークとして現れ、その局所ピークから離れるに従い連続的に押圧力が減少する(図3の、局所ピークLP1及びLP2を参照)。異物形状やその硬さは人体形状や人体の硬さとは異なり、硬さに関しては一般には異物の方が硬い。そのため、臀部に異物が介在する場合、着座面に接触した際の異物の変形量は、人間の体の場合よりも小さくなる。従って、異物が介在する領域における押圧力の分布は、異物が介在しない領域における押圧力の分布と明らかに異なる。一方、背面圧力データimg4は、背中と背面圧力センサ22との間に異物が介在しないため、背面圧力データimg2と略同様の押圧力の分布を示す。尚、本実施形態では臀部に異物が介在する場合の処理が例示されるが、背中に異物が介在する場合、即ち異物の介在する領域が座面圧力データimg3ではなく背面圧力データimg4に存在する場合であっても、同様な処理が可能である。
【0052】
図8は、CPU31が行う、領域除外処理を説明するフローチャートである。ステップSA1において、CPU31は、異物が介在する領域を決定するための、テンプレート比較処理を実行する。以下、図9を用いて、このテンプレート比較処理を詳述する。尚、図9に示されるテンプレート比較処理が、本発明における比較検出部及び比較検出工程の一例である。
【0053】
図9は、CPU31が行う、テンプレート比較処理を説明するフローチャートである。ステップSB1において、CPU31は、着座者によって入力がなされた入力部50から発生した入力信号を受信する。この入力信号には、例えば着座者の氏名,体重,身長,生年月日等、個人を特定可能な情報が含まれる。CPU31は、この入力信号を、個人情報としてRAM33に一時記憶する。その後、CPU31は、処理をステップSB2に移行する。
【0054】
ステップSB2において、CPU31は、着座者個人に対応する個人テンプレートが記憶装置36に記憶されているか否かを判断する。具体的には、CPU31は、RAM33に一時記憶された個人情報と記憶装置36に記憶される対応テーブル(図5参照)に含まれる個人情報とを比較する。ステップSB2の判断が肯定(Y)の場合、CPU31は、処理をステップSB3に移行する。または、ステップSB2の判断が否定(N)の場合、CPU31は、処理をステップSB4に移行する。
【0055】
ステップSB3において、CPU31は、対応テーブルに含まれる個人テンプレートのID番号を参照して、対応する個人テンプレート(図4(b),図4(c)を参照)を、記憶装置36から読み出す。例えば、RAM33に一時記憶された個人情報に含まれる生年月日が1973年5月24日であった場合、図5より、対応する個人テンプレートのID番号は「001」となる。CPUは、記憶装置36から、ID番号「001」の個人テンプレート(図4(b)参照)を読み出す。CPU31は、この個人テンプレートを、比較用テンプレートとしてRAM33に一時記憶する。その後、CPU31は、処理をステップSB5に移行する。
【0056】
ステップSB4においては、RAM33に一時記憶された個人情報に対応する個人テンプレートが、記憶装置36には記憶されていない。そこで、CPU31は、共用テンプレート(図4(a))を、記憶装置36にから読み出す。CPU31は、この共用テンプレートを、比較用テンプレートとしてRAM33に一時記憶する。その後、CPU31は、処理をステップSB5に移行する。
【0057】
ステップSB5において、CPU31は、座面圧力データにおける、着座によって押圧力が発生した領域(被押圧領域)を決定する。着座によって発生した押圧力の分布は連続的に変化するので、CPU31は、押圧力が所定値以上の領域を、被押圧領域とみなす。この所定値は、例えば実験等で予め定められた閾値でもよいし、あるいはその都度求められても良い。その都度求められる場合は、一例として、押圧力のヒストグラムにおける最頻値が、バックグラウンドとなる押圧力、即ち被押圧領域外部の押圧力と定義される。バックグラウンドとなる押圧力が正規分布に従うと仮定すれば、バックグラウンドとなる押圧力に分散σの3倍である「3σ」を加算した値の押圧力を持つ感圧部は、被押圧領域の輪郭線と見なすことができる。そして、非押圧領域の輪郭線で囲まれる領域、即ちバックグラウンドとなる押圧力に「3σ」を加算した値以上の押圧力を持つ感圧部は、被押圧領域となる。被押圧領域が決定された後、CPU31は、処理をステップSB6に移行する。
【0058】
ステップSB6において、CPU31は、前記被押圧領域から、臀部領域を決定する。具体的には、CPU31は、座面圧力データのy方向上側に位置する、その形状が略楕円形状となる被押圧領域を、臀部領域として決定する。CPU31は、座面圧力データから臀部領域のみを抽出し、臀部データとしてRAM33に一時記憶する。その後、CPU31は、処理をステップSB7に移行する。
【0059】
ステップSB7において、CPU31は、RAM33に一時記憶された臀部データに基づいて、所定の線対称な処理を行うことで臀部後方輪郭線を決定する。具体的には、臀部領域の輪郭が線対称な関数に従う座標の集まりであると仮定し、CPU31は、最もy軸上側に位置する臀部領域の輪郭を線対称な関数に当て嵌める(フィッティングを行う)ことで、臀部後方輪郭線を決定する。この線対称な関数としては、例えば放物線関数,双曲線関数,余弦関数等の偶関数及びこれらの線形結合で表わされる関数が用いられる。望ましくは、複数の偶関数の線形結合で示される関数が用いられ、それら複数の偶関数を線形結合する際の係数を変数として最小二乗法を用いたフィッティングが行われるのが良い。着座者の臀部後方輪郭線の形状は、着座状態(着座時の荷重のかかり方等)に強く依存する押圧力の分布に比べると、着座状態への依存性が押圧力に比べてより小さい。従って、線対称な関数でフィッティングを行うことで、押圧力の分布に対してフィッティングを行うことに比べて、着座状態にあまり依存せずに臀部データおける臀部後方輪郭線の形状が決定される。尚、ステップSB7の処理は、RAM33に一時記憶される比較用テンプレートに対しても行われる。その後、CPU31は、処理をステップSB8に移行する。
【0060】
ステップSB8において、CPU31は、前記したステップSB6においてRAM33に一時記憶された臀部データと、RAM33に一時記憶された比較用テンプレートとが一致するか否かを判断する。具体的には、ステップSB7において決定された、臀部データにおける臀部後方輪郭線の形状と、比較用テンプレートにおける臀部後方輪郭線の形状とが一致するか否かが判断される。ここで、一致とは、厳密に同一であることを意味しない。差異が所定の許容量以下であれば良い。ステップSB8の判断が肯定(Y)の場合、CPU31は、処理をステップSB10に移行する。または、ステップSB8の判断が否定(N)の場合、CPU31は、処理をステップSB9に移行する。
【0061】
ステップSB9において、CPU31は、RAM33に一時記憶される比較用テンプレートを変形する。ここでの変形とは、座標上における形状の変形を意味する。形状の変形は、一例として、比較用テンプレートに対して一次変換(平行移動,回転,拡大/縮小)を行うことで達成される。勿論、二次以上の高次の項を含めた変形でも良い。その後、CPU31は、処理をステップSB8に移行する。即ち、ステップSB9の処理は、臀部データにおける臀部後方輪郭線の形状と、比較用テンプレートにおける臀部後方輪郭線の形状とが一致する(ステップSB8の判断が肯定(Y)になる)まで繰り返される。
【0062】
ステップSB10において、CPU31は、ステップSB9においてRAM33に一時記憶された臀部データと、RAM33に一時記憶された比較用テンプレートとの差を取る。具体的には、臀部データにおける感圧部の押圧力から、比較用テンプレートにおける同一座標の感圧部の押圧力を引き算する。ここで、着座によって発生する押圧力は、着座者の体重に応じて変化する。そのため、例えばステップSB4において共用テンプレートが比較用テンプレートとして用いられる場合等、臀部データにおける押圧力の分布と、比較用テンプレートにおける押圧力の分布とが、一致しない可能性がある。そこで、CPU31は、比較用テンプレートの押圧力に所定の係数を乗することで、臀部データにおける押圧力の分布と、比較用テンプレートにおける押圧力の分布とを一致させる。この所定の係数としては、一例として、臀部データに含まれる感圧部の押圧力から作成されたヒストグラムにおける中央値と、比較用テンプレートの押圧力から作成されたヒストグラムにおける中央値との比の値が用いられる。比較用テンプレートが引き算された臀部データは、残差データとしてRAM33に一時記憶される。その後、CPU41は、処理をステップSB11に移行する。
【0063】
ステップSB11において、CPU41は、座面圧力データの押圧力が、比較用テンプレートの押圧力に対して、所定量以上に異なる領域が存在するか否かを判断する。具体的には、CPU31は、ステップSB10においてRAM33に記憶された残差データに含まれる感圧部における押圧力の絶対値を取り、その絶対値が所定量以上となる領域があるか否かを判断する。この残差の絶対値の所定量は、例えば臀部に異物が介在しない場合における残差データを用いて、予め決定される。一例として、例えば押圧力の残差の絶対値のヒストグラムにおける平均値と分散とを求め、平均値に分散の3倍を加算した値をこの残差の絶対値の所定量として決定する等の方法が用いられる。ステップSB11の判断が肯定(Y)の場合、CPU31は、処理をステップSB12に移行する。または、ステップSB11の判断が否定(N)の場合、CPU31は、処理をステップSB13に移行する。
【0064】
ステップSB12において、CPU31は、残差データにおいて残差の絶対値が所定量以上となる領域に対応する、座面圧力データの感圧部のマスクフラグをONに設定する。マスクフラグがONに設定された感圧部は、異物が介在する領域(異物領域)とみなされ、以降の処理には用いられない。その後、CPU31は、一連のテンプレート比較処理を終了し、処理をステップSA2(図8参照)に移行する。
【0065】
ステップSB11の判断が否定(N)の場合、RAM33に一時記憶されている座面圧力データには、異物が介在する領域が存在しない。そこで、ステップSB13において、CPU31は、記憶装置36に記憶されている個人テンプレートを、臀部データを用いて更新するか否かの判断を行う。この判断は、例えば以下の様な流れで行われる。(1)着座者が個人テンプレートを更新するか否かを入力部50を用いて入力し、(2)その入力によって入力部50から発生した入力信号をCPU31が受信し、(3)その入力信号に基づいて、CPU31が個人テンプレートを更新するか否かを判断する。あるいは、更新するか否かが着座者によって予め設定され、その設定を用いてステップSB13の判断が行われても良い。ステップSB13の判断が肯定(Y)の場合、CPU31は、処理をSB14に移行する。または、ステップSB13の判断が否定(N)の場合、CPU31は、一連のテンプレート比較処理を終了し、処理をステップSA2(図8参照)に移行する。
【0066】
ステップSB14において、CPU31は、RAM33に一時記憶された個人情報と、RAM33に一時記憶された臀部データとを対応付けて、記憶装置36に記憶する。ここで、ステップSB2の判断が否定(N)であった場合、即ち共用テンプレートが比較用テンプレートとして用いられた場合、CPU31は、臀部データにID番号を割り振る。ID番号の割り振られた臀部データは、新たな個人テンプレートとして記憶装置36に記憶される。さらに、CPU31は、RAM33に一時記憶された個人情報を、臀部データに割り振られたID番号とともに、記憶装置36に記憶された対応テーブルに追記する。一方、ステップSB2の判断が肯定(Y)であった場合、即ち個人テンプレートが比較用テンプレートとして用いられた場合、CPU31は、記憶装置36に記憶されたその個人テンプレートを、臀部データを用いて上書きする。その後、CPU31は、一連のテンプレート比較処理を終了し、処理をステップSA2(図8参照)に移行する。
【0067】
ステップSA2において、CPU31は、座面圧力データの着座方位線を決定するために、着座方位線決定処理を実行する。図10は、CPU31が行う着座方位線決定処理を説明するフローチャートである。図11は、座面圧力データに対して行われる処理の概要を説明する図である。ここで着座方位線は、着座者が椅子2に着座した状態において、着座者が向く方向(着座方位)に沿って押圧力の分布を二分する線を表す。例えば、図7(a)の座面圧力データimg3において、着座方位線SD3はy方向に略平行となっており、着座者は着座部3にy方向を向いて着座していることを意味する。また、仮に着座者がy方向に対して斜めになるようにして着座部3に着座した場合、着座方位線はy方向に対して傾く。以下、図10及び図11を用いて、着座方位線決定処理を詳述する。尚、図10に示される着座方位線決定処理が、本発明における着座方位線決定部及び着座方位線決定工程の一例である。
【0068】
ステップSC1において、CPU31は、ステップSB5(図9参照)と同様の処理を行う。即ち、CPU31は、被押圧領域を決定する。図11(a)における曲線BD1,BD2,BD3で囲まれる領域は、ステップSC1における処理によって被押圧領域として決定される領域を示す。被押圧領域が決定された後、CPU31は、処理をステップSC2に移行する。
【0069】
ステップSC2において、CPU31は、ステップSC1において決定された被押圧領域に基づいて、所定の線対称な処理を行うことで臀部後方輪郭線を決定する。具体的に例示すると、CPU31は、最もy軸上側に位置する被押圧領域の輪郭を線対称な関数でフィッティングを行うことで、臀部後方輪郭線を決定する。この線対称な関数でのフィッティングは、前記したステップSB7(図9参照)において説明済みなので、ここでは詳細を省略する。図11(b)に示される曲線CTRが、ステップSC2における処理によって決定される臀部後方輪郭線である。その後、CPU31は、処理をステップSC3に移行する。
【0070】
