説明

着磁装置

【課題】
エネルギー貯蔵素子の寿命を延長すると同時に、エネルギーの消耗を抑制して効率を高める着磁装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明の着磁装置2は、電源供給ユニット21、エネルギー貯蔵素子22及び電圧制限ユニット23を備える。電源供給ユニット21は、少なくとも1個の励磁信号を発生させて、磁場発生装置の少なくとも1個のコイルを励磁する。エネルギー貯蔵素子22は、電源供給ユニット21に電気的に接続される。電圧制限ユニット23は、電源供給ユニット21及びエネルギー貯蔵素子22に電気的に接続されて、制限電圧を有する。制限電圧の準位は、励磁信号の電圧準位より高く、且つ、エネルギー貯蔵素子22の定格電圧より低い。励磁信号が低準位の時、電圧制限ユニット23は、エネルギー貯蔵素子22の両端電圧準位を、制限電圧の準位に等しいか、それより小さくなるようにコントロールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着磁装置に関し、特に、エネルギー貯蔵素子の寿命を延長させると同時に、エネルギーの消耗を抑制して、効率を高め得る着磁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在注目されている分子標的治療は、体内に分子標的薬を注入することにより、特定の細胞を攻撃して治療効果を達成するものであるが、注入された分子標的薬は体内で分散しやすく、分子標的治療の効果が低下する。また、薬物の分散は、患者に大きな副作用をもたらし、患者に新たに余計な負担を強いることになる。このような分子標的治療の効果を改善させるため、磁性誘導コントロールシステムを分子標的治療に組み合わせた方式が提供された。磁性誘導コントロールシステムは、磁場発生装置が磁力を発生することを利用して、磁性を有する分子標的薬を標特定領域に導入して、特定の疾病を有効に治療するものである。
【0003】
図1は、従来の着磁装置1の回路を示した図である。このうち、着磁装置1は、磁場発生装置をコントロールして磁場を発生させることで、磁性粒子または磁性薬物を特定位置に導入して、ある特定の疾病に対して有効的な治療を行うことができる。
【0004】
着磁装置1は、直流電圧供給ユニット11、エネルギー貯蔵素子12、エネルギー放出ユニット13、三つのフルブリッジ型変換ユニット141〜143及び電流フィードバックユニット15を備える。
【0005】
直流電圧供給ユニット11は、少なくとも1個の励磁信号ESを発生させて、磁場発生装置のコイルTA、TB、TCにそれぞれ磁場を発生させることで、磁性粒子または磁性薬物を操作、コントロールする。エネルギー貯蔵素子12は、直流電圧供給ユニット11に電気的に接続されて、コイルTA、TB、TC消磁時に発生するエネルギーEを貯蔵する。エネルギー放出ユニット13は、直流電圧供給ユニット11及びエネルギー貯蔵素子12に電気的に接続されて、コイルTA、TB、TC消磁時に発生したエネルギーEを除去する。フルブリッジ型変換ユニット141〜143は、直流電圧供給ユニット11、エネルギー貯蔵素子12、エネルギー放出ユニット13及びコイルTA、TB、TCに電気的に接続される。このうち、フルブリッジ型変換ユニット141〜143は、同時間に切換えることができず、ある一相のコイルが消磁されて、そのエネルギーEが除去されないと、他相のコイルが励磁されない。また、各フルブリッジ型変換ユニット141〜143は、それぞれ四つのスイッチS1〜S4を有する。図1においては、コイルTAに接続するスイッチS1〜S4のみを表示している。また、電流フィードバックユニット15は、それぞれコイルTA、TB、TCに流れる電流を感知して、それぞれコントロール信号DSを出力することで、それぞれフルブリッジ型変換ユニット141〜143のスイッチS1〜S4の開閉をコントロールして、それぞれコイルTA、TB、TCに対して励磁または消磁を行うことによって、磁性粒子または磁性薬物を特定位置の目標物に導入し、これをコントロールする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図に示したように、コイルTAの消磁を例にすると、励磁信号ESが低準位である時、コントロール信号DSがフルブリッジ型変換ユニット141のスイッチS2、S3を導通させ、スイッチS1、S4を停止させることで、消磁時に発生するエネルギーEを除去する。