説明

着用可能な靴型

【課題】様々なタイプの靴の内側に挿入されることで靴の原形を維持することを助け、時間が経つにつれて靴の前面部(または先芯部分)、側壁そして踵に折り目がつき、皺が寄ることを防ぐ着用可能な靴型を提供する。
【解決手段】この着用可能な靴型は快適に履くことが可能なため、靴が履かれている時も履かれていない時も靴の形を維持することができる。靴の形と美しさを維持することに加え、運動靴のカスタマイズのために使用することも可能である。靴型を恒久的に靴に装着したり、障害のある個人が美的目的で使用できるようにするなどの応用が可能である。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の記述】
【0001】
本出願は、2007年7月31日に出願された米国暫定特許出願第60/962、761号および2007年9月25日に出願された米国暫定特許出願第60/995、233号を優先権主張し、その内容は参照することにより本出願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
靴(特に運動靴)は、擦り減りもしくは単に重力の影響で変形しやすいため、履物の開存性と美しさを損なってしまう。一般的にそのような変形しやすい性質による変化は、つま先の置かれる部分(すなわち先芯部分)の真上にあたる靴の前部、履物の側面そして踵に折り目や皺となって表れる。このような折り目や皺は全体の見た目を損ない、また機能的には靴の寿命を縮めてしまう。本発明は様々なタイプの靴の内側に入れることができるように設計されることで靴の原形を維持し、また時間が経つにつれ靴の前面部(または先芯部分)の側壁および/または踵に折り目がつき皺が寄ることを防ぐ、特別な着用可能な靴のインソールに関する。この着用可能な靴型は、靴が履かれる度に挿入すること、もしくは靴の生産者によって恒久的に靴に取り付けることが可能である。この靴型のインソールはまた、柔軟な薄いプラスチック製の殻から出た足が靴の内側上面にインソールを固定するため、靴が履かれていない時もまた靴の形を維持することができる。
【0003】
靴全体の外観を維持し、靴の寿命を延ばすのを助けるのに加え、本発明は医療的もしくは健康的に役立つ応用法がある。例えば、本発明は下肢の切断された個人が健常な足を靴内部に有するよう見せることが可能である。糖尿病による神経障害や糖尿病の患者は、つま先の麻痺により適切に靴のサイズを測れなくなる。靴の先芯部分の変形は患者のつま先の指関節が擦り剥けて衰弱する原因になる。最後に、プラスチック製の靴型部分は靴型から手で切り離すことが可能なため、魚の目、腱膜瘤やその他の足とつま先に異常な腫れがある個人も装着が可能である。
【0004】
本発明はさらに運動靴のカスタマイズおよび/または美化のために使用することもまた可能である。柔軟なプラスチック製の着用可能な靴型の殻から出た足によって靴型が靴の内側に固定されるため、靴の外表面の皺が取れ、歪みのない状態で靴をペイントしたり、磨いたりすることが可能になる。
【0005】
美的そして医療的な効果を有する靴型のさらなる改良案として、靴型に香りをつけることおよび/または靴型を抗菌性にすることが含まれる。
【背景技術】
【0006】
押し潰す力や変形する力から靴のつま先を守るための履物のインソールや爪革は、当該技術分野において既知である。
【0007】
グレイの特許(米国特許3,950,865号)は均整のとれた指骨の設計を有することで、外部の力が加えられたとき先芯部分の後方端が下方へ回転することを防ぐ一方、靴のソールに使われる素材を使用することで先芯部分の耐久性を増す、頑丈で安全な先芯インソールを開示する。
【0008】
ヤンの特許公報(米国特許公報2005/0144809号)は、多数の補強層を内側表面と外側表面に有する靴の爪革を開示する。爪革は補強された複合体からなり、意のままに結びつけることができるため、爪革を甲革、舌革、靴底などの靴の他の部分と縫い合わせることが可能である。
【0009】
グーグレおよびその他の特許(米国特許6,598,323B1号)は、表面を平滑にする外層と補強肋材でできた内層とを有する靴のつま先を保護する装置を開示する。この保護装置は上部、前部、開いた後部そして上部と前部に接する側部から成る。
【0010】
ゲッソの特許(米国特許6,170,174)は、選手の足のつま先と甲を守るように衝撃を吸収する裏地が内側につけられた野球用靴を開示する。固いプラスチックの層でできた保護殻は、基本的につま先を含む足の甲全体を覆うように形作られている。保護殻の部品は柔軟性を保つように曲がる部品で結合されている。
【0011】
シュトライトおよびその他の特許(米国特許3,561,142号)は力伝達性の金属バネ片のある先芯保護物を有する靴を開示する。
【0012】
ワンの特許(米国特許5,832,633号)は一端が開き一端が閉じた爪革で、幾層もの繊維から成るつま先保護物が金属性の爪革に特有の電気/磁気にまつわる問題なしに構造的な保護強度を与える。
【0013】
ローズの意匠(米国意匠D316,772号)は安全な靴の爪革を対象にした装飾的意匠である。
【0014】