臀部後方輪郭線が決定されることは、着座者の臀部位置が決定されることを意味する。そして、臀部後方輪郭線の形状は、着座方位線に対して略線対称となる。そこで、ステップSC3において、CPU31は、ステップSC2で決定された臀部後方輪郭線に基づいて、臀部後方輪郭線の対称線を決定する。具体的には、前記した線対称な関数の対称線が、臀部後方輪郭線の対称線となる。CPU31は、この対称線を、押圧力の分布を二分する仮の着座方位線としてRAM33に一時記憶する。仮の着座方位線を決定することで、ある程度着座方位線の見当をつけることができる。図11(c)に示される直線TSDが、ステップSA3における処理によって決定される仮の着座方位線TSDである。その後、CPU31は、処理をステップSC4に移行する。
【0071】
ステップSC4において、CPU31は、座面圧力データを、複数の帯状領域に分割する。この複数の帯状領域は、前記した仮の着座方位線又は仮着座方位線候補(後記するステップSC13を参照)に対して、長手方向が直交する様にして設定される。具体的に例示すると、CPU31は、RAM33に一時記憶された仮の着座方位線又は仮着座方位線候補に直交する直線の傾きを求める。そして、CPU31は、座面圧力データが9個の帯状領域に分割される様に、前記直交する直線を等間隔で8本配置する。この等間隔で配置された直線によって区切られる個々の領域が、帯状領域となる。図11(d)に示される複数の領域STが、ステップSC4における処理によって決定される複数の帯状領域である。その後、CPU31は、処理をステップSA5に移行する。尚、ステップSC4で行われる処理が、本発明における分割部及び分割工程の一例である。
【0072】
ステップSC5において、CPU31は、帯状領域において、ステップSB12(図9参照)においてマスクフラグをONに設定された感圧部が存在するか否かを判断する。ステップSC5の判断が肯定(Y)である場合、CPU31は、処理をステップSC6に移行する。または、ステップSC5の判断が否定(N)である場合、CPU31は、処理をステップSC7に移行する。
【0073】
ステップSC6において、CPU31は、帯状領域における押圧力分布の重心位置を決定する。具体的には、個々の帯状領域に含まれる感圧部に対して、ステップSB12においてマスクフラグをONとされた感圧部を除いて、質点系の重心を求める方法と同様の処理を行う。異物が介在する領域の押圧力を用いないことで、異物に影響されることなく、正確に重心位置を決定することができる。以下その方法を詳述する。
【0074】
帯状領域におけるx座標及びy座標が最小となる感圧部の座標(xmin,ymin)から、その帯状領域に含まれる座標(xi,yj)に位置する感圧部に対する位置ベクトルをrtと、座標(xi,yj)に位置する感圧部における押圧力をptと、それぞれ表記する。帯状領域の重心位置Rcは、その帯状領域に含まれる感圧部を用いて、
【0075】
【数1】
と決定される。但し、「P」は、その帯状領域に含まれる感圧部の押圧力の総和、即ち
【0076】
【数2】
である。その後、CPU31は、処理をステップSC8に移行する。
【0077】
ステップSC7において、CPU31は、帯状領域における重心位置を決定する。このとき、ステップSB11においてマスクフラグをONとされた感圧部は存在しないので、帯状領域に含まれるすべての感圧部を用いて重心位置が決定される。尚、重心位置の決定方法は、前記したステップSC6と同様である。図11(e)に星印で示される点が、ステップSC6又はステップSC7における処理によって決定される個々の帯状領域STにおける重心位置である。その後、CPU31は、処理をステップSC8に移行する。尚、ステップSC6及びステップSC7で行われる処理が、特許請求の範囲における重心位置決定部及び重心位置決定工程の一例である。
【0078】
ステップSC8において、CPU31は、ステップSC6又はステップSC7で決定された帯状領域における重心位置から、着座方位線を決定する。具体的には、CPU31は、帯状領域における重心位置を所定の関数、例えば一次関数等を用いてフィッティングを行うことで、着座方位線を決定する。即ち、一次関数の傾き及び切片が、個々の重心位置を標本として最小二乗法によって決定される。この着座方位線は、RAM33に一時記憶される。帯状領域の長手方向は仮の着座方位線に直交するので、個々の重心位置は、仮の着座方位線の近辺に位置する傾向にある。この重心位置に基づいて着座方位線が決定されるので、着座方位が前後方向に対して斜めになる等の場合であっても、正確に着座方位線を決定することが可能になる。また、重心位置に基づいて着座方位線が決定されるので、押圧力の分布が着座方位線に対して略左右対称となる。図11(f)に示される直線SDが、ステップSC8における処理によって決定される着座方位線である。その後、CPU31は、処理をステップSC9に移行する。尚、ステップSC8で行われる処理が、特許請求の範囲における着座方位線決定部及び着座方位線決定工程の一例である。
【0079】
ステップSC9において、CPU31は、前記着座方位線に対する帯状領域における重心位置の偏差量を判断する。具体的には、CPU31は、帯状領域における重心位置から前記着座方位線までの距離の二乗和を求め、その二乗和を重心位置の偏差量とみなす。この重心位置の偏差量は、RAM33に一時記憶された着座方位線と関連付けて、RAM33に一時記憶される。その後、CPU31は、処理をステップSC10に移行する。
【0080】
ステップSC10において、CPU31は、RAM33に一時記憶された着座方位線の重心位置の偏差量が、RAM33に記憶された最良着座方位線の重心位置の偏差量(最小偏差量)よりも小さいか否かを判断する。ここで、最良着座方位線とは、重心位置の偏差量が最小となる着座方位線を意味する。ステップSC10の判断が肯定(Y)である場合、又はステップSC8及びステップSC9の処理が初めて行われたためにRAM33に最良着座方位線が未だ記憶されていない場合、CPU31は、処理をステップSC11に移行する。または、ステップSC10の判断が否定(N)である場合、CPU31は、処理をステップSC12に移行する。
【0081】
ステップSC11において、CPU31は、RAM33に一時記憶された着座方位線を、新たな最良着座方位線として、RAM33に一時記憶する。即ち、ステップSC11以前にRAM33に一時記憶されていた最良着座方位線は、ステップSC11において更新される。このとき、ステップSC9でRAM33に一時記憶された重心位置の偏差量も、最良着座方位線と関連付けて、最小偏差量としてRAM33に一時記憶される。その後、CPU31は、処理をステップSC12に移行する。
【0082】
図10に示される着座方位線決定処理では、最良着座方位線をより正確に決定するために、ステップSC4〜ステップSC13の処理が繰り返し実行される。そこでステップSC12において、CPU31は、ステップSC4〜ステップSC13の処理の繰り返しが所定回数行われたか否かを判断する。この繰り返しの所定回数は、例えばステップSC3で決定された仮の着座方位線を中心として、±30°の範囲に対してステップSC4〜ステップSC13の処理が行われる様にして設定される。ステップSC12の判断が肯定(Y)である場合、CPU31は、一連の着座方位線決定処理を終了し、処理をステップSA3(図8を参照)に移行する。または、ステップSC12の判断が否定(N)である場合、CPU31は、処理をステップSC13に移行する。
【0083】
ステップSC13において、CPU31は、前記仮の着座方位線を所定角度移動することで、仮着座方位線候補を作成する。この所定角度は例えば1°に設定されるが、処理速度と最良着座方位線の正確性との兼ね合いで適宜変更されて良い。図11(g)に示される直線TSDCが、ステップSC13における処理によって決定される仮着座方位線候補である。その後、CPU31は、処理をステップSC4に移行する。
【0084】
再び図8を用いて、領域除外処理の流れを説明する。ステップSA3において、CPU31は、前記着座方位線を基準として、異物が介在する領域、即ちステップSA2においてマスクフラグがONに設定された感圧部と線対称な位置に存在する感圧部のマスクフラグをONにする。その後、CPU31は、一連の領域除外処理を終了して、処理をステップS3(図6参照)に移行する。
【0085】
ステップS3において、CPU31は、座面圧力データ及び背面圧力データを用いて着座状態解析処理を行う。以下、図12を用いて、この着座状態解析処理を説明する。
【0086】
図12は、CPU31が行う着座状態解析処理を説明するフローチャートである。図12に示されるフローチャートでは、着座状態解析処理の一例として、着座者の背筋方向の良否を判断する処理(ステップSD1〜ステップSD7)と、着座者の左右着座バランスの良否を判断する処理(ステップSD8〜ステップSD16)とが示される。尚、図12に示される着座状態解析処理が、特許請求の範囲における着座状態解析部及び着座状態解析工程の一例である。
【0087】
ステップSD1〜ステップSD7において、着座者が背筋が真っ直ぐな状態で着座しているか否か、即ち背筋方向の良否が着座者に報知される。背筋が曲がった状態での着座は、着座者の腰などに負担を与え、腰痛等を引き起こす可能性がある。即ち、着座者は、背筋方向の良否を知ることで、快適かつ健康的な着座姿勢を維持することが可能になる。
【0088】
ステップSD1において、CPU31は、前記した着座方位線決定処理(図10を参照)を行う。前記した対称位置にある感圧部のマスクフラグがONにされているので(図8のステップSA3を参照)、再び着座方位線決定処理を行うことで、より正確に最良着座方位線を決定できる。その後、CPU31は、処理をステップSD2に移行する。
【0089】
ステップSD2において、CPU31は、前記したステップSC4と同様の処理を、背面圧力データに対して行う。但し、背面圧力データには、座面圧力データにおける後方臀部形状の様な特徴的な形状が存在しない。そのため、背面圧力データにおいては、座面圧力データとは異なり仮の着座方位線が定義されない。そこで、CPU31は、背面圧力データを、長手方向がx方向に平行な複数の帯状領域に分割する。その後、CPU31は、処理をステップSD3に移行する。
【0090】
ステップSD3において、CPU31は、背面圧力データに含まれるすべての感圧部を用いて、質点系の重心を求める方法と同様の処理を行うことで帯状領域における重心位置を決定する。この処理は、前記したステップSC7(図10参照)と同様であるので、ここでは詳細を省略する。その後、CPU31は、処理をステップSD4に移行する。
【0091】
ステップSD4において、CPU31は、前記したステップSC8と同様の処理を、背面圧力データに対して行う。即ち、CPU31は、帯状領域における重心位置を所定の関数、例えば一次関数等を用いてフィッティングを行うことで、背面方位線を決定する。ここで、背面方位線は、前記した着座方位線と同様に、椅子2に着座することによって発生する押圧力の分布が左右対称となる対称線のことである。しかし、背面方位線は、背面圧力データに対して決定される点において前記した着座方位線と相違するので、着座方位線と区別するためにこの名称が用いられる。この背面方位線は、RAM33に一時記憶される。その後、CPU31は、処理をステップSD5に移行する。
【0092】
ステップSD5において、CPU31は、最良着座方位線の傾きと、背面方位線の傾きとが一致するか否かを判断する。最良着座方位線の傾きは、着座方位を示す。背面方位線の傾きは、着座者の背筋の方向を示す。従って、最良着座方位線の傾きと背面方位線の傾きとが一致する場合、着座者の背筋の方向と着座方向とが揃っているので、体に負担が小さい姿勢と考えられる。一方、最良着座方位線の傾きと背面方位線の傾きとが一致しない場合、着座者の背筋と着座方向とがずれているので、体に負担が大きい姿勢と考えられる。ステップSD5の判断が肯定(Y)の場合、CPU31は、処理をステップSD6に移行する。または、ステップSD5の判断が否定(N)の場合、CPU31は、処理をステップSD7に移行する。
【0093】
ステップSD6において、CPU31は、背筋の方向が体に負担が小さい状態にあることを着座者に報知するために、画像形成回路35に制御信号を送信する。画像形成回路35は、CPU31からの制御信号に応じた画像信号を形成し、その画像信号を表示部40に送信する。そして、表示部40が、画像形成回路35からの画像信号に応じて、「背筋方向OK」の表示を行う。その後、CPU31は、処理をステップSD8に移行する。
【0094】
ステップSD7において、CPU31は、背筋の方向が体に負担が大きい状態にあることを着座者に報知するために、画像形成回路35に制御信号を送信する。画像形成回路35は、CPU31からの制御信号に応じた画像信号を形成し、その画像信号を表示部40に送信する。そして、表示部40が、画像形成回路35からの画像信号に応じて、「背筋方向NG」の表示を行う。その後、CPU31は、処理をステップSD8に移行する。
【0095】
ステップSD8〜ステップSB16において、着座者の左右着座バランスの良否が、着座者に報知される。左右着座バランスが均等でない場合、即ち着座者の荷重が左右何れかに偏っている場合、着座者の腰などに負担を与え、腰痛等を引き起こす可能性がある。即ち、着座者は、左右着座バランスの良否を知ることで、快適かつ健康的な着座姿勢を維持することが可能になる。
【0096】
ステップSD8において、CPU31は、前記したステップSC1と同様の処置を行う。即ち、CPU31は、座面圧力データにおける被押圧領域を決定する。その後、CPU31は、処理をSD9に移行する。
【0097】
ステップSD9において、CPU31は、前記したステップSB6と同様の処理を行う。即ち、CPU31は、前記被押圧領域から、臀部領域を決定する。その後、CPU31は、処理をステップSD10に移行する。
【0098】
ステップSD10において、CPU31は、臀部領域にマスクフラグがONに設定された感圧部が存在するか否かを判断する。ステップSD10の判断が肯定(Y)の場合、CPU31は、処理をステップSD11に移行する。または、ステップSD10の判断が否定(N)の場合、CPU31は、処理をステップSD12に移行する。
【0099】