この時、コイルTA消磁時に発生したエネルギーEは、スイッチS2、S3によって、エネルギー貯蔵素子12及びエネルギー放出ユニット13に戻され、エネルギー貯蔵素子12両端の端電圧が上昇して、エネルギー貯蔵素子12の定格電圧を超えるため、エネルギー貯蔵素子12の寿命低下を招きやすい。また、従来のエネルギー放出ユニット13は、受動式消磁機能がないため、直流電圧供給ユニット11を同期する必要がある。つまり、いずれかのコイルの励磁信号ESが低準位である時、同時にエネルギー放出ユニット13が作動して、前記コイル消磁時に発生したエネルギーEを吸収してからでないと、他のコイルを励磁することができないとううことである。例えば、コイルTAを消磁し、且つ、エネルギー放出ユニット13がコイルTA消磁時に発生したエネルギーEを吸収した後でないと、直流電圧供給ユニット11が再び他の励磁信号ESを出力して、他のコイルTBを励磁することができない。この時、エネルギーEがエネルギー放出ユニット13において消耗されて、着磁装置1の効率が低下する。
【0007】
したがって、本発明は、エネルギー貯蔵素子の寿命を延長すると同時に、エネルギーの消耗を抑制して効率を高める着磁装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の着磁装置は、
少なくとも1個のコイルを有する磁場発生装置と組み合わせて応用される着磁装置であって、
少なくとも1個の励磁信号を発生させて、前記コイルを励磁する電源供給ユニットと、
前記電源供給ユニットに電気的に接続されるエネルギー貯蔵素子と、
前記電源供給ユニット及び前記エネルギー貯蔵素子に電気的に接続されて、制限電圧を有し、前記制限電圧の準位は、前記励磁信号の電圧準位より高く、且つ、前記エネルギー貯蔵素子の定格電圧より低く設定され、前記励磁信号が低準位の時には、前記エネルギー貯蔵素子の両端電圧準位を、前記制限電圧の準位に等しいか、それより小さくなるようにコントロールする電圧制限ユニットと、
を備えることを特徴とする。
【0009】
即ち、上記課題を解決するために、本発明の着磁装置は、電源供給ユニット、エネルギー貯蔵素子及び電圧制限ユニットを備える。さらに、本発明の着磁装置における電源供給ユニットは、少なくとも1個の励磁信号を発生させて、磁場発生装置の少なくとも1個のコイルを励磁する。エネルギー貯蔵素子は、電源供給ユニットに電気的に接続される。電圧制限ユニットは、電源供給ユニット及びエネルギー貯蔵素子に電気的に接続されて、制限電圧を有する。制限電圧の準位は、励磁信号の電圧準位より高く、且つ、エネルギー貯蔵素子の定格電圧より低い。このうち、励磁信号が低準位の時、電圧制限ユニットは、エネルギー貯蔵素子の両端電圧準位を、制限電圧の準位に等しいか、それより小さくなるようにコントロールする。
【0010】
一実施例において、電源供給ユニットは、定電圧電源供給装置または定電圧定電流電源供給装置を備える。
【0011】
一実施例において、励磁信号が低準位の時、コイル消磁時に発生したエネルギーはエネルギー貯蔵素子に入力される。
【0012】
一実施例において、励磁信号が低準位になった後、電圧制限ユニットは、エネルギー貯蔵素子の両端電圧に基づき、その内部スイッチをコントロールすることで、エネルギー貯蔵素子の両端電圧の準位を、制限電圧の準位に等しいか、それより小さくなるようにコントロールする。
【0013】
一実施例において、励磁信号は、直流信号またはパルス信号を含む。
【0014】
一実施例において、励磁信号は、オーバードライブ電流信号を含む。
【0015】
一実施例において、オーバードライブ電流信号は、励磁信号と同一の位相または逆の位相である。
【0016】
一実施例において、コイルの数量が複数である時、電源供給ユニットは、複数の励磁信号を出力して、前記コイルをそれぞれ励磁する。
