説明

着磁可能なフィラメント及び織物類

【課題】人体のような複雑な三次元曲面に違和感なく安定的に装着できるような磁性体を提供する
【解決手段】粒径は約1〜10μm程度の好ましくは鉄(フェライト)からなる磁性体微粉末1を繊維化可能な合成繊維原料2中に1〜10%程度混合し、繊維生成用ノズルより押出し、繊維化して成るフィラメント。及び、これを用いて織物加工した織物類に強力な磁場を与え、以て着磁体とする。該フィラメントを用いることで、通常の織物類とほとんど同じ感覚で着磁体を二次製品化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、必要に応じ直ちに着磁できるフィラメント(単繊維)及び織物類(糸類も含む)に関する。
【背景技術】
【0002】
筋肉痛その他の諸症状を緩和させるために様々な貼付材や塗布材、或いは特殊絆などが各種用いられているのは周知の通りである。皮膚に軟膏類を直接塗り、或いはガーゼに塗ってこれを貼付するのもそれらの一つであるが、最近ではその軟膏類の中にフェライトのような磁性体の粉末を混合し、これを着磁することによって、患部に磁場を面状に与える試みもなされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような磁性体粉末を混合した貼付材は本発明者も既に各種試みているが、実際に使用するにあたり、軟膏類の塗布作業がかなり面倒であるばかりか、磁性体粉末は一般に黒色を呈するため、あたかもペンキを塗る作業のように周辺を汚したり、その汚れがなかなか落ちないなどの問題点があった。
【0004】
そこで本発明者は、使用時に塗布作業を要せず、周辺も汚さない着磁可能な貼付材を提供すべく、表裏層を布状体とし、中間層を磁性体粉末が混合されたエラストマーとした、サンドイッチ構造のシート状物を考案し作成して、ある程度の評価を得た。
【0005】
ところがこのようなシート状物は平面上に敷いたり円筒面に巻き付けたりするには適しているものの、人体のような複雑な三次元曲面に逸脱しないように当てがうことには甚だ不具合であった。従ってこのような問題点を無くし、人体の必要な箇所に違和感なく安定的に装着できるような磁性体を提供することが、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
先ず磁性体微粉末1を混合した合成繊維原料2を繊維化し、フィラメント(単繊維)とする。磁性体としては鉄(フェライト)、ニッケル、ネオジウム等、周知のもので良いが、コストや加工性などの点からフェライトが好ましい。その粒径は約1〜10μm程度が一般的で、これをポリエステルや再生PET樹脂、或いはレーヨン用原料(本願においてはこれも合成繊維原料2の範疇に含まれるものとする)などのような繊維化可能な合成繊維原料中に約1〜10%程度混合して繊維生成用ノズルより押出し、公知の手段により繊維化する。
【0007】
このフィィラメントを用いて織物加工すると、糸、更には布類からあらゆる衣服類に至るまでの様々な織物類が得られる。このような織物類は、よく知られている衣服等と同様、全く違和感なく身体に適合した様々な形態に形成できると同時に、ごく簡単に身体に装着できるものに仕上げられる。
【0008】
このようにして仕上げられた衣服等の織物類は、これに強力な磁場を与えることにより磁気を帯びた繊維製品に変身するから、前記のような所期の目的に添ったものにすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、通常の織物類とほとんど同じ感覚で着磁体を二次製品化できるから、身体の所望する箇所に面状に磁気を長時間与えることがユーザーにとって全く違和感なく楽に行われるようになり、その適用範囲を著しく拡大させることができるという甚大な効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
合成繊維用ポリエステルに粒径1〜3μm程度のフェライト粉末を約5W%混合して既存の繊維化工程により太さ約10μmのフィラメントに形成する。これを用いて不織布状に加工したり、或いは糸や織物状に加工し、更に目的に応じ各種サポーターや衣服のような形態ににじ加工する。しかる後、電磁石或いはネオジウム磁石等を用いてかかる生地の全体又は要所を磁化し、製品化する。
【0011】
出来上がった製品は、すでにあるサンドウィッチ構造の磁気シートと同様、面状にマイルドな磁気を帯びたものとなり、厚み(重さ)はより薄く(軽く)て通気性があって、ほとんどいかなる立体形状にも二次加工が可能で、個々の人体にフィットしたものに仕上がり、また磁気の減衰率も1ケ月に1%以下にすぎないことが判明した。ちなみに試作品は痛みや血行不良等に悩む人などに甚だ好評であった。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明の着磁可能な織物類は、既存の磁気ケア療法の概念を大幅に改善するもので甚だニーズが高いと同時に、その製造は既存の繊維技術で十分に量産可能なものであるから、産業上の利用可能性は十分にあるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のフィラメントを示す部分拡大断面図
【符号の説明】
【0017】
1……磁性体微粉末
2……合成繊維原料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体微粉末を混合した合成繊維原料を繊維化して成るフィラメント。
【請求項2】
請求項1記載のフィラメントを用いて織物加工した織物類。

【図1】
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【公開番号】特開2009−35850(P2009−35850A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221750(P2007−221750)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(503254043)
【Fターム(参考)】