ステップSD11において、CPU31は、臀部領域における押圧力の局所ピークの位置を決定する。ステップSD11では、図13に示される座面圧力データimg5の様に、マスクフラグがONに設定された領域であるMSK1及びMSK2が存在する。仮に異物が介在しなければ押圧力の局所ピークとなる位置が、マスクフラグがONに設定された領域に含まれる場合、局所ピークの位置が正確に決定できない。そこで、CPU31は、例えば二次元ガウシアン等の関数を用いて、押圧力の分布に対してフィットティングを行うことで、押圧力の局所ピークの位置を決定する。ステップSD11の処理によって、マスクフラグがONの領域が存在しても、押圧力の局所ピークの位置が正確に決定できる。局所ピークの位置座標と局所ピークの位置における押圧力とは、RAM33に一時記憶される。その後、CPU31は、処理をステップSD13に移行する。
【0100】
ステップSD12において、CPU31は、臀部領域における押圧力の局所ピークの位置を決定する。ステップSD12では、図3(a)に示される座面圧力データimg1の様に、マスクフラグがONに設定された領域は存在しない。そこで、CPU31は、押圧力の値が極大となる位置LP1及びLP2を、局所ピーク位置とみなす。ステップSD12の処理は、ステップSD11の処理の様に複雑な計算を必要としないので、押圧力の局所ピークの位置が素早く決定できる。局所ピークの位置と局所ピークの位置における押圧力とは、RAM33に一時記憶される。その後、CPU31は、処理をステップSD13に移行する。
【0101】
着座者の荷重が左右均等にかかっている場合、局所ピークの位置は、最良着座方位線の左右両側に存在する。そこで、ステップSD13において、CPU31は、局所ピークの位置が、最良着座方位線の左右両側に存在するか否かを判断する。ステップSD13の判断が肯定(Y)の場合、CPU31は、処理をステップSD14に移行する。または、ステップSD13の判断が否定(N)の場合、CPU31は、処理をステップSD16に移行する。
【0102】
着座者の荷重が左右均等にかかっている場合、左右の局所ピークの位置には略同じ大きさの押圧力がかかる。そこで、ステップSD14において、CPU31は、左右の局所ピークの位置における押圧力が略同じであるか否かを判断する。ステップSD14の判断が肯定(Y)の場合、CPU31は、処理をステップSD15に移行する。または、ステップSD14の判断が否定(N)の場合、CPU31は、処理をステップSD16に移行する。
【0103】
ステップSD15において、CPU31は、着座者の荷重の左右バランスが均等である旨を着座者に報知するために、画像形成回路35に制御信号を送信する。画像形成回路35は、CPU31からの制御信号に応じた画像信号を形成し、その画像信号を表示部40に送信する。そして、表示部40が、画像形成回路35からの画像信号に応じて、「左右着座バランスOK」の表示を行う。その後、CPU31は、処理をメイン処理に戻した後に、メイン処理を終了する
ステップSD16において、CPU31は、着座者の荷重の左右バランスが均等でない旨を着座者に報知するために、画像形成回路35に制御信号を送信する。画像形成回路35は、CPU31からの制御信号に応じた画像信号を形成し、その画像信号を表示部40に送信する。そして、表示部40が、画像形成回路35からの画像信号に応じて、「左右着座バランスNG」の表示を行う。その後、CPU31は、処理をメイン処理に戻した後に、メイン処理を終了する。
【0104】
<変形例>
本発明は、今までに述べた実施形態に限定されることは無く、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形・変更が可能である。以下にその変形の一例を述べる。
【0105】
前記した実施形態において、図8に示される領域除外処理は座面圧力データに対して行われる。なぜなら、多くの場合臀部にはポケットが存在し、異物はポケットに収納される可能性が高いからである。しかし、領域除外処理は、背面圧力データに対して行われても良い。背面圧力データに対して領域除外処理が行われる場合、臀部後方輪郭線を決定する処理(図10のステップSC2を参照)は背面圧力データに対しては適応できない。そこで、ステップSC2の代わりに、夫々の長手方向がx方向に平行な複数の帯状領域に分割する処理(図12のステップSD2を参照)が行われれば良い。
【0106】
前記した実施形態において、着座状態解析処理の一例として、着座者の背筋方向の良否を判断する処理(ステップSD1〜ステップSD7)と、着座者の左右着座バランスの良否を判断する処理(ステップSD8〜ステップSD16)とが示された。本発明は、異物の影響を排除した解析が可能な点に特徴があるので、着座状態解析処理の内容は前記した実施形態に限定されない。例えば、特許文献1に記載の技術の様に、座骨間隔を決定する解析が着座状態解析処理として行われても良い。
【0107】
前記した実施形態において、着座状態の解析結果は表示部40に表示される(図12参照)。しかし、表示部40は、着座状態の解析結果を着座者へ報知する構成の一例であり、例えば音声等によって着座状態の解析結果の報知を行っても良い。さらに言えば、本発明は異物の影響を排除した解析が可能な点が特徴であるので、着座状態の解析結果を着座者へ報知する構成は、あくまで着座状態の解析結果の利用方法の一例であり、必須ではない。従って、例えば解析結果を用いて着座者の姿勢を正すように椅子を変形させる、特許文献2に記載の技術の様にエアバッグの制御に利用する等、着座状態の解析結果に対して種々の利用がなされても、本発明の意図するところである。
【0108】
前記した実施形態において、個人情報の取得は、着座者からの入力を入力部50が受け付けることで行われる(図9のステップSB1参照)。しかし、個人方法を取得する方法はこれに限定されない。例えば、図5に示される対応テーブルには、身長,体重といった個人情報が記憶される。そこで、座面圧力データ及び背面圧力データから着座者の体重を決定することで、個人情報が取得されてもよい。又は、座面圧力データ及び背面圧力データにおいて、押圧力が分布する範囲に基づいて着座者の身長を決定することで、個人情報が取得されても良い。要は、個人を特定するための情報が取得可能であれば、どのような取得方法でも良い。
【0109】
前記した実施形態において、異物が介在する可能性の高さと大腿部を含めたデータを用いることの困難性から、座面圧力データに含まれる臀部領域のみがテンプレートとして用いられる。しかし、それ以外のデータをテンプレートとしても良い。例えば、左右の大腿部によって生じる押圧力がテンプレートとして用いられても勿論良い。この場合、大腿部の位置(臀部領域に対する位置、左右の大腿部間の距離)は着座姿勢によって変化が大きいので、左右の大腿部を別のテンプレートとし、図9に示されるテンプレート比較処理が左右の大腿部夫々に対して別途行われるのが良い。また、臀部領域と大腿部とがテンプレートとして用いられるのであれば、臀部領域は大腿部とは別のテンプレートとするのが良い。この場合も、テンプレート比較処理が夫々別に行われる。勿論、背面圧力データがテンプレートとして用いられても良い。
【0110】
前記した実施形態では、着座方位線を基準として、異物が介在する領域、即ち図6のステップSA3においてマスクフラグがONに設定された感圧部と対称位置にある感圧部のマスクフラグをONにする(図8のステップSA3参照)。この処理は、異物が介在する領域を座面圧力データから除いた影響を補正することを目的とする。従って、異物が介在する領域を座面圧力データから除いた影響が補正されるのであれば、変わりにどのような処理が行われてもよい。一例として、着座者がx方向の中間点が重心になるように着座した場合であれば、異物が介在する領域として座面圧力データの座標(xi,yj)が除外される場合、直線「x=(n−1)/2」(x方向の中間点)に対して対称位置にある座面圧力データの座標(xn-i―1,yj)が除外されてもよい。前記した実施形態の様な複雑な処理を必要としないため、容易に異物が介在する領域を座面圧力データから除いた影響が補正される。
【符号の説明】
【0111】
1 着座状態解析装置
2 椅子
3 着座部
4 椅子支持脚
5 背当部
20 圧力センサ
21 座面圧力センサ
22 背面圧力センサ
30 制御部
31 CPU
32 ROM
33 RAM
34 インターフェース
35 画像形成回路
40 表示部
50 入力部
img1,img3,img5 座面圧力データ
img2,img4 背面圧力データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座者の着座状態を解析することが可能なシートに関し、特に着座状態を解析する際に、異物が着座者と椅子との間に介在するかを考慮した解析が可能なシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、椅子の座面に圧力を検知するセンサを設け、着座者の押圧力を検知する技術が、様々な分野で用いられている。例えば、特許文献1では、座席上に設けられた複数の圧力センサ素子からの出力を利用して、着座者の座骨間隔を決定する技術が開示される。特許文献1に開示の技術は、自動車等の乗員に対してエアバッグを動作させる際に、エアバッグの動作を制御するために用いられる。また、特許文献2では、座面に加えて椅子の背面にも身体圧分布を検出するセンサシートが設けられる。特許文献2に開示の技術は、センサシートからの出力に基づいて、着座者の性別,着座姿勢,体型等を判断するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−5761号公報
【特許文献2】特開2003−111646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ズボン,スカート等の着衣は、臀部にポケットを備える。そして、その臀部ポケットの中には、財布や携帯電話等がしばしば収納される。財布や携帯電話等、人間の皮膚より固い物(以下、異物と称する)が臀部ポケットに収納された状態で着座者が着座すると、臀部ポケットに収納された異物が座面を強く押圧するため、押圧力の分布がポケットに異物が収納されない場合とは異なると考えられる。即ち、特許文献1や特許文献2に開示の技術においては、着座者が臀部ポケットに異物を収納した状態で着座すると、座骨間隔を算出や着座者の性別,着座姿勢,体型等の判断が正しく行われない可能性がある。
【0005】
本発明は、着座状態を解析する際に異物の影響を排除した解析が可能な、着座状態解析装置及び解析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、着座時に着座者に接触する着座面に設けられ、前記着座接触面が受ける押圧力の分布を検出する押圧力分布検出部と、前記押圧力分布検出部の検出結果のテンプレートを記憶するテンプレート記憶部と、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレート記憶部に記憶された前記テンプレートとを比較することで、押圧力が前記テンプレートに対して所定量以上に異なる領域を検出する比較検出部と、前記比較検出部によって前記所定量以上に異なる領域が検出された場合に、前記押圧力分布検出部の検出結果から前記所定量以上に異なる領域と、前記所定量以上に異なる領域に対応する対応領域とを除外する領域除外部と、前記領域除外部によって処理が施された前記押圧力分布検出部の検出結果に基づいて、着座状態を解析する着座状態解析部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
ここで、着座状態とは、着座しているときの姿勢のみならず、着座者自体の状態(性別,身長,体重等)も含む意味である。また、着座面とは、着座面の表面だけでなく、着座面の内側も意味している。即ち、押圧力分布検出部は、着座面の表面に設けられて着座者に直接接触しても良いし、着座面の内側に埋め込まれることで着座面の表面を介して着座者に接触しても良い。要は、押圧力分布検出部は、着座面が受ける押圧力の分布が検出可能なようにして、着座面に設けられれば良い。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記押圧力分布検出部の検出結果に基づいて、着座者の向く着座方位に沿って押圧力の分布を二分する着座方位線を決定する着座方位線決定部をさらに備え、前記対応領域は、前記着座方位線を基準として、前記所定量以上に異なる領域と対称位置にある領域である、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記着座方位線決定部は、前記押圧力分布検出部の検出領域を、長手方向が互いに平行な複数の帯状領域に分割する分割部と、1つの前記帯状領域に対し、押圧力分布の重心位置を決定する重心位置決定部と、前記重心位置に基づいて、所定の処理を行うことで着座方位線を決定する着座方位線決定部とを有する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の発明において、前記比較検出部は、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する対応決定部と、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの差を取ることで、前記圧力検出部の検出結果が前記テンプレートに対して所定量以上に異なる領域を検出する差検出部と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記対応決定部は、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する際に、前記押圧力の分布の輪郭線を用いる、ことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記対応決定部は、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する際に、臀部後方の輪郭線のみを用いる、ことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか1項に記載の発明において、前記テンプレート記憶部は、さらに、前記比較検出部によって前記所定量以上に異なる領域が検出されない場合、前記押圧力分布検出部の検出結果を着座者の個人情報と関連付けて前記テンプレートとして記憶する