【0017】
一実施例において、前記励磁信号は一部重なる。
【0018】
一実施例において、着磁装置はさらに、少なくとも1個のフルブリッジ型変換ユニットを備え、前記フルブリッジ型変換ユニットは、コイル、電源供給ユニット、電圧制限ユニット及びエネルギー貯蔵素子に電気的に接続される。フルブリッジ型変換ユニットは、コイルに対応して設置される。
【0019】
一実施例において、着磁装置はさらに、コントロールユニットを備える。コントロールユニットは、フルブリッジ型変換ユニットに電気的に接続される。コントロールユニットは、フルブリッジ型変換ユニットの動作をコントロールして、励磁信号によりコイルの励磁またはコイルの消磁を行う。
【0020】
一実施例において、着磁装置はさらに、電流フィードバックユニットを備える。電流フィードバックユニットは、コイルの電流を感知して、フルブリッジ型変換ユニットの動作をコントロールすることで、励磁信号によるコイルの励磁またはコイルの消磁を行う。
【発明の効果】
【0021】
本発明の着磁装置の電圧制限ユニットは、制限電圧を有し、制限電圧の準位は、電源供給ユニットが出力する励磁信号の電圧準位より高い。したがって、電圧制限ユニットは、受動式消磁機能を有するため、いずれかのコイルが消磁される時に発生するエネルギーを用いて、他のコイルに対して励磁する。このように、消磁エネルギーが電圧制限ユニットにおいて消耗することがなく、着磁装置の効率を高める。また、制限電圧の準位は、エネルギー貯蔵素子の定格電圧より低く、且つ、励磁信号が低準位の時、電圧制限ユニットは、エネルギー貯蔵素子の両端電圧準位を、制限電圧の準位に等しいか、それより小さくなるようにコントロールする。これにより、エネルギー貯蔵素子の両端電圧は、電圧制限ユニットによって束縛されるため、エネルギー貯蔵素子両端の端電圧が、その定格電圧を超えることがなく、そのため、本発明の着磁装置は、エネルギー貯蔵素子の使用寿命を延長させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来の磁性装置の回路を示した図である。
【図2A】本発明の好適な実施例における磁性装置を示した図である。
【図2B】本発明の好適な実施例における磁性装置を示した図である。
【図3A】コイルを流れる電流信号の波形を示した図である。
【図3B】コイルを流れる電流信号の波形を示した図である。
【図3C】コイルを流れる電流信号の波形を示した図である。
【図3D】コイルを流れる電流信号の波形を示した図である。
【図3E】コイルを流れる電流信号の波形を示した図である。
【図3F】コイルを流れる電流信号の波形を示した図である。
【図4A】着磁装置の回路を示した図である。
【図4B】励磁信号の波形を示した図である。
【図5】本発明の他の好適な実施例における磁性装置の回路を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施例における着磁装置について説明するが、このうち同じ構成要素は同じ符号を付して説明する。
【0024】
図2A及び図2Bは、それぞれ本発明の好適な実施例における着磁装置2の回路を示した図である。着磁装置2は、例えば、磁性誘導コントロールシステムの磁場発生装置の励磁と消磁に応用される。磁性誘導コントロール装置は、例えば、医療上の分子標的治療、心血管治療、医療用マイクロ器具導入、手術用カテーテル方位導入等の分野に応用される。この場合、着磁装置2は、磁場発生装置のコイルが磁場を発生させるのをコントロールすることで、磁性粒子、医療用カテーテル、医療用器具(マイクロ器具)または上述のいかなる組み合わせをも導入することが可能である。磁性粒子は、例えば、ナノ磁性粒子、ナノ磁性薬物等であるが、これに制限されない。
【0025】
着磁装置2は、磁場発生装置と組み合わせて応用される。磁場発生装置は、少なくとも1個のコイルを有する。ここでは、三組のコイルTA、TB、TCを有する場合を例とする。また、着磁装置2は、電源供給ユニット21、エネルギー貯蔵素子22及び電圧制限ユニット23を備える。