すべての先行技術において、発明の開示は靴の先芯部分(すなわちつま先をほぼ覆う履物の甲部分)を対象にし、またインソールは圧縮力や張力からつま先部分を守ると同時に靴にある一定の柔軟性が保たれるように意図されている。このため、先芯や爪革は主に特定の強い衝撃を伴う運動用の「構造型」の履物および靴に使用される。これらの発明は靴の折れ目や皺の防止、もしくは美しさやそれに類似する目的のための靴の開存性維持を意図して作られてはいない。さらに、保護物インソールは先芯部分に限られており、靴の他の部分を保護しない。
【0015】
これらの使用目的と対照区別して、二つの特許公報は履物の美的な新しさを保つための靴のインソールの発明を記載する。
【0016】
ショーおよびその他の特許公報(米国特許公報2006/0070262A1号)は靴の甲のつま先先端に皺が寄ることを防ぐ、プラスチック製の曲がった運動靴用の爪革インソールを記載する。開示される殻状のインソールは、曲線を描く前壁が上壁と、対面する側面それぞれへ向かって後方にカーブする。インソールは先芯より後方へは伸びない。このため、インソールの構造は靴の爪革部分の皺を防ぐことはできても、履物のその他の部分を折り目や皺から守ることはできない。
【0017】
スパーその他の特許公報(米国特許公報2008/0148607A1号)は、半硬質の内殻と、靴の前部やつま先部分に折れ目ができることを防ぐ外殻から成る靴のインソールを開示する。これはどのような靴の内部にも一致するように設計されていないし、また靴全体の形と開存性を維持するようにも設計されてはいない。
【0018】
靴の開存性と美しさの維持への解決策は上記の通り部分的にしか発展しなかったとはいえ、靴の甲部全体の開存性を維持し、皺や折り目、その他の傷みや変形の徴候を防ぐことができる、着用可能な靴のインソールは当技術分野において今なお必要とされている。このような靴のインソールは靴の美しさを維持するためだけでなく、医療への応用のため、そして昨今は靴のカスタマイズのために長年必要とされ続けている。本発明はこの長年のニーズに応えるだけでなく、着用可能なように機能的に設計されているため、靴の開存性の維持が着用時も可能である。
【発明の概要】
【0019】
本発明の目的および利点は以下の記載により説明され、明らかにされ、そして周知される。
【0020】
本発明は靴型と同じように靴の中に入れるインソールからなり、使用者は靴の中にインソールが入ったままの状態でスニーカーや靴を履くことができる。このインソールを利用することで、使用者は履物の原形を靴を履いたまま、もしくは靴が履かれない状態でも保つことができる。さらに、靴の中にこのインソールを入れた状態で靴やスニーカーを履くことで、通常起こる損傷から靴をさらに保護することができる。その他の利点は着用可能な靴型が履物の開存性を維持することにある。例えば医療/健康の分野では、部分的もしくは全体的に下肢の切断された個人が健常な足を靴内部に有するよう見せることが可能である。本発明を使用することで糖尿病による神経障害の患者は、靴の先芯の潰れや変形から足のつま先を守ることができる。また、靴型のプラスチック部分は手で切り離すことができるため、本発明は魚の目や腱膜瘤、その他の足やつま先の異常な腫瘍のある個人でも装着可能である。他の例としては、着用可能な靴型は運動靴のカスタマイズや美化を補助するために使用することが可能である。柔軟なプラスチック製の靴型の殻から出た足によって靴の内側に靴型が固定され、靴の外面の皺を取るため、歪みのない状態で靴をペイントしたり、磨いたりすることが可能になる。
【0021】
本発明の実施例の一つでは、着用可能な靴型はプラスチック製で、先芯または爪革部分が窄んでいて二本の足が靴の側面に沿って伸びている。二本の足の先は曲がりやすいが必要な程度に固いため、二本の足は共にわずかに曲げることができ、張力を生む。こうして靴型を履物に挿入することができる。二本の足の張力が一度失われると、靴型の二本の足は自然に元の状態へ戻ろうと跳ね返るため、靴の甲の内側表面に靴型が固定される。プラスチックの素材は使用者がより心地良く使用できるように、切ったり形を整えることが可能である。
【0022】
別の実施例では、靴型の足は靴の側面に沿って踵およびその周辺まで伸びている。この形態ではつま先、側面、踵を含む靴の甲全体の開存性が維持される。
【0023】
さらに別の実施例では靴型のインソールは穴あきであることで重さが軽減され、靴の中の通気が良くなる。
【0024】
さらに別の実施例で靴型は、永久に靴の内部に装着されるように仕立てたり、製造されたりすることが可能な素材によって作られる。別の方法としては、プラスチック製の靴型の外側表面を糊づけまたは修正することで、靴型が靴の内部に永久に固定されるようにすることができる。
【0025】
さらに別の実施例では、靴型の内側表面に詰め物をしたりその他の素材を固定することも可能である。これは靴の履き心地を良くし、またある特定の医療または健康の条件にとって適切な詰め物をすることを可能にする。
【0026】
さらに別の実施例ではインソールは様々な素材の切り抜きを有することで、より快適さおよび/または柔軟性を足の特定の部分に与えられる。
【0027】