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、着座時に着座者に接触する着座面が受ける押圧力の分布を検出する押圧力分布検出工程と、前記押圧力の分布のテンプレートを取得するテンプレート取得工程と、前記押圧力分布検出工程の検出結果と前記テンプレートとを比較することで、押圧力が前記テンプレートに対して所定量以上に異なる領域を検出する比較検出工程と、前記比較検出工程によって前記所定量以上に異なる領域が検出された場合に、前記押圧力分布検出工程の検出結果から前記所定量以上に異なる領域と、前記所定量以上に異なる領域に対応する対応領域とを除外する領域除外工程と、前記領域除外工程によって処理が施された前記押圧力分布検出工程の検出結果に基づいて、着座姿勢を解析する着座姿勢解析工程と、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記押圧力分布検出工程の検出結果に基づいて、着座者の向く着座方位に沿って押圧力の分布を二分する着座方位線を決定する着座方位線決定工程をさらに備え、前記対応領域は、前記着座方位線を基準として、前記所定量以上に異なる領域と対称位置にある領域である、ことを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記着座方位線決定工程は、前記押圧力分布検出工程の検知結果を、長手方向が互いに平行な複数の帯状領域に分割する分割工程と、1つの前記帯状領域に対し、押圧力分布の重心位置を決定する重心位置決定工程と、前記重心位置に基づいて、所定の処理を行うことで着座方位線を決定する着座方位線決定工程とを有する、ことを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項8〜10の何れか1項に記載の発明において、前記比較検出工程は、前記押圧力分布検出工程の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する対応決定工程と、前記押圧力分布検出工程の検出結果と前記テンプレートとの差を取ることで、前記圧力検出工程の検出結果が前記テンプレートに対して所定量以上に異なる領域を検出する差検出工程と、を有することを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の発明において、前記対応決定工程は、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する際に、前記押圧力の分布の輪郭線を用いる、ことを特徴とする。
【0019】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の発明において、前記対応決定工程は、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する際に、臀部後方の輪郭線のみを用いる、ことを特徴とする。
【0020】
請求項14に記載の発明は、請求項8〜13の何れか1項に記載の発明において、前記比較検出工程によって所定量以上に異なる領域が検出されない場合、前記押圧力分布検出工程の検出結果を着座者の個人情報と関連付けて前記テンプレートとして記憶するテンプレート記憶工程をさらに備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明では、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域が検出された場合に、その所定量以上に異なる領域と、その所定量以上に異なる領域に対応する対応領域とが、押圧力分布検出部の検出結果から除外される。例えば、着座者が臀部ポケットに異物を収納した状態で着座した場合、異物形状やその硬さは、人体形状や人間の皮膚との硬さは異なるため、臀部ポケット周辺の押圧力の分布は、臀部ポケットに異物が介在しない場合の押圧力の分布と異なる。その結果、異物が収納された臀部ポケットは、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域と見なされ、対応する対応領域と併せて押圧力分布検出部の検出結果から除外される。着座状態解析部は、領域除外部によって処理が施された押圧力分布検出部の検出結果に基づいて着座状態を解析するので、異物の影響を排除した着座状態の解析が可能になる。さらに、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域と対応する対応領域も押圧力分布検出部の検出結果から除外されるので、着座状態の解析において、押圧力分布検出部の検出結果から、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域を除いた影響も補正される。
【0022】
請求項2に記載の発明では、対応領域は、着座方位線を基準として、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域と対称位置にある領域である。着座方位線は、着座者の向く着座方位に沿って押圧力の分布を二分する線である。従って、着座方位線に対して、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域と対称位置にある領域を除外することにより、押圧力分布検出部の検出結果から、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域を除いた影響がより正確に補正できる。そのため、さらに正確に着座状態の解析ができる。
【0023】
請求項3に記載の発明では、帯状領域における重心位置に基づいて所定の処理を行うことで、着座方位線が求められる。従って、着座方位が変化しても着座方位線を正確に求められる。その結果、着座方位線を基準として、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域と対称位置にある領域を、正確に決定することができる。
【0024】
請求項4に記載の発明では、押圧力分布検出部の検出結果とテンプレートとの対応が決定される。対応を決定することで、例えば着座位置や着座時に向く方向が異なる等、押圧力分布検出部の検出結果とテンプレートとで押圧力の分布が異なるために単純な比較が困難な場合であっても、正確に押圧力分布検出部の検出結果とテンプレートとの比較ができる。
【0025】
請求項5に記載の発明では、押圧力の分布の輪郭線を用いて、押圧力分布検出部の検出結果とテンプレートとの対応が決定される。輪郭線を用いることにより処理が簡略化されるため、押圧力分布検出部の検出結果とテンプレートとの対応が容易に決定される。
【0026】
請求項6に記載の発明では、臀部後方の輪郭線を用いて、押圧力分布検出部の検出結果とテンプレートとの対応が決定される。臀部後方の輪郭線の形状は、着座者の体重のかけ方等の着座状態に強く依存する押圧力の分布に比べると、着座状態への依存性が小さい。従って、臀部後方の輪郭線を用いることにより、押圧力分布検出部の検出結果とテンプレートとの対応がより正確に決定される。
【0027】
請求項7に記載の発明では、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域が検出されない場合、即ち異物が介在しない場合、押圧力分布検出部の検出結果が、着座者の個人情報と関連付けて、テンプレートとして記憶される。従って、着座者個人に対応したテンプレートが記憶されることで、押圧力分布検出部の検出結果とテンプレートとの比較がさらに正確になる。
【0028】
請求項8に記載の発明では、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域が検出された場合に、その所定量以上に異なる領域と、その所定量以上に異なる領域に対応する対応領域とが、押圧力分布検出工程の検出結果から除外される。その結果、臀部ポケットに異物が収納されている場合、臀部ポケットが押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域となり、対応する対応領域と併せて押圧力分布検出工程の検出結果から除外される。着座状態解析部は、領域除外部によって処理が施された押圧力分布検出工程の検出結果に基づいて着座状態を解析するので、異物の影響を排除した着座状態の解析が可能になる。さらに、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域と対応する対応領域も押圧力分布検出工程の検出結果から除外されるので、着座状態の解析において、押圧力分布検出部の検出結果から、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域を除いた影響も補正される。
【0029】
請求項9に記載の発明では、対応領域は、着座方位線を基準として、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域と対称位置にある領域である。着座方位線は、着座者の向く着座方位に沿って押圧力の分布を二分する線である。従って、着座方位線に対して、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域と対称位置にある領域を除外することにより、押圧力分布検出工程の検出結果から、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域を除いた影響がより正確に補正できる。そのため、さらに正確に着座状態の解析ができる。
【0030】
請求項10に記載の発明では、帯状領域における重心位置に基づいて所定の処理を行うことで、着座方位線が求められる。従って、着座方位が変化しても着座方位線を正確に求められる。その結果、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域と着座方位線を基準として対称位置にある領域を、正確に決定することができる。
【0031】
請求項11に記載の発明では、押圧力分布検出工程の検出結果とテンプレートとの対応が決定される。対応を決定することで、例えば着座位置や着座時に向く方向が異なる等、押圧力分布検出工程の検出結果とテンプレートとで押圧力の分布が異なるために単純な比較が困難な場合であっても、正確に押圧力分布検出工程の検出結果とテンプレートとの比較ができる。
【0032】
請求項12に記載の発明では、押圧力の分布の輪郭線を用いて、押圧力分布検出工程の検出結果とテンプレートとの対応が決定される。押圧力の分布の輪郭線を用いることにより処理が簡略化されるため、押圧力分布検出工程の検出結果とテンプレートとの対応が容易に決定される。
【0033】
請求項13に記載の発明では、臀部後方の輪郭線を用いて、押圧力分布検出工程の検出結果とテンプレートとの対応が決定される。前記したように、臀部後方輪郭線の形状は、常に着座方位線に対して略左右対称な形状となる傾向にある。従って、臀部後方の輪郭線を用いることにより、押圧力分布検出工程の検出結果とテンプレートとの対応がより正確に決定される。
【0034】
請求項14に記載の発明では、押圧力がテンプレートに対して所定量以上に異なる領域が検出されない場合、即ち異物が介在しない場合、押圧力分布検出工程の検出結果が、着座者の個人情報と関連付けて、テンプレートとして記憶される。従って、着座者個人に対応したテンプレートが記憶されることで、押圧力分布検出工程の検出結果とテンプレートとの比較がさらに正確になる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る着座状態解析装置1の概略図。
【図2】着座状態解析装置1の制御回路構成を示すブロック図。
【図3】座面圧力データimg1及び背面圧力データimg2の一例を示す図。
【図4】テンプレート比較処理で用いられるテンプレートを示す図。
【図5】個人情報と、個人用テンプレートとの対応テーブルを示す図。
【図6】本発明の実施形態における、メイン処理を説明するフローチャート。
【図7】臀部に異物が介在する場合の、座面圧力データimg3及び背面圧力データimg4の一例を示す図。
【図8】本発明の実施形態における、領域除外処理に係る処理を説明するフローチャート。
【図9】本発明の実施形態における、テンプレート比較処理に係る処理を説明するフローチャート。
【図10】本発明の実施形態における、着座方位線決定処理に係る処理を説明するフローチャート。
【図11】着座方位線決定処理において、座面圧力データに対して行われる処理の概要を説明する図。
【図12】本発明の実施形態における、着座状態解析処理に係る処理を説明するフローチャート。
【図13】異物が介在する領域を除外された、座面圧力データimg5の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について詳述する。
【0037】
<本発明の概観説明>
図1は、本発明の実施形態に係る着座状態解析装置1及び着座状態解析装置1が設置される椅子2の概要図である。着座状態解析装置1は、椅子2の表面に配置される圧力センサ20と、着座状態解析に係る一連の処理を実行する制御部30と、制御部30による着座状態解析の結果等を表示するための表示部40と、着座者からの入力を受付ける入力部50とから構成される。椅子2は、椅子2への着座時に着座者の臀部が接触する着座部3と、着座部3を支持する椅子支持脚4と、椅子2への着座時に着座者の背中が接触する背当部5とを有する。圧力センサ20は、座面圧力センサ21と、背面圧力センサ22とを有する。座面圧力センサ21は、着座部3が受ける押圧力を検出するために、着座部3の表面に設けられる。背面圧力センサ22は、背当部5が受ける押圧力を検出するために、背当部5の表面に設けられる。ここで、座面圧力センサ21は、着座部3の内部に埋め込まれても良い。背面圧力センサ22に関しても同様である。尚、圧力センサ20は、着座部3に設けられる座面圧力センサ21と、背当部5に設けられる背面圧力センサ22との何れか一方を選択的に有しても、本発明の意図するところである。要は、椅子2への着座時に着座者が接触する着座面(着座部3及び背当部5を含む)の何処かに、圧力センサ20が設けられれば良い。また、図1においては、着座状態解析装置1の構成要素である圧力センサ20、制御部30、表示部40及び入力部50が別々に記載されているが、これらは一体として構成されても良い。さらに、着座状態解析装置1が椅子2に内蔵され、着座状態を解析可能な椅子システムとして一体に構成されても良い。