【0026】
電源供給ユニット21は、少なくとも1個の励磁信号ESを発生させて、コイルTA、TB、TCを励磁する。ここで、電源供給ユニット21は、複数の励磁信号ESを出力して、それぞれ前記コイルTA、TB、TCを励磁する。このうち、励磁信号ESは、電流信号である。コイルTA、TB、TCを流れる電流信号は、図3Aに示したような直流信号または図3Bに示したようなパルス信号を含む。電源供給ユニット21が励磁信号ESを出力すると、コイルTA、TB、TCがそれぞれコントロールされて磁場を発生させて、例えば、磁性粒子の移動を導入及びコントロールする。また、励磁信号ESが低準位である時、コイルTA、TB、TCは消磁される。
【0027】
このうち、電源供給ユニット21は、定電圧電源供給装置または定電圧定電流電源供給装置を備える。ここでは、定電圧定電流電源供給装置の場合を例とする。このうち、定電圧定電流電源供給装置の目的は、コイルTA、TB、TCを流れる電流が定電圧定電流電源供給装置に設定された最大電流値まで上昇した時、定電圧定電流電源供給装置の出力を固定電流とするためである。これにより、磁性粒子が感知する磁力が直線性(Linearity)を有して、磁場発生装置の磁性粒子の操作及びコントロールを容易にする。
【0028】
エネルギー貯蔵素子22は、電源供給ユニット21に電気的に接続される。エネルギー貯蔵素子22は、コイルTA、TB、TCが励磁信号ESによる低準位(消磁)時に発生したエネルギーEを貯蔵する。ここでは、エネルギー貯蔵素子22は、キャパシタ(コンデンサ)である。
【0029】
電圧制限ユニット23は、電源供給ユニット21及びエネルギー貯蔵素子22に電気的に接続されて、制限電圧VCを有し、且つ、制限電圧VCの準位は、エネルギー貯蔵素子22の定格電圧より低い。このうち、電圧制限ユニット23は、定電圧直流電子負荷である。電子負荷は、入力された電圧準位コントロール内部パワースイッチ(例えば、パワートランジスタ)の導通量に基づき、余分なエネルギーが電子負荷の内部負荷によって消耗される。
【0030】
また、制限電圧VCの準位は、電源供給ユニット21に設定された電圧準位より高く、電圧制限ユニット23に受動的な消磁機能を持たせる。したがって、電圧制限ユニット23と電源供給ユニット21の両者は、同時に動作する必要がない。つまり、あるコイルが消磁される前に、電源供給ユニット21は、再び他の励磁信号ESを出力して、他のコイルに対して同時に励磁動作を行う。例えば、コイルTAが消磁されていない時、他のコイルTBを同時に励磁することが可能である。このため、コイルTAの励磁信号ESは低準位であり、消磁される時、エネルギーEを消磁してコイルTBに入力することで、コイルTBを励磁する。このように、電圧制限ユニット23においてエネルギーEが消耗されることがなく、着磁装置2の効率を高める。
【0031】
また、着磁装置2は、フルブリッジ型変換ユニット24A、24B、24Cを備える。それらは、それぞれコイルTA、TB、TC、電源供給ユニット21、電圧制限ユニット23及びエネルギー貯蔵素子22に電気的に接続され、フルブリッジ型変換ユニット24A、24B、24CとコイルTA、TB、TCは対応して設置される。このうち、フルブリッジ型変換ユニット24A、24B、24Cは、それぞれ四つのスイッチS1〜S4を有する。コントロールユニット25は、それぞれ前記スイッチS1〜S4の開閉をコントロールして、コイルTA、TB、TCを励磁または消磁する。図2A及び図2Bにおいて、コイルTAが接続するスイッチの番号はS1〜S4のみが表示されている。
【0032】
また、着磁装置2はさらに、コントロールユニット25を備える。コントロールユニット25は、フルブリッジ型変換ユニット24A、24B、24Cに電気的に接続される。コントロールユニット25は、フルブリッジ型変換ユニット24A、24B、24Cの動作をそれぞれコントロールして、励磁信号ESによってコイルTA、TB、TCを励磁するか、コイルTA、TB、TCをそれぞれ消磁する。
【0033】