さらに別の実施例ではインソールは木、ゴム、金属、セラミックといったプラスチックではない素材から作られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
発明のさらなる理解を提供し、明細書に組み込まれ、明細書を構成する一部分である添付の図面は、発明の実施例を図示し、明細書の記載とともに本発明の原則を説明する。
【図1】インソールの入った靴の側面図である。
【図2】インソールの斜視図である。
【図3】インソールの前面図である。
【図4】インソールの側面図である・
【図5】インソールの上面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明を実施するための最良の形態が以下、添付の図面に図示された例証とともに記される。図面1から5が示すのは、靴が履かれていない時も靴の甲部分全体の形を保つ靴型のインソールを有する、着用可能な靴型である。さらに、インソールの形とサイズは使用者が快適に履くことを可能にするため、通常靴の着用時にできる折り目やその他の損傷を防ぐことができる。インソールはその他の点で靴の着用に干渉することはない。
【0030】
図1は靴に入れられた状態のインソール10の側面図を図示する。インソールはインソールについた足による張力によって、靴の甲の内側表面に対しぴったりとくっつく。インソールの構造は先芯部分20と靴の甲の側壁30の形の崩れ(例えば折り目や皺ができる等)を防ぐ。別の実施例ではインソールの外形は靴の端から端まで伸びているので、踵の上部の型崩れも防ぐ。
【0031】
図2はインソール10の斜視図を図示する。インソールの先芯部分20は靴の甲の内側表面に対しぴったりとつく凸面天井部70を備え、靴の甲部分から甲とソールが接する靴の床部分までの輪郭をなぞる。インソールの二本の足30は先芯部分から伸び、靴の内側の表面の側壁60へとぴったりと(張力によって)はまり込む。インソールの二本の足はU字を成し、二本の足の間のU字区域40は靴の爪革部分に柔軟性と快適さをもたらす。本発明のいくつかの実施例では、薄いインソールを穴あきにすることでインソールの重さを軽減し、通気を良くする。
【0032】
図3、4そして5は靴型を他の角度から見た平面図を図示する。前面図(図3)と側面図(図4)は水平および垂直の観点から見た、曲線を描くインソールの性質を図示する。これらが示すのは、インソールの曲線は靴の甲の先芯部分と側壁周辺の曲線を自然になぞるということである。インソールの下壁は靴の床上に位置する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴にぴたりと収まる殻状の形態をしたインソールを備える着用可能な靴型。
【請求項2】
靴の先芯部内側の壁下にインソールがぴたりと収まり、インソールから伸びた足が靴の内側の側壁下にぴたりと収まる請求項1に記載の着用可能な靴型。
【請求項3】
靴の先芯部内側の壁下にインソールがぴたりと収まり、インソールから伸びた足が靴の内側の側壁下にぴたりと収まり、さらに靴の内側をぐるりと一周し踵の裏で接する請求項1に記載の着用可能な靴型。
【請求項4】
木、金属、セラミックまたはプラスチックからなるグループから選ばれた素材で作られる請求項1、2または3に記載の着用可能な靴型。
【請求項5】
通気を良くし、重さを軽減するためにインソールの表面上または表面を貫通して様々な場所に穴がある請求項1、2または3に記載の着用可能な靴型。
【請求項6】
香りが付けられた請求項1、2または3に記載の着用可能な靴型。
【請求項7】
抗菌材が浸透した請求項1、2または3に記載の着用可能な靴型。
【請求項8】
靴に永久に挿入されるよう表面が修正された請求項1、2または3に記載の着用可能な靴型。
【請求項9】
足が靴内部に存在する印象を与えるためにインソールの内側表面に直接、もしくは改良されて詰め物をされた請求項1、2または3に記載の着用可能な靴型。
【請求項10】
糖尿病による神経障害の患者が靴の先芯部分の変形により足やつま先に怪我を負うのを防ぐために使用される請求項1、2または3に記載の着用可能な靴型。
【請求項11】
靴のカスタマイズ、靴磨き、またその他の靴表面の改良を補助するために使用される請求項1、2または3に記載の着用可能な靴型。
【請求項12】
足の爪のカビ、水虫またはその他の足やつま先付近の細菌感染の進行を防ぐために使用される請求項7に記載の着用可能な靴型。
【請求項13】
足の爪のカビ、水虫またはその他の足やつま先付近の細菌感染を治療するために使用される請求項7に記載の着用可能な靴型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−535065(P2010−535065A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519228(P2010−519228)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/009165
【国際公開番号】WO2009/017730
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(510028316)
【Fターム(参考)】