【0038】
<本発明のブロック図の説明>
図2は、本発明の実施形態に係る着座状態解析装置1の電気的な構成を説明するブロック図である。着座状態解析装置1は、前記した様に、圧力センサ20と、制御部30と、表示部40と、入力部50とから構成される。制御部30は、CPU31,ROM32,RAM33,インターフェース34,画像形成回路35,記憶装置36,インターフェース37とを備える。
【0039】
CPU31は、ROM32と、RAM33と、インターフェース34と、画像形成回路35と、記憶装置36と、インターフェース37との間で信号の送受信を行い、各種演算,処理を行う。ROM32は、着座状態解析装置1を制御する各種プログラムやパラメータを記憶する。RAM33は、CPU31で処理されるプログラムや、CPU31が処理するデータを、そのアドレス空間に一時記憶する。
【0040】
インターフェース34は、CPU31からの制御信号を受信し、その制御信号を圧力センサ20に送信する。また、インターフェース34は、圧力センサ20からの圧力信号を受信し、その圧力信号をCPU31に送信する。インターフェース37は、CPU31からの制御信号を受信し、その制御信号を入力部50に送信する。また、インターフェース37は、入力部50からの入力信号を受信し、その入力信号をCPU31に送信する。
【0041】
画像形成回路35は、CPU31から送信された制御信号に応じた画像信号を形成し、その画像信号を表示部40に送信する。画像形成回路35は、画像表示のための一時記憶領域として、非図示のVRAMを有する。
【0042】
記憶装置36は、着座者の個人情報と、後記するテンプレート比較処理で用いられるテンプレートとを記憶する。着座者の個人情報及びテンプレートの詳細は、後述する。記憶装置36は、例えばHDD,フラッシュROM等の、記憶内容が書き換え可能な不揮発性の記憶媒体で構成される。
【0043】
圧力センサ20は、圧力センサ20に対して加えられる押圧力の分布を検知し、圧力信号を生成する。具体的には、座面圧力センサ21が座面圧力信号を生成し、背面圧力センサ22が背面圧力信号を生成する。生成された座面圧力信号及び背面圧力信号は、インターフェース34を介してCPU31に送信された後に、座面圧力データ及び背面圧力データとしてRAM33に一時記憶される。圧力センサ20は、マトリクス状に配置された複数の感圧部を有する。圧力センサ20は、感圧抵抗方式,静電容量方式,電磁誘導方式等の様々な方式によって構成することができる。本実施形態では、一例として、電磁誘導方式を利用した株式会社シロク製のLLSENSOR(登録商標)等の圧力分布シートが用いられる。
【0044】
図3は、RAM33に一時記憶された座面圧力データ及び背面圧力データを説明する図である。臀部に異物が介在しない場合の一例として、座面圧力データimg1が図3(a)に、背面圧力データimg2が図3(b)に、それぞれ示される。ここで、着座部3に設けられる座面圧力センサ21は、m行×n列の感圧部から構成される。即ち、座面圧力データは、図3(a)に示される座面圧力データimg1の様に、m行×n列の画素を持つ画像データとして取り扱うことができる。ここで、図3(a)において、横がx方向,縦がy方向にそれぞれ対応する。従って、座面圧力データは、図3(a)に示されるように、左下が座標(x0,y0),右上が座標(xn-1,ym-1)となる。このとき、着座状態において臀部がy方向上側に来るように、座面圧力センサ21は、y方向上側を背当部5側に近い側にして配置される。また、背面圧力データも、座面圧力データと同様に画像データとして取り扱うことができる。
【0045】
表示部40は、画像形成回路35からの画像信号に応じて画像を表示する。表示部40は、CRTモニタ,液晶モニタ等で構成される。
【0046】
入力部50は、着座状態解析装置1を操作するための構成であり、着座者からの入力を受け付ける。入力部50が受け付けた入力内容は、インターフェース37を介して、入力信号としてCPU31に送信される。
【0047】
<記憶装置36に記憶される情報の説明>
図4及び図5を用いて、記憶装置36に記憶される情報の説明を行う。図4は、後記するテンプレート比較処理で用いられるテンプレートを示す図である。記憶装置36に記憶されるテンプレートは、前記した座面圧力データと同様のデータ形式である。図4と図3(a)との比較から明らかなように、テンプレートは、座面圧力データに含まれる押圧力の分布のうち、着座者の臀部によって押圧される領域(以下、臀部領域)における押圧力の分布を記憶したものである。臀部領域のみがテンプレートとして用いられる理由は、以下の2つである。(1)臀部にはポケットがある場合が多いので、異物が介在する可能性が高い。(2)大腿部の位置(臀部領域に対する位置、左右の大腿部間の距離)は着座姿勢によって変化が大きいので、大腿部を含めたテンプレートを用いることは困難を伴う。図4(a)は、後記するテンプレート比較処理において、共通に用いられる共用テンプレートの例を示す。図4(b)及び図4(c)は、後記するテンプレート比較処理において、着座者個人に対応して用いられる個人テンプレートの例を示す。図4(a)の共用テンプレートは、例えば標準的な体型の着座者が、異物を介さずに着座することで発生する座面圧力データを用いて、予め作成することができる。
【0048】
図5は、着座者の個人情報と、個人テンプレートのID番号とを対応付ける対応テーブルを示す図である。この対応テーブルには、名前,身長,体重,生年月日等の個人を特定可能な個人情報と、その個人の座面圧力データから作成された個人テンプレートのID番号とが含まれる。勿論、対応テーブルに含まれる情報は上記した内容に限定されず、個人を特定可能な情報であれば全て含まれて良い。
【0049】
<本発明のフローの説明>
図6は、CPU31が行う、メイン処理を説明するフローチャートである。ステップS1において、CPU31は、圧力センサ20に座面圧力信号及び背面圧力信号を生成させるための制御信号を、インターフェース34を介して圧力センサ20に送信する。圧力センサ20は、生成した座面圧力信号及び背面圧力信号を、インターフェース34を介してCPU31に送信する。CPU31は、圧力センサ20からの座面圧力信号及び背面圧力信号を、座面圧力データ及び背面圧力データとしてRAM33に一時記憶する。その後、CPU31は、処理をステップS2に移行する。尚、前記したステップS1が、本発明における押圧力検出工程の一例である。
【0050】
ステップS2において、CPU31は、座面圧力データから異物が介在する領域と、異物が介在する領域に対応する領域とを除外するための、領域除外処理を実行する。以下、図7及び図8を用いて、この領域除外処理を説明する。
【0051】
図7は、図3と同様に、RAM33に一時記憶された座面圧力データ及び背面圧力データを説明する図である。但し、図3(a)及び図3(b)とは異なり、臀部に異物が介在する場合の一例として、座面圧力データimg3が図5(a)に、背面圧力データimg4が図5(b)に、それぞれ示される。通常、人間の体は柔らかいので、着座時に着座面に接触した箇所が変形し、結果として押圧力の分布は連続的に変化する。即ち、一番荷重のかかる位置が局所ピークとして現れ、その局所ピークから離れるに従い連続的に押圧力が減少する(図3の、局所ピークLP1及びLP2を参照)。異物形状やその硬さは人体形状や人体の硬さとは異なり、硬さに関しては一般には異物の方が硬い。そのため、臀部に異物が介在する場合、着座面に接触した際の異物の変形量は、人間の体の場合よりも小さくなる。従って、異物が介在する領域における押圧力の分布は、異物が介在しない領域における押圧力の分布と明らかに異なる。一方、背面圧力データimg4は、背中と背面圧力センサ22との間に異物が介在しないため、背面圧力データimg2と略同様の押圧力の分布を示す。尚、本実施形態では臀部に異物が介在する場合の処理が例示されるが、背中に異物が介在する場合、即ち異物の介在する領域が座面圧力データimg3ではなく背面圧力データimg4に存在する場合であっても、同様な処理が可能である。
【0052】
図8は、CPU31が行う、領域除外処理を説明するフローチャートである。ステップSA1において、CPU31は、異物が介在する領域を決定するための、テンプレート比較処理を実行する。以下、図9を用いて、このテンプレート比較処理を詳述する。尚、図9に示されるテンプレート比較処理が、本発明における比較検出部及び比較検出工程の一例である。
【0053】
図9は、CPU31が行う、テンプレート比較処理を説明するフローチャートである。ステップSB1において、CPU31は、着座者によって入力がなされた入力部50から発生した入力信号を受信する。この入力信号には、例えば着座者の氏名,体重,身長,生年月日等、個人を特定可能な情報が含まれる。CPU31は、この入力信号を、個人情報としてRAM33に一時記憶する。その後、CPU31は、処理をステップSB2に移行する。
【0054】
ステップSB2において、CPU31は、着座者個人に対応する個人テンプレートが記憶装置36に記憶されているか否かを判断する。具体的には、CPU31は、RAM33に一時記憶された個人情報と記憶装置36に記憶される対応テーブル(図5参照)に含まれる個人情報とを比較する。ステップSB2の判断が肯定(Y)の場合、CPU31は、処理をステップSB3に移行する。または、ステップSB2の判断が否定(N)の場合、CPU31は、処理をステップSB4に移行する。
【0055】
ステップSB3において、CPU31は、対応テーブルに含まれる個人テンプレートのID番号を参照して、対応する個人テンプレート(図4(b),図4(c)を参照)を、記憶装置36から読み出す。例えば、RAM33に一時記憶された個人情報に含まれる生年月日が1973年5月24日であった場合、図5より、対応する個人テンプレートのID番号は「001」となる。CPUは、記憶装置36から、ID番号「001」の個人テンプレート(図4(b)参照)を読み出す。CPU31は、この個人テンプレートを、比較用テンプレートとしてRAM33に一時記憶する。その後、CPU31は、処理をステップSB5に移行する。
【0056】
ステップSB4においては、RAM33に一時記憶された個人情報に対応する個人テンプレートが、記憶装置36には記憶されていない。そこで、CPU31は、共用テンプレート(図4(a))を、記憶装置36にから読み出す。CPU31は、この共用テンプレートを、比較用テンプレートとしてRAM33に一時記憶する。その後、CPU31は、処理をステップSB5に移行する。
【0057】
ステップSB5において、CPU31は、座面圧力データにおける、着座によって押圧力が発生した領域(被押圧領域)を決定する。着座によって発生した押圧力の分布は連続的に変化するので、CPU31は、押圧力が所定値以上の領域を、被押圧領域とみなす。この所定値は、例えば実験等で予め定められた閾値でもよいし、あるいはその都度求められても良い。その都度求められる場合は、一例として、押圧力のヒストグラムにおける最頻値が、バックグラウンドとなる押圧力、即ち被押圧領域外部の押圧力と定義される。バックグラウンドとなる押圧力が正規分布に従うと仮定すれば、バックグラウンドとなる押圧力に分散σの3倍である「3σ」を加算した値の押圧力を持つ感圧部は、被押圧領域の輪郭線と見なすことができる。そして、非押圧領域の輪郭線で囲まれる領域、即ちバックグラウンドとなる押圧力に「3σ」を加算した値以上の押圧力を持つ感圧部は、被押圧領域となる。被押圧領域が決定された後、CPU31は、処理をステップSB6に移行する。
【0058】
ステップSB6において、CPU31は、前記被押圧領域から、臀部領域を決定する。具体的には、CPU31は、座面圧力データのy方向上側に位置する、その形状が略楕円形状となる被押圧領域を、臀部領域として決定する。CPU31は、座面圧力データから臀部領域のみを抽出し、臀部データとしてRAM33に一時記憶する。その後、CPU31は、処理をステップSB7に移行する。
【0059】
ステップSB7において、CPU31は、RAM33に一時記憶された臀部データに基づいて、所定の線対称な処理を行うことで臀部後方輪郭線を決定する。具体的には、臀部領域の輪郭が線対称な関数に従う座標の集まりであると仮定し、CPU31は、最もy軸上側に位置する臀部領域の輪郭を線対称な関数に当て嵌める(フィッティングを行う)ことで、臀部後方輪郭線を決定する。この線対称な関数としては、例えば放物線関数,双曲線関数,余弦関数等の偶関数及びこれらの線形結合で表わされる関数が用いられる。望ましくは、複数の偶関数の線形結合で示される関数が用いられ、それら複数の偶関数を線形結合する際の係数を変数として最小二乗法を用いたフィッティングが行われるのが良い。着座者の臀部後方輪郭線の形状は、着座状態(着座時の荷重のかかり方等)に強く依存する押圧力の分布に比べると、着座状態への依存性が押圧力に比べてより小さい。従って、線対称な関数でフィッティングを行うことで、押圧力の分布に対してフィッティングを行うことに比べて、着座状態にあまり依存せずに臀部データおける臀部後方輪郭線の形状が決定される。尚、ステップSB7の処理は、RAM33に一時記憶される比較用テンプレートに対しても行われる。その後、CPU31は、処理をステップSB8に移行する。
【0060】
ステップSB8において、CPU31は、前記したステップSB6においてRAM33に一時記憶された臀部データと、RAM33に一時記憶された比較用テンプレートとが一致するか否かを判断する。具体的には、ステップSB7において決定された、臀部データにおける臀部後方輪郭線の形状と、比較用テンプレートにおける臀部後方輪郭線の形状とが一致するか否かが判断される。ここで、一致とは、厳密に同一であることを意味しない。差異が所定の許容量以下であれば良い。ステップSB8の判断が肯定(Y)の場合、CPU31は、処理をステップSB10に移行する。または、ステップSB8の判断が否定(N)の場合、CPU31は、処理をステップSB9に移行する。
【0061】