図2A及び図2Bは、それぞれ本発明の着磁装置2がいかにコイルTA、TB、TCに対して励磁及び消磁するかについて説明した図である。
【0034】
図2Aに示したように、コントロールユニット25が、出力したコントロール信号DSがコイルTAが対応するフルブリッジ型変換ユニット24AのスイッチS1及びS4をコントロールして導通させると、電源供給ユニット21が定電圧の励磁信号ESを出力して、スイッチS1、コイルTA及びスイッチS4に流れることで、コイルTAに対して励磁する。この時、定電圧によってコイルTAが励磁される。コイルTAの励磁電流が電源供給ユニット21(ここでは、定電圧定電流電源供給装置)に設定された最大の電流値まで上昇した時、電源供給ユニット21が定電流として出力することで、磁性粒子の操作及びコントロールを容易にする。このうち、コントロール信号DSは、パルス幅変調(Pulse Width Modulation, PWM)信号である。
【0035】
図3Cから図3Fは、励磁信号ESがコイルTA、TB、TCに対して励磁する時、コイルTA、TB、TCを流れる電流信号は、オーバードライブ電流(over-drive current)信号を含むことを示した図である。これは、図3Cから図3Fの領域Rに示したとおりである。オーバードライブ電流信号は、磁性粒子導入の可制御性を高める。また、オーバードライブ電流信号は、励磁信号ESと同位相または逆位相であるが、ここでは、特に制限しない。
【0036】
このうち、電源供給ユニット21は、順方向または逆方向の電流パルスの励磁信号ESを出力して、順方向且つコイルTA、TB、TCを流れるオーバードライブ電流(図3Eに示したとおり)を有して、磁性粒子の静摩擦力を克服して移動しやすくする。また、励磁信号ESは、逆方向で、TA、TB、TCを流れるオーバードライブ電流(図3Fに示したとおり)を有して、磁性粒子をコントロールして瞬間減速させて定位する。また、図3C及び図3Dは、コイルTA、TB、TCを流れるオーバードライブ電流が可制御の電流信号であることを示している。このうち、可制御の部分は、順方向オーバードライブ電流I1、順方向オーバードライブ電流時間T1、逆方向オーバードライブ電流I2、逆方向オーバードライブ電流時間T2、電流ピーク値IP及び励磁(導通)時間Tである。したがって、使用者が上述のオーバードライブ電流方式によって、実際のニーズに応じて磁性粒子をコントロールすることで、磁性粒子の静摩擦力を克服して、磁性粒子の瞬間減速をコントロールして定位する。
【0037】
図2Bを参照しながら説明する。励磁信号ESが低準位である時、フルブリッジ型変換ユニット24AのスイッチS1とS4は停止状態であり、スイッチS2とS3は導通状態である。コイルTAは消磁されて、スイッチS2とS3によってエネルギーEがエネルギー貯蔵素子22に放出される。このうち、電圧制限ユニット23は、エネルギー貯蔵素子22両端の電圧に基づき、電圧制限ユニット23の動作をコントロールする。エネルギー貯蔵素子22がエネルギーEによって充電されて、その両端の電圧が電圧制限ユニット23の制限電圧VCに等しくなるまで上昇した時、電圧制限ユニット23は、電圧制限ユニット23の内部スイッチをコントロールして導通状態にし、エネルギーEが電圧制限ユニット23に放出されて、電圧制限ユニット23に吸收されることにより、エネルギー貯蔵素子22の両端の電圧が下降して、制限電圧VCを制御する。したがって、電源供給ユニット21が出力した励磁信号ESが低準位である時、エネルギー貯蔵素子22の両端の電圧は、電圧制限ユニット23によって制御されるため、電圧制限ユニット23は、エネルギー貯蔵素子22の両端の電圧準位を、制限電圧VCの準位に等しいか、それより小さくなるようコントロールして、さらに、エネルギー貯蔵素子22の両端の電圧をエネルギー貯蔵素子22の定格電圧より低くして、エネルギー貯蔵素子22の寿命を延長させる。
【0038】