ステップSB9において、CPU31は、RAM33に一時記憶される比較用テンプレートを変形する。ここでの変形とは、座標上における形状の変形を意味する。形状の変形は、一例として、比較用テンプレートに対して一次変換(平行移動,回転,拡大/縮小)を行うことで達成される。勿論、二次以上の高次の項を含めた変形でも良い。その後、CPU31は、処理をステップSB8に移行する。即ち、ステップSB9の処理は、臀部データにおける臀部後方輪郭線の形状と、比較用テンプレートにおける臀部後方輪郭線の形状とが一致する(ステップSB8の判断が肯定(Y)になる)まで繰り返される。
【0062】
ステップSB10において、CPU31は、ステップSB9においてRAM33に一時記憶された臀部データと、RAM33に一時記憶された比較用テンプレートとの差を取る。具体的には、臀部データにおける感圧部の押圧力から、比較用テンプレートにおける同一座標の感圧部の押圧力を引き算する。ここで、着座によって発生する押圧力は、着座者の体重に応じて変化する。そのため、例えばステップSB4において共用テンプレートが比較用テンプレートとして用いられる場合等、臀部データにおける押圧力の分布と、比較用テンプレートにおける押圧力の分布とが、一致しない可能性がある。そこで、CPU31は、比較用テンプレートの押圧力に所定の係数を乗することで、臀部データにおける押圧力の分布と、比較用テンプレートにおける押圧力の分布とを一致させる。この所定の係数としては、一例として、臀部データに含まれる感圧部の押圧力から作成されたヒストグラムにおける中央値と、比較用テンプレートの押圧力から作成されたヒストグラムにおける中央値との比の値が用いられる。比較用テンプレートが引き算された臀部データは、残差データとしてRAM33に一時記憶される。その後、CPU41は、処理をステップSB11に移行する。
【0063】
ステップSB11において、CPU41は、座面圧力データの押圧力が、比較用テンプレートの押圧力に対して、所定量以上に異なる領域が存在するか否かを判断する。具体的には、CPU31は、ステップSB10においてRAM33に記憶された残差データに含まれる感圧部における押圧力の絶対値を取り、その絶対値が所定量以上となる領域があるか否かを判断する。この残差の絶対値の所定量は、例えば臀部に異物が介在しない場合における残差データを用いて、予め決定される。一例として、例えば押圧力の残差の絶対値のヒストグラムにおける平均値と分散とを求め、平均値に分散の3倍を加算した値をこの残差の絶対値の所定量として決定する等の方法が用いられる。ステップSB11の判断が肯定(Y)の場合、CPU31は、処理をステップSB12に移行する。または、ステップSB11の判断が否定(N)の場合、CPU31は、処理をステップSB13に移行する。
【0064】
ステップSB12において、CPU31は、残差データにおいて残差の絶対値が所定量以上となる領域に対応する、座面圧力データの感圧部のマスクフラグをONに設定する。マスクフラグがONに設定された感圧部は、異物が介在する領域(異物領域)とみなされ、以降の処理には用いられない。その後、CPU31は、一連のテンプレート比較処理を終了し、処理をステップSA2(図8参照)に移行する。
【0065】
ステップSB11の判断が否定(N)の場合、RAM33に一時記憶されている座面圧力データには、異物が介在する領域が存在しない。そこで、ステップSB13において、CPU31は、記憶装置36に記憶されている個人テンプレートを、臀部データを用いて更新するか否かの判断を行う。この判断は、例えば以下の様な流れで行われる。(1)着座者が個人テンプレートを更新するか否かを入力部50を用いて入力し、(2)その入力によって入力部50から発生した入力信号をCPU31が受信し、(3)その入力信号に基づいて、CPU31が個人テンプレートを更新するか否かを判断する。あるいは、更新するか否かが着座者によって予め設定され、その設定を用いてステップSB13の判断が行われても良い。ステップSB13の判断が肯定(Y)の場合、CPU31は、処理をSB14に移行する。または、ステップSB13の判断が否定(N)の場合、CPU31は、一連のテンプレート比較処理を終了し、処理をステップSA2(図8参照)に移行する。
【0066】
ステップSB14において、CPU31は、RAM33に一時記憶された個人情報と、RAM33に一時記憶された臀部データとを対応付けて、記憶装置36に記憶する。ここで、ステップSB2の判断が否定(N)であった場合、即ち共用テンプレートが比較用テンプレートとして用いられた場合、CPU31は、臀部データにID番号を割り振る。ID番号の割り振られた臀部データは、新たな個人テンプレートとして記憶装置36に記憶される。さらに、CPU31は、RAM33に一時記憶された個人情報を、臀部データに割り振られたID番号とともに、記憶装置36に記憶された対応テーブルに追記する。一方、ステップSB2の判断が肯定(Y)であった場合、即ち個人テンプレートが比較用テンプレートとして用いられた場合、CPU31は、記憶装置36に記憶されたその個人テンプレートを、臀部データを用いて上書きする。その後、CPU31は、一連のテンプレート比較処理を終了し、処理をステップSA2(図8参照)に移行する。
【0067】
ステップSA2において、CPU31は、座面圧力データの着座方位線を決定するために、着座方位線決定処理を実行する。図10は、CPU31が行う着座方位線決定処理を説明するフローチャートである。図11は、座面圧力データに対して行われる処理の概要を説明する図である。ここで着座方位線は、着座者が椅子2に着座した状態において、着座者が向く方向(着座方位)に沿って押圧力の分布を二分する線を表す。例えば、図7(a)の座面圧力データimg3において、着座方位線SD3はy方向に略平行となっており、着座者は着座部3にy方向を向いて着座していることを意味する。また、仮に着座者がy方向に対して斜めになるようにして着座部3に着座した場合、着座方位線はy方向に対して傾く。以下、図10及び図11を用いて、着座方位線決定処理を詳述する。尚、図10に示される着座方位線決定処理が、本発明における着座方位線決定部及び着座方位線決定工程の一例である。
【0068】
ステップSC1において、CPU31は、ステップSB5(図9参照)と同様の処理を行う。即ち、CPU31は、被押圧領域を決定する。図11(a)における曲線BD1,BD2,BD3で囲まれる領域は、ステップSC1における処理によって被押圧領域として決定される領域を示す。被押圧領域が決定された後、CPU31は、処理をステップSC2に移行する。
【0069】
ステップSC2において、CPU31は、ステップSC1において決定された被押圧領域に基づいて、所定の線対称な処理を行うことで臀部後方輪郭線を決定する。具体的に例示すると、CPU31は、最もy軸上側に位置する被押圧領域の輪郭を線対称な関数でフィッティングを行うことで、臀部後方輪郭線を決定する。この線対称な関数でのフィッティングは、前記したステップSB7(図9参照)において説明済みなので、ここでは詳細を省略する。図11(b)に示される曲線CTRが、ステップSC2における処理によって決定される臀部後方輪郭線である。その後、CPU31は、処理をステップSC3に移行する。
【0070】
臀部後方輪郭線が決定されることは、着座者の臀部位置が決定されることを意味する。そして、臀部後方輪郭線の形状は、着座方位線に対して略線対称となる。そこで、ステップSC3において、CPU31は、ステップSC2で決定された臀部後方輪郭線に基づいて、臀部後方輪郭線の対称線を決定する。具体的には、前記した線対称な関数の対称線が、臀部後方輪郭線の対称線となる。CPU31は、この対称線を、押圧力の分布を二分する仮の着座方位線としてRAM33に一時記憶する。仮の着座方位線を決定することで、ある程度着座方位線の見当をつけることができる。図11(c)に示される直線TSDが、ステップSA3における処理によって決定される仮の着座方位線TSDである。その後、CPU31は、処理をステップSC4に移行する。
【0071】
ステップSC4において、CPU31は、座面圧力データを、複数の帯状領域に分割する。この複数の帯状領域は、前記した仮の着座方位線又は仮着座方位線候補(後記するステップSC13を参照)に対して、長手方向が直交する様にして設定される。具体的に例示すると、CPU31は、RAM33に一時記憶された仮の着座方位線又は仮着座方位線候補に直交する直線の傾きを求める。そして、CPU31は、座面圧力データが9個の帯状領域に分割される様に、前記直交する直線を等間隔で8本配置する。この等間隔で配置された直線によって区切られる個々の領域が、帯状領域となる。図11(d)に示される複数の領域STが、ステップSC4における処理によって決定される複数の帯状領域である。その後、CPU31は、処理をステップSA5に移行する。尚、ステップSC4で行われる処理が、本発明における分割部及び分割工程の一例である。
【0072】
ステップSC5において、CPU31は、帯状領域において、ステップSB12(図9参照)においてマスクフラグをONに設定された感圧部が存在するか否かを判断する。ステップSC5の判断が肯定(Y)である場合、CPU31は、処理をステップSC6に移行する。または、ステップSC5の判断が否定(N)である場合、CPU31は、処理をステップSC7に移行する。
【0073】
ステップSC6において、CPU31は、帯状領域における押圧力分布の重心位置を決定する。具体的には、個々の帯状領域に含まれる感圧部に対して、ステップSB12においてマスクフラグをONとされた感圧部を除いて、質点系の重心を求める方法と同様の処理を行う。異物が介在する領域の押圧力を用いないことで、異物に影響されることなく、正確に重心位置を決定することができる。以下その方法を詳述する。
【0074】
帯状領域におけるx座標及びy座標が最小となる感圧部の座標(xmin,ymin)から、その帯状領域に含まれる座標(xi,yj)に位置する感圧部に対する位置ベクトルをrtと、座標(xi,yj)に位置する感圧部における押圧力をptと、それぞれ表記する。帯状領域の重心位置Rcは、その帯状領域に含まれる感圧部を用いて、
【0075】
【数1】
と決定される。但し、「P」は、その帯状領域に含まれる感圧部の押圧力の総和、即ち
【0076】
【数2】
である。その後、CPU31は、処理をステップSC8に移行する。
【0077】
ステップSC7において、CPU31は、帯状領域における重心位置を決定する。このとき、ステップSB11においてマスクフラグをONとされた感圧部は存在しないので、帯状領域に含まれるすべての感圧部を用いて重心位置が決定される。尚、重心位置の決定方法は、前記したステップSC6と同様である。図11(e)に星印で示される点が、ステップSC6又はステップSC7における処理によって決定される個々の帯状領域STにおける重心位置である。その後、CPU31は、処理をステップSC8に移行する。尚、ステップSC6及びステップSC7で行われる処理が、特許請求の範囲における重心位置決定部及び重心位置決定工程の一例である。
【0078】
ステップSC8において、CPU31は、ステップSC6又はステップSC7で決定された帯状領域における重心位置から、着座方位線を決定する。具体的には、CPU31は、帯状領域における重心位置を所定の関数、例えば一次関数等を用いてフィッティングを行うことで、着座方位線を決定する。即ち、一次関数の傾き及び切片が、個々の重心位置を標本として最小二乗法によって決定される。この着座方位線は、RAM33に一時記憶される。帯状領域の長手方向は仮の着座方位線に直交するので、個々の重心位置は、仮の着座方位線の近辺に位置する傾向にある。この重心位置に基づいて着座方位線が決定されるので、着座方位が前後方向に対して斜めになる等の場合であっても、正確に着座方位線を決定することが可能になる。また、重心位置に基づいて着座方位線が決定されるので、押圧力の分布が着座方位線に対して略左右対称となる。図11(f)に示される直線SDが、ステップSC8における処理によって決定される着座方位線である。その後、CPU31は、処理をステップSC9に移行する。尚、ステップSC8で行われる処理が、特許請求の範囲における着座方位線決定部及び着座方位線決定工程の一例である。
【0079】
ステップSC9において、CPU31は、前記着座方位線に対する帯状領域における重心位置の偏差量を判断する。具体的には、CPU31は、帯状領域における重心位置から前記着座方位線までの距離の二乗和を求め、その二乗和を重心位置の偏差量とみなす。この重心位置の偏差量は、RAM33に一時記憶された着座方位線と関連付けて、RAM33に一時記憶される。その後、CPU31は、処理をステップSC10に移行する。
【0080】
ステップSC10において、CPU31は、RAM33に一時記憶された着座方位線の重心位置の偏差量が、RAM33に記憶された最良着座方位線の重心位置の偏差量(最小偏差量)よりも小さいか否かを判断する。ここで、最良着座方位線とは、重心位置の偏差量が最小となる着座方位線を意味する。ステップSC10の判断が肯定(Y)である場合、又はステップSC8及びステップSC9の処理が初めて行われたためにRAM33に最良着座方位線が未だ記憶されていない場合、CPU31は、処理をステップSC11に移行する。または、ステップSC10の判断が否定(N)である場合、CPU31は、処理をステップSC12に移行する。
【0081】
ステップSC11において、CPU31は、RAM33に一時記憶された着座方位線を、新たな最良着座方位線として、RAM33に一時記憶する。即ち、ステップSC11以前にRAM33に一時記憶されていた最良着座方位線は、ステップSC11において更新される。このとき、ステップSC9でRAM33に一時記憶された重心位置の偏差量も、最良着座方位線と関連付けて、最小偏差量としてRAM33に一時記憶される。その後、CPU31は、処理をステップSC12に移行する。
【0082】
図10に示される着座方位線決定処理では、最良着座方位線をより正確に決定するために、ステップSC4〜ステップSC13の処理が繰り返し実行される。そこでステップSC12において、CPU31は、ステップSC4〜ステップSC13の処理の繰り返しが所定回数行われたか否かを判断する。この繰り返しの所定回数は、例えばステップSC3で決定された仮の着座方位線を中心として、±30°の範囲に対してステップSC4〜ステップSC13の処理が行われる様にして設定される。ステップSC12の判断が肯定(Y)である場合、CPU31は、一連の着座方位線決定処理を終了し、処理をステップSA3(図8を参照)に移行する。または、ステップSC12の判断が否定(N)である場合、CPU31は、処理をステップSC13に移行する。
【0083】
ステップSC13において、CPU31は、前記仮の着座方位線を所定角度移動することで、仮着座方位線候補を作成する。この所定角度は例えば1°に設定されるが、処理速度と最良着座方位線の正確性との兼ね合いで適宜変更されて良い。図11(g)に示される直線TSDCが、ステップSC13における処理によって決定される仮着座方位線候補である。その後、CPU31は、処理をステップSC4に移行する。
【0084】
再び図8を用いて、領域除外処理の流れを説明する。ステップSA3において、CPU31は、前記着座方位線を基準として、異物が介在する領域、即ちステップSA2においてマスクフラグがONに設定された感圧部と線対称な位置に存在する感圧部のマスクフラグをONにする。その後、CPU31は、一連の領域除外処理を終了して、処理をステップS3(図6参照)に移行する。
【0085】
ステップS3において、CPU31は、座面圧力データ及び背面圧力データを用いて着座状態解析処理を行う。以下、図12を用いて、この着座状態解析処理を説明する。
【0086】
図12は、CPU31が行う着座状態解析処理を説明するフローチャートである。図12に示されるフローチャートでは、着座状態解析処理の一例として、着座者の背筋方向の良否を判断する処理(ステップSD1〜ステップSD7)と、着座者の左右着座バランスの良否を判断する処理(ステップSD8〜ステップSD16)とが示される。尚、図12に示される着座状態解析処理が、特許請求の範囲における着座状態解析部及び着座状態解析工程の一例である。
【0087】
ステップSD1〜ステップSD7において、着座者が背筋が真っ直ぐな状態で着座しているか否か、即ち背筋方向の良否が着座者に報知される。背筋が曲がった状態での着座は、着座者の腰などに負担を与え、腰痛等を引き起こす可能性がある。即ち、着座者は、背筋方向の良否を知ることで、快適かつ健康的な着座姿勢を維持することが可能になる。
【0088】
ステップSD1において、CPU31は、前記した着座方位線決定処理(図10を参照)を行う。前記した対称位置にある感圧部のマスクフラグがONにされているので(図8のステップSA3を参照)、再び着座方位線決定処理を行うことで、より正確に最良着座方位線を決定できる。その後、CPU31は、処理をステップSD2に移行する。
【0089】
ステップSD2において、CPU31は、前記したステップSC4と同様の処理を、背面圧力データに対して行う。但し、背面圧力データには、座面圧力データにおける後方臀部形状の様な特徴的な形状が存在しない。そのため、背面圧力データにおいては、座面圧力データとは異なり仮の着座方位線が定義されない。そこで、CPU31は、背面圧力データを、長手方向がx方向に平行な複数の帯状領域に分割する。その後、CPU31は、処理をステップSD3に移行する。
【0090】
ステップSD3において、CPU31は、背面圧力データに含まれるすべての感圧部を用いて、質点系の重心を求める方法と同様の処理を行うことで帯状領域における重心位置を決定する。この処理は、前記したステップSC7(図10参照)と同様であるので、ここでは詳細を省略する。その後、CPU31は、処理をステップSD4に移行する。
【0091】
ステップSD4において、CPU31は、前記したステップSC8と同様の処理を、背面圧力データに対して行う。即ち、CPU31は、帯状領域における重心位置を所定の関数、例えば一次関数等を用いてフィッティングを行うことで、背面方位線を決定する。ここで、背面方位線は、前記した着座方位線と同様に、椅子2に着座することによって発生する押圧力の分布が左右対称となる対称線のことである。しかし、背面方位線は、背面圧力データに対して決定される点において前記した着座方位線と相違するので、着座方位線と区別するためにこの名称が用いられる。この背面方位線は、RAM33に一時記憶される。その後、CPU31は、処理をステップSD5に移行する。
【0092】
ステップSD5において、CPU31は、最良着座方位線の傾きと、背面方位線の傾きとが一致するか否かを判断する。最良着座方位線の傾きは、着座方位を示す。背面方位線の傾きは、着座者の背筋の方向を示す。従って、最良着座方位線の傾きと背面方位線の傾きとが一致する場合、着座者の背筋の方向と着座方向とが揃っているので、体に負担が小さい姿勢と考えられる。一方、最良着座方位線の傾きと背面方位線の傾きとが一致しない場合、着座者の背筋と着座方向とがずれているので、体に負担が大きい姿勢と考えられる。ステップSD5の判断が肯定(Y)の場合、CPU31は、処理をステップSD6に移行する。または、ステップSD5の判断が否定(N)の場合、CPU31は、処理をステップSD7に移行する。
【0093】
ステップSD6において、CPU31は、背筋の方向が体に負担が小さい状態にあることを着座者に報知するために、画像形成回路35に制御信号を送信する。画像形成回路35は、CPU31からの制御信号に応じた画像信号を形成し、その画像信号を表示部40に送信する。そして、表示部40が、画像形成回路35からの画像信号に応じて、「背筋方向OK」の表示を行う。その後、CPU31は、処理をステップSD8に移行する。
【0094】
ステップSD7において、CPU31は、背筋の方向が体に負担が大きい状態にあることを着座者に報知するために、画像形成回路35に制御信号を送信する。画像形成回路35は、CPU31からの制御信号に応じた画像信号を形成し、その画像信号を表示部40に送信する。そして、表示部40が、画像形成回路35からの画像信号に応じて、「背筋方向NG」の表示を行う。その後、CPU31は、処理をステップSD8に移行する。
【0095】
ステップSD8〜ステップSB16において、着座者の左右着座バランスの良否が、着座者に報知される。左右着座バランスが均等でない場合、即ち着座者の荷重が左右何れかに偏っている場合、着座者の腰などに負担を与え、腰痛等を引き起こす可能性がある。即ち、着座者は、左右着座バランスの良否を知ることで、快適かつ健康的な着座姿勢を維持することが可能になる。
【0096】
ステップSD8において、CPU31は、前記したステップSC1と同様の処置を行う。即ち、CPU31は、座面圧力データにおける被押圧領域を決定する。その後、CPU31は、処理をSD9に移行する。
【0097】
ステップSD9において、CPU31は、前記したステップSB6と同様の処理を行う。即ち、CPU31は、前記被押圧領域から、臀部領域を決定する。その後、CPU31は、処理をステップSD10に移行する。
【0098】
ステップSD10において、CPU31は、臀部領域にマスクフラグがONに設定された感圧部が存在するか否かを判断する。ステップSD10の判断が肯定(Y)の場合、CPU31は、処理をステップSD11に移行する。または、ステップSD10の判断が否定(N)の場合、CPU31は、処理をステップSD12に移行する。
【0099】
ステップSD11において、CPU31は、臀部領域における押圧力の局所ピークの位置を決定する。ステップSD11では、図13に示される座面圧力データimg5の様に、マスクフラグがONに設定された領域であるMSK1及びMSK2が存在する。仮に異物が介在しなければ押圧力の局所ピークとなる位置が、マスクフラグがONに設定された領域に含まれる場合、局所ピークの位置が正確に決定できない。そこで、CPU31は、例えば二次元ガウシアン等の関数を用いて、押圧力の分布に対してフィットティングを行うことで、押圧力の局所ピークの位置を決定する。ステップSD11の処理によって、マスクフラグがONの領域が存在しても、押圧力の局所ピークの位置が正確に決定できる。局所ピークの位置座標と局所ピークの位置における押圧力とは、RAM33に一時記憶される。その後、CPU31は、処理をステップSD13に移行する。
【0100】
ステップSD12において、CPU31は、臀部領域における押圧力の局所ピークの位置を決定する。ステップSD12では、図3(a)に示される座面圧力データimg1の様に、マスクフラグがONに設定された領域は存在しない。そこで、CPU31は、押圧力の値が極大となる位置LP1及びLP2を、局所ピーク位置とみなす。ステップSD12の処理は、ステップSD11の処理の様に複雑な計算を必要としないので、押圧力の局所ピークの位置が素早く決定できる。局所ピークの位置と局所ピークの位置における押圧力とは、RAM33に一時記憶される。その後、CPU31は、処理をステップSD13に移行する。
【0101】
着座者の荷重が左右均等にかかっている場合、局所ピークの位置は、最良着座方位線の左右両側に存在する。そこで、ステップSD13において、CPU31は、局所ピークの位置が、最良着座方位線の左右両側に存在するか否かを判断する。ステップSD13の判断が肯定(Y)の場合、CPU31は、処理をステップSD14に移行する。または、ステップSD13の判断が否定(N)の場合、CPU31は、処理をステップSD16に移行する。
【0102】
着座者の荷重が左右均等にかかっている場合、左右の局所ピークの位置には略同じ大きさの押圧力がかかる。そこで、ステップSD14において、CPU31は、左右の局所ピークの位置における押圧力が略同じであるか否かを判断する。ステップSD14の判断が肯定(Y)の場合、CPU31は、処理をステップSD15に移行する。または、ステップSD14の判断が否定(N)の場合、CPU31は、処理をステップSD16に移行する。
【0103】
ステップSD15において、CPU31は、着座者の荷重の左右バランスが均等である旨を着座者に報知するために、画像形成回路35に制御信号を送信する。画像形成回路35は、CPU31からの制御信号に応じた画像信号を形成し、その画像信号を表示部40に送信する。そして、表示部40が、画像形成回路35からの画像信号に応じて、「左右着座バランスOK」の表示を行う。その後、CPU31は、処理をメイン処理に戻した後に、メイン処理を終了する
ステップSD16において、CPU31は、着座者の荷重の左右バランスが均等でない旨を着座者に報知するために、画像形成回路35に制御信号を送信する。画像形成回路35は、CPU31からの制御信号に応じた画像信号を形成し、その画像信号を表示部40に送信する。そして、表示部40が、画像形成回路35からの画像信号に応じて、「左右着座バランスNG」の表示を行う。その後、CPU31は、処理をメイン処理に戻した後に、メイン処理を終了する。
【0104】
<変形例>
本発明は、今までに述べた実施形態に限定されることは無く、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形・変更が可能である。以下にその変形の一例を述べる。
【0105】
前記した実施形態において、図8に示される領域除外処理は座面圧力データに対して行われる。なぜなら、多くの場合臀部にはポケットが存在し、異物はポケットに収納される可能性が高いからである。しかし、領域除外処理は、背面圧力データに対して行われても良い。背面圧力データに対して領域除外処理が行われる場合、臀部後方輪郭線を決定する処理(図10のステップSC2を参照)は背面圧力データに対しては適応できない。そこで、ステップSC2の代わりに、夫々の長手方向がx方向に平行な複数の帯状領域に分割する処理(図12のステップSD2を参照)が行われれば良い。
【0106】
前記した実施形態において、着座状態解析処理の一例として、着座者の背筋方向の良否を判断する処理(ステップSD1〜ステップSD7)と、着座者の左右着座バランスの良否を判断する処理(ステップSD8〜ステップSD16)とが示された。本発明は、異物の影響を排除した解析が可能な点に特徴があるので、着座状態解析処理の内容は前記した実施形態に限定されない。例えば、特許文献1に記載の技術の様に、座骨間隔を決定する解析が着座状態解析処理として行われても良い。
【0107】
前記した実施形態において、着座状態の解析結果は表示部40に表示される(図12参照)。しかし、表示部40は、着座状態の解析結果を着座者へ報知する構成の一例であり、例えば音声等によって着座状態の解析結果の報知を行っても良い。さらに言えば、本発明は異物の影響を排除した解析が可能な点が特徴であるので、着座状態の解析結果を着座者へ報知する構成は、あくまで着座状態の解析結果の利用方法の一例であり、必須ではない。従って、例えば解析結果を用いて着座者の姿勢を正すように椅子を変形させる、特許文献2に記載の技術の様にエアバッグの制御に利用する等、着座状態の解析結果に対して種々の利用がなされても、本発明の意図するところである。
【0108】
前記した実施形態において、個人情報の取得は、着座者からの入力を入力部50が受け付けることで行われる(図9のステップSB1参照)。しかし、個人方法を取得する方法はこれに限定されない。例えば、図5に示される対応テーブルには、身長,体重といった個人情報が記憶される。そこで、座面圧力データ及び背面圧力データから着座者の体重を決定することで、個人情報が取得されてもよい。又は、座面圧力データ及び背面圧力データにおいて、押圧力が分布する範囲に基づいて着座者の身長を決定することで、個人情報が取得されても良い。要は、個人を特定するための情報が取得可能であれば、どのような取得方法でも良い。
【0109】
前記した実施形態において、異物が介在する可能性の高さと大腿部を含めたデータを用いることの困難性から、座面圧力データに含まれる臀部領域のみがテンプレートとして用いられる。しかし、それ以外のデータをテンプレートとしても良い。例えば、左右の大腿部によって生じる押圧力がテンプレートとして用いられても勿論良い。この場合、大腿部の位置(臀部領域に対する位置、左右の大腿部間の距離)は着座姿勢によって変化が大きいので、左右の大腿部を別のテンプレートとし、図9に示されるテンプレート比較処理が左右の大腿部夫々に対して別途行われるのが良い。また、臀部領域と大腿部とがテンプレートとして用いられるのであれば、臀部領域は大腿部とは別のテンプレートとするのが良い。この場合も、テンプレート比較処理が夫々別に行われる。勿論、背面圧力データがテンプレートとして用いられても良い。
【0110】