また、図4A及び図4Bの電源供給ユニット21は、複数の励磁信号ESを出力して、それぞれコイルTA、TB、TCを励磁し、且つ、コイルTA、TB、TCを流れる駆動電流は一部重なり(図4Bの斜線に示したとおり)、さらに、重なる時間は必要に応じて調整することが可能である。つまり、コイルTAが励磁される時、他相のコイルTBの励磁が同時に進行するということである。コイルTAが消磁されると、消磁されたエネルギーEが、コイルTBに提供されて励磁し、同時にコイルTBに対して励磁の動作が進行する。したがって、図4Aに示したように、コイルTAが消磁される際に発生したエネルギーEは、電圧制限ユニット23上で消耗されることなく、エネルギーの無駄な消耗を抑制し、省エネ効果を達成して、着磁装置2の効率を高める。同様に、コイルTBが励磁される時、他相のコイルTCの励磁が同時に進行する。コイルTBが消磁される時、消磁されたエネルギーがコイルTCに提供されて、コイルTCに対して同時に励磁動作が行われる。このため、着磁装置2は、フルブリッジ型変換ユニット24A、24B、24Cを同時にコントロールすることができることで、同時にコイルTAまたはTBまたはTCに対して励磁または消磁が行われる。
【0039】
図5は、本発明の他の好適な実施例における着磁装置3の回路を示した図である。
【0040】
着磁装置3は、電源供給ユニット31、エネルギー貯蔵素子32及び電圧制限ユニット33を備える。また、着磁装置3はさらに、フルブリッジ型変換ユニット34A、34B、34Cを備える。
【0041】
着磁装置3が着磁装置2と異なる点は、着磁装置3の電源供給ユニット31が定電圧電源供給装置(無限電流)である点である。また、着磁装置3はさらに、電流フィードバックユニット35を備える。電流フィードバックユニット35は、それぞれコイルTA、TB、TCを流れる電流を感知して、フルブリッジ型変換ユニット34A、34B、34Cの動作をコントロールすることで、励磁信号ESにより、コイルTA、TB、TCを励磁したり、コイルTA、TB、TCを消磁したりする。着磁装置3は、電流フィードバックユニット35によって、コイルTA、TB、TCを流れる電流を測定して、電圧信号(図示なし)を出力する。この電圧信号と電流追跡信号TSを比較した後、フルブリッジ型変換ユニット34Aを駆動させるパルス幅変調コントロール信号DSを発生させて、フルブリッジ型変換ユニット34AのスイッチS1〜S4の開閉をコントロールする。このうち、電流追跡信号TSは、パルス信号である。
【0042】
また、着磁装置3のその他の素子の技術的特徴は、着磁装置2の同一の素子を参照できるため、ここでは再述しない。
【0043】
このように、本発明の着磁装置の電圧制限ユニットは、制限電圧を有し、制限電圧の準位は、電源供給ユニットが出力する励磁信号の電圧準位より高い。したがって、電圧制限ユニットは、受動式消磁機能を有するため、いずれかのコイルが消磁される時に発生するエネルギーを用いて、他のコイルに対して励磁する。このように、消磁エネルギーが電圧制限ユニットにおいて消耗することがなく、着磁装置の効率を高めることができる。また、制限電圧の準位は、エネルギー貯蔵素子の定格電圧より低く、且つ、励磁信号が低準位の時、電圧制限ユニットは、エネルギー貯蔵素子の両端電圧準位を、制限電圧の準位に等しいか、それより小さくなるようにコントロールする。これにより、エネルギー貯蔵素子の両端電圧は、電圧制限ユニットによって制御されるため、エネルギー貯蔵素子両端の端電圧が、その定格電圧を超えることがなく、そのため、本発明の着磁装置は、エネルギー貯蔵素子の使用寿命を延長させることができる。
【0044】
以上、本発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における如何なる設計変更又は改良も、添付の特許請求の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は以上の如く構成したので、エネルギー貯蔵素子の寿命を延長すると同時に、エネルギーの消耗を抑制して、効率を高めることが可能な着磁装置を提供し得るものである。
【符号の説明】
【0046】
1、2、3 着磁装置
11 直流電圧供給ユニット
12、22、32 エネルギー貯蔵素子
13 エネルギー放出ユニット
141〜143、24A、24B、24C、34A、34B、34C フルブリッジ型変換ユニット