前記した実施形態では、着座方位線を基準として、異物が介在する領域、即ち図6のステップSA3においてマスクフラグがONに設定された感圧部と対称位置にある感圧部のマスクフラグをONにする(図8のステップSA3参照)。この処理は、異物が介在する領域を座面圧力データから除いた影響を補正することを目的とする。従って、異物が介在する領域を座面圧力データから除いた影響が補正されるのであれば、変わりにどのような処理が行われてもよい。一例として、着座者がx方向の中間点が重心になるように着座した場合であれば、異物が介在する領域として座面圧力データの座標(xi,yj)が除外される場合、直線「x=(n−1)/2」(x方向の中間点)に対して対称位置にある座面圧力データの座標(xn-i―1,yj)が除外されてもよい。前記した実施形態の様な複雑な処理を必要としないため、容易に異物が介在する領域を座面圧力データから除いた影響が補正される。
【符号の説明】
【0111】
1 着座状態解析装置
2 椅子
3 着座部
4 椅子支持脚
5 背当部
20 圧力センサ
21 座面圧力センサ
22 背面圧力センサ
30 制御部
31 CPU
32 ROM
33 RAM
34 インターフェース
35 画像形成回路
40 表示部
50 入力部
img1,img3,img5 座面圧力データ
img2,img4 背面圧力データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座時に着座者に接触する着座面に設けられ、前記着座接触面が受ける押圧力の分布を検出する押圧力分布検出部と、
前記押圧力分布検出部の検出結果のテンプレートを記憶するテンプレート記憶部と、
前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレート記憶部に記憶された前記テンプレートとを比較することで、押圧力が前記テンプレートに対して所定量以上に異なる領域を検出する比較検出部と、
前記比較検出部によって前記所定量以上に異なる領域が検出された場合に、前記押圧力分布検出部の検出結果から、前記所定量以上に異なる領域と、前記所定量以上に異なる領域に対応する対応領域とを除外する領域除外部と、
前記領域除外部によって処理が施された前記押圧力分布検出部の検出結果に基づいて、着座状態を解析する着座状態解析部と、
を備えることを特徴とする着座状態解析装置。
【請求項2】
前記押圧力分布検出部の検出結果に基づいて、着座者の向く着座方位に沿って押圧力の分布を二分する着座方位線を決定する着座方位線決定部をさらに備え、
前記対応領域は、前記着座方位線を基準として、前記所定量以上に異なる領域と対称位置にある領域である、
ことを特徴とする請求項1に記載の着座状態解析装置。
【請求項3】
前記着座方位線決定部は、
前記押圧力分布検出部の検出領域を、長手方向が互いに平行な複数の帯状領域に分割する分割部と、
1つの前記帯状領域に対し、押圧力分布の重心位置を決定する重心位置決定部と、
前記重心位置に基づいて、所定の処理を行うことで着座方位線を決定する着座方位線決定部とを有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の着座状態解析装置。
【請求項4】
前記比較検出部は、
前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する対応決定部と、
前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの差を取ることで、前記圧力検出部の検出結果が前記テンプレートに対して所定量以上に異なる領域を検出する差検出部と、
を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の着座状態解析装置。
【請求項5】
前記対応決定部は、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する際に、前記押圧力の分布の輪郭線を用いる、
ことを特徴とする請求項4に記載の着座状態解析装置。
【請求項6】
前記対応決定部部は、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する際に、臀部後方の輪郭線のみを用いる、
ことを特徴とする請求項5に記載の着座状態解析装置。
【請求項7】
前記テンプレート記憶部は、さらに、前記比較検出部によって前記所定量以上に異なる領域が検出されない場合、前記押圧力分布検出部の検出結果を着座者の個人情報と関連付けて前記テンプレートとして記憶する、
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の着座状態解析装置。
【請求項8】
着座時に着座者に接触する着座面が受ける押圧力の分布を検出する押圧力分布検出工程と、
前記押圧力の分布のテンプレートを取得するテンプレート取得工程と、
前記押圧力分布検出工程の検出結果と前記テンプレートとを比較することで、押圧力が前記テンプレートに対して所定量以上に異なる領域を検出する比較検出工程と、
前記比較検出工程によって前記所定量以上に異なる領域が検出された場合に、前記押圧力分布検出工程の検出結果から所定量以上に異なる領域と、前記所定量以上に異なる領域に対応する対応領域とを除外する領域除外工程と、
前記領域除外工程によって処理が施された前記押圧力分布検出工程の検出結果に基づいて、着座姿勢を解析する着座姿勢解析工程と、
を備えることを特徴とする着座状態解析方法。
【請求項9】
前記押圧力分布検出工程の検出結果に基づいて、着座者の向く着座方位に沿って押圧力の分布を二分する着座方位線を決定する着座方位線決定工程をさらに備え、
前記対応領域は、前記着座方位線を基準として、前記所定量以上に異なる領域と対称位置にある領域である、
ことを特徴とする請求項8に記載の着座状態解析方法。
【請求項10】
前記着座方位線決定工程は、
前記押圧力分布検出工程の検知結果を、長手方向が互いに平行な複数の帯状領域に分割する分割工程と、
1つの前記帯状領域に対し、押圧力分布の重心位置を決定する重心位置決定工程と、
前記重心位置に基づいて、所定の処理を行うことで着座方位線を決定する着座方位線決定工程とを有する、
ことを特徴とする請求項9に記載の着座状態解析方法。
【請求項11】
前記比較検出工程は、
前記押圧力分布検出工程の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する対応決定工程と、
前記押圧力分布検出工程の検出結果と前記テンプレートとの差を取ることで、前記圧力検出工程の検出結果が前記テンプレートに対して所定量以上に異なる領域を検出する差検出工程と、
を有することを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の着座状態解析方法。
【請求項12】
前記対応決定工程は、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する際に、前記押圧力の分布の輪郭線を用いる、
ことを特徴とする請求項11に記載の着座状態解析方法。
【請求項13】
前記対応決定工程は、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する際に、臀部後方の輪郭線のみを用いる、
ことを特徴とする請求項12に記載の着座状態解析方法。
【請求項14】
前記比較検出工程によって前記所定量以上に異なるが検出されない場合、前記押圧力分布検出工程の検出結果を着座者の個人情報と関連付けて前記テンプレートとして記憶するテンプレート記憶工程をさらに備える、
ことを特徴とする請求項8〜13の何れか1項に記載の着座状態解析方法。
【請求項1】
着座時に着座者に接触する着座面に設けられ、前記着座接触面が受ける押圧力の分布を検出する押圧力分布検出部と、
前記押圧力分布検出部の検出結果のテンプレートを記憶するテンプレート記憶部と、
前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレート記憶部に記憶された前記テンプレートとを比較することで、押圧力が前記テンプレートに対して所定量以上に異なる領域を検出する比較検出部と、
前記比較検出部によって前記所定量以上に異なる領域が検出された場合に、前記押圧力分布検出部の検出結果から、前記所定量以上に異なる領域と、前記所定量以上に異なる領域に対応する対応領域とを除外する領域除外部と、
前記領域除外部によって処理が施された前記押圧力分布検出部の検出結果に基づいて、着座状態を解析する着座状態解析部と、
を備えることを特徴とする着座状態解析装置。
【請求項2】
前記押圧力分布検出部の検出結果に基づいて、着座者の向く着座方位に沿って押圧力の分布を二分する着座方位線を決定する着座方位線決定部をさらに備え、
前記対応領域は、前記着座方位線を基準として、前記所定量以上に異なる領域と対称位置にある領域である、
ことを特徴とする請求項1に記載の着座状態解析装置。
【請求項3】
前記着座方位線決定部は、
前記押圧力分布検出部の検出領域を、長手方向が互いに平行な複数の帯状領域に分割する分割部と、
1つの前記帯状領域に対し、押圧力分布の重心位置を決定する重心位置決定部と、
前記重心位置に基づいて、所定の処理を行うことで着座方位線を決定する着座方位線決定部とを有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の着座状態解析装置。
【請求項4】
前記比較検出部は、
前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する対応決定部と、
前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの差を取ることで、前記圧力検出部の検出結果が前記テンプレートに対して所定量以上に異なる領域を検出する差検出部と、
を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の着座状態解析装置。
【請求項5】
前記対応決定部は、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する際に、前記押圧力の分布の輪郭線を用いる、
ことを特徴とする請求項4に記載の着座状態解析装置。
【請求項6】
前記対応決定部部は、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する際に、臀部後方の輪郭線のみを用いる、
ことを特徴とする請求項5に記載の着座状態解析装置。
【請求項7】
前記テンプレート記憶部は、さらに、前記比較検出部によって前記所定量以上に異なる領域が検出されない場合、前記押圧力分布検出部の検出結果を着座者の個人情報と関連付けて前記テンプレートとして記憶する、
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の着座状態解析装置。
【請求項8】
着座時に着座者に接触する着座面が受ける押圧力の分布を検出する押圧力分布検出工程と、
前記押圧力の分布のテンプレートを取得するテンプレート取得工程と、
前記押圧力分布検出工程の検出結果と前記テンプレートとを比較することで、押圧力が前記テンプレートに対して所定量以上に異なる領域を検出する比較検出工程と、
前記比較検出工程によって前記所定量以上に異なる領域が検出された場合に、前記押圧力分布検出工程の検出結果から所定量以上に異なる領域と、前記所定量以上に異なる領域に対応する対応領域とを除外する領域除外工程と、
前記領域除外工程によって処理が施された前記押圧力分布検出工程の検出結果に基づいて、着座姿勢を解析する着座姿勢解析工程と、
を備えることを特徴とする着座状態解析方法。
【請求項9】
前記押圧力分布検出工程の検出結果に基づいて、着座者の向く着座方位に沿って押圧力の分布を二分する着座方位線を決定する着座方位線決定工程をさらに備え、
前記対応領域は、前記着座方位線を基準として、前記所定量以上に異なる領域と対称位置にある領域である、
ことを特徴とする請求項8に記載の着座状態解析方法。
【請求項10】
前記着座方位線決定工程は、
前記押圧力分布検出工程の検知結果を、長手方向が互いに平行な複数の帯状領域に分割する分割工程と、
1つの前記帯状領域に対し、押圧力分布の重心位置を決定する重心位置決定工程と、
前記重心位置に基づいて、所定の処理を行うことで着座方位線を決定する着座方位線決定工程とを有する、
ことを特徴とする請求項9に記載の着座状態解析方法。
【請求項11】
前記比較検出工程は、
前記押圧力分布検出工程の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する対応決定工程と、
前記押圧力分布検出工程の検出結果と前記テンプレートとの差を取ることで、前記圧力検出工程の検出結果が前記テンプレートに対して所定量以上に異なる領域を検出する差検出工程と、
を有することを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の着座状態解析方法。
【請求項12】
前記対応決定工程は、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する際に、前記押圧力の分布の輪郭線を用いる、
ことを特徴とする請求項11に記載の着座状態解析方法。
【請求項13】
前記対応決定工程は、前記押圧力分布検出部の検出結果と前記テンプレートとの対応を決定する際に、臀部後方の輪郭線のみを用いる、
ことを特徴とする請求項12に記載の着座状態解析方法。
【請求項14】
前記比較検出工程によって前記所定量以上に異なるが検出されない場合、前記押圧力分布検出工程の検出結果を着座者の個人情報と関連付けて前記テンプレートとして記憶するテンプレート記憶工程をさらに備える、
ことを特徴とする請求項8〜13の何れか1項に記載の着座状態解析方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−210368(P2010−210368A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55930(P2009−55930)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]