15、35 電流フィードバックユニット
21、31 電源供給ユニット
23、33 電圧制限ユニット
25 コントロールユニット
DS コントロール信号
E エネルギー
ES 励磁信号
I1、I2、iL、iTA、iTB、iTC 電流
IP 電流ピーク値
R 領域
S1〜S4 スイッチ
t、T、T1、T2 時間
TA、TB、TC コイル
TS 電流追跡信号
VC 制限電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個のコイルを有する磁場発生装置と組み合わせて応用される着磁装置であって、
少なくとも1個の励磁信号を発生させて、前記コイルを励磁する電源供給ユニットと、
前記電源供給ユニットに電気的に接続されるエネルギー貯蔵素子と、
前記電源供給ユニット及び前記エネルギー貯蔵素子に電気的に接続されて、制限電圧を有し、前記制限電圧の準位は、前記励磁信号の電圧準位より高く、且つ、前記エネルギー貯蔵素子の定格電圧より低く設定され、前記励磁信号が低準位の時には、前記エネルギー貯蔵素子の両端電圧準位を、前記制限電圧の準位に等しいか、それより小さくなるようにコントロールする電圧制限ユニットと、
を備えることを特徴とする着磁装置。
【請求項2】
前記電源供給ユニットは、定電圧電源供給装置または定電圧定電流電源供給装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の着磁装置。
【請求項3】
前記励磁信号が低準位の時、前記コイル消磁時に発生したエネルギーは前記エネルギー貯蔵素子に入力されることを特徴とする請求項1に記載の着磁装置。
【請求項4】
前記励磁信号が低準位になった後、前記電圧制限ユニットは、前記エネルギー貯蔵素子の両端電圧に基づき、その内部スイッチをコントロールすることで、前記エネルギー貯蔵素子の両端電圧の準位を、前記制限電圧の準位に等しいか、それより小さくなるようにコントロールすることを特徴とする請求項1に記載の着磁装置。
【請求項5】
前記励磁信号は、直流信号またはパルス信号を含むことを特徴とする請求項1に記載の着磁装置。
【請求項6】
前記励磁信号は、オーバードライブ電流信号を含むことを特徴とする請求項1に記載の着磁装置。
【請求項7】
前記オーバードライブ電流信号は、前記励磁信号と同一の位相または逆の位相であることを特徴とする請求項6に記載の着磁装置。
【請求項8】
前記コイルの数量が複数である時、前記電源供給ユニットは、複数の励磁信号を出力して、前記コイルをそれぞれ励磁することを特徴とする請求項1に記載の着磁装置。
【請求項9】
前記励磁信号は一部重なることを特徴とする請求項8に記載の着磁装置。
【請求項10】
さらに、前記コイル、前記電源供給ユニット、前記電圧制限ユニット及び前記エネルギー貯蔵素子に電気的に接続されて、前記コイルに対応して設置される少なくとも1個のフルブリッジ型変換ユニットを備えることを特徴とする請求項1に記載の着磁装置。
【請求項11】
さらに、前記フルブリッジ型変換ユニットに電気的に接続されて、前記フルブリッジ型変換ユニットの動作をコントロールすることで、前記励磁信号により前記コイルの励磁または前記コイルの消磁を行うコントロールユニットを備えることを特徴とする請求項10に記載の着磁装置。
【請求項12】
さらに、前記コイルの電流を感知して、前記フルブリッジ型変換ユニットの動作をコントロールすることで、前記励磁信号による前記コイルの励磁または前記コイルの消磁を行う電流フィードバックユニットを備えることを特徴とする請求項10に記載の着磁装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−8974(P2013−8974A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−141475(P2012−141475)
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【出願人】(504455908)国立成功大学 (18)
【Fターム(参考)】